説明

曲線部分を有する組立及び/又は搬送ベルト

本発明は、特に製作中の自動車又は自動車部品を組立及び搬送するための、曲線部分を有する組立及び/又は搬送ベルトであって、互いに旋回可能にヒンジ支承された、形状接続式に互いに噛み合う複数の支持エレメントによって形成されており、これらの支持エレメントがそれぞれ1つの上側のプラットフォームと下側の支持枠とを有していて、これらの支持エレメントの両端面側が、ほぼ同じ曲率半径を有する、凸状及び凹状の円弧状に湾曲されていて、それによって、隣接し合う2つの支持エレメントのそれぞれ1つの凸状の切欠と凹状の切欠とが、曲線部分においても、また直線部分においても、形状接続的に互いに当接し合って隙間のない搬送ベルト移行部を形成している形式のものに関する。簡単な運動経過及び安価な制御費用で、曲線部分においてプラットフォームをほぼ接線方向で整列させることができるように、本発明によれば、組立及び/又は搬送ベルト(1)の長手方向で見てそれぞれ、凹状(9)の両端面側を有する支持エレメント(2)と凸状(6,7)の両端面側を有する支持エレメント(2)とが互いに交互に配置されており、それぞれ凹状の両端面側(9)を備えた支持エレメント(2)が、凸状の両端面側(6,7)を備えた、負荷を受容する前記支持エレメント(2)間に配置された、これらの支持エレメント(2)よりも短い中間エレメント(8)として構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に製作中の自動車又は自動車部品を組立及び搬送するための、曲線部分を有する組立及び/又は搬送ベルト(カーブドコンベヤ)であって、互いに旋回可能にヒンジ支承された、形状接続(形状による束縛)式に互いに噛み合う複数の支持エレメントによって形成されており、これらの支持エレメントがそれぞれ1つの上側のプラットフォームと下側の支持枠とを有していて、これらの支持エレメントの両端面側が、ほぼ同じ曲率半径を有する凸状及び凹状の円弧状に湾曲されていて、それによって、隣接し合う2つの支持エレメントのそれぞれ1つの凸状の切欠と凹状の切欠とが、曲線部分においても、また直線部分においても、形状接続的に互いに当接し合って隙間のない搬送ベルト移行部を形成している形式のものに関する。
【0002】
この組立及び/又は搬送ベルトは、組立作業を実施する際に自動車部品特に車体を受容するための自動車製造において、並びにその他の製造及び搬送作業のために用いられる。自動車部品で作業する自動車作業員は一般的に、ゆっくりと移動する搬送ベルト(コンベヤベルト)と共に移動し、プラットフォームにおいて自由に移動することができるようになっている。この組立及び/又は搬送ベルトの個別の支持エレメントは、車輪を有しているか又はローラ条片(ころ)上で支持されている。駆動は、大抵の場合、摩擦を介して支持エレメントに駆動力を伝達する駆動式のローラ群(Rollenbatterien)を介して行われる。駆動ステーションは、一般的に真っ直ぐな搬送ライン(搬送区間)の始端部に配置されている。
【0003】
支持エレメントから支持エレメントへの力の伝達は、真っ直ぐな搬送ライン上でスラスト力(押しずらし力)によって行われる。スラスト集合体内の隙間を避けるために、この搬送ラインの終端部において支持エレメントはブレーキステーションを介して制動される。ブレーキステーションの後ろには一般的に、引張ステーションが配置されており、この引張ステーションは、例えばレバーによって横方向の転換又は垂直方向の転換ができるように、支持エレメントの「隙間を引き寄せる」ようになっている。多くの場合、支持エレメントの循環運動は長方形を描くようになっている。その他のレイアウトも勿論可能である。
【0004】
以上の公知の組立及び/又は搬送ベルトは様々な欠点を有している。例えば横方向転換後に、支持エレメントの走行方向を維持したい場合、支持エレメントを180゜回転させる必要がある。そのために必要なコーナー部の転換領域はしゃ断された領域である。しゃ断された領域とは、PKWの組立作業のためには提供されておらず、また、安全のために高い費用をかけていない、危険性の高い領域のことである。コーナー部の転換自体は、高い制御コストを伴う複雑な運動の連続を必要とし、プラットフォームの電流供給も、コーナー部の転換(Eckumsetzung)に基づいて問題がある。
【0005】
曲線部分を有する支持エレメントも公知であって(ドイツ連邦共和国特許第19858989号明細書)、これらの支持エレメントは閉じた循環路内で循環し、組立及び/又は搬送ベルトを形成している。この場合、真っ直ぐな搬送ラインの両端部に、通常形式で一定の曲率半径を有する半円形の曲線部分が続いている。特に曲線ラインにおいて、隣接し合う支持エレメント間の隙間及びギャップが形成されるのを避けるために、支持エレメントはそれぞれ1つの凹状の端部及び凸状の端部を有しており、これらの端部はそれぞれ同じ曲率半径及び中心点を有している。支持エレメントは、開放した集合体内においても駆動することができる。駆動は、定置のローラ群又は一緒に移動する個別駆動装置を介して行うこともできる。
【0006】
このような公知の曲線部分を有する支持エレメントにおいては、細長い支持エレメントの多角形作用(Polygoneffekt)に基づいて、曲線ラインの領域に、隣接し合う支持エレメント間のギャップを閉鎖する幅の広いカバーが必要であり、それによって曲線部分の領域において提供されるプラットフォーム上の使用可能面は著しく減少される。従って所定の曲率半径を下回り、場合によっては例えばPKW又は車体のための設置面が狭すぎることになる。支持エレメントの長さに対する曲率半径の比が小さい曲線領域において、非常に強い多角形作用が生じ、特に閉じた循環路において循環長さが永久的に変化することになる。このような長さの変化を、構造的な手段によって補償する必要がある。カーブ領域(曲線領域)内でプラットフォームを接線方向で整列させることは、以上のような従来技術のものでは不可能である。
【0007】
本発明の課題は、冒頭に述べた形式の曲線部分を有する組立及び/又は搬送ベルトを改良して、簡単な運動経路で、かつその構造に基づく安価な制御費用で、カーブ領域内でプラットフォームをほぼ接線方向で整列させることができ、それによって、カーブ領域内での組立及び/又は搬送ベルトの狭い定置のカバーに基づいて、プラットフォーム上に、より広い使用可能性面を提供できるようにすることである。
【0008】
この課題を解決するために本発明によれば、組立及び/又は搬送ベルトの長手方向で見てそれぞれ、凹状の両端面側を有する支持エレメントと凸状の両端面側を有する支持エレメントとが互いに交互に配置されており、それぞれ凹状の両端面側を備えた支持エレメントが、凸状の両端面側を備えた、負荷を受容する前記支持エレメント間に配置された、これらの支持エレメントよりも短い中間エレメントとして構成されている。
【0009】
プラットフォーム間の隙間、及び従来技術における欠点を避けるために、複数の支持エレメントが1つの組立及び/又は搬送ベルトにまとめられていて、これらの支持エレメントがそれぞれ交互に、第1の支持エレメントが凸状の両端面側を有していて、隣接する第2の支持エレメント(いわゆる中間エレメント)が凹状の両端面側を有するように構成されている。
【0010】
本発明によれば、曲線ライン内でプラットフォームを変向させる際に多角形作用が著しく減少され、走行方向に関連したプラットフォームの整列が維持されるので、従来必要であったコーナー部の転換を省略することができる。
【0011】
プラットフォームが載設されているすべての支持エレメントは、機械的に互いに堅固に結合されており、つまり、例えば制御エラーによって隣接し合う2つのプラットフォーム間の隙間(作業員を危険にさらす)が生じる危険性はない。
【0012】
搬送軌道のカーブ領域内でプラットフォームと支持エレメントとをほぼ接線方向で整列させることができる、短い中間エレメントを使用することによって、スペースの高い利用可能性に基づいてカーブ領域内での組立作業も可能となる。定置のカバーを越えて曲線部分内に突き出すしゃ断部、又はその他の安全手段は必要ない。
【0013】
本発明による運動学は、大きい積載能力及び長い対象物(例えば長いPKW)を受容するための長い支持エレメントを使用することも可能である。本発明による搬送及び組立ベルトのモジュール式の構造は、中間エレメントを簡単に交換することによって、主要なプラットフォームを有する支持エレメント自体を変化させる必要なしに、サイクル間隔を変えることができる。この装置は全体的に、小さい多角形作用で、駆動可能である。
【0014】
本発明によれば有利な形式で、複数の支持エレメントが、接続部材を介して、閉じた又は開放したプラットフォーム集合体にまとめられている。閉じたプラットフォーム集合体によって、閉じた軌道上で支持エレメントがメリーゴーラウンド式の循環が得られる。
【0015】
本発明の有利な実施例では、支持エレメントの接続部材が連結ロッドであって、1つの共通の中間部材によって分離された、それぞれ2つの隣接し合う、凸状の両端面側を備えた支持エレメントが、1つの共通の連結ロッドによって互いにヒンジ結合されており、各連結ロッドの2つのヒンジ結合部がそれぞれ、支持エレメントの円弧状に湾曲された凹状の両端面側の曲率半径中心点上に位置している。
【0016】
支持エレメントの選択された構成及び運動学によって、プラットフォーム間の隙間が生じることなしに、支持エレメントの端面側が互いに転動し合うことが確実に行われる。支持エレメントは、曲線湾曲部に対して接線方向に整列しながら曲線に沿って移動する。支持エレメントの機械的な接続によって、システム内で拘束されることなしに、曲線軌道においても確実な接続が得られる。
【0017】
本発明によれば、支持エレメントの、端面側で互いに向き合う領域に、ローラガイド又は滑動ガイドが設けられており、これらのローラガイド又は滑動ガイドは、隣接し合う支持エレメントを互いに摩擦なしに又は少ない摩擦で摺動させることができる。
【0018】
本発明の支持エレメントの駆動は、公知の形式で、支持エレメント走行経路に分割された複数の摩擦車ステーションによって行われる。しかしながら、本発明の別の提案に従って、組立及び/又は搬送ベルトの駆動が、少なくともそれぞれn番目の支持エレメントに配属された個別駆動装置を介して行われ、これらの個別駆動装置が、相応の支持エレメント上に、この支持エレメントと一緒に走行するように配置されていてもよい。
【0019】
電動駆動装置が設けられている場合、本発明の別の実施態様によれば、支持エレメントのエネルギー及び/又はデータ供給が永久的に、支持エレメントの隣又は下で走行経路に沿って敷設されたスリップガイドを介して行われる。
【0020】
本発明の枠内で、ネルギー及び/又はデータ供給を永久的に又は部分的に誘導式に行うことも考えられる。これによって、妨害となる導線が避けられ、移行部が簡略化される。
【0021】
また本発明の別の特徴によれば、それぞれ少なくとも2つ目の支持エレメントのガイドが、床に敷設されたガイドレールを介して行われるようにした。
【0022】
別の走行機構において公知であるように、側方の傾倒安定性を得るために、本発明によれば、互いに間隔を保って敷設された複式トラックとしての2つのガイドレールの間隔が曲線領域内で減少されている。これによって、特に2つのガイドレール間の内側が支持レールとしてもまたガイドレールとしても構成されていれば、曲線走行時における熱作用による並びに多角形作用による走行機構の拘束は避けられる。
【0023】
大抵の場合、閉じたプラットフォーム集合体内で循環する支持エレメントが楕円形の(stadionfoermig;スタジアム若しくは競技場の形)循環軌道上でガイドされていれば、有利である。このような場合、高価なコーナー部の転換器が省かれ、また従来技術において用いられた、組立のために利用できない横方向の接続区分が省かれる。その代わり、本発明による支持エレメントの有利な運動学に基づいて、曲線領域においても組立が可能であり、この場合、装置の能力を、プラットフォーム上の提供可能な増大された使用面によって完全に利用し尽くすことができる。
【0024】
本発明の別の実施態様によれば、支持エレメントのサイドガイドが、外側の支持レール及び/又は内側の支持レールで行われる。この場合、中間エレメントの個別のガイドは必要なない。何故ならばガイドレールでガイドされた、隣接し合う支持エレメントとの連結によって、中間エレメントは自由にガイドされて連行されるからである。間隔保持は連結ロッドを介して行われる。
【0025】
別の実施態様によれば、少なくとも個別の支持エレメントに、組立補助手段としてのアクティブ又はパッシブな昇降装置が組み込まれている。この昇降装置は、例えば滑子案内形式で、PKWの4輪のそれぞれを別個に上昇又は下降させることができる。目的に応じた別の構成部材例えば吸い込み装置を、プラットフォーム上で支持エレメントと共にガイドすることもできる。
【0026】
本発明による支持エレメントと共に循環平面の高さ変化も実施できるようにするために、本発明の別の実施態様によれば、支持及び/又はガイドレールに上下方向湾曲部が設けられていて、支持エレメントが付加的に水平なジョイントを介して互いに結合されている。
【0027】
また本発明によれば、中間エレメントとして構成された支持エレメントが、検査及び/又は保守のために容易に取り外し可能に構成されている。
【0028】
本発明の特に有利な実施態様によれば、垂直方向の負荷伝達が、支持エレメントの下側に設けられた、一緒に走行する鋼製ローラを介して行われ、この場合すべての鋼製ローラが上下軸線を中心にして回転可能に支承されている。金属製の支持ローラのローラ抵抗は小さいので、溝を必要とすることのないフラットな構造が得られる。プラットフォーム自体は、有利な形式で合板層によって形成されている。このような合板層は、求めやすく、かつ車両取り出しのために通行可能である。
【0029】
本発明は次のような多くの利点を有している。
【0030】
本発明は、構造が簡単で、かつ高い機能信頼性を有している。支持エレメントを曲線領域において接線方向で整列させることによって、カーブ領域(曲線領域)内においても大きい中間間隔が可能な狭いカバーが実現される。これによって、滑子案内制御式の昇降装置、アクティブな昇降装置、吸込み装置その他の組み込みが軽減される。プラットフォームを備えた支持エレメントは、閉じた又は開放した集合体内で駆動せしめられる。駆動は、定置のローラバッテリー又は一緒に走行する個別駆動装置を介して行われる。支持エレメントのプラットフォーム間に中間カバーは必要ない。走行方向に関するプラットフォームの方向付けは常に維持され、コーナー部の転換は必要ない。運動経路は簡単であって、僅かな費用しか必要としない。すべてのプラットフォームが機械的に互いに堅固に結合されていることによって、隣接し合うプラットフォーム間に、例えば制御の誤機能による隙間(この隙間が作業員に危険を及ぼす)が生じる危険性はない。一体的な駆動装置は、エネルギー及びデータ伝達のための閉じたループラインを可能にする。
【0031】
本発明は、曲線領域のカーブ(湾曲)部分内においても組立作業が可能であり、それによって広いスペースを利用することができる。何故ならば、カーブ形部分内においても主プラットフォームの利用面の大きな部分を開放したままで維持する定置の(フラットな)カバーに亘って遮断部及びその他の安全手段を設ける必要がないからである。
【0032】
本発明の手段によって、支持エレメント及びひいては主プラットフォームはより大きく構成することができ、高い積載能力例えば長いPKW並びにその他の組立構成部分例えば吸い込み装置等を受容することができる。
【0033】
組立及び/又は搬送ベルトの周期間隔は、主プラットフォームを変える必要なしに、中間エレメントを適合させることによって変えることができる。また低いローラ抵抗を有する金属製の支持ローラを使用することによってフラットな構造が可能となるので、溝を設ける必要はない。保守及び修理のために、中間エレメントのカバーは簡単に取り外すことができる。
【0034】
本発明の実施例が図面に示されていて、以下に詳しく説明されている。
【0035】
図1は、自動車を組立及び/又は搬送するための本発明による組立及び/又は搬送ベルト、
図2は、従来技術による組立及び/又は搬送ベルト、
図3は、本発明による組立及び/又は搬送ベルトの曲線部分の拡大図、
図4は、本発明による支持エレメントの枠
図5は、中間エレメントとして構成された、本発明による支持エレメントである。
【0036】
図2には、従来技術により公知の組立及び/又は搬送ベルト(コンベヤベルト)の概略図が示されている。この組立及び/又は搬送ベルトは、自動車の組立及び搬送のために自動車工業において使用され、互いにヒンジで支承され、かつ互いに形状接続(形状による束縛)式に係合し合う支持エレメント2より成っている。またこれらの支持エレメント2はエンドレスな搬送ライン上でガイドされている。個別の支持エレメント2はそれぞれその搬送方向3で前方に位置する端面側4が凸状に形成されていて、また搬送方向3で後方に位置する端面側5が凹状に構成されている。従ってこれらの支持エレメント2が循環運動すると、1つの支持エレメント2の前方の端面側4が、搬送方向3で隣接する支持エレメント2の後方の端面側5に形状接続式に係合し合って、隣接し合う支持エレメント2間の隙間のない移行が、搬送ベルトの曲線部分においてもまた直線状に延びる搬送ラインにおいても得られる。図2に示されているように、支持エレメント2は多角形の連続で曲線部分を巡って移動し、この際に互いに連結された支持エレメント2が、円弧状の曲線部分から側方に部分的に突き出すように運動する。
【0037】
できるだけ床の高さと同じ高さでゆっくりと移動する支持エレメント2に、労働者が危険なく立ち入ること、また場合によっては完成された車両をプラットフォームから運び降ろすことも考慮した場合、複数の支持エレメントの側方の隙間や端面側の隙間(このような隙間は、ここで作業する作業員を危険にさらすことになる)が生じないようするために、曲線部分に手段を講じる必要があることは明らかである。このような理由により、曲線部分において形成される支持エレメント2の多角形の連続の形の側面領域が、被覆部A1及びA2によって覆われる。曲線部分に沿って移動する際に多角形の作用が顕著になればなるほど、若しくは曲線部分が狭くなればなるほど、必要な被覆部A1及びA2が支持エレメント2をより広い範囲に亘って覆う必要がある。これによって、外側の被覆部A2と内側の被腹部A1との間に存在する作業プラットフォームは、複数の支持エレメントが真っ直ぐに延びる領域内におけるよりも、著しく狭くなる。極端な場合、この作業プラットフォームは、このプラットフォーム上に載せられる車両又は車体のためには狭すぎることになるので、曲線部分内での組立は不可能となる。
【0038】
以上のような問題を解決した本発明の解決策は、図1に概略的に示されている。本発明によれば、組立及び/又は搬送ベルト1の支持エレメント2は、両端面側、つまり搬送方向に向けられた端面側も、また搬送方向とは逆方向に向けられた端面側6も凸状に形成されており、この場合、複数の同一の湾曲部はそれぞれ1つの円の円周の一部(円弧)に相当する。それぞれ隣接し合う支持エレメントは、支持エレメント2よりも短い中間エレメント8として構成されていて、その両端面側で凹状の成形部9を有しており、これらの成形部9は、支持エレメント2の端面側6に向けられていて、支持エレメント2の端面側は、それぞれ同じ曲率を有する複数の円弧部分より構成されている。
【0039】
本発明による組立及び/又は搬送ベルトの曲線部分の拡大図が図3に示されている。図3に示されているように、中間エレメント8に中央の連結ロッド10が固定されており、この連結ロッド10は、中間エレメント8の両側(ここで中間エレメント8が固定されている)で左右対称に、支持エレメント2の領域内に延びていて、ここで連結ロッド10は枢着部11でヒンジ結合されている。連結ロッド10の枢着部11は、支持エレメント2の端面側6及び7の、また中間エレメント8の凸状若しくは凹状の端面側6若しくは9の曲率半径中心点に配置されているので、支持エレメント2及び中間エレメント8の端面側例えば6及び9は、支持エレメント2と中間部材8とが曲線領域内で移動すると、連結ロッド10を介して強制的に互いに転動し合う。各中間エレメント8に設けられていて、それぞれ隣接し合う2つの支持エレメント2に結合されている連結ロッド10は、本発明の組立及び/又は搬送ベルトにおいて、非常に細かい多角形分割が生ぜしめられ、特に支持エレメント2が、組立及び/又は搬送ベルト1の曲線軌道(カーブライン)に対して常に接線方向で移動するように、作用する。このような効果によって、本発明は、図1において符号12で示した狭い被覆部を必要とするだけである。これによって、組立及び搬送のために提供される、利用可能な支持エレメント2のプラットフォーム領域は、図2に示した従来技術のものにおけるよりも著しく大きい。この広くなった、プラットフォーム上の作業領域によって、本発明による組立及び/又は搬送ベルトの曲線領域内においても、搬送及び組立を妨げられることなく継続することができるので、支持エレメントの能力及び処理可能性が著しく高められる。
【0040】
図4には、支持エレメント2を下から見た支持エレメント2の枠と、支持エレメント2の下に設けられた、床上を転動する支持ローラ13とが示されている。また、支持エレメント2の凸状の端面側6及び7と、高い負荷に耐えられる枠部分及び補強材(筋交い)が示されている。
【0041】
図5には、中間エレメント8のうちの1つが絶縁された状態で示されており、図4及び図5に示された連結ロッド10は、一方では枢着部14で支持エレメント2にヒンジ結合されていて、他方では中間エレメント8の固定部15の中央に固定されており、それによって、それぞれ2つの支持エレメント2と、これら2つの支持エレメント2間に配置された中間エレメント8とのヒンジ結合が得られるようになっている。
【0042】
支持エレメント2若しくは中間エレメント9の枠16は、上側が、有利には木材よりなっているプラットフォーム17によって覆われている。ローラ13を備えた走行機構は、場合によっては少なくとも部分的に駆動される。支持エレメント2に外部から作用して、スラスト力(Schubkraft)を介して支持エレメント2を移動させる公知の摩擦車駆動装置と同様に、支持エレメント上で一緒に走行するように配置されている一般的な形式の個別駆動装置を使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】自動車を組立及び/又は搬送するための本発明による組立及び/又は搬送ベルトの概略的な平面図である。
【図2】従来技術による組立及び/又は搬送ベルトの概略的な平面図である。
【図3】本発明による組立及び/又は搬送ベルトの曲線部分の拡大図である。
【図4】本発明による支持エレメントの枠を下から見た図である。
【図5】中間エレメントとして構成された、本発明による支持エレメントである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
殊に製作中の自動車又は自動車部品を組立及び搬送するための、曲線部分を有する組立及び/又は搬送ベルトであって、互いに旋回可能にヒンジ支承された、形状接続式に互いに噛み合う複数の支持エレメントによって形成されており、これらの支持エレメントがそれぞれ1つの上側のプラットフォームと下側の支持枠とを有していて、これらの支持エレメントの両端面側が、ほぼ同じ曲率半径を有する、凸状及び凹状の円弧状に湾曲されていて、それによって、隣接し合う2つの支持エレメントのそれぞれ1つの凸状の切欠と凹状の切欠とが、曲線部分においても、また直線部分においても、形状接続的に互いに当接し合って隙間のない搬送ベルト移行部を形成している形式のものにおいて、
組立及び/又は搬送ベルト(1)の長手方向で見てそれぞれ、凹状(9)の両端面側を有する支持エレメント(2)と凸状(6,7)の両端面側を有する支持エレメント(2)とが互いに交互に配置されており、それぞれ凹状の両端面側(9)を備えた支持エレメント(2)が、凸状の両端面側(6,7)を備えた、負荷を受容する前記支持エレメント(2)間に配置された、これらの支持エレメント(2)よりも短い中間エレメント(8)として構成されていることを特徴とする、曲線部分を有する組立及び/又は搬送ベルト。
【請求項2】
複数の支持エレメント(2)が、接続部材を介して、閉じた又は開放したプラットフォーム集合体にまとめられている、請求項1記載の曲線部分を有する組立及び/又は搬送ベルト。
【請求項3】
支持エレメントの接続部材が連結ロッド(10)であって、1つの共通の中間部材(8)によって分離された、それぞれ2つの隣接し合う、凸状の両端面側(6,7)を備えた支持エレメント(2)が、1つの共通の連結ロッド(10)によって互いにヒンジ結合されており、各連結ロッド(10)の2つのヒンジ結合部(11)がそれぞれ、支持エレメント(2,8)の円弧状に湾曲された凹状の両端面側(6,7,9)の曲率半径中心点上に位置している、請求項2記載の曲線部分を有する組立及び/又は搬送ベルト。
【請求項4】
支持エレメント(2)の、端面側で互いに向き合う領域に、ローラガイド又は滑動ガイドが設けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載の曲線部分を有する組立及び/又は搬送ベルト。
【請求項5】
支持エレメント(2,8)の走行経路に分割された複数の摩擦車ステーションによって駆動が行われる、請求項1から4までのいずれか1項記載の曲線部分を有する組立及び/又は搬送ベルト。
【請求項6】
組立及び/又は搬送ベルト(1)の駆動が、少なくともそれぞれn番目の支持エレメント(2)に配属された個別駆動装置を介して行われ、これらの個別駆動装置が、相応の支持エレメント(2)上にこの支持エレメント(2)と一緒に走行するように配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の曲線部分を有する組立及び/又は搬送ベルト。
【請求項7】
支持エレメント(2)のエネルギー及び/又はデータ供給が永久的に、スリップガイドを介して行われる、請求項1から6までのいずれか1項記載の曲線部分を有する組立及び/又は搬送ベルト。
【請求項8】
エネルギー及び/又はデータ供給が永久的に又は部分的に誘導式に行われる、請求項1から6までのいずれか1項記載の曲線部分を有する組立及び/又は搬送ベルト。
【請求項9】
それぞれ少なくとも2つ目の支持エレメント(2)のガイドが、床に敷設されたガイドレール(17)を介して行われる、請求項1から8までのいずれか1項記載の曲線部分を有する組立及び/又は搬送ベルト。
【請求項10】
互いに間隔を保って敷設された2つのガイドレール(17)の間隔が曲線領域内で減少されているか、又は1つのガイドレールの場合ガイドレールの幅が曲線領域で減少されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の曲線部分を有する組立及び/又は搬送ベルト。
【請求項11】
閉じたプラットフォーム集合体において循環する支持エレメント(2,8)が、2つの真っ直ぐな搬送ラインと、両端部でこれらの搬送ラインを接続する半円形状の曲線部とを有する楕円形(スタジアム若しくは競技場の形)の循環軌道上でガイドされている、請求項1から10までのいずれか1項記載の曲線部分を有する組立及び/又は搬送ベルト。
【請求項12】
支持エレメント(2)のサイドガイドが、外側の支持レール及び/又は内側の支持レールで行われる、請求項1から11までのいずれか1項記載の曲線部分を有する組立及び/又は搬送ベルト。
【請求項13】
中間エレメント(8)がガイドされずに循環している、請求項1から12までのいずれか1項記載の曲線部分を有する組立及び/又は搬送ベルト。
【請求項14】
少なくとも個別の支持エレメント(2)に、アクティブ又はパッシブな昇降装置が組み込まれている、請求項1から13までのいずれか1項記載の曲線部分を有する組立及び/又は搬送ベルト。
【請求項15】
循環平面の高さを変えるために、支持及び/又はガイドレール(17)に上下方向湾曲部が設けられていて、支持エレメント(2,8)が付加的に水平なジョイントを介して互いに結合されている、請求項1から14までのいずれか1項記載の曲線部分を有する組立及び/又は搬送ベルト。
【請求項16】
中間エレメントとして構成された支持エレメント(8)が、検査及び/又は保守のために容易に取り外し可能に構成されている、請求項1から15までのいずれか1項記載の曲線部分を有する組立及び/又は搬送ベルト。
【請求項17】
垂直方向の負荷伝達が、一緒に走行する鋼製ローラ(13)を介して行われ、この場合すべての鋼製ローラ(13)が上下軸線を中心にして回転可能に支承されている、請求項1から15までのいずれか1項記載の曲線部分を有する組立及び/又は搬送ベルト。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2007−526861(P2007−526861A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−519791(P2006−519791)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006854
【国際公開番号】WO2005/005234
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】