説明

曲面ディスプレイの製造方法

本発明は、膜(1,11;2,12)の間の接着により膜(1,11;2,12)が曲面形状に保持されるように、少なくとも第1の膜(1,11)を第2の膜(2,12)の表面に接着するステップを含む、曲面フラットパネルディスプレイ装置の製造方法に関する。本発明は、また、第1の膜及び第2の膜を備え、第1の膜及び第2の膜が互いに接着され、これにより、上記膜の間の接着がディスプレイ装置を曲面形状に保持するように配置されていることを特徴とする曲面フラットパネルディスプレイ装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲面ディスプレイ装置の製造方法に関する。本発明はまた、曲面ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、液晶ディスプレイ、高分子発光ディスプレイ、有機発光ディスプレイ等の様々なタイプのフラットディスプレイに関する市場が急速に成長し、そのようなディスプレイの用途の数は着実に増加している。それらのディスプレイタイプの多くは共通の構造を有しており、本質的に、通常はガラス又は高分子ベースの材料により作製された2枚の基板と、基板の間に配置された光制御可能な材料の層と、を備えている。別の案として、ディスプレイは、単一の基板上に構築される。さらに、上記光制御可能な材料の層は、例えば、液晶層又は発光層である。また、ディスプレイは、通常、光制御可能な材料を制御するために、何等かのタイプの電極手段を備えている。
【0003】
モバイル用途、広告等のある種の用途分野においては、例えば、必要な空間を小さくするために巻き上げられるフレキシブル(可撓性)ディスプレイ、又は、湾曲可能なディスプレイの要求が増加している。しかし、上記タイプのディスプレイに関する問題点は、基板のために、及び、一部の場合にはさらに電極のために、ディスプレイはかなり剛性があり、曲げ応力に対する許容度が低いということである。従って、可撓性及び湾曲性は、ディスプレイ装置の材料によって制限される。
【0004】
湾曲ディスプレイ、本例では、液晶ディスプレイを製造する一つの従来の技術による方法は、特許出願文献の国際公開第94/11779号パンフレット(特許文献1)に開示されている。この出願は、2枚の予め成形された曲面基板の間に液晶セルを挟み込むことにより曲面ディスプレイを製造する方法に関連する。しかし、この方法の問題点は、2枚の予め成形された基板の間に均一なセルギャップを保持することが実際には非常に困難であり、同時に費用がかかり、ディスプレイ装置の光学特性に影響を与えるという点である。その上、生産される製品ごとに、ディスプレイ装置の種々の曲率を得るため、個別の成形ツールを製造しなければならない。さらに、上記方法において使用されるような予め成形された部品は、その形状を維持するために、複曲面形状のようなある程度の厚さ、又は、3次元形状のいずれかを必要とする。これは、ディスプレイの厚さを増加させるか、又は、より複雑な製造プロセスを必要とするので望ましくない。曲面ディスプレイを製造する代替的な方法は、先に引用した文献に記載されている。その方法によれば、曲面ディスプレイは、液晶層が間に挟み込まれた2枚のフレキシブル基板を使用してディスプレイを製造することによって実現される。続いて、ディスプレイは、フレキシブル基板によって構成された可撓性デバイスを液晶層と共に2個の予め成形された部品の間に設置することによって湾曲させられる。仮に、この代替的な方法が上述の均一なセルギャップに伴う問題点を解決するとしても、その方法は、個別の成形ツールの必要性のような上述のその他の欠点のうちの幾つかを示す。従って、曲面ディスプレイを製造する別の方法が望まれている。
【特許文献1】国際公開第94/11779号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、上記従来の技術に伴う欠点の少なくとも一部を解決し、比較的費用対効果に優れ、かつ、融通性のある方法により製造されるディスプレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的及びその他の目的は、膜と膜との間の接着によって膜が曲面形状に保持されるように、少なくとも第1の膜を第2の膜の表面に接着するステップを含む、曲面フラットパネルディスプレイの製造方法によって少なくとも部分的に達成される。本発明を用いることにより、曲面ディスプレイを製造する容易かつ簡単な方法が実現される。接着自体にディスプレイを湾曲した状態に保持させることにより、部品を予め成形することが不要であり、これにより、上記従来の技術に伴う一部の欠点が回避される。
【0007】
好ましくは、上記膜の一方は表示機能を示す表示層であり、上記膜の他方は付加膜である。これにより、曲面ディスプレイは、本質的に公知の方法によりフラットパネルディスプレイを製造し、次に、付加膜をディスプレイに接着させてディスプレイを湾曲させることにより、原理的に形成される。尚、本明細書において使用される用語「表示層」は電気光学層を含む層であって、画像及び/又はテキスト再生のような表示機能を与えるように制御される層として理解されるべきであることに注意が必要である。
【0008】
本発明の第1の好適な実施の形態によれば、この方法は、上記表示層の表面に接着される前に上記付加膜を予め引っ張るステップをさらに含む。次に、付加膜から引張り力を解除することにより、付加膜の収縮が単純かつ簡単な方法でディスプレイ装置の湾曲を生じさせる。代案として、上記付加膜を予め引っ張るステップは、接着プロセス中に、上記付加膜を一軸方向に引っ張るステップを含む。これにより、一方向に沿ったディスプレイの湾曲が実現される。
【0009】
本発明の第2の好適な実施の形態によれば、膜を相互に接着するステップは、曲げ力を上記膜の一方に加えるステップを含み、その状態で、他方の膜が曲げられ、曲げられた膜の表面に接着させられる。好ましくは、上記付加膜は、ディスプレイの中立線を付加膜へ移動させるために、フラットパネルディスプレイの湾曲の意図された内側又は外側の一方に接着されるように配置され、これにより、表示層の高感度の部分が圧縮領域の中又は近傍に位置させられる。
【0010】
好ましくは、付加膜を表示層に接着させる上記ステップは、この目的のために適切かつ単純な接着方法である積層によって行われる。
【0011】
第1の膜及び第2の膜を備え、第1の膜及び第2の膜が互いに接着させられ、それにより、上記膜の間の接着がディスプレイ装置を湾曲形状に保持するように配置されることを特徴とし、上記効果と同様の効果を有する曲面フラットパネルディスプレイ装置によって、上記目的及びその他の目的はまた、少なくとも部分的に達成される。好適には、第1の膜及び第2の膜は、それぞれ、付加膜及び表示層である。
【0012】
本発明の第1の好適な実施の形態によれば、上記付加膜は、本質的に表示層の全表面を被覆するように配置され、ディスプレイ全体を機械的に支持する。又は、上記付加膜は、表示層の表面の一部だけを部分的に被覆するように配置され、それにより、ディスプレイの中立線は、例えば、脆性部品を含むディスプレイの部品に対して移動させられる。例えば、上記付加膜は、本質的に表示層の表面の端部に沿って配置される。ディスプレイの機械的挙動及び中立線をさらにカスタマイズするため、付加膜は、厚さが変化する。
【0013】
好ましくは、上記付加膜の厚さは、ディスプレイ装置の断面の希望の面にディスプレイ装置を湾曲させるときにディスプレイ装置の引張り応力又は圧縮応力が本質的にゼロの面を移動させるために、選択される。
【0014】
好適には、上記ディスプレイ装置は、液晶ディスプレイ装置、電気泳動ディスプレイ装置、電子インク装置、高分子発光ディスプレイ装置及び有機発光ディスプレイ装置のうちの一つである。しかし、本発明は、任意のフラットパネルディスプレイ装置技術と共に使用され、望まれる可撓性を示す。さらに、上記付加的な層状膜(付加膜)は、偏光子、フロントライト、バックライト、輝度増加膜、反射膜、反射防止膜及びリターデイション(retardation)膜のうちの少なくとも一つとして機能するように配置される。従って、付加膜を表示層の機能の能動部品とすることにより、ディスプレイ装置の全体としての厚さが低減される。
【0015】
本発明のその他の効果及び実施の形態は、以下の説明から明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明は、添付図面を参照して好適な実施の形態を用いて説明される。
【0017】
以下、図1a乃至図1eを参照して、本発明の第1の好適な実施の形態が説明される。図1a乃至図1eにより示された曲面ディスプレイを製造するための本発明に係る方法によれば、ディスプレイを形成するために一体的に接着される第1の膜及び第2の膜が設けられる。第1の膜は、図1a乃至図1eに示された例では、本発明による付加膜1であり、本例の第2の膜は表示層2であって、表示機能を備えている。付加膜1及び表示層2の両方は、詳細に後述される。曲面ディスプレイを製造する本発明に係る方法は、本実施の形態では、以下のステップを含む。最初に、付加膜1及び表示層2が準備される(図1a)。次に、膜の一方、この場合には付加膜1が一軸方向に引っ張られる(図1b)。その後、一軸方向に引っ張られた付加膜1と表示層2は、一体的に合わせられ、互いに接着される(図1c及び図1d)。この接着は、例えば、付加膜と表示層との間の積層プロセスによって行われる。例えば、層間の接着は、感圧接着剤を用いて行われる。しかし、より形状安定性のある構造が望ましい場合、接着は、例えば、反応性接着剤等を用いて行われる。図1dに示されるような接着状態において、付加膜1は予め引っ張られているので、先の引張り力が解除されたとき、付加膜1には対応した収縮が生じる。表示層2と付加膜1とが接着されているので、この収縮は、図1eに示されるように、ディスプレイの湾曲をもたらし、得られたディスプレイが力の影響を受けない限り、この湾曲はそのまま保持される。従って、ディスプレイは、2枚の膜、即ち、膜間の接着によって湾曲形状に保持される、本来は湾曲していない層によって構成されると考えられる。
【0018】
当然のことながら、上記方法は、ディスプレイを多種多様な用途に適合させるために、得られるディスプレイの曲率の簡易な調整を容易にする。付加膜1を予め引っ張る量を変更することにより、得られるディスプレイの様々な曲率が実現される。さらに、付加膜1に、膜の表面上で不均一な事前の引張りを与えることが可能であり、この不均一な事前の引張りは、接着後に、ディスプレイの適合をさらにカスタマイズするために、曲率が変化するディスプレイを生じる。その上、このディスプレイの融通性のある成形は、特殊な金型等を使用することなく行われ、本発明に係るディスプレイの製造を容易にさせる。
【0019】
次に、本発明の第2の好適な実施の形態が図2a乃至図2dを参照して説明される。図2a乃至図2dにより示された曲面ディスプレイの製造方法によれば、ディスプレイを形成するために一体的に接着させられる第1の膜及び第2の膜が準備される。第1の膜は、図2a乃至図2dに示された例では、本発明に係る付加膜11であり、本例の第2の膜は表示層12であって、表示機能を備えている。しかし、本実施の形態では、それぞれの膜の機能は相互に入れ替えてもよいことに注意する必要がある。付加膜11及び表示層12の両方は、詳細に後述される。曲面ディスプレイを製造する本発明に係る方法は、本実施の形態では、以下のステップを含む。最初に、付加膜11及び表示層12が準備される(図2a)。膜の一方、本例では表示層12は、力印加手段(図示せず)を用いて、曲げ力が加えられる(図2b)。上記曲げ力が表示層12に加えられている間に、付加膜11及び表示層12は一体的に合わせられ、互いに接着され(図2c及び図2d)、その後、表示層12に加えられた力が解除される。上記の接着は、例えば、付加膜と表示層との間の積層プロセスによって行われる。図2c及び図2dに示されるように、膜は、曲げ力が加えられている膜の外側湾曲面に塗布される。表示層12と付加膜11との接着のために、上記プロセスによって図2dに示されるような湾曲したディスプレイが得られる。しかし、曲げ力が積層されたディスプレイ装置から解除されたとき、装置は多少復元し、図2eに示されるように幾分大きい曲率半径を受け入れ、得られたディスプレイが力の影響を受けない限り、この湾曲がそのまま保持される。この復元効果は、ディスプレイを形成する膜の剛性に起因するものであり、復元の量は、主として内在する膜の厚さ及びヤング率に依存する。
【0020】
従って、ディスプレイは、2枚の膜、即ち、膜間の接着によって湾曲形状に保持される本来は湾曲していない層により構成されると考えられる。対応する上記方法において、この曲面ディスプレイの製造方法は、得られるディスプレイの形状及び曲率の点に関し、融通性がある。例えば、表面に渡って変化する曲げ力を与える力印加手段を使用することが可能であり、これにより、その表面に渡って曲率が変化するディスプレイが得られる。たとえ、上記実施の形態がディスプレイの外側湾曲に接着された膜を有するとしても、その膜をディスプレイの内側湾曲に貼ることも可能である。両方のケースにおいて、付加的な層の接着は、表示効果が発生するように配置された表示層がディスプレイ装置の構造に応じて応力ゼロ又は低応力の面に配置される点において有利である。しかし、ある種の光学素子を付加膜と一体化させなければならない場合、付加膜のある一定の位置が必要である。例えば、付加膜をディスプレイの前方側に置くことにより、偏光子、反射防止膜等のような光学膜と一体化させることが可能になる。また、付加膜をディスプレイの内側及び外側の両方の湾曲に接着させることも可能である。このような構造の実施の一形態が、図3eに示されている。
【0021】
本発明の上記の実施の形態による表示層2、12は、様々な構造を有する。例えば、表示層2、12は、第1の可撓性基板と第2の可撓性基板との間に挟み込まれた液晶材料の層を本質的に備えている液晶セルにより構成される。一つの代案によれば、表示層は、高分子発光表示層又は有機発光表示層により構成される。又は、表示層は、電子インク表示層により構成されていてもよい。しかし、本発明は、上記表示層のタイプに限定されることがなく、表示層は、実際には、ディスプレイ全体の望ましい湾曲のために十分に可撓性があるどのような表示手段により構成してもよい。しかし、本発明のように付加膜1、11を表示層2、12に付加することは、湾曲したディスプレイの中立線を移動させる点に注意すべきである。そのため、表示層の脆弱な部分が、湾曲したディスプレイの引張り応力又は圧縮応力がゼロ付近の領域、又は、圧縮を受ける領域(即ち、ディスプレイの湾曲の内側)となるように配置することが可能である。この配置によれば、非常に大きい張力拡張がその層に加えられたときに大部分が機能しなくなる機能的な脆性層(例えば、融解石英若しくはアルミナ等のITO又は浸透バリア層のような導電層)等の表示層2、12の脆弱な部分は、圧縮領域となり、これにより、付加膜が塗布されていない表示層と比較して、湾曲したディスプレイの機械的挙動を改善すると共に、構造の許容最大曲率半径を改善する。
【0022】
上記両方の実施の形態において、付加膜1、11は、表示層2、12の本質的に全表面に渡って塗布された本質的に均一な層によって構成される。このような実施の形態は、図3aの断面図に示されている。
【0023】
付加膜が予め引っ張られている場合、表示層に圧縮応力が生じる。この圧縮応力の増加は、表示層が薄いガラスのマイクロシートのような脆い層又は非常に脆い層を備えているときに有利である。図3eに示されるように、表示層の両面に予め引っ張られた完全な層を塗布することにより、表示層は完全な圧縮応力下に置かれ、一方、希望の曲率は、2層の付加的な層の事前の引張りの組み合わせによって達成される。
【0024】
又は、付加膜1、11は、表示層2、12の端部に沿って塗布された細長い層のみにより構成してもよい。このような細長い層の実施の形態は、図3b乃至図3cの断面図に記載されている。その他の塗布パターンも可能である。上記の細長い層の場合、細長い片は、均等な厚さでもよく(図3c)、変化する厚さでもよい(図3b、図3d)。上述のようなマイクロシートの湾曲した端部の上及び近傍の細長い層の塗布は、湾曲した端部近傍において中立線を付加的な細長い層の方向へ、又は、場合によっては付加的な細長い層の中へ移動させる。従って、曲げる際に端部に加わる最大引張り力は、削減され、又は、図3b乃至図3dに示されるように下方に曲げる際に完全な圧縮負荷に変換されることがある。このようにして、上述したように、マイクロシート上に構築された表示層の構成要素を破壊することなく、より小さい曲げ半径が許容される。
【0025】
付加膜1、11は、本発明によれば、表示層2、12の機能から完全に分離された膜、又は、表示層2、12と機能的な関係を有する膜である。
【0026】
上記第1の場合において、付加膜1、11は、高分子膜によって構成され、例えば、約300mm(E=2.0GPa)の高分子層が50μmの厚さのマイクロシート基板に塗布される。又は、付加膜は、繊維補強ポリマー、即ち、ポリマーの細長い片を備え、繊維方向が、好ましくは、その細長い片の長さ方向である。このような細長い片は、好ましくは、上述のようにマイクロシートの端部周辺に塗布される。さらに実施の一形態として、金属の細長い片がマイクロシートの端部に沿って接着される。金属膜の厚さは、マイクロシートの厚さとほぼ同じである(又は、マイクロシートの厚さよりも僅かに薄い)。実施の一形態として、30μmの厚さの細長い鋼片が50μmの厚さのマイクロシートに塗布される。代案として、細長い金属片は、形状記憶合金によって作られる。後者は、ディスプレイが、平坦である間の形状記憶合金の細長い片に積層され、形状記憶合金をその記憶された形状に復元させることによりディスプレイが形成される点において、有利である。
【0027】
上記第2の場合において、付加膜1、11は、表示層2、12の機能的な部分を形成し、即ち、表示層2、12の表示機能のために必要又は有利である一つ以上の構成要素を構成する。例えば、付加膜1、11は、ディスプレイの希望の曲率に応じて、フロントライト若しくはバックライトとして機能するように形成される。又は、付加膜1、11は、輝度増加膜、リターデイション膜、又は、偏光子として機能するための統合機能を有する。その他の代案も、使用される表示層のタイプに応じて考えられる。
【0028】
本発明の多数の変形及び変更が当業者にとって実現可能であることに注意する必要がある。例えば、本発明は、表示層及び付加膜の定義によって制限されることはなく、実際には、ディスプレイ装置における任意の機能の任意の数の層のために使用されることに注意する必要がある。さらに、本明細書において使用される用語「フラットパネルディスプレイ」は、ディスプレイの厚さが、例えば、陰極線技術を使用するディスプレイよりもかなり小さいようなディスプレイ技術を使用するディスプレイとして解釈されるべき点に注意する必要がある。フラットパネルディスプレイ装置は、電気光学機能を示す装置として定義され、その装置は主として表示の目的のため使用され、又は、照明目的のための光源として機能する構成要素として使用されることに注意すべきである。
【0029】
また、本明細書において使用される用語「膜」は、2次元に大きい広がりを有し、1次元に相対的に小さい広がりを有する可撓性層又は膜として解釈されるべきであることに注意する必要がある。膜又は層は可撓性があり、予め形状は定められず、例えば、高分子若しくはガラス材料で作られた膜である。
【0030】
さらに、上記図2a乃至図2eの説明中、用語「曲げ」は、ディスプレイの成形を記述するため使用されていることに注意すべきである。しかし、この用語は、希望の曲げ形状を生ずるディスプレイ装置の任意の成形を包含するものとして解釈されるべきである。例えば、第1の膜は、第1の膜を希望の形状を有する金型に置くことにより弾性的に曲げられる。続いて、第2の膜が第1の膜の上に塗布され、同時に第1の膜は依然として金型内にある。その後、層間の接着が行われたとき、金型が取り外される。上述のように材料の剛性の結果として、湾曲した積層ディスプレイ装置は僅かに復元するので、ディスプレイの曲率半径は金型の曲率半径よりも大きい。
【0031】
最後に、さらに注意すべき点は、曲面ディスプレイは、上記の曲げステップ及び事前の引張りステップを組み合わせることにより、本発明によって実現されることである。この場合には、付加膜は、例えば、ディスプレイ装置の引張り応力又は圧縮応力が小さい若しくはゼロである層の位置を調整するため、曲げられる前に予め引っ張られる。さらに、複数の層の膜が、本発明によれば、一体的に積層される。例えば、複数の付加膜は、ディスプレイ装置の機械的挙動を改善するため、又は、ディスプレイ装置内において応力が小さい若しくはゼロである面の位置を調整するため使用される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1a】本発明の第1の実施の形態に係る曲面フラットパネルディスプレイ装置の製造工程の断面図である。
【図1b】本発明の第1の実施の形態に係る曲面フラットパネルディスプレイ装置の製造工程の断面図である。
【図1c】本発明の第1の実施の形態に係る曲面フラットパネルディスプレイ装置の製造工程の断面図である。
【図1d】本発明の第1の実施の形態に係る曲面フラットパネルディスプレイ装置の製造工程の断面図である。
【図1e】本発明の第1の実施の形態に係る曲面フラットパネルディスプレイ装置の製造工程の断面図である。
【図2a】本発明の第2の実施の形態に係る曲面フラットパネルディスプレイ装置の製造工程の断面図である。
【図2b】本発明の第2の実施の形態に係る曲面フラットパネルディスプレイ装置の製造工程の断面図である。
【図2c】本発明の第2の実施の形態に係る曲面フラットパネルディスプレイ装置の製造工程の断面図である。
【図2d】本発明の第2の実施の形態に係る曲面フラットパネルディスプレイ装置の製造工程の断面図である。
【図2e】本発明の第2の実施の形態に係る曲面フラットパネルディスプレイ装置の製造工程の断面図である。
【図3a】本発明に係る付加膜又は複数の膜の5種類の塗布パターンの一つの断面図である。
【図3b】本発明に係る付加膜又は複数の膜の5種類の塗布パターンの一つの断面図である。
【図3c】本発明に係る付加膜又は複数の膜の5種類の塗布パターンの一つの断面図である。
【図3d】本発明に係る付加膜又は複数の膜の5種類の塗布パターンの一つの断面図である。
【図3e】本発明に係る付加膜又は複数の膜の5種類の塗布パターンの一つの断面図である。





【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜と膜との間の接着により膜が曲面形状に保持されるように、少なくとも第1の膜を第2の膜の表面に接着するステップを含むことを特徴とする曲面フラットパネルディスプレイの製造方法。
【請求項2】
前記膜の一方は表示機能を示す表示層であり、前記膜の他方は付加膜であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記付加膜が前記表示層の表面に接着される前に、前記付加膜を予め引っ張るステップをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記付加膜を予め引っ張るステップは、接着プロセス中に、前記付加膜を一軸方向に引っ張るステップを含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記膜を相互に接着するステップは、曲げ力を前記膜の一方に加えるステップを含み、その状態で、他方の膜が曲げられ、前記曲げられた膜の表面に接着されることを特徴とする請求項2、3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記付加膜は、前記フラットパネルディスプレイの湾曲の意図された内側又は外側の一方に接着されるように配置されることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記付加膜の前記表示層への接着は、積層により行われることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも第1の膜及び第2の膜を備えている曲面フラットパネルディスプレイ装置であって、前記第1の膜と前記第2の膜とは互いに接着されており、それにより、前記膜の間の接着は、前記ディスプレイ装置を湾曲形状に保持するように配置されていることを特徴とする曲面フラットパネルディスプレイ装置。
【請求項9】
前記第1の膜及び前記第2の膜は、それぞれ、付加膜及び表示層であることを特徴とする請求項8に記載のディスプレイ装置。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法により製造されることを特徴とする曲面ディスプレイ装置。
【請求項11】
前記付加膜は、本質的に前記表示層の全表面を被覆するように配置されていることを特徴とする請求項9又は10に記載のディスプレイ装置。
【請求項12】
前記付加膜は、前記表示層の表面の一部のみを部分的に被覆するように配置されていることを特徴とする請求項9又は10に記載のディスプレイ装置。
【請求項13】
前記付加膜は、本質的に前記表示層の表面の端部に沿って配置されていることを特徴とする請求項9又は10に記載のディスプレイ装置。
【請求項14】
前記付加膜は、変化する厚さを有することを特徴とする請求項9乃至13のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
【請求項15】
前記付加膜の厚さは、前記ディスプレイ装置を前記ディスプレイ装置の断面の希望の面に曲げるときに、前記ディスプレイ装置の本質的に引張り応力又は圧縮応力がゼロの面を移動させるために、選択されることを特徴とする請求項9乃至14のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
【請求項16】
液晶ディスプレイ装置、電気泳動ディスプレイ装置、電子インク装置、高分子発光ディスプレイ装置、又は、有機発光ディスプレイ装置のうちの一つであることを特徴とする請求項9乃至15のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
【請求項17】
前記付加膜は、偏光子、フロントライト、バックライト、輝度増加膜、反射膜、反射防止膜、又は、リターデイション膜のうちの少なくとも一つとして機能するように配置されていることを特徴とする請求項9乃至16のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。

【公表番号】特表2006−507528(P2006−507528A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−554735(P2004−554735)
【出願日】平成15年10月29日(2003.10.29)
【国際出願番号】PCT/IB2003/004888
【国際公開番号】WO2004/049050
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】