曲面構造物
【課題】各構成部材の小断面化を可能とし、構造物の規模や設置個所に限定されることなく、簡易かつ安価に構築されることが可能な曲面構造物を提案する。
【解決手段】複数の弓弦構造体11を組み合わせてなるフレーム10と、このフレーム10の一面を覆う被覆材20とを備える曲面構造物1であって、弓弦構造体11は、曲げ剛性の小さい直線状の高張力材が復元力を有した状態で曲げ変形されてなり、一方の端部が固定された弓材13と、弓材13の曲げ変形を維持するケーブル14とから構成されている。
【解決手段】複数の弓弦構造体11を組み合わせてなるフレーム10と、このフレーム10の一面を覆う被覆材20とを備える曲面構造物1であって、弓弦構造体11は、曲げ剛性の小さい直線状の高張力材が復元力を有した状態で曲げ変形されてなり、一方の端部が固定された弓材13と、弓材13の曲げ変形を維持するケーブル14とから構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は屋根、風除け、雪避け等に使用する弓弦構造による曲面構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物等の屋根等において、曲面構造の骨組みを構成する場合がある。
このような、曲面構造の骨組は、風や降雪等により作用する外力に対して、十分な剛性を有する材料により構成されていた。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の張弦梁構造は、鋼管をアーチ状に形成するとともに、このアーチ状の鋼管の両端部にワイヤを張設して構成されている。
この張弦梁構造は、風や降雪等により作用する外力は張弦梁が担い、風の吹き上げ等により作用する屋根構造の内部から外方向に作用する応力に対してはワイヤが担うとともに張弦梁の中央部を含む前後1/3の長さの範囲の部位が担うように構成されている。
【0004】
一方、特許文献2では、放射状に配設された弾力のある複数のパイプについて、一方の端部をヘッド盤に固定して、他方の端部の地盤に固定した後、ヘッド盤を下方に強く引き絞ることにより全体を固定してなる半球形の中心支持テントが開示されている。かかる構成によれば、半球形の形状と、パイプ同士が互いに支持しあう構成とにより、テントの剛性を増強し、風などに対して十分な耐力を発現する。
【0005】
ところが、特許文献1に記載の張弦梁構造は、外力に対して、骨組みである張弦梁材の剛力により抵抗するため、材料(鋼管)の小断面化に限界があった。そして、このような大断面部材を使用した構造物は、材料費が嵩むとともに、施工に手間がかかる等の問題点を有していた。
【0006】
また、特許文献2に記載のテントは、半球形に形成された形状によってその剛性を発現するため、その用途が限られてしまうという問題点を有していた。
また、当該テントは、特許文献1に記載の張弦梁構造と同様に、その剛性により外力に抵抗する構成のため、パイプの小断面化に限界があった。
【0007】
そのため、本出願人は、例えば特許文献3に示すように、比較的曲げ剛性の小さい軸材を利用して、外力による変形を許容する曲面構造物を開示し、実用化に至っている。かかる曲面構造物は、外力により軸材が変形することで、軸材に作用する外力を逃がして、作用応力を小さくすることで構成部材の小断面化を図るものである。
【0008】
このような曲面構造物は、軸材を弾性範囲内で曲げ変形させた状態で端部を拘束してなる曲線材を複数本配置することで構成された屋根フレームとこの屋根フレームの頂部を支持するサポート部材とを備えて構成されている。
【0009】
【特許文献1】特開平6−136875号公報
【特許文献2】実開平3−35160号公報
【特許文献3】特開2004−190319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、前記特許文献3の曲面構造物は、屋根フレームがその頂部をサポート部材により支持される構成であるため、建物の中央にサポート部材が配設されてしまうという問題点も有していた。そのため、このサポート部材により建物の内部空間の有効利用が妨げられる場合があり、特に、小規模な構造物への適用は、不向きな場合があった。
【0011】
本発明は、前記の問題点を解決することを目的とするものであり、各構成部材の小断面化を可能とし、構造物の規模や設置個所に限定されることなく、簡易かつ安価に構築されることが可能な曲面構造物を提案することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数の弓弦構造体を組み合わせてなる骨組みと、前記骨組みの一面を覆う被覆材と、を備える曲面構造物であって、前記弓弦構造体は、曲げ剛性の小さい直線状の高張力材が復元力を有した状態で曲げ変形されてなる弓材と、前記弓材の曲げ変形を維持する弦材と、からなり、前記弓材の一方の端部が固定されていることを特徴としている。
【0013】
かかる曲面構造物によれば、弓材に導入された初期曲げと弦材の初期張力により安定した構造が構築されている。また、弓弦構造体は、一方の端部が固定されて他方の端部は拘束されていないため、大きな外力が作用したときには、弓弦構造体が変形することで外力を逃がす。さらに、外力が除去された後は、元の形状に復元される。例えば、当該曲面構造物を屋根として使用した場合に、雪の降雪により当該構造物に外力が負荷したとしても、外力により弓弦構造体が変形することで、上載された雪を落下させることが可能となる。このため、屋根に大量の積雪による大きな荷重が負荷されることがなく、屋根を構成する部材の小断面化が可能となる。故に、簡易かつ安価に構築することが可能である。また、弓弦構造体は、いわゆる片持ち梁として支持されているため、先端側に柱等の構造部材を必要としないため、この屋根により覆われた空間を有効に利用することが可能となる。さらに、曲面構造物を採用する地域が限定されることもない。
【0014】
一方、かかる曲面構造物を、例えば、風除け用の防護構造物として使用した場合において、強風が吹き付けられた場合であっても、曲面構造物の曲線状の形状により、負担する応力が軽減するとともに、弓弦構造体が変形することで風力を逃がすため、部材の小断面化が可能となる。
ここで、復元力を有した状態とは、弦材を取り除いたとしたら、弓材が直線状に戻る状態をいう。なお、復元力を有した状態での曲げ変形は、高張力材の弾性範囲内での曲げ変形が好適であるが、弓材が直線状に近く戻る状態であればひずみが残ってもよい。また、曲線状の形状とは、弓弦構造体の全体が円弧を呈している必要はなく、直線を含む形態であってもよい。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、複数の弓弦構造体を組み合わせてなる骨組みと、前記骨組みの一面を覆う被覆材と、を備える曲面構造物であって、前記弓弦構造体は、曲げ剛性の小さい直線状の高張力材が復元力を有した状態で曲げ変形されてなる弓材と、前記弓材の曲げ変形を維持する弦材と、からなり、該弓材が、中間部において支持されていることを特徴としている。
【0016】
かかる曲面構造物によれば、弓材に導入された初期曲げと弦材の初期張力により安定した構造が構築されている。また、曲面構造物は、弓弦構造体の中間部において支持されていて両端が拘束されていないため、大きな外力が作用した際には、弓弦構造体の全体が変形し、曲面構造物に作用する荷重を適切に逃がすことが可能に構成されている。そのため、曲面構造物への負担を軽減し、各部材の小断面化を可能としている。
【0017】
また、前記曲面構造物において、弓弦構造体が、前記弓材上に設けられた2点を結ぶように張設された弦材により円弧状に曲げ変形されていてもよい。
かかる曲面構造物によれば、弓材の曲げ変形を維持する弦材が、曲面構造物の使用時に邪魔となることがないため、好適である。
【0018】
また、前記弓弦構造体が、前記弓材上に設けられた2点を結ぶように張設された第一の弦材と、前記2点の中間点から前記一方の端部方向に張設された第二の弦材と、により円弧状に曲げ変形されていてもよい。
かかる弓弦構造体によれば、比較的大きな構造物を構築する際に、1本の弦材を使用する場合と比較して、弓材をより容易に曲げ変形させることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の曲面構造物および弓弦構造体によれば、大きな外力が作用する場合であっても、変形することで作用応力を逃がし、弓弦構造体への負担を軽減することが可能となる。したがって、各構成部材の小断面化が可能となり、また、施工性および経済性に優れている。また、この曲面構造物は、構造物の規模や設置箇所の気象条件等により制限されることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
【0021】
<第1の実施の形態>
第1の実施形態では、本発明に係る曲面構造物を、通路等の風除け・雨除けを兼ねた屋根構造物として使用する場合について説明する。
ここで、図1は、第1の実施形態に係る曲面構造物を示す斜視図である。また、図2は、第1の実施形態に係る曲面構造物の細部を示す図であって、(a)は弓材(弓弦構造体)の脚部の構造を示す斜視図、(b)は弓材(弓弦構造体)と膜材との接合部を示す斜視図、(c)は同接合部の断面図である。また、図3は、第1の実施形態に係る曲面構造物の細部を示す図であって、(a)は第二の弦材の脚部の構造を示す斜視図、(b)弓材と弦材との接合部を示す斜視図である。さらに、図4の(a)および(b)は被覆材の形状を示す斜視図である。
【0022】
第1の実施形態にかかる曲面構造物1は、図1に示すように、複数の弓弦構造体11,11,…を組み合わせてなるフレーム(骨組み)10と、前記フレーム10の外面(一面)を覆う被覆材20とを備えて構成されている。
【0023】
フレーム10は、所定の間隔をあけて並設された弓弦構造体11同士を鋼棒12,12により連結することにより構成されている。本実施形態では、隣接する弓弦構造体11同士を、上下2本の鋼棒12,12により連結するものとする。なお、弓弦構造体11同士を連結する材料は、鋼棒12に限定されないことはいうまでもなく、例えば、アングル材等の形鋼材や鋼管等、適宜公知の材料が使用可能である。
【0024】
本実施形態では、弓弦構造体11への鋼棒12の固定は、弓材13と第一ケーブル14aとが交差する位置(固定点p1,p2)にて行う。また、弓弦構造体11と鋼棒12との連結は、後記する鋼棒クランプ17(図3(b)参照)を介して行うものとする。
【0025】
弓弦構造体11は、一方の端部(以下「脚部」という)が地盤に形成された基礎に固定された状態で立設されて、他方の端部は自由端を呈するいわゆる片持ち梁構造であって、その曲線形状により、通路の側方から上方を覆うように配置されている。なお、本実施形態に係る弓弦構造体11は、所定の間隔をあけて並設された他の弓弦構造体11と鋼棒12,12を介して連結されているが、弓弦構造体11を構成する弓材13がしなることが可能に構成されている。
【0026】
弓弦構造体11は、曲げ剛性の小さい直線状の高張力材が復元力を有した状態で曲げ変形されてなる弓材13と、この弓材13の曲げ変形を維持する弦材14,14とから構成されている。
第1の実施形態では、弓弦構造体11が、弓材13上に設けられた2点の固定点p1,p2を結ぶように張設された第一ケーブル(第一の弦材)14aと、固定点p1,p2の中間点p3から弓材13の脚部方向に張設された第二ケーブル14b(第二の弦材)とにより円弧状に曲げ変形されている。
【0027】
弓弦構造体11の弓材13に導入される曲げ変形は、弓材13を構成するPC鋼棒の曲げ弾性範囲内であって、塑性変形が生じない程度に行う。本実施形態では、想定される外力と弦材14により導入される引張応力との合計が、PC鋼棒に塑性変形が生じはじめる降伏応力よりも小さくなるように構成する。
【0028】
弓材13は、大きな曲げ変形性能を有する材料を使用するものとし、本実施形態ではPC鋼棒を使用する。なお、弓材13として使用される材料は、比較的大きな曲げ変形性能を有する高張力材であれば限定されないことはいうまでもなく、例えば板バネなどのばね鋼を使用するなど、適宜公知の材料から選定して使用すればよい。また、弓材13を構成するPC鋼棒の直径は、構築される曲面構造物の規模や、想定される外力の大きさなどに応じて設定するものとする。つまり、PC鋼棒の降伏応力と曲げ半径および想定される外力との関係により適宜設定する。
【0029】
弓材13の脚部の固定は、図2(a)に示すように、地盤に図示アンカーを介して固定された固定部材15により弓材13の脚部を把持することにより行う。この時、弓材13は、その軸回りに回転しないように固定されている。なお、弓材13の固定方法は限定されるものではなく、適宜公知の手段の中から選定して行えばよい。
【0030】
弓材13には、図2(b)に示すように、被覆材20を固定するための膜尻クランプ21がジョイント金具22を介して固定されている。なお、被覆材20の弓材13への固定方法は限定されるものではなく、適宜公知の手段の中から選定して行えばよい。
ここで、膜尻クランプ21は、図2(b)および(c)に示すように、一対の板材であって、弓材13と反対側の端部に膜尻ロープ23を把持するための溝が形成されている。
【0031】
被覆材20は、フレーム10を覆うように配設された膜材であって、側端部が膜尻クランプ21を介して弓材13に固定されている。
膜材としては、可撓性のある単層あるいは複層のフィルム、織布、コーティング織不、ネット等、曲面構造物1の用途や曲面構造物1の設置個所における地理的環境状況等に応じて適宜公知の材料から選定して使用すればよく、その材料は限定されるものではない。
【0032】
被覆材20の端部には、図2(c)に示すように、膜尻ロープ23が配置されている。膜尻ロープ23は、被覆材20の端部に巻き込まれることにより固定されている。そして、被覆材20は、端部の膜尻ロープ23が膜尻クランプ21の溝に挿入された状態で把持されることにより、弓材13に固定されている。
【0033】
被覆材20は、膜尻クランプ21を介して弓材13に固定されることにより、弓材13や鋼棒12と接することがないように固定されている。このため、外力が被覆材20に作用した際にも、被覆材20が弓材13や鋼棒12によりすれて破損が生じないように構成されている。
なお、被覆材20の固定方法は限定されるものではなく、適宜公知の方法により行えばよい。また、本実施形態では、ネジを介して膜尻クランプ21とジョイント金具22とを固定するものとしたが、膜尻クランプ21とジョイント金具22の固定方法は限定されるものではない。
【0034】
本実施形態では、図1および図4(a)に示すように、曲面構造物1の脚部に、被覆材20を配設しない開口部24を形成するものとする。開口部24は、図4(a)に示すように、被覆材20の下部を凹状に切り欠くことにより形成されている。なお、開口部24は、必要に応じて形成すればよく、必ずしも形成する必要はない(図4(b)参照)。
【0035】
弦材14は、弓材13に張設されることで、弓材13の曲げ変形を維持するとともに、曲面構造物1に外力が負荷されることで弓材13が変形する際に、この弓材13の変形を妨げることがないような柔軟性を有した材料であることが望ましい。なお、本実施形態では、弦材14としてケーブル(ワイヤ)を使用するものとするが、弦材14を構成する材料は限定されるものではなく、適宜公知の材料(例えば、その他の鋼線、針金や鋼索等)から選定して使用することが可能である。なお、弦材14として、伸縮機能や摺動機能を備えた部材を使用することも可能である。
【0036】
第一ケーブル14aは、図1に示すように、その先端に固定された留具14cを、鋼棒12を弓材13の固定点p1,p2に固定した鋼棒クランプ17,17に掛止ることにより弓材13に張設されている。
また、第二ケーブル14bは、中間点p3に固定した鋼棒クランプ17を介して弓材13に結合されているとともに、地盤(基礎)に固定された固定具14dに結合されている。なお、固定具14dは、図示せぬアンカーを介して地盤(基礎)に固定されている。
【0037】
本実施形態にかかる鋼棒クランプ17は、図3(b)に示すように、一対の板材からなり、この板材を互いに重ね合わせることにより、弓材13を把持するための円筒部17aと、鋼棒12および弦材14を係止するための係止部17bと、が構成される。つまり、鋼棒クランプ17は、円筒部17aに弓材13を連通するように把持した状態で、ボルト16により締着することで固定点p1,p2または中間点p3に固定される。そして、係止部17bに形成された挿通孔を介して鋼棒12および弦材14を係止する。なお、鋼棒クランプ17の構成は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。また、弓材13と鋼棒12または弦材14との接合方法は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
【0038】
弦材14の両端には、図3(a)および(b)に示すように、留具14cが固定されている。留具14cは、弦材14の先端が挿入される筒部と、鋼棒クランプ17または固定具14dに結合される掛止部とにより構成されている。掛止部には、ボルト16を挿入する挿入孔が形成されている。弦材14は、鋼棒クランプ17または固定具14dにボルト16を介して回転可能に掛止められているため、弓弦構造体11に外力が作用した際に弓材13の変形を妨げることがない。なお、本実施形態では、ボルト16を介して留具14cを掛止めるものとしたが、弦材14の掛止め方式は限定されるものではなく、適宜公知の方法から選定して行えばよい。
【0039】
第1の実施形態の曲面構造物1によれば、弓弦構造体11の初期曲げと弦材14の初期張力により安定した構造物が構築されている。そして、この曲面構造物1に大きな外力が作用した際には、弓材13が弾性範囲内で変形することにより外力を軸力と曲げに分配することにより抵抗する。
【0040】
例えば、図5(a)に示すように、曲面構造物1に雪が積もること等により上方から外力sが作用した際には、弓材13が下方向にしなるように変形する。そして、図5(b)に示すように、雪が滑落することで外力s(雪)が除去された後は、弓材13の復元力により、曲面構造物1が元の形状に戻る。
【0041】
また、曲面構造物1に風など、横方向の外力wが作用した場合には、図6(a)に示すように、風は、曲面形状に沿って逃げるため、全ての外力wを曲面構造物1が受け持つことがない。一方、図6(b)に示す従来の垂直に形成された構造物100の場合は、外力wを全て受け持つこととなり、支柱111等の各部材の耐力を増強させることを目的として、断面形状を大きくする必要がある。
【0042】
なお、図6(c)に示すように、曲面構造物1’が、開口部24を有していない場合であっても、曲面構造物1’の曲面形状により沿って外力wを逃がすことが可能であるが、図6(a)に示す曲面構造物1のように、開口部24を形成することにより、脚部に作用する外力wを通過させる構成とすれば、強風などによる大きな荷重を開口部から逃がすことで曲面構造物に作用する荷重の低減化が可能となり、さらなる部材の小断面化が可能となる。
【0043】
また、曲面構造物1は、作用する横方向の外力が大きい場合にも、図6(a)および(c)に示す弓材13’ (13)のように変形する(しなる)ことで、外力wを逃がすことが可能に構成されている。
【0044】
このように、本実施形態にかかる曲面構造物1は、大きな外力が作用した場合であっても、弓材13が変形することで、外力を逃がし、曲面構造物1に作用する応力を軽減するため、降雪量の多い地方や、強風が吹きつける地域においても、採用することが可能であり、その設置箇所が限定されることがない。
【0045】
また、比較的簡易な材料を利用して構成されるため、曲面構造物1の構築、解体が容易であるとともに、材料費も安価である。そのため、施工性、経済性に優れており、永久構造物としての利用も仮設構造物としての利用も可能である。
【0046】
また、弓弦構造体11は、従来にない円弧状の支柱(梁)を構成しているため、設計の自由度が増し、好適である。
【0047】
また、本実施形態では、被覆材20として膜材を使用しているため、被覆材20が弓材13の変形に追従することが可能なため、好適である。また、膜材は、比較的軽量なため、取扱が容易で、施工時、解体時の作業効率が向上する。
【0048】
本実施形態では、第一ケーブル14aおよび第二ケーブル14bを使用して、弓材13を円弧状に形成するものとしたが(図7(a)参照)、曲面構造物1の形状はこれに限定されるものではなく、1本の弦材により円弧状に形成してもよい。
例えば、図7(b)に示す曲面構造物1aのように、弓材13の先端部の固定点p1から、弓材13の脚部の固定点p2に弦材14を張設することにより、弓材13を円弧状に曲げ変形させてもよい。
【0049】
また、図8に示すように、本実施形態に係る一対の曲面構造物1,1を互いに対向する向きに配置することで、半円状の構造物を形成してもよい。この時、対向する弓弦構造体1,1の先端は、互いに接合金具18を介して連結されている。また、隣接する弓弦構造体11同士は、鋼棒クランプ17と接合金具18を介して、鋼棒などからなるつなぎ材により連結するものとする。
【0050】
また、本実施形態にかかる曲面構造物1,1を、図9に示すように、対向する一対の壁部材K,Kの上端に固定すれば、建物Tの屋根として使用することが可能となる。このように構成することで、中央部に柱等を要することなくドーム状の屋根を形成する事が可能となり、建物Tの内部空間の有効に利用することが可能となる。なお、曲面構造物1の脚部は、壁部材Kの上端に構成された基礎部材k1に固定されているが、壁部材Kへの曲面構造物1の固定方法はこれに限定されるものではない。また、曲面構造物1は、壁部材Kに限らず、柱や柵等、他の構造部材に上載することも可能である。
【0051】
さらに、図10(a)に示すように、本実施形態にかかる曲面構造物1を、アーケード等の屋根としても使用することが可能である。
つまり、曲面構造物1の脚部(基礎部材k1)を、建物の軒下付近に配置し、弓材13の先端が、脚部よりも低くなるように、アーケード(道路)の中央方向に延設させる。このとき、曲面構造物1の弦材14(第二ケーブル)は、基礎部材k1に結合されている。
【0052】
このように構成することで、例えば、積雪量の多い地方において使用すれば、曲面構造物1に積もった雪が、曲面構造物1がしなることによりアーケードの中央に集積されて、除雪作業が容易になる。また、両脇の建物の屋根に積もった雪も、屋根から曲面構造物1に落下することで、曲面構造物1を介してアーケードの中央に集積される。
【0053】
さらに、アーケード等の屋根を構成する場合において、図10(b)に示すように、放射状に配置された弓弦構造体11,11,…と、中央に開口部24’を形成された被覆材20と、により構成された曲面構造物1であれば、滑落した雪が1箇所に集積されるため、除雪作業がより容易になる。
【0054】
なお、図10の曲面構造物1は、建物の軒下付近に形成された基礎部材k1に設置するものとしたが、曲面構造物1を直接建物に設置してもよい。
【0055】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態では、本発明にかかる曲面構造物を、例えばバス停等において使用される屋根構造物として使用する場合について説明する。
ここで、図11(a)は、第2の実施形態にかかる曲面構造物を示す斜視図であり、(b)は同曲面構造物の変形例を示す斜視図である。
【0056】
第2の実施形態にかかる曲面構造物2は、図11(a)に示すように、複数の弓弦構造体11を組み合わせてなるフレーム10と、このフレーム10の一面を覆う被覆材20とを備えて構成されている。
そして、第2の実施形態にかかる曲面構造物2は、弓弦構造体11が、弓材13の中間部において支柱30により支持されることにより構成されている。
【0057】
弓弦構造体11は、曲げ剛性の小さい直線状の高張力材が復元力を有した状態で曲げ変形されてなる弓材13と、この弓材13の曲げ変形を維持する1本の弦材14と構成されている。
【0058】
本実施形態では、2体の弓弦構造体11同士を、鋼棒12,12を介して連結することにより上に凸の曲面を呈するフレーム10を形成している。なお、弓弦構造体11,11の両端は、鋼棒12により互いに連結されているのみのため、弓材13が上下にしなること(変形すること)が可能に構成されている。
【0059】
第2の実施形態に係る弓材13は、その両端に固定された弦材14により円弧状に曲げ変形された状態が維持されている。
この他の弓材13の構成は、第1の実施形態で説明した弓材と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0060】
弦材14は、弓材13の一端から他端に張設されることで、弓材13の曲げ変形を維持している。
この他、弦材14の構成に関する内容は、第1の実施形態で説明した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0061】
また、被覆材20の構成は、第1の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0062】
かかる、曲面構造物2によれば、日除けや雨除け等を目的とした退避スペースを確保することを可能とするとともに、積雪等のより大きな外力が作用した場合でも、弓弦構造体11の弓材13がしなる(変形する)ことで上載荷重を逃がし、除去することが可能となる。したがって、各構成部材の小断面化が可能となり、経済的に優れている。
【0063】
また、比較的簡易に屋根を構成することが可能なため、永久構造物としての使用のみならず、簡易的なテント等を構成する場合にも好適に使用することができる。
【0064】
なお、第2の実施形態では、上向きの曲面を有した曲面構造物2を構成するものとしたが、図11(b)に示すように、下向きの曲面を有した曲面構造物2’を構成してもよい。
【0065】
以上、本発明について、好適な実施形態について説明したが、本発明は前記の各実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、複数の弓弦構造体を備えたフレームに被覆材を設置することにより構成された曲面構造物について、説明したが、本発明の弓弦構造体の使用方法はこれに限定されるものではない。例えば、弓弦構造体を防護柵の支柱や、道路標識や信号機の支柱として使用してもよい。
【0066】
また、本発明に係る弓弦構造体を、一般的な支柱などの他の構造体と組み合わせることにより構造物を構築してもよい。
また、本発明に係る曲面構造物をいわゆるオーニングとして使用してもよいことはいうまでもない。
【0067】
また、本発明の曲面構造物は、断面形状の小さい部材により構成されたフレームと膜材により構成されているため、取り扱いが容易である。そのため、構築時、解体時の施工性に優れており、仮設構造物として使用する場合にも適している。
【0068】
なお、前記実施形態では、PC鋼棒の曲げ弾性範囲内で弓材を曲げ変形させる構成としているが、弓材の曲げ変形によりPC鋼棒が塑性変形した(塑性ひずみが残る)場合であっても、弓弦構造体は、初期曲げと弦材の張力により安定し、外力に対して変形することでかわす構成を示すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】第1の実施形態に係る曲面構造物を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る曲面構造物の細部を示す図であって、(a)は弓弦構造体の脚部の構造を示す斜視図、(b)は弓弦構造体と膜材との接合部を示す斜視図、(c)は同接合部の断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る曲面構造物の細部を示す図であって、(a)は第二の弦材の脚部の構造を示す斜視図、(b)弓材と弦材との接合部を示す斜視図である。
【図4】(a)および(b)は被覆材の形状を示す斜視図である。
【図5】(a)および(b)は、第1の実施形態に係る曲面構造物に上方から外力が作用した際の変形状況を示す側面図である。
【図6】(a)は第1の実施形態に係る曲面構造物に横方向の外力が作用した際の状況を示す側面図、(b)は従来の構造物に横方向の外力が作用した際の状況を示す側面図、(c)は(a)に示す曲面構造物の変形例を示す側面図である。
【図7】(a)および(b)は、第1の実施形態に係る曲面構造物の変形例を示す側面図である。
【図8】第1の実施形態に係る曲面構造物の他の変更実施例を示す斜視図である。
【図9】第1の実施形態に係る曲面構造物のさらに他の変更実施例を示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図10】(a)および(b)は、第1の実施形態に係る曲面構造物のさらに他の変更実施例を示す側面図である。
【図11】(a)は第2の実施形態に係る曲面構造物を示す斜視図であって、(b)は(a)の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
1,2 曲面構造物
10 フレーム(骨組み)
11 弓弦構造体
13 弓材
14 弦材
14a 第一ケーブル(第一の弦材)
14b 第二ケーブル(第二の弦材)
20 被覆材
【技術分野】
【0001】
本発明は屋根、風除け、雪避け等に使用する弓弦構造による曲面構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物等の屋根等において、曲面構造の骨組みを構成する場合がある。
このような、曲面構造の骨組は、風や降雪等により作用する外力に対して、十分な剛性を有する材料により構成されていた。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の張弦梁構造は、鋼管をアーチ状に形成するとともに、このアーチ状の鋼管の両端部にワイヤを張設して構成されている。
この張弦梁構造は、風や降雪等により作用する外力は張弦梁が担い、風の吹き上げ等により作用する屋根構造の内部から外方向に作用する応力に対してはワイヤが担うとともに張弦梁の中央部を含む前後1/3の長さの範囲の部位が担うように構成されている。
【0004】
一方、特許文献2では、放射状に配設された弾力のある複数のパイプについて、一方の端部をヘッド盤に固定して、他方の端部の地盤に固定した後、ヘッド盤を下方に強く引き絞ることにより全体を固定してなる半球形の中心支持テントが開示されている。かかる構成によれば、半球形の形状と、パイプ同士が互いに支持しあう構成とにより、テントの剛性を増強し、風などに対して十分な耐力を発現する。
【0005】
ところが、特許文献1に記載の張弦梁構造は、外力に対して、骨組みである張弦梁材の剛力により抵抗するため、材料(鋼管)の小断面化に限界があった。そして、このような大断面部材を使用した構造物は、材料費が嵩むとともに、施工に手間がかかる等の問題点を有していた。
【0006】
また、特許文献2に記載のテントは、半球形に形成された形状によってその剛性を発現するため、その用途が限られてしまうという問題点を有していた。
また、当該テントは、特許文献1に記載の張弦梁構造と同様に、その剛性により外力に抵抗する構成のため、パイプの小断面化に限界があった。
【0007】
そのため、本出願人は、例えば特許文献3に示すように、比較的曲げ剛性の小さい軸材を利用して、外力による変形を許容する曲面構造物を開示し、実用化に至っている。かかる曲面構造物は、外力により軸材が変形することで、軸材に作用する外力を逃がして、作用応力を小さくすることで構成部材の小断面化を図るものである。
【0008】
このような曲面構造物は、軸材を弾性範囲内で曲げ変形させた状態で端部を拘束してなる曲線材を複数本配置することで構成された屋根フレームとこの屋根フレームの頂部を支持するサポート部材とを備えて構成されている。
【0009】
【特許文献1】特開平6−136875号公報
【特許文献2】実開平3−35160号公報
【特許文献3】特開2004−190319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、前記特許文献3の曲面構造物は、屋根フレームがその頂部をサポート部材により支持される構成であるため、建物の中央にサポート部材が配設されてしまうという問題点も有していた。そのため、このサポート部材により建物の内部空間の有効利用が妨げられる場合があり、特に、小規模な構造物への適用は、不向きな場合があった。
【0011】
本発明は、前記の問題点を解決することを目的とするものであり、各構成部材の小断面化を可能とし、構造物の規模や設置個所に限定されることなく、簡易かつ安価に構築されることが可能な曲面構造物を提案することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数の弓弦構造体を組み合わせてなる骨組みと、前記骨組みの一面を覆う被覆材と、を備える曲面構造物であって、前記弓弦構造体は、曲げ剛性の小さい直線状の高張力材が復元力を有した状態で曲げ変形されてなる弓材と、前記弓材の曲げ変形を維持する弦材と、からなり、前記弓材の一方の端部が固定されていることを特徴としている。
【0013】
かかる曲面構造物によれば、弓材に導入された初期曲げと弦材の初期張力により安定した構造が構築されている。また、弓弦構造体は、一方の端部が固定されて他方の端部は拘束されていないため、大きな外力が作用したときには、弓弦構造体が変形することで外力を逃がす。さらに、外力が除去された後は、元の形状に復元される。例えば、当該曲面構造物を屋根として使用した場合に、雪の降雪により当該構造物に外力が負荷したとしても、外力により弓弦構造体が変形することで、上載された雪を落下させることが可能となる。このため、屋根に大量の積雪による大きな荷重が負荷されることがなく、屋根を構成する部材の小断面化が可能となる。故に、簡易かつ安価に構築することが可能である。また、弓弦構造体は、いわゆる片持ち梁として支持されているため、先端側に柱等の構造部材を必要としないため、この屋根により覆われた空間を有効に利用することが可能となる。さらに、曲面構造物を採用する地域が限定されることもない。
【0014】
一方、かかる曲面構造物を、例えば、風除け用の防護構造物として使用した場合において、強風が吹き付けられた場合であっても、曲面構造物の曲線状の形状により、負担する応力が軽減するとともに、弓弦構造体が変形することで風力を逃がすため、部材の小断面化が可能となる。
ここで、復元力を有した状態とは、弦材を取り除いたとしたら、弓材が直線状に戻る状態をいう。なお、復元力を有した状態での曲げ変形は、高張力材の弾性範囲内での曲げ変形が好適であるが、弓材が直線状に近く戻る状態であればひずみが残ってもよい。また、曲線状の形状とは、弓弦構造体の全体が円弧を呈している必要はなく、直線を含む形態であってもよい。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、複数の弓弦構造体を組み合わせてなる骨組みと、前記骨組みの一面を覆う被覆材と、を備える曲面構造物であって、前記弓弦構造体は、曲げ剛性の小さい直線状の高張力材が復元力を有した状態で曲げ変形されてなる弓材と、前記弓材の曲げ変形を維持する弦材と、からなり、該弓材が、中間部において支持されていることを特徴としている。
【0016】
かかる曲面構造物によれば、弓材に導入された初期曲げと弦材の初期張力により安定した構造が構築されている。また、曲面構造物は、弓弦構造体の中間部において支持されていて両端が拘束されていないため、大きな外力が作用した際には、弓弦構造体の全体が変形し、曲面構造物に作用する荷重を適切に逃がすことが可能に構成されている。そのため、曲面構造物への負担を軽減し、各部材の小断面化を可能としている。
【0017】
また、前記曲面構造物において、弓弦構造体が、前記弓材上に設けられた2点を結ぶように張設された弦材により円弧状に曲げ変形されていてもよい。
かかる曲面構造物によれば、弓材の曲げ変形を維持する弦材が、曲面構造物の使用時に邪魔となることがないため、好適である。
【0018】
また、前記弓弦構造体が、前記弓材上に設けられた2点を結ぶように張設された第一の弦材と、前記2点の中間点から前記一方の端部方向に張設された第二の弦材と、により円弧状に曲げ変形されていてもよい。
かかる弓弦構造体によれば、比較的大きな構造物を構築する際に、1本の弦材を使用する場合と比較して、弓材をより容易に曲げ変形させることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の曲面構造物および弓弦構造体によれば、大きな外力が作用する場合であっても、変形することで作用応力を逃がし、弓弦構造体への負担を軽減することが可能となる。したがって、各構成部材の小断面化が可能となり、また、施工性および経済性に優れている。また、この曲面構造物は、構造物の規模や設置箇所の気象条件等により制限されることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
【0021】
<第1の実施の形態>
第1の実施形態では、本発明に係る曲面構造物を、通路等の風除け・雨除けを兼ねた屋根構造物として使用する場合について説明する。
ここで、図1は、第1の実施形態に係る曲面構造物を示す斜視図である。また、図2は、第1の実施形態に係る曲面構造物の細部を示す図であって、(a)は弓材(弓弦構造体)の脚部の構造を示す斜視図、(b)は弓材(弓弦構造体)と膜材との接合部を示す斜視図、(c)は同接合部の断面図である。また、図3は、第1の実施形態に係る曲面構造物の細部を示す図であって、(a)は第二の弦材の脚部の構造を示す斜視図、(b)弓材と弦材との接合部を示す斜視図である。さらに、図4の(a)および(b)は被覆材の形状を示す斜視図である。
【0022】
第1の実施形態にかかる曲面構造物1は、図1に示すように、複数の弓弦構造体11,11,…を組み合わせてなるフレーム(骨組み)10と、前記フレーム10の外面(一面)を覆う被覆材20とを備えて構成されている。
【0023】
フレーム10は、所定の間隔をあけて並設された弓弦構造体11同士を鋼棒12,12により連結することにより構成されている。本実施形態では、隣接する弓弦構造体11同士を、上下2本の鋼棒12,12により連結するものとする。なお、弓弦構造体11同士を連結する材料は、鋼棒12に限定されないことはいうまでもなく、例えば、アングル材等の形鋼材や鋼管等、適宜公知の材料が使用可能である。
【0024】
本実施形態では、弓弦構造体11への鋼棒12の固定は、弓材13と第一ケーブル14aとが交差する位置(固定点p1,p2)にて行う。また、弓弦構造体11と鋼棒12との連結は、後記する鋼棒クランプ17(図3(b)参照)を介して行うものとする。
【0025】
弓弦構造体11は、一方の端部(以下「脚部」という)が地盤に形成された基礎に固定された状態で立設されて、他方の端部は自由端を呈するいわゆる片持ち梁構造であって、その曲線形状により、通路の側方から上方を覆うように配置されている。なお、本実施形態に係る弓弦構造体11は、所定の間隔をあけて並設された他の弓弦構造体11と鋼棒12,12を介して連結されているが、弓弦構造体11を構成する弓材13がしなることが可能に構成されている。
【0026】
弓弦構造体11は、曲げ剛性の小さい直線状の高張力材が復元力を有した状態で曲げ変形されてなる弓材13と、この弓材13の曲げ変形を維持する弦材14,14とから構成されている。
第1の実施形態では、弓弦構造体11が、弓材13上に設けられた2点の固定点p1,p2を結ぶように張設された第一ケーブル(第一の弦材)14aと、固定点p1,p2の中間点p3から弓材13の脚部方向に張設された第二ケーブル14b(第二の弦材)とにより円弧状に曲げ変形されている。
【0027】
弓弦構造体11の弓材13に導入される曲げ変形は、弓材13を構成するPC鋼棒の曲げ弾性範囲内であって、塑性変形が生じない程度に行う。本実施形態では、想定される外力と弦材14により導入される引張応力との合計が、PC鋼棒に塑性変形が生じはじめる降伏応力よりも小さくなるように構成する。
【0028】
弓材13は、大きな曲げ変形性能を有する材料を使用するものとし、本実施形態ではPC鋼棒を使用する。なお、弓材13として使用される材料は、比較的大きな曲げ変形性能を有する高張力材であれば限定されないことはいうまでもなく、例えば板バネなどのばね鋼を使用するなど、適宜公知の材料から選定して使用すればよい。また、弓材13を構成するPC鋼棒の直径は、構築される曲面構造物の規模や、想定される外力の大きさなどに応じて設定するものとする。つまり、PC鋼棒の降伏応力と曲げ半径および想定される外力との関係により適宜設定する。
【0029】
弓材13の脚部の固定は、図2(a)に示すように、地盤に図示アンカーを介して固定された固定部材15により弓材13の脚部を把持することにより行う。この時、弓材13は、その軸回りに回転しないように固定されている。なお、弓材13の固定方法は限定されるものではなく、適宜公知の手段の中から選定して行えばよい。
【0030】
弓材13には、図2(b)に示すように、被覆材20を固定するための膜尻クランプ21がジョイント金具22を介して固定されている。なお、被覆材20の弓材13への固定方法は限定されるものではなく、適宜公知の手段の中から選定して行えばよい。
ここで、膜尻クランプ21は、図2(b)および(c)に示すように、一対の板材であって、弓材13と反対側の端部に膜尻ロープ23を把持するための溝が形成されている。
【0031】
被覆材20は、フレーム10を覆うように配設された膜材であって、側端部が膜尻クランプ21を介して弓材13に固定されている。
膜材としては、可撓性のある単層あるいは複層のフィルム、織布、コーティング織不、ネット等、曲面構造物1の用途や曲面構造物1の設置個所における地理的環境状況等に応じて適宜公知の材料から選定して使用すればよく、その材料は限定されるものではない。
【0032】
被覆材20の端部には、図2(c)に示すように、膜尻ロープ23が配置されている。膜尻ロープ23は、被覆材20の端部に巻き込まれることにより固定されている。そして、被覆材20は、端部の膜尻ロープ23が膜尻クランプ21の溝に挿入された状態で把持されることにより、弓材13に固定されている。
【0033】
被覆材20は、膜尻クランプ21を介して弓材13に固定されることにより、弓材13や鋼棒12と接することがないように固定されている。このため、外力が被覆材20に作用した際にも、被覆材20が弓材13や鋼棒12によりすれて破損が生じないように構成されている。
なお、被覆材20の固定方法は限定されるものではなく、適宜公知の方法により行えばよい。また、本実施形態では、ネジを介して膜尻クランプ21とジョイント金具22とを固定するものとしたが、膜尻クランプ21とジョイント金具22の固定方法は限定されるものではない。
【0034】
本実施形態では、図1および図4(a)に示すように、曲面構造物1の脚部に、被覆材20を配設しない開口部24を形成するものとする。開口部24は、図4(a)に示すように、被覆材20の下部を凹状に切り欠くことにより形成されている。なお、開口部24は、必要に応じて形成すればよく、必ずしも形成する必要はない(図4(b)参照)。
【0035】
弦材14は、弓材13に張設されることで、弓材13の曲げ変形を維持するとともに、曲面構造物1に外力が負荷されることで弓材13が変形する際に、この弓材13の変形を妨げることがないような柔軟性を有した材料であることが望ましい。なお、本実施形態では、弦材14としてケーブル(ワイヤ)を使用するものとするが、弦材14を構成する材料は限定されるものではなく、適宜公知の材料(例えば、その他の鋼線、針金や鋼索等)から選定して使用することが可能である。なお、弦材14として、伸縮機能や摺動機能を備えた部材を使用することも可能である。
【0036】
第一ケーブル14aは、図1に示すように、その先端に固定された留具14cを、鋼棒12を弓材13の固定点p1,p2に固定した鋼棒クランプ17,17に掛止ることにより弓材13に張設されている。
また、第二ケーブル14bは、中間点p3に固定した鋼棒クランプ17を介して弓材13に結合されているとともに、地盤(基礎)に固定された固定具14dに結合されている。なお、固定具14dは、図示せぬアンカーを介して地盤(基礎)に固定されている。
【0037】
本実施形態にかかる鋼棒クランプ17は、図3(b)に示すように、一対の板材からなり、この板材を互いに重ね合わせることにより、弓材13を把持するための円筒部17aと、鋼棒12および弦材14を係止するための係止部17bと、が構成される。つまり、鋼棒クランプ17は、円筒部17aに弓材13を連通するように把持した状態で、ボルト16により締着することで固定点p1,p2または中間点p3に固定される。そして、係止部17bに形成された挿通孔を介して鋼棒12および弦材14を係止する。なお、鋼棒クランプ17の構成は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。また、弓材13と鋼棒12または弦材14との接合方法は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
【0038】
弦材14の両端には、図3(a)および(b)に示すように、留具14cが固定されている。留具14cは、弦材14の先端が挿入される筒部と、鋼棒クランプ17または固定具14dに結合される掛止部とにより構成されている。掛止部には、ボルト16を挿入する挿入孔が形成されている。弦材14は、鋼棒クランプ17または固定具14dにボルト16を介して回転可能に掛止められているため、弓弦構造体11に外力が作用した際に弓材13の変形を妨げることがない。なお、本実施形態では、ボルト16を介して留具14cを掛止めるものとしたが、弦材14の掛止め方式は限定されるものではなく、適宜公知の方法から選定して行えばよい。
【0039】
第1の実施形態の曲面構造物1によれば、弓弦構造体11の初期曲げと弦材14の初期張力により安定した構造物が構築されている。そして、この曲面構造物1に大きな外力が作用した際には、弓材13が弾性範囲内で変形することにより外力を軸力と曲げに分配することにより抵抗する。
【0040】
例えば、図5(a)に示すように、曲面構造物1に雪が積もること等により上方から外力sが作用した際には、弓材13が下方向にしなるように変形する。そして、図5(b)に示すように、雪が滑落することで外力s(雪)が除去された後は、弓材13の復元力により、曲面構造物1が元の形状に戻る。
【0041】
また、曲面構造物1に風など、横方向の外力wが作用した場合には、図6(a)に示すように、風は、曲面形状に沿って逃げるため、全ての外力wを曲面構造物1が受け持つことがない。一方、図6(b)に示す従来の垂直に形成された構造物100の場合は、外力wを全て受け持つこととなり、支柱111等の各部材の耐力を増強させることを目的として、断面形状を大きくする必要がある。
【0042】
なお、図6(c)に示すように、曲面構造物1’が、開口部24を有していない場合であっても、曲面構造物1’の曲面形状により沿って外力wを逃がすことが可能であるが、図6(a)に示す曲面構造物1のように、開口部24を形成することにより、脚部に作用する外力wを通過させる構成とすれば、強風などによる大きな荷重を開口部から逃がすことで曲面構造物に作用する荷重の低減化が可能となり、さらなる部材の小断面化が可能となる。
【0043】
また、曲面構造物1は、作用する横方向の外力が大きい場合にも、図6(a)および(c)に示す弓材13’ (13)のように変形する(しなる)ことで、外力wを逃がすことが可能に構成されている。
【0044】
このように、本実施形態にかかる曲面構造物1は、大きな外力が作用した場合であっても、弓材13が変形することで、外力を逃がし、曲面構造物1に作用する応力を軽減するため、降雪量の多い地方や、強風が吹きつける地域においても、採用することが可能であり、その設置箇所が限定されることがない。
【0045】
また、比較的簡易な材料を利用して構成されるため、曲面構造物1の構築、解体が容易であるとともに、材料費も安価である。そのため、施工性、経済性に優れており、永久構造物としての利用も仮設構造物としての利用も可能である。
【0046】
また、弓弦構造体11は、従来にない円弧状の支柱(梁)を構成しているため、設計の自由度が増し、好適である。
【0047】
また、本実施形態では、被覆材20として膜材を使用しているため、被覆材20が弓材13の変形に追従することが可能なため、好適である。また、膜材は、比較的軽量なため、取扱が容易で、施工時、解体時の作業効率が向上する。
【0048】
本実施形態では、第一ケーブル14aおよび第二ケーブル14bを使用して、弓材13を円弧状に形成するものとしたが(図7(a)参照)、曲面構造物1の形状はこれに限定されるものではなく、1本の弦材により円弧状に形成してもよい。
例えば、図7(b)に示す曲面構造物1aのように、弓材13の先端部の固定点p1から、弓材13の脚部の固定点p2に弦材14を張設することにより、弓材13を円弧状に曲げ変形させてもよい。
【0049】
また、図8に示すように、本実施形態に係る一対の曲面構造物1,1を互いに対向する向きに配置することで、半円状の構造物を形成してもよい。この時、対向する弓弦構造体1,1の先端は、互いに接合金具18を介して連結されている。また、隣接する弓弦構造体11同士は、鋼棒クランプ17と接合金具18を介して、鋼棒などからなるつなぎ材により連結するものとする。
【0050】
また、本実施形態にかかる曲面構造物1,1を、図9に示すように、対向する一対の壁部材K,Kの上端に固定すれば、建物Tの屋根として使用することが可能となる。このように構成することで、中央部に柱等を要することなくドーム状の屋根を形成する事が可能となり、建物Tの内部空間の有効に利用することが可能となる。なお、曲面構造物1の脚部は、壁部材Kの上端に構成された基礎部材k1に固定されているが、壁部材Kへの曲面構造物1の固定方法はこれに限定されるものではない。また、曲面構造物1は、壁部材Kに限らず、柱や柵等、他の構造部材に上載することも可能である。
【0051】
さらに、図10(a)に示すように、本実施形態にかかる曲面構造物1を、アーケード等の屋根としても使用することが可能である。
つまり、曲面構造物1の脚部(基礎部材k1)を、建物の軒下付近に配置し、弓材13の先端が、脚部よりも低くなるように、アーケード(道路)の中央方向に延設させる。このとき、曲面構造物1の弦材14(第二ケーブル)は、基礎部材k1に結合されている。
【0052】
このように構成することで、例えば、積雪量の多い地方において使用すれば、曲面構造物1に積もった雪が、曲面構造物1がしなることによりアーケードの中央に集積されて、除雪作業が容易になる。また、両脇の建物の屋根に積もった雪も、屋根から曲面構造物1に落下することで、曲面構造物1を介してアーケードの中央に集積される。
【0053】
さらに、アーケード等の屋根を構成する場合において、図10(b)に示すように、放射状に配置された弓弦構造体11,11,…と、中央に開口部24’を形成された被覆材20と、により構成された曲面構造物1であれば、滑落した雪が1箇所に集積されるため、除雪作業がより容易になる。
【0054】
なお、図10の曲面構造物1は、建物の軒下付近に形成された基礎部材k1に設置するものとしたが、曲面構造物1を直接建物に設置してもよい。
【0055】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態では、本発明にかかる曲面構造物を、例えばバス停等において使用される屋根構造物として使用する場合について説明する。
ここで、図11(a)は、第2の実施形態にかかる曲面構造物を示す斜視図であり、(b)は同曲面構造物の変形例を示す斜視図である。
【0056】
第2の実施形態にかかる曲面構造物2は、図11(a)に示すように、複数の弓弦構造体11を組み合わせてなるフレーム10と、このフレーム10の一面を覆う被覆材20とを備えて構成されている。
そして、第2の実施形態にかかる曲面構造物2は、弓弦構造体11が、弓材13の中間部において支柱30により支持されることにより構成されている。
【0057】
弓弦構造体11は、曲げ剛性の小さい直線状の高張力材が復元力を有した状態で曲げ変形されてなる弓材13と、この弓材13の曲げ変形を維持する1本の弦材14と構成されている。
【0058】
本実施形態では、2体の弓弦構造体11同士を、鋼棒12,12を介して連結することにより上に凸の曲面を呈するフレーム10を形成している。なお、弓弦構造体11,11の両端は、鋼棒12により互いに連結されているのみのため、弓材13が上下にしなること(変形すること)が可能に構成されている。
【0059】
第2の実施形態に係る弓材13は、その両端に固定された弦材14により円弧状に曲げ変形された状態が維持されている。
この他の弓材13の構成は、第1の実施形態で説明した弓材と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0060】
弦材14は、弓材13の一端から他端に張設されることで、弓材13の曲げ変形を維持している。
この他、弦材14の構成に関する内容は、第1の実施形態で説明した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0061】
また、被覆材20の構成は、第1の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0062】
かかる、曲面構造物2によれば、日除けや雨除け等を目的とした退避スペースを確保することを可能とするとともに、積雪等のより大きな外力が作用した場合でも、弓弦構造体11の弓材13がしなる(変形する)ことで上載荷重を逃がし、除去することが可能となる。したがって、各構成部材の小断面化が可能となり、経済的に優れている。
【0063】
また、比較的簡易に屋根を構成することが可能なため、永久構造物としての使用のみならず、簡易的なテント等を構成する場合にも好適に使用することができる。
【0064】
なお、第2の実施形態では、上向きの曲面を有した曲面構造物2を構成するものとしたが、図11(b)に示すように、下向きの曲面を有した曲面構造物2’を構成してもよい。
【0065】
以上、本発明について、好適な実施形態について説明したが、本発明は前記の各実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、複数の弓弦構造体を備えたフレームに被覆材を設置することにより構成された曲面構造物について、説明したが、本発明の弓弦構造体の使用方法はこれに限定されるものではない。例えば、弓弦構造体を防護柵の支柱や、道路標識や信号機の支柱として使用してもよい。
【0066】
また、本発明に係る弓弦構造体を、一般的な支柱などの他の構造体と組み合わせることにより構造物を構築してもよい。
また、本発明に係る曲面構造物をいわゆるオーニングとして使用してもよいことはいうまでもない。
【0067】
また、本発明の曲面構造物は、断面形状の小さい部材により構成されたフレームと膜材により構成されているため、取り扱いが容易である。そのため、構築時、解体時の施工性に優れており、仮設構造物として使用する場合にも適している。
【0068】
なお、前記実施形態では、PC鋼棒の曲げ弾性範囲内で弓材を曲げ変形させる構成としているが、弓材の曲げ変形によりPC鋼棒が塑性変形した(塑性ひずみが残る)場合であっても、弓弦構造体は、初期曲げと弦材の張力により安定し、外力に対して変形することでかわす構成を示すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】第1の実施形態に係る曲面構造物を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る曲面構造物の細部を示す図であって、(a)は弓弦構造体の脚部の構造を示す斜視図、(b)は弓弦構造体と膜材との接合部を示す斜視図、(c)は同接合部の断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る曲面構造物の細部を示す図であって、(a)は第二の弦材の脚部の構造を示す斜視図、(b)弓材と弦材との接合部を示す斜視図である。
【図4】(a)および(b)は被覆材の形状を示す斜視図である。
【図5】(a)および(b)は、第1の実施形態に係る曲面構造物に上方から外力が作用した際の変形状況を示す側面図である。
【図6】(a)は第1の実施形態に係る曲面構造物に横方向の外力が作用した際の状況を示す側面図、(b)は従来の構造物に横方向の外力が作用した際の状況を示す側面図、(c)は(a)に示す曲面構造物の変形例を示す側面図である。
【図7】(a)および(b)は、第1の実施形態に係る曲面構造物の変形例を示す側面図である。
【図8】第1の実施形態に係る曲面構造物の他の変更実施例を示す斜視図である。
【図9】第1の実施形態に係る曲面構造物のさらに他の変更実施例を示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図10】(a)および(b)は、第1の実施形態に係る曲面構造物のさらに他の変更実施例を示す側面図である。
【図11】(a)は第2の実施形態に係る曲面構造物を示す斜視図であって、(b)は(a)の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
1,2 曲面構造物
10 フレーム(骨組み)
11 弓弦構造体
13 弓材
14 弦材
14a 第一ケーブル(第一の弦材)
14b 第二ケーブル(第二の弦材)
20 被覆材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の弓弦構造体を組み合わせてなる骨組みと、前記骨組みの一面を覆う被覆材と、を備える曲面構造物であって、
前記弓弦構造体は、曲げ剛性の小さい直線状の高張力材が復元力を有した状態で曲げ変形されてなる弓材と、前記弓材の曲げ変形を維持する弦材と、からなり、前記弓材の一方の端部が固定されていることを特徴とする、
曲面構造物。
【請求項2】
複数の弓弦構造体を組み合わせてなる骨組みと、前記骨組みの一面を覆う被覆材と、を備える曲面構造物であって、
前記弓弦構造体は、曲げ剛性の小さい直線状の高張力材が復元力を有した状態で曲げ変形されてなる弓材と、前記弓材の曲げ変形を維持する弦材と、からなり、該弓材が中間部において支持されていることを特徴とする、
曲面構造物。
【請求項3】
前記弓弦構造体が、前記弓材上に設けられた2点を結ぶように張設された前記弦材により円弧状に曲げ変形されていることを特徴とする、
請求項1または請求項2に記載の曲面構造物。
【請求項4】
前記弓弦構造体が、前記弓材上に設けられた2点を結ぶように張設された第一の弦材と、前記2点の中間点から前記一方の端部方向に張設された第二の弦材と、により円弧状に曲げ変形されていることを特徴とする、
請求項1に記載の曲面構造物。
【請求項1】
複数の弓弦構造体を組み合わせてなる骨組みと、前記骨組みの一面を覆う被覆材と、を備える曲面構造物であって、
前記弓弦構造体は、曲げ剛性の小さい直線状の高張力材が復元力を有した状態で曲げ変形されてなる弓材と、前記弓材の曲げ変形を維持する弦材と、からなり、前記弓材の一方の端部が固定されていることを特徴とする、
曲面構造物。
【請求項2】
複数の弓弦構造体を組み合わせてなる骨組みと、前記骨組みの一面を覆う被覆材と、を備える曲面構造物であって、
前記弓弦構造体は、曲げ剛性の小さい直線状の高張力材が復元力を有した状態で曲げ変形されてなる弓材と、前記弓材の曲げ変形を維持する弦材と、からなり、該弓材が中間部において支持されていることを特徴とする、
曲面構造物。
【請求項3】
前記弓弦構造体が、前記弓材上に設けられた2点を結ぶように張設された前記弦材により円弧状に曲げ変形されていることを特徴とする、
請求項1または請求項2に記載の曲面構造物。
【請求項4】
前記弓弦構造体が、前記弓材上に設けられた2点を結ぶように張設された第一の弦材と、前記2点の中間点から前記一方の端部方向に張設された第二の弦材と、により円弧状に曲げ変形されていることを特徴とする、
請求項1に記載の曲面構造物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−214996(P2008−214996A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−55537(P2007−55537)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】
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