説明

書字訓練支援装置

【課題】正しい運筆動作の時間的構造の習得を行うことができる書字訓練支援装置を提供する。
【解決手段】模範文字の画像データと該模範文字を書字する際の模範運筆音を記憶する運筆データ記憶部12と、前記運筆データ記憶部に記憶されている前記模範文字の画像データに基づいて前記模範文字の画像を表示する表示部14と、前記運筆データ記憶部に記憶されている前記模範文字の前記模範運筆音を出力する運筆音出力部16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書字訓練を支援する書字訓練支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
直筆の美しい文字で書かれた葉書などの文書は、活字印刷された文書に比べ読み手により良い印象を与えることができる。しかしながら、今日の私たちの生活における文字入力インタフェースは、その利便性から電子的に文書を作成できるキーボードやマウスに置き換えられ、直筆で文書を作成する機会は少なくなりつつある。そのため、書字を不得手とする人は年々増加しており、筆記用具で文字を書くことに関連する能力の訓練や試験を受けることが近年大きなブームとなっている。
【0003】
一般に、ペン習字や書道などで書字指導をする際、指導者は文字中の点画間の距離や、漢字を書く際の漢字の構成部分と構成部分の大きさのバランスなどといった運筆軌道の空間配置に関する事柄と、運筆軌道の安定性や正確さにかかわる、そのスピードやリズムなどといった動作の時間構造に関する事柄について指導を行っている。
【0004】
しかしながら、従来の書字訓練を支援する教材の多くは、紙やディスプレイに表示された模範となる文字の静止画像を運筆動作により模写する形式のものである(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】http://www.nintendo.co.jp/ds/avmj/(任天堂:DS美文字トレーニング)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の書字訓練を支援する教材を指導者による訓練と比較した場合、書字における正しい空間配置を習得すること関しては効果的であるが、正しい運筆動作の時間構造の習得に関しては十分な効果を得ることができていない。
【0007】
本発明の目的は、正しい運筆動作の時間的構造の習得を行うことができる書字訓練支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の書字訓練支援装置は、模範文字の画像データと該模範文字を書字する際の模範運筆音データを記憶する運筆データ記憶部と、前記運筆データ記憶部に記憶されている前記模範文字の画像データに基づいて前記模範文字の画像を表示する表示部と、前記運筆データ記憶部に記憶されている前記模範文字の前記模範運筆音データに基づいて模範運筆音を出力する運筆音出力部とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の書字訓練支援装置は、前記表示部が前記模範文字の画像を表示する第1表示部と、被訓練者の運筆画像を表示する第2表示部を備え、前記第1表示部と前記第2表示部は、並べて配置されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の書字訓練支援装置は、前記第2表示部がモニタを内蔵したペンタブレットにより構成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の書字訓練支援装置は、前記運筆データ記憶部が前記模範文字を構成する一点画毎の前記模範運筆音データを記憶することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の書字訓練支援装置は、前記運筆音出力部が前記模範文字を構成する一点画毎の前記模範運筆音を断続的に出力することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の書字訓練支援装置は、前記運筆データ記憶部が前記模範文字を書字する際に計測された入力デバイスの先端の平面座標の変化を示す第1時系列データを記憶しており、被訓練者の運筆動作による入力デバイスの先端の平面座標の変化を第2時系列データとして計測する計測部と、前記第1時系列データと前記第2時系列データとを比較する第1比較部と、前記第1比較部による比較結果に基づいて前記運筆動作の評価を行う第1評価部と、前記第1評価部による評価結果を出力する出力部とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の書字訓練支援装置は、前記第1表示部に表示されている前記模範文字の画像と前記第2表示部に表示されている被訓練者により書字された運筆画像を比較する第2比較部と、前記第2比較部による比較結果に基づいて前記運筆画像の評価を行う第2評価部とを備え、前記出力部は、前記第2評価部による評価結果を出力することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の書字訓練支援装置は、模範文字を入力する模範文字入力部と、前記模範文字入力部において、前記模範文字を書字する際の入力デバイスの先端の平面座標の変化に基づいて前記模範文字の画像データを生成する画像データ生成部と、前記入力デバイスの先端の平面座標の変化を時系列データとして計測する計測部と、前記計測部における計測結果に基づいて前記模範文字を書字する際の模範運筆音データを生成する模範運筆音生成部と、前記画像データ生成部により生成された前記模範文字の画像データ及び前記模範運筆音生成部により生成された前記模範文字の模範運筆音データを記憶する運筆データ記憶部と、前記運筆データ記憶部に記憶されている前記模範文字の画像データに基づいて前記模範文字の画像を表示する表示部と、前記運筆データ記憶部に記憶されている前記模範文字の前記模範運筆音データに基づいて前記模範運筆音を出力する運筆音出力部とを備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の書字訓練支援装置は、模範文字の画像データと該模範文字を書字する際の模範運筆音データを記憶する運筆データ記憶部と、前記運筆データ記憶部に記憶されている前記模範文字の画像データ及び前記模範運筆音データをネットワークを介して接続されている被訓練者端末に送信する送信部とを備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の書字訓練支援装置は、前記運筆データ記憶部が前記模範文字を書字する際に計測された入力デバイスの先端の平面座標の変化を示す第1時系列データを記憶しており、被訓練者の運筆動作の際に前記被訓練者端末において計測された入力デバイスの先端の平面座標の変化を示す第2時系列データを前記ネットワークを介して受信する受信部と、前記第1時系列データと前記第2時系列データとを比較する第1比較部と、前記第1比較部による比較結果に基づいて前記運筆動作の評価を行う第1評価部と、前記第1評価部による評価結果を前記被訓練者端末に前記ネットワークを介して送信する送信部とを備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の書字訓練支援装置は、前記受信部が前記被訓練者端末において被訓練者により書字された運筆画像の画像データを受信し、前記運筆画像の画像データと前記運筆データ記憶部により記憶されている前記模範文字の画像データを比較する第2比較部と、前記第2比較部による比較結果に基づき前記運筆画像の評価を行う第2評価部とを備え、前記送信部は、前記第2評価部による評価結果を前記被訓練者端末に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、書字における正しい空間的配置を習得することができるのみならず、正しい運筆動作の時間的構造の習得を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態に係る書字訓練支援装置のブロック構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る運筆データ記憶部に記憶されている画像データに基づく模範文字の画像を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る運筆データ記憶部に記憶されている模範文字の模範運筆音データを示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る書字訓練支援装置の表示部の構成を示す図である。
【図5】第1の実施形態に係る書字訓練支援装置による書字訓練支援について説明するフローチャートである。
【図6】第2の実施形態に係る書字訓練支援装置のブロック構成図である。
【図7】第2の実施形態に係る書字訓練支援装置による模範運筆音記憶処理について説明するフローチャートである。
【図8】第3の実施形態に係る書字訓練支援装置のブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る書字訓練支援装置について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る書字訓練支援装置2のブロック構成図である。図1に示すように、書字訓練支援装置2は、装置全体の制御を行うCPU10を備えており、CPU10には、運筆データ記憶部12、モニタ内蔵ペンタブレット14及びヘッドホン(運筆音出力部)16が接続されている。
【0022】
運筆データ記憶部12には、模範文字の画像データと、この模範文字を書字する際の模範運筆音データが記憶されている。即ち、模範文字の画像データとして例えば図2に示すような文字の画像データ(「文」の文字の画像データ)が記憶されている。また、模範運筆音データとして、模範文字の画像データに対応させて例えば図3に示すような模範文字(「文」の模範文字)を書字する際の模範運筆音データが模範文字の一点画ごとに対応した模範運筆音データとして記憶されている。更に、模範文字を書字する際に計測されたペンタブレットのモニタ上を移動する入力デバイスの先端のピクセル平面座標の変化を示す時系列データ(第1時系列データ)が記憶されている。なお、模範運筆音とは、硬筆ペンなどにより紙に模範文字が書字された際に発生する音のことである。
【0023】
モニタ内蔵ペンタブレット14は、図4に示すように、左右に並べて配置されている第1表示部(お手本側)14a、第2表示部(被訓練者側)14bを備えており、第1表示部14aには、運筆データ記憶部12に記憶されている模範文字の画像データに基づいて模範文字の画像が表示され、第2表示部14bには、被訓練者がペン入力デバイスにより書字した文字の運筆画像が表示される。ヘッドホン16は、第1表示部14aに表示されている模範文字の模範運筆音を運筆データ記憶部12に記憶されている模範運筆音データに基づいて出力する。
【0024】
次に、図5のフローチャートを参照して、この実施形態に係る書字訓練支援装置による書字訓練支援について説明する。なお、以下の説明においては、図2に示す模範文字「文」を用いた被訓練者に対する書字訓練支援について説明する。
【0025】
CPU10は、運筆データ記憶部12に記憶されている模範文字の画像データを読み出し、図4に示すようにモニタ内蔵ペンタブレット14の第1表示部14aに模範文字の画像を表示する(ステップS10)。次に、運筆データ記憶部12に記憶されている模範文字の模範運筆音データを読み出し、ヘッドホン16から模範運筆音の出力を行う(ステップS11)。即ち、模範文字を構成する第1点画(図2において(1)で示す点画)の運筆音(図3において(1)で示す模範運筆音)の出力を行う。従って、被訓練者は、模範運筆音に合わせて模範文字を構成する第1点画をモニタ内蔵ペンタブレット14の第2表示部14b上において、図示しないペン入力デバイスにより書字する。
【0026】
第2表示部14b上において、ペン入力デバイスにより書字が行われた場合には(ステップS12)、第2表示部14bのモニタ上を移動するペン入力デバイスの先端のピクセル平面座標の変化を時系列データ(第2時系列データ)として計測する(ステップS13)。また図4に示すように第2表示部14bのモニタ上に被訓練者による運筆画像が表示される(ステップS14)。
【0027】
次に、全点画分の模範運筆音の出力が終了したか否かの判別を行う(ステップS15)。この場合には、模範文字を構成する第4点画(図2において(4)で示す点画)の運筆音(図3において(4)で示す模範運筆音)の出力が終了したか否かの判別を行う。ステップS15において、全点画分の模範運筆音の出力が終了していないと判別された場合には、ステップS12に戻り、模範文字を構成する第2〜4点画(図2において(2)〜(4)で示す点画)の運筆音(図3において(2)〜(4)で示す模範運筆音)を模範文字を構成する第1点画の運筆音に続けて出力する。即ち、図3に示すような時間間隔で模範文字を構成する第2〜4点画の運筆音を断続的に出力する。従って、被訓練者は、模範運筆音に合わせて模範文字を構成する第2〜4点画をモニタ内蔵ペンタブレット14の第2表示部14b上において、図示しないペン入力デバイスにより書字する。
【0028】
第2表示部14b上において、ペン入力デバイスにより第2〜4点画の書字が行われることにより第2表示部14bのモニタ上を移動するペン入力デバイスの先端のピクセル平面座標の変化を一点画ごとに時系列データとして計測し、第2表示部14bのモニタ上に被訓練者により書字された第2〜4点画の運筆画像が表示される。
【0029】
ステップS15において、全点画分の模範運筆音の出力が終了したと判別された場合には、運筆データ記憶部12に記憶されている模範文字の第1時系列データと、被訓練者により書字が行われた際に計測された第2時系列データの比較を行う(ステップS16)。即ち模範文字を構成する点画ごとに運筆音の長さの比較、運筆音と運筆音の間隔の比較などを行う。
【0030】
次に、運筆データ記憶部12に記憶されている模範文字の画像データと、第2表示部14bのモニタ上に表示された被訓練者により書字された運筆画像の画像データの比較を行う(ステップS17)。即ち、模範文字を構成する点画ごとに、長さ、傾き、形状などの比較を行う。そして、ステップS16における比較結果に基づき運筆動作の評価を行うと共に、ステップS17における比較結果に基づき運筆画像の評価を行う(ステップS18)。
【0031】
即ち、ステップS16において行った模範文字を構成する点画ごとの運筆音の長さの比較により、模範文字を構成する点画ごとに、被訓練者の運筆動作速度が適正なのか、速すぎるのか、遅すぎるかの評価を行う。また、運筆音と運筆音の間隔の比較により、模範文字を構成する点画ごとの運筆動作の開始時が適正なのか、速すぎるのか、遅すぎるかの評価を行う。
【0032】
なお、この評価は、模範文字を構成する点画ごとの運筆音の長さに対して、被訓練者による運筆動作時間が予め定められている所定の閾値以内のずれである場合に適正と評価し、所定の閾値を越えて短い場合には速すぎると評価し、所定の閾値を越えて長い場合には遅すぎると評価する。また、模範文字を構成する点画間の時間に対して、被訓練者による運筆動作における点画間の時間が予め定められている所定の閾値以内のずれである場合に適正と評価し、所定の閾値を越えて短い場合には運筆動作の開始時が早すぎる評価し、所定の閾値を越えて長い場合には運筆動作の開始時が遅すぎると評価する。
【0033】
また、ステップS17において行った模範文字を構成する点画ごとの、長さ、傾き、形状などの比較により、被訓練者の書字した文字が模範文字に対して近似した形状の文字であるか、即ち一般に美しいと考えられている文字であるか否かの評価を行う。なお、この評価は、模範文字の画像データと被訓練者の運筆動作により書字された文字の画像データとの差異が予め定められている所定の閾値以内であれば近似した形状の文字と評価し、所定の閾値を越えていれば近似していない形状の文字と評価する。そして、ステップS18における評価結果の出力を第2表示部14aにおいて文字、または図形による表示により行う(ステップS19)。
【0034】
この実施形態に係る書字訓練支援装置によれば、被訓練者が模範となる模範文字の運筆動作のリズムに自分の運筆動作をリアルタイムで合わせることが可能となるため、正しい運筆動作の時間的構造を容易に習得することができる。
【0035】
なお、上述の実施形態において、模範運筆音を出録する際に、モニタ内蔵ペンタブレット14の第1表示部14aに表示されている模範文字の対応する画を識別表示するようにしてもよい。また、上述の実施形態においては、第1表示部及び第2表示部をモニタを内蔵したペンタブレットにより構成しているが、第1表示部を表示機能のみを有するモニタにより構成し、第2表示部をモニタを内蔵したペンタブレットにより構成してもよい。また、運筆音出力部としてヘッドホン16を用いているがスピーカから運筆音を出力するようにしてもよい。
【0036】
また、この実施形態においては、第2表示部をモニタを内蔵したペンタブレットにより構成しているが、第2表示部を表示機能のみを有するモニタにより構成し、被訓練者がデジタルペンにより書字した文字の画像を第2表示部に表示するようにしてもよい。この場合には、デジタルペンの先端の平面座標の変化を時系列データ(第2時系列データ)として計測する。
【0037】
次に、図6及び図7を参照して、本発明の第2の実施形態に係る書字訓練支援装置について説明する。図6は、第2の実施形態に係る書字訓練支援装置の構成を示すブロック図である。なお、第2の実施形態に係る書字訓練支援装置50は、第1の実施形態に係る書字訓練支援装置2の構成に模範文字入力部18を付加したものである。従って、第2の実施形態の説明においては、第1の実施形態に係る書字訓練支援装置の構成と同一の構成の詳細な説明は省略する。また、第2の実施形態の説明においては、第1の実施形態に係る書字訓練支援装置の構成と同一の構成には第1の実施形態で用いたものと同一の符号を用いて説明を行う。
【0038】
模範文字入力部18は、モニタを内蔵するペンタブレットにより構成されている。模範文字入力部18のペンタブレット上においてペン入力デバイスにより、模範文字の書字が行われた場合には、図7のフローチャートで示す模範運筆音の記憶処理が行われる。
【0039】
即ち、CPU10は、模範文字入力部18のペンタブレット上においてペン入力デバイスにより、模範文字の一点画分の書字が行われたことを認識した場合には(ステップS20)、ペンタブレットのモニタ上を移動するペン入力デバイスの先端のピクセル平面座標の変化を時系列データとして計測する(ステップS21)。またペンタブレットのモニタ上に模範文字の運筆画像を表示させる(ステップS22)。
【0040】
次に、模範文字の全点画分の書字が終了したことを示す運筆データ生成指示の有無の判別が行われ(ステップS23)、運筆データ生成指示が無い場合には、ステップS20に戻り、ステップS20〜ステップS23の処理を繰り返す。なお、運筆データ生成指示は、ペンタブレットのモニタ上に表示されている運筆データ生成ボタンをペン入力デバイスによりタッチすることにより行う。
【0041】
ステップS23において運筆データ生成指示がされたことを認識した場合には、ペンタブレット18のモニタ上に表示されている運筆画像に基づいて模範文字の画像データを生成し運筆データ記憶部12に記憶させる(ステップS24)。また、ステップS21において計測された計測結果に基づき、図3に示すような模範文字を書字する際の模範運筆音を生成する(ステップS25)。そして、生成された模範運筆音を運筆データ記憶部12に第1時系列データとして記憶させる(ステップS26)。
【0042】
この書字訓練支援装置50を用いた書字訓練支援は、第1の実施形態に係る書字訓練支援装置2を用いた書字訓練支援、即ち図5のフローチャートで示す書字訓練支援と同様の書字訓練支援が行われる。
【0043】
なお、この実施形態においては、模範文字入力部18がモニタを内蔵するペンタブレットにより構成されているが、デジタルペンにより構成してもよい。この場合には、デジタルペンにより模範文字の一点画分の書字が行われたことを認識した場合には(ステップS20)、デジタルペンの先端の平面座標の変化を時系列データとして計測する(ステップS21)。
【0044】
次に、図8を参照して本発明の第3の実施形態に係る書字訓練支援サーバ(書字訓練支援装置)及び被訓練者端末について説明する。図8は、第3の実施形態に係る書字訓練支援サーバ及び被訓練者端末の構成を示すブロック図である。
【0045】
図8に示すように、書字訓練支援サーバ60は、インターネット70を介して被訓練者端末80に接続されている。書字訓練支援サーバ60は、CPU61を備え、CPU61には、運筆データ記憶部62及び通信制御部63が接続されている。運筆データ記憶部62は、第1の実施形態に係る運筆データ記憶部12と同一の構成を有するものであり、通信制御部63は、被訓練者端末80との間の通信制御を行う。被訓練者端末80は、CPU81を備え、CPU81には、モニタ内蔵ペンタブレット82、ヘッドホン83、通信制御部84及び記憶部85が接続されている。モニタ内蔵ペンタブレット82及びヘッドホン83は、第1の実施形態に係るモニタ内蔵ペンタブレット14及びヘッドホン16と同一の構成を有するものであり、通信制御部63は、書字訓練支援サーバ60との間の通信制御を行う。また記憶部85は、書字訓練支援サーバ60から送信された運筆データを記憶する。
【0046】
書字訓練支援サーバ60は、運筆データ記憶部62に記憶されている模範文字の画像データ及び模範文字の模範運筆音データを通信制御部60及びインターネット70を介して被訓練者端末80に送信する。被訓練者端末80は、書字訓練支援サーバ60から送信された模範文字の画像データ及び模範運筆音データを通信制御部84を介して受信し記憶部85に記憶する。被訓練者端末80においては、記憶部85において記憶されている模範文字の画像データ及び模範運筆音データを用いて第1の実施形態に係る書字訓練支援装置2を用いた書字訓練支援、即ち図5のフローチャートのステップS10〜ステップS15で示す書字訓練支援と同様の書字訓練支援が行われる。
【0047】
そして、被訓練者端末80に備えられているモニタを内蔵ペンタブレット82において、被訓練者により書字された運筆画像の画像データ及び被訓練者が文字を書字する際に計測されたペンタブレットのモニタ上を移動する入力デバイスの先端のピクセル平面座標の変化を示す第2時系列データを書字訓練支援サーバ60へ通信制御部84及びインターネット70を介して送信する。
【0048】
書字訓練支援サーバ60は、被訓練者により書字された文字の画像データ及び第2時系列データを受信した場合には、運筆データ記憶部62に記憶されている第1時系列データと前記第2時系列データとを比較し、比較結果に基づいて被訓練者の運筆動作及び被訓練者により書字された文字の評価を、第1の実施形態に係る図5のフローチャートのステップS16〜ステップS18と同様にして行う。そして、評価結果を被訓練者端末80にインターネット70を介して送信する。
【0049】
被訓練者端末80においては、受信した評価結果を第1の実施形態に係る図5のフローチャートのステップS19と同様に表示する。
【0050】
この第3の実施形態においては、遠隔で書字訓練支援を行うことができる。またe−ラーニングに用いることができる。
【0051】
なお、この実施形態において、モニタ内蔵ペンタブレット82に代えて、モニタ及びデジタルペンを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の書字訓練支援装置は、正しい運筆動作の習得を行うことができる書字訓練の支援に用いることができる。
【符号の説明】
【0053】
2,50…書字訓練支援装置、10…CPU、12…運筆データ記憶部、14…モニタ内臓ペンタブレット、16…ヘッドホン、18…模範文字入力部、60…書字訓練支援サーバ、70…インターネット、80…被訓練者端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
模範文字の画像データと該模範文字を書字する際の模範運筆音データを記憶する運筆データ記憶部と、
前記運筆データ記憶部に記憶されている前記模範文字の画像データに基づいて前記模範文字の画像を表示する表示部と、
前記運筆データ記憶部に記憶されている前記模範文字の前記模範運筆音データに基づいて模範運筆音を出力する運筆音出力部と
を備えることを特徴とする書字訓練支援装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記模範文字の画像を表示する第1表示部と、被訓練者の運筆画像を表示する第2表示部を備え、
前記第1表示部と前記第2表示部は、並べて配置されていることを特徴とする請求項1記載の書字訓練支援装置。
【請求項3】
前記第2表示部は、モニタを内蔵したペンタブレットにより構成されていることを特徴とする請求項2記載の書字訓練支援装置。
【請求項4】
前記運筆データ記憶部は、前記模範文字を構成する一点画毎の前記模範運筆音データを記憶することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の書字訓練支援装置。
【請求項5】
前記運筆音出力部は、前記模範文字を構成する一点画毎の前記模範運筆音を断続的に出力することを特徴とする請求項4記載の書字訓練支援装置。
【請求項6】
前記運筆データ記憶部は、前記模範文字を書字する際に計測された入力デバイスの先端の平面座標の変化を示す第1時系列データを記憶しており、
被訓練者の運筆動作による入力デバイスの先端の平面座標の変化を第2時系列データとして計測する計測部と、
前記第1時系列データと前記第2時系列データとを比較する第1比較部と、
前記第1比較部による比較結果に基づいて前記運筆動作の評価を行う第1評価部と、
前記第1評価部による評価結果を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする請求項3〜5の何れか一項に記載の書字訓練支援装置。
【請求項7】
前記第1表示部に表示されている前記模範文字の画像と前記第2表示部に表示されている被訓練者により書字された運筆画像を比較する第2比較部と、
前記第2比較部による比較結果に基づいて前記運筆画像の評価を行う第2評価部と
を備え、
前記出力部は、前記第2評価部による評価結果を出力することを特徴とする請求項2〜6の何れか一項に記載の書字訓練支援装置。
【請求項8】
模範文字を入力する模範文字入力部と、
前記模範文字入力部において、前記模範文字を書字する際の入力デバイスの先端の平面座標の変化に基づいて前記模範文字の画像データを生成する画像データ生成部と、
前記入力デバイスの先端の平面座標の変化を時系列データとして計測する計測部と、
前記計測部における計測結果に基づいて前記模範文字を書字する際の模範運筆音データを生成する模範運筆音生成部と、
前記画像データ生成部により生成された前記模範文字の画像データ及び前記模範運筆音生成部により生成された前記模範文字の模範運筆音データを記憶する運筆データ記憶部と、
前記運筆データ記憶部に記憶されている前記模範文字の画像データに基づいて前記模範文字の画像を表示する表示部と、
前記運筆データ記憶部に記憶されている前記模範文字の前記模範運筆音データに基づいて前記模範運筆音を出力する運筆音出力部と
を備えることを特徴とする書字訓練支援装置。
【請求項9】
模範文字の画像データと該模範文字を書字する際の模範運筆音データを記憶する運筆データ記憶部と、
前記運筆データ記憶部に記憶されている前記模範文字の画像データ及び前記模範運筆音データをネットワークを介して接続されている被訓練者端末に送信する送信部と
を備えることを特徴とする書字訓練支援装置。
【請求項10】
前記運筆データ記憶部は、前記模範文字を書字する際に計測された入力デバイスの先端の平面座標の変化を示す第1時系列データを記憶しており、
被訓練者の運筆動作の際に前記被訓練者端末において計測された入力デバイスの先端の平面座標の変化を示す第2時系列データを前記ネットワークを介して受信する受信部と、
前記第1時系列データと前記第2時系列データとを比較する第1比較部と、
前記第1比較部による比較結果に基づいて前記運筆動作の評価を行う第1評価部と、
前記第1評価部による評価結果を前記被訓練者端末に前記ネットワークを介して送信する送信部と
を備えることを特徴とする請求項9に記載の書字訓練支援装置。
【請求項11】
前記受信部は、前記被訓練者端末において、被訓練者により書字された運筆画像の画像データを受信し、
前記運筆画像の画像データと前記運筆データ記憶部により記憶されている前記模範文字の画像データを比較する第2比較部と、
前記第2比較部による比較結果に基づき前記運筆画像の評価を行う第2評価部と
を備え、
前記送信部は、前記第2評価部による評価結果を前記被訓練者端末に送信することを特徴とする請求項9または10に記載の書字訓練支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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