説明

書画カメラ装置

【課題】画像の取込み時において安定した輝度を有する画像を得ることな書画カメラ装置を提供する。
【解決手段】書画を載置することのできる透過型の表示部を備えた表示器3と、 前記表示部上に載置した書画を撮影する書画カメラ2と、前記書画カメラで撮影した画像を格納して処理するメモリ6及びCPU7と、前記撮影した画像の輝度むらを前記画像の各部毎に検出する検出部と、前記検出部の検出結果を基に前記表示部の表示光を調整する表示制御部8を備え、輝度むらが所定値以上で白飛びをしている部分を検出したとき、該部分に対応する表示器の表示部を白色に発光させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書画カメラ装置にかかり、特に書画を載置することのできる透過型の表示部を有する表示器を備えた書画カメラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行業務などにおいて、伝票等の書画を書画カメラで読取る際には、前記書画を照射する外光の影響を強く受ける。すなわち、前記外光の影響により、読み取る書面の明るさは、通常、均一となってはいないため、読取った書画データの一部、例えば外光の当たる部分のコントラストが他の部分と相違することになる。このような場合においては、書画データに読取り易い部分と読取り難い部分が発生する。
【0003】
このような読取り易さの差を緩和するために、読取ったデータをソフトウェアにより処理する方法、例えば部分的に2値化する閾値を調整する方法が知られている。
【0004】
特許文献1には、基準とする照度環境から照度が変動したと判定したとき、補正画像格納メモリに複写された画像データを用いて濃度補正処理を施ことにより、読取精度を向上することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−157155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、書画を読み取る際の書面の明るさは、外光の影響により均一とならない。このため、書画を読み取った画像のコントラストは一定にならず、暗い部分の文字が黒く潰れ、明るい部分の文字が白飛びして取り込めない場合が生じる。
【0007】
このため、書画カメラにおいては、読み取った画像のコントラストを均一とすることが重要である。
【0008】
これに対して、従来の技術は、読取った画像に対して、部分的にソフトウェアによる処理を施してコントラストの補正を実行している。
【0009】
読取った画像に対して部分的に補正することは、その部分の画像データを読み易くするための加工を施すことになる。しかしながら、印影データのように読取ったイメージデータに加工を施すことなく使用することが望ましいデータに対しては、画像の取込み時において安定したコントラストを得ることが必要となる。
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、画像の取込み時において安定したイメージデータを得ることのできる書画カメラ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記課題を解決するため、次のような手段を採用した。
【0012】
書画を載置することのできる透過型の表示部を備えた表示器と、
前記表示部上に載置した書画を撮影する書画カメラと、
前記書画カメラで撮影した画像を格納して処理するメモリ及びCPUと、
前記撮影した画像の輝度むらを前記画像の各部毎に検出する検出部と、
前記検出部の検出結果を基に前記表示部の表示光を調整する表示制御部を備え、
輝度むらが所定値以上で白飛びをしている部分を検出したとき、該部分に対応する表示器の表示部を白色に発光させて白飛びを抑制する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以上のように、書画を透過型の表示部上に載置し、前記表示部によりコントラストを調整してから書画を読み取るため、画像の取込み時において安定したイメージデータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】書画カメラ装置の概略構成を説明する図である。
【図2】書画カメラ装置および書画カメラ装置を制御する制御装置の詳細を説明する図である。
【図3】制御装置の処理フローを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態を添付図面を参照しながら説明する。図1は、書画カメラ装置の概略構成を説明する図、図2は、書画カメラ装置および書画カメラ装置を制御する制御装置(PC)の詳細を説明する図、図3は前記制御装置の処理フローを説明する図である。
【0016】
図1に示すように、書画カメラ装置1は書画カメラ部2と透過型の表示器例えば液晶表示器3を備える。また、図2に示すように、書画カメラ装置1は制御装置4に接続され、制御装置4は、書画カメラ部2を制御し、また、書画カメラ2が撮影した画像データを受信する。
【0017】
書画カメラ制御部5は、書画カメラ装置1のカメラ部を制御するとともに、カメラ部2撮影した画像データを受信し、受信した画像データをメモリ6に格納する。
【0018】
液晶表示制御部8は、書画カメラ装置1の液晶表示器3の表示を制御する。また、画面表示制御部9は、オペレータ向けの表示装置10に表示する画像データ及び文字認識データの表示を制御する。また、CPU7は、各制御部をコントロールする。
【0019】
次に、図3を参照して、全体の処理フローを説明する。まず、オペレータは顧客から伝票を受け取り、書画カメラ装置1の液晶表示器3上に置き、伝票の読取り操作を開始する(ステップ101)。書画カメラ2は前記伝票の画像を読取り、制御装置4の書画カメラ制御部5は読み取った前記伝票の画像データを受け取り、メモリ4に格納する。CPU7は、前記画像データの黒部分の輝度が均一(輝度が所定範囲内)であるか否かをチェックする(ステップ102)。黒部分の輝度が均一であれば(少なくとも重要度の高い読み取り範囲内において均一であれば)、読取ったデータが最適なものであるとして、画像データからの文字認識あるいは画像データから印影部の切り出し等の処理を実施する(ステップ103,109)。
【0020】
黒部分の輝度が所定範囲内でなければ、輝度の高い領域(外光が強く当ることで白飛びをしている領域等)を検出し(ステップ105)、液晶表示器3の前記領域に対応する部分を白に発光するように、液晶表示制御部8を制御する(ステップ106)。このように液晶表示器により書画の白飛びしている部分の裏面を照射すると、白飛びを抑制して書画表面に記載された文字を認識しやすくすることができる。
【0021】
なお、伝票の読取りにおいては、業務の種類毎にそれぞれ重要度の高い読み取り領域が存在する。このように重要度の高い領域に対しても、前述と同様に、画像データの黒部分の輝度が所定範囲内であるか否かをチェックし、黒部分の輝度が所定範囲内でなければ、輝度の高い領域(外光が強く当ることで読みにくくなっている部分)を検出し(ステップ107)、液晶表示器3の前記輝度の高い領域に対応する部分を白に発光するように、液晶表示制御部8を制御する(ステップ108)。
【0022】
なお、前記ステップ107,108は、前記ステップ104に続いて実行することができる。
【0023】
以上説明した黒部分の輝度に対する調整を、黒部分の輝度が所定範囲に入るまで繰り返し実施し、画面全体、あるいは前記重要部分における黒部分の輝度が所定範囲内に収まったところで、伝票の読取りを実施する。このようにして画像の黒部分の輝度が最適な状態となったところで、文字の認識を実施する。
【0024】
なお、外光が十分に得られず、液晶表示器上に載置した伝票が暗い場合がある。この場合、液晶表示器3の発光を強くする。この場合には、伝票表面で反射する光により画像を読取るのでなく、伝票を透過する光により画像を読取ることになる。
【0025】
この場合においても、前記液晶表示器3の発光強度及びその分布を調整して、再度、画像を取り込むことを繰り返し、取り込んだ画像の文字認識の結果から、前記液晶表示器を認識に適した発光強度及びその分布で発光させることができる。すなわち、前記液晶表示器に画像認識に適した画像を表示することができる。このため、印影データのように、ソフトウエアによる加工が施されていないデータの保管したい場合に好適である。
【0026】
また、前述のように輝度を調整して画像を読み取っても、文字認識ができない場合がある。例えば、認識すべき文字が、罫線等の周辺の印刷部分にかかるように記載された文字である場合には、文字認識が困難となる。このような場合においては、前記液晶表示器の発光色を罫線と同じ色にする。こうすると、罫線が読取りにくくなり、記入した文字は読取りやすくなる。
【0027】
以上の例では、読み取り対象である伝票を表示器の予め定められた位置に配置することを前提に説明した。しかし、伝票を前記表示器の外光による影響の少ない位置におくこともできる。この場合には、何も表示しない状態の液晶表示器3および白を表示した状態の液晶表示器3とを書画カメラ部2で撮像して画像を取得し、取得した画像に存在するむらの程度を調べ、所定以上の画質で画像が読取れている場所及び表示の状態を、読み取りに適した位置(伝票をおく位置)及び表示の状態として指定して伝票を読取ることもできる。
【0028】
伝票の置く位置の指定は、書画カメラ装置1の伝票を置く台が液晶表示器3であるため、該表示器をを利用して表示することができる。また、伝票をおく位置は、オペレータが行う業務毎に、伝票の大きさ、伝票上の読取り位置が異なるため、伝票の読取り位置が読み取りに適した位置となるように、伝票毎に案内を表示することが望ましい。
以上は、液晶表示器の発光強度を調整することにより、所望のコントラストを得て、これにより文字認識をするための最適なデータを得る点について説明した。しかし、伝票の画像をイメージデータとして処理をする場合においては、イメージデータの必要な部分を認識しやすくすることもできる。すなわち、認識しやすくしたいイメージデータの色に対して補色となる色で液晶表示器3を発光させる。
【0029】
このように補色となる色で表示器を発色させることで、必要とする部分のイメージデータを目立たせることができる。例えば、印鑑は朱肉を使って押印されるので、赤色となっている。この場合、印鑑部分の背景を緑に発色させることで、印鑑を目立たせることができ、書画カメラ部2で読取ったイメージデータを表示装置10に表示する場合、見やすい画像となる。
【0030】
また、本実施形態では、書画カメラ装置1の伝票置台を液晶表示器3で構成している。このため、液晶表示器3に様々な表示をさせることができる。例えば、前記書画カメラ装置1が銀行のオペレータ操作用として設置されている場合は、オペレーションの補助になる補助情報、操作ガイド等を液晶表示器3に表示することができる。これにより、オペレータ向けの表示装置10の表示に影響を与えることがなく、オペレータ操作の補助ができる。
【0031】
前記書画カメラ装置1を銀行の相談コーナに設置する場合は、顧客に案内する情報を表示することで、顧客への案内表示器の代わりとして使用することができる。この場合には、顧客向けに表示器を新たに設置することなく、設置機器の削減と省スペースを図ることができる。
【0032】
また、印影のように色の付いたデータで、ソフトウエアによる加工が施されないデータを保管したい場合にも適している。
【0033】
以上説明したように、銀行使用される書画カメラは伝票を読取るためであり、前記伝票は薄い紙媒体あり、光を完全に遮断することはない。
【0034】
書画カメラで読取った画像の中で黒部分の輝度に差が生じるのは、外光が伝票に対して均一に当っていないことに起因する。このため、前記伝票の裏側から光を当てることで、読取った画像の黒部分の輝度を調整することができる。すなわち、伝票を置く台に液晶表示器を使用して、該表示器の発光強度分布を前記外光による影響の相殺するように変更することができる。このように、読取った画像の黒部分の輝度が均一でない場合は、伝票に裏から当たる光量の調整をすることことにより外光の不均一を補償することができる。このように液晶表示器の発光強度を調整してから、再度書類を読取ることで最適な画像を取り込むことができる。
【0035】
このように、外光の影響を少なくすることで、読取る画像の黒部分の輝度を安定させることができ、画像のコントラストが安定することで、読取った画像データからの文字認識の精度を向上させることができる。また、文字認識をすべき文字が伝票の罫線にかかっている場合は、罫線が赤であるなら伝票を置く台となっている液晶表示器で赤色を発色させることで、罫線を読取りにくくして、画像認識における文字の読取り精度を向上させることもできる。また文字認識の精度を向上させながら、読取り画像をソフトウエアにより加工していないので、印影のデータとしての利用に好適である。
【符号の説明】
【0036】
1 書画カメラ装置
2 書画カメラ部
3 液晶表示器
4 制御装置
5 書画カメラ制御部
6 メモリ
7 CPU
8 液晶表示制御部
9 画面表示制御部
10 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
書画を載置することのできる透過型の表示部を備えた表示器と、
前記表示部上に載置した書画を撮影する書画カメラと、
前記書画カメラで撮影した画像を格納して処理するメモリ及びCPUと、
前記撮影した画像の輝度むらを前記画像の各部毎に検出する検出部と、
前記検出部の検出結果を基に前記表示部の表示光を調整する表示制御部を備え、
輝度むらが所定値以上で白飛びをしている部分を検出したとき、該部分に対応する表示器の表示部を白色に発光させて白飛びを抑制することを特徴とする書画カメラ装置。
【請求項2】
書画を載置することのできる透過型の表示部を備えた表示器と、
前記表示部上に載置した書画を撮影する書画カメラと、
前記書画カメラで撮影した画像を格納して処理するメモリ及びCPUと、
前記撮影した画像の重要部分を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果を基に前記重要部分のコントラストが高くなるように前記表示部の表示を調整する画面表示制御部を備えたことを特徴とする書画カメラ装置。
【請求項3】
書画を載置することのできる透過型の表示部を備えた表示器と、
前記表示部上に載置した書画を撮影する書画カメラと、
前記書画カメラで撮影した画像を格納して処理するメモリ及びCPUと、
前記撮影した画像の重要部分を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果を基に前記表示部の表示色を調整する画面表示制御部を備え、
検出部が重要部分を検出したとき、該部分に対応する表示器の表示部を前記重要部分の補色に発光させることを特徴とする書画カメラ装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1記載の書画カメラ装置において、
液晶表示器を発光させない状態および液晶表示器を白に発光させた状態での画像をそれぞれ書画カメラ部で取得し、所定のコントラストが得られた前記発光状態および場所を書画を載置する場所および発光状態として案内表示することを特徴とする書画カメラ装置。
【請求項5】
請求項1ないし3の何れか1記載の書画カメラ装置において、
前記表示部に顧客に対する案内情報を表示することを特徴とする書画カメラ装置。
【請求項6】
請求項1ないし3の何れか1記載の書画カメラ装置において、
前記表示部を前記書画に記載されている罫線と同じ色に発光させることを特徴とする書画カメラ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−119866(P2012−119866A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266858(P2010−266858)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】