説明

書画カメラ装置

【課題】媒体の撮影を行なった後、再度書画台を撮影したり、媒体を回収する旨の文言を表示させたりすることなく、媒体を確実に回収させることができる書画カメラ装置を提供する。
【解決手段】書画台4上に載置した媒体10を上方から撮影するスキャナヘッドを備えた書画カメラ装置1であって、操作者に対して操作に関連する情報を表示する液晶ディスプレイ(LCD)5を書画台4に設けると共に、該LCD5を制御するCPUを備え、スキャナヘッドが媒体10を撮影した後の次の操作に関連する次操作関連情報(個人情報11)を、媒体10と重なる位置に表示させる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、書画台上に載置した媒体を上方から撮影する撮影手段を備えた書画カメラ装置に関し、詳しくは、前記撮影手段による撮影後、媒体を確実に回収させることができるような書画カメラ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀行等の営業店窓口では、伝票や免許証等の媒体の画像データ取得を目的として書画カメラ装置が利用されている。この書画カメラ装置は、日光や人工照明等の外光を利用して媒体を撮影しているため、媒体を載置する書画台は一般的に開放されている。
【0003】
このため、操作者は、媒体の撮影後、これを回収し忘れて書画台上に放置してしまうことがあった。この場合、第三者によって書画台上の媒体が無断で持ち出される虞があることから、従来より、媒体の回収し忘れ防止策として様々な手法が提案されている。
【0004】
例えば、書画カメラ装置で媒体の撮影を行なった後、再度書画台の撮影を行ない、この撮影により取得した画像データに基づいて、媒体の有無を検出する手法が提案されている。この場合、媒体が検出されれば、媒体を回収し忘れている可能性があると判定し、書画カメラ装置に接続したディスプレイやスピーカー等により、媒体を回収し忘れている旨の報知が行なわれる。
【0005】
しかし、上述した手法では、書画台上に物体以外の媒体が載置されていた場合であっても、この物体を検出することにより、媒体有りと判定される虞がある。また、書画カメラ装置の性質上、外光の影響で撮影される像が変化するため、媒体が書画台上にない場合でも、媒体有りと判定される虞もある。
【0006】
ところで、下記特許文献1には、主としてATM等、帳票媒体読取装置が設けられた自動取引装置において、媒体を挿入口に挿入した際、不具合によって媒体を傷つけることがないように、非接触方式で媒体を読み取ることができるスキャナカメラを設置したものが開示されている。
【0007】
下記特許文献1では、顧客操作型端末装置の操作用タッチパネルを上方から撮影するようにスキャナカメラが取り付けられており、タッチパネル上に載置された媒体をスキャナカメラで撮影した後、タッチパネル面に媒体の回収を促す情報を表示させることで、媒体の回収し忘れを防止するようにしている。
【0008】
しかしながら、下記特許文献1の場合、媒体を回収する旨の文言を表示させるための処理が必要になるという問題があった。
【0009】
また、下記特許文献2では、檻や扉を模したカード(媒体)をディスプレイ上に載置させることで、前記カードと重なる位置に動物のCGを表示するものが開示されている。
【0010】
しかしながら、下記特許文献2は、あくまでも檻の中や扉の奥に動物がいることを仮想的に表現する目的でディスプレイ上にCGを表示しているに過ぎず、ディスプレイの表示を参照したとしても、操作者に対してカードの載置、移動を促すことしかできない。つまり、下記特許文献2では、ディスプレイの表示によってカードの回収を促すことまではできず、下記特許文献2に開示された構成を書画カメラ装置に適用したとしても、書画台上に載置された媒体を確実に回収させることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4057518号公報
【特許文献2】特開2003−330615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
この発明は、上述の問題に鑑み、媒体の撮影を行なった後、再度書画台を撮影したり、媒体を回収する旨の文言を表示させたりすることなく、媒体を確実に回収させることができる書画カメラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、書画台上に載置した媒体を上方から撮影する撮影手段を備えた書画カメラ装置であって、操作者に対して操作に関連する情報を表示する表示手段を前記書画台に設けると共に、前記表示手段を制御する表示制御手段を備え、該表示制御手段は、前記撮影手段が前記媒体を撮影した後の次の操作に関連する次操作関連情報を、前記媒体と重なる位置に表示させる構成であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
この発明により、媒体の撮影を行なった後、再度書画台を撮影したり、媒体を回収する旨の文言を表示させたりすることなく、媒体を確実に回収させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る書画カメラ装置の全体構成を示す図。
【図2】書画カメラ装置の平面図。
【図3】書画カメラ装置の動作を示すフローチャート。
【図4】載置位置案内情報の表示例を示す図。
【図5】媒体撮影時の状態を示す図。
【図6】次操作関連情報の表示例を示す図。
【図7】本発明の他の実施形態に係る書画カメラ装置の書画カメラ調整処理を示すフローチャート。
【図8】書画台に何も載置しないように指示する時の文言表示例を示す図。
【図9】書画カメラ装置の調整処理によって液晶ディスプレイを黒色に設定した状態を示す図。
【図10】書画カメラ装置の調整処理によって液晶ディスプレイを白色に設定した状態を示す図。
【図11】書画カメラ装置の調整処理が終了したことを報知する時の文言表示例を示す図。
【図12】外光反射検出時における載置位置案内情報の表示例を示す図。
【図13】外光反射検出時における次操作関連情報の表示例を示す図。
【図14】本発明のさらに他の実施形態に係る次操作関連情報の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は、本実施形態に係る書画カメラ装置の全体構成を示す図であり、図2は、書画カメラ装置の平面図である。図1、図2に示す書画カメラ装置1は、媒体を上方から撮影する撮影手段としてのスキャナヘッド2と、該スキャナヘッド2を支持する支柱3と、媒体を載置するための書画台4とを備えている。そして、書画台4には、その略全面に亘って、表示手段としての液晶ディスプレイ(以下、LCD)5が内蔵されている。
【0017】
また、書画カメラ装置1は、その全体を制御する制御手段としてのCPU20と、操作者による適宜の操作によって入力を受付ける操作入力手段としてのキーボード21、スイッチ22と、メモリ23とを備えており、CPU20には、スキャナヘッド2、LCD5、キーボード21、スイッチ22、及びメモリ23が接続されている。
【0018】
また、メモリ23内には、書画カメラ1の動作を制御するための各種プログラムの他、操作時において必要とされる各種データ等が記憶されており、例えば、スキャナヘッド2の制御プログラムや、LCD5の制御プラグラムの他、LCD5に表示される表示画面のレイアウトに関連する表示画面データ等を記憶している。さらに、メモリ23は、スキャナヘッド2による撮影で取得した画像データや、キーボード21、スイッチ22の操作により入力された入力情報等を一時的に記憶する機能も有している。
【0019】
次に、図3に示すフローチャートと共に、書画カメラ装置1の動作を説明する。
CPU20は、メモリ23内に記憶された表示画面データの中から所定のデータを読み出して、LCD5に図4に示すような載置位置案内情報を表示させ、媒体の撮影を受付ける(ステップS101)。
【0020】
載置位置案内情報は、図4に示すように、媒体10(図5、図6参照)を載置する位置を示す位置表示部6と、該位置表示部6に媒体10を載置することを促す内容の文言を記載した文言表示部7と、これら位置表示部6、文言表示部7を関連付ける矢印形状の案内表示部8とにより構成されている。
【0021】
ここで、位置表示部6、文言表示部7、及び案内表示部8は、予め表示位置が決められており(この表示位置をデフォルト位置という)、これらのデフォルト位置は、例えば、図示のようにそれぞれLCD5(書画台4)の左上部、下部、左中間部に設定されている。これらのデフォルト位置データは、メモリ23に記憶されている。
【0022】
操作者は、前記載置位置案内情報の表示に基づき、書画台4の所定位置(位置表示部6の位置)に、情報印刷面が上面になるように媒体10を載置する。そして、媒体10の載置が完了したことを、キーボード21やスイッチ22を操作することにより、書画カメラ装置1に認識させる。
【0023】
CPU20は、キーボード21やスイッチ22の操作を検出することにより、書画台4に媒体10が載置されたと判定し(ステップS102:YES)、ステップS103に移行する。一方、キーボード21やスイッチ22の操作を検出できなかった時は、書画台4に媒体10が載置されていないと判定し(ステップS102:NO)、前記操作が検出されるまでステップS102の処理を繰り返す。
【0024】
次に、操作者が書画台4に媒体10を載置すると、CPU20は、LCD5の電源をOFFにするか、いわゆるスリープ(省電力)モードにするか、または表示色を黒色にする等して、図5に示すように、LCD5(書画台4)の色を黒色に設定する(ステップS103)。これにより、次のステップS104では、LCD5からの光の影響を受けることなく媒体10の撮影を行なうことができ、その結果、鮮明な画像データを取得することができるようになっている。
【0025】
なお、ステップS103では、上述したようにLCD5の色を黒色に設定することとしたが、必ずしもこれに限定されるものではない。LCD5からの光の影響を考慮しなくてもよい場合には、例えば、撮影時にLCD5の表示を切り替えることで、操作者に撮影中であることを示すようにしてもよい。この場合、スキャナヘッド2により撮影する範囲を書画台4全体でなく、媒体10及びその周辺に絞り込むことができるのであれば、撮影範囲以外の位置に、「画像取得中」の文言を表示することで、操作者に対し、書画台4に載置された媒体を動かさないように指示することができる。
【0026】
ステップS104では、スキャナヘッド2が、書画台4に載置された媒体10を撮影し、その情報印刷面に印刷された情報を画像データとして取得する。そして、CPU20は、スキャナヘッド2により取得した画像データを解析することにより、前記印刷面に印刷された情報を認識して、該情報を取得する(ステップS105)。この時、CPU20は、前記画像データから取得した情報をメモリ23に一時的に記憶させる。
【0027】
次に、CPU20は、前記画像データから取得した前記情報をメモリ23から読み出し、この情報を、後述する次操作関連情報としてLCD5に表示させる(ステップS106)。図6は、媒体10として免許証を使用した場合を示しており、図6では、次操作関連情報として、免許証の情報印刷面に印刷された氏名、住所、生年月日等の個人情報11が表示されている。なお、図4〜図6では、便宜上、支柱3及びスキャナヘッド2を省略している。
【0028】
CPU20は、ステップS106の後、個人情報11の内容確認操作を受付ける(ステップS107)。これにより、操作者は、媒体10を撮影した後の次の操作として、LCD5に表示された個人情報11の内容確認操作を行なう。この内容確認操作では、操作者が、個人情報11の内容を目視で確認した後、キーボード21やスイッチ22を操作することによって、内容確認が完了したことを書画カメラ装置1に認識させる。本実施形態では、操作者が、内容確認操作において個人情報11の内容を目視で確認することから、この個人情報11が、媒体10を撮影した後の次の操作に関連する次操作関連情報となる。
【0029】
ここで、CPU20は、ステップS106において、次操作関連情報としての個人情報11を、図6に示すように、その一部が媒体10と重なるように表示させる。個人情報11は、その表示位置が予め決められており(この表示位置をデフォルト位置という)、そのデフォルト位置が、位置表示部6の表示位置、つまりは媒体10が載置される位置と重なるようにLCD5(書画台4)の上部に設定されている。このデフォルト位置データは、メモリ23に記憶されている。
【0030】
本実施形態では、CPU20が、次操作関連情報を媒体10と重なる位置に表示させる表示制御手段として機能している。
【0031】
このようにして、個人情報11を媒体10と重なる位置に表示させると、個人情報11の一部が媒体10の下に隠れることになるため、操作者は、媒体10が邪魔になって個人情報11の内容確認を行なうことができなくなる。この時、操作者は、次の操作のために、媒体10を手に取ってこれを回収しようとする。
【0032】
本実施形態では、媒体10と重なる位置に個人情報11(次操作関連情報)を表示させることで、次の操作が書画台4上の媒体10によって妨げられることになる。この場合、書画カメラ装置1を操作する一連の過程において、上述したように媒体10を必然的に回収しなければならない状態が生じることになるため、媒体10の撮影を行なった後、再度書画台4を撮影したり、媒体10を回収する旨の文言をLCD5に表示させたりすることなく、媒体10の回収を促すことができ、媒体10を確実に回収させることができる。
【0033】
また、図6に示すように、個人情報11を媒体10の一部と重なるように表示させることで、操作者は、媒体10の下に隠れていない部分の表示内容に基づいて、次の操作内容を早期かつ確実に把握することができる。これにより、操作者の操作性を向上させることができる。
【0034】
次に、図7〜図13を参照して、他の実施形態に係る書画カメラ装置について説明する。
書画カメラ装置1を用いて媒体10の撮影を行なう場合、日光や人工照明等の外光が書画台4で反射することにより、取得した画像データの鮮明度が外光の影響を強く受けることがある。特に、媒体10が、免許証のように光を反射しやすい材質からなるものや、媒体保護のためにラミネート加工されたものである場合、鮮明度は、外光の反射による影響を強く受ける。また、書画台4に当たる外光の光量の変化、光の色の変化等の影響も受ける。このため、画像データを最適なものにするための調整が必要になる。
【0035】
そこで、本実施形態では、図3のステップS101の処理を実行する前に、図7に示す書画カメラ調整処理を実行する。図7は、書画カメラ調整処理を示すフローチャートである。なお、以下に説明する各実施形態では、書画カメラ装置1のハードウェア構成が、図1〜図6に示す先の実施形態と略同様であるため、先の実施形態と同様の構成は同一の符号を付して説明を省略する。
【0036】
書画カメラ調整処理では、先ず、操作者が所定の操作をキーボード21やスイッチ22で行なうことにより、CPU20が、メモリ23内に記憶された表示画面データの中から所定のデータを読み出し、図8に示すように、書画台4に何も載置しないように指示する内容の文言を記載した文言表示部12をLCD5に表示させる(ステップS201)。
【0037】
この時、操作者は、LCD5に表示された文言表示部12の内容に従って、LCD5に載置したものがあれば、これを回収し、例えば、キーボード21やスイッチ22等の操作によって、書画台4に何も載置してないことを書画カメラ1に認識させる。
【0038】
次に、CPU20は、図9に示すように、LCD5(書画台4)の色を黒色に設定して、書画台4を撮影させ(ステップS202)、その後、図10に示すように、LCD5(書画台4)の色を白色に設定して、書画台4を撮影させる(ステップS203)。
【0039】
CPU20は、ステップS202、S203の撮影により取得した2つの画像データを解析し、LCD5の色と異なる色の部位が存在しているか否かを判定する。ここで、図8〜図13は、書画台4の左上部で外光が反射している場合を示しており、図中の符号13で示す部位は、外光の反射部分である。
【0040】
図8〜図13に示すように、外光が書画台4上で反射している場合には、書画台4を撮影した時、反射部分13が撮影されることから、取得した画像データからLCD5の色と異なる色の部分を検出することにより、外光反射を検出することができる。CPU20は、LCD5の色と異なる色の部位が存在していれば、書画台4上で外光が反射していると判定し(ステップS204:YES)、ステップS205に移行する。
【0041】
ステップS205では、CPU20が、LCD5の画面上の座標位置を特定することにより、外光の反射位置を検出し、ステップS206に移行する。
【0042】
一方、LCD5の色と異なる色の部分が存在していなければ、CPU20は、書画台4上では外光が反射していないと判定し(ステップS204:NO)、ステップS206に移行する。このように、LCD5の色を黒色に設定した時と、白色に設定した時の画像データを取得してこれらの双方を解析することにより、外光の影響をより確実に検出することを可能にしている。なお、LCD5の色の設定の順番は、白色が先でもあってもよく、白色に設定した時の画像データのみでも外光の反射を検出できる場合には、LCD5の色を黒色に設定した時の画像データは必ずしも必要ではない。
【0043】
ステップS206では、ステップS204において外光反射有りと判定した場合、CPU20は、載置位置案内情報(位置表示部6、文言表示部7、案内表示部8)の表示位置を、ステップS205の結果に基づいて、外光の影響を強く受けている反射部分13とは異なる位置に設定する。
【0044】
さらに、CPU20は、個人情報11の表示位置を、位置表示部6の表示位置の設定に応じて、該表示位置と重なる位置に設定する。これにより、先の実施形態と同様、媒体10を位置表示部6の位置に載置した時には、個人情報11を、その一部が媒体10と重なるように表示させることができる。
【0045】
ステップS206の後、CPU20は、メモリ23内に記憶された表示画面データの中から所定のデータを読み出して、図11に示すように、書画カメラ装置1の調整処理が終了したことを報知する内容の文言を記載した文言表示部14を表示させる(ステップS207)。そして、図3のステップS101以降の処理を実行する。
【0046】
本実施形態では、ステップS206の設定に基づいて、位置表示部6、文言表示部7、及び案内表示部8が、図12に示すように、当初から予め決められたデフォルト位置(図4に示す位置)とは異なる下部の位置に表示される。そして、位置表示部6、つまりは、媒体10の載置位置に対応して、個人情報11の表示位置も、図13に示すように、当初から予め決められたデフォルト位置(図6に示す位置)とは異なる下部の位置に表示されるようになっている。
【0047】
一方、ステップS204において外光反射無しと判定した場合、CPU20は、ステップS206において、位置表示部6、文言表示部7、案内表示部8、及び個人情報11の表示位置を、前記デフォルト位置に設定する。
【0048】
ここで、本実施形態では、CPU20が、ステップS204、S205の処理を実行することにより、書画台4上における外光の反射位置を検出する外光反射位置検出手段として機能している。
【0049】
このように、外光の反射位置と異なるLCD5の位置に、載置位置案内情報を表示させることで、該情報に基づいて媒体10を載置すれば、外光の反射の影響を受けることなく媒体10を撮影することができ、その結果、鮮明な画像データを取得することができる。
【0050】
さらに、外光の反射位置の検出結果に基づいて設定された前記載置位置案内情報(位置表示部6)の表示位置と重なる位置に、次操作関連情報としての個人情報11を表示させることで、先の実施形態と同様、個人情報11を媒体10と重なる位置に表示させることができる。このため、本実施形態においても、媒体10の撮影を行なった後、再度書画台4を撮影したり、媒体10を回収する旨の文言をLCD5に表示させたりすることなく、媒体10の回収を促すことができ、媒体10を確実に回収させることができる。
【0051】
次に、図14を参照して、さらに他の実施形態に係る書画カメラ装置について説明する。
上述した各実施形態では、キーボード21やスイッチ22の操作によって入力を受付ける構成となっているが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、LCD5を、操作者のタッチ操作によって入力を受付けるタッチパネルにより構成し、キーボード21やスイッチ22に代わる操作ボタンを、LCD5上に表示させるようにしてもよい。
【0052】
図14に示す本実施形態では、LCD5に表示された個人情報11の表示内容確認操作をLCD5上のタッチ操作で行なうことができるように、内容確認操作ボタン15が設けられている。この場合、LCD5が、表示手段と、操作入力手段とを兼ねることになるため、その分CPU20に接続される装置を削減することができる。
【0053】
ところで、本実施形態の場合、内容確認操作ボタン15は、個人情報11と同様に、次操作関連情報の一部を構成している。そこで、内容確認操作ボタン15をLCD5上に表示する場合には、図示のように、内容確認操作ボタン15を媒体10と重なる位置に表示するのが好ましい。この場合、媒体10が載置されたままでは、内容確認操作がより困難になるため、結果的に、媒体10をより確実に回収させることができるという効果を奏する。
【0054】
なお、LCD5をタッチパネルで構成する場合、CPU20には、スキャナヘッド2の信号線、及びLCD5の信号線が必要になるが、これら全てを、ワイヤレスのUSB等を用いて無線化することも可能である。これにより、書画カメラ装置1の設置スペースは、大幅に縮小することが可能になり、自由なレイアウトでこれを設置することができる。
【0055】
また、光学式タッチパネルではなく、パネル表面を走査している信号を遮断することで操作状態を検出するタッチパネルを採用した場合、操作状態が検出された部分が媒体10と同等の大きさで、かつその検出部分の位置が位置表示部6と一致しており、検出部分の位置が所定時間変化しない状態となった時、媒体10が書画台4にセットされたと判定して、自動的に撮影を実行するようにすることもできる。この場合、撮影の成否は、画像データの必要部分の認識ができたかどうかで判断することができる。
【0056】
ところで、上述した各実施形態では、一部が媒体10と重なるように次操作関連情報を表示しているが、次操作関連情報の全体を媒体10と重なるように表示してもよい。
【0057】
この場合、媒体10を撮影した後、次操作関連情報が媒体10によって全く見えなくなることで、外見上、LCD5上には何も表示されていないように見えてしまうが、これにより、LCD5の状態が暫くの間変化していない状態を異変と捉えさせることができ、その結果、操作者の意識を、自然と媒体10(厳密には媒体10の下部)に向けさせることができる。この時、操作者は、媒体10の下部の状態を見るために、媒体10を手に取ってこれを回収しようとするため、結果的に、先の各実施形態と同様、媒体10を確実に回収させることができる。
【0058】
また、媒体10を撮影する際、LCD5の色を媒体10(伝票)の背景色に応じて変化させるようにしてもよい。この場合、例えば、LCD5の色を、媒体10の背景色と同じ色に設定することで、撮影により取得した画像データのうち、背景色の部分の色合いをRGBの調整によって薄くなるように調整すれば、伝票に記載された文字や印鑑等をより鮮明に認識することができる。
【0059】
また、LCD5の色を、媒体10の背景色の補色に設定してもよい。この場合、撮影により取得した画像データから認識した背景色、補色の各座標点を結ぶRGB空間上のグラフを特定することにより、画像データの色合いを調整する際、最適なRGBの値を前記グラフ上の点から容易に選定することができる。
【0060】
このようにして、LCD5の色を媒体10の背景色に応じて変化させつつ、取得した画像データの色合いを適宜調整することにより、業務で使用する伝票に合わせて最適な画像データを取得することができる。
【0061】
また、書画カメラ装置1では、撮影により取得した画像データを全て解析、認識する必要はなく、媒体を載置した部分のみを解析、認識するようにしてもよい。この場合、画像データの必要部分の切り出し処理が容易になり、画像データの解析効率が向上するという効果が得られる。
【0062】
ところで、書画カメラ装置1は、例えば、銀行等の金融機関のロビーに設置される受付端末に適用することができ、金融機関の利用者が受付端末で伝票を記入する代わりにデータの入力を実施するような場合に適用することができる。
【0063】
ここで、銀行での振込み業務を一例とすると、利用者は、自分の住所・氏名・連絡先と振込み先の口座番号・名称及び振込み金額等を入力するが、振込み業務の場合、振込み金額によって本人確認が義務付けられているので、銀行側は、免許証・保険証等の本人確認書類(媒体)に印刷された情報を取得することが必要になる。書画カメラ装置1は、このように、媒体に印刷された情報をその撮影によって取得する場合に適用することができる。
【0064】
また、利用者が予め伝票を記入している場合があるが、この場合、利用者が業務(振込み、預け入れ、入金等)を選択するときに伝票の読取りを選択して、伝票を書画カメラ装置1で撮影することにより、利用者はデータ入力を省略することができる。
【符号の説明】
【0065】
1…書画カメラ装置
2…スキャナヘッド
4…書画台
5…液晶ディスプレイ(LCD)
6…位置表示部
7…文言表示部
8…案内表示部
11…個人情報
15…内容確認操作ボタン
20…CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
書画台上に載置した媒体を上方から撮影する撮影手段を備えた書画カメラ装置であって、
操作者に対して操作に関連する情報を表示する表示手段を前記書画台に設けると共に、
前記表示手段を制御する表示制御手段を備え、
該表示制御手段は、前記撮影手段が前記媒体を撮影した後の次の操作に関連する次操作関連情報を、前記媒体と重なる位置に表示させる構成である
書画カメラ装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記次操作関連情報を、その一部が前記媒体と重なるように表示させる構成である
請求項1に記載の書画カメラ装置。
【請求項3】
前記書画台上における外光の反射位置を検出する外光反射位置検出手段を備え、
前記表示制御手段は、前記外光反射位置検出手段による前記反射位置の検出結果に基づいて、前記媒体を載置する位置を前記反射位置と異なる位置に案内する載置位置案内情報を表示させると共に、
前記次操作関連情報を、前記載置位置案内情報と重なる位置に表示させる構成である
請求項1または2に記載の書画カメラ装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記撮影手段が前記媒体を撮影する前に、前記表示手段を所定の色に設定する構成であると共に、
前記外光反射位置検出手段は、前記表示手段が前記所定の色に設定された状態で前記撮影手段が撮影した前記書画台の画像データに基づいて前記反射位置を検出する構成である
請求項3に記載の書画カメラ装置。
【請求項5】
前記表示手段を、前記操作者のタッチ操作によって入力を受付けるタッチパネルにより構成した
請求項1〜4の何れか1つに記載の書画カメラ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−110713(P2013−110713A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256537(P2011−256537)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】