説明

書画カメラ

【課題】撮像対象となる媒体の反射を軽減させ、意図した媒体の画像を容易に得ることが可能な書画カメラを提供する。
【解決手段】載置台に載置された媒体を撮像する書画カメラであって、載置台の載置面に対する外光からの反射光量を検知する検知センサと、媒体を撮像し、検知センサが検知した載置面の反射光量の大きさに基づいて、媒体を載置する範囲を定めるスキャナと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書画カメラ等の撮像装置によって画像を撮像する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、銀行等の金融機関の営業店窓口では、伝票や免許証などの媒体の画像を取得するために書画カメラが利用されている。書画カメラは、外光を利用して媒体を撮影しているため、その媒体の像は外光から強く影響を受ける。したがって、媒体面の曲がりや表面加工、または媒体の設置場所によっては、外光が反射して意図した画像が取得できなくなってしまう場合がある。
【0003】
このような問題に対する対策として、例えば、特許文献1には、反射を抑制する半透明板を媒体上に載せて撮影を行う技術が開示されている。また、例えば、特許文献2には、取得した媒体の画像データからヒストグラムを作成し、その分布形状から媒体の撮影状態の良否を判定し、最適な撮影を案内する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−131325号公報
【特許文献2】特開2008−310624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された技術では、操作者が半透明板の角度を調整する必要があるため、媒体の撮像が難しくなってしまう。また、上述した特許文献2に開示された技術では、媒体の撮影状態の良否のみを判定するため、最適な画像を取得するまで媒体の撮影位置を動かす必要があり、その撮像が煩雑となってしまう。前述の通り、外光の反射により意図した画像が取得できないという問題は、特に、運転免許証のように券面に光沢を有したものを撮影する際に顕著となり、運転免許証の表面加工により、蛍光灯などの直接照明光が反射してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、撮像対象となる媒体の反射を軽減させ、意図した媒体の画像を容易に得ることが可能な書画カメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる書画カメラは、載置台に載置された媒体を撮像する書画カメラであって、前記載置台の載置面に対する外光からの反射光量を検知する検知センサと、前記媒体を撮像し、前記検知センサが検知した前記載置面の反射光量の大きさに基づいて、前記媒体を載置する範囲を定めるスキャナと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、撮像対象となる媒体の反射を軽減させ、意図した媒体の画像を容易に得ることが可能な書画カメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態における書画カメラの側面図である。
【図2】図1に示した書画カメラの上面図である。
【図3】図1に示した書画カメラを用いて撮像対象となる媒体を載置して撮像する様子を示す図である(横方向)。
【図4】図1に示した書画カメラを用いて撮像対象となる媒体を載置して撮像する様子を示す図である(上方)。
【図5】書画台に光を反射しやすい半透明の媒体を載せた場合に光が反射する様子を示す図である(横方向)。
【図6】書画台に光を反射しやすい半透明の媒体を載せた場合に光が反射する様子を示す図である(上方)。
【図7】書画台に載置された媒体を撮像した画像を、コンピュータを介してディスプレイ表示している状態を示す図である。
【図8】媒体を撮像する前に、事前に書画台からの反射光量の分布を検出する際にディスプレイ上に表示される画面の例を示す図である。
【図9】媒体を撮像する際の読み取り画面の例を示す図である。
【図10】書画カメラが媒体を撮像する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明にかかる書画カメラの実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本実施の形態における書画カメラ1000の側面図である。図2は、図1に示した書画カメラ1000の上面図である。図1および図2に示すように、書画カメラ100は、撮像対象となる媒体を撮像するためのスキャナをその内部に有したスキャナヘッド1と、撮像対象となる媒体を載置するための書画台2と、スキャナヘッド1を書画台2に支えて固定するための支柱3とを有している。また、図1に示すように、スキャナヘッド1内部のカメラは、書画台2の方向を向いた状態となっている。
【0012】
図3、4は、図1に示した書画カメラ1000を用いて撮像対象となる媒体を載置して撮像する様子を横方向(図3)および上方(図4)から見た図である。図3、4に示すように、書画カメラ1000に、画像を取得したい媒体を載置して撮影した場合、書画台2の周辺環境にある光源6からの光7が、反射しやすい媒体5(例えば、免許証のようにその表面がコーティングしてある媒体)に反射して、その反射光8がスキャナヘッド1のカメラ部に入りこんでしまうことがわかる。
【0013】
図5、6は、書画台2に光を反射しやすい半透明の媒体9(例えば、薄いアクリル板などの媒体)を載せた場合に光が反射する様子を横方向(図5)および上方(図6)から見た図である。図5、6に示すように、書画台2に光を反射しやすい半透明の媒体9を載せた場合、周辺の光源6からの光7が、媒体9に反射してスキャナヘッド1のカメラ部にその反射光8に入射してしまうことがわかる。
【0014】
図7は、書画台2に載置された媒体5を撮像した画像を、コンピュータ10を介してディスプレイ11にソフトウェアを用いて表示している状態を示す図である。このように、書画台100が撮像した媒体5の画像は、実際には、コンピュータ10の記憶部(不図示)に記憶されたソフトウェアを、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置がRAM等の記憶媒体にロードして実行することにより、ディスプレイ11上に表示されるようになっている。
【0015】
図8は、媒体5を撮像する前に、事前に書画台2からの反射光量の分布を検出する際にディスプレイ11上に表示される画面の例を示す図である。図8に示すように、スキャナヘッド1が媒体5を撮像する前に書画台2からの反射光量の分布を検出するため、ディスプレイ11には、反射光量を検知するための読み取りを開始させる旨のメッセージを示す操作画面が表示されている。具体的には、操作画面には、媒体5を撮像するための操作を指示する文章101と、その操作を直感的に理解させる為の書画台画像102を表示される。なお、書画台2からの反射光量は、例えば、スキャナヘッド1内部に備えられた光量検知センサによって検知される。操作者は、この画面を確認した上でコンピュータ11を操作して、媒体5が載置されていない状態の書画台2の上面(載置面)の反射光量を検査する。
【0016】
図9は、媒体5を撮像する際の読み取り画面の例を示す図である。図9に示すように、ディスプレイ11には、図8に示した状態において反射光量が検査された結果に従って、例えば、コンピュータ11が、反射光量があらかじめ定められた閾値よりも小さい(すなわち反射が少ない)範囲があるか否かを判定し、反射光量がその閾値よりも小さいと判定した範囲があると判定した場合には、その範囲を他の範囲と区別して画面上に表示させる。図9に示す例では、ディスプレイ11には、操作を指示する文章101と、書画台上の画像102に示された媒体5を載置する箇所103を表示されている。
【0017】
続いて、書画カメラ1000が媒体5を撮像する場合の処理手順について説明する。図10は、書画カメラ1000が媒体5を撮像する場合の処理手順を示すフローチャートである。なお、以下では、上述した書画カメラ1000が撮像する対象とする媒体5は免許証である前提で説明しているが、例えば、銀行業務における本人確認に利用される様々な身分証明書や公的書類を撮像する場合も同様に適用することができる。
【0018】
図10に示すように、免許証の最適な画像を取得するためには、銀行業務を始める前(例えば始業前)に、まず最初に、書画カメラ1000のスキャナヘッド1が有する光量検知センサが書画台2上の反射光の光量(明暗)を検知し、載置される免許証の最適な画像を取得できる設置範囲を検出する(ステップS201)。この設置範囲は、例えば、反射光量が、あらかじめ定められた光量よりも小さい場合に、画像の取得可能な範囲として検出する。
【0019】
その後、操作者によって、書画台2上の反射光の光量の分布を検出する為、光を反射しやすい半透明の媒体(本実施例では薄いアクリル板とした)が載置される(ステップS1002)。そして、アクリル板が書画台2上に載置されると、スキャナヘッド1内部に備えられたスキャナが書画台2を撮像し(ステップS1003)、光量検知センサは、その画像の中で、あらかじめ定められた反射光量の閾値よりも小さい範囲、すなわち色が暗い範囲を全て検知し、スキャナが画像中のその範囲の部分を切り出す(ステップS1004)。
【0020】
そして、コンピュータ11からの指示に従って、スキャナが、切り出したその部分の中で免許証の大きさ以上の範囲を満たす部分があるか否かを判定し(ステップS1005)、免許証の大きさ以上の範囲を満たす部分があると判定した場合(ステップS1005;Yes)、コンピュータ11はその範囲を免許証の載置範囲として確定させ、処理を終了させる(ステップS1006)。
【0021】
一方、スキャナが、切り出したその部分の中で免許証の大きさ以上の範囲を満たす部分がないと判定した場合(ステップS1005;No)、コンピュータ11が、例えば、感度を上げる等の処理を行うことによって、上述した反射光量の閾値をより大きい値に変更し(ステップS1007)、変更した閾値があらかじめ設定されている最大値を超えたか否かを判定し(ステップS1008)、変更した閾値があらかじめ設定されている最大値を超えていないと判定した場合(ステップS1008;No)、ステップS1004に戻って再び以降の処理を繰り返し行う。
【0022】
一方、コンピュータ11が、変更した閾値があらかじめ設定されている最大値を超えたと判定した場合(ステップS1008;Yes)、免許証を載置する範囲が検出不能であると判断し、処理を終了させる(ステップS1009)。ステップS1006またはS1009の処理が終了すると、図10に示した全ての処理が終了する。
【0023】
このような処理を行うことによって、撮像対象となる媒体の反射を軽減させ、意図した媒体の画像を容易に得ることが可能となる。例えば、書画カメラの撮影において、外光の反射によって媒体の鮮明な画像取得が困難なるのを抑制することが可能となる。
【0024】
すなわち、カメラの撮影範囲である書画台上に媒体を設置しない状態で撮影を行い、書画台が反射しにくい材質である場合、薄いアクリルパネル等の反射率の高い材質の板を置いて撮影した場合、撮像した画像は、反射光が強い部分は明るくなり、それ以外の部分は暗くなるため、この暗くなった部分を利用して免許証を撮影するように、書画カメラに接続されたコンピュータを通じ、その範囲をディスプレイに表示させ、操作者はその表示された範囲に免許証を置いて撮影することで、適正な媒体画像を取得することが出来、また、免許証を差位置する位置が適切か否かを確認するために何度も免許証を載置しなおす等の無駄な作業を行う必要がなくなり、作業効率が格段に向上する。この結果、免許証など、表面加工によって反射しやすい媒体に対して、1回で確実に読み取ることができ、オペレータの負荷が軽減し、作業効率および顧客に対するサービスの向上が達成できる。
【0025】
なお、上述した例では、撮像対象となる免許証の画像を取得する場合において、書画台2上に免許証の載置範囲を表示させることとしたが、これとは逆に、免許証の載置に不適切な範囲を表示させることとしてもよい。また、上述した例では、スキャナは、センサが検知する反射光量の大きさに従って免許証を載置する範囲を定めることとしたが、外光の光源の載置面における反射位置(例えば、外光の光源が載置面上に写り込んでいる位置)以外の位置にその範囲を定めることとしてもよい。
【0026】
また、上述した実施例1においては、書画カメラが移動した場合、書画台の反射光分布が変わってしまい、撮像対象となる媒体を適切に撮像できない場合が生じてしまう。すなわち、書画カメラが移動すると、移動前に設定した媒体設置範囲も変化してしまう。このような変化を補正するため、例えば、書画カメラの内部に、書画台の移動を検出するための重力センサ、光センサなどのデバイスを取り付けることで、その移動を検知した際に、書画カメラに接続されているコンピュータにその旨の信号を送り、ディスプレイ上への警告表示や、スピーカからの告知音によって、操作者に通知することも可能である。このような構成とすることによって、移動した旨を示す信号が通知された操作者は、再度上述した実施例1に示した処理を行うことにより、常に最適な範囲を検出することが出来る。
【0027】
さらには、書画カメラの内部に、ジャイロセンサ等の書画カメラの傾きを検出するセンサを取り付け、書画カメラ本体の位置が変化した場合に、その傾きを自動的に検出し、傾いた状態における媒体設置範囲を再設定させ、再設定された後の媒体設置範囲を表示させることとしてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1000:書画カメラ
1:スキャナヘッド
2:書画台
3:支柱
4:媒体ガイド
5:光を反射しやすい被撮影媒体(例えば免許証)
6:光源
7:外光または照明光
8:反射光
9:光を反射しやすい半透明シート(例えば薄いアクリル板)
10:銀行営業店用制御装置
11:ディスプレイ
101:操作を指示する文章
102:読み取りする書画台上の図
103:反射光読み取り後、媒体(免許証)を載せるスペース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置台に載置された媒体を撮像する書画カメラであって、
前記載置台の載置面に対する外光からの反射光量を検知する検知センサと、
前記媒体を撮像し、前記検知センサが検知した前記載置面の反射光量の大きさに基づいて、前記媒体を載置する範囲を定めるスキャナと、
を備えたことを特徴とする書画カメラ。
【請求項2】
前記載置面には、前記外光を反射させるための半透明部材が載置され、
前記スキャナは、前記半透明部材からの反射光量の大きさに基づいて、前記媒体を載置する範囲を定める。
ことを特徴とする請求項1に記載の書画カメラ。
【請求項3】
前記スキャナは、前記外光の光源の前記載置面における反射位置に基づいて、前記媒体を載置する範囲を定める、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の書画カメラ。
【請求項4】
前記スキャナは、接続されたコンピュータによって、前記載置面の反射光量の大きさが所定の閾値を満たすか否かが判定され、前記載置面の反射光量の大きさが所定の閾値を満たさないと判定された場合、前記センサの感度を上げた状態で、再び前記媒体を載置する範囲を定める、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の書画カメラ。
【請求項5】
前記スキャナは、前記コンピュータによって、あらかじめ定められた前記媒体の大きさよりも前記媒体を載置する範囲が大きいか否かが判定され、あらかじめ定められた前記媒体の大きさよりも前記媒体を載置する範囲が大きいと判断された場合に、前記媒体を載置する範囲を定める、
ことを特徴とする請求項4に記載の書画カメラ。
【請求項6】
前記書画カメラの傾きを検出するジャイロセンサをさらに備え、
前記スキャナは、前記ジャイロセンサが検出した傾きに応じて前記媒体を載置する範囲を再設定する、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の書画カメラ。
【請求項7】
前記媒体を載置する範囲を、前記書画カメラに接続された表示装置に表示させる、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の書画カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−222654(P2012−222654A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87369(P2011−87369)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】