説明

書簡の分離方法及び装置

本発明は、コンベアベルト(1)で搬送中の書簡を、不規則な間隔で乱雑に積み重なった状態から、ほとんど重なることなくコンベアベルト上に平らに分散された状態の一連の流れにする、書簡の分離方法に関するものである。この方法は、該コンベアベルト(1)の上方にて、該コンベアベルト(1)の搬送方向と直交方向に水平状の回転軸(12)を配設し、該回転軸(12)に、少なくとも一つの保留板(15)を、該回転軸(12)の径方向に付設し、該保留板(15)は、該回転軸(12)より下方となった時に、該コンベアベルト(1)の搬送方向とは逆方向の速度成分を有することを特徴とする。また、この方法を実行する装置を開示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアベルトで搬送中の書簡を、不規則な間隔で乱雑に積み重なった状態から、ほとんど重なることなくコンベアベルト上に略平らに分散された状態の一連の流れにする、書簡の分離方法に関するものである。また、本発明は、この方法を実施するにおいて、好適な装置も含むものである。
【背景技術】
【0002】
自動の分離・分類ラインは、通常、コンベアベルトを備えており、ここに、不規則な間隔で届けられた箱や袋の中身を空けるので、結果として、コンベアベルト上には、不規則に間隔の空いた、乱雑な書簡の山々ができる。
【0003】
このようにコンベアベルト上に載せられた書簡は、その後、前述のように乱雑に山積みされた状態の書簡を、ほとんど重なることなくコンベアベルト上に略平らに分散することを目的とした、複数の連続した分離手段に送られ、これにより、書簡は、ほとんど重なることなくコンベアベルト上に平らに分散された状態の一連の流れとなる。
【0004】
書簡の分離手段の構造に関しては、特許文献1の、特に図1に記載されている。この公知構造においては、最初に書簡を、傾斜面を介して第一のコンベアベルトに到達させ、該コンベアベルトは、その調整作用を行う揺動トレイを介して、第二のコンベアベルトに書簡を搬送する。書簡は、この第二のコンベアベルトにより、別の分離手段に送られる。この分離手段には回転ドラムが設けられ、該回転ドラムに細長片(指状片)が突設されていて、該細長片にて、書簡を個々にコンベアベルトより引き出し、または軸へと押し入れる。ドラムはコンベアベルトの搬送方向と直交するように、該コンベアベルト上方に設置されていて、該細長片がコンベアベルトに接触可能であり、また、この公知装置において、該細長片は、ドラムの回転軸芯より下方に位置している限り、該ドラムの回転により、搬送方向に移動する。
【特許文献1】米国特許第2905309号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この公知構造、特に、コンベアベルトの調整を左右する揺動トレイを介しての搬送は、本発明に係る方法と同じ目的で用いられるものであるが、非常に複雑である。さらに、郵便物の量が多い場合には、トレイに載せられた書簡が、その後に続く書簡で押し出されてしまい、コンベアベルトがもはやその郵便物の量に合うように調整されず、システムのオーバーロードを引き起こす可能性がある。
【0006】
また、このような方法は、例えば集配郵便局でなされるような大量の郵便物処理には向いていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、コンベアベルトで搬送される書簡が、不規則な間隔で乱雑に積み重なって大きな山々になった状態であっても、これを、確実に、故障のない一連の操作で、ほとんど重なることなくコンベアベルト上に略平らに分散された状態の一連の流れになるようにする、書簡の分離方法を提唱する。
【0008】
この目的は、請求項1の特徴部分である、コンベアベルトの上方にて、該コンベアベルトの搬送方向と直交方向に水平状の回転軸を配設し、該回転軸に、少なくとも一つの保留板を、該回転軸の径方向に付設し、該保留板は、該回転軸より下方となった時に、該コンベアベルトの搬送方向とは逆方向の速度成分を有するものとする方法により達成される。
【0009】
本発明はまた、コンベアベルトの上方にて、該コンベアベルトの搬送方向と直交方向に水平状の回転軸を配設する方法を実施するのに好適な装置であって、該回転軸に、複数の保留板を、該回転軸の径方向に付設し、該保留板は回転駆動可能であって、該装置の少なくとも一つの操作状況において、該保留板は該回転軸より下方に位置する限り、該コンベアベルトの搬送方向とは逆方向の速度成分を有するものである。
【0010】
また、前記回転軸に、複数の保留板を、該回転軸の径方向に付設することで、本発明の方法による効果を高めることができ、特に、該保留板間の角度差を均一にすることが好ましい。
【0011】
また、好ましくは、前記複数の保留板のうち一以上の保留板の、該回転軸に対する径方向の長さを、その他の少なくとも一つの保留板より短くするものである。
【0012】
また、オーバーロードのリスクを低減するという観点から、好ましくは、前記コンベアベルト上方における前記回転軸の高さが調節可能であるように該回転軸を前記装置に設置するものである。
【0013】
その他の好ましい実施例として、少なくとも一つの前記保留板に、該保留板の回転方向の径方向に向けられた弾性を有する端片を設けるものである。
【0014】
さらに、本発明の前述の方法をもととする保留板を回転しての分離行程に先立って、保留装置を用いて書簡の第一分離行程を実施することで、本発明の書簡分離方法のまた新たな効果を得ることができる。
【0015】
推奨例として、この前行程の第一分離手段は、コンベアベルトの上方にて搬送方向と直交した方向に配した軸芯より、好ましくは弾性のある端片を付した、前後揺動可能な保留板を垂設した構成とする。
【0016】
この中で、該第一分離装置については書簡を山積みのままで通過させることができるものとし、その後の行程で、請求項1記載の方法により、書簡を山積みの状態から分離するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の方法により、前記回転軸及び前記保留板については、該保留板が鉛直下方向き、即ち、コンベアベルトに対して直角となる位置に該回転軸がある限り、前記装置のコンベアベルトに送り込まれた書簡が該保留板の手前で蓄積する構成となっている。この該回転軸及び該保留板の位置は、ここでは初期位置として定義し、以下、この位置について、このように呼ぶものとする。
【0018】
前記方向の回転の結果、初期位置で保留板の手前に直に置かれている書簡は、該回転の前半期において押し戻され、或いは、もし保留板が書簡より下になった場合は投げ上げられたり、立てられたりする。
【0019】
回転する保留板の運動と、装置の手前側に堆積による圧力の発生により、投げ上げられるか或いは立てられた書簡は、回転軸の向こう側で、なんとかコンベアベルトの下流側搬送域に入り込む。
【0020】
さらに、この回転運動の結果、その一周回中に、保留板とコンベアベルトとの間の隙間が開かれては閉じられ、初期位置で底にあった少量の書簡がここを通ってコンベアベルトの下流側搬送域へと搬入される。
【0021】
こうして、前記装置の搬送下流側では、コンベアベルト上に書簡が無作為に配置され、ここでは、書簡がコンベアベルト上に平らに分散されて、ほとんど重なり合っていない。
【0022】
また、複数の保留板を該回転軸の径方向に付設し、さらに好ましくは該保留板間の角度差を均一にするという方法により、
【0023】
また、前記複数の保留板のうち一以上の保留板の、該回転軸に対する径方向の長さを、その他の少なくとも一つの保留板より短くし、同様の堆積による効果を得ることができる。なぜなら、この効果は、主に、コンベアベルト上で垂直に位置するプレートの表面により発生するためである。回転の間に、コンベアベルトとプレートとの間に形成される隙間の増大量は、プレートの径方向の延出量によるものであり、複数のプレートを有するこの実施例における隙間の増大量は、1枚プレートの場合と比べると小さいものである。
【0024】
また、本発明の方法を用いての単位回転数が、単一の保留板を用いる場合と同じであっても、一周回中に複数の保留板を用いる本実施例の場合は、非常に多くの郵便物を処理することができる。
【0025】
この方法により、大量の郵便物処理に伴うオーバーロードのリスクが低減する。
【0026】
また、少なくとも一つの前記保留板に、該保留板の回転方向の径方向に向けられた弾性を有する端片を設けることにより、押し戻される書簡のダメージを回避でき、また、そのむち打ちのような作用により、書簡の投げ上げや持ち運び効果が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の推奨例について添付の図面をもとに説明する。図1は、二つの保留板を有する書簡分離装置の、搬送方向に見た場合の正面図、図2は、該装置の、搬送方向と直角の方向に見た場合の側面図、図3は、前記装置の前行程に設置し得る第一分離装置の正面図及び側面図である。
【0028】
この装置のコンベアベルト1または1’には、不規則な間隔で乱雑に積み重なった状態で書簡が送り込まれる。該コンベアベルト1は、その搬送方向の往動部分が当接面2上に載置され、搬送領域の端部で下方に湾曲し、該当接面2の下方にて復動する。
【0029】
前記コンベアベルトの復動部分1’は、コンベアベルト駆動ようの回転ローラ3に摩擦状に当接しており、該回転ローラ3は、モータ4(ここでは詳述せず)にて駆動される。
【0030】
書簡分離装置は、このような搬送手段に設置されており、該搬送手段をまたぐ保持フレームを有し、これをコンベアベルトの左右端部5・5’に取り付けている。このフレームは、該左右端部5・5’に接続されたフレーム構造を有することで、該装置に対して固定され、さらに、該フレーム構造にて、コンベアベルトに対して直角方向に、左右の管6・6’を立設し、さらに、横梁7を架設し、この中央に、コンベアベルト1に向かって下向きに螺子孔を形成している。
【0031】
該螺子孔には螺子8を螺入し、その端部を、コンベアベルト1に向けつつ、横梁9に回転自在に取り付けており、該横梁9は該フレームの可動部であって、その位置を螺子8にて保持されるようにしている。
【0032】
このフレームの可動部としては、さらに、左右の管10・10’を設けており、これらは、コンベアベルト1とは反対側の上端部にて、該横梁9に接続されており、また、前記搬送手段にリジッドに接続されたフレーム部における左右の管6・6’に環設されている。こうして、該左右の管6・6’は、該フレームの可動部たる左右の管10・10’の案内部材として機能としている。
【0033】
コンベアベルト1に臨んで、左右の管10・10’の下端には受け部11・11’が設けられており、この受け部11・11’に、回転軸12を、前記横梁7・9と平行にコンベアベルトを跨ぐ状態で、回転自在に取付支持している。
【0034】
螺子8の端部にはクランク13を付設してこれを横梁7の上方にて横向きにしており、このクランク13を用いて螺子8を回すことができ、該螺子8を回すことで、回転軸12とコンベアベルト1との間の距離を変更できる。
【0035】
左右の端部5・5’の内側にて、回転軸12にローラ14を環設しており、これに、該回転軸12に対し径方向に配置した均一の角度差の保留板15・15’を固設している。
【0036】
保留板15のうちの一つには、弾性材よりなる端片16を付設している。図1及び図2に示した回転軸12及び保留板15・15’の位置で、該端片16はコンベアベルト1近くまで延出されるので、本発明に係る書簡分離方法を効果的に実行できる。
【0037】
もう一方の保留板15’には弾性状の端片を設けていないので、その径方向の長さは、端片16を付した保留板15よりも短くなっている。
【0038】
さらに、回転軸12及び保留板15・15’は、Vベルト17を介してモータ4により駆動されるものである。該Vベルト17は、モータ側の受け部11を超えて突出する回転軸12の延長部分に装着した駆動輪18の上半部に巻装されており、その摩擦接触により、回転運動するものである。
【0039】
なお、このVベルト17については、これまで説明した他の手段と同様に、同一の効果を有する他の手段に置き換えても構わない。例えば、Vベルトでなく、回転ローラに設置したモータを用いてもよいし、或いは、特に直接的に駆動すべく、外部より直接取り付けたモータを用いてもよい。このような方法でも前記の調節が可能である。
【0040】
この前述の高さ調節については、例えば、分離手段の受け部をコンベアベルトの側壁にて高さ調節可能に構成するものとしてもよい。また、複数段、特には二・三段の高さ調節とすることで、連続的な調節に好適なものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の方法は特に、乱雑に積み重なった状態で搬送中の標準規格の書簡(例えば、ドイツ工業規格上のB6、C6、長型、C5、或いはこれらより大きい型式)を分離する方法として好適である。
【0042】
このような書簡は、典型的には郵便事業者の移送局に箱や袋で未分別の状態で届けられ、ここで移送に向けて分離、分別される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】二つの保留板を有する書簡分離装置の、搬送方向に見た場合の正面図である。
【図2】該装置の、搬送方向と直角の方向に見た場合の側面図である。
【図3】前記装置の前行程に設置し得る第一分離装置の正面図及び側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアベルト(1)にて搬送中の書簡を、不規則な間隔で乱雑に積み重なった状態から、ほとんど重なることなくコンベアベルト(1)上に略平らに分散された状態の一連の流れにする、書簡の分離方法であって、
該コンベアベルト(1)の上方にて、該コンベアベルト(1)の搬送方向と直交方向に水平状の回転軸(12)を配設し、該回転軸(12)に、少なくとも一つの保留板(15)を、該回転軸(12)の径方向に付設し、該保留板(15)は、該回転軸(12)より下方となった時に、該コンベアベルト(1)の搬送方向とは逆方向の速度成分を有することを特徴とする書簡の分離方法。
【請求項2】
前記回転軸(12)周りにて、複数の保留板(15・15’)が回転することを特徴とする請求項1に記載の書簡の分離方法。
【請求項3】
前記回転軸(12)と前記コンベアベルト(1)との間の距離を可変とすることを特徴とする請求項1または2に記載の書簡の分離方法。
【請求項4】
コンベアベルト(1)にて搬送中の書簡を、不規則な間隔で乱雑に積み重なった状態から、ほとんど重なることなくコンベアベルト(1)上に略平らに分散された状態の一連の流れにする、書簡の分離装置であって、
該コンベアベルト(1)の上方にて、該コンベアベルト(1)の搬送方向と直交方向に水平状の回転軸(12)を配設し、該回転軸(12)に、複数の保留板(15・15’)を、該回転軸(12)の径方向に付設し、該保留板(15)は回転駆動可能であって、該装置の少なくとも一つの操作状況において、該保留板(15)は該回転軸(12)より下方に位置する限り、該コンベアベルト(1)の搬送方向とは逆方向の速度成分を有することを特徴とする書簡の分離装置。
【請求項5】
前記保留板(15・15’)間の角度差を均一にすることを特徴とする請求項4に記載の書簡の分離装置。
【請求項6】
前記複数の保留板のうち一以上の保留板(15’)の、該回転軸(12)に対する径方向の長さを、その他の少なくとも一つの保留板(15)より短くすることを特徴とする請求項4または5に記載の書簡の分離装置。
【請求項7】
少なくとも一つの前記保留板(15)に、該保留板(15・15’)の回転方向の径方向に向けられた弾性を有する端片(16)を設けたことを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の書簡の分離装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−506626(P2007−506626A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517943(P2006−517943)
【出願日】平成16年6月7日(2004.6.7)
【国際出願番号】PCT/DE2004/001163
【国際公開番号】WO2005/007306
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(503276470)ドイチェ ポスト アーゲー (50)
【Fターム(参考)】