説明

書籍閲覧情報収集システム

【課題】どの書籍のどのページを何度閲覧したかについての情報を取得することが可能な書籍閲覧情報収集システムを提供する。
【解決手段】書籍10の各ページ11の、書籍11の背表紙に対して遠端寄りに取り付けられ、取り付けられたページ11を特定するID情報を不揮発に格納するページRFタグ110と、各ページRFタグ110からページ番号を取得する短距離交信RFリーダ121、見開きページ番号を検索する検索部123、閲覧情報を記憶するデータ蓄積用RFタグ127、及びこれに閲覧情報をなす見開きページ番号等を書き込むRFライタ125を有し、交信に応じて外部に閲覧情報を送信する書籍RFID装置120と、書籍RFID装置120と交信して閲覧情報を取得する長距離交信RFリーダ131、データ変換を行う変換部133、及び閲覧情報を蓄積する閲覧情報データベース135を有する外部RFID装置130と、を備える構成を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閲覧者が閲読したページを特定する情報を読み取り所定の記憶装置に記憶する書籍閲覧情報収集システムに関し、特に閲覧回数を記憶することが可能な書籍閲覧情報収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小型の無線チップを用いて情報の送受を行うRFID(Radio Frequency IDentification)技術が知られている。この無線チップは、RFタグとも呼ばれ、耐久性に優れ、サブmm、cmオーダー等の種々の大きさのものが利用可能である。RFタグは、外部のRFリーダライタから電磁波を介して電力の供給を受け、自己が記憶するデータを無線で送信するようになっている。このように非接触で電力の供給が可能であるため、RFタグは、電池が不要であり、半永久的に使用が可能である。
【0003】
RGタグは、ラベル型、カード型、コイン型、スティック型等様々な形状があり、用途に応じて選択される。また、交信距離に関しては、数mm程度のものから数十mのものがあり、交信距離についても用途に応じて選択される。また、近年、RFリーダライタも、数mm程度に小型化したものが利用可能となってきている。現在、このようなRFID技術を用いて、商品の在庫情報を管理する管理システムが普及しつつある(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0004】
上記の管理システムを応用して、各書籍に1つずつRFタグを取り付け、外部のRFリーダライタを介して1冊ずつ、RFタグから情報を読み取り、書籍の在庫管理、市場における書籍の需要の把握を行うことができる。その結果、書籍1冊単位で在庫管理ができ、また、顧客のニーズを把握することができる。
【特許文献1】特開2005−515947号公報
【特許文献2】特開2005−519491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の管理システムでは、どの書籍のどのページを閲覧したか、さらに、閲覧が多かったか否かまでは判断できないという問題を有していた。
【0006】
以上の現状に鑑み、本発明の目的は、どの書籍のどのページを何度閲覧したかについての情報を取得することが可能な書籍閲覧情報収集システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決すべく、本発明は以下の構成を提供する。
請求項1に係る発明は、裏表からなる1枚のページからなる書籍の前記各ページの、前記書籍の背表紙に対して遠端寄りに取り付けられ、取り付けられた前記ページを特定するID情報を有するページRFタグと、前記書籍のおもて表紙及びうら表紙のうちのいずれかの表紙に、前記ページRFタグに近接して設けられ、前記書籍の厚さ以上且つ前記書籍が開かれたときの開かれたページ側の前記各ページRFタグまでの距離より短い交信距離を有する短距離交信RFリーダ、及び前記書籍に関する情報を記憶するデータ蓄積用RFタグ、を少なくとも有し、前記短距離交信RFリーダを介して前記各ページRFタグから前記ID情報を読み取り、読み取った前記各ID情報に基づいて、見開きページのページ番号を特定し、特定した前記見開きページのページ番号が有効に更新された場合に、少なくとも、特定した前記見開きページのページ番号を前記データ蓄積用RFタグに記憶させ、外部からの交信に応答して前記データ蓄積用RFタグ内の情報を送信する書籍RFID装置と、前記書籍RFID装置と交信して前記データ蓄積用RFタグに記憶された情報を取得する外部RFID装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、裏表からなる1枚のページからなる書籍の各ページの、書籍の背表紙に対して遠端寄りに取り付けられ、取り付けられたページを特定するID情報を有するページRFタグと、書籍のおもて表紙及びうら表紙のうちのいずれかの表紙に、ページRFタグに近接して設けられ、書籍の厚さ以上且つ書籍が開かれたときの開かれたページ側の各ページRFタグまでの距離より短い交信距離を有する短距離交信RFリーダ、及び書籍に関する情報を記憶するデータ蓄積用RFタグ、を少なくとも有し、短距離交信RFリーダを介して各ページRFタグからID情報を読み取り、読み取った各ID情報に基づいて、見開きページのページ番号を特定し、特定した見開きページのページ番号が有効に更新された場合に、少なくとも、特定した見開きページのページ番号をデータ蓄積用RFタグに記憶させ、外部からの交信に応答してデータ蓄積用RFタグ内の情報を送信する書籍RFID装置と、書籍RFID装置と交信してデータ蓄積用RFタグに記憶された情報を取得する外部RFID装置と、を備えるため、どの書籍のどのページを何度閲覧したかについての情報を取得することが可能な書籍閲覧情報収集システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、実施例を示した図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明による書籍閲覧情報収集システムの一実施例を模式的に示すブロック構成図である。書籍閲覧情報収集システム1は、図1に示すように、裏表からなる1枚のページからなる書籍10の各ページ11の、書籍11の背表紙に対して遠端寄りに取り付けられ、取り付けられたページ11を特定するID情報を不揮発に格納するページRFタグ110、及び、各ページRFタグ110と短距離交信して各ID情報を取得して蓄積すると共に、交信に応じて外部に送信する書籍RFID装置120と、書籍RFID装置120と長距離交信して所定の情報を取得する外部RFID装置130と、を備える。
【0010】
ページRFタグ110は、ページ11の厚さに応じた所定の厚さを有し、通常の比接触の方式で無線アンテナ111を介し、書籍RFID装置120からの交信に応じて格納する情報を送信する。以下、ID情報を、ページRFタグ110が取り付けられたページ11のページ番号とする。
【0011】
書籍RFID装置120は、書籍のおもて表紙及びうら表紙のうちのいずれかの表紙(以下、おもて表紙とする。)に、各ページ11のページRFタグ110に所定周波数の、読み出し信号を伴う電磁波を照射し、各ページRFタグ110からページ番号を取得するための無線アンテナ122を有する短距離交信RFリーダ121と、短距離交信RFリーダ121が取得した各ページRFタグ110からのページ番号を検索して、見開きページのページ番号(以下、見開きページ番号という。)を取得し、見開きページ番号が有効に更新されたときに出力する検索部123と、検索部123が出力した見開きページ番号等の所定の情報を後述のデータ蓄積用RFタグ127に書き込むRFライタ125と、予め、書籍名、書籍の巻末ページ番号等が不揮発に格納され、RFライタ125が見開きページ番号等を記録し、外部RFID装置130からの交信に応じて保有する情報を長距離送信するための、無線アンテナ128を有するデータ蓄積用RFタグ127と、動作に必要な電力を供給する図示しない電源と、を有する。ここで、見開きページ番号が有効に更新されるとは、見開きページ番号が更新され、かつ更新された見開きページ番号が書籍を閉じたことを示すものでないことをいう。検索部123は、書籍の巻末ページ番号、直前の見開きページ番号等を不揮発に記憶し、見開きページ番号が有効に更新されたか否かの判断を行うようになっている。
【0012】
図2は、各ページRFタグ及びデータ蓄積用RFタグが内部に記憶する情報の構成の一実施例を示す図であり、図2(a)に各ページRFタグ、図2(b)にデータ蓄積用RFタグが記憶する情報の構成を示す。各ページRFタグ110は、各ページのページ番号211を保有する。データ蓄積用RFタグ127は、書籍名221、書籍の巻末ページ番号222、及び見開きページ番号223と閲覧回数224の対の情報からなる並びの情報を保有する。
【0013】
検索部123は、各ページRFタグ110から受信したページ番号のうちの最大のものを、現在の見開きページのページ番号(以下、見開きページ番号という。)と決定するものとする。検索部123は、また、閲覧回数を更新するフラグ等の信号を出力するのでもよい。また、RFライタ125は、見開きページ番号に加え、閲覧回数を更新する情報をデータ蓄積用RFタグ127に書き込むのでもよい。
【0014】
図3は、書籍を開いたときのページRFタグ及び書籍RFID装置の配置を示す模式的な断面図である。書籍の表紙は、おもて表紙301、うら表紙302、及び背表紙303から構成されており、おもて表紙301には書籍RFID装置が設けられている。また、各ページRFタグ110は、図3に示す構成において書籍を閉じたときに短距離交信RFリーダ121の真上になる位置等の、短距離交信RFリーダ121の交信距離内の位置に取り付けられる。図3に示す各円の中心に短距離交信RFリーダ121が配置される。
【0015】
ここで、短距離交信RFリーダ121の交信距離は、書籍の厚さ(図3には、短距離交信RFリーダ121から最終ページまでの距離Tとして示す。以下、この距離Tを書籍の厚さとする。)以上、かつ、開かれたページ11側のページRFタグ110までの距離D以下に設定されている。この交信距離は、典型的な本の場合、例えば、書籍の厚さTの2倍程度、書籍の幅程度等に設定される。図3には、交信距離が書籍の厚さの2倍程度となる例が示され、交信距離の半分の半径Rの円304が示されている。このように構成することによって、開かれたページ11側のページRFタグ110は、短距離交信RFリーダ121の交信範囲外となり、開かれた側のページ11であることが書籍RFID装置によって検出される。その一方で、短距離交信RFリーダ121の交信範囲内のページRFタグ305〜306のうち、ページRFタグ306が保持するページ番号が、最大のページ番号として検索部123によって検索され、見開きページ番号とされる。
【0016】
図4は、書籍を閉じた状態の図5に対応する断面図である。図4に示す状態では、最終ページのページRFタグ401を含む、全てのページ11のページRFタグ110が交信距離内、又は交信距離の半分内に入り、短距離交信RFリーダ121は、全てのページRFタグ110のページ番号を取得し、検索部123は書籍が閉じられたことを検知する。書籍が所定の位置に戻されたとき、書籍RFID装置の処理は終了する。
【0017】
図1に戻って、外部RFID装置130は、無線アンテナ132を有し交信距離が数十m程度までの長距離交信が可能であり、書籍RFID装置120と交信しデータ蓄積用RFタグ127が有する、書籍名、書籍の巻末ページ番号、見開きページ番号、閲覧回数等からなる閲覧情報を取得する長距離交信RFリーダ131と、長距離交信RFリーダ131が取得した閲覧情報をデータベースに保存するためのデータ変換を行う変換部133と、データ変換された閲覧情報を蓄積する閲覧情報データベース135と、を有する。
【0018】
図5は、閲覧情報データベースが記憶する閲覧情報の構成の一実施例を示す図である。閲覧情報データベース135は、書籍名501、書籍の巻末ページ番号502、及び見開きページ番号503と閲覧回数504の対の情報からなる並びの情報を格納する。利用者は、書籍毎にページ番号を検索キーとして各ページの閲覧回数を検索できる。
【0019】
図6は、書籍閲覧情報収集システムの処理について説明するフローチャートであり、図6(a)に書籍RFID装置、図6(b)に外部RFID装置の処理の流れについて示す。書籍が所定の位置から持ち出されたと、例えば公知の図書管理システム等によって、判断されたとき、書籍RFID装置の短距離交信RFリーダは、所定の時間間隔で各ページに取り付けられたページRFタグと交信を開始する(S110)。電波を受信した各ページRFタグは、共振作用により起電し、発生した電力により、回路を起動し、ページRFタグ内のID情報であるページ番号を外部に送信する。短距離交信RFリーダは、各ページRFタグが送信したページ番号を受信し、受信した各ページ番号を検索部に出力する(S120)。次に、検索部は、入力された各ページ番号に基づいて、現在の見開きページ番号を検索し、RFライタに出力する(S130)。
【0020】
図7は、ステップS130で検索部が行う処理について説明するフローチャートである。検索部は、まず、短距離交信RFリーダから出力された各ページ番号を取得し(S131)、ページ番号の最大値を検索して現在の見開きページ番号として特定する(S132)。次に、検索部は、見開きページ番号が有効に更新されたか否かを判断する(S133)。ステップS133で見開きページ番号が有効に更新されたと判断したとき、検索部は、見開きページ番号、及び閲覧回数を更新する信号をRFライタ125に出力し(S134)、有効に更新されていないと判断したとき、処理を終了する。
【0021】
図6に戻って、ステップS130で現在の見開きページ番号がRFライタに出力されると、RFライタは、見開きページ番号と閲覧回数を更新する情報をデータ蓄積用RFタグに送信して書き込む(S140)。この結果、データ蓄積用RFタグは、上記の閲覧情報を内部に保持することになる。データ蓄積用RFタグは、外部RFID装置からの交信に応答し、保持する閲覧情報を外部に長距離送信する(S150)。
【0022】
また、外部RFID装置は、長距離交信RFリーダが一定時間間隔で書籍RFID装置と交信し(S210)、ステップS150でデータ蓄積用RFタグが送信した閲覧情報を受信して変換部に出力し(S220)、変換部が、データベースに保存するためのデータ変換を行い(S230)、そして、閲覧情報をデータベースに保存する(S240)。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による書籍閲覧情報収集システムの一実施例を模式的に示すブロック構成図である。
【図2】各ページRFタグ及びデータ蓄積用RFタグが内部に記憶する情報の構成の一実施例を示す図であり、図2(a)に各ページRFタグ、図2(b)にデータ蓄積用RFタグが記憶する情報の構成を示す。
【図3】書籍を開いたときのページRFタグ及び書籍RFID装置の配置を示す模式的な断面図である。
【図4】書籍を閉じた状態の図5に対応する断面図である。
【図5】閲覧情報データベースが記憶する閲覧情報の構成の一実施例を示す図である。
【図6】書籍閲覧情報収集システムの処理について説明するフローチャートであり、図6(a)に書籍RFID装置、図6(b)に外部RFID装置の処理の流れについて示す。
【図7】ステップS130で検索部が行う処理について説明するフローチャートである
【符号の説明】
【0024】
1 書籍閲覧情報収集システム
10 書籍
11 ページ
110 ページRFタグ
111、122、128、132 無線アンテナ
120 書籍RFID装置
121 短距離交信RFリーダ
123 検索部
125 RFライタ
127 データ蓄積用RFタグ
130 外部RFID装置
131 長距離交信RFリーダ
133 変換部
135 閲覧情報データベース
211 ページ番号
221、501 書籍名
222、502 巻末ページ番号
223、503 見開きページ番号
224、504 閲覧回数
301 書籍おもて表紙
302 書籍うら表紙
303 書籍背表紙
304 半径Rの円
305 最初のページのページRFタグ
306 見開きページのページRFタグ
401 最終ページのページRFタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏表からなる1枚のページからなる書籍の前記各ページの、前記書籍の背表紙に対して遠端寄りに取り付けられ、取り付けられた前記ページを特定するID情報を有するページRFタグと、
前記書籍のおもて表紙及びうら表紙のうちのいずれかの表紙に、前記ページRFタグに近接して設けられ、前記書籍の厚さ以上且つ前記書籍が開かれたときの開かれたページ側の前記各ページRFタグまでの距離より短い交信距離を有する短距離交信RFリーダ、及び前記書籍に関する情報を記憶するデータ蓄積用RFタグ、を少なくとも有し、前記短距離交信RFリーダを介して前記各ページRFタグから前記ID情報を読み取り、読み取った前記各ID情報に基づいて、見開きページのページ番号を特定し、特定した前記見開きページのページ番号が有効に更新された場合に、少なくとも、特定した前記見開きページのページ番号を前記データ蓄積用RFタグに記憶させ、外部からの交信に応答して前記データ蓄積用RFタグ内の情報を送信する書籍RFID装置と、
前記書籍RFID装置と交信して前記データ蓄積用RFタグに記憶された情報を取得する外部RFID装置と、を備えることを特徴とする書籍閲覧情報収集システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−117167(P2008−117167A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299888(P2006−299888)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】