説明

書類保管箱

【課題】 一枚のダンボール板からテープ、ファスナー、接着剤などを用いずに、簡単に作ることができ、かつ、軽量でかつ堅牢であり、隙間なく安定して、積み重ねたり、並列したりして収納空間にコンパクトに収めることができる書類保管箱を得る。
【解決手段】
継ぎ目のない平坦な外底板(1)の内面に内底板(6)を重ねた底板の四辺と、継ぎ目のない平坦な外天板(2)の内面に内天板(7)を重ねた天板の四辺とを、左、右側板(4,5)および前、後側板(8,3)で囲んで直方体状に作られ、内底板(6)は、一対の内底板半体(6l,6r)を、また内天板(7)は、一対の内底板半体(7l,7r)をそれぞれ、あり(d)とありみぞ(g)を介して接合してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書類を収納する書類保管箱に関し、特に一枚の板材からテープ、ファスナ、接着剤などの接合手段を用いることなく製作することができ、積み重ねても変形したり、破損したりすることのない強度を有し、場所をとらずに書類を保管することができる書類保管箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ダンボール紙により二重箱に作られて、荷重や外力に強い堅牢な書類保管箱は既に知られている(たとえば下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−273573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記公知の書類保管箱は、内箱体1、外箱体2、外部蓋部片4などの複数の構成片により構成され、また書類保管箱内に書類を収納した後、該保管箱を封緘するのに、別途の封緘手段を必要とするので、部品点数が多くなってコスト高を招くばかりでなく、書類の出入操作が面倒であるという問題がある。
【0005】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたもので、ダンボール板などの一枚の板材から簡単容易に作ることができ、書類の出入操作が容易で、しかも堅牢な、書類保管箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、一枚の板材により組み立てられる書類保管箱であって、底板と、天板と、それらの四辺を囲む左、右側板および前、後側板よりなり、前記底板は、継ぎ目のない平坦な外底板と、その外底板の内面に重ね合わされる内底板よりなり、その内底板は、相互に係脱可能に接合される一対の内底板半体よりなり、前記天板は、継ぎ目のない平坦な外天板と、その外天板の内面に重ね合わされる内天板よりなり、その内天板は、相互に係脱可能に接合される一対の内底板半体よりなり、さらに、前記外天板の外縁に対向する前側板には、その外天板の外縁に設けたロックスリットに抜き差し可能に差し込み得るロック舌片が設けられることを特徴としている。
【0007】
上記目的を達成するために、請求項2の発明は、前記請求項1記載のものにおいて、前記一対の内底板半体の互いに接合される外縁には、相互に係脱可能に係合される、ありとありみぞとがそれぞれ形成され、また、一対の内天板半体の互いに接合される外縁には、相互に係脱可能に係合される、ありとありみぞとがそれぞれ形成されることを特徴としている。
【0008】
上記目的を達成するために、請求項3の発明は、前記請求項1または2記載のものにおいて、前記外天板の外縁に対向する前側板の外縁には、内天板の凹部を閉塞する閉塞片が設けられることを特徴としている。
【0009】
上記目的を達成するために、請求項4の発明は、前記請求項1、2または3記載のものにおいて、前記外天板の外縁には、差込片が設けられ、前記前側板の外縁には、前記差込片が抜き差し自在に差し込まれるスリットが形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項各項の発明によれば、一枚の板材からテープ、ファスナー、接着剤などの接合手段を用いることなく簡単、容易に、安価に作ることができ、特に、高強度を要求される、底板および天板を、何れも二重構造としたので、軽量でかつ堅牢な書類保管箱を廉価に得ることができ、また、外底板および外天板は、いずれも継ぎ目にない平坦面に形成され、それらの外面に凹凸がないので、複数の書類保管箱を、隙間なく安定して、積み重ねたり、並列したりすることができ、収納空間にコンパクトに収めることができ、複数の書類保管箱を狭隘な場所に格納するのにきわめて便利である。
【0011】
さらに、内底板および内天板はいずれも、相互に係脱可能に接合される、一対の内底板半体および一対の内天板半体よりなるので、書類保管箱を一枚の板材から歩留りよく製作することができるばかりでなく、天板を二重構造としたにも拘らず、保管箱内への書類の出入れが容易である。
【0012】
さらにまた、外天板の外縁に対向する前側板には、その天板の外縁に設けたロックスリットに抜き差し可能に差込み得るロック舌片を設けたので、別途に閉止手段を用いることなく、書類保管箱を封緘することができ、しかも、ロック舌片が外部に出張ることがない。
【0013】
請求項2の発明によれば、一対の内底板半体および一対の内天板半体の互いに接合される外縁には、それぞれ相互に係合される、ありとありみぞとが形成されるので、内底板および内天板は、それぞれ閉じ位置にしっかりと接合されて、その強度を高めることができ、これにより、2重構造の、底板および天板の強度を一層高めることができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、外天板の外縁に対向する前側板の外縁には、内天板の凹部を閉塞する閉塞片が設けられるので、書類保管箱の出入口を、隙間なく閉じることができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、外天板の外縁には、差込片が設けられ、前記前側板の外縁には、前記差込片が抜き差し自在に差し込まれるスリットが形成されるので、書類保管箱を確実に封緘することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】書類保管箱の斜視図
【図2】図1の2−2線に沿う断面図
【図3】図1の3−3線に沿う断面図
【図4】書類保管箱の展開平面図
【図5】書類保管箱の組立順序を示す斜視図
【図6】書類保管箱の組立順序を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【0018】
本発明に係る書類保管箱は、一枚のダンボール板Pにより構成され、テープ、ファスナ、接着剤などの接合手段を用いることなく、偏平な直方体状に組み立てられ、6面、すなわち底板、前後側板、左右側板および天板より構成され、それらのうち、面積が大きく高い強度の要求される、底板および天板を重点的に補強して、軽量で、廉価に提供でき、書類保管箱としての必要な強度を保有している。そして、書類保管箱を構成するダンボール板Pは、一枚のダンボール原紙を所定の形状に裁断して作られ、このダンボール板Pを折り線に沿って折り込むことにより書類保管箱が組み立てられ、しかも組み立てられた書類保管箱は、別途に閉止手段や接合手段を用いることなく、封緘することができる。
【0019】
図4には、書類保管箱を一平面に展開した状態が示されており、折り線は2点鎖線で示される。
【0020】
ダンボール板Pは、その中央部に、同じ大きさの、矩形状の外底板1と外天板2とが短冊状の後側板3を挟んで折り線を介して接続される。外底板1の外縁には、後側板3と同形の前側板8が折り線を介して接続され、さらに、この前側板8の外縁に折り線を介して閉塞片9が接続され、また、外天板2の外縁の中間部には差込片10が折り線を介して接続される。前側板8の中央部には、折り線を跨いで閉塞片9へ向けて切り込まれるコ字状のロック舌片11が形成され、このロック舌片11の両側から折り線に沿ってその途中までスリット12が入れらている。一方、前記外天板2と差込片10間の折り線の中央部には、前記ロック舌片11が抜き差し自在に差し込まれるロックスリット13が入れられると共に半円状の操作穴14が形成されている。
【0021】
後側板3の左、右には、折り線を介して左、右側板4,5がそれぞれ接続され、左側板4の前、後縁には、折り線を介して左側内底板半体6l、左側内天板半体7lがそれぞれ接続されて、さらに左側板4の外縁に耳片15が折り線を介して接続される。そして、左側内底板半体6lおよび左側内天板半体7lの側辺は、外底板1および外天板2の側辺に隣接される。また、右側板5の前、後縁には、折り線を介して右側内底板半体6r、右側内天板半体7rがそれぞれ接続され、さらに右側板5の外縁に耳片16が折り線を介して接続される。そして、右側内底板半体6rおよび右側内天板半体7rの側辺は、外底板1および外天板2の側辺に隣接される。
【0022】
左側内底板半体6lと右側内底板半体6rの外縁の中間部には、相互に係合可能な、ありみぞgとありdがそれぞれが形成され、また、左側内天板半体7lと右側内天板半体7rの外縁の中間部には、相互に係合可能な、ありdとありみぞgがそれぞれ形成されている。
【0023】
次に、図5、6を参照して、前記ダンボール板Pより、書類保管箱を組み立てる手順について説明する。
【0024】
図5に示すように、設置面上に設置した外底板1に対して後側板3を外天板2と共に折り線に沿って直角に折り曲げ、その後側板3の左右の左、右側板4,5を折り線に沿って内側に折り曲げると共に左、右側内底板半体6l,6rを折り線に沿って内側に折り曲げる。これにより、左、右側内底板半体6l,6rは外底板1上に重ね合わされ、それらの外縁に設けた、ありみぞgとありdとを係合させる。左、右側内底板半体6l,6rは、一体に接合されて内底板6となり、互いに重なり合う外底板1と内底板6とで2重構造の底板が形成される。
【0025】
次に、図6に示すように、左側板4、右側板5に対して左側内天板半体7l、右側内天板半体7rをそれぞれ折り線に沿って内側に直角に折り曲げ、それらの外縁に設けた、ありdとありみぞgとを相互に係合して一体化して内天板7を形成した後、外天板2を折り線に沿って折り曲げて内天板7上に重ね合わせる。また耳片15,16を折り線に沿って内側に直角に折り曲げ、さらに前側板8を外底板1に対して折り線に沿って直角に折り曲げて起立し、前側板8に接続される閉塞片9を折り線に沿って直角に内側に折り曲げる。この閉塞片9は、内天板7の外縁に形成される凹部7aを閉じて内天板7の一部を形成するようにする。外天板2を折り線に沿って内方に折り曲げて、内天板7と外天板1とで、2重構造の天板が形成される。
【0026】
外天板2の外縁の差込片10をスリット12に差込むと共に前側板8のロック舌片11をロックスリット13に差し込むことにより、図1に示すように、外天板2は、閉じ位置にロックされ、書類保管箱は封緘され、外力が作用しても妄りに開くことがない。そしてこの書類保管箱は、その6面がフラットな直方体に形成され、その外面には出張り部分が存在しない。
【0027】
書類保管箱内に書類Dを収納すべく、書類保管箱を開放するときは、操作穴14に指先を差し込んでロック舌片11を下方に押し込みながれ、ロック舌片11を外方に開くことにより、外天板2を開放方向に開くことができ、次いで、ありdとありみぞgとの係合を離脱して、左、右側内天板半体7l,7rを開けば、書類保管箱は開放され、該保管箱内に書類Dを収納することができる。
【0028】
書類Dの収納後は、前述したように、内天板7を閉じ、次いで、外天板2を閉じることで、書類保管箱は封緘される。
【0029】
しかして、この書類保管箱によれば、面積が大きい底板および天板は、何れも内底板6と外底板1および内天板7と外天板2とで二重構造としたので、高強度の要求される底板および天板を集中的に補強して、軽量で高い剛性を有する書類保管箱を提供することができる。また、外底板および外天板は、継ぎ目がなくフラットであって、その上、前述したように高い強度を有するので、複数の前記書類保管箱を隙間なく積み重ねたり、並列したりすることができ、しかも、積み重ねても変形したり、潰れたりすることがなく、狭隘な場所での書類の保管に極めて有効である。
【0030】
また、一枚の板材により形成することができ、その上、接着剤、ファスナ、テープなどの接合手段を別途に必要としないので、きわめて廉価の提供することができ、その上、取り扱いも容易である。
【0031】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。
【0032】
たとえば、前記実施例では、書類保管箱を、一枚のダンボール板から製作しているが、他の一枚の板材により製作してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1・・・・・・・底板(外底板)
2・・・・・・・天板(外天板)
3・・・・・・・後側板
4・・・・・・・左側板
5・・・・・・・右側板
6・・・・・・・底板(内底板)
6l・・・・・・内底板半体(左側内底板半体)
6r・・・・・・内底板半体(右側内底板半体)
7・・・・・・・天板(内天板)
7a・・・・・・凹部
7l・・・・・・内天板半体(左側内天板半体)
7r・・・・・・内天板半体(右側内天板半体)
8・・・・・・・前側板
9・・・・・・・閉塞片
10・・・・・・・差込片
11・・・・・・・ロック舌片
13・・・・・・・ロックスリット
D・・・・・・・書類
P・・・・・・・板材(ダンボール板)
d・・・・・・・あり
g・・・・・・・ありみぞ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の板材(P)により組み立てられる書類保管箱であって、底板(1,6)と、天板(2,7)と、それらの四辺を囲む左、右側板(4,5)および前、後側板(8,3)よりなり、前記底板(1,6)は、継ぎ目のない平坦な外底板(1)と、その外底板(1)の内面に重ね合わされる内底板(6)よりなり、その内底板(6)は、相互に係脱可能に接合される一対の内底板半体(6l,6r)よりなり、前記天板(2,7)は、継ぎ目のない平坦な外天板(2)と、その外天板(2)の内面に重ね合わされる内天板(7)よりなり、その内天板(7)は、相互に係脱可能に接合される一対の内底板半体(7l,7r)よりなり、さらに、前記外天板(2)の外縁に対向する前側板(8)には、その外天板(2)の外縁に設けたロックスリット(13)に抜き差し可能に差し込み得るロック舌片(11)が設けられることを特徴とする、書類保管箱。
【請求項2】
前記一対の内底板半体(6l,6r)の互いに接合される外縁には、相互に係脱可能に係合される、あり(d)とありみぞ(g)とがそれぞれ形成され、また、一対の内天板半体(7l,7r)の互いに接合される外縁には、相互に係脱可能に係合される、あり(d)とありみぞ(g)とがそれぞれ形成されることを特徴とする、前記請求項1記載の書類保管箱。
【請求項3】
前記外天板(2)の外縁に対向する前側板(8)の外縁には、内天板(7)の凹部(7a)を閉塞する閉塞片(9)が設けられることを特徴とする、前記請求項1または2記載の書類保管箱。
【請求項4】
前記外天板(2)の外縁には、差込片(10)が設けられ、前記前側板(8)の外縁には、前記差込片(10)が抜き差し自在に差し込まれるスリット(12)が形成されることを特徴とする、前記請求項1、2または3記載の書類保管箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−23234(P2013−23234A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157262(P2011−157262)
【出願日】平成23年7月16日(2011.7.16)
【出願人】(511112434)
【Fターム(参考)】