説明

最適化された無糖硬質コーティング方法

【課題】最適化された無糖硬質コーティング方法を提供する。
【解決手段】本発明は、
二糖類の水素化によって得られる少なくとも1つのポリオールを含有して、60%〜90重量%の間、好ましくは70%〜85重量%の間の固形分を有するコーティングシロップを塗布するステップと、
少なくとも1分間で5分間以下にわたる40℃〜70℃の間の温度の空気の使用を含んでなる乾燥ステップと
をそれぞれ含んでなり、サイクル数が、25%を超え、好ましくは30%を超え、より好ましくは32%を超える増大度が得られるようなサイクル数である、複数のサイクルを含んでなる、2時間以内に製品表面に硬質で歯ごたえのよいコーティングを作り出すための硬質コーティングの新規方法に関する。本発明に係る方法の1つの別形は、シロップを塗布した後に一定量の非常に高純度のポリオール粉末を添加することにある。本発明はまた、本方法を使用して得られる被覆製品にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質コーティング方法に関する。より具体的には本発明は、良質品を得ながら製造時間をかなり短縮できるようにする1つ以上のポリオールを使用した、新規な無糖硬質コーティング方法に関する。本発明はまた、本方法を適用して得られる被覆製品にも関する。
【背景技術】
【0002】
硬質コーティングは非常に多数の分野で、特に菓子製造および製薬で用いられる単位操作である。それはまた、添加剤工業、すなわち着香剤、甘味料、ビタミン、酵素、酸、および植物ベースの製品に関係してもよい。この操作は、様々な理由によりそれらを保護するために、またはそれらに視覚的にまたは味覚的に魅力をもたせるために、固形または微粉製品の表面に硬質コーティングを作り出すことにある。
【0003】
硬質コーティングは、例えばチューインガムなどの菓子類の分野において、常に高く評価される甘く歯ごたえのよい層を得ることに関する。
【0004】
コアのコーティングはコーティングパンとして知られている軸の周囲を回転するドラム内で実施され、その中には動く塊状物を形成する複数のコアがあり、その表面には今後シェルを構成する材料が液体形態で散布される。
【0005】
硬質コーティングは、結晶性材料を含有するシロップの使用を常に必要とする。硬質結晶性コーティングは、このシロップを塗布し、それによって与えられる水を蒸発させて得られる。
【0006】
本発明で使用される「硬質コーティング」という用語は、非常によく似たスムージングおよびフロスティングの技術もまた含んでなる。スムージングは、硬質コーティングで使用されるシロップと比べると希釈されている結晶性シロップの1または2回の塗布または供給からなる。目的は被覆製品表面の外観の改善であることが多い。硬質コーティングにはスムージングが続くことが多い。フロスティングは同様に、製品外観の改善を目的とするが、大気中水分からのこれらの製品の隔離も目的とするものである。この技術は、結晶性シロップが使用されるという意味では、硬質コーティングと似ている。本質的な相違は、実施されるコーティングサイクル数が1、2または3回のみであるという事実にある。
【0007】
コーティングは長時間にわたる骨の折れる工程であり、多数の連続的段階を含む。コーティングサイクルとしても知られているこれらの各ステップは、典型的に、一般にコーティングシロップ(1つ以上のポリオールを含有するが、アラビアゴムまたはゼラチンなどのバインダー、TiOなどの着色剤、強力甘味料などを含有することもある)をコア上にスプレーによって塗布する段階、持続時間としても知られている前記シロップをコア上に分配させる回転段階、および高温乾燥空気を吹き付けて実施する新しい各シロップ層を乾燥させる段階を含む。所望の増大度を得るためには、このサイクルの連続を約10〜80回の非常に多くの回数で実施しなくてはならない。本発明では、最終のコーティング度としても知られている増大度は、製品の重量増大によって定義される。これはコーティング前のセンターまたはコア重量に対する、最終(被覆)製品重量の比率によって計算される。
【0008】
無糖硬質コーティングについては長く知られており、特にソルビトールでのコーティング方法に関する、本出願人が保持者である(特許文献1)に記載されている。コーティングは、乾燥重量濃度が80%を超えるソルビトールシロップをコア床に添加する第1の段階、ドラムの回転を維持しながら添加を停止させる第2の段階(持続時間)、およびシェルコーティングの間にシロップによって提供される水を蒸発させ、ひいては塗布ポリオールを結晶化させるように高温乾燥空気を吹き付けて、コアを乾燥させる第3の段階をそれぞれ含んでなる連続サイクルで実施される。この技術は完成品の品質の観点からは満足できるが、実施には時間がかかり、持続時間中にコアが互いにくっつくという問題をもたらすかもしれない。
【0009】
従来技術の改善を対象とする別の方法、特に先行技術で知られている方法よりも短時間の比較的短いコーティング時間で非常に良質な被覆製品の製造ができるようにする方法については、これもまた本出願人が保持者である(特許文献2)に記載されている。この方法はコア表面に硬質で歯ごたえのよいコーティングが得られるようにし、濃度が80%を超える(濃度はコーティングシロップの乾燥分含量と比較した関与ポリオールの含有量である)コーティングシロップを塗布するステップとそれに続くコアの乾燥ステップを含んでなる、少なくとも1つのサイクルを含み、サイクルがコーティングシロップ塗布ステップとコア乾燥ステップの間に持続時間を含まないことを特徴とする。
【0010】
多くのコーティング方法では、コーティングシロップが、コアに塗布されたとき、そして乾燥し始めたときに粘着性になりがちである。くっつく現象を減少させるために、コーティングシロップをコアに塗布/スプレーする段階の後に、増量剤としてもまた知られているポリオール粉末を塗布して、それが過剰に粘着性になる前にコーティングの乾燥を加速させてもよい。コーティングシロップ中に優勢に存在するポリオールは、増量剤中に主に存在するポリオールと性質が異なっていても、いなくてもよいことに留意すべきである。他方では、コーティングシロップ中に存在するのと異なる性質の増量剤を使用することは、硬質で歯ごたえのよい層が得られないなどのコーティングの欠陥をもたらすかもしれない。これがこのカテゴリーのコーティングが、一般に「軟質」コーティングと形容される理由である。
【0011】
本出願人が保持者である(特許文献3)は、軟質コーティングと形容されるコーティング方法について記載しているが、高度に結晶性で硬質かつ口中で歯ごたえのよい被覆層の製造を可能にする。記載されている方法は、その可溶性固体含量との比較で少なくとも90重量%のソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリトリトール、およびイソモルトから選択されるポリオールから構成されるシロップを塗布するステップと、この同じポリオールの95重量%を超える純度の粉末を塗布する少なくとも1つのステップと、シロップ及び塗布された粉末を分配するステップを含む一連のステップを権利請求し、このサイクルが空気流による強制乾燥ステップを含まないことを特徴とする。強制乾燥ステップを省いた結果として、この方法により時間がかなり節約される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許第0037407号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1481597号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0625311号明細書
【特許文献4】欧州特許第1399032号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来技術をさらに改善する目的で、上に列挙した十分な観察に基づいて、本出願人は、有利なことには上述の欠点を有さず、次の利点を兼ね備えたポリオールを糖の代替え品として使用して、硬質コーティングの新規プロセスを開発する必要があることを見いだした。
−非常に迅速でありその結果かなりの時間節約、ひいては大きな生産性増大を可能にし、
−工業的に実施するのが簡単であり、
−長期にわたり容易に再現可能であり、
−粘着性でなく長期にわたり外観または触感が顕著に変化しない、非常に高品質の被覆製品の調製ができるようにする。
【0014】
従来技術をさらに改善する目的で、本出願人はこのようにして完成品の品質を最適化するのと同時に、製造時間をさらに短縮する目標を立てた。長期にわたる調査研究後、意外かつ予想外にも、そして当業者が先行技術で記載されている結果を考えて実施し慣れていることに反して、所与の固形分を有するコーティングシロップの使用と特定の条件下での乾燥を組み合わせることにより、かなり短縮された製造時間で、硬質で歯ごたえのよい無糖コーティングが得られることが分かった。場合により、増量剤を使用することも可能である。有利なことには、本発明によれば、先行技術で既に記載されているような熱影響下でのコアの相互のくっつき、またはそれらの変形が避けられる。
【0015】
したがって本発明に係るコーティング方法は、標準の増大度に対して大幅に減少した総サイクル数を考えると、完成品の物理的または官能的品質に影響することなく、先行技術で記載されている方法と比較して短縮されている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
したがって本発明は、
(a)二糖類の水素化によって得られる少なくとも1つのポリオールを含有して、60%〜90重量%の間、好ましくは70%〜85重量%の間の固形分を有するコーティングシロップを塗布するステップと、
(b)少なくとも1分間で5分間以下にわたる40℃〜70℃の間の温度の空気の使用を含んでなる乾燥ステップと
をそれぞれ含んでなり、サイクル数が、25%を超え、好ましくは30%を超え、より好ましくは32%を超える増大度が得られるようなサイクル数である、複数のサイクルを含んでなる、製品表面に2時間以内に硬質で歯ごたえのよいコーティングを作り出せるようにする、硬質コーティングの新規方法に関する。
【0017】
本発明に係る方法の1つの別形は、コーティングシロップを塗布した後に、好ましくは95%を超える非常に高純度のポリオール粉末を添加することにある。
【0018】
本発明はまた、この新しいコーティング方法および/またはその別形の1つを実施して得られる被覆製品にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一般実施態様によれば、本方法は、選択されたコーティングシロップを使用して動く製品表面を均一に加湿することにある第1のステップ、このシロップを製品表面に均一に分配する第2のステップ(持続時間)、最後にシロップによって提供される水の蒸発、ひいては塗布されたポリオールの結晶化を確実にする、高温乾燥空気の吹き付けにより乾燥させる第3のステップを常に含んでなる一連の反復サイクルを含んでなる。
【0020】
1つの好ましい実施態様によれば、コーティングサイクルは、コーティングシロップを塗布した後にポリオール粉末を(典型的に粉付けによって)塗布してそれを均一に分配するステップと、空気の吹き付けによる最終乾燥ステップに到達する前に、このステップそれ自体に粉末を均一に分配させる新しいステップ(持続時間)が続く、2つの追加的ステップを含んでなる。
【0021】
本発明では、「ポリオール」という用語は、複合還元糖、二糖類の接触水素化によって得られる生成物を指す。
【0022】
したがって本発明に関与するポリオールは、マルチトール、水素化マルツロース、水素化イソマルツロース、ラクチトール、α−D−グルコピラノシル−1−6−ソルビトール(=1,6−GPS)、α−D−グルコピラノシル−1−1−マンニトール(=1,1−GPM)およびα−D−グルコピラノシル−1−1−ソルビトール(=1,1−GPS)、およびそれらの混合物を含んでなる群から選択される糖−アルコールである。
【0023】
本発明では、水素化イソマルツロースは前記混合物中の各化合物の比率に関わりなく、1,1−GPMおよびGPS(1,6−GPSおよび1,1−GPS)の任意の混合物と定義される。
【0024】
本発明の特定の一形態によれば、コーティングシロップのポリオールは、50/50および25/75の間の比率のGPM−GPS混合物を含有する。
【0025】
これらのポリオールは、マルトース、マルツロース、イソマルツロースまたは乳糖の水素化によって工業的に得られる。
【0026】
本発明は、
(a)二糖類の水素化によって得られる少なくとも1つのポリオールを含有して、60%〜90重量%、好ましくは70%〜85重量%の間の固形分を有するコーティングシロップを塗布するステップと、
b)少なくとも1分間で5分間以下にわたる40℃〜70℃の間の温度の空気の使用を含んでなる乾燥ステップと
をそれぞれ含んでなり、サイクル数が、25%を超え、好ましくは30%を超え、より好ましくは32%を超える増大度が得られるようなサイクル数である、複数のサイクルを含んでなる、2時間以内にコア表面に硬質コーティングを作り出せるようにする、無糖硬質コーティングの方法に関する。
【0027】
ポリオール濃度が少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも92固形分重量%であるコーティングシロップが好ましくは使用される。
【0028】
コーティングシロップは、マルチトールはスイートパール(SweetPearl)(商標)、および水素化イソマルツロースはイソマルチソーブ(Isomaltisorb)(登録商標)の商標名の下に粉末形態で本出願人が販売する、任意のポリオールから調製されてもよい。例えばマルチトール含量が高いマルチトールシロップなどの即席のシロップもまた使用してもよい。コーティングシロップの固形分は、60%〜90%の間、より好ましくは70%〜85%の間、さらにより好ましくは76%以上および80%未満である。
【0029】
使用されるシロップは、塗布前に100℃未満の温度にされる。有利な一実施態様では、シロップ温度は75℃〜95℃の間、さらにより有利には85℃〜93℃の間である。それは例えばスプレーによって塗布される。
【0030】
本発明に係るコーティングサイクルは、少なくとも1分間で5分間以下にわたる、40℃〜70℃の間、好ましくは45℃〜55℃の間の温度での空気の使用を含んでなる少なくとも1つの乾燥ステップを含んでなる。
【0031】
一実施態様によれば、ステップ(b)は45℃〜60℃の間、好ましくは47℃〜53℃の間の温度の空気の使用を含んでなる。
【0032】
一実施態様によれば、本発明の主題である方法の乾燥ステップのセットは、少なくとも10分間、好ましくは少なくとも15分間の累積時間にわたる、少なくとも45℃および55℃以下の空気の使用を含んでなる。
【0033】
本発明の特に有利な一形態によれば、空気温度は50℃であり、50℃でのこの空気の総累積吹き付け時間は15分間である。
【0034】
これらの「加熱」段階の外では、被覆されるコアの移動床中で支配的な温度は、コーティング工程の大部分を通じて、10℃〜50℃の間、好ましくは15〜40℃の間の温度に維持される。
【0035】
タービン内に吹き付ける空気が乾燥しているほど、工程がより迅速であることもまた明らかである。
【0036】
所望の増大度は、被覆されるコアの性質、または所望の効果に応じて自由に選択してもよい。
【0037】
本発明の特定の一実施態様によれば、25%を超える増大度が1時間30分以内に得られる。
【0038】
一実施態様によれば、ステップ(a)のポリオールはマルチトールである。
【0039】
本発明の好ましい一形態によれば、被覆されるコアはチューインガムから構成され、所望の増大度は20%〜50%の間、好ましくは30%〜45%の間、より好ましくはは30%〜40%の間である。
【0040】
本発明の好ましい別の形態によれば、被覆されるコアは、チューイングペースト、キャラメル、およびタブレットなどの菓子類から構成され、所望の増大度は24%〜40%の間である。
【0041】
本発明の好ましい別の形態によれば、被覆されるコアはドライフルーツから構成され、所望の増大度は50%〜85%の間、好ましくは60%〜75%の間である。
【0042】
本発明の方法に係る1つの別形は、コーティングシロップを塗布した後に、好ましくは95重量%を超える高純度のポリオール粉末を(典型的に粉付けによって)添加することにある。
【0043】
したがって一実施態様によれば、本発明は、
(a)二糖類の水素化によって得られる少なくとも1つのポリオールを含有し、60%〜90重量%の間、好ましくは70%〜85重量%の間の固形分を有するコーティングシロップを塗布するステップと、
(a−1)純度が95%を超える少なくとも1つのポリオール含有する粉末を塗布するステップと、
(b)少なくとも1分間で5分間以下にわたる40℃〜70℃の間の温度の空気の使用を含んでなる乾燥ステップと
をそれぞれ含んでなる1つ以上のサイクルも含んでなることを特徴とする、上述のようなコーティング方法に関する。
【0044】
好ましい一形態によれば、前記粉末は98%を超え、好ましくは99%を超える純度を有する。
【0045】
一実施態様によれば、ステップ(a−1)のポリオールは、マルチトール、水素化マルツロース、水素化イソマルツロース、ラクチトール、α−D−グルコピラノシル−1−6−ソルビトール(=1,6−GPS)、α−D−グルコピラノシル−1−1−マンニトール(=1,1−GPM)およびα−D−グルコピラノシル−1−1−ソルビトール(=1,1−GPS)、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0046】
本発明の特定の一形態によれば、ステップ(a−1)のポリオール粉末は、1,1−GPMおよびGPS(1,6−GPSおよび1,1−GPS)の混合物を含有する。
【0047】
ステップ(a−1)のポリオール粉末に関しては、60%未満の直径が250μmを超える粒子を含有する微粉を使用することが好ましい。
【0048】
本方法の特定の一実施態様によれば、塗布されるコーティングシロップは、本発明に係る方法における使用に適した、ステップ(a−1)の塗布されたポリオール粉末から調製されてもよい。
【0049】
本方法の特定の別の実施態様によれば、前記ポリオール粉末および前記コーティングシロップは、「共通の」ポリオールを有し、すなわち前記粉末および前記シロップは共通のポリオール成分を含有する。
【0050】
シロップと粉末の使用を組み合わせる方法のこの別形によれば、30%を超える増大度が、2時間以内、好ましくは1時間30分以内に得られ、すなわち先行技術の方法よりも2から3分の1に短縮されている。
【0051】
一実施態様によれば、ステップ(a)のコーティングシロップ、および/またはステップ(a−1)のポリオール粉末はマルチトールを含有する。
【0052】
本発明の方法の一目的は、コーティング時間をかなり短縮することである。
【0053】
本発明の特定の一実施態様によれば、スプレーするポリオールシロップに、着色剤、強力甘味料または着香剤などの添加剤を添加してもよい。植物ガム、カルボキシメチルセルロースおよびゼラチン、加工デンプン質食物およびデンプン(エンドウ豆、トウモロコシ、小麦、ジャガイモ、タピオカ、米などからの)、マルトデキストリン、ニュートリオース(Nutriose)(登録商標)などのデキストリン、ファイバーゾル(Fibersol)(登録商標)などの抵抗性マルトデキストリン、ポリデキストロース、リカシン(Lycasin)(登録商標)HBCなどのマルチトールシロップ、およびモノ−およびジグリセリドなどの脂肪性物質などのバインダーの組み込みもまた想定できる。
【0054】
本発明の特定の別の実施態様は、コーティングシロップ中および/または増量剤中で異なるポリオールを混合することを想定してもよい。
【0055】
特に有利な本発明の一実施態様によれば、コーティングシロップはまた、炭酸カルシウム、二酸化チタンなどの顔料または食品着色剤、またアスパルテーム、アセスルファムK、サッカリン、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、ネオヘスペリジン、タウマチン、ナトリウムシクラメートまたはカルシウムシクラメート、ブラゼイン誘導体、およびステビオシドなどの強力甘味料を含有してもよい。
【0056】
本発明の別の別形は、いくつかの異なるポリオールを使用して多層コーティングを製造することにある。
【0057】
本発明の別の別形は、コーティングシロップに、またはポリオール粉末に、滑石、炭酸カルシウム、アルミニウムまたはマグネシウムのケイ酸塩、Ca、Mg、Na、Zn、Fe、P、Li塩などの増量剤を添加することにある。
【0058】
本発明に従って被覆される製品は、コーティングパン内で、タービニング、すなわち回転運動を受ける。このコーティングパンは、従来の形、すなわち傾斜回転軸があるチューリップ形、あるいは水平軸がある円柱形を有してもよい。コーティング操作を容易にするために、コアは球状、円柱状または卵形を有するが、クッションまたはロゼンジ形をまた有してもよい。シュガーレスまたは無糖であるこれらの従来のコアは、液体、ペースト状または微粉充填材を含有してもよい。
【0059】
被覆されるコアまたは製品には、場合により、増大ステップまたはコーティングステップ中に、被覆層がより良く結合できるようにする粘着性物質層をコア上に結合させることにある、ガム引きステップを行ってもよいことに留意すべきである。言うまでもなく増大工程後は、例えば脂肪性物質、ラッカーまたはワックスを使用することにより、コーティングを水分から保護してそれに美しく光沢のある外観を与えるためのグレージングまたはワックス仕上げステップを実施することができる。
【0060】
コアにはまた、例えば本出願人によって商標名ライコート(Lycoat)(登録商標)の下に販売される変性エンドウ豆デンプンなど、およびメルク(Merck)社によって商標名キャンドリン(Candurin)(登録商標)の下に販売されるものなどの顔料によるフィルム−コーティングステップを行ってもよい。
【0061】
本発明に係る方法は、特に菓子類、チューインガム、風船ガム、タブレット、ロゼンジ、ゲル化物品、チューイングペースト、飴、チョコレート製品、アーモンドやヘーゼルナッツまたは落花生などのドライフルーツなどの食品と、丸薬、タブレットなどの医薬品または獣医用製品と、動物用品と、植物顆粒などの食餌療法製品と、種子または穀物と、凝集肥料粉末と、酵素または酵母などの微生物ベースの添加剤と、洗剤タブレットと、ビタミンと、着香剤と、香料と、酸と、甘味料または様々な活性成分などの全タイプの製品をコーティングできるようにする。
【0062】
上述のような本発明の実施により、先行技術で記載されている方法よりも短い、かなり短縮されたコーティング時間で、非常に高品質の被覆製品を得られるようになる。
【0063】
したがって本発明は、上述の方法を実施して得られる硬質結晶性層で被覆されたチューインガムに関する。より一般には、本発明はこのようにして、上述の方法を実施して得られる被覆製品、特にその中でコアが、チューインガム、風船ガム、ロゼンジ、ペレット、タブレット、飴、ガム、チューイングペースト、キャラメル、チョコレート、ドライフルーツ、乾燥野菜、穀物、および活性成分からなる群から選択される被覆製品に関する。
【0064】
例示であって限定されるものではない以下の実施例により、本発明はより明確に理解される。
【実施例】
【0065】
実施例1:マルチトール(ミント風味)での硬質コーティング
使用器具:50kgのチューインガムパッドを含有するドリアコーター(Driacoater)1200糖−コーティング機
1.コーティングシロップの組成:
(76%固形分−90℃)
【0066】
【表1】

【0067】
本出願人が保持者である(特許文献4)で記載されているように、ネオソルブ(Neosorb)(登録商標)70/02をコーティングシロップに添加して、チッピングに対する抵抗性を改善する。
【0068】
2.コーティングパラメーターおよび順序(50kgのチューインガム)
第1段階=粉塵除去および予熱
【0069】
【表2】

【0070】
第5および7段階の間にミント着香剤をコア表面に添加した。
【0071】
増大度37.5%でのコーティング総時間は120分である。
【0072】
乾燥空気の露点は−11℃である。
【0073】
上述の先行技術で記載されているものなどの「標準」コーティング方法に従って、210分以内に同一の増大度が得られた。
【0074】
本発明の価値は、本実施例によって実証される。
【0075】
実施例2:マルチトール(ミント風味)での硬質コーティング
使用器具:50kgの無糖チューインガムを含有するドリアコーター(Driacoater)1200糖−コーティング機
1.コーティングシロップの組成:
(74%固形分−90℃)
【0076】
【表3】

【0077】
2.コーティングパラメーターおよび順序(50kgのチューインガム)
第1段階=粉塵除去および予熱
【0078】
【表4】

【0079】
第6および8段階の間にミント着香剤をコア表面に添加した。
【0080】
増大度36%でのコーティング総時間は120分である。
【0081】
乾燥空気の露点は−10℃である。
【0082】
上述の先行技術で記載されているものなどの「標準」コーティング方法に従って、220分以内に同一の増大度が得られた。
【0083】
本発明の価値は、本実施例によって実証される。
【0084】
実施例3:マルチトール(ミント風味)での硬質コーティング
使用器具:50kgのチューインガムパッドを含有するドリアコーター(Driacoater)1200糖−コーティング機
1.コーティングシロップの組成:
(80%固形分−90℃)
【0085】
【表5】

【0086】
2.コーティングパラメーターおよび順序(50kgのチューインガム)
第1段階=粉塵除去および予熱
【0087】
【表6】

【0088】
第5および7段階の間にミント着香剤をコア表面に添加した。
【0089】
増大度37.4%でのコーティング総時間は105分である。
【0090】
乾燥空気の露点は−11℃である。
【0091】
上述の先行技術で記載されているものなどの「標準」コーティング方法に従って、220分以内に同一の増大度が得られた。
【0092】
本発明の価値は、本実施例によって実証される。
【0093】
実施例4:マルチトール(ミント風味)での硬質コーティング
使用器具:50kgのチューインガムパッドを含有するドリアコーター(Driacoater)1200糖−コーティング機
1.コーティングシロップの組成:
(76%固形分−90℃)
【0094】
【表7】

【0095】
2.コーティングパラメーターおよび順序(50kgのチューインガム)
第1段階=粉塵除去および予熱
【0096】
【表8】

【0097】
第5および7段階の間にミント着香剤をコア表面に添加した。
【0098】
増大度35.4%でのコーティング総時間は107分である。
【0099】
乾燥空気の露点は−11℃である。
【0100】
上述の先行技術で記載されているものなどの「標準」コーティング方法に従って、225分以内に同一の増大度が得られた。
【0101】
本発明の価値は、本実施例によって実証される。
【0102】
実施例5:得られた製品の官能的品質
上述の実施例1〜4を実施することで得られた全てのチューインガムは完全に満足できる官能的特徴を有する。
【0103】
その上、最終的なサクサク感は工程終了1〜2日後に現れ、これは前記製品の包装に対してかなりの利点を与える。この理由はこれらの製品を包装する際に、それらは未だそれらの最終サクサク感を有しておらず、したがって脆さが小さく、衝撃および破損をより被りにくいことである。
【0104】
したがって本発明は多くの利点を有し、また包装ステップ中の破損に付随する問題を解決する上で有益でもある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)二糖類の水素化によって得られる少なくとも1つのポリオールを含有して、60%〜90重量%の間、好ましくは70%〜85重量%の間の固形分を有するコーティングシロップを塗布するステップと、
(b)少なくとも1分間で5分間以下にわたる40℃〜70℃の間の温度の空気の使用を含んでなる乾燥ステップと
をそれぞれ含んでなり、サイクル数が、25%を超え、好ましくは30%を超え、より好ましくは32%を超える増大度が得られるようなサイクル数である、複数のサイクルを含んでなる、コア表面に2時間以内に硬質コーティングを作り出せるようにする、無糖硬質コーティング方法。
【請求項2】
ステップ(a)のポリオールが、マルチトール、水素化マルツロース、水素化イソマルツロース、ラクチトール、α−D−グルコピラノシル−1−6−ソルビトール(=1,6−GPS)、α−D−グルコピラノシル−1−1−マンニトール(=1,1−GPM)およびα−D−グルコピラノシル−1−1−ソルビトール(=1,1−GPS)、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のコーティング方法。
【請求項3】
前記コーティングシロップの固形分が、60%〜90%の間、より好ましくは70%〜85%の間、さらにより好ましくは76%以上80重量%未満であることを特徴とする、請求項1または2に記載のコーティング方法。
【請求項4】
ステップ(b)が45℃〜60℃の間好ましくは47〜53℃の間の温度の空気の使用を含んでなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコーティング方法。
【請求項5】
乾燥ステップのセットが少なくとも10分間好ましくは少なくとも15分間の累積時間にわたる、少なくとも45℃で55℃以下の空気の使用を含んでなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコーティング方法。
【請求項6】
前記25%を超える増大度が1時間30分以内に得られることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のコーティング方法。
【請求項7】
ステップ(a)のポリオールがマルチトールであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のコーティング方法。
【請求項8】
(a)二糖類の水素化によって得られる少なくとも1つのポリオールを含有し、60%〜90重量%の間、好ましくは70%〜85重量%の間の固形分を有するコーティングシロップを塗布するステップと、
(a−1)純度が95%を超える少なくとも1つのポリオール含有する粉末を塗布するステップと、
(b)少なくとも1分間で5分間以下にわたる40℃〜70℃の間の温度の空気の使用を含んでなる乾燥ステップと
をそれぞれ含んでなる1つ以上のサイクルも含んでなることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のコーティング方法。
【請求項9】
ステップ(a−1)のポリオールが、マルチトール、水素化マルツロース、水素化イソマルツロース、ラクチトール、α−D−グルコピラノシル−1−6−ソルビトール(=1,6−GPS)、α−D−グルコピラノシル−1−1−マンニトール(=1,1−GPM)およびα−D−グルコピラノシル−1−1−ソルビトール(=1,1−GPS)、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載のコーティング方法。
【請求項10】
ステップ(a−1)の前記粉末の純度が98%を超え、好ましくは99%を超えることを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(a)のシロップおよび/またはステップ(a−1)の粉末がマルチトールを含有することを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
被覆されるコアが食品、特にチューインガム、獣医学製品、医薬品または食餌療法製品、種子または穀物、肥料粉末であり、あるいは酵素、微生物、ビタミン、着香剤、香料、酸、甘味料または有効成分ベースの添加剤であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のコーティング方法。

【公開番号】特開2009−247356(P2009−247356A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95206(P2009−95206)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(592097428)ロケット・フルーレ (58)
【Fターム(参考)】