説明

最適化された表面を活用する赤外線センサー

本発明は、検出器エレメントを備え、例えば、非接触温度測定または赤外線分光のための放射線センサーに関し、放射線を吸収して加熱される吸収器エレメント(13〜16、51、52)と、吸収器エレメント(13〜16、51、52)を収容するために支持体表面を備えた支持体(2)とからなる。支持体表面は凹部を有しており、吸収器エレメント(13〜16、51、52)は、吸収器エレメント(13〜16、51、52)の少なくとも一部が支持体(2)に触れないように支持体表面上で、かつ、凹部の上方に配置されている。本発明によれば、凹部が支持体表面の少なくとも45%に対応するサイズを有していることにより、前述のタイプの放射線センサーは、可能な最小のチップ表面上に増幅信号を生成するので、小さな測定点が可能になり、従来の標準化された技術で製造可能になる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、非接触温度測定または赤外線ガス分光のための放射線センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
温度を測定する公知の技術は多いが、それらは、物理的または化学的な材料特性が温度に依存する多くの特質を技術的に活用している。これらの方法の殆ど全てが、測定センサーの熱伝達に基づいている。いわゆる接触温度計では、この熱伝達は、熱の伝導と対流とを介して行われ、非接触温度計(放射温度計)の場合、熱放射によって行われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
接触温度計が一般的に非常に信頼できて最も単純で製造費用効果が高くても、それらの用途は依然として限られている。従って、例えば、測定センサーの材料特性のために上限温度があり、それを越えると、測定センサーはもう動作できない。そのうえ、接触温度計は、高速で移動し、または、接近しにくい物体の温度の測定に適していない。
【0004】
従って、熱放射に準じる非接触温度計は、多くの用途で採用されている。温度がT>0Kである任意の表面は、電磁波、いわゆる熱放射線を放出する。表面から放出された放射線が別の表面に接すると、それは、部分的に反射、吸収または伝達される。従って、吸収エレメントの加熱が放出された赤外放射線の証拠として機能するので、吸収エレメントは、波長に関係なく、かつ、放射線の入射によって加熱される吸収能力を理想的に有する放射温度計に用いられる。
【0005】
放射温度計またはいわゆる放射高温計は、一般に、レンズと、吸収エレメントを備えた検出器エレメントだけでなく、レンズと検出器とを機械的に熱的に保護するハウジングをも有している。これらのセンサーの場合、被測定物体から放出される赤外放射線は、吸収面上に、適切な窓または光学部品を介し、しるされるので、この表面は、吸収により温度が上昇する。放射温度計は、温度計の自己温度より低い温度の測定にも使用できることが分かる。この場合、吸収表面は、全体的に吸収表面が冷えるように、吸収する以上に放射している。
【0006】
温度の上昇(または低下)は異なる方式で測定できる。サーミスター・ボロメータの場合、それは、測定される電気抵抗の変化であり、サーモ・エレメントについては、二つの金属ワイヤ間の接触点における電圧であり、パイロ電気検出器の場合、特殊な絶縁クリスタルの温度に変化がある場合に生じる電荷の変位である。
【0007】
サーモ・エレメントは、温度上昇をもたらす所謂ゼーベック効果を用いている。二つの異なる熱電材料製の熱電対の接合点が吸収領域と接し、基準接点は一般的にセンサー・ハウジングの温度である。このようなサーモ・エレメントのセンサー出力電圧は非常に小さいので、しばしば、多くのこのようなサーモ・エレメントが直列に接続されている。このような多くのサーモ・エレメントの直列接続は、サーモ−カラムまたはサーモ−パイルとも呼ばれている。
【0008】
近年、多くの努力が電気および電子の構成部品を小型化するために多くの技術分野で行われているが、同時に、公知の標準化可能なプロセスでコスト効率的にそれらを製造できるようにすべきである。更なる小型化は、放射センサーの場合、吸収器の表面を狭くするので、温度上昇が僅かになり、それと共に信号も小さくなり、分解能も小さくなる。
従って、特に小型化されたセンサーの場合、吸収器システムの赤外放射線の吸収をできるだけ高めて、環境から吸収器の表面を断熱し、温度上昇をできるだけ高くし、センサー出力信号を大きくすることが重要である。
【0009】
検出器エレメントを有する赤外線センサーは既に公知であるが、検出器エレメントは、放射線を吸収する結果として加熱される吸収器エレメントと、吸収器エレメントの位置を定めるための表面を備えた支持体とからなり、この支持体の表面に凹部があり、吸収器エレメントは、吸収器エレメントの一部が支持体に触れないように、支持体の表面上で凹部の上方に配置されている。通常は、凹部の上方に置かれた非常に小さな熱伝導性を備えた膜があり、その上に順に吸収器エレメントが置かれている。これは、一方の吸収器エレメントとヒート・シンクとして作用する支持体との間の熱的な分離を殆どの範囲で保証し、他方、吸収器エレメントと支持体の間に高い温度差が生じることになり、より大きな信号強度が生じる。
【0010】
このようなセンサーは、DE 42 21 037に既に記されている。このセンサーは、精密機械技術で製造されている。検出器は、ここでは、センサー・ハウジングのベース・プレートに接合されているシリコンの支持体を有している。
【0011】
DE 42 21 037に示すセンサーは、いわゆるウエット・エッチング技術(KOH)で製造されているが、凹部に傾斜側壁が生じる結果になる。言い換えれば、凹部を囲む支持体のフィンが先細りする結果になる。しかし、これは、フィンが吸収器エレメントに面する側面上で実際には広がることを意味し、吸収器エレメントにとって不適切な断熱になるか、または、有効表面が狭くなる結果になる。
【0012】
公知の赤外線センサーの殆ど全てにおいて、吸収器エレメントのサイズは、例えば、チップ形状の検出器の全体的なサイズと比べると、比較的小さく、低い信号利用となる。
【0013】
DE 100 09 593では、ヒート・シンクとして作用する支持体が既述されているが、その場合、凹部を囲む壁はベース・プレート上で実質的に垂直である。しかし、この形状では、吸収器エレメントのエッジとシリコン・ヒートシンクとの間の距離が比較的長くなる。この領域には、不適切な熱導体である膜が1つだけ存在し、吸収器エレメントと比べると、赤外放射線に対して低い吸収性を有するだけである。従って、膜に入射する赤外放射線は、信号生成には不十分であり、測定点のサイズが検出器チップ表面だけ増加するので、高温計への適用には特に適していない。更に、DE 100 09 593に示す形状では、支持体の縁部が非常に大きいので、検出器エレメントの全体的なサイズと比べると吸収器エレメントの有効サイズが小さくなる結果になる。
【0014】
そのうえ、周知の赤外線センサーの場合、吸収器エレメントの端部とシリコン・ヒートシンクとの間の距離が比較的長い。そのうえ、吸収器表面は、全体的な検出器表面と比べると、比較的狭い。
【その解決方法】
【0015】
従って、最新の技術に基づき、本発明の目的は、冒頭に記したタイプの放射センサーを製造し、できるだけ小さくした表面上に増幅信号を生成することにある。そのうえ、本発明の目的は、小さな測定点を許容すると共に、公知の標準化技術で製造できる赤外線センサーを提供することにある。
【0016】
本発明では、この目標は次のようにして解決した。すなわち、凹部が、支持体面積の少なくとも45%に対応する、吸収器エレメントに面する少なくともその側面上に、表面伸長部を有している。言い換えれば、凹部を支持体に導入することにより、支持体表面の少なくとも45%が除去される。凹部を囲む支持体表面の残りは、従って、支持体表面全体の最大で55%の全体的な表面伸長部を有している。その結果、信号強度が一定に維持されながら、センサー表面全体が減少するので、製造コストが安価になる。支持体を乾燥エッチング・プロセスで製造することも効果的である。
【0017】
特に好ましいデザイン形状では、凹部は、支持体表面の45〜75%の範囲、好ましくは50〜70%の範囲、特に好ましくは約65%である膨張部を有している。特に優れた信号要素は凹部の形状設定から実現できて、支持体の満足できる安定性も保証されることが分かった。
【0018】
特に有用なデザイン形状では、凹部は、支持体の上側の支持体表面に関して80〜100度の範囲、好ましくは85〜95度の範囲、特に好ましくは約90度の角度をもつ側壁を有している。この測定は、吸収器エレメントの表面と全体的な検出器表面または支持体表面との比率を増加するように機能する。
【0019】
凹部は、それが支持体全体を介して伸長するように好都合に製造すべきことが分かった。言い換えれば、センサーのベース・プレート上に実装できる支持体は、一貫する開口部を有している。これは、吸収器エレメントと支持体またはセンサーのグランド・プレートとの間の距離をできるだけ大きくするので、吸収器エレメントまたは膜と凹部のフロアまたはベースとの間に存在するガスの熱伝導性に起因する信号低下を和らげる。
【0020】
支持体はシリコン技術で好都合に製造される。更に、吸収器エレメントが、適切なデザイン形状で少なくとも一つの放射線検知機能層上に配置されている、少なくとも一つのCMOSコンパチブル・被覆層を有していると効果的である。
【0021】
被覆層が、全体的な支持体表面の少なくとも30%、好ましくは35〜70%の範囲、特に好ましくは40〜60%の範囲の表面積を有していると、特に効果的であることが分かった。全体的な支持体表面は、凹部を含めた支持体の表面積を意味することを、ここで再び強調しなければならない。
【0022】
ここで述べた吸収器エレメントは、サーモ−エレメントまたはサーモパイルと組み合わせて用いる必要性は必ずしもないが、例えば、パイロ電気エレメントまたはボロメータと組み合わせて使用することもできる。
【0023】
更に、信号要素は、凹部の少なくともフロアまたはベースが赤外放射線を反射する材料で製造されていると、更に強化されることが試験で証明された。これは、例えば、金属の層、例えば、1μm未満の厚みを適切に有する金の層によって実現できる。
【0024】
更に、特に好ましいデザイン形状があり、センサーは、ベース・プレートから作られたハウジングと、そこに接合されたキャップとを有し、検出器エレメントまたは支持体がベース・プレート上に配置されている。ここで、ベース・プレートは、支持体を囲む領域に少なくとも赤外放射線を反射しないように構成されていると効果的である。これは、例えば、適切な非反射材料のベース・プレートを製造することによって実現できる。代わりに、ベース・プレートは、非反射材料、好ましくはラッカーまたはフォトレジストを用いて、支持体を囲む領域に塗布できる。
【0025】
他の特に好ましいデザイン形状も従属請求項の特徴を実現する。
【0026】
本発明の他の長所と特徴と適用事例は、添付する図面だけでなく、好ましいデザイン形状に関する次の説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1Aと1Bは、本発明に係る赤外線センサーの二つの異なる基本的な構造を、最新の技術観点から、少なくとも部分的にわかりやすい方法で示している。検出器エレメント2と基準エレメント3とがベース・プレート1上に配置され、周囲温度を測定するために前記ベース・プレートと良好な熱接触を保っている。
【0028】
代わりに、基準エレメントは、図1Bのデザイン形状で示すように、シリコン回路11に統合することもできる。これは、例えば、信号条件設定と周囲温度補償のために第一の段階で一緒に行うことができる。
【0029】
基準エレメント3とベース・プレート1との間の機械的な接続は、好ましくは、導電性のエポキシ樹脂、例えば、銀を補充したエポキシ樹脂を用いている。もちろん、低温溶融性ハンダによるハンダ付けのような他の方法も可能である。
【0030】
検出器エレメント2と基準エレメント3またはシリコン回路11は、例えば、細い結合ワイヤであるワイヤ4を介し、接続ピン5またはベース・プレート1の接続用接触面6に接続している。
【0031】
検出器エレメント2には、後述するように、凹部40がある。前記凹部40の底部は、例えば、1マイクロメータ未満の厚さで、非常に高反射性の金属層7が塗布されている。
【0032】
検出器エレメント2を囲むベース・プレート1の領域は、図示するデザイン形状のように、非反射層8で被覆できる。この層は、例えば、ラッカーまたはフォトレジストでもよい。製造時に、検出器エレメント2、基準エレメント3またはシリコン回路のための接触点を除き、表面全体を塗布すると効果的である。赤外線センサーは、例えば、鉄、ニッケル、真鍮または銅製の金属キャップ9を更に備えている。金属キャップ9は、できるだけ堅固にベース・プレート1に接合されている。キャップ9は、例えば、溶接、ハンダ付け、または、接着で、ベース・プレート1を密閉できる。検出器エレメントの上方の金属キャップ9に開口部があり、そこには、赤外放射線を通すフィルタ10がある。
【0033】
既に記述し、かつ、図1Bに示すように、温度基準3は、シリコン回路11として、例えば、用途特定集積回路またはいわゆるASICの形式で、必要に応じ、増幅器と補償回路だけでなく、統合化した温度基準でも製造できる。
【0034】
ベース・プレート1は、例えば、図1Aに示すように、標準的なトランジスタ・ハウジングに用いられているような金属または金属合金から製造できる。好ましい材料の例として、鉄、ニッケル、コバルト、または類似の材料がある。代わりに、図1Bに示すように、ベース・プレート1は、プリント基板材料FR4のように、セラミックまたは有機材料から製造できる。
【0035】
図2Aと2Bは、例えば、標準的なPCB材料(FR3、FR4またはセラミック)から製造された、非金属キャリア基板を備えたセンサー構造の好ましいデザイン形状を示す。図2Aは、センサー構造の平面図を示す図2BのA−A’線断面図である。検出器エレメント2と温度基準3または信号の事前調整構造エレメント(ASIC)11が、PCB上に実装されている。金属層41が非金属製PCB上に置かれている。この層は、好ましくは、20〜100μmの厚みを有するべきである。この金属層は、例えば、市販のPCBにしばしば用いられている銅層を用いて製造できる。金属層41は、キャップ9の接触面まで、検出器エレメント、温度基準またはASICの下方に延在している。
【0036】
この金属層41は、一方側にフィルタを、他方側に検出器エレメント2と温度基準3とを備えたキャップ9との間で良好な温度接続を保証するように作用する。特に好ましいことは、接点48と貫通路44とを設けるための個々のアイランド42を除き、ベース・プレート1に沿う道の全てに走る金属層41を有していることである。
【0037】
ベース・プレート1に対するキャップ9の固定は、例えば、ハンダ付け、接着または溶接を用いて行われる。用途に基づき、キャップ9と金属層41または電気的に絶縁された実装部との間の電気的接続が優れたものになる。
【0038】
図示したデザイン形状において、金属層41は、更に高い反射性で適切に接合可能な層7が、検出器エレメントの下方側の領域、すなわち、検出器エレメントまたは支持体が有する連続する凹部をもつポイントの領域、および、接続接点48の隣接する囲み部内に設けられている。層7は、例えば、薄い金の層である。
【0039】
検出器エレメント2の周囲におよび接触面の周囲の全てにおいて、図示するデザイン形状で、金属層7、41は、吸収層43、例えば、ハンダ・レジスト・ラッカーで被覆されている。
【0040】
吸収層43は、測定結果を好ましくない方法で影響するおそれがある入射光線の反射を避けるために用いられる。
【0041】
スルーホール44も可能であり、これは、しばしばビアとも呼ばれ、ベース・プレートの下側に対する接続を提供する。スルーホール44は、それらの内壁面が実装完了までに金属メッキで覆われ、できるだけガスが漏れのないように下側から封止されている。これは、例えば、接着剤の滴下またはハンダ・ロック45によって行うことができる。このロックは、アグレッシブガスだけでなく、湿気のような外因からセンサー・ハウジングを密封するために必要である。ある用途では、それは、センサー内部を所定のガスと湿気との比率に設定するため、乾燥窒素または不活性ガスのような所定のガス雰囲気中でロックされると、効果的である。
【0042】
ベース・プレート1の下側で、接点44の金属製部品は、プリント・ハンダ・ビーズ46に連なっている。これらのハンダ・ビーズは、例えば、スズ・ハンダによって構成できる。後のスズ・ハンダの溶融により、いわゆるリフロー・ハンダ工程により、センサーを標準的なPCB上に自動的に設置できる。
【0043】
図3は、本発明に係るベース・プレート上のセンサーのデザイン形状について基本的な構造を示す。センサーの作用について、この図面と前の図面とを用いて次に記す。
【0044】
温度測定を求められる物体に由来する赤外放射線53は、キャップ9に設けたフィルタを通過し、吸収器システムを有する検出器エレメント2に入射する。
【0045】
吸収器システム19では、熱放射線は実質的に完全に吸収され、シリコン・キャリア上方の検出器エレメント2の支持体12の境界と吸収器領域19との間に温度差が生じる結果になる。数多くのサーモ・エレメントは、それらの接続部の1つが赤外放射線に晒される吸収器システムの領域に位置し、他の接続部が検出器エレメントの境界に固定されるように、吸収器システム上に配置されている。熱電効果により、電位差が全ての熱電対に生じる。この電位差は、赤外放射線に晒される吸収器システムの領域と、検出器エレメントの境界との間の温度差に比例する。熱電圧は、通常は非常に小さく、数マイクロボルトである。信号電圧を高めるために、数多くの熱電対がいわゆるサーモパイルに直列に接続している。これらは、典型的に数十、または百以上の熱電対にしてもよい。
【0046】
前述の方法でつながれた熱電対の二つの末端は、結合アイランド21に接続されている。結合アイランド21から、結合ワイヤ4は、信号を外部に向けて接続ワイヤまたは接続接点に送る。
【0047】
好ましくは、良好な熱伝導性を有すべきグランド・プレート1上に、検出器エレメント2は検知エレメントまたは吸収器エレメントと一緒に配置されている。検出器エレメント2は、図示するデザイン形状で、250〜650μmの範囲で、好ましくは約400μmの厚みのシリコンの支持体12である支持体と、その上方の膜と薄い層13、14、15、16とから成る。断熱性の約0.3〜1μmの薄膜層13と14は、誘電層(好ましくは、窒化珪素と酸化珪素またはシリコン窒化酸素物(silicon oxy-nitrite))から成る。
【0048】
膜の層は、少なくとも二つの層をもつサンドイッチ構造である。ここで、ベース層14とも呼ばれる、二酸化珪素の最下限層14を製造し、50〜30nmの厚みにすることは効果的である。二酸化珪素は、後の反応シリコン・エッチング・プロセスに適した非常に低いエッチング・レートを有しているので、あるエッチング障壁層を形成するために選択されてきた。ベース層の上方に、膜層13があり、その上に熱電的に能動的な層15、16が設けられている。p−導通(ホール導通)性の多結晶シリコンと、n−導通(電子導通)性の多結晶シリコンとが、ここでは一緒に適切に用いられている。両方の材料は、符号が逆の高い熱電係数をもち、CMOS標準工程で容易に使用できる。
【0049】
個々の熱電対は、n−導通性ポリシリコンの一つのリムと、p−導通性ポリシリコンの一つとをそれぞれ有している。これらのリムの両方は、一方が他方の上に適切に配置され、各々前後の熱電対にそれらの末端で接続されている。結果として、いわゆる“熱”接点18が膜の中心に位置している。なぜならば、この領域は、ヒート・シンク、いわゆる“冷”接点17として作用するシリコン・キャリア2の上方で、チップ2のエッジ上で、赤外放射線に晒される。接触は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の一つ以上の接触窓において行うことができる。
【0050】
一方が他方の最上部に位置する二つのポリシリコンリム間の絶縁は、CMOS標準方法を用いて、例えば、二酸化珪素または窒化珪素の薄層を用いて、好ましいデザイン形状で実現される。
【0051】
熱接点18の上方に置かれた吸収器構造19がある。少なくとも一層、必要に応じて数層から成る、この被覆層は、測定すべき赤外放射線に対して(例えば、3〜15μm)、できるだけ低く、かつ、高い吸収性の反射機能を有していなければならない。
【0052】
膜層13、14、15、16と反射層20とが一緒に、それらは本発明の吸収器システムを形成している。
【0053】
本発明に係るセンサー・チップは、通常は100〜200mm直径のシリコン・ウエハー上の化合物において製造できる。その際に、一般的に、2,000〜20,000個のチップを1枚のウエハー上に配置できる。ここで、検知層は、ウエハーの上側に配置されている。このために、誘電層13、好ましくは、窒化珪素と酸化珪素またはシリコン窒化酸素物が、CMOS技術において標準化されたCVD工程により、シリコン上に沈着している。これは、数層を有するサンドイッチ構造になる。層の厚みは、室温に上昇した温度で沈着した後のチップの冷却のために異なる熱膨張係数に起因する機械的応力が、できる限りバランスするように選択される。従って、例えば、窒化珪素は冷却後に引張応力のもとにあるが、酸化珪素は冷却後に圧縮応力のもとにある。層全体の応力が室温に冷却後に多かれ少なかれ除去されるか、または最悪の場合でも僅かの引張応力だけ残るように、層の厚みを選択することが効果的である。
【0054】
図4は、強度比が明確になるのに役立つ接点だけでなく、膜や吸収器を含んでいるセンサー2の更なる図を示している。
【0055】
ここでは、シリコン層から構成されている支持体12は、互いにほぼ直角の角度をなす厚さDの四つの壁だけで実質的に形成されているので、凹部40を有していることが明確に分かる。支持体の残りのフレームの厚みDは、チップ2の側面の全長Sに対し、好ましくは最大で18%、特に好ましくは8〜12%の範囲にある。温度センサーの放射探査は結果として増加している。更に、吸収器構造19の境界と膜との間の距離A1は、6%未満、好ましくは、チップの側面全長の2〜5%の範囲にある。非常に小さい検出器エレメントの場合、例えば、約1mm以下の側面長で、DとA1との値は指定の上限になるが、低い値が2mmを超える側面長を備えた検出器エレメントにとって効果的であることが分かる。
【0056】
吸収器エレメントの幅または長さA2は、チップの側面長と呼ばれ、特に約1mm未満の検出器サイズの場合に、好ましくは少なくとも52%であり、特に1.5mmを越える側面長を備えた検出器サイズの場合に、好ましくは65〜80%の範囲である。
【0057】
試験時に、次に示す表に記すサイズ比が、それらを証明した。
【表1】

【0058】
本発明に係るチップ形状を構成することにより、実現できることは、検出器表面と呼ばれる実現可能な信号電圧が公知のセンサーと比べると大幅に増加することである。従って、信号電圧が試験中に測定され、それは、同じ検出器表面積を有する公知のセンサー・チップの信号電圧の1.4〜2倍だった。
【0059】
そのうえ、支持体の境界が最新式のセンサーと比べると大きく減少しているので、測定点の好ましくない拡大を招く反射の可能性が減少する。その結果、空間的に限定される被測定物体を測定するための本発明の赤外線放射温度計の測定精度が大幅に増加する。
【0060】
シリコン支持体12のエッジの近くの膜のエッジ上に冷接点17を配置し、熱接点をできるだけ離して吸収器19の下方に置くと、吸収器表面の領域全体を活用できるので効果的であることが分かった。その結果、ある接点、例えば、全ての第二のまたは第三の接点が吸収器境界の近傍に配置され、残りは、吸収器の境界と吸収器19の中間部との間に設けられる。
【0061】
図5Aと5Bは、本発明に係る吸収器システムの構造を示す。そこでは、ハウジング底面を含むセンサー全体が、エレメントの全てが吸収に関与するようにデザインされている。赤外線フィルタ10を介して非検出エレメント2に入射する赤外放射線は、まず、吸収器被覆層52に達する。この被覆層は、適切にCMOSコンパチブル・プロセスで製造でき、できるだけ小さい反射係数を有するとともに、例えば、3〜14μmのスペクトル範囲で高い自己吸収性を有している。CMOSとクリーン・ルーム・コンパチブル層は、最大で約50〜70%の吸収を一般的に有しているだけなので、赤外放射線の一部は、被覆層52を必然的に貫通し、被覆層52の下方に形成された不活性化層51だけでなく、不活性化層51下方の熱電層15、16と膜層13、14とにも入射する。これらの層は、赤外線領域においても特定の吸収を呈する。層のような構造の全体的な吸収は、赤外放射線の波長と用いる誘電層の厚みの両方に依存する。従って、入射した赤外放射線の一部が、層構造を貫通してベース・プレート1に達することができる。しかし、ベース・プレート1上には、既述のように、自己反射も伝搬も殆ど無い高反射層7を凹部に設けてあり、放射線の成分を反射して膜に戻す。また、膜層14は層7で反射した放射線の一部をも反射する可能性があるので、放射線の成分がほぼ完全に貫通して下方から膜層に戻るまで、多重反射が生じる可能性がある。残留放射線のなかで最も大きなものは、すなわち、最初に吸収器層を貫通した放射線は、層13、14、15、16、51、52から成る層システムを介して2回目の通過中で吸収される。
【0062】
代わりに、多重反射が層システムの一部に生じるだけであるので、吸収層の誘電層の系統内に反射層を導入することも可能である。更に、ある用途の場合、できるだけ完全に吸収層における入射光を吸収するため、干渉作用に関して誘電層の厚みを効果的に最適化できる。従って、例えば、更なる反射層を介し、例えば、酸化珪素の厚みが0.5〜1μmの誘電層を適用できる。実際に広帯域センサーに用いると、誘電層の全体的な厚みを1.5〜2.5μmまでに増加させるのに効果的である。
【0063】
経験によれば、できるだけ多量に入射放射線を吸収するため、熱電層が膜全体上に実質的に形成されている。さらに、吸収器層は、自立膜の表面、すなわち、支持体に接触していない膜の表面を、少なくとも70〜85%にまで、好ましくは満たすべきである。
【0064】
層システムは、例えば、サーマルな酸化珪素またはCVD酸化物から成る基本酸化層14と、例えば、窒化珪素、酸化珪素またはシリコン窒化酸化物から成る膜サンドイッチ13とから成る。例えば、n−とp−の導通性多結晶シリコンまたはシリコンとゲルマニウムからなる熱電層15,16は、CVD分離工程からも製造できる。熱電層15,16の上方に、厚みが約100〜1,500nmの酸化珪素または窒化珪素の不活性化層がある。
【0065】
吸収器被覆層52は、単一層または多重層のデザインで製造できる。試験から、二つの変形例が特に有効であることが分かった。
【0066】
第一の変形例では、窒化チタン製の薄い反射低減金属層が、例えば、不活性化層51上に溶着されている。溶着は、例えば、スパッタリングまたは蒸着によってできる。このような反射低減薄層の活用は、既知の層の場合に、原理的に公知の技術であるが、酸化とエージング・プロセスのために、層の抵抗、すなわち、吸収特性が時間の経過とともに変わる。従って、本発明では、酸化珪素または窒化珪素製の更なる不活性化層を反射低減層上に設け、第二の層の厚みが好ましくは10〜50nmの範囲であることを提案している。この層は、例えば、約350〜400℃以下の温度でプラズマ低減CVD溶着手段を用いて製造できる。非常に薄い不活性化層は、金属層の反射特性を微々たる範囲で低下させるが、反射低減薄層の長期間にわたる優れた安定性を提供する。
【0067】
第二の変形例では、ポリマー層が吸収器被覆層として用いられている。ポリマー層の厚みは、約2〜10μmである。ポリアミドのようなフォトイミドまたは他のポリマーは、ポリマー層として適切に用いられている。
【0068】
そのうえ、吸収量を増加するために記した二つの変形例は、組み合わせることもできる。そのため、反射低減金属層がポリマー層上に溶着する。
【0069】
更に測定点を限定するため、検出器エレメント2のシリコン支持体は、使用可能な吸収器表面が検出器エレメントの全表面エリアと比べて非常に大きいので、本発明では非常に小さい幅になっている。赤外放射線26の一部がそれにもかかわらず検出器エレメント2の縁部に入射する場合、それらは、縁部25の吸収器と同時に膜上に生成された吸収器層により更なる反射から遮ることができる。吸収器層25は、シリコン・キャリア上方の全支持体の端部を被覆できるので、ワイヤを接続するために必要な表面を除外しなければならない。シリコンの高い熱伝導と、シリコン・キャリアに対する吸収器層の良好な熱結合と、ハウジング上のシリコン・キャリアとにより、端部領域に入射する放射線の吸収は、既述の価値である冷接点17の温度上昇を生じさせない。
【0070】
赤外放射線24の一部が検出器エレメント2に加えてベース・プレート1に入射する場合、これらは、更なる吸収器層43によって吸収できる。これが行われることは、これらの放射線成分24が、或る環境のもとで、ベース・プレートやキャップ壁やキャップ・カバーでの多重反射により、吸収器に戻ることを妨げる。
【0071】
これは、そうしないと、レンズの画像生成機能を劣化させることになる。
【0072】
図6は、本発明に係る改善したキャップ形状をもつ二つのデザイン形状を示す。図示する特殊なキャップ形状により、寸法精度が高まり、特に、いわゆる“熱衝撃作用”の発生時に高くなる。いわゆる熱衝撃作用は、周囲温度が急激に変わる際に、温度勾配がキャップとベース・プレートとの間に生じることに起因する。この温度差は、ベース・プレート上の温度基準が補正できない不適切な信号を必然的に生じる。このエラー信号は、キャップとベース・プレートが再び全く同じ温度になった後に消えるだけである。この効果は、検出器エレメントまたはチップ2の吸収器システムが、“視界”内でキャップ9上にフィルタ10を固定するために一般的に用いられるフィルタ・ステッカー27を有する場合に、特に注目される。この原因は、金属キャップ9と比べると、用いるフィルタ・ステッカーの−しばしば非常に高い−自己吸収と放出とによる。その結果、ベース・ボディとキャップ9との間、または、ベース・ボディと用いるステッカー27との間の温度差は、検出器エレメント2に、ステッカー27が放出した赤外放射線を介して送られる。これは、キャップ9が検出器エレメント2と異なる温度の場合に、測定エラーを生じる。
【0073】
従って、図6aに示すデザイン形状の場合、例えば、金属またはプラスチック製の更なるスクリーン28が、穴あきスクリーン28が放射線をフィルタ10から吸収器に送り、外部キャップ壁から到達する放射線成分を検出器エレメント2から引き離すように、キャップ6内で検出器エレメントの上方に組み込まれている。しかし、このスクリーン28が両側で反射するように製造し、赤外線フィルタ10に面する少なくとも上側が吸収性になるように塗布されていると、効果的である。
【0074】
図6bに示すキャップ形状を有する第二のデザイン形状の場合、フィルタ10は、窪みのキャップ9の上側に組み込まれている。この窪みは、フィルタ・ステッカー27が検出器エレメント2の“視界”内に位置しないように形成されている。窪みの深さは、それをフィルタの厚みより少し深くなるように選択されているので、フィルタはキャップの上面から突出しない。
【0075】
図7aと7bは、サーモパイル・センサーの空間分解能が更に増大しているものが用いられ、更に好ましいキャップ形状を示している。
【0076】
従って、回転対称ミラー30が図7aに示すキャップ29に設置されている。このミラーは、反射性コーティングした金属またはプラスチック部品から製造できる。
【0077】
ミラー30の上部は、赤外線フィルタ10を通る光線が検出器エレメント2の吸収器表面に焦点を結ぶように形成されている。これは、例えば、放物線としてまたはいわゆるウィンストーン−コーンとしてミラー30の上部を形成することにより実現できる。
【0078】
ミラーの下端32は、他方で、キャップ29の壁領域がセンサー吸収器の可視範囲に属さないように作られている。例えば、酸化珪素またはポリマー材料の不活性化被覆層をもつ、例えば、薄い金、銀またはアルミニウム層から成る、ミラー内面31、33上の金属反射層は、ミラーまたはキャップの加熱に起因する更なる測定エラーを解消する。ミラーの下側32はいずれも図7aに示すように湾曲しているとともに、面が、例えば、フロア・プレートと実質的に平行である。
【0079】
図7bは、光学的焦点設定機能をもつ別のデザイン形状を示す。キャップ29は、例えば、シリコン、ゲルマニウム、フッ化カルシウムまたは類似の材料から製作できる、挿入レンズ34を有している。ある用途では、レンズ34の伝搬範囲は、レンズ表面上の既知の非反射性フィルタ層で対応して制限できる。回転対称口径ボディまたは開口ボディ36は、好ましいプラスチック製であり、キャップに設けられ、キャップ壁上の反射を防いでいる。従って、開口ボディ36の内面35が吸収性に作られる。口径ボディ36の下側は、ベース・プレート1と平行であるだけでなく、いずれにも曲がることができ、必要に応じて、反射性にもできる。
【0080】
複数の検出器エレメント2、例えば、本発明のように、各々が一つの吸収器システムをもつセンサーエレメントの一列またはアレイが、検出器エレメント2上に統合できることが分かる。個々の信号の信号前処理は、フロア・プレート1上の検出器エレメント2に次いで、アプリケーション特定シリコン回路11だけでなく、検出器エレメント2の両方で一貫して実行できる。
【0081】
図7cは、本発明のような吸収器システムの別のデザイン形状を示す。原理的に、このデザイン形状のチップ構造と層系列は、図2,3,5の関係で述べたデザイン形状に対応している。多重エレメント配置の場合でも、膜7の下方の領域に配置された高反射層7がある。吸収器構造19は、膜層13、14の下方に置かれ、ここで同様に、シリコン・キャリア12の残壁54間の大部分のエレメントの表面に調整されている。単一エレメント方式と対照的に、レンズ34を挿入しなければならない。また、口径ボディ30の口径開口部は、外部に存在するセンサーエレメントのサイズと合致していなければならない。
【0082】
ミラー30だけでなく口径ボディ36は、キャップ29の一部として製作できることが分かる。図8Aと8Bは対応するデザイン形状を示す。
【0083】
例えば、深絞りした金属または射出成形したプラスチックから製作できるキャップ29は、フィルタ10を位置決めするために上端面に窪み37を有している。窪みでは、ミラー表面30が、反射コーティング31に直接隣接している。ミラー表面31とキャップ29は、従って、ベース・プレートに対するミラーとキャップとフィルタまたはレンズの特に好ましい熱接触を実現できるので、単一の部品から形成されている。更に、このデザイン形状により、組立コストが安くなる。なぜならば、ミラーを別途に設置する必要がなく、対応する配置構成も必要がないからである。図示するデザイン形状において、その反射コーティング31をもつミラー30の内部部品は、赤外線フィルタ10を介して入射する放射線の焦点設定作用を呈するように形作られている。その結果、放射線は、検出器エレメント2の吸収器表面上でマップされる。このために、ミラーは、放物線またはいわゆるウィンストーン−コーンの形をしている。
【0084】
図8aに示すデザイン形状により、特に再生可能な光学的画像特性を実現できる。なぜならば、深絞りツール20としてまたは射出成形ツールとしてのキャップ29の形状設定により、ミラーと検出器エレメント2との間の距離も適正に定まるからである。特に好ましいデザイン形状では、キャップの少なくとも内面全体が、反射コーティングを塗布されている。
【0085】
そのうえ、キャップの外面が、グランド・プレート1と比べると、キャップ29の好ましくない加熱を避けるため、反射コーティングを塗布されていると、より一層効果的である。
【0086】
図8bに示すデザイン形状は、キャップ29に挿入されている、例えば、シリコン、ゲルマニウム、フッ化カルシウムまたは類似の材料から成るレンズ34を示している。ここで、キャップ29は、金属の深絞り部品またはプラスチック射出成形部品であり、その上端にレンズ34が置かれる窪み37がある。更に、窪み37には、その周辺を走行する溝38がある。周辺の溝38は、図8aに示すデザイン形状でも使用できるが、フィルタ10またはレンズ34を取り付けるステッカーが、センサーから見えるフィルタ表面、ミラー表面またはレンズ表面にまで押されて進むことを防止する。このデザイン形状でも、窪みでは、口径表面30が吸収コーティング35に直接隣接している。
【0087】
更なるスクリーン28は、適切に深絞り金属部品として製造されるか、または、反射コーティングをプラスチック塗布できるが、スクリーン28により放射線がフィルタから吸収器に通過可能になり、外部キャップ壁からくる放射線の成分を検出器エレメントから離して保つように、チップ2の上方に配置されている。キャップ29がプラスチック製の場合、良好な熱接触になるように、穴あきスクリーン28は好ましくは金属製であり、下端39が、ベース・プレート1まで延在し、それに接続している。穴あきスクリーン28は、光学的画像作成条件を改善し、いわゆる熱衝撃作用を低減するように機能する。ここで、キャップ29の全体的な内面および外面も、適切に反射コーティングされている。
【産業上の利用可能性】
【0088】
非接触温度測定または赤外線ガス分光のための放射線センサー以外の放射センサーにも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図1Aおよび1Bは、赤外線センサーの構造を描写した二つの概略図である。
【図2】図2Aおよび2Bは、非金属キャリア上のサーモパイル・センサーの断面図である。
【図3】図3は、本発明のセンサーの概略的な構造を示す。
【図4】図4は、センサー上の接点を描写した概略図である。
【図5】図5Aおよび5Bは、本発明に係る吸収器システムを備えた二つの異なるデザイン形状を示す。
【図6】図6Aおよび6Bは、センサー・ハウジングの二つの異なるデザイン形状を示す。
【図7】図7A、7Bおよび7Cは、イメージレンズを備えたセンサー・キャップの三つの異なるデザイン形状を示す。
【図8】図8Aおよび8Bは、一体化したイメージレンズを備えたセンサー・キャップの二つ以上のデザイン形状を示す。
【符号の説明】
【0090】
1 ベース・プレート
2 検出器エレメント
3 温度基準エレメント
4 接続ワイヤ
5 接続ピン
6 接触表面
7 反射層
8 吸収層
9 キャップ
10 フィルタ
11 信号処理回路
12 支持体
13 膜層
14 ベース層/下膜層
15、16 熱電層
17 冷接点
18 熱接点
19 吸収器構造
20 反射層
21 結合アイランド
24 赤外放射線の一部
25 吸収器層の境界領域
26 赤外放射線の一部
27 フィルタ・ステッカー
28 スクリーン
29 キャップ
30 ミラー
31 ミラー層
32 ミラーの下側
33 反射層
34 レンズ
35 表面
36 口径ボディ
37 窪み
38 溝
39 スクリーンの下端
49 凹部
41 金属層
42 アイランド
43 吸収層
44 通路
45 ハンダ・ロック
46 ハンダ・ビーズ
48 接点
51 不活性化層
52 吸収器被覆層
53 赤外放射線
54 シリコン支持体の壁
A1 吸収器境界と膜との間の距離
A2 吸収器エレメントの長さ
D 支持体フレームの厚み
S 検出器エレメントの側面長
【図1a】

【図1b】

【図2a】

【図2b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出器エレメントを備え、例えば、非接触温度測定または赤外線分光のための放射線センサーであって、前記検出器エレメントは、放射線を吸収し、結果として加熱される吸収器エレメント(13、14、15、16、51、52)と、吸収器エレメント(13、14、15、16、51、52)を位置決めするために支持体表面を備えた支持体(2)とを有し、支持体表面には凹部があり、吸収器エレメント(13、14、15、16、51、52)は、吸収器エレメント(13、14、15、16、51、52)の少なくとも一部分が支持体(2)に触れないように支持体表面上で凹部の上方に配置され、凹部が支持体表面の少なくとも45%に対応する延在部を有することを特徴とする、前記の放射線センサー。
【請求項2】
凹部が、支持体の表面の45〜75%の範囲、好ましくは50〜70%の範囲、特に好ましくは約65%をとる、吸収器エレメント(13、14、15、16、51、52)に面する少なくともその側面上に、断面を有することを特徴とする、請求項1に記載のセンサー。
【請求項3】
凹部が、80〜100度の範囲、好ましくは85〜95度の範囲、特に好ましくは約90度の角度を、支持体の上面に対し、含んでいる側壁(2)を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のセンサー。
【請求項4】
凹部が全支持体(2)を介して静止面に垂直に走行することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項5】
支持体(2)がシリコン技術を採用して製造されることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項6】
ベース・プレート(1)は、支持体が固定されるところに設けられることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項7】
吸収器エレメント(13、14、15、16、51、52)が少なくとも一つのCMOSコンパチブル・被覆層(52)を有することを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項8】
吸収器エレメント(13、14、15、16、51、52)が多層化され、CMOSコンパチブル・被覆層(52)が少なくとも一つの放射線検知性または温度検知性の機能層(13、14、15、16)上に塗布されていることを特徴とする、請求項7に記載のセンサー。
【請求項9】
被覆層(52)が、支持体の表面の少なくとも30%、好ましくは35〜70%の範囲、特に好ましくは40〜60%の範囲の表面積を有することを特徴とする、請求項7または8に記載のセンサー。
【請求項10】
凹部の少なくとも底面またはグランドが、赤外放射線反射材料、好ましくは金属層(7)、特に好ましくは金の層から成り、前記層(7)が好ましくは1μm未満の厚みであることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項11】
ベース・プレート(1)が、赤外放射線を反射しない材料から製造されているか、または赤外放射線を反射しない材料、好ましくはラッカーまたはフォトレジストを、支持体(2)を囲む領域(43)上に少なくとも塗布していることを特徴とする、請求項6ないし10のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項12】
吸収器エレメント(13、14、15、16、51、52)を支持する膜(13)が設けてあり、前記膜(13)は少なくとも二つの層を有することを特徴とする、請求項1ないし11のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項13】
膜(13)の層が、二酸化珪素、窒化珪素または炭化珪素から製造されていることを特徴とする、請求項12に記載のセンサー。
【請求項14】
吸収器エレメント(13、14、15、16、51、52)が多重層構造を有することを特徴とする、請求項1ないし13のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項15】
吸収器エレメント(13、14、15、16、51、52)が、好ましくはCMOSコンパチブルの金属吸収層として構成され、被覆層(19、52)を有することを特徴とする、請求項14に記載のセンサー。
【請求項16】
被覆層(19、52)が50nm未満の厚みであることを特徴とする、請求項15に記載のセンサー。
【請求項17】
被覆層(19、52)が窒化チタンから成ることを特徴とする、請求項15または16に記載のセンサー。
【請求項18】
被覆層(19、52)が約180〜400Ωの範囲の層抵抗を有することを特徴とする、請求項15ないし17のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項19】
不活性化層が被覆層(19、52)上に置かれ、不活性化層は好ましくは酸化珪素または窒化珪素から製造されていることを特徴とする、請求項15ないし18のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項20】
被覆層(19、52)は好ましくは2〜10μmの範囲の厚みのポリマー層によって形成されていることを特徴とする、請求項15または16に記載のセンサー。
【請求項21】
被覆層(19)が、好ましくは2〜10μmの厚みのポリマー層と、ポリマー層の上方に配置された好ましくは50nm未満の厚みの金属吸収層と、好ましくは10〜50nmの厚みの金属吸収層の上方に配置された不活性化層とから成ることを特徴とする、請求項15または16に記載のセンサー。
【請求項22】
被覆層(19、52)を形成する少なくとも一つの層が、凹部を囲む支持体(2)の上端表面まで、少なくとも部分的に延伸していることを特徴とする、請求項15ないし21のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項23】
吸収器エレメントの温度を測定するためのデバイスが設けられていることを特徴とする、請求項1ないし22のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項24】
温度測定デバイスが少なくとも一つのサーモ・エレメント、好ましくはサーモパイルを有することを特徴とする、請求項23に記載のセンサー。
【請求項25】
少なくとも一つのサーモ・エレメントまたはサーモパイルが多結晶シリコンの二つの層から形成され、一方の層がn−導通性であり、他方がp−導通性であり、両方の層が酸化珪素または窒化珪素の層により適切に形成された絶縁層によって互いに分離されていることを特徴とする、請求項24に記載のセンサー。
【請求項26】
吸収器エレメント(13、14、15、16、51、52)が放射線を反射する反射層を有することを特徴とする、請求項1ないし25のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項27】
反射層上に、誘電層が設けられ、好ましくは厚みが0.5〜2.5μmの範囲であることを特徴とする、請求項26に記載のセンサー。
【請求項28】
誘電層が、ポリシリコンと二酸化珪素または窒化珪素とから、好ましくは二酸化珪素とから成ることを特徴とする、請求項27に記載のセンサー。
【請求項29】
幾つかのサーモパイル・エレメントが列またはマトリクス・フォーマットで配置され、全てのサーモパイル・エレメントが別個の吸収器エレメントに適切に割り当てられていることを特徴とする、請求項23ないし28のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項30】
支持エレメントが多くの凹部と多くの吸収器エレメントとを有し、各々吸収器エレメントが凹部の上方に配置されていることを特徴とする、請求項29に記載のセンサー。
【請求項31】
サーモパイルのサーモ−エレメントの一つの接続部それぞれ、いわゆる熱接点が吸収器エレメントの下方に配置され、好都合に全ての第二のまたは第三のサーモ−エレメントの熱接点が吸収器エレメントの中間領域まで延在し、他のサーモ−エレメントの熱接点だけが吸収器エレメントの縁部領域まで延在していることを特徴とする、請求項24ないし30のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項32】
サーモパイルのサーモ−エレメントの一つの接続部それぞれ、いわゆる冷接点が凹部を囲む支持体の縁部に接続され、支持体に対する冷接点の接続のポイントが凹部を囲む支持体のフレームの内側縁部の領域に適切にあることを特徴とする、請求項24ないし31のいずれか1項に記載のセンサー。

【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図8a】
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【図8b】
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【公表番号】特表2007−501404(P2007−501404A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529593(P2006−529593)
【出願日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【国際出願番号】PCT/DE2004/000970
【国際公開番号】WO2004/102140
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(505421401)ハイマン・センサー・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (2)
【氏名又は名称原語表記】Heimann Sensor GmbH
【Fターム(参考)】