説明

最適化された風味付けされたポリマー組成物

本発明は、風味付けされたポリマー組成物の最適化、及び、最適化された風味付けされたポリマー組成物の製造方法に関する。具体的には、本発明は、「香味増進剤」のみを含む、又は、他の香味剤及びそのポリマー物品との組み合わせを含む風味付けされたポリマー組成物に関し、そのようなポリマー組成物からなる物品は、消費、著しく破壊、咀嚼、或いは、完全に又は部分的に溶解されて風味を出すものではない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風味付けされたポリマー組成物の最適化、及び、最適化された風味付けされたポリマー組成物の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、「香味増強剤(flavor enhancing agents)」単独、あるいは香味剤(flavorants)との組み合わせを含む風味付けされたポリマー組成物であって、そのようなポリマー組成物で作製された物品は、風味を放つために消費されたり、著しく破壊されたり、咀嚼されたり、完全に又は部分的に溶解されるものではない。
【背景技術】
【0002】
香味増強剤及び/又は香味剤は、含嗽液、歯磨き粉、チューインガム、溶けるストリップ、錠剤、飲料、菓子、多様な食品など多種多様な用途に使用されていることが知られている。このような香味増強剤及び/又は香味剤は、単独で、あるいは様々な組み合わせで、ユーザーに特定の目的の風味感覚を提供する。
【0003】
香味剤とは、天然又は人工の風味付けされた物質、抽出物、又は、エッセンシャルオイルを意味する。また、香味剤について言及する時は、所望の風味を達成するための単一の香味剤、又は、可能な組み合わせの香味剤の使用を意味している。
【0004】
「香味増強剤」とは、甘味、酸味、苦味、塩味、酸性、うま味、脂肪酸又は冷涼の風味感覚、あるいは、それらの組み合わせを提供する天然又は合成物質を意味する。
【0005】
これらの標準的な用途では、香味剤は、通常、その他の必要な成分と合わさって、用途に適した担体に分散される。含嗽液及び歯磨き粉は、液体又はペースト媒体に含まれた香味剤及び/又は香味増強剤を含む。これらの用途では、口腔内における風味付けられた成分の密接な接触のために、ユーザーは、速やかで適度な強さの風味感覚を経験する。
【0006】
また、溶けるフィルムや錠剤は、ホストマトリックスが溶ける時に口腔内において風味付けられた成分の密接な接触を提供する。例えば、WO 02/45571号公報には、37℃以下で溶ける又は軟化する融点の低い化合物担体、水溶性の賦形剤、及び薬剤活性成分を含む素早く溶ける錠剤が記載されている。随意に、錠剤は、錠剤が溶けている間に風味を出す香味料(flavors)及び香味増強剤(flavor enhancers)を含んでもよい。同様に、米国特許第6,419,903号公報には、速やかに口腔内で溶け得る、経口消費され得るフィルム組成物が記載されている。該組成物は、水溶性セルロース担体、水分散性α化澱粉及び甘味料を含む着香料(flavoring agent)から構成される。
【0007】
上記の例では、香味料及び/又は香味増進剤は、水溶性又は溶解性担体など水溶性又は水溶解性担体などの適切な担体に分散される。担体の溶解によって、口腔内に風味成分が効果的に放たれ、所望の風味感覚が達成される。
【0008】
また、チューインガム及び/又は風船ガムに、香味剤及び/又は香味増強剤が含まれていることが広く知られている。ガム基礎剤は、しばしば水不溶性である咀嚼材料であり、ガムの香味料及び香味増強剤の担持に用いられる。また、ガムは水溶性のバルク部分を含む。米国特許第5,100,678号公報には、「水溶性の部分は、香味剤の一部と共に噛む間一定期間をかけて消える。ガム基礎剤部分は、噛んでいる間ずっと口の中に保持される。」と記載されている。ガム基礎剤は、しばしば、チクル、天然ゴム、ポリ酢酸ビニル、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソブチレン等のような天然又は合成エラストマー材料で構成されている。米国FDAは、21 CFR 172.615に基づき、チューインガムに用いることができる咀嚼物質を列挙している。
【0009】
上記の例では、これらの担体には、物品の消費、咀嚼、溶解、部分的又は完全な破壊において風味を提供するという共通点が見出される。しかし、このような経路で終えない風味付けられたポリマー物品に対して応用ニーズが存在する。
【0010】
ポリマー材料から作られる物品は、様々な用途に存在しています。多くの用途では、ポリマー物品は、口腔内において使用される又は接触するが、咀嚼される、又は溶解されることを意図していない。このような用途の例としては、舌圧子、口腔スワブ、歯科装置、歯型、矯正固定装置、マウスガード、保護用歯科フィルム、歯ブラシ、歯ブラシの毛先、歯科検査手袋、おしゃぶり、噛むおもちゃや噛み輪、ストロー、ボトル、ボトルキャップ及び注ぎ口、飲み口蓋、調理器具、大人の商品などが挙げられる。最高の状態で、このような用途で使用されるポリマー物品は、中立的な風味を持っていると考えられるが、より多くの場合、それらはユーザーに不愉快な経験を引き起こす「プラスチック」の味を有すると言われる。
【0011】
上述したように、これらの他の用途では、物品の消費、溶解、咀嚼又は破壊を必要とせずに風味を提供することができる風味付けされたポリマー物品を有することが望ましい。これらの用途については、物品の風味付けは、ポリマー担体に直接香味剤を混入するか、又は、風味付けされたコーティングを最終的な形成されたポリマーの物品に塗布するかのいずれかによって実現されている。被覆されたポリマーの物品の場合は、香味剤が物品の表面(しばしばワックス担体の中)に存在して、より密接に速やかに口腔内に放たれるため、ユーザーは所望の風味感覚を経験することができる。
【0012】
EP0919208号公報には、風味付けされた水不溶性の被覆を有する1つの繊維を含む、糸ようじなど歯間表面を洗浄するための非常に風味付けられた歯科用物品が記載されている。水不溶性のコーティング組成物は、水不溶性ワックス、香味料及び香味増強剤からなる。WO02/4448号公報には、二成分モノフィラメントテープが開示されている。該テープは、少なくとも約60本の二成分芯鞘繊維の鞘の融合からなり、同程度の糸ようじよりも多くの風味を運ぶことができる。風味付けされた組成物は、ワックスをベースにしており、皮膜として塗布され、ポリマー基材全体には混合されない。
【0013】
ポリマー物品に風味付けされたコーティングを塗布するこの方法には難点がある。一つの問題は、コーティングが適切な強度と風味を提供することができる一方、香味剤さらにコーティング自体が表面から劣化することがあり、補充できないため、この効果が短命であることである。また、このアプローチにおいては、二次塗布プロセスがあり、塗工機械の設備投資を必要とするため、コストが増加する。
【0014】
また、ポリマー担体に香味剤を直接混入する場合にも問題がある。大きな問題は、表面上に十分な風味が不足するため、風味の強度が弱いということである。香味剤が表面に移行できる可能性はあるが(特に、香味剤が移行しやすい適切なマトリックスを使用した時に)、最終的な効果はやはり著しく減少し、風味感覚は劣る。この結果は、例えば、人間の咀嚼や粉砕など適度に圧縮することができるが、適切な風味感覚を口の中に放たない物品にも拡張される。
【0015】
咀嚼されない又は軽度から中等度のみ圧縮される物品の場合、風味付けされた抽出物のみを直接ポリマー担体に混入して使用しても、性能は劣る。
【0016】
咀嚼又は溶解を意図しない物品のポリマー担体に香味剤を直接混入する方法は広く知られている。米国特許第4,971,078号公報には、香味剤が分散されている熱可塑性樹脂で形成された中空の繊維を含む喫煙具のフィルターが開示されている。このような熱可塑性樹脂と混合された香味剤は、インターナショナル フレバー&フレグランス社などから市販されている。WO/2008/000800号公報には、熱可塑性エラストマー、可塑化油及び脂溶性香味物質からなる口腔衛生器具が開示されている。米国特許第6,505,961公報(マクガバルン(McGovern))には、製造時にそれに永続的に一体化された熱可塑性の快適性を促進する周囲枠を有する口腔内X線フィルムのパケットが開示されている。該快適性を促進する周囲枠の熱可塑性樹脂は、その中に香味剤(flavor/scent chemistry)を配合してから成形される。熱可塑性材料に風味/香りを付与する添加剤を押出機中で混合、溶融し、熱可塑性樹脂枠に風味/香りを混入する。米国特許公開第2007/0235039号公報(ゴッシュ(Gottsch))には、弾性材料と、マウスガードを形成する前に該弾性材料に混入された香味剤(flavor agent)からなるマウスガードが開示されている。
【0017】
上記技術は、使用時に溶解又は咀嚼することを意図しないポリマーへの香味剤の分散や埋め込み(すなわち直接の混入)に関する。しかし、この方法には問題がある。香味剤単独の使用では、主に強い香りを与えるが、このような事例では味は弱く、風味の反応が劣る結果となる。このようなポリマー物品において、咀嚼又は部分的或いは完全に溶解するマトリックスとは異なり、口腔に香味剤の味が著しく届きにくくなると考えられている。これにより、知覚される風味が劣る結果となる。この結果は、例えば、人間がかむなど適度に圧縮することができるが、香味料の味成分の適度な知覚を与えないポリマー物品に拡張される。
【0018】
生理学的に、風味の知覚は、味と香りの組み合わせに起因する。味は舌の上に見られる味蕾にある受容体による従来の感覚の一つである。4つの基本の味は、甘い、苦い、酸っぱい、塩辛いである。また、うま味及び脂肪酸の味は、その他の味の種類として提案されている。
【0019】
香味剤は、消費、咀嚼又は著しく破壊され得る物品に、味成分と香り成分の両方を付与することができる。風味を放つためにこのように操作される予定ではない又は意図していないポリマー担体中の香味剤は、主に芳香族成分を提供するが、味覚は非常に少なく、最終的な風味感覚は著しく損なわれる。特定の理論に拘束されることを望まないが、これらの種類のポリマーや用途は、風味が口腔内に十分に届かない、及び/又は、ユーザーによって物品が十分に操作(圧縮)されないため、十分な味覚を可能にできないことから、風味の知覚や放出をひどく妨害していると考えられている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0020】
したがって、本発明の構成はとりわけ以下のように要約される。
【0021】
以下の工程を含むことを特徴とする、風味付けされた(熱可塑性)ポリマー組成物の製造方法。
随意に、1種以上の熱安定性香味剤を選択する工程、
1種以上の熱安定性香味増強剤を選択する工程、
流水試験で測定される最終製品における香味剤及び香味増強剤の移行、及び、任意の香味剤及び香味増強剤の熱安定性を提供できる能力のために1種以上のポリマーを選択する工程、並びに
選択された任意の1種以上の香味剤及び1種以上の香味増強剤、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及びシリコーンポリマーから選択される1種以上のポリマー、並びに、酸化防止剤、帯電防止剤、防曇剤、抗菌剤、スリップ、粘着防止剤、鉱物、充填剤、光学的光沢剤、発泡剤、核形成剤、衝撃改質剤、分散助剤、離型剤、ワックス、着色剤、顔料、及び紫外線安定剤から選択される添加剤を混合する工程。
【0022】
前記風味付けされたポリマー組成物がマスターバッチの状態であることを特徴とする、前記方法。
【0023】
前記ポリマーが、ポリオレフィン、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、シリコーンポリマーから選択されることを特徴とする、前記方法。
【0024】
て、前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、そのコポリマー、そのターポリマーから選択されることを特徴とする、前記方法。
【0025】
前記香味剤が、天然及び人工のフルーツ及びミントの風味から選択されることを特徴とする、前記方法。
【0026】
前記香味増強剤及び香味剤が人間の食用に適していることを特徴とする、前記方法。
【0027】
前記香味増強剤が、甘味、酸味、苦味、塩味、冷涼、うま味、脂肪酸、又は酸味を提供できる能力のために選択されることを特徴とする、前記方法。
【0028】
酸味を提供する前記香味増強剤が、クエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、フマル酸から選択されることを特徴とする、前記方法。
【0029】
前記風味付けされた熱可塑性ポリマー組成物が、該組成物からなる物品の消費、溶解、咀嚼又は破壊なしで、風味及び香味増強剤が移行する、放たれる、又は、経験/認識される組成物であることを特徴とする、前記方法。
【0030】
前記ポリマーが以下の香味剤及び香味増強剤の移行を提供できる能力のために選択されることを特徴とする、前記方法。
使用環境で0〜80%の香味剤及び香味増強剤が1時間保持され、
使用環境で80〜40%の香味剤及び香味増強剤が10時間保持され、
使用環境で40〜20%の香味剤及び香味増強剤が100時間保持される。
【0031】
知覚された風味が、流水試験で測定されることを特徴とする、前記方法。
【0032】
前記風味付けされた熱可塑性ポリマー組成物が、プラスチック風味を実質的に有しないことを特徴とする、前記方法。
【0033】
以下の工程を含む風味付けされた(熱可塑性)ポリマー組成物を製造する方法で配合された風味付けされた熱可塑性ポリマー組成物から成形または押出されたポリマー物品。
随意に、1種以上の熱安定性香味剤を選択する工程、
1種以上の熱安定性香味増強剤を選択する工程、
流水試験で測定される最終製品における香味剤及び香味増強剤の移行、及び、任意の香味剤及び香味増強剤の熱安定性を提供できる能力を有する1種以上のポリマーを選択する工程、並びに
選択された任意の1種以上の香味剤及び1以上の香味増強剤、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及びシリコーンポリマーから選択される1種以上のポリマー、並びに、酸化防止剤、帯電防止剤、防曇剤、抗菌剤、スリップ、粘着防止剤、鉱物、充填剤、光学的光沢剤、発泡剤、核形成剤、衝撃改質剤、分散助剤、離型剤、ワックス、着色剤、顔料、及び紫外線安定剤から選択される添加剤を混合する工程。
【0034】
使用環境に配置された時に最適化された風味感覚を発現することを特徴とする、前記ポリマー物品。
【0035】
使用環境に配置された時に、該物品を消費、溶解、咀嚼又は破壊することなく、最適化された風味感覚を発現することを特徴とする、前記ポリマー物品。
【0036】
以下の改良された香味剤及び香味増強剤の移行を発現することを特徴とする、前記ポリマー物品。
使用環境で0〜80%の香味剤及び香味増強剤が1時間保持され、
使用環境で80〜40%の香味剤及び香味増強剤が10時間保持され、
使用環境で40〜20%の香味剤及び香味増強剤が100時間保持される。
【0037】
前記方法によって配合されたことを特徴とする、風味付けされた(熱可塑性)ポリマー組成物、及び
【0038】
風味の呈味成分を提供する1種以上の熱安定性香味増強剤、任意の1種以上の熱安定性香味剤、最終製品における香味増強剤及び任意の香味剤の移行を提供できる能力を有し、香味増強剤及び任意の香味剤の熱安定性を有する1種以上のポリマーを含む風味付けされたポリマー組成物であって、
前記1種以上のポリマーが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及びシリコーンポリマーから選択され、
該組成物が任意に酸化防止剤、帯電防止剤、防曇剤、抗菌剤、スリップ、粘着防止剤、鉱物、充填剤、光学的光沢剤、発泡剤、核形成剤、衝撃改質剤、分散助剤、離型剤、ワックス、着色剤、顔料、及び紫外線安定剤から選択される添加剤を含み、
該ポリマー組成物で作製された物品が風味を放出するために、消費、著しく破壊、咀嚼又は完全にあるいは部分的に溶解されることを意図しないことを特徴とするポリマー組成物。
【0039】
マスターバッチ、乾燥粉末又は原液の形態であることを特徴とする、前記風味付けされたポリマー組成物。
【0040】
前記ポリマーが、ポリオレフィン、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、及びシリコーンポリマーから選択されたことを特徴とする、前記風味付けされたポリマー組成物。
【0041】
前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらのコポリマー、及びそれらのターポリマーから選択されたことを特徴とする、前記風味付けされたポリマー組成物。
【0042】
前記香味剤が、天然及び人工のフルーツ、ミント、及び、チョコレートの風味から選択されたことを特徴とする、前記風味付けされたポリマー組成物。
【0043】
前記香味剤が人間の食用に適していることを特徴とする、前記風味付けされたポリマー組成物。
【0044】
前記香味増強剤が風味の呈味成分を提供することを特徴とする、前記風味付けされたポリマー組成物。
【0045】
前記香味増強剤が、甘味、酸味、苦味、塩味、冷涼、うま味、脂肪酸、又は酸味を提供するために選択されたことを特徴とする、前記風味付けされたポリマー組成物。
【0046】
甘味の香味増強剤が、ショ糖、果糖、ブドウ糖、ソルビトール、マリトール、キシリトール、アスパルテーム、サッカリン、スクラロース、アセスルファムK、マンニトール、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、シクラメート、ステビアエキス、アガベネクター、及びそれらの任意の組合せから選択されたことを特徴とする、前記風味付けされたポリマー組成物。
【0047】
前記冷涼の香味増強剤が、メントール誘導体、乳酸メンチル、及びN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミドから選択されたことを特徴とする、前記風味付けされたポリマー組成物。
【0048】
酸味の香味増強剤が、クエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、及びフマル酸から選択されたことを特徴とする、前記風味付けされたポリマー組成物。
【0049】
前記組成物が、該組成物からなる物品を消費、溶解、咀嚼又は破壊しなくても、香味剤と香味増強剤が移行し、放出するように配合されたことを特徴とする、前記風味付けされたポリマー組成物。
【0050】
前記ポリマーが以下の香味剤及び香味増強剤の移行を提供できる能力のために選択されたことを特徴とする、前記風味付けされたポリマー組成物。
使用環境で0〜80%の香味剤及び香味増強剤が1時間保持され、
使用環境で80〜40%の香味剤及び香味増強剤が10時間保持され、
使用環境で40〜20%の香味剤及び香味増強剤が100時間保持される。
【0051】
プラスチック風味を実質的に有しないことを特徴とする、前記風味付けされたポリマー組成物、及び
【0052】
前記風味付けされた熱可塑性ポリマー組成物から成形又は押出されたことを特徴とする、ポリマー物品。
【0053】
使用環境に配置された時に最適化された風味感覚を発現することを特徴とする、前記ポリマー物品。
【0054】
使用環境に配置された時に、該物品を消費、溶解、咀嚼又は破壊することなく、最適化された風味感覚を発現することを特徴とする、前記ポリマー物品。
【0055】
以下の改良された香味剤及び香味増強剤の移行を発現することを特徴とする、前記ポリマー物品。
使用環境で0〜80%の香味剤及び香味増強剤が1時間保持され、
使用環境で80〜40%の香味剤及び香味増強剤が10時間保持され、
使用環境で40〜20%の香味剤及び香味増強剤が100時間保持される。
【発明を実施するための形態】
【0056】
風味を放出するために消費、著しい破壊、咀嚼又は完全あるいは部分的な溶解を意図しないポリマー物品は、「香味増強剤」単独又は、好ましくは、香味剤との組み合わせを用いることによって、最適化した風味を提供することができることを見出した。この組成物は、香味剤を用いることにより風味の香り成分(香り)と、風味の呈味成分(主に香味増強剤によって)の両方を提供することによって、ポリマー物品の風味を最適化する。また、本発明は、ポリマーマトリックスのバルクから補給されるように香味剤又は香味増強剤の表面減少が操作されているため、物品中の長期継続効果を提供する。
【0057】
香味増強剤及び任意に香味剤は、任意の適切な方法により、ポリマー担体に今夕することができる。この組成物が含まれる物品は、香味増強剤及び任意の香味剤をポリマー担体に混合した後、続いて組成物から最終物品を成形又は形成することにより得ることができる。この混合工程は、該組成物の溶融処理(配合)、及び、ポリマーパウダーへの乾式混合又は液体ポリマーへの混合によって達成することができる。混合処理は、物品の形成のどの段階で行われても良い。組成物は、物品製造者によって同様に利用されるマスターバッチ(濃縮)又は完全処方化合物のいずれにより供給されてもよい。組成物は、ポリマー反応器の仕上げ押出機段階に混入されても良い。
【0058】
押出(フィルム又はシート)、又は成形プロセスなど様々な物品の製造プロセスにおいて、最適化された風味組成物を利用することができる。最終物品は、単層物品又は、共押出/多層物品として、又は、オーバーモールドした組成物として構築されてもよい。このような多層設計では、最適化された風味組成物は、口腔内に接触する層に組み込むことができる。これにより、さらなるコスト削減が可能である。
【0059】
ポリマー担体は、最終的な用途の所望の物理的性質に基づいて選択される。共通ポリマー材料は、いずれの数の熱可塑性樹脂であってもよい。例えば、これらに限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらのコポリマー又はターポリマー、エラストマー、熱可塑性エラストマー、プラストマー、アイオノマー、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ乳酸、フッ素化ポリマー、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。その他のポリマー材料、例えば、シリコーン(重合シロキサン)、シリコーンゴム、ゴム、ラテックスなども使用することができ、他の熱硬化性樹脂又はそれらの組み合わせも使用することができる。好ましくは、より非晶質であるポリマーは、マトリックスを通じて香味剤及び香味増強剤の移行を促進し、それにより、最終的な風味感覚を改善する。また、ポリマーの溶融点又は軟化点は、処理や最終物品の形成に用いられる温度に関係するため、考慮しなくてはならない。処理温度は、香味増強剤や香味剤の最適化された熱安定性を上回らないことが好ましい。このアスペクトは、直接ポリマー中に成分を混入する場合に、より重要である。香味剤や香味増強剤は、最終押出機、濃縮物又は化合物を通してポリマーに混入されると、そして続く成形、押出などの処理中も、ポリマーマトリックスによって保護されるため、より高い温度で処理することができる。
【0060】
香味剤は、特に所望の味と香りの特性を考慮して選択する。また、選択したポリマーが強度を減退すること又は風味を落とすことなく、溶融処理温度を耐久できるように、適切な熱安定性を有する香味剤を選択しなければならない。溶融処理温度は、しばしば75℃〜300℃の範囲である。香味剤の熱安定性は、化合物に固有の、又は香味剤の生産に利用される化合物に依存する。加えて、いくつかの香味剤は、水や油溶性の担体に含まれている。この場合、油溶性の担体の系は、一般的に水、エタノール、グリコールなどをベースとした水溶性の担体の系よりも、より熱安定性が高い。さらに、油溶性の担体を有する場合は、大多数のポリマーにおいてより適している又はより相溶性を有する。これらの条件に基づくと、熱安定性を有する香味剤は、適切なエッセンシャルオイル、天然又は人工物質又は抽出物と、必要であれば、溶融処理可能なポリマーへの混入が可能な適切な担体とを用いて、香味剤製造業者によって設計される。また、香味剤は、人間の食用に安全であることが必要ある。
【0061】
フルーツの香味剤の例としては、ラズベリー、イチゴ、リンゴ、メロン、桃、など風味を付与する香味剤、及び、技術分野で知られている他の多くのフルーツの香味剤が挙げられる。ミントの香味剤の例は、ペパーミント、シナモン、スペアミント、及び、技術分野で知られている他のミントの香味剤から選択することができる。柑橘類の香味剤の例は、オレンジ、ライム、レモン、及び、技術分野で知られている他の柑橘類の香味剤から選択することができる。チョコレート、バニラなど他の香味を選択することもできる。香味剤は、前述のように所望の香りと風味の寄与及び熱安定性に基づいて選択することができ、ポリマー担体との相溶性に基づいて選択することができる。結晶化度及び香味剤の移行の規則に対応する効果、さらに、最終物品の厚さに関係するため、香味剤の香り、選択されたポリマーによって、香味剤の添加量は、重量部レベルで、0.01〜20%、任意に1〜10%である。
【0062】
香味剤と同様に、香味増強剤は、目標とする風味に関連するため、所望の味を考慮して選択する。甘味、酸味、苦味、塩味、冷涼、うま味、脂肪酸や酸性度を提供することができる香味増強剤を使用することができ、最終的な風味の目標に依存する。例えば、フルーツ又はミント味を最適化するには、フルーツ又はミントの香味剤と甘味料とを組み合わせて、最適化された風味を提供することができる。甘味料は、天然又は人工のバルク又は強いタイプでもよく、例えば、これらに限定されないが、スクロース、果糖、ブドウ糖、ソルビトール、マリトール、キシリトール、アスパルテーム、サッカリン、スクラロース、アセスルファムK、マンニトール、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、シクラメート、ステビア抽出物、アガベネクター、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。香味増強剤の添加量は、0.1〜50重量%、任意に5〜20重量%である。
【0063】
香味増強剤も、処理温度に耐えられるように熱安定性に基づいて選択する必要がある。さもなければ、味が減退又は変化してしまう可能性がある。溶融処理温度はしばしば75℃〜300℃である。一例として、いくつかの甘味料は、熱安定性が悪く、昇温処理中にカラメル化又は燃焼してしまう恐れがある。味の変化又は変容を避けるために、昇温処理中に香味増強剤を保護する併用成分や共力剤を使用することができる。例えば、一部の甘味料は、マルトデキストリン、多糖類、グリコール、グリセリド、又はエステルと併用され、又は、甘味料単独よりも高い熱安定性を提供するようにカプセル化されてもよい。さらに、香味増強剤は、人間の食用の安全性に基づいて選択する必要がある。酸性成分(酸味料)単独で、又は香味剤及び/又は他の香味増強剤との組み合わせは、最終物品の風味を最適化できる。いずれの酸性成分も考えられるが、例えば、これらに限定されないが、クエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、フマル酸、及びその他の有機酸又はアルコールが挙げられる。酸性成分(酸味料)の添加量は、0.01〜10重量%である。また、最終物品の風味を最適化するために、清涼剤(清涼感を提供するもの)を単独、又は香味剤及び/又は他の香味増強剤と組み合わせて使用することができる。いずれの清涼剤も考えることができるが、例えば、これらに限定されないが、メントール誘導体、メンチル乳酸、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミドなどが挙げられる。清涼剤の添加量は、0.05〜20重量%である。また、香味増強剤は人間の食用の安全性に基づいて選択する必要がある。
【0064】
また、最適化された風味付けされた組成物は、適切な安全性を有する添加剤に限り、加工性、熱安定性を向上させる、又は、最終物品に性能や審美性を付与する必要な添加剤を含んでも良い。例えば、これらに限定されないが、酸化防止剤、帯電防止剤、防曇剤、抗菌剤、スリップ、粘着防止剤、鉱物、充填剤、光学的光沢剤、紫外線安定剤、発泡剤、核形成剤、衝撃改質剤、分散助剤、離型剤、ワックス、着色剤、顔料などの添加剤が挙げられる。
【0065】
香味増強剤、香味剤及び添加剤を、多くの異なるポリマーに配合することができるが、風味の官能的知覚の所望の効用を発現することが重要である。準最適な組み合わせは、短期間な官能的知覚を特徴とする。例えば、物品の表面の香味剤が消費されると、香味剤が物品のポリマー内に封入され残留していても、風味の官能的知覚は失われる。したがって、香味増強剤/香味剤/ポリマーの組み合わせの所望の遊走能を提供するように組成物を最適化する必要がある。例えば、流水の流れの中など使用環境に配置した時の最適な組成物は、約82%の知覚された風味を1時間保持でき、43%を10時間、38%を100時間保持できることが期待される。2時間の回復時間後、風味の知覚は、水に100時間さらされたサンプルにおいて、元の知覚された風味強度の88%に回復することが期待される。また、香味増強剤を用いることで所望の呈味成分を提供するように組成物を最適化することが必要である。
【実施例】
【0066】
本発明の最適化された風味付けされたポリマー組成物、及びその調製は、以下の実施例によってより理解されるであろう。実施例は、本発明を説明するものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0067】
実施例1 フルーツの風味付けされたポリマー物品
香りの適切な強度を達成するために、ラズベリー、イチゴ、リンゴ、メロン、桃などのフルーツの香味剤を適量、最終物品に用いることができる。香味剤は、上述したように、所望の香り及び味への貢献、熱安定性、及びポリマー担体との相溶性に基づいて選択することができる。香味剤の香りの強度、及び、結晶化度及び香味剤の移行の規則に対応する効果に関係するため選択されたポリマー、さらに、最終物品の厚さによって、香味剤の添加量は、0.01〜20%、任意に1〜10%である。この組成物はまた、甘味料などの香味増強剤を含んでも良い。スクラロース/マルトデキストリン高強度甘味料などの甘味料は、スクラロース単独よりもよい熱安定性を有し、物品に適切なレベルの味を付与するために、0.1〜50%、任意に5〜20%のレベルで使用することができる。甘味料の添加量は、甘味料の強度、ポリマー、及び最終物品の厚さに依存する。香りが必要とされないいくつかの用途においては、香味増強剤の使用だけで十分な可能性がある。
【0068】
エチレンメチルアクリレート(EMA)、スクラロース/マルトデキストリン高強度甘味料、KE−18822ラズベリーフレーバー、及びビタミンE(酸化防止剤)の組成物を、二軸押出機に投入した。処理温度は100〜120℃に設定した。そして、得られたペレットは、160〜180℃の射出成形機によってサンプルとして形成された。
【0069】
実施例2 ミントの風味付けされたポリマー物品
香りの適切な強度を達成するために、ペパーミントやスペアミントのようなミントの香味剤を適量、最終物品に用いることができる。香味剤は、上述したように、所望の香り及び味への寄与、熱安定性、及びポリマー担体との相溶性に基づいて選択することができる。香味剤の香りの強度、及び、結晶化度及び香味剤の移行の規則に対応する効果に関係するため選択されたポリマー、さらに、最終物品の厚さによって、香味剤の添加量は、0.01〜20%、任意に1〜10%である。この組成物はまた、甘味料などの香味増強剤を含んでも良い。スクラロース/マルトデキストリン高強度甘味料などの甘味料は、スクラロース単独よりもよい熱安定性を有し、物品に適切なレベルの味を付与するために、0.1〜50%、任意に5〜20%のレベルで使用することができる。甘味料の添加量は、甘味料の強度、ポリマー、及び最終物品の厚さに依存する。香りが必要とされないいくつかの用途においては、香味増強剤の使用だけで十分な可能性がある。
【0070】
低密度ポリエチレン(LDPE)、スクラロース/マルトデキストリン高強度甘味料、及び、KE−21570ミントフレーバーの組成物を、二軸押出機に投入した。処理温度は100〜120℃に設定した。そして、得られたペレットは、160〜180℃の射出成形機によってサンプルとして形成された。
【0071】
実施例3 シトラスの風味付けされたポリマー物品
香りの適切な強度を達成するために、オレンジやレモンなどの柑橘類の香味剤を適量、最終物品に用いることができる。香味剤の香りの強度によって、香味剤の添加量は、0.01〜20%、任意に1〜10%である。香味剤は、上述したように、所望の香り及び味への寄与、熱安定性、及びポリマー担体との相溶性に基づいて選択することができる。香味剤の香りの強度、及び、結晶化度及び香味剤の移行の規則に対応する効果に関係するため選択されたポリマー、さらに、最終物品の厚さによって、香味剤の添加量は、0.01〜20%、任意に1〜10%である。この組成物はまた、甘味料などの香味増強剤を含んでも良い。スクラロース/マルトデキストリン高強度甘味料などの甘味料は、物品に適切なレベルの味を付与するために、0.1〜50%、任意に5〜20%のレベルで使用することができる。甘味料の添加量は、甘味料の強度、ポリマー、及び最終物品の厚さに依存する。また、強度、ポリマー及び最終物品の厚さによって、クエン酸やフマル酸など酸味料のような他の香味増強剤を0.01〜5%利用することができる。
【0072】
低密度ポリエチレン(LDPE)、スクラロース/マルトデキストリン高強度甘味料、オレンジフレーバー、クエン酸及びビタミンE(酸化防止剤)の組成物を、二軸押出機に投入した。処理温度は100〜120℃に設定した。そして、得られたペレットは、160〜180℃の射出成形機によってサンプルとして形成された。
【0073】
実施例4 風味付けされたポリマーの熱重量分析
ポリマー中の香味剤の移行の性質は、本発明の実用性に重要な特性である。異なる香味剤/ポリマーの組み合わせは、異なる性能特性となり、その重要な特徴は、風味の官能知覚である。多くの香味剤が、様々なポリマーと配合することができるが、風味の官能知覚の所望の効用を有することが重要である。準最適な組み合わせは、短期間な官能的知覚を特徴とする。例えば、物品の表面の香味剤が消費されると、香味剤が物品のポリマー内に封入され残留していても、風味の官能的知覚は、失われる。したがって、香味増強剤/香味剤/ポリマーの組み合わせの所望の遊走能を提供するように組成物を最適化する必要がある。
【0074】
この目的のためには、風味強度0、60、80、100%を有するポリマーについて、熱重量(TGA)性能の分析が行われた。これらのデータから、TGA測定とポリマー中の風味のパーセントとの間の直線関係が得られ、y軸をTGA、x軸をポリマー中の風味のパーセンテージとしてプロットされた。
【0075】
実験的な状況下では、既知の香味剤の強度を有するポリマーは、流水下に1、10、100時間置かれた。知覚風味の保持の結果をプロットしてもよい。実験のポリマーは、知覚風味の約82%を1時間、43%を10時間、38%を100時間保持することが期待される。2時間の回復時間後、味の知覚は、水に100時間さらされたサンプルにおいて、元の知覚された風味強度の88%に回復することが期待される。
【0076】
実施例5 香味剤を有するポリマーの風味のパネル評価
異なる風味付けされた組成物から成形されたサンプルについて、風味のパネル評価が行われた。各組成物は、まず二軸押出機で配合され、次いで、風味テスト用のバーに射出成形された。パネリストが集められて、味と香りについての意見を述べてもらった。各パネリストは、次の質問に答えることを求められた。
1.その味が、説明された香味剤(フルーツ、ミントなど)を表している又は似ているかどうか(はい/いいえ)
2.香味剤の添加量が、心地よい味を成形品に与えるものとして適切であるかどうか(0〜5の評価で、0は「全く味がしない」ことを意味し、1は「弱すぎる」、3は「ちょうどよい」、5は「強すぎる」を意味する)。
3.その香りが、説明された香味剤(フルーツ、ミントなど)を表している又は似ているかどうか(はい/いいえ)
4.香味剤の添加量が、心地よい香りを成形品に与えるものとして適切であるかどうか(0〜5の評価)。
【0077】
三種の異なるベース樹脂(低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、及びポリプロピレン(PP))が、最終成形品の味と香り、及び、香味剤の移行の違いを評価するために選択された。二つの香味剤(ラズベリー、バナナ)がこの調査のために選択された。
【0078】
結果
以下の表は、パネル試食の結果をまとめたものである。
【0079】
【表1】

【0080】
【表2】

【0081】
【表3】

【0082】
表1及び2にまとめられた回答は、香味剤を単独で使用する場合は、全体的な風味感覚において味より香りがはるかに支配的であることを示している。回答者の91%及び89%は、ラズベリーとバナナをそれぞれ香ることができたが、これに対して、味は28%及び24%であった。表3において、回答者が、味よりも香りを3(理想的なターゲット)に非常に近く評価したことが分かる。また、ポリプロピレンにおける香りと味の知覚の両方が、一貫してLDPE及びLLDPEの両方よりも低いことが分かる。これは、高結晶度のポリマーが、香味剤の移行を阻害することを示唆している。
【0083】
実施例6 香味剤及び香味増強剤を含むポリマーの風味のパネル評価
香味剤及び香味増強剤(すなわち甘味料)を含む成形されたLDPEサンプルについて、風味のパネル評価を行った。各組成物は、まず二軸押出機で配合され、次いで味覚テストのためのバーに射出成形された。サンプルを成形した数日後に風味が完全に揮発しないことを確かめるために、室温で約3週間サンプルを整えた後、パネルテストが行われた。パネリストが集められて、味と香りについての意見を述べてもらった。各パネリストは、次の質問に答えることを求められた。
1.表面の味が、説明された風味を表している又は似ているかどうか(はい/いいえ)
2.その処方が、心地よい味を成形品に与えるものとして適切であるかどうか(0〜5の評価で、0は「全く味がしない」ことを意味し、1は「弱すぎる」、3は「ちょうどよい」、5は「強すぎる」を意味する)。
3.その香りが、説明された風味を表している又は似ているかどうか(はい/いいえ)
4.その処方が、心地よい香りを成形品に与えるものとして適切であるかどうか(0〜5の評価)。
5.口の中に風味が十分に長く続くかどうか(はい/いいえ)
【0084】
結果
以下の表は、パネルテストの結果をまとめたものである。
【0085】
【表4】

【0086】
【表5】

【0087】
【表6】

【0088】
【表7】

【0089】
【表8】

【0090】
上記結果は、ミントとラズベリー両方のサンプルが、説明されている風味をよく表現し、好ましい味と香り(理想的なターゲット3.0に近い評価)を有していることを示している。上記のパネル評価は、甘味料など香味増強剤の使用によって、香味剤のみを含むサンプルによる以前のパネル評価では欠けている味覚が提供されることを示している。
【0091】
本発明は、ここに記載された具体的な形態の範囲に限定されない。実際、ここに記載されたものに加えて本発明の様々な変更は、本明細書より当業者に明らかである。
【0092】
全ての特許、用途、公報、試験方法、文献、及びその他ここに引用された資料は、参照することにより本願に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風味の呈味成分を提供する1種以上の熱安定性香味増強剤、任意の1種以上の熱安定性香味剤、最終製品における香味増強剤及び任意の香味剤の移行を提供できる能力を有し、香味増強剤及び任意の香味剤の熱安定性を有する1種以上のポリマーを含む風味付けされたポリマー組成物であって、
前記1種以上のポリマーが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及びシリコーンポリマーから選択され、
該組成物が任意に酸化防止剤、帯電防止剤、防曇剤、抗菌剤、スリップ、粘着防止剤、鉱物、充填剤、光学的光沢剤、発泡剤、核形成剤、衝撃改質剤、分散助剤、離型剤、ワックス、着色剤、顔料、及び紫外線安定剤から選択される添加剤を含み、
該ポリマー組成物で作製された物品が風味を放出するために、消費、著しく破壊、咀嚼又は完全にあるいは部分的に溶解されることを意図しないことを特徴とするポリマー組成物。
【請求項2】
マスターバッチ、乾燥粉末又は原液の形態であることを特徴とする、請求項1に記載された風味付けされたポリマー組成物。
【請求項3】
前記ポリマーが、ポリオレフィン、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、及びシリコーンポリマーから選択されたことを特徴とする、請求項1に記載の風味付けされたポリマー組成物。
【請求項4】
前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらのコポリマー、及びそれらのターポリマーから選択されたことを特徴とする、請求項1に記載の風味付けされたポリマー組成物。
【請求項5】
前記香味剤が、天然及び人工のフルーツ、ミント、及び、チョコレートの風味から選択されたことを特徴とする、請求項1に記載の風味付けされたポリマー組成物。
【請求項6】
前記香味増強剤及び香味剤が人間の食用に適していることを特徴とする、請求項1に記載の風味付けされたポリマー組成物。
【請求項7】
前記香味増強剤が風味の呈味成分を提供することを特徴とする、請求項1に記載の風味付けされたポリマー組成物。
【請求項8】
前記香味増強剤が、甘味、酸味、苦味、塩味、冷涼、うま味、脂肪酸、又は酸味を提供するために選択されたことを特徴とする、請求項1に記載の風味付けされたポリマー組成物。
【請求項9】
甘味の香味増強剤が、ショ糖、果糖、ブドウ糖、ソルビトール、マリトール、キシリトール、アスパルテーム、サッカリン、スクラロース、アセスルファムK、マンニトール、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、シクラメート、ステビア抽出物、アガベネクター、及びそれらの任意の組合せから選択されたことを特徴とする、請求項8に記載の風味付けされたポリマー組成物。
【請求項10】
前記冷涼の香味増強剤が、メントール誘導体、乳酸メンチル、及びN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミドから選択されたことを特徴とする、請求項8に記載の風味付けされたポリマー組成物。
【請求項11】
酸味の香味増強剤が、クエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、及びフマル酸から選択されたことを特徴とする、請求項1に記載の風味付けされたポリマー組成物。
【請求項12】
前記組成物が、該組成物からなる物品を消費、溶解、咀嚼又は破壊しなくても香味剤と香味増強剤が移行し、放出するように配合されたことを特徴とする、請求項1に記載の風味付けされたポリマー組成物。
【請求項13】
前記ポリマーが以下の香味剤及び香味増強剤の移行を提供できる能力のために選択されたことを特徴とする、請求項12に記載の風味付けされたポリマー組成物。
使用環境で0〜80%の香味剤及び香味増強剤が1時間保持され、
使用環境で80〜40%の香味剤及び香味増強剤が10時間保持され、
使用環境で40〜20%の香味剤及び香味増強剤が100時間保持される。
【請求項14】
プラスチック風味を実質的に有しないことを特徴とする、請求項1に記載の風味付けされたポリマー組成物。
【請求項15】
請求項1に記載の風味付けされた熱可塑性ポリマー組成物から成形又は押出されたことを特徴とする、ポリマー物品。
【請求項16】
使用環境に配置された時に最適化された風味感覚を発現することを特徴とする、請求項15に記載のポリマー物品。
【請求項17】
使用環境に配置された時に、該物品を消費、溶解、咀嚼又は破壊することなく、最適化された風味感覚を発現することを特徴とする、請求項15に記載のポリマー物品。
【請求項18】
以下の改良された香味剤及び香味増強剤の移行を発現することを特徴とする、請求項15に記載のポリマー物品。
使用環境で0〜80%の香味剤及び香味増強剤が1時間保持され、
使用環境で80〜40%の香味剤及び香味増強剤が10時間保持され、
使用環境で40〜20%の香味剤及び香味増強剤が100時間保持される。
【請求項19】
以下の工程を含むことを特徴とする、風味付けされた(熱可塑性)ポリマー組成物の製造方法。
随意に、1種以上の熱安定性香味剤を選択する工程、
1種以上の熱安定性香味増強剤を選択する工程、
最終製品の香味剤及び香味増強剤の移行、及び、任意の香味剤及び香味増強剤の熱安定性を提供できる能力のために1種以上のポリマーを選択する工程、並びに
選択された任意の1種以上の香味剤及び1種以上の香味増強剤、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及びシリコーンポリマーから選択される1種以上のポリマー、並びに、酸化防止剤、帯電防止剤、防曇剤、抗菌剤、スリップ、粘着防止剤、鉱物、充填剤、光学的光沢剤、発泡剤、核形成剤、衝撃改質剤、分散助剤、離型剤、ワックス、着色剤、顔料、及び紫外線安定剤から選択される添加剤を混合する工程。
【請求項20】
請求項19に記載の方法によって配合されたことを特徴とする、風味付けされた(熱可塑性)ポリマー組成物。

【公表番号】特表2012−501368(P2012−501368A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525014(P2011−525014)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/004927
【国際公開番号】WO2010/024941
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(511053872)エー.シュルマン,インク. (1)
【氏名又は名称原語表記】A. SCHULMAN, INC.
【住所又は居所原語表記】Corporate Headquarters, 3550 West Market Street, Akron, OH 44333, United States of America
【Fターム(参考)】