最適化したプロモーター配列
下流領域にインサートされた目的の配列によりコードされる物質を高度に発現することができる改変CAGプロモーターを、ここに示す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、目的の配列によりコードされる物質を発現する改変プロモーターに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
コザック共通配列あるいはコザック配列は、翻訳の開始に際して重要な役割を果たすものであり、共通配列としてgcc(A/G)ccAUGGを有する。
CAGプロモーターは、ニワトリ由来の改変β−アクチンプロモーターにCMVエンハンサーを結合したハイブリッドプロモーターとして構成される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Niwaら Gene、108:193−200、1991
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
目的の配列によりコードされる物質を高度に発現することができる改変プロモーターを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の態様においては、配列番号:1に記載の如きヌクレオチド配列であって、CAGプロモーター配列をコードするヌクレオチド配列を提供する。
本発明の第二の態様においては、配列番号:1に記載のCAGプロモーター配列を含むヌクレオチド配列であって、コザック配列を成す核酸配列と、配列番号:2に記載のコドンを最適化したエボラウイルス糖タンパク質をコードする核酸配列と、をさらに結合したヌクレオチド配列を提供する。
本発明の第三の態様においては、精製あるいは単離されたプロモーター機能を有するポリヌクレオチド断片であって、配列番号:1に記載のヌクレオチド配列と少なくとも70%の同一性を有する配列から成るポリヌクレオチド断片を提供する。
【発明の効果】
【0006】
目的の配列によりコードされる物質を高度に発現することができる改変プロモーターが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】pCAGalphaの配列。
【図2】コドンを最適化したエボラウイルス糖タンパク質の配列。
【図3】EGFPレポーター遺伝子をトランスフェクションしたHEK293T細胞におけるGFPの発現の強度を示す棒グラフ。GFPの発現の強度の値は、FACSを用いた測定により決定した。pCAGGSのCAGプロモーターの下流領域にある5´非翻訳領域の一部を系統的に除去することにより、pCAGGSΔ764−eGFP、pCAGGSΔ829−eGFP、及びpCAGGSΔ947−eGFPが構築された。試験は三連で行われて、二回繰り返された。図に示したデータは、一回の試験により得られた結果である。エラーバーは、このデータの標準偏差を示している(p<0.001)。
【図4】図4はpCAGGSΔ829の構造を示している。高発現プラスミドpCAGGSのCAGプロモーターは、ニワトリ由来の改変β−アクチンプロモーターにCMV−IEエンハンサーを結合して構成される。最小限必要なプロモーター部分(ミニマル・プロモーター)の配列は、制限酵素であるEco47IIIとXbalを用いてイントロン領域の829塩基対を除去することにより、特定した。このベクターをpcag−alphaと命名した。
【図5】図5はpCAGGSΔ764の構造を示している。高発現プラスミドpCAGGSのCAGプロモーターは、ニワトリ由来の改変β−アクチンプロモーターにCMV−IEエンハンサーを結合して構成される。制限酵素であるPspOMIとXbalを用いて、イントロン領域にある764塩基対を除去した。Klenow fragment及びT4DNAリガーゼを用いて、突出末端を平滑化するとともにライゲーションした。
【図6】図6はpCAGGSΔ947の構造を示している。高発現プラスミドpCAGGSのCAGプロモーターは、ニワトリ由来の改変β−アクチンプロモーターにCMV−IEエンハンサーを結合して構成される。制限酵素であるEco47IIIとAcc65Iを用いて、イントロン領域にある947塩基対を除去した。Klenow fragment及びT4DNAリガーゼを用いて、突出末端を平滑化するとともにライゲーションした。
【発明を実施するための形態】
【0008】
好適な実施形態の開示
特に定義されない限り、ここで使用される全ての技術的及び科学的な用語は本発明が属する分野における通常の知識を有する者が一般的に理解する意味と同様の意味を有するものとする。本発明を実行あるいは試験するに際しては、ここで示された方法及び材料と同様または均等なすべてのものを用いることが可能であるが、ここでは好適な方法及び材料を示している。以下に言及したすべての刊行物は、参照されることにより本願明細書に援用される。
【0009】
ここに示したのは、図1に示す最適化したCAGプロモーター配列(配列番号:1)を含む発現カセットである。制限酵素であるEco47IIIとXbalを用いて829塩基対を除去し、Klnewを用いて突出末端を平滑化し、そしてCAGプロモーターを含むベクターをT4リガーゼを用いてライゲーションすることにより(図4参照)、プロモーター配列が作成された。図3を参照するとわかるように、この829塩基対を除去することにより作成したプロモーター機能を有するポリヌクレオチド断片は、「野生型」の構成のポリヌクレオチド断片や、より多くの塩基対を除去したポリヌクレオチド断片と比べて、より高い発現性を示した。「野生型」のポリヌクレオチド断片の構造は、Niwaらが公表した「ジーン」("Gene")、108:193−200、1991に示されている。この文献に記載のすべてのこと、とりわけ発現ベクターの構造の詳細については、ここで参照されることにより本願明細書に援用される。図5及び図6には、その他のプラスミドの構造の詳細が示されている。具体的には、図5には、制限酵素であるPspOMIとXbalを用いてイントロン領域にある764塩基対を除去して作成したpCAGGSΔ764の構造を示している。図6には、制限酵素であるEco47IIIとAcc65Iを用いてイントロン領域にある947塩基対を除去して作成したpCAGGSΔ947の構造を示している。いずれの場合においても、Klenow fragment及びT4DNAリガーゼを用いて突出末端を平滑化するとともにライゲーションを行った。
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0010】
本発明の属する分野の当業者にとっては明らかなように、このようなプロモーター機能を有するポリヌクレオチド断片は、あらゆる目的遺伝子を高度に発現させたい場合に用いることができる。
【0011】
本発明の属する分野の当業者にとっては明らかなように、図3は同様のプロモーターカセットを構築するときに役立つ重要な情報を示している。具体的には、当業者は、前記プロモーターの約829塩基対を除去すると高い発現性を発揮したが約949塩基対を除去するとこの高い発現性が喪失した、という事実と、当該技術分野における公知の手法と、を合わせて用いることにより、過度の実験をすることなく関連のあるプロモーターを作成することができる。例えば、当業者は、当該技術分野において公知となっているあらゆる手法のうちのいずれを用いることによっても、塩基対の一部を除去した一連のヌクレオチド断片群を容易に構築することができる。このようなヌクレオチド断片を構築する手法としては、例えば、nuclease−based法、制限酵素処理、サブクローニング、及びこれと同様の手法等の、塩基対を漸進的に除去することが可能な様々な手法がある。こうすることにより、除去された829塩基対のヌクレオチド断片の配列の中から、転写発現の抑制に'ネガティブに'関与している一つあるいは複数の配列を、正確に特定することができる。あるいは、除去された829塩基対のヌクレオチド断片の末端から949塩基対のヌクレオチド断片の末端までの配列の中から、転写発現の抑制に'ポジティブに'関与している一つあるいは複数の配列を、正確に特定することができる。さらに、当業者は、他のヌクレオチド断片を構築することも、容易に行うことができる。すなわち、当業者は、例えば、一部の塩基対を除去したヌクレオチド断片であって、上流プロモーターと転写開始部位との間の'フェージング'または相対配向は除去前の状態と同様の状態に保たれているようなヌクレオチド断片を、構築することができる。さらに/または、ここに示した構成のものよりも多くの塩基対あるいは少ない塩基対を除去して作成したヌクレオチド断片でありながら、ここに示したプロモーター活性と同等の活性を保っているようなヌクレオチド断片を、構築することもできる。もちろん、ここに示されている構成を利用することにより、転写発現の抑制に'ポジティブに'関与している配列が存在している場所を特定することも容易に行うことができる。なお、上述のものと機能的に同様の構成は、本願の出願人が本発明として主張する構成に含まれるものであり、上述の構成は、本願の構成に機能的に似たものである(すなわち、必ずしも同一ではなく、似たようなレベルの発現をもたらすものであり、例えば、ここで示したプロモーターカセットと比較したときに、10%、20%、25%、35%、45%、50%、55%、65%、75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%あるいはそれ以上の発現を示しているもの、望ましくは、50%、55%、65%、75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%あるいはそれ以上の発現を示しているもの等である。ただし、ここで言及している発現の効率は、双方のプロモーターカセットを同一あるいは同様の細胞株にそれぞれ形質転換、あるいはトランスフェクションし、双方の発現状態を同一の条件下で検出したときの発現効率を指す。)。
【0012】
さらに、コザック配列と、エボラウイルス糖タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、を含むヌクレオチド配列がここに示されている。図2に示した配列は、例えばHEK293T細胞内においてエボラウイルス糖タンパク質の翻訳効率を最適化するために、エボラウイルス糖タンパク質をコードするコドンを適宜選択して構築したものである(配列番号:2)。
【0013】
好適な態様においては、発現カセットには、CAGプロモーター配列をコードするヌクレオチド配列(配列番号:1)と、コザック配列を成す核酸配列と、コドンを最適化したエボラウイルス糖タンパク質をコードする核酸配列(配列番号:2)と、が含まれる。
【0014】
本発明の追加的な形態においては、精製あるいは単離されたプロモーター機能を有するポリヌクレオチド断片であって、配列番号:1に記載のヌクレオチド配列と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%あるいはそれ以上の同一性を有する配列から成るポリヌクレオチド断片が提案される。ここでは、プロモーターが配列番号:1に記載のプロモーターカセットの発現に対して10%、20%、25%、35%、45%、50%、55%、65%、75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%あるいはそれ以上の発現を示しているとき、望ましくは、50%、55%、65%、75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%あるいはそれ以上の発現を示しているときに、そのプロモーターが'プロモーター機能を有する'と言うこととしている。なお、ここで言及している発現の効率は、本発明に係るプロモーターと、配列番号:1に記載のプロモーターと、のそれぞれを、実質的に同一のレポーター遺伝子に結合させ、実質的に同一の細胞株にトランスフェクションし、同一の条件下で培養したときの発現の効率を指す。典型的には、プロモーターによりレポート遺伝子を発現させるのに最適な条件下で培養したときの発現の効率を指す。これは、すなわち前記プロモーターにより誘導される発現である。
【0015】
以上に本発明の好適な態様を示したが、この態様には種々の変更を加えることが可能であると認識されるとともに、そのように理解されるべきである。そして、添付した特許請求の範囲は、本発明の精神及び領域から逸脱しない範囲において、すべてのこのような変更を包含するように意図されている。
【技術分野】
【0001】
本願発明は、目的の配列によりコードされる物質を発現する改変プロモーターに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
コザック共通配列あるいはコザック配列は、翻訳の開始に際して重要な役割を果たすものであり、共通配列としてgcc(A/G)ccAUGGを有する。
CAGプロモーターは、ニワトリ由来の改変β−アクチンプロモーターにCMVエンハンサーを結合したハイブリッドプロモーターとして構成される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Niwaら Gene、108:193−200、1991
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
目的の配列によりコードされる物質を高度に発現することができる改変プロモーターを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の態様においては、配列番号:1に記載の如きヌクレオチド配列であって、CAGプロモーター配列をコードするヌクレオチド配列を提供する。
本発明の第二の態様においては、配列番号:1に記載のCAGプロモーター配列を含むヌクレオチド配列であって、コザック配列を成す核酸配列と、配列番号:2に記載のコドンを最適化したエボラウイルス糖タンパク質をコードする核酸配列と、をさらに結合したヌクレオチド配列を提供する。
本発明の第三の態様においては、精製あるいは単離されたプロモーター機能を有するポリヌクレオチド断片であって、配列番号:1に記載のヌクレオチド配列と少なくとも70%の同一性を有する配列から成るポリヌクレオチド断片を提供する。
【発明の効果】
【0006】
目的の配列によりコードされる物質を高度に発現することができる改変プロモーターが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】pCAGalphaの配列。
【図2】コドンを最適化したエボラウイルス糖タンパク質の配列。
【図3】EGFPレポーター遺伝子をトランスフェクションしたHEK293T細胞におけるGFPの発現の強度を示す棒グラフ。GFPの発現の強度の値は、FACSを用いた測定により決定した。pCAGGSのCAGプロモーターの下流領域にある5´非翻訳領域の一部を系統的に除去することにより、pCAGGSΔ764−eGFP、pCAGGSΔ829−eGFP、及びpCAGGSΔ947−eGFPが構築された。試験は三連で行われて、二回繰り返された。図に示したデータは、一回の試験により得られた結果である。エラーバーは、このデータの標準偏差を示している(p<0.001)。
【図4】図4はpCAGGSΔ829の構造を示している。高発現プラスミドpCAGGSのCAGプロモーターは、ニワトリ由来の改変β−アクチンプロモーターにCMV−IEエンハンサーを結合して構成される。最小限必要なプロモーター部分(ミニマル・プロモーター)の配列は、制限酵素であるEco47IIIとXbalを用いてイントロン領域の829塩基対を除去することにより、特定した。このベクターをpcag−alphaと命名した。
【図5】図5はpCAGGSΔ764の構造を示している。高発現プラスミドpCAGGSのCAGプロモーターは、ニワトリ由来の改変β−アクチンプロモーターにCMV−IEエンハンサーを結合して構成される。制限酵素であるPspOMIとXbalを用いて、イントロン領域にある764塩基対を除去した。Klenow fragment及びT4DNAリガーゼを用いて、突出末端を平滑化するとともにライゲーションした。
【図6】図6はpCAGGSΔ947の構造を示している。高発現プラスミドpCAGGSのCAGプロモーターは、ニワトリ由来の改変β−アクチンプロモーターにCMV−IEエンハンサーを結合して構成される。制限酵素であるEco47IIIとAcc65Iを用いて、イントロン領域にある947塩基対を除去した。Klenow fragment及びT4DNAリガーゼを用いて、突出末端を平滑化するとともにライゲーションした。
【発明を実施するための形態】
【0008】
好適な実施形態の開示
特に定義されない限り、ここで使用される全ての技術的及び科学的な用語は本発明が属する分野における通常の知識を有する者が一般的に理解する意味と同様の意味を有するものとする。本発明を実行あるいは試験するに際しては、ここで示された方法及び材料と同様または均等なすべてのものを用いることが可能であるが、ここでは好適な方法及び材料を示している。以下に言及したすべての刊行物は、参照されることにより本願明細書に援用される。
【0009】
ここに示したのは、図1に示す最適化したCAGプロモーター配列(配列番号:1)を含む発現カセットである。制限酵素であるEco47IIIとXbalを用いて829塩基対を除去し、Klnewを用いて突出末端を平滑化し、そしてCAGプロモーターを含むベクターをT4リガーゼを用いてライゲーションすることにより(図4参照)、プロモーター配列が作成された。図3を参照するとわかるように、この829塩基対を除去することにより作成したプロモーター機能を有するポリヌクレオチド断片は、「野生型」の構成のポリヌクレオチド断片や、より多くの塩基対を除去したポリヌクレオチド断片と比べて、より高い発現性を示した。「野生型」のポリヌクレオチド断片の構造は、Niwaらが公表した「ジーン」("Gene")、108:193−200、1991に示されている。この文献に記載のすべてのこと、とりわけ発現ベクターの構造の詳細については、ここで参照されることにより本願明細書に援用される。図5及び図6には、その他のプラスミドの構造の詳細が示されている。具体的には、図5には、制限酵素であるPspOMIとXbalを用いてイントロン領域にある764塩基対を除去して作成したpCAGGSΔ764の構造を示している。図6には、制限酵素であるEco47IIIとAcc65Iを用いてイントロン領域にある947塩基対を除去して作成したpCAGGSΔ947の構造を示している。いずれの場合においても、Klenow fragment及びT4DNAリガーゼを用いて突出末端を平滑化するとともにライゲーションを行った。
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0010】
本発明の属する分野の当業者にとっては明らかなように、このようなプロモーター機能を有するポリヌクレオチド断片は、あらゆる目的遺伝子を高度に発現させたい場合に用いることができる。
【0011】
本発明の属する分野の当業者にとっては明らかなように、図3は同様のプロモーターカセットを構築するときに役立つ重要な情報を示している。具体的には、当業者は、前記プロモーターの約829塩基対を除去すると高い発現性を発揮したが約949塩基対を除去するとこの高い発現性が喪失した、という事実と、当該技術分野における公知の手法と、を合わせて用いることにより、過度の実験をすることなく関連のあるプロモーターを作成することができる。例えば、当業者は、当該技術分野において公知となっているあらゆる手法のうちのいずれを用いることによっても、塩基対の一部を除去した一連のヌクレオチド断片群を容易に構築することができる。このようなヌクレオチド断片を構築する手法としては、例えば、nuclease−based法、制限酵素処理、サブクローニング、及びこれと同様の手法等の、塩基対を漸進的に除去することが可能な様々な手法がある。こうすることにより、除去された829塩基対のヌクレオチド断片の配列の中から、転写発現の抑制に'ネガティブに'関与している一つあるいは複数の配列を、正確に特定することができる。あるいは、除去された829塩基対のヌクレオチド断片の末端から949塩基対のヌクレオチド断片の末端までの配列の中から、転写発現の抑制に'ポジティブに'関与している一つあるいは複数の配列を、正確に特定することができる。さらに、当業者は、他のヌクレオチド断片を構築することも、容易に行うことができる。すなわち、当業者は、例えば、一部の塩基対を除去したヌクレオチド断片であって、上流プロモーターと転写開始部位との間の'フェージング'または相対配向は除去前の状態と同様の状態に保たれているようなヌクレオチド断片を、構築することができる。さらに/または、ここに示した構成のものよりも多くの塩基対あるいは少ない塩基対を除去して作成したヌクレオチド断片でありながら、ここに示したプロモーター活性と同等の活性を保っているようなヌクレオチド断片を、構築することもできる。もちろん、ここに示されている構成を利用することにより、転写発現の抑制に'ポジティブに'関与している配列が存在している場所を特定することも容易に行うことができる。なお、上述のものと機能的に同様の構成は、本願の出願人が本発明として主張する構成に含まれるものであり、上述の構成は、本願の構成に機能的に似たものである(すなわち、必ずしも同一ではなく、似たようなレベルの発現をもたらすものであり、例えば、ここで示したプロモーターカセットと比較したときに、10%、20%、25%、35%、45%、50%、55%、65%、75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%あるいはそれ以上の発現を示しているもの、望ましくは、50%、55%、65%、75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%あるいはそれ以上の発現を示しているもの等である。ただし、ここで言及している発現の効率は、双方のプロモーターカセットを同一あるいは同様の細胞株にそれぞれ形質転換、あるいはトランスフェクションし、双方の発現状態を同一の条件下で検出したときの発現効率を指す。)。
【0012】
さらに、コザック配列と、エボラウイルス糖タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、を含むヌクレオチド配列がここに示されている。図2に示した配列は、例えばHEK293T細胞内においてエボラウイルス糖タンパク質の翻訳効率を最適化するために、エボラウイルス糖タンパク質をコードするコドンを適宜選択して構築したものである(配列番号:2)。
【0013】
好適な態様においては、発現カセットには、CAGプロモーター配列をコードするヌクレオチド配列(配列番号:1)と、コザック配列を成す核酸配列と、コドンを最適化したエボラウイルス糖タンパク質をコードする核酸配列(配列番号:2)と、が含まれる。
【0014】
本発明の追加的な形態においては、精製あるいは単離されたプロモーター機能を有するポリヌクレオチド断片であって、配列番号:1に記載のヌクレオチド配列と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%あるいはそれ以上の同一性を有する配列から成るポリヌクレオチド断片が提案される。ここでは、プロモーターが配列番号:1に記載のプロモーターカセットの発現に対して10%、20%、25%、35%、45%、50%、55%、65%、75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%あるいはそれ以上の発現を示しているとき、望ましくは、50%、55%、65%、75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%あるいはそれ以上の発現を示しているときに、そのプロモーターが'プロモーター機能を有する'と言うこととしている。なお、ここで言及している発現の効率は、本発明に係るプロモーターと、配列番号:1に記載のプロモーターと、のそれぞれを、実質的に同一のレポーター遺伝子に結合させ、実質的に同一の細胞株にトランスフェクションし、同一の条件下で培養したときの発現の効率を指す。典型的には、プロモーターによりレポート遺伝子を発現させるのに最適な条件下で培養したときの発現の効率を指す。これは、すなわち前記プロモーターにより誘導される発現である。
【0015】
以上に本発明の好適な態様を示したが、この態様には種々の変更を加えることが可能であると認識されるとともに、そのように理解されるべきである。そして、添付した特許請求の範囲は、本発明の精神及び領域から逸脱しない範囲において、すべてのこのような変更を包含するように意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
精製あるいは単離されたプロモーター機能を有するポリヌクレオチド断片であって、配列番号:1に記載のヌクレオチド配列と少なくとも70%の同一性を有する配列から成るポリヌクレオチド断片。
【請求項2】
請求項1に記載のポリヌクレオチド断片であって、配列番号:1に記載のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有する配列から成るポリヌクレオチド断片。
【請求項3】
請求項1に記載のポリヌクレオチド断片であって、配列番号:1に記載のヌクレオチド配列と少なくとも85%の同一性を有する配列から成るポリヌクレオチド断片。
【請求項4】
請求項1に記載のポリヌクレオチド断片であって、配列番号:1に記載のヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有する配列から成るポリヌクレオチド断片。
【請求項5】
請求項1に記載のポリヌクレオチド断片であって、配列番号:1に記載のヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を有する配列から成るポリヌクレオチド断片。
【請求項6】
請求項1に記載のポリヌクレオチド断片であって、配列番号:1に記載のヌクレオチド配列と少なくとも99%の同一性を有する配列から成るポリヌクレオチド断片。
【請求項7】
配列番号:1に記載のCAGプロモーター配列をコードするヌクレオチド配列。
【請求項8】
配列番号:1に記載のCAGプロモーター配列を含むヌクレオチド配列であって、コザック配列を成す核酸配列と、配列番号:2に記載のコドンを最適化したエボラウイルス糖タンパク質をコードする核酸配列と、をさらに結合したヌクレオチド配列。
【請求項1】
精製あるいは単離されたプロモーター機能を有するポリヌクレオチド断片であって、配列番号:1に記載のヌクレオチド配列と少なくとも70%の同一性を有する配列から成るポリヌクレオチド断片。
【請求項2】
請求項1に記載のポリヌクレオチド断片であって、配列番号:1に記載のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有する配列から成るポリヌクレオチド断片。
【請求項3】
請求項1に記載のポリヌクレオチド断片であって、配列番号:1に記載のヌクレオチド配列と少なくとも85%の同一性を有する配列から成るポリヌクレオチド断片。
【請求項4】
請求項1に記載のポリヌクレオチド断片であって、配列番号:1に記載のヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有する配列から成るポリヌクレオチド断片。
【請求項5】
請求項1に記載のポリヌクレオチド断片であって、配列番号:1に記載のヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を有する配列から成るポリヌクレオチド断片。
【請求項6】
請求項1に記載のポリヌクレオチド断片であって、配列番号:1に記載のヌクレオチド配列と少なくとも99%の同一性を有する配列から成るポリヌクレオチド断片。
【請求項7】
配列番号:1に記載のCAGプロモーター配列をコードするヌクレオチド配列。
【請求項8】
配列番号:1に記載のCAGプロモーター配列を含むヌクレオチド配列であって、コザック配列を成す核酸配列と、配列番号:2に記載のコドンを最適化したエボラウイルス糖タンパク質をコードする核酸配列と、をさらに結合したヌクレオチド配列。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公表番号】特表2011−529693(P2011−529693A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521414(P2011−521414)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【国際出願番号】PCT/CA2009/001094
【国際公開番号】WO2010/015079
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(511033818)
【氏名又は名称原語表記】HER MAJESTY THE QUEEN IN RIGHT OF CANADA as represented by THE MINISTER OF HEALTH
【住所又は居所原語表記】1015, rue Arlington, piece T2420, Winnipeg, Manitoba R3E 3P6 Canada
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【国際出願番号】PCT/CA2009/001094
【国際公開番号】WO2010/015079
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(511033818)
【氏名又は名称原語表記】HER MAJESTY THE QUEEN IN RIGHT OF CANADA as represented by THE MINISTER OF HEALTH
【住所又は居所原語表記】1015, rue Arlington, piece T2420, Winnipeg, Manitoba R3E 3P6 Canada
【Fターム(参考)】
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