月経予測管理チャート、月経予測管理方法及び月経予測管理システム
【課題】本発明は、女性の月経に関する日付を視覚的に予測することができ、しかも簡易な構成にして一般の女性が簡単に使用することができる月経予測管理チャート等の提供を目的とする。
【解決手段】 縦横方向に日付欄が連続して表示され、縦横いずれかの一方向に月経周期分の日付欄2が連続して表示され、続く列または行に連続して繰り返して同数分の日付欄2が複数列または複数行にわたり表示されたチャート1である。チャート1の使用に際しては、各日付欄2に過去の月経開始日の印を記載し、該月経開始日の印に基づいて回帰直線であるサイクルライン8を作成する。このサイクルライン8により次回以降の月経開始日を予測することができる。
【解決手段】 縦横方向に日付欄が連続して表示され、縦横いずれかの一方向に月経周期分の日付欄2が連続して表示され、続く列または行に連続して繰り返して同数分の日付欄2が複数列または複数行にわたり表示されたチャート1である。チャート1の使用に際しては、各日付欄2に過去の月経開始日の印を記載し、該月経開始日の印に基づいて回帰直線であるサイクルライン8を作成する。このサイクルライン8により次回以降の月経開始日を予測することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、女性の月経開始日などの月経に関する日付を視覚的に予測して管理するための月経予測管理チャート、ならびにそれを用いた月経予測管理方法及び月経予測管理システムやプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
元来、女性の月経周期は、個人や体調、年齢等によりばらつきがあり、確定したものではない。 自己の周期を把握している人でも、一月の日数が通常でも28日〜31日の間で変わることや、月経周期が必ずしも毎回同じではないことによって、次回の月経開始日や排卵日等の予測が困難を極めている。
【0003】
しかし、月経期間をある程度把握したいという女性は月経開始日を記録し、自分のおよその月経周期を元に次回の月経開始日や排卵日等の予測を行おうと努力している。
【0004】
例えば、手帳に付属のマンスリーカレンダーに月経開始日、月経期間、さらには基礎体温などを記録することが行われている。
【0005】
また、最近では、パソコンや携帯電話等の情報端末装置の普及に伴って、インターネットの月経管理サイトを利用して、月経開始日や排卵日等を予測することが行われている。
【0006】
さらに、これら月経開始日や排卵日等を予測して管理する手段として、特許文献1〜特許文献6に示すものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−39052号公報
【特許文献2】実開昭61−65530号公報
【特許文献3】実用新案登録第3089564号公報
【特許文献4】実用新案登録第3117708号公報
【特許文献5】実用新案登録第3125776号公報
【特許文献6】特許第3355163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これらのいずれの手段も、月経に関する日付を予測する仕組みは前回の月経開始日と月経周期を用いて単純に足し算するだけであるため、それから得られる結果はおよそ月経周期をもとにした次回の予測日のみである。しかも特許文献1〜特許文献6に示す手段の多くは、いずれも構成が複雑であり、一般女性が使用するには汎用性が低いものであった。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、女性の月経に関する日付を視覚的に予測することができ、しかも簡易な構成にして一般の女性が簡単に使用することができる月経予測管理チャート、月経予測管理方法及び月経予測管理システムおよびプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、女性の月経に関する日付を予測して管理するための月経予測管理チャートであって、縦横方向に日付欄が連続して表示され、縦横いずれかの一方向に月経周期分の日付欄が連続して表示され、続く列または行に連続して繰り返して同数分の日付欄が複数列または複数行にわたり表示され、各日付欄に過去の月経に関する日付の印を記載可能とし、該月経に関する日付の印に基づいて回帰直線を作成可能としたことを特徴とする。
【0011】
なお、月経に関する日付とは、月経開始日、月経開始日の前後の日付、あるいは排卵日をいう。また、月経期間は、正常周期であれば25〜38日であり、その他の期間もある。また、回帰直線の作成に際しては現実的に作成することはもとより、利用者の頭の中で仮想的に作成することも含まれる。
【0012】
これによれば、例えば本チャートの各日付欄に過去の月経開始日の印を記載し、該月経開始日の印に基づいて回帰直線を現実的または仮想的に記載すれば、回帰直線と日付欄の交差する付近が月経開始日に対応するため、次回以降の各月経開始日を視覚的に予測することができる。また、回帰直線の傾きは月経周期により異なることから、記載した回帰直線の傾きを見れば月経周期を容易に把握することができる。さらに、月経開始日のばらつきや回帰直線の傾きの変化を観察することにより、体調の変化も視覚的にとらえることができる。さらにまた、本チャートは月経周期分の日付欄が連続して表示されているだけと簡易な構成であるため、一般の女性も簡単に使用することができ、製造コストも低く抑えることができる。
【0013】
また、縦方向に日付欄が表示された請求項1記載の月経予測管理チャートの最下行及び/又は最上行、もしくは横方向に日付欄が表示された請求項1記載の月経予測管理チャートの最右列及び/又は最左列に、所定日数の追加の日付欄が表示され、該追加の日付欄の日付と元の日付欄の日付とが連続するのが好ましい。
【0014】
これによれば、例えば、縦方向に日付欄が表示された請求項1記載の月経予測管理チャートの最下行に追加の日付欄が表示されている場合、回帰直線が本チャートの最上行に到達した場合、追加の日付欄において当該最上行の日付欄に対応する日付欄を見つけ、さらに当該日付欄から再び同じ傾きの回帰直線を引くことにより、それ以降の月経に関する日付を視覚的に予測することができる。また、本来は本チャートの端を超えて後述のサイクルバンドを記載することになる場合にも、月経開始日のばらつきの幅を本チャート内の同一端部に収めることが可能となる
【0015】
また、典型的な数種の月経周期に関する回帰直線があらかじめ表示されているのが好ましい。これによれば利用者が本チャートに記載した回帰直線と、本チャートにあらかじめ表示されている回帰直線を見比べて、最も近い傾きであるあらかじめの回帰直線を選択し、そのあらかじめの回帰直線の月経周期を確認すれば、自己の月経周期を容易に把握することができる。
【0016】
また、本発明に係る月経予測管理方法は、縦横方向に日付欄が連続して表示され、縦横いずれかの一方向に月経周期分の日付欄が連続して表示され、続く列または行に連続して繰り返して同数分の日付欄が複数列または複数行にわたり表示された月経予測管理チャートを用いて、女性の月経に関する日付を予測して管理するための月経予測管理方法であって、前記月経予測管理チャートの日付欄に過去の月経に関する日付の印を記載するステップと、該月経に関する日付の印に基づいて回帰直線をチャート上に作成するステップと、該回帰直線に基づいて次回以降の月経に関する日付を予測するステップとを備えることを特徴とする。
【0017】
また、前記回帰直線の両側に、所定日数の日付欄を空け、かつ回帰直線に平行である第1および第2のラインをチャート上に作成するステップと、第1および第2のラインに挟まれた領域に基づいて次回以降の月経に関する日付を予測するステップとを備えるのが好ましい。これによれば第1および第2のラインに挟まれた領域に基づいて、次回以降の月経に関する日付を範囲的に予測することができる。
【0018】
また、前記第1および第2のラインのうち下側の第2のラインの下方にさらに平均的な月経期間を空けて第3のラインをチャート上に作成するステップと、前記第1のラインと第3のラインに挟まれた領域以外の領域を月経無関係期間として予測するステップとを備えるのが好ましい。これによれば前記第1のラインと第3のラインに挟まれた領域以外の領域を月経無関係期間として予測することができ、旅行や健康診断などを決定するときに便利である。
【0019】
また、前記回帰直線に基づいて次回以降の月経開始日を予測した上で、該次回以降の月経開始日から所定日数前の日付を次回以降の排卵日と予測するステップを備えるのが好ましい。なお、この所定日数とは、好ましくはオギノ式による12〜16日の範囲である。これによれば次回以降の排卵日を予測することができる。
【0020】
また、日々の基礎体温を前記チャート上の対応する日付欄に体温ごとに色分けしながら表示するステップを備えるのが好ましい。これによれば回帰直線による月経に関する日付の予測と相俟って、月経に関する日付の予測の精度を向上させることができる。
【0021】
また、前記月経予測管理チャートの日付欄に過去の月経に関する日の印を記載したとき、該月経に関する日の印が前記第1のラインまたは第2のラインのいずれかの同じ側のラインを所定回数以上外れた場合、直近の所定回数分の月経に関する日の印に基づいて新たな回帰直線をチャート上に作成するステップを備えるのが好ましい。これによれば前記第1および第2のラインの同じ側に月経開始日が所定回数以上外れた場合、何らかの原因で月経周期が変わった可能性が高くなり、新たな回帰直線により月経に関する日付を新たに予測することができる。
【0022】
また、本発明に係る月経予測管理システムは、女性の月経に関する情報を予測して管理するための月経予測管理システムであって、月経に関する日付を入力するための入力手段と、該月経に関する日付に基づいて月経周期を算出する算出手段と、該月経周期に基づいて、縦横方向に日付欄が連続して表示され、縦横いずれかの一方向に月経周期分の日付欄が連続して表示され、続く列または行に連続して繰り返して同数分の日付欄が複数列または複数行にわたり表示されたチャートを作成するチャート作成手段と、前記入力手段により入力された月経に関する日付に基づいて回帰直線を作成する回帰直線作成手段と、該回帰直線を前記チャート上に表示する表示手段とを備えることを特徴とする。これによれば本発明に係る月経予測管理チャートをパソコンや携帯情報端末などのコンピュータ上で実現することができる。
【0023】
また、本発明に係るプログラムは、月経に関する日付を入力するための入力手段、該月経に関する日付に基づいて月経周期を算出する算出手段、該月経周期に基づいて、縦横方向に日付欄が連続して表示され、縦横いずれかの一方向に月経周期分の日付欄が連続して表示され、続く列または行に連続して繰り返して同数分の日付欄が複数列または複数行にわたり表示されたチャートを作成するチャート作成手段、前記入力手段により入力された月経に関する日付に基づいて回帰直線を作成する回帰直線作成手段、該回帰直線を前記チャート上に表示する表示手段として機能させる。これによればプログラムをコンピュータにインストールすることにより、自己のパソコンや携帯情報端末において上記月経予測管理システムを簡単かつ確実に実現することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、例えば本チャートの各日付欄に過去の月経開始日の印を記載し、該月経開始日の印に基づいて回帰直線を現実的または仮想的に記載すれば、回帰直線と日付欄の交差する付近が月経開始日に対応するため、次回以降の各月経開始日を視覚的に予測することができる。
【0025】
また、回帰直線の傾きは月経周期により異なることから、記載した回帰直線の傾きを見れば月経周期を容易に把握することができる。
【0026】
さらに、月経開始日のばらつきや回帰直線の傾きの変化を観察することにより、体調の変化も視覚的にとらえることができる。
【0027】
さらにまた、本チャートは月経周期分の日付欄が連続して表示されているだけと簡易な構成であるため、一般の女性も簡単に使用することができ、製造コストも低く抑えることができる。
【0028】
このため一般女性のような個人が妊娠計画として活用したり、生理用品の準備に活用したり、あるいは自己の体調管理に活用したりすることが可能となる。また、個人の活用のみならず、婦人科医療の現場において医者と患者のコミュニケーションツールとして、さらに女子の保健教育の現場での教育ツールなどとしても活用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る月経予測管理チャートを示す図である。
【図2】月経開始日の印を付けた図である。
【図3】図2に月経開始日のサイクルラインを作成した図である。
【図4】図3に第1のラインと第2のラインを作成した図である。
【図5】図4に新たなサイクルラインを作成した図である。
【図6】図5に第3のラインを作成した図である。
【図7】図6をもとに月経とならない期間を予測した図である。
【図8】30日型周期の人の月経予測管理チャートを示す図である。
【図9】多年にわたり月経予測管理チャートに開始日の記録及びサイクルラインを記載した図である。
【図10】あらかじめサイクルモデルラインを表示した月経予測管理チャートを示す図である。
【図11】図10にサイクルラインを作成した図である。
【図12】追加欄を3日上下に設けた28日型周期の人の月経予測管理チャートを示す図である。
【図13】月経予測管理システムをパソコンにより実行した場合の画面を示す図である。
【図14】図13の月経予測管理チャートに基礎体温によりカラー表示をした図である。
【図15】サイクルラインの傾きを修正した図である。
【図16】月経予測管理システムを携帯電話で実行した場合の画面を示す図である。
【図17】月経予測管理システムの機能を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明における実施形態の概要について説明する。
【0031】
本発明は、縦横方向に日付欄が連続して表示され、縦横いずれかの一方向に月経周期分の日付欄が連続して表示され、続く列または行に連続して繰り返して同数分の日付欄が複数列または複数行にわたり表示された月経予測管理チャート、ならびにそれを利用した月経予測管理方法および月経予測管理システムやプログラムに関するものである(図1〜図17)。
【0032】
本チャートの提供方法はシート状あるいはプログラムでの提供が可能である。シート状のチャートにあっては、単体のシートを手帳やノート、財布、鞄等にはさみこんで使用することが可能であり、これをノートや家計簿、健康手帳などに組み込んで使用しても良い。
【0033】
また、プログラムでの提供の場合には、パソコンや携帯電話などの情報端末で使用可能となり、入力データをもとに、最適なチャートを作成することが可能となり、後述するサイクルラインやサイクルバンドも自動計算により表示させることが可能となるため、操作性が格段に良くなる。
【0034】
シート状のチャートの掲載年月は過去の月経開始日の印を付けることにより自己の月経周期サイクルを視覚的に認知しやすいよう見開きの2年間とすることが望ましいが、これに限ることはなく、年単位で使用される手帳に合わせて1年間分の日にちを記載する方法でも良いし、図9に示すように、3年以上の記録を可能としても良い。情報端末を用いる場合にはデータの保存が可能であるため、長年にわたっての記録表示が可能となる。
【0035】
本チャートは、原則として縦横方向に日付欄を連続的に並べたものを用いる。この場合、縦方向に日付欄を連続で記載しても良いし、横方向に記載しても良い。以下の実施例では、便宜上、縦方向に日付欄を連続させた場合について説明している。
【0036】
本チャートの一行あるいは一列に記載する日付欄の日数(以下、ユニット日数という)については、シート状にあっては、一般に最も多い月経周期である28日を基本として作成しているがこれに限ることはなく、個人の月経周期に合わせたユニット日数のチャートを用いても良い。一般には月経周期として考えられるだいたい21日から45日の間の日数程度であることが好ましい。
【0037】
また、本チャートで月経周期の傾向を視覚的にわかりやすく認知するためには、今回の月経開始日が描かれる列に対して、次回の月経開始日が次の列に現れることで、毎月のそれらを連続して眺めた場合、月経開始日の印がグラフのラインのように見えることが本発明の特徴である。このラインに基づいて回帰直線を作成可能としているが、この回帰直線は最小2乗法等による正確なものはもとより、傾向が捉える程度のおおよそのものであってもよい。
【0038】
なお、ユニット日数が決定した場合に、どのようにチャートを記載するかについて、本発明では以下のような工夫を行っている。
【0039】
月経開始日がチャートの端の日付欄に該当するときには、ばらつき幅が上下あるいは左右に分断するなど捕捉しにくくなるため、あらかじめシート状の場合には、上下あるいは左右に所定日数(例えば、1〜3日)の連続する追加の日付欄を欄外に記載しておくと(図12)、実施例2で示すように、自分の該当する日付欄に印をつけた場合に、チャートの端に来たら、追加の日付欄を利用するといったことが可能となる。また、パソコン等で利用するプログラムにおいては、過去の月経開始日が入力された時点でそれらの日付が中心位置となるようなチャート作成が可能であるため、余分な追加の日付欄はなくてもよい。
【0040】
本発明において、情報端末とは、パソコン(パーソナルコンピュータ)、携帯電話、PDAなどあらゆる情報端末を含む。
【実施例】
【0041】
以下、実施例1・2はシート状チャート及びその使用方法について説明し、実施例3はパソコンでの使用方法、実施例4は携帯電話やPDAなどの携帯情報端末での利用について説明し、最後に実施例5では多年にわたり記録する場合について説明する。
【実施例1】
【0042】
本発明の第1実施例について、図1〜図12を利用して使用方法を含め説明する。
【0043】
図1の(1)は月経予測管理チャートであり、28日分の日付欄を縦軸の上から下に向けて振っており、下まで到達するとその右横の縦軸に連続した日付欄を振ってチャートを構成している。図1の例では左右の見開き状態のシートで2年分の日付欄を表示している。
【0044】
また、横軸には西暦による年度の表示(3)と月の表示(4)を付し、月初めの1日に月表示も加え、例えば4月1日であれば4/1(4’)と表示することで、月経開始日の印を付ける日付欄を間違えることを防止している。日付欄を月ごとに異なる色合いとしたり、一般カレンダーに見られるように土曜日と日曜日にあたる日付欄を平日とは異なる色で着色したりすることも日付欄の記載間違いの防止に効果的である。
【0045】
また、図10に示すように、本チャート(1)の側方一端部に手帳やファイルに止めるためのパンチ孔(16)を設けてもよい。このとき最上部および最下部のパンチ孔(16)を長円状に形成すれば本チャート(1)を種々の手帳やファイルに止めることができ汎用性が高くなる。
【0046】
なお、図9に示すように、連続した用紙に多年にわたりチャートを表示できるようにすることも可能である。
【0047】
以下、本チャートの使用方法について説明する。
<月経周期を把握する方法>
【0048】
利用者Aは月経開始日が一定ではなく、自分の月経が何日周期であるのか判断できないでいた。また、まれに月経開始日の記録を忘れるため、前回の月経開始日の記録を忘れると、次回の月経開始日の予測ができない状態であった。さらに、月経周期が全く一定でないと感じていたことから、近い将来にプールや温泉旅行に行く、もしくは尿検査等のある人間ドックや健康診断の予約をするといった、可能な限り月経期間を避けることが望ましい行動の予定を立てる場合に、いつ頃なら月経期間とならないか推測することは極めて困難であった。
【0049】
このような場合、図2に示すように、まず本チャート(1)を利用して過去の何回分かの月経開始日の印(7)を付ける。すると、図2に示すように月経開始日の印(7)がある程度のばらつきはあるものの、一定の傾きを持つラインを示していることがわかる。
【0050】
したがって、図3に示すように、これら月経開始日の印(7)をもとに月経開始日の印(7)のほぼ中央を貫く回帰直線を作成することができる。この回帰直線をサイクルライン(8)と呼んでいる。サイクルライン(8)は連続した過去の月経開始日の記録が多いほど、より正確な近似ラインとして得ることができるが、3回分程度の月経開始日であってもサイクルライン(8)を作成することは可能である。その後月経開始日の記録を続けることで、より正確な回帰直線となるようにラインの補正を行うことも可能である。
【0051】
また、サイクルライン(8)がチャートの最上行に達した場合には、図5で示すように、サイクルライン(8)の端にあたる日付欄と連続する次の日付欄を最下行に見つけ、その日付欄から改めて先のサイクルラインに平行となる2本目のサイクルライン(10)を作成するようにする。このとき、図1のようにあらかじめ月経予測管理チャートに追加の日付欄(6)を設けて、チャートの最上行の日付欄と同一の日を追加の日付欄(6)にも記載しておくことも可能である。このようにすると、図5のように、サイクルライン(8)の端にあたる日付欄をチャートの最下行に見つけ易く、2本目のサイクルライン(10)を作成するのが容易となる。
【0052】
サイクルライン(8)(10)の傾きは月経周期を表している。ユニット日数を28日として縦方向に日付欄を配した月経予測管理チャートの場合、28日より少ない日数を月経周期とする場合は右肩上がりのライン(図7参照)に、28日より多い日数を月経周期とする場合は右肩下がり(図8参照)のラインになる。
【0053】
このサイクルライン(8)(10)の傾きから何日型の月経周期であるかを視覚的に容易に把握する方法として、図10のようにあらかじめ月経予測管理チャートにサイクルモデルライン(17)を記載し、各サイクルモデルライン(17)に対応する月経周期(18)を記載しておくことも可能である。サイクルモデルライン(17)を記載しておけば、利用者Aが描いたサイクルラインの傾きとサイクルモデルライン(17)の傾きとを見比べて、最も近い傾きであるサイクルモデルライン(17)を選択し、そのサイクルモデルライン(17)が何日型の線であるかを確認すれば、自分の月経周期を把握することができる。図11に示す例示の場合にはサイクルライン(8)と上方左から4番目の欄外に「27」という記載があるサイクルモデルライン(17’)の傾きがほぼ同じであるため、27日型であることがわかる。
【0054】
ただし、サイクルラインは同一個人であっても将来にわたって必ず同じ傾きであるとは限らず、体調等の理由により月経周期の傾きが変わる可能性も考えられる。このように月経周期の傾きが変わるようであれば必要に応じてサイクルラインの傾きの補正をすることも可能である。例えば、月経に関する日の印が前記第1のライン(9a)または第2のライン(9b)のいずれかの同じ側のラインを所定回数(例えば、2回)以上外れた場合、直近の所定回数分(例えば、3回分)の月経に関する日の印に基づいて新たな回帰直線をチャート上に作成する。
【0055】
本チャート(1)を用いて体調を記録することで体調管理にも役立つ。図9に示すように、多年にわたり月経開始日を本チャートに記録した例を見れば、月経開始日がある一定のライン上にあり、多年にわたり連続したサイクルライン(8)を視覚的に確認出来ること、サイクルライン(8)はほぼ同じ傾きであるが、体調の変化により傾きが変化していることなどを読み取ることが出来る。図9の例示では2004年後半から2007年初めまで婦人科系の病気を患っており、サイクルラインの傾きからその期間は月経周期が変化していることが読み取れる。
<将来の月経開始日を予測する>
【0056】
次に、図4に示すように、サイクルライン(8)を中心とした両側に、月経開始日の印(7)のばらつきの大半を挟んで包含し、かつサイクルライン(8)に平行である第1および第2のライン(9a)(9b)を作成する。この第1および第2のライン(9a)(9b)は、サイクルライン(8)を対称軸として作成し、月経開始日のばらつきをサイクルライン(8)を中心とした変動幅(バンド)として捕らえたラインであって、この第1および第2のライン(9a)(9b)に挟まれた領域をサイクルバンドと呼んでいる。サイクルバンドは、サイクルライン(8)と同様にその傾きが月経周期を表しているだけでなく、サイクルバンドに挟まれた将来の日付欄の部分は、月経開始日となる可能性が極めて高い範囲であることを示している。したがって、近い将来の月経開始日を予測するときには、サイクルバンドに挟まれた範囲を月経開始予定日の範囲ととらえればよい。
【0057】
また、サイクルバンドを用いれば、必ずしも前回の月経開始日がわからなくても、次回の月経開始日の範囲を予測することが可能となるため、過去の月経についてのデータを記録し忘れた場合にも、便利である。
【0058】
なお、本実施例では、月経開始日の印(7)のばらつきの大半を挟んで包含するように第1および第2のライン(9a)(9b)を作成したが、サイクルライン(8)から所定日数を空けて、かつサイクルライン(8)に平行となるように作成してもよい。
<将来の月経とならない期間を予測する>
【0059】
さらに、過去の月経開始日をもとに作成したサイクルバンドを延長して描き、将来のサイクルバンドも描けば、将来の月経とならない期間を予測することも可能である。
【0060】
例えば、図6のサイクルバンドの下の第2のライン(9b)は月経開始予測範囲の最終日を表すため、その下にもし予測範囲の最終日から月経が始まったと仮定したときの月経終了日(例えば月経期間を5日とした場合)の第3のライン(12)を描く。
【0061】
すると、図7に示すように月経終了日の第3のライン(12)と将来のサイクルバンドの上の第1のライン(11a)に挟まれた領域の期間(13)は、月経とならない可能性の高い期間(月経無関係期間)であると考えることが出来る。したがって、利用者は、月経とならない可能性の高い期間(13)である日付欄を読み取り、海水浴や旅行、検診等の予定を立てることができ行動計画の助けとなる。
<将来の排卵日を予測する>
【0062】
さらに、サイクルバンドが描ければ、排卵日の予測も可能となる。排卵日は次回の月経開始日の所定日数前(例えば、オギノ式だと12〜16日前)であると言われている。本発明では、次回の月経開始日の予想がサイクルライン(8)で可能となるため、その月経開始日から所定日数前(例えば、12〜16日前)を排卵予測日として予想可能となる。
【実施例2】
【0063】
次に、シート状のチャートを利用する場合において、ユニット日数と同じ月経周期の場合、サイクルラインは真横に作成されることとなる。この場合、チャートの端に月経開始日がきた場合に、月経開始日のばらつきがチャートの上下に分断され、サイクルラインが作成しにくいという問題があり、この点を改善したチャートについて説明する。
【0064】
図12に記載する例においては、ユニット日数が28日型の本チャート(1)を表示しており、図1と同様の本チャート(1)であれば、本来2008年1月7日から2010年の1月3日までとなるが、本実施例では上下の追加の日付欄(6’)に3日分日にちを連続して追加記載している。このような工夫をすることで、本来は本チャート(1)の端を超えてサイクルバンドを記載することになる場合にも、図12に記載するように、月経開始日のばらつきの幅を本チャート(1)内の同一端部に収めることが可能となる。
【実施例3】
【0065】
次に、本システムをパソコンで利用する場合について図13〜図15及び図17に基づいて説明する。
【0066】
シート状のチャートと異なり、パソコンを用いて本発明を実施する場合には、チャートの作成の段階においてデータを入力する利用者に適したチャートを作成させることが可能となる点、サイクルライン作成、修正、サイクルバンド作成も機械的に演算により作成させることが可能となる点、排卵日予測の計算も自動的に行うことが可能となる点において便利である。
【0067】
また、色彩などの画面加工が幅広く可能となるため、基礎体温の表示を組み合わせて1画面の月経予測管理チャートに表示させることも可能となる。データが多年にわたり管理保存できる点も便利であり、通信回線を利用してこれらのデータを医療機関等とやり取りできる点も好ましい。
【0068】
自己の月経周期に関する体調管理を機器により行う場合、パソコン本体でプログラムの実行やデータの管理を行う方法と、インターネット上で運営される月経予測管理サービスのサイトを利用しデータのやりとりを行う方法が考えられる。ここでは利用者Bが、パソコン本体でプログラムの実行やデータの管理を行う方法により次回以降の月経開始日や排卵日の予測のために本システムを利用する場合について説明する。
【0069】
図13は本発明によるシステムを利用しているパソコン画面を表している。
【0070】
利用者Bは、過去の月経開始日を、画面上の「1)Period Start Date」(月経開始日)(22)の欄へ日付を入力するか、もしくは、チャート(26)上の日付欄をクリック操作することで該当の日付欄に囲み枠や網掛け処理等の印(27)がなされ、入力日付として月経開始日データが保存される。
【0071】
このような方法で利用者が入力した月経開始日の記録から、それらの月経開始日のばらつきを近似した回帰直線であるサイクルライン(8)を計算により作成させることが可能となる。計算方法の一例をあげると具体的には、日にち欄をx軸y軸の座標データとして保存し、月経開始日の複数の入力により、当該複数の日付の座標をそれぞれコンピュータ内で取り出し、最小2乗法により、y=ax+bで表されるサイクルラインの傾きaを求めることで月経周期が判明する。ユニット日数が28日型のチャートであれば、傾きaが0の場合は28日周期、傾きaが1の場合は27日周期となる。
【0072】
これによりサイクルライン(8)を作成した後は、自動計算によりサイクルバンドをチャート上に表示させる。サイクルバンドの算出方法は、例えば、月経開始日の点のばらつきの大半を挟んで包含するような第1および第2のライン(9a)(9b)を作成してサイクルバンドを算出してもよいし、あるいは月経開始日の上下にあらかじめ設定した日数を空けた第1および第2のライン(9a)(9b)を作成してサイクルバンドを算出してもよい。
【0073】
その後、このサイクルライン(8)あるいはサイクルバンドを利用して、次回以降の月経開始日予測、排卵日予測、あるいは月経無関係期間の推測を行えることは実施例1と同様である。
【0074】
なお、次回以降の月経開始の範囲(Next Period Start Date)ならびに次回排卵日の予測(Next Ovulation)を自動的に算出して、それら表示(28)(29)をチャート上に行ってもよく、また図示していないが、それらの文字による表示を欄外に行っても良い。
【0075】
また、利用者が基礎体温の記録も行いたい場合は、基礎体温(BBT)の入力欄(24)を用いて入力することもできる。利用者が入力した基礎体温は、一般に用いられる横方向に連続した日付、縦方向に温度のメモリを記載した折れ線グラフとして表示させることも可能であるが、以下の方法により本チャート上で基礎体温を表現することも可能である。
【0076】
図14に示すように、基礎体温として測定される温度の最低温度から最高温度までの範囲の値を等分し、等分された温度の各範囲に色分布の凡例(32)による色の種類を与える。この凡例の色に従い、入力された基礎体温の数値がどの色にあたるか判定を行い、基礎体温のカラー表示が指示された場合には、チャート上の基礎体温が入力された日付欄(31)を該当する色で着色する。
【0077】
このような方法により、基礎体温の高温部と低温部が比較的安定して測定される場合には、チャート上の色が高温部を表す色と低温部を表す色の各範囲が視覚的な色で表現される。低温部の色が最も低い温度を表す日にちの頃は排卵日の時期を表すことになり、一般的な折れ線グラフだけでなく、チャートのカラー表示を確認することで排卵日の時期を知ることも可能となる。排卵日も月経開始日に連動するために、一般に次回月経開始日のバンドをもとに、大まかに一定幅のバンドを形成して視覚的に捕捉可能である。本実施例では、色彩表示によって排卵日のサイクルバンドを伺い知ることが可能となる。
【0078】
これらの表示はパソコン内部のプログラムあるいはサーバ装置に置かれるプログラムをインターネットを介して使用しても良いことはもちろんである。プログラムをダウンロードしたり、記録媒体によりパソコン内に立ち上げて使用しても良い。
【0079】
プログラムによる表示では、自己の月経周期に応じて最適なユニット日数とするなどチャートそのものの構成を変えることが可能である。
また、表示画面の大きさに合わせてチャートの一部のみを表示させてもよく、必ずしもユニット日数の日数分をすべて表示させる必要はない。この場合、キーボード上の矢印キーやマウスによる操作により、チャートの画面をスクロール表示させることはもちろんである。
【0080】
また、月経開始日のばらつきの変化から、所定回数(例えば、2回)以上同じ側にサイクルバンドから外れるデータが発生した場合には、月経周期が変化した可能性があるため、サイクルバンド外の領域でのプロットについてカウントをおこない、所定回数目のカウントが発生した時点で直近の所定回数分(例えば、3回分)のデータをもとに、サイクルラインの再算出を行い、図15に示すように修正ライン(8a)を作成して修正する。
【0081】
図17は、本システムの機能を示すブロック図である。
【0082】
(100)は本システムの各部を統括的に制御する制御部、(200)は月経に関する日付等を入力するためのキーボードやマウスなどの入力部、(300)は各種画面表示を行う表示部、(400)は入力された月経に関する日付や算出された回帰直線などの各種データを適宜記憶する記憶部である。
【0083】
制御部(100)は、入力部(200)により入力された月経に関する日付に基づいて月経周期を算出する月経周期算出手段(101)と、該月経周期に基づいて本チャートを作成するチャート作成部(102)と、月経に関する日付に基づいて回帰直線であるサイクルラインを作成する回帰直線作成部(103)と、前記第1および第2のラインを作成する第1・第2ライン作成部(104)とを備える。
【0084】
また、制御部(100)は、前記サイクルライン(8)に基づいて次回以降の月経開始日を予測して、該次回以降の月経開始日から所定日数前の日付を次回以降の予測排卵日として算出する前記予測排卵日を算出する予測排卵日算出部(105)を備える。
【0085】
また、制御部(100)は、さらに前記第1および第3のラインの同じ側に外れた月経開始日データが所定回数以上入力されたかどうかを判定する判定部(106)と、所定回数以上入力されたと判定された場合、直近の所定回数分の月経開始日のデータに基づいて新たな回帰直線であるサイクルライン(8a)を作成する回帰直線作成部(103)を備える。
【0086】
そして、制御部(100)により、本チャート、回帰直線であるサイクルライン(8)、第1および第2のライン(9a)(9b)やそれからなるサイクルバンド、予測される次回以降の月経開始日や予測排卵日、新たなサイクルライン(8a)など、月経に関する日付を表示部(300)に表示せしめる。
【0087】
この制御部(100)は一般に中央演算処理装置(CPU)により構成され、各種演算や制御が行われるとともに、図示略のメモリに各種情報を記録したり、あるいは読み出したりして、上記の各機能を実行する。
【0088】
なお、本実施例では、制御部(100)における各部(101)〜(106)の機能を全て実現するものとしたが、これらの一部の機能のみを実現してもよく、その場合には必要な各部のみが制御部で実行されることになる。
【実施例4】
【0089】
携帯電話やPDA等の携帯情報端末を用いて本システムを利用する場合について図16に基づいて説明する。
【0090】
図16において、(34)はチャートが表示された画面、(35)は説明表示、(36)は予測された月経開始日、(37)は月経周期の表示である。
【0091】
携帯情報端末を用いて本発明の実施をする場合には、パソコンに比べて画面表示部分が少ないため、日付欄の表示において工夫が必要となる。
【0092】
図16は携帯電話を用いた月経予測管理サービスを運営するサイトにおいて本発明を利用した場合の携帯電話の画面(34)を表す。基本的には実施例3による説明と同様であるが、携帯電話の場合は、月経開始日の入力はチャート上の日付欄をクリックなどの直接的な操作をすることで行うのが好ましい。
【0093】
また、一度に表示できる範囲はチャートの一部となるが、実施例3と同様に画面をスクロールさせたり、チャートのユニット日数全体を含めた全体表示に切り替えたりすることができるなどの工夫を行うことが望ましい。
【0094】
また、シート状のチャートなどの例示に記載した縦軸横軸の罫線は無くして文字が見やすい表示としても良い。
【0095】
また、図16(b)に示すように、典型的なユニット日数が28日型のチャート以外にも利用者個人の月経周期をユニット日数としたチャートを作成表示できるようにすることで、限られた携帯画面においても、関連日にちが見やすく表示可能となる。このような表示方法については、利用者が選択可能としても良いのはもちろんのこと、随時表示の切り替えをできるようにしても良い。
【0096】
なお、本システムの機能を示すブロック図については基本的には実施例3に示すものと共通するため、その説明を省略する。
【実施例5】
【0097】
本実施例は、図9の多年の月経予測管理チャートを使用した場合について説明する。
【0098】
利用者Cは、およそ6年間に亘る過去の月経開始日の記録をもとに本発明の月経予測管理チャートに月経開始日の印の記録を行った。2004年後半から2007年初めの間に婦人科系の病気を患い、2006年後半からおよそ6ヶ月の間ホルモン療法により無月経期間とした。チャート上でサイクルライン(8)が途切れているのが無月経期間である。その後体調が回復したが、本発明の月経予測管理チャートによるサイクルライン(8)を確認すると、体調が良かった時期のサイクルライン(8)の傾きがおよそ27日周期であったのに対し、病気の症状が出始めてから完治するまでの間、サイクルライン(8)の傾きが変化し、およそ24日周期となっている。やがて体調が回復し、その後しばらくは月経開始日のばらつきが大きかったものの、2007年後半には元の体調が良かったころの傾きに戻っていることが視覚的に確認できる。
【0099】
このことから、毎回の月経周期のばらつきよりも、大きなサイクルで捉えたときの月経開始日のばらつきの程度がどのようであるか、サイクルライン(8)の傾きがどのように変化するかを把握することで、体調の変化を把握することに役立つといえる。
【0100】
したがって、多年にわたりサイクルライン(8)の傾きを視覚的に把握することは体調管理の診断方法の一つとなるものである。
【0101】
このような体調管理の面から見た効果から、婦人科診療の場面において、本チャート(1)に記された記録を患者が医者に見せることで、月経や体調に関する医師への説明が容易となり、医師も患者の本チャート(1)の記録を視覚的に確認することで、過去の月経開始日のばらつきの程度や月経周期を即座に確認することが可能となる。
【0102】
また、患者が情報端末であるパソコンや携帯電話等の媒体によって本発明の本チャート(1)を利用する場合には、本チャート(1)の画面を表示あるいは印刷して医師に見せることで医師への説明はよりわかりやすく、容易となり、体調のデータ管理も可能となるため、非常に好ましい。
【0103】
さらに、本チャート(1)の月経開始日や基礎体温等のデータを医師が利用するパソコン等で表示できるようにデータをコピーする、もしくは、データを送信することにより、医師が利用するパソコンの画面に患者の月経に関する記録を表示した本チャート(1)の画面を表示させることにより、医師と患者が同じデータを共有することが可能となり、不妊治療や在宅治療も可能とすることができる。
【0104】
また、学校教育等においても、本チャート(1)を生徒に与えて日ごろから体調を記録するという習慣を身に付けさせることで、自己の体調の変化を自分で発見できるとともに、常日ごろから健康に気を配る大切さを教えることができる。さらに、若年妊娠の予防や病気の早期発見などの社会的役割をも担えるものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、女性の月経周期及び月経に関わる体調の管理を視覚的に瞬時に把握することを可能としたもので、次回以降の月経開始日ならびに排卵日の予測が一定の幅をもって可能であること、また近い将来の月経とならない期間も容易に把握することが可能であること、さらに月経開始日を長い期間にわたり連続して記録することで個人の体調の変化を知ることができる可能性を持つ点から、産業上・医療上きわめて利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0106】
1・・・チャート
2・・・日付欄
3・・・年度の表示
4・・・月の表示
6・・・追加の日付欄
7・・・月経開始日の印
8、10・・・サイクルライン
9a、11a・・・第1のライン
9b、11b・・・第2のライン
12・・・第3のライン
【技術分野】
【0001】
本発明は、女性の月経開始日などの月経に関する日付を視覚的に予測して管理するための月経予測管理チャート、ならびにそれを用いた月経予測管理方法及び月経予測管理システムやプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
元来、女性の月経周期は、個人や体調、年齢等によりばらつきがあり、確定したものではない。 自己の周期を把握している人でも、一月の日数が通常でも28日〜31日の間で変わることや、月経周期が必ずしも毎回同じではないことによって、次回の月経開始日や排卵日等の予測が困難を極めている。
【0003】
しかし、月経期間をある程度把握したいという女性は月経開始日を記録し、自分のおよその月経周期を元に次回の月経開始日や排卵日等の予測を行おうと努力している。
【0004】
例えば、手帳に付属のマンスリーカレンダーに月経開始日、月経期間、さらには基礎体温などを記録することが行われている。
【0005】
また、最近では、パソコンや携帯電話等の情報端末装置の普及に伴って、インターネットの月経管理サイトを利用して、月経開始日や排卵日等を予測することが行われている。
【0006】
さらに、これら月経開始日や排卵日等を予測して管理する手段として、特許文献1〜特許文献6に示すものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−39052号公報
【特許文献2】実開昭61−65530号公報
【特許文献3】実用新案登録第3089564号公報
【特許文献4】実用新案登録第3117708号公報
【特許文献5】実用新案登録第3125776号公報
【特許文献6】特許第3355163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これらのいずれの手段も、月経に関する日付を予測する仕組みは前回の月経開始日と月経周期を用いて単純に足し算するだけであるため、それから得られる結果はおよそ月経周期をもとにした次回の予測日のみである。しかも特許文献1〜特許文献6に示す手段の多くは、いずれも構成が複雑であり、一般女性が使用するには汎用性が低いものであった。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、女性の月経に関する日付を視覚的に予測することができ、しかも簡易な構成にして一般の女性が簡単に使用することができる月経予測管理チャート、月経予測管理方法及び月経予測管理システムおよびプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、女性の月経に関する日付を予測して管理するための月経予測管理チャートであって、縦横方向に日付欄が連続して表示され、縦横いずれかの一方向に月経周期分の日付欄が連続して表示され、続く列または行に連続して繰り返して同数分の日付欄が複数列または複数行にわたり表示され、各日付欄に過去の月経に関する日付の印を記載可能とし、該月経に関する日付の印に基づいて回帰直線を作成可能としたことを特徴とする。
【0011】
なお、月経に関する日付とは、月経開始日、月経開始日の前後の日付、あるいは排卵日をいう。また、月経期間は、正常周期であれば25〜38日であり、その他の期間もある。また、回帰直線の作成に際しては現実的に作成することはもとより、利用者の頭の中で仮想的に作成することも含まれる。
【0012】
これによれば、例えば本チャートの各日付欄に過去の月経開始日の印を記載し、該月経開始日の印に基づいて回帰直線を現実的または仮想的に記載すれば、回帰直線と日付欄の交差する付近が月経開始日に対応するため、次回以降の各月経開始日を視覚的に予測することができる。また、回帰直線の傾きは月経周期により異なることから、記載した回帰直線の傾きを見れば月経周期を容易に把握することができる。さらに、月経開始日のばらつきや回帰直線の傾きの変化を観察することにより、体調の変化も視覚的にとらえることができる。さらにまた、本チャートは月経周期分の日付欄が連続して表示されているだけと簡易な構成であるため、一般の女性も簡単に使用することができ、製造コストも低く抑えることができる。
【0013】
また、縦方向に日付欄が表示された請求項1記載の月経予測管理チャートの最下行及び/又は最上行、もしくは横方向に日付欄が表示された請求項1記載の月経予測管理チャートの最右列及び/又は最左列に、所定日数の追加の日付欄が表示され、該追加の日付欄の日付と元の日付欄の日付とが連続するのが好ましい。
【0014】
これによれば、例えば、縦方向に日付欄が表示された請求項1記載の月経予測管理チャートの最下行に追加の日付欄が表示されている場合、回帰直線が本チャートの最上行に到達した場合、追加の日付欄において当該最上行の日付欄に対応する日付欄を見つけ、さらに当該日付欄から再び同じ傾きの回帰直線を引くことにより、それ以降の月経に関する日付を視覚的に予測することができる。また、本来は本チャートの端を超えて後述のサイクルバンドを記載することになる場合にも、月経開始日のばらつきの幅を本チャート内の同一端部に収めることが可能となる
【0015】
また、典型的な数種の月経周期に関する回帰直線があらかじめ表示されているのが好ましい。これによれば利用者が本チャートに記載した回帰直線と、本チャートにあらかじめ表示されている回帰直線を見比べて、最も近い傾きであるあらかじめの回帰直線を選択し、そのあらかじめの回帰直線の月経周期を確認すれば、自己の月経周期を容易に把握することができる。
【0016】
また、本発明に係る月経予測管理方法は、縦横方向に日付欄が連続して表示され、縦横いずれかの一方向に月経周期分の日付欄が連続して表示され、続く列または行に連続して繰り返して同数分の日付欄が複数列または複数行にわたり表示された月経予測管理チャートを用いて、女性の月経に関する日付を予測して管理するための月経予測管理方法であって、前記月経予測管理チャートの日付欄に過去の月経に関する日付の印を記載するステップと、該月経に関する日付の印に基づいて回帰直線をチャート上に作成するステップと、該回帰直線に基づいて次回以降の月経に関する日付を予測するステップとを備えることを特徴とする。
【0017】
また、前記回帰直線の両側に、所定日数の日付欄を空け、かつ回帰直線に平行である第1および第2のラインをチャート上に作成するステップと、第1および第2のラインに挟まれた領域に基づいて次回以降の月経に関する日付を予測するステップとを備えるのが好ましい。これによれば第1および第2のラインに挟まれた領域に基づいて、次回以降の月経に関する日付を範囲的に予測することができる。
【0018】
また、前記第1および第2のラインのうち下側の第2のラインの下方にさらに平均的な月経期間を空けて第3のラインをチャート上に作成するステップと、前記第1のラインと第3のラインに挟まれた領域以外の領域を月経無関係期間として予測するステップとを備えるのが好ましい。これによれば前記第1のラインと第3のラインに挟まれた領域以外の領域を月経無関係期間として予測することができ、旅行や健康診断などを決定するときに便利である。
【0019】
また、前記回帰直線に基づいて次回以降の月経開始日を予測した上で、該次回以降の月経開始日から所定日数前の日付を次回以降の排卵日と予測するステップを備えるのが好ましい。なお、この所定日数とは、好ましくはオギノ式による12〜16日の範囲である。これによれば次回以降の排卵日を予測することができる。
【0020】
また、日々の基礎体温を前記チャート上の対応する日付欄に体温ごとに色分けしながら表示するステップを備えるのが好ましい。これによれば回帰直線による月経に関する日付の予測と相俟って、月経に関する日付の予測の精度を向上させることができる。
【0021】
また、前記月経予測管理チャートの日付欄に過去の月経に関する日の印を記載したとき、該月経に関する日の印が前記第1のラインまたは第2のラインのいずれかの同じ側のラインを所定回数以上外れた場合、直近の所定回数分の月経に関する日の印に基づいて新たな回帰直線をチャート上に作成するステップを備えるのが好ましい。これによれば前記第1および第2のラインの同じ側に月経開始日が所定回数以上外れた場合、何らかの原因で月経周期が変わった可能性が高くなり、新たな回帰直線により月経に関する日付を新たに予測することができる。
【0022】
また、本発明に係る月経予測管理システムは、女性の月経に関する情報を予測して管理するための月経予測管理システムであって、月経に関する日付を入力するための入力手段と、該月経に関する日付に基づいて月経周期を算出する算出手段と、該月経周期に基づいて、縦横方向に日付欄が連続して表示され、縦横いずれかの一方向に月経周期分の日付欄が連続して表示され、続く列または行に連続して繰り返して同数分の日付欄が複数列または複数行にわたり表示されたチャートを作成するチャート作成手段と、前記入力手段により入力された月経に関する日付に基づいて回帰直線を作成する回帰直線作成手段と、該回帰直線を前記チャート上に表示する表示手段とを備えることを特徴とする。これによれば本発明に係る月経予測管理チャートをパソコンや携帯情報端末などのコンピュータ上で実現することができる。
【0023】
また、本発明に係るプログラムは、月経に関する日付を入力するための入力手段、該月経に関する日付に基づいて月経周期を算出する算出手段、該月経周期に基づいて、縦横方向に日付欄が連続して表示され、縦横いずれかの一方向に月経周期分の日付欄が連続して表示され、続く列または行に連続して繰り返して同数分の日付欄が複数列または複数行にわたり表示されたチャートを作成するチャート作成手段、前記入力手段により入力された月経に関する日付に基づいて回帰直線を作成する回帰直線作成手段、該回帰直線を前記チャート上に表示する表示手段として機能させる。これによればプログラムをコンピュータにインストールすることにより、自己のパソコンや携帯情報端末において上記月経予測管理システムを簡単かつ確実に実現することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、例えば本チャートの各日付欄に過去の月経開始日の印を記載し、該月経開始日の印に基づいて回帰直線を現実的または仮想的に記載すれば、回帰直線と日付欄の交差する付近が月経開始日に対応するため、次回以降の各月経開始日を視覚的に予測することができる。
【0025】
また、回帰直線の傾きは月経周期により異なることから、記載した回帰直線の傾きを見れば月経周期を容易に把握することができる。
【0026】
さらに、月経開始日のばらつきや回帰直線の傾きの変化を観察することにより、体調の変化も視覚的にとらえることができる。
【0027】
さらにまた、本チャートは月経周期分の日付欄が連続して表示されているだけと簡易な構成であるため、一般の女性も簡単に使用することができ、製造コストも低く抑えることができる。
【0028】
このため一般女性のような個人が妊娠計画として活用したり、生理用品の準備に活用したり、あるいは自己の体調管理に活用したりすることが可能となる。また、個人の活用のみならず、婦人科医療の現場において医者と患者のコミュニケーションツールとして、さらに女子の保健教育の現場での教育ツールなどとしても活用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る月経予測管理チャートを示す図である。
【図2】月経開始日の印を付けた図である。
【図3】図2に月経開始日のサイクルラインを作成した図である。
【図4】図3に第1のラインと第2のラインを作成した図である。
【図5】図4に新たなサイクルラインを作成した図である。
【図6】図5に第3のラインを作成した図である。
【図7】図6をもとに月経とならない期間を予測した図である。
【図8】30日型周期の人の月経予測管理チャートを示す図である。
【図9】多年にわたり月経予測管理チャートに開始日の記録及びサイクルラインを記載した図である。
【図10】あらかじめサイクルモデルラインを表示した月経予測管理チャートを示す図である。
【図11】図10にサイクルラインを作成した図である。
【図12】追加欄を3日上下に設けた28日型周期の人の月経予測管理チャートを示す図である。
【図13】月経予測管理システムをパソコンにより実行した場合の画面を示す図である。
【図14】図13の月経予測管理チャートに基礎体温によりカラー表示をした図である。
【図15】サイクルラインの傾きを修正した図である。
【図16】月経予測管理システムを携帯電話で実行した場合の画面を示す図である。
【図17】月経予測管理システムの機能を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明における実施形態の概要について説明する。
【0031】
本発明は、縦横方向に日付欄が連続して表示され、縦横いずれかの一方向に月経周期分の日付欄が連続して表示され、続く列または行に連続して繰り返して同数分の日付欄が複数列または複数行にわたり表示された月経予測管理チャート、ならびにそれを利用した月経予測管理方法および月経予測管理システムやプログラムに関するものである(図1〜図17)。
【0032】
本チャートの提供方法はシート状あるいはプログラムでの提供が可能である。シート状のチャートにあっては、単体のシートを手帳やノート、財布、鞄等にはさみこんで使用することが可能であり、これをノートや家計簿、健康手帳などに組み込んで使用しても良い。
【0033】
また、プログラムでの提供の場合には、パソコンや携帯電話などの情報端末で使用可能となり、入力データをもとに、最適なチャートを作成することが可能となり、後述するサイクルラインやサイクルバンドも自動計算により表示させることが可能となるため、操作性が格段に良くなる。
【0034】
シート状のチャートの掲載年月は過去の月経開始日の印を付けることにより自己の月経周期サイクルを視覚的に認知しやすいよう見開きの2年間とすることが望ましいが、これに限ることはなく、年単位で使用される手帳に合わせて1年間分の日にちを記載する方法でも良いし、図9に示すように、3年以上の記録を可能としても良い。情報端末を用いる場合にはデータの保存が可能であるため、長年にわたっての記録表示が可能となる。
【0035】
本チャートは、原則として縦横方向に日付欄を連続的に並べたものを用いる。この場合、縦方向に日付欄を連続で記載しても良いし、横方向に記載しても良い。以下の実施例では、便宜上、縦方向に日付欄を連続させた場合について説明している。
【0036】
本チャートの一行あるいは一列に記載する日付欄の日数(以下、ユニット日数という)については、シート状にあっては、一般に最も多い月経周期である28日を基本として作成しているがこれに限ることはなく、個人の月経周期に合わせたユニット日数のチャートを用いても良い。一般には月経周期として考えられるだいたい21日から45日の間の日数程度であることが好ましい。
【0037】
また、本チャートで月経周期の傾向を視覚的にわかりやすく認知するためには、今回の月経開始日が描かれる列に対して、次回の月経開始日が次の列に現れることで、毎月のそれらを連続して眺めた場合、月経開始日の印がグラフのラインのように見えることが本発明の特徴である。このラインに基づいて回帰直線を作成可能としているが、この回帰直線は最小2乗法等による正確なものはもとより、傾向が捉える程度のおおよそのものであってもよい。
【0038】
なお、ユニット日数が決定した場合に、どのようにチャートを記載するかについて、本発明では以下のような工夫を行っている。
【0039】
月経開始日がチャートの端の日付欄に該当するときには、ばらつき幅が上下あるいは左右に分断するなど捕捉しにくくなるため、あらかじめシート状の場合には、上下あるいは左右に所定日数(例えば、1〜3日)の連続する追加の日付欄を欄外に記載しておくと(図12)、実施例2で示すように、自分の該当する日付欄に印をつけた場合に、チャートの端に来たら、追加の日付欄を利用するといったことが可能となる。また、パソコン等で利用するプログラムにおいては、過去の月経開始日が入力された時点でそれらの日付が中心位置となるようなチャート作成が可能であるため、余分な追加の日付欄はなくてもよい。
【0040】
本発明において、情報端末とは、パソコン(パーソナルコンピュータ)、携帯電話、PDAなどあらゆる情報端末を含む。
【実施例】
【0041】
以下、実施例1・2はシート状チャート及びその使用方法について説明し、実施例3はパソコンでの使用方法、実施例4は携帯電話やPDAなどの携帯情報端末での利用について説明し、最後に実施例5では多年にわたり記録する場合について説明する。
【実施例1】
【0042】
本発明の第1実施例について、図1〜図12を利用して使用方法を含め説明する。
【0043】
図1の(1)は月経予測管理チャートであり、28日分の日付欄を縦軸の上から下に向けて振っており、下まで到達するとその右横の縦軸に連続した日付欄を振ってチャートを構成している。図1の例では左右の見開き状態のシートで2年分の日付欄を表示している。
【0044】
また、横軸には西暦による年度の表示(3)と月の表示(4)を付し、月初めの1日に月表示も加え、例えば4月1日であれば4/1(4’)と表示することで、月経開始日の印を付ける日付欄を間違えることを防止している。日付欄を月ごとに異なる色合いとしたり、一般カレンダーに見られるように土曜日と日曜日にあたる日付欄を平日とは異なる色で着色したりすることも日付欄の記載間違いの防止に効果的である。
【0045】
また、図10に示すように、本チャート(1)の側方一端部に手帳やファイルに止めるためのパンチ孔(16)を設けてもよい。このとき最上部および最下部のパンチ孔(16)を長円状に形成すれば本チャート(1)を種々の手帳やファイルに止めることができ汎用性が高くなる。
【0046】
なお、図9に示すように、連続した用紙に多年にわたりチャートを表示できるようにすることも可能である。
【0047】
以下、本チャートの使用方法について説明する。
<月経周期を把握する方法>
【0048】
利用者Aは月経開始日が一定ではなく、自分の月経が何日周期であるのか判断できないでいた。また、まれに月経開始日の記録を忘れるため、前回の月経開始日の記録を忘れると、次回の月経開始日の予測ができない状態であった。さらに、月経周期が全く一定でないと感じていたことから、近い将来にプールや温泉旅行に行く、もしくは尿検査等のある人間ドックや健康診断の予約をするといった、可能な限り月経期間を避けることが望ましい行動の予定を立てる場合に、いつ頃なら月経期間とならないか推測することは極めて困難であった。
【0049】
このような場合、図2に示すように、まず本チャート(1)を利用して過去の何回分かの月経開始日の印(7)を付ける。すると、図2に示すように月経開始日の印(7)がある程度のばらつきはあるものの、一定の傾きを持つラインを示していることがわかる。
【0050】
したがって、図3に示すように、これら月経開始日の印(7)をもとに月経開始日の印(7)のほぼ中央を貫く回帰直線を作成することができる。この回帰直線をサイクルライン(8)と呼んでいる。サイクルライン(8)は連続した過去の月経開始日の記録が多いほど、より正確な近似ラインとして得ることができるが、3回分程度の月経開始日であってもサイクルライン(8)を作成することは可能である。その後月経開始日の記録を続けることで、より正確な回帰直線となるようにラインの補正を行うことも可能である。
【0051】
また、サイクルライン(8)がチャートの最上行に達した場合には、図5で示すように、サイクルライン(8)の端にあたる日付欄と連続する次の日付欄を最下行に見つけ、その日付欄から改めて先のサイクルラインに平行となる2本目のサイクルライン(10)を作成するようにする。このとき、図1のようにあらかじめ月経予測管理チャートに追加の日付欄(6)を設けて、チャートの最上行の日付欄と同一の日を追加の日付欄(6)にも記載しておくことも可能である。このようにすると、図5のように、サイクルライン(8)の端にあたる日付欄をチャートの最下行に見つけ易く、2本目のサイクルライン(10)を作成するのが容易となる。
【0052】
サイクルライン(8)(10)の傾きは月経周期を表している。ユニット日数を28日として縦方向に日付欄を配した月経予測管理チャートの場合、28日より少ない日数を月経周期とする場合は右肩上がりのライン(図7参照)に、28日より多い日数を月経周期とする場合は右肩下がり(図8参照)のラインになる。
【0053】
このサイクルライン(8)(10)の傾きから何日型の月経周期であるかを視覚的に容易に把握する方法として、図10のようにあらかじめ月経予測管理チャートにサイクルモデルライン(17)を記載し、各サイクルモデルライン(17)に対応する月経周期(18)を記載しておくことも可能である。サイクルモデルライン(17)を記載しておけば、利用者Aが描いたサイクルラインの傾きとサイクルモデルライン(17)の傾きとを見比べて、最も近い傾きであるサイクルモデルライン(17)を選択し、そのサイクルモデルライン(17)が何日型の線であるかを確認すれば、自分の月経周期を把握することができる。図11に示す例示の場合にはサイクルライン(8)と上方左から4番目の欄外に「27」という記載があるサイクルモデルライン(17’)の傾きがほぼ同じであるため、27日型であることがわかる。
【0054】
ただし、サイクルラインは同一個人であっても将来にわたって必ず同じ傾きであるとは限らず、体調等の理由により月経周期の傾きが変わる可能性も考えられる。このように月経周期の傾きが変わるようであれば必要に応じてサイクルラインの傾きの補正をすることも可能である。例えば、月経に関する日の印が前記第1のライン(9a)または第2のライン(9b)のいずれかの同じ側のラインを所定回数(例えば、2回)以上外れた場合、直近の所定回数分(例えば、3回分)の月経に関する日の印に基づいて新たな回帰直線をチャート上に作成する。
【0055】
本チャート(1)を用いて体調を記録することで体調管理にも役立つ。図9に示すように、多年にわたり月経開始日を本チャートに記録した例を見れば、月経開始日がある一定のライン上にあり、多年にわたり連続したサイクルライン(8)を視覚的に確認出来ること、サイクルライン(8)はほぼ同じ傾きであるが、体調の変化により傾きが変化していることなどを読み取ることが出来る。図9の例示では2004年後半から2007年初めまで婦人科系の病気を患っており、サイクルラインの傾きからその期間は月経周期が変化していることが読み取れる。
<将来の月経開始日を予測する>
【0056】
次に、図4に示すように、サイクルライン(8)を中心とした両側に、月経開始日の印(7)のばらつきの大半を挟んで包含し、かつサイクルライン(8)に平行である第1および第2のライン(9a)(9b)を作成する。この第1および第2のライン(9a)(9b)は、サイクルライン(8)を対称軸として作成し、月経開始日のばらつきをサイクルライン(8)を中心とした変動幅(バンド)として捕らえたラインであって、この第1および第2のライン(9a)(9b)に挟まれた領域をサイクルバンドと呼んでいる。サイクルバンドは、サイクルライン(8)と同様にその傾きが月経周期を表しているだけでなく、サイクルバンドに挟まれた将来の日付欄の部分は、月経開始日となる可能性が極めて高い範囲であることを示している。したがって、近い将来の月経開始日を予測するときには、サイクルバンドに挟まれた範囲を月経開始予定日の範囲ととらえればよい。
【0057】
また、サイクルバンドを用いれば、必ずしも前回の月経開始日がわからなくても、次回の月経開始日の範囲を予測することが可能となるため、過去の月経についてのデータを記録し忘れた場合にも、便利である。
【0058】
なお、本実施例では、月経開始日の印(7)のばらつきの大半を挟んで包含するように第1および第2のライン(9a)(9b)を作成したが、サイクルライン(8)から所定日数を空けて、かつサイクルライン(8)に平行となるように作成してもよい。
<将来の月経とならない期間を予測する>
【0059】
さらに、過去の月経開始日をもとに作成したサイクルバンドを延長して描き、将来のサイクルバンドも描けば、将来の月経とならない期間を予測することも可能である。
【0060】
例えば、図6のサイクルバンドの下の第2のライン(9b)は月経開始予測範囲の最終日を表すため、その下にもし予測範囲の最終日から月経が始まったと仮定したときの月経終了日(例えば月経期間を5日とした場合)の第3のライン(12)を描く。
【0061】
すると、図7に示すように月経終了日の第3のライン(12)と将来のサイクルバンドの上の第1のライン(11a)に挟まれた領域の期間(13)は、月経とならない可能性の高い期間(月経無関係期間)であると考えることが出来る。したがって、利用者は、月経とならない可能性の高い期間(13)である日付欄を読み取り、海水浴や旅行、検診等の予定を立てることができ行動計画の助けとなる。
<将来の排卵日を予測する>
【0062】
さらに、サイクルバンドが描ければ、排卵日の予測も可能となる。排卵日は次回の月経開始日の所定日数前(例えば、オギノ式だと12〜16日前)であると言われている。本発明では、次回の月経開始日の予想がサイクルライン(8)で可能となるため、その月経開始日から所定日数前(例えば、12〜16日前)を排卵予測日として予想可能となる。
【実施例2】
【0063】
次に、シート状のチャートを利用する場合において、ユニット日数と同じ月経周期の場合、サイクルラインは真横に作成されることとなる。この場合、チャートの端に月経開始日がきた場合に、月経開始日のばらつきがチャートの上下に分断され、サイクルラインが作成しにくいという問題があり、この点を改善したチャートについて説明する。
【0064】
図12に記載する例においては、ユニット日数が28日型の本チャート(1)を表示しており、図1と同様の本チャート(1)であれば、本来2008年1月7日から2010年の1月3日までとなるが、本実施例では上下の追加の日付欄(6’)に3日分日にちを連続して追加記載している。このような工夫をすることで、本来は本チャート(1)の端を超えてサイクルバンドを記載することになる場合にも、図12に記載するように、月経開始日のばらつきの幅を本チャート(1)内の同一端部に収めることが可能となる。
【実施例3】
【0065】
次に、本システムをパソコンで利用する場合について図13〜図15及び図17に基づいて説明する。
【0066】
シート状のチャートと異なり、パソコンを用いて本発明を実施する場合には、チャートの作成の段階においてデータを入力する利用者に適したチャートを作成させることが可能となる点、サイクルライン作成、修正、サイクルバンド作成も機械的に演算により作成させることが可能となる点、排卵日予測の計算も自動的に行うことが可能となる点において便利である。
【0067】
また、色彩などの画面加工が幅広く可能となるため、基礎体温の表示を組み合わせて1画面の月経予測管理チャートに表示させることも可能となる。データが多年にわたり管理保存できる点も便利であり、通信回線を利用してこれらのデータを医療機関等とやり取りできる点も好ましい。
【0068】
自己の月経周期に関する体調管理を機器により行う場合、パソコン本体でプログラムの実行やデータの管理を行う方法と、インターネット上で運営される月経予測管理サービスのサイトを利用しデータのやりとりを行う方法が考えられる。ここでは利用者Bが、パソコン本体でプログラムの実行やデータの管理を行う方法により次回以降の月経開始日や排卵日の予測のために本システムを利用する場合について説明する。
【0069】
図13は本発明によるシステムを利用しているパソコン画面を表している。
【0070】
利用者Bは、過去の月経開始日を、画面上の「1)Period Start Date」(月経開始日)(22)の欄へ日付を入力するか、もしくは、チャート(26)上の日付欄をクリック操作することで該当の日付欄に囲み枠や網掛け処理等の印(27)がなされ、入力日付として月経開始日データが保存される。
【0071】
このような方法で利用者が入力した月経開始日の記録から、それらの月経開始日のばらつきを近似した回帰直線であるサイクルライン(8)を計算により作成させることが可能となる。計算方法の一例をあげると具体的には、日にち欄をx軸y軸の座標データとして保存し、月経開始日の複数の入力により、当該複数の日付の座標をそれぞれコンピュータ内で取り出し、最小2乗法により、y=ax+bで表されるサイクルラインの傾きaを求めることで月経周期が判明する。ユニット日数が28日型のチャートであれば、傾きaが0の場合は28日周期、傾きaが1の場合は27日周期となる。
【0072】
これによりサイクルライン(8)を作成した後は、自動計算によりサイクルバンドをチャート上に表示させる。サイクルバンドの算出方法は、例えば、月経開始日の点のばらつきの大半を挟んで包含するような第1および第2のライン(9a)(9b)を作成してサイクルバンドを算出してもよいし、あるいは月経開始日の上下にあらかじめ設定した日数を空けた第1および第2のライン(9a)(9b)を作成してサイクルバンドを算出してもよい。
【0073】
その後、このサイクルライン(8)あるいはサイクルバンドを利用して、次回以降の月経開始日予測、排卵日予測、あるいは月経無関係期間の推測を行えることは実施例1と同様である。
【0074】
なお、次回以降の月経開始の範囲(Next Period Start Date)ならびに次回排卵日の予測(Next Ovulation)を自動的に算出して、それら表示(28)(29)をチャート上に行ってもよく、また図示していないが、それらの文字による表示を欄外に行っても良い。
【0075】
また、利用者が基礎体温の記録も行いたい場合は、基礎体温(BBT)の入力欄(24)を用いて入力することもできる。利用者が入力した基礎体温は、一般に用いられる横方向に連続した日付、縦方向に温度のメモリを記載した折れ線グラフとして表示させることも可能であるが、以下の方法により本チャート上で基礎体温を表現することも可能である。
【0076】
図14に示すように、基礎体温として測定される温度の最低温度から最高温度までの範囲の値を等分し、等分された温度の各範囲に色分布の凡例(32)による色の種類を与える。この凡例の色に従い、入力された基礎体温の数値がどの色にあたるか判定を行い、基礎体温のカラー表示が指示された場合には、チャート上の基礎体温が入力された日付欄(31)を該当する色で着色する。
【0077】
このような方法により、基礎体温の高温部と低温部が比較的安定して測定される場合には、チャート上の色が高温部を表す色と低温部を表す色の各範囲が視覚的な色で表現される。低温部の色が最も低い温度を表す日にちの頃は排卵日の時期を表すことになり、一般的な折れ線グラフだけでなく、チャートのカラー表示を確認することで排卵日の時期を知ることも可能となる。排卵日も月経開始日に連動するために、一般に次回月経開始日のバンドをもとに、大まかに一定幅のバンドを形成して視覚的に捕捉可能である。本実施例では、色彩表示によって排卵日のサイクルバンドを伺い知ることが可能となる。
【0078】
これらの表示はパソコン内部のプログラムあるいはサーバ装置に置かれるプログラムをインターネットを介して使用しても良いことはもちろんである。プログラムをダウンロードしたり、記録媒体によりパソコン内に立ち上げて使用しても良い。
【0079】
プログラムによる表示では、自己の月経周期に応じて最適なユニット日数とするなどチャートそのものの構成を変えることが可能である。
また、表示画面の大きさに合わせてチャートの一部のみを表示させてもよく、必ずしもユニット日数の日数分をすべて表示させる必要はない。この場合、キーボード上の矢印キーやマウスによる操作により、チャートの画面をスクロール表示させることはもちろんである。
【0080】
また、月経開始日のばらつきの変化から、所定回数(例えば、2回)以上同じ側にサイクルバンドから外れるデータが発生した場合には、月経周期が変化した可能性があるため、サイクルバンド外の領域でのプロットについてカウントをおこない、所定回数目のカウントが発生した時点で直近の所定回数分(例えば、3回分)のデータをもとに、サイクルラインの再算出を行い、図15に示すように修正ライン(8a)を作成して修正する。
【0081】
図17は、本システムの機能を示すブロック図である。
【0082】
(100)は本システムの各部を統括的に制御する制御部、(200)は月経に関する日付等を入力するためのキーボードやマウスなどの入力部、(300)は各種画面表示を行う表示部、(400)は入力された月経に関する日付や算出された回帰直線などの各種データを適宜記憶する記憶部である。
【0083】
制御部(100)は、入力部(200)により入力された月経に関する日付に基づいて月経周期を算出する月経周期算出手段(101)と、該月経周期に基づいて本チャートを作成するチャート作成部(102)と、月経に関する日付に基づいて回帰直線であるサイクルラインを作成する回帰直線作成部(103)と、前記第1および第2のラインを作成する第1・第2ライン作成部(104)とを備える。
【0084】
また、制御部(100)は、前記サイクルライン(8)に基づいて次回以降の月経開始日を予測して、該次回以降の月経開始日から所定日数前の日付を次回以降の予測排卵日として算出する前記予測排卵日を算出する予測排卵日算出部(105)を備える。
【0085】
また、制御部(100)は、さらに前記第1および第3のラインの同じ側に外れた月経開始日データが所定回数以上入力されたかどうかを判定する判定部(106)と、所定回数以上入力されたと判定された場合、直近の所定回数分の月経開始日のデータに基づいて新たな回帰直線であるサイクルライン(8a)を作成する回帰直線作成部(103)を備える。
【0086】
そして、制御部(100)により、本チャート、回帰直線であるサイクルライン(8)、第1および第2のライン(9a)(9b)やそれからなるサイクルバンド、予測される次回以降の月経開始日や予測排卵日、新たなサイクルライン(8a)など、月経に関する日付を表示部(300)に表示せしめる。
【0087】
この制御部(100)は一般に中央演算処理装置(CPU)により構成され、各種演算や制御が行われるとともに、図示略のメモリに各種情報を記録したり、あるいは読み出したりして、上記の各機能を実行する。
【0088】
なお、本実施例では、制御部(100)における各部(101)〜(106)の機能を全て実現するものとしたが、これらの一部の機能のみを実現してもよく、その場合には必要な各部のみが制御部で実行されることになる。
【実施例4】
【0089】
携帯電話やPDA等の携帯情報端末を用いて本システムを利用する場合について図16に基づいて説明する。
【0090】
図16において、(34)はチャートが表示された画面、(35)は説明表示、(36)は予測された月経開始日、(37)は月経周期の表示である。
【0091】
携帯情報端末を用いて本発明の実施をする場合には、パソコンに比べて画面表示部分が少ないため、日付欄の表示において工夫が必要となる。
【0092】
図16は携帯電話を用いた月経予測管理サービスを運営するサイトにおいて本発明を利用した場合の携帯電話の画面(34)を表す。基本的には実施例3による説明と同様であるが、携帯電話の場合は、月経開始日の入力はチャート上の日付欄をクリックなどの直接的な操作をすることで行うのが好ましい。
【0093】
また、一度に表示できる範囲はチャートの一部となるが、実施例3と同様に画面をスクロールさせたり、チャートのユニット日数全体を含めた全体表示に切り替えたりすることができるなどの工夫を行うことが望ましい。
【0094】
また、シート状のチャートなどの例示に記載した縦軸横軸の罫線は無くして文字が見やすい表示としても良い。
【0095】
また、図16(b)に示すように、典型的なユニット日数が28日型のチャート以外にも利用者個人の月経周期をユニット日数としたチャートを作成表示できるようにすることで、限られた携帯画面においても、関連日にちが見やすく表示可能となる。このような表示方法については、利用者が選択可能としても良いのはもちろんのこと、随時表示の切り替えをできるようにしても良い。
【0096】
なお、本システムの機能を示すブロック図については基本的には実施例3に示すものと共通するため、その説明を省略する。
【実施例5】
【0097】
本実施例は、図9の多年の月経予測管理チャートを使用した場合について説明する。
【0098】
利用者Cは、およそ6年間に亘る過去の月経開始日の記録をもとに本発明の月経予測管理チャートに月経開始日の印の記録を行った。2004年後半から2007年初めの間に婦人科系の病気を患い、2006年後半からおよそ6ヶ月の間ホルモン療法により無月経期間とした。チャート上でサイクルライン(8)が途切れているのが無月経期間である。その後体調が回復したが、本発明の月経予測管理チャートによるサイクルライン(8)を確認すると、体調が良かった時期のサイクルライン(8)の傾きがおよそ27日周期であったのに対し、病気の症状が出始めてから完治するまでの間、サイクルライン(8)の傾きが変化し、およそ24日周期となっている。やがて体調が回復し、その後しばらくは月経開始日のばらつきが大きかったものの、2007年後半には元の体調が良かったころの傾きに戻っていることが視覚的に確認できる。
【0099】
このことから、毎回の月経周期のばらつきよりも、大きなサイクルで捉えたときの月経開始日のばらつきの程度がどのようであるか、サイクルライン(8)の傾きがどのように変化するかを把握することで、体調の変化を把握することに役立つといえる。
【0100】
したがって、多年にわたりサイクルライン(8)の傾きを視覚的に把握することは体調管理の診断方法の一つとなるものである。
【0101】
このような体調管理の面から見た効果から、婦人科診療の場面において、本チャート(1)に記された記録を患者が医者に見せることで、月経や体調に関する医師への説明が容易となり、医師も患者の本チャート(1)の記録を視覚的に確認することで、過去の月経開始日のばらつきの程度や月経周期を即座に確認することが可能となる。
【0102】
また、患者が情報端末であるパソコンや携帯電話等の媒体によって本発明の本チャート(1)を利用する場合には、本チャート(1)の画面を表示あるいは印刷して医師に見せることで医師への説明はよりわかりやすく、容易となり、体調のデータ管理も可能となるため、非常に好ましい。
【0103】
さらに、本チャート(1)の月経開始日や基礎体温等のデータを医師が利用するパソコン等で表示できるようにデータをコピーする、もしくは、データを送信することにより、医師が利用するパソコンの画面に患者の月経に関する記録を表示した本チャート(1)の画面を表示させることにより、医師と患者が同じデータを共有することが可能となり、不妊治療や在宅治療も可能とすることができる。
【0104】
また、学校教育等においても、本チャート(1)を生徒に与えて日ごろから体調を記録するという習慣を身に付けさせることで、自己の体調の変化を自分で発見できるとともに、常日ごろから健康に気を配る大切さを教えることができる。さらに、若年妊娠の予防や病気の早期発見などの社会的役割をも担えるものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、女性の月経周期及び月経に関わる体調の管理を視覚的に瞬時に把握することを可能としたもので、次回以降の月経開始日ならびに排卵日の予測が一定の幅をもって可能であること、また近い将来の月経とならない期間も容易に把握することが可能であること、さらに月経開始日を長い期間にわたり連続して記録することで個人の体調の変化を知ることができる可能性を持つ点から、産業上・医療上きわめて利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0106】
1・・・チャート
2・・・日付欄
3・・・年度の表示
4・・・月の表示
6・・・追加の日付欄
7・・・月経開始日の印
8、10・・・サイクルライン
9a、11a・・・第1のライン
9b、11b・・・第2のライン
12・・・第3のライン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
女性の月経に関する日付を予測して管理するための月経予測管理チャートであって、
縦横方向に日付欄が連続して表示され、縦横いずれかの一方向に月経周期分の日付欄が連続して表示され、続く列または行に連続して繰り返して同数分の日付欄が複数列または複数行にわたり表示され、各日付欄に過去の月経に関する日付の印を記載可能とし、該月経に関する日付の印に基づいて回帰直線を作成可能としたことを特徴とする月経予測管理チャート。
【請求項2】
縦方向に日付欄が表示された請求項1記載の月経予測管理チャートの最下行及び/又は最上行、もしくは横方向に日付欄が表示された請求項1記載の月経予測管理チャートの最右列及び/又は最左列に、所定日数の追加の日付欄が表示され、該追加の日付欄の日付と元の日付欄の日付とが連続する請求項1に記載の月経予測管理チャート。
【請求項3】
典型的な数種の月経周期に関する回帰直線があらかじめ表示されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の月経予測管理チャート。
【請求項4】
縦横方向に日付欄が連続して表示され、縦横いずれかの一方向に月経周期分の日付欄が連続して表示され、続く列または行に連続して繰り返して同数分の日付欄が複数列または複数行にわたり表示された月経予測管理チャートを用いて、女性の月経に関する日付を予測して管理するための月経予測管理方法であって、
前記月経予測管理チャートの日付欄に過去の月経に関する日付の印を記載するステップと、
該月経に関する日付の印に基づいて回帰直線をチャート上に作成するステップと、
該回帰直線に基づいて次回以降の月経に関する日付を予測するステップとを備えることを特徴とする月経予測管理方法。
【請求項5】
前記回帰直線の両側に、所定日数の日付欄を空け、かつ回帰直線に平行である第1および第2のラインをチャート上に作成するステップと、
第1および第2のラインに挟まれた領域に基づいて次回以降の月経に関する日付を予測するステップとを備える請求項4に記載の月経予測管理方法。
【請求項6】
前記第1および第2のラインのうち下側の第2のラインの下方にさらに平均的な月経期間を空けて第3のラインをチャート上に作成するステップと、
前記第1のラインと第3のラインに挟まれた領域以外の領域を月経無関係期間として予測するステップとを備える請求項5に記載の月経予測管理方法。
【請求項7】
前記回帰直線に基づいて次回以降の月経開始日を予測した上で、該次回以降の月経開始日から所定日数前の日付を次回以降の排卵日と予測するステップを備える請求項4から請求項6のいずれかに記載の月経予測管理方法。
【請求項8】
日々の基礎体温を前記チャート上の対応する日付欄に体温ごとに色分けしながら表示するステップを備える請求項4から請求項7のいずれかに記載の月経予測管理方法。
【請求項9】
前記月経予測管理チャートの日付欄に過去の月経に関する日の印を記載したとき、該月経に関する日の印が前記第1のラインまたは第2のラインのいずれかの同じ側のラインを所定回数以上外れた場合、直近の所定回数分の月経に関する日の印に基づいて新たな回帰直線をチャート上に作成するステップを備える請求項5から請求項8のいずれかに記載の月経予測管理方法。
【請求項10】
女性の月経に関する情報を予測して管理するための月経予測管理システムであって、
月経に関する日付を入力するための入力手段と、
該月経に関する日付に基づいて月経周期を算出する算出手段と、
該月経周期に基づいて、縦横方向に日付欄が連続して表示され、縦横いずれかの一方向に月経周期分の日付欄が連続して表示され、続く列または行に連続して繰り返して同数分の日付欄が複数列または複数行にわたり表示されたチャートを作成するチャート作成手段と、
前記入力手段により入力された月経に関する日付に基づいて回帰直線を作成する回帰直線作成手段と、
該回帰直線を前記チャート上に表示する表示手段とを備えることを特徴とする月経予測管理システム。
【請求項11】
コンピュータを、
月経に関する日付を入力するための入力手段、
該月経に関する日付に基づいて月経周期を算出する算出手段、
該月経周期に基づいて、縦横方向に日付欄が連続して表示され、縦横いずれかの一方向に月経周期分の日付欄が連続して表示され、続く列または行に連続して繰り返して同数分の日付欄が複数列または複数行にわたり表示されたチャートを作成するチャート作成手段、
前記入力手段により入力された月経に関する日付に基づいて回帰直線を作成する回帰直線作成手段、
該回帰直線を前記チャート上に表示する表示手段として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項1】
女性の月経に関する日付を予測して管理するための月経予測管理チャートであって、
縦横方向に日付欄が連続して表示され、縦横いずれかの一方向に月経周期分の日付欄が連続して表示され、続く列または行に連続して繰り返して同数分の日付欄が複数列または複数行にわたり表示され、各日付欄に過去の月経に関する日付の印を記載可能とし、該月経に関する日付の印に基づいて回帰直線を作成可能としたことを特徴とする月経予測管理チャート。
【請求項2】
縦方向に日付欄が表示された請求項1記載の月経予測管理チャートの最下行及び/又は最上行、もしくは横方向に日付欄が表示された請求項1記載の月経予測管理チャートの最右列及び/又は最左列に、所定日数の追加の日付欄が表示され、該追加の日付欄の日付と元の日付欄の日付とが連続する請求項1に記載の月経予測管理チャート。
【請求項3】
典型的な数種の月経周期に関する回帰直線があらかじめ表示されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の月経予測管理チャート。
【請求項4】
縦横方向に日付欄が連続して表示され、縦横いずれかの一方向に月経周期分の日付欄が連続して表示され、続く列または行に連続して繰り返して同数分の日付欄が複数列または複数行にわたり表示された月経予測管理チャートを用いて、女性の月経に関する日付を予測して管理するための月経予測管理方法であって、
前記月経予測管理チャートの日付欄に過去の月経に関する日付の印を記載するステップと、
該月経に関する日付の印に基づいて回帰直線をチャート上に作成するステップと、
該回帰直線に基づいて次回以降の月経に関する日付を予測するステップとを備えることを特徴とする月経予測管理方法。
【請求項5】
前記回帰直線の両側に、所定日数の日付欄を空け、かつ回帰直線に平行である第1および第2のラインをチャート上に作成するステップと、
第1および第2のラインに挟まれた領域に基づいて次回以降の月経に関する日付を予測するステップとを備える請求項4に記載の月経予測管理方法。
【請求項6】
前記第1および第2のラインのうち下側の第2のラインの下方にさらに平均的な月経期間を空けて第3のラインをチャート上に作成するステップと、
前記第1のラインと第3のラインに挟まれた領域以外の領域を月経無関係期間として予測するステップとを備える請求項5に記載の月経予測管理方法。
【請求項7】
前記回帰直線に基づいて次回以降の月経開始日を予測した上で、該次回以降の月経開始日から所定日数前の日付を次回以降の排卵日と予測するステップを備える請求項4から請求項6のいずれかに記載の月経予測管理方法。
【請求項8】
日々の基礎体温を前記チャート上の対応する日付欄に体温ごとに色分けしながら表示するステップを備える請求項4から請求項7のいずれかに記載の月経予測管理方法。
【請求項9】
前記月経予測管理チャートの日付欄に過去の月経に関する日の印を記載したとき、該月経に関する日の印が前記第1のラインまたは第2のラインのいずれかの同じ側のラインを所定回数以上外れた場合、直近の所定回数分の月経に関する日の印に基づいて新たな回帰直線をチャート上に作成するステップを備える請求項5から請求項8のいずれかに記載の月経予測管理方法。
【請求項10】
女性の月経に関する情報を予測して管理するための月経予測管理システムであって、
月経に関する日付を入力するための入力手段と、
該月経に関する日付に基づいて月経周期を算出する算出手段と、
該月経周期に基づいて、縦横方向に日付欄が連続して表示され、縦横いずれかの一方向に月経周期分の日付欄が連続して表示され、続く列または行に連続して繰り返して同数分の日付欄が複数列または複数行にわたり表示されたチャートを作成するチャート作成手段と、
前記入力手段により入力された月経に関する日付に基づいて回帰直線を作成する回帰直線作成手段と、
該回帰直線を前記チャート上に表示する表示手段とを備えることを特徴とする月経予測管理システム。
【請求項11】
コンピュータを、
月経に関する日付を入力するための入力手段、
該月経に関する日付に基づいて月経周期を算出する算出手段、
該月経周期に基づいて、縦横方向に日付欄が連続して表示され、縦横いずれかの一方向に月経周期分の日付欄が連続して表示され、続く列または行に連続して繰り返して同数分の日付欄が複数列または複数行にわたり表示されたチャートを作成するチャート作成手段、
前記入力手段により入力された月経に関する日付に基づいて回帰直線を作成する回帰直線作成手段、
該回帰直線を前記チャート上に表示する表示手段として機能させるためのコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−65344(P2011−65344A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−214463(P2009−214463)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(309027137)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(309027137)
[ Back to top ]