説明

有刺縫合糸

【課題】有刺縫合糸と、棘を縫合糸に取り付けるためのシステムおよび方法を提供すること。
【解決手段】棘を縫合糸上に取り付けるためのシステムおよび方法が提供される。一実施形態において、システムは、縫合糸供給機構および棘供給機構を含む。縫合糸供給機構は、一定の長さの縫合糸を選択的に保持する。棘供給機構は、棘供給アセンブリを動作可能に係合する。棘供給アセンブリは、少なくとも1つの棘を含む。縫合糸供給機構と棘供給機構との少なくとも一方は、棘供給機構と縫合糸供給機との他方の方へ接近するように構成されており、棘供給アセンブリの少なくとも1つの棘を縫合糸供給アセンブリの縫合糸に係合する。有刺縫合糸と、少なくとも1つの棘を含む縫合糸とを形成する際の使用のための棘も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
(技術分野)
本開示は、有刺縫合糸と、有刺縫合糸を形成するためのシステムおよび方法とに関する。より具体的には、本開示は、有刺縫合糸と、棘を縫合糸に取り付けるためのシステムおよび方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の背景)
有刺縫合糸は概して、従来の縫合糸と同じ材料から作られるが、従来の縫合糸と比較して、創傷を閉合する際に、複数の利点を提供する。有刺縫合糸は、1つ以上の一定の間隔を置かれた棘を有している細長い本体を含む。棘は、細長い本体の表面から、一定の長さの縫合糸に沿って突き出している。棘は、組織を通した一方向への有刺縫合糸の通過を可能にするが、反対の方向への有刺縫合糸の動きには耐久するように配列されている。したがって、有刺縫合糸の1つの利点は、滑り止め性質の提供である。
【0003】
有刺縫合糸は、数多くの処置における使用が既知である。特定の縫合糸に必要とされる棘の数は、縫合される組織の種類、創傷のサイズおよび/または創傷を閉合されたままにするのに必要とされる強度に影響され得る。従来の縫合糸のように、有刺縫合糸は、外科用針を用いて組織の中へ挿入され得る。
【0004】
ある状況下では、特定の創傷に有効である最適な創傷閉合を達成するために、縫合糸の外面上の棘の特定の構成が好まれる。しかし、必要とされる創傷修復または組織修復が比較的小さい他の状況においては、棘の数を減少することが望ましくあり得る。他の状況では、縫合糸の一部にわたる棘が縫合糸の一方向への通過を可能にし、縫合糸の別の部分にわたる棘が、縫合糸の第二の方向への通過を可能にすることによって張った閉合縫合を行う、二方向または双方向有刺縫合糸が望ましい。
【0005】
棘を縫合糸に形成するさまざまな方法が提案されてきた。例えば、棘は、機械切断、レーザー切断、射出成形、スタンピング、押出などを用いて形成されてきた。しかし、そのような方法は、所望の結果(適切な処置と、効率的に、費用効果の良い態様で適切な処置を行うようにすることとに必要とされる構成に棘を配列すること)を達成するのが困難であり得るか、または費用がかかり得る。それらの方法は、それぞれ、棘を作る縫合糸の材料に依存するので、縫合糸の一体性も妥協され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、より容易であり、より効果的および/または経済的な有刺縫合糸を形成するためのシステムおよび方法に対する必要性が継続的にある。棘のサイズ、数、場所および/または深さを変えられる方法に対する必要性も継続的にある。棘が縫合糸を構成している材料から形成されない場合は、さらに有益である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(概要)
棘を縫合糸上に取り付けるためのシステムおよび方法が提供される。一実施形態において、システムは、縫合糸供給機構および棘供給機構を含む。棘供給機構は、一定の長さの縫合糸を選択的に保持する。棘供給機構は、少なくとも1つの棘を含む棘供給アセンブリを動作可能に係合する。縫合糸供給機構と棘供給機構との少なくとも一方は、棘供給機構と縫合糸供給機構との他方の方へ接近するように構成されており、棘供給アセンブリの少なくとも1つの棘を縫合糸供給アセンブリの縫合糸に係合させる。縫合糸供給機構は、アンビルアセンブリを含み得る。アンビルアセンブリは、アンビルアセンブリに対して、一定の長さの縫合糸を支持する。アンビルアセンブリは、一定の長さの縫合糸を支持するアンビルを含み得る。縫合糸供給機構は、縫合糸をアンビルアセンブリに対して前進させるように構成され得る。縫合糸供給機構は、縫合糸供給アセンブリおよび縫合糸引締めアセンブリを含み得る。縫合糸供給アセンブリは、一定の長さの縫合糸を供給する。縫合糸引締めアセンブリは、一定の長さの縫合糸を引締める。棘供給機構は、棘供給アセンブリの少なくとも1つの棘を係合する推進器アセンブリを含み得る。推進器アセンブリは、棘供給アセンブリの少なくとも1つの棘を係合する推進器を含み得る。棘供給機構は、棘供給アセンブリを推進器アセンブリに対して前進させるように構成され得る。加えて、または代替的に、棘供給機構は、棘供給アセンブリを推進器アセンブリに対して前進させるスプロケットを含む。
【0008】
縫合糸に据え付けられるように構成されている棘も提供される。棘は、ベース部分と、ベース部分から第一の方向へ延在し、縫合糸としっかり係合するように構成されている保持部分と、ベース部分から第二の方向へ延在し、組織を係合するように構成されている棘部分とを含む。保持部分は、1つ以上のレッグ部材を含み得る。1つ以上のレッグ部材は、少なくとも第一の係留部材を含み得る。第一の係留部材は、1つ以上の棘または隆起部を含み得る。第一のレッグ部材は、複数の係留部材を含み得る。複数の係留部材は、1つ以上のレッグ部材に沿って、交互になり得る。棘部分は、先の鋭い細長い部分、曲線状の細長い部分または弓形の細長い部分を含み得る。加えて、上記の棘のうちの少なくとも1つを含む縫合糸が提供される。
【0009】
有刺縫合糸も提供される。有刺縫合糸は、細長い本体を含む。細長い本体は、マルチフィラメントの構造と、マルチフィラメントの構造内にしっかり取り付けられた保持部分を含む少なくとも1つの棘とを含む。保持部分は、1つ以上のレッグ部材を含む。1つ以上のレッグ部材は、少なくとも第一の係留部材を含み得る。第一の係留部材は、1つ以上の棘または隆起部を含み得る。1つ以上のレッグ部材は、複数の係留部材を含み得る。複数の係留部材は、1つ以上のレッグ部材に沿って、一定の間隔を置かれ得る。加えて、または代替的に、複数の係留部材は、1つ以上のレッグ部材に沿って、交互になり得る。一実施形態において、マルチフィラメントの構造は、編組されている。
【0010】
有刺縫合糸も提供される。有刺縫合糸は、細長い本体および少なくとも1つの棘を含む。少なくとも1つの棘は、ベース部分、保持部分および棘部分を含む。保持部分は、少なくとも1つの棘を細長い本体にしっかり取り付ける。細長い本体は、モノフィラメントの構造またはマルチフィラメントの構造を含み得る。
【0011】
加えて、棘を縫合糸に取り付ける方法が提供される。方法は、保持部分を有している少なくとも1つの棘を含む棘供給アセンブリを提供する工程と、縫合糸を少なくとも1つの棘の保持部分に整列させる工程と、棘の保持部分が縫合糸を係合するように、縫合糸と棘との少なくとも一方を棘と縫合糸との他方の方へ前進させる工程とを含む。保持部分は、少なくとも1つのレッグ部材を含み得る。レッグ部材は、棘を縫合糸にしっかり固定する少なくとも1つの係留部材を含み得る。縫合糸は、マルチフィラメントであり得る。
【0012】
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
ベース部分と、
保持部分であって、該保持部分は、該ベース部分から第一の方向へ延在し、該保持部分は、縫合糸としっかり係合するように構成されている、保持部分と、
棘部分であって、該棘部分は、該ベース部分から第二の方向へ延在し、該棘部分は、組織を係合するように構成されている、棘部分と
を含む、棘。
(項目2)
前記保持部分は、少なくとも第一のレッグ部材を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の棘。
(項目3)
前記保持部分は、複数のレッグ部材を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の棘。
(項目4)
前記少なくとも第一のレッグ部材は、少なくとも第一の係留部材を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の棘。
(項目5)
前記少なくとも第一の係留部材は、1つ以上の棘または隆起部を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の棘。
(項目6)
前記少なくとも第一のレッグ部材は、複数の係留部材を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の棘。
(項目7)
前記複数の係留部材は、前記少なくとも第一のレッグ部材に沿って、交互になる、上記項目のうちのいずれかに記載の棘。
(項目8)
前記棘部分は、先の鋭い細長い部分、曲線状の細長い部分または弓形の細長い部分を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の棘。
(項目9)
上記項目のうちのいずれかに記載の少なくとも1つの棘を含む、有刺縫合糸。
(項目10)
細長い本体であって、該細長い本体は、マルチフィラメントの構造を含む、細長い本体と、
少なくとも1つの棘であって、該少なくとも1つの棘は、該マルチフィラメントの構造内にしっかり取り付けられた保持部分を含む、少なくとも1つの棘と
を含む、有刺縫合糸。
(項目11)
前記保持部分は、少なくとも第一のレッグ部材を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の有刺縫合糸。
(項目12)
前記少なくとも第一のレッグ部材は、少なくとも第一の係留部材を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の有刺縫合糸。
(項目13)
前記少なくとも第一の係留部材は、1つ以上の棘または隆起部を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の有刺縫合糸。
(項目14)
前記少なくとも第一のレッグ部材は、複数の係留部材を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の有刺縫合糸。
(項目15)
前記複数の係留部材は、前記少なくとも第一のレッグ部材に沿って、一定の間隔を置かれている、上記項目のうちのいずれかに記載の有刺縫合糸。
(項目16)
前記複数の係留部材は、前記少なくとも第一のレッグ部材に沿って、交互になる、上記項目のうちのいずれかに記載の有刺縫合糸。
(項目17)
前記マルチフィラメントの構造は、編組されている、上記項目のうちのいずれかに記載の有刺縫合糸。
(項目18)
細長い本体と、
少なくとも1つの棘であって、該少なくとも1つの棘は、ベース部分と、保持部分と、棘部分とを含み、該保持部分は、該少なくとも1つの棘を前記細長い本体にしっかり取り付ける、少なくとも1つの棘と
を含む、有刺縫合糸。
(項目19)
前記細長い本体は、モノフィラメントの構造またはマルチフィラメントの構造を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の有刺縫合糸。
【0013】
(摘要)
棘を縫合糸上に取り付けるためのシステムおよび方法が提供される。一実施形態において、システムは、縫合糸供給機構および棘供給機構を含む。縫合糸供給機構は、一定の長さの縫合糸を選択的に保持する。棘供給機構は、棘供給アセンブリを動作可能に係合する。棘供給アセンブリは、少なくとも1つの棘を含む。縫合糸供給機構と棘供給機構との少なくとも一方は、棘供給機構と縫合糸供給機との他方の方へ接近するように構成されており、棘供給アセンブリの少なくとも1つの棘を縫合糸供給アセンブリの縫合糸に係合する。有刺縫合糸と、少なくとも1つの棘を含む縫合糸とを形成する際の使用のための棘も提供される。
【0014】
本開示のさまざまな実施形態が、本明細書において、図を参照して、下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】図1Aは、本開示に従うモノフィラメントの糸から形成された有刺縫合糸の実施形態の透視図である。
【図1B】図1Bは、本開示に従うマルチフィラメントの編組された糸から形成された有刺縫合糸の別の実施形態の透視図である。
【図2A】図2A〜図2Gは、代替の断面ジオメトリを有している縫合糸の端面図であり、円形(図2A)、楕円形(図2B)、正方形(図2C)、星形状(図2D)、八角形(図2E)、長方形(図2F)および平板状(図2G)を含む。
【図2B】図2A〜図2Gは、代替の断面ジオメトリを有している縫合糸の端面図であり、円形(図2A)、楕円形(図2B)、正方形(図2C)、星形状(図2D)、八角形(図2E)、長方形(図2F)および平板状(図2G)を含む。
【図2C】図2A〜図2Gは、代替の断面ジオメトリを有している縫合糸の端面図であり、円形(図2A)、楕円形(図2B)、正方形(図2C)、星形状(図2D)、八角形(図2E)、長方形(図2F)および平板状(図2G)を含む。
【図2D】図2A〜図2Gは、代替の断面ジオメトリを有している縫合糸の端面図であり、円形(図2A)、楕円形(図2B)、正方形(図2C)、星形状(図2D)、八角形(図2E)、長方形(図2F)および平板状(図2G)を含む。
【図2E】図2A〜図2Gは、代替の断面ジオメトリを有している縫合糸の端面図であり、円形(図2A)、楕円形(図2B)、正方形(図2C)、星形状(図2D)、八角形(図2E)、長方形(図2F)および平板状(図2G)を含む。
【図2F】図2A〜図2Gは、代替の断面ジオメトリを有している縫合糸の端面図であり、円形(図2A)、楕円形(図2B)、正方形(図2C)、星形状(図2D)、八角形(図2E)、長方形(図2F)および平板状(図2G)を含む。
【図2G】図2A〜図2Gは、代替の断面ジオメトリを有している縫合糸の端面図であり、円形(図2A)、楕円形(図2B)、正方形(図2C)、星形状(図2D)、八角形(図2E)、長方形(図2F)および平板状(図2G)を含む。
【図3】図3は、本開示の実施形態に従う棘の上面図である。
【図3A】図3A〜図3Dは、本開示の代替の実施形態に従う係留部材を含む棘の上面図であり、傾斜隆起部(図3A)、銛(図3B)、棘(図3C)および水平隆起部(図3D)を含む。
【図3B】図3A〜図3Dは、本開示の代替の実施形態に従う係留部材を含む棘の上面図であり、傾斜隆起部(図3A)、銛(図3B)、棘(図3C)および水平隆起部(図3D)を含む。
【図3C】図3A〜図3Dは、本開示の代替の実施形態に従う係留部材を含む棘の上面図であり、傾斜隆起部(図3A)、銛(図3B)、棘(図3C)および水平隆起部(図3D)を含む。
【図3D】図3A〜図3Dは、本開示の代替の実施形態に従う係留部材を含む棘の上面図であり、傾斜隆起部(図3A)、銛(図3B)、棘(図3C)および水平隆起部(図3D)を含む。
【図4】図4は、図3の棘の前部端面図である。
【図5】図5は、図3および図4の後部端面図である。
【図6A】図6A〜図6Cは、本開示に従う棘部分の代替の実施形態を含む有刺縫合糸の透視図であり、銛形状(図6A)、曲線状(図6B)、弓形(図6C)を含む。
【図6B】図6A〜図6Cは、本開示に従う棘部分の代替の実施形態を含む有刺縫合糸の透視図であり、銛形状(図6A)、曲線状(図6B)、弓形(図6C)を含む。
【図6C】図6A〜図6Cは、本開示に従う棘部分の代替の実施形態を含む有刺縫合糸の透視図であり、銛形状(図6A)、曲線状(図6B)、弓形(図6C)を含む。
【図7】図7は、本開示に従う棘供給アセンブリの実施形態のセクションの透視図である。
【図8】図8は、図7の棘供給アセンブリの別のセクションの正面図である。
【図9】図9は、図8の棘供給アセンブリのセクションの後部側面図である。
【図10】図10は、図8および図9の棘供給アセンブリの上面図である。
【図11】図11は、本開示の実施形態に従う棘定着システムの上面図である。
【図12】図12は、図11の棘定着システムの上部断面図であり、図7〜図9の一定の長さの縫合糸と一定の長さの棘供給アセンブリとを最初または装填された状態で含む。
【図13A】図13Aは、棘供給アセンブリから棘を縫合糸に取り付ける第一の方法を示す、図12の上部断面図である。
【図13B】図13Bは、棘供給アセンブリから棘を縫合糸に取り付ける第二の方法を示す、図12の上部断面図である。
【図13C】図13Cは、棘供給アセンブリから棘を縫合糸に取り付ける第三の方法を示す、図12の上部断面図である。
【図14】図14は、棘を縫合糸に取り付けた後の図12の上部断面図である。
【図15A】図15Aは、本開示の別の実施形態に従う棘のレッグ部材の側面図である。
【図15B】図15Bは、図15Aのレッグ部材の端面図である。
【図16A】図16Aは、本開示のさらに別の実施形態に従う棘のレッグ部材の側面図である。
【図16B】図16Bは、図16Aのレッグ部材の端面図である。
【図17】図17は、本開示の別の実施形態に従う棘の上面図である。
【図18】図18は、本開示のさらに別の実施形態に従う棘の上面図である。
【図19】図19は、本開示のさらに別の実施形態に従う棘の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
有刺縫合糸を形成するためのシステムおよび方法が本明細書において開示される。有刺縫合糸は、その長さに沿って、少なくとも1つの棘が取り付けられている。ここで詳細に図面(図面において、類似の参照数字は、さまざまな図における類似の要素に適用されている)を参照すると、図1Aおよび図1Bは、細長い本体12を有している一定の長さの縫合糸10と、縫合糸10に取り付けられている複数の棘20とを例示する。縫合糸10は、近位端部10aおよび遠位端部10bを有している。近位端部10aと遠位端部10bとの一方または両方は、針(示されていない)を含み得る。示されるように、棘20は、縫合糸10の細長い本体12から第一の方向へ外側方向に突き出して形成されるが、棘20の第一のセットが細長い本体12の第一の部分に沿って、第一の方向へ突き出し得、棘20の第二のセットが細長い本体12の第二の部分に沿って、第二の方向へ突き出し得ることによって、二方向または双方向有刺縫合糸を形成することも想定される。棘20は、棘20と細長い本体12との間に90度(90°)未満の角度「α」(図1A)を形成する。
【0017】
図1Aに示されるように、縫合糸10は、モノフィラメントの糸から形成される。図1Bを参照すると示されているように、縫合糸10は、モノフィラメントの糸(例えば、編組された縫合糸)から形成される。以下の話から明らかであるように、棘20は、モノフィラメントの縫合糸を用いた使用に特に適切である。編組は、当業者の理解の範囲内の任意の方法によって、なされ得る。あるいは、縫合糸10は、マルチフィラメントの外科用繊維から形成され得る。縫合糸10を形成するために用いられるフィラメントおよび/または繊維は、例えば、押出または塑造のような当業者の理解の範囲内の任意の技術を用いて形成され得る。いくつかの実施形態において、縫合糸は、2つ以上のフィラメントから作られた紡糸を含み得る。紡糸は、同じ材料または異なる材料の複数のフィラメントを含み得る。縫合糸10が複数のフィラメントから作られた場合、縫合糸10は、例えば、編組、製織または編成のような任意の既知の技術を用いて作られ得る。フィラメントは、不織縫合糸を生産するためにも組合わせられ得る。フィラメント自体は、縫合糸形成処理の一部として、紡糸を形成するように延伸、配向、捲縮、加撚、混合または空気絡ませされ得る。
【0018】
縫合糸10は、分解性材料、非分解性材料またはそれらの組合わせから形成され得る。より具体的には、縫合糸10は、ポリエステル、ポリオルトエステル、ポリマー薬物、ポリヒドロキシブチレート(polydroxybutyrate)、タンパク質、炭酸塩、それらのホモポリマー、それらのコポリマー、およびそれらの組合わせから成る群から選択される分解性材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、グリコライドおよびラクチド系ポリエステル、特にグリコライドおよびラクチドのコポリマーが縫合糸10を形成するために使用され得る。
【0019】
縫合糸10を形成するために使用され得る適切な非分解性材料は、ポリエチレンおよびポリプロピレンと、ポリエチレンおよびポリプロピレンのコポリマーならびにポリエチレンおよびポリプロピレンのブレンドのようなポリオレフィンと、(ナイロンのような)ポリアミドと、ポリアミンと、ポリイミンと、テレフタル酸ポリエチレンのようなポリエステルと、ポリテトラフルオロエチレンと、ポリブトエステルのようなポリエーテルエステルと、ポリテトラメチレンエーテルグリコールと、1,4−ブタンジオールと、ポリウレタンと、それらの組合わせとを含む。ポリプロピレンは、アイソタクチックポリプロピレンもしくはアイソタクチックおよびシンジオタクチックまたはアタクチックポリプロピレンの混合物であり得る。
【0020】
図1Aおよび図1Bに示されるように、縫合糸10は、断面ジオメトリが円形であるが、縫合糸10の断面ジオメトリは、任意の適切な形状であり得る。例えば、図2A〜図2Gを参照すると、縫合糸10の断面ジオメトリは、円形(図2A)、楕円形(図2B)、正方形(図2C)、星形状(図2D)、八角形(図2E)、長方形(図2F)および平板状(図2G)を含み得る。
【0021】
図3〜図5を参照すると、縫合糸10の細長い本体12に据え付けられる前の棘20が示される。棘20は、ベース部分22と、ベース部分22から第一の方向へ延在する保持部分24と、ベース部分22から第二の方向へ延在する棘部分26とを含む。ベース部分22、保持部分24および棘部分26は、互いに一体的に形成され得るか、または互いにしっかり取り付けられ得る。ベース部分22、保持部分24および棘部分26のそれぞれは、同じ材料または異なる材料から形成され得る。ベース部分22、保持部分24および棘部分26を形成する材料は、縫合糸10を形成する材料と同じおよび/または異なる材料であり得る。
【0022】
さらに図3〜図5を参照すると、ベース部分22は、ベース部材23を含む。ベース部材23は、示されるように先細であり得るか、または縫合糸10が組織を通して受け取られる際に、組織を通した通過を容易にするために適切な任意の他の構成を含み得る。保持部分24は、ベース部分22のベース部材23から延在する1対のレッグ部材30、32を含むが、代替の実施形態においては、保持部分24は、単一のレッグ部材のみを有し得るか、または代わりに、3つ以上のレッグ部材を有し得る。レッグ部材30、32は、示されるようなサイズおよび/または構成に実質的に類似し得るか、または異なるサイズおよび/または構成であり得る。各レッグ部材30、32の遠位端部30b、32bは、それぞれ、係留部材31、33を含む。
【0023】
係留部材31、33は、それぞれ、前縁31a、33aおよび後縁31b、33bを含む。係留部材31、33の前縁31a、33aは、それぞれ、縫合糸10の細長い本体12の中へのレッグ部材30、32の貫通を容易にするように構成されている。係留部材31、33の後縁31b、33bは、それぞれ、縫合糸10の細長い本体12へのレッグ部材30、32の定着を容易にするように構成されている。示されるように、係留部材31、33は、実質的にフック形状の部材を形成するが、例えば、傾斜隆起部(図3A)、銛(図3B)、棘(図3C)および水平隆起部(図3D)を含む代替の形状の係留部材も想定される。レッグ部材30、32の遠位端部30b、32b上に形成されて示されるが、1つ以上の係留部材31、33が一定の長さのレッグ部材30、32に沿って形成され得る(図3A、図3Cおよび図3D)ことも想定される。モノフィラメントおよびマルチフィラメントの縫合糸を用いた使用のために記載されているが、レッグ部材30、32と、棘20の係留部材31、33とは、マルチフィラメントの縫合糸の糸の間の受け取りと、マルチフィラメントの縫合糸の糸を用いた保持とに特によく適している。
【0024】
さらに図3〜図5を参照すると、レッグ部材30、32および/または係留部材31、33は、縫合糸10の細長い本体12への棘20の据え付けおよび/または固定を容易にするための被覆(示されていない)を含み得る。一実施形態において、レッグ部材30、32は、縫合糸10の細長い本体12の中へのレッグ部材30、32の貫通を容易にするための潤滑剤のような被覆を有している。被覆は、代わりに、縫合糸10の細長い本体12へのレッグ部材30、32または係留部材31、33の定着を容易にするための接着剤も含み得る。接着剤は、熱、光、化学物質、空気または流体への露出もしくは任意の他の既知の手段によって、活性化され得る。あるいは、接着剤は、縫合糸10と接触すると、活性化する材料を含み得る。
【0025】
さらに図3〜図5を参照すると、棘20の棘部分26は、細長い部材27を規定する。示されるように、細長い部材27は、棘20のベース部分22と軸方向に整列されている。代替の実施形態において、細長い部材27は、軸方向にオフセットされているか、またはベース部分22に対してある角度で延在する。細長い部材27は、示されるように実質的に長方形であり得るか、または代わりに、先が鋭いか、および/または先細であり得る(例えば、銛形状(図6A)、曲線状(図6B)、弓形(図6C))か、そうでない場合は、組織を係合して、縫合糸10が組織を通して後退するのを防ぐような適切な構成であり得る。棘20が縫合糸10に固定された場合(図1A)、棘部分26は、組織を通した第一の方向への縫合糸10の通過を可能にすることと、組織を通した第二の方向への縫合糸10の通過を防ぐこととを行うように構成される。したがって、棘20が縫合糸10の細長い本体12へ取り付けられると、棘部分26は、切断されたか、そうでない場合は、縫合糸10の細長い本体12上に直接形成された棘に類似する態様で動作するように構成される。
【0026】
ここで図7〜図10を参照すると、複数の棘20を供給するアセンブリが、全体を棘供給アセンブリ40として、示される。供給アセンブリ40は、キャリアーストリップ42および複数の棘20を含む。示されるように、棘20は、キャリアーストリップ42に支柱44a、44bによって固定されている。あるいは、棘20は、直接キャリアーストリップ42に固定され得る。下でさらに詳細に述べられるように、棘20の保持部分24が細長い本体12へ取り付けられ得るように、支柱44a、44bは、棘20を縫合糸10の細長い本体12に整列させるように構成されている。棘20は、接着剤、超音波溶接、機械ファスナー留めなどを含む当業者の理解の範囲内の任意の態様で、支柱44a、44bへ固定され得る。あるいは、キャリアーストリップ42、支柱44a、44bおよび棘20は、塑造で一体的に形成され得るか、そうでない場合は、単一のユニットを形成するように形成され得る。支柱44a、44bは、支柱44a、44bからの棘20の分離を容易にする弱い部分を提供する穴または刻み目45a、45bを含み得る。
【0027】
さらに図7〜図10を参照すると、キャリアーストリップ42は、細長い、実質的に平板状の部材を含み、この部材は、複数の開口部43を規定する。開口部43は、棘供給機構130(図11)によって、選択的に係合されるように構成されている。棘供給機構130による係合のための開口部43を含んで示されるが、キャリアーストリップ42が代替的に、棘供給機構130による係合のために構成され得ることも想定される。例えば、キャリアーストリップ42は、棘供給機構130とキャリアー42との係合を容易にするために、開口部43の代わりにスロットおよび/または隆起部を含み得る。
【0028】
ここで図11を参照すると、1つ以上の棘20を縫合糸10の細長い本体12へ取り付けるためのシステムが、全体を棘定着システム100として、示される。定着システム100は、縫合糸供給機構110および棘供給機構130を含む。縫合糸供給機構110は、アンビルアセンブリ112、縫合糸供給アセンブリ114および縫合糸引締めアセンブリ116を含む。アンビルアセンブリ112は、アンビル113を含む。アンビル113は、一定の長さの縫合糸10を支持するように構成されている縫合糸係合面113aを有している。縫合糸係合面113aは、示されるように平坦であり得るか、または代わりに、一定の長さの縫合糸10をよりしっかり支持するために、縫合糸10の断面プロファイルに対応するように外形を合わせられ得る。下でさらに詳細に述べられるが、アンビル113は、棘供給機構130に対して前進および後退するように構成され得る。あるいは、または加えて、縫合糸供給機構110は、全体が、棘供給機構130に対して前進および後退するように構成され得る。アンビルアセンブリ112が棘供給機構130に対して、上げら得るか、および/または下げられ得ることによって、棘20を縫合糸10に整列させるようにも縫合糸供給機構110は、構成され得る。
【0029】
さらに図11を参照すると、1対のローラー118a、118bが一定の長さの縫合糸10を縫合糸供給アセンブリ114からアンビル113の縫合糸係合面113aにわたり、縫合糸引締めアセンブリ116へ方向付けるように構成されている。一実施形態において、縫合糸供給アセンブリ114は、縫合糸10を供給するためのスプールを含み、縫合糸引締めアセンブリ116は、縫合糸10を受け取るためのスプールを含む。以下の開示は、縫合糸供給機構110を含む棘定着システム100に関するが、本開示の局面は、縫合糸10をアンビルアセンブリに選択的に供給する能力を有している他の機構を用いた使用に対して改変され得る。
【0030】
さらに図11を参照すると、棘供給機構130は、推進器アセンブリ132および前進アセンブリ134を含む。推進器アセンブリ132は、棘係合部分133aを有している推進器133を含む。棘係合部分133aは、棘20(図3)のベース部分22を係合するように構成されている。棘係合部分133aは、示されるように平坦であり得るか、または代わりに、棘20のベース部分22の断面プロファイルに対応するように外形を合わせられ得る。推進器133は、さらに、棘20を供給アセンブリ40の支柱44a、44bから分離させるナイフ(示されていない)を含み得る。ナイフは、加熱、超音波振動、そうでない場合は、操作され得ることによって、支柱44a、44bおよび/またはキャリアーストリップ42からの棘20の分離を容易にする。下でさらに詳細に述べられるが、推進器アセンブリ132および/または推進器133は、縫合糸供給機構110に対して、前進および後退するように構成され得る。あるいは、または加えて、棘供給機構130は、その全体が、縫合糸供給機構110に対して前進および後退するように構成され得る。
【0031】
さらに図11を参照すると、前進アセンブリ134は、スプロケット135を含む。スプロケット135は、実質的に円形な部材を規定する。円形な部材は、円形な部材から外側方向に放射状に延在する複数の歯135aを含む。歯135aは、スプロケット133が中央軸の周りを回転させられた場合に、供給アセンブリ40のキャリアーストリップ42に形成される開口部43内に選択的に受け取られるように構成されている。推進器アセンブリ132と前進アセンブリ134との一方または両方は、一緒または独立して上げられ得るか、または下げられ得、アセンブリ132、134間の距離を調節し、アセンブリ132、134の位置を縫合糸供給アセンブリ110のアンビルアセンブリ112に対して調節する。以下の開示は、棘供給機構130を含む棘定着システム100に関するが、本開示の局面は、棘アセンブリ40の棘20を縫合糸10に対して選択的に供給する能力を有している他の機構を用いた使用に対しても改変され得る。
【0032】
棘定着システム100の使用がここで、図11〜図14を参照して記載される。まず、図12を参照すると、縫合糸供給機構110が一定の長さの縫合糸10で装填され、縫合糸10を棘供給機構130に対して選択的に位置決めする。特に、縫合糸供給アセンブリ114(図11)から提供された一定の長さの縫合糸10は、ローラー118aの周りから、アンビル113の縫合糸係合面113aをわたり、ローラー118bの周りおよび縫合糸引締めアセンブリ116上へ受け取られる。上で述べたように、縫合糸供給機構110を含んで示されるが、棘定着システム100は、縫合糸10をアンビルに対して、選択的に動かし、保持する能力を有している任意の機構を含み得る。
【0033】
さらに図12を参照すると、棘供給アセンブリ40は、棘供給機構130上へ装填される。特に、スプロケット135の歯135aは、棘供給アセンブリ40のキャリアーストリップ42の開口部43内に受け取られる。次いで、スプロケット135は、棘供給アセンブリ40の棘20が縫合糸供給アセンブリ110のアンビルアセンブリ112に整列するまで回転させられる。次いで、推進器アセンブリ132および前進アセンブリ134が上げられ得るか、または下げられ得、推進器アセンブリ132の推進器133を棘20のベース部分22と整列するために、その間の距離を調節する。推進器アセンブリ132および前進アセンブリ134は、アンビルアセンブリ112に対しても上げられ得るか、または下げられ得、棘20の保持部分24を縫合糸10の細長い本体12に整列する。あるいは、または加えて、縫合糸供給アセンブリ110が上げられ得るか、または下げられ得、縫合糸10を棘20の保持部分24に整列させる。上で述べたように、棘供給機構130を含んで示されるが、棘定着システム100は、棘供給アセンブリ40を縫合糸供給機構110に対して選択的に動かす能力を有している任意の機構を含み得る。
【0034】
ここで図13A〜図13Cを参照して、棘20の保持部分24が縫合糸10に整列されると、縫合糸供給機構110と棘供給機構130との一方または両方が作動され得、棘20と縫合糸10との一方または両方を棘20と縫合糸10との他方に対して接近させる。図13Aを参照すると、一実施形態において、棘供給機構130は、その全体が、矢印「A」によって示されるように、縫合糸供給機構110に対して前進させられ、棘20を縫合糸10と係合させる。あるいは、縫合糸供給機構110は、その全体が、矢印「B」によって示されるように、棘供給機構130に対して前進させられ、棘20を縫合糸10と係合させる。別の実施形態において、縫合糸供給機構と棘供給機構との両方は、その全体が、互いに対して前進させられ、棘20を縫合糸10と係合させる。図13Bを参照して、別の実施形態において、推進器アセンブリ132の推進器133は、矢印「C」によって示されるように、前進アセンブリ134のスプロケット135と、アンビルアセンブリ112のアンビル113とに対して前進させられ、棘20を縫合糸10と係合させる。図13Cを参照すると、さらに別の実施形態において、アンビルアセンブリ112のアンビル113は、矢印「D」によって示されるように、棘供給機構130に対して前進させられ、棘20を縫合糸10と係合させる。
【0035】
上で述べたように、縫合糸10との棘20の係合は、複数の方法を用いて、達成され得る。棘20を縫合糸10と係合させるためにどの方法が選択されても関係なく、それぞれの前進コンポーネントによって移動される距離は、縫合糸10と棘20との間の距離、縫合糸10の厚さおよび棘20の保持部分24の長さのうちのいずれか、または全てを考慮したユーザー入力に基づき得る。あるいは、それぞれの前進コンポーネントによって移動された距離は、縫合糸10と棘20との間の所定の力を感知する、縫合糸供給機構110と棘供給機構130との一方または両方に含まれる1つ以上のセンサーによって制御され得る。
【0036】
上で述べたように、推進器113は、棘20を支柱144a、144bから分離させるナイフまたは他の機構(示されていない)を含み得る。一実施形態において、棘20に対する推進器113の前進によって、棘20は、支柱144a、144bからせん断される。あるいは、推進器アセンブリ112は、推進器113を加熱または超音波振動させて、支柱144a、144bからの棘20の分離を容易にするヒーターまたは超音波機構(示されていない)を含み得る。上でも述べられたが、保持部分22のレッグ部材30、32(図3)は、活性化されることを必要とし得る被覆を含み得る。したがって、縫合糸10との棘20の係合の前に、レッグ部材30、32上の被覆は活性化されなければならない。あるいは、被覆の活性化は、棘20が縫合糸10と係合した後に生じ得る。
【0037】
図14を参照すると、縫合糸10との棘20の係合および取り付けに続いて、前進させられることによって、棘20を縫合糸10と係合させるコンポーネントのうちのどれもが後退させられ、続く縫合糸10との棘20の据え付けを可能にする。次いで、縫合糸供給アセンブリ110が作動され得、矢印「E」によって示されるように、縫合糸10を長手方向に前進させ、細長い本体12の後半の部分をアンビルアセンブリ112に整列させる。棘供給アセンブリ130も作動させられ得、矢印「F」によって示されるように、棘供給アセンブリ40を長手方向に前進させ、後半の棘20を推進器アセンブリ132に整列させる。棘定着処理は、縫合糸10上の棘20の所望の構成を提供する必要に応じて、繰り返され得る。一実施形態において、縫合糸供給アセンブリ110は、縫合糸10をその長さに沿って、軸外れになるまで加撚または回転させるように構成されており、続いて、棘20を取り付ける。
【0038】
ここで図15Aおよび図15Bを参照すると、レッグ部材230は、本開示の代替実施形態に従う係留部材231を含む。示されるように、レッグ部材231は、実質的に長方形の本体を規定する。係留部材231は、前縁231aと1対の後縁231bとを含む。係留部材231は、縫合糸10とのよりしっかりした係合のために構成されている。
【0039】
図16Aおよび図16Bを参照すると、レッグ部材330は、本開示の別の実施形態に従う係留部材331を含む。示されるように、レッグ部材331は、実質的に楕円形の本体を規定する。係留部材331は、その周りに延在する前縁ポイント331aと後縁331bとを有している実質的に楕円形の部材を規定する。
【0040】
ここで図17〜図19を参照すると、本開示に従う棘の代替の実施形態が、全体が棘420、520、620として示される。棘420、520、620は、上に記載された棘20に実質的に類似しており、その間の差異のみに関して記載される。図17を参照すると、棘420は、ベース部分422と、ベース部分422から延在する保持部分424と、ベース422から延在する棘部分426とを含む。レッグ部材430、432は、それぞれ、ベース部分422から延在し、互いから離れる。外側方向に延在し、互いから離れるレッグ部材430、432の両方を含んで示されるが、レッグ部材430、432のうちの1つのみが他方のレッグ部材430、432から離れて延在し得ることも想定される。棘420の棘部分426は、組織をよりしっかり係合するように構成されているスリットまたはダブルポイントの端部427aを有している細長い部材427を含み得る。
【0041】
ここで図18を参照すると、棘520は、ベース部分522から延在し、1対のレッグ部材530、532を含む保持部分524を含む。1対のレッグ部材530、532は、ベース部分522から互いの方へ延在する。他方の方へ延在するレッグ部材530、532との両方を含んで示されるが、レッグ部材530、532のうちの1つのみが他方のレッグ部材530、532の方へ延在し得ることも想定される。レッグ部材530、532は、それぞれ、その長さに沿って形成された1対の係留部材531、533を含み、縫合糸10(図1A)との棘520の固定を容易にする。棘520は、棘部分526をさらに含む。棘部分526は、先細な細長い部材527を含む。ここで図19を参照すると、棘620は、ベース622、保持部分624および棘部分626を含む。保持部分624は、棘620を縫合糸10(図1A)によりしっかり取り付ける3つのレッグ部材630、632、634を含む。
【0042】
上の記載は、多くの特定の実施形態を含むが、それらの実施形態は、開示の範囲に対する限定として解釈されるべきではなく、その実施形態の例示としてのみ解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付の請求項によって規定される開示の範囲および精神内に多くの他の可能性を想定する。例えば、棘定着システムは、複数の棘を縫合糸の細長い本体に同時に取り付ける、複数のアンビルアセンブリおよび複数の棘供給機構を含み得る。棘は、示されるように、縫合糸の細長い本体と整列されるよりもむしろ、縫合糸の細長い本体に対するある角度で縫合糸に取り付けられ得ることも想定される。
【符号の説明】
【0043】
10 縫合糸
10a 近位端部
10b 遠位端部
12 細長い本体
20 棘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部分と、
保持部分であって、該保持部分は、該ベース部分から第一の方向へ延在し、該保持部分は、縫合糸としっかり係合するように構成されている、保持部分と、
棘部分であって、該棘部分は、該ベース部分から第二の方向へ延在し、該棘部分は、組織を係合するように構成されている、棘部分と
を含む、棘。
【請求項2】
前記保持部分は、少なくとも第一のレッグ部材を含む、請求項1に記載の棘。
【請求項3】
前記保持部分は、複数のレッグ部材を含む、請求項1に記載の棘。
【請求項4】
前記少なくとも第一のレッグ部材は、少なくとも第一の係留部材を含む、請求項2に記載の棘。
【請求項5】
前記少なくとも第一の係留部材は、1つ以上の棘または隆起部を含む、請求項4に記載の棘。
【請求項6】
前記少なくとも第一のレッグ部材は、複数の係留部材を含む、請求項2に記載の棘。
【請求項7】
前記複数の係留部材は、前記少なくとも第一のレッグ部材に沿って、交互になる、請求項6に記載の棘。
【請求項8】
前記棘部分は、先の鋭い細長い部分、曲線状の細長い部分または弓形の細長い部分を含む、請求項1に記載の棘。
【請求項9】
請求項1に記載の少なくとも1つの棘を含む、有刺縫合糸。
【請求項10】
細長い本体であって、該細長い本体は、マルチフィラメントの構造を含む、細長い本体と、
少なくとも1つの棘であって、該少なくとも1つの棘は、該マルチフィラメントの構造内にしっかり取り付けられた保持部分を含む、少なくとも1つの棘と
を含む、有刺縫合糸。
【請求項11】
前記保持部分は、少なくとも第一のレッグ部材を含む、請求項10に記載の有刺縫合糸。
【請求項12】
前記少なくとも第一のレッグ部材は、少なくとも第一の係留部材を含む、請求項11に記載の有刺縫合糸。
【請求項13】
前記少なくとも第一の係留部材は、1つ以上の棘または隆起部を含む、請求項12に記載の有刺縫合糸。
【請求項14】
前記少なくとも第一のレッグ部材は、複数の係留部材を含む、請求項11に記載の有刺縫合糸。
【請求項15】
前記複数の係留部材は、前記少なくとも第一のレッグ部材に沿って、一定の間隔を置かれている、請求項14に記載の有刺縫合糸。
【請求項16】
前記複数の係留部材は、前記少なくとも第一のレッグ部材に沿って、交互になる、請求項14に記載の有刺縫合糸。
【請求項17】
前記マルチフィラメントの構造は、編組されている、請求項10に記載の有刺縫合糸。
【請求項18】
細長い本体と、
少なくとも1つの棘であって、該少なくとも1つの棘は、ベース部分と、保持部分と、棘部分とを含み、該保持部分は、該少なくとも1つの棘を前記細長い本体にしっかり取り付ける、少なくとも1つの棘と
を含む、有刺縫合糸。
【請求項19】
前記細長い本体は、モノフィラメントの構造またはマルチフィラメントの構造を含む、請求項18に記載の有刺縫合糸。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−250031(P2012−250031A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−111378(P2012−111378)
【出願日】平成24年5月15日(2012.5.15)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】