説明

有効なエンハンサーとしてのサリチル酸誘導体及び方法

本発明は、少なくとも一のサリチル酸誘導体と、少なくとも一の化粧品用、皮膚用、製薬用等の活性剤を含有し、該サリチル酸誘導体が、活性剤の有効性を増強、向上させる等するものである組成物、並びにこのような組成物の製造及び使用方法に関する。さらに本発明は、これらのサリチル酸誘導体を用いた、活性剤の有効性を向上させる方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
(本発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、少なくとも一のサリチル酸誘導体と、少なくとも一の化粧品用、皮膚科学用、医薬用等の活性剤を含有し、該サリチル酸誘導体が、活性剤の有効性を増強、向上させる等するものである組成物、並びにこのような組成物の製造及び使用方法に関する。さらに本発明は、これらのサリチル酸誘導体を用いた、活性剤の有効性を向上させる方法にも関する。
【0002】
(発明の背景)
ヒトの無傷の皮膚は、多数の天然及び合成物質に対する、非常に効果的な障壁である。活性剤は全身投与により、薬力学的に効果的であり得るが、その多くは、皮膚への投与においては、ほとんど又は全体的に効果がない。活性剤の有効性は少なくとも2つの主要因:a)経皮的吸収及び浸透、及びb)皮膚の標的部位に浸透した薬剤の生物学的利用能に依存し得る。効果的にするには、薬剤は、表皮層の角質層に浸透し、作用標的部位に分配されて、生物的に利用されなくてはならない。多くの活性剤は固有の特徴を有しており、皮膚に効果的に浸透することが妨害されたり、又は皮膚の標的部位で生物的に利用されることが妨害される場合がある。よって、このような薬剤の有効性が最小となったり、無効になるおそれがある。
従って、有効性を増強したり、治療結果を改善したりする活性剤の推進剤が必要とされている。
【0003】
(本発明の詳細な記載)
ここに挙げた全ての出版物、特許出願、特許、及び他の参考文献及び公報は、その全てが参照としてここに取り込まれる。特に記載しない限りは、ここで使用される全ての技術及び科学用語は、生化学、化学、美容学、皮膚科学、薬学、及び材料科学の当業者が通常理解しているものと同様の意味を有する。
ここに開示されているものと類似した又は等価な全ての方法及び材料は、ここに記載されている適切な方法及び材料を用いて、本発明の実施又はテストにおいて使用可能である。さらに、材料、方法及び実施例は例証するためのものであって、制限することを意図するものではない。
特定の理論に縛られるものではないが、本発明の化学推進剤は、皮膚への活性剤の浸透性を向上させ、及び/又は活性剤の生物学的利用能を増強させることで、有効であるとされ得る。
【0004】
本発明は、次の式(I):
【化1】

{上式中、
Rは、直鎖状、分枝状又は環状の飽和した脂肪族基、又は一又は複数の二重結合を有する不飽和の脂肪族基で、共役していてもしていなくてもよいものであり、これらの基は、2〜22の炭素原子を有しており、また(a)ハロゲン原子、(b)トリフルオロメチル基、(c)遊離の形態であるか、又は1〜6の炭素原子を有する酸によりエステル化されたヒドロキシル基、又は(d)遊離であるか、又は1〜6の炭素原子を有する低級アルコールでエステル化されたカルボキシル官能基から選択される少なくとも一の置換基で置換可能であり、
R'は、次の式:
【化2】

[上式中、Rは、1〜18の炭素原子を有し、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和の脂肪族基、及びその塩である]
のエステル官能基又はヒドロキシル基である}
の少なくとも一のサリチル化合物を、活性剤と組合せて使用することにより、活性剤(例えば、化粧品用及び/又は医薬用及び/又は皮膚用活性剤)の有効性を向上、増強等させる方法を提供する。
【0005】
好ましい実施態様において、Rは、3〜11の炭素原子を有し、直鎖状、分枝状又は環状で飽和した脂肪族鎖、3〜17の炭素原子、及び共役した又はしていない一又は複数の二重結合を有する不飽和の鎖であり、上述した鎖は、一又は複数のハロゲン原子、又はトリフルオロメチル基、又は遊離の形態又は1〜6の炭素原子を有する酸でエステル化された一又は複数のヒドロキシル基、又は遊離であるか又は1〜6の炭素原子を有する低級アルコールでエステル化されたカルボキシル基で置換されていてもよく、これらの種々の基は該置換基に同時に存在していてもよく;また
R'は、次の式:
【化3】

[上式中、Rは、1〜18の炭素原子を有する飽和又は不飽和の脂肪族基である]
のエステル基又はヒドロキシル基である。
【0006】
また本発明は、上述した式(I)を有する少なくとも一の上述したサリチル化合物を、活性剤と組合せて使用することにより、活性剤の生物学的利用能及び/又は経皮的吸収及び/又は浸透性を増強又は向上させる方法を提供する。
ここで使用される場合、「組合せ」には、同じ組成物中にあること、並びに、例えば皮膚に任意の順序で各成分を、別々に重ねて適用することを含む。
【0007】
また本発明は、少なくとも一の活性剤、及び少なくとも一の上述した式Iのサリチル酸誘導体を、任意の適用順序で、物理的に組合せる、混合する、接触させる等(以下、混合)することによる、組成物の製造方法を提供する。結果得られた組成物は、本発明の一部を形成し、ここでサリチル酸誘導体は、活性剤の有効性を向上又は増強させる量で存在している。
【0008】
ここで有用な好ましいサリチル酸誘導体には、その全てが参照としてここに取り込まれる、U.S. Pat. No.6159479及びNo.5558871、FR2581542、U.S. Pat. No.4767750、EP378936、U.S. Pat. No.5267407、U.S. Pat. No.5667789、U.S. Pat. No.5580549、及びEP-A-570230に記載されているものが含まれる。さらにここで有用な特に好ましいサリチル酸誘導体には、5-n-オクタノイルサリチル酸(サリチル酸カプリロイル)、5-n-デカノイルサリチル酸、5-n-ドデカノイルサリチル酸、5-n-ヘプチルオキシサリチル酸、及び4-n-ヘプチルオキシサリチル酸が含まれる。非常に好ましいサリチル酸誘導体は、サリチル酸カプリロイル(商品名:Mexoryl SAB)であり;参照としてここに取り込まれる、International Cosmetic Ingredient Dictionary, 6版, 1巻, Cosmetic Toiletries及びFragrance Association, 1995より出版, の139頁を参照。
【0009】
上述した式Iに関し、R基は2〜22の炭素原子を有し、部分的範囲を含み、この範囲におけるそれぞれ及び全ての炭素原子が含まれる。有用な炭素数は、4、6、8、10、12、14、16及び18を含む。上述した式IのR'基において、1から18の間のそれぞれ及び全ての炭素数が特に含まれ、また全ての部分的範囲も同様である。有用な炭素数は、2、4、6、8、10、12、14、16及び18を含む。Rにおける2〜22の炭素原子の間で、残余の全ての炭素数、及びR'における1〜18の間で番号が付された、残余全ての炭素数も、特に含まれる。
【0010】
本発明のサリチル酸誘導体の有用な塩は、塩基で塩化させることにより得られたものであってよい。有用な塩基には、無機酸、例えばアルカリ及びアルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、又はアンモニア水酸化物が含まれる。また塩化には、有機塩基を使用してもよい。さらに、両性塩基も有用である。有用なサリチル酸誘導体、及びその有用な塩については、参照としてここに取り込まれる、U.S. 特許出願 Ser. No.08/627965が参照される。第4級塩(Quatermium salt)、例えばジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム塩も、特に有用である。
【0011】
本発明において、組成物は、少なくとも0.01重量%、好ましくは1重量%〜99重量%で、全ての値及びその間の部分的範囲を含む範囲、例えば2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90及び95重量%の濃度で、本発明の少なくとも一のサリチル酸誘導体を含有する。全てのケースにおいて、本発明の少なくとも一のサリチル酸誘導体は、それらと組合せて使用される又は存在する活性剤の有効性を、増加、向上等(以下「向上」)させる量で存在している。サリチル酸誘導体(類)を単独で、活性剤の適用前、適用後、又は別々に重ねて同時に適用する場合、サリチル酸誘導体は、所望の効果を得るのに十分な、すなわち活性剤の有効性を高めるのに十分な量で適用され、この量は、当該分野への本発明の寄与のあるなしにおいて、当業者の活性剤の有効性に対する知識に基づいたこの開示を利用し、その決定は、この開示を考慮すれば、当業者によっては容易である。
【0012】
皮膚科学的に許容可能な担体が、本発明の組成物、及び/又は本発明のサリチル酸誘導体及び/又は活性剤の適用に使用され得る。好ましい担体の群には、例えば皮膚科学的に許容可能な液状溶媒で、サリチル酸誘導体が好ましくは高濃度で溶解するものが含まれる。「皮膚科学的に許容可能な液状溶媒」なる用語は、この発明の局所的処理方法において、皮膚に安全に使用可能な溶媒、すなわち比較的短時間、皮膚に接触した場合に毒性が無く、複数の反応を誘発しない溶媒を意味することを意図している。好ましい溶媒の例には、水、アルキレングリコール類、例えばプロピレングリコール、グリコール酸、及び水性アルコールが含まれる。さらに好ましい溶媒には、エタノール及びイソプロパノールが含まれる。他の有用な溶媒には、アセトン、エーテル(ジエチルエーテル)が含まれる。上述にて列挙された一又は複数のこれらの溶媒又は他の溶媒を含有する混合物が使用されてもよい。
【0013】
上述したように、本発明の材料は水を含んでいてよい。上述した皮膚科学的に許容可能な液状溶媒は、好ましくてもそうでなくても、単独、又は互いに組合せて利用され得ることを示しておくことは重要である。
ここで他の有用な担体には、種々の皮膚科学用及び化粧品用担体、例えばゲル、エマルション、クリーム、ロウ、コンパクト等が含まれる。
【0014】
上述したように、本発明は、活性剤の有効性を向上させる方法を提供する。理論に縛られるわけではないが、この向上性は、例えば活性剤の生物学的利用能、経皮的吸収、及び/又は浸透性を向上させることにより生じ得る。さらに、本発明は、少なくとも一の式Iのサリチル酸誘導体と少なくとも一の活性剤を含有する組成物に関し、ここで少なくとも一の式Iのサリチル酸誘導体は、少なくとも一の活性剤の有効性を向上させるのに有効な量で存在している。
【0015】
ここで有用な活性剤の例には、例えば、しみ剤(age spot agents)、角質除去剤、鎮痛剤、麻酔剤、抗座瘡剤、抗菌剤、抗酵母剤、抗真菌剤、抗ウィルス剤、抗火傷剤、抗フケ剤、抗皮膚炎剤、止痒剤、制汗剤、抗炎症剤、抗過角質溶解剤、乾燥肌防止剤、抗乾癬剤、抗脂漏剤、アストリンゼン、柔軟剤、エモリエント剤、コールタール、バスオイル、硫黄、リンスコンディショナー、足用手入れ剤、防かび剤、毛髪の成長促進剤、毛髪除去剤、角質溶解剤、保湿剤、パウダー、シャンプー、皮膚用脱色剤、皮膚用保護剤、石鹸、洗剤、抗加齢剤、サンスクリーン剤、いぼ除去剤、湿布、ビタミン、サンタン剤、局所用抗ヒスタミン剤、ホルモン、血管拡張剤、レチノイド、気管支拡張剤、及び局所用心血管作動剤が含まれる。
【0016】
好ましい活性剤には、以下の(1)〜(13)の薬剤が含まれる:
(1)皮膚の分化及び/又は増殖及び/又は色素沈着を変化させる薬剤、例えばレチノイン酸とその異性体、レチノールとそのエステル、ビタミンDとその化合物、エストロゲン、例えばエストラジオール、コウジ酸又はヒドロキノン;
(2)抗菌剤、例えばリン酸クリンダマイシン、エリスロマイシン又はテトラサイクリンファミリーの抗生物質;
(3)駆虫剤、特にメトロニダゾール、クロタミトン又はピレスロイド類;
(4)抗真菌剤、特にイミダゾールファミリーの化合物、例えばエコナゾール、ケトコナゾール又はミコナゾール又はそれらの塩、ポリエン化合物、例えばアンホテリシンB、アリルアミンファミリーの化合物、例えばテルビナフィン又はオクトピロックス(octopirox);
(5)ステロイド系の抗炎症剤、例えばヒドロコルチゾン、吉草酸ベタメタゾン又はプロピオン酸クロベタゾール、又は非ステロイド系の抗炎症剤、例えば、イブプロフェンとその塩、ジクロフェナクとその塩、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン又はグルシルレチン酸;
(6)麻酔剤、例えば塩酸リドカインとその化合物;
(7)止痒剤、例えばテナルジン、トリメプラジン又はシプロヘプタジン;
(8)抗ウィルス剤、例えばアシクロビル;
(9)角質溶解剤、例えばアルファ-及びベータ-ヒドロキシカルボン酸、又はベータ-ケトカルボン酸、その塩、そのアミド類又はエステル、特にヒドロキシ酸、例えばグリコール酸、乳酸、サリチル酸、クエン酸及び一般的に果実酸、及び5-n-オクタノイルサリチル酸;
(10)フリーラジカル捕捉剤、例えばアルファ-トコフェロール又はそのエステル、スーパーオキシドジスムターゼ、ある種の金属キレート剤又はアスコルビン酸とそのエステル;
(11)抗脂漏剤、例えばプロゲステロン;
(12)抗フケ剤、例えばオクトピロックス又はジンクピリチオン;
(13)抗座瘡剤、例えばレチノイン酸又は過酸化ベンゾイル;
【0017】
他の有用な活性剤は、その全てが参照としてここに取り込まれる、US特許5665776、5561157、及び5554654に見出される。もちろんここでは、活性剤の組合せを使用してもよい。
【0018】
また本発明は、少なくとも0.01重量%、好ましくは1重量%〜99重量%で、全ての値及びその間の部分的範囲を含む範囲、例えば2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90及び95重量%の濃度で、活性剤を使用することが好ましい。活性剤(類)を単独で、サリチル酸誘導体の適用前、適用後、又は別々の適用を同時に行う場合、薬剤は、所望の効果が得られるのに十分な量で適用され、この量は、当該分野への本発明の寄与を考慮し、当業者の活性剤の増強した有効性に対する知識に基づいて利用され、その決定は、この開示を考慮すれば、当業者によっては容易である。
【0019】
本発明の組成物は、一又は複数の本発明のサリチル酸誘導体と活性剤とを混合することにより調製され得る。別々の適用で使用される場合、サリチル酸誘導体及び/又は活性剤自体が、例えば担体、好ましくは皮膚科学的に許容可能な液状溶媒と共に調製されていてもよい。
使用されるサリチル酸誘導体及び活性剤は、任意の形態であってよい。
【0020】
もちろん、本発明の組成物は他の成分、例えば防腐剤、安定剤、酸化防止剤、増粘剤、界面活性剤、顔料、着色料、香料、及び他のアジュバントを含有していてよい。このような成分は、好ましくは皮膚科学的に許容可能である。好ましくは、付加的成分は、活性剤の有効性に、何ら負の影響を付与しないか、又は有効性に干渉しない。このような添加剤には、例えば芳香族化合物、界面活性剤、防腐剤、抗酸化剤、保湿剤等がさらに含まれる。もちろん、付加的成分は、個々に又は組合せて存在していてよく、それらの濃度は制限されない。
【0021】
他の有用な添加剤には、次の式(II):
【化4】

[上式中、
Bはアルコール残基であり、
AOは3〜18の炭素原子を有するアルキレン-オキシ基であり、
aは1以上の整数であり、
mは4以上の整数であり、
nは0以上の整数であり、
但し、添加されるエチレンオキシドのモル量mは、総計で、エチレンオキシド鎖部分の少なくとも40%又は全分子量になる値である]
の化合物が含まれてよい。
【0022】
上述した一般式IIにおいて、参照符号Bで表されるアルコールは、一価アルコール、例えばアルキルアルコール、特にエタノール、ブタノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール等、及びアルケニルアルコール、例えばリノレイルアルコール、パルミトイルアルコール、オレイルアルコール等、二価アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール等、三価アルコール、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン等、四価アルコール、例えばペンタエリトリトール、ジグリセリン等を意味することを意図している。さらに、他の多価アルコール、例えばソルビトール、ポリグリセリン等を使用してもよい。
【0023】
参照符号AOと記述される、3〜18の炭素原子を有するアルキレンオキシ基には、例えばプロピレンオキシ、ブチレンオキシ、テトラヒドロフラン、α-オレフィノキシ等が含まれる。3及び4の炭素原子を有するアルキレンオキシ基、例えばオキシドプロピレン、オキシドブチレン及びテトラヒドロフランが好ましい。
【0024】
上述した一般式において、参照符号「a」は、1又はそれ以上の整数である。本発明で使用されるアルコールが一価アルコールである場合、参照符号「a」は1である。よって、使用されるアルコールが二価アルコールである場合、参照符号「a」は2である。同様に、使用されるアルコールが三価アルコールである場合、参照符号「a」は3である。さらに使用されるアルコールが多価アルコールである場合、参照符号「a」は、使用されるアルコールの結合価に一致する整数である。
上述した一般的において、参照符号「m」は、添加されたエチレンオキシドの平均モル量を意味することを意図している。エチレンオキシドの重合鎖の数は、少なくとも4である。
参照符号「n」は、添加された酸化アルキレンの平均モル量を意味することを意図している。アルキレンオキシドの重合鎖の数は、0又は1又はそれ以上である。
【0025】
エチレンオキシド及びアルキレンオキシドの重合方式は、ランダム又はブロック重合である。
添加されるエチレンオキシドのモル量mは、エチレンオキシド鎖の全分子量の40%又はそれ以上の量に設定される。この設定は、添加されるエチレンオキシドのモル量mが、上述したモル量未満であるならば、フェノール化合物、例えばサリチル酸誘導体が、ポリエチレングリコール化合物において持続される可能性が低くなるという事実に基づく。
【0026】
式IIを有する付加的化合物は、従来の方式、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又は同様のもの等の塩基性触媒、又は四フッ化ホウ素、四塩化スズ、又は同様のもの等の酸性触媒の存在において、窒素又は同様のもの等の不活性ガス下、アルキルアルコール又はアルケニルアルコールと、エチレンオキシド及びアルキレンオキシドとを反応させることにより合成され得る。
式IIを有する付加的化合物の特定の例は、参照としてここに取り込まれる、EP1214925A1において論議されている。
【0027】
活性剤とサリチル酸誘導体の組合せは、皮膚、体、目等に適用され、ここで活性剤は、毛髪、唇、粘膜、外皮(inteugments)、頭皮、目等(以下、「体」)を含む箇所に、その効果が表れることが期待されており、体内又は体上に作用する間、そこに残存可能である。
【0028】
本発明の組成物は、少なくとも一のサリチル酸誘導体と少なくとも一の活性剤を含有する、クリーム又は軟膏の形態であってよい。これらの成分は、最初、溶媒、例えば水、エタノール、アセトン、プロピレングリコール又はポリソルベート80に溶解させてもよい。ついで、溶液を通常入手可能なクリーム又は軟膏ベース、例えば親水性軟膏又はペトロラタムと、従来からの方式で混合してもよい。
【0029】
本発明の組成物は、ゲル、ローション、シャンプー、スプレー、スティック又はパウダーに調製されてもよい。本発明の一ゲル状組成物の例では、それぞれ40:40:20の容量比のエタノール、水及びプロピレングリコールの混合物に溶解した少なくとも一の活性剤、及び少なくとも一のサリチル酸誘導体を利用している。ついでゲル化剤、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、又はアンモニア処理されたグリシルリジナートを、攪拌しつつ、混合物に添加してもよい。ゲル化剤の好ましい濃度は、全組成物の重量に対して、0.1〜4パーセントの範囲であってよい。
【0030】
本発明を、次の実施例によりさらに詳細に説明する。パーセントは、特に示さない限りは、全重量に基づいた重量パーセントである。実施例は、選択された化合物及び調製物にのみ利用されるが、次の実施例は例証するものであり、制限するものではないと理解されるべきである。もちろん、上述した任意のサリチル酸誘導体及び活性剤は、次の実施例において、本発明の教示に従い置換され得る。
【実施例】
【0031】
実施例1:コウジ酸を含有するローション
コウジ酸1%/サリチル酸カプリロイル2%/EDTA0.1%/エタノール40%/水 全体を100%にする量
【0032】
実施例2:ヒドロキノンを含有するクリーム
A相 水 計100%
防腐剤、金属イオン封鎖剤、抗酸化剤 0.4%
グリセリン 23%
ヒドロキノン 4%
サリチル酸カプリロイル 1%
プロピレングリコール 6%
B相 シクロペンタシロキサン(及び)PEG/PPG-18/18
ジメチコーン 20%
ジメチコーン(及び)ジメチコーン/ビニルジメチコーン
架橋ポリマー 5%
防腐剤 0.1%
【0033】
実施例3:ヒドロコルチゾンを含有するローション
カプロラクタム 46%
エタノール 46%
ヒドロコルチゾン 2%
サリチル酸カプリロイル 3%
グリセリン 3%
【0034】
実施例4:ビタミンCを含有するクリーム
A相 水 計100%
防腐剤、金属イオン封鎖剤、抗酸化剤 0.4%
グリセリン 23%
アスコルビン酸ホスファートマグネシウム 5%
サリチル酸カプリロイル 1%
プロピレングリコール 6%
B相 シクロペンタシロキサン(及び)PEG/PPG-18/18
ジメチコーン 20%
ジメチコーン(及び)ジメチコーン/ビニルジメチコーン
架橋ポリマー 5%
防腐剤 0.1%
【0035】
実施例5:レチノールを含有するクリーム
A相 水 計100%
防腐剤、金属イオン封鎖剤、抗酸化剤 0.4%
グリセリン 23%
レチノール 0.25%
サリチル酸カプリロイル 1%
プロピレングリコール 6%
B相 シクロペンタシロキサン(及び)PEG/PPG-18/18
ジメチコーン 20%
ジメチコーン(及び)ジメチコーン/ビニルジメチコーン
架橋ポリマー 5%
防腐剤 0.1%
【0036】
上述した明細書には、この技術において、任意の当業者が同様のものを製造及び使用可能なように、十分、明確、簡潔に、本発明及び製造及び使用方法、及び正確な用語が、書面により提供されており、この記載及び使用可能性には、活性剤の有効性を向上させるのに有効な量の、式(I):
【化5】

{上式中、
Rは、直鎖状、分枝状又は環状の飽和した脂肪族基、又は一又は複数の二重結合を有する不飽和の脂肪族基で、共役していてもしていなくてもよいものであり、これらの基は、2〜22の炭素原子を有しており、また(a)ハロゲン原子、(b)トリフルオロメチル基、(c)遊離の形態であるか、又は1〜6の炭素原子を有する酸によりエステル化されたヒドロキシル基、及び(d)遊離であるか、又は1〜6の炭素原子を有する低級アルコールでエステル化されたカルボキシル官能基からなる群から選択される少なくとも一の置換基で置換可能であり、
R'は、次の式:
【化6】

[上式中、Rは、1〜18の炭素原子を有し、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和の脂肪族基、及びその塩である]
のエステル官能基又はヒドロキシル基である}
の少なくとも一のサリチル酸誘導体と活性剤との組合せを、体に適用することを含む、体内又は体上における、活性剤の有効性を向上させる方法が含まれ、好ましい実施態様において、サリチル酸誘導体は、5-n-オクタノイル-サリチル酸であり、活性剤は、例えばしみ剤、角質除去剤、鎮痛剤、麻酔剤、抗座瘡剤、抗菌剤、抗酵母剤、抗真菌剤、抗ウィルス剤、抗火傷(antiburn)剤、抗フケ剤、抗皮膚炎剤、止痒剤、制汗剤、抗炎症剤、抗過角質溶解剤、乾燥肌防止剤、抗乾癬剤、抗脂漏剤、アストリンゼン、柔軟剤、エモリエント剤、コールタール、バスオイル、硫黄、リンスコンディショナー、足用手入れ剤、防かび剤、毛髪の成長促進剤、毛髪除去剤、角質溶解剤、保湿剤、パウダー、シャンプー、皮膚用脱色剤、皮膚用保護剤、石鹸、洗剤、抗加齢剤、サンスクリーン剤、いぼ除去剤、湿布、ビタミン、サンタン剤、局所用抗ヒスタミン剤、ホルモン、血管拡張剤、レチノイド、気管支拡張剤、及び局所用心血管作動剤からなる群から選択され得る。さらに、ここで記載され、使用可能な活性剤には、レチノイン酸、レチノイン酸化合物、レチノール、レチノールエステル、ビタミンD、ビタミンD化合物、エストロゲン、エストラジオール、コウジ酸、ヒドロキノン、リン酸クリンダマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシン化合物、テトラサイクリン化合物、メトロニダゾール、クロタミトン、ピレスロイド類、エコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ポリエン化合物、アンホテリシンB、アリルアミン化合物、テルビナフィン、オクトピロックス、ステロイド、ヒドロコルチゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、非ステロイド系の抗炎症剤、イブプロフェン、ジクロフェナク、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、グルシルレチン酸、塩酸リドカイン、塩酸リドカイン化合物、テナルジン、トリメプラジン、シプロヘプタジン、アシクロビル、角質溶解剤、アルファ-ヒドロキシカルボン酸、ベータ-ヒドロキシカルボン酸、ベータ-ケトカルボン酸、アルファ-ヒドロキシカルボン酸アミド、ベータ-ヒドロキシカルボン酸アミド、ベータ-ケトカルボン酸アミド、アルファ-ヒドロキシカルボン酸エステル、ベータ-ヒドロキシカルボン酸エステル、ベータ-ケトカルボン酸エステル、ヒドロキシ酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、クエン酸、果実酸、5-n-オクタノイルサリチル酸、アルファ-トコフェロール、アルファ-トコフェロールエステル、スーパーオキシドジスムターゼ、金属キレート剤、アスコルビン酸、アスコルビン酸エステル、プロゲステロン、オクトピロックス、ジンクピリチオン、及び過酸化ベンゾイルが含まれる。
【0037】
同様に、詳細に記載され、利用可能であるものは、体内又は体上における、活性剤の有効性を向上させるのに十分な量で、上述した式(I)の少なくとも一のサリチル酸誘導体と、少なくとも一の活性剤を含有する組成物、及び少なくとも一のサリチル酸誘導体と、少なくとも一の活性剤とを混合することを含む、このような組成物の製造方法、並びにこのような組成物の使用方法である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性剤の有効性を向上させるのに有効な量で、次の式(I):
【化1】

{上式中、
Rは、直鎖状、分枝状又は環状の飽和した脂肪族基、又は一又は複数の二重結合を有する不飽和の脂肪族基で、共役していてもしていなくてもよいものであり、これらの基は、2〜22の炭素原子を有しており、また(a)ハロゲン原子、(b)トリフルオロメチル基、(c)遊離の形態であるか、又は1〜6の炭素原子を有する酸によりエステル化されたヒドロキシル基、及び(d)遊離であるか、又は1〜6の炭素原子を有する低級アルコールでエステル化されたカルボキシル官能基からなる群から選択される少なくとも一の置換基で置換可能であり、
R'は、次の式:
【化2】

[上式中、Rは、1〜18の炭素原子を有し、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和の脂肪族基、及びその塩である]
のエステル官能基又はヒドロキシル基である}
の少なくとも一のサリチル酸誘導体と活性剤との組合せを、体に適用することを含む、体内又は体上における、活性剤の有効性を向上させる方法。
【請求項2】
サリチル酸誘導体が、5-n-オクタノイル-サリチル酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
活性剤が、しみ剤、角質除去剤、鎮痛剤、麻酔剤、抗座瘡剤、抗菌剤、抗酵母剤、抗真菌剤、抗ウィルス剤、抗火傷剤、抗フケ剤、抗皮膚炎剤、止痒剤、制汗剤、抗炎症剤、抗過角質溶解剤、乾燥肌防止剤、抗乾癬剤、抗脂漏剤、アストリンゼン、柔軟剤、エモリエント剤、コールタール、バスオイル、硫黄、リンスコンディショナー、足用手入れ剤、防かび剤、毛髪の成長促進剤、毛髪除去剤、角質溶解剤、保湿剤、パウダー、シャンプー、皮膚用脱色剤、皮膚用保護剤、石鹸、洗剤、抗加齢剤、サンスクリーン剤、いぼ除去剤、湿布、ビタミン、サンタン剤、局所用抗ヒスタミン剤、ホルモン、血管拡張剤、レチノイド、気管支拡張剤、及び局所用心血管作動剤からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
活性剤が、レチノイン酸、レチノイン酸化合物、レチノール、レチノールエステル、ビタミンD、ビタミンD化合物、エストロゲン、エストラジオール、コウジ酸、ヒドロキノン、リン酸クリンダマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシン化合物、テトラサイクリン化合物、メトロニダゾール、クロタミトン、ピレスロイド類、エコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ポリエン化合物、アンホテリシンB、アリルアミン化合物、テルビナフィン、オクトピロックス、ステロイド、ヒドロコルチゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、非ステロイド系の抗炎症剤、イブプロフェン、ジクロフェナク、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、グルシルレチン酸、塩酸リドカイン、塩酸リドカイン化合物、テナルジン、トリメプラジン、シプロヘプタジン、アシクロビル、角質溶解剤、アルファ-ヒドロキシカルボン酸、ベータ-ヒドロキシカルボン酸、ベータ-ケトカルボン酸、アルファ-ヒドロキシカルボン酸アミド、ベータ-ヒドロキシカルボン酸アミド、ベータ-ケトカルボン酸アミド、アルファ-ヒドロキシカルボン酸エステル、ベータ-ヒドロキシカルボン酸エステル、ベータ-ケトカルボン酸エステル、ヒドロキシ酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、クエン酸、アルファ-トコフェロール、アルファ-トコフェロールエステル、スーパーオキシドジスムターゼ、金属キレート剤、アスコルビン酸、アスコルビン酸エステル、プロゲステロン、オクトピロックス、ジンクピリチオン、及び過酸化ベンゾイルからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
サリチル酸誘導体及び活性剤が、皮膚科学的に許容可能な担体をさらに含有する組成物に存在している、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
体内又は体上において、活性剤の有効性を向上させるのに有効な量の、次の式(I):
【化3】

{上式中、
Rは、直鎖状、分枝状又は環状の飽和した脂肪族基、又は一又は複数の二重結合を有する不飽和の脂肪族基で、共役していてもしていなくてもよいものであり、これらの基は、2〜22の炭素原子を有しており、また(a)ハロゲン原子、(b)トリフルオロメチル基、(c)遊離の形態であるか、又は1〜6の炭素原子を有する酸によりエステル化されたヒドロキシル基、及び(d)遊離であるか、又は1〜6の炭素原子を有する低級アルコールでエステル化されたカルボキシル官能基からなる群から選択される少なくとも一の置換基で置換可能であり、
R'は、次の式:
【化2】

[上式中、Rは、1〜18の炭素原子を有し、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和の脂肪族基、及びその塩である]
のエステル官能基又はヒドロキシル基である}
のサリチル酸誘導体と活性剤とを含有する組成物。
【請求項7】
サリチル酸誘導体が、5-n-オクタノイル-サリチル酸である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
活性剤が、しみ剤、角質除去剤、鎮痛剤、麻酔剤、抗座瘡剤、抗菌剤、抗酵母剤、抗真菌剤、抗ウィルス剤、抗火傷剤、抗フケ剤、抗皮膚炎剤、止痒剤、制汗剤、抗炎症剤、抗過角質溶解剤、乾燥肌防止剤、抗乾癬剤、抗脂漏剤、アストリンゼン、柔軟剤、エモリエント剤、コールタール、バスオイル、硫黄、リンスコンディショナー、足用手入れ剤、防かび剤、毛髪の成長促進剤、毛髪除去剤、角質溶解剤、保湿剤、パウダー、シャンプー、皮膚用脱色剤、皮膚用保護剤、石鹸、洗剤、抗加齢剤、サンスクリーン剤、いぼ除去剤、湿布、ビタミン、サンタン剤、局所用抗ヒスタミン剤、ホルモン、血管拡張剤、レチノイド、気管支拡張剤、及び局所用心血管作動剤からなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
活性剤が、レチノイン酸、レチノイン酸化合物、レチノール、レチノールエステル、ビタミンD、ビタミンD化合物、エストロゲン、エストラジオール、コウジ酸、ヒドロキノン、リン酸クリンダマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシン化合物、テトラサイクリン化合物、メトロニダゾール、クロタミトン、ピレスロイド類、エコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ポリエン化合物、アンホテリシンB、アリルアミン化合物、テルビナフィン、オクトピロックス、ステロイド、ヒドロコルチゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、非ステロイド系の抗炎症剤、イブプロフェン、ジクロフェナク、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、グルシルレチン酸、塩酸リドカイン、塩酸リドカイン化合物、テナルジン、トリメプラジン、シプロヘプタジン、アシクロビル、角質溶解剤、アルファ-ヒドロキシカルボン酸、ベータ-ヒドロキシカルボン酸、ベータ-ケトカルボン酸、アルファ-ヒドロキシカルボン酸アミド、ベータ-ヒドロキシカルボン酸アミド、ベータ-ケトカルボン酸アミド、アルファ-ヒドロキシカルボン酸エステル、ベータ-ヒドロキシカルボン酸エステル、ベータ-ケトカルボン酸エステル、ヒドロキシ酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、クエン酸、アルファ-トコフェロール、アルファ-トコフェロールエステル、スーパーオキシドジスムターゼ、金属キレート剤、アスコルビン酸、アスコルビン酸エステル、プロゲステロン、オクトピロックス、ジンクピリチオン、及び過酸化ベンゾイルからなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
皮膚科学的に許容可能な担体をさらに含有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
サリチル酸誘導体と活性剤とを混合することを含む、請求項6に記載の組成物の製造方法。

【公表番号】特表2007−523832(P2007−523832A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500024(P2006−500024)
【出願日】平成16年2月6日(2004.2.6)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001169
【国際公開番号】WO2004/073745
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】