説明

有効性の改善されたイソチアゾロン含有保存剤。

【0069】
本発明は、a)1以上のイソチアゾロン及びb)1以上のグリセロールモノアルキルエーテルを含有する保存剤、化粧料及び医薬製品の殺微生物仕上げのためのその保存剤の使用及び対応する殺微生物仕上げされた製品に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、a)1以上のイソチアゾロン及びb)1以上のグリセロールモノアルキルエーテルを含有する保存剤、保存剤の化粧料或いは医薬製品の殺微生物仕上げのための使用、及び対応する殺微生物仕上げされた製品、特に化粧料或いは医薬製剤、工業製品、家庭用品、冷却潤滑剤濃縮物或いは乳濁物、及びパック保存料に関する。
【0002】
保存剤は、微生物の生育を制御するために、多くの水性系に使用されている。重要な使用分野は、クリーム、ローション、日焼け止め製品、シャンプー、シャワーゲル、入浴剤のような化粧料製剤である。保存剤はまた、家庭用の清掃、看護、衛生製品(例、手洗い用品)や多くの工業分野で使用されている。
【0003】
しかしながら、細菌、酵母、カビ、ビールスに対する広範な活性スペクトルを有し、実際に遭遇する条件下で、低使用濃度でも殺生物的有効性(微生物殺生)を発揮し、そして、化粧料或いは医薬製剤で特に重要なものである、生理学的適合性を有する改良された組成物への多大なニーズが引続き存在する。
【0004】
グリセロールモノアルキルエーテルが抗微生物作用を有することは公知である。例えば、DE 4240674 A1は、特定されたアルキル基が2-エチルヘキシル基である、消臭グリセロールモノアルキルエーテルに関するものである。そのグリセロールモノアルキルエーテルは、1以上の他の消臭物質と組み合わせて使用される。特に適切なものは、1-(2-エチルヘキシル)グリセロールエーテルであり、商品名センシバSC50(登録商標)(Schulke&Mayr Gmbh、独国)として入手可能である。しかしながら、グリセロールモノアルキルエーテルは、それ自身では、グラム陽性菌、グラム陰性菌、真菌、酵母及びビールスに対する広範な活性スペクトルを有さない。
【0005】
また、例えば、EP530986 A2から、イソチアゾリン-3-オン(イソチアゾロン)が、金属加工用冷却潤滑剤における有効な殺細菌及び殺真菌活性成分として公知である。
【0006】
本発明は、低使用濃度でも広範な活性スペクトルを有する、特に化粧料及び医薬製品用の保存剤を提供することを基本的に目的としている。保存剤はそれ自身長期間貯蔵可能である必要がある。
【0007】
驚くべきことに、この目的は、a)1以上のイソチアゾロンと、b)1以上の1-或いは2-(C-〜C24-アルキル)グリセロールエーテル(グリセロールモノアルキルエーテル)との組合せにより達成されることが、今般見出された。
【0008】
本発明は、とりわけ、ある殺微生物仕上げに対して、夫々の場合に、成分a)及びb)のより少ない量が必要であるか、ある成分a)及びb)のより少ない量に対して、より高水準の殺微生物仕上げが達成されることを発見したという事実に基づいている。
【0009】
更に、i)アリールオキシアルカノール、ii)アリールアルカノール及びiii)オリゴアルカノールアリールエステルの群から選ばれる2以上の異なる芳香族アルコール(b1、b2)の混合物は、2つの異なる芳香族アルコールが、i)、ii)及びiii)の異なる群に属する場合には、存在しなくてさえも、その組合せは、殺菌に有効であることが発見された。本発明の全具体例では、i)アリールオキシアルカノール、ii)アリールアルカノール及びiii)オリゴアルカノールアリールエステルの存在は好ましくは排除され、より好ましくは、芳香族アルコールの存在は、排除される。
【0010】
また、従来その消臭作用のために主として使用されてきたグリセロールモノアルキルエーテルの有効性と、従来金属加工用の冷却潤滑剤のための保存剤として使用されてきたイソチアゾロンの有効性とが、互いに相補って、その併用が、低濃度であっても、広範な活性スペクトルを有するものであることは、驚くべきことであった。この低濃度であることは、良好な生理学的適合性を有する。個々の成分の対応する有効性を目的として、顕著に多量の成分が使用さなければならず、それは対応するコストを伴うのみならず、そのような多量の成分の使用は、(製剤中の困難性や比較的多量であることによる生理学的不適合性の如き)不利益を伴う。これらの不利益は、本発明による組合せでは発生しない。例えば、化粧料調剤でのメチルイソチアゾロンの最大許容濃度は100ppmであり、多くの場合、不適切なまでに最高に保存された最終製品を導く。グリセロールエーテルとの併用の結果、多くて100ppmのメチルイソチアゾロンで保存された製品は、微生物学的分解に対して確実に保護される。
【0011】
イソチアゾロン
適切なイソチアゾロンは、当業者には、例えば上記EP 530986 A2から公知である。本発明により使用されるイソチアゾロンは、好ましくは、2-メチル-イソチアゾロン(メチルイソチアゾロン)、5-クロロ-2-メチルイソチアゾロン、2−n−オクチルイソチアゾロン、ベンゾイソチアゾロン、4,5-ジクロロ-2-n-メチルイソチアゾロン、4,5-ジクロロオクチルイソチアゾロン及びn-ブチルベンゾイソチアゾロンから選ばれ、好ましくは、メチルイソチアゾロン、4-クロロ2-メチルイソチアゾロン、2-n-オクチルイソチアゾロン、ベンゾイソチアゾロン及びそれらの混合物である。特に好ましいのは、メチルイソチアゾロンである
グリセロールモノアルキルエーテル
適切なグリセロールモノアルキルエーテルは、当業者には、例えばDE 4240674 A1で公知である。グリセロールモノアルキルエーテルのアルキル基は、好ましくは分岐或いは非分岐C-〜C18-アルキル基であり、ここで、アルキル基は、1以上のヒドロキシル及び/又はC-〜C-アルコキシ基で置換されていてもよく、及び/又はアルキル鎖は、4個までの酸素原子により介在されていてもよい。1-モノアルキルグリセロールエーテルが好ましい。
【0012】
例えば、そのアルキル基が、分岐或いは非分岐C-〜C18-炭化水素基であり、好ましくは、分岐或いは非分岐C-〜C12-炭化水素基であり、好ましくは、分岐或いは非分岐オクチル基であり、特に2-エチルへキシル基である、グリセロールモノアルキルエーテルが使用される。
【0013】
本発明により使用されるグリセロールモノアルキルエーテルの例は、1或いは2位を(即ち、対称或いは非対称)、飽和或いは非飽和、分岐或いは非分岐アルキルで置換されたグリセロールモノアルキルエーテルであり、ドデシルグリセロールエーテル、デシルグリセロールエーテル、ノニルグリセロールエーテル、オクチルグリセロールエーテル、ヘキシルグリセロールエーテル、プロピルグリセロールエーテル、オクタデシルグリセロールエーテル(バチルアルコール)、ヘキサデシルグリセロールエーテル(キミルアルコール)、メチルグリセロールエーテル及びオクタデシニルグリセロールエーテル(セラキルアルコール)のようなものである。好適なものは、1-モノアルキルグリセロールエーテルを使うものである。非常に特に好適なものは、1-(2-エチルヘキシル)グリセロールエーテル及びドデシルグリセロールエーテルである。本発明の好適な一般的具体例では、a)イソチアゾロンは、メチルイソチアゾロンであり、そしてb)グリセロールモノアルキルエーテルは、1-(2-エチルヘキシル)グリセロールエーテルである。
【0014】
一つの具体例では、本発明は、その組合せを含み、濃縮物形態である保存剤に関するものであって、i)アリールオキシアルカノール、ii)アリールアルカノール及びiii)オリゴアルカノールアリールエステルの群から選ばれる2以上の異なる芳香族アルコール(b1、b2)の混合物の存在は、2種の異なる芳香族アルコールが、i)、ii)及びiii)の異なる群に属する場合には、排除される。本発明による成分(a)と(b)に加えて、本発明による保存剤は、更なる成分を含有する。更なる成分は、固体状、液体状、気体状の更なる活性成分、機能性添加成分或いは補助成分であってよい。更なる活性成分、機能性添加成分或いは補助成分の例は、EDTA、NTA、ホスホネート、グリシン誘導体、オクタクエスト(Octaquest、トリソジウムエチレンジアミンジサクシネート)の如き金属錯体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼチオニウムの如き4級塩、IPBC、DBDCB、ブロノポール(Bronopol)その他の如きオルガノハロゲン化合物、水、アルコール、グリコール、グリコールエーテル、ポリオール(例;1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、グリセロール、1,2-プロピレングリコール、ブチレングリコールその他)のような溶媒及び溶解促進剤、Cu塩、Ag塩、Zn塩その他のごとき金属塩である。オルガノハロゲンを含まない更なる添加物が好ましい。更なる成分を含む本発明による調製物の組合せは、有効性の相乗的な増加を導くことができる。
【0015】
ここで、好ましくは、場合により、必要であれば、少量の(例えば、20重量%までの、好ましくは、0.5〜10重量%、特に2重量%のような1〜3重量%)溶媒及び/又は溶解促進剤を添加した、2つの成分a)及びb)から本質的に成る濃縮物である。
【0016】
本発明による濃縮物において、成分a)の好ましい量は、0.1〜30重量%、好ましくは、1〜20重量%、より好ましくは3〜5重量%であるが、特に約8重量%のような5〜10重量%である。加えて、本発明による濃縮物において、成分b)の好ましい量は、99.9〜70重量%まで、好ましくは、99〜80重量%、より好ましくは96〜85重量%であるが、特に90重量%のような93〜88重量%である。
【0017】
非常に好ましい具体例では、保存剤は、約2重量%の溶媒或いは希釈剤(例;水)中に、約8重量%の2-メチルイソチアゾロン及び約90重量%の1-(2-エチルヘキシル)グリセロールエーテルを含有する。
【0018】
更なる具体例では、保存剤濃縮物は、0.1〜30重量%のa)成分、0.1〜30重量%のb)成分及び随意に、溶媒、例えば水、アルコール、グリコール、グリコールエーテル或いはポリオールの如き更なる成分を含有する。
【0019】
更に、本発明は、本発明による保存剤の使用、或いはa)成分及びb)成分の組合せの製品の殺微生物仕上げのための使用に関する。本発明によれば、その使用は、ある殺微生物仕上げに対して、特定成分のより少ない量が必要であるか、特定成分のある量に対して、より高水準の殺微生物仕上げが達成されることを特徴とする。また、本発明による使用は、製品の殺微生物仕上げにおいて、i)アリールオキシアルカノール、ii)アリールアルカノール及びiii)オリゴアルカノールアリールエーテルの群から選ばれる2以上の異なる芳香族アルコール(b1、b2)の混合物の存在は、2種の異なる芳香族アルコールが、i)、ii)及びiii)の異なる群に属する場合には、排除される。
【0020】
本発明はまた、本発明による組合せに加えて慣用成分を含有する製品(好ましくは、化粧料及び医薬製品)に関する。特別な生理学的適合性により、本発明による組合せは、広範な利用分野を有する。保存剤及び製品は、水性製剤のような透明で均一な形態で、或いは、ゲルのような低粘性或いは高粘性の形態である。本発明の組合せは、広範なpH範囲に亘り有効であり、強酸性から強アルカリ性媒体で使用でき、好ましいpH範囲は3〜11であり、特に好ましいpH範囲は5〜9である。保存剤は、また、分散物、ペーストの如き半固体製剤或いは固体の形態(例、粉末、粒子)である。
【0021】
ここで製品として言及される製剤例は、以下のとおりである。
【0022】
1)皮膚外用及び化粧料製品、例、日焼け止め製剤、湿潤拭い取り、薄膜形成性ポリマー製剤、歯磨き、介護用品、メークアップ、口紅、爪ワニスのような洗い流さないタイプ或いはすすぐタイプの局所用製品、
2)等張溶液、薬、ワクチンのような医薬製剤、及び
3)消臭剤、足消臭剤、消毒用アルコールスプレー、手動器具(manual instrument)製剤組成物のような消毒製剤。
【0023】
4)清掃剤、洗浄剤、柔軟剤、消泡剤その他のような家庭用品、塗料、散布物、接着剤、乳剤、その他のような工業製品。
【0024】
本発明により殺微生物仕上げされた製品は、特に、化粧料及び医薬製剤、工業製品、家庭用品、冷却潤滑剤濃縮物、乳剤及びパック保存剤である。
【0025】
本発明により安定化された製品で処理されることのできる表面は、
i)皮膚、粘膜、傷、植物、植物の一部(生きている表面)のような生物材料、及び
ii)コンタクトレンズ、傷被覆材の如き、皮膚、粘膜、傷に接触する材料、例えば、生物或いは無生物の表面及びその他(硬い表面)の如き、本発明により安定化された製品と接触する表面
である。
【0026】
本発明は、とりわけ以下の利点を提供する。
【0027】
-組合せは、経済効率的な成分から調製される。
【0028】
-組合せは、pH中立性であり、非常に攻撃性ではなく(低い腐食作用)、従って、材料適合性が十分に良好である。
【0029】
-組合せ及び保存剤は、低臭、低放出、不活性で他の添加成分或いは補助成分との適合性が充分に良好で、毒物学的、環境毒物学的に受容可能で、生理学的に受容可能(皮膚との適合性が充分に良好)で、すすぐことにより、簡単に適切に除去することができる。
【0030】
-組合せは、泡が少なく、酸化とpHに対して安定である。
【0031】
これに加えて、a)イソチアゾロン及びb)グリセロールモノアルキルエーテルに関する本発明ではない組合せでは物理的に不可能で(これら物質の水への限定された溶解度が原因)、許されない(前記した(メチル)イソチアゾロンの最大量が原因)ような、所望の高い有効性が、驚くべきことに、本発明により達成され得るという事実がある。最後に、その成分はまた、相乗的作用を有し、本発明による組合せの、保存されるべき(殺微生物仕上げされた)製品中の選択された最終濃度は、必要とされる高い効果にもかかわらず、比較的低くすることができる。
【0032】
本発明による組合せは、このように前述した先行技術の問題を解決し、貯蔵中の活性成分の分離が少ないために、良好な安定性を有し、低pH値及び高pH値また低温度及び高温度(それらは低温度で安定性であり、熱安定性である)及び酸化剤及び還元剤に対して敏感でなく、化粧料及び医薬製品の慣用成分への適合性が良く、したがって、パラベンのような他の「ソフトな」保存剤の良好な代替物となる。
【0033】
本発明による組合せは、細菌、酵母、真菌及びビールスに対して広範な有効性を有し、また、臭いの原因である微生物、マラセチア フルフル(malassezia furfur)、プロピオニバクテリウム アクネス(propionibacterium acnes)その他の如き「皮膚/頭髪問題(フケ、ざ瘡、斑点皮膚)を引き起こす」微生物のような「問題微生物」に対して広範な有効性を有する。
【0034】
本発明による好ましい組合せは、また、低温度では液体であり、それゆえ簡単に取り扱え、計量できる。好ましくは、DE 10028638に開示された抗酸化剤が使用される。特に、(ビタミンEのような)トコフェロール及びその誘導体を抗酸化剤として添加すると、(1-(2-エチルヘキシル)グリセロールエーテルのような)グリセロールモノアルキルエーテルを含む製品の不安定化を抑制する。
【0035】
殺微生物仕上げされた製品において、本発明による組合せにおけるa)成分及びb)成分の合計量は、好ましくは、100〜10000ppm(0.01〜1重量%)であり、好ましくは、約1000ppmのような500〜5000ppmである。ここで、好ましい成分量は、a)は、8〜800ppm、より好ましくは40〜400ppmあるいは、約80ppmのような50〜160ppmであり、及び/又は、b)は、90〜9000ppm、より好ましくは450〜4500ppm、特に、約900ppmのような630〜1800ppmである。
【0036】
本発明の効果は、以下の実例から特に明らかである。
【0037】
実施例
使用材料:
ネオロン=ネオロン(Neolone 登録商標)950、水中9.5%濃度のメチルイソチアゾロン溶液;
センシバ=センシバ(Sensiva 登録商標)SC50、1-(2-エチルヘキシル)グリセロールエーテル;
カルボポル=カルボポル(Carbopol 登録商標)ETD 2020、架橋結合ポリアクリル酸共重合体。
【0038】
次の標準処方A)及びB)が使用された。
【0039】
A)標準ゲル
【表1】

【0040】
カルボポルは、グリセロール中に分散される。バッチ中で、水と次いでNaOHがそこに加えられる。ゲルはすぐに濃くなる。
【0041】
B)保湿剤処方 6940
セピック(Seppic)処方手順に従い、保存剤なし。
【0042】
化粧料処方における化学的保存剤の保存効果の決定方法
原理
説明された方法を使って、化学的保存剤の有効性が、化粧料処方のパック保存に関して試験される。この目的のために、種々の試験バッチにおいて、調査されるべき保存剤が、保存剤のない試料に種々の濃度で添加される。連続的な微生物負荷が、試験バッチを周期的に接種することにより達成される。接種と並行して、個々のバッチの夫々の画線(streaks)が、夫々の場合に前もってすぐに作られた。評価は、画線の微生物生育への参照によりなされる。微生物成長の最初の出現前の期間が長ければ長いほど、保存剤はがより有効であることになる。
【0043】
溶液及び培地
【表2】

【0044】
試験菌
【表3】

【0045】
試験菌の培養
細菌は、無菌ガラス棒を使って、CS培地の全表面に亘り均一に画線され、24時間、30±1℃でインキュベートされる。酵母カンジダ アルビカンス(C.arubicans)は、無菌ガラス棒を使って、サブロー(Sabouraud)培地の全表面に亘り均一に画線され、48時間、30±1℃でインキュベートされる。
【0046】
細菌と酵母カンジダ アルビカンス(C.arubicans)の実験室培養は、4週間毎に交換される。
【0047】
真菌アスペルギウス ニガー(A.niger)とペニシリウム フニクロスム(P.funiculosum)は、無菌ガラス棒を使って、一つ(A.niger)或いは二つ(P.funiculosum)のサブロー皿(100μg/mlのゲンタマイシンと50μg/mlのクロラムフェニコールを含む)に画線され、7〜14日間、25±2℃でインキュベートされる。
【0048】
真菌アスペルギウス ニガー(A.niger)とペニシリウム フニクロスム(P.funiculosum)の実験室培養は、3週間毎に移送される。
【0049】
画線培養は12月毎に交換される。
【0050】
出発真菌懸濁液の調製
混合懸濁液を調製するために、アスペルギウス ニガー(A.niger)とペニシリウム フニクロスム(P.funiculosum)の出発懸濁液が先ず調製される。
【0051】
アスペルギウス ニガー(Aspergillus niger)
7〜14日経過後のサブロー皿が、10ml(2×5ml)の無菌0.85%(W/V)NaCl溶液ですすがれる。すすがれた真菌懸濁液は、ガラスウール(無菌)濾過器を通り、無菌100mlメスシリンダーに注がれ、無菌0.85%NaCl溶液で100mlにされる。このようにして得られたアスペルギウス ニガー(A.niger)懸濁液は、無菌ガラスビーズを含む無菌ガラス栓ビンにその後移送される。
【0052】
アスペルギウス ニガー(Aspergillus niger)懸濁液の力価;〜10CFU/ml
ペニシリウム フニクロスム(P.funiculosom)
7〜14日経過後のサブロー皿が、10ml(2×5ml)の無菌0.85%(W/V)NaCl溶液ですすがれる。すすがれた真菌懸濁液は、ガラスウール(無菌)濾過器を通り、無菌100mlメスシリンダーに注がれ、無菌0.85%NaCl溶液で100mlにされる。このようにして得られたペニシリウム フニクロスム(P.funiculosum)懸濁液は、無菌ガラスビーズを含む無菌ガラス栓ビンにその後移送される。
【0053】
ペニシリウム フニクロスム(P.funiculosum)懸濁液の力価;〜10CFU/ml
上記のように調製された真菌懸濁液は、3週間、5℃±2℃で冷蔵庫に貯蔵され、この時までに使用される。混合懸濁液の調製のための使用に先立って、真菌懸濁液は、均一な懸濁液を得るために短時間振り混ぜられねばならない。
【0054】
出発真菌懸濁液の力価は、少なくとも年4回モニターされる。
【0055】
混合懸濁液の調製
混合懸濁液を調製するために、1株につき1皿の細菌は、CSA皿につき5mlの無菌0.85%(W/V)NaCl溶液ですすがれ、ガラスウールを含む無菌ガラス漏斗で、(無菌)ろ過され、0.85%NaCl溶液で150mlにされる。この細菌懸濁液は、〜1010CFU/mlの力価を有する。
【0056】
酵母カンジダ アルビカンス(C.arubicans)は同様に、サブロー皿から、10mlの無菌0.85%NaCl溶液ですすがれ、ガラスウールを含む無菌ガラス漏斗で(無菌)ろ過される。上記のように調製された真菌懸濁液(アスペルギウス ニガー(Aspergillus niger)及びペニシリウム フニクロスム(P.funiculosum))の夫々10mlが、この懸濁液に添加される。上記のように調製された3mlの細菌懸濁液(力価は〜1010CFU/ml)が添加される。結果得られた混合懸濁液は、無菌0.85%(W/V)NaCl溶液で150mlにされる。
【0057】
混合懸濁液の細菌力価は、〜10CFU/mlである。混合懸濁液中のカンジダ アルビカンス(C.arubicans)の力価は、〜10CFU/mlである。混合懸濁液中のアスペルギウス ニガー(Aspergillus niger)及びペニシリウム フニクロスム(P.funiculosum)の力価は、〜10CFU/mlである。
【0058】
混合懸濁液の力価は、少なくとも年4回モニターされる。
【0059】
実施
別々のバッチで、保存されるべき材料25g或いは50gが、調査されるべき保存料の濃度を変えて夫々の場合に予備混合される。夫々の場合に使用された生育対照は、保存剤の配合されない製品試料である。
【0060】
試験バッチは、CS及びサブロー培地上に、1週間に1度画線され、最初の画線は、再接種に先立って直接実行される。これらのバッチは、その後混合懸濁液(25g試料の場合は0.1ml、50g試料の場合は0.2ml)で接種される。接種された試料は、全試験期間中、25±2℃でインキュベートされる。
【0061】
25±2℃でインキュベートされた画線の微生物生育は、3から4日後に評価される。安全サイドに立って、陰性の画線は更に2日観察され、再評価される。個々の濃度の製品の保存効果は、個々の画線の生育を「−」から「+」を経て「+++」とする格付けによって、半定量的方法で評価される。試験は通常6接種周期で実行されるか、2度に亘って多量生育(+++)すると終了される。
【0062】
5回の連続する接種周期後に、保存料を使用した試料にも、保存料を使用しない試料(ブランク値)にも、生育が検出されない場合でさえも、その後6回目の接種周期が、5倍量の混合懸濁液(25g試料の場合は0.5ml、50g試料の場合は1ml)で実行される。
【0063】
結果の評価
上記実験室条件下、6週間周期後に試料バッチには微生物の蔓延もなく、すなわち6回目の接種後でさえも微生物生育が検出されなければ、保存料は、良好とみなされる。
【0064】
説明:
【表4】

【0065】
実施例1
6940処方の抗菌効果
【表5】

【0066】
実施例2
標準ゲルの抗菌効果
【表6】

【0067】
結果:実施例1及び2に対する上記結果は、イソチアゾロンとグリセロールエーテルは、驚くべきことに、互いにその有効性を相補うことを立証している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1以上のイソチアゾロン及びb)1以上のグリセロールモノアルキルエーテルを含有し、i)アリールオキシアルカノール、ii)アリールアルカノール及びiii)オリゴアルカノールアリールエーテルの群から選ばれる2以上の異なる芳香族アルコール(b1、b2)の混合物の存在は、その2種の異なる芳香族アルコールが、i)、ii)及びiii)の異なる群に属する場合には、排除される保存剤。
【請求項2】
請求項1記載の保存剤であって、イソチアゾロンが、2-メチルイソチアゾロン、5-クロロ-2-メチルイソチアゾロン、2-n-オクチルイソチアゾロン、ベンゾイソチアゾロン、4,5-ジクロロ-2-n-メチルイソチアゾロン、4,5-ジクロロオクチルイソチアゾロン及びn-ブチルベンゾイソチアゾロンから選ばれ、ここで、2-メチルイソチアゾロン、4-クロロ-2-メチルイソチアゾロン、2-n-オクチルイソチアゾロン、ベンゾイソチアゾロン及びそれらの混合物が好適であり、2-メチルイソチアゾロンが、特に好適であることを特徴とする保存剤。
【請求項3】
請求項1或いは2記載の保存剤であって、グリセロールモノアルキルエーテルが、1-モノアルキルグリセロールエーテルであって、ここで、アルキル基は、好ましくは分岐或いは非分岐C-〜C18-アルキル基であり、ここで、アルキル基は、1以上のヒドロキシル及び/又はC-〜C-アルコキシ基で置換されていてもよく、及び/又はアルキル鎖は、4個までの酸素原子により介在されていてもよいことを特徴とする保存剤。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項記載の保存剤であって、グリセロールモノアルキルエーテルのアルキル基が、分岐或いは非分岐C-〜C18-炭化水素基であり、好ましくは、分岐或いは非分岐C-〜C12-炭化水素基であり、より好ましくは、分岐或いは非分岐オクチル基であり、特に2-エチルへキシル基であることを特徴とする保存剤。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項記載の保存剤であって、保存剤は濃縮物の形態であり、a)成分の量は、0.1〜30重量%、好ましくは、1〜20重量%、より好ましくは、3〜5重量%であるが、特に、約8重量%のような5〜10重量であることを特徴とする保存剤。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項記載の保存剤であって、保存剤は濃縮物の形態であり、b)成分の量は、99.9〜70重量%、好ましくは、99〜80重量%、より好ましくは、96〜85重量%であるが、特に、約90重量%のような93〜88重量であることを特徴とする保存剤。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項記載の保存剤であって、更に、c)1以上の更なる活性成分及び/又は機能性添加成分及び/又は補助成分を含有することを特徴とする保存剤。
【請求項8】
a)1以上のイソチアゾロン及びb)1以上のグリセロールモノアルキルエーテルの組合せの、製品の殺微生物仕上げのための使用であって、ここで、その組合せは、
成分a)のより少ない量が、ある殺微生物仕上げにとって必要であることを、容易にするか、
成分b)のより少ない量が、ある殺微生物仕上げにとって必要であることを、容易にするか、
成分a)のある量に対して、より高水準の殺微生物仕上げが達成されることを、容易にするか、
成分b)のある量に対して、より高水準の殺微生物仕上げが達成されることを、容易にするものである使用。
【請求項9】
a)1以上のイソチアゾロン及びb)1以上のグリセロールモノアルキルエーテルの組合せの、製品の殺微生物仕上げのための使用であって、ここで、i)アリールオキシアルカノール、ii)アリールアルカノール及びiii)オリゴアルカノールアリールエーテルの群から選ばれる2以上の異なる芳香族アルコール(b1、b2)の混合物の存在は、2種の異なる芳香族アルコールが、i)、ii)及びiii)の異なる群に属する場合には、排除されるものである使用。
【請求項10】
慣用成分及びa)1以上のイソチアゾロン及びb)1以上のグリセロールモノアルキルエーテルを含有する殺微生物仕上げされた製品であって、ここで、i)アリールオキシアルカノール、ii)アリールアルカノール及びiii)オリゴアルカノールアリールエーテルの群から選ばれる2以上の異なる芳香族アルコール(b1、b2)の混合物の存在は、2種の異なる芳香族アルコールが、i)、ii)及びiii)の異なる群に属する場合には、排除される製品。
【請求項11】
慣用成分及びa)1以上のイソチアゾロン及びb)1以上のグリセロールモノアルキルエーテルを含有する殺微生物仕上げされた製品であって、ここで、a)とb)の組合せは、
成分a)のより少ない量が、ある殺微生物仕上げにとって必要であることを、容易にするか、
成分b)のより少ない量が、ある殺微生物仕上げにとって必要であることを、容易にするか、
成分a)のある量に対して、より高水準の殺微生物仕上げが達成されることを、容易にするか、
成分b)のある量に対して、より高水準の殺微生物仕上げが達成されることを、容易にする。
【請求項12】
請求項10或いは11記載の製品であって、化粧料用或いは医薬製剤の形態であり、a)約0.008重量%の2-メチルイソチアゾロン及びb)0.09重量%の1-(2-エチルヘキシル)グリセロールエーテルを含むことを特徴とする製品。

【公表番号】特表2008−533086(P2008−533086A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501269(P2008−501269)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際出願番号】PCT/EP2006/060383
【国際公開番号】WO2006/097407
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(399035504)エール・リキード・サンテ(アンテルナスィオナル) (26)
【Fターム(参考)】