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有害微量物質のサンプリング方法および測定方法ならびに抑制方法
説明

有害微量物質のサンプリング方法および測定方法ならびに抑制方法

【課題】 有害微量物質濃度の測定が行われたときに、測定結果に対する信頼性を高めることができる有害微量物質のサンプリング方法と、排ガス中の有害微量物質の濃度検出をリアルタイムにかつ連続的に行うことができる有害微量物質の測定方法と、排ガス中の有害微量物質を法定値よりも低濃度に抑制することができる有害微量物質の抑制方法を提供する。
【解決手段】 一定速度vで吸収液が供給・排出される吸収液槽22内の吸収液中に、煙突8から抜き出した排ガスを供給して、その排ガス中の有害微量物質を吸収液中に吸収・捕集する。次いで、吸収液中の有害微量物質の濃度検出を、レーザ計を具備する分析器25を用いて連続的にかつリアルタイムに検出し、この検出結果に基づき、排ガス中の有害微量物質濃度を算出する。そして、排ガス中の有害微量物質濃度に基づいて、上流側ダクト5内の排ガスへの吸着剤の吹込み量をフィードバック制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵処理後の排ガス中に含まれる有害微量物質のサンプリング方法および、その有害微量物質の測定方法ならびに、有害微量物質の抑制方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、都市ごみ等の廃棄物は、焼却設備における焼却炉内に投入されて焼却処理される。また、焼却炉による焼却処理に伴い発生する排ガスは、ボイラーおよびエコノマイザ等による熱回収および減温処理、酸性ガス(HCl、SOx等)除去用のアルカリ薬剤(消石灰・重曹等)の吹込み処理、ダイオキシン類を吸着させるための吸着剤(活性炭・重曹等)の吹込み処理が順次なされた後、集塵装置により集塵処理される。こうして、ダスト、酸性ガスとアルカリ薬剤との中和により生成された塩およびダイオキシン類を吸着した吸着剤が集塵・除去された排ガスは、清浄ガスとなって系外に排出される。
【0003】
ところで、近年においては、地域社会の安全性の確保、環境汚染の防止等を図るため、排出される排ガス中の有害微量物質、特に、毒性が極めて高いダイオキシン類の排出規制が強化されており、焼却設備には、年1回以上のダイオキシン類の測定および都道府県知事への報告と、排出基準の遵守が義務付けられている。
【0004】
前記ダイオキシン類の測定方法としては、例えば、ダイオキシン類対策特別措置法施行規則第2条およびJIS K 0311に準じた測定方法が挙げられる。以下、このダイオキシン類対策特別措置法施行規則第2条およびJIS K 0311に準じた測定方法を図3を参照しつつ説明する。
【0005】
図3に示されるように、ダスト除去後の煙道から抜き出された排ガスは、ろ紙101でろ過された後、氷もしくはドライアイスにてそれぞれ冷却される第1の水槽102a、第2の水槽102b、第1の空気槽103a、吸着剤(例えば、XAD樹脂)が充填された充填カラム104、ジエチレングリコールが貯留される液槽105、第2の空気槽103bを順次通過し、吸引ポンプ106にて吸引されて系外に排出される。なお、図中符号107で示されるのは、流量計である。一方、排ガス中に含まれるダイオキシン類は、ろ紙101、第1および第2の水槽102a、102b内の水、充填カラム104内の吸着剤、液槽105内のジエチレングリコールによって吸収・捕集される。
【0006】
このような排ガスの吸引を4時間以上行った後、前記ろ紙100、各水槽102a,102b内の水、充填カラム104内の吸着剤、液槽105内のジエチレングリコールのそれぞれについて、ダイオキシン類の濃度検出を所定の手順に従って行う。これにより、排ガス中のダイオキシン類濃度が厳密な数値として検出される。なお、排ガス中のダイオキシン類は、前記第1および第2の水槽102a、102b内に貯留される水によって、その大部分(94〜99%)が捕集されることが明らかにされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の測定方法は、排ガス中のダイオキシン類濃度を厳密に測定できるという利点があるものの、JISの規定によって4時間以上もの間排ガスを吸引し続ける必要があり、しかも、捕集されたダイオキシン類の抽出操作や高分解能質量分析計による測定等を行う必要があり、測定結果が出るまでに一ヶ月以上もの期日を要するという問題点がある。加えて、前記ダイオキシン類の測定は、ダイオキシン類対策特別措置法第28条に年一回以上と規定されており、時間だけでなくコストもかかる測定方法であることから、各プラントにおいて年一、二回しか実施されないのが普通である。したがって、非測定期間が長くなり、その間、ダイオキシン類の排出規定を遵守しているのか否かが不明となるので、周辺住民に十分な安心を与えている状況とは言えない。このことから、排ガス中のダイオキシン類濃度の常時監視が周辺住民から度々要請されているが、今までのダイオキシン類の測定方法は、いずれも測定に時間がかかるため、そうした周辺住民の要請に応えることができていないのが実情である。
【0008】
また、前記測定方法では、前述のように、測定結果が得られるまでに時間がかかるため、その測定結果は、排出基準を遵守しているか否かの判定にしか利用できず、例えば、得られた測定結果を利用して、ダイオキシン類吸着剤の吹込み量の調整を行い、ダイオキシン類の排出を抑制する運転制御を行うこと等は不可能であった。そのため、ダイオキシン類の濃度変動を見越して、余裕をみた吸着剤の吹込み量が設定されるが、ダイオキシン類濃度の除去を最優先する必要があることから、吸着剤の吹込み量が過剰に設定されがちになり、資源を有効に利用できず、ランニングコストの上昇に繋がるという問題点がある。
【0009】
一方、近年においては、集塵装置よりも下流側の排ガスを直接的に測定するという方法が試みられている。しかしながら、ダイオキシン類の場合、法定濃度を超えているか否かは別にして、集塵装置よりも下流側の排ガスに含有されているダイオキシン類濃度は、極めて低い濃度であるため、クロロベンゼン類、クロロフェノール類等をダイオキシン類代替指標として測定するが、ダイオキシン類の濃度変動が正しく反映されないことが多く、しかも、排ガスの流速の変動、水分等の性状の変動によって大きな誤差が生じる恐れもあるため、測定結果の精度に信頼が置けず、各種制御に使うには難があるという問題点がある。
【0010】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、有害微量物質の濃度測定が行われたときに、実際の排ガス中の有害微量物質の濃度変動を測定結果に正しく反映させてその測定結果に対する信頼性を高めることができる有害微量物質の連続サンプリング方法を提供し、加えて、排出される排ガス中のダイオキシン類等の有害微量物質濃度を、迅速にかつリアルタイムにかつ精度良く測定して、排ガス中の有害微量物質濃度の監視を常時行うことができ、測定結果を制御の指標として用いることができる有害微量物質の測定方法を提供するとともに、有害微量物質の濃度変動に確実に対応して吸着剤の吹込み量を調整することができる有害微量物質の抑制方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、第1発明による有害微量物質のサンプリング方法は、
排ガスを処理する集塵手段の下流側の排ガスに含まれる有害微量物質のサンプリング方法であって、
前記集塵手段の下流側の排ガスを一部抜き出し、連続的に供給・排出される吸収液中にその排ガスを連続的に通して前記有害微量物質をその吸収液で捕集することを特徴とするものである。
【0012】
次に、第2発明による有害微量物質の測定方法は、
排ガスを処理する集塵手段の下流側の排ガスに含まれる有害微量物質を測定する有害微量物質の測定方法であって、
前記集塵手段の下流側の排ガスを一部抜き出し、連続的に供給・排出される吸収液中にその排ガスを連続的に通して前記有害微量物質をその吸収液で捕集し、この吸収液中の有害微量物質濃度を、有害微量物質濃度の連続検出が可能な有害微量物質濃度検出手段を用いてリアルタイムに検出し、この測定結果に基づき排ガス中の有害微量物質濃度を演算することを特徴とするものである。
【0013】
また、第3発明による有害微量物質の抑制方法は、
排ガスを処理する集塵手段の上流側に、有害微量物質を吸着させる吸着剤を吹き込む有害微量物質の抑制方法であって、
前記集塵手段の下流側の排ガスを一部抜き出し、連続的に供給・排出される吸収液中にその排ガスを連続的に通して前記有害微量物質をその吸収液で捕集し、この吸収液中の有害微量物質濃度を、有害微量物質濃度の連続検出が可能な有害微量物質濃度検出手段を用いてリアルタイムに検出し、この測定結果に基づき排ガス中の有害微量物質濃度を演算し、この演算結果に基づき排ガス中の有害微量物質を吸着・除去する吸着剤の吹込み量をフィードバック制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
前記第1発明によれば、排ガス中の有害微量物質が吸収液に捕集される。そのため、吸収液の流速を適宜調節することによって、(例えば、吸収液の供給・排出速度を排ガスの供給速度よりも十分に低く抑えることによって)吸収液中の有害微量物質濃度を、一定程度の高濃度に保つことができる。したがって、吸収液中の有害微量物質の濃度測定および、この測定結果に基づく排ガス中の有害微量物質濃度の演算が行われたときに、実際の排ガス中の有害微量物質の濃度変動を正しく測定結果および演算結果に反映させることができ、得られる結果(吸収液中および排ガス中の有害微量物質濃度)に対する信頼性を高めることができる。
【0015】
前記第2発明によれば、排ガス中の有害微量物質を吸収液で捕集し、この吸収液中の有害微量物質を測定するようにされているため、この吸収液中の有害微量物質濃度を精度良く測定することができる。また、吸収液中の有害微量物質の濃度検出は、有害微量物質濃度検出手段により連続的にかつリアルタイムに行われるので、その吸収液中の有害微量物質濃度に基づいた、排ガス中の有害微量物質濃度の演算も迅速かつ連続的に行うことができる。したがって、焼却設備等が有害微量物質の排出規定を遵守しているか否かを常時監視することができるので、周辺住民に安心感を与えることができる。さらに、前述のように、吸収液中の有害微量物質の濃度に基づいて、排ガス中の有害微量物質濃度が迅速に演算されるので、その演算結果を、各種制御の指標として用いることができる。
【0016】
次に、前記第3発明によれば、有害微量物質濃度検出手段によりリアルタイムに検出された吸収液中の有害微量物質濃度に基づき、排ガス中の有害微量物質濃度が演算され、その排ガス中の有害微量物質濃度の変動に応じて、吸着剤の吹込み量がフィードバック制御されるため、排ガス中の有害微量物質濃度を、法定値よりも低濃度に確実に抑制することができる。また、排ガス中の有害微量物質の濃度変動が、吸着剤の吹込み量に反映されることになるので、吸着剤の過剰な吹込みを防止できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明による有害微量物質のサンプリング方法および測定方法ならびに抑制方法の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1には、本発明の一実施形態に係る焼却設備の概略構成図が、図2には、排ガスのサンプリング装置の概略構成図がそれぞれ示されている。
【0019】
一般に、焼却設備1に搬送された廃棄物は、適度な大きさに破砕された後、焼却炉2に投入されて焼却処理される。焼却によって生じた排ガスは焼却炉2の下流側に配されるボイラー装置3、およびエコノマイザ(および/または水噴霧ガス冷却塔)4によって減温化された後、集塵装置(集塵手段)6の上流側のダクト(以下、「上流側ダクト」という。)5内を通ってその集塵装置6に供給されて集塵処理され、集塵装置6の下流側のダクト(以下、「下流側ダクト」という。)7および煙突8を通って系外に排出される。なお、図中符号9で示されるのは排ガスを煙突8に向けて誘引するための空気誘引装置である。
【0020】
前記焼却炉2から排出される排ガス中には、ダストの他、人体への悪影響が著しいダイオキシン類を代表とする有害微量物質や、HCl,SOx等の酸性ガスが含まれているため、これらダイオキシン類・酸性ガスを排ガス中から確実に除去する必要がある。そこで、前記焼却設備1には、ダイオキシン類を吸着するための吸着剤(活性炭)と、酸性ガスを中和させるためのアルカリ薬剤(例えば消石灰等)を、前記上流側ダクト5内の排ガスに吹き込むための吹込装置10が付設されている。
【0021】
前記吹込装置10は、吹込ブロワ11と、この吹込ブロワ11と前記上流側ダクト5とを接続する吹込用ダクト12と、前記吸着剤を貯留する吸着剤貯留槽13と、アルカリ薬剤を貯留するアルカリ薬剤貯留槽14とを備えて構成されている。また、前記吸着剤貯留槽13およびアルカリ薬剤貯留槽14の下部には、供給装置13a、14aがそれぞれ付設されており、これら供給装置13a、14aによって、各薬剤の供給量が調整されるようになっている。また、前記吸着剤貯留槽13の供給装置13aには、後述のコントローラ30による演算結果に基づき、吸着剤の吹込み量を制御する制御機構13bが設けられている。
【0022】
また、前記焼却設備1には、煙突8内の排ガスを一部抜き出し、その排ガス中のダイオキシン類濃度を連続的に検出するサンプリング装置20が付設されている。
【0023】
図2に示されるように、前記サンプリング装置20は、排ガス中のダイオキシン類等を吸収して捕集するための吸収液を、一定の供給速度vで供給する吸収液供給源21と、この吸収液供給源21から供給速度vで供給される吸収液を一旦貯留する吸収液槽22と、前記煙突8から抜き出された排ガスを、一定の供給速度Fで吸収液槽22内の吸収液中に供給するための引込用ダクト23aと、吸収液槽22内の吸収液によりダイオキシン類等が捕集された後の排ガスを前記煙突8に還流させるための還流ダクト23bと、この還流ダクト23bに設けられる還流ポンプ23cを備えている。また、前記吸収液槽22には、内部の吸収液を(供給速度vと同速の)排出速度vで下流側に排出する液管24が取り付けられおり、この液管24の途中には、液管24を流通する吸収液中のダイオキシン類濃度を連続的に、かつリアルタイムに検出する分析器(有害微量物質濃度検出手段)25が介挿されている。
【0024】
前記分析器25は、レーザ計を備えており、このレーザ計からのレーザ光線を液管24内の吸収液中に照射し受信するようにされている。そして、照射前のレーザ光線と、照射後の受信されたレーザ光線とを比較して、吸収液を通ることで減衰・吸収された波長を分析し、この分析結果に基づいて、吸収液中のダイオキシン類濃度を連続的にかつリアルタイムに検出するようにされている。
【0025】
なお、前記分析器25によって測定された後の吸収液は、廃液槽26に排出され、焼却炉2内の噴霧等に再利用される。
【0026】
本実施形態において、前記焼却設備1には、データの入・出力部、記憶部、後述の演算を行うための演算部を備えたコントローラ30が付設されている。このコントローラ30の入力部には、前記分析器25による検出結果が随時入力される。また、記憶部には、吸着剤の吹込み量を演算する際に用いられるダイオキシン類濃度の設定値、ダイオキシン類の吸着率−吸着剤の吹込み量の相関データ等が記憶されている。ここで、前記設定値は、排ガス中のダイオキシン類濃度の目標となる値であり、少なくとも法定値よりも低濃度に設定されている。また、前記相関データは、吸着剤に対するダイオキシン類の吸着率と、吸着剤の吹込み量との相関を実測に基づき予め求めたものであり、図示は省略するが、吹込み量が高くなるに連れて、ダイオキシン類の吸着率が上昇する傾向を示している。
【0027】
前記コントローラ30の演算部は、前記分析器25から入力される吸収液中のダイオキシン類濃度に基づき、排ガス中のダイオキシン類濃度を演算する機能(後述)と、その演算された排ガス中のダイオキシン類濃度と、前記設定値および相関データとに基づき、前記上流側ダクト5内の排ガスに吹き込むべき吸着剤の吹込み量を演算する機能(後述)を具備している。この演算部によって演算された吸着剤の吹込み量は、出力部から前記吸着剤貯留糟13の供給装置13aに設けられる制御機構13bに送信される。
【0028】
本実施形態において、前記煙突8から抜き出された排ガスは引込用ダクト23aを通って前記吸収液槽22内の吸収液中に供給され、その吸収液と共に撹拌される。こうして、排ガス中のダイオキシン類が吸収液中に吸収・捕集される。ダイオキシン類等が吸収された後の排ガスは、前記還流ダクト23bを通って煙突8に還流され系外に排出される。一方、前記吸収液槽22内のダイオキシン類が捕集された吸収液は、排出速度vで排出された後、前記液管24内を流通し、前記分析器25によりダイオキシン類濃度が検出される(詳細は後述する。)。
【0029】
前記分析器25によって求められた吸収液中のダイオキシン類濃度は、前記コントローラ30に順次送信される。そして、前記コントローラ30の演算部において、吸収液中のダイオキシン類濃度に基づき、排ガス中のダイオキシン類濃度が演算され、この演算結果と前記設定値・相関データとに基づいて、上流側ダクト5内の排ガスに吹き込むべき吸着剤の吹込み量が推定される。この吹込み量は前記制御機構13bに送信される。
【0030】
制御機構13bは、前記コントローラ30から送信された吹込み量に応じて前記供給装置13aの供給速度を変化させ、吹込用ダクト11への吸着剤の供給量を調節する。こうして、連続的にリアルタイムに得られる排ガス中のダイオキシン類濃度に対応して、吸着剤の吹込み量がフィードバック制御される。
【0031】
次に、前記分析器25により求められた吸収液中のダイオキシン類濃度から、排ガス中のダイオキシン類濃度を演算する方法について説明する。
【0032】
以下の説明においては、時刻t=t1から時刻t=t2までの検出時間Δtにおいて、吸収液中のダイオキシン類濃度を検出し、この検出結果に基づいて排ガス中のダイオキシン類濃度を演算する例について説明する。ここで、時刻t=t1、t2において、前記分析器25で検出される吸収液中のダイオキシン類濃度をそれぞれC1、C2とし、吸収液中のダイオキシン類濃度を関数C(t)で表す。なお、この関数C(t)は、時刻t=t1からt2までの間に、吸収液中のダイオキシン類濃度を、前記分析器25を用いて微小時間dt毎に測定してプロットし、これらプロットされた各点に重なるような、あるいは各点の近傍を通る関数を適宜選択することにより求めることができる。ここで、前記吸収液槽22に貯留される吸収液の容積をVとすると、前記吸収液槽22には、前述のように一定の供給速度vで吸収液が供給され、また吸収液槽22からは、供給速度vと同速の排出速度vで処理液が排出されるので、前記Vは定数である。また、前述のように吸収液槽22への排ガスの供給速度を定数Fとし、排ガス中のt1→t2間のダイオキシン類濃度の平均値をXと定める。
【0033】
まず、時刻t=t1からt2までの、吸収液槽22内のダイオキシン量の収支を計算する。
【0034】
前記収支は、時刻t=t2における吸収液槽22内の吸収液中のダイオキシン類の量と、時刻t=t1におけるダイオキシン類の量との差をとることにより求めることができる。ここで、時刻t=t1、t2における吸収液中のダイオキシン類の量は、吸収液の容積Vと、時刻t=t1、t2における吸収液中のダイオキシン類濃度C1,C2の積V・C2,V・C1によってそれぞれ求められる。したがって、前記収支は次式(1)により求まる。
【0035】
【数1】

【0036】
また、前記収支は、時刻t=t1からt2までの間に、すなわち検出時間Δtが経過するまでの間に、前記吸収液槽22内に流入したダイオキシン類の流入量と、吸収液槽22から流出したダイオキシン類の流出量との差をとることによっても求めることができる。ここで、検出時間Δt間のダイオキシン類の流入量は、前記排ガスの供給速度Fと、排ガス中のダイオキシン類濃度の平均値Xと、検出時間Δtとの積F・X・Δtにより求められる。また、流出量は、吸収液の排出速度vと、濃度関数C(t)と、微小時間dtの積v・C(t)・dtをt1→t2の間で積分することで求めることができる。したがって、収支は、次式(2)としても表される。
【0037】
【数2】

【0038】
このことから、次式(3)が成り立つ。
【0039】
【数3】

【0040】
したがって、排ガス中の平均ダイオキシン類濃度Xは、次式(4)により求められる。
【0041】
【数4】

【0042】
なお、本実施形態においては、以上のように、排ガス中を吸収液(水)に一回のみ通して、この吸収液に排ガス中のダイオキシン類を吸収させ、この吸収液中のダイオキシン類濃度を検出するようにされているため、従来のJIS規定に準じた測定方法のように、排ガス中のダイオキシン類を、ろ紙、水、吸着剤、ジエチレングリコールによって多段的に捕集して分析する手法に比べれば、若干精度が劣ると言える。しかし、従来の方法においては、ダイオキシン類のうちの大部分(94〜99%程度)が水に吸収・補修されることが判明していることから、本実施形態のように、排ガスを一回だけ吸収液に通して、この吸収液中のダイオキシン類濃度を検出し、この検出結果に基づき排ガス中のダイオキシン類を演算するという簡易的な測定方法であっても、所定の精度を確保できることが明らかである。したがって、本実施形態によって求められる排ガス中のダイオキシン類濃度は、吸着剤の吹き込み制御の指標として用いるのに十分な精度を有していると言える。
【0043】
次に、このようにして演算された排ガス中のダイオキシン類濃度に基づく、吸着剤の吹き込み制御について説明する。
【0044】
まず、前記分析器25によって求められた吸収液中のダイオキシン類濃度と、前記式(4)とに基づき、排ガス中のダイオキシン類濃度を演算する。次いで、この演算結果(実際の排ガス中のダイオキシン類濃度)と、前記コントローラ30の記憶部に記憶されるダイオキシン類の設定濃度とに基づき、実際の排ガス中のダイオキシン類濃度が設定濃度に一致するような、ダイオキシン類の吸着率を求める。次に、こうして求められるダイオキシン類の吸着率と、前記記憶部に記憶されているダイオキシン類の吸着率−吸着剤の吹込み量の相関データに基づき、排ガス中に吹き込まれるべき吸着剤の吹込み量を推定し、この推定結果を前記吸着剤貯留槽13の供給装置13aに設けられる制御機構13bに送信する。この制御機構13bでは、送信された吹込み量に基づいて、供給装置13aから前記吹込用ダクト12への吸着剤の吹込み量を調整し、前記上流側ダクト5内の排ガスへの吸着剤の吹込み量をフィードバック制御する。
【0045】
また、演算により求められた量の吸着剤を吹込んだ場合であっても、集塵装置6の下流側で連続的に測定されるダイオキシン類濃度が予測される程抑制されず、法定値を上回っている場合には、コントローラ30で吸着率と吸着剤吹き込み量の相関データの補正を行う。
【0046】
これにより、排出される排ガス中のダイオキシン類濃度が法定値よりも低濃度に抑制される。
【0047】
本実施形態においては、レーザ計を具備する分析器25を用いることにより、吸収液中のダイオキシン類濃度の検出がリアルタイムに行われ、この検出結果に基づいて排ガス中のダイオキシン類濃度の演算が迅速に行われる。したがって、排ガス中のダイオキシン類濃度を常時監視することができ、周辺住民の安心感を増大させることができるという効果がある。また、前記排ガスのダイオキシン類濃度は、分析器25による検出結果に基づいて連続的にリアルタイムに求められるものであり、また前述のように所定の精度を有するものであるから、十分に各種制御の指標として用いることができる。
【0048】
また、本実施形態においては、排ガスのダイオキシン類濃度と、前記相関データとに基づいて、煙突8から系外に排出される排ガス中のダイオキシン類濃度が、予め定められる設定値(法定値よりも低濃度)と一致するように吸着剤の吹込み量がフィードバック制御されるので、排出される排ガス中のダイオキシン類濃度を確実に法定値よりも低濃度に抑制することができる。加えて、排ガス中のダイオキシン類の濃度変動が、吸着剤の吹込み量に反映されることになるので、吸着剤の過剰な吹込みを防止できるという効果も奏する。
【0049】
また、排ガスのダイオキシン類濃度を直接検出する場合、排ガス中のダイオキシン類濃度は直接検出を行うにはあまりにも濃度が低く、また、その排ガスは流速の変化が大きく、含有水分等の性状の変動も起こり易いことから、検出されるダイオキシン類濃度に大きな誤差が生じてしまう恐れがある。これに対し、本実施形態のサンプリング装置20においては、煙突8内の排ガスを抜き出し、その排ガス中のダイオキシン類を一旦吸収液槽22内の吸収液で捕集した後、その吸収液を一定速度vで液管24内に流通させ、その吸収液中のダイオキシン類濃度を検出するようにされていることから、吸収液の供給速度・排出速度vを適宜調整することで(例えば、吸収液の供給速度・排出速度vを、排ガスの供給速度Fに対して十分に低速に調整することで)吸収液中のダイオキシン類濃度を所定の(つまり、濃度検出が精度良く行える程度の)濃度に保つことができ、吸収液の流速の変化、性状の変動に起因する誤差も抑えることができる。したがって、得られる結果(吸収液中のダイオキシン類濃度および、それから演算される排ガス中のダイオキシン類濃度。)に対して信頼が置けるという長所がある。
【0050】
本実施形態においては、排ガス中のダイオキシン類の濃度検出に限定して説明を行ったが、現時点で未規制であるが人体に影響があるとされている多環芳香族炭化水素や、水銀等といった、その他の有害微量物質の連続的かつリアルタイムな測定を、ダイオキシン類の場合と同様の手法を用いて行うことができる。また、こうして検出された有害微量物質(多環芳香族炭化水素・水銀等)の濃度に応じて、吸着剤等の吹込み量を制御し、その有害微量物質(多環芳香族炭化水素・水銀等)の排ガス中の濃度を設定値前後に抑制することも勿論可能である。
【0051】
また、前記各実施形態においては、吸着剤として活性炭を用いたが、重曹を活性炭の代わりとして用いることができる。また、吸収液としては水あるいはジエチレングリコール等の利用が可能である。
【0052】
また、前記各実施形態においては、排ガスを煙突8から抜き出すようにされているが、集塵後の排ガスであれば、どの場所で抜き出しても問題なく、たとえば、下流側ダクト7内の排ガスを抜き出すようにしても良い。こうした場合であっても前記実施形態と同様の作用効果を得ることができるのは言うまでもない。
【0053】
前記各実施形態においては、レーザ計を具備した分析器25を用いて、吸収液中のダイオキシン類の濃度検出をリアルタイムに行うようにしたが、吸収液中のダイオキシン類の濃度検出をリアルタイムに行うことができるのであれば、例えば、ダイオキシン類の通過前後の微生物の死滅率を比較することでダイオキシン類の濃度を検出する分析器等、他の方式のものを用いることが可能である。
【0054】
また、本発明の趣旨と直接係りがないため、HCl,SOx等を中和・除去するためのアルカリ薬剤の吹込み制御については言及しなかったが、前記吸着剤の吹込み制御に併せて、そのアルカリ薬剤の吹込み制御を行うことは無論可能である。このアルカリ薬剤の吹込み量の制御方法としては、例えば、上流側ダクト5内の排ガス中のHCl濃度を検出し、この検出結果と実測データとに基づき酸性ガス成分を除去するのに必要十分なアルカリ薬剤の吹込み量を割り出して、そのアルカリ薬剤のフィードバック制御を行うといった、従来から多用される手法を採用することができる。
【0055】
なお、集塵装置6の下流側の排ガスを抜き出し、その排ガス中のダイオキシン類を吸収液で捕集するという考え方、その吸収液に捕集されたダイオキシン類等の濃度を連続的にリアルタイムに検出して、排ガス中のダイオキシン類濃度を演算するという考え方および、前記排ガス中のダイオキシン類濃度に基づいて、吸着剤の吹込み量を制御するという考え方は、前記焼却設備1に限らず、ダイオキシン類等の除去を行う、排ガス処理設備全般に渡り適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態に関る焼却設備の概略構成図
【図2】排ガスのサンプリング装置の概略構成図
【図3】ダイオキシン類対策特別措置法施行規則第2条およびJIS K 0311に準じたダイオキシン類濃度の測定方法を説明するための図
【符号の説明】
【0057】
1 焼却設備
5 上流側ダクト
6 集塵装置
7 下流側ダクト
8 煙突
10 吹込装置
13 吸着剤貯留槽
13a 供給装置
13b 制御機構
20 サンプリング装置
22 吸収液槽
25 分析器
30 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスを処理する集塵手段の下流側の排ガスに含まれる有害微量物質のサンプリング方法であって、
前記集塵手段の下流側の排ガスを一部抜き出し、連続的に供給・排出される吸収液中にその排ガスを連続的に通して前記有害微量物質をその吸収液で捕集することを特徴とする有害微量物質のサンプリング方法。
【請求項2】
排ガスを処理する集塵手段の下流側の排ガスに含まれる有害微量物質を測定する有害微量物質の測定方法であって、
前記集塵手段の下流側の排ガスを一部抜き出し、連続的に供給・排出される吸収液中にその排ガスを連続的に通して前記有害微量物質をその吸収液で捕集し、この吸収液中の有害微量物質濃度を、有害微量物質濃度の連続検出が可能な有害微量物質濃度検出手段を用いてリアルタイムに検出し、この測定結果に基づき排ガス中の有害微量物質濃度を演算することを特徴とする有害微量物質の測定方法。
【請求項3】
排ガスを処理する集塵手段の上流側に、有害微量物質を吸着させる吸着剤を吹き込む有害微量物質の抑制方法であって、
前記集塵手段の下流側の排ガスを一部抜き出し、連続的に供給・排出される吸収液中にその排ガスを連続的に通して前記有害微量物質をその吸収液で捕集し、この吸収液中の有害微量物質濃度を、有害微量物質濃度の連続検出が可能な有害微量物質濃度検出手段を用いてリアルタイムに検出し、この測定結果に基づき排ガス中の有害微量物質濃度を演算し、この演算結果に基づき排ガス中の有害微量物質を吸着・除去する吸着剤の吹込み量をフィードバック制御することを特徴とする有害微量物質の抑制方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−46954(P2006−46954A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−224345(P2004−224345)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000133032)株式会社タクマ (308)
【Fターム(参考)】