説明

有害生物防除成分を含有する分散液の製造方法及びマイクロカプセルの製造方法

【課題】有害生物防除成分を含有する分散液を連続的に製造する方法を提供する。
【解決手段】水非混和性の有機溶媒に有害生物防除成分を溶解させた溶液と、アルコールを含む水溶液又は水からなる分散媒とを、一次分散槽内に連続的に供給しながら、前記溶液と前記分散媒とを一次分散槽内で撹拌することにより、前記溶液を前記分散媒中に分散させる工程と、一次分散槽から連続的に排出される一次分散液を、二次分散槽に連続的に供給しながら、分散状態が定常になるまで二次分散槽内で撹拌する工程とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有害生物防除成分を含有する分散液の製造方法及びマイクロカプセルの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有害生物防除成分を含有する分散液は、例えば、有害生物防除成分の徐放製剤として有用なマイクロカプセルの製造中間体として用いられている。
【0003】
かかる分散液の製造方法としては、例えば特許文献1では、水非混和性の有機溶媒であるアジピン酸ジイソブチルを、有害生物防除成分であるプラレトリンに混合して均一にした後、得られた混合物を、エチレングリコールを含む水溶液に加え、回分式分散機で撹拌分散する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-40706号公報(実施例1など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、有害生物防除成分を含有する分散液を製造できる新たな方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、水非混和性の有機溶媒に有害生物防除成分を溶解させた溶液と、アルコールを含む水溶液又は水からなる分散媒とを、一次分散槽内に連続的に供給しながら、前記溶液と前記分散媒とを一次分散槽内で撹拌することにより、前記溶液を前記分散媒中に分散させる工程と、一次分散槽から連続的に排出される一次分散液を、二次分散槽に連続的に供給しながら、分散状態が定常になるまで二次分散槽内で撹拌する工程とを含むことを特徴とする、有害生物防除成分を含有する分散液の製造方法が提供される。
【0007】
二次分散槽から連続的に排出される二次分散液を、三次分散槽に連続的に供給しながら、分散状態が定常になるまで三次分散槽内で撹拌する工程さらに含んでもよい。
【0008】
前記有害生物防除成分は、ピレスロイド系化合物、カーバメート系化合物、有機リン系化合物、ウレア系化合物、ネオニコチノイド系化合物及びフェニルピラゾール系化合物からなる群から選択される少なくとも1つであるのが好ましい。
【0009】
前記溶液は、熱重合可能な官能基を有するモノマーを含有していてもよい。
【0010】
そしてまた、本発明によれば、前記記載の有害生物防除成分を含有する分散液の製造方法により、熱重合可能な官能基を有するモノマーを含有した溶液が、前記分散媒中に分散した有害生物防除成分を含有する分散液を得、当該分散液を加熱し、当該分散液中に含有される前記モノマーを重合させて、水中に分散させた前記溶液の表面に被膜を形成することを特徴とするマイクロカプセルの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、有害生物防除成分を含有する分散液を製造できる新たな方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】撹拌翼の回転数ごとの、液滴の循環回数と液滴径との関係を示すグラフである。
【図2】レイノルズ数Reと吐出流量係数Nqとの関係を示す図である。
【図3】5つの分散槽を直列に接続した場合の液滴循環回数と液滴径との関係を示す図である。
【図4】本発明に係る製造方法の一例を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態を説明する前に、本発明に至る経緯を説明する。
【0014】
下記表1に示す容量の異なる2つの分散槽を用いて、分散槽に供給する溶液及び水(分散媒)の供給量を変化させて液滴の循環回数を変化させると共に、撹拌翼の回転数を変化させて、液滴の循環回数及び撹拌翼の回転数と、液滴径との関係を調べた。液滴の循環回数及び撹拌翼の回転数と、液滴径との関係を図1に示す。
【0015】
【表1】

【0016】
なお、液滴の循環回数Pは下記式(1)から算出される。
P=Q/F ・・・・・・(1)
(式中、Q:吐出流量(m/s),F:供給流量(m/s))
Q=Nq×N×D/1000
(式中、Nq:吐出流量係数,N:回転数(S−1),D:撹拌翼径(m))
【0017】
また、吐出流量係数Nqは、分散液の流れの状態すなわちレイノルズ数Reによって変化するので、図2に一例として示す関係から適宜定めればよい。
【0018】
図1は、縦軸を液滴径とし、横軸を液滴の循環回数として、撹拌翼の回転数ごとの液滴の循環回数と液滴径との関係を示すグラフである。この図から、循環回数が増えるにしたがって液滴径が小さくなり、撹拌翼の回転数が同じであれば分散槽の容量に関係なく同じ線上に載ることがわかる。また、同じ循環回数であれば、撹拌翼の回転数の速いほうが液滴径が小さくなることがわかる。
【0019】
分散液中の液滴を所定径に制御するには、液滴の循環回数が所定回数となるように溶液及び水の分散槽への供給量を定めればよい。
【0020】
ここで、分散液の製造量を増やすには、溶液及び水の供給量を多くする必要があり、所定時間内に所定の循環回数を得るためには撹拌翼の回転数を上げる必要がある。しかし、撹拌翼の回転数を上げると、流動状態や翼先端部におけるせん断力が変化し、液滴径及び液滴の粒度分布が変化することがある。
【0021】
そこで、本発明の製造方法では、撹拌翼の回転数を一定値に保ったままで、2つ以上の分散槽を直列に接続することによって、液滴の循環回数が所定回数となるようにし、所定の液滴粒径を維持しながら分散液の製造量を増やすことができる。
【0022】
複数個の分散槽を直列に接続するに際し、分散液製造量、撹拌翼の回転数とから1つの分散槽における液滴の循環回数を算出する。一方、所定の液滴粒径を得るための液滴の全循環回数を前記理論式から算出する。そして、理論式から算出された全循環回数を前記算出した1つの分散槽あたりの循環回数で割って必要な分散槽の個数を求め、求めた個数の分散槽を直列に接続する。
【0023】
例えば、1つの分散槽において、溶液及び水の供給量が75kg/h、液滴の循環回数が60回の場合には、液滴径20μm程度の分散液が得られるとすると、溶液と水の供給量を単に5倍の375kg/hにすると、液滴の循環回数は12回となり、液滴径は20μmよりも遙かに大きなものとなる。そこで、得られる分散液中の液滴径を20μm程度に維持しながら、製造量を5倍の375kg/hにするには、前記分散槽を5つ(全循環回数:60回/1つの分散槽あたりの循環回数:12回)直列に接続する。
【0024】
図3に、分散槽を5つ直列に接続した場合において、溶液と水の供給量を375kg/hとし、液滴の循環回数を12回としたときの液滴の積算循環回数と液滴径との関係を示す。この図から理解されるように、1つ目の分散槽では液滴径は48μm程度となり、次の分散槽では液滴は37μm程度となり、さらに次の分散槽では液滴は30μm程度となり、結果的に5つ目の分散槽から排出される分散液の液滴は60回循環されて液滴径は20μm程度となる。
【0025】
本発明で使用する有害生物防除成分としては従来公知のものが使用できる。中でも、ピレスロイド系化合物、カーバメート系化合物、有機リン系化合物、ウレア系化合物、ネオニコチノイド系化合物及びフェニルピラゾール系化合物からなる群から選択される少なくとも1つが好適に使用される。
【0026】
ピレスロイド系化合物としては、例えば、アレスリン、エトフェンプロックス、シクロプロトリン、シハロトリン、シフルトリン、シペルメトリン、ピレトリン、トラロメトリン、フェンバレレート、エスフェンバレレート、フェンプロパトリン、フルシトリネート、ペルメトリン、ビフェントリン、シラフルオフェン、レスメトリン、テフルトリン、アクリナトリン、プラレトリン、シスメトリン、フェノトリン、デルタメトリン、テトラメトリン、フルバリネート、トランスフルトリン等が挙げられる。
【0027】
カーバメート系化合物としては、例えば、プロポキサー、イソプロカルブ、フェノブカルブ、キシリルカルブ、メトルカルブ、XMC、エチオフェンカルブ、カルバリル、ピリミカルブ、ベンジオカルブ、カルボフラン、フラチオカルブ、カルボスルファン、アミノスルフラン、メソミル、フェノキシカルブ、アラニカルブ、クロエトカルブ、ベンフラカルブ、フェノチオカルブ等が挙げられる。
【0028】
有機リン系化合物としては、例えば、フェニトロチオン、フェンチオン、プロパホス、シアノホス、プロチオホス、スルプロホス、プロフェノホス、EPN、シアノフェンホス、アセフェート、オキシデプロホス、ジスルホトン、チオメトン、フェントエート、バミドチオン、メカルバム、トリクロルホン、ネイルド、ジクロロボス、クロルフェンビンホス、テトラクロルビンホス、モノクロトホス、ホサロン、ジアリホス、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、ピリミホスエチル、ダイアジノン、エトリムホス、ピリダフェンチオン、キナルホス、イソキサチオン、メチダチオン、ジオキサベンゾホス、ピラクロホス、クロルチオホス、フォートレス、イソフェンホス、ブタチオホス、ジクロルボス、メタミドホス、プロペタンホス、ホスチアゼート、ターブホス、エチオン、テメホス、マラチオン、フェントエート、ジメトエート、フェルモチオン、アジンホスエチル、アジンホスメチル、メチダチオン、エトプロホス、ピラクロホス等が挙げられる。
【0029】
ウレア系化合物としては、ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、ルフェヌロン、ヘキサフルムロン、フルフェノクスロン、ジアフェンチウロン、ヘキシチアゾクス、ノヴァルロン、テフルベンズロン、トリフルムロン、フルシクロクスロン、ビストリフルベンズロン等が挙げられる。
【0030】
ネオニコチノイド系化合物としては、チアクロプリド、ニテンピラム、アセタミプリド、ジノテフラン、チアメトキサム等が挙げられる。
【0031】
フェニルピラゾール系化合物としては、エチプロール、アセトプロール等が挙げられる。
【0032】
本発明で使用する水非混和性の有機溶媒は、有害生物防除成分の種類に応じて、該有害生物防除成分を溶解できるものが適宜選択される。例えば、トリメチルペンタン等の脂肪族炭化水素類、フェニルキシリルエタン等の芳香族炭化水素類、ヘキサノール、オクタノール等のアルコール類、ジイソブチルケトン等のケトン類、酢酸2−エチルヘキシル、マレイン酸ジブチル、アジピン酸ジイソデシル等のエステル類、2−エチルヘキシルエーテル等のエーテル類、マシン油等の鉱物油、綿実油等の植物油などおよびそれらの混合物が挙げられる。水非混和性の有機溶媒の使用量は、有害生物防除成分1重量部に対して、0.25〜1000重量部であることが好ましい。有害生物防除成分1重量部に対する水非混和性の有機溶媒のより好ましい使用量は、有害生物防除成分がピレスロイド系化合物である場合は0.25〜6重量部であり、有害生物防除成分がカーバメート系化合物である場合は0.25〜200重量部(より一層好ましくは2〜200重量部)であり、有害生物防除成分がネオニコチノイド系化合物である場合は4〜1000重量部である。
【0033】
本発明で使用する分散機としては特に限定はなく、従来公知物のものが使用できるが、撹拌型分散機が好適である。市販品としては、例えば、「T.K.ホモミックラインフロー」(プライミクス社製)などが好適に使用できる。
【0034】
図4に、本発明の製造方法の一般的な工程例を示す。まず、油相としての溶液を作製する。具体的には、有害生物防除成分を水非混和性の有機溶媒中に溶解して溶液を得る。溶液の粘度としては、0.1〜100mPa・sの範囲が好ましい。
【0035】
溶液を得る際に、助剤として、脂肪酸石鹸、エーテルカルボン酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸との縮合物の塩、高級アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、ジアルキルスルホこはく酸塩、高級脂肪酸アミドのスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、硫酸化油、リン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールのホルマリン縮合物、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化油脂、ポリオキシエチレン化ロウ、多価アルコールエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー等の非イオン性界面活性剤、無水ケイ酸、有機変性モンモリロナイト類等の増粘剤などを添加してもよい。
【0036】
一方、水相としての、アルコールを含む水溶液又は水からなる分散媒には、予め分散剤を添加しておくのが好ましい。分散剤としては、ゼラチン、アラビアガム、カゼイン、デキストリン、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等の水溶性高分子、脂肪酸石鹸、エーテルカルボン酸、エーテルカルボン酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸との縮合物の塩、高級アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、ジアルキルスルホこはく酸塩、高級脂肪酸アミドのスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、硫酸化油、リン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、ポリアミンまたはアミノアルコール脂肪酸誘導体のアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩、水酸基を有する四級アンモニウム塩、エーテル結合を有する四級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤、カルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールのホルマリン縮合物、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化油脂、多価アルコールエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー等の非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0037】
なお、最終的に液滴の表面に被膜を形成させてマイクロカプセル化する場合には、溶液中に、予め多価イソシアナート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、フェニレンジイソシアナート、トルエンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアナート)、多価カルボン酸クロリド(例えば、セバシン酸ジクロリド、アジピン酸ジクロリド、アゼライン酸ジクロリド、テレフタル酸ジクロリド、トリメシン酸ジクロリド)、多価スルホニルクロリド(例えば、ベンゼンスルホニルジクロリド)等の熱重合可能な官能基を有するモノマーを添加し、前記溶液の液滴を分散させる水中には、必要により重合開始剤と、必要により多価アルコール(例えば、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール)、多価アミン(例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ピペラジン)等の水溶性の被膜形成原料を添加しておく。モノマーの添加量を調整することにより、得られるマイクロカプセルの膜厚を調節することができる。
【0038】
次に、溶液と、アルコールを含む水溶液又は水からなる分散媒とを、2つ以上の分散槽(図4では5つの分散槽)を接続した分散手段に連続的に供給する。溶液と分散媒との供給量比に特に限定はないが、溶液の供給量に対して分散媒の供給量が0.8〜2倍の範囲であるのが好ましい。溶液と分散媒との供給量比をこの範囲に調整することにより、粒径の揃った液滴が形成されるようになる。
【0039】
次いで、前述のように、2つ以上の分散槽を接続した分散手段で、溶液を分散媒中に分散させることにより、粒径の揃った液滴が分散した分散液が連続的に得られる。
【0040】
このようにして製造された、有害生物防除成分を含有した液滴が分散した分散液は、そのまま農薬として使用することもできるが、通常は、液滴の表面に被膜を形成させてマイクロカプセル化される。マイクロカプセル化する場合は、前述のように、溶液中に熱重合可能な官能基を有するモノマーが添加され、水中に必要により重合開始剤が添加されており、分散液を例えば40〜80℃に加温し、0.5〜48時間程度保持することにより重合反応が進み、液滴の表面に被膜が形成される。本発明のマイクロカプセルの体積中位径は、1〜50μmが好ましい。マイクロカプセルの体積中位径はマイクロカプセル化における懸濁分散に際して用いられた分散剤の種類、濃度、懸濁分散時の分散方法、撹拌強度等によって決定されるものである。なお、体積中位径とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
【0042】
実施例1
ピレスロイド系化合物とアジピン酸イソブチルとを混合する。そして、得られる混合物を高速せん断翼が設置された反応槽で撹拌し、溶液Aを調製する。
溶液Aに、温度20℃で、ポリイソシアネートを加え、得られる混合物を20℃で1時間撹拌し溶液物Bを得る。
水(脱イオン水)に、エチレングリコールを含む及びアラビアガムを加え、水相を調製する(得られる混合物を「溶液C」と記す)。そして、溶液Bと溶液Cとをそれぞれ温度25℃に温調する。その後、溶液Bと溶液Cとを供給し、配管中で混合する(得られる混合物を「混合物D」と記す)。
T.Kホモミックラインフロー LF-100型(PRIMIX社製;回転数;5300rpm)を3機直列に接続した分散手段に混合物Dを通液、撹拌し、水中に液滴を分散させる。溶液Cは、溶液Bを使用し終わるまで、上記速度で全体の一部を使用する。
分散液を60℃で24時間撹拌して、ピレスロイド系化合物のマイクロカプセルの水性懸濁組成物を得る。
【0043】
実施例2
実施例1において用いるピレスロイド系化合物の代わりに、ピレスロイド系化合物、カーバメート系化合物、有機リン系化合物、ウレア系化合物、ネオニコチノイド系化合物及びフェニルピラゾール系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を用いて、実施例1と同様の操作により、液滴の体積中位径が1〜50μmである分散液が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
発明の製造方法によれば、有害生物防除成分を含有する分散液を連続的に製造することができ有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水非混和性の有機溶媒に有害生物防除成分を溶解させた溶液と、アルコールを含む水溶液又は水からなる分散媒とを、一次分散槽内に連続的に供給しながら、前記溶液と前記分散媒とを一次分散槽内で撹拌することにより、前記溶液を前記分散媒中に分散させる工程と、一次分散槽から連続的に排出される一次分散液を、二次分散槽に連続的に供給しながら、分散状態が定常になるまで二次分散槽内で撹拌する工程とを含むことを特徴とする、有害生物防除成分を含有する分散液の製造方法。
【請求項2】
二次分散槽から連続的に排出される二次分散液を、三次分散槽に連続的に供給しながら、分散状態が定常になるまで三次分散槽内で撹拌する工程さらに含む請求項1記載の有害生物防除成分を含有する分散液の製造方法。
【請求項3】
前記有害生物防除成分が、ピレスロイド系化合物、カーバメート系化合物、有機リン系化合物、ウレア系化合物、ネオニコチノイド系化合物及びフェニルピラゾール系化合物からなる群から選択される少なくとも1つである請求項1又は2記載の有害生物防除成分を含有する分散液の製造方法。
【請求項4】
前記溶液が、熱重合可能な官能基を有するモノマーを含有する請求項1〜3のいずれか記載の有害生物防除成分を含有する分散液の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の有害生物防除成分を含有する分散液の製造方法により、有害生物防除成分を含有する分散液を得、当該分散液を加熱し、当該分散液中に含有される前記モノマーを重合させて、水中に分散させた前記溶液の表面に被膜を形成することを特徴とするマイクロカプセルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−75846(P2013−75846A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215854(P2011−215854)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】