説明

有害生物防除用組成物

【課題】 アントラニルアミド系化合物の有害生物に対する防除効果を増強させる製剤組成物を提供する。
【解決手段】 殺虫剤の有効成分としてのアントラニルアミド系化合物、分散剤及び親水性有機溶剤を含む濃縮組成物であって、水で希釈した場合に水中でアントラニルアミド系化合物が固体粒子として析出することを特徴とする有害生物防除用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害生物防除効果が向上したアントラニルアミド系化合物を含有する有害生物防除組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アントラニルアミド系殺虫剤は、鱗翅目等有害生物の防除に有用であることが知られており、特許文献1にはその製剤として乳剤、水和剤、粉剤、顆粒剤等種々の製剤処方が開示されている。また、特許文献2には該化合物の有害生物に対する防除効果を増強する製剤として、疎水性溶媒を含む油性懸濁剤が開示されている。
【特許文献1】WO2005/077934号
【特許文献2】WO2007/081553号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
アントラニルアミド系化合物を含め多くの有害生物防除剤は、スペクトラム及び効果においてそれぞれ特徴を有する反面、特定の病害虫に対して効果が充分でなかったり、残効性が短く、一定期間の効果を期待できなかったりして、実用上充分な防除効果を示さないことがあり、製剤的手法により防除効果を向上させることが希求されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記課題を解決するべく種々の検討を行った結果、アントラニルアミド系化合物を分散剤とともに親水性有機溶媒に溶解し、水で希釈して施用することにより有害生物に対する防除効果が格段に増強されることを見出し、本発明を完成した。
本発明の組成物はアントラニルアミド系化合物と分散剤が親水性有機溶剤に溶解した濃縮組成物で、水で希釈することによりアントラニルアミド系化合物が微細な粒子として均一に系内に析出し、容易に懸濁散布液を調製することができる。
【0005】
すなわち、本発明は、殺虫剤の有効成分としてのアントラニルアミド系化合物、分散剤及び親水性有機溶媒を含む濃縮組成物であって、水で希釈した場合に水中でアントラニルアミド系化合物が固体粒子として析出することを特徴とする有害生物防除用組成物に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の組成物は、アントラニルアミド系化合物の効果を向上させ、低薬量での有害生物の防除を可能にするものである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の組成物は濃縮した組成物であって、通常、5から100,000倍量の水で希釈したのち散布に供される。
本発明の組成物は、少なくとも1種のアントラニルアミド化合物を含有する。
本発明に用いられるアントラニルアミド化合物としては式(I):
【0008】
【化1】

(式中、Rはハロゲン、アルキル又はシアノであり、AはC3−4のシクロアルキルで置換されてもよいアルキルであり、mは0〜4である)で表されるアントラニルアミド系化合物が挙げられる。
上記式(I)のR及びAのアルキル又はアルキル部分は、直鎖又は分岐状のいずれでもよい。その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルのようなC1−6のものなどが挙げられる。また、Rのハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素の各原子が挙げられる。
アントラニルアミド系化合物としては、望ましくは以下の化合物である。
(1)3−ブロモ−N−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド(化合物1)
(2)3−ブロモ−N−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)−6−メチルフェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド(化合物2)
(3)3−ブロモ−N−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド(化合物3)
(4)3−ブロモ−N−(4−クロロ−2−メチル−6−(メチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド(化合物4)、
(5)3−ブロモ−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−N−(4−シアノ−2−メチル−6−(メチルカルバモイル)フェニル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド(化合物5)
【0009】
上記アントラニルアミド系化合物の含有量は、組成物中に0.1〜45重量%、好ましくは1〜20重量%である。
また、本発明の組成物には、アントラニルアミド系化合物の他に、他の有害生物防除剤を添加してもよい。他の有害生物防除剤としては、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺土壌害虫剤や殺菌剤などが挙げられる。
【0010】
本発明で使用することができる分散剤としては、非イオン性界面活性剤及び陰イオン性界面活性剤から選択される1種または2種以上の界面活性剤を用いることができる。
本発明に使用できる非イオン性界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。
ポリオキシアルキレン型界面活性剤:例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル(C8−18)エーテル、アルキルナフトールのエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンアルキル(C8−12)アリールエーテル、ポリオキシエチレン(モノ、ジ又はトリ)フェニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(モノ、ジ又はトリ)ベンジルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレン(モノ、ジ又はトリ)ベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(モノ、ジ又はトリ)スチリルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレン(モノ、ジ又はトリ)スチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(モノ、ジ又はトリ)スチリルフェニルエーテルのポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、アルキル(C8−18)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル、アルキル(C8−12)フェニルポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル、ポリオキシエチレンビスフェニルエーテル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸(C8−18)モノエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸(C8−18)ジエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸(C8−18)エステル、グリセロール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、ヒマシ油エチレンオキサイド付加物、硬化ヒマシ油エチレンオキサイド付加物、アルキル(C8−18)アミンエチレンオキサイド付加物および脂肪酸(C8−18)アミドエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
多価アルコール型界面活性剤:例えば、グリセロール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸(C8−18)エステル、ソルビタン脂肪酸(C8−18)エステル、ショ糖脂肪酸エステル、多価アルコールアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシドおよびアルキルポリグリコシド等が挙げられる。
上記非イオン性界面活性剤の中で好ましいものとしては、ポリオキシエチレンアルキル(C8−12)アリールエーテル及びポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルである。
【0011】
陰イオン性界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。
カルボン酸型界面活性剤:例えば、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリ無水マレイン酸、マレイン酸または無水マレイン酸とオレフィン(例えばイソブチレンおよびジイソブチレン等)との共重合物、アクリル酸とイタコン酸の共重合物、メタアクリル酸とイタコン酸の共重合物、マレイン酸または無水マレイン酸とスチレンの共重合物、アクリル酸とメタアクリル酸の共重合物、アクリル酸とアクリル酸メチルエステルとの共重合物、アクリル酸と酢酸ビニルとの共重合物、アクリル酸とマレイン酸または無水マレイン酸の共重合物、N−メチル−脂肪酸(C12−18)サルコシネート、樹脂酸および脂肪酸(C12−18)等のカルボン酸、並びにそれらカルボン酸の塩が挙げられる。
硫酸エステル型界面活性剤:例えば、アルキル(C12−18)硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル(C12−18)エーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ又はジ)アルキル(C12−18)フェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ又はジ)アルキル(C8−12)フェニルエーテルのポリマーの硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジ又はトリ)フェニルフェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジ又はトリ)ベンジルフェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジ又はトリ)スチリルフェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジ又はトリ)スチリルフェニルエーテルのポリマーの硫酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの硫酸エステル、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化脂肪酸および硫酸化オレフィン等の硫酸エステル、並びにそれら硫酸エステルの塩が挙げられる。
スルホン酸型界面活性剤:例えば、パラフィン(C12−22)スルホン酸、アルキル(C8−12)アリールスルホン酸、アルキル(C8−12)ベンゼンスルホン酸、アルキル(C8−12)ベンゼンスルホン酸のホルマリン縮合物、クレゾールスルホン酸のホルマリン縮合物、α−オレフィン(C14−16)スルホン酸、ジアルキル(C8−12)スルホコハク酸、リグニンスルホン酸、ポリオキシエチレン(モノ又はジ)アルキル(C8−12)フェニルエーテルスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキル(C12−18)エーテルスルホコハク酸ハーフエステル、ナフタレンスルホン酸、(モノまたはジ)アルキル(C1−6)ナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、(モノまたはジ)アルキル(C1−6)ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物、アルキル(C8−12)ジフェニルエーテルジスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸およびスチレンスルホン酸とメタアクリル酸の共重合物等のスルホン酸、並びにそれらスルホン酸の塩が挙げられる。
リン酸エステル型界面活性剤:例えば、アルキル(C8−12)リン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル(C8−18)エーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(C8−12)フェニルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)アルキル(C8−12)フェニルエーテルのポリマーのリン酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)フェニルフェニルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)ベンジルフェニルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテルのポリマーのリン酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーのリン酸エステル、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールイミンおよび縮合リン酸(例えばトリポリリン酸等)等のリン酸エステル、並びにそれらリン酸エステルの塩が挙げられる。
アニオン性界面活性剤における塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウムおよびカリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウムおよびマグネシウム等)、アンモニウムおよび各種アミン(例えばアルキルアミン、シクロアルキルアミンおよびアルカノールアミン等)等が挙げられる。
上記陰イオン性界面活性剤の中で好ましいとしては、アルキル(C8−12)ベンゼンスルホン酸塩及びポリオキシエチレンアルキル(C8−18)エーテルリン酸エステルである。
分散剤の含有量は、組成物中に0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜20重量%である。
【0012】
本発明に用いることができる親水性有機溶剤としては、前記式(I)の化合物が溶解し、且つ水と混和する溶剤であればいずれのものでもよい。ここで溶解するとは、前記式(I)の化合物が1%以上溶解することをいい、水と混和するとは100倍量の水に溶解することをいう。親水性有機溶剤としては、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドン、N−ドデシル−2−ピロリドン、テトラヒドロキシフルフリルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられ、好ましくは、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキサノンである。本発明の組成物には、これら溶剤を単独又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の組成物は、必要に応じて分散安定剤、刺激軽減剤等を含有することができる。
分散安定剤としては、ポリビニルピロリドン、メトキシポリエチレンオキシドメタクリレート、ポリビニルアルコール、結晶セルロースなどの水溶性高分子が挙げられ、刺激軽減剤としては、ポリビニルピロリドンやアラビアゴムなどが挙げられる。分散安定剤又は刺激軽減剤は、組成物中に各々0.1〜20重量%含有させることができる。
【0013】
また、本発明の組成物は、望ましくは以下のものである。
(1)アントラニルアミド系化合物;分散剤としての非イオン性界面活性剤及び/又は陰イオン性界面活性剤;並びにN,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン及びシクロヘキサノンからなる群より選択される少なくとも1種の親水性有機溶剤からなる組成物。
(2)アントラニルアミド系化合物;ポリオキシエチレンアルキル(C8−12)アリールエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、アルキル(C8−12)ベンゼンスルホン酸塩及びポリオキシエチレンアルキル(C8−18)エーテルリン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種の分散剤;並びにN,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン及びシクロヘキサノンからなる群より選択される少なくとも1種の親水性有機溶剤からなる組成物。
(3)0.1〜45重量%のアントラニルアミド系化合物、0.1〜40重量%の分散剤並びに99.8〜15重量%の親水性有機溶剤からなる上記(1)又は(2)に記載の組成物。
(4)アントラニルアミド系化合物、ポリオキシエチレンアルキル(C8−12)アリールエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、アルキル(C8−12)ベンゼンスルホン酸塩及びN,N−ジメチルアセトアミドからなる上記(3)に記載の組成物。
(5)アントラニルアミド系化合物、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、アルキル(C8−12)ベンゼンスルホン酸塩及びシクロヘキサノンからなる上記(3)に記載の組成物。
(6)アントラニルアミド系化合物、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、アルキル(C8−12)ベンゼンスルホン酸塩、N,N−ジメチルアセトアミド及びγ−ブチロラクトンからなる上記(3)に記載の組成物。
(7)アントラニルアミド系化合物、ポリオキシエチレンアルキル(C8−18)エーテルリン酸エステル及びN,N−ジメチルアセトアミドからなる上記(3)に記載の組成物。
(8)アントラニルアミド系化合物;分散剤としての非イオン性界面活性剤及び/又は陰イオン性界面活性剤;N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン及びシクロヘキサノンからなる群より選択される少なくとも1種の親水性有機溶剤;並びにポリビニルピロリドンからなる組成物。
(9)0.1〜45重量%のアントラニルアミド系化合物、0.1〜40重量%の分散剤、99.7〜15重量%の親水性有機溶剤並びに0.1〜20重量%のポリビニルピロリドンからなる上記(8)に記載の組成物。
【0014】
本発明の組成物は通常、5〜100,000倍量、望ましくは50〜10,000倍量の水で希釈して使用される。
本組成物は水で希釈することにより、水難溶性のアントラニルアミド系化合物の粒子が析出し均一な懸濁散布液となる。
本組成物を水で希釈するときに析出するアントラニルアミド系化合物の粒子は平均粒径として0.01〜50μm、望ましくは0.1〜10μmである。
又、析出する粒子の結晶形は、結晶質であっても非晶質であっても良く、それらの混合物であってもよい。
【0015】
本発明の組成物は、親水性有機溶剤に式(I)の化合物と分散剤を溶解することにより製造することができる。
以下に、本発明を実施例および試験例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
尚、実施例で使用した分散剤の構成成分は下記の通りである。
ソルポール2806B:ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、アルキルアリールスルホン酸塩等の混合物。
ソルポール T−20:ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル
ローダカル60BE:アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム
プライサーフA−208B:ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル
ソプロフォールFLK/70:ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸エステルカリウム塩
【実施例】
【0016】
実施例1
化合物(1)5.2gとソルポール2806B(東邦化学製)5gをN,N−ジメチルアセトアミド89.8gに溶解し、5重量%の化合物(1)を含有する透明な液状組成物100gを得た。
実施例2
化合物(1)5.3g、ソルポールT−20(東邦化学製)5g、ローダカル60BE(ローディア日華製)5gをシクロヘキサノン84.7gに溶解し、5重量%の化合物(1)を含有する透明な液状組成物100gを得た。
実施例3
化合物(1)10.6g、ソルポールT−20 0.35g、ローダカル60BE 0.15gをN,N−ジメチルアセトアミド30g及びγ−ブチロラクトン58.9gに溶解し、10重量%の化合物(1)を含有する透明な液状組成物100gを得た。
実施例4
化合物(1)10.6gとプライサーフA−208B 1.0gをN,N−ジメチルアセトアミド88.7gに溶解し、10重量%の化合物(1)を含有する透明な液状組成物100gを得た。
実施例5
化合物(1)10.6g、ソルポールT−20 10.5g、ローダカル60BE 4.5gをN,N−ジメチルアセトアミド10g及びγ−ブチロラクトン64.4gに溶解し、10重量%の化合物(1)を含有する透明な液状組成物100gを得た。
実施例6
化合物(1)10.6g、プライサーフA−208B 1g、ポリビニルピロリドンK−30(ナカライテスク製)10.0gをN,N−ジメチルアセトアミド 78.4gに溶解し、10重量%の化合物(1)を含有する透明な液状組成物100gを得た。
【0017】
比較例1
化合物(1)2.1g、プロピレングリコール4g、ソプロフォールFLK/70 (ローディア日華製)1.2g、Veegum(三洋化成製、沈降防止剤)0.4g、RHODOSIL 432(ローディア日華製、消泡剤)0.2g及び水32.1gにジルコニアビーズを加え、湿式粉砕機(シンマル・エンタープライゼス製、DYNO-MILL:KDL型)にて16分間粉砕した後、ろ過によりビーズを取り除き、5重量%の化合物(1)を含む濃縮懸濁液を得た。
【0018】
試験例1 シルバーリーフコナジラミに対する効果
(1)試験溶液の調製
実施例1及び比較例1で得た各組成物を水で1000倍に希釈し、50ppmの化合物(1)の試験液を調製し、その液を水で各々2倍、4倍及び16倍希釈することにより、25ppm、12.5ppm及び3.1ppmの試験液を調製した。各試験液は全て微粒子が均一に分散した懸濁溶液であった。
(2)効果試験
第一本葉を1枚残し、他の葉を切除したポット植えのキュウリに、シルバーリーフコナジラミの成虫を放して約24時間産卵させた。その後、25℃の照明付恒温室内に9日間放置した。孵化幼虫数を調査した後、12.5又は3.1ppmの試験液を各々ハンドスプレーで、葉全体に均一に散布処理した。処理後10日間25℃の照明付恒温室内に放置した後、老齢幼虫数および蛹数を調査し、下記計算式により防除価を求めた。試験結果を第1表に示した。表1の結果のとおり、本発明製剤は比較製剤に優る防除効果を示した。

防除価(%)=(1-((Ta×Cb)/(Tb×Ca)))×100

Ta:処理区における処理後の老齢幼虫数+蛹数
Tb:処理区における処理前の孵化幼虫数
Ca:無処理区における処理後の老齢幼虫数+蛹数
Cb:無処理区における処理前の孵化幼虫数
【0019】
【表1】

【0020】
試験例2 シルバーリーフコナジラミに対する効果(温室試験)
直径18cmポット植えのナス(9〜10葉期)をシルバーリーフコナジラミ成虫が発生している温室に14日間放置した。その後、3枚の葉から直径2cmのリーフディスクを1箇所づつくりぬき卵、幼虫数、蛹数をカウントした。翌日、小型自動噴霧器(サカタ製.KZ-2)を用い、前記試験例1の(1)と同様の方法で調製した50又は25ppmの試験液を1株当たり80mlの散布量でナス全体に薬液がのるように散布処理し、温室内に放置した。処理14日後に処理前調査と同様にリーフディスクをくりぬき卵、幼虫、蛹数を調査し、下記計算式により防除価を求めた。試験は2反復で実施した。試験結果を第2表に示した。表2の結果のとおり、本発明製剤は比較製剤に優る防除効果を示した。

防除価(%)=(1-((Ta×Cb)/(Tb×Ca)))×100

Ta:処理区における処理14後の中齢幼虫数+老齢幼虫数+蛹数
Tb:処理区における処理前の卵数+若齢幼虫数
Ca:無処理区における処理14日後の中齢幼虫数+老齢幼虫数+蛹数
Cb:無処理区における処理前の卵数+若齢幼虫数
【0021】
【表2】

【0022】
試験例3 ミカンキイロアザミウマに対する効果(温室試験)
直径18cmポット植えナス(8〜9葉期)に寄生しているミカンキイロアザミウマ数を成虫と幼虫にわけ調査した。翌日、小型自動噴霧器(サカタ製.KZ-2)を用い、前記試験例1の(1)と同様の方法で調製した50ppmの試験液を1株当たり90mlの散布量でナス全体に薬液がのるように散布処理し、温室内に放置した。処理12日後に処理前と同様の調査を行い、下記計算式により防除価を求めた。試験結果を第3表に示した。表3の結果のとおり、本発明製剤は比較製剤に優る防除効果を示した。

防除価(%)=(1-((Ta×Cb)/(Tb×Ca)))×100

Ta:処理区における処理12日後の成虫数+幼虫数
Tb:処理区における処理前の成虫数+幼虫数
Ca:無処理区における処理12日後の成虫数+幼虫数
Cb:無処理区における処理前の成虫数+幼虫数
【0023】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺虫剤の有効成分としてのアントラニルアミド系化合物、分散剤及び親水性有機溶剤を含む濃縮組成物であって、水で希釈した場合に水中でアントラニルアミド系化合物が固体粒子として析出することを特徴とする有害生物防除用組成物。
【請求項2】
アントラニルアミド系化合物が、3−ブロモ−N−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、3−ブロモ−N−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)−6−メチルフェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、3−ブロモ−N−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、3−ブロモ−N−(4−クロロ−2−メチル−6−(メチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド又は、3−ブロモ−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−N−(4−シアノ−2−メチル−6−(メチルカルバモイル)フェニル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドである請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
親水性有機溶剤がN,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン及びシクロヘキサノンからなる群より選択される少なくとも1種のものである請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
分散剤が非イオン性界面活性剤及び/又は陰イオン性界面活性剤である請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
分散剤がポリオキシエチレンアルキル(C8-12)アリールエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、アルキル(C8-12)ベンゼンスルホン酸塩及びポリオキエチレンアルキル(C8-18)エーテルリン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種のものである請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
アントラニルアミド系化合物;分散剤としての非イオン性界面活性剤及び/又は陰イオン性界面活性剤;並びにN,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン及びシクロヘキサノンからなる群より選択される少なくとも1種の親水性有機溶剤を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
アントラニルアミド系化合物;ポリオキシエチレンアルキル(C8−12)アリールエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、アルキル(C8−12)ベンゼンスルホン酸塩及びポリオキシエチレンアルキル(C8−18)エーテルリン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種の分散剤;並びにN,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン及びシクロヘキサノンからなる群より選択される少なくとも1種の親水性有機溶剤を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
更に、ポリビニルピロリドンを含む請求項1に記載の組成物。

【公開番号】特開2010−150227(P2010−150227A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52349(P2009−52349)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000000354)石原産業株式会社 (289)
【Fターム(参考)】