説明

有害生物防除組成物

【課題】 土壌及び/又は種子中に生息する害虫を防除する効果と、土壌及び/又は種子伝染性病害防除効果を同時に高めた有害生物防除組成物を提供する。
【解決手段】 S−sec−ブチル O−エチル 2−オキソ−1,3−チアゾリジン−3−イルホスホノチオアート、O−エチル−S−n−プロピル(2−シアノイミノ−3−エチル−イミダゾリジン−1−イル)ホスホノチオレート及びS,S−ジ−sec−ブチル O−エチル ホスホロジチオアートから成る群から選ばれる少なくとも1種の有機リン系化合物と、ベノミルとを有効成分として含有することを特徴とする有害生物防除組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種害虫と各種植物病害の同時防除に有効な有害生物防除組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
S−sec−ブチル O−エチル 2−オキソ−1,3−チアゾリジン−3−イルホスホノチオアートは米国特許第4590182号に開示された化合物である。O−エチル−S−n−プロピル(2−シアノイミノ−3−エチル−イミダゾリジン−1−イル)ホスホノチオレートは米国特許第5405961号に開示された化合物である。S,S─ジ─sec─ブチル O─エチル ホスホロジチオアートは米国特許第4535077号に開示された化合物である。それらは、殺虫、殺ダニ、殺線虫剤の有効成分として公知の有機リン系化合物である。しかしながら、特定の有機リン系化合物と特定の殺菌剤とを組み合わせたときに、土壌及び/又は種子中に生息する害虫と、土壌及び/又は種子伝染性植物病害の双方の防除に関し、相乗的な効果を発揮することは知られていない。
【0003】
【特許文献1】米国特許第4590182号
【特許文献2】米国特許第5405961号
【特許文献3】米国特許第4535077号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
線虫類、ネダニなどの土壌及び/又は種子中に生息する害虫と、土壌及び/又は種子伝染性病害の両方が防除でき、しかも各々を単独で防除するよりも、双方の防除効果が相乗的に強化された有害生物防除剤が希求されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、これら課題を解決すべく検討を重ねた結果、特定の有機リン系化合物と、特定の殺菌剤とを組合せることにより、予期される以上の効果が得られるとの知見を得、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、S−sec−ブチル O−エチル 2−オキソ−1,3−チアゾリジン−3−イルホスホノチオアート、O−エチル−S−n−プロピル(2−シアノイミノ−3−エチル−イミダゾリジン−1−イル)ホスホノチオレート及びS,S─ジ─sec─ブチル O─エチル ホスホロジチオアートから成る群から選ばれる少なくとも1種の有機リン系化合物と、フルアジナム、ベノミル、トルクロホスメチル、メタラキシル、キャプタン、イプロジオン、クロロタロニル、ダゾメット、ヒメキサゾール、フルトラニル及びバリダマイシンから成る群から選ばれる少なくとも1種の殺菌剤とを有効成分として含有する有害生物防除組成物に関する。また、本発明は、それらの有効成分を有害生物に作用させることを特徴とする有害生物の防除方法に関する。
【0007】
S−sec−ブチル O−エチル 2−オキソ−1,3−チアゾリジン−3−イルホスホノチオアートには、光学異性体が存在し、ラセミ体の他に(−)体及び(+)体が含まれる。ラセミ体である(R,S)−S−sec−ブチル O−エチル 2−オキソ−1,3−チアゾリジン−3−イルホスホノチオアートは、一般名ホスチアゼート(Fosthiazate)として知られている化合物である。
【0008】
O−エチル−S−n−プロピル(2−シアノイミノ−3−エチル−イミダゾリジン−1−イル)ホスホノチオレートにも、光学異性体が存在し、ラセミ体の他に(−)体及び(+)体が含まれる。
【0009】
S,S─ジ─sec─ブチル O─エチル ホスホロジチオアートは、一般名カズサホス(cadusafos)として知られている化合物である。
【0010】
フルアジナム(Fluazinam)、ベノミル(Benomyl)、トルクロホスメチル(Tolclofos-methyl)、メタラキシル(Metalaxyl)、キャプタン(Captan)、イプロジオン(Iprodione)、クロロタロニル(Chlorothalonil)、ダゾメット(Dazomet)、ヒメキサゾール(Hymexazole)、フルトラニル(Flutolanil)及びバリダマイシン(Validamycin)は、いずれも殺菌剤としてThe Pesticide Manual(第13版;BRITISH CROP PROTECTION COUNCIL)に記載の化合物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
上記有機リン系化合物と殺菌剤との混合割合は、通常、重量比で1:10000〜10000:1であり、望ましくは1:1000〜1000:1である。
【0012】
本発明組成物は、有効成分の他に補助剤を含有する。有効成分の配合割合は0.05〜75重量%であればよい。補助剤としては担体、乳化剤、懸濁剤、分散剤、展着剤、浸透剤、湿潤剤、増粘剤、安定剤などが挙げられ、必要により適宜添加すればよい。担体としては、固体担体と液体担体に分けられ、固体担体としては、澱粉、活性炭、大豆粉、小麦粉、木粉、魚粉、粉乳などの動植物性粉末、タルク、カオリン、ベントナイト、炭酸カルシウム、ゼオライト、珪藻土、ホワイトカーボン、クレー、アルミナ、硫黄粉末などの鉱物性粉末などが挙げられ、液体担体としては、水、メチルアルコール、エチレングリコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ケロシン、灯油などの脂肪族炭化水素類、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、シクロヘキサン、ソルベントナフサなどの芳香族炭化水素類、クロロホルム、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、ジメチルホルムアミドなどの酸アミド類、酢酸エチルエステル、脂肪酸のグリセリンエステルなどのエステル類、アセトニトリルなどのニトリル類、ジメチルスルホキシドなどの含硫化化合物類などが挙げられる。乳化剤、懸濁剤、分散剤、展着剤、浸透剤、湿潤剤などとしては、各種の界面活性剤が使用される。また、必要に応じて他の農薬、例えば殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、抗ウイルス剤、誘引剤、除草剤、植物成長調整剤などと混用、併用することができ、この場合に一層優れた効果を示すこともある。
【0013】
本発明組成物は、乳剤、粉剤、微粒剤、粒剤、錠剤、水和剤、液剤、エアゾール剤、ペースト剤、フロアブル剤、ドライフロアブル剤、マイクロカプセル剤などの種々の形態に製剤することができる。なかでも乳剤、微粒剤、水和剤、液剤、粉剤、粒剤、錠剤などの形態がより望ましく、乳剤、微粒剤、水和剤、液剤などの形態が最も望ましい。乳剤における好ましい配合割合は、有効成分5〜75重量部、担体90〜10重量部及び界面活性剤5〜15重量部である。また粉剤、粒剤及び錠剤における好ましい配合割合は、有効成分0.1〜10重量部、担体85〜99重量部及び界面活性剤0.5〜5重量部である。これら製剤の実際の使用に際しては、そのまま使用するか、または水等の希釈剤で所定濃度に希釈して使用することができる。
【0014】
本発明組成物は一般に0.1〜10000ppm望ましくは1〜1000ppmの有効成分濃度で施用する。これらの有効成分濃度は、製剤の形態及び施用する方法、目的、時期、場所及び害虫の発生状況等によって適当に変更できる、単位面積あたりの施用量は10a当たり、有効成分化合物として約1〜5000g、好ましくは10〜1000gが使用される。しかし、特別の場合には、これらの範囲を逸脱することも可能である。本発明組成物の施用方法としては、土壌混和処理、植穴処理、植溝処理、潅注処理、また種子などに対して浸漬処理、粉衣処理などが挙げられる。
【0015】
本発明には、本発明組成物を有害生物に処理する方法の他、前記有機リン系化合物及び殺菌剤を同時に有害生物に処理する方法、有機リン系化合物及び殺菌剤のどちらか一方の薬剤を有害生物に処理した後、他方の薬剤を有害生物に処理する方法が含まれる。
【0016】
本発明が適用できる有害生物としては、植物寄生性線虫類、等脚類、鞘翅目害虫、鱗翅目害虫、腹足類、直翅目害虫、植物寄生性ダニ類、アザミウマ目害虫、双翅目害虫、膜翅目害虫、隠翅目害虫、シラミ目害虫、等翅目害虫などの各種害虫や各種植物病害が挙げられる。特に本発明は土壌及び/又は種子中に生息する有害生物の防除に有効である。土壌及び/又は種子中に生息する害虫としては、農園芸作物および樹木などを土壌中で加害する害虫や、農園芸作物や樹木の種子を加害する害虫などであり、例えば、前記植物寄生性線虫類、等脚類、鞘翅目害虫、鱗翅目害虫、腹足類、直翅目害虫、植物寄生性ダニ類などが挙げられる。その中でも、本発明は、植物寄生性線虫類の防除に最も有効である。
【0017】
本発明が適用できる各種害虫の具体例を以下に示す。
【0018】
植物寄生性線虫類としては、サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)などのネコブセンチュウ類;ジャガイモシストセンチュウ(Globodera rostochiensis)などのシストセンチュウ類;キタネグサレセンチュウ(Pratylenchus penetrans)などのネグサレセンチュウ類;イネシンガレセンチュウ;イチゴメセンチュウ;マツノザイセンチュウなどが挙げられる。また、等脚類としては、ダンゴムシ、ワラジムシなどが挙げられる。
【0019】
鞘翅目害虫としては、ウエスタンコーンルートワーム、サザンコーンルートワームなどのコーンルートワーム類;ドウガネブイブイ、ヒメコガネなどのコガネムシ類;メイズウィービル、イネミズゾウムシ、アルファルファタコゾウムシ、アズキゾウムシなどのゾウムシ類;チャイロコメノゴミムシダマシ;コクヌストモドキなどのゴミムシダマシ類;ウリハムシ、キスジノミハムシ、コロラドハムシなどのハムシ類;シバンムシ類;ニジュヤホシテントウなどのエピラクナ類;ヒラタキクイムシ類;ナガシンクイムシ類;カミキリムシ類;アオバアリガタハネカクシなどが挙げられる。
【0020】
鱗翅目害虫としては、ハスモンヨトウ、アワヨトウ、イネヨトウ、シロイチモジヨトウ、ヨトウガなどのヨトウ類;タマナヤガ、カブラヤガ、トリコプルシア属、ヘリオティス属、ヘリコベルパ属などのヤガ類;ニカメイガ、コブノメイガ、ヨーロピアンコーンボーラー、シバツトガ、ワタノメイガ、ノシメマダラメイガなどのメイガ類;モンシロチョウなどのシロチョウ類;アドキソフィエス属、ナシヒメシンクイ、コドリングモスなどのハマキガ類、モモシンクイガなどのシンクイガ類;リオネティア属などのハモグリガ類;リマントリア属、ユープロクティス属などのドクガ類;コナガなどのスガ類などが挙げられる。
【0021】
腹足類としてはマイマイ、ナメクジなどが挙げられる。
【0022】
直翅目害虫としては、ケラ、バッタ、チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ、トウヨウゴキブリなどが挙げられる。
【0023】
植物寄生性ダニ類としては、ナミハダニ、ニセナミハダニ、ミカンハダニ、ネダニなどが挙げられる。
【0024】
アザミウマ目害虫としては、ミナミキイロアザミウマ、ネギアザミウマ、ハナアザミウマなどが挙げられる。
【0025】
双翅目害虫としては、アカイエカ、コガタアカイエカなどのイエカ類、ユスリカ類、イエバエ、オオイエバエなどのイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、ヒメイエバエ類、タネバエ、タマネギバエなどのハナバエ類、ミバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類、ブユ類、アブ類、サシバエ類、ハモグリバエ類などが挙げられる。
【0026】
膜翅目害虫としては、アリ類、スズメバチ類、アリガタバチ類、カブラハバチ等のハバチ類などが挙げられる。
【0027】
隠翅目害虫としては、ヒトノミなどが挙げられる。
【0028】
シラミ目害虫としては、ヒトジラミ、ケジラミなどが挙げられる。
【0029】
等翅目害虫としては、ヤマトシロアリ、イエシロアリなどが挙げられる。
【0030】
本発明が適用できる各種植物病害としては、例えば、土壌及び/又は種子伝染性の植物病害が挙げられる。具体的には次のものが例示される。
【0031】
Rosellinia菌による各種病害、例えば芝の葉腐病(Rhizoctonia solani);レタスのすそ枯病(Rhizoctonia solani);チューリップの葉腐病(Rhizoctonia solani);テンサイ、トマト、ナス、キュウリ、ピーマン、ミツバ、ソバ、ディルフィニューム、オクラの苗立枯病(Rhizoctonia solani);ミツバ、メキャベツの立枯病(Rhizoctonia solani);ニンジンのね腐病(Rhizoctonia solani);タバコの腰折病(Rhizoctonia solani);ホウレンソウ、キャベツの株腐病(Rhizoctonia solani);ゴボウの黒あざ病(Rhizoctonia solani);ダイコンの亀裂褐変症(根腐病)(Rhizoctonia solani);
【0032】
Uromyces菌によるユリの鱗茎さび症(Uromyces holwayi);
【0033】
Pythium菌による各種病害、例えばテンサイの苗立枯病(Pythium debaryanum);タバコの舞病(Pythium debaryanum);トマト、キュウリ、ナス、ピーマン、メロン、マクワウリ、スイカ、シロウリ、カボチャの苗立枯病(Pythium vexans);芝の赤焼病(Pythium aphanidermatum);コンニャクの根腐病(Pythium aristosporum);ショウガ、ミョウガの根茎腐敗病(Pythium ultimum);
【0034】
Fusarium菌による各種病害、例えばチューリップの球根腐敗病(Fusarium oxysporum);コンニャクの乾腐病(Fusarium oxysporum);イチゴの萎黄病(Fusarium oxysporum);バレイショ、トマトの萎ちょう病(Fusarium oxysporum);キュウリ、カンショのつる割病(Fusarium oxysporum);パセリの立枯病(Fusarium solani);タマネギ、ラッキョウの乾腐病(Fusarium oxysporum);
【0035】
Phytophthora菌による各種病害、例えばパイナップルの心腐病(Phytophthora cinnamomi);タラノキの立枯疫病(Phytophthora cactorum);ピーマン、パセリ、ガーベラ、宿根カスミソウ、カラー、セントポーリア、タバコの疫病(Phytophthora capsici);イチゴの根腐病(Phytophthora fragariae);
【0036】
Verticillium菌による各種病害、例えばハクサイの黄化病(Verticillium dahliae);ナスの半身萎凋病(Verticillium dahliae);
【0037】
Thanatephorus菌によるテンサイの根腐病(Thanatephorus cucumeris);
【0038】
Rhizopu菌によるユリの茎腐病(Rhizopus necans);
【0039】
Penicillium菌によるチューリップの青かび病(Penicillium cyclopium);
【0040】
Plasmodiophora菌によるキャベツ、ハクサイ等のアブラナ科野菜のネコブ病(Plasmodiophora brassicae);
【0041】
Spongospora菌によるバレイショの粉状そうか病(Spongospora subterranea);
【0042】
Rosellinia菌による果樹、花木、茶の白紋羽病(Rosellinia necatrix);
【0043】
Sclerotium菌によるネギ、ニラ、フキ、コンニャク、ダイズ、キク、ピーマンの白絹病 (Sclerotium rolfsii);
【0044】
Colletotrichum菌によるイチゴの炭そ病(Colletotrichum acutaum);
【0045】
Polymyxa菌によるテンサイの叢根病(Polymyxa betae媒介);
【0046】
Botritis菌によるネギの小菌核腐敗病(Botritis squamosa);
【0047】
Helicobasidium菌による果樹、花木、茶の紫紋羽病(Helicobasidium mompa);
【0048】
Ceratocystis菌によるカンショの黒班病(Ceratocystis imbriata);
【0049】
Monosporascus菌によるメロンの黒点根腐病(Monosporascus cannonballus);
【0050】
Thielaviopsis菌によるタバコの黒根病(Thielaviopsis basicola);
【0051】
Thantatporus菌によるバレイショの黒あざ病(Thantatporus cucumeris);
【0052】
Thanatephorus菌によるサヤエンドウの茎腐病(Thanatephorus cucumeris);
【0053】
Gibberella菌による水稲のばか苗病(Gibberella fujikuroi);
【0054】
Sterpomyces菌によるバレイショのそうか病(Sterpomyces scabies);及び
【0055】
Pyricularia菌による水稲のいもち病(Pyricularia oryzae);など
【0056】
また、本発明は、例示した以外にも多くの土壌伝染性、又は種子伝染性の病害に対する適用を有する。
【0057】
本発明組成物及び方法は、有害生物防除に関して共力的作用を有する。この共力的作用は、各薬剤の有する各種病害虫防除特性からは予測し得ない相乗効果に基づくものであり、本発明の有用性は、各薬剤を単独で使用するよりも、有害生物防除効果、特に土壌中の有害生物防除力が明らかに増強されるとともに、即効的な効果が付与される点にあるといえる。
【実施例】
【0058】
次に本発明の実施例を記載する。
【0059】
【表1】

【0060】
試験例1
所定濃度に調整した薬液中にサツマイモネコブセンチュウ2期幼虫200〜250頭を浸漬処理して25℃の恒温室に24時間保った。顕微鏡下にて薬液中のサツマイモネコブセンチュウ総個体数(A)、及び薬液中で15秒間動かなかった個体数(B)を調査した。また、薬液に代えて蒸留水を用いた対照区についても、総個体数(A')、及び15秒間動かなかった個体数(B')を調査した。これらの値から、以下の式により運動阻害率を求めた。結果を第1表〜第12表に示す。
運動阻害率(%)=[1−{(1−B/A)/(1−B'/A')}]×100
また、コルビーの式により運動阻害率の理論値(%)を計算した。運動阻害率(%)が理論値(%)よりも高い場合に、本発明の有害生物防除組成物は、線虫の防除に関し相乗効果を有する。こういった場合における理論値(%)を第1表〜第12表の( )内に併せて示した。
【0061】
【表2】

【0062】
【表3】

【0063】
【表4】

【0064】
【表5】

【0065】
【表6】

【0066】
【表7】

【0067】
【表8】

【0068】
【表9】

【0069】
【表10】

【0070】
【表11】

【0071】
【表12】

【0072】
【表13】

【0073】
試験例2
オニオンパウダーに水を1:10の割合で加えて十分に攪拌する。8cmろ紙をパウダー懸濁液に浸して風乾燥後、8cmシャーレに3枚重ねて詰め、所定濃度の有機リン系化合物及び/又は殺菌剤の薬液2mlを加える。シャーレ当りネダニ雌成虫を50頭接種して蓋をし、25℃恒温室で静置する。48〜72時間後に実体顕微鏡下で観察し、生死判定を行い死虫率を求める。
死虫率(%)={1-(生存頭数/放虫頭数)}×100
また、コルビーの式により死虫率の理論値(%)を計算できる。死虫率の実験値(%)が理論値(%)よりも高い場合に、本発明の有害生物防除組成物は、ネダニの有害生物の防除に関し相乗効果を有する。
有機リン系化合物:殺菌剤=1:100〜100:1の範囲内で、死虫率の実験値が理論値よりも高い値を示す。
【0074】
試験例3
壌土3:砂1:腐食土1を混合した試験土壌を作成し、300mlプラスチック製容器に土壌を200gづつ入れ、有機リン系化合物及び/又は殺菌剤を所定濃度で添加混合する。コガネムシ孵化直後幼虫を10頭づつ放し、暗黒下25℃恒温室にて5〜10日静置した後、土壌を解体し生存する幼虫数を計数し死虫率を求める。
死虫率(%)={1-(生存頭数/放虫頭数)}×100
また、コルビーの式により死虫率の理論値(%)を計算できる。死虫率(%)が理論値(%)よりも高い場合に、本発明の有害生物防除組成物は、コガネムシの有害生物の防除に関し相乗効果を有する。
有機リン系化合物:殺菌剤=1:1000〜1:6の範囲内で、死虫率の実験値が理論値よりも高い値を示す。
【0075】
試験例4
有機リン系化合物及び/又は殺菌剤を所定濃度含有するように調整したPSA培地を8cmシャーレに流し込み、別の培地上で増殖したRhizoctonia菌、Pythium菌及びFusarium菌を6mmコルクホーラで菌糸を含む培地を切取り、薬剤を含む培地へ移植させる。25℃恒温室にて4〜7日培養した後、伸張した菌糸長を測定し、菌糸伸張阻害率を求める。
菌糸伸張阻害率(%)={1-(薬剤処理区の菌糸伸張量/無処理の菌糸伸張量)}×100
また、コルビーの式により菌糸伸張阻害率の理論値(%)を計算できる。菌糸伸張阻害率(%)が理論値(%)よりも高い場合に、本発明の有害生物防除組成物は、病害菌の防除に関し相乗効果を有する。
有機リン系化合物:殺菌剤=1:100〜10000:1の範囲内で、菌糸伸張阻害率の実験値が理論値よりも高い値を示す。
【0076】
試験例5
水田土4:砂1を混合した砂壌土3リットルを1/5000aポットに入れ、有機リン系化合物及び/又は殺菌剤を所定濃度で添加混合した。薬剤添加直後、20日後及び40日後に、サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)汚染土壌500ccを各々のポットに接種し、充分混和後トマト(品種:強力米寿)苗を移植した。移植51日後に線虫のネコブ着生程度(0〜100%着生)を調査した。結果を第13表に示す。なお、移植日を統一すべく、砂壌土と薬剤の混和は移植日から逆算した日に予め行っておいた。また、コルビーの式によりネコブ着生程度の理論値(%)を計算した。ネコブ着生程度(%)が理論値(%)よりも低い場合に、本発明の有害生物防除組成物は、線虫の防除に関し相乗効果を有する。こういった場合における理論値(%)を第13表の( )内に併せて示した。
【0077】
【表14】

【0078】
試験例6
サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)及びフザリウム菌(Fusarium oxysoprum)で汚染された土壌と、所定量の薬剤とを1/1000aポリポット中で混和した後、キュウリ(品種;北進)の種子を7粒播種した。播種から66日後、キュウリつる割病発病株率を調査するとともに、キュウリの第2〜第3節間の茎を切断し、導管の褐変程度を下記基準にて5段階評価し、評価結果に基づき、被害指数を算出した。これらの結果を第14表に示す。なお、試験は3連制で行った。また、コルビーの式により発病株率及び被害指数の理論値を計算した。発病株率及び被害指数が理論値よりも低い場合に、本発明の有害生物防除組成物は、キュウリつる割病の防除に関し相乗効果を有する。こういった場合における理論値(%)を第14表の( )内に併せて示した。
A:株全体が枯死
B:導管の2/3以上が褐変
C:導管の1/2程度が褐変
D:導管の1/3以下が褐変
E:導管の褐変なし
N:調査株数(本試験の場合は7)
被害指数={(4A+3B+2C+1D)/4N}×100
【0079】
【表15】

【0080】
試験例7
(1)サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)及びフザリウム菌(Fusarium oxysoprum)で汚染された土壌と、所定量のバスアミド微粒剤(有効成分II−h)とを1/1000aポリポット中で混和し、7日後及び10日後に土壌中のガス抜きを行った。
(2)(1)の操作の後、ネマトリンエース粒剤(有効成分I−a)の所定量を土壌に混和し、さらに4日後、キュウリ(品種;北進)の種子を7粒播種した。
(3)播種から61日後、キュウリつる割病発病株率を調査するとともに、試験例6と同様の方法で、被害指数を算出した。また、線虫のネコブ着生程度(0〜100%着生)を調査した。これらの結果を第15表に示す。試験は3連制で行った。
比較のため、(1)の操作を行わず、(2)でネマトリンエース粒剤(有効成分I−a)の所定量を汚染された土壌に処理した場合並びに(1)の操作の後、(2)の操作でネマトリンエース粒剤(有効成分I−a)の所定量を土壌に混和しない場合について、同様の試験を行った。
【0081】
【表16】

【0082】
製剤例1
(1)珪石細粒(東海工業製) 98.3重量部
(2)フルアジナム 0.2重量部
(3)ホスチアゼート 1.0重量部
(4)エポキシ化アマニ油 0.5重量部
上記(2)〜(4)を加熱混合したものを、(1)に吹き付け粒剤とする。
【0083】
製剤例2
(1)珪石細粒(東海工業製) 97.7重量部
(2)フルアジナム 1.0重量部
(3)ホスチアゼート 1.0重量部
(4)エポキシ化アマニ油 0.3重量部
上記(2)〜(4)を加熱混合したものを、(1)に吹き付け粒剤とする。
【0084】
製剤例3
(1)珪石細粒(東海工業製) 98.3重量部
(2)フルアジナム 0.2重量部
(3)ホスチアゼート 1.0重量部
(4)エポキシ化アマニ油 0.5重量部
上記(2)〜(4)を加熱混合したものを、(1)に吹き付け粒剤とする。
【0085】
製剤例4
(1)フルアジナム 20重量部
(2)ホスチアゼート 10重量部
(3)ソルポール3661S(東邦化学製) 10重量部
(4)イプゾール150(出光石油化学製) 60重量部
上記(1)〜(4)を混合溶解して乳剤とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
S−sec−ブチル O−エチル 2−オキソ−1,3−チアゾリジン−3−イルホスホノチオアート、O−エチル−S−n−プロピル(2−シアノイミノ−3−エチル−イミダゾリジン−1−イル)ホスホノチオレート及びS,S−ジ−sec−ブチル O−エチル ホスホロジチオアートから成る群から選ばれる少なくとも1種の有機リン系化合物と、ベノミルとを有効成分として含有することを特徴とする有害生物防除組成物。

【公開番号】特開2011−140514(P2011−140514A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83457(P2011−83457)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【分割の表示】特願2005−5588(P2005−5588)の分割
【原出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000000354)石原産業株式会社 (289)
【Fターム(参考)】