説明

有害生物防除組成物

【課題】有害生物に対する優れた防除効力を有する有害生物防除組成物及び有害生物の防除方法を提供すること。
【解決手段】エトキサゾールと、式(I):


〔式中、R、R、R、R、R、R、R、R、X及びXはいずれも明細書中に記載の定義を表す。〕で示される化合物とを含有する有害生物防除組成物は、有害生物に対する優れた防除効力を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害生物防除組成物及び有害生物の防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、有害生物の防除を目的として、種々の化合物が見出され、あるいは開発されており、これらを有効成分とした有害生物防除剤が用いられている。有害生物防除剤の有効成分としては、例えば、エトキサゾール(2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾール)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、式(I):
【化1】

〔式中、
は水素原子又はメチル基を表し、
は水素原子、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基又は(C1−C4アルキル)カルボニル基を表し、
は水素原子、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基又は(C1−C4アルキル)カルボニル基を表し、
は水素原子、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基又は(C1−C4アルキル)カルボニル基を表し、
は水素原子、C1−C4アルキル基又はC1−C4アルキルアミノ基を表し、
は水素原子又はメチル基を表し、
はメチル基又はエチル基を表し、
はアミノ基、C1−C4アルキルアミノ基又はジ(C1−C4アルキル)アミノ基を表し、
及びXはいずれも水素原子を表すか、又は、X及びXが一緒になって単結合を表す。〕
で示される化合物も有害生物防除剤の有効成分として知られている(例えば、特許文献2及び3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第93/22297号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開第375316号明細書
【特許文献3】国際公開第97/00265号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、有害生物に対する優れた防除効力を有する有害生物防除組成物及び有害生物の防除方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、有害生物に対する優れた防除効力を有する有害生物防除組成物及び有害生物の防除方法を見出すべく鋭意研究の結果、エトキサゾールと下記式(I)で示される化合物とを含有する有害生物防除組成物が有害生物に対する優れた防除効力を有することを見出し、本発明に到った。
【0007】
すなわち、本発明は以下のものである。
[1] エトキサゾールと、式(I):
【化2】

〔式中、
は水素原子又はメチル基を表し、
は水素原子、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基又は(C1−C4アルキル)カルボニル基を表し、
は水素原子、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基又は(C1−C4アルキル)カルボニル基を表し、
は水素原子、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基又は(C1−C4アルキル)カルボニル基を表し、
は水素原子、C1−C4アルキル基又はC1−C4アルキルアミノ基を表し、
は水素原子又はメチル基を表し、
はメチル基又はエチル基を表し、
はアミノ基、C1−C4アルキルアミノ基又はジ(C1−C4アルキル)アミノ基を表し、
及びXはいずれも水素原子を表すか、又は、X及びXが一緒になって単結合を表す。〕
で示される化合物とを含有する有害生物防除組成物。
[2] エトキサゾールと式(I)で示される化合物との重量比が100:1〜1:100である[1]記載の有害生物防除組成物。
[3] 式(I)で示される化合物がスピノサド又はスピネトラムである[1]又は[2]記載の有害生物防除組成物。
[4] エトキサゾールと、式(I):
【化3】

〔式中、
は水素原子又はメチル基を表し、
は水素原子、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基又は(C1−C4アルキル)カルボニル基を表し、
は水素原子、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基又は(C1−C4アルキル)カルボニル基を表し、
は水素原子、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基又は(C1−C4アルキル)カルボニル基を表し、
は水素原子、C1−C4アルキル基又はC1−C4アルキルアミノ基を表し、
は水素原子又はメチル基を表し、
はメチル基又はエチル基を表し、
はアミノ基、C1−C4アルキルアミノ基又はジ(C1−C4アルキル)アミノ基を表し、
及びXはいずれも水素原子を表すか、又は、X及びXが一緒になって単結合を表す。〕
で示される化合物との有効量を有害生物又は有害生物の生息場所に施用する工程を有する有害生物の防除方法。
[5] エトキサゾールと式(I)で示される化合物との重量比が100:1〜1:100である[4]記載の有害生物の防除方法。
[6] 式(I)で示される化合物がスピノサド又はスピネトラムである[4]又は[5]記載の有害生物の防除方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、有害生物に対して優れた防除効力を有する有害生物防除組成物及び有害生物防除方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の有害生物防除組成物は、エトキサゾールと上記式(I)で示される化合物とを含有するものである。
【0010】
エトキサゾールは、国際公開第93/22297号パンフレットに記載された方法で製造することができる。
【0011】
上記式(I)で示される化合物は、例えば欧州特許出願公開第375316号明細書及び国際公開第97/00265号パンフレットに記載される化合物であり、該公報に記載の方法により製造することができる。
【0012】
上記式(I)において、R、R、R、R及びRで示される各置換基としては、詳しくは以下のものが挙げられる。
【0013】
、R、R及びRで示される「C1−C4アルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、1−メチルエチル基及び1,1−ジメチルエチル基が挙げられる。
、R及びRで示される「C1−C4ハロアルキル基」としては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチル基が挙げられる。ここで、「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
、R及びRで示される「(C1−C4アルキル)カルボニル基」としては、例えば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基及びブチルカルボニル基が挙げられる。
及びRで示される「C1−C4アルキルアミノ基」としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基及びブチルアミノ基が挙げられる。
で示される「ジ(C1−C4アルキル)アミノ基」としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基及びジプロピルアミノ基が挙げられる。
【0014】
上記式(I)において、X及びXが一緒になって単結合を表す化合物とは、詳しくは下記式(I−a):
【化4】

〔式中、R、R、R、R、R、R、R及びRは、上記と同じ意味を表す。〕で示される化合物である。
【0015】
式(I)で示される化合物としては、例えば次のものが挙げられる。
【0016】
下記式(I):
【化5】

〔式中、R、R、R、R、R、R、R、R、X及びXは、表1に記載の組み合わせのいずれかを表す。〕
で示される化合物。
【0017】
【表1】

【0018】
表1において、No.1に記載の化合物はスピノシンA、No.4に記載の化合物はスピノシンD、No.23に記載の化合物はスピネトラムJ、No.24に記載の化合物はスピネトラムLとして知られる化合物である。
【0019】
また、一般名スピノサドとして、No.1に記載の化合物(スピノシンA)とNo.4に記載の化合物(スピノシンD)との混合物が農薬の有効成分として知られており、一般名スピネトラムとして、No.23に記載の化合物(スピネトラムJ)とNo.24に記載の化合物(スピネトラムL)との混合物が農薬の有効成分として知られており、これらを本発明に用いることもできる。
【0020】
スピノサドでは、スピノシンAとスピノシンDとの混合割合は、重量比で50:50〜95:5であり、通常70:20〜95:5である。スピノサドは、例えば欧州特許出願公開第375316号明細書に記載された方法で製造することができる。
スピネトラムでは、スピネトラムJとスピネトラムLとの混合割合は、重量比で50:50〜90:10であり、通常70:30〜90:10である。スピネトラムは、例えば国際公開第97/00265号パンフレットに記載された方法で製造することができる。
【0021】
本発明の有害生物防除組成物において、エトキサゾールと、式(I)で示される化合物との重量比は、通常100:1〜1:100、好ましくは10:1〜1:10の範囲である。
【0022】
本発明の有害生物防除組成物は、エトキサゾールと、式(I)で示される化合物との単なる混合物でもよいが、通常は、エトキサゾール、式(I)で示される化合物及び不活性担体を混合し、必要に応じて界面活性剤やその他の製剤用補助剤を添加して、油剤、乳剤、フロアブル剤、水和剤、顆粒水和剤、粉剤、粒剤等に製剤化される。
本発明の有害生物防除組成物には、エトキサゾールと式(I)で示される化合物とが、合計量で通常0.01〜90重量%、好ましくは0.1〜80重量%含有される。
【0023】
製剤化の際に用いられる不活性担体としては、固体担体、液体担体及びガス状担体が挙げられる。
固体担体としては、例えば、カオリンクレー、アッタパルジャイトクレー、ベントナイト、モンモリロナイト、酸性白土、パイロフィライト、タルク、珪藻土、方解石等の鉱物、トウモロコシ穂軸粉、クルミ殻粉等の天然有機物、尿素、尿素ホルムアルデヒド樹脂等の合成有機物、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム等の塩類、合成含水酸化珪素等の合成無機物等からなる微粉末あるいは粒状物等が挙げられる。
液体担体としては、例えば、キシレン、アルキルベンゼン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、ダイズ油、綿実油等の植物油、石油系脂肪族炭化水素類、エステル類、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、及び水が挙げられる。
ガス状担体としては、例えば、フルオロカーボン、ブタンガス、LPG(液化石油ガス)、ジメチルエーテル及び炭酸ガスが挙げられる。
【0024】
界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル塩、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホネートホルムアルデヒド重縮合物、スチレン−アクリル酸共重合体、メチルオレイルタウレートナトリウム塩等の陰イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤;及びアルキルトリメチルアンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤が挙げられる。
【0025】
その他の製剤用補助剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、アラビアガム、アルギン酸及びその塩、CMC(カルボキシメチルセルロ−ス)、ザンサンガム等の多糖類、アルミニウムマグネシウムシリケート、スメクタイト、アルミナゾル等の無機物、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール等の防腐剤、着色剤、及びPAP(酸性リン酸イソプロピル)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)等の安定化剤が挙げられる。
【0026】
本発明の有害生物防除組成物が防除効力を有する有害生物としては、例えば、昆虫、ダニ等の節足動物及び線虫等の線形動物が挙げられる。有害生物の具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0027】
半翅目害虫:ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)等のウンカ類、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、タイワンツマグロヨコバイ(Nephotettix virescens)等のヨコバイ類、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、ダイコンアブラムシ(Brevicoryne brassicae)、チューリップヒゲナガアブラムシ(Macrosiphum euphorbiae)、ジャガイモヒゲナガアブラムシ(Aulacorthum solani)、ムギクビレアブラムシ(Rhopalosiphum padi)、ミカンクロアブラムシ(Toxoptera citricidus)等のアブラムシ類、アオクサカメムシ(Nezara antennata)、ホソヘリカメムシ(Riptortus clavetus)、クモヘリカメムシ(Leptocorisa chinensis)、トゲシラホシカメムシ(Eysarcoris parvus)、クサギカメムシ(Halyomorpha mista)、ターニッシュッドプラントバグ(Lygus lineolaris)等のカメムシ類、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii)、ミカントゲコナジラミ(Aleurocanthus spiniferus)等のコナジラミ類、アカマルカイガラムシ(Aonidiella aurantii)、サンホーゼカイガラムシ(Comstockaspis perniciosa)、シトラススノースケール(Unaspis citri)、ルビーロウムシ(Ceroplastes rubens)、イセリヤカイガラムシ(Icerya purchasi)、クワシロカイガラムシ(Pseudaulacapsis pentagona)等のカイガラムシ類、グンバイムシ類、キジラミ類等;
【0028】
鱗翅目害虫:ニカメイガ(Chilo suppressalis)、サンカメイガ(Tryporyza incertulas)、コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)、ワタノメイガ(Notarcha derogata)、ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)、アワノメイガ(Ostrinia furnacalis)、ヨーロピアンコーンボーラー(Ostrinia nubilaris)、ハイマダラノメイガ(Hellula undalis)、シバツトガ(Pediasia teterrellus)等のメイガ類、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)、アワヨトウ(Pseudaletia separata)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、タマナヤガ(Agrotis ipsilon)、タマナギンウワバ(Plusia nigrisigna)、トリコプルシア属、ヘリオティス属、ヘリコベルパ属等のヤガ類、モンシロチョウ(Pieris rapae)等のシロチョウ類、アドキソフィエス属、ナシヒメシンクイ(Grapholita molesta)、マメシンクイガ(Leguminivora glycinivorella)、アズキサヤムシガ(Matsumuraeses azukivora)、リンゴコカクモンハマキ(Adoxophyes orana fasciata)、チャノコカクモンハマキ(Adoxophyes sp.)、チャハマキ(Homona magnanima)、ミダレカクモンハマキ(Archips fuscocupreanus)、コドリンガ(Cydia pomonella)等のハマキガ類、チャノホソガ(Caloptilia theivora)、キンモンホソガ(Phyllonorycter ringoneella)のホソガ類、モモシンクイガ(Carposina niponensis)等のシンクイガ類、リオネティア属等のハモグリガ類、リマントリア属、ユープロクティス属等のドクガ類、コナガ(Plutella xylostella)等のスガ類、ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella)、ジャガイモガ(Phthorimaea operculella)等のキバガ類、アメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea)等のヒトリガ類、イガ(Tinea translucens)、コイガ(Tineola bisselliella)等のヒロズコガ類等;
【0029】
アザミウマ目害虫:ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、チャノキイロアザミウマ(Scirtothrips dorsalis)、ネギアザミウマ(Thrips tabaci)、ヒラズハナアザミウマ(Frankliniella intonsa)、タバコアザミウマ(Frankliniella fusca)等のアザミウマ類等;
【0030】
双翅目害虫:イエバエ(Musca domestica)、アカイエカ(Culex popiens pallens)、ウシアブ(Tabanus trigonus)、タマネギバエ(Hylemya antiqua)、タネバエ(Hylemya platura)、シナハマダラカ(Anopheles sinensis)、イネハモグリバエ(Agromyza oryzae)、イネヒメハモグリバエ(Hydrellia griseola)、イネキモグリバエ(Chlorops oryzae)、マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)等のハモグリバエ類、ウリミバエ(Dacus cucurbitae)、チチュウカイミバエ(Ceratitis capitata)等;
【0031】
甲虫目害虫:ニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctopunctata)、ウリハムシ(Aulacophora femoralis)、キスジノミハムシ(Phyllotreta striolata)、イネドロオイムシ(Oulema oryzae)、イネゾウムシ(Echinocnemus squameus)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、ワタミゾウムシ(Anthonomus grandis)、アズキゾウムシ(Callosobruchus chinensis)、シバオサゾウムシ(Sphenophorus venatus)、マメコガネ(Popillia japonica)、ドウガネブイブイ(Anomala cuprea)、コーンルートワーム(Diabrotica spp.)、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)、コメツキムシ(Agriotes spp.)、タバコシバンムシ(Lasioderma serricorne)、ヒメマルカツオブシムシ(Anthrenus verbasci)、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)、ヒラタキクイムシ(Lyctus brunneus)、ゴマダラカミキリ(Anoplophora malasiaca)、マツノキクイムシ(Tomicus piniperda)等;
【0032】
直翅目害虫:トノサマバッタ(Locusta migratoria)、ケラ(Gryllotalpa africana)、コバネイナゴ(Oxya yezoensis)、ハネナガイナゴ(Oxya japonica)等;
膜翅目害虫:カブラハバチ(Athalia rosae)、ハキリアリ(Acromyrmex spp.)、ファイヤーアント(Solenopsis spp.)等;
ゴキブリ目害虫:チャバネゴキブリ(Blattella germanica)、クロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)、トビイロゴキブリ(Periplaneta brunnea)、トウヨウゴキブリ(Blatta orientalis)等;
【0033】
ダニ目害虫:ナミハダニ(Tetranychus urticae)、ミカンハダニ(Panonychus citri)、オリゴニカス属等のハダニ類、ミカンサビダニ(Aculops pelekassi)等のフシダニ類、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus)等のホコリダニ類、ヒメハダニ類、ケナガハダニ類、ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)等のコナダニ類、コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)、ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides ptrenyssnus)等のヒョウヒダニ類、ホソツメダニ(Cheyletus eruditus)、クワガタツメダニ(Cheyletus malaccensis)、ミナミツメダニ(Cheyletus moorei)等のツメダニ類等;
線虫類:イネシンガレセンチュウ(Aphelenchoides besseyi)、イチゴメセンチュウ(Nothotylenchus acris)等。
【0034】
本発明の有害生物防除方法は、エトキサゾールと式(I)で示される化合物との有効量を有害生物又は有害生物の生息場所に施用する工程を有する。
有害生物の生息場所としては、例えば、作物及び作物が生育する土壌が挙げられる。
【0035】
本発明の有害生物防除方法は、本発明の有害生物防除組成物を有害生物又は有害生物の生息場所に施用することで行うことができる。また、本発明の有害生物防除方法は、エトキサゾールと、式(I)で示される化合物とを別々に有害生物又は有害生物の生息場所に施用することによっても行うことができる。
【0036】
本発明の有害生物防除方法において、施用されるエトキサゾールと式(I)で示される化合物との重量比は、通常100:1〜1:100、好ましくは10:1〜1:10の範囲である。
【0037】
本発明の有害生物防除方法において、エトキサゾールと式(I)で示される化合物とを有害生物の生息場所に施用する方法としては、例えば、エトキサゾールと式(I)で示される化合物とを作物の茎葉に散布する方法、エトキサゾールと式(I)で示される化合物とを作物が生育する土壌に灌注する方法、及びエトキサゾールと式(I)で示される化合物とを作物の種子に処理する方法が挙げられる。
【0038】
エトキサゾールと式(I)で示される化合物とを作物の茎葉又は作物が生育する土壌に施用する場合、その施用量は、防除対象作物である作物等の種類、防除対象有害生物の種類、防除対象有害生物の発生程度、製剤形態、処理時期、気象条件等によって変化させ得るが、エトキサゾールと式(I)で示される化合物との合計量で10000m2あたり通常0.1〜1000g、好ましくは1〜200gである。
【0039】
エトキサゾールと式(I)で示される化合物とが乳剤、水和剤、フロアブル剤等に製剤化されている場合、これらの製剤は通常、水で希釈して散布することにより施用される。この場合、エトキサゾール及び式(I)で示される化合物との合計濃度は、通常1〜10000ppm、好ましくは10〜500ppmに希釈される。
エトキサゾールと式(I)で示される化合物とが粉剤、粒剤等に製剤化されている場合、これらの製剤は通常、希釈することなくそのまま施用される。
【0040】
エトキサゾールと式(I)で示される化合物とを作物の種子に処理する場合、その処理量は、エトキサゾールと式(I)で示される化合物との合計量で種子1kgあたり通常0.001〜20g、好ましくは0.01〜10gである。
【0041】
本発明の有害生物防除組成物は、下記の「作物」に包含される植物の有害生物防除に使用することができる。ただし、これらの植物は例示であり、これらに限定されるものではない。
【0042】
「作物」:
農作物:トウモロコシ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、ソルガム、ワタ、ダイズ、イネ、ピーナッツ、ソバ、テンサイ、ナタネ、ヒマワリ、サトウキビ、タバコ等、 野菜;ナス科野菜(ナス、トマト、ピーマン、トウガラシ、ジャガイモ等)、ウリ科野菜(キュウリ、カボチャ、ズッキーニ、スイカ、メロン等)、アブラナ科野菜(ダイコン、カブ、セイヨウワサビ、コールラビ、ハクサイ、キャベツ、カラシナ、ブロッコリー、カリフラワー等)、キク科野菜(ゴボウ、シュンギク、アーティチョーク、レタス等)、ユリ科野菜(ネギ、タマネギ、ニンニク、アスパラガス等)、セリ科野菜(ニンジン、パセリ、セロリ、アメリカボウフウ等)、アカザ科野菜(ホウレンソウ、フダンソウ等)、シソ科野菜(シソ、ミント、バジル等)、イチゴ、サツマイモ、ヤマノイモ、サトイモ等、
花卉:アカンサス、アサガオ、アザレア、アジサイ、アズマイチゲ、アッツザクラ、アネモネ、アマドコロ、アマリリス、アヤメ、アリッサム、アルメリア、アークトチス、エゾギク、エディブル・フラワー、エリカモドキ、オオツルボ、オオバギボウシ、オオハルシャギクオシロイバナ、オトギリソウ属、オニゲシ、オヤマリンドウ、オーレオマルギナータ、カキツバタ、カザグルマ、ガザニア、カサブランカ、カーネーション、カノコユリ、ガーベラ、カランコエ、カルセオラリア、カレープラント、カロライナジャスミン、カンナ、キク、キダチチョウセンアサガオ属、キバナコスモス、ギボウシ、金正日花、ギョリュウバイ、キンセンカ、ギンバイカ、キンレンカ、グラジオラス、クルクマ・シャローム、クレマチス、ケイトウ、コエビソウ、ゴジカ、コスモス、コバギボウシ、コンボルブルス・アルベンシス、サガエギボウシ、サクラソウ、サフラン、サルビア、シクラメン、シバザクラ、シャクヤク、シュウメイギク、シラン、スイートピー、スズラン、スノーフレーク、スベリヒユ、スミレ、セイヨウキンシバイ、セイヨウノコギリソウ、セキチク、ゼフィランサス、テンジクアオイ属、ダイコンソウ属、タマスダレ、ダリア、チトニア、チューリップ、チョコレートコスモス、ツルニチニチソウ、ツルボ属、テンニンカ、ドイツアヤメ、トケイソウ、ナデシコ、ナノハナ、ニチニチソウ、ニリンソウ、ネモフィラ、ネリネ属、ノースポール、ノハナショウブ、バーベナ、ハイビスカス、ハゲイトウ、ハゼラン、ハナショウブ、ハナズオウ、ハナニラ、ハナハマサジ、ハナビシソウ、パンジー、バージニア、ストック、ヒナギク、ヒナゲシ、ヒマラヤユキノシタ、ヒマワリ、ヒヤシンス、ビヨウヤナギ、フウロソウ属、フクシア、フリージア、プリムラ、ホウセンカ、ホオズキ、ボタン、ホトトギス属、マーガレット、マリーゴールド、ミヤコワスレ、ムギワラギク、ムスカリ、ヤマブキ、ユリ、ラナンキュラス、ランタナ、リンドウ、ルピナス属、ロベリア等、
観葉植物:アイビー、アカリファ、アグラオネマ、アジアンタム、アスパラガス、アスプレニウム、アナナス類、アフェランドラ、アロカシア、アンスリウム、インドゴムノキ、ウツボカズラ、ウエクメア、エスキナンサス、エピスシア、オーガスタ、オリヅルラン、ガジュマル、カポック、カラジューム、カラテア、ギヌラ、グズマニア、クテナンテ、ゴムの木、クラッスラ、クロトン、クワズイモ、ゲッキツ、コーヒーノキ、幸福の木・マッサン、コニファー類、コリウス、コルディリーネ、コルムネア、サンスベリア、サンセベリア、サンタンカ、シェフレラ、シッサス、シペラス、シュロチク、シルクジャスミン、シンゴニウム、ストレリチア、スパティフィラム、セネキオ、ゼブリナ、ソテツ、チランジア、ツピダンサス、デイコ、ディジゴセカ、ディフェンバキア、デュランタ、トックリラン、ドラセナ、トラデスカンティア、ネオレゲリア、ネフロレピス、ハートカズラ、ハイビスカス、パキポディウム、パキラ、ポニーテール、ビカクシダ、ピレア、ファッツヘデラ、フィカス・プミラ、フィロデンドロン、ブーゲンビレア、フェニックス、フィットニア、プテリス、ブライダルベール、フリーセア、プレクトランサス、ベゴニア、ペペロニア、ヘリコニア、ベンジャミン(ベンジャミナ)、ポインセチア、ポトス、ホヤマランタ、ミリオンバンブー、ミルクブッシュ、ムラサキオモト、モンステラ、ヤシ類、ユッカ、ランタナ等、
果樹:仁果類(リンゴ、セイヨウナシ、ニホンナシ、カリン、マルメロ等)、核果類(モモ、スモモ、ネクタリン、ウメ、オウトウ、アンズ、プルーン等)、カンキツ類(ウンシュウミカン、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ等)、堅果類(クリ、クルミ、ハシバミ、アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツ、マカダミアナッツ等)、液果類(ブルーベリー、クランベリー、ブラックベリー、ラズベリー等)、ブドウ、カキ、オリーブ、ビワ、バナナ、コーヒー、ナツメヤシ、ココヤシ等、
果樹以外の樹:チャ、クワ、花木、街路樹(トネリコ、カバノキ、ハナミズキ、ユーカリ、イチョウ、ライラック、カエデ、カシ、ポプラ、ハナズオウ、フウ、プラタナス、ケヤキ、クロベ、モミノキ、ツガ、ネズ、マツ、トウヒ、イチイ)等。
【0043】
上記「作物」には、イソキサフルトール等の4−ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ阻害剤、イマゼタピル、チフェンスルフロンメチル等のアセト乳酸合成酵素(以後ALSと略する)阻害剤、グリホサート等の5−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸シンターゼ(以後EPSPと略する)阻害剤、グルホシネート等のグルタミン合成酵素阻害剤、2,4−D、ジカンバ等のオーキシン型除草剤、ブロモキシニル等の除草剤に対する耐性が、古典的な育種法又は遺伝子組換え技術により付与された植物も含まれる。
【0044】
古典的な育種法により耐性が付与された「作物」の例として、イマゼタピル等のイミダゾリノン系ALS阻害型除草剤に耐性のトウモロコシ、カノーラなどがあり、Clearfield(登録商標)の商品名ですでに販売されている。また、チフェンスルフロンメチル等のスルホニルウレア系ALS阻害型除草剤耐性のSTSダイズ等がある。同様に古典的な育種法によりトリオンオキシム系、アリールオキシフェノキシプロピオン酸系除草剤などのアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性が付与された植物の例として、SRコーン等がある。アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に対する耐性が付与された植物は、Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1990)vol. 87の7175〜7179頁等に記載されている。
【0045】
遺伝子組換え技術により除草剤耐性が与された「作物」の例として、グリホサートやグルホシネート耐性のトウモロコシ、ダイズ、ワタがあり、RoundupReady(登録商標)、LibertyLink(登録商標)、及びOptimum GAT(登録商標)等の商品名ですでに販売されている。
【0046】
アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性の変異アセチルCoAカルボキシラーゼがWeed Science (2005) Vol. 53の728〜746頁等に報告されており、こうした変異アセチルCoAカルボキシラーゼ遺伝子を遺伝子組換え技術により植物に導入するか若しくは抵抗性付与に関わる変異を植物アセチルCoAカルボキシラーゼに導入することにより、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性の植物を作出することができる。さらに、キメラプラスティ技術(Gura T. 1999 Repairing The Genome's Spelling Mistakes. Science 285:316〜318)に代表される塩基置換変異導入核酸を植物細胞内に導入して植物のアセチルCoAカルボキシラーゼ遺伝子やALS遺伝子等に部位特異的アミノ酸置換変異を導入することにより、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤やALS阻害剤等に耐性の植物を作出することができる。
【0047】
シュードモナス・マルトフィリア(Pseudomonas maltophilia)より単離されたジカンバモノオキシゲナーゼ(dicamba monooxygenase)等のジカンバの分解酵素を植物に導入し、ジカンバに耐性のダイズ等の作物を作出することができる(Behrens et al. 2007 Dicamba Resistance: Enlarging and Preserving Biotechnology-Based Weed Management Strategies. Science 316:1185〜1188)。
アリルオキシアルカノエートジオキゲナーゼ(aryloxyalkanoate dioxygenase)をコードする遺伝子を導入し、2,4−D、MCPA、ジクロプロップ、メコプロップ等のフェノキシ酸系除草剤と、キザロホップ、ハロキシホップ、フルアジホップ、ジクロホップ、フェノキサプロップ、メタミホップ、シハロホップ、クロジナホップ等のアリールオキシフェノキシプロピオン酸系除草剤とに耐性となる作物を作出することができる(WO2005/107437、WO2007/053482、WO2008/141154)。
【0048】
上記「作物」には、遺伝子組換え技術を用いて、例えば、バチルス属で知られている殺虫性タンパク質を合成する事が可能となった作物も含まれる。
この様な遺伝子組換え植物で発現される毒素として、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)やバチルス・ポピリエ(Bacillus popilliae)由来の殺虫性タンパク;バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)由来のCry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry1Fa2、Cry2Ab、Cry3A、Cry3Bb1又はCry9Cなどのδ−エンドトキシン、VIP1、VIP2、VIP3又はVIP3Aなどの殺虫タンパク;線虫由来の殺虫タンパク;さそり毒素、クモ毒素、ハチ毒素又は昆虫特異的神経毒素等動物によって産生される毒素;糸状菌類毒素;植物レクチン;アグルチニン;トリプシン阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、パタチン、シスタチン、パパイン阻害剤等のプロテアーゼ阻害剤;リシン、トウモロコシ−RIP、アブリン、ルフィン、サポリン、ブリオジン等のリボゾーム不活性化タンパク(RIP);3−ヒドロキシステロイドオキシダーゼ、エクジステロイド−UDP−グルコシルトランスフェラーゼ、コレステロールオキシダーゼ等のステロイド代謝酵素;エクダイソン阻害剤;HMG-CoAリダクターゼ;ナトリウムチャネル、カルシウムチャネル阻害剤等のイオンチャネル阻害剤;幼若ホルモンエステラーゼ;利尿ホルモン受容体;スチルベンシンターゼ;ビベンジルシンターゼ;キチナーゼ;グルカナーゼ等が挙げられる。
【0049】
また、この様な遺伝子組換え植物で発現される毒素として、Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry1Fa2、Cry2Ab、Cry3A、Cry3Bb1、 Cry9C、Cry34Ab又はCry35Abなどのδ−エンドトキシンタンパク、VIP1、VIP2、VIP3又はVIP3Aなどの殺虫タンパクのハイブリッド毒素、一部を欠損した毒素、修飾された毒素も含まれる。
ハイブリッド毒素は、遺伝子組換え技術を用いて、これらタンパクの異なるドメインの新しい組合せによって作り出される。
一部を欠損した毒素としては、アミノ酸配列の一部を欠損したCry1Abが知られている。
修飾された毒素は、天然型の毒素のアミノ酸の1つ又は複数が置換されている。
これら毒素の例及びこれら毒素を合成することができる組換え植物は、EP−A−0 374 753、WO 93/07278、WO 95/34656、EP−A−0 427 529、EP−A−451 878、WO 03/052073等に記載されている。
これらの組換え植物に含まれる毒素は、特に、甲虫目害虫、双翅目害虫、鱗翅目害虫への耐性を植物へ付与する。
【0050】
1つ若しくは複数の殺虫性の害虫抵抗性遺伝子を含み、1つまたは複数の毒素を発現する遺伝子組換え植物は既に知られており、いくつかのものは市販されている。
これら遺伝子組換え植物の例として、YieldGard(登録商標)(Cry1Ab毒素を発現するトウモロコシ品種)、YieldGard Rootworm(登録商標)(Cry3Bb1毒素を発現するトウモロコシ品種)、YieldGard Plus(登録商標)(Cry1AbとCry3Bb1毒素を発現するトウモロコシ品種)、Herculex I(登録商標)(Cry1Fa2毒素とグルホシネートへの耐性を付与する為にホスフィノトリシン N−アセチルトランスフェラーゼ(PAT)を発現するトウモロコシ品種)、NuCOTN33B(登録商標)(Cry1Ac毒素を発現するワタ品種)、Bollgard I(登録商標)(Cry1Ac毒素を発現するワタ品種)、Bollgard II(登録商標)(Cry1AcとCry2Ab毒素とを発現するワタ品種)、VIPCOT(登録商標)(VIP毒素を発現するワタ品種)、NewLeaf(登録商標)(Cry3A毒素を発現するジャガイモ品種)、NatureGard(登録商標)Agrisure(登録商標)GT Advantage(GA21 グリホサート耐性形質)、Agrisure(登録商標) CB Advantage(Bt11コーンボーラー(CB)形質)、Protecta(登録商標)等が挙げられる。
【0051】
本発明の有害生物防除組成物または有害生物防除方法の防除対象に用いられる植物としては、例えば、Rag1(Resistance Aphid Gene 1)遺伝子が導入されたダイズ等のアブラムシに対する耐性が付与された植物も挙げられる。
【0052】
上記「作物」としては、遺伝子組換え技術を用いて、選択的な作用を有する抗病原性物質を産生する能力を付与された作物も含まれる。
抗病原性物質の例として、PRタンパク等が知られている(PRPs、EP−A−0 392 225)。このような抗病原性物質とそれを産生する遺伝子組換え植物は、EP−A−0 392 225、WO 95/33818、EP−A−0 353 191等に記載されている。
【0053】
こうした遺伝子組換え植物で発現される抗病原性物質の例として、例えば、ナトリウムチャネル阻害剤、カルシウムチャネル阻害剤(ウイルスが産生するKP1、KP4、KP6毒素等が知られている。)等のイオンチャネル阻害剤;スチルベンシンターゼ;ビベンジルシンターゼ;キチナーゼ;グルカナーゼ;PRタンパク;ペプチド抗生物質、ヘテロ環を有する抗生物質、植物病害抵抗性に関与するタンパク因子(植物病害抵抗性遺伝子と呼ばれ、WO 03/000906に記載されている。)等の微生物が産生する抗病原性物質等が挙げられる。
【0054】
上記の「作物」は、遺伝子組換え技術を用いて、油糧成分改質やアミノ酸含量増強形質などの有用形質を付与した植物も含む。例として、VISTIVE(登録商標)(リノレン含量を低減させた低リノレン大豆)又は、high−lysine (high−oil) corn(リジン又はオイル含有量を増量したコーン)等が挙げられる。
【0055】
さらに、上記の「作物」には、上記の古典的な除草剤形質又は除草剤耐性遺伝子、殺虫性害虫抵抗性遺伝子、抗病原性物質産生遺伝子、油糧成分改質やアミノ酸含量増強形質などの有用形質について、これらを複数組み合わせたスタック品種も含まれる。
【0056】
さらに、本発明は、有害生物防除剤を製造するためのエトキサゾールと上記式(I)の化合物との組み合わせの使用に関する。
また、有害生物防除に使用されるエトキサゾールと上記式(I)の化合物との組み合わせに関する。
【0057】
本発明では、他種の殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、除草剤、植物ホルモン剤、植物成長調節物質等の有害生物防除剤等、共力剤、薬害軽減剤、色素、肥料、土壌改良剤、動物用飼料等を併用していてもよい。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を製剤例及び試験例により説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
まず、製剤例を示す。尚、部は重量部を表す。
【0059】
製剤例1
エトキサゾール5部;スピノサド又はスピネトラム5部;ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル8部;ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム2部;及びキシレン80部を混合して乳剤を得る。
【0060】
製剤例2
エトキサゾール20部;スピノサド又はスピネトラム4部;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部;リグニンスルホン酸ナトリウム3部;及び珪藻土70部をジェットエアーミルで粉砕して水和剤を得る。
【0061】
製剤例3
エトキサゾール1部;スピノサド又はスピネトラム0.5部;タルク48.5部;及びクレー50部を混合して粉剤を得る。
【0062】
製剤例4
エトキサゾール1部;スピノサド又はスピネトラム4部;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部;ベントナイト30部;及びクレー60部を混合する。次いで、この混合物に適量の水を加えて攪拌し、これを造粒機で製粒し、通風乾燥して粒剤を得る。
【0063】
製剤例5
ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフェート5部;1%ザンサンガム水溶液20部;スメクタイト鉱物3部;及び水60部を混合する。この混合物に、エトキサゾール5部;及びスピノサド又はスピネトラム5部を加えて攪拌した後、サンドミルで湿式粉砕してフロアブル剤を得る。
【0064】
製剤例6
エトキサゾール0.1部とスピノサド又はスピネトラム0.02部とをアセトン10部に溶解する。この溶液を動物用固形飼料粉末(飼育繁殖用固形飼料粉末CE−2:日本クレア株式会社製)99.88部と均一に混合した後、アセトンを風乾し、毒餌を得る。
【0065】
製剤例7
エトキサゾール0.1部とスピノサド又はスピネトラム0.1部とをキシレン5部及びトリクロロエタン5部に溶解し、これを脱臭灯油89.8部に混合して油剤を得る。
【0066】
次に、本発明による有害生物防除について、試験例を示す。
試験例1
エトキサゾール10.0重量%含有するフロアブル製剤(商品名:バロック(登録商標)フロアブル、協友アグリ株式会社)をエトキサゾールの濃度が25ppmになるように、展着剤(商品名:シンダイン(登録商標)、住友化学株式会社)0.02容量%を含有する水で希釈した。
スピネトラム(スピネトラムJ:スピネトラムL=75:25(重量比))11.7重量%を含有するフロアブル製剤をスピネトラムの濃度が7.31ppmになるように、展着剤(商品名:シンダイン(登録商標)、住友化学株式会社)0.02容量%を含有する水で希釈した。
エトキサゾールの水希釈液と、スピネトラムの水希釈液とを等量ずつ混合し、試験用薬液を調製した。
また、上記エトキサゾールの水希釈液および上記スピネトラムの水希釈液を、それぞれ上記展着剤0.02容量%を含有する水と等量ずつ混合し、エトキサゾールの12.5ppm濃度の水希釈水およびスピネトラムの3.66ppm濃度の水希釈水を調製した。
容量860mlのポットにキャベツを植え、4葉期まで生育させた。そのキャベツの葉を1枚ずつ切り取った。このキャベツの葉1枚を試験用薬液に60秒間浸漬した。キャベツの葉を風乾した後、そのキャベツの葉を濾紙を敷いた容量500mlカップに入れた。そのカップの中にハスモンヨトウの3齢幼虫を10頭ずつ放った。また、試験用薬液の代わりに、エトキサゾールの12.5ppm濃度の水希釈液またはスピネトラムの3.66ppm濃度の水希釈液を単独で用いて同様に処理した。これらを処理区とした。
一方、キャベツの葉1枚を試験用薬液に浸漬および風乾しないで、濾紙を敷いた容量500mlカップに入れた。そのカップの中にハスモンヨトウの3齢幼虫を10頭ずつ放った(これを無処理区とした。)。
4日後に処理区および無処理区のそれぞれで、供試した虫の生死を観察し、下記式により死虫率を求めた。
死虫率(%)=100×((供試虫数−生存虫数)/供試虫数)
その結果を、下記式によって補正して殺虫率を算出した。
殺虫率(%)=100×(Mt−Mc)/(100−Mc)
Mt:処理区における死虫率(%)
Mc:無処理区における死虫率(%)
なお、試験は3反復で行った。その結果を表2に示す。
【0067】
【表2】

【0068】
試験例2
エトキサゾール10.0重量%含有するフロアブル製剤(商品名:バロック(登録商標)フロアブル、協友アグリ株式会社)をエトキサゾールの濃度が1.56ppmになるように、展着剤(商品名:シンダイン(登録商標)、住友化学株式会社)0.02容量%を含有する水で希釈した。
スピネトラム(スピネトラムJ:スピネトラムL=75:25(重量比))11.7重量%を含有するフロアブル製剤をスピネトラムの濃度が6.25ppmになるように、展着剤(商品名:シンダイン(登録商標)、住友化学株式会社)0.02容量%を含有する水で希釈した。
エトキサゾールの水希釈液と、スピネトラムの水希釈液とを等量ずつ混合し、試験用薬液を調製した。
また、上記エトキサゾールの水希釈液および上記スピネトラムの水希釈液を、それぞれ上記展着剤0.02容量%を含有する水と等量ずつ混合し、エトキサゾールの0.78ppm濃度の水希釈水およびスピネトラムの3.13ppm濃度の水希釈水を調製した。
栽培しているみかんの樹からみかんの葉を採集し、このみかんの葉を2cm四方に切り、2cm四方の切片を得た。この切片1枚を試験用薬液に60秒間浸漬し、風乾した。シャーレに脱脂綿を入れ、脱脂綿に水を含ませた。この水を含ませた脱脂綿の上に、風乾した切片を載せた。この切片にミカンハダニのメス成虫を10頭ずつ放った。また、試験用薬液の代わりに、エトキサゾールの0.78ppm濃度の水希釈液またはスピネトラムの3.13ppm濃度の水希釈液を単独で用いて同様に処理した。これらを処理区とした。
一方、みかんの葉の切片1枚を試験用薬液に浸漬および風乾しないで、水を含ませた脱脂綿の上に載せた。この切片にミカンハダニのメス成虫を10頭ずつ放った(これを無処理区とした。)。
6日後に処理区および無処理区のそれぞれで、供試した虫の生死を観察し、下記式により死虫率を求めた。
死虫率(%)=100×((供試虫数−生存虫数)/供試虫数)
その結果を、下記式によって補正して殺虫率を算出した。
殺虫率(%)=100×(Mt−Mc)/(100−Mc)
Mt:処理区における死虫率(%)
Mc:無処理区における死虫率(%)
なお、試験は3反復で行った。その結果を表3に示す。
【0069】
【表3】

【0070】
試験例3
エトキサゾール10.0重量%含有するフロアブル製剤(商品名:バロック(登録商標)フロアブル、協友アグリ株式会社)をエトキサゾールの濃度が100ppmになるように、展着剤(商品名:シンダイン(登録商標)、住友化学株式会社)0.02容量%を含有する水で希釈する。
スピネトラム(スピネトラムJ:スピネトラムL=75:25(重量比))11.7重量%を含有するフロアブル製剤をスピネトラムの濃度が93.6ppmになるように、展着剤(商品名:シンダイン(登録商標)、住友化学株式会社)0.02容量%を含有する水で希釈する。
エトキサゾールの水希釈液と、スピネトラムの水希釈液とを等量ずつ混合し、試験用薬液を調製する。
容量860mlのポットにキャベツを植え、4葉期まで生育させる。そのキャベツの葉を1枚ずつ切り取る。このキャベツの葉1枚を試験用薬液に60秒間浸漬する。キャベツの葉を風乾した後、そのキャベツの葉を濾紙を敷いた容量500mlカップに入れる。そのカップの中にハスモンヨトウの3齢幼虫を10頭ずつ放つ(これを処理区とする。)。一方、キャベツの葉1枚を試験用薬液に浸漬および風乾しないで、濾紙を敷いた容量500mlカップに入れる。そのカップの中にハスモンヨトウの3齢幼虫を10頭ずつ放つ(これを無処理区とする。)。4日後に処理区および無処理区のそれぞれで、供試した虫の生死を観察し、下記式により死虫率を求める。
死虫率(%)=100×(死亡虫数/供試虫数)
その結果を、下記式によって補正して殺虫率を算出する。なお、試験は3反復で行う。
試験の結果、当該試験用薬液は高い殺虫率を示す。
殺虫率(%)=100×(Mt−Mc)/(100−Mc)
Mt:処理区における死虫率(%)
Mc:無処理区における死虫率(%)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エトキサゾールと、式(I):
【化1】

〔式中、
は水素原子又はメチル基を表し、
は水素原子、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基又は(C1−C4アルキル)カルボニル基を表し、
は水素原子、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基又は(C1−C4アルキル)カルボニル基を表し、
は水素原子、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基又は(C1−C4アルキル)カルボニル基を表し、
は水素原子、C1−C4アルキル基又はC1−C4アルキルアミノ基を表し、
は水素原子又はメチル基を表し、
はメチル基又はエチル基を表し、
はアミノ基、C1−C4アルキルアミノ基又はジ(C1−C4アルキル)アミノ基を表し、
及びXはいずれも水素原子を表すか、又は、X及びXが一緒になって単結合を表す。〕
で示される化合物とを含有する有害生物防除組成物。
【請求項2】
エトキサゾールと式(I)で示される化合物との重量比が100:1〜1:100である請求項1記載の有害生物防除組成物。
【請求項3】
式(I)で示される化合物がスピノサド又はスピネトラムである請求項1又は2記載の有害生物防除組成物。
【請求項4】
エトキサゾールと、式(I):
【化2】

〔式中、
は水素原子又はメチル基を表し、
は水素原子、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基又は(C1−C4アルキル)カルボニル基を表し、
は水素原子、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基又は(C1−C4アルキル)カルボニル基を表し、
は水素原子、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基又は(C1−C4アルキル)カルボニル基を表し、
は水素原子、C1−C4アルキル基又はC1−C4アルキルアミノ基を表し、
は水素原子又はメチル基を表し、
はメチル基又はエチル基を表し、
はアミノ基、C1−C4アルキルアミノ基又はジ(C1−C4アルキル)アミノ基を表し、
及びXはいずれも水素原子を表すか、又は、X及びXが一緒になって単結合を表す。〕
で示される化合物との有効量を有害生物又は有害生物の生息場所に施用する工程を有する有害生物の防除方法。
【請求項5】
エトキサゾールと式(I)で示される化合物との重量比が100:1〜1:100である請求項4記載の有害生物の防除方法。
【請求項6】
式(I)で示される化合物がスピノサド又はスピネトラムである請求項4又は5記載の有害生物の防除方法。

【公開番号】特開2011−190252(P2011−190252A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32712(P2011−32712)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000234890)協友アグリ株式会社 (19)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】