説明

有料番組視聴システム

【課題】人手を介する運用行程をでき得る限り削減し、設備や運営上のコストを低減しながら、利用者により気軽に利用していただく。
【解決手段】料金収受手段及び料金収受により認証情報を印字発行する発行手段を備えた自動販売機3と、有料番組の視聴を指定する指定手段及び認証情報の入力手段を備えた複数の客室端末機5,5,…と、自動販売機3と接続する第1の接続手段、複数の客室端末機5,5,…と構内テレビ配信網4、自動販売機3での料金収受により所定期間内で1台限りで使用有効な認証情報を生成して発行装置へ送信する生成手段、客室端末機5から入力手段で得た認証情報を受取り、受取った認証情報と生成手段で得た認証情報とを照合して1台限りの視聴を認証する認証手段及びその認証結果により当該端末機5で有料番組の視聴を許可する許可手段を備えたフロントコンピュータ2とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばホテルや旅館、病院などの客室あるいは病床毎に設置されたテレビ受像機を含む構内テレビシステムを利用して有料番組や有料のビデオ・オン・デマンドサービス等を視聴する有料番組視聴システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ホテルや旅館、病院などの各種構内の客室毎、あるいは病床毎に、専用の受信機とモニタ装置としてのテレビ受像機を設置し、上記構内に敷設したCCTV(Closed Circuit TeleVision:構内テレビ)網のヘッドエンド装置より一括的に管理して送出される、アンテナで受信した地上波放送、地上波デジタル放送、BS・110°CSデジタル放送やCS放送のアナログ再放送などの有料番組等を上記専用の受信機で受信、選局して、その映像及び音声を個々のテレビ受像機で視聴できるようにした構内テレビ配信システムが一般に実用化されている。
【0003】
しかるに、例えばホテルに設置された構内テレビ配信システムで上記有料番組の課金を行なう方法としては、利用に際して利用したことがホテルのフロントに設置された配信網親機で認識できるようなシステム構成とした上で、利用者がチェックアウト時にフロントで利用料金の精算を行なう方法や、ホテル館内に設置した自動販売機で販売したプリペイドカードを、個々のテレビ受像機に対して設置したカードリーダに挿入してその認証情報を読取らせる方法などがあった。
【0004】
また、事前に番号を印字したプリペイドカード等を自動販売機で販売して、その購入者が例えばネットワーク対応のゲーム機などの使用に際して番号を入力して利用が可能となるシステム等がある。
【0005】
加えて、テレビシステムとは配信構造が異なるLAN(Local Area Network:構内情報通信網)技術を用いて有料のビデオデータを配信するビデオ・オン・デマンドシステム等もホテル等の施設で導入されてきている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記フロントで利用料金を精算する方法では、ホテルのフロント業務が多忙となる上、有料放送の内容によってはお客様が利用しづらいということもあった。
【0007】
また、上記プリペイドカードを販売する方法では、お客様に気軽に利用して頂くことができ、ホテルのフロント業務が不要なので省人化が図れる点では優れているが、その反面、磁気カード等で構成されるプリペイドカードの販売と回収とを行なわなくてはならず、また自動販売機や個々のテレビ受像機に設置するカードリーダなどの機器も含めて、設備、運営の面で少なからぬコストを生じるという不具合があった。
【0008】
この点は、上記事前に番号が印字されたプリペイドカードを用いる場合も同様である。
【0009】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、人手を介する運用行程をでき得る限り削減し、設備や運営上のコストを低減しながら、利用者により気軽に利用して戴くことが可能な有料番組視聴システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、料金を収受する料金収受手段、及びこの料金収受手段での収受に対応して認証情報を印字して発行する発行手段を備えた発行装置と、有料番組の視聴を指定する指定手段、及び認証情報を入力する入力手段を備えた複数の端末機と、上記発行装置と接続する第1の接続手段、上記複数の端末機と構内通信網を介して接続する第2の接続手段、上記第1の接続手段を介して上記発行装置での料金収受により所定の期間内で1台限りの使用が有効な認証情報を生成して発行装置へ送信する生成手段、上記第2の接続手段を介して上記端末機から上記入力手段で入力された認証情報を受取り、受取った認証情報と上記生成手段で生成した認証情報とを照合し、1台限りの視聴の認証を行なう認証手段、及びこの認証手段での認証結果に応じて上記認証情報を入力してきた端末機での有料番組の視聴を許可する許可手段を備えた管理装置とを有したことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、料金を収受する料金収受手段、この料金収受手段での料金収受により所定の期間内で1台限りの使用が有効な認証情報を生成して発行装置へ送信する生成手段、及びこの生成手段で生成した認証情報を印字して発行する発行手段を備えた発行装置と、有料番組の視聴を指定する指定手段、及び認証情報を入力する入力手段を備えた複数の端末機と、上記発行装置と接続する第1の接続手段、上記複数の端末機と構内通信網を介して接続する第2の接続手段、上記第1の接続手段を介して上記発行装置から上記生成手段で生成された認証情報と、上記第2の接続手段を介して上記端末機から上記入力手段で入力された認証情報を受取り、受取った2つの認証情報とを照合し、1台限りの視聴の認証を行なう認証手段、及びこの認証手段での認証結果に応じて上記認証情報を入力してきた端末機での有料番組の視聴を許可する許可手段を備えた管理装置とを有したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1及び2記載のいずれの発明においても、例えばホテルのフロント業務のような人手を介することなく、またプリペイドカードのような課金情報の媒体の発行や回収に要する管理コストを削減することができる上、簡易なプリンタ機構で認証情報を印字発行するので安価に運用でき、利用者にも認証情報を別に控えてもらうような負担を強いることなく、さらには認証番号の記憶違いによるトラブルの発生などを未然に回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明をホテルの構内テレビ配信網システムに適用した場合の実施の一形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、そのシステム全体の構成を示すものであり、1がテレビ放送を供給するヘッドエンド機器である。このヘッドエンド機器1は、図示しない各種アンテナで受信した地上波放送、地上波デジタル放送、BS(Broadcasting Satellite:放送衛星)・110°CS(Communications Satellite:通信衛星)デジタル放送と、このホテル館内で自主的に放送する館内放送やアンテナで受信した上記CS放送をアナログ信号に変換して再送信するなどの有料番組の放送を各チャンネル番号に対応して周波数軸上で混合して出力している。
【0015】
こうしてヘッドエンド機器1から出力された放送信号は、同軸ラインで構成された構内テレビ配信網4を介して個々の客室GR,GR,‥‥毎に設置された客室端末機5,5,‥‥に接続される。
【0016】
客室端末機5は、テレビ受像機6と直接されたものであり、構内テレビ配信網4を介して送られてきた放送信号の中から1チャンネルを選局して復調し、得た映像信号と音声信号とをテレビ受像機14へ送出する。
【0017】
この客室端末機5は、付属するリモコンパッド7あるいはこの客室端末機5の例えば前面に設けられた操作部での操作に対応し、テレビ受像機6の電源制御、有料番組の視聴の際に入力する認証情報である番号の入力、チャンネルの選局や音量調節等の動作を実行する。
【0018】
なお、リモコンパッド7には、テレビ受像機6の電源をオン/オフさせるための電源キー、テンキーを含み有料番組のチャンネルを含む全チャンネルを選択するためのチャンネル選択キー、有料番組であることを確認するための確認キー、音量を調節を行なうためのボリュームキー、一時的に音声信号の出力を停止する音消しキーなどのキーが設けられている。
【0019】
なお、構内テレビ配信網4にはさらに、このホテルのフロントに設置されたフロントコンピュータ2が接続され、フロントコンピュータ2が各客室の客室端末機5,5,‥‥を統括してその管理及び制御を行なう。
【0020】
すなわち、フロントコンピュータ2は構内テレビ配信網4を介して送られてくる上りデータ及び高周波の構内テレビ配信網4への下りデータの双方向通信によりこの構内テレビ配信網4に接続される全客室端末機5,5,‥‥を統括制御し、且つそれらの動作状況を把握する。
【0021】
具体的には例えば、このフロントコンピュータ2から客室端末機5への下りデータで成人指定の有料番組の視聴を禁止するなど動作の一部を規制し、あるいは客室GRからの要望を受けてリモコンパッド7での操作に代えて当該客室GR内にある客室端末機5の遠隔操作を行なう。
【0022】
またこのフロントコンピュータ2は、このホテル構内の例えばエレベータホール等に配置する自動販売機3とオンライン接続される。この自動販売機3は、所定の料金収受で上記認証情報を印字発行するためのものであり、所定の料金を収受した時点でフロントコンピュータ2に通知し、このフロントコンピュータ2から発行される1台限りの認証情報を受取って、内蔵する印字機構によりその認証情報を構成する番号をプリントアウトする。
【0023】
図2は、この自動販売機3の詳細な回路構成を示すもので、制御部11を中心として、この制御部11に表示部12、プリンタ13、紙幣収受部14、通信部15、及びタイマー17を接続してなる。
【0024】
制御部11は、CPUとこのCPUの動作プログラムを記憶したフラッシュメモリ及びワークメモリとしてのRAM等によりなり、後述する認証情報の発行に関するこの自動販売機3での一切の動作制御を司る。
【0025】
表示部12は、例えばカラー液晶表示パネルとバックライト装置及びそれらの駆動回路により構成され、認証情報の発行に係る各種ガイドメッセージ等を表示する。
【0026】
プリンタ13は、例えば一般のキャッシュレジスター機に備えられる程度の幅4〜5[cm]のロール紙に認証情報を印字する印字機構と印字された内容を一定の長さで自動的に切断するためのカッタ機構とでなる。
【0027】
紙幣収受部14は、有料番組の視聴に基づく予め設定された料金、例えば千円/1泊を紙幣で収受する。
【0028】
通信部15は、端子16を介して上記フロントコンピュータ2と接続され、RS−232C等のシリアルインタフェース規格に従ってフロントコンピュータ2との間で認証情報等の情報の送受を行なう。
【0029】
タイマー17は、日付及び時刻情報の計時動作を行なうもので、その計時内容は表示部12での現在時刻の表示、プリンタ13での時刻印字、及び客室GRの利用者である宿泊客のタイマー設定等に利用される。
【0030】
次に図3により上記フロントコンピュータ2の詳細な回路構成を示す。同図に示す如くフロントコンピュータ2は、制御部21を中心として、この制御部21に高周波モデム22、通信部24、タイマー26、CRTインタフェース(I/F)27、プリンタインタフェース(I/F)29、及びキーボード・マウスインタフェース(I/F)31を接続してなる。
【0031】
制御部21は、CPUとこのCPUの動作プログラム、すべての客室GR,GR,‥‥の客室端末機5,5,‥‥個々の識別番号等を記憶したフラッシュメモリ、及びワークメモリとしてのRAM等によりなり、後述するこのフロントコンピュータ2での一切の動作制御を司る。
【0032】
高周波モデム22は、制御部21の制御情報をFSK変調し、入出力端子23に接続される構内テレビ配信網4を介して高周波の下りデータで送信し、また入出力端子23、構内テレビ配信網4を介して客室端末機5からの上りデータを受信し、復調して制御部21に伝送する。
【0033】
通信部24は、シリアルインタフェース端子25を介して上記自動販売機3とRS−232C等の規格に則った情報の送受を実施することで、発生した認証情報の発行等を行なう。
【0034】
タイマー26は、日付及び時刻情報の計時動作を行ない、その計時内容を制御部21に読出す。
【0035】
CRTインタフェース27は、フロント業務で必要な文字やグラフィックによるRGB信号をビデオ端子28より出力し、図示しないCRTディスプレイにより表示出力させる。
【0036】
プリンタインタフェース29は、帳票や履歴情報等をプリンタ端子30より出力し、このプリンタ端子30に接続された図示しないプリンタ装置により印字出力させる。
キーボード・マウスインタフェース31は、端子32を介して接続される図示しないキーボード及びマウスからの操作入力を受付けて制御部21へ送出する。
【0037】
続いて客室端末機5の詳細な回路構成を図4を用いて説明する。同図で、42はCPUとこのCPUの動作プログラム、この客室端末機5固有の識別番号等を記憶したフラッシュメモリ及びワークメモリとしてのRAM等よりなる制御部であり、この制御部42が、後述するリモコン受信部48で受信され、デコードされた上記リモコンパッド7からのキー操作信号に対応して、上記テレビ受像機6で視聴されるテレビ放送の発行に関する一切の動作制御を司るもので、他にもテレビ放送受信部43、高周波モデム46、操作部47、リモコン受信部48、及びタイマー49が接続される。
【0038】
テレビ放送受信部43は、分波器41を介して上記構内テレビ配信網4から与えられるテレビ放送信号から、制御部42で指示されるチャンネル周波数成分のみを選局して復調し、映像信号と音声信号とを再生するもので、再生した映像信号を映像出力端子44より、再生した音声信号を音声出力端子45よりそれぞれ出力し、これら端子に接続されたテレビ受像機6により映像と音声とを再生出力することで有料番組を含む任意のテレビ放送を視聴させる。
【0039】
高周波モデム46は、同じく分波器41及び構内テレビ配信網4を介して上記フロントコンピュータ2との間の双方向通信で各種制御情報等を送受するためのものであり、制御部42からの識別情報やリクエスト情報情報等を変調し、フロントコンピュータ2に対して上りデータで送信する一方で、フロントコンピュータ2からの下りデータを受信し、これを復調して得た制御情報等を制御部42へ伝送する。
【0040】
操作部47は、この客室端末機5本体側で電源のオン/オフ操作を行なうためのキーを有する。
タイマー49は、日付情報及び時刻情報の計時動作を行なうものであり、その計時内容は適宜制御部42により読出される。
リモコン受信部48は、上記リモコンパッド7でのキー操作に伴なう赤外線変調信号を受信し、それを復調して操作されたキー内容をデコードし、制御部42へ出力する。
【0041】
次に上記実施の形態の動作について説明する。
まず、このホテルの客室利用者が、有料チャンネル放送を視聴するために自動販売機3により認証情報の印字発行を受ける際の動作について説明する。
【0042】
図5は、自動販売機3での制御部11による処理内容を示すものであり、その処理当初には紙幣収受部14で現金の投入の有無により、規定の料金の収受があったか否かの判断を繰返すことにより、該収受があるのを待機する(ステップA01)。
【0043】
しかして、ステップA01で規定の料金が収受されたと判断すると、フロントコンピュータ2に通知する(ステップA02)。
【0044】
この通知を受けたフロントコンピュータ2では、制御部21が所定のアルゴリズムにより例えば6携帯のランダムな数値による認証情報を1台限りで過去に発行した他の認証情報と重複していないことを確認した上で生成し、当該自動販売機3へ送出する(ステップA03)。
【0045】
この認証情報を受取った当該自動販売機3の制御部11は、その時点での日付と時刻の情報をタイマー17から読出し、プリンタ13により認証情報とそれが発行された日付及び時刻を印字出力により発行させる(ステップA04)。
【0046】
その後、自動販売機3の制御部11は、以上で一連の処理を終了して、次の利用者に備えるべく上記ステップA01からの処理に戻る。
【0047】
次いで、上記のようにして有料で認証情報の発行を受けたこのホテルの客室利用者が、あらためて自分の部屋に戻って有料番組を視聴する際の動作について説明する。
【0048】
図6及び図7は、主として客室端末機5の制御部42による有料番組の視聴に対する処理内容を示すものであり、その処理当初には、リモコンパッド7でのキー操作により有料番組の放送を行なっているチャンネルが指定されたか否か(ステップB01)、またはタイマー49での計時によりチェックアウトの時刻となったか否か(ステップB02)を繰返し判断することで、それらの状態となるのを待機する。
【0049】
しかして、ステップB02でチェックアウトの時刻となったと判断した場合、その時点で制御部42内に保持する、有料番組が視聴可とされていることを示すフラグレジスタFをクリアして「0」とし(ステップB03)、加えて同じく制御部42内部に保持する、認証情報の不正な入力回数をカウントするためのカウンタnにも初期値「0」を与えて(ステップB04)、再び上記ステップB01からの処理に戻る。
【0050】
上記ステップB01で有料番組の放送チャンネルが指定されたと判断した場合、制御部31は次にその時点で上記フラグレジスタFが、課金処理が確認されていないことを示す「0」であるか否かを判断する(ステップB05)。
【0051】
ここで、フラグレジスタFが「0」であると判断した場合には、指定されたチャンネルが有料番組であることを確認するためのガイドメッセージを含む画面をテレビ受像機6で表示させながら(ステップB06)、その画面に対応する何らかのキー操作がリモコンパッド7よりなされるのを待機する(ステップB07)。
【0052】
図8(A)は、このときテレビ受像機6の画面で表示されるガイドメッセージを例示するものであり、指定されたチャンネルが有料番組であることと共に、それを確認する場合にはリモコンパッド7の確認キーを、他のチャンネルに変更する場合にはその希望するチャンネル番号のキーを操作することを促している。
【0053】
ここで何らかのキー操作がなされると、次にその操作されたキーが「確認」キーであったか否かにより、有料番組のチャンネルの視聴に移行することを確認したか否かを判断する(ステップB08)。
【0054】
ここで、「確認」キー以外のキーが操作されたと判断した場合には、他のチャンネルに変更するためのキー操作がなされたものとして、対応するチャンネル変更処理を行なってから(ステップB09)、再び有料放送のチャンネルの指定に備えるべく上記ステップB01からの処理に戻る。
【0055】
また、ステップB08で「確認」キーが操作されたと判断した場合には、次に自動販売機3で印字発行された認証情報を入力するための状態に移行する(ステップB10)。
【0056】
図8(B)は、このテレビ受像機6の画面で表示される認証情報の入力状態を例示するもので、印字発行された暗号を入力してもらうようガイドメッセージを表示すると共に、入力桁数の状態を示すカーソルを表示している。
【0057】
この表示にしたがってリモコンパッド7のテンキーにより所定桁数の認証情報が入力されると、制御部42は入力された認証情報を高周波モデム46で変調して分波器41、構内テレビ配信網4を介してフロントコンピュータ2へ送信する(ステップB11)。
【0058】
フロントコンピュータ2では、この客室端末機5からの認証情報を受信すると(ステップB12)、制御部21が受け取った認証情報を同一の日付で既に発行し、且つまだ照合を行なっていない認証情報と比較し、同一の認証情報があるか否かにより認証情報の正誤判定を行なう(ステップB13)。
【0059】
ここで、受信した認証情報が正しい認証情報であった場合、フロントコンピュータ2の制御部21は有料番組の視聴を許可する視聴可情報を構内テレビ配信網4を介して当該客室端末機5へ送信する(ステップB14)。
【0060】
これを客室端末機5側で構内テレビ配信網4、分波器41、及び高周波モデム46を介して制御部42で受信すると(ステップB15)、制御部42は、当該客室端末機5の利用者が正規に上記自動販売機3で認証情報の印字発行を受けたものとして、上記フラグレジスタFに「1」を設定した上で(ステップB16)、指定された通り図8(C)に示すようにその有料番組のチャンネルの視聴に移行し(ステップB17)、以後チャンネルを変更するか、またはテレビ受像機6の電源をオフするためのキー操作がリモコンパッド7でなされるのを待機して(ステップB18)、それらのキー操作がなされた時点で上記ステップB01からの処理に戻る。
【0061】
なお、上記ステップB05でフラグレジスタFが「0」ではなく「1」であった場合には、既にフロントコンピュータ2との間で課金処理が確認されていることになるので、、上記ステップB06〜B16の処理は省略して直接ステップB17に進み、その有料番組のチャンネルの視聴に移行する。
【0062】
また、上記ステップB13でフロントコンピュータ2の制御部21が、客室端末機5から受信した認証情報が正しい認証情報ではないと判断した場合、すなわち、生成していない認証情報であった場合、及び生成した認証情報であるが、既に他の客室端末機5から同一内容の認証情報を送ってきたために認証済みであると判断した場合には、有料番組の視聴を許可しない視聴不可情報を構内テレビ配信網4を介して当該客室端末機5へ送信する(ステップB19)。
【0063】
これを客室端末機5側で構内テレビ配信網4、分波器41、及び高周波モデム46を介して制御部42で受信すると(ステップB20)、制御部42は上記カウンタnのカウント値を「+1」更新設定した上で(ステップB21)、その更新設定したカウンタnのカウント値が所定の回数値、例えば「4」となったか否かを判断する(ステップB22)。
【0064】
ここで、カウンタnのカウント値が「4」に達していない場合には、入力した認証情報の内容が間違っている旨をガイドメッセージにて一旦テレビ受像機6の画面で表示させた上で(ステップB23)、再び上記ステップB10からの認証情報を入力する処理に移行する。
【0065】
しかして、ステップB22でカウンタnのカウント値が「4」に達したと判断した場合には、利用者が上記自動販売機3で正式の認証情報の印字発行を受けずに有料番組のチャンネルを指定して視聴しようとしたものと判断して、自動的にこの客室端末機5の一部の動作、具体的には当該有料番組を含むすべての有料番組のチャンネルの視聴を一時的に禁止すると共に(ステップB24)、ホテルのフロントに連絡する必要が有る旨をテレビ受像機6の画面でガイドメッセージにより表示した後(ステップB25)、再び上記ステップB01からの処理に戻る。
【0066】
しかるに当該ホテルのフロントでは、有料番組の視聴が禁止された旨の客室から連絡があった場合に、自動販売機3で有料の認証情報の取得を促す注意を行なうと共に、フロントコンピュータ2でのキーボードまたはマウスの手動操作により、当該客室端末機5の有料番組の視聴禁止状態を解除設定できるものとする。
【0067】
このように、正規の使用環境にある範囲内では、ホテルのフロント業務のような人手を介することなく、またプリペイドカードのような課金情報の媒体の発行や回収に要する管理コストを充分低減しながら、多くの人により気軽に利用してもらうことで収益を上げてその収益を確実に回収することが可能となる。
【0068】
加えて、上記実施の形態では、自動販売機3ではただ単に発行した認証情報を表示部22に表示するのではなく、簡易なプリンタ機構等でプリントアウトすることにより、利用者に認証情報を暗記してもらい、あるいはメモで控えてもらうような負担を強いることなく、利用者の記憶間違いのようなシステム運営上の無用のトラブルを未然に回避できる。
【0069】
また、上記実施の形態では、構内テレビ配信網4を使用して複数の客室端末機5,5,‥‥とフロントコンピュータ2との双方向通信を行なうものとして説明したが、これに代えて、デジタルコンテンツデータのパケット通信を行なうLANによる接続システムを構築するものとしてもよい。
【0070】
特にビデオ・オン・デマンドサービスのように大容量のデジタルコンテンツデータ(動画データ)を送受する場合にはLANによる接続システムを利用した方が、既に運用技術が確立している点で好適であるが、さらにはテレビ配信網とLANによる接続システムとを併用することも考えられる。
【0071】
加えて、上記実施の形態では、所定のアルゴリズムにより生成する認証情報を、暗号化するものとしてもよいし、しないものとしてもよい。さらに、上記実施の形態では、認証情報の生成をフロントコンピュータ2で行なうものとして説明したが、本発明はこれに限らず、自動販売機3が認証情報を生成し、生成した認証情報をフロントコンピュータ2に通知することも同様に考えることができる。
【0072】
また、上記実施の形態においては、特に認証情報の入力に関しては客室端末機5に付属したリモコンパッド7でのキー操作により行なうものとしたため、特別な入力のための装置を必要とせず、チャンネル選択等と同等の操作感覚で暗号情報の入力を行なえるので、設備コストを大幅に下げながら、利用者に気軽に利用していただける。
【0073】
さらに、上記実施の形態では、不正な認証情報の入力に関してはこれをカウントし、そのカウント値が所定数となった時点で有料放送の視聴を一時的に禁止するものとした。そのため、不正な認証情報の入力を規制することで、確実に収益を上げることができる。
【0074】
なお、上記実施の形態は、ホテルの構内テレビ配信網システムに適用した場合について説明したものであるが、本発明はそれに限らず、病院などの病床毎に設置されたテレビ受像機でテレビ放送を視聴するような構内テレビ配信網システムにも適用可能であることは勿論である。
【0075】
その他、本発明は上記実施の形態に限らず、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能であるものとする。
【0076】
さらに、上記実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の一形態に係る有料番組視聴システムをホテルに敷設した場合の構成を示すブロック図。
【図2】同実施の形態に係る自動販売機の機能回路構成を示すブロック図。
【図3】同実施の形態に係るフロントコンピュータの機能回路構成を示すブロック図。
【図4】同実施の形態に係る客室端末機の機能回路構成を示すブロック図。
【図5】同実施の形態に係る認証情報発行時の処理内容を示すフローチャート。
【図6】同実施の形態に係る主として客室端末機側での有料番組視聴時の処理内容を示すフローチャート。
【図7】同実施の形態に係る主として客室端末機側での有料番組視聴時の処理内容を示すフローチャート。
【図8】同実施の形態に係るテレビ受像機での表示画面を例示する図。
【符号の説明】
【0078】
1…ヘッドエンド機器、2…フロントコンピュータ、3…自動販売機、4…構内テレビ配信網、5…客室端末機、6…テレビ受像機、7…リモコンパッド、11…制御部、12…表示部、13…プリンタ、14…紙幣収受部、15…通信部、16…端子、17…タイマー、21…制御部、22…高周波モデム、23…入出力端子、24…通信部、25…シリアルインタフェース端子、26…タイマー、27…CRTインタフェース、28…ビデオ端子、29…プリンタインタフェース(I/F)、30…プリンタ端子、31…キーボード・マウスインタフェース(I/F)、32…端子、41…分波器、42…制御部、43…テレビ放送受信部、44…映像出力端子、45…音声出力端子、46…高周波モデム、47…操作部、48…リモコン受信部、49…タイマー、GR…客室。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
料金を収受する料金収受手段、及びこの料金収受手段での収受に対応して認証情報を印字して発行する発行手段を備えた発行装置と、
有料番組の視聴を指定する指定手段、及び認証情報を入力する入力手段を備えた複数の端末機と、
上記発行装置と接続する第1の接続手段、上記複数の端末機と構内通信網を介して接続する第2の接続手段、上記第1の接続手段を介して上記発行装置での料金収受により所定の期間内で1台限りの使用が有効な認証情報を生成して発行装置へ送信する生成手段、上記第2の接続手段を介して上記端末機から上記入力手段で入力された認証情報を受取り、受取った認証情報と上記生成手段で生成した認証情報とを照合し、1台限りの視聴の認証を行なう認証手段、及びこの認証手段での認証結果に応じて上記認証情報を入力してきた端末機での有料番組の視聴を許可する許可手段を備えた管理装置と
を有したことを特徴とする有料番組視聴システム。
【請求項2】
料金を収受する料金収受手段、この料金収受手段での料金収受により所定の期間内で1台限りの使用が有効な認証情報を生成して発行装置へ送信する生成手段、及びこの生成手段で生成した認証情報を印字して発行する発行手段を備えた発行装置と、
有料番組の視聴を指定する指定手段、及び認証情報を入力する入力手段を備えた複数の端末機と、
上記発行装置と接続する第1の接続手段、上記複数の端末機と構内通信網を介して接続する第2の接続手段、上記第1の接続手段を介して上記発行装置から上記生成手段で生成された認証情報と、上記第2の接続手段を介して上記端末機から上記入力手段で入力された認証情報を受取り、受取った2つの認証情報とを照合し、1台限りの視聴の認証を行なう認証手段、及びこの認証手段での認証結果に応じて上記認証情報を入力してきた端末機での有料番組の視聴を許可する許可手段を備えた管理装置と
を有したことを特徴とする有料番組視聴システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−311251(P2006−311251A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−131889(P2005−131889)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(592205735)株式会社ケイティーエス (16)
【Fターム(参考)】