説明

有核赤血球の測定方法

血液試料中の有核赤血球を測定する方法を提供する。上記方法は、成熟赤血球を溶解させる試薬系に血球試料を曝露するステップと、それに続いて、軸方向光減失、DCインピーダンス、および中角散乱光測定によって、軸方向光減失、低角散乱光、および中角散乱光測定によって、または軸方向光減失、DCインピーダンス、低角散乱光、および中角散乱光測定によって、フローセル中の有核赤血球を分析するステップと、その後、それらの測定シグナルおよび/または関数を用いることによって、有核赤血球を他の細胞型と識別するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2005年2月1日に出願された出願番号第11/048,086号の一部継続出願である。出願番号第11/048,086号は、2004年2月10日に出願された仮特許出願第60/543,162号の米国特許法119条(e)の下での利益を主張する。これらの特許出願は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、光学測定およびインピーダンス測定によって有核赤血球を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
正常な末梢血は、無核の成熟赤血球を含有する。有核赤血球(NRBC)すなわち赤芽球は、未熟な赤血球である。それらは通常、骨髄内に存在し、末梢血中には存在しない。しかし、貧血および白血病など、ある種の疾患では、有核赤血球が末梢血中にも存在する。したがって、NRBCの測定は臨床で重要である。伝統的には、有核赤血球の識別および計数は手作業で行われる。その方法は、顕微鏡スライド上に血液試料を塗沫し、そのスライドを染色するステップと、それに続いて、個々のスライドを手作業で画像分析するステップとを含む。有核赤血球濃度は、100細胞の白血球(WBC)あたりのNRBCの数として報告される。通常は、血液塗抹標本上の同じ領域に存在する200細胞の白血球と、NRBCの数とを計数し、その数を2で割って、NRBC/100WBCの数としてNRBC濃度を表す。このアプローチは非常に時間がかかり、同時に、スライドを分析する個人の解釈によって主観的となる。
【0004】
近年、有核赤血球を識別するためのいくつかの蛍光フローサイトメトリー法が開発された。これらの方法は、有核赤血球を他の細胞型と識別するのに核特異的な染色法を利用するが、これは、有核赤血球を、それらの電気的または光学的特性に基づいてのみ識別するのが困難であるためである。
【0005】
特許文献1(Inamiら)は、有核赤血球を識別する蛍光法を開示する。この方法は、第1液および第2液を用いた2工程染色を用いる。Inamiらは、有核赤血球内に拡散して、それらの核を特異的に染色する赤芽球染色色素を第1液に含有させ、次いで二次元プロット上で有核赤血球の群を他の細胞群から分離し、それによってNRBC識別の結果が計算されることを教示した。
【0006】
特許文献2(Kimら)は、有核赤血球および白血球のフローサイトメトリー分析の方法を開示する。この方法は、有核赤血球細胞核を生体核染色に曝露するために、全血試料から赤血球およびNRBC細胞質を溶解させ、白血球内への生体核染色の浸潤を最小限にすること、ならびに蛍光および2通りの角度の散乱光を測定することによって試料を分析することを含む。この方法は、破片からのシグナル(蛍光および非蛍光)を遮断し、軸方向光減失(ALL)トリガーより下で、かつ蛍光トリガー(FL3)より上の範囲にあるシグナルをNRBCとして特定するトリプルトリガー法(triple triggering method)を特徴とする。この方法では、NRBCと白血球の識別を得るために、試薬を42℃にまで暖める必要がある。
【0007】
特許文献3(Kimら)は、有核赤血球をサブクラスに分類するための多目的溶解試薬を用いる方法を開示する。この方法は、核染色物を含有する多目的溶解試薬で血液試料を溶解させるステップと、昇温温度で試料混合物をインキュベートするステップと、NRBCを含めた有核血球を自動化された電気光学的血液計測手段で測定するステップとを含む。
【0008】
特許文献4(Kimら)は、血液試料中のNRBC、白血球(WBC)、損傷白血球、および白血球亜集団をフローサイトメトリーによって識別する方法を開示する。この方法は、血液試料を溶解させるステップと、有核赤血球およびいかなる損傷白血球も生体核染色で染色するステップと、蛍光、軸方向光減失、および3°から10°までの散乱光シグナルを測定することによって試料混合物を分析するステップと、蛍光および散乱光シグナルからの三次元プロットを構築するステップと、WBC、NRBC、損傷WBC、およびWBCサブクラス相違を識別および計数するステップとを含む。
【0009】
特許文献5は、有核赤血球を識別および計数するための試薬および方法を開示する。この方法は、赤血球を溶解させるステップと、白血球および有核赤血球を染色するステップと、少なくとも1つの散乱光パラメータおよび少なくとも1つの蛍光パラメータを測定することによって試料をアッセイするステップとを含む。
【0010】
上述の方法は、蛍光および散乱光測定を併せることによって有核赤血球および白血球の識別および計数を可能にする。しかし、蛍光測定は、複雑かつ高価な検出方法である。
【0011】
特許文献6(Liら)は、有核赤血球を識別する方法を開示する。この方法は、成熟赤血球を溶解させるステップと、散乱光測定によってフローセル中の試料を分析して、有核赤血球を他の細胞型と識別するステップとを含む。散乱光測定は、10°未満の2通りの角度の低角散乱光シグナルを用いることによって行い。この方法は、電気的および光学的分析を用いた白血球の同時識別をさらに含み、上記電気的分析がDCインピーダンス測定である。
【0012】
特許文献7(Liら)は、有核赤血球を他の細胞型と識別するために、2通りの角度の散乱光測定を用いる方法であって、第1の散乱光シグナルが低角散乱光シグナルであり、第2の散乱光シグナルが中角または直角散乱光シグナルである方法をさらに開示する。
【0013】
特許文献8(Liら)はまた、有核赤血球を識別する方法を開示する。この方法は、血液試料中の赤血球を溶解試薬で溶解させるステップと、非集束流開口部(non−focused flow aperture)におけるDCインピーダンス測定によって有核血球を測定するステップと、有核赤血球を他の細胞型と識別するステップと、上記血液試料中の有核赤血球を報告するステップとを含む。
【0014】
特許文献9(Huoら)は、血液試料の第1アリコートおよび第2アリコートを、それぞれ第1の溶解試薬系および第2の溶解試薬系で別々に溶解させ;第1の試料混合物を、DCインピーダンス、ラジオ周波数、および散乱光測定によってフローセルで測定し;非集束流開口部におけるDCインピーダンス測定によって、第2の試料混合物中の細胞分布を測定し、残留血球を計数し;それぞれ第1の試料混合物の測定および第2の試料混合物の測定から得られた血球分布パターンを分析し;複合分析をさらに行って、NRBCを他の細胞型と識別し、血液試料中のNRBCの数を決定することによって有核赤血球を識別する方法を教示する。
【0015】
有核赤血球のサイズ、散乱光、および蛍光特性によって測定した場合、他の細胞型からのものと、シグナルが潜在的に重なり合うため、有核赤血球を他の細胞型(特に白血球)と識別するのは技術的に困難であることが知られている。従来技術の検出系および検出方法は、測定の費用、簡単さ、および効率に関してさらに改善することができる。
【0016】
さらに、ある種の細胞型および/または細胞性物質は、有核赤血球測定を妨害する傾向があることが知られている。測定に使用される検出方法に応じて、妨害物質が相違しうる。例えば、有核赤血球を測定するのに蛍光測定を用いる場合には、老化した白血球が測定を妨げる傾向がある。これは、試料混合物を調製するのに使用される試薬によって、それらが溶解される傾向があり、溶解された白血球の核が有核赤血球と重なりあう傾向があるためである。有核赤血球を測定するのに散乱光およびインピーダンス測定を用いる場合、巨大血小板、血小板凝集塊、および鎌状赤血球が妨害を引き起こしうることが見いだされている。これは、上記測定のうちの1つまたは複数において、これらの物質が有核赤血球と重なり合う可能性があるためである。
【特許文献1】米国特許第5,298,426号明細書
【特許文献2】米国特許第5,559,037号明細書
【特許文献3】米国特許第5,648,225号明細書
【特許文献4】米国特許第5,879,900号明細書
【特許文献5】欧州特許第1004880号明細書
【特許文献6】米国特許第5,874,310号明細書
【特許文献7】米国特許第5,917,584号明細書
【特許文献8】米国特許第6,410,330号明細書
【特許文献9】米国特許第6,472,215号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
以上のことに基づいて、有核赤血球を識別および計数するための、単純で、より安価で、それでもなお信頼できる検出方法および装置の必要性が依然として存在している。とりわけ妨害物質の存在下における、測定精度のさらなる改善の必要性も存在している。
【課題を解決するための手段】
【0018】
(発明の要旨)
一実施形態では、本発明は、血球試料中の有核赤血球を測定する方法を対象とする。上記方法は、成熟赤血球を溶解させ、試料混合物を形成させる試薬系に血球試料を曝露するステップと、軸方向光減失、DCインピーダンス、および中角散乱光シグナルを測定することによって、フローセル中の上記試料混合物を分析するステップと、得られた軸方向光減失、DCインピーダンス、および中角散乱光シグナルを用いて、有核赤血球を他の細胞型と識別するステップと、上記血球試料中の有核赤血球を報告するステップとを含む。中角散乱光シグナルは、約15°から約70°までの範囲、好ましくは約20°から約45°までの範囲で測定する。有核赤血球と他の細胞型との識別には、上記中角散乱光およびDCインピーダンスシグナルの関数、上記中角散乱光および軸方向光減失シグナルの関数、上記軸方向光減失およびDCインピーダンスシグナルの関数、またはこれらの組合せを含めた1つまたは複数の関数を用いることができる。
【0019】
さらに別の実施形態では、本発明は、血球試料中の有核赤血球を測定する方法を対象とする。上記方法は、成熟赤血球を溶解させ、試料混合物を形成させる試薬系に上記血球試料を曝露するステップと、軸方向光減失、低角散乱光、および中角散乱光シグナルを測定することによって、フローセル中の上記試料混合物を分析するステップと、得られた軸方向光減失、低角散乱光、および中角散乱光シグナルを用いて、有核赤血球を他の細胞型と識別するステップと、上記血球試料中の有核赤血球を報告するステップとを含む。上記低角散乱光シグナルは、10°未満、好ましくは約1°から約7°までの範囲で測定する。有核赤血球と上記他の細胞型との識別は、上記中角散乱光および低角散乱光シグナルの関数、上記中角散乱光および軸方向光減失シグナルの関数、上記軸方向光減失および低角散乱光シグナルの関数、またはこれらの組合せを含めた1つまたは複数の関数を使用しうる。
【0020】
別の実施形態では、本発明は血液試料中の有核赤血球を測定する方法を対象とする。上記方法は、成熟赤血球を溶解させ、試料混合物を形成させる試薬系に血球試料を曝露するステップと、軸方向光減失、DCインピーダンス、低角散乱光、および中角散乱光シグナルを測定することによって、フローセル中の上記試料混合物を分析するステップと、得られた軸方向光減失、DCインピーダンス、低角散乱光、および中角散乱光シグナルを用いて、有核赤血球を他の細胞型と識別するステップと、上記血球試料中の有核赤血球を報告するステップとを含む。有核赤血球と上記他の細胞型との識別は、上記軸方向光減失およびDCインピーダンスシグナルの関数、上記軸方向光減失および低角散乱光シグナルの関数、上記低角散乱光およびDCインピーダンスシグナルの関数、上記中角散乱光およびDCインピーダンスシグナルの関数、上記中角散乱光および低角散乱光シグナルの関数、上記中角散乱光および軸方向光減失シグナルの関数上記軸方向光減失、DCインピーダンス、および低角散乱光シグナルの関数、上記軸方向光減失、DCインピーダンス、および中角散乱光シグナルの関数、上記軸方向光減失、低角散乱光、および中角散乱光シグナルの関数、またはこれらの組合せを含めた1つまたは複数の関数を使用しうる。
【0021】
さらに別の実施形態では、本発明は、有核赤血球を他の細胞型と識別する識別分析法を対象とする。DCインピーダンス、軸方向光減失、低角散乱光、および中角散乱光シグナルを得ると、まず、他の1つまたは複数の測定シグナルと併せた中角散乱光シグナルまたはその関数を用いて、細胞破片を有核赤血球および白血球と識別し、低角散乱光、軸方向光減失、およびDCインピーダンスシグナルを用いて、有核赤血球を白血球と識別する。細胞破片には、血小板、大型血小板、巨大血小板、血小板凝集塊、鎌状赤血球、または未溶解赤血細胞膜が含まれる。上記方法は、血液試料の補正白血球数を取得および報告するステップをさらに含む。
【0022】
後に続く「発明を実施するための最良の形態」から、よりよく理解されるであろうが、本発明は、核染色および高価な蛍光検出法を使用せずに、DCインピーダンス、軸方向光減失、ならびに低角および中角散乱光の測定を利用した有核赤血球の識別を提供するという点で、従来技術と比較して特に有利である。この方法の追加の特徴は、それが、有核赤血球を様々な妨害物質とさらに識別するために、DCインピーダンス、低角散乱光、または軸方向光減失の測定と共に中角散乱光の測定を併用することである。本発明は、後に続く「発明を実施するための最良の形態」から、よりよく理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(発明の詳細な説明)
一実施形態では、本発明は、軸方向光減失測定およびDCインピーダンス測定を併用して、有核赤血球を他の細胞型と識別する方法を提供する。上記方法は、成熟赤血球を溶解させる試薬系に血球試料を曝露するステップと、軸方向光減失およびDCインピーダンスシグナルを測定することによって、フローセル中の試料を分析するステップと、軸方向光減失およびDCインピーダンスシグナルを用いて、有核赤血球を他の細胞型と識別するステップと、上記血球試料中の有核赤血球を報告するステップとを含む。
【0024】
上記有核赤血球の測定は、光学測定およびインピーダンス測定を用いて、集束流フローセル中で行う。血球などの粒子がフローセルの開口部を通過する際に、それは、照射供給源からの入射光を散乱させ、全方向への散乱光の放射を引き起こす。散乱光シグナルは、入射光ビームとの相対における、0°から180°の間の様々な角度で、光検出器によって検出できる。各細胞集団は、大なり小なり、異なった散乱光特性を有することが見出されており、それを様々な細胞集団の識別に利用することができる。入射光から10°未満に検出される散乱光シグナルは、一般的に低角散乱光と呼ばれる。低角散乱光の特徴は、細胞の内容物と共に、細胞のサイズによっても影響されることである。
【0025】
軸方向光減失(ALL、前方消光としても知られている)は、概ね、粒子が入射光ビームを通過することによる光エネルギーの減少であり、光検出器によって検出される。入射光ビームが粒子にあたると、光は散乱するか、吸収される。それらは両方とも入射光からエネルギーを除去し、入射ビームは減衰する。この減衰は消光と呼ばれる。入射光のビームの軸に沿って見た場合、それは軸方向光減失と呼ばれる。通常、ALLシグナルは、入射光からの約0°から約1°までの角度で検出される。本発明の好ましい実施形態では、入射光軸から約0.5°未満の環状領域でALLシグナルを収集する。ALLシグナルは、細胞のサイズに強く影響される。
【0026】
軸方向光減失測定は入射光ビームからのエネルギー減失を測定し、一方、低角散乱光測定は光の増大を測定するので、これら2つの異なった光学特性を測定するには、異なった電子回路が必要である。図10に示す通り、ALLシグナルを測定するのに使用される電子回路は反転増幅器を用い、一方、低角散乱光シグナルを測定するのに使用される電子回路は非反転増幅器を用いる。
【0027】
ALLおよび低角散乱光シグナルを測定するには、光学検出器集合体を用いる。本発明の目的には、多数のデザインの光学検出装置が使用できる。一実施形態では、光学検出器集合体がプリント回路基板(PCB)上に配置された適切なサイズおよび幾何学的配置の2つの個別な光検出器を含有する。一方の光検出器は、ALLシグナルを測定するのに使用され、もう一方の光検出器は、低角散乱光シグナルを測定するのに使用される。光検出器からのシグナルは、以下に記載する、実験用血液分析機内の条件付け回路(conditioning circuitry)に送られる。別の実施形態では、光学検出器集合体は、ALLおよび散乱光シグナルを測定するのに適したサイズおよび幾何学的配置感知領域を有するプラナーフォトダイオードアレイを含有する。フォトダイオードアレイからのシグナルは、実験用血液分析機内の条件付け回路に送られる。さらに別の実施形態では、光学検出器集合体は、ALLおよび散乱光シグナルを測定するための光ファイバーアレイを含有する。適した光ファイバーアレイは、参照により全体として本明細書に組み込まれている米国特許第6798508号に詳細に記載されている。別の実施形態では、光学検出器集合体は、入射光から約15°から約70°まで、好ましくは約20°から約45°までの範囲内の中角散乱光シグナルを検出する光検出器を含有する。
【0028】
一方、伝導性溶液中に懸濁された粒子または血球がフローセルを通過する際に、インピーダンス変化により電気的シグナルを測定することができる。パルス波形、高さ、および幅は、粒子のサイズに直接的に関係しており、測定された粒子のサイズに変換することができる。異なったサイズの2つ以上の粒子が測定された場合、測定から得られた頻度ヒストグラムによって、粒子のサイズ分布を表すことができる。DCインピーダンス測定装置を備えた血液分析機による血球計算およびサイズ決定に用いられる検出方法は、概ね、参照により全体として本明細書に組み込まれている米国特許第2656508号、第3810011号、および第5125737号に記載されている。
【0029】
本発明の目的で血液試料を溶解させるのに適した試薬系の1つには、米国特許第4521518号、第4528274号、第5935857号に記載の希釈剤などの等張血液希釈剤、ならびに米国特許第5763280号、第5834315号、および第6573102に記載の溶解試薬などの溶解試薬が含まれ、これらの開示を参照により全体として本明細書に組み込む。別法では、上記試薬系は、参照により全体として本明細書に組み込まれている米国特許第5882934号に記載の等張溶解試薬でもありうる。この試薬は、血液試料を希釈し、同時に、後続の分析用に赤血球を溶解する。
【0030】
実施例1は、軸方向光減失およびDCインピーダンス測定を用いて、有核赤血球を識別する方法を例示する。図1Aは、実施例1に記載の試薬および手順を用いて処理および分析された、有核赤血球を含有する臨床全血試料のDC対ALL散布図を示す。示されている通り、有核赤血球は、白血球から、および細胞破片から分離されるクラスターを形成する。
【0031】
図1Bは、実施例1に記載の試薬および方法を用いて得られた正常全血試料のDC対ALL散布図を示す。容易に見て取れるように、有核赤血球が属する領域にはいかなる細胞集団も存在しない。考察の便宜上、この領域をNRBC領域と呼ぶ。異なった散布図では、NRBC領域が散布図内の異なった部分でありうることが知られている。
【0032】
試料のNRBC濃度は、特定されたNRBCクラスター(図1A)内の細胞数を白血球(WBC)の数で割り、その商に100を掛けることによって計算できる。NRBC濃度は、手作業の参照方法の単位と同じ、NRBC/100WBCの数値として報告でき、または全血1マイクロリットル(μL)あたりのNRBCの絶対数としても報告できる。
【0033】
さらに、図1Aおよび1Bに示されている通り、軸方向光減失およびDCインピーダンス測定を用いて、白血球は、4つの亜集団にさらに識別される。上記4つの亜集団には、リンパ球、単球、好中球、および好酸球が含まれる。
【0034】
別の実施形態では、本発明は、軸方向光減失測定および低角散乱光測定を併用して、有核赤血球を他の細胞型と識別する方法を提供する。この実施形態では、軸方向光減失および低角散乱光シグナルを測定することによって、溶解された血液試料をフローセル内で分析する。有核赤血球は、得られた軸方向光減失シグナルおよび低角散乱光シグナルを用いることによって、他の細胞型と識別される。低角散乱光シグナルは、好ましくは10°未満、より好ましくは約1°から約7°、最も好ましくは約4°から約6°で測定される。
【0035】
図2Aは、実施例1に記載の試薬および方法を用いて得られた、図1Aに示したものと同じ臨床全血試料のALL対LS1(5.1°における散乱光)散布図を示す。示されている通り、有核赤血球は、白血球から、および細胞破片から明確に分離されるクラスターを形成する。
【0036】
図2Bは、図1Bに示したものと同じ正常全血試料のLS1対ALL散布図を示す。この場合も、有核赤血球が属する領域にはいかなるクラスターも存在しない。
【0037】
さらに、図2Aおよび2Bに示されている通り、軸方向光減失および低角散乱光測定を用いて、白血球は3つの亜集団にさらに識別される。上記3つの亜集団には、リンパ球、単球および好中球の合計、ならびに好酸球が含まれる。
【0038】
さらに別の実施形態では、本発明は、軸方向光減失、低角散乱光、およびDCインピーダンス測定を併用して、有核赤血球を他の細胞型と識別する方法を提供する。この実施形態では、軸方向光減失、低角散乱光、およびDCインピーダンスシグナルを測定することによって、溶解された血液試料をフローセル内で分析する。有核赤血球は、得られた軸方向光減失、低角散乱光、およびDCインピーダンスシグナルを用いることによって、他の細胞型と識別される。低角散乱光シグナルは、前述のものと同じ範囲、すなわち約1°から約7°、より好ましくは約4°から約6°で測定する。
【0039】
より詳細には、一実施形態では、軸方向光減失シグナルと、低角散乱光およびDCインピーダンスシグナルの関数とを用いることによって、散布図を構築する。一例として、図3Aは、実施例1に記載の試薬および方法を用いて得られた、図1Aで示したものと同じ臨床全血試料のF1対ALL散布図を示す。この場合、関数F1は((DC+LS1)/DC×1000)に等しい。示されている通り、有核赤血球は、白血球から、および細胞破片から明確に分離する。図3Bは、図1Bで示したものと同じ正常全血試料のF1対ALL散布図を示す。
【0040】
別の例として、図4Aは、実施例1に記載の試薬および方法を用いて得られた、図1Aで示したものと同じ臨床全血試料のF2対ALL散布図を示す。この場合、関数F2は(DC/(DC+LS1)×1000)に等しい。この散布図に示されている通り、有核赤血球は、白血球から、および細胞破片から明確に分離する。図4Bは、図1Bに示したものと同じ正常全血試料のF2対ALL散布図を示す。
【0041】
他の細胞型からの有核赤血球の分離は、DCおよびLS1の関数を用いることによって、さらに強化されたことが、図3Aおよび4Aによって示された例示から明らかである。
【0042】
別法ではDC、LS1、およびALLの1つまたは複数の関数を用いて、他の細胞型からの有核赤血球の分離を強化できることが見いだされた。さらに、上記に論じた、有核赤血球を識別するためにDCおよびALLを用いる実施形態、ならびにALLおよび低角散乱光測定を用いる実施形態では、他の細胞型からの有核赤血球の分離をさらに強化するために、DCおよびALLの1つまたは複数の関数、またはALLおよびLS1の1つまたは複数の関数を利用することができる。
【0043】
実施例3は、有核赤血球を他の細胞型と識別するのに、異なった試薬系および前述の本発明の方法を用いる別の例を例示する。図5A、6A、7A、および8Aに示されている通り、有核赤血球は、それぞれDV対ALL、LS1対ALL、F1対ALL、およびF2対ALLで、白血球および細胞破片から明確に分離される。
【0044】
上述の通り、有核赤血球は、それらを蛍光測定で測定した場合でさえ、他の細胞型、とりわけ白血球と重なりあう可能性がある。本発明の方法は、この特定の未成熟な赤血細胞集団を計数するために、複数のパラメータおよびそれらの関数を用いて、有核赤血球の識別を強化する。
【0045】
図9に示し、実施例4に記載する通り、実施例1に記載の方法および試薬を用いて、132の臨床標本を含めた合計336の全血試料を分析した。NRBCの結果は、F1対ALL散布図を用いた識別分析から得た。図9は、下記に記載のフローサイトメトリー参照方法の結果と、本発明の方法を用いて得られた結果との間の線形相関を図示する。
【0046】
さらに別の実施形態では、本発明は、DCインピーダンス、軸方向光減失、および中角散乱光測定を併用して、有核赤血球を他の細胞型と識別する方法を提供する。この実施形態では、DCインピーダンス、軸方向光減失、および中角散乱光シグナルを測定することによって、溶解された血液試料をフローセル内で分析する。有核赤血球は、得られたDCインピーダンス、軸方向光減失、および中角散乱光シグナルを用いることによって、他の細胞型と識別される。本明細書で言及する中角散乱光シグナルは、入射光からの約15°から約70°まで、好ましくは約20°から約45°までの範囲で測定できる。
【0047】
代替の実施形態では、有核赤血球を他の細胞型と識別する方法は、軸方向光減失、低角散乱光、および中角散乱光測定を併用する。この実施形態では、溶解された血液試料を、軸方向光減失、低角散乱光、および中角散乱光シグナルを測定することによってフローセル内で分析する。有核赤血球は、得られた軸方向光減失、低角散乱光、および中角散乱光シグナルを用いることによって、他の細胞型と識別される。軸方向光減失、低角散乱光、および中角散乱光シグナルの測定は上述されている。
【0048】
中角散乱光シグナルを、DCインピーダンス、低角散乱光、または軸方向光減失シグナルと併用した二次元分析は、細胞破片を白血球および/または有核赤血球と識別するのにとりわけ有効であることが見いだされた。さらに、中角散乱光、DCインピーダンス、および軸方向光減失シグナルの組合せ、または中角散乱光、低角散乱光、および軸方向光減失シグナルの組合せも、細胞破片を白血球および/または有核赤血球と識別するのに有効である。さらに、中角散乱光およびDCインピーダンスシグナルの1つまたは複数の関数、中角散乱光および低角散乱光シグナルの1つまたは複数の関数、または中角散乱光および軸方向光減失シグナルの1つまたは複数の関数も、細胞破片を白血球および/または有核赤血球と識別するのに使用できる。
【0049】
上記細胞破片は、血小板、大型血小板、巨大血小板、血小板凝集塊、鎌状赤血球、および未溶解赤血細胞膜を含有すると特定されており、したがって、これらの細胞性物質を一般に細胞破片と呼ぶ。通常、正常血液試料およびほとんどの臨床血液試料では、溶解された際に、わずかな量の細胞破片が存在し、それは白血球と同様に有核赤血球から分離される。しかし、大型血小板、巨大血小板、血小板凝集塊、および鎌状赤血球の存在下では、これらの物質が、本発明の、1つまたは複数の有核赤血球測定方法を妨害しうる。したがって、それらは妨害物質とも呼ばれる。
【0050】
妨害は、2通りの異なった様式で引き起こされうることが見出されている。一様式では、細胞破片は、NRBC領域に伸長し、有核赤血球と重なり合う可能性があり、それによって、NRBC計数の直接的上昇が引き起こされる。NRBC測定へのこの型の妨害は、血液試料が有核赤血球を含有しようが含有しまいが、存在しうることを理解するべきである。血液試料がいかなる有核赤血球も含有しない場合でも、なお、妨害物質はNRBC領域に伸長し、試料がNRBC試料として報告される可能性があり、それにより偽陽性報告が引き起こされる。別の様式では、細胞破片が白血球、とりわけリンパ球と重なり合う可能性がある。この状況では、白血球の測定数が誤りとなりうる。有核赤血球を計算および報告するのに、100WBCあたりのNRBCの数として、白血球数が用いられる場合、この比率は、WBCに関する誤りによって影響されうる。妨害物質の出自、例えば、血小板凝集塊か、鎌状赤血球かに応じて、細胞破片の分布パターンは、散布図中で相違しうるものであり、上記に論じた妨害のいずれか、または両方が存在しうる。
【0051】
上述の通り、中角散乱光測定を他の測定またはその関数と併用して強化された、白血球および/または有核赤血球からの細胞破片の分離は、妨害物質の存在下における、白血球および/または有核赤血球からの細胞破片の分離を補助し、これらの物質が有核赤血球の測定を妨害するのを防止できる。
【0052】
実施例5は、妨害物質を含有する臨床血液試料の有核赤血球測定と、中角散乱光および他の測定を用いた、有核赤血球および/または白血球からの妨害物質の改善された分離とを例示する。図11Aは、血小板凝集塊を含有する臨床血液試料のLS1対ALL散布図を示す。示されている通り、細胞破片はリンパ球と重なり合っている。図11Bは、同じ血液試料のLS2(20°から43°)対DC散布図を示す。示されている通り、中角散乱光シグナルを用いて、有核赤血球および白血球の両方から、細胞破片が明確に分離される。
【0053】
図12Aは、鎌状赤血球を含有する臨床血液試料のLS1対DC散布図を示す。示されている通り、細胞破片は有核赤血球および白血球と重なり合う。図12Bは、同じ血液試料のLS1対LS2散布図を示す。示されている通り、有核赤血球および白血球の両方からの細胞破片の分離は、中角散乱光シグナルを用いることによって、実質的に改善される。当業者には理解できるように、細胞破片の分布パターンは、血小板凝集塊の存在下と、鎌状赤血球の存在下とでは相違している。LS2対DC、LS1対LS2、もしくはALL対LS2などの異なった測定、またはこれらのシグナルの関数は、異なった型の妨害物質を識別する際に、異なった力を有しうる。
【0054】
さらに別の実施形態では、本発明は、軸方向光減失、DCインピーダンス、低角散乱光、および中角散乱光測定を併用して、有核赤血球を他の細胞型と識別する方法を提供する。この実施形態では、軸方向光減失、DCインピーダンス、低角散乱光、および中角散乱光シグナルを測定することによって、溶解された血液試料をフローセル内で分析する、有核赤血球は、得られた、軸方向光減失、DCインピーダンス、低角散乱光、および中角散乱光シグナルを用いて、他の細胞型と識別される。軸方向光減失、DCインピーダンス、低角散乱光、および中角散乱光シグナルの測定は上述されている。この方法は、有核赤血球と他の細胞型との、および妨害物質または細胞破片との識別をさらに強化するために多次元測定を利用する。多次元測定は、各次元、または異なった細胞型のための異なった次元の様々な組合せの識別力を利用する。
【0055】
一実施形態では、有核赤血球を他の細胞型から効果的に識別するために、識別分析を提供する。より詳細には、上述の通り、DCインピーダンス、軸方向光減失、低角散乱光、および中角散乱光シグナルを得ると、最初に、中角散乱光シグナルの二次元解析をDCインピーダンス、軸方向光減失、または低角散乱光シグナルと併用して、有核赤血球および白血球から細胞破片が識別される。さらに、中角散乱光シグナル、およびDCインピーダンス、軸方向光減失、または低角散乱光シグナルの1つまたは複数の関数を細胞破片の識別に使用できる。識別に際して、細胞破片をゲートアウトして、もはや識別分析ステップに存在しないようにすることも、散布図で色標識するなど、同定することもできる。その後、DCインピーダンス、軸方向光減失、および低角散乱光シグナル、または上述のものなど、これらの1つもしくは複数の関数、または他の適した数学関数を用いた1つもしくは複数の二次元解析を用いて、有核赤血球を白血球と識別する。第2ステップでは、有核赤血球を白血球と識別するために、中角散乱光シグナルまたはその関数も、上述した1つまたは複数の他のシグナルと併用できる。
【0056】
一例では、第1ステップで、図11Bに示すLS2対DC散布図から、細胞破片をゲートアウトすることができる。別法では、細胞破片を白血球および有核赤血球と識別するために、LS2およびDCの関数をALLと併用することができる。図11Cは、上述した、血小板凝集塊を含有する臨床試料のF3対ALL散布図を示す。本明細書中では、F3をAtan(DC/LS2)×S3と定義する。S3は、表示スケール係数であり、望ましい機器表示スケールに基づいて選択できる。Atanは、数学関数であるアークタンジェントを表し、当業者には既知の標準方程式によって定義されている。図11Cに示されている通り、細胞破片は、散布図における異なった領域に分布する。輪郭分析またはクラスター分析に際して、細胞破片をこの散布図からゲートアウトすることができる。細胞破片を分離した後、有核赤血球と白血球との識別分析は、図11Dに示されている通り、F4対ALL散布図を用いて実施できる。本明細書では、F4をAtan(DC/LS1)×S4と定義する。S4は表示スケール係数であり、望ましい機器表示スケールに基づいて選択できる。示されている通り、有核赤血球は、白血球から明確に分離される。輪郭分析またはクラスター分析に際して、有核赤血球を計数する。この実施例では、輪郭分析またはクラスター分析が使用されているが、テンプレートマッチング、バレーサーチ(valley search)またはダイレクトカット(direct cut)などの他の一般的に使用されている集団識別技法も、細胞破片を識別し、ならびに有核赤血球を白血球と識別するのに使用できることを理解するべきである。
【0057】
別の実施例では、第1ステップで、図12Bに示されている通り、LS1対LS2散布図から細胞破片をゲートアウトすることができる。別法では、細胞破片を白血球および有核赤血球と識別するために、LS2およびLS1の関数をALLと併用することができる。図12Cは、上述した、鎌状赤血球を含有する臨床試料のF5対ALL散布図を示す。本明細書では、F5をAtan(LS2/LS1)×S5と定義する。S5は表示スケール係数であり、望ましい機器表示スケールに基づいて選択できる。示されている通り、細胞破片の分離は、この散布図でさらに強化することができ、細胞破片は、上述のクラスター分析または他の分化技法を用いて、この散布図からゲートアウトすることができる。上述の方法と同様に、細胞破片を分離した後、図12Dで示されている通り、F4対ALL散布図を用いて、有核赤血球を白血球と識別する識別分析を行うことができる。輪郭分析またはクラスター分析に際して、有核赤血球は、白血球と識別され、計数される。
【0058】
さらに、有核赤血球の分化および計数に際して、上述した方法および/または様々な測定シグナルの追加関数を用いて、白血球をそれらの亜集団にさらに識別することができる。
【0059】
別の実施形態では、上記方法が白血球数の補正をさらに含む。歴史的に、直流インピーダンス法を用いて白血球を計数する場合、有核赤血球も、白血球と識別されないので、白血球と共に計数されるか、または部分的に計数される。有核赤血球によって引き起こされる妨害は、過大な誤った白血球数をもたらしうる。伝統的には、WBC数は、測定器から報告されたWBC数から、手作業の識別法によって得られた有核赤血球の数を引くことによって、手作業で補正される。本発明の方法では、白血球数へのこの集団の寄与を自動的に補正することができる。より詳細には、試料混合物中に残留している血球の総数を、以下に記載の装置を用い、上述した測定を用いて試料混合物の分析中に得ることができる。試料混合物中に残留している、検出閾値を超えた血球は、主として、白血球および存在しているならば有核赤血球を含めた有核血球、ならびに少量の細胞破片であることが知られている。上述の通り、有核赤血球および細胞破片を白血球と識別する際に、残留血球の総数から、有核赤血球および細胞破片を引くことによって、補正白血球数を得ることができる。補正されたWBCは、血液分析機によって自動的に報告させることができ、検査技師は、さらなる手作業の補正を必要とされない。
【0060】
有核血球を識別する上述の方法を可能にする装置は、(a)試料混合物の進入および進出のための入口手段および出口手段を含有する集束流フローセル、(b)有核血球を含有する血球試料をフローセル入口に導入して、フローセルを通る有核血球の流れを引き起こす導入手段、(c)その光線の軸が有核血球の流れに対して直角にフローセルを通過するように配置された入射光ビーム、(d)軸方向光減失、低角散乱光、および中角散乱光シグナルの検出を可能にする光学検出器集合体、ならびに(e)細胞がフローセルの開口部を通過する際に、インピーダンスシグナルを測定するDCインピーダンス検出器を含有する。
【0061】
上述の通り、軸方向光減失および低角散乱光シグナルの検出を可能にする光学検出器集合体は、いくつかの装置設計を有しうる。以下に記載する実施例1で使用される実験用血液分析機では、光学検出器集合体が2つの個別の光検出器を有する。すなわち、1つは軸方向光減失シグナル測定用であり、もう1つは低角散乱光シグナル測定用である。実施例5で使用される、中角散乱光シグナルの検出を可能にする光学検出器集合体は、中角散乱光シグナル測定用の3番目の光検出器を含有する。
【0062】
一実施形態では、上記フローセルは、軸方向光減失、低角散乱光、中角散乱光、およびDCインピーダンスシグナルの測定を可能にする、開口部の寸法が30から250μmの範囲にある正方形のフローセルでありうる。上記フローセルは、50μmの正方形のフローセルであることがより好ましい。正方形のフローセルは、正方形の横断切片を有する開口部を有し、正方形の外形を有する。上記測定には、他のフローセル配置、例えば、三角形、長方形、および多角形も使用できる。約1°から約7°までの範囲の低角散乱光シグナルが検出されることが好ましい。約4°から約6°までの低角散乱光シグナルが検出されることが、より好ましい。約20°から約45°までの範囲の中角散乱光シグナルが検出されることが好ましい。DCインピーダンス検出器は、参照により全体として本明細書に組み込まれている米国特許第5125737号に詳細に記載されている。
【0063】
さらに、上記装置は、試料混合物をフローセルを通して定量的に送達する容量型ポンプをさらに含有する。したがって、試料混合物の定量的細胞数を得ることができる。
【0064】
以下の実施例は、本発明を例示的するものであり、いかなる意味でも、特許請求の範囲で定義される本発明の範囲を限定するものと解釈するべきではない。前述の開示に従って、他の様々な構成要素および部分も利用できることが理解されよう。
【実施例】
【0065】
(実施例1)
末梢血とも呼ばれる抗凝血化全血試料14μlを、等張血液希釈液Isoton(登録商標)3E(米国フロリダ州マイアミ(Miami)所在のBeckman Coulter社の製品)614μLで希釈し、実験用血液分析機の混合チャンバー中で溶解試薬125μLと混合した。溶解試薬を添加した約9秒後に、有核赤血球の識別分析用に、シース液であるIsoton(登録商標)3Eと共に試料混合物をフローセルに送達させた。上記溶解試薬は、赤血球の溶解用および有核赤血球の分析用の活性成分、すなわち36g/Lのドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(50%溶液)および3.6g/Lのテトラデシルトリメチルアンモニウムクロライドを含有し、pH約4を有する水溶液であった。
【0066】
実験用血液分析機は、試料混合物中の細胞がフローセル内を通過した際のDCインピーダンス、低角散乱光、および軸方向光減失シグナルの検出系を装備していた。上記検出系は、上述のDCインピーダンス検出器および光学検出器集合体を含有していた。上記光学検出器集合体は、1.9±0.5°、3.0±0.5°、3.7±0.5°、5.1±0.5°、6.0±0.5°、および7.0±0.5°を含めた、入射光から10°未満の様々な低角における散乱光シグナル、ならびに軸方向光減失(0°から0.5°)の検出を可能にするものであった。より詳細には、NRBCを本発明における他の細胞型と識別するのに、5.1±0.5°における低角散乱光シグナルおよび軸方向光減失(0°から0.5°)を用いた。これらは、散布図で、それぞれLS1およびALLと記述された。上記検出系を用いて、DCインピーダンス、低角散乱光、および軸方向光減失を併せて検出することも、それらのうち1または2つを選択的に検出することもできよう。各赤血球が50μmフローセルの中を通過する際に、上記検出系によってそれを測定した。データは12ビットのアナログ−デジタル変換器(ADC)の分解能で取得した。
【0067】
図1Aは、臨床血液試料から得られたDC対ALL散布図を示す。この図は、白血球および細胞破片と識別されるNRBC集団のクラスターを示している。分析された試料のNRBC濃度は、特定された有核赤血球の数を白血球(WBC)で割って、100を掛けることによって計算する。NRBC濃度は、NRBC/100WBCの数として報告され、これは手作業の参照方法の単位と同じものである。この試料では、上述の方法を用いて得られた結果は7.8%であったが、これは参照方法と一致していた。
【0068】
図2Aは、図1Aで示したものと同じ臨床全血試料から、上述の方法を用いて得られたLS1対ALL散布図を示す。この散布図に示されている通り、有核赤血球は、この場合も、白血球から、および細胞破片から明確に分離されたクラスターを形成した。
【0069】
(実施例2)
実施例1で記載したものと同じ試薬および手順を用いて、新鮮な正常全血試料を分析した。図1Bは、得られた、正常血液試料のDC対ALL散布図を示す。示されている通り、有核赤血球細胞が属する領域にはいかなる細胞集団も存在していなかった。
【0070】
さらに、図1Aおよび1Bに示されている通り、白血球は、4つの亜集団、すなわちリンパ球、単球、好中球、および好酸球にさらに分離された。
【0071】
図2Bは、得られた、図1Bに示したものと同じ正常血液細胞のLS1対ALL散布図を示す。この場合も、有核赤血球が属する領域にはいかなるクラスターも存在しなかった。
【0072】
この場合も、図2Aおよび2Bに示されている通り、白血球は、3つの亜集団、すなわちリンパ球、単球および好中球の合計、ならびに好酸球にさらに分離された。
【0073】
(実施例3)
有核赤血球を含有する臨床全血試料、および新鮮な正常全血試料を、実施例1で記載した手順を用いて、実施例1で記載したものと同等な検出系を備えた別の実験用血液分析機で分析した。但し、データは14ビットADC分解能で取得した。用いた溶解試薬および希釈剤は、Lyse S(登録商標)4およびIsoton(登録商標)4(米国フロリダ州マイアミ所在のBeckman Coulter社の製品)であった。
【0074】
得られた散布図を図5Aから8Bに示す。図5A、6A、7A、および8Aに示されている通り、臨床試料中の有核赤血球は、それぞれDV対ALL、LS1対ALL、F1対ALL、およびF2対ALLで、白血球及び細胞破片から明確に分離する。正常血液試料から得られた図5B、6B、7B、および8Bに示されている通り、有核赤血球が属する領域にはいかなる細胞集団も存在しなかった。分解能が異なるので、図5Aから8Bの散布図の軸スケールは図1Aから4Bに示したものとは異なることが知られている。しかし、様々な集団相互の相対的位置は同じに維持されている。
【0075】
(実施例4)
132の臨床試料を含めた総計336の全血試料を、実施例1で記載した手順および試薬を用いて分析した。NRBCの結果は、F1対ALL散布図を用いた識別分析から得た。前述の通り、F1はDCおよびLS1の関数であり、((DC+LS1)/DC×1000))に等しい。
【0076】
参照NRBC値は、手作業の参照方法およびフローサイトメトリー法を用いて得た。手作業NRBC参照方法を用いた場合には、Wright染色法で染色した各試料の塗沫標本で200細胞のWBCを計数し、同じ領域に存在するNRBCの数を計数し、2で割った。この値をNRBC/100WBCとして報告する。フローサイトメトリー法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている「New Rapid Flow Cytometric Method for the Enumeration of Nucleated Red Blood Cells」、Cytometry、37巻、291〜301頁、1999年に記載されている。図9は、本発明の方法を用いて得られたNRBC結果と、フローサイトメトリー参照法を用いたものとの間での良好な補正を示している。
【0077】
(実施例5)
フローセル内を通過する細胞のDCインピーダンス、軸方向光減失、低角散乱光、および中角散乱光シグナルを検出する検出系を備えた実験用血液分析機で、実施例1で記載した手順を用いて、様々な臨床全血試料を分析した。上記検出系では、DCインピーダンス検出器、ならびに軸方向光減失および低角散乱光シグナルを検出するための光学検出器集合体の2つの光検出器は、実施例1で用いたものと同じであった。上記光学検出器集合体は、入射光から20°から43°までの範囲における中角散乱光シグナルを測定するための第3の光検出器をさらに含有していた。これはLS2と呼ばれた。実施例1に記載の通り、血液試料を溶解および希釈するのに、Lyse S(登録商標)4および等張血液希釈剤を用いた。等張血液希釈剤は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている米国特許第5935857号に記載されている。
【0078】
一部の臨床全血試料は、鎌形赤血球、巨大赤血球、および血小板凝集塊を含有していた。図11Aおよび11Bは、血小板凝集塊を含有する血液試料に特徴的な典型的な細胞破片分布を示す。図11Aは、血小板凝集塊を含有する臨床血液試料のLS1対ALL散布図である。示されている通り、細胞破片はリンパ球と重なり合っていた。図11Bは、同じ血液試料のLS2対DC散布図である。示されている通り、中角散乱光およびDCインピーダンスシグナルの二次元散布図を用いると、細胞破片は、有核赤血球および白血球から十分に分離された。図11Cは、F3対ALL散布図である。F3は、Atan(DC/LS2)×S3と定義され、式中、S3は600であった。示されている通り、細胞破片は、散布図における異なった領域に分布した。輪郭分析またはクラスター分析に際して、この散布図から細胞破片をゲートアウトした。細胞破片を分離した後、有核赤血球を白血球と識別する識別分析をF4対ALL散布図で行った。F4は、Atan(DC/LS1)×S4と定義され、式中、S4は600であった。図11Dに示されている通り、有核赤血球は白血球から明確に分離した。輪郭分析またはクラスター分析に際して、有核赤血球を計数した。
【0079】
図12A〜12Dは、鎌状赤血球を含有する臨床血液試料の様々な散布図を示す。図12AはLS1対DC散布図である。示されている通り、細胞破片は、有核赤血球および白血球の両方と重なり合っていた。図12BはLS1対LS2散布図である。示されている通り、中角散乱光シグナルを用いて、有核赤血球および白血球の両方からの細胞破片の分離が実質的に改善された。図12CはF5対ALL散布図を示す。F5は、Atan(LS2/LS1)×S5と定義され、式中、S5は600であった。示されている通り、有核赤血球および白血球からの細胞破片の分離は、この散布図でさらに強化された。細胞破片をゲートアウトした後、図12Dに示されている通り、有核赤血球を白血球と識別する識別分析を、F4対ALL散布図を用いて行った。輪郭分析またはクラスター分析に際して、有核赤血球を白血球と識別して、計数した。
【0080】
特に好ましい実施形態に関して本発明を記載した。しかし、本発明の趣旨から逸脱せずに、様々な変化を加えることができ、そのような変化も、添付された特許請求項の範囲に包含されるものであることが理解されよう。添付されている図面で本発明を詳細に説明し、図によって示したが、これらは、本発明の範囲を限定するものではなく、その好ましい実施形態の例示として理解するべきである。しかし、上記明細書に記載されおり、添付されている特許請求の範囲およびそれらの法的等価物に定義されている本発明の趣旨および範囲の中で、様々な改変および変化を加えることができることが明らかであろう。本明細書中に引用されたすべての特許および他の出版物を、参照により本明細書に明示的に組む。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】図1Aは、実施例1に記載の試薬および方法を用いて分析された臨床全血試料のDC対ALL散布図である。図1Bは、実施例1に記載の試薬および方法を用いて分析された正常全血試料のDC対ALL散布図である。
【図2】図2Aは、図1Aに示した臨床全血試料のLS1対ALL散布図である。図2Bは、図1Bに示した正常全血試料のLS1対ALL散布図を示す。
【図3】図3Aは、図1Aに示したものと同じ臨床全血試料のF1対ALL散布図である。図3Bは、図1Bに示したものと同じ正常全血試料のF1対ALL散布図を示す。
【図4】図4Aは、図1Aに示したものと同じ臨床全血試料のF2対ALL散布図である。図4Bは、図1Bに示したものと同じ正常全血試料のF2対ALL散布図を示す。
【図5】図5Aは、実施例3に記載の試薬および方法を用いて分析された臨床全血試料のDC対ALL散布図である。図5Bは、実施例3に記載の試薬および方法を用いて分析された正常全血試料のDC対ALL散布図である。
【図6】図6Aは、図5Aに示した臨床全血試料のLS1対ALL散布図である。図6Bは、図5Bに示した正常全血試料のLS1対ALL散布図を示す。
【図7】図7Aは、図5Aに示したものと同じ臨床全血試料のF1対ALL散布図である。図7Bは、図5Bに示したものと同じ正常全血試料のF1対ALL散布図を示す。
【図8】図8Aは、図5Aに示したものと同じ臨床全血試料のF2対ALL散布図である。図8Bは、図5Bに示したものと同じ正常全血試料のF2対ALL散布図を示す。
【図9】図9は、フローサイトメトリー参照方法で得られた結果と、実施例4に記載の本発明の方法で得られたものとの間の相関曲線である。
【図10】図10は、低角散乱光および軸方向光減失シグナルを処理する光学検出器集合体で使用された電気回路の略図である。
【図11−1】図11A、11B、11C、および11Dは、それぞれ、血小板凝集塊を含有する臨床血液試料のLS1対ALL、LS2対DC、F3対ALL、およびF4対ALL散布図である。
【図11−2】図11A、11B、11C、および11Dは、それぞれ、血小板凝集塊を含有する臨床血液試料のLS1対ALL、LS2対DC、F3対ALL、およびF4対ALL散布図である。
【図12−1】図12A、12B、12C、および12Dは、それぞれ、鎌状赤血球を含有する臨床血液試料のLS1対DC、LS1対LS2、F5対ALL、およびF4対ALL散布図である。
【図12−2】図12A、12B、12C、および12Dは、それぞれ、鎌状赤血球を含有する臨床血液試料のLS1対DC、LS1対LS2、F5対ALL、およびF4対ALL散布図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血球試料中の有核赤血球を測定する方法であって、
(a)試薬系に前記血球試料を曝露して、成熟赤血球を溶解させ、試料混合物を形成させるステップと、
(b)軸方向光減失、DCインピーダンス、および中角散乱光シグナルを測定することによって、フローセル内の前記試料混合物を分析するステップと、
(c)ステップ(b)で得られた前記軸方向光減失、DCインピーダンス、および中角散乱光シグナルを用いて、有核赤血球を他の細胞型と識別するステップと、
(d)前記血球試料中の有核赤血球を報告するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記中角散乱光シグナルを約15°から約70°までの範囲で測定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記中角散乱光シグナルを約20°から約45°までの範囲で測定する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記有核赤血球を他の細胞型と識別するステップで、前記中角散乱光とDCインピーダンスシグナルの関数、前記中角散乱光と軸方向光減失シグナルの関数、前記軸方向光減失とDCインピーダンスシグナルの関数、ならびにこれらの組合せからなる群から選択された1つまたは複数の関数を用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
血球試料中の有核赤血球を測定する方法であって、
(a)試薬系に前記血球試料を曝露し、成熟赤血球を溶解させ、試料混合物を形成させるステップと、
(b)軸方向光減失、低角散乱光、および中角散乱光シグナルを測定することによって、フローセル内の前記試料混合物を分析するステップと、
(c)ステップ(b)で得られた前記軸方向光減失、低角散乱光、および中角散乱光シグナルを用いて、有核赤血球を他の細胞型と識別するステップと、
(d)前記血球試料中の有核赤血球を報告するステップと
を含む方法。
【請求項6】
前記中角散乱光シグナルを約15°から約70°までの範囲で測定する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記中角散乱光シグナルを約20°から約45°までの範囲で測定する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記低角散乱光シグナルを10°未満で測定する、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記低角散乱光シグナルを約1°から約7°までの範囲で測定する、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記有核赤血球を他の細胞型と識別するステップが、前記中角散乱光と低角散乱光シグナルの関数、前記中角散乱光と軸方向光減失シグナルの関数、前記軸方向光減失と低角散乱光シグナルの関数、ならびにこれらの組合せからなる群から選択された1つまたは複数の関数を用いる、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
血球試料中の有核赤血球を測定する方法であって、
(a)試薬系に前記血球試料を曝露し、成熟赤血球を溶解させ、試料混合物を形成させるステップと、
(b)軸方向光減失、DCインピーダンス、低角散乱光、および中角散乱光シグナルを測定することによって、フローセル内の前記試料混合物を分析するステップと、
(c)ステップ(b)で得られた前記軸方向光減失、DCインピーダンス、低角散乱光、および中角散乱光シグナルを用いて、有核赤血球を他の細胞型と識別するステップと、
(d)前記血球試料中の有核赤血球を報告するステップと
を含む方法。
【請求項12】
前記中角散乱光シグナルを約15°から約70°までの範囲で測定する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記中角散乱光シグナルを約20°から約45°までの範囲で測定する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記低角散乱光シグナルを10°未満で測定する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記低角散乱光シグナルを約1°から約7°までの範囲で測定する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記有核赤血球を他の細胞型と識別するステップで、前記軸方向光減失とDCインピーダンスシグナルの関数、前記軸方向光減失と低角散乱光シグナルの関数、前記低角散乱光とDCインピーダンスシグナルの関数、前記中角散乱光とDCインピーダンスシグナルの関数、前記中角散乱光と低角散乱光シグナルの関数、前記中角散乱光と軸方向光減失シグナルの関数、前記軸方向光減失、DCインピーダンス、および低角散乱光シグナルの関数、前記軸方向光減失と、DCインピーダンスと、中角散乱光シグナルの関数、前記軸方向光減失と、低角散乱光と、中角散乱光シグナルの関数、ならびにこれらの組合せからなる群から選択された1つまたは複数の関数を用いる、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記有核赤血球を他の細胞型と識別するステップが、
前記中角散乱光およびDCインピーダンスシグナルを用いて、細胞破片を前記有核赤血球および前記白血球と識別するステップと、
前記低角散乱光、軸方向光減失、およびDCインピーダンスシグナルを用いて、前記有核赤血球を前記白血球と識別するステップと
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記有核赤血球を他の細胞型と識別するステップが、
前記中角散乱光、DCインピーダンス、および軸方向光減失シグナルを用いて、細胞破片を前記有核赤血球および前記白血球と識別するステップと、
前記低角散乱光、軸方向光減失、およびDCインピーダンスシグナルを用いて、前記有核赤血球を前記白血球と識別するステップと
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記細胞破片が血小板、大型血小板、巨大血小板、血小板凝集塊、鎌状赤血球、または未溶解赤血細胞膜を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
白血球亜集団を識別および報告するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
ステップ(b)における前記試料混合物中の残留血球数を得るステップと、前記有核赤血球および細胞破片を前記残留血球数から減算して、補正白血球数を得るステップと、前記血液試料中の前記補正白血球数を報告するステップとをさらに含む、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【公表番号】特表2009−524822(P2009−524822A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552306(P2008−552306)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/061847
【国際公開番号】WO2007/087094
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(507316789)ベックマン コールター, インコーポレイテッド (34)
【Fターム(参考)】