説明

有極電磁石及び電磁接触器

【課題】電磁コイルの電磁吸引力を満足しつつ小型化、低消費電力化を図る有極電磁石を提供する。
【解決手段】可動鉄心部27は、電磁コイル32の挿通穴31に挿通した可動鉄心棒28の一端に第1可動対向板29を固定し、可動鉄心棒の他端に第2可動対向板30を固定してなる。固定鉄心部24は、第1可動対向板に第1固定対向板36が離間対向し、第2可動対向板に第2固定対向板37が離間対向し、これら第1及び第2固定対向板を、電磁コイルの外周に沿って延在した固定側板35が連結している。電磁コイルを励磁して第1固定対向板及び第1可動対向板の間のギャップに電磁吸引力が発生すると、復帰ばね15のばね力及び永久磁石26の吸引力に抗し、第1可動対向板が第1固定対向板に向けて変位する。第1固定対向板の接極部37及び第1可動対向板の接極部39は、可動鉄心部の可動方向に対して斜めに延在しながら互いに平行に対向している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石と電磁コイルとを備えた有極電磁石及びこの有極電磁石を備えた電磁接触器に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁接触器に組み込まれる有極電磁石として、例えば特許文献1のものが知られている。この有極電磁石は、図6に示すように、円筒形状の電磁コイル1と、一対の固定鉄心部2と、永久磁石3と、一対の磁極板4と、可動鉄心部5とを備えている。
固定鉄心部2は、一方の端板部2aを電磁コイル1の一端に近接させ、他方の端板部2bを電磁コイル1の他端に離間して対向させ、一方及び他方の端板部2a,2bの間に延在する側板部2cを電磁コイル1の外周部に近接させるように配置した略U字形状の部材である。永久磁石3は、固定鉄心部2の側板部2cの外側に配置されている。磁極板4は、側板部4aを永久磁石3の外側に配置し、端板部4bを固定鉄心部2の一方の端板部2aに離間して対向させた略L字形状の部材である。可動鉄心部5は、電磁コイル1に挿通した鉄心棒5aと、鉄心棒5aの一端に固定され、固定鉄心部2の一方の端板部2a及び磁極板4の側板部4bとの間に位置する第1アーム5bと、鉄心棒5aの他端に固定され、電磁コイル1の他端及び固定鉄心部2の他方の端板部2bの間に位置する第2アーム5cとを備えており、この可動鉄心部5は、図示しない復帰ばねにより図6の右方向に付勢されている。
【0003】
ここで、上述した可動鉄心部5の第2アーム5cは、鉄心棒5aの軸線に直交する方向に延在した平板部材であり、この第2アーム5cに、固定鉄心部2の平坦形状の他方の端板部2bが平行に対面している。これにより、第2アーム5c及び他方の端板部2bは、可動鉄心部5の可動方向(図6の矢印で示す方向)に直交しながら平行に対向している。
そして、電磁コイル1が非励磁状態のときには、永久磁石3の磁束が、磁極板4、可動鉄心部5の第1アーム5b、鉄心棒5a、固定鉄心部2の一方の端板部2a、側板部2c、永久磁石3の順路で循環することで、磁極板4の端板部4bと可動鉄心部5の第1アーム5bとの間の吸引力が強くなり、可動鉄心部5の第1アーム5bが、復帰ばねの復帰力と永久磁石3の吸引力とにより、磁極板4の端板部4bに吸着して釈放状態が保持される。
【0004】
また、電磁コイル1が励磁状態のときには、電磁コイル1の磁束が、固定鉄心部2の側板部2c、他方の端板部2b、可動鉄心部5の第2アーム5c、鉄心棒5a、固定鉄心部2の一方の端板部2a、側板部4aの順路で循環することで、固定鉄心部2の側板部2cと可動鉄心部5の第2アーム5cとの間に吸引力(以下、電磁吸引力と称する)が発生し、この電磁吸引力が、磁極板4の端板部4bと可動鉄心部5の第1アーム5bとの間の永久磁石3で発生する吸引力より大きくなると、可動鉄心部5が図1の左方向に変位し、固定鉄心部2の他方の端板部2bに可動鉄心部5の第2アーム5が吸着することで、投入状態が保持されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−207777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来の有極電磁石は、第2アーム5c及び他方の端板部2bが可動鉄心部5の可動方向に直交しながら平行に対向しているので、他方の端板部2b及び第2アーム5cの間の接極面ギャップA1は、可動鉄心部5が変位する量と同一の大きな寸法となる。
このように接極面ギャップA1が大きいと、電磁コイル1が励磁状態のときに、他方の端板部2bから第2アーム5cに流れる磁束の漏れが発生しやすく、電磁コイル1の電磁吸引力が低下するおそれがある。この磁束漏れによる電磁吸引力の低下分を補填するためには大型の電磁コイル1が必要となるが、軸方向寸法L1、径方向寸法D1が増大した大型の電磁コイル1を使用すると、有極電磁石の小型化、消費電力の面で問題がある。
そこで、本発明は、要求される電磁コイルの電磁吸引力を満足しつつ小型化、低消費電力化を図ることができる有極電磁石及び電磁接触器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る請求項1記載の有極電磁石は、円筒状に巻装された電磁コイルの挿通穴に可動鉄心棒を挿通し、前記電磁コイルの一方の端面から突出した前記可動鉄心棒の一端に第1可動対向板を固定し、前記電磁コイルの他方の端面から突出した前記可動鉄心棒の他端に第2可動対向板を固定して可動鉄心部を配置し、前記第1可動対向板に離間して第1固定対向板が対向し、前記第2可動対向板に離間して第2固定対向板が対向し、これら第1及び第2固定対向板を連結する固定側板を前記電磁コイルの外周に沿って延在させて固定鉄心部を配置し、前記電磁コイルの外周と前記固定側板との間に永久磁石を配置し、前記電磁コイルを励磁して前記第1固定対向板及び前記第1可動対向板の間のギャップに電磁吸引力が発生すると、復帰ばねのばね力及び前記永久磁石の吸引力に抗して、前記第1可動対向板が前記第1固定対向板に向けて変位して可動鉄心部が可動する有極電磁石において、前記第1固定対向板及び前記第1可動対向板に、前記可動鉄心部の可動方向に対して斜めに延在しながら互いに平行に対向する接極部を形成した。
【0008】
従来の有極電磁石は、電磁コイルの励磁により電磁吸引力が発生する固定対向板及び可動対向板が可動鉄心部の可動方向に直交しながら平行に対向しているので、固定対向板及び可動対向板の間のギャップは、可動鉄心部の変位量と同一の大きな寸法となる。
しかし、本発明は、電磁コイルの励磁により電磁吸引力が発生する第1固定対向板及び第1可動対向板には、可動鉄心部の可動方向に対して斜めに延在しながら互いに平行に対向する接極部が形成されており、可動鉄心部の変位量を、従来の有極電磁石と同一寸法に設定しても、第1固定対向板及び第1可動対向板に設けた接極部の間のギャップが、従来装置のギャップより小さな値となる。このように、本発明では、第1固定対向板及び第1可動対向板に設けた接極部の間のギャップが小さな値になるので、電磁コイルが励磁状態のときに、第1固定対向板及び第1可動対向板に設けた接極部の間を流れる磁束の漏れが減少するので、電磁コイルの電磁吸引力の低下を防止することができる。したがって、本発明の有極電磁石は、ギャップの磁束漏れが減少することで通常の電磁コイルを使用しても要求する電磁吸引力を得ることができ、大型の電磁コイルが不要となって有極電磁石の小型化及び低コイル消費電力化を図ることができる。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の有極電磁石において、前記第1固定対向板の前記接極部は、前記固定側板から前記電磁コイルの前記挿通穴に向けて斜めに折曲された部位であり、前記第1可動対向板の前記接極部は、前記第1固定対向板の前記接極部に平行に対向するように、前記第1可動対向板の縁部を折曲した部位である。
この発明によると、第1固定対向板の接極部及び第1可動対向板の接極部は、板材を折曲した部位であり、可動鉄心部の変位量と比較してギャップを小さくする構造を容易に得ることができるので、有極電磁石の製造コストの低減化を図ることができる。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の有極電磁石において、前記第1固定対向板の前記接極部は、前記電磁コイルの外周と前記固定側板との間に配置されている前記永久磁石から離間する方向に向かって斜めに折曲されている。
この発明によると、第1固定対向板の前記接極部が永久磁石から離間して配置されているので、永久磁石の磁束が、電磁コイルの励磁状態における第1固定対向板及び第1可動対向板の接極部の間の磁束の流れに悪影響を与えることがない。
【0011】
さらに、請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の有極電磁石を使用した電磁接触器であり、前記可動鉄心部に接点機構を連結し、前記電磁コイルの励磁、非励磁による前記可動鉄心部の可動により前記接点機構の可動接点及び固定接点の開閉動作を行なうようにした。
この発明によると、取付けスペースを小さくすることができ、取り扱いも容易なコンパクトな電磁接触器とすることができるとともに、消費電力を抑えながら接点機構の釈放動作及び投入動作を確実に行なうことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る有極電磁石によると、ギャップの磁束漏れが減少することで通常の電磁コイルを使用しても要求する電磁吸引力を得ることができ、大型の電磁コイルが不要となって有極電磁石の小型化及び低コイル消費電力化を図ることができる。
また、本発明に係る電磁接触器によると、取付けスペースを小さくすることができ、取り扱いも容易なコンパクトな電磁接触器とすることができるとともに、消費電力を抑えながら接点機構の釈放動作及び投入動作を確実に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る電磁接触器の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る電磁接触器を構成する部品を示す展開斜視図である。
【図3】本発明に係る電磁接触器の釈放状態を示す断面図である。
【図4】本発明に係る電磁接触器の投入状態を示す断面図である。
【図5】可動鉄心部の変位量を同一とした場合の従来の有極電磁石と本発明の有極電磁石のギャップ変化を説明した図である。
【図6】従来の有極電磁石を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明に係る電磁接触器10の外観を示し、図3は電磁接触器10の内部構造を示すものである。この電磁接触器10は、第1ケース11に内装された有極電磁石12と、第1ケース11に一体に連結した第2ケース13に内装された接点機構14と、第1ケース11内に収納され、有極電磁石12の可動鉄心部27及び接点機構14の可動ホルダ16に対して釈放方向(図3の左方向)にばね付勢力を付与する復帰ばね15とを備えている。
【0015】
接点機構14は、図2に示すように、第2ケース13内に配置された可動ホルダ16、複数の可動接触子17及び複数対の固定接触子18と、第2ケース13の開口部に装着した消弧カバー22とを備えている。すなわち、図3に示すように、第2ケース13には複数対の固定接触子18が固定されており、各固定接触子18の端部に固定接点19が設けられている。また、可動ホルダ16は、第2ケース13内に図3の左右方向に移動自在に配置されており、この可動ホルダ16は、複数の可動接触子17を保持している。各可動接触子17は、複数対の固定接触子18の固定接点19に対向する位置に可動接点20が設けられているとともに、可動接点20を固定接点19に押し付ける方向に可動接触子17に対してばね付勢力を付与する接触ばね21が設けられている。
【0016】
有極電磁石12は、図2に示すように、第1ケース11内に配置されたスプール23、一対の固定鉄心部24、一対の磁極板25、一対の永久磁石26、可動鉄心部27を備えており、可動鉄心部27は、可動鉄心棒28、第1可動対向板29及び第2可動対向板30で構成されており、これら有極電磁石12の構成部材を、図3を参照して説明する。
スプール23は、挿通穴31を形成した円筒形状の電磁コイル32を備えている。
【0017】
一対の磁極板25は、L字状に折曲した端板部33及び側板部34を備えた板部材であり、端板部33が電磁コイル32の一端に近接するようにスプール23に固定され、側板部34は電磁コイル32の外周に沿って配置されている。これら一対の磁極板25の側板部34の外方を向く面には、矩形板状の永久磁石26が固定されている。
一対の固定鉄心部24は、固定側部35と、この固定側部35の長手方向の一端から直交して折曲された固定底部36と、固定側部35の長手方向の他端から固定底部36が延在する側に、その延在する方向に対して90°より小さな角度で折曲された固定接極部37を備えた板部材である。
【0018】
これら固定鉄心部24は、固定底部36を第1ケース11の底壁11aに当接させ、固定側部35の一部を第1ケース11の側壁11bに係合させた状態で第1ケース11の内部に装着されている。そして、スプール23は、固定側部35の内方を向く面に永久磁石26を当接した状態で、固定鉄心部24の固定側部35が左右方向に延在する方向と電磁コイル32の挿通穴31の軸線とが平行となるように、一対の固定鉄心部24の内側に配置されている。ここで、スプール23の一端と第1ケース11の底壁11aとの間には、可動鉄心部27の第2可動対向板30を左右方向に可動自在とする可動空間が設けられている。
【0019】
可動鉄心部27の可動鉄心棒28は、電磁コイル32の挿通穴31に摺動自在に挿通されている。
可動鉄心棒28の一端には、前記可動空間に位置する平板形状の第2可動対向板30が固定されているとともに、可動鉄心棒28の他端には、第1可動対向板29が固定されている。
第1可動対向板29は、可動鉄心棒28の他端に直交して固定された可動直交部38と、可動直交部38の両端から折曲して形成され、一対の固定鉄心部24の固定接極部37に平行に対向している一対の可動接極部39とで構成されている。
これにより、本実施形態は、第1可動対向板29の可動接極部39及び固定鉄心部24の固定接極部37が、可動鉄心部27の可動方向に対して斜めに延在した状態で互いに平行に対向している。
【0020】
また、可動鉄心部27の第1可動対向板29(可動直交部38)の中央部は、連結部材40を介して接点機構14の可動ホルダ16に連結されており、可動鉄心部27及び可動ホルダ16は、左右方向に同期移動するようになっている。
そして、復帰ばね15は、第1ケース11の底壁11aと可動鉄心部27の第2可動対向板30との間に配置され、可動鉄心部27及び可動ホルダ16に対して釈放方向(図3の左方向)にばね付勢力を付与している。
【0021】
次に、上記構成の電磁接触器10の動作について、図3及び図4を参照して説明する。
図3は、釈放状態の電磁接触器10を示している。釈放状態の電磁接触器10は、電磁コイル32が非励磁状態となっている。このとき、永久磁石26の磁束が、磁極板25、可動鉄心部27の第2可動対向板30、固定鉄心部24の固定底部36、固定側部35、永久磁石26の順路で循環することで、磁極板25の端板部33と可動鉄心部27の第2可動対向板30との間の吸引力が強くなる。これにより、可動鉄心部27の第2可動対向板30は、復帰ばね15の復帰力と永久磁石26の吸引力により図3の左側に移動して、磁極板25の端板部33に近接するようにスプール23の端部に吸着する。
【0022】
そして、第2可動対向板30の移動とともに、可動鉄心部27全体も図3の左側に移動し、第1可動対向板29と連結部材40を介して連結している接点機構14の可動ホルダ16も、図3の左側に移動する。これにより、可動ホルダ16に設けた可動接点20が、第2ケース13に設けた固定接点19に対して離間した状態で位置し、電磁接触器10の釈放状態が保持される。
【0023】
図4は、投入状態の電磁接触器10を示している。投入状態の電磁接触器10は、電磁コイル32が励磁状態となっている。このとき、電磁コイル32の磁束が、固定鉄心部24の固定側部35、固定接極部37、第1可動対向板29の可動接極部39、可動直交部38、可動鉄心棒28、第2可動対向板30、磁極板25、永久磁石26、固定鉄心部24の固定側部35の順路で循環することで、固定鉄心部24の固定接極部37と第1可動対向板29の可動接極部39との間に吸引力(以下、電磁吸引力と称する)が発生する。この電磁コイル32の電磁吸引力が、磁極板25の端板部33と可動鉄心部27の第2可動対向板30との間の永久磁石26で発生する吸引力及び復帰ばね15のばね力より大きくなると、可動鉄心部27の第1可動対向板29は図4の右側に移動し、固定鉄心部24の固定接極部37に吸着する。
【0024】
そして、第1可動対向板29とともに接点機構14の可動ホルダ16も、図4の右側に移動する。これにより、可動ホルダ16に設けた可動接点20が、第2ケース13に設けた固定接点19に接触し、電磁接触器10の投入状態が保持される。
次に、図5は、図6で示した従来の有極電磁石と本実施形態の有極電磁石12の要部を比較したものであり、この図5に基づいて本実施形態の作用効果を説明する。
【0025】
図5(a)で示す従来の有極電磁石は、可動鉄心部5の第2アーム5c及び固定鉄心部2の端板部2bが、可動鉄心部5の可動方向に直交しながら平行に対向しているので、他方の端板部2b及び第2アーム5cの間の接極面ギャップA1は、可動鉄心部5の変位量(H)と同一の大きな寸法となる。
これに対して、図5(b)で示す本実施形態の有極電磁石12は、可動鉄心部27の可動接極部39及び固定鉄心部24の固定接極部37が、可動鉄心部27の可動方向に対して斜めに延在した状態で互いに平行に対向しているので、可動鉄心部27の変位量を、従来の有極電磁石と同一寸法Hに設定しても、可動接極部39及び固定接極部37の間の接極面ギャップA2は、従来装置の接極面ギャップA1より小さな値となる(A2<A1)。
【0026】
本実施形態のように可動接極部39及び固定接極部37の間の接極面ギャップA2が小さな値になると、電磁コイル32が励磁状態のときに、固定接極部37から可動接極部39に流れる磁束の漏れが減少するので、電磁コイル32の電磁吸引力の低下を防止することができる。
したがって、本実施形態は、接極面ギャップA2の磁束漏れが減少することで通常の電磁コイル32を使用しても要求する電磁吸引力を得ることができるので、大型の電磁コイル32が不要となり、有極電磁石12の小型化及び低コイル消費電力化を図ることができる。
【0027】
また、有極電磁石12の永久磁石26は、固定鉄心部24の固定側部35の内側に当接しながら固定接極部37に寄って配置されているが、固定接極部37は、永久磁石26から離間する方向に延在しつつ、その方向に対して90°より小さな角度で折曲されているので、永久磁石26の磁束が、電磁コイル32の励磁状態における固定接極部37及び可動接極部39の間の磁束の流れに悪影響を与えることがない。
【0028】
また、この有極電磁石12を備えた電磁接触器10も、取付けスペースを小さくすることができ、取り扱いも容易なコンパクトな装置とすることができるとともに、消費電力を抑えながら接点機構14の釈放動作及び投入動作を確実に行なうことができる。
さらに、可動鉄心部27の可動方向に対して斜めに延在した状態で互いに平行に対向するように、第1可動対向板29及び固定鉄心部24の縁部を折曲して可動接極部39及び固定接極部37を形成するだけで、可動鉄心の変位量Hを所望の値に設定し、且つ、接極面ギャップA2を小さくする構造を容易に得ることができるので、有極電磁石12の製造コストの低減化を図ることができる。
【符号の説明】
【0029】
10…電磁接触器、11…第1ケース、11a…底壁、11b…側壁、12…有極電磁石、13…第2ケース、15…復帰ばね、14…接点機構、16…可動ホルダ、17…可動接触子、18…固定接触子、19…固定接点、20…可動接点、21…接触ばね、22…消弧カバー、23…スプール、24…固定鉄心部、25…磁極板、26…永久磁石、27…可動鉄心部、28…可動鉄心棒、29…第1可動対向板、30…第2可動対向板、31…挿通穴、32…電磁コイル、33…端板部、34…側板部、35…固定側部(固定側板)、36…固定底部(第2固定対向板)、37…固定接極部(第1固定対向板の接極部)、38…可動直交部、39…可動接極部(第1可動対向板の接極部)、40…連結部材、A2…接極面ギャップ(ギヤップ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状に巻装された電磁コイルの挿通穴に可動鉄心棒を挿通し、前記電磁コイルの一方の端面から突出した前記可動鉄心棒の一端に第1可動対向板を固定し、前記電磁コイルの他方の端面から突出した前記可動鉄心棒の他端に第2可動対向板を固定して可動鉄心部を配置し、前記第1可動対向板に離間して第1固定対向板が対向し、前記第2可動対向板に離間して第2固定対向板が対向し、これら第1及び第2固定対向板を連結する固定側板を前記電磁コイルの外周に沿って延在させて固定鉄心部を配置し、前記電磁コイルの外周と前記固定側板との間に永久磁石を配置し、前記電磁コイルを励磁して前記第1固定対向板及び前記第1可動対向板の間のギャップに電磁吸引力が発生すると、復帰ばねのばね力及び前記永久磁石の吸引力に抗して、前記第1可動対向板が前記第1固定対向板に向けて変位して可動鉄心部が可動する有極電磁石において、
前記第1固定対向板及び前記第1可動対向板に、前記可動鉄心部の可動方向に対して斜めに延在しながら互いに平行に対向する接極部を形成したことを特徴とする有極電磁石。
【請求項2】
前記第1固定対向板の前記接極部は、前記固定側板から前記電磁コイルの前記挿通穴に向けて斜めに折曲された部位であり、前記第1可動対向板の前記接極部は、前記第1固定対向板の前記接極部に平行に対向するように、前記第1可動対向板の縁部を折曲した部位であることを特徴とする請求項1記載の有極電磁石。
【請求項3】
前記第1固定対向板の前記接極部は、前記電磁コイルの外周と前記固定側板との間に配置されている前記永久磁石から離間する方向に向かって斜めに折曲されていることを特徴とする請求項2記載の有極電磁石。
【請求項4】
前記請求項1乃至3の何れか1項に記載の有極電磁石を備えた電磁接触器であって、
前記可動鉄心部に接点機構を連結し、前記電磁コイルの励磁、非励磁による前記可動鉄心部の可動により前記接点機構の可動接点及び固定接点の開閉動作を行なうようにしたことを特徴とする電磁接触器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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