説明

有極電磁継電器及びコイル組立

【課題】有極電磁継電器が有する3個以上のコイル端子のそれぞれに導線を結線して巻枠上にコイルを形成する自動巻線作業を、安全に実施する。
【解決手段】3個のコイル端子118、120、122の各々は、導線116が接続される絡げ部分118a、120a、122aと、絡げ部分から離隔した端末部分118b、120b、122bとを有する。巻枠114は、2つの励磁回路のそれぞれの端子対における一方のコイル端子の絡げ部分が突出する第1表面130aと、第1表面の反対側で、当該一方のコイル端子の端末部分が突出する第2表面130bとを備える。コイル112の導線116は、上記端子対を構成する一方のコイル端子の絡げ部分とコイルとの間に延びる第1リード部分116aで巻枠の第1表面に沿って敷設され、同端子対を構成する他方のコイル端子の絡げ部分とコイルとの間に延びる第2リード部分116bで巻枠の第2表面に沿って敷設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有極電磁継電器に関する。本発明はまた、有極電磁継電器に使用されるコイル組立に関する。
【背景技術】
【0002】
有極電磁継電器において、電磁石及び永久磁石を含む電磁石装置と、複数の接点部材を含む接点部とを、互いに絶縁して基部に組み付けるとともに、電磁石装置と接点部との間に、電磁石装置の作用により移動して接点部の接点部材を開閉動作させる力伝達部材を設置したものが知られている。例えば特許文献1は、この種の有極電磁継電器であって、電磁石装置が、一対の鉄板の間に永久磁石を挟持してなる磁性可動体(接極部と称されている)を、電磁石の励磁によりコイルの中心軸線に平行な方向へ直線移動させるように構成される有極電磁継電器を開示する。このような電磁石装置の構成は、永久磁石を含む磁性可動体を電磁石の励磁によりコイル中心軸線に直交する方向へ直線移動させる構成に比べて、一般に、コイル径方向への電磁継電器の外形寸法を効果的に削減できる利点を有する。
【0003】
特許文献1に開示される有極電磁継電器では、大小2個のコ字形の鉄板が、それらの中央部分の間に磁石をその磁化方向へ挟持して組み合わされ、それにより、磁性可動体の長手方向各端部に、磁石による磁極をそれぞれに形成した両鉄板の端部分が互いに対向して配置される。また、電磁石の鉄心は、同様にコ字形の部材であって、その長手方向両端部分がコイルの径方向外方へ延出して配置される。磁性可動体の長手方向各端部では、互いに異なる磁極を形成した一対の鉄板の端部分の間に、電磁石の鉄心の端部分が挿入される。磁性可動体は、モールド部品である力伝達部材に一体的に組み込まれ、上記相対配置の下で電磁石が作動することにより、力伝達部材が磁性可動体と共に直線移動して、接点部を開閉動作させる。
【0004】
また、有極電磁継電器において、電磁石が、コイルを形成する導線を巻き付ける巻枠と、巻枠に固定して支持され、コイルの導線をそれぞれに接続する3個以上のコイル端子とを備えるものが知られている(例えば特許文献2参照)。この種の有極電磁継電器では、コイルに、3個以上のコイル端子のうちいずれか2個のコイル端子からなる端子対をそれぞれに含む2つの励磁回路を構成させることで、動作状態(すなわちメーク接点閉成状態)と復帰状態(すなわちブレーク接点閉成状態)との迅速な切り換えが可能で、しかもいずれの状態においても接点部を安定して接点閉成状態に保持できる利点が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58−181227号公報
【特許文献2】特開2005−243367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した特許文献1に開示される有極電磁継電器では、磁性可動体を構成する一対のコ字形鉄板が、電磁石のコ字形鉄心の全長に相当する長さを有するので、力伝達部材を含む可動部の寸法及び重量が比較的大きくなり、結果として継電器の応答性(すなわち動作時間)及び外形寸法に影響が及ぼされる危惧がある。また、電磁石のコ字形鉄心と磁性可動体の両コ字形鉄板とが、それぞれの長手方向両端で同時に磁気作用を及ぼし合う構成であるから、動作性能のばらつきを低減するためには、各構成部品の寸法精度を向上させる必要があり、結果として製造コストが上昇することが懸念される。
【0007】
また、上記した特許文献2に記載されるように、電磁石が3個以上のコイル端子を備える有極電磁継電器においては、それらコイル端子のそれぞれに導線を結線して巻枠上にコイルを形成する自動巻線作業を、安全かつ正確に実施することが課題となっている。
【0008】
本発明の目的は、永久磁石を含む磁性可動体を電磁石の励磁によりコイルの中心軸線に平行な方向へ直線移動させる電磁石装置を備えた有極電磁継電器において、磁性可動体の構造及びその駆動構成を単純化することで、応答性(動作時間)を改善でき、しかも外形寸法及び製造コストを効果的に削減できる有極電磁継電器を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、電磁石が3個以上のコイル端子を備える有極電磁継電器において、それらコイル端子のそれぞれに導線を結線して巻枠上にコイルを形成する自動巻線作業を、安全かつ正確に実施することができる有極電磁継電器を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、有極電磁継電器に使用されるコイル組立において、3個以上のコイル端子のそれぞれに導線を結線して巻枠上にコイルを形成する自動巻線作業を、安全かつ正確に実施することができるコイル組立を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、基部と、基部に組み付けられる電磁石装置と、電磁石装置から絶縁されて基部に組み付けられる接点部と、電磁石装置と接点部との間に配置され、電磁石装置の作用により移動して接点部を開閉動作させる力伝達部材とを具備し、電磁石装置が、電磁石と、電磁石によって駆動される接極子と、接極子に担持される永久磁石とを備えて構成される、有極電磁継電器において、電磁石は、中心軸線を有するコイルと、コイルの中心軸線に沿って配置される軸部及び軸部の軸線方向一端からコイルの径方向外方へ延長される頭部を有する鉄心と、鉄心の軸部の軸線方向他端に連結されてコイルの外側に延設され、コイル中心軸線に略平行に延びる主部分を含む継鉄とを備え、鉄心の頭部の外縁領域と継鉄の主部分の末端領域とが互いに対向かつ離間して配置され、接極子は、永久磁石をその磁化方向に挟持するとともに磁化方向をコイルの中心軸線に平行に方向付けて配置される第1及び第2の導電板要素を有し、第1の導電板要素の一部分を、鉄心の頭部の外縁領域と継鉄の主部分の末端領域との間に挿入した状態で、コイル中心軸線に平行な方向へ直線移動可能に設置され、力伝達部材は、電磁石の駆動によるコイル中心軸線に平行な方向への接極子の直線移動に伴い、コイル中心軸線に平行な方向へ直線移動して、接点部を開閉動作させること、を特徴とする有極電磁継電器を提供する。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の有極電磁継電器において、コイルは、継鉄の主部分に隣接する第1の外周領域と、基部に隣接する第2の外周領域とを有し、力伝達部材は、コイルの第1の外周領域の近傍で継鉄の主部分に沿って移動可能に配置される、有極電磁継電器を提供する。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の有極電磁継電器において、電磁石装置、接点部及び力伝達部材を収容して基部に固定されるケースをさらに具備し、基部は、ケースから露出して外方へ隆起する隆起部分を含む底壁を有し、コイルは、第2の外周領域で、底壁の隆起部分の反対側に形成される凹所に受容される、有極電磁継電器を提供する。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の有極電磁継電器において、電磁石は、コイルが巻き付けられる胴部及び胴部の軸線方向一端でコイルの外方に延長される延長部分を含む巻枠と、巻枠の延長部分に固定して支持され、コイルの線端部が接続されるコイル端子とを備え、巻枠の延長部分と基部の底壁とが協働して、ケースを基部に固定するための接着剤塗布面を形成する、有極電磁継電器を提供する。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の有極電磁継電器において、コイルが2本の導線を有し、それら導線の線端部を接続する3個のコイル端子が、巻枠の延長部分に、コイル中心軸線に直交する方向へ整列して支持される、有極電磁継電器を提供する。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有極電磁継電器において、継鉄の主部分の末端領域は、接極子及び永久磁石を隙間を介して囲繞する環状部分を有し、接極子の第1及び第2の導電板要素のそれぞれの一部分が、鉄心の頭部の両側で頭部の外縁領域と末端領域の環状部分との間に挿入される、有極電磁継電器を提供する。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の有極電磁継電器において、継鉄は、コイルの一側方で力伝達部材の近傍に配置される主部分と、主部分とは反対側のコイルの他側方で基部に隣接して配置され、コイル中心軸線に略平行に延びる副部分とを含み、副部分がその末端領域で、鉄心の頭部の軸線方向外側に離間かつ対向して延長され、接極子の第2の導電板要素の一部分が、鉄心の頭部の外縁領域と継鉄の副部分の末端領域との間に挿入される、有極電磁継電器を提供する。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有極電磁継電器において、継鉄の主部分の末端領域は、継鉄を打抜き成形した結果の破断面を有し、接極子の第1及び第2の導電板要素の少なくとも一方が、その一部分で、末端領域の破断面に当接可能に対向配置される、有極電磁継電器を提供する。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の有極電磁継電器において、接極子は、第1及び第2の導電板要素の間に永久磁石を挟持した状態で、力伝達部材に固定して連結される、有極電磁継電器を提供する。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の有極電磁継電器において、力伝達部材は、コイルの中心軸線に平行な方向へ長軸を配置する矩形輪郭を有し、力伝達部材の長手方向一端に、接点部に係合する着力点が設けられるとともに、力伝達部材の長手方向他端領域に接極子が固定される、有極電磁継電器を提供する。
【0020】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の有極電磁継電器において、基部は、電磁石を少なくとも部分的に収容して、電磁石と接点部との間に介在する筒状壁を有する、有極電磁継電器を提供する。
【0021】
請求項12に記載の発明は、請求項1に記載の有極電磁継電器において、電磁石は、コイルが巻き付けられる巻枠と、巻枠に固定して支持され、コイルを形成する導線がそれぞれに接続される3個以上のコイル端子とを備え、コイルが、3個以上のコイル端子のうちいずれか2個のコイル端子からなる端子対をそれぞれに含む2つの励磁回路を構成し、3個以上のコイル端子の各々は、導線が接続される絡げ部分と、絡げ部分から離隔した端末部分とを有し、絡げ部分と端末部分とが巻枠の外方へ突出して配置され、巻枠は、2つの励磁回路のそれぞれの端子対における一方のコイル端子の絡げ部分が突出する側の第1表面と、第1表面の反対側であって、当該一方のコイル端子の端末部分が突出する側の第2表面とを備え、導線は、端子対を構成する当該一方のコイル端子の絡げ部分とコイルとの間に延びる第1リード部分で、巻枠の第1表面に沿って敷設されるとともに、同端子対を構成する他方のコイル端子の絡げ部分とコイルとの間に延びる第2リード部分で、巻枠の第2表面に沿って敷設される、有極電磁継電器を提供する。
【0022】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の有極電磁継電器において、電磁石は、3個のコイル端子を備え、3個のコイル端子が、コイルを形成する1本の導線の両線端部がそれぞれに接続される第1コイル端子及び第2コイル端子と、導線の中間部が接続される第3コイル端子とからなり、第1コイル端子と第2コイル端子とが、2つの励磁回路のそれぞれの端子対における一方のコイル端子であり、第3コイル端子が、それぞれの端子対における他方のコイル端子である、有極電磁継電器を提供する。
【0023】
請求項14に記載の発明は、基部と、基部に組み付けられる電磁石装置と、電磁石装置から絶縁されて基部に組み付けられる接点部と、電磁石装置と接点部との間に配置され、電磁石装置の作用により移動して接点部を開閉動作させる力伝達部材とを具備し、電磁石装置が、電磁石と、電磁石によって駆動される接極子と、接極子に担持される永久磁石とを備えて構成される、有極電磁継電器において、電磁石は、中心軸線を有するコイルと、コイルが巻き付けられる巻枠と、巻枠に固定して支持され、コイルを形成する導線がそれぞれに接続される3個以上のコイル端子とを備え、コイルが、3個以上のコイル端子のうちいずれか2個のコイル端子からなる端子対をそれぞれに含む2つの励磁回路を構成し、3個以上のコイル端子の各々は、導線が接続される絡げ部分と、絡げ部分から離隔した端末部分とを有し、絡げ部分と端末部分とが巻枠の外方へ突出して配置され、巻枠は、2つの励磁回路のそれぞれの端子対における一方のコイル端子の絡げ部分が突出する側の第1表面と、第1表面の反対側であって、当該一方のコイル端子の端末部分が突出する側の第2表面とを備え、導線は、端子対を構成する当該一方のコイル端子の絡げ部分とコイルとの間に延びる第1リード部分で、巻枠の第1表面に沿って敷設されるとともに、同端子対を構成する他方のコイル端子の絡げ部分とコイルとの間に延びる第2リード部分で、巻枠の第2表面に沿って敷設されること、を特徴とする有極電磁継電器を提供する。
【0024】
請求項15に記載の発明は、中心軸線を有するコイルと、コイルが巻き付けられる巻枠と、巻枠に固定して支持され、コイルを形成する導線がそれぞれに接続される3個以上のコイル端子とを備え、コイルが、3個以上のコイル端子のうちいずれか2個のコイル端子からなる端子対をそれぞれに含む2つの励磁回路を構成する、有極電磁継電器用のコイル組立において、3個以上のコイル端子の各々は、導線が接続される絡げ部分と、絡げ部分から離隔した端末部分とを有し、絡げ部分と端末部分とが巻枠の外方へ突出して配置され、巻枠は、2つの励磁回路のそれぞれの端子対における一方のコイル端子の絡げ部分が突出する側の第1表面と、第1表面の反対側であって、当該一方のコイル端子の端末部分が突出する側の第2表面とを備え、導線は、端子対を構成する当該一方のコイル端子の絡げ部分とコイルとの間に延びる第1リード部分で、巻枠の第1表面に沿って敷設されるとともに、同端子対を構成する他方のコイル端子の絡げ部分とコイルとの間に延びる第2リード部分で、巻枠の第2表面に沿って敷設されること、を特徴とするコイル組立を提供する。
【0025】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載のコイル組立において、3個のコイル端子を備え、3個のコイル端子が、コイルを形成する1本の導線の両線端部がそれぞれに接続される第1コイル端子及び第2コイル端子と、導線の中間部が接続される第3コイル端子とからなり、第1コイル端子と第2コイル端子とが、2つの励磁回路のそれぞれの端子対における一方のコイル端子であり、第3コイル端子が、それぞれの端子対における他方のコイル端子である、コイル組立を提供する。
【0026】
請求項17に記載の発明は、請求項15又は16に記載のコイル組立において、巻枠は、1つの励磁回路を構成する導線を支持する第1領域と、他の1つの励磁回路を構成する導線を支持する第2領域とを備え、第1及び第2領域が、コイルの中心軸線に沿った方向へ互いに隣接して画定される、コイル組立を提供する。
【発明の効果】
【0027】
請求項1に記載の発明によれば、接極子と永久磁石とを含む磁性可動体の移動方向、永久磁石の磁化方向、及び力伝達部材の移動方向を、いずれもコイル中心軸線に平行な方向としたことにより、磁性可動体の構造及びその駆動構成が単純化される。その結果、有極電磁継電器の応答性(動作時間)が改善されるとともに、外形寸法及び製造コストが効果的に削減される。
【0028】
請求項2に記載の発明によれば、基部の筒状壁の内部で筒状壁とコイルとの間に形成される遊休空間を可及的に削減できるので、有極電磁継電器の外形寸法を拡大することなく、コイルの巻回数を増加でき、結果として有極電磁継電器の電気的性能を向上させることができる。
【0029】
請求項3に記載の発明によれば、基部に設けられる隆起部分を有効利用して、筒状壁の内周面に、コイルをその第2の外周領域で受容する凹所を容易に形成できるので、有極電磁継電器の低背化を促進することができる。
【0030】
請求項4に記載の発明によれば、ケースを基部に固定する接着剤塗布工程で、電磁石の巻枠を基部に同時に固定できるので、製造工数を増加することなく、有極電磁継電器の構造的安定性を向上させることができる。
【0031】
請求項5に記載の発明によれば、電磁石の励磁方向をメーク接点閉成方向とブレーク接点閉成方向とで迅速に切り換えることが可能な2巻線型の有極電磁継電器を構成できる。
【0032】
請求項6又は7に記載の発明によれば、電磁石と永久磁石との双方の磁気作用が、接極子の第1及び第2の導電板要素の双方に等しく働くことになるので、接点部を開閉動作させるための接極子の直線移動形態が、メーク接点閉成方向とブレーク接点閉成方向とで平衡する。その結果、特に信号切換用途での有極電磁継電器の動作の信頼性及び精度が向上する。
【0033】
請求項8に記載の発明によれば、特に継電器全体のコイル径方向への外形寸法を一層効果的に削減できる。
【0034】
請求項9に記載の発明によれば、接極子の直線移動動作を力伝達部材が効率良く正確に接点部に伝達できる。
【0035】
請求項10に記載の発明によれば、接極子及び永久磁石を含む磁性可動体と接点部との間を十分に離隔して、両者間の電気的及び磁気的な影響を可及的に低減することができる。
【0036】
請求項11に記載の発明によれば、筒状壁により、電磁石装置と接点部との間の電気的絶縁を確保できる。
【0037】
請求項12に記載の発明によれば、2つの励磁回路のそれぞれの端子対における個々のコイル端子とコイルとの間に延びる導線の第1及び第2リード部分が、互いに交差したり接触したりすることなく、巻枠の互いに反対側の第1及び第2表面に沿って敷設されるから、例えば導線同士の摩擦に起因する第1及び第2リード部分の断線や絶縁皮膜劣化によるレアショートの発生を、未然に防止することができる。したがって、3個以上のコイル端子のそれぞれに導線を結線して巻枠上にコイルを形成する自動巻線作業を、安全かつ正確に実施することができる。
【0038】
請求項13に記載の発明によれば、導線でコイルを形成する自動巻線作業が一層迅速化され、有極電磁継電器の製造コストが削減される。
【0039】
請求項14に記載の発明によれば、請求項12に記載の発明と同等の作用効果を奏する電磁石を備えたことにより、自動巻線作業を安全かつ正確に実施できるとともに、信頼性に優れた有極電磁継電器が提供される。
【0040】
請求項15に記載の発明によれば、2つの励磁回路のそれぞれの端子対における個々のコイル端子とコイルとの間に延びる導線の第1及び第2リード部分が、互いに交差したり接触したりすることなく、巻枠の互いに反対側の第1及び第2表面に沿って敷設されるから、例えば導線同士の摩擦に起因する第1及び第2リード部分の断線や絶縁皮膜劣化によるレアショートの発生を、未然に防止することができる。したがって、3個以上のコイル端子のそれぞれに導線を結線して巻枠上にコイルを形成する自動巻線作業を、安全かつ正確に実施することができる。
【0041】
請求項16に記載の発明によれば、導線でコイルを形成する自動巻線作業が一層迅速化され、コイル組立の製造コストが削減される。
【0042】
請求項17に記載の発明によれば、1つの励磁回路用のコイル部分と、他の1つの励磁回路用のコイル部分とを、巻枠上で軸線方向へ分割形成された第1領域と第2領域とのそれぞれに、互いに同一の内外径寸法を有するように形成できるから、連続する1本の導線によってコイルの全体を形成する場合にも、両コイル部分の巻線効率を容易に均等化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態による有極電磁継電器を示す分解斜視図である。
【図2】図1の有極電磁継電器の主要構成要素を、その機能を説明するべく模式図的に示す断面図である。
【図3】図1の有極電磁継電器で使用される基部の端面図である。
【図4】図1の有極電磁継電器で使用される力伝達部材の斜視図である。
【図5】図1の有極電磁継電器の主要構成要素を、基部の裏面側から示す斜視図で、(a)電磁石を基部に組み付ける前の状態、及び(b)電磁石を基部に組み付けた状態を、それぞれ示す。
【図6】図1の有極電磁継電器の組立作業を説明する分解斜視図である。
【図7】図1の有極電磁継電器の主要構成要素の端面図で、(a)コイルの線端絡げ作業中の状態、及び(b)コイルの線端絡げ後の状態を、それぞれ示す。
【図8】本発明の有極電磁継電器で使用可能な変形例による電磁石の斜視図である。
【図9】他の変形例による電磁石の斜視図である。
【図10】図9の電磁石を含む主要構成要素の断面図で、図2に対応する図である。
【図11】本発明の一実施形態によるコイル組立を示す図で、(a)上方から見た斜視図、及び(b)下方から見た斜視図である。
【図12】図11のコイル組立の正面図である。
【図13】図12のコイル組立の(a)上面図、及び(b)底面図である。
【図14】図12のコイル組立の(a)左側面図、及び(b)右側面図である。
【図15】変形例によるコイル組立の正面図である。
【図16】図15のコイル組立の(a)上面図、及び(b)底面図である。
【図17】図15のコイル組立の(a)左側面図、及び(b)右側面図である。
【図18】本発明の他の実施形態によるコイル組立の正面図である。
【図19】図18のコイル組立の(a)上面図、及び(b)底面図である。
【図20】図11のコイル組立を用いた電磁石の組立手順を示す図で、(a)鉄心組込前の状態、及び(b)鉄心組込後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図面を参照すると、図1は、本発明の一実施形態による有極電磁継電器10を、その主要構成要素に分解した状態で示す図であり、図2は、有極電磁継電器10の主要構成要素を、その機能を説明するべく模式図的に示す図である。また、図3及び図4は、有極電磁継電器10の他の主要構成要素を単体で示す。
【0045】
図1及び図2に示すように、有極電磁継電器10は、基部12と、基部12に組み付けられる電磁石装置14と、電磁石装置14から絶縁されて基部12に組み付けられる接点部16と、電磁石装置14と接点部16との間に配置され、電磁石装置14の作用により移動して接点部16を開閉動作させる力伝達部材18とを備える。
【0046】
基部12は、電気絶縁性の樹脂成形品からなり、電磁石装置14を設置する第1部分20と、接点部16を設置する第2部分22とを一体に備える(図1)。第1部分20は、電磁石装置14を部分的に包囲する筒状壁24を有する(図3)。また第2部分22は、接点部16の後述する複数の接点部材を個別に取り付ける複数の取付孔(図示せず)を有する。第1部分20の筒状壁24は、電磁石装置14と接点部16との間に介在して両者間の電気的絶縁を確保する。
【0047】
電磁石装置14は、電磁石26と、電磁石26によって駆動される接極子28と、接極子28に担持される永久磁石30とを備える。図2に示すように、電磁石26は、巻枠32と、巻枠32に巻き付けて支持され、中心軸線34aを有するコイル34と、巻枠32に受容される鉄心36と、鉄心36に連結されてコイル34の外側に延設される継鉄38とを備える。巻枠32は、電気絶縁性の樹脂成形品であり、所定長さを有する中空円筒状の胴部40と、胴部40の長手方向両端に設けられる環状平板状の第1及び第2鍔部42、44とを有する。コイル34は、巻枠32の胴部40に導線の所要長さ部分を密に巻着して形成され、巻枠32の両鍔部42、44の間に固定的に保持される。
【0048】
鉄心36は、例えば磁性鋼から形成される柱状部材であり、コイル34の中心軸線34aに沿って配置されて巻枠32の胴部40に収容される円柱状の軸部46と、軸部46の軸線方向一端からコイル34の径方向外方へ延長される平板状の頭部48とを一体に備える(図2)。鉄心36の頭部48は、巻枠32の第1鍔部42の外面上に露出して配置され、その外縁領域48aが、第1鍔部42からコイル径方向外方へ僅かに突出する。
【0049】
継鉄38は、例えば磁性鋼から形成されるL字板状部材であり、鉄心32の軸部46の、頭部48とは反対側の軸線方向他端46aに、例えばかしめにより固定的に連結されて、コイル34の周辺に磁路を形成する(図2)。継鉄38は、鉄心36の軸部46に連結されて巻枠32の第2鍔部44に沿って配置される短尺の連結部分50と、連結部分50に略直交して配置され、コイル34の一側方に離間してコイル中心軸線34aに略平行に延びる長尺の主部分52とを一体に備える。継鉄38の主部分52の末端領域52aは、巻枠32の第1鍔部42の側方近傍で、鉄心32の頭部48の外縁領域48aに対し、所定間隔を空けて対向配置される。
【0050】
接極子28は、互いに同一形状でそれぞれが例えば磁性鋼から形成される平板状の第1及び第2の導電板要素54、56を有する。また、永久磁石30は、直方体形状を有し、最長縁を含む一対の側面に、それぞれN極及びS極が形成される。第1及び第2の導電板要素54、56は、互いに間隔を空けて対面配置され、両者間に永久磁石30をその磁化方向(図示のNS極間の磁界の方向)に固定的に挟持するとともに、この磁化方向をコイル34の中心軸線34aに平行に方向付けて、巻枠32の第1鍔部42の側方近傍に配置される(図2)。
【0051】
接極子28(第1及び第2の導電板要素54、56)は、永久磁石30と協働して、電磁石26の励磁により移動する磁性可動体を構成する。この磁性可動体は、第1の導電板要素54の一部分(図で下半部分)54aを、鉄心36の頭部48の外縁領域48aと継鉄38の主部分52の末端領域52aとの間に挿入した状態で、コイル中心軸線34aに平行な方向(図2の矢印α方向)へ直線往復移動可能に設置される。したがって、接極子28の往復移動範囲は、第1の導電板要素54の下半部分54aが、鉄心36の頭部48の外縁領域48aと継鉄38の主部分52の末端領域52aとのそれぞれに当接される位置を、前後両端の移動限界点として規定される。
【0052】
図2に示すように、接点部16は、力伝達部材18に連動する可動接点58を担持する可動接点ばね部材60と、可動接点ばね部材60の一方の面に離間かつ対向して配置され、可動接点58に接触可能に対向するメーク固定接点62を担持する第1の固定接点部材64と、第1の固定接点部材64とは反対側で可動接点ばね部材60の他方の面に離間かつ対向して配置され、可動接点58に接触可能に対向するブレーク固定接点66を担持する第2の固定接点部材68とを備えて構成される。可動接点ばね部材60は、例えばばね用燐青銅の薄板から打ち抜いて形成され、力伝達部材18から受ける力に応じて、所要のばね付勢力を発揮する。これら3個の接点部材60、64、68を含む接点部16は、第2の固定接点部材68が基部12の筒状壁24(図1)を介して電磁石26に近い側に配置されるとともに、それぞれの接点58、62、66が電磁石26のコイル34の中心軸線34aに平行な方向へ整列するように配置される。
【0053】
可動接点ばね部材60が担持する可動接点58は、基部12の第2部分22(図1)の上方で、前述した磁性可動体(接極子28及び永久磁石30)の直線移動動作に対応して揺動的に変位して、その揺動方向に対向するメーク固定接点62及びブレーク固定接点66に対し、交互的に接点開閉動作できるようになっている。なお、可動接点58は、メーク固定接点62に接触するメーク可動接点要素58aと、ブレーク固定接点66に接触するブレーク可動接点要素58bとを含む(図2)。
【0054】
図4に示すように、力伝達部材18は、平面視で略矩形の枠状部材であり、例えば樹脂材料から一体成形される。力伝達部材18は、その矩形輪郭の長軸を、電磁石26のコイル34の中心軸線34aに平行な方向へ配置して、基部14の筒状壁24の上端部分70(図3)に、長手方向摺動可能に支持される。力伝達部材18の長手方向一端には、接点部16の可動接点ばね部材60に係合する一対の着力点72が設けられる。また、力伝達部材18の長手方向他端領域には、接極子28が、第1及び第2の導電板要素54、56の間に永久磁石30を挟持した状態で、固定して連結される。図示実施形態では、力伝達部材18の長手方向他端領域に、接極子28及び永久磁石30を固定的に受容する空所74(図1)が形成され、この空所74に接極子28及び永久磁石30が、例えば圧入や接着剤使用により固定される。接極子28及び永久磁石30を適正に固定した力伝達部材18を、基部12の筒状壁24及び接点部16の可動接点ばね部材60に適正に取り付けると、接極子28及び永久磁石30と電磁石26とが、前述した相対配置に位置決めされる。
【0055】
力伝達部材18は、電磁石26の駆動による前述した接極子28のコイル中心軸線34aに平行な方向への直線移動に伴い、同様にコイル中心軸線34aに平行な方向へ直線移動して、接極子28の動作を接点部16の可動接点ばね部材60に伝達し、以って接点部16を開閉動作させる。ここで、可動接点ばね部材60は、それ自体のばね作用により、可動接点58を第1の固定接点部材64のメーク固定接点62から離れる方向へ弾性付勢し、外力を受けていない状態では、可動接点58(ブレーク可動接点要素58b)を第2の固定接点部材68のブレーク固定接点66に押し付けるように構成されている(図2)。
【0056】
したがって、電磁石26の休止(非励磁)時には、接極子28は、力伝達部材18を介して伝達される可動接点ばね部材60のばね付勢力の下で、第1の導電板要素54の下半部分54aが、継鉄38の主部分52の末端領域52aから離隔して鉄心36の頭部48の外縁領域48aに当接される休止位置に置かれる。このとき、第1の導電板要素54と鉄心36の頭部48との間には、永久磁石30による磁気吸引力が作用し、それにより接点部16は、可動接点58がブレーク固定接点66に導通接触するブレーク接点閉成位置に静止保持される。
【0057】
この休止位置で、電磁石26がメーク接点閉成方向へ作動する(励磁される)と、電磁石26と永久磁石30との相乗的に作用する磁気吸引力により、接極子28は、第1の導電板要素54の下半部分54aが継鉄38の主部分52の末端領域52aに当接されるとともに、第2の導電板要素56の下半部分56aが鉄心36の頭部48の外縁領域48aに当接される第1の作動位置に変位する(図2)。接極子28のこの直線的な変位動作が、接極子28と一体的に直線移動する力伝達部材18により、接点部16の可動接点ばね部材60に伝達される。第1の作動位置では、第1の導電板要素54と継鉄主部分52との間、及び第2の導電板要素56と鉄心頭部48との間に、電磁石26及び永久磁石30による相乗的な磁気吸引力が作用し、それにより接点部16は、可動接点ばね部材60のばね付勢力に抗して、可動接点58がメーク固定接点62に導通接触するメーク接点閉成位置に安定して静止保持される。
【0058】
上記した第1の作動位置で電磁石の励磁を止めると、接極子28は、永久磁石30の作用により第1の作動位置に保持され、したがって接点部16も、メーク接点閉成位置に静止保持される。そこで、電磁石26をブレーク接点閉成方向へ作動させる(励磁する)と、電磁石26と永久磁石30との間の磁気反発力により、接極子28は、第1の導電板要素54の下半部分54aが継鉄38の主部分52の末端領域52aから離隔して鉄心36の頭部48の外縁領域48aに当接される第2の作動位置に変位する。この変位動作の間、力伝達部材18は、接点部16の可動接点ばね部材60のばね付勢力を、接極子28に伝えるようにも作用する。第2の作動位置では、第1の導電板要素54と鉄心頭部48との間に、電磁石26及び永久磁石30による相乗的な磁気吸引力が作用し、それにより接点部16は、可動接点58がブレーク固定接点66に導通接触するブレーク接点閉成位置に安定して静止保持される。
【0059】
上記構成を有する有極電磁継電器10は、電磁石装置14が、磁性可動体である接極子28及び永久磁石30を、電磁石26の作動によりコイル34の中心軸線34aに平行な方向へ直線移動させる構成を有するものであるから、継電器全体のコイル径方向への外形寸法を効果的に削減できる利点を有する。しかも、接極子28を構成する第1及び第2の導電板要素54、56が、永久磁石30をその磁化方向に挟持するとともに磁化方向をコイル中心軸線34aに平行に方向付けるように構成されているから、接極子28と永久磁石30とからなる磁性可動体の構造を単純化及び小形化できる。さらに、電磁石26が、鉄心36とは別部材として、コイル外部に所望の磁路を形成できる継鉄38を用いて、コイル周辺の所望位置に、電磁石26の鉄心36の頭部48の外縁領域48aと継鉄38の主部分52の末端領域52aとが互いに対向かつ離間して配置される接極子駆動空間を容易に確保できるようにしているから、電磁石26と接極子28との相対配置の自由度が向上する。そして、接極子28が、第1の導電板要素54の一部分54aを、この接極子駆動空間に挿入した状態で、コイル中心軸線34aに平行な方向へ直線移動可能に設置されているから、主として第1の導電板要素54の形状及び寸法を最適化することで、接極子28の動作精度を確保できる。このように、有極電磁継電器10においては、接極子28と永久磁石30とを含む磁性可動体の移動方向、永久磁石30の磁化方向、並びに力伝達部材18の移動方向を、いずれもコイル中心軸線34aに平行な方向としたことにより、磁性可動体の構造及びその駆動構成が単純化され、以って、有極電磁継電器10の応答性(動作時間)が改善されるとともに、外形寸法及び製造コストが効果的に削減される。
【0060】
また、上記構成を有する有極電磁継電器10では、接極子28が、第1及び第2の導電板要素54、56の間に永久磁石30を挟持した状態で、力伝達部材18に固定して連結されるので、接極子28の直線移動動作を力伝達部材18が効率良く正確に接点部16に伝達できる。しかも、力伝達部材18が、コイル中心軸線34aに平行な方向へ長軸を配置する矩形輪郭を有して、その長手方向一端に接点部16への着力点72を備えるとともに、長手方向他端領域(空所74)に接極子28を固定する構成であるから、接極子28及び永久磁石30を含む磁性可動体と接点部16との間を十分に離隔して、両者間の電気的及び磁気的な影響を可及的に低減することができる。
【0061】
図示実施形態による有極電磁継電器10では、図2に示すように、電磁石26のコイル34は、継鉄38の主部分52に隣接する第1の外周領域34bと、基部12(図1)に隣接する第2の外周領域34cとを有する。そして、力伝達部材18は、コイル34の第1の外周領域34bの近傍で、継鉄38の主部分52に沿って移動可能に配置される。このような構成によれば、有極電磁継電器10が占有する空間寸法の観点から、電磁石26のコイル34の周囲に磁路を形成する継鉄38の設置空間として、力伝達部材18の設置空間を一部共用でき、しかも、基部12の筒状壁24の内部で筒状壁24とコイル34との間に形成される遊休空間を可及的に削減できる。その結果、有極電磁継電器10の外形寸法を拡大することなく、コイル34の巻回数を増加でき、結果として有極電磁継電器10の電気的性能を向上させることができる。
【0062】
また、図3に示すように、基部12の筒状壁24は、電磁石26のコイル34の円筒状輪郭に対応する円筒状の内周面24aを有する。このような構成により、基部12の筒状壁24とコイル34との間に形成される遊休空間をさらに有効に削減できる。なお、図示のように、基部12の筒状壁24の上端部分70には、電磁石26の継鉄38の主部分52を収容可能な矩形断面の空間76が形成される。また、基部12の筒状壁24にはさらに、上端部分70の下側に隣接して、力伝達部材18に設けた突起78(図4)に摺動式に係合する一対の案内溝80が形成される。それら案内溝80は、電磁石装置14の作動時に、力伝達部材18をコイル中心軸線34aに平行な方向へ案内する。
【0063】
有極電磁継電器10は、電磁石装置14、接点部16及び力伝達部材18を収容して基部12に固定されるケース82をさらに備える(図1)。ケース82は、直方体輪郭を有する電気絶縁性の樹脂成形品からなり、直方体輪郭の一面に相当する部分に、電磁石装置14、接点部16及び力伝達部材18を内部に挿入するための開口84が画定される。他方、基部12は、ケース82に固定されたときにケース82から露出して外方へ隆起する隆起部分86aを含む底壁86を有する(図3)。図5に示すように、底壁86は、基部12の第1及び第2部分20、22の双方に渡って一体に形成され、筒状壁24の下端部分を構成する。基部12の底壁86には、隆起部分86aを囲繞する略平坦な環状面86bが形成され、この環状面86bに沿って、ケース82を基部12に固定するための接着剤(図示せず)が塗布される。
【0064】
さらに、基部12の底壁86には、筒状壁24の円筒状内周面24aの一部分により、隆起部分86aの反対側に凹所86cが形成される(図3)。そして、電磁石26のコイル34は、第2の外周領域34cで、基部底壁86の凹所86cに受容される。このような構成によれば、基部12に上記した接着剤塗布面(環状面)86bを形成するために必然的に設けられた隆起部分86aを有効利用して、筒状壁24の円筒状内周面24aに凹所86cを容易に形成できるので、有極電磁継電器10の低背化を促進することができる。
【0065】
図示実施形態による有極電磁継電器10において、電磁石26の巻枠32は、その第1鍔部42(図2)から外方へ延長される延長部分88(図1)をさらに備える。巻枠32の延長部分88には、コイル34の線端部が接続されるコイル端子90が固定して支持される。図示実施形態では、コイル34は2本の導線(図示せず)を有し、それら導線の線端部をそれぞれに接続する3個のコイル端子90が、コイル中心軸線34aに直交する方向へ整列して、巻枠32の延長部分88に支持される。このような構成により、有極電磁継電器10は、電磁石26の励磁方向をメーク接点閉成方向とブレーク接点閉成方向とで迅速に切り換えることが可能な2巻線型のものとなる。なお、巻枠32、コイル34及びコイル端子90から構成される組立体(つまり電磁石26から鉄心36及び継鉄38を除去したもの)を、本願では「コイル組立」と称する。
【0066】
図5に示すように、電磁石26の巻枠32は、電磁石装置14を基部12の筒状壁24に挿入して基部12に適正に組み付けたときに、延長部分88の所定領域88aが、基部12の底壁86の環状面86bと協働して、ケース82を基部12に固定するための前述した接着剤塗布面を形成する。このような構成によれば、ケース82を基部12に固定する接着剤塗布工程で、電磁石26の巻枠32を基部12に同時に固定できるので、製造工数を増加することなく、有極電磁継電器10の構造的安定性を向上させることができる。なお、図5に示すように、基部12の底壁86の所定位置には、接点部16の接点部材60、64、68が個々に取り付けられる3個の取付穴92と、コイル端子90が個々に挿通される3個の支持穴94とが形成されている。
【0067】
上記構成を有する有極電磁継電器10は、電磁石26を組み立てる際に、図6に示すように、巻枠32にコイル34を設置してその導線の線端部をコイル端子90に絡げて接続した後に、鉄心36の軸部46を巻枠32の第1鍔部42側から胴部40の中に挿入している。このような組立作業を可能にするために、コイル34の導線をコイル端子90に絡げる際には、3個のコイル端子90の絡げ部分90aを、絡げ作業を遂行し易い略直立位置に配置する(図7(a))。そして、絡げ作業の完了後には、鉄心36を巻枠32に取り付ける前に、3個のコイル端子90のうち中央の1個の絡げ部分90aを、巻枠32の延長部分88上で、軸部46に干渉しない形状に折り曲げる(図7(b))。それにより、鉄心36の軸部46を巻枠32の胴部40に挿入することができる。
【0068】
以上、本発明に係る有極電磁継電器の好適な実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、他の様々な修正が可能である。
例えば図8は、本発明に係る有極電磁継電器に搭載可能な一変形例による電磁石96を示す。電磁石96は、前述した有極電磁継電器10の電磁石26における継鉄38の構造を一部変更したものであって、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその説明を省略する。
【0069】
電磁石96は、継鉄38の主部分52の末端領域52aが、接極子28の第1及び第2の導電板要素54、56の間に永久磁石30を挟持してなる磁性可動体を、所要の隙間を介して囲繞する環状部分98として形成される構成を有する。この構成では、第1及び第2の導電板要素54、56のそれぞれの一部分54a、56a(図2)が、鉄心36の頭部48の両側で、頭部48の外縁領域48a(図2)と末端領域52aの環状部分98との間に挿入される。この状態で接極子28は、前述したように、電磁石96の作動により、コイル34の中心軸線34aに平行な方向へ直線移動できる。このような構成によれば、電磁石26と永久磁石30との双方の磁気作用が、接極子28の第1及び第2の導電板要素54、56の双方に等しく働くことになるので、接点部16を開閉動作させるための接極子28の直線移動形態が、メーク接点閉成方向とブレーク接点閉成方向とで平衡する。その結果、特に信号切換用途での有極電磁継電器の動作の信頼性及び精度が向上する。
【0070】
図9及び図10は、本発明に係る有極電磁継電器に搭載可能な他の変形例による電磁石100を示す。電磁石100は、前述した有極電磁継電器10の電磁石26における継鉄38の構造を一部変更したものであって、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその説明を省略する。
【0071】
電磁石100では、継鉄38は、コイル34の一側方で力伝達部材18の近傍に配置される主部分52と、主部分52とは反対側のコイル34の他側方で基部12(図1)に隣接して配置され、コイル中心軸線34aに略平行に延びる副部分102とを含んで構成される。継鉄38の副部分102は、その末端領域102aが、鉄心36の頭部48の軸線方向外側に離間かつ対向するように、L字状に折曲して延長される。そして、接極子28は、第1の導電板要素54の一部分54aが鉄心頭部48の外縁領域48aと継鉄主部分52の末端領域52aとの間に挿入されるとともに、第2の導電板要素56の一部分56aが、鉄心頭部48の外縁領域48aと継鉄副部分102の末端領域102aとの間に挿入される。この状態で接極子28は、前述したように、電磁石100の作動により、コイル34の中心軸線34aに平行な方向へ直線移動できる。このような構成によっても、接点部16を開閉動作させるための接極子28の直線移動形態を、メーク接点閉成方向とブレーク接点閉成方向とで平衡させることができる。
【0072】
なお、上記した実施形態及び変形例において、継鉄38の主部分52の末端領域52aは、継鉄38を打抜き成形した結果の破断面104を有している(図1、図8、図9)。そして、接極子28の第1及び第2の導電板要素54、56の少なくとも一方が、その一部分54a、56aで、末端領域52aの破断面104に当接可能に対向配置されるように構成される。このような構成により、本発明に係る有極電磁継電器は、特に継電器全体のコイル径方向への外形寸法を一層効果的に削減できるものとなっている。
【0073】
図11〜図14は、本発明に係る有極電磁継電器に使用可能な他の実施形態によるコイル組立110を示す。前述した実施形態による有極電磁継電器10では、電磁石26が有するコイル組立は、コイル34が巻き付けられる巻枠32と、巻枠32に固定して支持され、コイル34を形成する導線がそれぞれに接続される3個のコイル端子90とを備えている(図6)。そしてコイル34に、3個のコイル端子90のうちいずれか2個のコイル端子90からなる端子対をそれぞれに含む2つの励磁回路を構成させることで、有極電磁継電器10は、動作状態(すなわちメーク接点閉成状態)と復帰状態(すなわちブレーク接点閉成状態)との迅速な切り換えが可能で、しかもいずれの状態においても接点部16を安定して接点閉成状態に保持できるものとなっている。
【0074】
図11〜図14に示すコイル組立110は、上記した電磁石26のコイル組立と同様の基本構成を有することに加えて、3個のコイル端子のそれぞれにコイルの導線を自動で結線する作業を、安全かつ正確に実施できるようにするための、下記の特徴的構成を備えている。なお、コイル組立110は、前述した実施形態による有極電磁継電器10の電磁石26が有するコイル組立(図6)に代えて、電磁石26に組み込むことができるものであり、それにより、本発明の他の実施形態による有極電磁継電器(図示せず)が提供される。
【0075】
コイル組立110は、中心軸線112aを有するコイル112と、コイル112が巻き付けられる巻枠114と、巻枠114に固定して支持され、コイル112を形成する導線116がそれぞれに接続される3個のコイル端子118、120、122とを備える(図11)。巻枠114は、前述した巻枠32と同様に、中空円筒状の胴部124と、胴部124の長手方向両端に設けられる環状平板状の第1及び第2鍔部126、128と、第1鍔部126から外方へ延長される延長部分130とを備える(図12)。コイル112は、巻枠114の胴部124に導線116の所要長さ部分を密に巻着して形成され、巻枠114の両鍔部126、128の間に固定的に保持される。
【0076】
コイル112は、3個のコイル端子118、120、122のうちいずれか2個のコイル端子からなる端子対をそれぞれに含む2つの励磁回路を構成する。図示実施形態では、巻枠114の延長部分130に、3個のコイル端子118、120、122が、コイル中心軸線112aに直交する方向へ整列して略等間隔に配置されている。そして、整列方向両端の第1及び第2コイル端子118、120と、整列方向中央の第3コイル端子122とに対し、図示のようにコイル電源132が切り換え可能に接続されて、第1及び第3コイル端子118、122が1つの励磁回路134aの端子対を構成し、かつ第2及び第3コイル端子120、122が他の1つの励磁回路134bの端子対を構成するようになっている(図11(a))。これら励磁回路134a、134bはそれぞれ、コイル組立110を有する電磁石をメーク接点閉成方向及びブレーク接点閉成方向に励磁するための回路であって、図示構成では、コイル112の導線116は、いずれの励磁回路134a、134bにおいても巻枠胴部124に同一方向Wへ巻着されている。
【0077】
3個のコイル端子118、120、122の各々は、導線116が接続される絡げ部分118a、120a、122aと、絡げ部分118a、120a、122aから離隔した端末部分118b、120b、122bとを有し、絡げ部分118a、120a、122aと端末部分118b、120b、122bとが巻枠114の外方へ突出して配置される(図13、図14)。また、巻枠114は、2つの励磁回路134a、134bのそれぞれの端子対における一方のコイル端子(図では第1及び第2コイル端子118、120)の絡げ部分(図では絡げ部分118a、120a)が突出する側の第1表面(図では延長部分130の第1表面130a)と、第1表面の反対側であって、当該一方のコイル端子の端末部分(図では端末部分118b、120b)が突出する側の第2表面(図では延長部分130の第2表面130b)とを備える。
【0078】
さらに詳述すれば、図示実施形態では、第1及び第2コイル端子118、120は、巻枠114の延長部分130の第1表面130aからコイル中心軸線112aに略直交する方向へ突出する一端の絡げ部分118a、120aと、延長部分130の第2表面130bからコイル中心軸線112aに略直交する方向へ突出する他端の端末部分118b、120bとをそれぞれに有し、絡げ部分118a、120a同士及び端末部分118b、120b同士を互いに平行に配置して延長部分130に設置される。他方、第3コイル端子122は、巻枠114の延長部分130からコイル中心軸線112aに略平行な方向へ突出する一端の絡げ部分122aと、延長部分130の第2表面130bからコイル中心軸線112aに略直交する方向へ突出する他端の端末部分122bとを有し、端末部分122bを第1及び第2コイル端子118、120の端末部分118b、120bに平行に配置して延長部分130に設置される。このような端子形態により、既存の巻線機を用いた後述する自動巻線作業を、円滑に遂行することができる。
【0079】
コイル112の導線116は、2つの励磁回路134a、134bのそれぞれの端子対を構成する一方のコイル端子(図では第1及び第2コイル端子118、120)の絡げ部分(図では絡げ部分118a、120a)とコイル112との間に延びる一対の所定長さ部分(本願で第1リード部分と称する)116aと、同端子対を構成する他方のコイル端子(図では第3コイル端子122)の絡げ部分(図では絡げ部分122a)とコイル112との間に延びる一対の所定長さ部分(本願で第2リード部分と称する)116bとを含む。そしてコイル組立110においては、コイル112の導線116は、両第1リード部分116aで、コイル112の中心軸線112aに近接する側の巻枠114の第1表面(図では延長部分130の第1表面130a)に沿って敷設されるとともに、両第2リード部分116bで、コイル中心軸線112aから遠隔する側の巻枠114の第2表面(図では延長部分130の第2表面130b)に沿って敷設される(図13、図14)。
【0080】
上記構成を有するコイル組立110では、個々のコイル端子118、120、122とコイル114との間に延びる導線116の一対の第1リード部分116aと一対の第2リード部分116bとが、互いに交差したり接触したりすることなく、巻枠114の延長部分130の第1及び第2表面130a、130bに沿ってそれぞれ敷設されるから、例えば導線同士の摩擦に起因する第1及び第2リード部分116a、116bの断線や絶縁皮膜劣化によるレアショートの発生を、未然に防止することができる。したがって、コイル組立110によれば、3個のコイル端子118、120、122のそれぞれに導線116を結線して巻枠114上にコイル112を形成する自動巻線作業を、安全かつ正確に実施することができる。また、コイル組立110を組み込んだ電磁石(例えば電磁石26、96、100)を有する有極電磁継電器(例えば有極電磁継電器10)は、そのような自動巻線作業を安全かつ正確に実施できるので、信頼性に優れたものとなる。
【0081】
図示実施形態では、巻枠114の延長部分130には、第1及び第2コイル端子118、120の絡げ部分118a、120aの突出箇所にそれぞれ隣接して、第1表面130aに、互いに離隔した一対の案内溝136が設けられ、また第1及び第2コイル端子118、120の端末部分118b、120bの突出箇所にそれぞれ隣接して、第2表面130bに、互いに離隔した一対の案内溝138が設けられる(図13、図14)。これら案内溝136、138は、導線116の第1及び第2リード部分116a、116bを受容して、互いに交差したり接触したりすることの無い適正な敷設形態に保持するものであり、それにより、自動巻線作業の精度及び信頼性を向上させることができる。
【0082】
他方、自動巻線作業の精度及び信頼性を十分に確保できる場合は、巻枠114の上記した案内溝136、138を省略することもできる。図15〜図17は、案内溝を有さない巻枠を備えた変形例によるコイル組立110′を示す。図示変形例によるコイル組立110′は、導線116の第1及び第2リード部分116a、116bを受容する案内溝を巻枠114に設けていない点を除いて、上記したコイル組立110と実質同一の構成を有するので、対応する構成要素には共通する参照符号を付して個々の説明を省略する。
【0083】
上記したコイル組立110、110′では、第1〜第3コイル端子118、120、122が、コイル中心軸線112aに直交する方向へ整列して略等間隔に配置され、中間の第3コイル端子122が、2つの励磁回路134a、134bに共有される構成であるから、連続する1本の導線116によってコイル112の全体を形成し、第1及び第2コイル端子118、120に導線116の両線端部116cをそれぞれ接続するとともに、第3コイル端子122に導線116の中間部116dを接続する構成とすることができる(図11(b))。この場合も、第1及び第3コイル端子118、122が1つの励磁回路134aの端子対として機能し、かつ第2及び第3コイル端子120、122が他の1つの励磁回路134bの端子対として機能する(図11(a))。このような構成によれば、導線116でコイル112を形成する自動巻線作業が一層迅速化され、コイル組立110、110′(及びコイル組立110、110′を用いた有極電磁継電器)の製造コストが削減される。なお、図1〜図10に示す有極電磁継電器10の電磁石26、96、100においても、連続する1本の導線によってコイル34の全体を形成することで、同等の作用効果を確保できる。
【0084】
ここで、コイル組立110、110′において、連続する1本の導線116によってコイル112の全体を形成する場合の、導線116の自動巻線作業の一例を、図15〜図17を参照して説明する。準備作業として、巻枠114の所定位置に3個のコイル端子118、120、122を固定したものを用意し、図示しない自動巻線機を作業準備状態に設定する。なお、下記の複数の作業ステップは、特に注記しない限り、いずれも自動巻線機による自動作業として実行される。
【0085】
まず、導線116の線端部116cを第1コイル端子118の絡げ部分118aに絡げて仮固定する。次いで、線端部116cに隣接(後続)する導線116の第1リード部分116aを、巻枠114の延長部分130の第1表面130a(存在する場合は案内溝136(図13))に沿って敷設しながら(矢印W1)、第1リード部分116aに隣接(後続)する導線116の所定長さ部分を、巻枠114の胴部124に巻き付ける(矢印W2)。そして、1つの励磁回路134a(図11)に要求される巻数だけ導線116の所定長さ部分を巻き付けた後、当該所定長さ部分に隣接(後続)する導線116の第2リード部分116bを、巻枠114の延長部分130の第2表面130b(存在する場合は案内溝138(図13))に沿って敷設し(矢印W3)、さらに、第2リード部分116bに隣接(後続)する導線116の中間部116dを、第3コイル端子122の絡げ部分122aに絡げて仮固定する。これにより、1つの励磁回路134aを構成するコイル部分が、巻枠114の胴部124上に形成されて仮保持される。
【0086】
次に、中間部116dに隣接(後続)する導線116のもう1つの第2リード部分116bを、第2コイル端子120に向かう方向へ、巻枠114の延長部分130の第2表面130b(存在する場合は案内溝138(図13))に沿って敷設しながら(矢印W4)、当該第2リード部分116bに隣接(後続)する導線116のもう1つの所定長さ部分を、巻枠114の胴部124上に仮保持されているコイル部分の上にさらに巻き付ける(矢印W2)。そして、他の1つの励磁回路134b(図11)に要求される巻数だけ導線116の所定長さ部分を巻き付けた後、当該所定長さ部分に隣接(後続)する導線116のもう1つの第1リード部分116aを、巻枠114の延長部分130の第1表面130a(存在する場合は案内溝136(図13))に沿って敷設し(矢印W5)、さらに、当該第1リード部分116aに隣接(後続)する導線116のもう1つの線端部116cを、第2コイル端子120の絡げ部分120aに絡げて仮固定する。これにより、他の1つの励磁回路134bを構成するコイル部分が、巻枠114の胴部124上に形成されて仮保持される。最後に、第1〜第3コイル端子118、120、122の絡げ部分118a、120a、122aに仮固定した導線116の両線端部116c及び中間部116dを、溶接等によって本固定することで、自動巻線作業が完了する。
【0087】
なお、図示実施形態では、導線116の一対の第2リード部分116bは、第3コイル端子122の絡げ部分122aから見て、第1及び第2コイル端子118、120に向かう互いに反対の方向へ延びている。しかし、このような敷設形態に限らず、一対の第2リード部分116bは、コイル112と第3コイル端子122の絡げ部分122aとの間で、互いに近似した方向へ延びるように敷設することもできる(特に案内溝138を有さない場合)。ただしこの場合も、一対の第2リード部分116b同士が接触しないように敷設することが、第2リード部分116bの損傷を防止する観点で肝要である。
【0088】
コイル組立110、110′においては、連続する1本の導線116によってコイル112の全体を形成する代わりに、2つの励磁回路134a、134b(図11)のそれぞれに、互いに異なる導線を用いることで、コイル112を形成することもできる。このような構成によれば、製造コストの観点で若干の不利益を被るものの、例えば上記した自動巻線作業において、巻枠114の胴部124上で径方向内側に配置される励磁回路134a用のコイル部分と、同径方向外側に配置される励磁回路134b用のコイル部分とを、互いに線径の異なる導線で形成することにより、両コイル部分の巻線効率を均等化できる利点が有る。電磁石をメーク接点閉成方向及びブレーク接点閉成方向に励磁するための2つの励磁回路134a、134bの巻線効率を均等化することで、接点部におけるメーク接点閉成動作及びブレーク接点閉成動作の応答性や速度を均等化できる。
【0089】
図18及び図19は、連続する1本の導線116によってコイル112の全体を形成する構成であって、しかも、2つの励磁回路134a、134b用のコイル部分の巻線効率を均等化できる構成を有する、本発明の他の実施形態によるコイル組立140を示す。図示実施形態によるコイル組立140は、コイル112を支持する巻枠114の構成を除いて、上記したコイル組立110と実質同一の構成を有するので、対応する構成要素には共通する参照符号を付して個々の説明を省略する。
【0090】
コイル組立140の巻枠114は、胴部124の軸線方向中央で径方向外方へ延設される環状平板状の中間鍔部142をさらに有する。中間鍔部142は、第1及び第2鍔部126、128に平行に配置され、それにより巻枠114上に、1つの励磁回路134a(図11)を構成する導線116を支持する第1領域114Aと、他の1つの励磁回路134b(図11)を構成する導線116を支持する第2領域114Bとが、コイル112の中心軸線112aに沿った方向へ互いに隣接して画定される。
【0091】
上記構成を有するコイル組立140では、1つの励磁回路134a用のコイル部分112Aと、他の1つの励磁回路134b用のコイル部分112Bとを、巻枠114の胴部124上で中間鍔部142により軸線方向へ分割形成された第1領域114Aと第2領域114Bとのそれぞれに、互いに同一の内外径寸法を有するように形成できる。したがってコイル組立140によれば、連続する1本の導線116によってコイル112の全体を形成する場合にも、両コイル部分112A、112Bの巻線効率を容易に均等化することができる。なお、中間鍔部142には、巻線機による導線116の自動巻線作業の精度及び信頼性を向上させるべく、コイル部分112Bに隣接する導線116の第1及び第2リード部分116a、116bを受容可能な一対の案内溝144を設けることができる。また、図18及び図19では、自動巻線作業による導線116の敷設手順を、図15〜図17に記載した矢印W1〜W5で示している。
【0092】
上記構成を有するコイル組立110、110′、140は、3個のコイル端子118、120、122の中央に配置される第3コイル端子122の絡げ部分122aが予め、巻枠114の延長部分130からコイル中心軸線112aに略平行な方向へ突出するように形成されているから、例えばコイル組立110、110′、140を用いて図1〜図10に示す電磁石26、96、100を組み立てる際に、図20にコイル組立110で例示するように、鉄心36の軸部46を巻枠114の第1鍔部126側から胴部124の中に容易に挿入することができる(図20(a))。その後、第3コイル端子122の絡げ部分122aを、巻枠114の延長部分130上で、第1及び第2コイル端子118、120の絡げ部分118a、120aに略平行な位置まで折り曲げることにより、ケース82(図1)に収納可能な形態にすることができる(図20(b))。
【0093】
以上、本発明に係るコイル組立の好適な実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、他の様々な修正が可能である。例えば、本発明に係るコイル組立は、3個のコイル端子を備える構成に限らず、2つの励磁回路のそれぞれに互いに独立した二組の端子対を有する(つまり計4個のコイル端子を有する)構成にも適用できる。また、本発明に係るコイル組立は、図1〜図10に示す特徴的な接極子28を電磁石装置14に組み込んだ有極電磁継電器10に限らず、他の一般的構成の電磁石装置を有する有極電磁継電器でも使用できる。これらの構成も包含するものとして、本発明は以下のように表現できる。
【0094】
すなわち本発明は、中心軸線を有するコイルと、コイルが巻き付けられる巻枠と、巻枠に固定して支持され、コイルを形成する導線がそれぞれに接続される3個以上のコイル端子とを備え、コイルが、3個以上のコイル端子のうちいずれか2個のコイル端子からなる端子対をそれぞれに含む2つの励磁回路を構成する、有極電磁継電器用のコイル組立において、導線は、端子対の一方のコイル端子とコイルとの間に延びる第1リード部分で、コイルの中心軸線に近接する側の巻枠の一表面に沿って敷設されるとともに、端子対の他方のコイル端子とコイルとの間に延びる第2リード部分で、中心軸線から遠隔する側の巻枠の他表面に沿って敷設されること、を特徴とするコイル組立である。
【0095】
また本発明は、基部と、基部に組み付けられる電磁石装置と、電磁石装置から絶縁されて基部に組み付けられる接点部と、電磁石装置と接点部との間に配置され、電磁石装置の作用により移動して接点部を開閉動作させる力伝達部材とを具備し、電磁石装置が、電磁石と、電磁石によって駆動される接極子と、接極子に担持される永久磁石とを備えて構成される、有極電磁継電器において、電磁石は、中心軸線を有するコイルと、コイルが巻き付けられる巻枠と、巻枠に固定して支持され、コイルを形成する導線がそれぞれに接続される3個以上のコイル端子とを備え、コイルが、3個以上のコイル端子のうちいずれか2個のコイル端子からなる端子対をそれぞれに含む2つの励磁回路を構成し、導線は、端子対の一方のコイル端子とコイルとの間に延びる第1リード部分で、コイルの中心軸線に近接する側の巻枠の一表面に沿って敷設されるとともに、端子対の他方のコイル端子とコイルとの間に延びる第2リード部分で、中心軸線から遠隔する側の巻枠の他表面に沿って敷設されること、を特徴とする有極電磁継電器である。
【符号の説明】
【0096】
10 有極電磁継電器
12 基部
14 電磁石装置
16 接点部
18 力伝達部材
24 筒状壁
26、96、100 電磁石
28 接極子
30 永久磁石
32 巻枠
34 コイル
34a 中心軸線
34b 第1の外周領域
34c 第2の外周領域
36 鉄心
38 継鉄
40 胴部
46 軸部
48 頭部
48a 外縁領域
52 主部分
52a 末端領域
54 第1の導電板要素
56 第2の導電板要素
54a、56a 一部分
72 着力点
82 ケース
86 底壁
86a 隆起部分
86c 凹所
88 延長部分
90 コイル端子
98 環状部分
102 副部分
102a 末端領域
104 破断面
110、110′、140 コイル組立
112 コイル
112a 中心軸線
114 巻枠
114A 第1領域
114B 第2領域
116 導線
116a 第1リード部分
116b 第2リード部分
116c 線端部
116d 中間部
118 第1コイル端子
118a 絡げ部分
118b 端末部分
120 第2コイル端子
120a 絡げ部分
120b 端末部分
122 第3コイル端子
122a 絡げ部分
122b 端末部分
130 延長部分
130a 第1表面
130b 第2表面
134a、134b 励磁回路
142 中間鍔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、該基部に組み付けられる電磁石装置と、該電磁石装置から絶縁されて該基部に組み付けられる接点部と、該電磁石装置と該接点部との間に配置され、該電磁石装置の作用により移動して該接点部を開閉動作させる力伝達部材とを具備し、該電磁石装置が、電磁石と、該電磁石によって駆動される接極子と、該接極子に担持される永久磁石とを備えて構成される、有極電磁継電器において、
前記電磁石は、中心軸線を有するコイルと、該コイルの該中心軸線に沿って配置される軸部及び該軸部の軸線方向一端から該コイルの径方向外方へ延長される頭部を有する鉄心と、該鉄心の該軸部の軸線方向他端に連結されて該コイルの外側に延設され、該中心軸線に略平行に延びる主部分を含む継鉄とを備え、該鉄心の該頭部の外縁領域と該継鉄の該主部分の末端領域とが互いに対向かつ離間して配置され、
前記接極子は、前記永久磁石をその磁化方向に挟持するとともに該磁化方向を前記コイルの前記中心軸線に平行に方向付けて配置される第1及び第2の導電板要素を有し、該第1の導電板要素の一部分を、前記鉄心の前記頭部の前記外縁領域と前記継鉄の前記主部分の前記末端領域との間に挿入した状態で、前記中心軸線に平行な方向へ直線移動可能に設置され、
前記力伝達部材は、前記電磁石の駆動による前記中心軸線に平行な方向への前記接極子の直線移動に伴い、該中心軸線に平行な方向へ直線移動して、前記接点部を開閉動作させること、
を特徴とする有極電磁継電器。
【請求項2】
前記コイルは、前記継鉄の前記主部分に隣接する第1の外周領域と、前記基部に隣接する第2の外周領域とを有し、前記力伝達部材は、該コイルの該第1の外周領域の近傍で該継鉄の該主部分に沿って移動可能に配置される、請求項1に記載の有極電磁継電器。
【請求項3】
前記電磁石装置、前記接点部及び前記力伝達部材を収容して前記基部に固定されるケースをさらに具備し、該基部は、該ケースから露出して外方へ隆起する隆起部分を含む底壁を有し、前記コイルは、前記第2の外周領域で、該底壁の該隆起部分の反対側に形成される凹所に受容される、請求項2に記載の有極電磁継電器。
【請求項4】
前記電磁石は、前記コイルが巻き付けられる胴部及び該胴部の軸線方向一端で該コイルの外方に延長される延長部分を含む巻枠と、該巻枠の該延長部分に固定して支持され、該コイルの線端部が接続されるコイル端子とを備え、該巻枠の該延長部分と前記基部の前記底壁とが協働して、前記ケースを該基部に固定するための接着剤塗布面を形成する、請求項3に記載の有極電磁継電器。
【請求項5】
前記コイルが2本の導線を有し、それら導線の線端部を接続する3個の前記コイル端子が、前記巻枠の前記延長部分に、前記中心軸線に直交する方向へ整列して支持される、請求項4に記載の有極電磁継電器。
【請求項6】
前記継鉄の前記主部分の前記末端領域は、前記接極子及び前記永久磁石を隙間を介して囲繞する環状部分を有し、該接極子の前記第1及び第2の導電板要素のそれぞれの一部分が、前記鉄心の前記頭部の両側で該頭部の前記外縁領域と該末端領域の該環状部分との間に挿入される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有極電磁継電器。
【請求項7】
前記継鉄は、前記コイルの一側方で前記力伝達部材の近傍に配置される前記主部分と、該主部分とは反対側の該コイルの他側方で前記基部に隣接して配置され、前記中心軸線に略平行に延びる副部分とを含み、該副部分がその末端領域で、前記鉄心の前記頭部の軸線方向外側に離間かつ対向して延長され、前記接極子の前記第2の導電板要素の一部分が、該鉄心の該頭部の前記外縁領域と該継鉄の該副部分の該末端領域との間に挿入される、請求項1に記載の有極電磁継電器。
【請求項8】
前記継鉄の前記主部分の前記末端領域は、該継鉄を打抜き成形した結果の破断面を有し、前記接極子の前記第1及び第2の導電板要素の少なくとも一方が、その一部分で、該末端領域の該破断面に当接可能に対向配置される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有極電磁継電器。
【請求項9】
前記接極子は、前記第1及び第2の導電板要素の間に前記永久磁石を挟持した状態で、前記力伝達部材に固定して連結される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の有極電磁継電器。
【請求項10】
前記力伝達部材は、前記コイルの前記中心軸線に平行な方向へ長軸を配置する矩形輪郭を有し、該力伝達部材の長手方向一端に、前記接点部に係合する着力点が設けられるとともに、該力伝達部材の長手方向他端領域に前記接極子が固定される、請求項9に記載の有極電磁継電器。
【請求項11】
前記基部は、前記電磁石を少なくとも部分的に収容して、該電磁石と前記接点部との間に介在する筒状壁を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の有極電磁継電器。
【請求項12】
前記電磁石は、前記コイルが巻き付けられる巻枠と、該巻枠に固定して支持され、該コイルを形成する導線がそれぞれに接続される3個以上のコイル端子とを備え、該コイルが、該3個以上のコイル端子のうちいずれか2個のコイル端子からなる端子対をそれぞれに含む2つの励磁回路を構成し、該3個以上のコイル端子の各々は、該導線が接続される絡げ部分と、該絡げ部分から離隔した端末部分とを有し、該絡げ部分と該端末部分とが該巻枠の外方へ突出して配置され、該巻枠は、該2つの励磁回路のそれぞれの該端子対における一方のコイル端子の該絡げ部分が突出する側の第1表面と、該第1表面の反対側であって、該一方のコイル端子の該端末部分が突出する側の第2表面とを備え、該導線は、該端子対を構成する該一方のコイル端子の該絡げ部分と該コイルとの間に延びる第1リード部分で、該巻枠の該第1表面に沿って敷設されるとともに、該端子対を構成する他方のコイル端子の該絡げ部分と該コイルとの間に延びる第2リード部分で、該巻枠の該第2表面に沿って敷設される、請求項1に記載の有極電磁継電器。
【請求項13】
前記電磁石は、3個の前記コイル端子を備え、該3個のコイル端子が、前記コイルを形成する1本の前記導線の両線端部がそれぞれに接続される第1コイル端子及び第2コイル端子と、該導線の中間部が接続される第3コイル端子とからなり、該第1コイル端子と該第2コイル端子とが、前記2つの励磁回路のそれぞれの前記端子対における前記一方のコイル端子であり、該第3コイル端子が、該それぞれの端子対における前記他方のコイル端子である、請求項12に記載の有極電磁継電器。
【請求項14】
基部と、該基部に組み付けられる電磁石装置と、該電磁石装置から絶縁されて該基部に組み付けられる接点部と、該電磁石装置と該接点部との間に配置され、該電磁石装置の作用により移動して該接点部を開閉動作させる力伝達部材とを具備し、該電磁石装置が、電磁石と、該電磁石によって駆動される接極子と、該接極子に担持される永久磁石とを備えて構成される、有極電磁継電器において、
前記電磁石は、中心軸線を有するコイルと、該コイルが巻き付けられる巻枠と、該巻枠に固定して支持され、該コイルを形成する導線がそれぞれに接続される3個以上のコイル端子とを備え、該コイルが、該3個以上のコイル端子のうちいずれか2個のコイル端子からなる端子対をそれぞれに含む2つの励磁回路を構成し、
前記3個以上のコイル端子の各々は、前記導線が接続される絡げ部分と、該絡げ部分から離隔した端末部分とを有し、該絡げ部分と該端末部分とが前記巻枠の外方へ突出して配置され、
前記巻枠は、前記2つの励磁回路のそれぞれの前記端子対における一方のコイル端子の前記絡げ部分が突出する側の第1表面と、該第1表面の反対側であって、該一方のコイル端子の前記端末部分が突出する側の第2表面とを備え、
前記導線は、前記端子対を構成する前記一方のコイル端子の前記絡げ部分と前記コイルとの間に延びる第1リード部分で、前記巻枠の前記第1表面に沿って敷設されるとともに、前記端子対を構成する他方のコイル端子の前記絡げ部分と前記コイルとの間に延びる第2リード部分で、前記巻枠の前記第2表面に沿って敷設されること、
を特徴とする有極電磁継電器。
【請求項15】
中心軸線を有するコイルと、該コイルが巻き付けられる巻枠と、該巻枠に固定して支持され、該コイルを形成する導線がそれぞれに接続される3個以上のコイル端子とを備え、該コイルが、該3個以上のコイル端子のうちいずれか2個のコイル端子からなる端子対をそれぞれに含む2つの励磁回路を構成する、有極電磁継電器用のコイル組立において、
前記3個以上のコイル端子の各々は、前記導線が接続される絡げ部分と、該絡げ部分から離隔した端末部分とを有し、該絡げ部分と該端末部分とが前記巻枠の外方へ突出して配置され、
前記巻枠は、前記2つの励磁回路のそれぞれの前記端子対における一方のコイル端子の前記絡げ部分が突出する側の第1表面と、該第1表面の反対側であって、該一方のコイル端子の前記端末部分が突出する側の第2表面とを備え、
前記導線は、前記端子対を構成する前記一方のコイル端子の前記絡げ部分と前記コイルとの間に延びる第1リード部分で、前記巻枠の前記第1表面に沿って敷設されるとともに、前記端子対を構成する他方のコイル端子の前記絡げ部分と前記コイルとの間に延びる第2リード部分で、前記巻枠の前記第2表面に沿って敷設されること、
を特徴とするコイル組立。
【請求項16】
3個の前記コイル端子を備え、該3個のコイル端子が、前記コイルを形成する1本の前記導線の両線端部がそれぞれに接続される第1コイル端子及び第2コイル端子と、該導線の中間部が接続される第3コイル端子とからなり、該第1コイル端子と該第2コイル端子とが、前記2つの励磁回路のそれぞれの前記端子対における前記一方のコイル端子であり、該第3コイル端子が、該それぞれの端子対における前記他方のコイル端子である、請求項15に記載のコイル組立。
【請求項17】
前記巻枠は、1つの前記励磁回路を構成する前記導線を支持する第1領域と、他の1つの前記励磁回路を構成する前記導線を支持する第2領域とを備え、該第1及び第2領域が、前記コイルの前記中心軸線に沿った方向へ互いに隣接して画定される、請求項15又は16に記載のコイル組立。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−253044(P2012−253044A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−209941(P2012−209941)
【出願日】平成24年9月24日(2012.9.24)
【分割の表示】特願2007−255377(P2007−255377)の分割
【原出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)