説明

有機−無機ハイブリッドシリカゲルの製造方法

【課題】高圧条件といった過酷な反応条件を必要とすることなく、温和な条件下で高速液体クロマトグラフィー用シリカゲルとして求められる粒径が1.5μm以上の球状シリカゲルの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】水より極性の低い有機溶媒と水との混合溶媒中で、アルコキシシラン化合物及び/又はその誘導体を、特定の(数平均)分子量を有する有機成分を特定量有する反応系において、加水分解し、得られた反応混合物にマイクロ波を照射することにより、粒径が1.5μm以上の球状シリカゲルが得られることを見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比表面積の大きな球状シリカゲルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
球状シリカゲルは、高速液体クロマトグラフィーカラム充填剤、樹脂成形体用や電子材料封止剤用の充填剤、スペーサー、ギャップ剤などの様々な用途で使用されている。
【0003】
その製造方法としては、アルコキシシランを原料として使用し、ゾルゲル反応により無機多孔体を得る方法が知られている。具体的には、酸存在下において、アルコキシシランを水又は水/アルコール混合溶液中で加水分解し、シリカゾルを形成する。得られたシリカゾルをベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素と長鎖有機カルボン酸又は界面活性剤等の乳化剤とからなる油性分散媒中に添加して、ホモミキサー等の撹拌装置により撹拌し、この乳化液をゲル化させて微小シリカゲル粒子を製造するものである。この製造法は最も容易に実施できる方法の一つであるため、好ましく実施されている。この方法によって製造されたシリカゲルは、特徴的な表面物性を持つことから高速液体クロマトグラフィー充填剤として利用されてきた。
【0004】
最近では、高速分析が可能で、移送する溶媒量を減少化できるとして高速液体クロマトグラフィー用シリカゲルの粒径の微細化が進んでいる。粒径は、カラムを移送する圧力から換算すると約1.5μmが適当されている。
【0005】
特許文献1には、界面活性剤を使いアルカリ金属ケイ酸塩水溶液をこれと相溶性の無い有機溶媒中で乳化処理しゲル化する工程において高圧乳化処理することにより、平均粒径が2μm未満のシリカゲルが得られるとされている。しかし、特許文献1に記載された微細化シリカゲルの製造方法では、高圧乳化処理するための設備投資が必要であり、さらに界面活性剤を使用するためにその処理工程が必要となり工程全体が煩雑となり好ましくない。
【0006】
一方、非特許文献1には界面活性剤を使わずアルコキシシランを原料として使用するゾルゲル反応において、加熱手段としてオイルバスなどの所謂外部加熱手段を用いずに、マイクロウェーブ加熱に変換する事により、粒度分布が均一なサブミクロンから1μmまでの球状シリカゲルが得られることを報告している。
【0007】
また、非特許文献1には、アルコキシシランとポリエチレングリコールを併用することにより得られるハイブリッド化させたシリカゲルについても記載があるが、得られたシリカゲルの粒径が約1.0μmであるため、液体クロマトグラフィー用充填剤として使用するためには、粒径が小さ過ぎるといった問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−1494121号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】CHEMISTRY LETTERS Vol.33,No.11,1504−1505(2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
高圧条件といった過酷な反応条件を必要とすることなく、温和な条件下で高速液体クロマトグラフィー用シリカゲルとして求められる粒径が1.5μm以上の球状シリカゲルの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、水より極性の低い有機溶媒と水との混合溶媒中で、アルコキシシラン化合物及び/又はその誘導体を、特定の(数平均)分子量を有する有機成分を特定量有する反応系において、加水分解し、得られた反応混合物にマイクロ波を照射することにより、粒径が1.5μm以上の球状シリカゲルが得られることを見出した。
【0012】
すなわち、本発明は
触媒の存在下、水より極性の低い有機溶媒と水との混合溶媒中で、アルコキシシラン化合物及び/又はその誘導体を、有機成分とともに加水分解し、得られた反応混合物にマイクロ波を照射する有機−無機ハイブリッドシリカゲルの製造方法であって、
有機成分は(数平均)分子量が100g/mol〜1000g/molであり、シロキサンと水素結合又は共有結合する有機化合物であって、その添加量がアルコキシシラン化合物及び/又はその誘導体1モルに対して、0.03〜0.7モルであることを特徴とする有機−無機ハイブリッドシリカゲルの製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、温和な条件において、粒径1.5μm以上の有機-無機ハイブリッドシリカゲルが合成することができる。得られた有機-無機ハイブリッドシリカゲルのハイブリッドした有機成分は、水による洗浄等により容易に除去することができ、有機成分が除去される事でシリカゲル多孔体が得られる。シリカゲル多孔体は高速液体クロマトグラフィー用シリカゲルや超高速液体クロマトグラフィー用シリカゲルへと応用展開することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の構成につき詳細に説明する。
【0015】
本発明の有機-無機ハイブリッドシリカゲルの製造方法は、触媒の存在下、水より極性の低い有機溶媒と水との混合溶媒中で、アルコキシシラン化合物及び/又はその誘導体を、有機成分とともに加水分解し、得られた反応混合物にマイクロ波を照射する有機−無機ハイブリッドシリカゲルの製造方法である。
【0016】
<アルコキシシラン化合物・その誘導体>
アルコキシシラン化合物は下記式(1)
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜9のアルキル基を示す。)
で表される化合物である。Rは、直鎖状又は分岐状の何れのアルキル基であってもよい。また、Rのアルキル基の炭素数は1〜4であることがより好ましく、このようなアルキル基として、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基が挙げられる。
【0017】
式(1)のアルコキシシラン化合物の誘導体としては、式(1)の化合物を部分的に加水分解して得られる低縮合物、並びに式(1)で表されるアルコキシシラン化合物の一部が飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、及び芳香族基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基で架橋された化合物が挙げられる。
【0018】
上記の低縮合物としては、下記式(2)
Sin−1(OR2n+2 (2)
(式中、Rは炭素数1〜9のアルキル基を示し、nは2〜20の整数を示す。)で表される化合物が挙げられる。
【0019】
飽和炭化水素基としては、炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基、炭素数3〜7のシクロアルキレン基、炭素数3〜7のシクロアルキル基で置換された炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基(シクロアルキルアルキレン基)などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルケレン基、炭素数3〜7のシクロアルケレン基、炭素数3〜7のシクロアルケレン基で置換された炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状のアルケレン基(シクロアルケレン基)などが挙げられる。
芳香族基としては、置換基を有していてよい1〜4個の環を有する芳香環又は複素環を有する2価の官能基が挙げられる。芳香環又は複素環としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニルのようにベンゼン環だけで環構造を形成している化合物;ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンのような複素環だけで環構造を形成している化合物;ベンゾチアゾール、ベンゾキサゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、キノキサリン、クロマン、インドール、アントラキノンのようにベンゼン環と複素環とが縮合している化合物などが挙げられる。
置換基は特に限定されず、例えば、炭素数1〜9のアルキル基、フェニル基、炭素数7〜12のフェニルアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、置換アミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、アゾ基、アジド基等が挙げられる。
式(1)で表されるアルコキシシラン化合物及び/又はその誘導体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0020】
<触媒>
加水分解触媒としては、公知の酸触媒、アルカリ触媒を使用できる。酸触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、ホウ酸、リン酸のような鉱酸;ギ酸、酢酸、蓚酸のような有機酸を例示することができる。塩基触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩などが挙げられる。中でも、酸触媒が好ましく、鉱酸がより好ましい。酸触媒及び塩基触媒は、それぞれ1種を単独で、又は2種以上組み合わせて使用できる。
触媒濃度は、加水分解反応を促進させることができる濃度であれば、特に限定されることはないが、反応媒体に対して約0.05〜5M(mol/L)が好ましい。上記範囲であれば、加水分解反応を促進できるとともに、比表面積が広いシリカゲルを製造でき、その結果高い分離性を示す。反応媒体とは、加水分解反応に供するアルコキシシラン化合物及び/又はその誘導体、水よりも極性の低い有機溶媒、水、触媒及び有機成分を含む反応溶液の全体を指す。
【0021】
<有機溶媒>
有機溶媒は、水よりも極性の低いものであれば制限なく使用できる。このような有機溶媒として、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカンなどの脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンなどの脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ドデシルベンゼン、メチルナフタレンなどの芳香族炭化水素類;ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテルなどのエーテル類;ナフサ、白灯油などの石油留分類などが挙げられる。有機溶媒の使用量は、反応媒体に対して、約50〜99容量%が好ましく、約85〜99容量%がより好ましい。
【0022】
<水>
使用される水の量は、形成されるシリカゲルの粒子径、及び表面特性に大きな影響を与える。有機溶媒、並びにアルコキシシラン化合物及び/又はその誘導体の合計量に対して水の量が相対的に増加すれば、シリカゲルの粒子径を大きくすることができ、水の量が相対的に減少すれば、シリカゲルの粒子径を小さくすることができる。しかしながら、水の量が原料のアルコキシシラン化合物及び/又はその誘導体に対して容量比が大きくなると有機成分がシリカゲル中に効率良く分散できず、表面が円滑化されたシリカゲルが得られる。
従って、水と有機溶媒、並びにアルコキシシラン化合物及び/又はその誘導体の合計量との使用比率を調整することにより、得られるシリカゲルの粒子径を任意に調整することができる。水の量は、反応媒体に対して約0.1〜10容量%が好ましく、約0.5〜5.8容量%がより好ましい。上記範囲であれば、有機-無機ハイブリッドシリカゲルを得ることができる。また、上記範囲であれば、マイクロ波照射による効果を十分に得ることができる。
【0023】
<有機成分>
本発明の有機成分は、(数平均)分子量100g/mol〜1000g/molであり、シロキサンと水素結合又は共有結合する公知の有機化合物であれば特に限定されることなく使用することができ、(数平均)分子量200g/mol〜800g/molであり、シロキサンと水素結合又は共有結合する有機化合物が好ましく、(数平均)分子量250g/mol〜600g/molであり、シロキサンと水素結合又は共有結合する有機化合物が特に好ましい。シロキサンと水素結合又は共有結合する公知の有機化合物としては、アミノ基、アミド基、ヒドロキシル基、アルコキシ基を有する化合物を挙げることができ、ヒドロキシル基及び/又は炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜3)のアルコキシ基を有する化合物であることが好ましく、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテルであることが特に好ましい。尚、本発明においては「(数平均)分子量」の記載は、分子量又は数平均分子量を表す。
【0024】
本発明の有機成分の具体例としては、上記の数平均分子量を有するポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリオキサゾリン、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミンなども好適に用いることができる。
【0025】
本発明の有機成分の量はアルコキシシラン化合物及び/又はその誘導体1モルに対して、0.03〜0.7モルであることが好ましく、0.05〜0.5モルであることがより好ましい
【0026】
<加水分解反応>
アルコキシシラン化合物及び/又はその誘導体の加水分解反応は、使用する有機成分、有機溶媒の種類及び使用量により異なるが、約0〜120℃で行えばよく、約0〜60℃で行うことが好ましく、約0〜30℃で行うことが特に好ましい。
また、反応は常圧下で行えばよいが、加圧下で行ってもよい。反応時間は、使用する溶媒によって異なるが、1〜24時間が好ましく、2〜18時間がより好ましく、3〜12時間が特に好ましい。反応時間を延長し過ぎると加水分解時にゲル化が進行し、マイクロ波を照射しても非球状となる。
【0027】
<マイクロ波>
マイクロ波は、300MHz〜30GHzの周波数を有する電磁波であり、工業用マイクロ波照射機では2450MHzが使用されているため、通常はそれを使用すればよい。照射時間は仕込み量、マイクロ波照射装置のワット数などによって異なるが、約0.4〜1000kWで、約1〜60分とすればよい。マイクロ波照射実験装置は、例えば四国計測工業(株)、ミクロ電子(株)、マイルストーンゼネラル社、CEM社等により製作、販売されているものを使用すればよい。
【0028】
また、加水分解反応を行う工程とマイクロ波を照射する工程を別々の工程とする、すなわち、加水分解を行った後にマイクロ波を照射してもよいし、また、加水分解反応を行う工程とマイクロ波を照射する工程を同一の工程とする、すなわち、加水分解を行いながらマイクロ波を照射させてもよい。
【0029】
<シリカゲル多孔体>
シリカゲル多孔体は、本発明の有機−無機ハイブリッドシリカゲル中に含まれる有機成分を除去することにより得ることができる。シリカゲル中に含まれる有機成分を除去するための方法としては特に制限が無く、具体的には焼成や洗浄が挙げられ、水、アルコール系溶媒による洗浄が好ましく、水による連続抽出が特に好ましい。
【0030】
実施例
以下、本発明を実施例で示してより具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
[実施例1]
テトラメトキシシラン1.02g、0.1MHCl0.5g、ポリエチレグリコール(分子量=300g/mol)0.22gをジエチレングリコールジメチルエーテル37gに加え、0℃で6時間攪拌した。続いてその溶液に、マイルストーンゼネラル社製のマイクロ波照射装置を用いて、0.5kWで、30分間マイクロ波(2.45GHz)を照射した。照射終了後、溶液を冷却し析出したシリカゲルを遠心分離させることでシリカゲルを沈降分離させ、シリカゲルを得た。未反応のポリエチレングリコールを除去するため、メタノール洗浄を行った。その溶液を遠心分離させることで、沈降分離させシリカゲルを得た。続いて、乾燥することで有機-無機ハイブリッドシリカゲルを得た。(回収量:0.49g)続いて、ポリエチレグリコールを除去するため、水で6時間連続抽出させシリカゲルを得た。(回収量:0.34g)堀場製作所製「LA−920」レーザー回折式粒度分布測定装置を使用して平均粒径を測定したところ、1.6μmであった。
【0032】
[実施例2]
テトラメトキシシラン1.02g、0.1MHCl0.5g、ポリエチレグリコール(分子量=300g/mol)0.22gをジエチレングリコールジメチルエーテル37gに加え、0℃で24時間攪拌した。続いてその溶液に、マイルストーンゼネラル社製のマイクロ波照射装置を用いて、0.5kWで、30分間マイクロ波(2.45GHz)を照射した。照射終了後、溶液を冷却し析出したシリカゲルを遠心分離させることでシリカゲルを沈降分離させ、シリカゲルを得た。未反応のポリエチレングリコールを除去するため、メタノール洗浄を行った。その溶液を遠心分離させることで、沈降分離させシリカゲルを得た。続いて、乾燥することで有機-無機ハイブリッドシリカゲルを得た。(回収量:0.51g)続いて、ポリエチレグリコールを除去するため、水で6時間連続抽出させシリカゲルを得た。(回収量:0.34g)堀場製作所製「LA−920」レーザー回折式粒度分布測定装置を使用して平均粒径を測定したところ、1.8μmであった。
【0033】
[実施例3]
テトラメトキシシラン1.02g、0.1MHCl0.5g、ポリエチレグリコール(分子量=300g/mol)0.44gをジエチレングリコールジメチルエーテル37gに加え、0℃で12時間攪拌した。続いてその溶液に、マイルストーンゼネラル社製のマイクロ波照射装置を用いて、0.5kWで、30分間マイクロ波(2.45GHz)を照射した。照射終了後、溶液を冷却し析出したシリカゲルを遠心分離させることでシリカゲルを沈降分離させ、シリカゲルを得た。未反応のポリエチレングリコールを除去するため、メタノール洗浄を行った。その溶液を遠心分離させることで、沈降分離させシリカゲルを得た。続いて、乾燥することで有機-無機ハイブリッドシリカゲルを得た。(回収量:0.49g)続いて、ポリエチレグリコールを除去するため、水で6時間連続抽出させシリカゲルを得た。(回収量:0.35g)堀場製作所製「LA−920」レーザー回折式粒度分布測定装置を使用して平均粒径を測定したところ、1.8μmであった。
【0034】
[実施例4]
テトラメトキシシラン1.02g、0.1MHCl0.5g、ポリエチレグリコール(分子量=300g/mol)0.44gをジエチレングリコールジメチルエーテル37gに加え、0℃で24時間攪拌した。続いてその溶液に、マイルストーンゼネラル社製のマイクロ波照射装置を用いて、0.5kWで、30分間マイクロ波(2.45GHz)を照射した。照射終了後、溶液を冷却し析出したシリカゲルを遠心分離させることでシリカゲルを沈降分離させ、シリカゲルを得た。未反応のポリエチレングリコールを除去するため、メタノール洗浄を行った。その溶液を遠心分離させることで、沈降分離させシリカゲルを得た。続いて、乾燥することで有機-無機ハイブリッドシリカゲルを得た。(回収量:0.52g)続いて、ポリエチレグリコールを除去するため、水で6時間連続抽出させシリカゲルを得た。(回収量:0.37g)堀場製作所製「LA−920」レーザー回折式粒度分布測定装置を使用して平均粒径を測定したところ、1.7μmであった。
【0035】
[実施例5]
テトラメトキシシラン1.02g、0.1MHCl0.5g、ポリエチレグリコール(分子量=300g/mol)0.88gをジエチレングリコールジメチルエーテル37gに加え、30℃下で6時間攪拌した。続いてその溶液に、マイルストーンゼネラル社製のマイクロ波照射装置を用いて、0.5kWで、30分間マイクロ波(2.45GHz)を照射した。照射終了後、溶液を冷却し析出したシリカゲルを遠心分離させることでシリカゲルを沈降分離させ、シリカゲルを得た。未反応のポリエチレングリコールを除去するため、メタノール洗浄を行った。その溶液を遠心分離させることで、沈降分離させシリカゲルを得た。続いて、乾燥することで有機-無機ハイブリッドシリカゲルを得た。(回収量:0.53g)続いて、ポリエチレグリコールを除去するため、水で6時間連続抽出させシリカゲルを得た。(回収量:0.35g)堀場製作所製「LA−920」レーザー回折式粒度分布測定装置を使用して平均粒径を測定したところ、1.6μmであった。
【0036】
[実施例6]
テトラメトキシシラン1.02g、0.1MHCl0.5g、ポリエチレグリコール(分子量=300g/mol)0.88gをジエチレングリコールジメチルエーテル37gに加え、30℃で24時間攪拌した。続いてその溶液に、マイルストーンゼネラル社製のマイクロ波照射装置を用いて、0.5kWで、30分間マイクロ波(2.45GHz)を照射した。照射終了後、溶液を冷却し析出したシリカゲルを遠心分離させることでシリカゲルを沈降分離させ、シリカゲルを得た。未反応のポリエチレングリコールを除去するため、メタノール洗浄を行った。その溶液を遠心分離させることで、沈降分離させシリカゲルを得た。続いて、乾燥することで有機-無機ハイブリッドシリカゲルを得た。(回収量:0.49g)続いて、ポリエチレグリコールを除去するため、水で6時間連続抽出させシリカゲルを得た。(回収量:0.34g)堀場製作所製「LA−920」レーザー回折式粒度分布測定装置を使用して平均粒径を測定したところ、1.7μmであった。
【0037】
[比較例1]
テトラメトキシシラン1.02g、0.1MHCl0.5g、ポリエチレグリコール(分子量=2000g/mol)1.0gをジエチレングリコールジメチルエーテル37gに加え、0℃で12時間攪拌した。続いてその溶液に、マイルストーンゼネラル社製のマイクロ波照射装置を用いて、0.5kWで、30分間マイクロ波(2.45GHz)を照射した。照射終了後、溶液を冷却し析出したシリカゲルを遠心分離させることでシリカゲルを沈降分離させ、シリカゲルを得た。未反応のポリエチレングリコールを除去するため、メタノール洗浄を行った。その溶液を遠心分離させることで、沈降分離させシリカゲルを得た。続いて、乾燥することで有機-無機ハイブリッドシリカゲルを得た。(回収量:0.50g)続いて、ポリエチレグリコールを除去するため、水で6時間連続抽出させシリカゲルを得た。(回収量:0.36)堀場製作所製「LA−920」レーザー回折式粒度分布測定装置を使用して平均粒径を測定したところ、1.0μmであった。
【0038】
[比較例2]
テトラメトキシシラン1.02g、0.1MHCl0.5g、ポリエチレグリコール(分子量=2000g/mol)0.5gをジエチレングリコールジメチルエーテル37gに加え、30℃で12時間攪拌した。続いてその溶液に、マイルストーンゼネラル社製のマイクロ波照射装置を用いて、0.5kWで、30分間マイクロ波(2.45GHz)を照射した。照射終了後、溶液を冷却し析出したシリカゲルを遠心分離させることでシリカゲルを沈降分離させ、シリカゲルを得た。未反応のポリエチレングリコールを除去するため、メタノール洗浄を行った。その溶液を遠心分離させることで、沈降分離させシリカゲルを得た。続いて、乾燥することで有機-無機ハイブリッドシリカゲルを得た。(回収量:0.52g)続いて、ポリエチレグリコールを除去するため、水で6時間連続抽出させシリカゲルを得た。(回収量:0.38g)堀場製作所製「LA−920」レーザー回折式粒度分布測定装置を使用して平均粒径を測定したところ、1.0μmであった。
【0039】
[比較例3]
テトラメトキシシラン1.02g、0.1MHCl0.5g、グリセリン(分子量=92g/mol)0.3gをジエチレングリコールジメチルエーテル37gに加え、0℃で12時間攪拌した。続いてその溶液に、マイルストーンゼネラル社製のマイクロ波照射装置を用いて、0.5kWで、30分間マイクロ波(2.45GHz)を照射した。照射終了後、溶液を冷却し析出したシリカゲルを遠心分離させることでシリカゲルを沈降分離させ、シリカゲルを得た。未反応のポリエチレングリコールを除去するため、メタノール洗浄を行った。その溶液を遠心分離させることで、沈降分離させシリカゲルを得た。続いて、乾燥することで有機-無機ハイブリッドシリカゲルを得た。(回収量:0.54g)続いて、ポリエチレグリコールを除去するため、水で6時間連続抽出させシリカゲルを得た。(回収量:0.36g)堀場製作所製「LA−920」レーザー回折式粒度分布測定装置を使用して平均粒径を測定したところ、1.2μmであった。
【0040】
[比較例4]
テトラメトキシシラン1.02g、0.1MHCl0.5g、ポリエチレグリコール(分子量=300g/mol)1.5gをジエチレングリコールジメチルエーテル37gに加え、30℃で12時間攪拌した。続いてその溶液に、マイルストーンゼネラル社製のマイクロ波照射装置を用いて、0.5kWで、30分間マイクロ波(2.45GHz)を照射した。照射終了後、溶液を冷却し析出したシリカゲルを遠心分離させることでシリカゲルを沈降分離させ、シリカゲルを得た。未反応のポリエチレングリコールを除去するため、メタノール洗浄を行った。その溶液を遠心分離させることで、沈降分離させシリカゲルを得た。続いて、乾燥することで有機-無機ハイブリッドシリカゲルを得た。(回収量:0.14g)続いて、ポリエチレグリコールを除去するため、水で6時間連続抽出させシリカゲルを得た。(回収量:0.14g)堀場製作所製「LA−920」レーザー回折式粒度分布測定装置を使用して平均粒径を測定したところ、1.2μmであった。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明により、粒径1.5μm以上の有機-無機ハイブリッドシリカゲルが合成することができ、さらにハイブリッドした有機成分を水洗浄することで容易に除去できる。有機成分が除去される事でシリカゲル多孔体が得られるため、高速液体クロマトグラフィー用シリカゲルや超高速液体クロマトグラフィー用シリカゲルへと応用展開することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒の存在下、水より極性の低い有機溶媒と水との混合溶媒中で、アルコキシシラン化合物及び/又はその誘導体を、有機成分とともに加水分解し、得られた反応混合物にマイクロ波を照射する有機−無機ハイブリッドシリカゲルの製造方法であって、
有機成分が(数平均)分子量100g/mol〜1000g/molであり、シロキサンと水素結合又は共有結合する有機化合物であって、その添加量がアルコキシシラン化合物及び/又はその誘導体1モルに対して、0.03〜0.7モルであることを特徴とする有機−無機ハイブリッドシリカゲルの製造方法。
【請求項2】
有機成分が(数平均)分子量100g/mol〜1000g/molであり、ヒドロキシル基及び/又は炭素数1〜6のアルコキシ基を有する化合物であることを特徴とする請求項1記載の有機−無機ハイブリッドシリカゲルの製造方法。
【請求項3】
有機成分が(数平均)分子量200g/mol〜800g/molであり、ヒドロキシル基及び/又は炭素数1〜3のアルコキシ基を有する化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機−無機ハイブリッドシリカゲルの製造方法。
【請求項4】
有機成分が数平均分子量200g/mol〜800g/molのポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテルである請求項1〜3いずれかに記載の有機−無機ハイブリッドシリカゲルの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4記載の製造方法により得られた有機−無機ハイブリッドシリカゲルに含まれる有機成分を除去して得られるシリカゲル多孔体。


【公開番号】特開2010−254510(P2010−254510A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105199(P2009−105199)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000108993)ダイソー株式会社 (229)
【Fターム(参考)】