説明

有機−無機ハイブリッド電解質及びその製造方法

【課題】材料や混合条件の選択の幅が広い有機−無機ハイブリッド電解質製造方法の提供。
【解決手段】有機高分子材料がもつイオン伝導性基に対して静電相互作用する修飾基を無機材料に導入した改質無機材料とした上で有機高分子材料に混合・分散する方法。修飾基の導入によって、有機高分子材料と改質無機材料との親和性を非常に高くすることができ、従来、混合・分散することができなかった条件であっても、有機−無機ハイブリッド電解質を製造することが可能になった。具体的にはイオン伝導性基をもつ有機高分子材料と、前記有機高分子材料に親和性をもつ極性有機溶媒と、その極性有機溶媒に親和性をもつ有機材料を表面に導入する表面改質剤及び前記イオン伝導性基に対して引力を生じるカチオンをもつ修飾基を導入する表面修飾剤を無機材料前駆体に接触させて得られる改質無機材料とを混合する混合工程を有することにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロトン伝導性をもつ有機高分子材料と、無機材料とが高度に混合・分散された有機−無機ハイブリッド電解質及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から環境問題への対応の観点から、クリーンなエネルギー源としての燃料電池に注目が集まっている。ここで、燃料電池に用いられる電解質膜として、有機材料と無機材料とを複合化した材料である有機−無機ハイブリッド電解質が開発されている(特許文献1〜4)。有機−無機ハイブリッド電解質は高いイオン伝導性を示し得ること、及び高温における熱的安定性が高いことなどの特徴を持つ。
【0003】
ところで、無機材料と有機材料とは充分な親和性をもたない場合もあり、そのような場合には無機材料と有機材料とを均一に混合・分散させることは困難であった。無機材料と有機材料とは均一に混合・分散させないと、それぞれの材料が単独で発揮する性能よりも低下する場合が多かった。
【0004】
そこで、有機材料と無機材料とを均一に混合・分散させた電解質材料を製造する方法として特許文献1には、高分子膜の内部に、無機成分の前駆体を浸透させ、高分子膜内部で前駆体を加水分解、重合させてハイブリッドにした有機・無機ハイブリッド膜が開示されている。また、特許文献4には無機材料の周りを有機物である化学改質剤にて改質して有機材料との間の親和性を向上する技術が開示されているが、必ずしも充分な混合・分散が実現できているとは言い難かった。
【特許文献1】特開2007−18778号公報(請求項2など)
【特許文献2】特開2004−119072号公報
【特許文献3】特開2005−166486号公報
【特許文献4】国際公開第2007/029346号パンフレット(0117段落など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、有機−無機ハイブリッド電解質において、求められる性能を実現するためには、有機材料及び無機材料のそれぞれについて、種々の材料、種々の混合比などの種々の条件にて複合化することができることが望まれる。しかしながら、先述したように、無機材料と有機材料とは充分な親和性をもたない場合もあるので、従来技術の方法では望むハイブリッド電解質が得られない場合もあり、材料の選択の幅や材料の混合条件の選択の幅が充分ではなかった。
【0006】
本発明は上記実情に鑑み完成されたものであり、イオン伝導性をもつ有機高分子材料と無機材料とを混合・分散させて形成される有機−無機ハイブリッド電解質を製造するにあたり、材料や混合条件の設定について選択の幅が広い製造方法を提供することを解決すべき課題とする。また、そのようにして製造された有機−無機ハイブリッド電解質であって従来実現されていない有機−無機ハイブリッド電解質を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する目的で本発明者らは鋭意検討を行った結果、有機高分子材料がもつイオン伝導性基を利用して、有機高分子材料と無機材料とを混合・分散させる方法に想到した。具体的には、有機高分子材料がもつイオン伝導性基に対して静電気的に相互作用する修飾基を無機材料に導入した改質無機材料とした上で有機高分子材料に混合・分散する方法である。修飾基の導入によって、有機高分子材料と改質無機材料との親和性を非常に高くすることができ、従来、混合・分散することができなかった条件であっても、有機−無機ハイブリッド電解質を製造することが可能になった。
【0008】
請求項1に係る有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法は上記知見に基づき完成したものであり、その特徴は、イオン伝導性基をもつ有機高分子材料と、
前記有機高分子材料に親和性をもつ、1種の又は2種以上の極性有機溶媒である混合工程用溶媒と、
前記極性有機溶媒に親和性をもつ改質用有機材料を表面に導入する表面改質剤及び前記イオン伝導性基に対して静電相互作用により引力を生じる修飾基を表面に導入する表面修飾剤を無機材料前駆体に接触させて得られる改質無機材料と、
を混合・分散する混合工程を有することにある。
【0009】
請求項2に係る有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法の特徴は、請求項1において、前記混合工程が、
前記混合工程用溶媒の一部に前記有機高分子材料を溶解する有機高分子材料溶解工程と、
前記表面改質剤及び前記表面修飾剤を前記無機材料前駆体に反応させて前記改質無機材料を得る改質・修飾工程と、
前記混合工程用溶媒の残部に前記改質無機材料を溶解する改質無機材料溶解工程と、
前記有機高分子材料溶液と前記改質無機材料溶液とを混合する溶液混合工程と、
を有することにある。
【0010】
請求項3に係る有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法の特徴は、請求項1又は2において、前記混合工程後に、前記混合工程用溶媒を除去する溶媒除去工程と、
前記改質用有機材料及び/又は前記修飾基を除去する活性化工程とを有することにある。
【0011】
請求項4に係る有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法の特徴は、請求項1〜3のいずれか1項において、前記有機高分子材料がもつ前記イオン伝導性基はプロトン供与性基であることである。
【0012】
請求項5に係る有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法の特徴は、請求項1〜4のいずれか1項において、前記イオン伝導性基はスルホ基であり、前記修飾基はアミノ基であることである。
【0013】
請求項6に係る有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法の特徴は、請求項1〜5のいずれか1項において、前記表面修飾剤がシランカップリング剤であることにある。
【0014】
請求項7に係る有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法の特徴は、請求項6において、前記表面修飾剤が3−アミノプロピルジメチルエトキシシランとしたことにある。
【0015】
請求項8に係る有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法の特徴は、請求項6又は7において、前記無機材料前駆体がジルコニウム、チタン、セリウム、ウラン、スズ、バナジウム、ニオブ、アンチモン及びカルシウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む金属アルコキシドであり、
前記改質・修飾工程が前記金属アルコキシドを前記シランカップリング剤の存在下、前記金属アルコキシドを加水分解する工程であることにある。
【0016】
請求項9に係る有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法の特徴は、請求項1〜8のいずれか1項において、前記表面改質剤がアセト酢酸エステル類、1,3−ジケトン及びアセトアセタミド類からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることにある。
【0017】
請求項10に係る有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法の特徴は、請求項3〜9のいずれか1項において、前記活性化工程がリン酸、硫酸、発煙硫酸、塩酸、硝酸、過塩素酸、亜硫酸及び亜硝酸からなる群から選択される少なくとも1種である酸を接触させる工程であることにある。
【0018】
請求項11に係る有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法の特徴は、請求項1〜10のいずれか1項において、前記無機材料前駆体がジルコニウム化合物、チタン化合物、セリウム化合物、ウラン化合物、スズ化合物、バナジウム化合物、ニオブ化合物、アンチモン化合物、カルシウム・ヒドロキシアパタイト及び水和カルシウム・ヒドロキシアパタイトからなる群から選択される少なくとも1種であることにある。
【0019】
請求項12に係る有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法の特徴は、請求項1〜11のいずれか1項において、前記極性有機溶媒がN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチルピロリドン、N−メチルアセトアミド及びN,N−ジメチルアセトアミドからなる群から選択される1以上の化合物であることにある。
【0020】
上記課題を解決する本発明の有機−無機ハイブリッド電解質である請求項13に係る有機−無機ハイブリッド電解質の特徴は、アニオンであるイオン伝導性基をもつ有機高分子材料と、
改質用有機材料を表面に導入する表面改質剤及び前記イオン伝導性基に対して静電相互作用により引力を生じるカチオンをもつ修飾基を表面に導入する表面修飾剤を無機材料前駆体に接触させて得られ且つ前記有機高分子材料に混合・分散されている改質無機材料と、
を有することにある。
【発明の効果】
【0021】
上記のように構成した請求項1に係る有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法においては、改質無機材料に導入されている修飾基が有機高分子材料がもつイオン伝導性基と静電相互作用を発揮することで、有機高分子材料と改質無機材料との間の相互作用を向上することに成功し、両者を高度に混合・分散させることが可能になった。従って、本発明の製造方法を適用することで、従来、充分な混合・分散が困難であった材料の組み合わせであっても、充分な混合・分散を実現することが可能になり材料選択の幅や混合条件選択の幅を大きく広げることが可能になった。また、有機高分子材料と改質無機材料との間での充分な混合・分散が可能になったので、従来の方法でも混合・分散させることが可能であった材料の組み合わせであっても、新たに予期せぬ性質が発現したり、より高い性能を発揮することが考えられる。
【0022】
上記のように構成した請求項2に係る有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法は、有機高分子材料溶解工程と、改質無機材料溶解工程とによって、有機高分子材料の溶解を行う工程と改質無機材料の溶解を行う工程とを分離することで、有機高分子材料及び改質無機材料を混合工程用溶媒としての極性有機溶媒に別々に溶解させている。別々に溶解させることで、有機高分子材料及び改質無機材料の間の相互作用を排除した状態で溶解できると共に、それぞれに適した極性有機溶媒を採用することが可能になるので、両者をより完全に溶解させることが可能になる。従って、完全に溶解させた後に両者の溶液を混合することで、有機高分子材料及び改質無機材料をより均一に混合・分散させることが可能になる。
【0023】
上記のように構成した請求項3に係る有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法は、混合工程後に混合工程用溶媒を除去する溶媒除去工程を採用することで、混合・分散状態を保ったまま溶媒を除去することが出来る。溶媒を除去する過程や、溶媒除去後においても有機高分子材料及び改質無機材料の間の静電相互作用や溶媒除去に伴う粘度の上昇などにより混合・分散状態はそのまま維持することが出来る。その後、有機高分子材料及び改質無機材料の間の高度な混合・分散を実現していた改質用有機材料及び/又は修飾基を活性化工程によって除去するのであるが、溶媒を除去した後は、有機高分子材料及び改質無機材料共に分子の運動が制限されるので、そのままの混合・分散状態を保つことができる。従って、改質無機材料に導入されている改質用有機材料や修飾基をそのまま残存させた場合に電解質の性能に望ましくない影響を与える場合でも混合・分散状態はそのまま保ったまま、改質用有機材料や修飾基を除去することが出来る。
【0024】
例えば、改質工程は請求項9に係る有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法のように、リン酸、硫酸、発煙硫酸、塩酸、硝酸、過塩素酸、亜硫酸及び亜硝酸からなる群から選択される少なくとも1種である酸を接触させる工程を採用することが出来る。これらの酸の接触により、導入された修飾基や改質用有機材料を加水分解などにより除去することが出来ると共に、修飾基や改質用有機材料を除去した後の無機材料の表面にそれらの酸に由来するイオン伝導性基(リン酸由来のホスホ基、硫酸や発煙硫酸由来のスルホ基など)を導入してイオン伝導性を向上させることが出来る。
【0025】
上述のように構成した請求項4に係る有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法は、前記イオン伝導性基としてはプロトン供与性基を採用することで、有機高分子材料及び改質無機材料の間を確実に混合・分散することができる。特に請求項5に係る発明のようにイオン伝導性基としてスルホ基を採用し、前記修飾基としてはアミノ基を採用することでこの効果は顕著である。
【0026】
上述のように構成した請求項6に係る有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法は、前記表面修飾剤としてシランカップリング剤を採用することで修飾基が導入された改質無機材料を比較的容易な操作により得ることができる。特にシランカップリング剤としては請求項7に記載したような3−アミノプロピルジメチルエトキシシランであることが望ましい。
【0027】
上述のように構成した請求項8に係る有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法は、それら金属アルコキシドを採用し、前述したシランカップリング剤の存在下、その金属アルコキシドを加水分解することで、改質無機材料中に導入される修飾基の分布の均一化、修飾基の確実な導入、そして修飾基の導入量の確実な制御を実現できる。従って、本発明の製造方法において均一な混合・分散を実現する基礎になる修飾基の導入を均一にできるので、有機高分子材料及び改質無機材料の間の混合分散の程度を高めることが可能になる。
【0028】
上述のように構成した請求項9に係る有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法は、前記表面改質剤としてアセト酢酸エステル類、1,3−ジケトン及びアセトアセタミド類からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を採用することで、改質無機材料と有機高分子材料との間の親和性を向上することが可能になり、より高度な混合・分散が実現できる。
【0029】
上述のように構成した請求項11に係る有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法は、無機材料前駆体として前述の化合物を採用することで、より高いイオン伝導性をもつ有機−無機ハイブリッド電解質を提供することが出来る。
【0030】
上述のように構成した請求項12に係る有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法は、極性有機溶媒として前述の化合物を採用することで、有機高分子材料と改質無機材料との双方を溶解することが可能になり、均一に混合することが出来るようになる。
【0031】
上述のように構成した請求項13に係る有機−無機ハイブリッド電解質は、改質用有機材料と修飾基とが表面に導入されている改質無機材料を採用することで、従来技術と比較して、より高度な混合・分散が実現された有機−無機ハイブリッド電解質を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の有機−無機ハイブリッド電解質及びその製造方法について、実施形態に基づき以下詳細に説明を行う。
【0033】
本実施形態の有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法にて製造される有機−無機ハイブリッド電解質は、有機高分子材料と無機材料とが混合分散して形成される電解質である。有機高分子材料としては高分子の骨格中に炭素原子を有し、イオン伝導性基をその化学構造中に有すること以外は特に限定されない。イオン伝導性基はアニオンであり、スルホ基、ホスホ基、カルボニル基などが単独又は2種以上組み合わされたものが例示できる。このイオン伝導性基は有機高分子材料を構成する高分子の主鎖に直接、結合されるものであっても、側鎖に結合されるものであっても、両者を組み合わせるものであっても構わない。
【0034】
有機高分子材料の基本骨格としては炭化水素系高分子、フッ素系高分子、そしてフッ素・炭化水素混合系高分子からなる群のうちの1又は2種以上を採用することが出来る。例えば、ナフィオン(商標)などのパーフルオロアルキルスルホン系高分子、芳香族ポリエーテルスルホン系高分子、ポリエーテルケトン系高分子が挙げられる。具体的にはポリ(アリレンエーテルスルホン)にスルホ基を導入した高分子材料(以下、「SPES」と称する)が挙げられる。
【0035】
無機材料としては特に限定されないが、ジルコニウム化合物、チタン化合物、セリウム化合物、ウラン化合物、スズ化合物、バナジウム化合物、ニオブ化合物、アンチモン化合物、カルシウム・ヒドロキシアパタイト及び水和カルシウム・ヒドロキシアパタイトからなる群から選択される少なくとも1種が例示できる。特に、酸化物が挙げられる。また、これらの化合物にホスホ基、スルホ基などのアニオンを導入することで、無機材料もイオン伝導性に寄与させることが出来る。無機材料はナノメートルオーダーの微小粒子を形成することや分子レベルで前述の有機高分子材料と混合・分散されていることが望ましい。
【0036】
ジルコニウム化合物としては、ZrO2、ZrO2・nH2O、Zr(HPO42、Zr(HPO42・nH2O、Zr(HSO32、Zr(HSO32・nH2O、Zr(O3P−R1−SO3H)2、Zr(O3P−Rl−SO3H)2・nH2O、Zr(O3P−R2−SO3H)2-X(O3P−R3−COOH)X、及びZr(O3P−R2−SO3H)2-X(O3P−R3−COOH)X・nHO(式中、Rl、R2及びR3は各々独立に、二価の芳香族基を示し、好ましくはRl及びR2は各々独立に二価の芳香族基を示し且つR3はアルキレン基を示す。Xは0超、2未満)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。
【0037】
チタン化合物としては、TiO2、TiO2・nH2O、Ti(HP042、Ti(HPO42・nH2O、Ti(HSO32及びTi(HSO32・nH2Oからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。(nは1〜10程度。以下同じ)
【0038】
セリウム化合物は、CeO2、CeO2・nH2O、Ce(HPO42及びCe(HPO42・nH2Oからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。
【0039】
ウラニウム化合物は、H3OUO4PO4、H3OUO4PO4・nH2O、H3OUO2AsO4及びH3OUO2AsO4・nH2Oからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。
【0040】
スズ化合物は、SnO2又はSnO2・nH2Oであることが望ましい。バナジウム化合物は、V25又はV25・nH2Oであることが望ましい。ニオブ化合物は、Nb25又はNb25・nH2Oであることが望ましい。アンチモン化合物は、Sb25、Sb25・nH2O、HSbO3、HSbO3・nH2O、H2SbO11、H2SbO11・nH2O、HXSbX23及びHXSbX23・nH2O(式中、Xは1、3又は5であり、nは2〜10である)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。
【0041】
カルシウム・ヒドロキシアパタイト及び水和カルシウム・ヒドロキシアパタイトは、Ca10(PO4)X2及びCa10(PO4)X2・nH2O(式中、Xは−OH及び/又は−Fを示す)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。
【0042】
(有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法)
本実施形態の有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法は混合工程とその他必要な工程とを有する。混合工程は有機高分子材料と改質無機材料と混合工程用溶媒とを混合する工程である。
【0043】
改質無機材料は無機材料前駆体に表面改質剤と表面修飾剤とを接触させて得られる材料であり、後述する活性化工程において最終的に製造される有機−無機ハイブリッド電解質中において無機材料に変換され得る材料である。無機材料前駆体は表面改質剤及び表面修飾剤と接触させることで改質される。接触させる条件については後に詳述するが、酸性条件下で放置乃至撹拌したり、加熱条件下で放置乃至撹拌したりする条件が挙げられる。用いられる溶媒としては混合工程用溶媒をそのまま採用することも出来るし、水、アルコールなどを採用し、その後、除去することも出来る。表面改質剤及び表面修飾剤は同時に無機材料前駆体に接触させても良いし、それぞれ独立に無機材料前駆体に接触させても良い。独立して接触させる場合には接触させる順序も問わない。
【0044】
無機材料前駆体としては無機材料中に含まれる元素(ジルコニウム、チタン、セリウム、ウラン、スズ、バナジウム、ニオブ、アンチモン、カルシウムなど)を含む金属アルコキシドが例示される。金属アルコキシドを加水分解すること(いわゆる、ゾルゲル法)で、それぞれ含有する元素の酸化物微粒子が得られる。そして、表面改質剤及び表面修飾剤の存在下で加水分解させることで、改質用有機材料及び修飾基を効率よく導入した改質無機材料を得ることが出来る。また、無機材料として酸化物を採用する場合にはその中に含まれる元素(ジルコニウム、チタン、セリウム、ウラン、スズ、バナジウム、ニオブ、アンチモン、カルシウムなど)の酸化物の微粒子(ナノメートルオーダーの微小粒子であることが望ましい)を採用することも出来る。
【0045】
表面改質剤は無機材料前駆体の表面に改質用有機材料を導入することが出来る化合物である。改質用有機材料は後述する混合工程用溶媒に対して親和性をもつ化合物であり、改質無機材料を混合工程用溶媒に溶解可能とするものである。改質用有機材料は無機材料前駆体の表面に共有結合により結合するものであっても良いし、イオン結合により結合するものであっても良いが、後述する活性化工程において容易に除去可能な結合を採用することが望ましい。例えば、アセト酢酸エステル類(アセト酢酸エチルなど)、1,3−ジケトン(アセチルアセトンなど)、アセトアセタミド類(N,N−ジメチルアミノアセトアセタミドなど)が挙げられる。
【0046】
表面修飾剤は有機高分子材料がもつイオン伝導性基との間で静電相互作用により引力を生じるカチオンをもつ修飾基を導入できる化合物である。修飾基としては塩基性官能基が好ましく、含窒素官能基、例えば、アミノ基、グアニジノ基、ピリジン環を含有する基が挙げられ、特に、アミノ基を採用することが望ましい。これらの修飾基を導入できる表面修飾剤としては特に限定しないが、後述する活性化工程において容易に除去可能な結合を採用することが望ましい。例えば、これらの修飾基を化学構造中にもつシランカップリング剤を採用することが望ましい。シランカップリング剤としては、1官能性の化合物、すなわちモノアルコキシシラン化合物、であって、架橋反応が進行しないものが望ましい。アミノ基を導入できるシランカップリング剤としては3−アミノプロピルジメチルエトキシシランが例示できる。
【0047】
混合工程用溶媒は有機高分子材料に親和性をもつ、1種の又は2種以上の極性有機溶媒であり、有機高分子材料を溶解することが可能である。従って、有機高分子材料の種類によって、採用できる極性有機溶媒の種類は変化する。例えば、有機高分子材料としてSPESを採用した場合には、混合工程用溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチルピロリドン、N−メチルアセトアミド及びN,N−ジメチルアセトアミドからなる群から選択される1以上の化合物が挙げられる。
【0048】
混合工程は有機高分子材料を混合工程用溶媒に溶解させた溶液と改質無機材料を混合工程用溶媒に溶解させた溶液とを混合する工程を採用することが望ましい。有機高分子材料及び改質無機材料はそれぞれ有機高分子材料溶解工程と改質無機材料溶解工程とにより、別々に溶解することで、より確実に溶解させることが出来る。そして、表面改質剤及び表面修飾剤を無機材料前駆体に接触させて改質無機材料を得る工程である改質・修飾工程を改質無機材料溶解工程の前にもつ。
【0049】
その他の工程として溶媒除去工程と活性化工程をもつことが望ましい。更に、混合・分散物を使用状態に適した形態に成形する工程をもつことが望ましい。膜状にする方法としては特に限定しないが、適正な板状体の上にキャスティングする方法や、適正な多孔質体からなる膜に浸漬させて細孔フィリング電解質膜とする方法などが挙げられる。また、燃料電池の触媒層に採用する場合には触媒層を形成する多孔質体(カーボンペーパーなど)に含浸させる方法がある。
【0050】
溶媒除去工程は混合工程にて用いた混合工程用溶媒を除去する工程である。混合工程用溶媒を除去する方法としては、無機材料と有機高分子材料との分散状態に悪影響を与えない方法であることが望ましく、蒸発による除去、有機高分子材料及び改質無機材料の貧溶媒へ浸漬することによる置換などが挙げられる。
【0051】
活性化工程は改質無機材料の表面に導入されている改質用有機材料及び/又は修飾基を除去する工程である。改質用有機材料及び/又は修飾基を除去する方法としては、それぞれの改質用有機材料及び修飾基の性質に応じて選択すれば良い。例えば、改質用有機材料としてアセト酢酸エステル類、1,3−ジケトン、アセトアセタミド類を採用し、修飾基を導入する表面修飾剤としてシランカップリング剤を採用した場合には、混合工程で得られた混合・分散物を使用形態に適した状態(膜に成形したり、多孔質体に含浸させたりする。混合工程用溶媒は除去されている)にした後、酸水溶液中に浸漬することで、加水分解反応などが進行して、改質用有機材料及び修飾基を除去することが出来る。ここで、酸としては、リン酸、硫酸、発煙硫酸、塩酸、硝酸、過塩素酸、亜硫酸及び亜硝酸からなる群から選択される少なくとも1種である酸を採用することが望ましい。特にリン酸を採用すると、改質用有機材料及び/又は修飾基を除去した後の改質無機材料の表面にイオン伝導性向上に寄与するホスホ基を導入することが可能になり、又、プロトン伝導性をもつ金属リン酸基に変換することも可能になるので望ましい。なお、本実施形態の有機−無機ハイブリッド電解質は燃料電池に採用する場合には燃料電池内の雰囲気によって活性化工程と類似の反応が進行して、導入されている改質用有機材料及び修飾基が除去されることも考えられる。また、改質用有機材料及び/又は修飾基が導入されている量によっては電解質の使用状態における性能発現に影響がない場合もあるので、その場合には活性化工程を行わなくても充分な性能を発揮できる。
【実施例】
【0052】
(改質無機材料の製造)
200mLのイソプロピルアルコール中に無機材料前駆体としてのテトラブトキシジルコニウム(Zr(OBt)4)を入れて30分間混合した。その後、表面改質剤としてのアセチルアセトン(AcAc)を加え、3時間撹拌した。更に、表面修飾剤としての3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン(APS)を加えて30分間撹拌した。
【0053】
その後、1Nの硝酸を加えて12時間撹拌し、テトラブトキシジルコニウムを加水分解すると共に、改質用有機材料としてのアセチルアセトンと修飾基としてのアミノ基をもつ3−アミノプロピルジメチルシリル基(シロキシ基)とを導入した改質無機材料を得た(改質・修飾工程:得られた粉末はAcAcとAPSとの存在により濃い黄色に着色した)。
【0054】
撹拌終了後、110℃で加熱を行い、溶媒を蒸発除去した後、トルエンで充分洗浄し、真空乾燥を行った。得られた粉末を本実施例の無機材料(改質無機材料)とした。ZrO2にAPSが反応したことの確認はFT−IRにより3300cm-1付近のアミノ基由来のピーク、1250cm-1付近のC−N結合由来のピークの存在により確認した。
【0055】
Zr(OBt)4、AcAc、HNO3、そしてAPSの混合比はモル数基準で、Zr(OBt)4が1に対して、AcAcが1又は2、HNO3が0.4、APSが0,0.5,0.75及び1.0とした。
【0056】
比較例の無機材料として、APSを添加せず(APSの添加量が0)に調製した無機材料(比較例1:AcAcによる処理を行い、APSにて処理していない無機材料:AcAcの存在により薄黄色に着色)と、APS及びAcAcの双方を添加せずに調製した無機材料(比較例2:AcAc及びAPSの双方共に処理を行っていない無機材料)とを用意した。双方共に加えない場合にはZrO2が生成し白色の粒子になった。AcACが存在しないので粒子が粗大化して、10nmのオーダーになった。
【0057】
(有機高分子材料(SPES)の合成)
SPESは3種類のモノマーを縮重合させることで合成した。3種のモノマーとしては、(A)3,3’−ジスルホン化−4,4’−ジクロロ−ジフェニルスルホンのナトリウム塩、(B)4,4’−ジクロロ−ジフェニルスルホン、(C)4,4’−ジヒドロキシジフェニルを採用した。(B)及び(C)の化合物は市販品を精製して用いた。(A)の化合物は(B)の化合物を発煙硫酸にて処理してスルホ基を導入して合成した。
【0058】
【化1】

【0059】
有機高分子材料の重合反応は、(A)と(B)とのモル数の和が(C)のモル数と等しくなるように混合して行った。(A)と(B)との混合比を変えることでスルホン化度を調整した。ここで、(A)が100%で(B)が0%のときのスルホン化度を1、(A)が0%で(B)が100%のときのスルホン化度を0とした。有機高分子材料としては幾つかのスルホン化度のものを調製した。
【0060】
所定のスルホン化度になるように、(A)と(B)とのモル比を調整した混合物のモル量と、(C)のモル量とを1:1になるように調整し、更に、(C)のモル量の1.25倍量の炭酸カリウムを加えて不活性雰囲気下、窒素をバブリングしながら180℃で重合反応を40時間程度行った。溶媒は1−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用い、(A)、(B)及び(C)の化合物が15質量%になるように調整した。
【0061】
得られた生成物に過剰量の8.2M塩酸を加えてイオン交換を行った。イソプロピルアルコール中に生成物を投入して再沈殿を行い、乾燥し、精製水で洗浄を行った後に真空乾燥を行うことで有機高分子材料を得た。
【0062】
(有機−無機ハイブリッド電解質の製造)
各実施例及び比較例の無機材料とSPESとのそれぞれについて、質量基準で20%、0.5%になるようにNMPに溶解させて溶液とした(有機高分子材料溶解工程、改質無機材料溶解工程)。ここで、NMPは混合工程用溶媒として用いられており、有機高分子材料を溶解する極性有機溶媒と改質無機材料を溶解する極性有機溶媒とが同一になっている。
【0063】
SPESの溶液に対して、各実施例及び比較例の無機材料の溶液を等質量加えて混合することで分散させた。
【0064】
(評価)
(無機材料の体積平均粒径)
Zr(OBt)2のモル量を基準として、AcAcの添加量比が1.2の場合でのNMP中における体積平均粒径は、APSの添加量比が0のときには1.0nm、0.5のときには2.2nm、0.75のときには6.7nm、1.0のときには2.5nmであった。
【0065】
また、他日の実験結果ではSPESと混合する前の無機材料溶液中に含まれる粒子の体積平均粒径はAPSの添加が無い場合に2.2nm、APSを1.0添加した場合には2.7nmであり、SPES溶液を混合した後の体積平均粒径はAPSの添加が無い場合に12.2nm、APSを1.0添加した場合には4.8nmであった。つまり、APSを導入することで、SPESとの間の相互作用が強くなって粒径が小さくなったものと考えられる。
【0066】
(混合工程後の混合・分散の様子の観察)
APSを0.5、0.75、1.0添加した実施例の無機材料を用いると、溶液濃度が20質量%であっても、0.5質量%であっても混合後、透明な均一な溶液が得られた。また、SPESのスルホン化度に関わらずに混合後、透明な均一な溶液が得られた。
【0067】
それに対して、比較例1の無機材料を用いると、溶液の濃度が20質量%のときには透明な均一溶液が得られるが、溶液の濃度が0.5質量%のときには凝集体が析出し透明な均一溶液が得られなかった。また、SPESのスルホン化度の程度によっては凝集体が析出し透明な均一溶液が得られないことがあった。つまり、本実施例の無機材料を用いると広い範囲のスルホン化度において透明な均一溶液を調製することが可能であった。また、SPESの分子量を変化させた場合についても検討したが、本実施例の無機材料を採用すると、比較例1よりも広い分子量範囲にて透明な均一溶液を調製可能であった。そして、電解質の性能としては比較例1よりも実施例の方が高い性能を示した。
【0068】
すなわち、APSに接触させた各実施例の無機材料はAPSにて処理を行っていない比較例1に比べてSPESの溶液と混合したときに、透明な均一溶液になる条件の範囲が拡がっていること、更には、同様に透明な均一溶液が得られた場合であってもAPSにて処理を行うことで、より高度な分散状態が実現されていることが明らかになった。
【0069】
ここで、AcAc及びAPSの双方共に処理を行っていない比較例2の無機材料を用いると、比較例1の無機材料を用いた場合よりも更に透明な均一溶液が調製できる条件の範囲が狭くなった。
【0070】
(電解質膜の作成)
各実施例及び比較例の均一に混合された混合溶液を表面が平滑なガラス板上に薄く延ばした。その後、90℃で3時間以上乾燥させることで製膜を行った。得られた膜を2Mのリン酸水溶液中に浸漬し、80℃で12時間以上反応させた後、充分に水洗した。なお、比較例1及び2の混合溶液から作成した膜と比較して、実施例の混合溶液から作成した膜は、電解質としての性能に優れていることが明らかになった。これは、実施例における無機材料と有機高分子材料との混合・分散が比較例1及び2よりも高度に実現できたことに起因するものと考えられる。例えば、実施例の電解質では活性化工程を行わなくても比較例1や比較例2の電解質よりも高い性能を発揮する電解質が得られる場合もあった。
【0071】
(活性化工程の評価)
リン酸水溶液中に浸漬することで、ZrO2に導入されたAcAc及びAPSが脱離すること、そして、リン酸ジルコニウムが生成することを確認した。具体的には各実施例の無機材料について、リン酸水溶液中に浸漬した後、洗浄した試料と、そのままの試料とについてTG−MSにて熱分解挙動を調べた。リン酸水溶液による処理を行っていない試料では、200〜300℃程度にてAcAcの脱離に由来するピークが観測され、400℃付近ではAPS由来のピークが観測されたのに対して、リン酸水溶液にて処理した試料においてはAcAcに由来するピークもAPSに由来するピークも観測されなかった。更に、X線回折による評価により、リン酸ジルコニウムが生成していることが確認できた。同様に、SPESと混合して製造した有機−無機ハイブリッド電解質についてもリン酸水溶液中に浸漬することでAcAc及びAPSが脱離し、リン酸ジルコニウムが生成していることを確認している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン伝導性基をもつ有機高分子材料と、
前記有機高分子材料に親和性をもつ、1種の又は2種以上の極性有機溶媒である混合工程用溶媒と、
前記極性有機溶媒に親和性をもつ改質用有機材料を表面に導入する表面改質剤及び前記イオン伝導性基に対して静電相互作用により引力を生じる修飾基を表面に導入する表面修飾剤を無機材料前駆体に接触させて得られる改質無機材料と、
を混合・分散する混合工程を有することを特徴とする有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法。
【請求項2】
前記混合工程は、
前記混合工程用溶媒の一部に前記有機高分子材料を溶解する有機高分子材料溶解工程と、
前記表面改質剤及び前記表面修飾剤を前記無機材料前駆体に反応させて前記改質無機材料を得る改質・修飾工程と、
前記混合工程用溶媒の残部に前記改質無機材料を溶解する改質無機材料溶解工程と、
前記有機高分子材料溶液と前記改質無機材料溶液とを混合する溶液混合工程と、
を有する請求項1に記載の有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法。
【請求項3】
前記混合工程後に、前記混合工程用溶媒を除去する溶媒除去工程と、
前記改質用有機材料及び/又は前記修飾基を除去する活性化工程とを有する請求項1又は2に記載の有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法。
【請求項4】
前記有機高分子材料がもつ前記イオン伝導性基はプロトン供与性基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法。
【請求項5】
前記イオン伝導性基はスルホ基であり、
前記修飾基はアミノ基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法。
【請求項6】
前記表面修飾剤はシランカップリング剤である請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法。
【請求項7】
前記表面修飾剤は3−アミノプロピルジメチルエトキシシランである請求項6に記載の有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法。
【請求項8】
前記無機材料前駆体はジルコニウム、チタン、セリウム、ウラン、スズ、バナジウム、ニオブ、アンチモン及びカルシウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む金属アルコキシドであり、
前記改質・修飾工程は前記金属アルコキシドを前記シランカップリング剤の存在下、前記金属アルコキシドを加水分解する工程である請求項6又は7に記載の有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法。
【請求項9】
前記表面改質剤はアセト酢酸エステル類、1,3−ジケトン及びアセトアセタミド類からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法。
【請求項10】
前記活性化工程はリン酸、硫酸、発煙硫酸、塩酸、硝酸、過塩素酸、亜硫酸及び亜硝酸からなる群から選択される少なくとも1種である酸を接触させる工程である請求項3〜9のいずれか1項に記載の有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法。
【請求項11】
前記無機材料前駆体はジルコニウム化合物、チタン化合物、セリウム化合物、ウラン化合物、スズ化合物、バナジウム化合物、ニオブ化合物、アンチモン化合物、カルシウム・ヒドロキシアパタイト及び水和カルシウム・ヒドロキシアパタイトからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法。
【請求項12】
前記極性有機溶媒はN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチルピロリドン、N−メチルアセトアミド及びN,N−ジメチルアセトアミドからなる群から選択される1以上の化合物である請求項1〜11のいずれか1項に記載の有機−無機ハイブリッド電解質の製造方法。
【請求項13】
アニオンであるイオン伝導性基をもつ有機高分子材料と、
改質用有機材料を表面に導入する表面改質剤及び前記イオン伝導性基に対して静電相互作用により引力を生じるカチオンをもつ修飾基を表面に導入する表面修飾剤を無機材料前駆体に接触させて得られ且つ前記有機高分子材料に混合・分散されている改質無機材料と、
を有することを特徴とする有機−無機ハイブリッド電解質。

【公開番号】特開2009−43682(P2009−43682A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−210372(P2007−210372)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年2月21日開催、国立大学法人東京大学主催「平成18年度東京大学工学部化学システム工学科卒業論文本発表会」
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】