有機および/または無機粒子を含む不織布製品およびこの製造方法
【課題】有機および/または無機粒子を含む不織布製品およびこの製造方法を提供すること。
【解決手段】1未満の体積密度を有し、少なくとも1回の機械的または水圧のニードリング操作を受けていた合成繊維またはフィラメントの少なくとも2枚の層によって形成されており、その製品内で単一モードまたは多モードのかたちで分布されフィラメントまたは繊維を互いに少なくとも点連結できる結合材によって少なくとも部分的にコーティングされまたは封入された無機および/または有機粒子の形態において、粒状原料を一体化もする可撓性の不織布製品であって、有機および/または無機粒子(「大粒子」と呼ぶ)の少なくとも1つの集団または分画が次式のようなサイズを有することを特徴とする不織布製品。
(式中SMfは、形成する繊維またはフィラメントの平均断面積に相当し、vは有機または無機の粒子の平均のそれぞれの体積を表す。)。
【解決手段】1未満の体積密度を有し、少なくとも1回の機械的または水圧のニードリング操作を受けていた合成繊維またはフィラメントの少なくとも2枚の層によって形成されており、その製品内で単一モードまたは多モードのかたちで分布されフィラメントまたは繊維を互いに少なくとも点連結できる結合材によって少なくとも部分的にコーティングされまたは封入された無機および/または有機粒子の形態において、粒状原料を一体化もする可撓性の不織布製品であって、有機および/または無機粒子(「大粒子」と呼ぶ)の少なくとも1つの集団または分画が次式のようなサイズを有することを特徴とする不織布製品。
(式中SMfは、形成する繊維またはフィラメントの平均断面積に相当し、vは有機または無機の粒子の平均のそれぞれの体積を表す。)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成繊維素材で形成された不織布を主体とする基材の分野に関する。
【0002】
これは、熱可塑性ポリマーで形成され、化学的に連結されたフィラメントまたは繊維からなる枠または基材の形態をした可撓性および寸法安定性のある不織布製品、ならびにこの製造方法に関する。
【0003】
より詳細には、本発明の目的は、たとえば、含浸、コーティングまたは分散の段階の間に結合剤内で一体化されて、これにより架橋後の樹脂によって部分的にまたは全体的に封入される無機および/または有機原料の使用によって、化学的に連結された連続繊維またはフィラメントで形成された不織布生地の物理的および機械的性質を強化することである。
【0004】
粒径および/または性質の異なる集団の混合物からなることができる無機および/または有機粒状原料により、不織布製品を構成している繊維の網状組織の層間の連結の数と場合によってフィラメントまたは繊維間の連結点のサイズの両方を増強することが可能になる。
【背景技術】
【0005】
上述の分野において、経済的または環境的理由のために、成分を低減することによってまたは洗練されていないが、耐久性のあるもしくは更新の可能性のあるもしくは再利用の可能性のあるもしくはエネルギー含量のより低い製品を使用することによって新規な不織布製品を製造するというのが現在の傾向である。
【0006】
同時に、生産コストを下げようとする欲求が、製造業者にますます速く製造するようにし向けるとともに、ますます高い要件に対処させるのである。
【0007】
枠として使用される不織布製品の機械的性質および高温安定性は、熱的記憶効果のために、瀝青の形成の間または類似した制約下の高温処理の間の変形に対する適性と同様に最終用途における品質および耐久性の要件に対してまったく決定的な因子になる。
【0008】
現在、これらの枠は80g/m2から350g/m2までの不織布からなることがしばしばであり、これらの枠はホモポリマーの基材の場合には連結され化学的に安定化させることができまたは2種のポリマーからなる表面が使用される場合にはこれらのうちの1種を溶融することによって熱的に安定化させることができる。
【0009】
場合によって、ポリマーもしくは他の基材によって改変される瀝青を使用して含浸されコーティングされるように設計されまたは熱的制約(constraints)下で変形を受けるように設計される枠として使用される前に、これらの不織布の表面または製品は針金、格子、布帛またはガラスまたは非常に高い弾性率を有する合成ポリマー織布によって補強されてもよい。
【0010】
一般の方法において、これらの表面は、当業者にとって公知である湿式、乾式または溶融製造方法に従って層形成された後、繊維の網状組織の少なくとも部分的な凝集を確実にして、これによってその破裂強度のほとんどを網状組織に与えるために、表面の熱的および/または化学的強化の前に機械的なニードリングによってまたは水圧による結合によって混合される。
【0011】
その後生じる化学または熱結合は、不織布の表面または製品がこの表面または製品がさらされる恐れのある熱機械的制約に対して寸法変化のないようにすることを目的としている。
【0012】
機械的結合もしくは水圧による結合もしくは化学結合の前にまたは層形成の間に、針金、格子もしくはガラスもしくは非常に高い弾性率を有するポリマー織布材料によって、混合されたこれらの生地の考えられる追加的な補強は、これらのこのように安定化された繊維構造体の高温緊張(後処理または変形の温度において)下でのその変形をさらに減少させることを目的としている。
【0013】
実際に、これらの不織布の表面または層状の製品は、場所においても経時においても高い寸法安定性を必要とする。さらに、不織布の表面または層状の製品は、これらの製造または変形の間に、これらが使用中または最終的な実現の間にこうむるよりもずっと高い強度の機械的および熱的制約を同時にこうむる。
【0014】
不織布製品の多数の種類が、多少とも満足なかたちで上述の要件ならびにこれらの製造方法が満たされており、すでに提案されてこの分野では公知である。
【0015】
したがって、仏国特許FR 88 16711は、寸法安定性の良好な扁平な物品のための不織布材料を主体とする基材の製造方法について記載しており、その不織布材料は、化学的にまたは熱的に結合されることができ、20から500g/m2の重量を有し、好ましくは50GPa超の高弾性率を有する連続糸条によって長手方向に補強されている。得られた不織布製品において、180℃の温度の下、幅1メートル当たり少なくとも80Nの制約の下で、ガラス糸条は破断して、低温条件下の弾性率は補強している糸の有無にかかわらず同じである。高温条件下の寸法安定性および変形能は、このように標準の不織布製品を基準として基本的に強化される。
【0016】
封止枠の産業界において使用される不織布製品のための水性の化学結合剤の組成および
約200℃における架橋機構は、文献US 6 221 973によって公知である。これらの結合剤は、少なくとも2個のカルボキシル基を含むポリ酸、少なくとも2個の水酸基を含む1つの多価アルコールおよび促進剤の混合物からなる。
【0017】
新しい国際規格を満たすように、この米国文献によって開示された結合剤を形成する得られた樹脂は、実質的にホルムアルデヒドを含まない。この樹脂は、瀝青を含有するコーティングを製造するために設計されたガラス繊維で形成された不織布基材に含浸される。ガラス繊維はアスファルト用途の間に遭遇する温度範囲の影響を受けないので、したがって結合剤の本質的な機能は、許容できる耐性を生じさせることによって表面の機械的な収縮を防止するように、化学結合点の剛性と粘着性により繊維の凝集を確実にすることであり、このことによって表面は事前に強化されない。
【0018】
ポリエステルで形成された枠およびさらに一般的に熱可塑性ポリマーで形成された不織布製品とは異なり、この米国文献に記載されている構造物を構成するガラス繊維または糸条は、及ぼされる高い緊張および温度に関連した構造改変を受けないので、したがって使用中に起こる温度サイクルの間に残留収縮挙動を生じる恐れがある。
【0019】
不織布の表層を強化することを可能にする結合剤の多数の他の例は、従来技術たとえば文献US 4 076 917、EP 0 583 086およびWO 97/31036において公知である。
【0020】
特定の最近の用途または製品/市場の要件は、不織布製品の厚さの増加と相俟って非常に良好な寸法安定性を同時に要求する。
【0021】
技術的および経済的制約から必ずしも表面重量の増加が可能でないので、したがって製品の密度の低減に作用することが必要であり、通常、0.15から0.3または連結される材料の真空時に基づいて約70から80%までの範囲にある。
【0022】
一定の坪量を有する厚さのこの増加が、Z軸に沿って上に重ね合わされた層のフィラメントまたは繊維との間の距離の増加によって、連結点の数ならびにサイズに悪影響を及ぼし、したがって当該不織布製品の安定性および/または弾性率に悪影響を及ぼすことは容易に理解される。
【0023】
文献US 6 299 936およびEP 1 664 418は、無機繊維からなり、絶縁に使用される非常に剛直な厚い製品(>1cm)を製造する目的で、ホウ素、ガラスケイ酸塩または繊維などの無機原料を用いて場合によって補充される40%から95%の水性希釈の架橋性樹脂の使用を引用している。
【0024】
これらの文献もまた、封止材の枠または布または紙の副層の可能な強化に関して、用途について言及している。しかしながら、前記基材は、ガラス繊維またはフィラメントだけからなっており、したがって、当該の分野の温度の影響を受けない。加えて、前記不織布製品は、事前の水圧によるまたは機械的なニードリング型の混合によって連結されておらず網状組織をかなり弱めている。
【0025】
さらに、文献US 2009/0048371は、合成繊維または人造繊維で形成された不織布に基づいて、2つの表面上に瀝青を含有するシーリング膜を製造することを記載しており、このシーリング膜は、少なくとも1種の化学結合剤および水酸化アルミニウムの混合物によって強化される。
【0026】
乾燥および結合剤の架橋は、190℃から210℃の温度において約0.5分から約5分、好ましくは1.3分から3.0分の間で行うことが好ましい。乾燥結合剤の重量比は、連結される不織布製品の重量の15から20%(0.5%から30%)の間が好ましい。水酸化アルミニウムは、乾燥した化学結合剤の比率の10%から100%の比率で、混合される。そして、水酸化アルミニウム粒子の粒径は、0.5μmから50μmの範囲であり、0.9μmから5μmの間が好ましい。次いで、不織布層は、瀝青でコーティングまたは含浸されて膜を形成する。
【0027】
この米国文献は、このように製造された表面の破壊負荷および熱安定性が強化されることを主張している。
【0028】
それにもかかわらず、引用された比較例において、破壊負荷の非常に有意な低下および変形能の増加が、炭酸カルシウムまたはカオリン10部の使用中に特に顕著である。
【0029】
文献BE 858 986は、ポリマー、エマルジョンによって形成される結合剤および布帛の機械強度を増大させるように設計されている不活性な原料の混合物を含む結合剤の用途を記載している。連結される表面は坪量の軽い合成、天然および/または人造繊維の混合物からなり、布帛の凝集および最終的な性質は、繊維の分解を防止するまたは耐分解性を強化するように設定するこの結合剤を使用するだけで確実にされる。
【0030】
これらの表面の平均表面重量は25から35g/m2のオーダーであり、より重い表面の製造は、それぞれの表面の重合せおよびその後の連結によって確実にされる。
【0031】
牽引によって到達する最も有利な強度レベルは、使用される無機原料によって強化されたとしても、非常に低く、50Nから80N/5cmのオーダーで100g/m2と算出される。これらの値は、封止枠を形成する不織布製品の値と比較されて、値は5から10倍より大きいオーダーであるので、同じ最終重量については250から350N/5cmに到達する。
【0032】
このベルギー文献に記載されている製品の応用分野は、主としてほぼ使い捨てであるまたは断熱を目的とする生地の枠組みの範囲内である。これらの不織布製品は、凝集ならびに得られた機械的性質のレベルの弱さのゆえに、封止枠または熱的に安定な基材の枠組みの範囲内での使用にとって不適当である。ケイ酸カルシウムなど特定の原料が不織布製品の強度の損失を引き起こすこともまた示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】仏国特許第8816711号明細書
【特許文献2】米国特許第6221973号明細書
【特許文献3】米国特許第4076917号明細書
【特許文献4】欧州特許第0583086号明細書
【特許文献5】国際公開第97/31036号
【特許文献6】米国特許第6299936号明細書
【特許文献7】欧州特許第1664418号明細書
【特許文献8】米国特許出願第2009/0048371号明細書
【特許文献9】ベルギー特許第858986号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
本発明の目的は、1未満の密度で、(1つまたは複数の)合成材料を主体とし少なくとも1種の結合剤を一体化している可撓性の不織布製品に関し、特に製品の異なる層に属する繊維またはフィラメントの間、好ましくは同じ層の繊維またはフィラメントの間での連結点のサイズおよび数を増加することによって、この製品の物理的および機械的性質を強化することである。
【0035】
さらにまた本発明によって、有利には、物理的および/または機械的性質とりわけ不織布基材の製造、特に架橋可能な化学結合剤によって強化するための弾性挙動および低温および高温条件下の変形能を、調節、改変または強化することも可能になるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0036】
この目的のために、本発明は、1未満の体積密度を有し、製品のXY平面に対して垂直なZ方向において重ね合わされ少なくとも1回の機械的または水圧のニードリング操作を受けていた合成繊維またはフィラメントの少なくとも2枚の層によって形成されており、これによって、その製品内で単一モードまたは多モードのかたちで分布されフィラメントまたは繊維を互いに少なくとも点連結できる結合材によって少なくとも部分的にコーティングされまたは封入された無機および/または有機粒子の形態において、粒状原料を一体化もする可撓性の不織布製品であって、有機および/または無機粒子(「大粒子」と呼ぶ)の少なくとも1つの集団または分画が、次式のようなサイズを有することを特徴とする不織布製品
【0037】
【数1】
好ましくは
【0038】
【数2】
(式中、SMfは不織布製品の層を形成する繊維またはフィラメントの平均断面積に相当し、vは有機または無機の粒子の平均のそれぞれの体積を表す。)を目的とする。
【0039】
大粒子は、不織布製品内に存在し、同じ層の節、編み目、繊維およびフィラメントとの間におよび不織布製品を形成する重ね合わされた層との間に、架橋または連結を生じさせる粒状原料の大多数の分画を、重量および/または体積の点で有利に構成している。
【0040】
本発明の好適な変形実施形態によれば、不織布製品は以下の特性のうちの少なくとも1つを有する。
−大粒子は、d≧3×DMf、好ましくはd≧5×DMfのような、少なくとも1つの寸法dを有する(式中、DMfは不織布製品の層を形成する繊維またはフィラメントの平均直径に相当する)。
−大粒子は、不織布製品の層の可視孔の平均サイズの少なくとも20%に相当する平均サイズを有し、その可視孔は不織布製品のXY平面に対して垂直なZ方向に見ることができる。
【0041】
フィラメント繊維が通常の範囲内の公称値を有する不織布製品の枠組み内で、大粒子が有利なことに約50μm超、好ましくは約60μm超である平均粒径を有する。
【0042】
大粒子の有意なサイズは分離された層の繊維およびフィラメントの間で連結および架橋を確立するために有益であるが、これらの大粒子が、不織布製品の繊維の網状組織内に導入されることができることおよびさらに、大粒子が、局部的な余分な厚さ(層の変形によってまたは突出することによって)を生み出さないことはそれにもかかわらず必要なことである。したがって、大粒子が不織布製品の厚さ内におさまることができるように大粒子のサイズが適合させられることも必要である。
【0043】
本発明者らは、大粒子のそれぞれの体積vが、以下の不等式を立証する場合に、これらの目的が達成された点に注目した
【0044】
【数3】
好ましくは
【0045】
【数4】
【0046】
以下の2つの構成のうちの少なくとも1つがまた立証されることが好ましい。
−大粒子は、前記製品のXY平面に対して垂直なZ方向において見た不織布製品の層の可視孔の平均サイズの約120%未満、好ましくは約100%未満である平均サイズを有する。
−大粒子は、約400μm未満、有利には約300μm未満、好ましくは約200μm未満の平均粒径を有する。
【0047】
品質を強化して、同じ層の繊維またはフィラメントとの間に連結の数を増大させるために、無機および/または有機粒状原料がまた、その粒径が30μm未満、好ましくは20μm未満である粒子の集団または分画をさらに含む。
【0048】
本発明の有利な実施形態と一致して、無機および/または有機原料は、不織布製品の層を形成する繊維またはフィラメントの重量の1%から30%の間、好ましくは5%から25%の間の重量比率で存在する。
【0049】
本明細書において、層とはXY平面において配向し、同じ面においてわずかに混合している一組のフィラメントまたは繊維の重合せとして定義する。
【0050】
溶融方法(連続フィラメント)の場合、紡糸速度(一般に30から120m/s)は、層形成の間カーテン状または束状のフィラメントが、多少とも束で、それ自身の上に「ドサッと落ち」、層形成プラットホームに広げられることによって、本発明によって目標とする数平方ミリメートル以下のミクロナッピング層(ミクロ層、副層)をこのように形成するようなものである。
【0051】
乾式または湿式方法の場合、あらかじめ個々に区別された繊維は層形成プラットホーム上に束になって連続的に堆積され、このようにして上記定義の通りミクロ層形成による層を形成する。
【0052】
この層形成システムは、場合によりいくつかのカーテンまたは束の重合せを引き起こすことができ、したがって、フィラメントまたは繊維のこれらの副層の層を製造して終了する。これはマルチカーテン方法(連続フィラメント)または乾式方法の場合であり、そこにおいて、布帛は互いに重ね合わされる。
【0053】
もちろん、層状の層は、前に連結された異なる不織布を集合させることによって製造させることができる。本書において言及されるZ架橋は、これらの界面における層または「副層」または「ミクロ層」に等しく属している。
【0054】
不織布製品が製造、加工または用途のその段階の間に、通常曝露される温度の範囲において温度のいかなる影響も防止する目的のために、無機および/または有機粒子を形成している(1種または複数の)材料は、必要に応じて結合剤の活性化、架橋または乾燥の融点において、層の繊維またはフィラメントを形成している(1種または複数の)材料の融点より高い融点を有する。
【0055】
変形形態として、考慮される用途および不織布製品のために目標とされる性質に基づいて、有機粒子の融点が繊維またはフィラメントの融点未満であり、適宜、結合剤を形成する材料のヒートセット、乾燥、活性化または架橋の温度未満または超であるものとすることができる。
【0056】
本発明の追加的であり有利である特性によれば、以下のことが可能となる。
−100μm超、有利には60μm超、好ましくは20μm超の粒径を有する原料を形成している粒子は、有機的性質または起源を有する。
−無機および/または有機原料を形成している粒子の一部は、温度で膨張させることができる粒子からなる。
【0057】
繊維またはフィラメントを形成している合成材料は、いかなる材料であってもよいとはいえ、これが不織布の製造に適しており、考慮される用途に適しているならば、不織布製品の層を形成する連続繊維またはフィラメントは、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ならびにこれらの異なるポリマーのコポリマー、これらの異なるポリマーおよびコポリマーの可能な混合物によって形成される群から選択される熱可塑性ポリマー材料を主体とする。
【0058】
不織布製品の構造上の凝集を増加させ、目標とされた範囲および特性の範囲内でその性能レベルを強化するために、不織布製品は場合によって2層以上の構成層においてまたは構成層の間に、高い安定性の特性を有するフィラメント、(1種または複数の)格子および/または生地の形態において補強構造を一体化し、これにより結合剤によって少なくとも部分的にコーティングされまたは封入される無機および/または有機粒子が剛直な連結を確立するまたはこれらの補強構造と層のフィラメントまたは繊維の間に前記結合剤によって架橋を生じることができる。
【0059】
本発明の好適な変形実施形態と一致して、以下のことも可能となる。
−無機粒子を形成する材料は、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウムまたは水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、粘土、カオリン、水晶、タルクなどの炭酸塩、ケイ酸塩および硫酸塩ならびに酸化チタン、ボーキサイトおよびギブサイトなどの酸化物および水酸化物によって形成される群から選択される。
−有機粒子を形成する材料は、木、リグニンなどの繊維状または粒状のセルロース、黒鉛、たとえばエポキシおよびベークライト(登録名称)などの微粉化されたヒートセット性再利用ポリマー、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PA(ポリアミド)ならびにこれらのコポリマーなどの微粉化された熱可塑性ポリマーによって形成される群から選択される。および/または
−結合剤を形成する材料は、ホルムアルデヒドを含むまたは含まない樹脂、アクリレート、スチレンアクリレート、酢酸ビニル、メタクリレート、ビニルアクリレート、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、エチルビニルアセテート、スチレンブタジエン、ビニルアルコール、ブタジエンアクリレート、ポリウレタン、シリコーンを主体とするエマルジョン内または分散液内の液状樹脂、ならびにフェノール、メラミン、尿素、エポキシ、アルキドおよびポリエステルを主体とする架橋性樹脂によって形成される群から選択される。
【0060】
本発明は、1未満の体積密度を有し、製品のXY平面に対して垂直なZ方向において重ね合わされ、少なくとも1回の機械的または水圧のニードリング操作を受けていた繊維またはフィラメントの少なくとも2枚の層によって形成されており、これによってその製品内に単一モードまたは多モードのかたちで分布され、フィラメントまたは繊維を互いに少なくとも点連結できる結合材によって少なくとも部分的にコーティングされまたは封入された無機および/または有機粒子の形態において、粒状原料を一体化もする、可撓性の不織布製品の製造方法をもまた目的とする。
【0061】
本発明によれば、この方法は、特に−事前に、同時にまたは続いて−繊維またはフィラメントの層の中および/またはこれらの間の結合材を一体化することと、有機および/または無機の粒子(「大粒子」と呼ぶ)の少なくとも1つの集団または分画を含む無機および/または有機粒状原料を混合するためのステージを行うこととにある。さらに、大粒子は次式のようにそれぞれの体積を有する
【0062】
【数5】
好ましくは
【0063】
【数6】
(式中、SMfは、不織布製品の層を形成する繊維またはフィラメントの平均断面積に相当し、vは有機または無機の粒子の平均のそれぞれの体積を表す。)。
【0064】
好適なかたちで、不織布製品中に混合された大粒子は上記の粒子に相当し、これによって、ニードリング操作は不織布製品の層の、中および間に粒状原料を導入する前または後に行う。
【0065】
また、同じ層の繊維またはフィラメントの間に、連結点を増大させるまたは補強するために、混合された無機および/または有機粒状原料は粒径が30μm未満、好ましくは20μm未満である粒子の集団または分画をもまた含むことは有利である。
【0066】
この方法は、不織布製品の層を形成している繊維またはフィラメントの重量の1%から30%の間、好ましくは5%から25%の間の重量比を有する不織布製品内の無機および/または有機原料を混合することにある。
【0067】
無機および/または有機粒子のすべてが不織布製品において同時に混合され、化学結合剤と事前にまたは同時に混合されることは、この方法の第1の変形実施形態と一致する。
【0068】
無機粒子および有機粒子が不織布製品において異なるかたちで混合され、これによって、無機粒子は有機粒子に続いて導入されることは、この方法の第2の変形実施形態と一致する。
【0069】
無機および/または有機粒子を形成している(1種または複数の)材料の融点は、上記のように、必要に応じて結合剤の活性化、架橋または乾燥の融点において、層の繊維またはフィラメントを形成している(1種または複数の)材料の融点未満、同等の融点または融点超であってもよい。
【0070】
本発明による方法の枠組みの範囲内で、以下のことも可能となる。
−100μm超、有利には60μm超、好ましくは20μm超の粒径を有する粒子は、有機的性質または起源を有する。
−無機および/または有機原料を形成する粒子の一部は、温度で膨張させることができる粒子からなる。および/または
−不織布製品の層を形成する連続繊維またはフィラメントは、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレンと同様にこれらの異なるポリマーのコポリマーならびにこれらの異なるポリマーおよびコポリマーの可能な混合物によって形成される群から選択される熱可塑性ポリマー材料を主体とする。
【0071】
無機および/または有機粒子の沈降または凝集を防止するために、粒子の密度が結合剤の密度より約30%大きい、好ましくは約20%大きい場合には、この方法は、含浸によって粒状の原料および結合剤を導入する場合に、チキソトロープ剤または分散化剤を使用することにある。
【0072】
最終的に、不織布製品において−場合によって、2枚以上の構成層においてまたは構成層の間で−高い安定化特性を備えたフィラメント、(1つまたは複数の)格子および/または生地の形態で補強部材を一体化することも提供することができ、これによって、結合剤により少なくとも部分的にコーティングされまたは封入される無機および/または有機粒子は、これらの補強部材と層のフィラメントまたは繊維との間に前記結合剤によって、剛直な連結を確立するまたは架橋を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】電子顕微鏡で撮影した撮影画像であり、不織布のニードリングによる混合を示す。
【図2】結合剤の距離の例を示している層の中に存在する不織布の断面図を電子顕微鏡で撮影した撮影画像である。
【図3A】負荷分散を示すグラフである。
【図3B】平均繊維間距離を示すグラフである。
【図4】伸長に対する抵抗を示すグラフである。
【図5】伸長弾性率に対する抵抗を示すグラフである。
【図6】実施例2に従って製造された不織布製品の50Nにおける伸長曲線を示すグラフである。
【図7】実施例2に従って製造された不織布製品のクリープを示すグラフである。
【図8】実施例2と一致している不織布製品の断面図撮影画像である。
【図9】電子顕微鏡で撮影した撮影画像であり、大粒子および不織布のフィラメントおよび孔に対する後者の相対的な大きさによって得られる架橋を示す。
【図10】電子顕微鏡で撮影した撮影画像であり、大粒子および不織布のフィラメントおよび孔に対する後者の相対的な大きさによって得られる架橋を示す。
【図11】表8からも得られる高温動力測定試験(変形/負荷曲線)の結果を示すグラフである。
【図12】実施例4に従う試料の電子顕微鏡撮影画像であり、大粒子(架橋後のポリエチレン+アクリル結合剤原料)の存在によって生じる架橋部位を示す。
【発明を実施するための形態】
【0074】
本発明は下記の説明により、より良く理解されよう。この説明は好ましい実施形態に関するものであり、限定されない例として提供されたものである。
【0075】
本発明による不織布製品の製造方法は、当業者にとって公知である操作を部分的に実施する。
【0076】
このように、不織布製品の繊維またはフィラメントの層は、乾式方法または溶融方法または湿式方法によって公知のかたちで得られる。
【0077】
実行される上述の方法に関係なく、フィラメントの配向は、XY平面内の層において大部分分布していると判明した。強い結合は、もともとZ軸に沿ってわずかしか存在していない。
【0078】
機械的ニードリングまたは水圧結合などの混合方法により、製品の厚さ方向において、扁平な層内に、まず表面繊維またはフィラメントを部分的に配向させることが可能になる。円滑なまたは間欠的なならびに熱風を通過させるカレンダー処理によりポリマーの部分的および特定の溶融によって熱機械的にこの網状組織を固定することもまた可能になる。この種の結合がなければ、不織布には実質的に機械的保持がないことになる。
【0079】
ニードリングによる混合の場合には、一般に作られる穿孔の数は、1cm2につき20から150個の穿孔数の範囲であり、通例1cm2につき25から70個の穿孔数の範囲である。したがって、穿孔のこの割合は、2本の分離した針は同じ箇所を穿孔しないとすると、(しかしながら、これは比較的しばしば起こることであるが)z軸方向に1から2mmごとに大部分のフィラメント結合または節が形成されることになる。
【0080】
繊維の網状組織の化学結合による凝集は、繊維またはフィラメントの交差箇所において達成されるが、製品の厚さ(Z方向の重合せ)内の重ね合わせた層の異なるXY平面において交差したマルチフィラメントの堆積物の位置において、主に起こる。
【0081】
交差する繊維もしくはフィラメントまたは繊維もしくはフィラメントの束だけが、結合に関与する。互いに連結している平行なフィラメントまたは網状組織の遊離モノフィラメントの部分は、これによって網状組織を補強することに有意に関与することなくコア/シース型のコーティングによって、樹脂を消費する。
【0082】
Z軸方向の結合についていえば、この結合は、層が接触する場合に、対応する交差箇所においてこれらの層(strata or layers)を互いに接着させることによって形成される。
【0083】
表面重量を維持したまま不織布製品の厚さを増加させることは、必然的に層(layers or strata)間の連結点の減少ひいては、前記製品の構造上の凝集ならびに物理的および機械的性質の減少を伴う。
【0084】
とりわけ本発明の目的は、先に定義した寸法の基準の1つまたは複数を満たす大粒子を特に含んでいる無機および/または有機原料の導入を提案することによって、この欠点を矯正することである。
【0085】
粒状原料の混合は、特に結合剤のタイプおよび導入の方法に基づいて、不織布製品の製造の異なるかたちでおよび異なる段階において行うことができる。
【0086】
有利には、原料が導入されると同時に含浸によって、結合剤の導入を行うことができる。
【0087】
加えて、この粒状原料は、所望の追加的な粒子の性質に基づいて異なる粒子集団または分画を有することができる。
【0088】
少なくとも2種の平均粒子径の混合物の形態で結合樹脂(不織布層を含浸するように設計された)内に無機または有機原料を添加することにより結合点のサイズおよび主として数を人工的に増大させることが可能になる。
【0089】
不織布内の一般に製造された繊維またはフィラメントの直径のサイズ(15から30マイクロメータ)より3から10倍のオーダー大きい粒径、すなわち無機または有機原料については50から150マイクロメートルまでのサイズを使用することによりZ軸方向の追加的な架橋を確実にすることによって潜在的な結合点の数を増大させることが可能になる。
【0090】
0.5から20ミクロンまでの相当直径を有する小さい粒径は、既存の結合点のサイズまたは重量を統計学的に当然増加させる。
【0091】
特に最小の粒径については、分散化剤の使用により、粒子の再凝集を防止し、したがって表面またはこのように構成される製品の高温条件下の弾性率を積極的に強化する。
【0092】
無機原料の密度に基づいて、−粒径が30μm超から50μmまで増加する場合は−沈降を防止して、化学結合剤中におよびその後不織布マトリックス中にこれらの負荷の完全分散を確実にする増粘チキソトロープ剤を使用することが望ましい。沈降を防止するこの剤は、原料が有機物由来の場合にこれらの密度がはるかに低い(0.8から1.4の間)ので、一般に必要でない。非常に大きい粒径(特に100μm超)については、有機原料が使用されることが好ましい。
【0093】
同様に、一定の表面重量を有する製品の厚さを増加させるための研究の枠組みの中で、たとえば、熱的に膨張可能なマイクロスフェアの使用は、有利であることを証明することができる(たとえば文献WO 2006/068 574を参照されたい)。それにもかかわらず、製品の厚さの増加は、低温条件下ならびに高温条件下での寸法安定性の損失または伸度の増加または弾性率の減少を犠牲にする恐れがある。実際には、Z軸方向の連結節間の距離は増加し、凝集および結合点の数をますます減少させる。
【0094】
Z軸方向における剛直な無機または有機原料を備えた本発明による解決により、失われた連結点の代償によって、高温条件下の変形能のレベルを維持するまたは制限することが可能になり、導入比率および目標とされる柔軟性の範囲に基づいて高温条件下の変形能のレベルを強化することさえ可能になる。
【0095】
有利なかたちで、表面重量の有意な増加が必ずしも要求されない場合、無機原料の1/2から1/3の密度である有機原料の使用が有利であることが証明できる。これらの有機原料は、ポリエステル、ポリプロピレンまたはポリアミドまたはすべての熱可塑性またはヒートセット性ポリマーなどのポリマーを微粉化することによって、容易に得ることができる。瓶ポリマーの研削またはこれらの方法において再利用のための洗浄およびフレーク化から得られる微粉の回収により、相溶性を持ち不織布を構成するポリマーに非常に近い密度を有する材料を経済的に使用することが可能になる。
【0096】
ニードリングによる混合と比べると、このニードリングにより1cm2当たり30から70個の穿孔についてZ軸方向に1から2mmの間隔で存在する新規な交差および混合箇所を配向させることおよび作製することが可能になるが、40から60μm(またはフィラメントの直径の2から3倍)のサイズを有する原料を5g/m2で一体化することにより、原料の密度に基づいて潜在的な結合を備えた500から6,000個の追加的な点、すなわち製品1mm2当たり10から60ポイントを提供することになる。この構成により、必要に応じて、ニードリングによる穿孔の数を減らすことが可能になる(この技術が影響を及ぼす速度限界のために、この基準はしばしば生産性の障害となった)。
【0097】
図1は電子顕微鏡で撮影した撮影画像であり、不織布のニードリングによる混合を示す。
【0098】
架橋させることができる樹脂による不織布生地の化学結合は、一般に不織布の15から30重量%までの範囲の乾燥結合剤の割合で行われる。この結合剤の一部が、製品の凝集および安定性に関与しないのは、連結節間で平行な遊離フィラメントまたはフィラメントの束をもコーティングするからである。このように導入される樹脂の30%から50%が低温条件下または高温条件下での破裂強度または弾性率などの特定の所望の機械的性質に対して効果がないことを推定することが可能である。
【0099】
図2は、結合剤の距離を例示している層の中に存在する不織布の断面図を電子顕微鏡で撮影した撮影画像である。
【0100】
サイズおよび性質ならびに場合によって形状、密度および特性に適当な原料を使用することにより、導入される基材または多数の固定点との良好な相乗作用のため結合剤比率の低減によってまたは補強機能の強化によってこの収量を増大させることが可能になる。
【0101】
下表は、図3A(負荷分散)および図3B(平均繊維間距離)の曲線と関連して、1m2当たり15gの原料の比率についておよび2.2(密度)の無機粒子の密度について異なる粒径の無機原料の理想的な距離のシミュレーションを示す。
【0102】
【表1】
【0103】
【表2】
【0104】
以下の実施例1から4は、従来技術(実施例1)による不織布製品および本発明による(実施例2から4)不織布製品の異なる変形実施形態を示す。
【0105】
(実施例)
【実施例1】
【0106】
(粒状原料なし)
6.0dtexの連続ポリエステルフィラメントの表面は、いわゆる「スパンボンド」方法に従って、表面重量125および155g/m2の2水準で調製された。これは、文献FR 88 16711に記載された方法に従って層の中央に導入された68Texのガラス糸条による補強の目的であった。
【0107】
次いでこれらの表面は、20m/分の速度で、面につき1回の割合で直径130μmのノズルを使用して、130から210バールの4つの異なる圧力レベルの水圧で連結された。これによって開口部は0.8mmの間隔になる。これらの試験は、以下の表2においてE1からE8まで番号がつけられる。
【0108】
これらの表面は、次いで巻き取られ、全体浴において88%のアクリル樹脂および12%のメラミンからなる結合剤を70%希釈で使用して、12m/分の速度で含浸された。結合剤は、乾燥され、次いで、215℃の温度の第1のドラム上および直列に接続されている135℃の第2のドラム上で架橋された。
【0109】
搬送レベルは、不織布の重量に対して乾燥条件下で12から24%までの範囲において理論的に変化するようなかたちで、調整された。(これらの試験は、下の表でE1.1からE1.1.2の番号がつけられる)。
【0110】
【表3】
【0111】
異なる性質の結果が、満たされるように2次の多項式法によってモデル化された。14%から16%までの結合樹脂のレベルを超えると、不織布の機械的性質は実質的にもはや変化せず、樹脂の効果が非常に低いことを示すが、それにもかかわらずポリエステルフィラメントの網状組織のマルチフィラメント接合部/交差箇所において十分な凝集を保証するために必要と思われる。樹脂の約50%が網状組織の外側の節/交差フィラメントを主にコーティングするように思われる。このようにこれらの節を増加させることにより、樹脂レベルを最小化することを可能にしまたは機械的性質を改良することを可能にしまたは搬送レベルに対して不織布の性質に影響を及ぼさないようにすることを可能にする。樹脂レベルの寄与は、これらの交差箇所が増加したためにより高い表面重量については、わずかにより重要な程度である。ガラス糸条補強による凝集は、電子顕微鏡観察によると低いままである。
【0112】
添付の図面の図4および5は、伸長に対する抵抗(図4)および伸長弾性率に対する抵抗(図5)をそれぞれ示す。
【実施例2】
【0113】
(粒状原料あり)
7.0dtexの連続ポリエステルフィラメントの表面は、非常に高い弾性率の基材による補強をせずに「スパンボンド」方法によって調製された。
【0114】
使用されるポリマーは、Q5品質の「瓶フレーク」タイプの100%再利用PET(再利用プラスチック瓶のフレーク)である。
【0115】
これらの表面は、以下の割合で、ニードリングによって機械的に連結され、
−50個の穿孔/cm2
−貫通12mm
−「標準バーブ」タイプの15×18×38針を使用する
210℃においてヒートセットされる前に、加熱カレンダーから始め、次いで炭酸カルシウムおよび実施例1と同じアクリル結合剤の易変混合物を使用して40m/分の速度において含浸された。
【0116】
結合剤は、乾燥され、次いで、空気が通過する直径3.6mのドラム上217℃の温度で架橋された。
【0117】
搬送レベルは、不織布の重量に対して乾燥条件下で21から27%までの可変レベルに理論的に調整された。
【0118】
これらの試験は、下の表3および4において、1から6までの番号がつけられる。
【0119】
炭酸カルシウムの形状は、d50%が1.5μmのOmylate60液状泥(「スラリー」)である。
【0120】
【表4】
【0121】
【表5】
【0122】
機械的性質は、それぞれ不織布+樹脂単位の質量g/m2およびCaCO3充填剤の追加的な供給量に基づく2次多項式によってモデル化されてきた。
【0123】
破壊負荷は、無機原料の補強ではなくて不織布+樹脂の質量のみに敏感に反応するように見える。対照的に、緊張下の収縮の注目すべき強化が、横方向において認められる。このメカニズムは、結合点の補強によってならびに結合点のサイズの拡大によって主に説明され、この結合点は、導入される粒子サイズが非常に小さくフィラメントの直径の1/10から1/15であるため、多量の無機原料を添加して、その結果として凝集点を追加することなく変形能の低減に寄与する。このことは、50N未満の低温変形についても検証される。
【0124】
樹脂の搬送レベルは、このように製造された表面の機械的性質および高温変形能にその結果として本質的に悪影響を及ぼすことなくかなり低減することができる。
【0125】
図6および7は、50Nにおける伸度曲線(図6)および実施例2に従って製造された不織布製品のクリープ(図7)を示し、図8は実施例2と一致している不織布製品の断面図撮影画像である。
【実施例3】
【0126】
7.0dtexの連続ポリエステルフィラメントの表面は、実施例2と同じ条件の下で引き続き、Q5品質の100%再利用PETポリマー「瓶フレーク」(再利用した瓶フレーク)から出発して、調製された。
【0127】
ニードリング結合と同様にヒートセットならびに含浸および乾燥/架橋の条件は、以前の実施例と類似している。
【0128】
不織布の基本的な表面重量は、195g/m2である。搬送レベルは、不織布の重量に対して乾燥条件下で21から27%までの可変レベルに理論的に調整された。これらの試験は、下の表5および6において1から4までの番号がつけられる。
【0129】
試験に従って導入される不活性原料は、記載のように測定された粒子の混合物からなる。
【0130】
炭酸カルシウムは、d50%が1.5μmのOmyalite60液状泥(スラリー)およびd50%が170μmのDurcal130である。
【0131】
ポリマー粒子の原料は、粒径スペクトルが、2から400μmの間にある分級された「瓶フレーク」分画(再利用した瓶粒子)の微粉の回収物から製造される。
【0132】
大粒径の無機原料の沈降を防止するために、チキソトロピック懸濁剤が、アクリル樹脂濃度の0.5%の乾燥濃度で導入された。
【0133】
ポリエステルの固体微粉は洗浄され、結合剤内での微粉の再凝集を防止することを可能にする界面活性剤の存在下に、事前に乾燥された。
【0134】
【表6】
【0135】
【表7】
【0136】
機械的性質または寸法安定性を維持するまたは強化しながら、無機またはポリマー原料を導入することにより樹脂の搬送レベルを低減させることが可能になるように思われる。
【0137】
2種の粒径の混合物は、有意に低い樹脂の搬送レベルで、小粒径の単一集団の使用ならびに負荷のない製品の比較の使用よりも破壊負荷において優れていることが分かる。
【0138】
XYおよびZ平面における大粒子の架橋により、厚さの増加がしばしば所望される安定性に影響を及ぼさないようにすることが可能になる。
【0139】
図9および10は、異なる拡大倍率により、電子顕微鏡で撮影した撮影画像であり、
不織布のフィラメントおよび孔に対して大粒子および後者の相対的なサイズによって得られる架橋を示す。
【実施例4】
【0140】
110g/m2および120g/m2のオーダーの表面重量を有する6.5dtexのポリエステル短繊維からなる不織布の表層は、乾式方法によって調製された。これらは、文献FR 88 16711に記載された方法に従って層の中央に導入された68Texのガラス糸条による補強の目的であった。
【0141】
次いでこれらの表面のいくつかの試料は巻き取られ、全体浴において70%のアクリル樹脂および30%のメラミンからなる結合剤を水で77.5%に希釈して使用して、2.5m/分の速度で含浸された。結合剤は、乾燥され、次いで、炉内で3分間215℃の温度で、架橋された。
【0142】
搬送レベルは、不織布の初期重量に対して乾燥条件下で22から24%までの範囲に理論的になるようなかたちで調整された。圧搾はすべての試験について締め付け圧力3.5バールのパッドマングルによってなされる。
【0143】
比較試験において、この同じ結合剤はd50%が130μmの平均粒径を持つ炭酸カルシウムまたは粒径が100μmから300μmの微粉化されたポリエチレンの形態において粒状原料の樹脂の乾燥状態の25%を添加することが目的であった。
【0144】
これらの比較試験の処理は、追加原料のない対照と類似している。
【0145】
最終的な表面の長手方向の挙動は、低温条件下および180℃の温度における高温条件下で試験された。
【0146】
これらの試験によって得られる結果は、下記の表7および8において表示される。
【0147】
【表8】
【0148】
【表9】
【0149】
無機または有機原料とガラス繊維強化フィラメントとの間の優れた相乗作用ならびに低温条件下および180℃の条件下の弾性率の有意な強化のあることが、対照に比べて認められる。
【0150】
負荷が加えられた製品についてはより低い表面重量にもかかわらず、故障および変形能エネルギーは同一またははるかに優れているように見える。
【0151】
さらに、同じ操作条件について、導入される原料を使えば連結された製品の厚さが薄くなるほど網状組織の弛緩がより小さくなることが可能になる。ポリエチレン原料により、架橋可能な結合剤内にポリエチレンを導入するにもかかわらず、繊維の網状組織の機械的な熱変形挙動をこのように非常に有意に修正して、多数のフィラメントを点で制約する(point−imprison)ことが可能になる。
【0152】
これらの原料を使えば、所望の分野において寸法安定性を損なうことなく、不織布の構造の物理学的および機械的性質に影響を及ぼさないようにすることもまた可能になる。
【0153】
曲線の形態において、図11は表8からも得られる高温動力測定試験(変形/負荷曲線)の結果を示し、図12は実施例4に従う試料の電子顕微鏡撮影画像であり、大粒子(架橋後のポリエチレン+アクリル結合剤原料)の存在によって生じる架橋部位を示す。
【0154】
もちろん、本発明は添付の図面において記載され示されている実施形態に限定されるものではない。本発明の保護の範囲を修正によって超えることがなければ、特にさまざまな要素の組成物の見地からまたは等価の技術の置き換えによって修正することは依然として可能なことである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成繊維素材で形成された不織布を主体とする基材の分野に関する。
【0002】
これは、熱可塑性ポリマーで形成され、化学的に連結されたフィラメントまたは繊維からなる枠または基材の形態をした可撓性および寸法安定性のある不織布製品、ならびにこの製造方法に関する。
【0003】
より詳細には、本発明の目的は、たとえば、含浸、コーティングまたは分散の段階の間に結合剤内で一体化されて、これにより架橋後の樹脂によって部分的にまたは全体的に封入される無機および/または有機原料の使用によって、化学的に連結された連続繊維またはフィラメントで形成された不織布生地の物理的および機械的性質を強化することである。
【0004】
粒径および/または性質の異なる集団の混合物からなることができる無機および/または有機粒状原料により、不織布製品を構成している繊維の網状組織の層間の連結の数と場合によってフィラメントまたは繊維間の連結点のサイズの両方を増強することが可能になる。
【背景技術】
【0005】
上述の分野において、経済的または環境的理由のために、成分を低減することによってまたは洗練されていないが、耐久性のあるもしくは更新の可能性のあるもしくは再利用の可能性のあるもしくはエネルギー含量のより低い製品を使用することによって新規な不織布製品を製造するというのが現在の傾向である。
【0006】
同時に、生産コストを下げようとする欲求が、製造業者にますます速く製造するようにし向けるとともに、ますます高い要件に対処させるのである。
【0007】
枠として使用される不織布製品の機械的性質および高温安定性は、熱的記憶効果のために、瀝青の形成の間または類似した制約下の高温処理の間の変形に対する適性と同様に最終用途における品質および耐久性の要件に対してまったく決定的な因子になる。
【0008】
現在、これらの枠は80g/m2から350g/m2までの不織布からなることがしばしばであり、これらの枠はホモポリマーの基材の場合には連結され化学的に安定化させることができまたは2種のポリマーからなる表面が使用される場合にはこれらのうちの1種を溶融することによって熱的に安定化させることができる。
【0009】
場合によって、ポリマーもしくは他の基材によって改変される瀝青を使用して含浸されコーティングされるように設計されまたは熱的制約(constraints)下で変形を受けるように設計される枠として使用される前に、これらの不織布の表面または製品は針金、格子、布帛またはガラスまたは非常に高い弾性率を有する合成ポリマー織布によって補強されてもよい。
【0010】
一般の方法において、これらの表面は、当業者にとって公知である湿式、乾式または溶融製造方法に従って層形成された後、繊維の網状組織の少なくとも部分的な凝集を確実にして、これによってその破裂強度のほとんどを網状組織に与えるために、表面の熱的および/または化学的強化の前に機械的なニードリングによってまたは水圧による結合によって混合される。
【0011】
その後生じる化学または熱結合は、不織布の表面または製品がこの表面または製品がさらされる恐れのある熱機械的制約に対して寸法変化のないようにすることを目的としている。
【0012】
機械的結合もしくは水圧による結合もしくは化学結合の前にまたは層形成の間に、針金、格子もしくはガラスもしくは非常に高い弾性率を有するポリマー織布材料によって、混合されたこれらの生地の考えられる追加的な補強は、これらのこのように安定化された繊維構造体の高温緊張(後処理または変形の温度において)下でのその変形をさらに減少させることを目的としている。
【0013】
実際に、これらの不織布の表面または層状の製品は、場所においても経時においても高い寸法安定性を必要とする。さらに、不織布の表面または層状の製品は、これらの製造または変形の間に、これらが使用中または最終的な実現の間にこうむるよりもずっと高い強度の機械的および熱的制約を同時にこうむる。
【0014】
不織布製品の多数の種類が、多少とも満足なかたちで上述の要件ならびにこれらの製造方法が満たされており、すでに提案されてこの分野では公知である。
【0015】
したがって、仏国特許FR 88 16711は、寸法安定性の良好な扁平な物品のための不織布材料を主体とする基材の製造方法について記載しており、その不織布材料は、化学的にまたは熱的に結合されることができ、20から500g/m2の重量を有し、好ましくは50GPa超の高弾性率を有する連続糸条によって長手方向に補強されている。得られた不織布製品において、180℃の温度の下、幅1メートル当たり少なくとも80Nの制約の下で、ガラス糸条は破断して、低温条件下の弾性率は補強している糸の有無にかかわらず同じである。高温条件下の寸法安定性および変形能は、このように標準の不織布製品を基準として基本的に強化される。
【0016】
封止枠の産業界において使用される不織布製品のための水性の化学結合剤の組成および
約200℃における架橋機構は、文献US 6 221 973によって公知である。これらの結合剤は、少なくとも2個のカルボキシル基を含むポリ酸、少なくとも2個の水酸基を含む1つの多価アルコールおよび促進剤の混合物からなる。
【0017】
新しい国際規格を満たすように、この米国文献によって開示された結合剤を形成する得られた樹脂は、実質的にホルムアルデヒドを含まない。この樹脂は、瀝青を含有するコーティングを製造するために設計されたガラス繊維で形成された不織布基材に含浸される。ガラス繊維はアスファルト用途の間に遭遇する温度範囲の影響を受けないので、したがって結合剤の本質的な機能は、許容できる耐性を生じさせることによって表面の機械的な収縮を防止するように、化学結合点の剛性と粘着性により繊維の凝集を確実にすることであり、このことによって表面は事前に強化されない。
【0018】
ポリエステルで形成された枠およびさらに一般的に熱可塑性ポリマーで形成された不織布製品とは異なり、この米国文献に記載されている構造物を構成するガラス繊維または糸条は、及ぼされる高い緊張および温度に関連した構造改変を受けないので、したがって使用中に起こる温度サイクルの間に残留収縮挙動を生じる恐れがある。
【0019】
不織布の表層を強化することを可能にする結合剤の多数の他の例は、従来技術たとえば文献US 4 076 917、EP 0 583 086およびWO 97/31036において公知である。
【0020】
特定の最近の用途または製品/市場の要件は、不織布製品の厚さの増加と相俟って非常に良好な寸法安定性を同時に要求する。
【0021】
技術的および経済的制約から必ずしも表面重量の増加が可能でないので、したがって製品の密度の低減に作用することが必要であり、通常、0.15から0.3または連結される材料の真空時に基づいて約70から80%までの範囲にある。
【0022】
一定の坪量を有する厚さのこの増加が、Z軸に沿って上に重ね合わされた層のフィラメントまたは繊維との間の距離の増加によって、連結点の数ならびにサイズに悪影響を及ぼし、したがって当該不織布製品の安定性および/または弾性率に悪影響を及ぼすことは容易に理解される。
【0023】
文献US 6 299 936およびEP 1 664 418は、無機繊維からなり、絶縁に使用される非常に剛直な厚い製品(>1cm)を製造する目的で、ホウ素、ガラスケイ酸塩または繊維などの無機原料を用いて場合によって補充される40%から95%の水性希釈の架橋性樹脂の使用を引用している。
【0024】
これらの文献もまた、封止材の枠または布または紙の副層の可能な強化に関して、用途について言及している。しかしながら、前記基材は、ガラス繊維またはフィラメントだけからなっており、したがって、当該の分野の温度の影響を受けない。加えて、前記不織布製品は、事前の水圧によるまたは機械的なニードリング型の混合によって連結されておらず網状組織をかなり弱めている。
【0025】
さらに、文献US 2009/0048371は、合成繊維または人造繊維で形成された不織布に基づいて、2つの表面上に瀝青を含有するシーリング膜を製造することを記載しており、このシーリング膜は、少なくとも1種の化学結合剤および水酸化アルミニウムの混合物によって強化される。
【0026】
乾燥および結合剤の架橋は、190℃から210℃の温度において約0.5分から約5分、好ましくは1.3分から3.0分の間で行うことが好ましい。乾燥結合剤の重量比は、連結される不織布製品の重量の15から20%(0.5%から30%)の間が好ましい。水酸化アルミニウムは、乾燥した化学結合剤の比率の10%から100%の比率で、混合される。そして、水酸化アルミニウム粒子の粒径は、0.5μmから50μmの範囲であり、0.9μmから5μmの間が好ましい。次いで、不織布層は、瀝青でコーティングまたは含浸されて膜を形成する。
【0027】
この米国文献は、このように製造された表面の破壊負荷および熱安定性が強化されることを主張している。
【0028】
それにもかかわらず、引用された比較例において、破壊負荷の非常に有意な低下および変形能の増加が、炭酸カルシウムまたはカオリン10部の使用中に特に顕著である。
【0029】
文献BE 858 986は、ポリマー、エマルジョンによって形成される結合剤および布帛の機械強度を増大させるように設計されている不活性な原料の混合物を含む結合剤の用途を記載している。連結される表面は坪量の軽い合成、天然および/または人造繊維の混合物からなり、布帛の凝集および最終的な性質は、繊維の分解を防止するまたは耐分解性を強化するように設定するこの結合剤を使用するだけで確実にされる。
【0030】
これらの表面の平均表面重量は25から35g/m2のオーダーであり、より重い表面の製造は、それぞれの表面の重合せおよびその後の連結によって確実にされる。
【0031】
牽引によって到達する最も有利な強度レベルは、使用される無機原料によって強化されたとしても、非常に低く、50Nから80N/5cmのオーダーで100g/m2と算出される。これらの値は、封止枠を形成する不織布製品の値と比較されて、値は5から10倍より大きいオーダーであるので、同じ最終重量については250から350N/5cmに到達する。
【0032】
このベルギー文献に記載されている製品の応用分野は、主としてほぼ使い捨てであるまたは断熱を目的とする生地の枠組みの範囲内である。これらの不織布製品は、凝集ならびに得られた機械的性質のレベルの弱さのゆえに、封止枠または熱的に安定な基材の枠組みの範囲内での使用にとって不適当である。ケイ酸カルシウムなど特定の原料が不織布製品の強度の損失を引き起こすこともまた示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】仏国特許第8816711号明細書
【特許文献2】米国特許第6221973号明細書
【特許文献3】米国特許第4076917号明細書
【特許文献4】欧州特許第0583086号明細書
【特許文献5】国際公開第97/31036号
【特許文献6】米国特許第6299936号明細書
【特許文献7】欧州特許第1664418号明細書
【特許文献8】米国特許出願第2009/0048371号明細書
【特許文献9】ベルギー特許第858986号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
本発明の目的は、1未満の密度で、(1つまたは複数の)合成材料を主体とし少なくとも1種の結合剤を一体化している可撓性の不織布製品に関し、特に製品の異なる層に属する繊維またはフィラメントの間、好ましくは同じ層の繊維またはフィラメントの間での連結点のサイズおよび数を増加することによって、この製品の物理的および機械的性質を強化することである。
【0035】
さらにまた本発明によって、有利には、物理的および/または機械的性質とりわけ不織布基材の製造、特に架橋可能な化学結合剤によって強化するための弾性挙動および低温および高温条件下の変形能を、調節、改変または強化することも可能になるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0036】
この目的のために、本発明は、1未満の体積密度を有し、製品のXY平面に対して垂直なZ方向において重ね合わされ少なくとも1回の機械的または水圧のニードリング操作を受けていた合成繊維またはフィラメントの少なくとも2枚の層によって形成されており、これによって、その製品内で単一モードまたは多モードのかたちで分布されフィラメントまたは繊維を互いに少なくとも点連結できる結合材によって少なくとも部分的にコーティングされまたは封入された無機および/または有機粒子の形態において、粒状原料を一体化もする可撓性の不織布製品であって、有機および/または無機粒子(「大粒子」と呼ぶ)の少なくとも1つの集団または分画が、次式のようなサイズを有することを特徴とする不織布製品
【0037】
【数1】
好ましくは
【0038】
【数2】
(式中、SMfは不織布製品の層を形成する繊維またはフィラメントの平均断面積に相当し、vは有機または無機の粒子の平均のそれぞれの体積を表す。)を目的とする。
【0039】
大粒子は、不織布製品内に存在し、同じ層の節、編み目、繊維およびフィラメントとの間におよび不織布製品を形成する重ね合わされた層との間に、架橋または連結を生じさせる粒状原料の大多数の分画を、重量および/または体積の点で有利に構成している。
【0040】
本発明の好適な変形実施形態によれば、不織布製品は以下の特性のうちの少なくとも1つを有する。
−大粒子は、d≧3×DMf、好ましくはd≧5×DMfのような、少なくとも1つの寸法dを有する(式中、DMfは不織布製品の層を形成する繊維またはフィラメントの平均直径に相当する)。
−大粒子は、不織布製品の層の可視孔の平均サイズの少なくとも20%に相当する平均サイズを有し、その可視孔は不織布製品のXY平面に対して垂直なZ方向に見ることができる。
【0041】
フィラメント繊維が通常の範囲内の公称値を有する不織布製品の枠組み内で、大粒子が有利なことに約50μm超、好ましくは約60μm超である平均粒径を有する。
【0042】
大粒子の有意なサイズは分離された層の繊維およびフィラメントの間で連結および架橋を確立するために有益であるが、これらの大粒子が、不織布製品の繊維の網状組織内に導入されることができることおよびさらに、大粒子が、局部的な余分な厚さ(層の変形によってまたは突出することによって)を生み出さないことはそれにもかかわらず必要なことである。したがって、大粒子が不織布製品の厚さ内におさまることができるように大粒子のサイズが適合させられることも必要である。
【0043】
本発明者らは、大粒子のそれぞれの体積vが、以下の不等式を立証する場合に、これらの目的が達成された点に注目した
【0044】
【数3】
好ましくは
【0045】
【数4】
【0046】
以下の2つの構成のうちの少なくとも1つがまた立証されることが好ましい。
−大粒子は、前記製品のXY平面に対して垂直なZ方向において見た不織布製品の層の可視孔の平均サイズの約120%未満、好ましくは約100%未満である平均サイズを有する。
−大粒子は、約400μm未満、有利には約300μm未満、好ましくは約200μm未満の平均粒径を有する。
【0047】
品質を強化して、同じ層の繊維またはフィラメントとの間に連結の数を増大させるために、無機および/または有機粒状原料がまた、その粒径が30μm未満、好ましくは20μm未満である粒子の集団または分画をさらに含む。
【0048】
本発明の有利な実施形態と一致して、無機および/または有機原料は、不織布製品の層を形成する繊維またはフィラメントの重量の1%から30%の間、好ましくは5%から25%の間の重量比率で存在する。
【0049】
本明細書において、層とはXY平面において配向し、同じ面においてわずかに混合している一組のフィラメントまたは繊維の重合せとして定義する。
【0050】
溶融方法(連続フィラメント)の場合、紡糸速度(一般に30から120m/s)は、層形成の間カーテン状または束状のフィラメントが、多少とも束で、それ自身の上に「ドサッと落ち」、層形成プラットホームに広げられることによって、本発明によって目標とする数平方ミリメートル以下のミクロナッピング層(ミクロ層、副層)をこのように形成するようなものである。
【0051】
乾式または湿式方法の場合、あらかじめ個々に区別された繊維は層形成プラットホーム上に束になって連続的に堆積され、このようにして上記定義の通りミクロ層形成による層を形成する。
【0052】
この層形成システムは、場合によりいくつかのカーテンまたは束の重合せを引き起こすことができ、したがって、フィラメントまたは繊維のこれらの副層の層を製造して終了する。これはマルチカーテン方法(連続フィラメント)または乾式方法の場合であり、そこにおいて、布帛は互いに重ね合わされる。
【0053】
もちろん、層状の層は、前に連結された異なる不織布を集合させることによって製造させることができる。本書において言及されるZ架橋は、これらの界面における層または「副層」または「ミクロ層」に等しく属している。
【0054】
不織布製品が製造、加工または用途のその段階の間に、通常曝露される温度の範囲において温度のいかなる影響も防止する目的のために、無機および/または有機粒子を形成している(1種または複数の)材料は、必要に応じて結合剤の活性化、架橋または乾燥の融点において、層の繊維またはフィラメントを形成している(1種または複数の)材料の融点より高い融点を有する。
【0055】
変形形態として、考慮される用途および不織布製品のために目標とされる性質に基づいて、有機粒子の融点が繊維またはフィラメントの融点未満であり、適宜、結合剤を形成する材料のヒートセット、乾燥、活性化または架橋の温度未満または超であるものとすることができる。
【0056】
本発明の追加的であり有利である特性によれば、以下のことが可能となる。
−100μm超、有利には60μm超、好ましくは20μm超の粒径を有する原料を形成している粒子は、有機的性質または起源を有する。
−無機および/または有機原料を形成している粒子の一部は、温度で膨張させることができる粒子からなる。
【0057】
繊維またはフィラメントを形成している合成材料は、いかなる材料であってもよいとはいえ、これが不織布の製造に適しており、考慮される用途に適しているならば、不織布製品の層を形成する連続繊維またはフィラメントは、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ならびにこれらの異なるポリマーのコポリマー、これらの異なるポリマーおよびコポリマーの可能な混合物によって形成される群から選択される熱可塑性ポリマー材料を主体とする。
【0058】
不織布製品の構造上の凝集を増加させ、目標とされた範囲および特性の範囲内でその性能レベルを強化するために、不織布製品は場合によって2層以上の構成層においてまたは構成層の間に、高い安定性の特性を有するフィラメント、(1種または複数の)格子および/または生地の形態において補強構造を一体化し、これにより結合剤によって少なくとも部分的にコーティングされまたは封入される無機および/または有機粒子が剛直な連結を確立するまたはこれらの補強構造と層のフィラメントまたは繊維の間に前記結合剤によって架橋を生じることができる。
【0059】
本発明の好適な変形実施形態と一致して、以下のことも可能となる。
−無機粒子を形成する材料は、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウムまたは水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、粘土、カオリン、水晶、タルクなどの炭酸塩、ケイ酸塩および硫酸塩ならびに酸化チタン、ボーキサイトおよびギブサイトなどの酸化物および水酸化物によって形成される群から選択される。
−有機粒子を形成する材料は、木、リグニンなどの繊維状または粒状のセルロース、黒鉛、たとえばエポキシおよびベークライト(登録名称)などの微粉化されたヒートセット性再利用ポリマー、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PA(ポリアミド)ならびにこれらのコポリマーなどの微粉化された熱可塑性ポリマーによって形成される群から選択される。および/または
−結合剤を形成する材料は、ホルムアルデヒドを含むまたは含まない樹脂、アクリレート、スチレンアクリレート、酢酸ビニル、メタクリレート、ビニルアクリレート、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、エチルビニルアセテート、スチレンブタジエン、ビニルアルコール、ブタジエンアクリレート、ポリウレタン、シリコーンを主体とするエマルジョン内または分散液内の液状樹脂、ならびにフェノール、メラミン、尿素、エポキシ、アルキドおよびポリエステルを主体とする架橋性樹脂によって形成される群から選択される。
【0060】
本発明は、1未満の体積密度を有し、製品のXY平面に対して垂直なZ方向において重ね合わされ、少なくとも1回の機械的または水圧のニードリング操作を受けていた繊維またはフィラメントの少なくとも2枚の層によって形成されており、これによってその製品内に単一モードまたは多モードのかたちで分布され、フィラメントまたは繊維を互いに少なくとも点連結できる結合材によって少なくとも部分的にコーティングされまたは封入された無機および/または有機粒子の形態において、粒状原料を一体化もする、可撓性の不織布製品の製造方法をもまた目的とする。
【0061】
本発明によれば、この方法は、特に−事前に、同時にまたは続いて−繊維またはフィラメントの層の中および/またはこれらの間の結合材を一体化することと、有機および/または無機の粒子(「大粒子」と呼ぶ)の少なくとも1つの集団または分画を含む無機および/または有機粒状原料を混合するためのステージを行うこととにある。さらに、大粒子は次式のようにそれぞれの体積を有する
【0062】
【数5】
好ましくは
【0063】
【数6】
(式中、SMfは、不織布製品の層を形成する繊維またはフィラメントの平均断面積に相当し、vは有機または無機の粒子の平均のそれぞれの体積を表す。)。
【0064】
好適なかたちで、不織布製品中に混合された大粒子は上記の粒子に相当し、これによって、ニードリング操作は不織布製品の層の、中および間に粒状原料を導入する前または後に行う。
【0065】
また、同じ層の繊維またはフィラメントの間に、連結点を増大させるまたは補強するために、混合された無機および/または有機粒状原料は粒径が30μm未満、好ましくは20μm未満である粒子の集団または分画をもまた含むことは有利である。
【0066】
この方法は、不織布製品の層を形成している繊維またはフィラメントの重量の1%から30%の間、好ましくは5%から25%の間の重量比を有する不織布製品内の無機および/または有機原料を混合することにある。
【0067】
無機および/または有機粒子のすべてが不織布製品において同時に混合され、化学結合剤と事前にまたは同時に混合されることは、この方法の第1の変形実施形態と一致する。
【0068】
無機粒子および有機粒子が不織布製品において異なるかたちで混合され、これによって、無機粒子は有機粒子に続いて導入されることは、この方法の第2の変形実施形態と一致する。
【0069】
無機および/または有機粒子を形成している(1種または複数の)材料の融点は、上記のように、必要に応じて結合剤の活性化、架橋または乾燥の融点において、層の繊維またはフィラメントを形成している(1種または複数の)材料の融点未満、同等の融点または融点超であってもよい。
【0070】
本発明による方法の枠組みの範囲内で、以下のことも可能となる。
−100μm超、有利には60μm超、好ましくは20μm超の粒径を有する粒子は、有機的性質または起源を有する。
−無機および/または有機原料を形成する粒子の一部は、温度で膨張させることができる粒子からなる。および/または
−不織布製品の層を形成する連続繊維またはフィラメントは、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレンと同様にこれらの異なるポリマーのコポリマーならびにこれらの異なるポリマーおよびコポリマーの可能な混合物によって形成される群から選択される熱可塑性ポリマー材料を主体とする。
【0071】
無機および/または有機粒子の沈降または凝集を防止するために、粒子の密度が結合剤の密度より約30%大きい、好ましくは約20%大きい場合には、この方法は、含浸によって粒状の原料および結合剤を導入する場合に、チキソトロープ剤または分散化剤を使用することにある。
【0072】
最終的に、不織布製品において−場合によって、2枚以上の構成層においてまたは構成層の間で−高い安定化特性を備えたフィラメント、(1つまたは複数の)格子および/または生地の形態で補強部材を一体化することも提供することができ、これによって、結合剤により少なくとも部分的にコーティングされまたは封入される無機および/または有機粒子は、これらの補強部材と層のフィラメントまたは繊維との間に前記結合剤によって、剛直な連結を確立するまたは架橋を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】電子顕微鏡で撮影した撮影画像であり、不織布のニードリングによる混合を示す。
【図2】結合剤の距離の例を示している層の中に存在する不織布の断面図を電子顕微鏡で撮影した撮影画像である。
【図3A】負荷分散を示すグラフである。
【図3B】平均繊維間距離を示すグラフである。
【図4】伸長に対する抵抗を示すグラフである。
【図5】伸長弾性率に対する抵抗を示すグラフである。
【図6】実施例2に従って製造された不織布製品の50Nにおける伸長曲線を示すグラフである。
【図7】実施例2に従って製造された不織布製品のクリープを示すグラフである。
【図8】実施例2と一致している不織布製品の断面図撮影画像である。
【図9】電子顕微鏡で撮影した撮影画像であり、大粒子および不織布のフィラメントおよび孔に対する後者の相対的な大きさによって得られる架橋を示す。
【図10】電子顕微鏡で撮影した撮影画像であり、大粒子および不織布のフィラメントおよび孔に対する後者の相対的な大きさによって得られる架橋を示す。
【図11】表8からも得られる高温動力測定試験(変形/負荷曲線)の結果を示すグラフである。
【図12】実施例4に従う試料の電子顕微鏡撮影画像であり、大粒子(架橋後のポリエチレン+アクリル結合剤原料)の存在によって生じる架橋部位を示す。
【発明を実施するための形態】
【0074】
本発明は下記の説明により、より良く理解されよう。この説明は好ましい実施形態に関するものであり、限定されない例として提供されたものである。
【0075】
本発明による不織布製品の製造方法は、当業者にとって公知である操作を部分的に実施する。
【0076】
このように、不織布製品の繊維またはフィラメントの層は、乾式方法または溶融方法または湿式方法によって公知のかたちで得られる。
【0077】
実行される上述の方法に関係なく、フィラメントの配向は、XY平面内の層において大部分分布していると判明した。強い結合は、もともとZ軸に沿ってわずかしか存在していない。
【0078】
機械的ニードリングまたは水圧結合などの混合方法により、製品の厚さ方向において、扁平な層内に、まず表面繊維またはフィラメントを部分的に配向させることが可能になる。円滑なまたは間欠的なならびに熱風を通過させるカレンダー処理によりポリマーの部分的および特定の溶融によって熱機械的にこの網状組織を固定することもまた可能になる。この種の結合がなければ、不織布には実質的に機械的保持がないことになる。
【0079】
ニードリングによる混合の場合には、一般に作られる穿孔の数は、1cm2につき20から150個の穿孔数の範囲であり、通例1cm2につき25から70個の穿孔数の範囲である。したがって、穿孔のこの割合は、2本の分離した針は同じ箇所を穿孔しないとすると、(しかしながら、これは比較的しばしば起こることであるが)z軸方向に1から2mmごとに大部分のフィラメント結合または節が形成されることになる。
【0080】
繊維の網状組織の化学結合による凝集は、繊維またはフィラメントの交差箇所において達成されるが、製品の厚さ(Z方向の重合せ)内の重ね合わせた層の異なるXY平面において交差したマルチフィラメントの堆積物の位置において、主に起こる。
【0081】
交差する繊維もしくはフィラメントまたは繊維もしくはフィラメントの束だけが、結合に関与する。互いに連結している平行なフィラメントまたは網状組織の遊離モノフィラメントの部分は、これによって網状組織を補強することに有意に関与することなくコア/シース型のコーティングによって、樹脂を消費する。
【0082】
Z軸方向の結合についていえば、この結合は、層が接触する場合に、対応する交差箇所においてこれらの層(strata or layers)を互いに接着させることによって形成される。
【0083】
表面重量を維持したまま不織布製品の厚さを増加させることは、必然的に層(layers or strata)間の連結点の減少ひいては、前記製品の構造上の凝集ならびに物理的および機械的性質の減少を伴う。
【0084】
とりわけ本発明の目的は、先に定義した寸法の基準の1つまたは複数を満たす大粒子を特に含んでいる無機および/または有機原料の導入を提案することによって、この欠点を矯正することである。
【0085】
粒状原料の混合は、特に結合剤のタイプおよび導入の方法に基づいて、不織布製品の製造の異なるかたちでおよび異なる段階において行うことができる。
【0086】
有利には、原料が導入されると同時に含浸によって、結合剤の導入を行うことができる。
【0087】
加えて、この粒状原料は、所望の追加的な粒子の性質に基づいて異なる粒子集団または分画を有することができる。
【0088】
少なくとも2種の平均粒子径の混合物の形態で結合樹脂(不織布層を含浸するように設計された)内に無機または有機原料を添加することにより結合点のサイズおよび主として数を人工的に増大させることが可能になる。
【0089】
不織布内の一般に製造された繊維またはフィラメントの直径のサイズ(15から30マイクロメータ)より3から10倍のオーダー大きい粒径、すなわち無機または有機原料については50から150マイクロメートルまでのサイズを使用することによりZ軸方向の追加的な架橋を確実にすることによって潜在的な結合点の数を増大させることが可能になる。
【0090】
0.5から20ミクロンまでの相当直径を有する小さい粒径は、既存の結合点のサイズまたは重量を統計学的に当然増加させる。
【0091】
特に最小の粒径については、分散化剤の使用により、粒子の再凝集を防止し、したがって表面またはこのように構成される製品の高温条件下の弾性率を積極的に強化する。
【0092】
無機原料の密度に基づいて、−粒径が30μm超から50μmまで増加する場合は−沈降を防止して、化学結合剤中におよびその後不織布マトリックス中にこれらの負荷の完全分散を確実にする増粘チキソトロープ剤を使用することが望ましい。沈降を防止するこの剤は、原料が有機物由来の場合にこれらの密度がはるかに低い(0.8から1.4の間)ので、一般に必要でない。非常に大きい粒径(特に100μm超)については、有機原料が使用されることが好ましい。
【0093】
同様に、一定の表面重量を有する製品の厚さを増加させるための研究の枠組みの中で、たとえば、熱的に膨張可能なマイクロスフェアの使用は、有利であることを証明することができる(たとえば文献WO 2006/068 574を参照されたい)。それにもかかわらず、製品の厚さの増加は、低温条件下ならびに高温条件下での寸法安定性の損失または伸度の増加または弾性率の減少を犠牲にする恐れがある。実際には、Z軸方向の連結節間の距離は増加し、凝集および結合点の数をますます減少させる。
【0094】
Z軸方向における剛直な無機または有機原料を備えた本発明による解決により、失われた連結点の代償によって、高温条件下の変形能のレベルを維持するまたは制限することが可能になり、導入比率および目標とされる柔軟性の範囲に基づいて高温条件下の変形能のレベルを強化することさえ可能になる。
【0095】
有利なかたちで、表面重量の有意な増加が必ずしも要求されない場合、無機原料の1/2から1/3の密度である有機原料の使用が有利であることが証明できる。これらの有機原料は、ポリエステル、ポリプロピレンまたはポリアミドまたはすべての熱可塑性またはヒートセット性ポリマーなどのポリマーを微粉化することによって、容易に得ることができる。瓶ポリマーの研削またはこれらの方法において再利用のための洗浄およびフレーク化から得られる微粉の回収により、相溶性を持ち不織布を構成するポリマーに非常に近い密度を有する材料を経済的に使用することが可能になる。
【0096】
ニードリングによる混合と比べると、このニードリングにより1cm2当たり30から70個の穿孔についてZ軸方向に1から2mmの間隔で存在する新規な交差および混合箇所を配向させることおよび作製することが可能になるが、40から60μm(またはフィラメントの直径の2から3倍)のサイズを有する原料を5g/m2で一体化することにより、原料の密度に基づいて潜在的な結合を備えた500から6,000個の追加的な点、すなわち製品1mm2当たり10から60ポイントを提供することになる。この構成により、必要に応じて、ニードリングによる穿孔の数を減らすことが可能になる(この技術が影響を及ぼす速度限界のために、この基準はしばしば生産性の障害となった)。
【0097】
図1は電子顕微鏡で撮影した撮影画像であり、不織布のニードリングによる混合を示す。
【0098】
架橋させることができる樹脂による不織布生地の化学結合は、一般に不織布の15から30重量%までの範囲の乾燥結合剤の割合で行われる。この結合剤の一部が、製品の凝集および安定性に関与しないのは、連結節間で平行な遊離フィラメントまたはフィラメントの束をもコーティングするからである。このように導入される樹脂の30%から50%が低温条件下または高温条件下での破裂強度または弾性率などの特定の所望の機械的性質に対して効果がないことを推定することが可能である。
【0099】
図2は、結合剤の距離を例示している層の中に存在する不織布の断面図を電子顕微鏡で撮影した撮影画像である。
【0100】
サイズおよび性質ならびに場合によって形状、密度および特性に適当な原料を使用することにより、導入される基材または多数の固定点との良好な相乗作用のため結合剤比率の低減によってまたは補強機能の強化によってこの収量を増大させることが可能になる。
【0101】
下表は、図3A(負荷分散)および図3B(平均繊維間距離)の曲線と関連して、1m2当たり15gの原料の比率についておよび2.2(密度)の無機粒子の密度について異なる粒径の無機原料の理想的な距離のシミュレーションを示す。
【0102】
【表1】
【0103】
【表2】
【0104】
以下の実施例1から4は、従来技術(実施例1)による不織布製品および本発明による(実施例2から4)不織布製品の異なる変形実施形態を示す。
【0105】
(実施例)
【実施例1】
【0106】
(粒状原料なし)
6.0dtexの連続ポリエステルフィラメントの表面は、いわゆる「スパンボンド」方法に従って、表面重量125および155g/m2の2水準で調製された。これは、文献FR 88 16711に記載された方法に従って層の中央に導入された68Texのガラス糸条による補強の目的であった。
【0107】
次いでこれらの表面は、20m/分の速度で、面につき1回の割合で直径130μmのノズルを使用して、130から210バールの4つの異なる圧力レベルの水圧で連結された。これによって開口部は0.8mmの間隔になる。これらの試験は、以下の表2においてE1からE8まで番号がつけられる。
【0108】
これらの表面は、次いで巻き取られ、全体浴において88%のアクリル樹脂および12%のメラミンからなる結合剤を70%希釈で使用して、12m/分の速度で含浸された。結合剤は、乾燥され、次いで、215℃の温度の第1のドラム上および直列に接続されている135℃の第2のドラム上で架橋された。
【0109】
搬送レベルは、不織布の重量に対して乾燥条件下で12から24%までの範囲において理論的に変化するようなかたちで、調整された。(これらの試験は、下の表でE1.1からE1.1.2の番号がつけられる)。
【0110】
【表3】
【0111】
異なる性質の結果が、満たされるように2次の多項式法によってモデル化された。14%から16%までの結合樹脂のレベルを超えると、不織布の機械的性質は実質的にもはや変化せず、樹脂の効果が非常に低いことを示すが、それにもかかわらずポリエステルフィラメントの網状組織のマルチフィラメント接合部/交差箇所において十分な凝集を保証するために必要と思われる。樹脂の約50%が網状組織の外側の節/交差フィラメントを主にコーティングするように思われる。このようにこれらの節を増加させることにより、樹脂レベルを最小化することを可能にしまたは機械的性質を改良することを可能にしまたは搬送レベルに対して不織布の性質に影響を及ぼさないようにすることを可能にする。樹脂レベルの寄与は、これらの交差箇所が増加したためにより高い表面重量については、わずかにより重要な程度である。ガラス糸条補強による凝集は、電子顕微鏡観察によると低いままである。
【0112】
添付の図面の図4および5は、伸長に対する抵抗(図4)および伸長弾性率に対する抵抗(図5)をそれぞれ示す。
【実施例2】
【0113】
(粒状原料あり)
7.0dtexの連続ポリエステルフィラメントの表面は、非常に高い弾性率の基材による補強をせずに「スパンボンド」方法によって調製された。
【0114】
使用されるポリマーは、Q5品質の「瓶フレーク」タイプの100%再利用PET(再利用プラスチック瓶のフレーク)である。
【0115】
これらの表面は、以下の割合で、ニードリングによって機械的に連結され、
−50個の穿孔/cm2
−貫通12mm
−「標準バーブ」タイプの15×18×38針を使用する
210℃においてヒートセットされる前に、加熱カレンダーから始め、次いで炭酸カルシウムおよび実施例1と同じアクリル結合剤の易変混合物を使用して40m/分の速度において含浸された。
【0116】
結合剤は、乾燥され、次いで、空気が通過する直径3.6mのドラム上217℃の温度で架橋された。
【0117】
搬送レベルは、不織布の重量に対して乾燥条件下で21から27%までの可変レベルに理論的に調整された。
【0118】
これらの試験は、下の表3および4において、1から6までの番号がつけられる。
【0119】
炭酸カルシウムの形状は、d50%が1.5μmのOmylate60液状泥(「スラリー」)である。
【0120】
【表4】
【0121】
【表5】
【0122】
機械的性質は、それぞれ不織布+樹脂単位の質量g/m2およびCaCO3充填剤の追加的な供給量に基づく2次多項式によってモデル化されてきた。
【0123】
破壊負荷は、無機原料の補強ではなくて不織布+樹脂の質量のみに敏感に反応するように見える。対照的に、緊張下の収縮の注目すべき強化が、横方向において認められる。このメカニズムは、結合点の補強によってならびに結合点のサイズの拡大によって主に説明され、この結合点は、導入される粒子サイズが非常に小さくフィラメントの直径の1/10から1/15であるため、多量の無機原料を添加して、その結果として凝集点を追加することなく変形能の低減に寄与する。このことは、50N未満の低温変形についても検証される。
【0124】
樹脂の搬送レベルは、このように製造された表面の機械的性質および高温変形能にその結果として本質的に悪影響を及ぼすことなくかなり低減することができる。
【0125】
図6および7は、50Nにおける伸度曲線(図6)および実施例2に従って製造された不織布製品のクリープ(図7)を示し、図8は実施例2と一致している不織布製品の断面図撮影画像である。
【実施例3】
【0126】
7.0dtexの連続ポリエステルフィラメントの表面は、実施例2と同じ条件の下で引き続き、Q5品質の100%再利用PETポリマー「瓶フレーク」(再利用した瓶フレーク)から出発して、調製された。
【0127】
ニードリング結合と同様にヒートセットならびに含浸および乾燥/架橋の条件は、以前の実施例と類似している。
【0128】
不織布の基本的な表面重量は、195g/m2である。搬送レベルは、不織布の重量に対して乾燥条件下で21から27%までの可変レベルに理論的に調整された。これらの試験は、下の表5および6において1から4までの番号がつけられる。
【0129】
試験に従って導入される不活性原料は、記載のように測定された粒子の混合物からなる。
【0130】
炭酸カルシウムは、d50%が1.5μmのOmyalite60液状泥(スラリー)およびd50%が170μmのDurcal130である。
【0131】
ポリマー粒子の原料は、粒径スペクトルが、2から400μmの間にある分級された「瓶フレーク」分画(再利用した瓶粒子)の微粉の回収物から製造される。
【0132】
大粒径の無機原料の沈降を防止するために、チキソトロピック懸濁剤が、アクリル樹脂濃度の0.5%の乾燥濃度で導入された。
【0133】
ポリエステルの固体微粉は洗浄され、結合剤内での微粉の再凝集を防止することを可能にする界面活性剤の存在下に、事前に乾燥された。
【0134】
【表6】
【0135】
【表7】
【0136】
機械的性質または寸法安定性を維持するまたは強化しながら、無機またはポリマー原料を導入することにより樹脂の搬送レベルを低減させることが可能になるように思われる。
【0137】
2種の粒径の混合物は、有意に低い樹脂の搬送レベルで、小粒径の単一集団の使用ならびに負荷のない製品の比較の使用よりも破壊負荷において優れていることが分かる。
【0138】
XYおよびZ平面における大粒子の架橋により、厚さの増加がしばしば所望される安定性に影響を及ぼさないようにすることが可能になる。
【0139】
図9および10は、異なる拡大倍率により、電子顕微鏡で撮影した撮影画像であり、
不織布のフィラメントおよび孔に対して大粒子および後者の相対的なサイズによって得られる架橋を示す。
【実施例4】
【0140】
110g/m2および120g/m2のオーダーの表面重量を有する6.5dtexのポリエステル短繊維からなる不織布の表層は、乾式方法によって調製された。これらは、文献FR 88 16711に記載された方法に従って層の中央に導入された68Texのガラス糸条による補強の目的であった。
【0141】
次いでこれらの表面のいくつかの試料は巻き取られ、全体浴において70%のアクリル樹脂および30%のメラミンからなる結合剤を水で77.5%に希釈して使用して、2.5m/分の速度で含浸された。結合剤は、乾燥され、次いで、炉内で3分間215℃の温度で、架橋された。
【0142】
搬送レベルは、不織布の初期重量に対して乾燥条件下で22から24%までの範囲に理論的になるようなかたちで調整された。圧搾はすべての試験について締め付け圧力3.5バールのパッドマングルによってなされる。
【0143】
比較試験において、この同じ結合剤はd50%が130μmの平均粒径を持つ炭酸カルシウムまたは粒径が100μmから300μmの微粉化されたポリエチレンの形態において粒状原料の樹脂の乾燥状態の25%を添加することが目的であった。
【0144】
これらの比較試験の処理は、追加原料のない対照と類似している。
【0145】
最終的な表面の長手方向の挙動は、低温条件下および180℃の温度における高温条件下で試験された。
【0146】
これらの試験によって得られる結果は、下記の表7および8において表示される。
【0147】
【表8】
【0148】
【表9】
【0149】
無機または有機原料とガラス繊維強化フィラメントとの間の優れた相乗作用ならびに低温条件下および180℃の条件下の弾性率の有意な強化のあることが、対照に比べて認められる。
【0150】
負荷が加えられた製品についてはより低い表面重量にもかかわらず、故障および変形能エネルギーは同一またははるかに優れているように見える。
【0151】
さらに、同じ操作条件について、導入される原料を使えば連結された製品の厚さが薄くなるほど網状組織の弛緩がより小さくなることが可能になる。ポリエチレン原料により、架橋可能な結合剤内にポリエチレンを導入するにもかかわらず、繊維の網状組織の機械的な熱変形挙動をこのように非常に有意に修正して、多数のフィラメントを点で制約する(point−imprison)ことが可能になる。
【0152】
これらの原料を使えば、所望の分野において寸法安定性を損なうことなく、不織布の構造の物理学的および機械的性質に影響を及ぼさないようにすることもまた可能になる。
【0153】
曲線の形態において、図11は表8からも得られる高温動力測定試験(変形/負荷曲線)の結果を示し、図12は実施例4に従う試料の電子顕微鏡撮影画像であり、大粒子(架橋後のポリエチレン+アクリル結合剤原料)の存在によって生じる架橋部位を示す。
【0154】
もちろん、本発明は添付の図面において記載され示されている実施形態に限定されるものではない。本発明の保護の範囲を修正によって超えることがなければ、特にさまざまな要素の組成物の見地からまたは等価の技術の置き換えによって修正することは依然として可能なことである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1未満の体積密度を有し、製品のXY平面に対して垂直なZ方向において重ね合わされた少なくとも1回の機械的または水圧のニードリング操作を受けていた合成繊維またはフィラメントの少なくとも2枚の層によって形成されており、これによって、その製品内で単一モードまたは多モードのかたちで分布されフィラメントまたは繊維を互いに少なくとも点連結できる結合材によって少なくとも部分的にコーティングされまたは封入された無機および/または有機粒子の形態において、粒状原料を一体化もする可撓性の不織布製品であって、
有機および/または無機粒子(「大粒子」と呼ぶ)の少なくとも1つの集団または分画が、次式のようなサイズを有することを特徴とする不織布製品
【数1】
好ましくは
【数2】
(式中SMfは、不織布製品の層を形成する繊維またはフィラメントの平均断面積に相当し、vは有機または無機の粒子の平均のそれぞれの体積を表す。)。
【請求項2】
大粒子が、質量および/または体積の点で、不織布製品内に存在し、同じ層の節、編み目、繊維およびフィラメントとの間にならびに不織布製品を形成する重ね合わされた層との間に架橋または連結を生じる粒状原料の大多数の分画を構成している、請求項1に記載の不織布製品。
【請求項3】
大粒子が、d≧3×DMf、好ましくはd≧5×DMfのような、少なくとも1つの寸法dを有し、式中DMfが不織布製品の層を形成する繊維またはフィラメントの平均直径に相当する、請求項1または2に記載の不織布製品。
【請求項4】
大粒子が、不織布製品のXY平面に対して垂直なZ軸方向で見た、不織布製品層の可視孔の平均サイズの少なくとも20%に相当する平均サイズを有する、請求項1から3のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項5】
大粒子が約50μm超、好ましくは約60μm超である平均粒径を有する、請求項1から4のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項6】
大粒子のそれぞれの体積vがまた、以下の不等式を立証する、請求項1から5のいずれかに記載の不織布製品。
【数3】
好ましくは
【数4】
【請求項7】
大粒子が、製品のXY平面に対して垂直なZ軸方向で見た不織布製品の層の可視孔の平均サイズの約120%未満、好ましくは約100%未満である平均サイズを有する、請求項1から6のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項8】
大粒子が、約400μm未満、有利には約300μm未満、好ましくは約200μm未満の平均の粒径を有する、請求項1から7のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項9】
無機および/または有機粒状原料がまた、その粒径が30μm未満、好ましくは20μm未満である粒子の集団または分画を含む、請求項1から8のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項10】
無機および/または有機原料が、不織布製品の層を形成する繊維またはフィラメントの重量の1%から30%の間、好ましくは5%から25%の間の重量比率で存在する、請求項1から9のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項11】
無機および/または有機粒子を形成している(1種または複数の)材料が、必要に応じて結合剤の活性化、架橋または乾燥の融点において、層の繊維またはフィラメントを形成している(1種または複数の)材料の融点より高い融点を有する、請求項1から10のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項12】
有機粒子の融点が繊維またはフィラメントの融点未満であり、適宜、結合剤を形成する材料のヒートセット、乾燥、活性化または架橋の温度未満または温度超である、請求項1から10のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項13】
原料を形成している粒子が、100μm超、有利には60μm超、好ましくは20μm超の粒径を有し、有機的性質または起源を有する、請求項1から12のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項14】
無機および/または有機原料を形成している粒子の一部が、温度で膨張させることができる粒子からなる、請求項1から13のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項15】
不織布製品の層を形成する連続繊維またはフィラメントが、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレンと同様にこれらの異なるポリマーのコポリマーならびにこれらの異なるポリマーおよびコポリマーの可能な混合物によって形成される群から選択される熱可塑性ポリマー材料を主体とする、請求項1から10のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項16】
不織布製品が−場合によって2層以上の構成層においてまたはこれらの間に−高い安定化特性を有するフィラメント、(1種または複数の)格子および/または生地の形態において、補強構造を一体化し、これにより結合剤によって少なくとも部分的にコーティングされまたは封入される無機および/または有機粒子が、これらの補強構造と層のフィラメントまたは繊維の間に前記結合剤によって剛直な連結を確立するまたは架橋を生じさせる、請求項1から15のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項17】
無機粒子を形成する材料が、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウムまたは水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、粘土、カオリン、水晶、タルクなどの炭酸塩、ケイ酸塩および硫酸塩ならびに酸化チタン、ボーキサイトおよびギブサイトなどの酸化物および水酸化物によって形成される群から選択される、請求項1から16のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項18】
有機粒子を形成する材料が、木、リグニンなどの繊維状または粒状のセルロース、黒鉛、エポキシおよびベークライト(登録名称)などの微粉化されたヒートセット可能な再利用ポリマー、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PA(ポリアミド)ならびにこれらのコポリマーなどの微粉化された熱可塑性ポリマーによって形成される群から選択される、請求項1から17のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項19】
結合剤を形成する材料が、ホルムアルデヒドを含むまたは含まない樹脂、アクリレート、スチレンアクリレート、ビニルアクリレート、メタクリレート、ビニルアクリレート、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、エチルビニルアセテート、スチレンブタジエン、ビニルアルコール、ブタジエンアクリレート、ポリウレタン、シリコーンを主体とするエマルジョン内または分散液内の液状樹脂、ならびにフェノール、メラミン、尿素、エポキシ、アルキドおよびポリエステルを主体とする架橋性樹脂によって形成される群から選択される、請求項1から18のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項20】
1未満の体積密度を有し、製品のXY平面に対して垂直なZ方向において重ね合わされた少なくとも1回の機械的または水圧のニードリング操作を受けていた繊維またはフィラメントの少なくとも2枚の層によって形成されており、これによって、その製品内に単一モードまたは多モードのかたちで分布され、フィラメントまたは繊維を互いに少なくとも点連結できる結合材によって少なくとも部分的にコーティングされまたは封入された無機および/または有機粒子の形態において、粒状原料を一体化もする可撓性の不織布製品の製造方法であって、
方法が、−事前に、同時にまたは続いて−繊維またはフィラメントの層の中および/またはその間の結合材を一体化することにあり、これによって、無機および/または有機粒状の原料を混合するための1つのステージが、有機および/または無機粒子(「大粒子」と呼ぶ)の少なくとも1つの集団または分画を含み、次式のようにそれぞれを有する方法
【数5】
好ましくは
【数6】
(式中SMfは、不織布製品の層を形成する繊維またはフィラメントの平均断面積に相当し、vは有機または無機の粒子の平均のそれぞれの体積を表す。)。
【請求項21】
不織布製品中に混合される大粒子が、請求項2から8のいずれかに記載の粒子に相当し、これによって、ニードリング操作が不織布製品の層の、中および間に粒状原料を導入する前または後に行われる、請求項20に記載の製造方法。
【請求項22】
混合される無機および/または有機粒状原料がまた、その粒径が30μm未満、好ましくは20μm未満である粒子の集団または分画を含む、請求項20または21に記載の製造方法。
【請求項23】
方法が、不織布製品内の無機および/または有機原料を、不織布製品の層を形成する繊維またはフィラメントの重量の1%から30%の間、好ましくは5%から25%の間の重量比率で混合することにある、請求項18から21のいずれかに記載の製造方法。
【請求項24】
無機および/または有機粒子の組が、不織布製品において同時に混合され、化学結合剤と事前にまたは同時に混合される、請求項1から22のいずれかに記載の製造方法。
【請求項25】
無機粒子および有機粒子が不織布製品において異なるかたちで混合され、これによって、無機粒子が有機粒子に続いて導入される、請求項1から22のいずれかに記載の製造方法。
【請求項26】
無機および/または有機粒子を形成している(1種または複数の)材料が、必要に応じて結合剤の活性化、架橋または乾燥の融点において、層の繊維またはフィラメントを形成している(1種または複数の)材料の融点より高い融点を有する、請求項20から25のいずれかに記載の製造方法。
【請求項27】
有機粒子の融点が繊維またはフィラメントの融点未満であり、適宜、結合剤を形成する材料のヒートセット温度、乾燥温度、活性化温度または架橋温度未満または超である、請求項20から25のいずれかに記載の製造方法。
【請求項28】
100μm超、有利には60μm超、好ましくは20μm超の粒径を有する粒子が有機的性質または起源を有し、無機および/または有機原料を形成している粒子の一部が温度で膨張することができる粒子からなり、不織布製品の層を形成する連続繊維またはフィラメントが、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、およびポリエチレンと同様にこれらの異なるポリマーのコポリマーならびにこれらの異なるポリマーおよびコポリマーの可能な混合物によって形成される群から選択される熱可塑性ポリマー材料を主体とする、請求項20から27のいずれかに記載の製造方法。
【請求項29】
粒子の密度が結合剤の密度より約30%大きい、好ましくは約20%大きい場合には、含浸によって粒状の原料および結合剤を導入する場合、方法がチキソトロープ剤または分散化剤を使用することにある、請求項20から28のいずれかに記載の製造方法。
【請求項30】
方法が、この不織布製品において、場合によって2層以上の連続層においてまたはこれらの間に、以下に示す高い安定化特性を有するフィラメント、(1種または複数の)格子および/または生地の形態における補強構造と、これらの補強構造と層のフィラメントまたは繊維の間に結合剤によって剛直な連結を確立するまたは架橋を生じさせる前記結合剤によって少なくとも部分的にコーティングされるまたは封入される無機および/または有機粒子とを一体化することにある、請求項20から29のいずれかに記載の製造方法。
【請求項1】
1未満の体積密度を有し、製品のXY平面に対して垂直なZ方向において重ね合わされた少なくとも1回の機械的または水圧のニードリング操作を受けていた合成繊維またはフィラメントの少なくとも2枚の層によって形成されており、これによって、その製品内で単一モードまたは多モードのかたちで分布されフィラメントまたは繊維を互いに少なくとも点連結できる結合材によって少なくとも部分的にコーティングされまたは封入された無機および/または有機粒子の形態において、粒状原料を一体化もする可撓性の不織布製品であって、
有機および/または無機粒子(「大粒子」と呼ぶ)の少なくとも1つの集団または分画が、次式のようなサイズを有することを特徴とする不織布製品
【数1】
好ましくは
【数2】
(式中SMfは、不織布製品の層を形成する繊維またはフィラメントの平均断面積に相当し、vは有機または無機の粒子の平均のそれぞれの体積を表す。)。
【請求項2】
大粒子が、質量および/または体積の点で、不織布製品内に存在し、同じ層の節、編み目、繊維およびフィラメントとの間にならびに不織布製品を形成する重ね合わされた層との間に架橋または連結を生じる粒状原料の大多数の分画を構成している、請求項1に記載の不織布製品。
【請求項3】
大粒子が、d≧3×DMf、好ましくはd≧5×DMfのような、少なくとも1つの寸法dを有し、式中DMfが不織布製品の層を形成する繊維またはフィラメントの平均直径に相当する、請求項1または2に記載の不織布製品。
【請求項4】
大粒子が、不織布製品のXY平面に対して垂直なZ軸方向で見た、不織布製品層の可視孔の平均サイズの少なくとも20%に相当する平均サイズを有する、請求項1から3のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項5】
大粒子が約50μm超、好ましくは約60μm超である平均粒径を有する、請求項1から4のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項6】
大粒子のそれぞれの体積vがまた、以下の不等式を立証する、請求項1から5のいずれかに記載の不織布製品。
【数3】
好ましくは
【数4】
【請求項7】
大粒子が、製品のXY平面に対して垂直なZ軸方向で見た不織布製品の層の可視孔の平均サイズの約120%未満、好ましくは約100%未満である平均サイズを有する、請求項1から6のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項8】
大粒子が、約400μm未満、有利には約300μm未満、好ましくは約200μm未満の平均の粒径を有する、請求項1から7のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項9】
無機および/または有機粒状原料がまた、その粒径が30μm未満、好ましくは20μm未満である粒子の集団または分画を含む、請求項1から8のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項10】
無機および/または有機原料が、不織布製品の層を形成する繊維またはフィラメントの重量の1%から30%の間、好ましくは5%から25%の間の重量比率で存在する、請求項1から9のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項11】
無機および/または有機粒子を形成している(1種または複数の)材料が、必要に応じて結合剤の活性化、架橋または乾燥の融点において、層の繊維またはフィラメントを形成している(1種または複数の)材料の融点より高い融点を有する、請求項1から10のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項12】
有機粒子の融点が繊維またはフィラメントの融点未満であり、適宜、結合剤を形成する材料のヒートセット、乾燥、活性化または架橋の温度未満または温度超である、請求項1から10のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項13】
原料を形成している粒子が、100μm超、有利には60μm超、好ましくは20μm超の粒径を有し、有機的性質または起源を有する、請求項1から12のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項14】
無機および/または有機原料を形成している粒子の一部が、温度で膨張させることができる粒子からなる、請求項1から13のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項15】
不織布製品の層を形成する連続繊維またはフィラメントが、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレンと同様にこれらの異なるポリマーのコポリマーならびにこれらの異なるポリマーおよびコポリマーの可能な混合物によって形成される群から選択される熱可塑性ポリマー材料を主体とする、請求項1から10のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項16】
不織布製品が−場合によって2層以上の構成層においてまたはこれらの間に−高い安定化特性を有するフィラメント、(1種または複数の)格子および/または生地の形態において、補強構造を一体化し、これにより結合剤によって少なくとも部分的にコーティングされまたは封入される無機および/または有機粒子が、これらの補強構造と層のフィラメントまたは繊維の間に前記結合剤によって剛直な連結を確立するまたは架橋を生じさせる、請求項1から15のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項17】
無機粒子を形成する材料が、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウムまたは水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、粘土、カオリン、水晶、タルクなどの炭酸塩、ケイ酸塩および硫酸塩ならびに酸化チタン、ボーキサイトおよびギブサイトなどの酸化物および水酸化物によって形成される群から選択される、請求項1から16のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項18】
有機粒子を形成する材料が、木、リグニンなどの繊維状または粒状のセルロース、黒鉛、エポキシおよびベークライト(登録名称)などの微粉化されたヒートセット可能な再利用ポリマー、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PA(ポリアミド)ならびにこれらのコポリマーなどの微粉化された熱可塑性ポリマーによって形成される群から選択される、請求項1から17のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項19】
結合剤を形成する材料が、ホルムアルデヒドを含むまたは含まない樹脂、アクリレート、スチレンアクリレート、ビニルアクリレート、メタクリレート、ビニルアクリレート、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、エチルビニルアセテート、スチレンブタジエン、ビニルアルコール、ブタジエンアクリレート、ポリウレタン、シリコーンを主体とするエマルジョン内または分散液内の液状樹脂、ならびにフェノール、メラミン、尿素、エポキシ、アルキドおよびポリエステルを主体とする架橋性樹脂によって形成される群から選択される、請求項1から18のいずれかに記載の不織布製品。
【請求項20】
1未満の体積密度を有し、製品のXY平面に対して垂直なZ方向において重ね合わされた少なくとも1回の機械的または水圧のニードリング操作を受けていた繊維またはフィラメントの少なくとも2枚の層によって形成されており、これによって、その製品内に単一モードまたは多モードのかたちで分布され、フィラメントまたは繊維を互いに少なくとも点連結できる結合材によって少なくとも部分的にコーティングされまたは封入された無機および/または有機粒子の形態において、粒状原料を一体化もする可撓性の不織布製品の製造方法であって、
方法が、−事前に、同時にまたは続いて−繊維またはフィラメントの層の中および/またはその間の結合材を一体化することにあり、これによって、無機および/または有機粒状の原料を混合するための1つのステージが、有機および/または無機粒子(「大粒子」と呼ぶ)の少なくとも1つの集団または分画を含み、次式のようにそれぞれを有する方法
【数5】
好ましくは
【数6】
(式中SMfは、不織布製品の層を形成する繊維またはフィラメントの平均断面積に相当し、vは有機または無機の粒子の平均のそれぞれの体積を表す。)。
【請求項21】
不織布製品中に混合される大粒子が、請求項2から8のいずれかに記載の粒子に相当し、これによって、ニードリング操作が不織布製品の層の、中および間に粒状原料を導入する前または後に行われる、請求項20に記載の製造方法。
【請求項22】
混合される無機および/または有機粒状原料がまた、その粒径が30μm未満、好ましくは20μm未満である粒子の集団または分画を含む、請求項20または21に記載の製造方法。
【請求項23】
方法が、不織布製品内の無機および/または有機原料を、不織布製品の層を形成する繊維またはフィラメントの重量の1%から30%の間、好ましくは5%から25%の間の重量比率で混合することにある、請求項18から21のいずれかに記載の製造方法。
【請求項24】
無機および/または有機粒子の組が、不織布製品において同時に混合され、化学結合剤と事前にまたは同時に混合される、請求項1から22のいずれかに記載の製造方法。
【請求項25】
無機粒子および有機粒子が不織布製品において異なるかたちで混合され、これによって、無機粒子が有機粒子に続いて導入される、請求項1から22のいずれかに記載の製造方法。
【請求項26】
無機および/または有機粒子を形成している(1種または複数の)材料が、必要に応じて結合剤の活性化、架橋または乾燥の融点において、層の繊維またはフィラメントを形成している(1種または複数の)材料の融点より高い融点を有する、請求項20から25のいずれかに記載の製造方法。
【請求項27】
有機粒子の融点が繊維またはフィラメントの融点未満であり、適宜、結合剤を形成する材料のヒートセット温度、乾燥温度、活性化温度または架橋温度未満または超である、請求項20から25のいずれかに記載の製造方法。
【請求項28】
100μm超、有利には60μm超、好ましくは20μm超の粒径を有する粒子が有機的性質または起源を有し、無機および/または有機原料を形成している粒子の一部が温度で膨張することができる粒子からなり、不織布製品の層を形成する連続繊維またはフィラメントが、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、およびポリエチレンと同様にこれらの異なるポリマーのコポリマーならびにこれらの異なるポリマーおよびコポリマーの可能な混合物によって形成される群から選択される熱可塑性ポリマー材料を主体とする、請求項20から27のいずれかに記載の製造方法。
【請求項29】
粒子の密度が結合剤の密度より約30%大きい、好ましくは約20%大きい場合には、含浸によって粒状の原料および結合剤を導入する場合、方法がチキソトロープ剤または分散化剤を使用することにある、請求項20から28のいずれかに記載の製造方法。
【請求項30】
方法が、この不織布製品において、場合によって2層以上の連続層においてまたはこれらの間に、以下に示す高い安定化特性を有するフィラメント、(1種または複数の)格子および/または生地の形態における補強構造と、これらの補強構造と層のフィラメントまたは繊維の間に結合剤によって剛直な連結を確立するまたは架橋を生じさせる前記結合剤によって少なくとも部分的にコーティングされるまたは封入される無機および/または有機粒子とを一体化することにある、請求項20から29のいずれかに記載の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−196009(P2011−196009A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−57431(P2011−57431)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(511068728)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57431(P2011−57431)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(511068728)
【Fターム(参考)】
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