有機アジドおよび1−ハロアルキンの銅触媒による付加環化
本発明は、液体反応媒体中で銅触媒および銅配位子(好ましくは、第三級アミン)の存在下で有機アジドを2−置換−1−ハロアルキンに接触させ、それによって、トリアゾールの5位にあるハロ置換基、トリアゾールの1位にある有機アジドの有機部分、およびトリアゾールの4位にある1−ヨードアルキンの置換基を有する1,4,5−置換−1,2,3−トリアゾールを形成するステップを含む、1,2,3−トリアゾール化合物を調製する方法を提供する。1−ヨードアルキンを調製する方法もまた提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2009年8月11日出願の米国特許仮出願第61/273,939号の利益を請求する。
【0002】
本発明の契約上の起源
本明細書に記載の研究の一部は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)からの助成金番号GM28384、GM83658およびGM87620による支援を受けた。米国政府は、本発明について一定の権利を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、1,2,3−トリアゾール化合物を調製する方法に関する。より詳細には、本発明は、1,2,3−トリアゾール化合物を位置選択的に調製するための、有機アジドおよび1−ハロアルキンの銅触媒による付加環化反応の使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
本発明は、1,2,3−トリアゾール化合物を位置選択的に調製する方法を提供する。本方法は、液体反応媒体中で銅触媒(例えば、Cu(I)イオンを含む)およびアミン(好ましくは、第三級アミン配位子)、チオールまたはその塩、スルフィド、ジスルフィド、チオフェン、チアゾールおよびホスフィンなどの銅配位子の存在下で有機アジドを2−置換−1−ハロアルキン(例えば、1−ヨードアルキン)に接触させるステップを含む。アジドおよびハロアルキンは、[3+2]付加環化反応と類似の様式で縮合することによってトリアゾールの5位にあるハロ置換基、トリアゾールの1位にある有機アジドの有機部分、およびトリアゾールの4位にある1−ヨードアルキンの置換基を有する1,4,5−置換−1,2,3−トリアゾール化合物を得る。
【0005】
別の態様では、本発明は、1−ヨードアルキンを調製する方法を提供する。その方法は、非プロトン性溶媒(例えば、THF)中で第一銅イオン(例えば、第一銅イオンの触媒量)の存在下で末端アルキンを親電子性ヨウ化剤(例えば、N−ヨードモルホリンなどのN−ヨードアミン、N−ヨードスクシンイミドなどのヨードアミドなど)と接触させることによって1−ヨードアルキンを与えるステップを含む。親電子性ヨウ化剤と末端アルキンの反応は、有利にはおよび驚くべきことに、周囲の室温で高収率で行われる。第一銅イオンは、Cu(I)塩から提供することもでき、Cu(II)をin situで還元して生成させることもできる。
【0006】
本発明の付加環化法は、1−ハロアルキン(詳細には、1−ヨードアルキン)との反応が、対応する末端アルキン(すなわち、ヨード置換基の代わりに水素を有する)との反応より顕著に速やかであるという点で、有機アジドと末端アルキンとの既存の付加環化反応をしのぐ予想外に優れた利点を提供する。加えて、付加環化反応のトリアゾール最終生成物は、トリアゾールの5位にハロ置換基を備えており、他の官能基(例えば、アリール基、ポリエチレングリコール基など)を導入するための5位における次の反応用の「ハンドル」を提供する。
【0007】
本発明は、以下の明細書で十分に説明され、添付の図面で例示されるある種の新規な特徴を含むものであり、本発明の趣旨を逸脱し、本発明のいかなる利点をも犠牲にすることなく、細部の多様な変更が可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】有機アジドを銅アセチリドと縮合させるための一般化された反応スキームを例示する図である。
【図2】多様なアミノ配位子および他の銅含有塩基がアジド−ハロアルキン付加環化に及ぼす効果を例示する表である。
【図3】多様な溶媒がアジド−ハロアルキン付加環化反応に及ぼす効果を例示する表である。
【図4】本発明に従って調製される多様な5−ヨード置換1,2,3−トリアゾールの例を示す図である。
【図5】本発明に従って調製される多様な1−ヨードアルキンを例示する図である。
【図6】本発明の方法に従って、1−ヨードアルキンをin situで調製し、続いてそのヨードアルキンをアジドと縮合させるステップを例示する図である。
【図7】本発明に従って、5−アリール−1,2,3−トリアゾールを形成するための反応手順を例示する図である。
【図8】1−ハロアルキンと有機アジドを本発明によってCu(I)触媒縮合させるための可能な機構を例示する略図である。
【図9】バイオコンジュゲーションにおける本方法の例示的な応用を示す略図である。
【図10】生体分子などの標的骨格化合物上にホウ素−10含有材料を付加する一つの手法を例示する略図である。
【図11】グリオーマの中性子治療に有用なボラン化合物のpeg化の例を示す図である。
【図12】本発明の方法に従って蛍光染料部分を導入するためのバイオコンジュゲーションの例、およびバイオコンジュゲーション反応に有用なアセチレンおよびトリアゾール置換クマリン化合物の例を示す図である。
【図13】本発明の方法に従ってビス−トリアゾールを段階的に合成する例を示す略図である。
【図14】本発明の方法に従ってビス−トリアゾールを段階的に合成する具体的な例を示す図である。
【図15】ビス−1−ヨードアルキン(A)をビス−アジドと一緒に利用することによってA+B型ポリトリアゾールを与えるポリマー合成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、1,2,3−トリアゾール化合物を調製する方法を提供するものであり、その方法は、液体反応媒体中で銅触媒および銅配位子(好ましくは、第三級アミン配位子)の存在下で有機アジドを2−置換−1−ハロアルキン(例えば、1−ヨードアルキン)に接触させるステップ、を含み、から基本的になり、またはからなる。アジドおよびハロアルキンは、高度に位置選択的な方式で縮合することによってトリアゾールの5位にハロ置換基、トリアゾールの1位に有機アジドの有機部分、トリアゾールの4位に1−ヨードアルキンの置換基を有する1,4,5−置換−1,2,3−トリアゾール化合物を得る。
【0010】
本明細書では、および当技術分野で従来から公知であるように、「アルキン」および「アセチレン」という用語、ならびにその文法的な変形形態は、炭素−炭素三重結合を含む化合物を指すのに同義語として使用される。修飾語「末端の」は、「アルキン」または「アセチレン」という用語と一緒に使用される場合、炭素−炭素三重結合の一方の末端における水素および他方の末端における有機置換基を含む化合物を指す。
【0011】
一部の好ましい実施形態では、銅触媒は、Cu(I)塩(例えば、硫酸第一銅、または臭化第一銅やヨウ化第一銅などのハロゲン化第一銅塩)、を含み、から基本的になり、からなる。所望であれば、触媒またはその一部分は、in situで、例えば、Cu(II)を還元することによってまたはCu(0)を酸化することによって生成して、触媒活性部分を産生することができる。Cu(II)を還元するための適切な還元剤およびCu(0)を酸化するための適切な酸化剤は、当技術分野で周知である。適切な還元剤の一部の非限定的な例として、アスコルベート(例えば、アスコルビン酸および/またはアスコルビン酸ナトリウムなどのアスコルビン酸塩など)、チオール(例えば、グルタチオン、システイン、ジチオスレイトール(DTT)など)、金属(例えば、Cu(0)など)、スルフィット塩、チオスルフェート塩およびヒドロキノンが挙げられる。好ましいCu(0)酸化剤は、酸素(例えば、空気から)である。例えば、アジドとハロアルキンの間の反応は、酸素含有雰囲気(例えば、空気)下で金属銅の存在下で実施することによって触媒活性銅種をin situで生成させることができる。あるいは、還元剤、例えば、ジチオスレイトール(DTT)などのチオールまたはアスコルビン酸塩の存在下でCu(II)塩を用いて実施することもできる。DTTなどのチオールもまた、例えば第三級アミンの代わりに銅配位子として作用することができる。
【0012】
銅配位子は、銅と配位可能な自由電子対を含む任意の配位子であってよい。銅用の配位子は、当技術分野で周知である。好ましくは、銅配位子として、窒素、イオウ、リンまたは酸素原子、または前記のうちの任意のものの組合せが挙げられ、これらは銅に対して親和性を有する。イオウ含有銅配位子の例として、チオフェノールやチオフェノール塩などのチオールおよびチオール塩;ジチオスレイトール(DTT)など;ジメチルスルフィドやジフェニルスルフィドなどのスルフィド;ジメチルジスルフィドやジフェニルジスルフィドなどのジスルフィド;チオフェン(例えば、チオフェン2−カルボン酸)などのイオウ複素環;チアゾール(例えば、チアゾール−2−カルボン酸)などが挙げられる。リン含有配位子の例として、ホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィン、アミノホスフィン)などが挙げられる。窒素含有銅配位子の例として、窒素複素環(例えば、トリアゾール、テトラゾール、オザゾール、ピリジンなど)、およびアミン(例えば、第三級アミン)が挙げられる。銅配位子として、所望であれば、硫黄、窒素、リンと酸素含有配位子基の任意の組合せ、例えば、トリアゾール置換、チオフェン置換、スルフィド置換、オキサゾール置換、ジスルフィド置換第三級アミンなどを挙げることができる。
【0013】
好ましくは、銅配位子はアミン配位子である。アミン配位子は、任意のアミンを含むことができるが、好ましくは、第三級アミンを含む。トリアルキルアミン(例えば、トリエチルアミン(TEA)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)などのC1−C22トリアルキルアミン)、および窒素複素環置換第三級アミン、例えば、トリス((1−tert−ブチル−1H−1,2,3−トリアゾリル)メチル)アミン(TTTA)やトリス((1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾリル)メチル)アミン(TBTA)などのトリアゾール置換第三級アミンが、一部の実施形態で好ましい。他の適切なトリアゾール置換第三級アミンは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、WO2009/038685として公開されている共有のPCT出願第PCT/US2008/010739号において開示されている。
【0014】
液体反応媒体は、非プロトン性溶媒および/またはアルコールおよび/または水、を含む、から基本的になる、またはからなることができる。一般に、適切な溶媒は、多様な反応物質、触媒、配位子、および/または生成物の溶解度を基準に選択されるが、これは、当技術分野で周知である。非プロトン性溶媒の適切な型の非限定的な例として、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン(DME)など)、アミド(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−ピロリジノンなど、およびN,N−ジメチルプロピレン尿素などのアルキル置換尿素)、ニトリル(例えば、アセトニトリル)、炭化水素(例えば、トルエン、キシレン、石油エーテルなど)、エステル(例えば、酢酸エチル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)など)およびハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタンなどの塩素化炭化水素)、ならびに前記の任意のものの組合せが挙げられる。適切なアルコールの非限定例として、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールなど、および前記の任意のものの組合せが挙げられる。所望であれば、液体媒体は、媒体の化学的および物理的特性を調整するために、例えば、反応物質の可溶化を助けるためなどに、他の材料、およびpH緩衝剤、界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などのアニオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール、エトキシル化アルコールなどの非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、または両性界面活性剤)、還元剤、酸化剤、消泡剤、分散剤など周知の機能性添加剤を含むことができる。
【0015】
一部の実施形態では、有機アジドは、有機アジド中のアジドのモル量および1−ハロアルキン中のアルキンのモル量に対して少なくとも化学量論量の1−ハロアルキンと接触する。他の実施形態では、有機アジドは、有機アジド中のアジドのモル量および1−ハロアルキン中のアルキンのモル量に対して化学量論量未満の1−ハロアルキンと接触する。さらなる他の実施形態では、有機アジドは、有機アジド中のアジドのモル量および1−ハロアルキン中のアルキンのモル量に対して化学量論量超の1−ハロアルキンと接触する
所望であれば、本発明の方法は、1,4,5−置換−1,2,3−トリアゾール化合物を銅配位子および存在してもよい任意の銅含有材料または添加剤から分離する追加のステップを含むことができる。かかる分離は、限定されないが、抽出、向流抽出、沈殿、クロマトグラフィー(例えば、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィーなど)、粉砕、ろ過、結晶化、またはかかる技法の任意の組合せを含めての任意の適切な技法によって実施することができる。当然ながら、化学的分離技術分野の当業者であれば、分離される材料の物理的および化学的特性と適合できる分離技法を選択することができるが、これは当技術分野で周知である。加えて、一部の好ましい実施形態は、1,4,5−置換−1,2,3−トリアゾール化合物を液体反応媒体から単離する追加のステップを含む。かかる単離は、例えば、上記の分離技法によって実施することができる。
【0016】
本発明のさらに他の好ましい実施形態は、Pd(0)触媒の存在下で1,4,5−置換−1,2,3−トリアゾール化合物をアリールボロン酸と接触させ、それによって、トリアゾールの5−ハロ置換基をアリールボロン酸のアリール部分と置き換える追加のステップを含む。あるいは、この方法は、1,4,5−置換−1,2,3−トリアゾール化合物を還元剤と接触させることによって5−ハロ置換基を水素と置き換える追加のステップを含むこともできる。
【0017】
本発明の方法の有機アジド成分は、限定されないが、末端アセチレンと有機アジドの間の周知の銅触媒によるアジド−アルキン付加環化(CuAAC)反応で利用されてきた任意のかかる有機アジドを含めて、任意のアジド置換有機材料であってよい。同様に、本発明の方法では、1−ハロアルキン(例えば、1−ヨードアルキン)に転換された後の任意の末端アルキン、特に、CuAAC反応に参加することが実際に示されてきたような任意のアルキンを利用することができる。末端アルキンは、好都合には、本明細書に記載の方法によって1−ヨードアルキンに転換することができる。CuAAC反応で環化することができる広範囲の有機アジドおよび末端アルキンを例示するCuAAC反応についての総説として、例えば、Peng WuおよびValery V.Fokin、Aldrichemica Acta、2007、40(1):7−17;John E.MosesおよびAdam D.Moorhouse、Chemical Society Reviews、2007、36 1249−1262;およびRolf Breinbauer and Maja Kohn、ChemBioChem、2003、4 1147−1149、ならびに上記の中に引用された参考文献が挙げられる。
【0018】
本発明の方法における有機アジドおよび2−置換−1−ハロアルキンが含むことができる有機部分の範囲は、事実上限界がなく、その範囲には、例えば、すべての型の生体分子を含む、簡単なおよび複雑なアルキル基(直鎖および分枝アルキル、テルペン、ステロイド、フラーレンなどを含む)、芳香族基(例えば、フェニル、ナフチル、アントリルなど)、複素環基(窒素、酸素および/または硫黄系複素環を含む)、複素芳香族基(窒素、酸素および/または硫黄系複素芳香族基を含む)、炭水化物(例えば、糖類、オリゴサッカライド、ポリサッカライドなど)、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、核酸、ポリマー材料(例えば、ポリエチレングリコール、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアクリレートなど)、およびアルコール、酸、チオ酸、ヒドロキサム酸、アミン、チオール、スルフィド、ジスルフィド、アミド、尿素、エステル、エーテル、カルボネート、ハロゲン化物、スルホン酸、スルホキシド、スルホン、スルホンアミド、スルフェート、ホスフェート、ホスフィド、ホスホネート、ホスホンアミドなど、ならびに前記の2つ以上の組合せなどの機能性置換基を有する材料が挙げられる。
【0019】
加えて、1−ハロアルキンの2−置換基は、水素であってよく、また、例えば、炭素−炭素結合、窒素−炭素結合、カルコゲン−炭素結合(例えば、酸素、硫黄、セレン、テルル)、ケイ素−炭素結合、スズ−炭素結合、またはリン−炭素結合を介して1−ハロアルキンの2位に結合した基を含むことができる。この方式では、非常に広範囲の置換基の型(例えば、プロト、オキソ、アミノ、シリル、スタニル、チオ、セレノ、テルロおよびホスホ基)が、本発明の方法によって1,2,3−トリアゾールの4位に直接結合することができる。
【0020】
所望であれば、有機アジドおよび2−置換−1−ハロアルキンは、単一化合物中で実現することができ、この場合、ポリマー性のトリアゾールを得ることができる。ポリトリアゾール材料は、先端複合材料用の耐熱性ポリマーマトリックスとして有用であると報告されている(例えば、WanらJ.Appl.Poly.ScL、2007;104:1038−1042を参照されたい。)。ポリトリアゾールが、Tangらの米国特許出願公開第2008/0103273号によってビス−アジドを用いるビス−アルキンの[3+2]付加環化を介して調製されたことが報告されている。トリアゾール環上の5−ハロ置換基を有する類似のポリトリアゾールは、ビス−1−ハロアルキンを利用することによって本発明の方法を介して得ることができる。
【0021】
加えて、1−ハロアルキンは、別のアルキン部分(例えば、1−ハロアルキン、末端アルキン、または内部アルキン)と置換することができ、この反応は、末端アルキンのCuAAC反応と場合によって組み合わせた本発明の銅触媒によるアジド1−ハロアルキンカップリング反応、または内部アルキンのルテニウム触媒によるアジドアルキンカップリング(例えば、WO2007/041451に記載されているように)を利用して、ビス−トリアゾールの段階的合成で利用することによってカップリング生成物の2つのトリアゾール環上に多様な異なる置換基を有するビス−トリアゾールを生成することができる。
【0022】
本明細書に記載されたように、有機アジドと1−ハロアルキンの銅触媒による付加環化は、有利には、例えば、アジドまたは1−ハロアルキンを含むように改変された生体分子を1−ハロアルキンまたは有機アジドそれぞれと反応させることによって生体分子を別の有機材料(例えば、PEG基または蛍光染料)に結合させるバイオコンジュゲーション(上記のMosesおよびMoorhouseを参照されたい)を含めて、有機化学および生体有機化学の多数の領域で利用することができる。所望であれば、他の有機材料自体が、生体分子であってよい。生体分子の例として、限定されないが、タンパク質、酵素、アミノ酸、サイトカイン(例えば、インターフェロン−β−「IFNβ」、ケモカイン、核酸、炭水化物、脂質およびその複合体が挙げられる。
【0023】
例えば、タンパク質は、1−ヨードアルキンを含むように改変することができ、次いで、それは、ポリエチレングリコール(PEG)置換アジドと反応することによってトリアゾール結合を介してタンパク質上にPEG基を導入することができる。逆に、タンパク質は、アジド基を含むように改変することができ、PEG化合物は、1−ヨードアルキン基を含むことができる。こうした反応はまた、例えば、グリコシル化合物を1−ハロアルキンまたはアジドいずれかで改変し、適切に置換されたタンパク質またはペプチドと反応させることによってタンパク質をグリコシル化するために利用することもできる。本方法はまた、タンパク質などの生体分子上に多様な標識およびマーカー化合物(例えば、蛍光化合物)を結合させるのにも有用であり得る。例えば、ハロ置換基は、トリアゾール生成物上に残留するので、本方法は、反応物質として放射性ヨウ素で標識された1−ヨードアルキン(すなわち、少なくとも一部のヨウ素が131Iであるもの)を使用することによって放射性ヨウ素を生体分子中に導入するのに使用することができる。別の例では、ホウ素−10含有基は、癌を治療するための中性子療法で使用するための生体分子またはPEG化合物上に導入することができる。
【0024】
peg化は、血液−脳障壁を越えての材料の送達の促進を含めて、医薬分野で多数の利点を提供することが実際に示されてきた。例えば、インターロイキン−10(IL−10、神経栄養痛用の強力なグリア調節剤および鎮痛剤)および脳由来の神経栄養因子(BDNF)のpeg化は、また薬物の生物学的な半減期を増加させつつ、脊髄組織内へのタンパク質の浸透距離を顕著に改良することが報告されている(オンラインで発表されているSoderquistら、J.Biomed.Mater.Res.A、2008 Dec 1を参照されたい)。本発明の方法は、タンパク質をpeg化するための代替法を提供する。例えば、アジドPEG化合物は、1−ハロアルキン置換タンパク質と縮合することができ、またpeg化1−ハロアルキンは、本明細書で記載のようにアジド置換タンパク質と縮合することができる。
【0025】
PEG化合物またはタンパク質上にアジド基またはアセチレン基を導入する方法は、当技術分野で公知である。例えば、米国特許第4041041号には、末端アセチレン置換アミノ酸を調製する方法が記載されており、このアミノ酸は、本発明の方法によって1−ヨードアルキンに転換することができる。かかるアミノ酸をタンパク質上に(例えば、C末端で、N末端で、または側鎖で)導入すると、次いで、アジド−PEG化合物と反応するための1−ヨードアルキン置換タンパク質が提供される。本発明の追加の利点は、PEGが、トリアゾール部分と一緒に導入され、peg化タンパク質中に追加の官能基がもたらされることである。
【0026】
かかるバイオコンジュゲーション反応は、CuAAC反応の場合に広範に調査されている。本方法の特別な利点は、1−ハロアルキンのハロ置換基がトリアゾール上の5位に残留することである。このハロ置換基は、トリアゾールを5位でさらに官能化するのに使用することができる。例えば、トリアゾールの5位にあるヨード置換基は、アリール基(例えば、アリールボロン酸とのPd(0)触媒によるカップリングによって)、カルボキシル基(例えば、金属触媒によるカルボニル化反応によって)、スルフィド基(例えば、チオールによるヨウ化物の銅触媒による親核置換によって)などの別の基で置き換えることができる。他の官能基を含むことが所望であれば、かかる新規な官能基それ自体もさらに改変することができる。したがって、5−ハロ置換基は、本方法によって形成される1,2,3−トリアゾール化合物をさらに改変するための万能ハンドルを提供する。
【0027】
その他の応用では、本発明の方法は、トリアゾール官能化デンドロンおよびデンドリマー、ならびに官能化接着コーティングなどのポリマー材料を形成するのに利用することができ、それについてはCuAAC反応として公知である(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれているWO2006/995046;WO2006/012569;WO2007/011967;WO2007/012001を参照されたい)が、トリアゾール環上に有用なヨードまたはハロ置換基が含まれるという利点が追加されている。
【0028】
別の態様では、本発明は、1−ヨードアルキンを調製する方法を提供する。その方法は、非プロトン性溶媒(例えば、THF、または液体反応媒体に関して上述されたような任意の他の非プロトン性溶媒)中で、ヨウ化第一銅などの第一銅触媒の存在下で末端アルキンを親電子ヨウ化剤(例えば、N−ヨードモルホリンなどのN−ヨードアミン、N−ヨードスクシンイミドなどのヨードアミドなど)と接触させることによって1−ヨードアルキンを得るステップを含む。Cu(II)は、第一銅の形に容易に還元することができるので、Cu(II)塩もまた、第一銅触媒供給源として働くことができる。親電子性ヨウ化剤と末端アルキン部分の間の反応は、有利にはおよび驚くべきことには、周囲の室温で高収率で行われるが、これは本明細書に記載の実施例で実際に示される。触媒は、好ましくは、触媒量で(例えば、アルキン部分に対する化学量論量未満で)存在する。好ましくは、第一銅触媒は、存在するアルキン部分のモルに対して約0.01−約モル%の範囲の量(例えば、約1−約10モル%または約5モル%の範囲の量)で存在する。
【0029】
本発明のある種の態様および特徴は、添付の図面中の図、スキームおよび表を参照しながら、本明細書中の以下の例示的実施例および議論で提供される。
【0030】
本発明者らは、1−ハロアルキン、特に1−ヨードアルキンが、安定で容易に入手できる(以下を参照されたい)内部アセチレンであり、有機アジドとの銅触媒による環付加反応において例外的に大きな反応性を示すことを発見した。実際、銅触媒による付加環化反応におけるアジドに対する1−ヨードアルキンの反応性は、末端アルキンを凌駕するように思われる。追加の利点として、反応生成物、5−ヨード−1,2,3−トリアゾールは、さらなる官能化に対して使用可能な万能合成中間体である。ヨードトリアゾールの数種の合成が公知であるが、この反応は、化学量論量の銅触媒を必要とし、反応性の親電子性ハロゲン化剤(例えば、ヨウ素塩化物、N−ブロモスクシンイミド)を用いる。例えば、(a)Y.M.Wu、J.Deng、Y.Li、Q.Y.Chen、Synthesis 2005、1314;(b)L.Li、G.Zhang、A.Zhu、L.Zhang、J.Org.Chem.2008、73、3630を参照されたい。加えて、一部の手順は、長い反応時間を必要とし、5−H−トリアゾールおよび5−ヨード−トリアゾールの混合物を生成する。例えば、(a)I.Perez−Castro、O.Caamano、F.Fernandez、M.D.Garcia、C.Lopez、E.De Clercq、Org.Biomol.Chem.2007、5、3805;(b)Kuijpersら(彼らは、最近、1−ブロモアルキンからの5−ブロモ−1,2,3−トリアゾールの優れた合成を報告したが、その反応は、完結するのに40モル%のCu(I)/Cu(II)、16−50時間の高温を必要とした。);B.H.M.Kuijpers、G.C.T.Dijkmans、S.Groothuys、P.J.L.M.Quaedflieg、R.H.Blaauw、F.L.van Delft、F.P.J.T.Rutjes、Synlett 2005、3059を参照されたい。
【0031】
有機アジドおよびヨードアルキンから5−ヨード−1,4,5−三置換−1,2,3−トリアゾールを化学選択的および位置選択的に合成するための一般的で迅速で操作が簡単な方法が本明細書で開示されている。触媒反応は、好ましくは、アミン(好ましくは、第三級アミン)などの銅配位子の存在下でヨウ化Cu(I)によって実施される。ジメチルスルフィド、トリフェニルホスフィン、チオフェン−2−カルボン酸、チオフェノールおよびジフェニルスルフィドなど他の配位子もまた、調査され、本発明による銅触媒によるアジド/1−ヨードアルキン付加環化反応を促進することが分かった。
【0032】
広い範囲のCu(I)およびCu(II)塩、溶媒および配位子を含む実験条件の最初の調査は、ヨードアルキン1とアジド2の反応が、THF中のヨウ化Cu(I)/トリエチルアミン(TEA)によって触媒され、それぞれの量が変動する5−プロト−および5−アルキニルトリアゾール4および5と一緒に、主生成物として5−ヨード−1,2,3−トリアゾール3を与えたことを示した(表1、エントリー2;図2を参照されたい)。3の位置化学は、5−ヨード中心を5−H−トリアゾール、4に還元することによって割り当てられた。
【0033】
アミン配位子などの銅配位子を含むことは重要である。その理由は、TEAが除外されると全く反応が観察されなかったからである(図2の表1、エントリー1を参照されたい)。さらに、反応は、TEAの量に強く依存することを示した(表1、エントリー1、3および4;図2)。したがって、5−ヨード−トリアゾール3は、単に過剰(2当量)のTEAを使用することによって優れた収率で単一生成物として生成した。所望の5−ヨードトリアゾールはより低い収率で得られたが、こうした傾向は他の第三級アミン配位子まで見られた(表1、エントリー4、参照6、8;図2)。
【0034】
反応の観測された速度および化学選択性は、アミン配位子の性質で決まった。例えば、TEAが1,2−ジアミンで代替されると、反応の効率は、顕著に低減し、5−アルキニル−トリアゾール5が主生成物として形成された(表1、エントリー8および9;図2)。2,6−ルチジンなどのピリジンは、効果がより低く、1,10−フェナントロリンは、用いた条件下で効果が見られなかった(表1、エントリー7および10;図2)。対照的に、トリス((1,2,3−トリアゾリル)メチル)アミン配位子(B.Gerard、J.Ryan、A.B.Beeler、J.A.Porco、Jr.、Tetrahedron 2006、62、6405を参照されたい)は、この付加環化で効率が高いことが分かった。トリス((1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾリル)メチル)アミン(TBTA)とそのtert−ブチル同族体、トリス((1−tert−ブチル−1H−1,2,3−トリアゾリル)メチル)アミン(TTTA)(表1、エントリー11および12)はいずれも、優れた収率で唯一の生成物として5−ヨードトリアゾール3を提供した。加えて、こうした配位子は、顕著に反応を加速し、完了までの時間を約6時間から約45分に低減した。
【0035】
こうした観察結果に基づいて、TTTAは、5−ヨード−1,2,3−トリアゾールを速やかに化学選択的に構築するための好ましい配位子として浮上した。CuI−TTTA系とCuI−TEA系いずれもが広範囲の溶媒と適合性であることが分かったことは注目に値する(表2;図3)。一部の溶媒は反応速度に対して顕著な効果を実際に発揮したが、反応がプロトン性溶媒(例えば、アルコールおよび水)中で実施された場合でも、選択性は大きな影響を受けなかった。
【0036】
CuI−TTTA触媒系が、一連の構造的および機能的に広い範囲のアジドおよび1−ヨードアルキンに応用された(図4)。全ての場合に、5−ヨード−1,2,3−トリアゾールが、唯一の生成物として得られた。反応条件が穏やかであり、化学選択性が大きく、銅触媒の使用量が小さいので、反応操作が粉砕して次いでろ過する操作と同様に簡単である。その結果として、本方法は、スケールアップするのが極めて容易であり、代表的な5−ヨードトリアゾール6および15が複数のグラム量で調製された。加えて、この環化によって可能な官能基の範囲が広いことは、特に例外的な特徴として目立っている。立体的に必要で(例えば、10、12)機能的に密な(例えば、7、17)基質を利用することができた。したがって、アジド−ヨードアルキン付加環化は、化学連結反応の非常に直交的な手段を提供する。
【0037】
この付加環化の有用性は、末端アルキンからの1−ヨードアルキンの簡単で効率の高い合成の開発によって強化された(図5)。末端アルキンは、CuIの存在下で、N−ヨードモルホリン23(Riceの米国特許第2290710号の手順によって調製された)で処理されて30−60分以内で対応する1−ヨードアルキンをもたらした。得られた生成物は、反応混合物をシリカゲルまたはアルミナのパッド中を単に通過させることによって単離することができ、良好から優秀までの収率で所望の1−ヨードアルキンが得られた。
【0038】
かくして、1−ヨードアルキンを合成できる速度および忠実性について見通しが得られたので、5−ヨード−1,2,3−トリアゾールを調製するための1ポット、2段階プロトコル(図6)が開発された。1−ヨードアルキンは、アジド成分を導入する前に、中性アルミナによるろ過を介して部分的に精製された。CuI−TTTAを含む溶液に親電子性ヨウ化剤(N−ヨードモルホリン、ICl、NISなど)を添加すると、標的アジドおよび末端アルキンは、対応する1−ヨードアルキンを与えたが、次の付加環化を促進できなかった。この失敗は、金属の酸化または配位子の移動/破壊いずれかを介して触媒活性錯体が分裂したためであると思われる。この方法は、単離1−ヨードアルキンについて観察されたのに匹敵する効率で5−ヨードトリアゾール28−30を与えた。
【0039】
このシーケンスは、5−ヨードトリアゾールをアセンブリングし、続いて適切なアリールボロン酸と一緒にPd(0)触媒によるクロスカプリングを用いることによって1,4,5−トリアリール−1,2,3−トリアゾール31−33(図7)の合成までさらに拡張することができた。例えば、J.Deng、Y.−M.Wu、Q.−Y.Chen、Synthesis 2005,2730を参照されたい。この簡単で段階的な構築は、任意の中間体の精製を不要にし、同時に1,2,3−トリアゾールのコアの周りの置換基の配置を完全に制御し、トリアリールトリアゾール31−33のすべての位置同位体の置換を容易に可能にする。こうしたことの実現は注目すべきである。その理由は、アリール基(フェニル、トリルおよびp−メトキシフェニル)間の高度の類似性のために熱によるまたはルテニウム触媒による1,3−双極性付加環化を介しては類似の位置制御合成は不可能であると思われるからである。
【0040】
この新規に発見されたCu(I)触媒による付加環化は、従来から公知のCuAAC法(これは末端アセチレンを利用する)といくつかの類似点を共有する;しかし、銅によるヨードおよび末端アルキンの活性化モードは明確に異なる。機構的な提案が図8に要約されている。一つの可能な経路は、CuAACに対して提案されたものと類似しており(F.Himo、T.Lovell、R.Hilgraf、V.V.Rostovtsev、L.Noodleman、K.B.Sharpless、V.V.Fokin、J.Am.Chem.Soc.2005、127、210)、最初の重要な中間体としてσ−アセチリド錯体35の形成が必要である(図8、a)。例えば、P.Siemsen、R.C.Livingston、F.Diederich、Angew.Chem.Int.Ed.2000、39、2632を参照されたい。近接窒素を介してのアジドの配位の後に環化が起こり、第一銅に配位したトリアゾール38がもたらされる。ヨードアルキン34とのσ−結合メタセシスを介してのCu(I)交換は、環を完成させ、ヨードトリアゾール39を遊離させ、アセチリド35を再生する。
【0041】
あるいは、銅は、π−錯体中間体(図8、b)の形成を介してヨードアルキンを活性化することができ、この中間体が、次いで、アジドと契合し、錯体41を生成する。次いで、環化は、ビニリデン様遷移状態、42を介して進行し、ヨードトリアゾール39を与える。類似の遷移状態は、CuAAC反応中の2−銅中間体の関与を説明するために提案された(a)M.Ahlquist、V.V.Fokin、Organometallics 2007、26、4389;b)B.F.Straub、Chem.Comm.2007、3868)。この経路の明確な特徴は、触媒反応中にC−I結合が決して切断されず、したがって再形成されないことである。
【0042】
機構の詳細な検証は完了していないが、経路「b」が、予備調査および反応最適化実験からの結果に基づいて、現在好ましい。この仮説を支持する上の主たる根拠は、反応がプロトン性溶媒(表2;図3)で、または酸性プロトンを含む基質と一緒に(図4、化合物11、15、22)実施された場合でも、5−ヨードトリアゾールのみが形成されることである。仮に経路「a」が使用可能とすると、第一銅に配位したトリアゾール中間体38は、プロトンを含む他の親電子体によって捕捉され、それによって5−ヨードトリアゾールと5−プロトトリアゾールの混合物が生成する可能性があると思われる。後者の生成物が存在しないことは、経路「a」は支配的ではないという仮説を支持するものである。
【0043】
新規な接触付加環化反応によって、1,4,5−三置換−1,2,3−トリアゾールの速やかで制御された実用的な合成が可能になる。この反応は、広範囲の基質との適合性、官能基との優れた適合性、および溶媒との優れた適応性を備えており、末端アルキンが関与するより汎用のCuAAC反応としてふさわしい性質を有する。こうした直接的な実用上の利点に加えて、本明細書で開示された1−ヨードアセチレンの前例のない優れた反応性は、CuAAC反応を含めてアルキンの銅触媒による変換機構を精査するための強力な道具として働く。
【0044】
図9は、本発明の方法を利用するバイオコンジュゲーション反応を例示する略図である。図9では、PEG置換1−ヨードアルキン48aが、水性媒体中で、CuBrまたはCuSO4、ジチオスレイトール(DTT、還元剤)、銅用の配位子としてのトリス((1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾリル)メチル)アミン(TBTA)、および場合によってはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の存在下でアジド置換IFNβ49と反応してトリアゾール環の5位にヨード置換基を有するpeg化IFNβ誘導体50aを与え、この誘導体は、ヨード置換基を別の官能基に転換する(例えば、別のPEG基、芳香族基、炭水化物、カルボン酸などを導入するために)ことによってさらに官能化してトリアゾール51にすることができる。放射性ヨード基がPEG置換1−ヨードアルキンに導入される場合(例えば、48bにおけるように131I)、次いで、生成トリアゾール50bも131Iで標識されている。ヨードトリアゾール結合を利用するpeg化は、所望であれば、ヨード置換基を置き換えることによって追加のpeg化に対する機会を提供することができる。
【0045】
加えて、本方法は、治療または診断に使うための多数の有用な異なる材料を調製するのに利用することができる。例えば、ホウ素化合物は、脳腫瘍(グリオーマ)の治療における第2次放射線源として使用されてきた。例えば、Barthら、J.Neuro−Oncology、1997;33:3−7を参照されたい。ホウ素化合物(例えば、スルフヒドリルボランNa2B12H11SH(BSH)、p−ジヒドロキシボリルフェニルアラニン(BPA)、ホウ素置換ポリマー、標的ホウ素置換抗体など)は、腫瘍(例えば、グリオーマ)に投与され、次いで、in situで中性子で照射される。ホウ素化合物中のホウ素−10原子は、中性子を吸収すると、核分裂してリチウム−7およびエネルギーの高いアルファ粒子を形成する。核分裂反応から形成される高エネルギーアルファ粒子は、腫瘍細胞を殺すのに非常に有効である。
【0046】
組織を標的とするホウ素−10材料は、かかる癌治療で有用であり得る。本発明の方法は、標的ホウ素化合物を調製するための一般的手順を提供する。図10は、生体分子(例えば、タンパク質、抗体など)やポリマー(例えば、ポリエチレングリコール基)などの標的骨格化合物上にホウ素−10含有材料を付加する一つの手法を例示する略図である。図10では、骨格分子(I)は、銅触媒およびアミン配位子(例えば、TTTA)の存在下でホウ素置換1−ヨードアルキン(II)とカップリングして5−ヨード−1,2,3−トリアゾール部分の5位のホウ素含有置換基およびトリアゾールの1位の骨格基を含むトリアゾール(III)を形成する。次いで、標的分子(III)は、腫瘍に投与され、中性子を照射されて高エネルギーアルファ粒子を放出して腫瘍細胞に付着することができる。あるいは、当然のことながら、骨格分子は、1−ヨードアルキンと置換され、ホウ素化合物は、生成ホウ素置換プラットホーム分子がその骨格をトリアゾールの4位に結合させ、およびホウ素含有置換基をトリアゾールの1位に結合させるように、アジドに付加することができる。
【0047】
PEG置換基は、血液−脳障壁を越えてホウ素化合物を輸送するのを促進するのに使用することができるが、これは、他のpeg化治療剤でも観察されている。グリオーマに対する中性子治療に有用な例示的なpeg化ボラン化合物は、図11に示すのと同様に調製することができる。一実施形態では、アジド置換マレイミド52は、Na2B12H11SHと反応してボラン置換スクシンイミド54を形成し、これは、次いで、本発明の方法に従ってpeg化1−ヨードアルキンと縮合してボラン置換peg化トリアゾール化合物55を与えることができる。あるいは、1−ヨードアルキン置換マレイミド化合物56は、Na2B12H11SHと反応してボラン置換1−ヨードアルキン57を形成することができ、これは、次いで、peg化アジドと縮合してボラン置換peg化トリアゾール化合物58を与えることができる。
【0048】
さらなる別の代替例では、ボラン部分は、ヨード基を置き換えることによって、本方法によって形成されたpeg化ヨードトリアゾール中に組込むことができる。例えば、やはり図11に示されるように、エポキシ置換フェニルボロン酸59は、Na2B12H11SHと反応してボラン置換フェニルボロン酸60aを形成することができる。場合によっては、60aのヒドロキシル基は、peg化して化合物60bを形成することもできる。ボロン酸60aと、本発明の方法によって形成されたpeg化5−ヨードトリアゾール(61)のPd(0)触媒によるカップリングは、次いで、peg化ボラン化合物62aを与える。あるいは、peg化ボロン酸60bは、ヨードトリアゾール61(所望であれば、これもpeg化することができる。)とカップリングして別の有用な型のpeg化ボラン、すなわち、62bを形成することもできる。
【0049】
蛍光染料部分を導入するためのバイオコンジュゲーションの例は、図12に示される。生体分子骨格63(例えば、抗体などのタンパク質またはF(ab)2フラグメントなど抗体の抗原結合フラグメント)は、アジド置換マレイミド52と縮合してアジド置換骨格64を提供することができる。アジド64と1−ヨードアルキン置換クマリン染料65の縮合は、ヨード−トリアゾール置換クマリン染料にカップリングした生体分子を与える。こうした方式では、ウシ血清アルブミン(BSA、生体分子骨格化合物)はクマリン65とカップリングして蛍光標識BSA66bを形成した。興味のあることに、クマリン65およびその末端アルキン前駆体67は、蛍光を発しないが、本発明に従ってアジドと反応すると、蛍光性である。トリアゾール化合物68および69は、それぞれ、青色または黄色の蛍光を発する。
【0050】
図12に示された新規な化合物65、67、68および69はそれぞれ、タンパク質などの生体分子を蛍光標識するための有用な材料である。したがって、本発明の別の態様は、以下の一般式IVの蛍光性アルキン置換クマリン化合物を提供する
【0051】
【化1】
[式中、R1は、H、アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチルなどのC1−C2Oアルキル)、アリールアルキル(例えば、ベンジル、2−フェニルエチル、ナフチルメチルなどのC6−C14−アリール置換C1−C20アルキル)、アリール(例えば、フェニル、ナフチルなどのC6−C14−アリール)、アルキルアリール(例えば、トリル、キシリル、ノニルフェニル、2−メチルナフチルなどのC1−C20アルキル置換C6−C14−アリール)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル、フェナントリル、オキサゾリル、チアゾリル、アゾリル、フラニル、チオフェンイル、トリアゾリルなどのN、O、および/またはS複素環式芳香族基)であってよく、アルコール、酸、チオ酸、ヒドロキサム酸、尿素、アミン、チオール、スルフィド、ジスルフィド、スルホン酸、スルホキシド、スルホン、スルホンアミド、スルフェート、エステル、カルボネート、エーテル、ハロゲン化物、ホスフェート、ホスフィド、ホスホネート、ホスホンアミドなどの1つまたは複数の置換基を場合によって含む複素環部分(例えば、環式アミン、アミド、尿素、イミド、スルフィド、ジスルフィド、スルホキシド、スルホン、エーテル、エステル、カルボネートなどのN、Oおよび/またはS複素環式基)であってよく、R2は、IまたはR1であってよい。]。
【0052】
R2がHである場合、末端アセチレン基は、CuAACカップリング反応を介してアジド置換生体分子骨格にカップリングすることができる。R2がIである場合、1−ヨードアルキン基は、本発明の方法を介してアジド置換生体分子骨格にカップリングすることができる。R2がHまたI以外である場合、内部アルキン基は、ルテニウム触媒によるアジド−アルキンカップリング(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれているWO2007/041451を参照されたい。)を介してアジド置換生体分子骨格にカップリングすることができる。
【0053】
さらなる別の態様では、本発明は、以下の一般式Vの蛍光性トリアゾール置換クマリン化合物を提供する
【0054】
【化2】
[式中、R1は、H、アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチルなどのC1−C2Oアルキル)、アリールアルキル(例えば、ベンジル、2−フェニルエチル、ナフチルメチルなどのC6−C14−アリール置換C1−C20アルキル)、アリール(例えば、フェニル、ナフチルなどのC6−C14−アリール)、アルキルアリール(例えば、トリル、キシリル、ノニルフェニル、2−メチルナフチルなどのC1−C20アルキル置換C6−C14アリール)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル、フェナントリル、オキサゾリル、チアゾリル、アゾリル、フラニル、チオフェンイル、トリアゾリルなどのN、O、および/またはS複素環式芳香族基)であってよく、アルコール、酸、チオ酸、ヒドロキサム酸、尿素、アミン、チオール、スルフィド、ジスルフィド、スルホン酸、スルホキシド、スルホン、スルホンアミド、スルフェート、エステル、カルボネート、エーテル、ハロゲン化物、ホスフェート、ホスフィド、ホスホネート、ホスホンアミドなどの1つまたは複数の置換基を場合によって含む複素環部分(例えば、環式アミン、アミド、尿素、イミド、スルフィド、ジスルフィド、スルホキシド、スルホン、エーテル、エステル、カルボネートなどのN、Oおよび/またはS複素環式基)であってよく、R4は、生体分子(例えば、タンパク質、炭水化物、脂質など)またはR3であってよく、R5は、IまたはR3であってよい。]。生体分子は、例えば、タンパク質、炭水化物、アミノ酸、脂質、ならびにヌクレオチド、ヌクレオシドおよび核酸から選択することができる。
【0055】
場合によっては、本発明の方法で利用される2−置換1−ハロアルキンは、別の1−ハロ、末端または内部アルキン置換基を含むことができる。かかる場合、ハロアルキン部分は、本発明の方法に従ってアジドと反応し、末端アルキン置換基は、CuAAC反応を介してアジドと反応し、内部アルキンは、ルテニウム触媒によるアジド−アルキンカップリング反応に従ってアジドと反応して段階的にビス−トリアゾールを合成することができる。アルキンとアジドの反応の順序は、一部の場合、用いる特定の反応条件によって制御することができる。図13は、かかる段階的合成の例の略図を提供し、図14は、特定の例を提供する。図13では、末端エチン置換基および1−ヨードエチン置換基を有する化合物(頂部)は、CuAAC反応、次いで、本発明の銅触媒によるカップリングを介して(左のブランチ)、または本発明の銅触媒によるカップリング、次いで、CuAAC反応を介して(右のブランチ)、順次反応してビス−トリアゾール化合物(底部)を与える。
【0056】
図14では、ビス−アルキン70は、図13のように順次反応して中間体71または72を形成し、究極的にビス−トリアゾール73を提供するが、これは、2つの異なる置換を受けたトリアゾール部分を含む。
【0057】
図15は、ビス−アジド(75、B)とともにビス−1−ヨードアルキン(74、A)を利用してA+B型のポリトリアゾール76を与えるポリマー合成の追加の例を提供する。ポリトリアゾール76は、フェニルボロン酸とPd(0)カップリングすることによってさらに官能化してフェニルトリアゾール誘導体77を形成することができ、また1,4−ビス−エチニルベンゼンとPdアセテート媒介によるカップリングをすることによってさらに官能化してポリエチニル化誘導体78を形成することができる。
【0058】
本方法の追加の詳細は、以下に例示されるが、本発明の方法において使用される、または本発明の方法によって調製される、試薬、出発物質および/または生成物の詳細な合成手順およびキャラクタリゼーションを参照するものとする。
【実施例】
【0059】
一般方法。1Hおよび13C NMRスペクトルをBruker DRX−500、Bruker AMX−400装置で記録し、化学シフト(δ)を内部標準としての残留CHCl3、アセトンまたはDMSOに対してppmで表す。プロトン磁気共鳴(1H NMR)スペクトルを600または500MHzで記録した。炭素磁気共鳴(13C NMR)スペクトルを150または125MHzで記録した。別段の指示がない限り、NMRの取得は295Kで実施した。略語は、s、一重項;d、二重項;t、三重項;q、四重項;p、五重項;br s、ブロードな一重項である。希釈しない純粋試料としての赤外スペクトルをSmart MIRacle(商標)HATR付属装置を備えたThermoNicolet Avatar 370フーリエ変換赤外分光光度計を使用することによって記録した。融点(mp)をBarnstead Electrothermalデジタル融点装置(モデルIA9300)を使用することによって決定し、補正を行わなかった。GCMSデータを電子衝撃(EI+)モードで操作されるAgilent 5975 C Inert MSDシステムを備えたAgilent 7890A GCシステムで記録した。HPLCをAgilent 1100 SL質量分光光度計(エレクトロスプレー式イオン化、ES)を備えたAgilent 1 lOOLC/MSDで実施し、H2O中0.1%トリフルオロ酢酸およびCH3CN中0.05%トリフルオロ酢酸で溶離した。高分解能質量分光光度法をAgilent ES−TOF装置で実施した。すべてのクロマトグラフィーを、指示された溶媒混合物を用いてMerckシリカゲル(40−63μM)を使用することによって実施した。すべての出発材料を、Aldrich、Acros、Fisher、LancasterまたはTCI化学会社から購入し、そのまま使用した。溶媒をFisherまたはAcros化学会社から購入し、そのまま使用した(さらなる乾燥操作、蒸留操作または特殊ハンドリング操作をまったく実施しなかった。)。
【0060】
N−ヨードモルホリン−ヨウ化水素の合成:Koyama,M.;Ohtani,N.;Kai,F.;Moriguchi,I.;Inouye,S.J.Med.Chem.1987、30、552−562を応用した手順。ヨウ素(25.40g、0.10mol)をMeOH(400ml)に溶かした溶液をモルホリン(8.71ml、0.10mol)を滴下して処理した。添加すると、溶液は、暗紫色−茶色から明橙色に速やかに変化し、橙色微細沈殿が生成した。溶液を約45分間攪拌し、次いで、固体をろ過によって単離した。固体を丸底フラスコに移し、真空下で乾燥した。この材料がいったん自由流動コンシステンシー状態に到達したら、プラスチック瓶に入れ、冷蔵庫中に保存した。この手順は、結晶性の橙色粉末としてN−ヨードモルホリン−ヨウ化水素(30.34g、0.09mol、89%)を与え、これをさらなる精製またはキャラクタリゼーションなしで使用した。
【0061】
1−ヨードアルキン−1−ヨード−フェニルアセチレン(1)を合成するための一般手順:フェニルアセチレン(8.17g、80.00mmol)をTHF(200mL)中に溶解し、CuI(0.76g、4.00mmol)およびN−ヨードモルホリン(30.00g、88.00mmol)で処理した。反応混合物を室温で45分間攪拌すると、白色微細沈殿が生成した。懸濁液を中性アルミナパッド(400mL)上に注ぎ、ろ液を真空下で集めた。固相をDCM(4×10OmL)で洗浄し、合わせた有機画分をプールしておき、蒸発で濃縮し、黄色油として1(16.61g、72.82mmol、91%)を得た。この材料をさらなる精製なしで使用した。
【0062】
【化3】
【0063】
1−ヨード−フェニルアセチレン(1)。黄色油;IR(υ[cm−1])3054、2171、1596、1487、1442、1069、1025、915、751、687;1H NMR(500MHz,CDCl3)δ=7.45−7.40(m,J=9.1,3.9,2H)、7.33−7.27(m,3H);13C NMR(126MHz,CDCl3)δ=132.5、129.0、128.4、123.6、94.4、6.4。
【0064】
【化4】
【0065】
4−ヨード−2−メチルブタ−3−イン−2−オール(24)。一般手順を使用することによって2−メチルブタ−3−イン−2−オールから合成された。4.3g、20.5mmol、87%;清澄油;IR(υ[cm−1])3359、2981、2933、2179、1697、1363、1219、1161、956、903、770;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=1.50(s,6H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=99.3、67.0、31.5、−0.4;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+Na]+ C5H7INaOに対する計算値、232.9434;測定値232.9443。
【0066】
【化5】
【0067】
1−(ヨードエチニル)−4−メチルベンゼン(25)。一般手順を使用することによって1−エチニル−4−メチルベンゼンから合成された。19.7g、81.0mmol、89%;低融点固体;IR(υ[cm−1])3027、2164、1904、1505、1446、1178、1116、1019、706;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.32(d,J=8.1,2H)、7.11(d,J=8.0,2H)、2.34(s,3H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=139.2、132.4、129.2、120.5、94.4、21.7、5.2。
【0068】
【化6】
【0069】
(S)−エチル−2−(3−ヒドロキシ−1,5−ジヨードペンタ−1,4−ジイン−3−イル)ピロリジン−1−カルボキシレート(26)。一般手順を使用することによって(S)−エチル−2−(3−ヒドロキシペンタ−1,4−ジイン−3−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートから合成された。1.8g、3.8mmol、84%;白色粉末;mp=124−129℃(分解);IR(υ[cm−1])2975、2884、2182、1643、1422、1382、1348、1202、1127、1028、786;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.28(s,1H)、4.24−4.12(m,3H)、3.65(br s,1H)、3.42−3.32(m,1H)、2.24(dt,J=14.5,7.1,1H)、2.20−2.09(m,1H)、2.09−2.00(m,1H)、1.80−1.69(m,1H)、1.28(t,J=7.1,3H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=159.2、93.0、92.5、72.0、68.1、62.9、48.7、30.1、24.0、14.8、3.6、2.8;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+Na]+ C12H13I2NNaO3に対する計算値、495.8877;実測値495.8870。
【0070】
【化7】
【0071】
トリス(3−ヨードプロプ−2−イニル)アミン(27)。一般手順を使用することによってトリプロパルギルアミンから合成された。12.9g、24.0mmol、79%;白色粉末;警告:170℃を超えて加熱すると、試料は爆発する、この化合物を取り扱う時は注意すること;IR(υ[cm−1])2823、2194、1434、1340、1326、1121、1092、1000、970、943;1H NMR(600MHz,DMSO)δ=3.46(s,6H);13C NMR(151MHz,DMSO)δ=88.1、43.2、10.1;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C9H7I3Nに対する計算値、509.7707;実測値509.7708。
【0072】
【化8】
【0073】
2−フルオロ−4−(3−ヨードプロプ−2−イニルオキシ)−6−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−1,3,5−トリアジン。2,4−ジフルオロ−6−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−1,3,5−トリアジン(0.75g、3.82mmol)をアセトニトリル(10ml)に溶解し、3−ヨードプロプ−2−イン−1−オール3(0.626g、3.44mmol)およびDIPEA(0.666ml、3.82mmol)で順次処理した。試料を室温で25分間攪拌すると、沈殿が生成し、それをろ過によって単離した。固体をヘキサンで洗浄し、真空下で乾燥して、白色固体として26を得た、1.31g、3.66mmol、96%;mp=155−158℃;IR(υ[cm−1])3119、2983、2191、1593、1525、1433、1096、986、857、755;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.45(dd,J=3.9,1.5,1H)、6.91(s,1H)、6.22(dd,J=3.8,2.5,1H)、5.18(s,2H)、4.09(s,3H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=171.3(dd,J=328.6,15.5)、171.3、169.8、133.1、127.9、121.6、109.9、87.6、57.5、38.9、6.1;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C11H9FIN4に対する計算値、358.9800;実測値358.9796。
【0074】
【化9】
【0075】
4−(3−ヨードプロプ−2−イニルオキシ)−3−メトキシベンズアルデヒド。一般手順を使用することによって、3−メトキシ−4−(プロプ−2−イニルオキシ)ベンズアルデヒドから合成された、1.43g、4.52mmol、86%;黄色固体;mp=121−127℃;IR(υ[cm−1])3003、2849、2206、1686、1584、1506、1280、1157、1027、982、803、733、663;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=9.85(s,1H)、7.44(dd,J=8.2,1.5,1H)、7.40(s,1H)、7.09(d,J=8.2,1H)、4.96(s,2H)、3.92(d,J=14.3,3H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=191.1、152.3、150.1、131.1、126.6、112.6、109.6、88.1、58.2、56.2、6.8;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C11H10IO3に対する計算値、316.9669;実測値316.9677。
【0076】
【化10】
【0077】
5−(4,5−ジブロモ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)−1−(3−ヨードプロプ−2−イニル)ピロリジン−2−オン。一般的手順を使用することによって、5−(4,5−ジブロモ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)−1−(プロプ−2−イニル)ピロリジン−2−オン5から合成された、1.21g、2.55mmol、89%;ろう状固体;IR(υ[cm−1])2980、2191、1729、1375、1241、1048、824、685;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=6.10(d,J=7.6,1H)、4.36(d,J=17.8,1H)、3.91(d,J=17.8,1H)、2.92−2.84(m,1H)、2.65−2.58(m,1H)、2.54−2.39(m,2H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=174.29、126.4、86.7、73.1、32.4、28.6、25.5、1.0。;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C9H8Br2IN4Oに対する計算値、472.8104;実測値472.8095。
【0078】
【化11】
【0079】
3−ヨード−N,N−ジメチルプロパルギルアミン。一般的手順を使用することによって、N,N−ジメチルプロパルギルアミンから合成された、3.77g、18.04mmol、75%;白色固体;mp=135℃(分解);IR(υ[cm−1])2975、2944、2876、2787、2162、1471、1326、1040、958、809;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=3.40(s,2H)、2.27(s,6H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=89.0、49.9、44.3、0.01;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C5H9INに対する計算値、209.9774;実測値209.9781。
【0080】
【化12】
【0081】
3−(ヨードエチニル)チオフェン。一般的手順を使用することによって、3−エチリルチオフェンから合成された、0.985g、4.21mmol、91%;茶色油;IR(υ[cm−1])3100、2174、1570、1355、1222、1160、1078、945、767、688;1H NMR(500MHz,CDCl3)δ=7.56−7.55(m,1H)、7.34(dd,J=5.0,2.9,1H)、7.21−7.18(m,1H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=130.5、130.2、125.4、122.7、89.4、6.2。
【0082】
【化13】
【0083】
(ヨードエチニル)シクロプロパン。一般的手順を使用することによって、エチニルシクロプロパンから合成された、2.39g、12.45mmol、82%;黄色油;IR(υ[cm−1])3091、3009、2974、2186、1681、1615、1448、1377、1220、1053、1026、962、773;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=1.39−1.31(m,1H)、0.79−0.68(m,4H)。;13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=97.4、8.4、1.8、−11.5。
【0084】
CuI−TEA−5−ヨード−4−フェニル−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール(3)を使用することによって5−ヨードトリアゾールを合成するための一般的手順:化合物1(0.23g、1.00mmol)および2(0.20g、1.00mmol)をTHF(5mL)中に溶解した。その溶液をCuI(9.52mg、0.05mmol)およびTEA(0.28ml、2.00mmol)で順次処理し、次いで、室温で6時間攪拌放置した。次いで10%NH4OH溶液1mLを添加することによって、反応を停止させた。蒸発によって揮発性成分を除去し、生成残渣を水およびジエチルエーテル中に懸濁させた。激しく攪拌すると沈殿が生成し、これをろ過によって単離し、白色微細粉末として3(0.39g、0.90mmol、90%)を得た。
【0085】
【化14】
【0086】
5−ヨード−4−フェニル−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール(3).mp=193−195℃(分解);IR(υ[cm−1])3132、1329、1165、1118、1076、767、697;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.96−7.90(m,2H)、7.62(s,1H)、7.59(d,J=7.5,1H)、7.51−7.42(m,4H)、7.41−7.37(m,1H)、5.71(s,2H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=150.6、135.5、131.6(q,J=32.7)、131.4、130.2、129.8、129.0、128.8、127.6、125.7(q,J=3.7)、125.0(q,J=3.8)、123.9(q,J=272.4)、76.6、54.0;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C16H12F3IN3に対する計算値、430.0023;実測値430.0026。
【0087】
【化15】
【0088】
4−フェニル−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール(4)。当初の触媒スクリーニングからの副生物として単離された;mp=126−127℃;IR(υ[cm−1])3073、1323、1153、1075、773、699;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.81−7.76(m,2H)、7.70(s,1H)、7.61(d,J=7.7,1H)、7.57(s,1H)、7.50(t,J=7.7,1H)、7.46(d,J=7.8,1H)、7.39(t,J=7.6,2H)、7.34−7.29(m,1H)、5.62(s,2H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=148.8、135.9、131.8(q,J=32.5)、131.5、130.4、130.0、129.1、128.6、126.0、125.9(q,J=3.8)、124.9(q,J=3.7)、123.9(q,J=272.8)、119.7、53.8;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C16H13F3N3に対する計算値、304.1056;実測値304.1059。
【0089】
【化16】
【0090】
4−フェニル−5−(フェニルエチニル)−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール(5)。当初の触媒スクリーニングからの副生物として単離された;mp=115−118℃;IR(υ[cm−1])2963、2219、1504、1453、1328、1161、1071、773、690;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=8.17(d,J=7.4,2H)、7.71(s,1H)、7.59(d,J=7.7,1H)、7.55(d,J=7.7,1H)、7.51−7.34(m,9H)、5.71(s,2H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=148.5、135.8、131.8、131.7、131.5(q,J=32.5)、130.3、130.1、129.8、129.0、128.9、128.7(q,J=165.0)、126.4、125.7(q,J=3.6)、125.2(q,J=3.7)、124.9、123.1、121.3、117.4、103.0、75.4、52.6、1.2;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C24H17F3N3に対する計算値、404.1369;実測値404.1372。
【0091】
【化17】
【0092】
5−ヨード−4−フェニル−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール(3)に対する化学位置の割り当て:ヨードトリアゾール3を還元して対応する5−プロト−トリアゾール4(経路A)を得た。平行して、確立されているCuAACプロトコル(経路B)を使用することによって5−プロト−トリアゾール4の正確な試料を合成した。両方の経路を介して得られた試料の物理的および分光学的な特徴を比較し、同一であることを知った。
【0093】
経路A:Pd(OAc)2(0.449g、2.000mmol)を、MeOH(10ml)に3(0.858g、2mmol)およびTEA(0.281ml、2.000mmol)を溶かした溶液に添加した。試料を55℃まで4時間加温し、LC−MSによって追跡した。出発材料を消費してしまったら、試料を冷却し、真空下で揮発性成分を除去した。次いで、粗残渣をカラムクロマトグラフィー(9:1 ヘキサン:EtOAc−4:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製して白色固体として4(0.59g、1.945mmol、収率97%)を得た。
【0094】
経路B:フェニルアセチレン(0.409g、4mmol)および3−(トリフルオロメチル)ベンジルアジド(0.805g、4.00mmol)を4:1 t−BuOH/H2O(25ml)中に溶かし、次いで、CuSO4(0.200ml、0.200mmol)の1M水溶液および固体アスコルビン酸ナトリウム(0.079g、0.400mmol)で順次処理した。試料を室温で4時間攪拌し、その間に沈殿が生成した。試料を10%NH4OH水溶液10mLで急冷し、固体をろ過によって単離した。固体を水で洗浄し、真空下で乾燥し、白色固体として4(1.112g、3.67mmol、収率92%)を得た。
【0095】
【化18】
【0096】
1−(2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)エチル)−5−ヨード−4−フェニル−1H−1,2,3−トリアゾール(6)。一般的手順を使用することによって、1−ヨード−フェニルアセチレンおよび2−(2−アジドエチル)−1,3−ジオキソランから合成された、3.64g、9.80mmol、98%;白色粉末;mp=118−121℃(分解);IR(υ[cm−1])3052、2885、1446、1400、1222、1133、1048、900、769、714;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.94−7.88(m,2H)、7.44(t,J=7.6,2H)、7.38(t,J=7.4,1H)、5.01(t,J=4.2,1H)、4.61−4.55(m,2H)、4.05−3.96(m,2H)、3.93−3.84(m,2H)、2.40−2.31(m,2H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=150.0、130.5、128.8、128.7、127.7、101.7、76.6、65.4、46.3、33.8;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C13H15IN3Oに対する計算値、372.0203;実測値372.0203。
【0097】
【化19】
【0098】
1−(4−クロロ−1,3,3−トリメチル−2−チアビシクロ[2.2.2]オクタン−7−イル)−5−ヨード−4−フェニル−1H−1,2,3−トリアゾール(7)。一般的手順を使用することによって、1−ヨード−フェニルアセチレンおよび7−アジド−4−クロロ−1,3,3−トリメチル−2−チアビシクロ[2.2.2]オクタンから合成された、0.153g、0.323mmol、73%;mp=157−159℃(分解);IR(υ[cm−1])2979、2103、1447、1387、1326、1240、1160、985、772、712;1H NMR(CDCl3,600MHz,)δ 7.94−7.92(m,2H)、7.48−7.46(m,2H)、7.42−7.39(m,1H)、5.25(ddd,J=11.2,4.8,2.1,1H)、3.11(ddd,J=11.7,11.2,3.2,1H)、2.73(dd,J=12.7,5.3,1H)、2.75−2.60(m,1H)、2.45−2.39(m,1H)、1.93−1.88(m,1H)、1.82(s,3H)、1.77(s,3H)、1.52(s,3H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=149.6、130.4、128.9、128.8、127.9、79.4、76.9、72.4、72.4、68.8、65.7、42.5、37.1、36.4、30.9、30.5、19.8;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C18H22ClIN3Sに対する計算値、474.0262;実測値474.0266。
【0099】
【化20】
【0100】
3−(5−ヨード−4−フェニル−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)−1−フェニルピロリジン−2,5−ジオン(8)。一般的手順を使用することによって、1−ヨード−フェニルアセチレンおよび3−アジド−1−フェニルピロリジン−2,5−ジオンから合成された、0.443g、0.997mmol、76%;mp=164−169℃(分解);IR(υ[cm−1])2933、1792、1719、1497、1379、1149、786、694;1H NMR(CDCl3,600MHz,)δ 7.93−7.92(m,2H)、7.52−7.47(m,4H)、7.45−7.42(m,2H)、7.39−7.37(m,2H)、5.91(dd,J=9.4,5.8,1H)、3.71(dd,J=18.3,5.8,1H)、3.58(dd,J=18.3,9.8,1H);13C NMR(CDCl3,150MHz)δ 172.4、170.8、151.6、131.9、130.4、130.25、130.1、129.9、129.5、128.5、127.2、78.7、58.4、36.3;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C18H14IN4O2に対する計算値、445.0156;実測値445.0159。
【0101】
【化21】
【0102】
N−シクロプロピル−2−(5−ヨード−4−フェニル−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)アセトアミド(9)。一般的手順を使用することによって、1−ヨード−フェニルアセチレンおよび2−アジド−N−シクロプロピルアセトアミドから合成された、0.364g、0.989mmol、90%;mp=197−198℃(分解);IR(υ[cm−1])3287、3071、2971、1661、1557、1407、1269、1129、985、952、769、686;1H NMR(DMSO−d6,600MHz,)δ 8.53(d,J=3.6,1H)、7.88−7.87(m,2H)、7.50−7.48(m,2H)、7.41−7.39(m,1H)、5.09(s,2H)、2.68−2.63(m,1H)、0.64(dt,J=7.0,5.0,2H)、0.45(dt,J=6.9,4.3,2H);13C NMR(DMSO−d6,150MHz)δ 167.1、149.7、131.9、130.0、129.6、128.1、84.1、53.8、23.7、6.9;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C13H14IN4Oに対する計算値、369.0207;実測値369.0209。
【0103】
【化22】
【0104】
1−アダマンチル−5−ヨード−4−フェニル−1H−1,2,3−トリアゾール(10)。一般的手順を使用することによって、1−ヨード−フェニルアセチレンおよび1−アジド−アダマンタンから合成された;0.278g、0.686mmol、46%、mp=224−225℃(分解);IR(υ[cm−1])2912、2849、1466、1444、1317、1247、1153、1018、983、767、692;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.78−7.74(m,2H)、7.43(t,J=7.5,2H)、7.38(t,J=7.4,1H)、2.59(d,J=2.5,6H)、2.29(s,3H)、1.83−1.74(m,6H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=152.0、130.9、129.0、128.6、128.5、69.8、64.4、41.6、36.0、30.0;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C18H21IN3に対する計算値、406.0775;実測値406.0771。
【0105】
【化23】
【0106】
trans−2−(5−ヨード−4−フェニル−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)−1,2−ジフェニルエタノール(11)。一般的手順を使用することによって、1−ヨード−フェニルアセチレンおよびtrans−2−アジド−1,2−ジフェニルエタノールから合成された;0.196g、0.419mmol、96%;mp=152−154℃(分解);IR(υ[cm−1])3296、2971、1493、1380、1325、1159、1105、950、770、744;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.83−7.79(m,2H)、7.41(t,J=7.6,2H)、7.37−7.34(m,1H)、7.33−7.22(m,10H)、5.86(dd,J=5.6,2.4,1H)、5.66(d,J=5.7,1H)、3.75(br s,1H,OH);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=149.4、139.3、134.1、130.1、129.2、129.0、128.9、128.7、128.6、128.5、128.5、127.7、126.9、78.5、75.6、71.4;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C22H19IN3Oに対する計算値、468.0567;実測値468.0571。
【0107】
【化24】
【0108】
tert−ブチル5−ヨード−4−フェニル−1H−1,2,3−トリアゾール−1−カルボキシレート(12)。一般的手順を使用することによって、1−ヨード−フェニルアセチレンおよびtert−ブチルカルバモイルアジドから合成された、試料をカラムクロマトグラフィーによって精製した(4:1 ヘキサン:EtOAc);0.208g、0.560mmol、77%;mp=87−90℃;IR(υ[cm−1])2984、1774、1468、1394、1342、1287、1142、959、847、752、693;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.95−7.91(m,2H)、7.48−7.43(m,3H)、1.69(s,9H);13C NMR(150MHz,CDCl3)δ=153.0、145.0、130.1、128.8、128.5、128.5、96.3、88.0、28。;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+Na]+ C13H14IN3NaO2に対する計算値、394.0023;実測値394.0024。
【0109】
【化25】
【0110】
2−(ビス(5−ヨード−4−フェニル−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)メチル)イミダゾ[1,2−α]ピリジン(13)。一般的手順を使用することによって、1−ヨード−フェニルアセチレンおよび2−(ジアジドメチル)イミダゾ[1,2−α]ピリジンから合成された;0.618g、0.922mmol、84%;mp=183−185℃(分解);IR(υ[cm−1])3080、1500、1474、1444、1330、1128、982、809、754、739、693;1H NMR(DMSO−d6,600MHz,)δ 8.60−8.59(m,1H)、8.46(br s,1H)、8.00(br s,1H)、7.92−7.90(m,4H)、7.60(br s,1H)、7.53−7.50(m,4H)、7.45−7.43(m,2H)、7.35−7.32(m,1H)、6.99−6.96(m,1H);13C NMR(DMSO−d6,150MHz)δ 150.4、131.2、130.1、130.05、128.9、128.4、127.4、118.4、114.3、84.0、73.4;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C24H17I2N8に対する計算値、670.9660;実測値670.9657。
【0111】
【化26】
【0112】
2−フルオロ−4−((5−ヨード−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メトキシ)−6−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−1,3,5−トリアジン(14)。一般的手順を使用することによって、2−フルオロ−4−(3−ヨードプロプ−2−イニルオキシ)−6−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−1,3,5−トリアジンおよび3−トリフルオロメチル−ベンジルアジドから合成された;0.311g、0.556mmol、80%;mp=185−187℃(分解);IR(υ[cm−1])3130、3059、1595、1555、1418、1357、1173、1104、1056、911、803、756;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.61−7.58(m,2H)、7.50−7.41(m,3H)、6.90(s,1H)、6.21(dd,J=3.9,2.5,1H)、5.64(s,2H)、5.56(s,2H)、4.09(s,3H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=171.5(dd,J=361.1,15.4)、171.3、169.8、135.0、133.0、131.6(q,J=32.8)、131.5、129.9、125.9(q,J=3.6)、125.1(q,J=3.7)、123.9(q,J=272.4)、121.5、81.6、61.7、54.0、39.0;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C18H15F4IN7Oに対する計算値、560.0313;実測値560.0311。
【0113】
【化27】
【0114】
2−(5−ヨード−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)プロパン−2−オール(15)。一般的手順を使用することによって、4−ヨード−2−メチルブタ−3−イン−2−オールおよび3−トリフルオロメチル−ベンジルアジドから合成された;3.82g、9.30mmol、93%;mp=77−80℃;IR(υ[cm−1])3385、2981、2938、1326、1170、1120、1074、763、699;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.58−7.57(m,2H)、7.48−7.45(m,1H)、7.42−7.41(m,1H)、5.62(s,2H)、1.66(s,6H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=156.4、135.4、131.5(q,J=33.2)、131.4、129.8、125.7(q,J=3.7)、125.1(q,J=3.8)、123.9(q,J=272.4)、74.2、69.7、53.8、30.1;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C13H14F3IN3Oに対する計算値、412.0128;実測値412.0126。
【0115】
【化28】
【0116】
5−ヨード−4−(チオフェン−3−イル)−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール(16)。一般的手順を使用することによって、3−(ヨードエチニル)チオフェンおよび3−トリフルオロメチル−ベンジルアジドから合成された;0.994g、2.284mmol、99%;mp=153−158℃(分解);IR(υ[cm−1])3121、1326、1194、1163、1096、1075、853、792、702;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.97−7.93(m,1H)、7.75(d,J=5.0,1H)、7.59(d,J=7.7,2H)、7.58(s,1H)、7.47(t,J=7.7,1H)、7.45−7.38(m,2H)、5.69(s,2H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=147.5、135.4、131.6(q,J=32.7)、131.3、131.0、129.8、126.7、126.2、125.7(q,J=3.7)、124.9(q,J=3.8)、123.9(q,J=272.4)、123.5、76.0、53.9;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C14H10F3IN3Sに対する計算値、435.9587;実測値435.9586。
【0117】
【化29】
【0118】
4−((5−ヨード−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メトキシ)−3−メトキシベンズアルデヒド(17)。一般的手順を使用することによって、4−(3−ヨードプロプ−2−イニルオキシ)−3−メトキシベンズアルデヒドおよび3−トリフルオロメチル−ベンジルアジドから合成された;0.398g、0.769mmol、97%;mp=130−134℃(分解);IR(υ[cm−1])3123、1702、1689、1588、1506、1329、1262、1133、1123、994、792;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=9.83(s,1H)、7.59(d,J=7.6,1H)、7.56(s,1H)、7.47(t,J=7.7,1H)、7.41(dd,J=15.8,6.7,2H)、7.39(s,1H)、7.21(d,J=8.1,1H)、5.62(s,2H)、5.27(s,2H)、3.88(s,3H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=191.2、153.1、150.5、147.5、135.0、131.6、131.6(q,J=32.7)、131.1、129.9、126.7、125.9(q,J=3.6)、125.1(q,J=3.7)、123.9(q,J=272.4)、113.5、109.7、81.2、62.9、56.3、54.0;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C19H16F3IN3O3に対する計算値、518.0183;実測値518.0186。
【0119】
【化30】
【0120】
1−(5−ヨード−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−N,N−ジメチルメタンアミン(18)。一般的手順を使用することによって、3−ヨード−N,N−ジメチルプロパルギルアミンおよび3−トリフルオロメチル−ベンジルアジドから合成された、試料をカラムクロマトグラフィーによって精製した(30:1 CHCl3:MeOH);0.391g、0.953mmol、80%;mp=117−119℃(分解);IR(υ[cm−1])2973、2827、1455、1326、1164、1118、1020、757;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.57(d,J=7.7,1H)、7.52(s,1H)、7.45(t,J=7.7,1H)、7.39(d,J=7.7,1H)、5.63(s,2H)、3.54(s,2H)、2.29(s,6H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=149.1、135.5、131.5(q,J=32.6)、131.3、129.9、125.7(q,J=3.7)、124.9(q,J=3.7)、123.9(q,J=272.5)、81.0、53.9(d,J=37.0)、45.3、30.3;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C13H15F3IN4に対する計算値、411.0288;実測値411.0287。
【0121】
【化31】
【0122】
4−シクロプロピル−5−ヨード−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール(19)。一般的手順を使用することによって、(ヨードエチニル)シクロプロパンおよび3−トリフルオロメチル−ベンジルアジドから合成された;0.589g、1.498mmol、96%;mp=129−134℃(分解);IR(υ[cm−1])3087、3011、1453、1325、1165、1122、1074、777、701;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.57−7.56(m,2H)、7.45(t,J=7.7,1H)、7.39(d,J=7.7,1H)、5.57(s,2H)、1.78−1.72(m,1H)、1.06−1.01(m,2H)、0.99−0.93(m,2H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=153.8、135.6、131.7(q,J=32.6)、131.4、129.7、125.6(q,J=3.7)、125.0(q,J=3.9)、124.0(q,J=272.3)、77.9、53.7、7.8、7.5;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+Na]+ C13H11F3IN3Naに対する計算値、415.9847;実測値415.9847。
【0123】
【化32】
【0124】
5−(4,5−ジブロモ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)−1−((5−ヨード−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル)ピロリジン−2−オン(20)。一般的手順を使用することによって、5−(4,5−ジブロモ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)−1−(3−ヨードプロプ−2−イニル)ピロリジン−2−オンおよび3−トリフルオロメチル−ベンジルアジドから合成された、0.663g、0.982mmol、93%;mp=105−110℃(分解);IR(υ[cm−1])3002、2104、1696、1415、1327、1166、1123、1074、921、829、753、702;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.59(d,J=7.8,1H)、7.56(s,1H)、7.48(t,J=7.7,1H)、7.40(d,J=7.7,1H)、6.16(d,J=7.6,1H)、5.59(d,J=3.3,2H)、4.88(d,J=15.7,1H)、3.92(d,J=15.7,1H)、2.95−2.86(m,1H)、2.65−2.56(m,1H)、2.49(dd,J=17.1,9.9,1H)、2.43−2.36(m,1H); 13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=175.0、147.0、135.1、131.6(m)、131.5、129.9、126.1、125.8(m)、125.1(m)、123.9(m)、79.6、78.3、53.9、36.4、28.6、25.6;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C17H14Br2F3IN7Oに対する計算値、673.8618;実測値673.8613。
【0125】
【化33】
【0126】
トリス((5−ヨード−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル)アミン(21)。一般的手順を使用することによって、トリス(3−ヨードプロプ−2−イニル)アミンおよび3−トリフルオロメチル−ベンジルアジドから合成された、試料をMeCNと一緒に粉砕した;0.391g、0.352mmol、81%;mp=171−173℃(分解);IR(υ[cm−1])3072、1445、1328、1162、1123、1095、756;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.62(s,3H)、7.59(d,J=7.7,3H)、7.51(d,J=7.6,3H)、7.44(t,J=7.7,3H)、5.48(s,6H)、3.64(s,6H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=149.4、135.4、132.3、131.6(q,J=32.7)、129.8、125.9(q,J=3.6)、125.8(q,J=3.5)、123.8(q,J=272.5)、81.2、53.6、48.2;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C33H25F9I3N10に対する計算値、1112.9249;実測値1112.9249。
【0127】
【化34】
【0128】
(S)−エチル−2−(ヒドロキシビス(5−ヨード−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレート(22)。一般的手順を使用することによって、(S)−エチル 2−(3−ヒドロキシ−1,5−ジヨードペンタ−1,4−ジイン−3−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートおよび3−トリフルオロメチル−ベンジルアジドから合成された、試料をカラムクロマトグラフィーによって精製した(2:1 ヘキサン:EtOAc);0.408g、0.466mmol、73%;mp=185−189℃(分解);IR(υ[cm−1])3537、3075、2978、1675、1453、1328、1159、1111、1077、701;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.55(d,J=5.4,3H)、7.50−7.36(m,5H)、6.60(br s,1H,OH)、5.74−5.50(m,4H)、5.21(dd,J=8.5,4.0,1H)、4.07(br s,2H)、3.46(br s,1H)、2.99(br s,1H)、2.38(br s,1H)、2.35−2.23(m,J=8.3,1H)、1.61(br s,1H)、1.19(br s,3H)、1.13(br s,1H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=159.1、153.2、150.4、133.1(m)、131.5(m)、129.7、129.6、125.6(m)、125.9(m)、124.6(m,J=3.7)、124.2(m)、79.8、79.7、75.6、65.2、62.2、53.8、53.7、48.2、29.0、23.9、15.0;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C28H26F6I2N7O3に対する計算値、876.0085;実測値876.0083。
【0129】
【化35】
【0130】
1−((2R,4S,5S)−4−(4−(3−(5−((1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル)−5−(2,4−ジフルオロフェニル)オキサゾリジン−3−イル)フェニル)−5−ヨード−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−2−イル)−5−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(T.O.C.グラフィック)
一般的手順を使用することによって、5−((1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル)−5−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(3−(ヨードエチニル)フェニル)オキサゾリジン(0.90g,1.83mmol)およびアジドチミジン(0.49、1.83mmol)から合成された、試料をBiotage KP−NH官能化シリカゲル上でカラムクロマトグラフィーによって精製した(EtOAc−10:1 EtOAc:MeOH)、ジアステレオマーの1:1混合物として単離した;1.18g、1.55mmol、85%;mp=201−210℃(分解);IR(υ[cm−1])3300、3061、3011、2930、2859、1686、1608、1500、1473、1272、1102、964、852、692;H NMR(600MHz,CDCl3)δ=9.76(s,1H)、8.08(s,1H)、7.75(s,1H)、7.47(s,1H)、7.36(dd,J=15.1,8.6,1H)、7.31−7.24(m,2H)、7.01(s,1H)、6.87−6.81(m,1H)、6.81−6.76(m,1H)、6.52(d,J=7.6,1H)、6.34(t,J=6.8,1H)、5.55−5.49(m,1H)、5.14(s,1H)、4.95(s,1H)、4.64(dd,J=76.3,14.6,2H)、4.49(d,J=3.0,1H)、4.30(s,1H)、4.03−3.95(m,2H)、3.85(d,J=10.2,1H)、3.67(d,J=9.0,1H)、3.05−2.96(m,1H)、2.96−2.86(m,1H)、2.12(s,1H)、2.01(s,1H)、1.86(s,3H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=171.4、164.2、164.0(d,J=12.1)、162.3(d,J=12.1)、160.0(d,J=11.8)、158.4(d,J=11.9)、151.4、150.8、150.1、145.1、144.6、138.4、131.0、129.8、128.7−128.2(m)、123.7−123.4(m)、118.0、113.9、112.6、111.9(d,J=21.1)、111.4、104.8(t,J=25.9)、89.6、85.7、83.2(d,J=3.6)、81.4、78.2(d,J=2.6)、62.3、60.8、55.4、54.7(d,J=5.3)、37.5、14.4、12.7;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C30H28F2IN9O5に対する計算値、760.1299;実測値760.1293。
【0131】
N−ヨードモルホリンおよびCuI−TTTA−1−ベンジル−5−ヨード−4−p−トリル−1H−1,2,3−トリアゾール(28)を使用して5−ヨードトリアゾールを合成するためのワンポット/二段手順:4−メチル−フェニルアセチレン(0.5g、4.30mmol)をTHF(15ml)に溶かし、N−ヨードモルホリン(2.201g、6.46mmol)、次いでCuI(0.041g、0.215mmol)で処理した。試料をGC−MSで追跡した。45分後、反応は完結し、白色微細沈殿が生成した。懸濁液を中性アルミナのパッド(約25mL)上に流し込み、溶液を真空下で集めた。次いで、パッドをTHF(4.50ml)で3回洗浄した(元の反応液を含めて、最終容積約30mL)。この溶液にベンジルアジド(0.573g、4.30mmol)、次いでTTTA(0.092g、0.215mmol)、最後にCuI(0.041g、0.215mmol)を装入した。この反応液を3時間攪拌し、次いで、溶媒を圧縮空気流下で除去し、残渣をMeCN/Et2Oと一緒に粉砕した。生成物をろ過によって単離し、白色固体(1.26g、3.36mmol、78%)として28を得た。
【0132】
【化36】
【0133】
1−ベンジル−5−ヨード−4−p−トリル−1H−1,2,3−トリアゾール(28)。mp=119−120℃(分解);IR(υ[cm−1])3033、1541、1497、1357、1229、1079、984、819、695;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.75(d,J=8.1,2H)、7.31−7.26(m,3H)、7.25−7.22(m,2H)、7.19(d,J=8.1,2H)、5.59(s,2H)、2.32(s,3H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=150.5、138.7、134.6、129.4、129.1、128.7、128.0、127.5、76.3、54.5、21.6;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C16H15IN3に対する計算値、376.0305;実測値376.0307。
【0134】
【化37】
【0135】
5−ヨード−4−(チオフェン−3−イル)−1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール(29)。ワンポット/2段の一般的手順を使用することによって、3−(ヨードエチニル)チオフェンおよびベンジルアジドから合成された、1.24g、3.38mmol、81%;mp=125−127℃(分解);IR(υ[cm−1])3025、1496、1455、1354、1318、1230、1211、1072、1008、783、717;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.94(d,J=I.6,1H)、7.75(d,J=4.7,1H)、7.39(dd,J=4.7,3.0,1H)、7.36−7.29(m,3H)、7.29−7.25(m,2H)、5.64(s,2H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=147.3、134.5、131.2、129.1、128.7、127.9、126.8、126.1、122.9、76.0、54.5;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C13H11IN3Sに対する計算値、367.9713;実測値367.9713。
【0136】
【化38】
【0137】
4−シクロプロピル−5−ヨード−1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール(30)。ワンポット/2段の一般的手順を使用することによって、(ヨードエチニル)シクロプロパンおよびベンジルアジドから合成された、0.843g、2.59mmol、69%;mp=114−116℃(分解);IR(υ[cm−1])3028、1544、1495、1451、1421、1359、1333、1290、1217、1145、1074、1033、724;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.31−7.25(m,3H)、7.22−7.18(m,2H)、5.49(s,2H)、1.72(dq,J=8.4,5.0,1H)、1.01−0.97(m,2H)、0.91(ddd,J=10.8,6.5,4.1,2H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=153.4、134.7、129.0、128.5、127.9、77.9、54.2、7.7、7.4;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C12H13IN3に対する計算値、326.0149;実測値326.0151。
【0138】
1,4,5−トリアリールトリアゾール−1−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−p−トリル−1H−1,2,3−トリアゾール(31)を合成するためのワンポット、3段手順:フェニルアセチレン(0.511g、5mmol)をTHF(20ml)に溶かし、N−ヨードモルホリン(2.56g、7.50mmol)、次いでCuI(0.048g、0.250mmol)で処理した。試料を45分間攪拌し、GC−MSで追跡した。次いで、懸濁液を中性アルミナのパッド(約30mL)上に流し込み、溶液を真空下で集めた。次いで、パッドをTHF(7.5ml)で3回洗浄した(元の反応液を含めて、最終容積約42mL)。この溶液に4−メトキシフェニルアジド(0.746g、5.00mmol)、次いでTTTA(0.107g、0.250mmol)、最後にCuI(0.048g、0.250mmol)を装入した。この反応液を2時間攪拌し、LC−MSで追跡した。ここで、出発材料を消費し尽くした。次いで、この反応にp−トリルボロン酸(1.360g、10.00mmol)およびTEA(2.108ml、15.00mmol)を装入し、次いで、65℃まで加温した。次いで、Pd(OAc)2(0.022g、0.100mmol)を添加し、反応液を4時間攪拌した。ここで、揮発性成分を真空下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(4:1 ヘキサン:EtOAc)で精製した。これによって白色固体(1.25g、3.65mmol、73%)として31を得た。
【0139】
【化39】
【0140】
1−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−p−トリル−1H−1,2,3−トリアゾール(31)。mp=162−166℃(分解);IR(υ[cm−1])2967、1512、1484、1253、1182、994、832、780、697;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.59(d,J=7.9,2H)、7.31−7.25(m,3H)、7.21(d,J=8.6,2H)、7.09(dd,J=45.5,7.6,4H)、6.85(d,J=8.6,2H)、3.80(s,3H)、2.35(s,3H)。;13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=160.0、144.6、139.5、134.1、131.3、130.2、129.9、129.9、128.7、128.0、127.5、126.8、124.9、114.4、55.7、21.6;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C22H20N3Oに対する計算値、342.1601;実測値342.1601。
【0141】
【化40】
【0142】
5−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−4−p−トリル−1H−1,2,3−トリアゾール(32)。ワンポット/3段の一般的手順を使用することによって、4−メチル−フェニルアセチレン、フェニルアジド、N−ヨードモルホリンおよび4−メトキシ−フェニルボロン酸から合成された、1.22g、3.55mmol、71%;mp=172−174℃(分解);IR(υ[cm−1])3064、2922、1611、1523、1499、1250、1177、995、847、820、760、687;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.49(d,J=8.0,2H)、7.38−7.33(m,3H)、7.32−7.27(m,2H)、7.10(dd,J=13.0,8.2,4H)、6.85(d,J=8.5,2H)、3.80(s,3H)、2.32(s,3H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=160.4、144.9、137.8、136.9、133.4、131.7、129.4、129.3、129.0、128.3、127.4、125.4、119.9、114.7、55.5、21.5;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C22H20N3Oに対する計算値、342.1601;実測値342.1600。
【0143】
【化41】
【0144】
4−(4−メトキシフェニル)−5−フェニル−1−p−トリル−1H−1,2,3−トリアゾール(33)。ワンポット/3段の一般的手順を使用することによって、4−メトキシ−フェニルアセチレン、4−メチル−フェニルアジド、N−ヨードモルホリンおよびフェニルボロン酸から合成された、1.19g、3.50mmol、70%;mp=192−195℃(分解);IR(υ[cm−1])3019、2937、1619、1517、1481、1370、1247、1177、1027、997、842、820、747;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.50(d,J=8.4,2H)、7.39−7.30(m,3H)、7.20−7.11(m,6H)、6.83(d,J=8.5,2H)、3.78(s,3H)、2.34(s,3H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=159.5、144.8、139.2、134.3、133.1、130.4、129.9、129.4、129.2、128.8、128.2、125.2、123.6、114.1、55.4、21.4;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C22H20N3Oに対する計算値、342.1601;実測値342.1605。
【0145】
本発明を説明する文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)用語「a」および「an」および「the」および類似の指示語の使用は、別段の指示のない限り、また文脈上明らかに矛盾しない限り、単数、複数いずれをも含む。用語「含む」、「有する」、「含む」および「含有する」は、別段の指示のない限り、制約がない用語(すなわち、「含む」が、それに限定されないことを意味する)と見なされるべきである。本明細書において数値範囲を記載する場合、別段の指示のない限り、その範囲内にあるそれぞれ独立の値を個別に記載する代わりの簡便な方法として機能することが意図されており、それぞれ独立の値は、個別に記載されたように、本明細書中に組込まれている。本明細書に記載の方法はすべて、別段の指示のない限り、また文脈上明確な矛盾のない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書に記載の任意の例およびすべての例または例示的な用語(例えば、「などの」)の使用は、別段の記載のない限り、本発明をより明確にするためのものであり、本発明の範囲に制限を加えるものではない。本明細書中のいかなる用語も、特許請求されていない要素を本発明の実施に必須なものであると主張するために用いるべきでない。
【0146】
本発明の好ましい実施形態は、本発明を実施するための本発明者にとって公知のベストモードを含めて、本明細書に記載されている。前述の説明を読んだ当業者にとっては、こうした好ましい実施形態の変形形態は、明白である。当業者なら、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に具体的に記載された以外の、本発明を実施するのに適切である変形形態を用いることができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲に記載の主題の全ての改変形態および等価物を含むものであり、これは当該法に許可されている。さらに、すべての可能な変形形態中の上記の要素の任意の組合せは、別段の指示のない限り、また文脈上明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含されるものである。
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2009年8月11日出願の米国特許仮出願第61/273,939号の利益を請求する。
【0002】
本発明の契約上の起源
本明細書に記載の研究の一部は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)からの助成金番号GM28384、GM83658およびGM87620による支援を受けた。米国政府は、本発明について一定の権利を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、1,2,3−トリアゾール化合物を調製する方法に関する。より詳細には、本発明は、1,2,3−トリアゾール化合物を位置選択的に調製するための、有機アジドおよび1−ハロアルキンの銅触媒による付加環化反応の使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
本発明は、1,2,3−トリアゾール化合物を位置選択的に調製する方法を提供する。本方法は、液体反応媒体中で銅触媒(例えば、Cu(I)イオンを含む)およびアミン(好ましくは、第三級アミン配位子)、チオールまたはその塩、スルフィド、ジスルフィド、チオフェン、チアゾールおよびホスフィンなどの銅配位子の存在下で有機アジドを2−置換−1−ハロアルキン(例えば、1−ヨードアルキン)に接触させるステップを含む。アジドおよびハロアルキンは、[3+2]付加環化反応と類似の様式で縮合することによってトリアゾールの5位にあるハロ置換基、トリアゾールの1位にある有機アジドの有機部分、およびトリアゾールの4位にある1−ヨードアルキンの置換基を有する1,4,5−置換−1,2,3−トリアゾール化合物を得る。
【0005】
別の態様では、本発明は、1−ヨードアルキンを調製する方法を提供する。その方法は、非プロトン性溶媒(例えば、THF)中で第一銅イオン(例えば、第一銅イオンの触媒量)の存在下で末端アルキンを親電子性ヨウ化剤(例えば、N−ヨードモルホリンなどのN−ヨードアミン、N−ヨードスクシンイミドなどのヨードアミドなど)と接触させることによって1−ヨードアルキンを与えるステップを含む。親電子性ヨウ化剤と末端アルキンの反応は、有利にはおよび驚くべきことに、周囲の室温で高収率で行われる。第一銅イオンは、Cu(I)塩から提供することもでき、Cu(II)をin situで還元して生成させることもできる。
【0006】
本発明の付加環化法は、1−ハロアルキン(詳細には、1−ヨードアルキン)との反応が、対応する末端アルキン(すなわち、ヨード置換基の代わりに水素を有する)との反応より顕著に速やかであるという点で、有機アジドと末端アルキンとの既存の付加環化反応をしのぐ予想外に優れた利点を提供する。加えて、付加環化反応のトリアゾール最終生成物は、トリアゾールの5位にハロ置換基を備えており、他の官能基(例えば、アリール基、ポリエチレングリコール基など)を導入するための5位における次の反応用の「ハンドル」を提供する。
【0007】
本発明は、以下の明細書で十分に説明され、添付の図面で例示されるある種の新規な特徴を含むものであり、本発明の趣旨を逸脱し、本発明のいかなる利点をも犠牲にすることなく、細部の多様な変更が可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】有機アジドを銅アセチリドと縮合させるための一般化された反応スキームを例示する図である。
【図2】多様なアミノ配位子および他の銅含有塩基がアジド−ハロアルキン付加環化に及ぼす効果を例示する表である。
【図3】多様な溶媒がアジド−ハロアルキン付加環化反応に及ぼす効果を例示する表である。
【図4】本発明に従って調製される多様な5−ヨード置換1,2,3−トリアゾールの例を示す図である。
【図5】本発明に従って調製される多様な1−ヨードアルキンを例示する図である。
【図6】本発明の方法に従って、1−ヨードアルキンをin situで調製し、続いてそのヨードアルキンをアジドと縮合させるステップを例示する図である。
【図7】本発明に従って、5−アリール−1,2,3−トリアゾールを形成するための反応手順を例示する図である。
【図8】1−ハロアルキンと有機アジドを本発明によってCu(I)触媒縮合させるための可能な機構を例示する略図である。
【図9】バイオコンジュゲーションにおける本方法の例示的な応用を示す略図である。
【図10】生体分子などの標的骨格化合物上にホウ素−10含有材料を付加する一つの手法を例示する略図である。
【図11】グリオーマの中性子治療に有用なボラン化合物のpeg化の例を示す図である。
【図12】本発明の方法に従って蛍光染料部分を導入するためのバイオコンジュゲーションの例、およびバイオコンジュゲーション反応に有用なアセチレンおよびトリアゾール置換クマリン化合物の例を示す図である。
【図13】本発明の方法に従ってビス−トリアゾールを段階的に合成する例を示す略図である。
【図14】本発明の方法に従ってビス−トリアゾールを段階的に合成する具体的な例を示す図である。
【図15】ビス−1−ヨードアルキン(A)をビス−アジドと一緒に利用することによってA+B型ポリトリアゾールを与えるポリマー合成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、1,2,3−トリアゾール化合物を調製する方法を提供するものであり、その方法は、液体反応媒体中で銅触媒および銅配位子(好ましくは、第三級アミン配位子)の存在下で有機アジドを2−置換−1−ハロアルキン(例えば、1−ヨードアルキン)に接触させるステップ、を含み、から基本的になり、またはからなる。アジドおよびハロアルキンは、高度に位置選択的な方式で縮合することによってトリアゾールの5位にハロ置換基、トリアゾールの1位に有機アジドの有機部分、トリアゾールの4位に1−ヨードアルキンの置換基を有する1,4,5−置換−1,2,3−トリアゾール化合物を得る。
【0010】
本明細書では、および当技術分野で従来から公知であるように、「アルキン」および「アセチレン」という用語、ならびにその文法的な変形形態は、炭素−炭素三重結合を含む化合物を指すのに同義語として使用される。修飾語「末端の」は、「アルキン」または「アセチレン」という用語と一緒に使用される場合、炭素−炭素三重結合の一方の末端における水素および他方の末端における有機置換基を含む化合物を指す。
【0011】
一部の好ましい実施形態では、銅触媒は、Cu(I)塩(例えば、硫酸第一銅、または臭化第一銅やヨウ化第一銅などのハロゲン化第一銅塩)、を含み、から基本的になり、からなる。所望であれば、触媒またはその一部分は、in situで、例えば、Cu(II)を還元することによってまたはCu(0)を酸化することによって生成して、触媒活性部分を産生することができる。Cu(II)を還元するための適切な還元剤およびCu(0)を酸化するための適切な酸化剤は、当技術分野で周知である。適切な還元剤の一部の非限定的な例として、アスコルベート(例えば、アスコルビン酸および/またはアスコルビン酸ナトリウムなどのアスコルビン酸塩など)、チオール(例えば、グルタチオン、システイン、ジチオスレイトール(DTT)など)、金属(例えば、Cu(0)など)、スルフィット塩、チオスルフェート塩およびヒドロキノンが挙げられる。好ましいCu(0)酸化剤は、酸素(例えば、空気から)である。例えば、アジドとハロアルキンの間の反応は、酸素含有雰囲気(例えば、空気)下で金属銅の存在下で実施することによって触媒活性銅種をin situで生成させることができる。あるいは、還元剤、例えば、ジチオスレイトール(DTT)などのチオールまたはアスコルビン酸塩の存在下でCu(II)塩を用いて実施することもできる。DTTなどのチオールもまた、例えば第三級アミンの代わりに銅配位子として作用することができる。
【0012】
銅配位子は、銅と配位可能な自由電子対を含む任意の配位子であってよい。銅用の配位子は、当技術分野で周知である。好ましくは、銅配位子として、窒素、イオウ、リンまたは酸素原子、または前記のうちの任意のものの組合せが挙げられ、これらは銅に対して親和性を有する。イオウ含有銅配位子の例として、チオフェノールやチオフェノール塩などのチオールおよびチオール塩;ジチオスレイトール(DTT)など;ジメチルスルフィドやジフェニルスルフィドなどのスルフィド;ジメチルジスルフィドやジフェニルジスルフィドなどのジスルフィド;チオフェン(例えば、チオフェン2−カルボン酸)などのイオウ複素環;チアゾール(例えば、チアゾール−2−カルボン酸)などが挙げられる。リン含有配位子の例として、ホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィン、アミノホスフィン)などが挙げられる。窒素含有銅配位子の例として、窒素複素環(例えば、トリアゾール、テトラゾール、オザゾール、ピリジンなど)、およびアミン(例えば、第三級アミン)が挙げられる。銅配位子として、所望であれば、硫黄、窒素、リンと酸素含有配位子基の任意の組合せ、例えば、トリアゾール置換、チオフェン置換、スルフィド置換、オキサゾール置換、ジスルフィド置換第三級アミンなどを挙げることができる。
【0013】
好ましくは、銅配位子はアミン配位子である。アミン配位子は、任意のアミンを含むことができるが、好ましくは、第三級アミンを含む。トリアルキルアミン(例えば、トリエチルアミン(TEA)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)などのC1−C22トリアルキルアミン)、および窒素複素環置換第三級アミン、例えば、トリス((1−tert−ブチル−1H−1,2,3−トリアゾリル)メチル)アミン(TTTA)やトリス((1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾリル)メチル)アミン(TBTA)などのトリアゾール置換第三級アミンが、一部の実施形態で好ましい。他の適切なトリアゾール置換第三級アミンは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、WO2009/038685として公開されている共有のPCT出願第PCT/US2008/010739号において開示されている。
【0014】
液体反応媒体は、非プロトン性溶媒および/またはアルコールおよび/または水、を含む、から基本的になる、またはからなることができる。一般に、適切な溶媒は、多様な反応物質、触媒、配位子、および/または生成物の溶解度を基準に選択されるが、これは、当技術分野で周知である。非プロトン性溶媒の適切な型の非限定的な例として、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン(DME)など)、アミド(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−ピロリジノンなど、およびN,N−ジメチルプロピレン尿素などのアルキル置換尿素)、ニトリル(例えば、アセトニトリル)、炭化水素(例えば、トルエン、キシレン、石油エーテルなど)、エステル(例えば、酢酸エチル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)など)およびハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタンなどの塩素化炭化水素)、ならびに前記の任意のものの組合せが挙げられる。適切なアルコールの非限定例として、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールなど、および前記の任意のものの組合せが挙げられる。所望であれば、液体媒体は、媒体の化学的および物理的特性を調整するために、例えば、反応物質の可溶化を助けるためなどに、他の材料、およびpH緩衝剤、界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などのアニオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール、エトキシル化アルコールなどの非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、または両性界面活性剤)、還元剤、酸化剤、消泡剤、分散剤など周知の機能性添加剤を含むことができる。
【0015】
一部の実施形態では、有機アジドは、有機アジド中のアジドのモル量および1−ハロアルキン中のアルキンのモル量に対して少なくとも化学量論量の1−ハロアルキンと接触する。他の実施形態では、有機アジドは、有機アジド中のアジドのモル量および1−ハロアルキン中のアルキンのモル量に対して化学量論量未満の1−ハロアルキンと接触する。さらなる他の実施形態では、有機アジドは、有機アジド中のアジドのモル量および1−ハロアルキン中のアルキンのモル量に対して化学量論量超の1−ハロアルキンと接触する
所望であれば、本発明の方法は、1,4,5−置換−1,2,3−トリアゾール化合物を銅配位子および存在してもよい任意の銅含有材料または添加剤から分離する追加のステップを含むことができる。かかる分離は、限定されないが、抽出、向流抽出、沈殿、クロマトグラフィー(例えば、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィーなど)、粉砕、ろ過、結晶化、またはかかる技法の任意の組合せを含めての任意の適切な技法によって実施することができる。当然ながら、化学的分離技術分野の当業者であれば、分離される材料の物理的および化学的特性と適合できる分離技法を選択することができるが、これは当技術分野で周知である。加えて、一部の好ましい実施形態は、1,4,5−置換−1,2,3−トリアゾール化合物を液体反応媒体から単離する追加のステップを含む。かかる単離は、例えば、上記の分離技法によって実施することができる。
【0016】
本発明のさらに他の好ましい実施形態は、Pd(0)触媒の存在下で1,4,5−置換−1,2,3−トリアゾール化合物をアリールボロン酸と接触させ、それによって、トリアゾールの5−ハロ置換基をアリールボロン酸のアリール部分と置き換える追加のステップを含む。あるいは、この方法は、1,4,5−置換−1,2,3−トリアゾール化合物を還元剤と接触させることによって5−ハロ置換基を水素と置き換える追加のステップを含むこともできる。
【0017】
本発明の方法の有機アジド成分は、限定されないが、末端アセチレンと有機アジドの間の周知の銅触媒によるアジド−アルキン付加環化(CuAAC)反応で利用されてきた任意のかかる有機アジドを含めて、任意のアジド置換有機材料であってよい。同様に、本発明の方法では、1−ハロアルキン(例えば、1−ヨードアルキン)に転換された後の任意の末端アルキン、特に、CuAAC反応に参加することが実際に示されてきたような任意のアルキンを利用することができる。末端アルキンは、好都合には、本明細書に記載の方法によって1−ヨードアルキンに転換することができる。CuAAC反応で環化することができる広範囲の有機アジドおよび末端アルキンを例示するCuAAC反応についての総説として、例えば、Peng WuおよびValery V.Fokin、Aldrichemica Acta、2007、40(1):7−17;John E.MosesおよびAdam D.Moorhouse、Chemical Society Reviews、2007、36 1249−1262;およびRolf Breinbauer and Maja Kohn、ChemBioChem、2003、4 1147−1149、ならびに上記の中に引用された参考文献が挙げられる。
【0018】
本発明の方法における有機アジドおよび2−置換−1−ハロアルキンが含むことができる有機部分の範囲は、事実上限界がなく、その範囲には、例えば、すべての型の生体分子を含む、簡単なおよび複雑なアルキル基(直鎖および分枝アルキル、テルペン、ステロイド、フラーレンなどを含む)、芳香族基(例えば、フェニル、ナフチル、アントリルなど)、複素環基(窒素、酸素および/または硫黄系複素環を含む)、複素芳香族基(窒素、酸素および/または硫黄系複素芳香族基を含む)、炭水化物(例えば、糖類、オリゴサッカライド、ポリサッカライドなど)、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、核酸、ポリマー材料(例えば、ポリエチレングリコール、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアクリレートなど)、およびアルコール、酸、チオ酸、ヒドロキサム酸、アミン、チオール、スルフィド、ジスルフィド、アミド、尿素、エステル、エーテル、カルボネート、ハロゲン化物、スルホン酸、スルホキシド、スルホン、スルホンアミド、スルフェート、ホスフェート、ホスフィド、ホスホネート、ホスホンアミドなど、ならびに前記の2つ以上の組合せなどの機能性置換基を有する材料が挙げられる。
【0019】
加えて、1−ハロアルキンの2−置換基は、水素であってよく、また、例えば、炭素−炭素結合、窒素−炭素結合、カルコゲン−炭素結合(例えば、酸素、硫黄、セレン、テルル)、ケイ素−炭素結合、スズ−炭素結合、またはリン−炭素結合を介して1−ハロアルキンの2位に結合した基を含むことができる。この方式では、非常に広範囲の置換基の型(例えば、プロト、オキソ、アミノ、シリル、スタニル、チオ、セレノ、テルロおよびホスホ基)が、本発明の方法によって1,2,3−トリアゾールの4位に直接結合することができる。
【0020】
所望であれば、有機アジドおよび2−置換−1−ハロアルキンは、単一化合物中で実現することができ、この場合、ポリマー性のトリアゾールを得ることができる。ポリトリアゾール材料は、先端複合材料用の耐熱性ポリマーマトリックスとして有用であると報告されている(例えば、WanらJ.Appl.Poly.ScL、2007;104:1038−1042を参照されたい。)。ポリトリアゾールが、Tangらの米国特許出願公開第2008/0103273号によってビス−アジドを用いるビス−アルキンの[3+2]付加環化を介して調製されたことが報告されている。トリアゾール環上の5−ハロ置換基を有する類似のポリトリアゾールは、ビス−1−ハロアルキンを利用することによって本発明の方法を介して得ることができる。
【0021】
加えて、1−ハロアルキンは、別のアルキン部分(例えば、1−ハロアルキン、末端アルキン、または内部アルキン)と置換することができ、この反応は、末端アルキンのCuAAC反応と場合によって組み合わせた本発明の銅触媒によるアジド1−ハロアルキンカップリング反応、または内部アルキンのルテニウム触媒によるアジドアルキンカップリング(例えば、WO2007/041451に記載されているように)を利用して、ビス−トリアゾールの段階的合成で利用することによってカップリング生成物の2つのトリアゾール環上に多様な異なる置換基を有するビス−トリアゾールを生成することができる。
【0022】
本明細書に記載されたように、有機アジドと1−ハロアルキンの銅触媒による付加環化は、有利には、例えば、アジドまたは1−ハロアルキンを含むように改変された生体分子を1−ハロアルキンまたは有機アジドそれぞれと反応させることによって生体分子を別の有機材料(例えば、PEG基または蛍光染料)に結合させるバイオコンジュゲーション(上記のMosesおよびMoorhouseを参照されたい)を含めて、有機化学および生体有機化学の多数の領域で利用することができる。所望であれば、他の有機材料自体が、生体分子であってよい。生体分子の例として、限定されないが、タンパク質、酵素、アミノ酸、サイトカイン(例えば、インターフェロン−β−「IFNβ」、ケモカイン、核酸、炭水化物、脂質およびその複合体が挙げられる。
【0023】
例えば、タンパク質は、1−ヨードアルキンを含むように改変することができ、次いで、それは、ポリエチレングリコール(PEG)置換アジドと反応することによってトリアゾール結合を介してタンパク質上にPEG基を導入することができる。逆に、タンパク質は、アジド基を含むように改変することができ、PEG化合物は、1−ヨードアルキン基を含むことができる。こうした反応はまた、例えば、グリコシル化合物を1−ハロアルキンまたはアジドいずれかで改変し、適切に置換されたタンパク質またはペプチドと反応させることによってタンパク質をグリコシル化するために利用することもできる。本方法はまた、タンパク質などの生体分子上に多様な標識およびマーカー化合物(例えば、蛍光化合物)を結合させるのにも有用であり得る。例えば、ハロ置換基は、トリアゾール生成物上に残留するので、本方法は、反応物質として放射性ヨウ素で標識された1−ヨードアルキン(すなわち、少なくとも一部のヨウ素が131Iであるもの)を使用することによって放射性ヨウ素を生体分子中に導入するのに使用することができる。別の例では、ホウ素−10含有基は、癌を治療するための中性子療法で使用するための生体分子またはPEG化合物上に導入することができる。
【0024】
peg化は、血液−脳障壁を越えての材料の送達の促進を含めて、医薬分野で多数の利点を提供することが実際に示されてきた。例えば、インターロイキン−10(IL−10、神経栄養痛用の強力なグリア調節剤および鎮痛剤)および脳由来の神経栄養因子(BDNF)のpeg化は、また薬物の生物学的な半減期を増加させつつ、脊髄組織内へのタンパク質の浸透距離を顕著に改良することが報告されている(オンラインで発表されているSoderquistら、J.Biomed.Mater.Res.A、2008 Dec 1を参照されたい)。本発明の方法は、タンパク質をpeg化するための代替法を提供する。例えば、アジドPEG化合物は、1−ハロアルキン置換タンパク質と縮合することができ、またpeg化1−ハロアルキンは、本明細書で記載のようにアジド置換タンパク質と縮合することができる。
【0025】
PEG化合物またはタンパク質上にアジド基またはアセチレン基を導入する方法は、当技術分野で公知である。例えば、米国特許第4041041号には、末端アセチレン置換アミノ酸を調製する方法が記載されており、このアミノ酸は、本発明の方法によって1−ヨードアルキンに転換することができる。かかるアミノ酸をタンパク質上に(例えば、C末端で、N末端で、または側鎖で)導入すると、次いで、アジド−PEG化合物と反応するための1−ヨードアルキン置換タンパク質が提供される。本発明の追加の利点は、PEGが、トリアゾール部分と一緒に導入され、peg化タンパク質中に追加の官能基がもたらされることである。
【0026】
かかるバイオコンジュゲーション反応は、CuAAC反応の場合に広範に調査されている。本方法の特別な利点は、1−ハロアルキンのハロ置換基がトリアゾール上の5位に残留することである。このハロ置換基は、トリアゾールを5位でさらに官能化するのに使用することができる。例えば、トリアゾールの5位にあるヨード置換基は、アリール基(例えば、アリールボロン酸とのPd(0)触媒によるカップリングによって)、カルボキシル基(例えば、金属触媒によるカルボニル化反応によって)、スルフィド基(例えば、チオールによるヨウ化物の銅触媒による親核置換によって)などの別の基で置き換えることができる。他の官能基を含むことが所望であれば、かかる新規な官能基それ自体もさらに改変することができる。したがって、5−ハロ置換基は、本方法によって形成される1,2,3−トリアゾール化合物をさらに改変するための万能ハンドルを提供する。
【0027】
その他の応用では、本発明の方法は、トリアゾール官能化デンドロンおよびデンドリマー、ならびに官能化接着コーティングなどのポリマー材料を形成するのに利用することができ、それについてはCuAAC反応として公知である(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれているWO2006/995046;WO2006/012569;WO2007/011967;WO2007/012001を参照されたい)が、トリアゾール環上に有用なヨードまたはハロ置換基が含まれるという利点が追加されている。
【0028】
別の態様では、本発明は、1−ヨードアルキンを調製する方法を提供する。その方法は、非プロトン性溶媒(例えば、THF、または液体反応媒体に関して上述されたような任意の他の非プロトン性溶媒)中で、ヨウ化第一銅などの第一銅触媒の存在下で末端アルキンを親電子ヨウ化剤(例えば、N−ヨードモルホリンなどのN−ヨードアミン、N−ヨードスクシンイミドなどのヨードアミドなど)と接触させることによって1−ヨードアルキンを得るステップを含む。Cu(II)は、第一銅の形に容易に還元することができるので、Cu(II)塩もまた、第一銅触媒供給源として働くことができる。親電子性ヨウ化剤と末端アルキン部分の間の反応は、有利にはおよび驚くべきことには、周囲の室温で高収率で行われるが、これは本明細書に記載の実施例で実際に示される。触媒は、好ましくは、触媒量で(例えば、アルキン部分に対する化学量論量未満で)存在する。好ましくは、第一銅触媒は、存在するアルキン部分のモルに対して約0.01−約モル%の範囲の量(例えば、約1−約10モル%または約5モル%の範囲の量)で存在する。
【0029】
本発明のある種の態様および特徴は、添付の図面中の図、スキームおよび表を参照しながら、本明細書中の以下の例示的実施例および議論で提供される。
【0030】
本発明者らは、1−ハロアルキン、特に1−ヨードアルキンが、安定で容易に入手できる(以下を参照されたい)内部アセチレンであり、有機アジドとの銅触媒による環付加反応において例外的に大きな反応性を示すことを発見した。実際、銅触媒による付加環化反応におけるアジドに対する1−ヨードアルキンの反応性は、末端アルキンを凌駕するように思われる。追加の利点として、反応生成物、5−ヨード−1,2,3−トリアゾールは、さらなる官能化に対して使用可能な万能合成中間体である。ヨードトリアゾールの数種の合成が公知であるが、この反応は、化学量論量の銅触媒を必要とし、反応性の親電子性ハロゲン化剤(例えば、ヨウ素塩化物、N−ブロモスクシンイミド)を用いる。例えば、(a)Y.M.Wu、J.Deng、Y.Li、Q.Y.Chen、Synthesis 2005、1314;(b)L.Li、G.Zhang、A.Zhu、L.Zhang、J.Org.Chem.2008、73、3630を参照されたい。加えて、一部の手順は、長い反応時間を必要とし、5−H−トリアゾールおよび5−ヨード−トリアゾールの混合物を生成する。例えば、(a)I.Perez−Castro、O.Caamano、F.Fernandez、M.D.Garcia、C.Lopez、E.De Clercq、Org.Biomol.Chem.2007、5、3805;(b)Kuijpersら(彼らは、最近、1−ブロモアルキンからの5−ブロモ−1,2,3−トリアゾールの優れた合成を報告したが、その反応は、完結するのに40モル%のCu(I)/Cu(II)、16−50時間の高温を必要とした。);B.H.M.Kuijpers、G.C.T.Dijkmans、S.Groothuys、P.J.L.M.Quaedflieg、R.H.Blaauw、F.L.van Delft、F.P.J.T.Rutjes、Synlett 2005、3059を参照されたい。
【0031】
有機アジドおよびヨードアルキンから5−ヨード−1,4,5−三置換−1,2,3−トリアゾールを化学選択的および位置選択的に合成するための一般的で迅速で操作が簡単な方法が本明細書で開示されている。触媒反応は、好ましくは、アミン(好ましくは、第三級アミン)などの銅配位子の存在下でヨウ化Cu(I)によって実施される。ジメチルスルフィド、トリフェニルホスフィン、チオフェン−2−カルボン酸、チオフェノールおよびジフェニルスルフィドなど他の配位子もまた、調査され、本発明による銅触媒によるアジド/1−ヨードアルキン付加環化反応を促進することが分かった。
【0032】
広い範囲のCu(I)およびCu(II)塩、溶媒および配位子を含む実験条件の最初の調査は、ヨードアルキン1とアジド2の反応が、THF中のヨウ化Cu(I)/トリエチルアミン(TEA)によって触媒され、それぞれの量が変動する5−プロト−および5−アルキニルトリアゾール4および5と一緒に、主生成物として5−ヨード−1,2,3−トリアゾール3を与えたことを示した(表1、エントリー2;図2を参照されたい)。3の位置化学は、5−ヨード中心を5−H−トリアゾール、4に還元することによって割り当てられた。
【0033】
アミン配位子などの銅配位子を含むことは重要である。その理由は、TEAが除外されると全く反応が観察されなかったからである(図2の表1、エントリー1を参照されたい)。さらに、反応は、TEAの量に強く依存することを示した(表1、エントリー1、3および4;図2)。したがって、5−ヨード−トリアゾール3は、単に過剰(2当量)のTEAを使用することによって優れた収率で単一生成物として生成した。所望の5−ヨードトリアゾールはより低い収率で得られたが、こうした傾向は他の第三級アミン配位子まで見られた(表1、エントリー4、参照6、8;図2)。
【0034】
反応の観測された速度および化学選択性は、アミン配位子の性質で決まった。例えば、TEAが1,2−ジアミンで代替されると、反応の効率は、顕著に低減し、5−アルキニル−トリアゾール5が主生成物として形成された(表1、エントリー8および9;図2)。2,6−ルチジンなどのピリジンは、効果がより低く、1,10−フェナントロリンは、用いた条件下で効果が見られなかった(表1、エントリー7および10;図2)。対照的に、トリス((1,2,3−トリアゾリル)メチル)アミン配位子(B.Gerard、J.Ryan、A.B.Beeler、J.A.Porco、Jr.、Tetrahedron 2006、62、6405を参照されたい)は、この付加環化で効率が高いことが分かった。トリス((1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾリル)メチル)アミン(TBTA)とそのtert−ブチル同族体、トリス((1−tert−ブチル−1H−1,2,3−トリアゾリル)メチル)アミン(TTTA)(表1、エントリー11および12)はいずれも、優れた収率で唯一の生成物として5−ヨードトリアゾール3を提供した。加えて、こうした配位子は、顕著に反応を加速し、完了までの時間を約6時間から約45分に低減した。
【0035】
こうした観察結果に基づいて、TTTAは、5−ヨード−1,2,3−トリアゾールを速やかに化学選択的に構築するための好ましい配位子として浮上した。CuI−TTTA系とCuI−TEA系いずれもが広範囲の溶媒と適合性であることが分かったことは注目に値する(表2;図3)。一部の溶媒は反応速度に対して顕著な効果を実際に発揮したが、反応がプロトン性溶媒(例えば、アルコールおよび水)中で実施された場合でも、選択性は大きな影響を受けなかった。
【0036】
CuI−TTTA触媒系が、一連の構造的および機能的に広い範囲のアジドおよび1−ヨードアルキンに応用された(図4)。全ての場合に、5−ヨード−1,2,3−トリアゾールが、唯一の生成物として得られた。反応条件が穏やかであり、化学選択性が大きく、銅触媒の使用量が小さいので、反応操作が粉砕して次いでろ過する操作と同様に簡単である。その結果として、本方法は、スケールアップするのが極めて容易であり、代表的な5−ヨードトリアゾール6および15が複数のグラム量で調製された。加えて、この環化によって可能な官能基の範囲が広いことは、特に例外的な特徴として目立っている。立体的に必要で(例えば、10、12)機能的に密な(例えば、7、17)基質を利用することができた。したがって、アジド−ヨードアルキン付加環化は、化学連結反応の非常に直交的な手段を提供する。
【0037】
この付加環化の有用性は、末端アルキンからの1−ヨードアルキンの簡単で効率の高い合成の開発によって強化された(図5)。末端アルキンは、CuIの存在下で、N−ヨードモルホリン23(Riceの米国特許第2290710号の手順によって調製された)で処理されて30−60分以内で対応する1−ヨードアルキンをもたらした。得られた生成物は、反応混合物をシリカゲルまたはアルミナのパッド中を単に通過させることによって単離することができ、良好から優秀までの収率で所望の1−ヨードアルキンが得られた。
【0038】
かくして、1−ヨードアルキンを合成できる速度および忠実性について見通しが得られたので、5−ヨード−1,2,3−トリアゾールを調製するための1ポット、2段階プロトコル(図6)が開発された。1−ヨードアルキンは、アジド成分を導入する前に、中性アルミナによるろ過を介して部分的に精製された。CuI−TTTAを含む溶液に親電子性ヨウ化剤(N−ヨードモルホリン、ICl、NISなど)を添加すると、標的アジドおよび末端アルキンは、対応する1−ヨードアルキンを与えたが、次の付加環化を促進できなかった。この失敗は、金属の酸化または配位子の移動/破壊いずれかを介して触媒活性錯体が分裂したためであると思われる。この方法は、単離1−ヨードアルキンについて観察されたのに匹敵する効率で5−ヨードトリアゾール28−30を与えた。
【0039】
このシーケンスは、5−ヨードトリアゾールをアセンブリングし、続いて適切なアリールボロン酸と一緒にPd(0)触媒によるクロスカプリングを用いることによって1,4,5−トリアリール−1,2,3−トリアゾール31−33(図7)の合成までさらに拡張することができた。例えば、J.Deng、Y.−M.Wu、Q.−Y.Chen、Synthesis 2005,2730を参照されたい。この簡単で段階的な構築は、任意の中間体の精製を不要にし、同時に1,2,3−トリアゾールのコアの周りの置換基の配置を完全に制御し、トリアリールトリアゾール31−33のすべての位置同位体の置換を容易に可能にする。こうしたことの実現は注目すべきである。その理由は、アリール基(フェニル、トリルおよびp−メトキシフェニル)間の高度の類似性のために熱によるまたはルテニウム触媒による1,3−双極性付加環化を介しては類似の位置制御合成は不可能であると思われるからである。
【0040】
この新規に発見されたCu(I)触媒による付加環化は、従来から公知のCuAAC法(これは末端アセチレンを利用する)といくつかの類似点を共有する;しかし、銅によるヨードおよび末端アルキンの活性化モードは明確に異なる。機構的な提案が図8に要約されている。一つの可能な経路は、CuAACに対して提案されたものと類似しており(F.Himo、T.Lovell、R.Hilgraf、V.V.Rostovtsev、L.Noodleman、K.B.Sharpless、V.V.Fokin、J.Am.Chem.Soc.2005、127、210)、最初の重要な中間体としてσ−アセチリド錯体35の形成が必要である(図8、a)。例えば、P.Siemsen、R.C.Livingston、F.Diederich、Angew.Chem.Int.Ed.2000、39、2632を参照されたい。近接窒素を介してのアジドの配位の後に環化が起こり、第一銅に配位したトリアゾール38がもたらされる。ヨードアルキン34とのσ−結合メタセシスを介してのCu(I)交換は、環を完成させ、ヨードトリアゾール39を遊離させ、アセチリド35を再生する。
【0041】
あるいは、銅は、π−錯体中間体(図8、b)の形成を介してヨードアルキンを活性化することができ、この中間体が、次いで、アジドと契合し、錯体41を生成する。次いで、環化は、ビニリデン様遷移状態、42を介して進行し、ヨードトリアゾール39を与える。類似の遷移状態は、CuAAC反応中の2−銅中間体の関与を説明するために提案された(a)M.Ahlquist、V.V.Fokin、Organometallics 2007、26、4389;b)B.F.Straub、Chem.Comm.2007、3868)。この経路の明確な特徴は、触媒反応中にC−I結合が決して切断されず、したがって再形成されないことである。
【0042】
機構の詳細な検証は完了していないが、経路「b」が、予備調査および反応最適化実験からの結果に基づいて、現在好ましい。この仮説を支持する上の主たる根拠は、反応がプロトン性溶媒(表2;図3)で、または酸性プロトンを含む基質と一緒に(図4、化合物11、15、22)実施された場合でも、5−ヨードトリアゾールのみが形成されることである。仮に経路「a」が使用可能とすると、第一銅に配位したトリアゾール中間体38は、プロトンを含む他の親電子体によって捕捉され、それによって5−ヨードトリアゾールと5−プロトトリアゾールの混合物が生成する可能性があると思われる。後者の生成物が存在しないことは、経路「a」は支配的ではないという仮説を支持するものである。
【0043】
新規な接触付加環化反応によって、1,4,5−三置換−1,2,3−トリアゾールの速やかで制御された実用的な合成が可能になる。この反応は、広範囲の基質との適合性、官能基との優れた適合性、および溶媒との優れた適応性を備えており、末端アルキンが関与するより汎用のCuAAC反応としてふさわしい性質を有する。こうした直接的な実用上の利点に加えて、本明細書で開示された1−ヨードアセチレンの前例のない優れた反応性は、CuAAC反応を含めてアルキンの銅触媒による変換機構を精査するための強力な道具として働く。
【0044】
図9は、本発明の方法を利用するバイオコンジュゲーション反応を例示する略図である。図9では、PEG置換1−ヨードアルキン48aが、水性媒体中で、CuBrまたはCuSO4、ジチオスレイトール(DTT、還元剤)、銅用の配位子としてのトリス((1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾリル)メチル)アミン(TBTA)、および場合によってはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の存在下でアジド置換IFNβ49と反応してトリアゾール環の5位にヨード置換基を有するpeg化IFNβ誘導体50aを与え、この誘導体は、ヨード置換基を別の官能基に転換する(例えば、別のPEG基、芳香族基、炭水化物、カルボン酸などを導入するために)ことによってさらに官能化してトリアゾール51にすることができる。放射性ヨード基がPEG置換1−ヨードアルキンに導入される場合(例えば、48bにおけるように131I)、次いで、生成トリアゾール50bも131Iで標識されている。ヨードトリアゾール結合を利用するpeg化は、所望であれば、ヨード置換基を置き換えることによって追加のpeg化に対する機会を提供することができる。
【0045】
加えて、本方法は、治療または診断に使うための多数の有用な異なる材料を調製するのに利用することができる。例えば、ホウ素化合物は、脳腫瘍(グリオーマ)の治療における第2次放射線源として使用されてきた。例えば、Barthら、J.Neuro−Oncology、1997;33:3−7を参照されたい。ホウ素化合物(例えば、スルフヒドリルボランNa2B12H11SH(BSH)、p−ジヒドロキシボリルフェニルアラニン(BPA)、ホウ素置換ポリマー、標的ホウ素置換抗体など)は、腫瘍(例えば、グリオーマ)に投与され、次いで、in situで中性子で照射される。ホウ素化合物中のホウ素−10原子は、中性子を吸収すると、核分裂してリチウム−7およびエネルギーの高いアルファ粒子を形成する。核分裂反応から形成される高エネルギーアルファ粒子は、腫瘍細胞を殺すのに非常に有効である。
【0046】
組織を標的とするホウ素−10材料は、かかる癌治療で有用であり得る。本発明の方法は、標的ホウ素化合物を調製するための一般的手順を提供する。図10は、生体分子(例えば、タンパク質、抗体など)やポリマー(例えば、ポリエチレングリコール基)などの標的骨格化合物上にホウ素−10含有材料を付加する一つの手法を例示する略図である。図10では、骨格分子(I)は、銅触媒およびアミン配位子(例えば、TTTA)の存在下でホウ素置換1−ヨードアルキン(II)とカップリングして5−ヨード−1,2,3−トリアゾール部分の5位のホウ素含有置換基およびトリアゾールの1位の骨格基を含むトリアゾール(III)を形成する。次いで、標的分子(III)は、腫瘍に投与され、中性子を照射されて高エネルギーアルファ粒子を放出して腫瘍細胞に付着することができる。あるいは、当然のことながら、骨格分子は、1−ヨードアルキンと置換され、ホウ素化合物は、生成ホウ素置換プラットホーム分子がその骨格をトリアゾールの4位に結合させ、およびホウ素含有置換基をトリアゾールの1位に結合させるように、アジドに付加することができる。
【0047】
PEG置換基は、血液−脳障壁を越えてホウ素化合物を輸送するのを促進するのに使用することができるが、これは、他のpeg化治療剤でも観察されている。グリオーマに対する中性子治療に有用な例示的なpeg化ボラン化合物は、図11に示すのと同様に調製することができる。一実施形態では、アジド置換マレイミド52は、Na2B12H11SHと反応してボラン置換スクシンイミド54を形成し、これは、次いで、本発明の方法に従ってpeg化1−ヨードアルキンと縮合してボラン置換peg化トリアゾール化合物55を与えることができる。あるいは、1−ヨードアルキン置換マレイミド化合物56は、Na2B12H11SHと反応してボラン置換1−ヨードアルキン57を形成することができ、これは、次いで、peg化アジドと縮合してボラン置換peg化トリアゾール化合物58を与えることができる。
【0048】
さらなる別の代替例では、ボラン部分は、ヨード基を置き換えることによって、本方法によって形成されたpeg化ヨードトリアゾール中に組込むことができる。例えば、やはり図11に示されるように、エポキシ置換フェニルボロン酸59は、Na2B12H11SHと反応してボラン置換フェニルボロン酸60aを形成することができる。場合によっては、60aのヒドロキシル基は、peg化して化合物60bを形成することもできる。ボロン酸60aと、本発明の方法によって形成されたpeg化5−ヨードトリアゾール(61)のPd(0)触媒によるカップリングは、次いで、peg化ボラン化合物62aを与える。あるいは、peg化ボロン酸60bは、ヨードトリアゾール61(所望であれば、これもpeg化することができる。)とカップリングして別の有用な型のpeg化ボラン、すなわち、62bを形成することもできる。
【0049】
蛍光染料部分を導入するためのバイオコンジュゲーションの例は、図12に示される。生体分子骨格63(例えば、抗体などのタンパク質またはF(ab)2フラグメントなど抗体の抗原結合フラグメント)は、アジド置換マレイミド52と縮合してアジド置換骨格64を提供することができる。アジド64と1−ヨードアルキン置換クマリン染料65の縮合は、ヨード−トリアゾール置換クマリン染料にカップリングした生体分子を与える。こうした方式では、ウシ血清アルブミン(BSA、生体分子骨格化合物)はクマリン65とカップリングして蛍光標識BSA66bを形成した。興味のあることに、クマリン65およびその末端アルキン前駆体67は、蛍光を発しないが、本発明に従ってアジドと反応すると、蛍光性である。トリアゾール化合物68および69は、それぞれ、青色または黄色の蛍光を発する。
【0050】
図12に示された新規な化合物65、67、68および69はそれぞれ、タンパク質などの生体分子を蛍光標識するための有用な材料である。したがって、本発明の別の態様は、以下の一般式IVの蛍光性アルキン置換クマリン化合物を提供する
【0051】
【化1】
[式中、R1は、H、アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチルなどのC1−C2Oアルキル)、アリールアルキル(例えば、ベンジル、2−フェニルエチル、ナフチルメチルなどのC6−C14−アリール置換C1−C20アルキル)、アリール(例えば、フェニル、ナフチルなどのC6−C14−アリール)、アルキルアリール(例えば、トリル、キシリル、ノニルフェニル、2−メチルナフチルなどのC1−C20アルキル置換C6−C14−アリール)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル、フェナントリル、オキサゾリル、チアゾリル、アゾリル、フラニル、チオフェンイル、トリアゾリルなどのN、O、および/またはS複素環式芳香族基)であってよく、アルコール、酸、チオ酸、ヒドロキサム酸、尿素、アミン、チオール、スルフィド、ジスルフィド、スルホン酸、スルホキシド、スルホン、スルホンアミド、スルフェート、エステル、カルボネート、エーテル、ハロゲン化物、ホスフェート、ホスフィド、ホスホネート、ホスホンアミドなどの1つまたは複数の置換基を場合によって含む複素環部分(例えば、環式アミン、アミド、尿素、イミド、スルフィド、ジスルフィド、スルホキシド、スルホン、エーテル、エステル、カルボネートなどのN、Oおよび/またはS複素環式基)であってよく、R2は、IまたはR1であってよい。]。
【0052】
R2がHである場合、末端アセチレン基は、CuAACカップリング反応を介してアジド置換生体分子骨格にカップリングすることができる。R2がIである場合、1−ヨードアルキン基は、本発明の方法を介してアジド置換生体分子骨格にカップリングすることができる。R2がHまたI以外である場合、内部アルキン基は、ルテニウム触媒によるアジド−アルキンカップリング(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれているWO2007/041451を参照されたい。)を介してアジド置換生体分子骨格にカップリングすることができる。
【0053】
さらなる別の態様では、本発明は、以下の一般式Vの蛍光性トリアゾール置換クマリン化合物を提供する
【0054】
【化2】
[式中、R1は、H、アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチルなどのC1−C2Oアルキル)、アリールアルキル(例えば、ベンジル、2−フェニルエチル、ナフチルメチルなどのC6−C14−アリール置換C1−C20アルキル)、アリール(例えば、フェニル、ナフチルなどのC6−C14−アリール)、アルキルアリール(例えば、トリル、キシリル、ノニルフェニル、2−メチルナフチルなどのC1−C20アルキル置換C6−C14アリール)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル、フェナントリル、オキサゾリル、チアゾリル、アゾリル、フラニル、チオフェンイル、トリアゾリルなどのN、O、および/またはS複素環式芳香族基)であってよく、アルコール、酸、チオ酸、ヒドロキサム酸、尿素、アミン、チオール、スルフィド、ジスルフィド、スルホン酸、スルホキシド、スルホン、スルホンアミド、スルフェート、エステル、カルボネート、エーテル、ハロゲン化物、ホスフェート、ホスフィド、ホスホネート、ホスホンアミドなどの1つまたは複数の置換基を場合によって含む複素環部分(例えば、環式アミン、アミド、尿素、イミド、スルフィド、ジスルフィド、スルホキシド、スルホン、エーテル、エステル、カルボネートなどのN、Oおよび/またはS複素環式基)であってよく、R4は、生体分子(例えば、タンパク質、炭水化物、脂質など)またはR3であってよく、R5は、IまたはR3であってよい。]。生体分子は、例えば、タンパク質、炭水化物、アミノ酸、脂質、ならびにヌクレオチド、ヌクレオシドおよび核酸から選択することができる。
【0055】
場合によっては、本発明の方法で利用される2−置換1−ハロアルキンは、別の1−ハロ、末端または内部アルキン置換基を含むことができる。かかる場合、ハロアルキン部分は、本発明の方法に従ってアジドと反応し、末端アルキン置換基は、CuAAC反応を介してアジドと反応し、内部アルキンは、ルテニウム触媒によるアジド−アルキンカップリング反応に従ってアジドと反応して段階的にビス−トリアゾールを合成することができる。アルキンとアジドの反応の順序は、一部の場合、用いる特定の反応条件によって制御することができる。図13は、かかる段階的合成の例の略図を提供し、図14は、特定の例を提供する。図13では、末端エチン置換基および1−ヨードエチン置換基を有する化合物(頂部)は、CuAAC反応、次いで、本発明の銅触媒によるカップリングを介して(左のブランチ)、または本発明の銅触媒によるカップリング、次いで、CuAAC反応を介して(右のブランチ)、順次反応してビス−トリアゾール化合物(底部)を与える。
【0056】
図14では、ビス−アルキン70は、図13のように順次反応して中間体71または72を形成し、究極的にビス−トリアゾール73を提供するが、これは、2つの異なる置換を受けたトリアゾール部分を含む。
【0057】
図15は、ビス−アジド(75、B)とともにビス−1−ヨードアルキン(74、A)を利用してA+B型のポリトリアゾール76を与えるポリマー合成の追加の例を提供する。ポリトリアゾール76は、フェニルボロン酸とPd(0)カップリングすることによってさらに官能化してフェニルトリアゾール誘導体77を形成することができ、また1,4−ビス−エチニルベンゼンとPdアセテート媒介によるカップリングをすることによってさらに官能化してポリエチニル化誘導体78を形成することができる。
【0058】
本方法の追加の詳細は、以下に例示されるが、本発明の方法において使用される、または本発明の方法によって調製される、試薬、出発物質および/または生成物の詳細な合成手順およびキャラクタリゼーションを参照するものとする。
【実施例】
【0059】
一般方法。1Hおよび13C NMRスペクトルをBruker DRX−500、Bruker AMX−400装置で記録し、化学シフト(δ)を内部標準としての残留CHCl3、アセトンまたはDMSOに対してppmで表す。プロトン磁気共鳴(1H NMR)スペクトルを600または500MHzで記録した。炭素磁気共鳴(13C NMR)スペクトルを150または125MHzで記録した。別段の指示がない限り、NMRの取得は295Kで実施した。略語は、s、一重項;d、二重項;t、三重項;q、四重項;p、五重項;br s、ブロードな一重項である。希釈しない純粋試料としての赤外スペクトルをSmart MIRacle(商標)HATR付属装置を備えたThermoNicolet Avatar 370フーリエ変換赤外分光光度計を使用することによって記録した。融点(mp)をBarnstead Electrothermalデジタル融点装置(モデルIA9300)を使用することによって決定し、補正を行わなかった。GCMSデータを電子衝撃(EI+)モードで操作されるAgilent 5975 C Inert MSDシステムを備えたAgilent 7890A GCシステムで記録した。HPLCをAgilent 1100 SL質量分光光度計(エレクトロスプレー式イオン化、ES)を備えたAgilent 1 lOOLC/MSDで実施し、H2O中0.1%トリフルオロ酢酸およびCH3CN中0.05%トリフルオロ酢酸で溶離した。高分解能質量分光光度法をAgilent ES−TOF装置で実施した。すべてのクロマトグラフィーを、指示された溶媒混合物を用いてMerckシリカゲル(40−63μM)を使用することによって実施した。すべての出発材料を、Aldrich、Acros、Fisher、LancasterまたはTCI化学会社から購入し、そのまま使用した。溶媒をFisherまたはAcros化学会社から購入し、そのまま使用した(さらなる乾燥操作、蒸留操作または特殊ハンドリング操作をまったく実施しなかった。)。
【0060】
N−ヨードモルホリン−ヨウ化水素の合成:Koyama,M.;Ohtani,N.;Kai,F.;Moriguchi,I.;Inouye,S.J.Med.Chem.1987、30、552−562を応用した手順。ヨウ素(25.40g、0.10mol)をMeOH(400ml)に溶かした溶液をモルホリン(8.71ml、0.10mol)を滴下して処理した。添加すると、溶液は、暗紫色−茶色から明橙色に速やかに変化し、橙色微細沈殿が生成した。溶液を約45分間攪拌し、次いで、固体をろ過によって単離した。固体を丸底フラスコに移し、真空下で乾燥した。この材料がいったん自由流動コンシステンシー状態に到達したら、プラスチック瓶に入れ、冷蔵庫中に保存した。この手順は、結晶性の橙色粉末としてN−ヨードモルホリン−ヨウ化水素(30.34g、0.09mol、89%)を与え、これをさらなる精製またはキャラクタリゼーションなしで使用した。
【0061】
1−ヨードアルキン−1−ヨード−フェニルアセチレン(1)を合成するための一般手順:フェニルアセチレン(8.17g、80.00mmol)をTHF(200mL)中に溶解し、CuI(0.76g、4.00mmol)およびN−ヨードモルホリン(30.00g、88.00mmol)で処理した。反応混合物を室温で45分間攪拌すると、白色微細沈殿が生成した。懸濁液を中性アルミナパッド(400mL)上に注ぎ、ろ液を真空下で集めた。固相をDCM(4×10OmL)で洗浄し、合わせた有機画分をプールしておき、蒸発で濃縮し、黄色油として1(16.61g、72.82mmol、91%)を得た。この材料をさらなる精製なしで使用した。
【0062】
【化3】
【0063】
1−ヨード−フェニルアセチレン(1)。黄色油;IR(υ[cm−1])3054、2171、1596、1487、1442、1069、1025、915、751、687;1H NMR(500MHz,CDCl3)δ=7.45−7.40(m,J=9.1,3.9,2H)、7.33−7.27(m,3H);13C NMR(126MHz,CDCl3)δ=132.5、129.0、128.4、123.6、94.4、6.4。
【0064】
【化4】
【0065】
4−ヨード−2−メチルブタ−3−イン−2−オール(24)。一般手順を使用することによって2−メチルブタ−3−イン−2−オールから合成された。4.3g、20.5mmol、87%;清澄油;IR(υ[cm−1])3359、2981、2933、2179、1697、1363、1219、1161、956、903、770;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=1.50(s,6H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=99.3、67.0、31.5、−0.4;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+Na]+ C5H7INaOに対する計算値、232.9434;測定値232.9443。
【0066】
【化5】
【0067】
1−(ヨードエチニル)−4−メチルベンゼン(25)。一般手順を使用することによって1−エチニル−4−メチルベンゼンから合成された。19.7g、81.0mmol、89%;低融点固体;IR(υ[cm−1])3027、2164、1904、1505、1446、1178、1116、1019、706;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.32(d,J=8.1,2H)、7.11(d,J=8.0,2H)、2.34(s,3H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=139.2、132.4、129.2、120.5、94.4、21.7、5.2。
【0068】
【化6】
【0069】
(S)−エチル−2−(3−ヒドロキシ−1,5−ジヨードペンタ−1,4−ジイン−3−イル)ピロリジン−1−カルボキシレート(26)。一般手順を使用することによって(S)−エチル−2−(3−ヒドロキシペンタ−1,4−ジイン−3−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートから合成された。1.8g、3.8mmol、84%;白色粉末;mp=124−129℃(分解);IR(υ[cm−1])2975、2884、2182、1643、1422、1382、1348、1202、1127、1028、786;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.28(s,1H)、4.24−4.12(m,3H)、3.65(br s,1H)、3.42−3.32(m,1H)、2.24(dt,J=14.5,7.1,1H)、2.20−2.09(m,1H)、2.09−2.00(m,1H)、1.80−1.69(m,1H)、1.28(t,J=7.1,3H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=159.2、93.0、92.5、72.0、68.1、62.9、48.7、30.1、24.0、14.8、3.6、2.8;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+Na]+ C12H13I2NNaO3に対する計算値、495.8877;実測値495.8870。
【0070】
【化7】
【0071】
トリス(3−ヨードプロプ−2−イニル)アミン(27)。一般手順を使用することによってトリプロパルギルアミンから合成された。12.9g、24.0mmol、79%;白色粉末;警告:170℃を超えて加熱すると、試料は爆発する、この化合物を取り扱う時は注意すること;IR(υ[cm−1])2823、2194、1434、1340、1326、1121、1092、1000、970、943;1H NMR(600MHz,DMSO)δ=3.46(s,6H);13C NMR(151MHz,DMSO)δ=88.1、43.2、10.1;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C9H7I3Nに対する計算値、509.7707;実測値509.7708。
【0072】
【化8】
【0073】
2−フルオロ−4−(3−ヨードプロプ−2−イニルオキシ)−6−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−1,3,5−トリアジン。2,4−ジフルオロ−6−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−1,3,5−トリアジン(0.75g、3.82mmol)をアセトニトリル(10ml)に溶解し、3−ヨードプロプ−2−イン−1−オール3(0.626g、3.44mmol)およびDIPEA(0.666ml、3.82mmol)で順次処理した。試料を室温で25分間攪拌すると、沈殿が生成し、それをろ過によって単離した。固体をヘキサンで洗浄し、真空下で乾燥して、白色固体として26を得た、1.31g、3.66mmol、96%;mp=155−158℃;IR(υ[cm−1])3119、2983、2191、1593、1525、1433、1096、986、857、755;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.45(dd,J=3.9,1.5,1H)、6.91(s,1H)、6.22(dd,J=3.8,2.5,1H)、5.18(s,2H)、4.09(s,3H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=171.3(dd,J=328.6,15.5)、171.3、169.8、133.1、127.9、121.6、109.9、87.6、57.5、38.9、6.1;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C11H9FIN4に対する計算値、358.9800;実測値358.9796。
【0074】
【化9】
【0075】
4−(3−ヨードプロプ−2−イニルオキシ)−3−メトキシベンズアルデヒド。一般手順を使用することによって、3−メトキシ−4−(プロプ−2−イニルオキシ)ベンズアルデヒドから合成された、1.43g、4.52mmol、86%;黄色固体;mp=121−127℃;IR(υ[cm−1])3003、2849、2206、1686、1584、1506、1280、1157、1027、982、803、733、663;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=9.85(s,1H)、7.44(dd,J=8.2,1.5,1H)、7.40(s,1H)、7.09(d,J=8.2,1H)、4.96(s,2H)、3.92(d,J=14.3,3H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=191.1、152.3、150.1、131.1、126.6、112.6、109.6、88.1、58.2、56.2、6.8;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C11H10IO3に対する計算値、316.9669;実測値316.9677。
【0076】
【化10】
【0077】
5−(4,5−ジブロモ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)−1−(3−ヨードプロプ−2−イニル)ピロリジン−2−オン。一般的手順を使用することによって、5−(4,5−ジブロモ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)−1−(プロプ−2−イニル)ピロリジン−2−オン5から合成された、1.21g、2.55mmol、89%;ろう状固体;IR(υ[cm−1])2980、2191、1729、1375、1241、1048、824、685;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=6.10(d,J=7.6,1H)、4.36(d,J=17.8,1H)、3.91(d,J=17.8,1H)、2.92−2.84(m,1H)、2.65−2.58(m,1H)、2.54−2.39(m,2H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=174.29、126.4、86.7、73.1、32.4、28.6、25.5、1.0。;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C9H8Br2IN4Oに対する計算値、472.8104;実測値472.8095。
【0078】
【化11】
【0079】
3−ヨード−N,N−ジメチルプロパルギルアミン。一般的手順を使用することによって、N,N−ジメチルプロパルギルアミンから合成された、3.77g、18.04mmol、75%;白色固体;mp=135℃(分解);IR(υ[cm−1])2975、2944、2876、2787、2162、1471、1326、1040、958、809;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=3.40(s,2H)、2.27(s,6H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=89.0、49.9、44.3、0.01;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C5H9INに対する計算値、209.9774;実測値209.9781。
【0080】
【化12】
【0081】
3−(ヨードエチニル)チオフェン。一般的手順を使用することによって、3−エチリルチオフェンから合成された、0.985g、4.21mmol、91%;茶色油;IR(υ[cm−1])3100、2174、1570、1355、1222、1160、1078、945、767、688;1H NMR(500MHz,CDCl3)δ=7.56−7.55(m,1H)、7.34(dd,J=5.0,2.9,1H)、7.21−7.18(m,1H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=130.5、130.2、125.4、122.7、89.4、6.2。
【0082】
【化13】
【0083】
(ヨードエチニル)シクロプロパン。一般的手順を使用することによって、エチニルシクロプロパンから合成された、2.39g、12.45mmol、82%;黄色油;IR(υ[cm−1])3091、3009、2974、2186、1681、1615、1448、1377、1220、1053、1026、962、773;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=1.39−1.31(m,1H)、0.79−0.68(m,4H)。;13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=97.4、8.4、1.8、−11.5。
【0084】
CuI−TEA−5−ヨード−4−フェニル−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール(3)を使用することによって5−ヨードトリアゾールを合成するための一般的手順:化合物1(0.23g、1.00mmol)および2(0.20g、1.00mmol)をTHF(5mL)中に溶解した。その溶液をCuI(9.52mg、0.05mmol)およびTEA(0.28ml、2.00mmol)で順次処理し、次いで、室温で6時間攪拌放置した。次いで10%NH4OH溶液1mLを添加することによって、反応を停止させた。蒸発によって揮発性成分を除去し、生成残渣を水およびジエチルエーテル中に懸濁させた。激しく攪拌すると沈殿が生成し、これをろ過によって単離し、白色微細粉末として3(0.39g、0.90mmol、90%)を得た。
【0085】
【化14】
【0086】
5−ヨード−4−フェニル−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール(3).mp=193−195℃(分解);IR(υ[cm−1])3132、1329、1165、1118、1076、767、697;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.96−7.90(m,2H)、7.62(s,1H)、7.59(d,J=7.5,1H)、7.51−7.42(m,4H)、7.41−7.37(m,1H)、5.71(s,2H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=150.6、135.5、131.6(q,J=32.7)、131.4、130.2、129.8、129.0、128.8、127.6、125.7(q,J=3.7)、125.0(q,J=3.8)、123.9(q,J=272.4)、76.6、54.0;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C16H12F3IN3に対する計算値、430.0023;実測値430.0026。
【0087】
【化15】
【0088】
4−フェニル−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール(4)。当初の触媒スクリーニングからの副生物として単離された;mp=126−127℃;IR(υ[cm−1])3073、1323、1153、1075、773、699;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.81−7.76(m,2H)、7.70(s,1H)、7.61(d,J=7.7,1H)、7.57(s,1H)、7.50(t,J=7.7,1H)、7.46(d,J=7.8,1H)、7.39(t,J=7.6,2H)、7.34−7.29(m,1H)、5.62(s,2H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=148.8、135.9、131.8(q,J=32.5)、131.5、130.4、130.0、129.1、128.6、126.0、125.9(q,J=3.8)、124.9(q,J=3.7)、123.9(q,J=272.8)、119.7、53.8;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C16H13F3N3に対する計算値、304.1056;実測値304.1059。
【0089】
【化16】
【0090】
4−フェニル−5−(フェニルエチニル)−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール(5)。当初の触媒スクリーニングからの副生物として単離された;mp=115−118℃;IR(υ[cm−1])2963、2219、1504、1453、1328、1161、1071、773、690;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=8.17(d,J=7.4,2H)、7.71(s,1H)、7.59(d,J=7.7,1H)、7.55(d,J=7.7,1H)、7.51−7.34(m,9H)、5.71(s,2H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=148.5、135.8、131.8、131.7、131.5(q,J=32.5)、130.3、130.1、129.8、129.0、128.9、128.7(q,J=165.0)、126.4、125.7(q,J=3.6)、125.2(q,J=3.7)、124.9、123.1、121.3、117.4、103.0、75.4、52.6、1.2;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C24H17F3N3に対する計算値、404.1369;実測値404.1372。
【0091】
【化17】
【0092】
5−ヨード−4−フェニル−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール(3)に対する化学位置の割り当て:ヨードトリアゾール3を還元して対応する5−プロト−トリアゾール4(経路A)を得た。平行して、確立されているCuAACプロトコル(経路B)を使用することによって5−プロト−トリアゾール4の正確な試料を合成した。両方の経路を介して得られた試料の物理的および分光学的な特徴を比較し、同一であることを知った。
【0093】
経路A:Pd(OAc)2(0.449g、2.000mmol)を、MeOH(10ml)に3(0.858g、2mmol)およびTEA(0.281ml、2.000mmol)を溶かした溶液に添加した。試料を55℃まで4時間加温し、LC−MSによって追跡した。出発材料を消費してしまったら、試料を冷却し、真空下で揮発性成分を除去した。次いで、粗残渣をカラムクロマトグラフィー(9:1 ヘキサン:EtOAc−4:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製して白色固体として4(0.59g、1.945mmol、収率97%)を得た。
【0094】
経路B:フェニルアセチレン(0.409g、4mmol)および3−(トリフルオロメチル)ベンジルアジド(0.805g、4.00mmol)を4:1 t−BuOH/H2O(25ml)中に溶かし、次いで、CuSO4(0.200ml、0.200mmol)の1M水溶液および固体アスコルビン酸ナトリウム(0.079g、0.400mmol)で順次処理した。試料を室温で4時間攪拌し、その間に沈殿が生成した。試料を10%NH4OH水溶液10mLで急冷し、固体をろ過によって単離した。固体を水で洗浄し、真空下で乾燥し、白色固体として4(1.112g、3.67mmol、収率92%)を得た。
【0095】
【化18】
【0096】
1−(2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)エチル)−5−ヨード−4−フェニル−1H−1,2,3−トリアゾール(6)。一般的手順を使用することによって、1−ヨード−フェニルアセチレンおよび2−(2−アジドエチル)−1,3−ジオキソランから合成された、3.64g、9.80mmol、98%;白色粉末;mp=118−121℃(分解);IR(υ[cm−1])3052、2885、1446、1400、1222、1133、1048、900、769、714;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.94−7.88(m,2H)、7.44(t,J=7.6,2H)、7.38(t,J=7.4,1H)、5.01(t,J=4.2,1H)、4.61−4.55(m,2H)、4.05−3.96(m,2H)、3.93−3.84(m,2H)、2.40−2.31(m,2H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=150.0、130.5、128.8、128.7、127.7、101.7、76.6、65.4、46.3、33.8;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C13H15IN3Oに対する計算値、372.0203;実測値372.0203。
【0097】
【化19】
【0098】
1−(4−クロロ−1,3,3−トリメチル−2−チアビシクロ[2.2.2]オクタン−7−イル)−5−ヨード−4−フェニル−1H−1,2,3−トリアゾール(7)。一般的手順を使用することによって、1−ヨード−フェニルアセチレンおよび7−アジド−4−クロロ−1,3,3−トリメチル−2−チアビシクロ[2.2.2]オクタンから合成された、0.153g、0.323mmol、73%;mp=157−159℃(分解);IR(υ[cm−1])2979、2103、1447、1387、1326、1240、1160、985、772、712;1H NMR(CDCl3,600MHz,)δ 7.94−7.92(m,2H)、7.48−7.46(m,2H)、7.42−7.39(m,1H)、5.25(ddd,J=11.2,4.8,2.1,1H)、3.11(ddd,J=11.7,11.2,3.2,1H)、2.73(dd,J=12.7,5.3,1H)、2.75−2.60(m,1H)、2.45−2.39(m,1H)、1.93−1.88(m,1H)、1.82(s,3H)、1.77(s,3H)、1.52(s,3H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=149.6、130.4、128.9、128.8、127.9、79.4、76.9、72.4、72.4、68.8、65.7、42.5、37.1、36.4、30.9、30.5、19.8;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C18H22ClIN3Sに対する計算値、474.0262;実測値474.0266。
【0099】
【化20】
【0100】
3−(5−ヨード−4−フェニル−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)−1−フェニルピロリジン−2,5−ジオン(8)。一般的手順を使用することによって、1−ヨード−フェニルアセチレンおよび3−アジド−1−フェニルピロリジン−2,5−ジオンから合成された、0.443g、0.997mmol、76%;mp=164−169℃(分解);IR(υ[cm−1])2933、1792、1719、1497、1379、1149、786、694;1H NMR(CDCl3,600MHz,)δ 7.93−7.92(m,2H)、7.52−7.47(m,4H)、7.45−7.42(m,2H)、7.39−7.37(m,2H)、5.91(dd,J=9.4,5.8,1H)、3.71(dd,J=18.3,5.8,1H)、3.58(dd,J=18.3,9.8,1H);13C NMR(CDCl3,150MHz)δ 172.4、170.8、151.6、131.9、130.4、130.25、130.1、129.9、129.5、128.5、127.2、78.7、58.4、36.3;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C18H14IN4O2に対する計算値、445.0156;実測値445.0159。
【0101】
【化21】
【0102】
N−シクロプロピル−2−(5−ヨード−4−フェニル−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)アセトアミド(9)。一般的手順を使用することによって、1−ヨード−フェニルアセチレンおよび2−アジド−N−シクロプロピルアセトアミドから合成された、0.364g、0.989mmol、90%;mp=197−198℃(分解);IR(υ[cm−1])3287、3071、2971、1661、1557、1407、1269、1129、985、952、769、686;1H NMR(DMSO−d6,600MHz,)δ 8.53(d,J=3.6,1H)、7.88−7.87(m,2H)、7.50−7.48(m,2H)、7.41−7.39(m,1H)、5.09(s,2H)、2.68−2.63(m,1H)、0.64(dt,J=7.0,5.0,2H)、0.45(dt,J=6.9,4.3,2H);13C NMR(DMSO−d6,150MHz)δ 167.1、149.7、131.9、130.0、129.6、128.1、84.1、53.8、23.7、6.9;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C13H14IN4Oに対する計算値、369.0207;実測値369.0209。
【0103】
【化22】
【0104】
1−アダマンチル−5−ヨード−4−フェニル−1H−1,2,3−トリアゾール(10)。一般的手順を使用することによって、1−ヨード−フェニルアセチレンおよび1−アジド−アダマンタンから合成された;0.278g、0.686mmol、46%、mp=224−225℃(分解);IR(υ[cm−1])2912、2849、1466、1444、1317、1247、1153、1018、983、767、692;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.78−7.74(m,2H)、7.43(t,J=7.5,2H)、7.38(t,J=7.4,1H)、2.59(d,J=2.5,6H)、2.29(s,3H)、1.83−1.74(m,6H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=152.0、130.9、129.0、128.6、128.5、69.8、64.4、41.6、36.0、30.0;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C18H21IN3に対する計算値、406.0775;実測値406.0771。
【0105】
【化23】
【0106】
trans−2−(5−ヨード−4−フェニル−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)−1,2−ジフェニルエタノール(11)。一般的手順を使用することによって、1−ヨード−フェニルアセチレンおよびtrans−2−アジド−1,2−ジフェニルエタノールから合成された;0.196g、0.419mmol、96%;mp=152−154℃(分解);IR(υ[cm−1])3296、2971、1493、1380、1325、1159、1105、950、770、744;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.83−7.79(m,2H)、7.41(t,J=7.6,2H)、7.37−7.34(m,1H)、7.33−7.22(m,10H)、5.86(dd,J=5.6,2.4,1H)、5.66(d,J=5.7,1H)、3.75(br s,1H,OH);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=149.4、139.3、134.1、130.1、129.2、129.0、128.9、128.7、128.6、128.5、128.5、127.7、126.9、78.5、75.6、71.4;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C22H19IN3Oに対する計算値、468.0567;実測値468.0571。
【0107】
【化24】
【0108】
tert−ブチル5−ヨード−4−フェニル−1H−1,2,3−トリアゾール−1−カルボキシレート(12)。一般的手順を使用することによって、1−ヨード−フェニルアセチレンおよびtert−ブチルカルバモイルアジドから合成された、試料をカラムクロマトグラフィーによって精製した(4:1 ヘキサン:EtOAc);0.208g、0.560mmol、77%;mp=87−90℃;IR(υ[cm−1])2984、1774、1468、1394、1342、1287、1142、959、847、752、693;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.95−7.91(m,2H)、7.48−7.43(m,3H)、1.69(s,9H);13C NMR(150MHz,CDCl3)δ=153.0、145.0、130.1、128.8、128.5、128.5、96.3、88.0、28。;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+Na]+ C13H14IN3NaO2に対する計算値、394.0023;実測値394.0024。
【0109】
【化25】
【0110】
2−(ビス(5−ヨード−4−フェニル−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)メチル)イミダゾ[1,2−α]ピリジン(13)。一般的手順を使用することによって、1−ヨード−フェニルアセチレンおよび2−(ジアジドメチル)イミダゾ[1,2−α]ピリジンから合成された;0.618g、0.922mmol、84%;mp=183−185℃(分解);IR(υ[cm−1])3080、1500、1474、1444、1330、1128、982、809、754、739、693;1H NMR(DMSO−d6,600MHz,)δ 8.60−8.59(m,1H)、8.46(br s,1H)、8.00(br s,1H)、7.92−7.90(m,4H)、7.60(br s,1H)、7.53−7.50(m,4H)、7.45−7.43(m,2H)、7.35−7.32(m,1H)、6.99−6.96(m,1H);13C NMR(DMSO−d6,150MHz)δ 150.4、131.2、130.1、130.05、128.9、128.4、127.4、118.4、114.3、84.0、73.4;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C24H17I2N8に対する計算値、670.9660;実測値670.9657。
【0111】
【化26】
【0112】
2−フルオロ−4−((5−ヨード−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メトキシ)−6−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−1,3,5−トリアジン(14)。一般的手順を使用することによって、2−フルオロ−4−(3−ヨードプロプ−2−イニルオキシ)−6−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−1,3,5−トリアジンおよび3−トリフルオロメチル−ベンジルアジドから合成された;0.311g、0.556mmol、80%;mp=185−187℃(分解);IR(υ[cm−1])3130、3059、1595、1555、1418、1357、1173、1104、1056、911、803、756;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.61−7.58(m,2H)、7.50−7.41(m,3H)、6.90(s,1H)、6.21(dd,J=3.9,2.5,1H)、5.64(s,2H)、5.56(s,2H)、4.09(s,3H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=171.5(dd,J=361.1,15.4)、171.3、169.8、135.0、133.0、131.6(q,J=32.8)、131.5、129.9、125.9(q,J=3.6)、125.1(q,J=3.7)、123.9(q,J=272.4)、121.5、81.6、61.7、54.0、39.0;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C18H15F4IN7Oに対する計算値、560.0313;実測値560.0311。
【0113】
【化27】
【0114】
2−(5−ヨード−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)プロパン−2−オール(15)。一般的手順を使用することによって、4−ヨード−2−メチルブタ−3−イン−2−オールおよび3−トリフルオロメチル−ベンジルアジドから合成された;3.82g、9.30mmol、93%;mp=77−80℃;IR(υ[cm−1])3385、2981、2938、1326、1170、1120、1074、763、699;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.58−7.57(m,2H)、7.48−7.45(m,1H)、7.42−7.41(m,1H)、5.62(s,2H)、1.66(s,6H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=156.4、135.4、131.5(q,J=33.2)、131.4、129.8、125.7(q,J=3.7)、125.1(q,J=3.8)、123.9(q,J=272.4)、74.2、69.7、53.8、30.1;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C13H14F3IN3Oに対する計算値、412.0128;実測値412.0126。
【0115】
【化28】
【0116】
5−ヨード−4−(チオフェン−3−イル)−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール(16)。一般的手順を使用することによって、3−(ヨードエチニル)チオフェンおよび3−トリフルオロメチル−ベンジルアジドから合成された;0.994g、2.284mmol、99%;mp=153−158℃(分解);IR(υ[cm−1])3121、1326、1194、1163、1096、1075、853、792、702;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.97−7.93(m,1H)、7.75(d,J=5.0,1H)、7.59(d,J=7.7,2H)、7.58(s,1H)、7.47(t,J=7.7,1H)、7.45−7.38(m,2H)、5.69(s,2H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=147.5、135.4、131.6(q,J=32.7)、131.3、131.0、129.8、126.7、126.2、125.7(q,J=3.7)、124.9(q,J=3.8)、123.9(q,J=272.4)、123.5、76.0、53.9;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C14H10F3IN3Sに対する計算値、435.9587;実測値435.9586。
【0117】
【化29】
【0118】
4−((5−ヨード−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メトキシ)−3−メトキシベンズアルデヒド(17)。一般的手順を使用することによって、4−(3−ヨードプロプ−2−イニルオキシ)−3−メトキシベンズアルデヒドおよび3−トリフルオロメチル−ベンジルアジドから合成された;0.398g、0.769mmol、97%;mp=130−134℃(分解);IR(υ[cm−1])3123、1702、1689、1588、1506、1329、1262、1133、1123、994、792;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=9.83(s,1H)、7.59(d,J=7.6,1H)、7.56(s,1H)、7.47(t,J=7.7,1H)、7.41(dd,J=15.8,6.7,2H)、7.39(s,1H)、7.21(d,J=8.1,1H)、5.62(s,2H)、5.27(s,2H)、3.88(s,3H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=191.2、153.1、150.5、147.5、135.0、131.6、131.6(q,J=32.7)、131.1、129.9、126.7、125.9(q,J=3.6)、125.1(q,J=3.7)、123.9(q,J=272.4)、113.5、109.7、81.2、62.9、56.3、54.0;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C19H16F3IN3O3に対する計算値、518.0183;実測値518.0186。
【0119】
【化30】
【0120】
1−(5−ヨード−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−N,N−ジメチルメタンアミン(18)。一般的手順を使用することによって、3−ヨード−N,N−ジメチルプロパルギルアミンおよび3−トリフルオロメチル−ベンジルアジドから合成された、試料をカラムクロマトグラフィーによって精製した(30:1 CHCl3:MeOH);0.391g、0.953mmol、80%;mp=117−119℃(分解);IR(υ[cm−1])2973、2827、1455、1326、1164、1118、1020、757;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.57(d,J=7.7,1H)、7.52(s,1H)、7.45(t,J=7.7,1H)、7.39(d,J=7.7,1H)、5.63(s,2H)、3.54(s,2H)、2.29(s,6H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=149.1、135.5、131.5(q,J=32.6)、131.3、129.9、125.7(q,J=3.7)、124.9(q,J=3.7)、123.9(q,J=272.5)、81.0、53.9(d,J=37.0)、45.3、30.3;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C13H15F3IN4に対する計算値、411.0288;実測値411.0287。
【0121】
【化31】
【0122】
4−シクロプロピル−5−ヨード−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール(19)。一般的手順を使用することによって、(ヨードエチニル)シクロプロパンおよび3−トリフルオロメチル−ベンジルアジドから合成された;0.589g、1.498mmol、96%;mp=129−134℃(分解);IR(υ[cm−1])3087、3011、1453、1325、1165、1122、1074、777、701;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.57−7.56(m,2H)、7.45(t,J=7.7,1H)、7.39(d,J=7.7,1H)、5.57(s,2H)、1.78−1.72(m,1H)、1.06−1.01(m,2H)、0.99−0.93(m,2H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=153.8、135.6、131.7(q,J=32.6)、131.4、129.7、125.6(q,J=3.7)、125.0(q,J=3.9)、124.0(q,J=272.3)、77.9、53.7、7.8、7.5;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+Na]+ C13H11F3IN3Naに対する計算値、415.9847;実測値415.9847。
【0123】
【化32】
【0124】
5−(4,5−ジブロモ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)−1−((5−ヨード−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル)ピロリジン−2−オン(20)。一般的手順を使用することによって、5−(4,5−ジブロモ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)−1−(3−ヨードプロプ−2−イニル)ピロリジン−2−オンおよび3−トリフルオロメチル−ベンジルアジドから合成された、0.663g、0.982mmol、93%;mp=105−110℃(分解);IR(υ[cm−1])3002、2104、1696、1415、1327、1166、1123、1074、921、829、753、702;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.59(d,J=7.8,1H)、7.56(s,1H)、7.48(t,J=7.7,1H)、7.40(d,J=7.7,1H)、6.16(d,J=7.6,1H)、5.59(d,J=3.3,2H)、4.88(d,J=15.7,1H)、3.92(d,J=15.7,1H)、2.95−2.86(m,1H)、2.65−2.56(m,1H)、2.49(dd,J=17.1,9.9,1H)、2.43−2.36(m,1H); 13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=175.0、147.0、135.1、131.6(m)、131.5、129.9、126.1、125.8(m)、125.1(m)、123.9(m)、79.6、78.3、53.9、36.4、28.6、25.6;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C17H14Br2F3IN7Oに対する計算値、673.8618;実測値673.8613。
【0125】
【化33】
【0126】
トリス((5−ヨード−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル)アミン(21)。一般的手順を使用することによって、トリス(3−ヨードプロプ−2−イニル)アミンおよび3−トリフルオロメチル−ベンジルアジドから合成された、試料をMeCNと一緒に粉砕した;0.391g、0.352mmol、81%;mp=171−173℃(分解);IR(υ[cm−1])3072、1445、1328、1162、1123、1095、756;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.62(s,3H)、7.59(d,J=7.7,3H)、7.51(d,J=7.6,3H)、7.44(t,J=7.7,3H)、5.48(s,6H)、3.64(s,6H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=149.4、135.4、132.3、131.6(q,J=32.7)、129.8、125.9(q,J=3.6)、125.8(q,J=3.5)、123.8(q,J=272.5)、81.2、53.6、48.2;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C33H25F9I3N10に対する計算値、1112.9249;実測値1112.9249。
【0127】
【化34】
【0128】
(S)−エチル−2−(ヒドロキシビス(5−ヨード−1−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレート(22)。一般的手順を使用することによって、(S)−エチル 2−(3−ヒドロキシ−1,5−ジヨードペンタ−1,4−ジイン−3−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートおよび3−トリフルオロメチル−ベンジルアジドから合成された、試料をカラムクロマトグラフィーによって精製した(2:1 ヘキサン:EtOAc);0.408g、0.466mmol、73%;mp=185−189℃(分解);IR(υ[cm−1])3537、3075、2978、1675、1453、1328、1159、1111、1077、701;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.55(d,J=5.4,3H)、7.50−7.36(m,5H)、6.60(br s,1H,OH)、5.74−5.50(m,4H)、5.21(dd,J=8.5,4.0,1H)、4.07(br s,2H)、3.46(br s,1H)、2.99(br s,1H)、2.38(br s,1H)、2.35−2.23(m,J=8.3,1H)、1.61(br s,1H)、1.19(br s,3H)、1.13(br s,1H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=159.1、153.2、150.4、133.1(m)、131.5(m)、129.7、129.6、125.6(m)、125.9(m)、124.6(m,J=3.7)、124.2(m)、79.8、79.7、75.6、65.2、62.2、53.8、53.7、48.2、29.0、23.9、15.0;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C28H26F6I2N7O3に対する計算値、876.0085;実測値876.0083。
【0129】
【化35】
【0130】
1−((2R,4S,5S)−4−(4−(3−(5−((1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル)−5−(2,4−ジフルオロフェニル)オキサゾリジン−3−イル)フェニル)−5−ヨード−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−2−イル)−5−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(T.O.C.グラフィック)
一般的手順を使用することによって、5−((1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル)−5−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(3−(ヨードエチニル)フェニル)オキサゾリジン(0.90g,1.83mmol)およびアジドチミジン(0.49、1.83mmol)から合成された、試料をBiotage KP−NH官能化シリカゲル上でカラムクロマトグラフィーによって精製した(EtOAc−10:1 EtOAc:MeOH)、ジアステレオマーの1:1混合物として単離した;1.18g、1.55mmol、85%;mp=201−210℃(分解);IR(υ[cm−1])3300、3061、3011、2930、2859、1686、1608、1500、1473、1272、1102、964、852、692;H NMR(600MHz,CDCl3)δ=9.76(s,1H)、8.08(s,1H)、7.75(s,1H)、7.47(s,1H)、7.36(dd,J=15.1,8.6,1H)、7.31−7.24(m,2H)、7.01(s,1H)、6.87−6.81(m,1H)、6.81−6.76(m,1H)、6.52(d,J=7.6,1H)、6.34(t,J=6.8,1H)、5.55−5.49(m,1H)、5.14(s,1H)、4.95(s,1H)、4.64(dd,J=76.3,14.6,2H)、4.49(d,J=3.0,1H)、4.30(s,1H)、4.03−3.95(m,2H)、3.85(d,J=10.2,1H)、3.67(d,J=9.0,1H)、3.05−2.96(m,1H)、2.96−2.86(m,1H)、2.12(s,1H)、2.01(s,1H)、1.86(s,3H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=171.4、164.2、164.0(d,J=12.1)、162.3(d,J=12.1)、160.0(d,J=11.8)、158.4(d,J=11.9)、151.4、150.8、150.1、145.1、144.6、138.4、131.0、129.8、128.7−128.2(m)、123.7−123.4(m)、118.0、113.9、112.6、111.9(d,J=21.1)、111.4、104.8(t,J=25.9)、89.6、85.7、83.2(d,J=3.6)、81.4、78.2(d,J=2.6)、62.3、60.8、55.4、54.7(d,J=5.3)、37.5、14.4、12.7;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C30H28F2IN9O5に対する計算値、760.1299;実測値760.1293。
【0131】
N−ヨードモルホリンおよびCuI−TTTA−1−ベンジル−5−ヨード−4−p−トリル−1H−1,2,3−トリアゾール(28)を使用して5−ヨードトリアゾールを合成するためのワンポット/二段手順:4−メチル−フェニルアセチレン(0.5g、4.30mmol)をTHF(15ml)に溶かし、N−ヨードモルホリン(2.201g、6.46mmol)、次いでCuI(0.041g、0.215mmol)で処理した。試料をGC−MSで追跡した。45分後、反応は完結し、白色微細沈殿が生成した。懸濁液を中性アルミナのパッド(約25mL)上に流し込み、溶液を真空下で集めた。次いで、パッドをTHF(4.50ml)で3回洗浄した(元の反応液を含めて、最終容積約30mL)。この溶液にベンジルアジド(0.573g、4.30mmol)、次いでTTTA(0.092g、0.215mmol)、最後にCuI(0.041g、0.215mmol)を装入した。この反応液を3時間攪拌し、次いで、溶媒を圧縮空気流下で除去し、残渣をMeCN/Et2Oと一緒に粉砕した。生成物をろ過によって単離し、白色固体(1.26g、3.36mmol、78%)として28を得た。
【0132】
【化36】
【0133】
1−ベンジル−5−ヨード−4−p−トリル−1H−1,2,3−トリアゾール(28)。mp=119−120℃(分解);IR(υ[cm−1])3033、1541、1497、1357、1229、1079、984、819、695;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.75(d,J=8.1,2H)、7.31−7.26(m,3H)、7.25−7.22(m,2H)、7.19(d,J=8.1,2H)、5.59(s,2H)、2.32(s,3H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=150.5、138.7、134.6、129.4、129.1、128.7、128.0、127.5、76.3、54.5、21.6;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C16H15IN3に対する計算値、376.0305;実測値376.0307。
【0134】
【化37】
【0135】
5−ヨード−4−(チオフェン−3−イル)−1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール(29)。ワンポット/2段の一般的手順を使用することによって、3−(ヨードエチニル)チオフェンおよびベンジルアジドから合成された、1.24g、3.38mmol、81%;mp=125−127℃(分解);IR(υ[cm−1])3025、1496、1455、1354、1318、1230、1211、1072、1008、783、717;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.94(d,J=I.6,1H)、7.75(d,J=4.7,1H)、7.39(dd,J=4.7,3.0,1H)、7.36−7.29(m,3H)、7.29−7.25(m,2H)、5.64(s,2H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=147.3、134.5、131.2、129.1、128.7、127.9、126.8、126.1、122.9、76.0、54.5;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C13H11IN3Sに対する計算値、367.9713;実測値367.9713。
【0136】
【化38】
【0137】
4−シクロプロピル−5−ヨード−1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール(30)。ワンポット/2段の一般的手順を使用することによって、(ヨードエチニル)シクロプロパンおよびベンジルアジドから合成された、0.843g、2.59mmol、69%;mp=114−116℃(分解);IR(υ[cm−1])3028、1544、1495、1451、1421、1359、1333、1290、1217、1145、1074、1033、724;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.31−7.25(m,3H)、7.22−7.18(m,2H)、5.49(s,2H)、1.72(dq,J=8.4,5.0,1H)、1.01−0.97(m,2H)、0.91(ddd,J=10.8,6.5,4.1,2H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=153.4、134.7、129.0、128.5、127.9、77.9、54.2、7.7、7.4;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C12H13IN3に対する計算値、326.0149;実測値326.0151。
【0138】
1,4,5−トリアリールトリアゾール−1−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−p−トリル−1H−1,2,3−トリアゾール(31)を合成するためのワンポット、3段手順:フェニルアセチレン(0.511g、5mmol)をTHF(20ml)に溶かし、N−ヨードモルホリン(2.56g、7.50mmol)、次いでCuI(0.048g、0.250mmol)で処理した。試料を45分間攪拌し、GC−MSで追跡した。次いで、懸濁液を中性アルミナのパッド(約30mL)上に流し込み、溶液を真空下で集めた。次いで、パッドをTHF(7.5ml)で3回洗浄した(元の反応液を含めて、最終容積約42mL)。この溶液に4−メトキシフェニルアジド(0.746g、5.00mmol)、次いでTTTA(0.107g、0.250mmol)、最後にCuI(0.048g、0.250mmol)を装入した。この反応液を2時間攪拌し、LC−MSで追跡した。ここで、出発材料を消費し尽くした。次いで、この反応にp−トリルボロン酸(1.360g、10.00mmol)およびTEA(2.108ml、15.00mmol)を装入し、次いで、65℃まで加温した。次いで、Pd(OAc)2(0.022g、0.100mmol)を添加し、反応液を4時間攪拌した。ここで、揮発性成分を真空下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(4:1 ヘキサン:EtOAc)で精製した。これによって白色固体(1.25g、3.65mmol、73%)として31を得た。
【0139】
【化39】
【0140】
1−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−p−トリル−1H−1,2,3−トリアゾール(31)。mp=162−166℃(分解);IR(υ[cm−1])2967、1512、1484、1253、1182、994、832、780、697;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.59(d,J=7.9,2H)、7.31−7.25(m,3H)、7.21(d,J=8.6,2H)、7.09(dd,J=45.5,7.6,4H)、6.85(d,J=8.6,2H)、3.80(s,3H)、2.35(s,3H)。;13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=160.0、144.6、139.5、134.1、131.3、130.2、129.9、129.9、128.7、128.0、127.5、126.8、124.9、114.4、55.7、21.6;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C22H20N3Oに対する計算値、342.1601;実測値342.1601。
【0141】
【化40】
【0142】
5−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−4−p−トリル−1H−1,2,3−トリアゾール(32)。ワンポット/3段の一般的手順を使用することによって、4−メチル−フェニルアセチレン、フェニルアジド、N−ヨードモルホリンおよび4−メトキシ−フェニルボロン酸から合成された、1.22g、3.55mmol、71%;mp=172−174℃(分解);IR(υ[cm−1])3064、2922、1611、1523、1499、1250、1177、995、847、820、760、687;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.49(d,J=8.0,2H)、7.38−7.33(m,3H)、7.32−7.27(m,2H)、7.10(dd,J=13.0,8.2,4H)、6.85(d,J=8.5,2H)、3.80(s,3H)、2.32(s,3H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=160.4、144.9、137.8、136.9、133.4、131.7、129.4、129.3、129.0、128.3、127.4、125.4、119.9、114.7、55.5、21.5;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C22H20N3Oに対する計算値、342.1601;実測値342.1600。
【0143】
【化41】
【0144】
4−(4−メトキシフェニル)−5−フェニル−1−p−トリル−1H−1,2,3−トリアゾール(33)。ワンポット/3段の一般的手順を使用することによって、4−メトキシ−フェニルアセチレン、4−メチル−フェニルアジド、N−ヨードモルホリンおよびフェニルボロン酸から合成された、1.19g、3.50mmol、70%;mp=192−195℃(分解);IR(υ[cm−1])3019、2937、1619、1517、1481、1370、1247、1177、1027、997、842、820、747;1H NMR(600MHz,CDCl3)δ=7.50(d,J=8.4,2H)、7.39−7.30(m,3H)、7.20−7.11(m,6H)、6.83(d,J=8.5,2H)、3.78(s,3H)、2.34(s,3H);13C NMR(151MHz,CDCl3)δ=159.5、144.8、139.2、134.3、133.1、130.4、129.9、129.4、129.2、128.8、128.2、125.2、123.6、114.1、55.4、21.4;HRMS(ESI−TOF)(m/z):[M+H]+ C22H20N3Oに対する計算値、342.1601;実測値342.1605。
【0145】
本発明を説明する文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)用語「a」および「an」および「the」および類似の指示語の使用は、別段の指示のない限り、また文脈上明らかに矛盾しない限り、単数、複数いずれをも含む。用語「含む」、「有する」、「含む」および「含有する」は、別段の指示のない限り、制約がない用語(すなわち、「含む」が、それに限定されないことを意味する)と見なされるべきである。本明細書において数値範囲を記載する場合、別段の指示のない限り、その範囲内にあるそれぞれ独立の値を個別に記載する代わりの簡便な方法として機能することが意図されており、それぞれ独立の値は、個別に記載されたように、本明細書中に組込まれている。本明細書に記載の方法はすべて、別段の指示のない限り、また文脈上明確な矛盾のない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書に記載の任意の例およびすべての例または例示的な用語(例えば、「などの」)の使用は、別段の記載のない限り、本発明をより明確にするためのものであり、本発明の範囲に制限を加えるものではない。本明細書中のいかなる用語も、特許請求されていない要素を本発明の実施に必須なものであると主張するために用いるべきでない。
【0146】
本発明の好ましい実施形態は、本発明を実施するための本発明者にとって公知のベストモードを含めて、本明細書に記載されている。前述の説明を読んだ当業者にとっては、こうした好ましい実施形態の変形形態は、明白である。当業者なら、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に具体的に記載された以外の、本発明を実施するのに適切である変形形態を用いることができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲に記載の主題の全ての改変形態および等価物を含むものであり、これは当該法に許可されている。さらに、すべての可能な変形形態中の上記の要素の任意の組合せは、別段の指示のない限り、また文脈上明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含されるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体反応媒体中で銅触媒および銅配位子の存在下で有機アジドを2−置換−1−ハロアルキンに接触させ、それによって、トリアゾールの5位にあるハロ置換基、トリアゾールの1位にある有機アジドの有機部分、およびトリアゾールの4位にある1−ヨードアルキンの置換基を有する1,4,5−置換−1,2,3−トリアゾールを形成するステップを含む、1,2,3−トリアゾール化合物を調製する方法。
【請求項2】
1−ハロアルキンが1−ヨードアルキンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
銅触媒がCu(I)塩を含む、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
銅触媒がヨウ化第一銅を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
銅触媒またはその一部分が、Cu(II)塩を還元することによってin situで生成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
銅触媒またはその一部分が、Cu(0)を酸化することによってin situで生成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
銅配位子が、アミン、チオールまたはその塩、スルフィド、ジスルフィド、チオフェン、チアゾールおよびホスフィンからなる群から選択される1つまたは複数の材料を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
銅配位子が第三級アミン配位子を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
銅配位子が1,2,3−トリアゾール置換第三級アミンを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
銅配位子がトリエチルアミンを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
銅配位子が、トリス((1−tert−ブチル−1H−1,2,3−トリアゾリル)メチル)アミン(TTTA)またはトリス((1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾリル)メチル)アミン(TBTA)を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
液体反応媒体が非プロトン性有機溶媒を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
非プロトン性有機溶媒が、エーテル、アミド、ニトリル、炭化水素および塩素化炭化水素からなる群から選択される少なくとも1種の液体を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
液体反応媒体がアルコールを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
液体反応媒体が水を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
有機アジドが、有機アジド中のアジドのモル量および1−ハロアルキン中のアルキンのモル量に対して少なくとも化学量論量の1−ハロアルキンと接触する、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
有機アジドが、有機アジド中のアジドのモル量および1−ハロアルキン中のアルキンのモル量に対して化学量論量未満の1−ハロアルキンと接触する、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
有機アジドが、有機アジド中のアジドのモル量および1−ハロアルキン中のアルキンのモル量に対して化学量論量超の1−ハロアルキンと接触する、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
1,4,5−置換−1,2,3−トリアゾール化合物を銅配位子および存在する任意の銅含有材料から分離する追加のステップを含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
1,4,5−置換−1,2,3−トリアゾール化合物を液体反応媒体から単離する追加のステップを含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
Pd(0)触媒の存在下で1,4,5−置換−1,2,3−トリアゾール化合物をアリールボロン酸と接触させ、それによって、トリアゾールの5−ハロ置換基をアリールボロン酸のアリール部分と置き換える追加のステップを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
1,4,5−置換−1,2,3−トリアゾール化合物を還元剤と接触させることによって5−ハロ置換基を水素と置き換える追加のステップを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
有機アジドが、ポリエチレングリコール置換基を含み、2−置換−1−ハロアルキンが、2−置換−1−ヨードアルキンを含み、アルキンの置換基がタンパク質を含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
有機アジドがタンパク質置換基を含み、2−置換−1−ハロアルキンが2−置換−1−ヨードアルキンを含み、アルキンの置換基がポリエチレングリコール基を含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
液体反応媒体が還元剤を含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
還元剤がチオール化合物を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
チオール化合物がジチオスレイトール(DTT)を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
液体反応媒体が界面活性剤を含む、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムを含む、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
第一銅触媒の存在下において、非プロトン性溶媒中で末端アルキンを親電子ヨウ化剤と接触させることによって1−ヨードアルキンを形成するステップを含む、2−置換−1−ヨードアルキンを調製する方法。
【請求項31】
第一銅触媒がCu(I)塩を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
第一銅触媒がCu(II)塩からin situで生成する、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
親電子ヨウ化剤が、N−ヨードアミン、N−ヨードイミドまたはN−ヨードアミドを含む、請求項30から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
親電子ヨウ化剤が、N−ヨードモルホリンを含む、請求項30から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
非プロトン性溶媒がエーテルを含む、請求項30から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
非プロトン性溶媒がテトラヒドロフランを含む、請求項30から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
第一銅触媒が、末端アルキンに対する化学量論量未満で存在する、請求項30から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
一般式IVの蛍光性アルキン置換クマリン化合物
【化1】
[式中、R1は、H、アルキル、アリールアルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアリールであり、またはアルコール、酸、チオ酸、ヒドロキサム酸、尿素、アミン、チオール、スルフィド、ジスルフィド、スルホン酸、スルホキシド、スルホン、スルホンアミド、スルフェート、エステル、カルボネート、エーテル、ハロゲン化物、ホスフェート、ホスフィド、ホスホネートおよびホスホンアミドから選択される1つまたは複数の置換基を場合によって含むヘテロ環式部分であり、
R2は、IまたはR1である。]。
【請求項39】
【化2】
からなる群から選択される、請求項38に記載の蛍光性アルキン置換クマリン化合物。
【請求項40】
一般式Vの蛍光性トリアゾール置換クマリン化合物
【化3】
[式中、R3は、H、アルキル、アリールアルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアリールであり、またはアルコール、酸、チオ酸、ヒドロキサム酸、尿素、アミン、チオール、スルフィド、ジスルフィド、スルホン酸、スルホキシド、スルホン、スルホンアミド、スルフェート、エステル、カルボネート、エーテル、ハロゲン化物、ホスフェート、ホスフィド、ホスホネートおよびホスホンアミドから選択される1つまたは複数の置換基を場合によって含むヘテロ環式部分であり、
R4は、生体分子またはR3であり、R5は、IまたはR3である。]。
【請求項41】
R5が、タンパク質、炭水化物、アミノ酸、脂質、ならびにヌクレオチド、ヌクレオシドおよび核酸から選択される生体分子である、請求項40に記載の蛍光性トリアゾール置換クマリン化合物。
【請求項42】
【化4】
からなる群から選択される、請求項40に記載の蛍光性トリアゾール置換クマリン化合物。
【請求項1】
液体反応媒体中で銅触媒および銅配位子の存在下で有機アジドを2−置換−1−ハロアルキンに接触させ、それによって、トリアゾールの5位にあるハロ置換基、トリアゾールの1位にある有機アジドの有機部分、およびトリアゾールの4位にある1−ヨードアルキンの置換基を有する1,4,5−置換−1,2,3−トリアゾールを形成するステップを含む、1,2,3−トリアゾール化合物を調製する方法。
【請求項2】
1−ハロアルキンが1−ヨードアルキンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
銅触媒がCu(I)塩を含む、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
銅触媒がヨウ化第一銅を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
銅触媒またはその一部分が、Cu(II)塩を還元することによってin situで生成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
銅触媒またはその一部分が、Cu(0)を酸化することによってin situで生成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
銅配位子が、アミン、チオールまたはその塩、スルフィド、ジスルフィド、チオフェン、チアゾールおよびホスフィンからなる群から選択される1つまたは複数の材料を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
銅配位子が第三級アミン配位子を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
銅配位子が1,2,3−トリアゾール置換第三級アミンを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
銅配位子がトリエチルアミンを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
銅配位子が、トリス((1−tert−ブチル−1H−1,2,3−トリアゾリル)メチル)アミン(TTTA)またはトリス((1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾリル)メチル)アミン(TBTA)を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
液体反応媒体が非プロトン性有機溶媒を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
非プロトン性有機溶媒が、エーテル、アミド、ニトリル、炭化水素および塩素化炭化水素からなる群から選択される少なくとも1種の液体を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
液体反応媒体がアルコールを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
液体反応媒体が水を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
有機アジドが、有機アジド中のアジドのモル量および1−ハロアルキン中のアルキンのモル量に対して少なくとも化学量論量の1−ハロアルキンと接触する、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
有機アジドが、有機アジド中のアジドのモル量および1−ハロアルキン中のアルキンのモル量に対して化学量論量未満の1−ハロアルキンと接触する、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
有機アジドが、有機アジド中のアジドのモル量および1−ハロアルキン中のアルキンのモル量に対して化学量論量超の1−ハロアルキンと接触する、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
1,4,5−置換−1,2,3−トリアゾール化合物を銅配位子および存在する任意の銅含有材料から分離する追加のステップを含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
1,4,5−置換−1,2,3−トリアゾール化合物を液体反応媒体から単離する追加のステップを含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
Pd(0)触媒の存在下で1,4,5−置換−1,2,3−トリアゾール化合物をアリールボロン酸と接触させ、それによって、トリアゾールの5−ハロ置換基をアリールボロン酸のアリール部分と置き換える追加のステップを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
1,4,5−置換−1,2,3−トリアゾール化合物を還元剤と接触させることによって5−ハロ置換基を水素と置き換える追加のステップを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
有機アジドが、ポリエチレングリコール置換基を含み、2−置換−1−ハロアルキンが、2−置換−1−ヨードアルキンを含み、アルキンの置換基がタンパク質を含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
有機アジドがタンパク質置換基を含み、2−置換−1−ハロアルキンが2−置換−1−ヨードアルキンを含み、アルキンの置換基がポリエチレングリコール基を含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
液体反応媒体が還元剤を含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
還元剤がチオール化合物を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
チオール化合物がジチオスレイトール(DTT)を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
液体反応媒体が界面活性剤を含む、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムを含む、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
第一銅触媒の存在下において、非プロトン性溶媒中で末端アルキンを親電子ヨウ化剤と接触させることによって1−ヨードアルキンを形成するステップを含む、2−置換−1−ヨードアルキンを調製する方法。
【請求項31】
第一銅触媒がCu(I)塩を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
第一銅触媒がCu(II)塩からin situで生成する、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
親電子ヨウ化剤が、N−ヨードアミン、N−ヨードイミドまたはN−ヨードアミドを含む、請求項30から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
親電子ヨウ化剤が、N−ヨードモルホリンを含む、請求項30から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
非プロトン性溶媒がエーテルを含む、請求項30から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
非プロトン性溶媒がテトラヒドロフランを含む、請求項30から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
第一銅触媒が、末端アルキンに対する化学量論量未満で存在する、請求項30から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
一般式IVの蛍光性アルキン置換クマリン化合物
【化1】
[式中、R1は、H、アルキル、アリールアルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアリールであり、またはアルコール、酸、チオ酸、ヒドロキサム酸、尿素、アミン、チオール、スルフィド、ジスルフィド、スルホン酸、スルホキシド、スルホン、スルホンアミド、スルフェート、エステル、カルボネート、エーテル、ハロゲン化物、ホスフェート、ホスフィド、ホスホネートおよびホスホンアミドから選択される1つまたは複数の置換基を場合によって含むヘテロ環式部分であり、
R2は、IまたはR1である。]。
【請求項39】
【化2】
からなる群から選択される、請求項38に記載の蛍光性アルキン置換クマリン化合物。
【請求項40】
一般式Vの蛍光性トリアゾール置換クマリン化合物
【化3】
[式中、R3は、H、アルキル、アリールアルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアリールであり、またはアルコール、酸、チオ酸、ヒドロキサム酸、尿素、アミン、チオール、スルフィド、ジスルフィド、スルホン酸、スルホキシド、スルホン、スルホンアミド、スルフェート、エステル、カルボネート、エーテル、ハロゲン化物、ホスフェート、ホスフィド、ホスホネートおよびホスホンアミドから選択される1つまたは複数の置換基を場合によって含むヘテロ環式部分であり、
R4は、生体分子またはR3であり、R5は、IまたはR3である。]。
【請求項41】
R5が、タンパク質、炭水化物、アミノ酸、脂質、ならびにヌクレオチド、ヌクレオシドおよび核酸から選択される生体分子である、請求項40に記載の蛍光性トリアゾール置換クマリン化合物。
【請求項42】
【化4】
からなる群から選択される、請求項40に記載の蛍光性トリアゾール置換クマリン化合物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2013−501799(P2013−501799A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524832(P2012−524832)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/045134
【国際公開番号】WO2011/019799
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(399038620)ザ スクリプス リサーチ インスティチュート (51)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/045134
【国際公開番号】WO2011/019799
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(399038620)ザ スクリプス リサーチ インスティチュート (51)
【Fターム(参考)】
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