説明

有機アルミニウム化合物

【課題】シトロネラールの高選択的閉環反応によって高いジアステレオ選択率のイソプレゴールを得る触媒を提供する。
【解決手段】鎖状アルミノキサン類、環状アルミノキサン類及びビス(ジアルキルアルミニウムオキシ)アルキルボラン類から選ばれる少なくとも1種の有機アルミニウムオキシ化合物と、ジアリールフェノール類、ビス(ジアリールフェノール)類、ビアリールジオール類、ジメタノール類及びシラノール類から選ばれるヒドロキシ化合物の少なくとも1種とを反応させて得られる有機アルミニウム化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機アルミニウムオキシ化合物とヒドロキシ化合物と反応させることにより得られる有機アルミニウム化合物に関するものである。また、本発明は、該有機アルミニウム化合物の触媒としての使用に関するものである。さらに、本発明は、該有機アルミノウム化合物を触媒として、シトロネラールを環化することによるイソプレゴールの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、メントール、特にl−メントールは、清涼感のある香料として非常に重要でその用途は多岐にわたっている。メントールの合成法についてはdl−メントールを光学分割によって得る方法と、不斉合成法によって得る方法が知られている(非特許文献1)。不斉合成法によるl−メントールの製造工程においては、前駆体であるl-イソプレゴールを水素化してl−メントールが得られるが、このl−イソプレゴールを合成するためには、d−シトロネラールの選択的閉環反応が重要な工程である。
【0003】
d−シトロネラールの選択的閉環反応については、開示されている方法、すなわち、臭化亜鉛を触媒としたl−イソプレゴールの製造がすでに行われている(特許文献1)。このときの、l-イソプレゴールと他の異性体との比率はジアステレオ選択性として約90%である。
【0004】
また、アルミニウムシロキシド触媒による選択閉環反応が報告されている(特許文献2〜3)。このときの、ジアステレオ選択性は最高96%である。
トリス(2,6−ジアリールフェノキシ)アルミニウム、およびその類似の触媒による選択的閉環反応が報告されている(特許文献4〜8)。これらの特許文献では生成するイソプレゴールのジアステレオ選択性は96%程度である。
【0005】
一方、酒石酸由来配位子であるジオール骨格を有するアルミニウム触媒については多くの報告例が挙げられているが(特許文献9)(非特許文献2〜5)、いずれもカチオン性錯体、またはハロゲン基及びアミノヒドロキシ基といった特定の置換基を有するもののみである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭59−45661号公報
【特許文献2】特表2009−510005号公報
【特許文献3】特表2009−510006号公報
【特許文献4】特開2002−212121号公報
【特許文献5】特表2008−524287号公報
【特許文献6】特表2008−538101号公報
【特許文献7】独国特許出願公開102005023953号明細書
【特許文献8】国際公開第2009/144906号
【特許文献9】米国特許第6166260号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】合成香料<増補改定版>、印藤元一著、化学工業日報社、83〜89頁、2005年3月22日発行
【非特許文献2】Synlett,1998,pp.1291−1293
【非特許文献3】Tetrahedron: Asymmetry,1991、Vol.2,No.12、pp.1295−1304
【非特許文献4】CROATIA CHEMICA ACTA,1996,69,pp.459−484
【非特許文献5】Russian Chemical Bulletin,2000,49,pp.460−465
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1、2の方法ではイソプレゴールのジアステレオ選択性はあまり満足のいくものではない。
【0009】
また、特許文献3〜5の触媒では生成するイソプレゴールのジアステレオ選択性は96%以上である。しかしながら、触媒の前駆体として使用する有機アルミニウム化合物は、トリアルキルアルミニウム等の水分、空気に不安定な化合物を使用しており、触媒調整には注意が必要である。
【0010】
本発明の目的は、シトロネラールの高選択的閉環反応によって高いジアステレオ選択率のイソプレゴールを得る触媒を提供することである。および、当該触媒を用いて、特に、d−シトロネラールの高選択的閉環反応によって得られる、l−メントールの重要な合成前駆体であり、なおかつ香料等の素材として有用であるl−イソプレゴールの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、比較的安定な有機アルノミウムオキシ化合物と種々のヒドロキシ化合物を反応させたところ、これまでに報告のなかった、有機アルミニウム化合物を得ることに成功した。
【0012】
さらに該有機アルミノウム化合物を触媒として用いることにより、シトロネラールが閉環し、イソプレゴール、イソイソプレゴール、ネオイソプレゴールおよびネオイソイソプレゴールの4種の異性体の内、イソプレゴールが異性体比96%以上の高選択率で、高収率で得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0013】
すなわち本発明は以下の各発明を包含する。
1.一般式(1)で表される鎖状アルミノキサン類、一般式(2)で表される環状アルミノキサン類及び一般式(3)で表されるビス(ジアルキルアルミニウムオキシ)アルキルボラン類から選ばれる少なくとも1種の有機アルミニウムオキシ化合物と、一般式(4)で表されるジアリールフェノール類、一般式(5)で表されるビス(ジアリールフェノール)類、一般式(6)で表されるビアリールジオール類、一般式(7)で表されるジメタノール類及び一般式(8)で表されるシラノール類から選ばれる少なくとも1種のヒドロキシ化合物とを反応させて得られる有機アルミニウム化合物。
【0014】
【化1】

【0015】
[一般式(1)中、Rは、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数5乃至8の脂環式基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基であり、複数のRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく;pは0〜40の整数である。]
【0016】
【化2】

【0017】
[一般式(2)中、Rは、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数5乃至8の脂環式基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基であり;pは0〜40の整数である。]
【0018】
【化3】

【0019】
[一般式(3)中、Rは、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数5乃至8の脂環式基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基であり、複数のRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく;Rは、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数5乃至8の脂環式基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基である。]
【0020】
【化4】

【0021】
[一般式(4)中、Ar及びArは、それぞれ独立してそのいずれもが、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2乃至15のヘテロアリール基であり;R、R及びRは、それぞれ独立してそのいずれもが、水素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、炭素数1乃至4のパーフロロアルキル基、炭素数1乃至8のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基、ハロゲン原子、オルガノシリル基、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基、炭素数2乃至8のジアルキルアミノ基、炭素数1乃至4のチオアルコキシ基、ニトロ基又はポリマー鎖であり、RとR又はRとRとは各々互いに一緒になって、縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基を形成してもよい。]
【0022】
【化5】

【0023】
[一般式(5)中、Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立してそのいずれもが、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15アリール基、置換基を有していてもよい炭素数2乃至15のヘテロアリール基であり;R、R、R10及びR11は、それぞれ独立してそのいずれもが、水素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、炭素数1乃至4のパーフロロアルキル基、炭素数1乃至8のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基、ハロゲン原子、オルガノシリル基、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基、炭素数2乃至8のジアルキルアミノ基、炭素数1乃至4のチオアルコキシ基、ニトロ基又はポリマー鎖あり、RとR又はR10とR11とは各々互いに一緒になって、縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基を形成してもよく、R若しくはR及び/又はR10若しくはR11はAと一緒になって環状芳香族または非芳香族環を形成してもよく;Aは、(1)単結合;(2)置換基及び/又は不飽和結合を有していてもよい炭素数1乃至25の直鎖状若しくは分岐状及び/又は環状の炭化水素基;(3)置換基を有していてもよい炭素数6〜15のアリーレン基;(4)置換基を有していてもよい炭素数2〜15のヘテロアリーレン基;(5)−O−、−S−、−N(R12)−、−S(O)−、−C(O)−、−S(O)−、−P(R12)−、−(R12)P(O)−及び−Si(R1314)−の群から選択される官能基またはヘテロ元素である(ここで、R12〜R14は、それぞれ独立してそのいずれもが、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基及び/又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリールである。)。]
【0024】
【化6】

【0025】
[一般式(6)中、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21及びR22は、それぞれ独立してそのいずれもが、水素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、炭素数1乃至4のパーフロロアルキル基、炭素数1乃至8のアルコキシ基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基、ハロゲン原子、オルガノシリル基、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基、炭素数2乃至8のジアルキルアミノ基、炭素数1乃至4のチオアルコキシ基、ニトロ基又はポリマー鎖であり、R15とR16、R16とR17、R17とR18、R15とR22、R19とR20、R20とR21又はR21とR22とは各々互いに一緒になって、縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基を形成してもよい。]
【0026】
【化7】

【0027】
[一般式(7)中、R23、R24、R25、及びR26は、それぞれ独立してそのいずれもが、水素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、炭素数1乃至8のパーハロゲノアルキル基、炭素数1乃至8のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基、ハロゲン原子、オルガノシリル基、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2乃至15のヘテロアリール基、炭素数2乃至8のジアルキルアミノ基、炭素数1乃至4のチオアルコキシ基、ニトロ基又はポリマー鎖であり、R23とR24及びR25とR26とは結合してヘテロ元素を有していてもよい3〜9員環を形成してもよく;環Bはヘテロ元素を有していてもよい3〜8員環である。]
【0028】
【化8】

【0029】
[一般式(8)中、R27、R28、及びR29は、それぞれ独立してそのいずれもが、炭素数1乃至10のアルキル基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、炭素数7乃至12のアラルキル基、炭素数6乃至10の置換されていてもよいアリール基、炭素数2乃至15の置換基を有していてもよいヘテロアリール基又はポリマー鎖である。]
2.前項1に記載の有機アルミニウム化合物を触媒とし、式(9)で表されるシトロネラールを選択的に閉環させることを特徴とする式(10)で表されるイソプレゴールの製造方法。
【0030】
【化9】

【0031】
【化10】

【0032】
3.前項1に記載の有機アルミニウム化合物を触媒とし、式(11)で表されるシトロネラールを選択的に閉環させることを特徴とする式(12)で表される光学活性イソプレゴールの製造方法。
【0033】
【化11】

【0034】
[式(11)中、*印は、不斉炭素原子を示す。]
【0035】
【化12】

【0036】
[式(12)中、*印は、不斉炭素原子を示す。]
【発明の効果】
【0037】
本発明は上記のように、比較的安定なアルミノキサン類と種々のジオール化合物を反応させて得られた有機アルミニウム化合物を提供する。該有機アルミニウム化合物を触媒として用いることにより、シトロネラールの選択的閉環反応において高いジアステレオ選択性を与えることができる。さらに当該触媒は反応溶液をろ過することにより、再利用でき、工業的にも有利である。触媒失活後の配位子は、回収することにより再び触媒へと再利用することが出来る。
【0038】
また、本発明により、香料等の素材として有用であり、メントールの重要な合成前駆体であるイソプレゴールを、有機アルミニウム化合物を触媒として用いて、高収率・高選択的に製造する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】2,6−ジフェニルフェノールとメチルアルミノキサンのNMRスペクトルを示す図である。
【図2】2,6−ジフェニルフェノールとメチルアルミノキサン反応物のNMRスペクトルの低磁場側を拡大した図である。
【図3】2,6−ジフェニルフェノールのNMRスペクトルを示す図である。
【図4】2,6−ジフェニルフェノールのNMRスペクトルの低磁場側を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の有機アルミニウム化合物を製造するための使用される有機アルミニウムオキシ化合物は、一般式(1)で表される鎖状アルミノキサン類、一般式(2)で表される環状アルミノキサン類及び一般式(3)で表されるビス(ジアルキルアルミニウムオキシ)アルキルボラン類から選ばれる少なくとも1種の有機アルミニウムオキシ化合物である。
【0041】
【化13】

【0042】
一般式(1)中、Rは、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数5乃至8の脂環式基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基であり、複数のRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく;pは0〜40の整数である。
【0043】
【化14】

【0044】
一般式(2)中、Rは、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数5乃至8の脂環式基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基であり;pは0〜40の整数である。
【0045】
【化15】

【0046】
一般式(3)中、Rは、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数5乃至8の脂環式基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基であり、複数のRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく;Rは、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数5乃至8の脂環式基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12アラルキル基である。
【0047】
前記一般式(1)で表される鎖状アルミノキサン類において、Rは、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数5乃至8の脂環式基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基であり、複数のRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく;pは0〜40の整数である。
【0048】
前記一般式(2)で表される環状アルミノキサン類において、Rは、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数5乃至8の脂環式基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基であり;pは0〜40の整数である。
【0049】
前記一般式(3)で表されるビス(ジアルキルアルミニウムオキシ)アルキルボラン類において、Rは、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数5乃至8の脂環式基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基であり、複数のRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく;Rは、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数5乃至8の脂環式基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基である。
【0050】
上記一般式(1)〜(3)で表される有機アルミノウムオキシ化合物における特定の置換基は以下の例として挙げることができる。
【0051】
炭素数1乃至6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プルピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基などが例示される。
【0052】
炭素数5乃至8の脂環式基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基などが例示される。
【0053】
置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、α−ナフチルメチル基及びβ−ナフチルメチル基などが例示される。
【0054】
前記置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プルピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基などの炭素数1乃至6のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロヘプチル基などの炭素数5乃至8の脂環式基;トリフロロメチル基、ペンタフロロエチル基、ヘプタフロロプロピル基及びノナフロロブチル基などの炭素数1乃至4のパーフロロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシル基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基及びtert−ブトキシ基などの炭素数1乃至4のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子などのハロゲン原子;ベンジル基、フェニルエチル基及びナフチルメチル基などの炭素数7乃至12のアラルキル基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、ジメチル(2,3−ジメチル−2−ブチル)シリル基、tert−ブチルジメチルシリル基及びジメチルヘキシルシリル基などのトリ−炭素数1乃至6アルキルシリル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基及びジブチルアミノ基などの炭素数2乃至8のジアルキルアミノ基等が例示される。
【0055】
また、pは0〜40、好ましくは2〜30の整数である。
【0056】
一般式(1)及び(2)で表される有機アルミノウムオキシ化合物は、アルミノキサンとも称される化合物である。アルミノキサンの中では、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン及びメチルイソブチルアルミノキサンが好ましく、メチルアルミノキサンが特に好ましい。上記のアルミノキサンは、各群内および各群間で複数種併用することも可能である。そして、上記のアルミノキサンは公知の様々な条件下に調製することが出来る。
【0057】
一般式(3)で表される有機アルミノウムオキシ化合物は、(RAlで表される一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと、一般式RB(OH)で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることが出来る。
【0058】
本発明の有機アルミニウム化合物を製造するための使用されるヒドロキシ化合物は、次の一般式(4)で表されるジアリールフェノール類、一般式(5)で表されるビス(ジアリールフェノール)類、一般式(6)で表されるビアリールジオール類、一般式(7)で表されるジメタノール類及び一般式(8)で表されるシラノール類から選ばれる少なくとも1種のヒドロキシ化合物である。
【0059】
【化16】

【0060】
一般式(4)中、Ar及びArは、それぞれ独立してそのいずれもが、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2乃至15のヘテロアリール基であり;R、R及びRは、それぞれ独立してそのいずれもが、水素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、炭素数1乃至4のパーフロロアルキル基、炭素数1乃至8のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基、ハロゲン原子、オルガノシリル基、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基、炭素数2乃至8のジアルキルアミノ基、炭素数1乃至4のチオアルコキシ基、ニトロ基又はポリマー鎖であり、RとR又はRとRとは各々互いに一緒になって、縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基を形成してもよい。
【0061】
【化17】

【0062】
一般式(5)中、Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立してそのいずれもが、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2乃至15のヘテロアリール基であり;R、R、R10及びR11は、それぞれ独立してそのいずれもが、水素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、炭素数1乃至4のパーフロロアルキル基、炭素数1乃至8のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基、ハロゲン原子、オルガノシリル基、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基、炭素数2乃至8のジアルキルアミノ基、炭素数1乃至4のチオアルコキシ基、ニトロ基又はポリマー鎖あり、RとR又はR10とR11とは各々互いに一緒になって、縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基を形成してもよく、R若しくはR及び/又はR10若しくはR11はAと一緒になって環状芳香族または非芳香族環を形成してもよく;Aは、(1)単結合;(2)置換基及び/又は不飽和結合を有していてもよい炭素数1乃至25の直鎖状若しくは分岐状及び/又は環状の炭化水素基;(3)置換基を有していてもよい炭素数6〜15のアリーレン基;(4)置換基を有していてもよい炭素数2〜15のヘテロアリーレン基;(5)−O−、−S−、−N(R12)−、−S(O)−、−C(O)−、−S(O)−、−P(R12)−、−(R12)P(O)−及び−Si(R1314)−の群から選択される官能基またはヘテロ元素である[ここで、R12〜R14は、それぞれ独立してそのいずれもが、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基及び/又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリールである。]。
【0063】
【化18】

【0064】
一般式(6)中、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21及びR22は、それぞれ独立してそのいずれもが、水素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、炭素数1乃至4のパーフロロアルキル基、炭素数1乃至8のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基、ハロゲン原子、オルガノシリル基、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基、炭素数2乃至8のジアルキルアミノ基、炭素数1乃至4のチオアルコキシ基、ニトロ基又はポリマー鎖であり、R15とR16、R16とR17、R17とR18、R15とR22、R19とR20、R20とR21又はR21とR22とは各々互いに一緒になって、縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基を形成してもよい。
【0065】
【化19】

【0066】
一般式(7)中、R23、R24、R25、及びR26は、それぞれ独立してそのいずれもが、水素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、炭素数1乃至8のパーハロゲノアルキル基、炭素数1乃至8のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基、ハロゲン原子、オルガノシリル基、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2乃至15のヘテロアリール基、炭素数2乃至8のジアルキルアミノ基、炭素数1乃至4のチオアルコキシ基、ニトロ基又はポリマー鎖であり、R23とR24及びR25とR26とは結合してヘテロ元素を有していてもよい3〜9員環を形成してもよく;環Bはヘテロ元素を有していてもよい3〜8員環である。
【0067】
【化20】

【0068】
一般式(8)中、R27、R28、及びR29は、それぞれ独立してそのいずれもが、炭素数1乃至10のアルキル基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2乃至15のヘテロアリール基又はポリマー鎖である。
【0069】
前記、一般式(4)で表されるジアリールフェノール類において、Ar及びArは、それぞれ独立してそのいずれもが、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2乃至15のヘテロアリール基であり;R、R及びRは、それぞれ独立してそのいずれもが、水素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、炭素数1乃至4のパーフロロアルキル基、炭素数1乃至8のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基、ハロゲン原子、オルガノシリル基、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基、ジアルキルアミノ基、チオアルコキシ基、ニトロ基又はポリマー鎖であり、RとR又はRとRとは結合して環を形成してもよい。
【0070】
前記、一般式(5)で表されるビス(ジアリールフェノール)類において、Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立してそのいずれもが、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2乃至15のヘテロアリール基であり;R、R、R10及びR11は、それぞれ独立してそのいずれもが、水素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、炭素数1乃至4のパーフロロアルキル基、炭素数1乃至8のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基、ハロゲン原子、オルガノシリル基、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基、炭素数2乃至8のジアルキルアミノ基、炭素数1乃至4のチオアルコキシ基、ニトロ基又はポリマー鎖あり、RとR又はR10とR11とは各々互いに一緒になって、縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基を形成してもよく、R若しくはR及び/又はR10若しくはR11はAと一緒になって環状芳香族または非芳香族環を形成してもよく;Aは、(1)単結合;(2)置換基及び/又は不飽和結合を有していてもよい炭素数1乃至25の直鎖状若しくは分岐状及び/又は環状の炭化水素基;(3)置換基を有していてもよい炭素数6〜15のアリーレン基;(4)置換基を有していてもよい炭素数2〜15のヘテロアリーレン基;(5)−O−、−S−、−N(R12)−、−S(O)−、−C(O)−、−S(O)−、−P(R12)−、−(R12)P(O)−及び−Si(R1314)−の群から選択される官能基またはヘテロ元素である[ここで、R12〜R14は、それぞれ独立してそのいずれもが、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基及び/又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリールである。]。
【0071】
前記、一般式(6)で表されるビアリールジオール類において、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21及びR22は、それぞれ独立してそのいずれもが、水素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、炭素数1乃至4のパーフロロアルキル基、炭素数1乃至8のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基、ハロゲン原子、オルガノシリル基、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基、炭素数2乃至8のジアルキルアミノ基、炭素数1乃至4のチオアルコキシ基、ニトロ基又はポリマー鎖であり、R15とR16、R16とR17、R17とR18、R15とR22、R19とR20、R20とR21又はR21とR22とは各々互いに一緒になって、縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基を形成してもよい。
【0072】
前記、一般式(7)で表されるジメタノール類において、R23、R24、R25、及びR26は、それぞれ独立してそのいずれもが、水素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、炭素数1乃至8のパーハロゲノアルキル基、炭素数1乃至8のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基、ハロゲン原子、オルガノシリル基、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2乃至15のヘテロアリール基、炭素数2乃至8のジアルキルアミノ基、炭素数1乃至4のチオアルコキシ基、ニトロ基又はポリマー鎖であり、R23とR24及びR25とR26とは結合してヘテロ元素を有していてもよい3〜9員環を形成してもよく;環Bはヘテロ元素を有していてもよい3〜8員環である。
【0073】
前記、一般式(8)で表されるシラノール類において、R27、R28、及びR29は、それぞれ独立してそのいずれもが、炭素数1乃至10のアルキル基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2乃至15のヘテロアリール基又はポリマー鎖である。
【0074】
上記一般式(4)〜(8)で表されるヒドロキシ化合物における特定の置換基は以下の例として挙げることができる。
【0075】
置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基としては、例えば、ベンジル基、α−ナフチル基及びβ−ナフチル基などが例示される。
【0076】
ここで置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プルピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基及びペンチル基、ヘキシル基などの炭素数1乃至6のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロヘプチル基などの炭素数5乃至8の脂環式基;トリフロロメチル基、ペンタフロロエチル基、ヘプタフロロプロピル基及びノナフロロブチル基などの炭素数1乃至4のパーフロロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシル基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基及びtert−ブトキシ基などの炭素数1乃至4のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子などのハロゲン原子;ベンジル基、フェニルエチル基及びナフチルメチル基などの炭素数7乃至12のアラルキル基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、ジメチル(2,3−ジメチル−2−ブチル)シリル基、tert−ブチルジメチルシリル基及びジメチルヘキシルシリル基などのトリ−炭素数1乃至6アルキルシリル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基及びジブチルアミノ基などの炭素数2乃至8のジアルキルアミノ基等が例示され、さらに6,6−ナイロン鎖、ビニルポリマー鎖及びスチレンポリマー鎖などのポリマー鎖が例示される。
【0077】
置換基を有していてもよい炭素数2乃至15のヘテロアリール基としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピロニル基、ベンゾフリル基、イゾベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、イソインドリル基、カルバゾイル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピラジル基及びフェロセニル基などが例示される。ここで置換基としては、前記アリール基で例示されたものと同様の置換基が挙げられる。
【0078】
炭素数1乃至8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プルピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基及びオクチル基などが例示される。
【0079】
炭素数5乃至8の脂環式基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基などが例示される。
【0080】
炭素数1乃至4のパーフロロアルキル基としては、例えば、トリフロロメチル基、ペンタフロロエチル基、ヘプタフロロプロピル基及びノナフロロブチル基などが例示される。
【0081】
炭素数1乃至8のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシル基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、ヘプトキシ基及びオクトキシ基などが例示される。
【0082】
置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、α−ナフチルメチル基及びβ−ナフチルメチル基などが例示される。ここで置換基としては、前記アリール基で例示されたものと同様の置換基が挙げられる。
【0083】
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子などが例示される。
【0084】
オルガノシリル基としては、トリ置換シリル基が例示される。該置換基としては、炭素数1乃至6アルキル基、炭素数6〜18アリール基及び炭素数7〜19アラルキルシリル基から選ばれる3つの置換基であり、これらは互いに同一であっても異なっていてもよい。炭素数1乃至6アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、2,3−ジメチル−2−ブチル基、ヘキシル基及びtert−ブチル基が挙げられる。炭素数6〜18アリール基としては、例えば、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。炭素数7〜19のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基及びp−キシリル基が挙げられる。
【0085】
オルガノシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、ジメチル(2,3−ジメチル−2−ブチル)シリル基、tert−ブチルジメチルシリル基及びジメチルヘキシルシリル基などのトリ−炭素数1乃至6アルキルシリル基、ジメチルクミルシリル基などのジ−炭素数1乃至6アルキル−炭素数6乃至18アリールシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基及びジフェニルメチルシリル基などのジ−炭素数6乃至18アリール−炭素数1乃至6アルキルシリル基、トリフェニルシリル基などのトリ−炭素数6〜18アリールシリル基、トリベンジルシリル基及びトリ−p−キシリルシリル基などのトリ−炭素数7〜19アラルキルシリル基等のトリ置換シリル基などが例示される。
【0086】
炭素数2乃至8のジアルキルアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基及びジブチルアミノ基などが例示される。
【0087】
炭素数1乃至4のチオアルキル基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基及びtert−ブチルチオ基などが例示される。
【0088】
ポリマー鎖としては、例えば、6,6−ナイロン鎖、ビニルポリマー鎖及びスチレンポリマー鎖などが例示される。
【0089】
一般式(4)において、RとR又はRとRとは各々互いに一緒になって縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基を形成してもよい。
【0090】
また、一般式(5)において、RとR又はR10とR11とは各々互いに一緒になって縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基を形成してもよい。
【0091】
さらに、一般式(6)において、R15とR16、R16とR17、R17とR18、R15とR22、R19とR20、R20とR21又はR21とR22とは各々互いに一緒になって、縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基を形成してもよい。
【0092】
前記縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基には、不活性な官能基を置換基としていてもよく、好ましくは0〜4個の範囲で置換基を有していてもよい。ここで置換基としては、前記アリール基で例示されたものと同様の置換基が挙げられる。
【0093】
縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基に存在する置換基や炭素鎖を介して、一般式(4)、一般式(5)及び一般式(6)で表されるヒドロキシ化合物から選ばれる少なくとも1種がポリマーを形成してもよい。
【0094】
一般式(5)において、R若しくはR及び/又はR10若しくはR11はAと一緒になって環状芳香族または非芳香族環を形成してもよい。この場合は、本発明で使用される一般式(5)で表されるビス(ジアリールフェノール)類は、三環式基本構造、例えば、一般式(5a)を有するアントラセン基本構造または一般式(5b)の基本構造を有する。
【0095】
【化21】

【0096】
【化22】

【0097】
一般式(5a)及び一般式(5b)において、基本構造中にヘテロ元素を有する三環式基本構造であってもよい。
【0098】
一般式(5)において、Aは、(1)単結合;(2)置換基及び/又は不飽和結合を有していてもより炭素数1乃至25の直鎖状若しくは分岐状及び/又は環状の炭化水素基;(3)置換基を有していてもよい炭素数6〜15のアリール基;(4)置換基を有していてもよい炭素数2〜15のヘテロアリール基;(5)−O−、−S−、−N(R12)−、−S(O)−、−C(O)−、−S(O)−、−P(R12)−、−(R12)P(O)−及び−Si(R1314)−の群から選択される官能基またはヘテロ元素である[ここで、R12〜R14は、それぞれ独立してそのいずれもが、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基及び/又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリールである。]。
【0099】
一般式(5)における、(2)置換基及び/又は不飽和結合を有していてもよい炭素数1乃至25の直鎖状若しくは分岐状及び/又は環状の炭化水素基の、Aの例としては、例えば、以下の構造1〜44などを例示することができる。なお、波線は、本明細書中に開示されている一般式(5)の構造の残り部位に対する結合部位を表す。
【0100】
【化23】

【0101】
上記で表されている構造1〜44は、置換基を有していてもよく、ここで置換基としては、前記アリール基で例示されたものと同様の置換基が挙げられる。
【0102】
一般式(5)における、(3)置換基を有していてもよい炭素数6〜15のアリーレン基の、Aの例としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基及びアントラセニレン基などを挙げることができる。
【0103】
一般式(5)における、(4)置換基を有していてもよい炭素数2〜15のヘテロアリーレン基の、Aの例としては、例えば、フリレン基、チエニレン基、ピロニレン基、ベンゾフリレン基、イゾベンゾフリレン基、ベンゾチエニレン基、インドリレン基、イソインドリレン基、カルバゾイレン基、ピリジレン基、キノリレン基、イソキノリレン基、ピラジレン基及びフェロセニレン基などが例示される。
【0104】
上記アリーレン基およびヘテロアリーレン基は、置換基を有していてもよく、ここで置換基としては、前記アリール基で例示されたものと同様の置換基が挙げられる。
【0105】
一般式(5)における、Aとしては、(5)−O−、−S−、−N(R12)−、−S(O)−、−C(O)−、−S(O)−、−P(R12)−、−(R12)P(O)−及び−Si(R1314)−の群から選択される官能基またはヘテロ元素である[ここで、R12〜R14は、それぞれ独立してそのいずれもが、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基及び/又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリールである。]。ここで、Aとしては、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−及び−Si(R1314)−が好ましい。
【0106】
一般式(7)において、R23とR24及びR25とR26とは結合してヘテロ元素を有していてもよい3〜9員環を形成してもよい。この場合、ヘテロ元素としては、例えば、酸素、窒素、リン、硫黄、ホウ素及びケイ素、並びにメタロサイクルを形成可能な金属元素などが挙げられる。ヘテロ元素は、環B中に複数存在していてもよく、その場合は同一のヘテロ元素でもよいし、異なるヘテロ元素でもよい。環Bには、置換基が存在していてもよく、またヘテロ元素に置換基が存在していてもよい。
【0107】
ヘテロ元素を有していてもよい3〜9員環の具体例としては、例えば、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、ベンゼン環、ナフタレン環、ノルボルナン環、ノルボルネン環、デカリン環、フラン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、ジオキサン環、ジオキサシクロヘプタン環、トリオキサシクロヘプタン環、ラクトン環、ラクタム環、モルホリン環、ピロピジン環、ピペリジン環、ピラジン環、チオフェン環及びテトラヒドロヒオフェン環などが例示される。
【0108】
ここで置換基としては、前記アリール基で例示されたものと同様の置換基が挙げられる。
【0109】
また、前記形成された3〜9員環形成に存在する置換基や炭素鎖を介して、一般式(7)で表されるヒドロキシ化合物がポリマーを形成してもよい。
【0110】
一般式(7)において、環Bはヘテロ元素を有していてもよい3〜8員環である。この場合、ヘテロ元素としては、例えば、酸素、窒素、リン、硫黄、ホウ素及びケイ素、並びにメタロサイクルを形成可能な金属元素などが挙げられる。ヘテロ元素は、環B中に複数存在していてもよく、その場合は同一のヘテロ元素でもよいし、異なるヘテロ元素でもよい。環Bには、置換基が存在していてもよく、またヘテロ元素に置換基が存在していてもよい。
【0111】
環Bの具体例としては、例えば、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、ベンゼン環、ナフタレン環、ノルボルナン環、ノルボルネン環、デカリン環、フラン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、ジオキサン環、ジオキサシクロヘプタン環、トリオキサシクロヘプタン環、ラクトン環、ラクタム環、モルホリン環、ピロピジン環、ピペリジン環、ピラジン環、チオフェン環及びテトラヒドロヒオフェン環などが例示される。
【0112】
ここで置換基としては、前記アリール基で例示されたものと同様の置換基が挙げられる。
【0113】
また、環Bに存在する置換基や炭素鎖を介して、一般式(7)で表されるヒドロキシ化合物がポリマーを形成してもよい。
【0114】
一般式(4)のジアリールフェノール類は、例えば、特表2009−510006号公報及び特開2002−212121号公報に記載にされている[参照により、本明細書に組み込むものとする。]。
【0115】
好ましい一般式(4)のジアリールフェノール類としては、例えば、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ジ(4−フロロフェニル)フェノール、2,6−ジ(3,4−ジフロロフェニル)フェノール、2,6−ジ(3,4,5−トリフロロフェニル)フェノール、2,6−ジフェニル−4−メチルフェノール、2,6−ジフェニル−3,5−ジメチルフェノール、2,6−ジ(2−メチルフェニル)−3,5−ジメチルフェノール、2,6−ジ(2−イソプロピルフェニル)−3,5−ジメチルフェノール、2,6−ジ(α−ナフチル)−3,5−ジメチルフェノール、3−フェニル−1,1’−ビナフチル−2−オール、3−(4−フロロフェニル)−1,1’−ビナフチル−2−オール及び1,3−ジフェニル−2−ナフトールなどを挙げることができる。
【0116】
一般式(5)のビス(ジアリールフェノール)類は、例えば、特許文献5に記載にされている[参照により、本明細書に組み込むものとする。]。
【0117】
一般式(5)のビス(ジアリールフェノール)類において、好ましいR、R、R10及びR11としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ヘロゲン原子(フッ素原子、塩素原子)、トリフルオロメチル基、フェニル基、メトキシ基及びニトロ基を挙げることができる。より好ましくは、R、R、R10及びR11が同一であり、特に水素原子が好ましい。
【0118】
また、好ましいAr、Ar、Ar及びArは、例えば、フェニル基、ナフチル基、4−フェルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、4−メチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基及び4−トリフルオロメチルフェニル基であり、より好ましくは、Ar、Ar、Ar及びArが同一であり、特にフェニル基が好ましい。
【0119】
また、好ましいAとしては、例えば、単結合及び前記した構造1〜44を挙げることがでる。より好ましくは、単結合及び前記した構造1〜5である。
【0120】
一般式(6)のビアリールジオール類は、例えば、特表2008−538101号公報に記載にされている[参照により、本明細書に組み込むものとする。]。
【0121】
好ましい一般式(6)のジアリールフェノール類としては、例えば、以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0122】
【化24】

【0123】
【化25】

【0124】
一般式(7)のジメタノール類は、例えば、米国特許第6166260号明細書及び非特許文献Synlett,1998,pp.1291−1293;Tetrahedron:Asymmetry,1991、Vol.2,No.12、pp.1295−1304;CROATIA CHEMICA ACTA,1996,69,pp.459−484;Russian Chemical Bulletin,2000,49,pp.460−465に記載にされている[参照により、本明細書に組み込むものとする。]。
【0125】
好ましい一般式(7)のジメタノール類としては、例えば、2,2−ジメチル−α,α,α’,α’−テトラフェニル−1,3−ジオキソラン−4,5−ジメタノール(TADDOL)及び2,2−ジメチル−α,α,α’,α’−テトラ(1−ナフチル)−1,3−ジオキソラン−4,5−ジメタノール(NAPHTADDOL)を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0126】
一般式(8)のシラノール類は、例えば、独国特許出願公開102005023953号明細書及び国際公開第2009/144906号に記載にされている[参照により、本明細書に組み込むものとする。]。
【0127】
好ましい一般式(8)のシラノール類としては、例えば、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、tert−ブチルジメチルシラノール及びトリフェニルシラノールを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0128】
本発明の有機アルミニウム化合物は、一般式(1)〜(3)で表される有機アルニウムオキシ化合物から選ばれる少なくとも1種と、一般式(4)〜(9)で表されるヒドロキシ化合物から選ばれる少なくとも1種とを反応させることにより得られる。
【0129】
その際、一般式(1)〜(3)で表される有機アルニウムオキシ化合物から選ばれる少なくとも1種に対し、一般式(4)〜(9)で表されるヒドロキシ化合物から選ばれる少なくとも1種を好ましくは0.25〜10等量、より好ましくは0.5〜3等量の割合(アルミニウム原子:化合物比)で不活性ガス雰囲気中で反応させることが好ましい。
【0130】
前記反応は、不活性性溶媒存在下で行うことができる。当該溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタン及びオクタンなど)、脂環式炭化水素(シクロヘキサン及びメチルシクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン及びキシレンなど)、エーテル(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン及びジオキアオランなど)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタン及びクロロベンゼン)等を挙げることができる。これらのうちで好ましくは、トルエン、ヘプタン及びジクロロメタン等の有機溶媒である。これら溶媒は、予め乾燥されたものか、または無水溶媒を用いることが好ましい。
【0131】
また、前記溶媒の使用量は、ヒドロキシ化合物に対して、好ましくは1〜10000倍量、より好ましくは20〜400倍量の範囲である。アルミノキサンの重合度は2以上が好ましい。
【0132】
反応の温度は、約−60〜100℃程度の範囲とすることが好ましく、約−30〜50℃程度の範囲とすることがより好ましく、約−5〜30℃程度とすることが特に好ましい。前記の温度を保ちながら好ましくは約0.25〜30時間、より好ましくは約0.5〜10時間反応させることによって、有機アルミニム化合物を円滑に製造することができる。
【0133】
本発明の有機アルミニウム化合物は、分子内反応、特に分子内環化反応を行うにあたり触媒として優れた効果を有する。
【0134】
本発明の有機アルミニウム化合物は、ラミセ体又は光学活性体のシトロネラールを環化反応させ、ラセミ体又は光学活性体のイソプレゴールへ合成する反応を行うにあたり触媒として使用することができる。
【0135】
本発明の有機アルミニウム化合物を触媒として使用して、シトロネラールを選択的に閉環させるイソプレゴールの製造方法は下記の反応式に示す反応により行われる。
【0136】
【化26】

【0137】
また、本発明の有機アルミニウム化合物を触媒として使用して、シトロネラールを選択的に閉環させる光学活性イソプレゴールの製造方法は下記の反応式に示す反応により行われる。
【0138】
【化27】

【0139】
前記反応式中、有機アルミニウム化合物とは、前記と同じ意味を示す。また、式(11)および(12)において、*印は、不斉炭素原子を示す。
【0140】
即ち、前記反応式中、式(9)又は(11)で表されるシトロネラールを本発明の有機アルミニウム化合物の存在下、選択的に閉環させることにより、式(10)又は(12)で表されるイソプレゴールが形成される。
【0141】
原料化合物であるシトロネラールは市販品をそのまま用いることができる。
【0142】
本発明におけるシトロネラールの閉環反応に触媒として使用する有機アルミニウム化合物の量は、シトロネラールに対して約0.05〜5モル%程度の範囲とすることが好ましく、約0.1〜1モル%程度の範囲とすることがより好ましい。
【0143】
本発明におけるシトロネラールの閉環反応に用いる触媒は、a)予め、反応系中において一般式(1)〜(3)で表される有機アルニウムオキシ化合物から選ばれる少なくとも1種と一般式(4)〜(9)で表されるヒドロキシ化合物から選ばれる少なくとも1種とを混合して触媒(有機アルミニウム化合物)を調製した後、シトロネラールを仕込む方法、b)予め、該有機アルニウムオキシ化合物と該ヒドロキシ化合物とを混合して調製した触媒(有機アルミニウム化合物)を、閉環反応時に、シトロネラールとそれぞれ単独に仕込む方法;何れかの方法によっても同等の結果が得られる。
【0144】
シトロネラールの閉環反応の温度は、約−60〜100℃程度の範囲とすることが好ましく、約−30〜50℃程度の範囲とすることがより好ましく、約−5〜20℃程度とすることが特に好ましい。前記の温度を保ちながら好ましくは約0.25〜30時間、より好ましくは約0.5〜20時間反応させることによって、前記式(10)又は(12)で表されるイソプレゴールを円滑に製造することができる。
【0145】
本発明におけるシトロネラールの閉環反応は、無溶媒条件下、または、不活性溶媒存在下で行うことができる。
【0146】
使用される溶媒としては、本反応を著しく阻害しない溶媒であればよく、特に限定するものではないが、例えば脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタン及びオクタンなど)、脂環式炭化水素(シクロヘキサン及びメチルシクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン及びキシレンなど)、エーテル(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン及びジオキアオランなど)及びハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタン及びクロロベンゼン)等を挙げることができる。これらのうちで好ましくは、トルエン、ヘプタン及びジクロロメタン等の有機溶媒である。これら溶媒は、予め乾燥されたものかまたは無水溶媒を用いることが好ましい。
【0147】
これら溶媒の使用量は、シトロネラールに対して約0〜20倍量とすることが好ましく、0.5〜7倍量の範囲とすることがより好ましい。
【0148】
また、反応の際に、酸化合物や塩基化合物を加えてもよい。酸化合物の具体例としては、例えば、鉱酸(塩酸及び硫酸など)、有機酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シトロネリル酸、ゲラニル酸及びネリル酸など)、有機酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水マレイン酸、無水コハク酸及び無水ピバロイル酸など)を挙げることができる。塩基化合物の具体例としては、無機塩基(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムなど)及び有機塩基(トリメチルアミン及びトリエチルアミンなど)を挙げることができる。
【0149】
閉環反応は、窒素ガスまたはアルゴンガスなどのような不活性ガス雰囲気下で行うことが、閉環反応の円滑な進行のために好ましい。
【0150】
反応の終了後は、通常の後処理を行うことができる。また、前記式(10)又は(12)で表されるイソプレゴールの精製は、深冷分離を行い事なく、単に蒸留による処理を行うことによって高純度のイソプレゴールを得ることができる。
【0151】
更に、蒸留処理後の残留物を酸またはアルカリにて通常に処理を行い、アルミミウムを含む不純物などを除去し、その後、晶析などを行うことで配位子としてヒドロキシ化合物を再利用することができる。
【0152】
一方、本発明の有機アルミニウム化合物において、溶媒に溶けにくい有機アルミニウム化合物については、反応終了後、ろ過して取り除き、そのまま、次の反応に使用することができる。
【0153】
全ての有機アルミニウム化合物の配位子においては、触媒失活後に回収することにより再び触媒へと再利用することが出来る。
【実施例】
【0154】
以下、本発明を比較例および実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものでなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
【0155】
なお、合成例、実施例中での生成物の測定は、次の機器装置類を用いて行った。
核磁気共鳴スペクトル
1H−NMR:Oxford 300MHz FT−NMR(300MHz)(バリアン社製)
ガスクロマトグラフ:島津製作所社製 GC−2010ガスクロマトグラフ
カラム:
添加率測定 Agilent社製 DB−WAX(0.25mm × 30m)
光学純度測定 スペリコ社製 beta−DEX−225(0.25mm × 30m)
beta−DEX−325(0.25mm × 30m)
検出器:FID
【0156】
なお、本発明において使用した各シトロネラールの光学純度は以下の通りである。
d−シトロネラール:97.8%e.e.
l−シトロネラール:96.6%e.e.
ラセミ体シトロネラール:0.74%e.e.
アルミノキサン10w%溶液は、EDTA0.1規定溶液にて滴定し、8〜12w%の溶液を使用した。
【0157】
[実施例1−1]有機アルミニウム化合物の調製
窒素雰囲気下、50mlシュレンク管に2,6−ジフェニルフェノール493mg(2.0mmol)を入れ、窒素置換した後、ヘプタン10ml、メチルアルミノキサン・トルエン溶液0.58ml(10質量%、1.00mmol)を順次加え、室温にて終夜攪拌した後、溶媒を留去して白色固体を得た。この得られた固体をDMSO−dに溶解し、H−NMRにて測定し、ジフェニルフェノールのほかにアルミニウム錯体のピークを確認した。また、配位子及び触媒のNMRチャート(図1)および低磁場側を拡大したもの(図2)を示す。参考図として、配位子(2,6−ジフェニルフェノール)のNMRチャート(図3)および低磁場側を拡大したもの(図4)に示す。
【0158】
[実施例1−2]l−イソプレゴールの合成
実施例1−1に従って合成した有機アルミニウム化合物に、窒素雰囲気下にてトルエン4.6mlを加えて系内温度を0〜5℃に冷却し、d−シトロネラール1.54g(10mmol)を滴下し、0〜5℃で終夜撹拌した。反応終了後、水2mlを加えて、有機層をガスクロマトグラフィーで分析した結果、基質転化率70.5%、イソプレゴール選択率は82.4%で、l−n−イソプレゴールとその他の異性体の比率は97.1:2.9であった。
【0159】
[実施例2−1]有機アルミニウム化合物の調製
50mlシュレンク管に2,6−ジフェニルフェノール197mg(0.80mmol)を入れ、窒素置換した後、トルエン9.3ml、メチルアルミノキサン・トルエン溶液0.12ml(10質量%、0.20mmol)を順次加え、室温にて1時間撹拌して触媒溶液を得た。
【0160】
[実施例2−2]l−イソプレゴールの合成
実施例2−1で得られた触媒溶液を0〜5℃に冷却した後、d−シトロネラール3.09g(20.0mmol)を滴下し、0〜5℃で終夜撹拌した。反応終了後、水2mlを加えて、有機層をガスクロマトグラフィーで分析した結果、基質転化率59.7%、イソプレゴール選択率は87.0%で、l−n−イソプレゴールとその他の異性体の比率は98.1:1.9であった。
【0161】
[実施例3−1]有機アルミニウム化合物の調製
50mlシュレンク管に2,6−ジフェニルフェノール197mg(0.60mmol)を入れ、窒素置換した後、トルエン4.6ml、メチルアルミノキサン・トルエン溶液0.17ml(10質量%、0.30mmol)を順次加え、室温にて1時間撹拌して触媒溶液を得た。
【0162】
[実施例3−2]l−イソプレゴールの合成
実施例3−1で得られた触媒溶液を0〜5℃に冷却した後、d−シトロネラール1.54g(10.0mmol)を滴下し、0〜5℃で終夜撹拌した。反応終了後、水2mlを加えて、有機層をガスクロマトグラフィーで分析した結果、基質転化率82.2%、イソプレゴール選択率は71.5%で、l−n−イソプレゴールとその他の異性体の比率は95.5:4.5であった。
【0163】
[実施例4−1]有機アルミニウム化合物の調製
50mlシュレンク管に2,6−ジフェニルフェノール370mg(1.50mmol)を入れ、窒素置換した後、トルエン4.6ml、メチルアルミノキサン・トルエン溶液0.17ml(10質量%、0.30mmol)を順次加え、室温にて1時間撹拌して触媒溶液を得た。
【0164】
[実施例4−2]l−イソプレゴールの合成
実施例4−1で得られた触媒溶液を0〜5℃に冷却した後、d−シトロネラール1.54g(10.0mmol)を滴下し、0〜5℃で終夜撹拌した。反応終了後、水2mlを加えて、有機層をガスクロマトグラフィーで分析した結果、基質転化率81.9%、イソプレゴール選択率は82.0%で、l−n−イソプレゴールとその他の異性体の比率は96.5:3.5であった。
【0165】
[実施例5−1]有機アルミニウム化合物の調製
50mlシュレンク管に2,6−ジフェニルフェノール148mg(0.60mmol)を入れ、窒素置換した後、トルエン4.6ml、メチルアルミノキサン・トルエン溶液0.17ml(10質量%、0.30mmol)を順次加え、40℃にて終夜撹拌して触媒溶液を得た。
【0166】
[実施例5−2]l−イソプレゴールの合成
実施例5−1で得られた触媒溶液を0〜5℃に冷却した後、d−シトロネラール1.54g(10.0mmol)を滴下し、0〜5℃で終夜撹拌した。反応終了後、水2mlを加えて、有機層をガスクロマトグラフィーで分析した結果、基質転化率64.8%、イソプレゴール選択率は84.8%で、l−n−イソプレゴールとその他の異性体の比率は98.1:1.9であった。
【0167】
[実施例6−1]有機アルミニウム化合物の調製
50mlシュレンク管に2,6−ジフェニルフェノール370mg(1.50mmol)を入れ、窒素置換した後、トルエン4.6ml、メチルアルミノキサン・トルエン溶液0.17ml(10質量%、0.30mmol)を順次加え、40℃にて終夜撹拌して触媒溶液を得た。
【0168】
[実施例6−2]l−イソプレゴールの合成
実施例6−1で得られた触媒溶液を0〜5℃に冷却した後、d−シトロネラール1.54g(10.0mmol)を滴下し、0〜5℃で終夜撹拌した。反応終了後、水2mlを加えて、有機層をガスクロマトグラフィーで分析した結果、基質転化率22.3%、イソプレゴール選択率は84.2%で、l−n−イソプレゴールとその他の異性体の比率は97.6:2.4であった。
【0169】
[実施例7−1]有機アルミニウム化合物の調製
50mlシュレンク管に2,6−ジフェニルフェノール148mg(0.60mmol)を入れ、窒素置換した後、トルエン4.6ml、メチルアルミノキサン・トルエン溶液0.17ml(10質量%、0.30mmol)を順次加え、室温にて1時間撹拌して触媒溶液を得た。
【0170】
[実施例7−2]d−イソプレゴールの合成
実施例7−1で得られた触媒溶液を0〜5℃に冷却した後、l−シトロネラール1.54g(10.0mmol)を滴下し、0〜5℃で終夜撹拌した。反応終了後、水2mlを加えて、有機層をガスクロマトグラフィーで分析した結果、基質転化率89.2%、イソプレゴール選択率は88.1%で、l−n−イソプレゴールとその他の異性体の比率は96.9:3.1であった。
【0171】
[実施例8−1]有機アルミニウム化合物の調製
50mlシュレンク管に2,6−ジフェニルフェノール148mg(0.60mmol)を入れ、窒素置換した後、塩化メチレン4.6ml、メチルアルミノキサン・トルエン溶液0.17ml(10質量%、0.30mmol)を順次加え、40℃にて終夜撹拌して触媒溶液を得た。
【0172】
[実施例8−2]l−イソプレゴールの合成
実施例8−1で得られた触媒溶液を0〜5℃に冷却した後、d−シトロネラール1.54g(10.0mmol)を滴下し、0〜5℃で終夜撹拌した。反応終了後、水2mlを加えて、有機層をガスクロマトグラフィーで分析した結果、基質転化率98.8%、イソプレゴール選択率は93.3%で、l−n−イソプレゴールとその他の異性体の比率は98.2:1.8であった。
【0173】
[実施例9−1]有機アルミニウム化合物の調製
50mlシュレンク管に(S,S)−2,2−ジメチル−α,α,α’,α’−テトラ(1−ナフチル)−1,3−ジオキソラン−4,5−ジメタノール(以下、(S,S)−1−ナフチルタドール又は(S,S)−1−NAPHTADDOLともいう)400mg(0.60mmol)を入れ、窒素置換した後、トルエン9.3ml、メチルアルミノキサン・トルエン溶液0.35ml(10質量%、0.60mmol)を順次加え、室温にて1時間撹拌して触媒溶液を得た。
【0174】
[実施例9−2]l−イソプレゴールの合成
実施例9−1で得られた触媒溶液を0〜5℃に冷却した後、d−シトロネラール3.09g(20.0mmol)を滴下し、0〜5℃で終夜撹拌した。反応終了後、水2mlを加えて、有機層をガスクロマトグラフィーで分析した結果、基質転化率94.8%、イソプレゴール選択率は91.8%で、l−n−イソプレゴールとその他の異性体の比率は90.8:9.2であった。
【0175】
[実施例10−1]有機アルミニウム化合物の調製
50mlシュレンク管に(R)−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル(以下、(R)−BINOL)ともいう)275mg(1.60mmol)を入れ、窒素置換した後、トルエン9.3ml、メチルアルミノキサン・トルエン溶液0.35ml(10質量%、0.60mmol)を順次加え、40℃にて終夜撹拌して触媒溶液を得た。
【0176】
[実施例10−2]l−イソプレゴールの合成
実施例10−1で得られた触媒溶液を0〜5℃に冷却した後、d−シトロネラール3.09g(20.0mmol)を滴下し、0〜5℃で終夜撹拌した。反応終了後、水2mlを加えて、有機層をガスクロマトグラフィーで分析した結果、基質転化率83.7%、イソプレゴール選択率は84.8%で、l−n−イソプレゴールとその他の異性体の比率は87.8:12.2であった。
【0177】
[実施例11−1]有機アルミニウム化合物の調製
50mlシュレンク管に(R)−BINOL275mg(1.60mmol)を入れ、窒素置換した後、トルエン9.3ml、メチルアルミノキサン・トルエン溶液0.35ml(10質量%、0.60mmol)を順次加え、40℃にて終夜撹拌して触媒溶液を得た。
【0178】
[実施例11−2]l−イソプレゴールの合成(光学分割)
実施例11−1で得られた触媒溶液を0〜5℃に冷却した後、ラセミ体シトロネラール3.09g(20.0mmol)を滴下し、0〜5℃で1.5時間撹拌した。反応終了後、水2mlを加えて、有機層をガスクロマトグラフィーで分析した結果、基質転化率52.5%、イソプレゴール選択率は89.9%で、l−n−イソプレゴールとその他の異性体の比率は86.8:13.2であった。系内のl−n−イソプレゴールのエナンチオ選択率は44.3%、l−シトロネラールのエナンチオ選択率は30.2%であった。
【0179】
[実施例12−1]有機アルミニウム化合物の調製
50mlシュレンク管に(S,S)−1−NAPHTADDOL400mg(0.60mmol)を入れ、窒素置換した後、トルエン9.3ml、メチルアルミノキサン・トルエン溶液0.35ml(10質量%、0.60mmol)を順次加え、40℃にて終夜撹拌して触媒溶液を得た。
【0180】
[実施例12−2]l−イソプレゴールの合成(光学分割)
実施例12−1で得られた触媒溶液を0〜5℃に冷却した後、ラセミ体シトロネラール3.09g(20.0mmol)を滴下し、0〜5℃で9時間撹拌した。反応終了後、水2mlを加えて、有機層をガスクロマトグラフィーで分析した結果、基質転化率51.1%、イソプレゴール選択率は85.7%で、l−n−イソプレゴールとその他の異性体の比率は89.0:11.0であった。系内のl−n−イソプレゴールのエナンチオ選択率は16.6%、l−シトロネラールのエナンチオ選択率は10.4%であった。
【0181】
[実施例13−1]有機アルミニウム化合物の調製
窒素雰囲気、50mlシュレンクに(R)−BINOL286mg(1.00mmol)を入れ、窒素置換した後、ヘプタン11ml、メチルアルミノキサン・トルエン溶液0.58ml(10質量%、1.00mmol)を順次加え、40℃にて16時間撹拌した後、溶媒を留去して白色固体(有機アルミニウム化合物)を得た。
【0182】
[実施例13−2]l−イソプレゴールの合成
実施例13−1で得られた固体に窒素雰囲気下にてヘプタン6mlを加えて系内温度を0〜5℃に冷却し、d−シトロネラール1.54g(10mmol)を滴下し、0〜5℃で2時間撹拌した。反応液を30分程静置させ、上澄み液をシリンジにて4.5ml採取後、水2mlを加えて、有機層をガスクロマトグラフィーで分析した結果、基質転化率99.6%、イソプレゴール選択率は96.8%で、l-n−イソプレゴールとその他の異性体の比率は93.4:6.6であった。
【0183】
二回目の反応としてシュレンク内の残渣にヘプタンを4.5ml添加し、攪拌を再開しつつ系内を再び0〜5℃に冷却した。d−シトロネラール1.54g(10mmol)を滴下し、滴下終了後サンプルを採取してガスクロマトグラフィーにて分析し、更に0〜5℃で3時間撹拌した。反応液を30分程静置させ、上澄み液をシリンジにて4.5ml採取後、水2mlを加えて、有機層をガスクロマトグラフィーで分析した。
【0184】
二回目反応において滴下直後の系内における基質転化率38.2%、3時間反応後の基質転化率97.8%、イソプレゴール選択率は95.7%で、l-n−イソプレゴールとその他の異性体の比率は94.8:5.2であった。
【0185】
三回目の反応としてシュレンク内の残渣にヘプタンを4.5ml添加し、攪拌を再開しつつ系内を再び0〜5℃に冷却した。d−シトロネラール1.54g(10mmol)を滴下し、滴下終了後サンプルを採取してガスクロマトグラフィーにて分析し、更に0〜5℃で3時間撹拌した。反応液に水2mlを加えて反応を終了し、有機層をガスクロマトグラフィーで分析した。
【0186】
三回目反応において滴下直後の系内における基質転化率27.8%、3時間反応後の基質転化率96.9%、イソプレゴール選択率は95.4%で、l-n−イソプレゴールとその他の異性体の比率は95.1:4.9であった。
【0187】
四回目反応において滴下直後の系内における基質転化率31.1%、5時間反応後の基質転化率92.9%、イソプレゴール選択率は94.8%で、l-n−イソプレゴールとその他の異性体の比率は95.5:4.5であった。
【0188】
五回目反応において滴下直後の系内における基質転化率25.4%、7時間反応後の基質転化率90.9%、イソプレゴール選択率は92.9%で、l-n−イソプレゴールとその他の異性体の比率は94.5:5.5であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される鎖状アルミノキサン類、一般式(2)で表される環状アルミノキサン類及び一般式(3)で表されるビス(ジアルキルアルミニウムオキシ)アルキルボラン類から選ばれる少なくとも1種の有機アルミニウムオキシ化合物と、一般式(4)で表されるジアリールフェノール類、一般式(5)で表されるビス(ジアリールフェノール)類、一般式(6)で表されるビアリールジオール類、一般式(7)で表されるジメタノール類及び一般式(8)で表されるシラノール類から選ばれる少なくとも1種のヒドロキシ化合物とを反応させて得られる有機アルミニウム化合物。
【化1】


[一般式(1)中、Rは、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数5乃至8の脂環式基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基であり、複数のRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく;pは0〜40の整数である。]
【化2】


[一般式(2)中、Rは、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数5乃至8の脂環式基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基であり;pは0〜40の整数である。]
【化3】


[一般式(3)中、Rは、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数5乃至8の脂環式基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基であり、複数のRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく;Rは、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数5乃至8の脂環式基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基である。]
【化4】


[一般式(4)中、Ar及びArは、それぞれ独立してそのいずれもが、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2乃至15のヘテロアリール基であり;R、R及びRは、それぞれ独立してそのいずれもが、水素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、炭素数1乃至4のパーフロロアルキル基、炭素数1乃至8のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基、ハロゲン原子、オルガノシリル基、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基、炭素数2乃至8のジアルキルアミノ基、炭素数1乃至4のチオアルコキシ基、ニトロ基又はポリマー鎖であり、RとR又はRとRとは各々互いに一緒になって、縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基を形成してもよい。]
【化5】


[一般式(5)中、Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立してそのいずれもが、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15アリール基、置換基を有していてもよい炭素数2乃至15のヘテロアリール基であり;R、R、R10及びR11は、それぞれ独立してそのいずれもが、水素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、炭素数1乃至4のパーフロロアルキル基、炭素数1乃至8のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基、ハロゲン原子、オルガノシリル基、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基、炭素数2乃至8のジアルキルアミノ基、炭素数1乃至4のチオアルコキシ基、ニトロ基又はポリマー鎖あり、RとR又はR10とR11とは各々互いに一緒になって、縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基を形成してもよく、R若しくはR及び/又はR10若しくはR11はAと一緒になって環状芳香族または非芳香族環を形成してもよく;Aは、(1)単結合;(2)置換基及び/又は不飽和結合を有していてもよい炭素数1乃至25の直鎖状若しくは分岐状及び/又は環状の炭化水素基;(3)置換基を有していてもよい炭素数6〜15のアリーレン基;(4)置換基を有していてもよい炭素数2〜15のヘテロアリーレン基;(5)−O−、−S−、−N(R12)−、−S(O)−、−C(O)−、−S(O)−、−P(R12)−、−(R12)P(O)−及び−Si(R1314)−の群から選択される官能基またはヘテロ元素である(ここで、R12〜R14は、それぞれ独立してそのいずれもが、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基及び/又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリールである。)。]
【化6】


[一般式(6)中、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21及びR22は、それぞれ独立してそのいずれもが、水素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、炭素数1乃至4のパーフロロアルキル基、炭素数1乃至8のアルコキシ基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基、ハロゲン原子、オルガノシリル基、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基、炭素数2乃至8のジアルキルアミノ基、炭素数1乃至4のチオアルコキシ基、ニトロ基又はポリマー鎖であり、R15とR16、R16とR17、R17とR18、R15とR22、R19とR20、R20とR21又はR21とR22とは各々互いに一緒になって、縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基を形成してもよい。]
【化7】


[一般式(7)中、R23、R24、R25、及びR26は、それぞれ独立してそのいずれもが、水素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、炭素数1乃至8のパーハロゲノアルキル基、炭素数1乃至8のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数7乃至12のアラルキル基、ハロゲン原子、オルガノシリル基、置換基を有していてもよい炭素数6乃至15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2乃至15のヘテロアリール基、炭素数2乃至8のジアルキルアミノ基、炭素数1乃至4のチオアルコキシ基、ニトロ基又はポリマー鎖であり、R23とR24及びR25とR26とは結合してヘテロ元素を有していてもよい3〜9員環を形成してもよく;環Bはヘテロ元素を有していてもよい3〜8員環である。]
【化8】


[一般式(8)中、R27、R28、及びR29は、それぞれ独立してそのいずれもが、炭素数1乃至10のアルキル基、炭素数5乃至8の脂肪環式基、炭素数7乃至12のアラルキル基、炭素数6乃至10の置換されていてもよいアリール基、炭素数2乃至15の置換基を有していてもよいヘテロアリール基又はポリマー鎖である。]
【請求項2】
請求項1に記載の有機アルミニウム化合物を触媒とし、式(9)で表されるシトロネラールを選択的に閉環させることを特徴とする式(10)で表されるイソプレゴールの製造方法。
【化9】


【化10】

【請求項3】
請求項1に記載の有機アルミニウム化合物を触媒とし、式(11)で表されるシトロネラールを選択的に閉環させることを特徴とする式(12)で表される光学活性イソプレゴールの製造方法。
【化11】


[式(11)中、*印は、不斉炭素原子を示す。]
【化12】


[式(12)中、*印は、不斉炭素原子を示す。]

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−246366(P2011−246366A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119457(P2010−119457)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000169466)高砂香料工業株式会社 (194)
【Fターム(参考)】