有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法、その方法において使用される基板、及び、その方法により得られる有機エレクトロルミネセンス表示装置
有機エレクトロルミネセンス(電子発光)表示装置の製造方法において、第1の方向においても第2の方向と同様に第1の導体を延在させる層配置が基板に適用される一方、電圧の影響下で発光する有機エレクトロルミネセンス接続が導体の交差部間に設けられ、基板はプラスチックから作られ、その基板には、少なくとも形成すべきいくつかの層のために境界を形成する表面構造が設けられる。本発明はまた、有機エレクトロルミネセンス表示装置を製造する本発明に係る方法における用途を意図する基板を提供するものであり、その基板は、プラスチックから作られ、その基板には、少なくとも形成すべきいくつかの層のために境界を形成する表面構造が設けられる。本発明はさらに、本発明に係る方法により得られる有機エレクトロルミネセンス表示装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の方向だけでなく第2の方向においても導体を延在させる層配置が基板に適用される一方、電圧の影響下で発光する有機エレクトロルミネセンス(電子発光)接続を導体の交差部間に設ける、有機エレクトロルミネセンス(電子発光)表示装置の製造方法に関する。
【0002】
本発明はまた、本発明に係る有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法における用途に適し、斯かる用途を意図する基板に関する。
【背景技術】
【0003】
有機エレクトロルミネセンス表示装置を製造する公知の方法では、先ず、基板をガラスにより製作し、その基板上に例えば回転塗布法によってフォトレジストを形成した構造を設ける。フォトレジストは部分的に露出させ、その後、洗浄技術により部分的に除去する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらのプロセスは手間がかかり、多くの時間を要するため、コストがかかる。表示装置の製造において大きな部分を占めるのは、正にこの費用原価であるため、表示装置の製造において、そのような「湿式」化学工程を省いて表示装置を提供すれば非常に有利である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、本発明によれば、冒頭の段落において述べた種類の方法は、基板がプラスチックから作られ、かつ、少なくとも形成すべきいくつかの層に対して境界を形成する表面構造を基板に設けることを特徴とする。
【0006】
斯かる表面構造を設けたプラスチック基板は、例えば、射出成形、エンボス加工、光重合による複製等、本質的に公知のプラスチック設計プロセスによって製作することができる。エンボス加工は、例えば米国特許公報第US−A−4659407号に記載されており、光重合による複製は国際公開公報第WO87/02934号に記載されている。射出成形技術を用いることにより、プラスチック基板において非常に精巧なサブミクロン構造を比較的に非常に低い費用原価で製造できることは、例えばCDの作製から公知である。従って、基板形成に湿式化学技術を用いることは、斯かる技術に関連する総ての利点をもってしてもその必要性がない。例えば、国際公開公報第WO99/12160号や欧州特許公報第EP−A−0408283号に記載の通り、そのような精巧な表面構造はフィルム上にも形成することができる。
【0007】
本発明に係る方法のさらなる態様によれば、第1の導電層は、例えばスパッタリングプロセス等の層形成プロセスによって形成することができ、プラスチック基板の表面構造にはシャドウイング構造が設けられる。そのシャドウイング構造が設けられるにあたっては、層形成プロセスによって、このシャドウイングプロセスの部分が、仮に各導電層によって被覆される場合でも、わずかに被覆される程度とする。
【0008】
シャドウイング構造は、その部分における電気抵抗が導電層の残余の部分における抵抗に比較して大きくなるようにしなければならない。
【0009】
本発明のさらなる態様によれば、シャドウイング構造は、多数の平行な狭く深い溝を備えることができ、溝の幅及び深さは、層形成プロセスにおいて、溝の側壁及び/又は底面の少なくとも一部が、仮に第1の導電層によって被覆されるとしてもわずかに被覆される程度となるようにする。
【0010】
斯かる溝構造は、離型方法により、プラスチック基板を形成する鋳型からこれを取り外せるように設計することができる。そのため、プラスチック基板の設計プロセスにおいては、プラスチック基板に必要な単一の仕上げ工程を行わずにシャドウイング構造を設ける。基本的に、鋳型の形状が適切であれば、プラスチック基板の設計プロセスにおいてシャドウイング構造を得る費用は実質的にかからない。
【0011】
本発明のまた別の態様によると、例えばインクジェット印刷、シルクスクリーン印刷、静電印刷技術、熱転写印刷等の印刷操作により層を形成することができる。印刷プロセスを幾分簡略化するため、言うなれば基板の表面構造に予め流路を設け、そこに印刷プロセスで分配された液体を蒸着させるように設計すると有利である。それぞれの流路の壁は、印刷プロセスにおいて流路内に蒸着された液体の境界を形成する。
【0012】
その後、印刷技術、スパッタリング等の層形成技術、CVD及びPECVD技術により、層及び層パターンを形成し、それらを用いて有機エレクトロルミネセンス表示装置を構成することができる。斯かる層及び層パターンは、例えば、ピクセルピット又はサブピクセルピットにおけるPDOT及びPPV層、第1の導体を被覆する絶縁層、並びに、いくつかの第2の導体を形成する導電層を含む。
【0013】
本発明のさらなる態様によれば、任意に、後続層の形成にとって望ましい凹凸構造を形成するために、硬化ワニスを使用し、既にいくつかの層を形成した基板に追加の凹凸構造を設けることができる。例えば、簡単な方法により、第2の導体を形成する液体を蒸着させることのできるいくつかの新たな流路を形成することができる。この硬化ワニスは、例えば、インクジェット印刷操作により局所的に蒸着するUV硬化ワニスとしてもよい。斯かる方法は、例えば、比較的に狭く深い溝にUV硬化ワニスを充填することによって、上記のシャドウイング構造をも除去することができる。
【0014】
本発明のまた別のさらなる態様によれば、少なくとも一つの層を形成した後に、例えば、局所的熱処理等の変形技術によって表面構造の形状を適応させることができる。そのような熱処理は、例えば、非接触的に赤外線により若しくはレーザ照射により、又は、接触処理により行うことができる。その結果、例えば、溝状のシャドウイング構造を溶解することができる。
【0015】
本発明によれば、冒頭の段落で述べた基板は、プラスチックから作られ、少なくとも形成すべきいくつかの層のための境界を形成する表面構造が設けられることを特徴とする。
【0016】
斯かる表面構造を設けたプラスチック基板は、射出成形プロセスにおける一回の操作により製造することができる。これは、基板の費用原価が格段に低くなることを意味する。これは、光化学技術を用いて構造を設ける、従来使用されてきたガラス製の基板とは対照をなすものである。
【0017】
本発明のさらなる態様によれば、表面構造にはいくつかのピクセルピット又はサブピクセルピットを備えることができる。斯かるピットを備えることにより、インクジェットプロセスを用いてのPDOTやPPV等の液体蒸着が、簡素でより制御しやすくなる。
【0018】
さらに、スパッタリングプロセス、間接スパッタリング及び蒸着の少なくとも一つにより、シャドウイング構造の部分をそれぞれの導電層によって被覆せずに、導電層において絶縁路を形成するようにしたシャドウイング構造を表面構造に設けることもできる。本発明のさらなる態様によれば、平行な狭く深いいくつかの溝によってシャドウイング構造を形成することができ、その溝は、スパッタリングプロセスにおいて、溝の側壁及び/又は底面の少なくとも一部を第1の導電層が被覆することのない幅及び深さとする。
【0019】
本発明のさらなる態様によれば、ピクセルピット又はサブピクセルピットには、通過する生成光に作用する構造を設けることができる。斯かる構造は、ピクセルピット又はサブピクセルピットから離隔した基板の側部に設けることができる。例えば、通過する光を収束させたり発散させたりするフレネルレンズ形式の構造が考慮される。
【0020】
さらに、本発明のさらなる態様によれば、ピクセルピット又はサブピクセルピットに設ける層を形成するための液体の分配を改良することを目的とする構造を、ピクセルピット又はサブピクセルピットに設けることができる。尚、印刷技術により、液体を蒸着させる流路にかかる液体の分配を改良する構造を設けて、液体をより良く分配させることもできる。
【0021】
本発明のさらなる態様によれば、ピクセルピット又はサブピクセルピットに接触面拡大構造を設けることができる。先ず、斯かる接触面拡大構造によってより大きい導電面が得られるため、ピクセルを交差する電気抵抗が減少する。しかも、より大きな電子発光面が作られるため、ピクセル当りの光強度が増す。液体の分配を改良する構造に接触面拡大構造を任意に組み合わせてもよい。その構造は、例えば、いくつかの毛細管状の溝を備えることができる。
【0022】
本発明はまた、請求項31乃至44のいずれか一項に記載の基板を基にして、請求項1乃至30のいずれか一項に記載の方法を用いて製造される有機エレクトロルミネセンス表示装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1及び図2は、有機エレクトロルミネセンス表示装置を製造するための層を設けていない状態のプラスチック基板1の一部分の断面正面図及び平面図を示す。基板の製造中に、例えば射出成形操作により、少なくとも形成すべきいくつかの層に対して境界を形成する表面構造を基板に設ける。例えば、ピクセルピット境界3によって包囲されたピクセルピット2が明確に見てとれる。表面構造は、さらにシャドウイング構造4を備えている。この実施の形態の例においては、シャドウイング構造は、その都度、いくつかの平行な深く狭い溝4’、4’’、4’’’として設計した。斯かるシャドウイング構造は、例えばスパッタリング等の層形成プロセスによって形成した層が、仮にシャドウイング構造の部分を被覆するとしても、わずかに被覆する程度とする。
【0024】
図3及び図4は、例えば窒化物−酸化物−窒化物層、即ち、NON層等の透明カプセル充填層5を設けた、斯かる基板を示す。このほかにも、水、酸素及び他の望ましくない物質に対して密閉性のある透明層も可能である。透明カプセル充填層は、例えば、PVDプロセス、CVDプロセス、PECVDプロセス等の蒸着法により形成することができる。
【0025】
図5及び図6は、第1の導電層6を形成した後の基板を示す。斯かる層は、例えばスパッタリングプロセスにより形成することができる。この実施の形態においては、TCO(透明導電性酸化物)層によって第1の導電層を形成する。他の導電層も形成することができる。溝4’、4’’、4’’’の深い部分は、仮に第1の導電層6によって被覆されるとしても、わずかに被覆される程度であることが明確に見てとれる。このようにして、相互に絶縁され第1の方向に延在する平行な導電路が得られる。図5及び図6はまた、基板の表面構造のピクセルピット又はサブピクセルピット2において延在する第1の導体の部分を明示する。第1の導電層は、いわゆるPDOT層でもよい。但し、例えばPDOT層等の正孔注入層7をピクセルピット又はサブピクセルピット2だけに形成することもまた可能である。図7及び図8に示す、最後に述べるオプションの場合は、例えばインクジェット操作等の印刷操作によりピクセルピット又はサブピクセルピット内において層を蒸着させることができる。ピクセルピット又はサブピクセルピット2は、ピクセルピット境界3によって包囲されているため、PDOT層を形成する液体がピクセルピット又はサブピクセルピット2の外に流出するリスクは最小限に抑制される。
【0026】
その後、図9及び図10では、ピクセルピット又はサブピクセルピット2においてさらに、例えばPPV層等の発光層8が蒸着されていることが分かる。この層もまた、例えばインクジェット印刷により設けることができる。
【0027】
図11及び図12は、シャドウイング構造4を示しており、深く狭い溝4’、4’’、4’’’に絶縁被覆9が充填された様子をより詳細に示している。この被覆は、例えばUV硬化ワニスによって形成することができ、UV硬化ワニスは、インクジェット印刷操作によって正確に塗布することができる。また、その代わりに、図39bに示す方法を用いてもよい。
【0028】
次に、図13及び図14に示すように、基板1の全体をバリウムの層10により被覆し、その上に、図15及び図16に示すように、第2の導電層11を形成することにより、相互に絶縁され第2の方向に延在するいくつかの平行な導体12を設ける。第2の導体12の部分は、基板の表面構造のピクセルピット又はサブピクセルピット2に延在する。この実施の形態においては、第2の導体12は、平行なシャドウイング構造4の間に延在する第1の導体に対し垂直に延在する。第2の導電層11もまた、例えばインクジェット印刷操作等の印刷プロセスにより選択的に形成できる。
【0029】
最後に、図17及び図18は、基板全体に渡って第2のカプセル充填層13を形成した様子を示す。この層もまた、密閉により、例えば水、酸素等の望ましくない物質を遮断する。
【0030】
図19及び図20は、基板21の第2の実施の形態を示す。第1の実施の形態とは対照的に、この基板には、上述のシャドウイング構造を設けていない。その代わりに、印刷可能な第1の導電層のために流路境界24’を有する流路構造24が存在する。また、ピクセルピット又はサブピクセルピット22がピクセルピット境界23と共に明確に見てとれる。さらに、印刷可能な第2の導電層のために、分離構造25が既に部分的に存在する。この分離構造25は、第1の導電層27を印刷する流路24の位置で途絶えている。
【0031】
図21及び図22は、例えば窒化物−酸化物−窒化物、即ち、NON層等の透明カプセル充填層26を設けた、斯かる基板を示す。この他にも、水や酸素の他、望ましくない物質に対して密閉性のある透明層が可能である。透明カプセル充填層26は、例えば、CVDプロセスやPECVDプロセス等の蒸着技術により形成することができる。
【0032】
図23及び図24は、印刷した第1の導電層27を示す。第1の導電層27が、そのために用意された流路構造24とピクセルピット又はサブピクセルピット12とに延在する様子が明確に見てとれる。この例示の実施の形態における第1の導電層27は、インクジェット印刷操作によって所望の位置に設けられたPDOT層により形成される。流路構造境界24’とピクセルピット境界23とは、液体が所望の領域外に流出することを確実に防止する。
【0033】
図25及び図26は、ピクセルピット又はサブピクセルピット22において、さらに、例えばPPV層等の発光層28を蒸着した様子を示す。この層28もまた、例えばインクジェット印刷により設けることができる。
【0034】
図27及び図28は、流路構造24に渡って絶縁被覆29を設けたことを示す。絶縁被覆29は、例えば、UVワニスやフォトレジストワニスによって形成することができる。
【0035】
図29及び図30は、流路構造24に敷居30を設けることにより分離構造25をも設けた様子を示す。従って、後続層の形成にとって望ましい凹凸構造を形成するために、既にいくつかの層が設けられた基板上に追加の凹凸構造を設ける。例示的な本実施の形態においては、硬化ワニス、例えばUV硬化ワニスを使用して印刷操作により追加の凹凸構造30を設ける。このようにして、相互に平行に延在する流路31が形成され、その流路方向は、第1の導体27が延在する前記の第1の方向に対して垂直である。
【0036】
図31及び図32においては、その後、基板全体を、例えばカルシウム−マグネシウム層、フッ化リチウム層、バリウム層等の電子注入層32により被覆した様子を示す。
【0037】
図33及び図34は、その後、例えばインクジェット印刷操作により、流路31に第2の導電層33を設けた様子を示す。第2の導電層33は、相互に絶縁され第2の方向に延在するいくつかの平行な導体を提供し、他方で第2の導体の部分は、基板21の表面構造のピクセルピット又はサブピクセルピット22において延在する。
【0038】
最後に、図35及び図36は、第2の導電層の形成後に、基板表面のほぼ全面に渡ってカプセル充填層34を形成した様子を示す。この層もまた密封により、例えば、水、酸素等の望ましくない物質を遮断する。例えば、窒化物−金属−窒化物層、NONON層、NDLCN層(窒化ダイヤモンド様窒化炭素(nitride diamond like carbon nitride))等により斯かる層を構成することができる。
【0039】
図37は、通過する生成光に作用する構造35をピクセルピット又はサブピクセルピットに設けた基板の頂平面図を示す。図37においては、その構造が収束作用、発散作用、又は、逆に、平行作用を及ぼすフレネルレンズ35を形成している。尚、そのような構造をいくつかのピクセルに渡って延在させることも可能であり、その結果、出来上がったディスプレイの一部分において、放出される光が光学的に影響を受けることに注意されたい。そのような構造は、ピクセルピットから離隔した基板の側部に設けることもできる。
【0040】
図38においては、ピクセルピット又はサブピクセルピットに設ける層を形成するために液体の分配を改善することを目的に、ピクセルピット又はサブピクセルピット2、22に設けた別の構造36を示す。この構造36は、好ましくは、接触面拡大効果をも備える。これは、例えば、毛細管状溝を設けた構造によって達成することができる。このように接触面を大きくすることにより、電気抵抗が減少するばかりでなく、より大きな発光面が得られ、その結果、より多くの光が発生することになる。
【0041】
図39aにおいても、シャドウイング構造4を備える基板1の断面を示す。図39bにおいては、レンズ37を通して誘導されるレーザビーム又は赤外線ビームによってこの構造が局所的に溶解される様子が示されている。シャドウイング構造4は、局所的に加熱されて溶解し、その結果、シャドウイング構造4は消滅する。
【0042】
本発明は、本明細書に記載した例示的な実施の形態に限定されないこと、また、添付の請求項に規定する本発明の範囲において、様々な変更が可能であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図2】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図3】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図4】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図5】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図6】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図7】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図8】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図9】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図10】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図11】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図12】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図13】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図14】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図15】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図16】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図17】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図18】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図19】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図20】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図21】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図22】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図23】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図24】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図25】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図26】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図27】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図28】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図29】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図30】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図31】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図32】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図33】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図34】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図35】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図36】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図37】ピクセルピットに第1の構造を形成した基板の平面図である。
【図38】ピクセルピットに第2の構造を形成した基板の平面図である。
【図39a】シャドウイング構造を設けた基板を示す図である。
【図39b】熱レーザ操作を通じて上記シャドウイング構造を局所的に除去する方法を示す図である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の方向においても導体を第2の方向における第2の導体と同様に延在させる層配置が基板に適用される一方、電圧の影響下で発光する有機エレクトロルミネセンス(電子発光)化合物が第1及び第2の導体の交差部に設けられる、有機エレクトロルミネセンス(電子発光)表示装置の製造方法に関する。
【0002】
本発明はまた、層形成プロセスによって第1の導電層を形成する工程を含む本発明に係る有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法における用途に適し、斯かる用途を意図する基板に関する。
【背景技術】
【0003】
有機エレクトロルミネセンス表示装置を製造する公知の方法では、先ず、基板をガラスにより製作し、その基板上に例えば回転塗布法によってフォトレジストを形成した構造を設ける。フォトレジストは部分的に露出させ、その後、洗浄技術により部分的に除去する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらのプロセスは手間がかかり、多くの時間を要するため、コストがかかる。表示装置の製造において大きな部分を占めるのは、正にこの費用原価であるため、表示装置の製造において、そのような「湿式」化学工程を省いて表示装置を提供すれば非常に有利である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、本発明によれば、冒頭の段落において述べた種類の方法は、基板が、プラスチックから作られ、かつ、少なくとも形成すべきいくつかの層のための境界を形成する表面構造を有するものであり、第1の導電層は、層形成プロセスによって形成されるものであり、プラスチック基板の表面構造にはシャドウイング構造が設けられ、そのシャドウイング構造が設けられるにあたっては、層形成プロセスによって、このシャドウイング構造の部分が、仮に各導電層により被覆される場合でも、わずかに被覆される程度とし、シャドウイング構造は、その部分における電気抵抗が導電層の残余の部分における抵抗に比較して大きいものであることを特徴とする。
【0006】
斯かる表面構造を設けたプラスチック基板は、例えば、射出成形、エンボス加工、光重合による複製等、本質的に公知のプラスチック形成プロセスによって製作することができる。エンボス加工は、例えば米国特許公報第US−A−4659407号に記載されており、光重合による複製は国際公開公報第WO87/02934号に記載されている。射出成形技術を用いることにより、プラスチック基板において非常に精巧なサブミクロン構造を比較的に非常に低い費用原価で製造できることは、例えばCDの作製から公知である。従って、基板形成に湿式化学技術を用いることは、斯かる技術に関連する総ての利点をもってしてもその必要性がない。例えば、国際公開公報第WO99/12160号や欧州特許公報第EP−A−0408283号に記載の通り、そのような精巧な表面構造はフィルム上にも形成することができる。
【0007】
本発明のまたさらなる態様によれば、シャドウイング構造は、多数の平行な狭く深い溝を備えることができ、溝の幅及び深さは、層形成プロセスにおいて、溝の側壁及び/又は底面の少なくとも一部が、仮に第1の導電層によって被覆されるとしてもわずかに被覆される程度となるようにする。
【0008】
斯かる溝構造は、離型方法により、プラスチック基板を形成する鋳型からこれを取り外せるように設計することができる。そのため、プラスチック基板の形成プロセスにおいては、プラスチック基板に必要な単一の仕上げ工程を行わずにシャドウイング構造を設ける。基本的に、鋳型の形状が適切であれば、プラスチック基板の設計プロセスにおいてシャドウイング構造を得る費用は実質的にかからない。
【0009】
本発明のまた別の態様によると、例えばインクジェット印刷、シルクスクリーン印刷、静電印刷技術、熱転写印刷等の印刷操作により層を形成することができる。印刷プロセスを幾分簡略化するため、言うなれば基板の表面構造に予め流路を設け、そこに印刷プロセスで分配された液体を蒸着させるように設計すると有利である。それぞれの流路の壁は、印刷プロセスにおいて流路内に蒸着された液体の境界を形成する。
【0010】
その後、印刷技術、スパッタリング等の層形成技術、CVD及びPECVD技術により、層及び層パターンを形成し、それらを用いて有機エレクトロルミネセンス表示装置を構成することができる。斯かる層及び層パターンは、例えば、ピクセルピット又はサブピクセルピットにおけるPDOT及びPPV層、第1の導体を被覆する絶縁層、並びに、いくつかの第2の導体を形成する導電層を含む。
【0011】
本発明のさらなる態様によれば、任意に、後続層の形成にとって望ましい凹凸構造を形成するために、硬化ワニスを使用し、既にいくつかの層を形成した基板に追加の凹凸構造を設けることができる。例えば、簡単な方法により、第2の導体を形成する液体を蒸着させることのできるいくつかの新たな流路を形成することができる。この硬化ワニスは、例えば、インクジェット印刷操作により局所的に蒸着するUV硬化ワニスとしてもよい。斯かる方法は、例えば、比較的に狭く深い溝にUV硬化ワニスを充填することによって、上記のシャドウイング構造をも除去することができる。
【0012】
本発明のまた別のさらなる態様によれば、少なくとも一つの層を形成した後に、例えば、局所的熱処理等の変形技術によって表面構造の形状を適応させることができる。そのような熱処理は、例えば、非接触的に赤外線により若しくはレーザ照射により、又は、接触処理により行うことができる。その結果、例えば、溝状のシャドウイング構造を溶解することができる。
【0013】
本発明によれば、冒頭の段落で述べた基板は、プラスチックから作られ、本発明に係る方法において少なくとも形成すべきいくつかの層のための境界を形成する表面構造を有し、かつ、プラスチック基板の表面構造にはシャドウイング構造が設けられ、そのシャドウイング構造が設けられるにあたっては、層形成プロセスによって、このシャドウイング構造の部分が、仮に各導電層により被覆される場合でも、わずかに被覆される程度とし、シャドウイング構造は、その部分における電気抵抗が導電層の残余の部分における抵抗に比較して大きいものであることを特徴とする。
【0014】
斯かる表面構造を設けたプラスチック基板は、射出成形プロセスにおける一回の操作により製造することができる。これは、基板の費用原価が格段に低くなることを意味する。これは、光化学技術を用いて構造を設ける、従来使用されてきたガラス製の基板とは対照をなすものである。
【0015】
本発明のさらなる態様によれば、表面構造にはいくつかのピクセルピット又はサブピクセルピットを備えることができる。斯かるピットを備えることにより、インクジェットプロセスを用いてのPDOTやPPV等の液体蒸着が、簡素でより制御しやすくなる。
【0016】
さらに、スパッタリングプロセス、間接スパッタリング及び蒸着の少なくとも一つにより、シャドウイング構造の部分をそれぞれの導電層によって被覆せずに、導電層において絶縁路を形成するようにしたシャドウイング構造を表面構造に設けることもできる。本発明のさらなる態様によれば、平行な狭く深いいくつかの溝によってシャドウイング構造を形成することができ、その溝は、スパッタリングプロセスにおいて、溝の側壁及び/又は底面の少なくとも一部を第1の導電層が被覆することのない幅及び深さとする。
【0017】
本発明のさらなる態様によれば、ピクセルピット又はサブピクセルピットには、通過する生成光に作用する構造を設けることができる。斯かる構造は、ピクセルピット又はサブピクセルピットから離隔した基板の側部に設けることができる。例えば、通過する光を収束させたり発散させたりするフレネルレンズ形式の構造が考慮される。
【0018】
さらに、本発明のさらなる態様によれば、ピクセルピット又はサブピクセルピットに設ける層を形成するための液体の分配を改良することを目的とする構造を、ピクセルピット又はサブピクセルピットに設けることができる。尚、印刷技術により、液体を蒸着させる流路にかかる液体の分配を改良する構造を設けて、液体をより良く分配させることもできる。
【0019】
本発明のさらなる態様によれば、ピクセルピット又はサブピクセルピットに接触面拡大構造を設けることができる。先ず、斯かる接触面拡大構造によってより大きい導電面が得られるため、ピクセルを交差する電気抵抗が減少する。しかも、より大きな電子発光面が作られるため、ピクセル当りの光強度が増す。液体の分配を改良する構造に接触面拡大構造を任意に組み合わせてもよい。その構造は、例えば、いくつかの毛細管状の溝を備えることができる。
【0020】
本発明はまた、請求項31乃至44のいずれか一項に記載の基板を基にして、請求項1乃至30のいずれか一項に記載の方法を用いて製造される有機エレクトロルミネセンス表示装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1及び図2は、有機エレクトロルミネセンス表示装置を製造するための層を設けていない状態のプラスチック基板1の一部分の断面正面図及び平面図を示す。基板の製造中に、例えば射出成形操作により、少なくとも形成すべきいくつかの層に対して境界を形成する表面構造を基板に設ける。例えば、ピクセルピット境界3によって包囲されたピクセルピット2が明確に見てとれる。表面構造は、さらにシャドウイング構造4を備えている。この実施の形態の例においては、シャドウイング構造は、その都度、いくつかの平行な深く狭い溝4’、4’’、4’’’として設計した。斯かるシャドウイング構造は、例えばスパッタリング等の層形成プロセスによって形成した層が、仮にシャドウイング構造の部分を被覆するとしても、わずかに被覆する程度とする。
【0022】
図3及び図4は、例えば窒化物−酸化物−窒化物層、即ち、NON層等の透明カプセル充填層5を設けた、斯かる基板を示す。このほかにも、水、酸素及び他の望ましくない物質に対して密閉性のある透明層も可能である。透明カプセル充填層は、例えば、PVDプロセス、CVDプロセス、PECVDプロセス等の蒸着法により形成することができる。
【0023】
図5及び図6は、第1の導電層6を形成した後の基板を示す。斯かる層は、例えばスパッタリングプロセスにより形成することができる。この実施の形態においては、TCO(透明導電性酸化物)層によって第1の導電層を形成する。他の導電層も形成することができる。溝4’、4’’、4’’’の深い部分は、仮に第1の導電層6によって被覆されるとしても、わずかに被覆される程度であることが明確に見てとれる。このようにして、相互に絶縁され第1の方向に延在する平行な導電路が得られる。図5及び図6はまた、基板の表面構造のピクセルピット又はサブピクセルピット2において延在する第1の導体の部分を明示する。第1の導電層は、いわゆるPDOT層でもよい。但し、例えばPDOT層等の正孔注入層7をピクセルピット又はサブピクセルピット2だけに形成することもまた可能である。図7及び図8に示す、最後に述べるオプションの場合は、例えばインクジェット操作等の印刷操作によりピクセルピット又はサブピクセルピット内において層を蒸着させることができる。ピクセルピット又はサブピクセルピット2は、ピクセルピット境界3によって包囲されているため、PDOT層を形成する液体がピクセルピット又はサブピクセルピット2の外に流出するリスクは最小限に抑制される。
【0024】
その後、図9及び図10では、ピクセルピット又はサブピクセルピット2においてさらに、例えばPPV層等の発光層8が蒸着されていることが分かる。この層もまた、例えばインクジェット印刷により設けることができる。
【0025】
図11及び図12は、シャドウイング構造4を示しており、深く狭い溝4’、4’’、4’’’に絶縁被覆9が充填された様子をより詳細に示している。この被覆は、例えばUV硬化ワニスによって形成することができ、UV硬化ワニスは、インクジェット印刷操作によって正確に塗布することができる。また、その代わりに、図39bに示す方法を用いてもよい。
【0026】
次に、図13及び図14に示すように、基板1の全体をバリウムの層10により被覆し、その上に、図15及び図16に示すように、第2の導電層11を形成することにより、相互に絶縁され第2の方向に延在するいくつかの平行な導体12を設ける。第2の導体12の部分は、基板の表面構造のピクセルピット又はサブピクセルピット2に延在する。この実施の形態においては、第2の導体12は、平行なシャドウイング構造4の間に延在する第1の導体に対し垂直に延在する。第2の導電層11もまた、例えばインクジェット印刷操作等の印刷プロセスにより選択的に形成できる。
【0027】
最後に、図17及び図18は、基板全体に渡って第2のカプセル充填層13を形成した様子を示す。この層もまた、密閉により、例えば水、酸素等の望ましくない物質を遮断する。
【0028】
図19及び図20は、基板21の第2の実施の形態を示す。第1の実施の形態とは対照的に、この基板には、上述のシャドウイング構造を設けていない。その代わりに、印刷可能な第1の導電層のために流路境界24’を有する流路構造24が存在する。また、ピクセルピット又はサブピクセルピット22がピクセルピット境界23と共に明確に見てとれる。さらに、印刷可能な第2の導電層のために、分離構造25が既に部分的に存在する。この分離構造25は、第1の導電層27を印刷する流路24の位置で途絶えている。
【0029】
図21及び図22は、例えば窒化物−酸化物−窒化物、即ち、NON層等の透明カプセル充填層26を設けた、斯かる基板を示す。この他にも、水や酸素の他、望ましくない物質に対して密閉性のある透明層が可能である。透明カプセル充填層26は、例えば、CVDプロセスやPECVDプロセス等の蒸着技術により形成することができる。
【0030】
図23及び図24は、印刷した第1の導電層27を示す。第1の導電層27が、そのために用意された流路構造24とピクセルピット又はサブピクセルピット12とに延在する様子が明確に見てとれる。この例示の実施の形態における第1の導電層27は、インクジェット印刷操作によって所望の位置に設けられたPDOT層により形成される。流路構造境界24’とピクセルピット境界23とは、液体が所望の領域外に流出することを確実に防止する。
【0031】
図25及び図26は、ピクセルピット又はサブピクセルピット22において、さらに、例えばPPV層等の発光層28を蒸着した様子を示す。この層28もまた、例えばインクジェット印刷により設けることができる。
【0032】
図27及び図28は、流路構造24に渡って絶縁被覆29を設けたことを示す。絶縁被覆29は、例えば、UVワニスやフォトレジストワニスによって形成することができる。
【0033】
図29及び図30は、流路構造24に敷居30を設けることにより分離構造25をも設けた様子を示す。従って、後続層の形成にとって望ましい凹凸構造を形成するために、既にいくつかの層が設けられた基板上に追加の凹凸構造を設ける。例示的な本実施の形態においては、硬化ワニス、例えばUV硬化ワニスを使用して印刷操作により追加の凹凸構造30を設ける。このようにして、相互に平行に延在する流路31が形成され、その流路方向は、第1の導体27が延在する前記の第1の方向に対して垂直である。
【0034】
図31及び図32においては、その後、基板全体を、例えばカルシウム−マグネシウム層、フッ化リチウム層、バリウム層等の電子注入層32により被覆した様子を示す。
【0035】
図33及び図34は、その後、例えばインクジェット印刷操作により、流路31に第2の導電層33を設けた様子を示す。第2の導電層33は、相互に絶縁され第2の方向に延在するいくつかの平行な導体を提供し、他方で第2の導体の部分は、基板21の表面構造のピクセルピット又はサブピクセルピット22において延在する。
【0036】
最後に、図35及び図36は、第2の導電層の形成後に、基板表面のほぼ全面に渡ってカプセル充填層34を形成した様子を示す。この層もまた密封により、例えば、水、酸素等の望ましくない物質を遮断する。例えば、窒化物−金属−窒化物層、NONON層、NDLCN層(窒化ダイヤモンド様窒化炭素(nitride diamond like carbon nitride))等により斯かる層を構成することができる。
【0037】
図37は、通過する生成光に作用する構造35をピクセルピット又はサブピクセルピットに設けた基板の頂平面図を示す。図37においては、その構造が収束作用、発散作用、又は、逆に、平行作用を及ぼすフレネルレンズ35を形成している。尚、そのような構造をいくつかのピクセルに渡って延在させることも可能であり、その結果、出来上がったディスプレイの一部分において、放出される光が光学的に影響を受けることに注意されたい。そのような構造は、ピクセルピットから離隔した基板の側部に設けることもできる。
【0038】
図38においては、ピクセルピット又はサブピクセルピットに設ける層を形成するために液体の分配を改善することを目的に、ピクセルピット又はサブピクセルピット2、22に設けた別の構造36を示す。この構造36は、好ましくは、接触面拡大効果をも備える。これは、例えば、毛細管状溝を設けた構造によって達成することができる。このように接触面を大きくすることにより、電気抵抗が減少するばかりでなく、より大きな発光面が得られ、その結果、より多くの光が発生することになる。
【0039】
図39aにおいても、シャドウイング構造4を備える基板1の断面を示す。図39bにおいては、レンズ37を通して誘導されるレーザビーム又は赤外線ビームによってこの構造が局所的に溶解される様子が示されている。シャドウイング構造4は、局所的に加熱されて溶解し、その結果、シャドウイング構造4は消滅する。
【0040】
本発明は、本明細書に記載した例示的な実施の形態に限定されないこと、また、添付の請求項に規定する本発明の範囲において、様々な変更が可能であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図2】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図3】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図4】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図5】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図6】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図7】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図8】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図9】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図10】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図11】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図12】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図13】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図14】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図15】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図16】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図17】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図18】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図19】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図20】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図21】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図22】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図23】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図24】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図25】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図26】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図27】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図28】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図29】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図30】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図31】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図32】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図33】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図34】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図35】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図36】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図37】ピクセルピットに第1の構造を形成した基板の平面図である。
【図38】ピクセルピットに第2の構造を形成した基板の平面図である。
【図39a】シャドウイング構造を設けた基板を示す図である。
【図39b】熱レーザ操作を通じて上記シャドウイング構造を局所的に除去する方法を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の方向だけでなく第2の方向においても導体を延在させる層配置が基板に適用される一方、電圧の影響下で発光する有機エレクトロルミネセンス(電子発光)接続を導体の交差部間に設ける、有機エレクトロルミネセンス(電子発光)表示装置の製造方法に関する。
【0002】
本発明はまた、本発明に係る有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法における用途に適し、斯かる用途を意図する基板に関する。
【背景技術】
【0003】
有機エレクトロルミネセンス表示装置を製造する公知の方法では、先ず、基板をガラスにより製作し、その基板上に例えば回転塗布法によってフォトレジストを形成した構造を設ける。フォトレジストは部分的に露出させ、その後、洗浄技術により部分的に除去する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらのプロセスは手間がかかり、多くの時間を要するため、コストがかかる。表示装置の製造において大きな部分を占めるのは、正にこの費用原価であるため、表示装置の製造において、そのような「湿式」化学工程を省いて表示装置を提供すれば非常に有利である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、本発明によれば、冒頭の段落において述べた種類の方法は、基板がプラスチックから作られ、かつ、少なくとも形成すべきいくつかの層に対して境界を形成する表面構造を基板に設けることを特徴とする。
【0006】
斯かる表面構造を設けたプラスチック基板は、例えば、射出成形、エンボス加工、光重合による複製等、本質的に公知のプラスチック設計プロセスによって製作することができる。エンボス加工は、例えば米国特許公報第US−A−4659407号に記載されており、光重合による複製は国際公開公報第WO87/02934号に記載されている。射出成形技術を用いることにより、プラスチック基板において非常に精巧なサブミクロン構造を比較的に非常に低い費用原価で製造できることは、例えばCDの作製から公知である。従って、基板形成に湿式化学技術を用いることは、斯かる技術に関連する総ての利点をもってしてもその必要性がない。例えば、国際公開公報第WO99/12160号や欧州特許公報第EP−A−0408283号に記載の通り、そのような精巧な表面構造はフィルム上にも形成することができる。
【0007】
本発明に係る方法のさらなる態様によれば、第1の導電層は、例えばスパッタリングプロセス等の層形成プロセスによって形成することができ、プラスチック基板の表面構造にはシャドウイング構造が設けられる。そのシャドウイング構造が設けられるにあたっては、層形成プロセスによって、このシャドウイングプロセスの部分が、仮に各導電層によって被覆される場合でも、わずかに被覆される程度とする。
【0008】
シャドウイング構造は、その部分における電気抵抗が導電層の残余の部分における抵抗に比較して大きくなるようにしなければならない。
【0009】
本発明のさらなる態様によれば、シャドウイング構造は、多数の平行な狭く深い溝を備えることができ、溝の幅及び深さは、層形成プロセスにおいて、溝の側壁及び/又は底面の少なくとも一部が、仮に第1の導電層によって被覆されるとしてもわずかに被覆される程度となるようにする。
【0010】
斯かる溝構造は、離型方法により、プラスチック基板を形成する鋳型からこれを取り外せるように設計することができる。そのため、プラスチック基板の設計プロセスにおいては、プラスチック基板に必要な単一の仕上げ工程を行わずにシャドウイング構造を設ける。基本的に、鋳型の形状が適切であれば、プラスチック基板の設計プロセスにおいてシャドウイング構造を得る費用は実質的にかからない。
【0011】
本発明のまた別の態様によると、例えばインクジェット印刷、シルクスクリーン印刷、静電印刷技術、熱転写印刷等の印刷操作により層を形成することができる。印刷プロセスを幾分簡略化するため、言うなれば基板の表面構造に予め流路を設け、そこに印刷プロセスで分配された液体を蒸着させるように設計すると有利である。それぞれの流路の壁は、印刷プロセスにおいて流路内に蒸着された液体の境界を形成する。
【0012】
その後、印刷技術、スパッタリング等の層形成技術、CVD及びPECVD技術により、層及び層パターンを形成し、それらを用いて有機エレクトロルミネセンス表示装置を構成することができる。斯かる層及び層パターンは、例えば、ピクセルピット又はサブピクセルピットにおけるPDOT及びPPV層、第1の導体を被覆する絶縁層、並びに、いくつかの第2の導体を形成する導電層を含む。
【0013】
本発明のさらなる態様によれば、任意に、後続層の形成にとって望ましい凹凸構造を形成するために、硬化ワニスを使用し、既にいくつかの層を形成した基板に追加の凹凸構造を設けることができる。例えば、簡単な方法により、第2の導体を形成する液体を蒸着させることのできるいくつかの新たな流路を形成することができる。この硬化ワニスは、例えば、インクジェット印刷操作により局所的に蒸着するUV硬化ワニスとしてもよい。斯かる方法は、例えば、比較的に狭く深い溝にUV硬化ワニスを充填することによって、上記のシャドウイング構造をも除去することができる。
【0014】
本発明のまた別のさらなる態様によれば、少なくとも一つの層を形成した後に、例えば、局所的熱処理等の変形技術によって表面構造の形状を適応させることができる。そのような熱処理は、例えば、非接触的に赤外線により若しくはレーザ照射により、又は、接触処理により行うことができる。その結果、例えば、溝状のシャドウイング構造を溶解することができる。
【0015】
本発明によれば、冒頭の段落で述べた基板は、プラスチックから作られ、少なくとも形成すべきいくつかの層のための境界を形成する表面構造が設けられることを特徴とする。
【0016】
斯かる表面構造を設けたプラスチック基板は、射出成形プロセスにおける一回の操作により製造することができる。これは、基板の費用原価が格段に低くなることを意味する。これは、光化学技術を用いて構造を設ける、従来使用されてきたガラス製の基板とは対照をなすものである。
【0017】
本発明のさらなる態様によれば、表面構造にはいくつかのピクセルピット又はサブピクセルピットを備えることができる。斯かるピットを備えることにより、インクジェットプロセスを用いてのPDOTやPPV等の液体蒸着が、簡素でより制御しやすくなる。
【0018】
さらに、スパッタリングプロセス、間接スパッタリング及び蒸着の少なくとも一つにより、シャドウイング構造の部分をそれぞれの導電層によって被覆せずに、導電層において絶縁路を形成するようにしたシャドウイング構造を表面構造に設けることもできる。本発明のさらなる態様によれば、平行な狭く深いいくつかの溝によってシャドウイング構造を形成することができ、その溝は、スパッタリングプロセスにおいて、溝の側壁及び/又は底面の少なくとも一部を第1の導電層が被覆することのない幅及び深さとする。
【0019】
本発明のさらなる態様によれば、ピクセルピット又はサブピクセルピットには、通過する生成光に作用する構造を設けることができる。斯かる構造は、ピクセルピット又はサブピクセルピットから離隔した基板の側部に設けることができる。例えば、通過する光を収束させたり発散させたりするフレネルレンズ形式の構造が考慮される。
【0020】
さらに、本発明のさらなる態様によれば、ピクセルピット又はサブピクセルピットに設ける層を形成するための液体の分配を改良することを目的とする構造を、ピクセルピット又はサブピクセルピットに設けることができる。尚、印刷技術により、液体を蒸着させる流路にかかる液体の分配を改良する構造を設けて、液体をより良く分配させることもできる。
【0021】
本発明のさらなる態様によれば、ピクセルピット又はサブピクセルピットに接触面拡大構造を設けることができる。先ず、斯かる接触面拡大構造によってより大きい導電面が得られるため、ピクセルを交差する電気抵抗が減少する。しかも、より大きな電子発光面が作られるため、ピクセル当りの光強度が増す。液体の分配を改良する構造に接触面拡大構造を任意に組み合わせてもよい。その構造は、例えば、いくつかの毛細管状の溝を備えることができる。
【0022】
本発明はまた、請求項31乃至44のいずれか一項に記載の基板を基にして、請求項1乃至30のいずれか一項に記載の方法を用いて製造される有機エレクトロルミネセンス表示装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1及び図2は、有機エレクトロルミネセンス表示装置を製造するための層を設けていない状態のプラスチック基板1の一部分の断面正面図及び平面図を示す。基板の製造中に、例えば射出成形操作により、少なくとも形成すべきいくつかの層に対して境界を形成する表面構造を基板に設ける。例えば、ピクセルピット境界3によって包囲されたピクセルピット2が明確に見てとれる。表面構造は、さらにシャドウイング構造4を備えている。この実施の形態の例においては、シャドウイング構造は、その都度、いくつかの平行な深く狭い溝4’、4’’、4’’’として設計した。斯かるシャドウイング構造は、例えばスパッタリング等の層形成プロセスによって形成した層が、仮にシャドウイング構造の部分を被覆するとしても、わずかに被覆する程度とする。
【0024】
図3及び図4は、例えば窒化物−酸化物−窒化物層、即ち、NON層等の透明カプセル充填層5を設けた、斯かる基板を示す。このほかにも、水、酸素及び他の望ましくない物質に対して密閉性のある透明層も可能である。透明カプセル充填層は、例えば、PVDプロセス、CVDプロセス、PECVDプロセス等の蒸着法により形成することができる。
【0025】
図5及び図6は、第1の導電層6を形成した後の基板を示す。斯かる層は、例えばスパッタリングプロセスにより形成することができる。この実施の形態においては、TCO(透明導電性酸化物)層によって第1の導電層を形成する。他の導電層も形成することができる。溝4’、4’’、4’’’の深い部分は、仮に第1の導電層6によって被覆されるとしても、わずかに被覆される程度であることが明確に見てとれる。このようにして、相互に絶縁され第1の方向に延在する平行な導電路が得られる。図5及び図6はまた、基板の表面構造のピクセルピット又はサブピクセルピット2において延在する第1の導体の部分を明示する。第1の導電層は、いわゆるPDOT層でもよい。但し、例えばPDOT層等の正孔注入層7をピクセルピット又はサブピクセルピット2だけに形成することもまた可能である。図7及び図8に示す、最後に述べるオプションの場合は、例えばインクジェット操作等の印刷操作によりピクセルピット又はサブピクセルピット内において層を蒸着させることができる。ピクセルピット又はサブピクセルピット2は、ピクセルピット境界3によって包囲されているため、PDOT層を形成する液体がピクセルピット又はサブピクセルピット2の外に流出するリスクは最小限に抑制される。
【0026】
その後、図9及び図10では、ピクセルピット又はサブピクセルピット2においてさらに、例えばPPV層等の発光層8が蒸着されていることが分かる。この層もまた、例えばインクジェット印刷により設けることができる。
【0027】
図11及び図12は、シャドウイング構造4を示しており、深く狭い溝4’、4’’、4’’’に絶縁被覆9が充填された様子をより詳細に示している。この被覆は、例えばUV硬化ワニスによって形成することができ、UV硬化ワニスは、インクジェット印刷操作によって正確に塗布することができる。また、その代わりに、図39bに示す方法を用いてもよい。
【0028】
次に、図13及び図14に示すように、基板1の全体をバリウムの層10により被覆し、その上に、図15及び図16に示すように、第2の導電層11を形成することにより、相互に絶縁され第2の方向に延在するいくつかの平行な導体12を設ける。第2の導体12の部分は、基板の表面構造のピクセルピット又はサブピクセルピット2に延在する。この実施の形態においては、第2の導体12は、平行なシャドウイング構造4の間に延在する第1の導体に対し垂直に延在する。第2の導電層11もまた、例えばインクジェット印刷操作等の印刷プロセスにより選択的に形成できる。
【0029】
最後に、図17及び図18は、基板全体に渡って第2のカプセル充填層13を形成した様子を示す。この層もまた、密閉により、例えば水、酸素等の望ましくない物質を遮断する。
【0030】
図19及び図20は、基板21の第2の実施の形態を示す。第1の実施の形態とは対照的に、この基板には、上述のシャドウイング構造を設けていない。その代わりに、印刷可能な第1の導電層のために流路境界24’を有する流路構造24が存在する。また、ピクセルピット又はサブピクセルピット22がピクセルピット境界23と共に明確に見てとれる。さらに、印刷可能な第2の導電層のために、分離構造25が既に部分的に存在する。この分離構造25は、第1の導電層27を印刷する流路24の位置で途絶えている。
【0031】
図21及び図22は、例えば窒化物−酸化物−窒化物、即ち、NON層等の透明カプセル充填層26を設けた、斯かる基板を示す。この他にも、水や酸素の他、望ましくない物質に対して密閉性のある透明層が可能である。透明カプセル充填層26は、例えば、CVDプロセスやPECVDプロセス等の蒸着技術により形成することができる。
【0032】
図23及び図24は、印刷した第1の導電層27を示す。第1の導電層27が、そのために用意された流路構造24とピクセルピット又はサブピクセルピット12とに延在する様子が明確に見てとれる。この例示の実施の形態における第1の導電層27は、インクジェット印刷操作によって所望の位置に設けられたPDOT層により形成される。流路構造境界24’とピクセルピット境界23とは、液体が所望の領域外に流出することを確実に防止する。
【0033】
図25及び図26は、ピクセルピット又はサブピクセルピット22において、さらに、例えばPPV層等の発光層28を蒸着した様子を示す。この層28もまた、例えばインクジェット印刷により設けることができる。
【0034】
図27及び図28は、流路構造24に渡って絶縁被覆29を設けたことを示す。絶縁被覆29は、例えば、UVワニスやフォトレジストワニスによって形成することができる。
【0035】
図29及び図30は、流路構造24に敷居30を設けることにより分離構造25をも設けた様子を示す。従って、後続層の形成にとって望ましい凹凸構造を形成するために、既にいくつかの層が設けられた基板上に追加の凹凸構造を設ける。例示的な本実施の形態においては、硬化ワニス、例えばUV硬化ワニスを使用して印刷操作により追加の凹凸構造30を設ける。このようにして、相互に平行に延在する流路31が形成され、その流路方向は、第1の導体27が延在する前記の第1の方向に対して垂直である。
【0036】
図31及び図32においては、その後、基板全体を、例えばカルシウム−マグネシウム層、フッ化リチウム層、バリウム層等の電子注入層32により被覆した様子を示す。
【0037】
図33及び図34は、その後、例えばインクジェット印刷操作により、流路31に第2の導電層33を設けた様子を示す。第2の導電層33は、相互に絶縁され第2の方向に延在するいくつかの平行な導体を提供し、他方で第2の導体の部分は、基板21の表面構造のピクセルピット又はサブピクセルピット22において延在する。
【0038】
最後に、図35及び図36は、第2の導電層の形成後に、基板表面のほぼ全面に渡ってカプセル充填層34を形成した様子を示す。この層もまた密封により、例えば、水、酸素等の望ましくない物質を遮断する。例えば、窒化物−金属−窒化物層、NONON層、NDLCN層(窒化ダイヤモンド様窒化炭素(nitride diamond like carbon nitride))等により斯かる層を構成することができる。
【0039】
図37は、通過する生成光に作用する構造35をピクセルピット又はサブピクセルピットに設けた基板の頂平面図を示す。図37においては、その構造が収束作用、発散作用、又は、逆に、平行作用を及ぼすフレネルレンズ35を形成している。尚、そのような構造をいくつかのピクセルに渡って延在させることも可能であり、その結果、出来上がったディスプレイの一部分において、放出される光が光学的に影響を受けることに注意されたい。そのような構造は、ピクセルピットから離隔した基板の側部に設けることもできる。
【0040】
図38においては、ピクセルピット又はサブピクセルピットに設ける層を形成するために液体の分配を改善することを目的に、ピクセルピット又はサブピクセルピット2、22に設けた別の構造36を示す。この構造36は、好ましくは、接触面拡大効果をも備える。これは、例えば、毛細管状溝を設けた構造によって達成することができる。このように接触面を大きくすることにより、電気抵抗が減少するばかりでなく、より大きな発光面が得られ、その結果、より多くの光が発生することになる。
【0041】
図39aにおいても、シャドウイング構造4を備える基板1の断面を示す。図39bにおいては、レンズ37を通して誘導されるレーザビーム又は赤外線ビームによってこの構造が局所的に溶解される様子が示されている。シャドウイング構造4は、局所的に加熱されて溶解し、その結果、シャドウイング構造4は消滅する。
【0042】
本発明は、本明細書に記載した例示的な実施の形態に限定されないこと、また、添付の請求項に規定する本発明の範囲において、様々な変更が可能であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図2】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図3】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図4】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図5】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図6】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図7】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図8】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図9】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図10】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図11】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図12】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図13】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図14】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図15】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図16】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図17】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図18】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図19】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図20】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図21】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図22】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図23】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図24】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図25】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図26】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図27】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図28】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図29】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図30】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図31】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図32】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図33】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図34】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図35】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図36】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図37】ピクセルピットに第1の構造を形成した基板の平面図である。
【図38】ピクセルピットに第2の構造を形成した基板の平面図である。
【図39a】シャドウイング構造を設けた基板を示す図である。
【図39b】熱レーザ操作を通じて上記シャドウイング構造を局所的に除去する方法を示す図である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の方向においても導体を第2の方向における第2の導体と同様に延在させる層配置が基板に適用される一方、電圧の影響下で発光する有機エレクトロルミネセンス(電子発光)化合物が第1及び第2の導体の交差部に設けられる、有機エレクトロルミネセンス(電子発光)表示装置の製造方法に関する。
【0002】
本発明はまた、層形成プロセスによって第1の導電層を形成する工程を含む本発明に係る有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法における用途に適し、斯かる用途を意図する基板に関する。
【背景技術】
【0003】
有機エレクトロルミネセンス表示装置を製造する公知の方法では、先ず、基板をガラスにより製作し、その基板上に例えば回転塗布法によってフォトレジストを形成した構造を設ける。フォトレジストは部分的に露出させ、その後、洗浄技術により部分的に除去する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらのプロセスは手間がかかり、多くの時間を要するため、コストがかかる。表示装置の製造において大きな部分を占めるのは、正にこの費用原価であるため、表示装置の製造において、そのような「湿式」化学工程を省いて表示装置を提供すれば非常に有利である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、本発明によれば、冒頭の段落において述べた種類の方法は、基板が、プラスチックから作られ、かつ、少なくとも形成すべきいくつかの層のための境界を形成する表面構造を有するものであり、第1の導電層は、層形成プロセスによって形成されるものであり、プラスチック基板の表面構造にはシャドウイング構造が設けられ、そのシャドウイング構造が設けられるにあたっては、層形成プロセスによって、このシャドウイング構造の部分が、仮に各導電層により被覆される場合でも、わずかに被覆される程度とし、シャドウイング構造は、その部分における電気抵抗が導電層の残余の部分における抵抗に比較して大きいものであることを特徴とする。
【0006】
斯かる表面構造を設けたプラスチック基板は、例えば、射出成形、エンボス加工、光重合による複製等、本質的に公知のプラスチック形成プロセスによって製作することができる。エンボス加工は、例えば米国特許公報第US−A−4659407号に記載されており、光重合による複製は国際公開公報第WO87/02934号に記載されている。射出成形技術を用いることにより、プラスチック基板において非常に精巧なサブミクロン構造を比較的に非常に低い費用原価で製造できることは、例えばCDの作製から公知である。従って、基板形成に湿式化学技術を用いることは、斯かる技術に関連する総ての利点をもってしてもその必要性がない。例えば、国際公開公報第WO99/12160号や欧州特許公報第EP−A−0408283号に記載の通り、そのような精巧な表面構造はフィルム上にも形成することができる。
【0007】
本発明のまたさらなる態様によれば、シャドウイング構造は、多数の平行な狭く深い溝を備えることができ、溝の幅及び深さは、層形成プロセスにおいて、溝の側壁及び/又は底面の少なくとも一部が、仮に第1の導電層によって被覆されるとしてもわずかに被覆される程度となるようにする。
【0008】
斯かる溝構造は、離型方法により、プラスチック基板を形成する鋳型からこれを取り外せるように設計することができる。そのため、プラスチック基板の形成プロセスにおいては、プラスチック基板に必要な単一の仕上げ工程を行わずにシャドウイング構造を設ける。基本的に、鋳型の形状が適切であれば、プラスチック基板の設計プロセスにおいてシャドウイング構造を得る費用は実質的にかからない。
【0009】
本発明のまた別の態様によると、例えばインクジェット印刷、シルクスクリーン印刷、静電印刷技術、熱転写印刷等の印刷操作により層を形成することができる。印刷プロセスを幾分簡略化するため、言うなれば基板の表面構造に予め流路を設け、そこに印刷プロセスで分配された液体を蒸着させるように設計すると有利である。それぞれの流路の壁は、印刷プロセスにおいて流路内に蒸着された液体の境界を形成する。
【0010】
その後、印刷技術、スパッタリング等の層形成技術、CVD及びPECVD技術により、層及び層パターンを形成し、それらを用いて有機エレクトロルミネセンス表示装置を構成することができる。斯かる層及び層パターンは、例えば、ピクセルピット又はサブピクセルピットにおけるPDOT及びPPV層、第1の導体を被覆する絶縁層、並びに、いくつかの第2の導体を形成する導電層を含む。
【0011】
本発明のさらなる態様によれば、任意に、後続層の形成にとって望ましい凹凸構造を形成するために、硬化ワニスを使用し、既にいくつかの層を形成した基板に追加の凹凸構造を設けることができる。例えば、簡単な方法により、第2の導体を形成する液体を蒸着させることのできるいくつかの新たな流路を形成することができる。この硬化ワニスは、例えば、インクジェット印刷操作により局所的に蒸着するUV硬化ワニスとしてもよい。斯かる方法は、例えば、比較的に狭く深い溝にUV硬化ワニスを充填することによって、上記のシャドウイング構造をも除去することができる。
【0012】
本発明のまた別のさらなる態様によれば、少なくとも一つの層を形成した後に、例えば、局所的熱処理等の変形技術によって表面構造の形状を適応させることができる。そのような熱処理は、例えば、非接触的に赤外線により若しくはレーザ照射により、又は、接触処理により行うことができる。その結果、例えば、溝状のシャドウイング構造を溶解することができる。
【0013】
本発明によれば、冒頭の段落で述べた基板は、プラスチックから作られ、本発明に係る方法において少なくとも形成すべきいくつかの層のための境界を形成する表面構造を有し、かつ、プラスチック基板の表面構造にはシャドウイング構造が設けられ、そのシャドウイング構造が設けられるにあたっては、層形成プロセスによって、このシャドウイング構造の部分が、仮に各導電層により被覆される場合でも、わずかに被覆される程度とし、シャドウイング構造は、その部分における電気抵抗が導電層の残余の部分における抵抗に比較して大きいものであることを特徴とする。
【0014】
斯かる表面構造を設けたプラスチック基板は、射出成形プロセスにおける一回の操作により製造することができる。これは、基板の費用原価が格段に低くなることを意味する。これは、光化学技術を用いて構造を設ける、従来使用されてきたガラス製の基板とは対照をなすものである。
【0015】
本発明のさらなる態様によれば、表面構造にはいくつかのピクセルピット又はサブピクセルピットを備えることができる。斯かるピットを備えることにより、インクジェットプロセスを用いてのPDOTやPPV等の液体蒸着が、簡素でより制御しやすくなる。
【0016】
さらに、スパッタリングプロセス、間接スパッタリング及び蒸着の少なくとも一つにより、シャドウイング構造の部分をそれぞれの導電層によって被覆せずに、導電層において絶縁路を形成するようにしたシャドウイング構造を表面構造に設けることもできる。本発明のさらなる態様によれば、平行な狭く深いいくつかの溝によってシャドウイング構造を形成することができ、その溝は、スパッタリングプロセスにおいて、溝の側壁及び/又は底面の少なくとも一部を第1の導電層が被覆することのない幅及び深さとする。
【0017】
本発明のさらなる態様によれば、ピクセルピット又はサブピクセルピットには、通過する生成光に作用する構造を設けることができる。斯かる構造は、ピクセルピット又はサブピクセルピットから離隔した基板の側部に設けることができる。例えば、通過する光を収束させたり発散させたりするフレネルレンズ形式の構造が考慮される。
【0018】
さらに、本発明のさらなる態様によれば、ピクセルピット又はサブピクセルピットに設ける層を形成するための液体の分配を改良することを目的とする構造を、ピクセルピット又はサブピクセルピットに設けることができる。尚、印刷技術により、液体を蒸着させる流路にかかる液体の分配を改良する構造を設けて、液体をより良く分配させることもできる。
【0019】
本発明のさらなる態様によれば、ピクセルピット又はサブピクセルピットに接触面拡大構造を設けることができる。先ず、斯かる接触面拡大構造によってより大きい導電面が得られるため、ピクセルを交差する電気抵抗が減少する。しかも、より大きな電子発光面が作られるため、ピクセル当りの光強度が増す。液体の分配を改良する構造に接触面拡大構造を任意に組み合わせてもよい。その構造は、例えば、いくつかの毛細管状の溝を備えることができる。
【0020】
本発明はまた、請求項31乃至44のいずれか一項に記載の基板を基にして、請求項1乃至30のいずれか一項に記載の方法を用いて製造される有機エレクトロルミネセンス表示装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1及び図2は、有機エレクトロルミネセンス表示装置を製造するための層を設けていない状態のプラスチック基板1の一部分の断面正面図及び平面図を示す。基板の製造中に、例えば射出成形操作により、少なくとも形成すべきいくつかの層に対して境界を形成する表面構造を基板に設ける。例えば、ピクセルピット境界3によって包囲されたピクセルピット2が明確に見てとれる。表面構造は、さらにシャドウイング構造4を備えている。この実施の形態の例においては、シャドウイング構造は、その都度、いくつかの平行な深く狭い溝4’、4’’、4’’’として設計した。斯かるシャドウイング構造は、例えばスパッタリング等の層形成プロセスによって形成した層が、仮にシャドウイング構造の部分を被覆するとしても、わずかに被覆する程度とする。
【0022】
図3及び図4は、例えば窒化物−酸化物−窒化物層、即ち、NON層等の透明カプセル充填層5を設けた、斯かる基板を示す。このほかにも、水、酸素及び他の望ましくない物質に対して密閉性のある透明層も可能である。透明カプセル充填層は、例えば、PVDプロセス、CVDプロセス、PECVDプロセス等の蒸着法により形成することができる。
【0023】
図5及び図6は、第1の導電層6を形成した後の基板を示す。斯かる層は、例えばスパッタリングプロセスにより形成することができる。この実施の形態においては、TCO(透明導電性酸化物)層によって第1の導電層を形成する。他の導電層も形成することができる。溝4’、4’’、4’’’の深い部分は、仮に第1の導電層6によって被覆されるとしても、わずかに被覆される程度であることが明確に見てとれる。このようにして、相互に絶縁され第1の方向に延在する平行な導電路が得られる。図5及び図6はまた、基板の表面構造のピクセルピット又はサブピクセルピット2において延在する第1の導体の部分を明示する。第1の導電層は、いわゆるPDOT層でもよい。但し、例えばPDOT層等の正孔注入層7をピクセルピット又はサブピクセルピット2だけに形成することもまた可能である。図7及び図8に示す、最後に述べるオプションの場合は、例えばインクジェット操作等の印刷操作によりピクセルピット又はサブピクセルピット内において層を蒸着させることができる。ピクセルピット又はサブピクセルピット2は、ピクセルピット境界3によって包囲されているため、PDOT層を形成する液体がピクセルピット又はサブピクセルピット2の外に流出するリスクは最小限に抑制される。
【0024】
その後、図9及び図10では、ピクセルピット又はサブピクセルピット2においてさらに、例えばPPV層等の発光層8が蒸着されていることが分かる。この層もまた、例えばインクジェット印刷により設けることができる。
【0025】
図11及び図12は、シャドウイング構造4を示しており、深く狭い溝4’、4’’、4’’’に絶縁被覆9が充填された様子をより詳細に示している。この被覆は、例えばUV硬化ワニスによって形成することができ、UV硬化ワニスは、インクジェット印刷操作によって正確に塗布することができる。また、その代わりに、図39bに示す方法を用いてもよい。
【0026】
次に、図13及び図14に示すように、基板1の全体をバリウムの層10により被覆し、その上に、図15及び図16に示すように、第2の導電層11を形成することにより、相互に絶縁され第2の方向に延在するいくつかの平行な導体12を設ける。第2の導体12の部分は、基板の表面構造のピクセルピット又はサブピクセルピット2に延在する。この実施の形態においては、第2の導体12は、平行なシャドウイング構造4の間に延在する第1の導体に対し垂直に延在する。第2の導電層11もまた、例えばインクジェット印刷操作等の印刷プロセスにより選択的に形成できる。
【0027】
最後に、図17及び図18は、基板全体に渡って第2のカプセル充填層13を形成した様子を示す。この層もまた、密閉により、例えば水、酸素等の望ましくない物質を遮断する。
【0028】
図19及び図20は、基板21の第2の実施の形態を示す。第1の実施の形態とは対照的に、この基板には、上述のシャドウイング構造を設けていない。その代わりに、印刷可能な第1の導電層のために流路境界24’を有する流路構造24が存在する。また、ピクセルピット又はサブピクセルピット22がピクセルピット境界23と共に明確に見てとれる。さらに、印刷可能な第2の導電層のために、分離構造25が既に部分的に存在する。この分離構造25は、第1の導電層27を印刷する流路24の位置で途絶えている。
【0029】
図21及び図22は、例えば窒化物−酸化物−窒化物、即ち、NON層等の透明カプセル充填層26を設けた、斯かる基板を示す。この他にも、水や酸素の他、望ましくない物質に対して密閉性のある透明層が可能である。透明カプセル充填層26は、例えば、CVDプロセスやPECVDプロセス等の蒸着技術により形成することができる。
【0030】
図23及び図24は、印刷した第1の導電層27を示す。第1の導電層27が、そのために用意された流路構造24とピクセルピット又はサブピクセルピット12とに延在する様子が明確に見てとれる。この例示の実施の形態における第1の導電層27は、インクジェット印刷操作によって所望の位置に設けられたPDOT層により形成される。流路構造境界24’とピクセルピット境界23とは、液体が所望の領域外に流出することを確実に防止する。
【0031】
図25及び図26は、ピクセルピット又はサブピクセルピット22において、さらに、例えばPPV層等の発光層28を蒸着した様子を示す。この層28もまた、例えばインクジェット印刷により設けることができる。
【0032】
図27及び図28は、流路構造24に渡って絶縁被覆29を設けたことを示す。絶縁被覆29は、例えば、UVワニスやフォトレジストワニスによって形成することができる。
【0033】
図29及び図30は、流路構造24に敷居30を設けることにより分離構造25をも設けた様子を示す。従って、後続層の形成にとって望ましい凹凸構造を形成するために、既にいくつかの層が設けられた基板上に追加の凹凸構造を設ける。例示的な本実施の形態においては、硬化ワニス、例えばUV硬化ワニスを使用して印刷操作により追加の凹凸構造30を設ける。このようにして、相互に平行に延在する流路31が形成され、その流路方向は、第1の導体27が延在する前記の第1の方向に対して垂直である。
【0034】
図31及び図32においては、その後、基板全体を、例えばカルシウム−マグネシウム層、フッ化リチウム層、バリウム層等の電子注入層32により被覆した様子を示す。
【0035】
図33及び図34は、その後、例えばインクジェット印刷操作により、流路31に第2の導電層33を設けた様子を示す。第2の導電層33は、相互に絶縁され第2の方向に延在するいくつかの平行な導体を提供し、他方で第2の導体の部分は、基板21の表面構造のピクセルピット又はサブピクセルピット22において延在する。
【0036】
最後に、図35及び図36は、第2の導電層の形成後に、基板表面のほぼ全面に渡ってカプセル充填層34を形成した様子を示す。この層もまた密封により、例えば、水、酸素等の望ましくない物質を遮断する。例えば、窒化物−金属−窒化物層、NONON層、NDLCN層(窒化ダイヤモンド様窒化炭素(nitride diamond like carbon nitride))等により斯かる層を構成することができる。
【0037】
図37は、通過する生成光に作用する構造35をピクセルピット又はサブピクセルピットに設けた基板の頂平面図を示す。図37においては、その構造が収束作用、発散作用、又は、逆に、平行作用を及ぼすフレネルレンズ35を形成している。尚、そのような構造をいくつかのピクセルに渡って延在させることも可能であり、その結果、出来上がったディスプレイの一部分において、放出される光が光学的に影響を受けることに注意されたい。そのような構造は、ピクセルピットから離隔した基板の側部に設けることもできる。
【0038】
図38においては、ピクセルピット又はサブピクセルピットに設ける層を形成するために液体の分配を改善することを目的に、ピクセルピット又はサブピクセルピット2、22に設けた別の構造36を示す。この構造36は、好ましくは、接触面拡大効果をも備える。これは、例えば、毛細管状溝を設けた構造によって達成することができる。このように接触面を大きくすることにより、電気抵抗が減少するばかりでなく、より大きな発光面が得られ、その結果、より多くの光が発生することになる。
【0039】
図39aにおいても、シャドウイング構造4を備える基板1の断面を示す。図39bにおいては、レンズ37を通して誘導されるレーザビーム又は赤外線ビームによってこの構造が局所的に溶解される様子が示されている。シャドウイング構造4は、局所的に加熱されて溶解し、その結果、シャドウイング構造4は消滅する。
【0040】
本発明は、本明細書に記載した例示的な実施の形態に限定されないこと、また、添付の請求項に規定する本発明の範囲において、様々な変更が可能であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図2】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図3】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図4】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図5】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図6】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図7】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図8】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図9】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図10】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図11】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図12】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図13】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図14】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図15】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図16】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図17】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図18】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図19】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図20】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図21】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図22】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図23】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図24】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図25】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図26】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図27】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図28】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図29】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図30】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図31】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図32】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図33】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図34】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図35】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す断面図である。
【図36】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を構成する工程を示す平面図である。
【図37】ピクセルピットに第1の構造を形成した基板の平面図である。
【図38】ピクセルピットに第2の構造を形成した基板の平面図である。
【図39a】シャドウイング構造を設けた基板を示す図である。
【図39b】熱レーザ操作を通じて上記シャドウイング構造を局所的に除去する方法を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法において、第1の方向においても第2の方向と同様に第1の導体を延在させる層配置が基板に適用される一方、電圧の影響下で発光する有機エレクトロルミネセンス接続が前記導体の交差部間に設けられ、前記基板はプラスチックから作られ、前記基板には、少なくとも形成すべきいくつかの層のために境界を形成する表面構造が設けられることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記基板の製造は、射出成形プロセスを用いて行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記射出成形プロセスにおいて、前記基板の前記所望の表面構造の反転像を設けた射出成形鋳型が使用されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
エンボス加工、光重合による複製、又は、同様のプラスチック設計プロセスを用いて、前記基板の製造が行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プラスチック基板の製造後に、第1の透明カプセル充填層が、前記基板に形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の透明カプセル充填層は、窒化物−酸化物−窒化物層(NON層)であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の透明カプセル充填層は、例えばPVDプロセス、CVDプロセス又はPECVDプロセス等の堆積技術を用いて形成されることを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の透明カプセル充填層の形成後に、相互に絶縁され第1の方向に延在するいくつかの平行の導体が設けられるようにする一方、前記第1の導体の部分が前記基板の前記表面構造のピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて延在するように、第1の導電層が形成されることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の導電層が、例えばスパッタリングプロセス等の層形成プロセスにより形成される一方、プラスチック基板の前記表面構造にはシャドウイング構造が設けられ、前記シャドウイング構造は、層形成プロセスにより、前記シャドウイング構造の部分が前記各導電層によって被覆されないように設けられることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記シャドウイング構造は、いくつかの平行な狭く深い溝を備え、前記溝の幅及び深さは、前記溝の側壁及び/又は底面の少なくとも一部が、仮にスパッタリングプロセスにおいて前記第1の導電層により被覆されてもわずかに被覆される程度となるような幅及び深さとされることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の導電層は、例えばインクジェット印刷、シルクスクリーン印刷、静電印刷又は熱転写印刷等の印刷操作により形成されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の導電層の形成後に、少なくとも前記ピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて、例えばPDOT層等の正孔注入層が形成されることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の導電層も、前記ピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて、例えばPDOT層等の正孔注入層を形成することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記正孔注入層の形成後に、例えばPPV層等の発光光源が、少なくとも前記ピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて局所的に設けられることを特徴とする請求項12又は13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の導電層の少なくとも発光層によって被覆されていない部分であって、後続のプロセス工程において第2の導電層によって被覆されることとなる部分に、前記後続のプロセス工程の前に、絶縁被覆が設けられることを特徴とする少なくとも請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記絶縁被覆は、例えばインクジェット印刷等の印刷操作によって形成されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記絶縁層は、UV硬化ワニスから形成されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記シャドウイング構造を形成する前記深い溝は、前記絶縁被覆により充填されることを特徴とする請求項10及び16又は請求項10及び17に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも一つの層の形成後に、例えば局所的熱処理等の変形技術によって、前記表面構造の形状が適応させられることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記局所的熱処理は、レーザ操作又は局所赤外線照射によって行われることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
後続の層の形成にとって望ましい凹凸構造を形成するために、既にいくつかの層が設けられている前記基板上に追加の凹凸構造が設けられることを特徴とする請求項1乃至20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
好ましくはUV硬化ワニスである硬化ワニスを使用して、印刷操作によって、前記追加の凹凸構造が設けられることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
相互に平行に延在する一方、方向が、前記第1の導体が延在する前記第1の方向に対して垂直である流路を形成するために、前記絶縁体の形成後に、凹凸構造が設けられることを特徴とする請求項8及び21又は請求項8及び22に記載の方法。
【請求項24】
前記絶縁被覆の形成後に、第2の方向に延在して相互に絶縁されるいくつかの平行な導体が設けられる一方、第2の導体の部分が前記基板の前記表面構造の前記ピクセルピット又はサブピクセルピットに延在するように、簡易に、第2の導電層が設けられることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の方向は、前記第1の方向に対して垂直であることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の導電層は、例えばインクジェット印刷、シルクスクリーン印刷、静電印刷又は熱転写印刷等の印刷操作によって形成されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の導電層は、相互に平行に延在する前記流路に形成されることを特徴とする請求項23及び請求項24乃至26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記第2の導電層の形成前であって前記絶縁被覆の形成後に、カルシウム層、マグネシウム層、フッ化リチウム層又はバリウム層等の電子注入層が、前記基板に形成されることを特徴とする請求項24乃至27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記バリウム層は、PVDプロセスにより形成されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の導電層の形成後に、少なくとも一つのカプセル充填層が形成されることを特徴とする請求項24乃至27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
有機エレクトロルミネセンス表示装置を製造する請求項1乃至30のいずれか一項に記載の方法における用途に適し、かつ、斯かる用途が意図される基板であって、前記基板は、プラスチックから作られ、少なくとも形成すべきいくつかの層のために境界を形成する表面構造が設けられることを特徴とする基板。
【請求項32】
前記表面構造は、いくつかのピクセルピット又はサブピクセルピットを備えることを特徴とする請求項31に記載の基板。
【請求項33】
前記表面構造はシャドウイング構造を備え、前記シャドウイング構造は、スパッタリングプロセスにより、前記シャドウイング構造の部分が前記各導電層によって被覆されないものであることを特徴とする請求項31又は32に記載の基板。
【請求項34】
前記シャドウイング構造は、いくつかの平行な狭く深い溝を備え、前記溝の幅及び深さは、前記溝の側壁及び/又は底面の少なくとも一部が、スパッタリングプロセスにおいて前記第1の導電層によって被覆されないような幅及び深さであることを特徴とする請求項33に記載の基板。
【請求項35】
前記表面構造の反転像が設けられた鋳型から前記表面構造を取り出すことができるように、前記表面構造が離型されることを特徴とする請求項31乃至34のいずれか一項に記載の基板。
【請求項36】
前記基板は、射出成形品であることを特徴とする請求項31乃至35のいずれか一項に記載の基板。
【請求項37】
前記ピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて、前記構造を通過する生成光に作用する構造が設けられることを特徴とする請求項31乃至36のいずれか一項に記載の基板。
【請求項38】
前記ピクセルピット又はサブピクセルピットから離隔した前記基板の側部において、前記構造を通過する生成光に作用する構造が設けられることを特徴とする請求項31乃至36のいずれか一項に記載の基板。
【請求項39】
前記構造は、フレネルレンズを構成することを特徴とする請求項37又は38のいずれか一項に記載の基板。
【請求項40】
前記構造は、前記構造を通して放出される光に収束作用を及ぼすことを特徴とする請求項37乃至39のいずれか一項に記載の基板。
【請求項41】
前記構造は、前記構造を通して放出される光に発散作用を及ぼすことを特徴とする請求項37乃至39のいずれか一項に記載の基板。
【請求項42】
前記ピクセルピット又はサブピクセルピットに設けられる層を形成するために、前記ピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて、液体の分配を改良するように設計された構造が設けられることを特徴とする請求項31乃至41のいずれか一項に記載の基板。
【請求項43】
前記ピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて、接触面拡大構造が設けられることを特徴とする請求項31乃至42のいずれか一項に記載の基板。
【請求項44】
前記構造は、毛細管状溝を備えることを特徴とする請求項42又は43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
請求項31乃至44のいずれか一項に記載の基板を使用して、請求項1乃至30のいずれか一項に記載の方法を用いて製造されることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス表示装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法において、第1の方向においても第1の導体を第2の方向における第2の導体と同様に延在させる層配置が基板に適用される一方、電圧の影響下で発光する有機エレクトロルミネセンス化合物が前記第1及び第2の導体の交差部に設けられ、前記基板は、プラスチックから作られ、かつ、少なくとも形成すべきいくつかの層のための境界を形成する表面構造を有するものであり、第1の導電層は、層形成プロセスによって形成されるものであり、プラスチック基板の前記表面構造にはシャドウイング構造が設けられ、前記シャドウイング構造が設けられるにあたっては、層形成プロセスによって、このシャドウイング構造の部分が、仮に各導電層により被覆される場合でも、わずかに被覆される程度とし、前記シャドウイング構造は、その部分における電気抵抗が前記導電層の残余の部分における抵抗に比較して大きいものであることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記基板の製造は、射出成形プロセスを用いて行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記射出成形プロセスにおいて、前記基板の前記所望の表面構造の反転像を設けた射出成形鋳型が使用されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
エンボス加工、光重合による複製、又は、同様のプラスチック設計プロセスを用いて、前記基板の製造が行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プラスチック基板の製造後に、第1の透明カプセル充填層が、前記基板に形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の透明カプセル充填層は、窒化物−酸化物−窒化物層(NON層)であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の透明カプセル充填層は、例えばPVDプロセス、CVDプロセス又はPECVDプロセス等の堆積技術を用いて形成されることを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の透明カプセル充填層の形成後に、相互に絶縁され第1の方向に延在するいくつかの平行の導体が設けられるようにする一方、前記第1の導体の部分が前記基板の前記表面構造のピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて延在するように、第1の導電層が形成されることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の導電層のための前記層形成プロセスは、スパッタリングプロセスであることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記シャドウイング構造は、いくつかの平行な狭く深い溝を備え、前記溝の幅及び深さは、前記溝の側壁及び/又は底面の少なくとも一部が、仮にスパッタリングプロセスにおいて前記第1の導電層により被覆されてもわずかに被覆される程度となるような幅及び深さとされることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の導電層は、例えばインクジェット印刷、シルクスクリーン印刷、静電印刷又は熱転写印刷等の印刷操作により形成されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の導電層の形成後に、少なくとも前記ピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて、例えばPDOT層等の正孔注入層が形成されることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の導電層も、前記ピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて、例えばPDOT層等の正孔注入層を形成することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記正孔注入層の形成後に、例えばPPV層等の発光光源が、少なくとも前記ピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて局所的に設けられることを特徴とする請求項12又は13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の導電層の少なくとも発光層によって被覆されていない部分であって、後続のプロセス工程において第2の導電層によって被覆されることとなる部分に、前記後続のプロセス工程の前に、絶縁被覆が設けられることを特徴とする少なくとも請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記絶縁被覆は、例えばインクジェット印刷等の印刷操作によって形成されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記絶縁層は、UV硬化ワニスから形成されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記シャドウイング構造を形成する前記深い溝は、前記絶縁被覆により充填されることを特徴とする請求項10及び16又は請求項10及び17に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも一つの層の形成後に、例えば局所的熱処理等の変形技術によって、前記表面構造の形状が適応させられることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記局所的熱処理は、レーザ操作又は局所赤外線照射によって行われることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
後続の層の形成にとって望ましい凹凸構造を形成するために、既にいくつかの層が設けられている前記基板上に追加の凹凸構造が設けられることを特徴とする請求項1乃至20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
好ましくはUV硬化ワニスである硬化ワニスを使用して、印刷操作によって、前記追加の凹凸構造が設けられることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
相互に平行に延在する一方、方向が、前記第1の導体が延在する前記第1の方向に対して垂直である流路を形成するために、前記絶縁体の形成後に、凹凸構造が設けられることを特徴とする請求項8及び21又は請求項8及び22に記載の方法。
【請求項24】
前記絶縁被覆の形成後に、第2の方向に延在して相互に絶縁されるいくつかの平行な導体が設けられる一方、第2の導体の部分が前記基板の前記表面構造の前記ピクセルピット又はサブピクセルピットに延在するように、簡易に、第2の導電層が設けられることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の方向は、前記第1の方向に対して垂直であることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の導電層は、例えばインクジェット印刷、シルクスクリーン印刷、静電印刷又は熱転写印刷等の印刷操作によって形成されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の導電層は、相互に平行に延在する前記流路に形成されることを特徴とする請求項23及び請求項24乃至26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記第2の導電層の形成前であって前記絶縁被覆の形成後に、カルシウム層、マグネシウム層、フッ化リチウム層又はバリウム層等の電子注入層が、前記基板に形成されることを特徴とする請求項24乃至27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記バリウム層は、PVDプロセスにより形成されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の導電層の形成後に、少なくとも一つのカプセル充填層が形成されることを特徴とする請求項24乃至27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
有機エレクトロルミネセンス表示装置を製造する請求項1乃至30のいずれか一項に記載の方法における用途に適し、かつ、斯かる用途が意図される基板であって、前記方法は、層形成プロセスによって第1の導電層を形成する工程を含み、前記基板は、プラスチックから作られ、少なくとも形成すべきいくつかの層のための境界を形成する表面構造を有し、かつ、プラスチック基板の前記表面構造にはシャドウイング構造が設けられ、前記シャドウイング構造が設けられるにあたっては、層形成プロセスによって、前記シャドウイング構造の部分が、仮に各導電層により被覆される場合でも、わずかに被覆される程度とし、前記シャドウイング構造は、その部分における電気抵抗が導電層の残余の部分における抵抗に比較して大きいものであることを特徴とする基板。
【請求項32】
前記表面構造は、いくつかのピクセルピット又はサブピクセルピットを備えることを特徴とする請求項31に記載の基板。
【請求項33】
前記表面構造はシャドウイング構造を備え、前記シャドウイング構造は、スパッタリングプロセスにより、前記シャドウイング構造の部分が前記各導電層によって被覆されないものであることを特徴とする請求項31又は32に記載の基板。
【請求項34】
前記シャドウイング構造は、いくつかの平行な狭く深い溝を備え、前記溝の幅及び深さは、前記溝の側壁及び/又は底面の少なくとも一部が、スパッタリングプロセスにおいて前記第1の導電層によって被覆されないような幅及び深さであることを特徴とする請求項33に記載の基板。
【請求項35】
前記表面構造の反転像が設けられた鋳型から前記表面構造を取り出すことができるように、前記表面構造が離型されることを特徴とする請求項31乃至34のいずれか一項に記載の基板。
【請求項36】
前記基板は、射出成形品であることを特徴とする請求項31乃至35のいずれか一項に記載の基板。
【請求項37】
前記ピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて、前記構造を通過する生成光に作用する構造が設けられることを特徴とする請求項31乃至36のいずれか一項に記載の基板。
【請求項38】
前記ピクセルピット又はサブピクセルピットから離隔した前記基板の側部において、前記構造を通過する生成光に作用する構造が設けられることを特徴とする請求項31乃至36のいずれか一項に記載の基板。
【請求項39】
前記構造は、フレネルレンズを構成することを特徴とする請求項37又は38のいずれか一項に記載の基板。
【請求項40】
前記構造は、前記構造を通して放出される光に収束作用を及ぼすことを特徴とする請求項37乃至39のいずれか一項に記載の基板。
【請求項41】
前記構造は、前記構造を通して放出される光に発散作用を及ぼすことを特徴とする請求項37乃至39のいずれか一項に記載の基板。
【請求項42】
前記ピクセルピット又はサブピクセルピットに設けられる層を形成するために、前記ピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて、液体の分配を改良するように設計された構造が設けられることを特徴とする請求項31乃至41のいずれか一項に記載の基板。
【請求項43】
前記ピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて、接触面拡大構造が設けられることを特徴とする請求項31乃至42のいずれか一項に記載の基板。
【請求項44】
前記構造は、毛細管状溝を備えることを特徴とする請求項42又は43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
請求項31乃至44のいずれか一項に記載の基板を使用して、請求項1乃至30のいずれか一項に記載の方法を用いて製造されることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項1】
有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法において、第1の方向においても第2の方向と同様に第1の導体を延在させる層配置が基板に適用される一方、電圧の影響下で発光する有機エレクトロルミネセンス接続が前記導体の交差部間に設けられ、前記基板はプラスチックから作られ、前記基板には、少なくとも形成すべきいくつかの層のために境界を形成する表面構造が設けられることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記基板の製造は、射出成形プロセスを用いて行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記射出成形プロセスにおいて、前記基板の前記所望の表面構造の反転像を設けた射出成形鋳型が使用されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
エンボス加工、光重合による複製、又は、同様のプラスチック設計プロセスを用いて、前記基板の製造が行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プラスチック基板の製造後に、第1の透明カプセル充填層が、前記基板に形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の透明カプセル充填層は、窒化物−酸化物−窒化物層(NON層)であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の透明カプセル充填層は、例えばPVDプロセス、CVDプロセス又はPECVDプロセス等の堆積技術を用いて形成されることを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の透明カプセル充填層の形成後に、相互に絶縁され第1の方向に延在するいくつかの平行の導体が設けられるようにする一方、前記第1の導体の部分が前記基板の前記表面構造のピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて延在するように、第1の導電層が形成されることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の導電層が、例えばスパッタリングプロセス等の層形成プロセスにより形成される一方、プラスチック基板の前記表面構造にはシャドウイング構造が設けられ、前記シャドウイング構造は、層形成プロセスにより、前記シャドウイング構造の部分が前記各導電層によって被覆されないように設けられることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記シャドウイング構造は、いくつかの平行な狭く深い溝を備え、前記溝の幅及び深さは、前記溝の側壁及び/又は底面の少なくとも一部が、仮にスパッタリングプロセスにおいて前記第1の導電層により被覆されてもわずかに被覆される程度となるような幅及び深さとされることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の導電層は、例えばインクジェット印刷、シルクスクリーン印刷、静電印刷又は熱転写印刷等の印刷操作により形成されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の導電層の形成後に、少なくとも前記ピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて、例えばPDOT層等の正孔注入層が形成されることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の導電層も、前記ピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて、例えばPDOT層等の正孔注入層を形成することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記正孔注入層の形成後に、例えばPPV層等の発光光源が、少なくとも前記ピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて局所的に設けられることを特徴とする請求項12又は13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の導電層の少なくとも発光層によって被覆されていない部分であって、後続のプロセス工程において第2の導電層によって被覆されることとなる部分に、前記後続のプロセス工程の前に、絶縁被覆が設けられることを特徴とする少なくとも請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記絶縁被覆は、例えばインクジェット印刷等の印刷操作によって形成されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記絶縁層は、UV硬化ワニスから形成されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記シャドウイング構造を形成する前記深い溝は、前記絶縁被覆により充填されることを特徴とする請求項10及び16又は請求項10及び17に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも一つの層の形成後に、例えば局所的熱処理等の変形技術によって、前記表面構造の形状が適応させられることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記局所的熱処理は、レーザ操作又は局所赤外線照射によって行われることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
後続の層の形成にとって望ましい凹凸構造を形成するために、既にいくつかの層が設けられている前記基板上に追加の凹凸構造が設けられることを特徴とする請求項1乃至20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
好ましくはUV硬化ワニスである硬化ワニスを使用して、印刷操作によって、前記追加の凹凸構造が設けられることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
相互に平行に延在する一方、方向が、前記第1の導体が延在する前記第1の方向に対して垂直である流路を形成するために、前記絶縁体の形成後に、凹凸構造が設けられることを特徴とする請求項8及び21又は請求項8及び22に記載の方法。
【請求項24】
前記絶縁被覆の形成後に、第2の方向に延在して相互に絶縁されるいくつかの平行な導体が設けられる一方、第2の導体の部分が前記基板の前記表面構造の前記ピクセルピット又はサブピクセルピットに延在するように、簡易に、第2の導電層が設けられることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の方向は、前記第1の方向に対して垂直であることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の導電層は、例えばインクジェット印刷、シルクスクリーン印刷、静電印刷又は熱転写印刷等の印刷操作によって形成されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の導電層は、相互に平行に延在する前記流路に形成されることを特徴とする請求項23及び請求項24乃至26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記第2の導電層の形成前であって前記絶縁被覆の形成後に、カルシウム層、マグネシウム層、フッ化リチウム層又はバリウム層等の電子注入層が、前記基板に形成されることを特徴とする請求項24乃至27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記バリウム層は、PVDプロセスにより形成されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の導電層の形成後に、少なくとも一つのカプセル充填層が形成されることを特徴とする請求項24乃至27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
有機エレクトロルミネセンス表示装置を製造する請求項1乃至30のいずれか一項に記載の方法における用途に適し、かつ、斯かる用途が意図される基板であって、前記基板は、プラスチックから作られ、少なくとも形成すべきいくつかの層のために境界を形成する表面構造が設けられることを特徴とする基板。
【請求項32】
前記表面構造は、いくつかのピクセルピット又はサブピクセルピットを備えることを特徴とする請求項31に記載の基板。
【請求項33】
前記表面構造はシャドウイング構造を備え、前記シャドウイング構造は、スパッタリングプロセスにより、前記シャドウイング構造の部分が前記各導電層によって被覆されないものであることを特徴とする請求項31又は32に記載の基板。
【請求項34】
前記シャドウイング構造は、いくつかの平行な狭く深い溝を備え、前記溝の幅及び深さは、前記溝の側壁及び/又は底面の少なくとも一部が、スパッタリングプロセスにおいて前記第1の導電層によって被覆されないような幅及び深さであることを特徴とする請求項33に記載の基板。
【請求項35】
前記表面構造の反転像が設けられた鋳型から前記表面構造を取り出すことができるように、前記表面構造が離型されることを特徴とする請求項31乃至34のいずれか一項に記載の基板。
【請求項36】
前記基板は、射出成形品であることを特徴とする請求項31乃至35のいずれか一項に記載の基板。
【請求項37】
前記ピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて、前記構造を通過する生成光に作用する構造が設けられることを特徴とする請求項31乃至36のいずれか一項に記載の基板。
【請求項38】
前記ピクセルピット又はサブピクセルピットから離隔した前記基板の側部において、前記構造を通過する生成光に作用する構造が設けられることを特徴とする請求項31乃至36のいずれか一項に記載の基板。
【請求項39】
前記構造は、フレネルレンズを構成することを特徴とする請求項37又は38のいずれか一項に記載の基板。
【請求項40】
前記構造は、前記構造を通して放出される光に収束作用を及ぼすことを特徴とする請求項37乃至39のいずれか一項に記載の基板。
【請求項41】
前記構造は、前記構造を通して放出される光に発散作用を及ぼすことを特徴とする請求項37乃至39のいずれか一項に記載の基板。
【請求項42】
前記ピクセルピット又はサブピクセルピットに設けられる層を形成するために、前記ピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて、液体の分配を改良するように設計された構造が設けられることを特徴とする請求項31乃至41のいずれか一項に記載の基板。
【請求項43】
前記ピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて、接触面拡大構造が設けられることを特徴とする請求項31乃至42のいずれか一項に記載の基板。
【請求項44】
前記構造は、毛細管状溝を備えることを特徴とする請求項42又は43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
請求項31乃至44のいずれか一項に記載の基板を使用して、請求項1乃至30のいずれか一項に記載の方法を用いて製造されることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス表示装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法において、第1の方向においても第1の導体を第2の方向における第2の導体と同様に延在させる層配置が基板に適用される一方、電圧の影響下で発光する有機エレクトロルミネセンス化合物が前記第1及び第2の導体の交差部に設けられ、前記基板は、プラスチックから作られ、かつ、少なくとも形成すべきいくつかの層のための境界を形成する表面構造を有するものであり、第1の導電層は、層形成プロセスによって形成されるものであり、プラスチック基板の前記表面構造にはシャドウイング構造が設けられ、前記シャドウイング構造が設けられるにあたっては、層形成プロセスによって、このシャドウイング構造の部分が、仮に各導電層により被覆される場合でも、わずかに被覆される程度とし、前記シャドウイング構造は、その部分における電気抵抗が前記導電層の残余の部分における抵抗に比較して大きいものであることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記基板の製造は、射出成形プロセスを用いて行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記射出成形プロセスにおいて、前記基板の前記所望の表面構造の反転像を設けた射出成形鋳型が使用されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
エンボス加工、光重合による複製、又は、同様のプラスチック設計プロセスを用いて、前記基板の製造が行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プラスチック基板の製造後に、第1の透明カプセル充填層が、前記基板に形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の透明カプセル充填層は、窒化物−酸化物−窒化物層(NON層)であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の透明カプセル充填層は、例えばPVDプロセス、CVDプロセス又はPECVDプロセス等の堆積技術を用いて形成されることを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の透明カプセル充填層の形成後に、相互に絶縁され第1の方向に延在するいくつかの平行の導体が設けられるようにする一方、前記第1の導体の部分が前記基板の前記表面構造のピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて延在するように、第1の導電層が形成されることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の導電層のための前記層形成プロセスは、スパッタリングプロセスであることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記シャドウイング構造は、いくつかの平行な狭く深い溝を備え、前記溝の幅及び深さは、前記溝の側壁及び/又は底面の少なくとも一部が、仮にスパッタリングプロセスにおいて前記第1の導電層により被覆されてもわずかに被覆される程度となるような幅及び深さとされることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の導電層は、例えばインクジェット印刷、シルクスクリーン印刷、静電印刷又は熱転写印刷等の印刷操作により形成されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の導電層の形成後に、少なくとも前記ピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて、例えばPDOT層等の正孔注入層が形成されることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の導電層も、前記ピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて、例えばPDOT層等の正孔注入層を形成することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記正孔注入層の形成後に、例えばPPV層等の発光光源が、少なくとも前記ピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて局所的に設けられることを特徴とする請求項12又は13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の導電層の少なくとも発光層によって被覆されていない部分であって、後続のプロセス工程において第2の導電層によって被覆されることとなる部分に、前記後続のプロセス工程の前に、絶縁被覆が設けられることを特徴とする少なくとも請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記絶縁被覆は、例えばインクジェット印刷等の印刷操作によって形成されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記絶縁層は、UV硬化ワニスから形成されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記シャドウイング構造を形成する前記深い溝は、前記絶縁被覆により充填されることを特徴とする請求項10及び16又は請求項10及び17に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも一つの層の形成後に、例えば局所的熱処理等の変形技術によって、前記表面構造の形状が適応させられることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記局所的熱処理は、レーザ操作又は局所赤外線照射によって行われることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
後続の層の形成にとって望ましい凹凸構造を形成するために、既にいくつかの層が設けられている前記基板上に追加の凹凸構造が設けられることを特徴とする請求項1乃至20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
好ましくはUV硬化ワニスである硬化ワニスを使用して、印刷操作によって、前記追加の凹凸構造が設けられることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
相互に平行に延在する一方、方向が、前記第1の導体が延在する前記第1の方向に対して垂直である流路を形成するために、前記絶縁体の形成後に、凹凸構造が設けられることを特徴とする請求項8及び21又は請求項8及び22に記載の方法。
【請求項24】
前記絶縁被覆の形成後に、第2の方向に延在して相互に絶縁されるいくつかの平行な導体が設けられる一方、第2の導体の部分が前記基板の前記表面構造の前記ピクセルピット又はサブピクセルピットに延在するように、簡易に、第2の導電層が設けられることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の方向は、前記第1の方向に対して垂直であることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の導電層は、例えばインクジェット印刷、シルクスクリーン印刷、静電印刷又は熱転写印刷等の印刷操作によって形成されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の導電層は、相互に平行に延在する前記流路に形成されることを特徴とする請求項23及び請求項24乃至26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記第2の導電層の形成前であって前記絶縁被覆の形成後に、カルシウム層、マグネシウム層、フッ化リチウム層又はバリウム層等の電子注入層が、前記基板に形成されることを特徴とする請求項24乃至27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記バリウム層は、PVDプロセスにより形成されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の導電層の形成後に、少なくとも一つのカプセル充填層が形成されることを特徴とする請求項24乃至27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
有機エレクトロルミネセンス表示装置を製造する請求項1乃至30のいずれか一項に記載の方法における用途に適し、かつ、斯かる用途が意図される基板であって、前記方法は、層形成プロセスによって第1の導電層を形成する工程を含み、前記基板は、プラスチックから作られ、少なくとも形成すべきいくつかの層のための境界を形成する表面構造を有し、かつ、プラスチック基板の前記表面構造にはシャドウイング構造が設けられ、前記シャドウイング構造が設けられるにあたっては、層形成プロセスによって、前記シャドウイング構造の部分が、仮に各導電層により被覆される場合でも、わずかに被覆される程度とし、前記シャドウイング構造は、その部分における電気抵抗が導電層の残余の部分における抵抗に比較して大きいものであることを特徴とする基板。
【請求項32】
前記表面構造は、いくつかのピクセルピット又はサブピクセルピットを備えることを特徴とする請求項31に記載の基板。
【請求項33】
前記表面構造はシャドウイング構造を備え、前記シャドウイング構造は、スパッタリングプロセスにより、前記シャドウイング構造の部分が前記各導電層によって被覆されないものであることを特徴とする請求項31又は32に記載の基板。
【請求項34】
前記シャドウイング構造は、いくつかの平行な狭く深い溝を備え、前記溝の幅及び深さは、前記溝の側壁及び/又は底面の少なくとも一部が、スパッタリングプロセスにおいて前記第1の導電層によって被覆されないような幅及び深さであることを特徴とする請求項33に記載の基板。
【請求項35】
前記表面構造の反転像が設けられた鋳型から前記表面構造を取り出すことができるように、前記表面構造が離型されることを特徴とする請求項31乃至34のいずれか一項に記載の基板。
【請求項36】
前記基板は、射出成形品であることを特徴とする請求項31乃至35のいずれか一項に記載の基板。
【請求項37】
前記ピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて、前記構造を通過する生成光に作用する構造が設けられることを特徴とする請求項31乃至36のいずれか一項に記載の基板。
【請求項38】
前記ピクセルピット又はサブピクセルピットから離隔した前記基板の側部において、前記構造を通過する生成光に作用する構造が設けられることを特徴とする請求項31乃至36のいずれか一項に記載の基板。
【請求項39】
前記構造は、フレネルレンズを構成することを特徴とする請求項37又は38のいずれか一項に記載の基板。
【請求項40】
前記構造は、前記構造を通して放出される光に収束作用を及ぼすことを特徴とする請求項37乃至39のいずれか一項に記載の基板。
【請求項41】
前記構造は、前記構造を通して放出される光に発散作用を及ぼすことを特徴とする請求項37乃至39のいずれか一項に記載の基板。
【請求項42】
前記ピクセルピット又はサブピクセルピットに設けられる層を形成するために、前記ピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて、液体の分配を改良するように設計された構造が設けられることを特徴とする請求項31乃至41のいずれか一項に記載の基板。
【請求項43】
前記ピクセルピット又はサブピクセルピットにおいて、接触面拡大構造が設けられることを特徴とする請求項31乃至42のいずれか一項に記載の基板。
【請求項44】
前記構造は、毛細管状溝を備えることを特徴とする請求項42又は43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
請求項31乃至44のいずれか一項に記載の基板を使用して、請求項1乃至30のいずれか一項に記載の方法を用いて製造されることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【公表番号】特表2006−512741(P2006−512741A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−567925(P2004−567925)
【出願日】平成15年12月24日(2003.12.24)
【国際出願番号】PCT/NL2003/000937
【国際公開番号】WO2004/070840
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(503007933)オーテーベー、グループ、ベスローテン、フェンノートシャップ (14)
【氏名又は名称原語表記】OTB GROUP B.V.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年12月24日(2003.12.24)
【国際出願番号】PCT/NL2003/000937
【国際公開番号】WO2004/070840
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(503007933)オーテーベー、グループ、ベスローテン、フェンノートシャップ (14)
【氏名又は名称原語表記】OTB GROUP B.V.
【Fターム(参考)】
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