説明

有機エレクトロルミネッセンスカラー発光装置

【課題】対向する電極間の電気的ショートを防止しつつ、高い発光効率を実現する有機ELカラー発光装置を提供する。
【解決手段】支持基板100上に、発光ピーク波長がλである光を発する第1の有機EL素子を設けた第1の画素10と、発光ピーク波長がλである光を発する第2の有機EL素子を設けた第2の画素20と、を有し、発光ピーク波長λは、同λよりも長波長であり、第1及び第2の有機EL素子が、少なくとも光反射性電極11,21、有機発光媒体層、光半透過性電極を光取出し方向に、この順に積層した素子であり、下記式(1)で定義されるm及びmが、m+1.3>m>m+0.7(m及び/又はmは0以上の略整数である)の関係を満たす有機EL発光装置。
X=2LX/λX+ΦX/2π・・・(1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンスカラー発光装置に関する。より詳しくは、カラー発光装置を構成する画素において、有機エレクトロルミネッセンス素子の上部及び下部の電極間の光学的距離を特定の範囲となるように調整することにより、電極間の電気的ショートの防止、生産性の向上を図り、かつ特定の光の強度を増強させることにより、高効率な発光を可能にした有機エレクトロルミネッセンスカラー発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、エレクトロルミネッセンスを「EL」と略記する。)は、第1電極と第2電極との間に、有機電荷輸送層や有機発光層を積層させてなる有機発光媒体層を設けた構成であり、低電圧直流駆動による高輝度発光が可能な、自発光型の表示素子として注目されている。
【0003】
有機EL素子の構造は、有機発光層で発生した光を取り出す方向により、ボトムエミッション構造とトップエミッション構造とに分類される。トップエミッション構造とは、従来、有機EL素子構造を支持するガラス基板側から光を取り出していたもの(ボトムエミッション構造)を、基板とは反対側の上部から光を取り出す構造としたものである。これにより、発光部に対する開口率を向上させることが可能となり、高輝度化を可能としている。
【0004】
トップエミッション構造の有機EL素子において、上部電極に薄膜の金属層(光反射層)を含む半透明の陰極を採用し、多重干渉効果によって、特定の波長の光のみを増強してEL素子の外部に取出し、高い色再現性を実現することが検討されている。
例えば、光反射性電極、有機発光層を備えた有機発光媒体層、半透明の金属層及び透明材料からなる電極が順次積層され、光反射性電極と金属層とで挟まれた有機発光媒体層が共振部となるように構成された有機EL素子において、取り出したい光のスペクトルのピーク波長をλとした場合、以下の式を満たすように構成した有機EL素子が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
(2L)/λ+Φ/(2π)=m
(式中、Lは光学的距離、λは取り出したい光の波長、mは整数、Φは電極における位相シフトであり、光学的距離Lが最小となるように構成)
【0005】
また、トップエミッション構造の有機EL素子と、有機EL素子をアクティブ駆動するためのTFTアレイを組合わせた、フルカラーディスプレイが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
ところが、特許文献1に記載の技術では、光学的距離Lが最小となるように構成されているため、対向する電極間に設けられる有機発光媒体層の膜厚が小さい。そのため、光反射性電極表面又はその下地の凹凸が影響して、二つの電極間での電気的ショートが発生しやすく、有機EL素子の製造歩留まりを悪化させるという欠点があった。
【0007】
この電極間のショートを防止する技術としては、光反射性電極表面を研磨して平滑化する技術がある。これは、ボトムエミッション構造の有機EL素子では有効である。しかし、トップエミッション構造、特に、特許文献2のようなTFTアレイの上部にトップエミッション構造の有機EL素子を設けたような場合には、研磨工程時に発生する静電気によって、TFTアレイ部分が破壊される等の不具合が生じるおそれがあった。
【特許文献1】国際公開第WO01/39554号パンフレット
【特許文献2】特開2001−195008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑みなされたものであり、対向する電極間の電気的ショートを防止しつつ、高い発光効率を実現する有機ELカラー発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するために、本発明者らは検討をした結果、最も波長の短い光を発する画素と最も波長の長い光を発する画素とで有機発光媒体層の膜厚を変えることにより、ショート防止を図りつつ、高い発光効率を実現できることを見出した。
本発明によれば、以下の有機ELカラー発光装置が提供される。
1.支持基板上に、発光ピーク波長がλである光を発する第1の有機エレクトロルミネッセンス素子を設けた第1の画素と、発光ピーク波長がλである光を発する第2の有機エレクトロルミネッセンス素子を設けた第2の画素と、を有し、前記発光ピーク波長λは、同λよりも長波長であり、前記第1及び第2の有機エレクトロルミネッセンス素子が、少なくとも光反射性電極、有機発光媒体層、光半透過性電極を光取出し方向に、この順に積層した素子であり、下記式(1)で定義されるm及びmが、m+1.3>m>m+0.7(m及び/又はmは0以上の略整数である)の関係を満たす有機エレクトロルミネッセンスカラー発光装置。
【数1】

[式中、Lxは波長λの光に対する光反射性電極と光半透過性電極の間の光学的距離、Φは波長λの光が光反射性電極表面及び光半透過性電極表面で反射するときに生じる位相シフトの合計値を示す。xは1又は2であり、x=1のときは、第1の有機エレクトロルミネッセンス素子の値であり、x=2のときは、第2の有機エレクトロルミネッセンス素子の値であることを示す。]
2.支持基板上に、発光ピーク波長がλである光を発する第1の有機エレクトロルミネッセンス素子を設けた第1の画素と、発光ピーク波長がλである光を発する第2の有機エレクトロルミネッセンス素子を設けた第2の画素と、発光ピーク波長がλである光を発する第3の有機エレクトロルミネッセンス素子を設けた第3の画素と、を有し、前記発光ピーク波長λは、同λよりも長波長であり、前記発光ピーク波長λは、同λよりも長波長であり、前記第1〜第3の有機エレクトロルミネッセンス素子が、少なくとも光反射性電極、有機発光媒体層、光半透過性電極を光取出し方向に、この順に積層した素子であり、下記式(2)で定義されるm及びmが、m+1.3>m>m+0.7(m及び/又はmは0以上の略整数である)の関係を満たす有機エレクトロルミネッセンスカラー発光装置。
【数2】

[式中、Lxは波長λの光に対する光反射性電極と光半透過性電極の間の光学的距離、Φは波長λの光が光反射性電極表面及び光半透過性電極表面で反射するときに生じる位相シフトの合計値を示す。xは1又は3であり、x=1のときは、第1の有機エレクトロルミネッセンス素子の値であり、x=3のときは、第3の有機エレクトロルミネッセンス素子の値であることを示す。]
3.前記有機発光媒体層が、少なくとも第1電荷輸送層、有機発光層、第2電荷輸送層を光取出し方向にこの順に積層した素子であり、前記第1〜第3の画素における、有機発光層と光半透過性電極との間の距離がほぼ同一である1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンスカラー発光装置。
4.前記有機発光媒体層が、少なくとも第1電荷輸送層、有機発光層、第2電荷輸送層を光取出し方向にこの順に積層した素子であり、前記第1〜第3の画素における、光反射性電極と有機発光層との間の距離がほぼ同一である1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンスカラー発光装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明の有機ELカラー発光装置は、電極間の膜厚を十分厚く保つことができるので、電極間の電気的ショートによる歩留まり低下を防止でき、かつ光干渉効果による高い発光効率を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施形態1
以下、本発明の有機ELカラー発光装置を具体的に説明する。
図1は、本発明の実施形態1の有機ELカラー発光装置を示す概略図である。
有機ELカラー発光装置1は、基板100上に並置された第1の有機EL素子からなる第1の画素10と、第2の有機EL素子からなる第2の画素20とを有する。
第1の画素10は、、基板100上に、光反射性電極11、有機発光媒体層(第1電荷輸送層12、有機発光層13、第2電荷輸送層14)、光反射層15と光透過性電極16を積層した光半透過性電極とを、この順に積層した構造を有している。
第2の画素20は、基板100上に、光反射性電極21、有機発光媒体層(第1電荷輸送層22、有機発光層23、第2電荷輸送層24)、及び光反射層25と光透過性電極26を積層した光半透過性電極とを、この順に積層した構造を有している。
【0012】
光反射性電極11、21は、正孔又は電子を供給する電極として機能するとともに、有機発光層13、23で発生した光を、光取り出し方向(図1における上方)に反射する層である。第1及び第2電荷輸送層(12,22,14,24)は、電極から供給される電荷(正孔又は電子)を有機発光層に輸送・注入するものである。有機発光層13、23は、電子と正孔の再結合により光を発生する層である。光反射層15、25は、有機発光層13で発生した光を反射及び透過する層である。光透過性電極層16、26は、正孔又は電子を供給する電極であり、また、有機発光層13、23で発生した光を透過し、外部に取り出す層である。
【0013】
有機ELカラー発光装置1において、第1の画素10及び第2の画素20は、光反射性電極11、21と光反射層15、25の間を共振器とする共振器構造を有している。共振器構造を有する素子では、有機発光層で発生した光は、二つの光反射面(光反射性電極と光反射層)の間で反射を繰り返し、下記式(1)において、mが略整数(整数±0.2)のときに波長付近の光が強められ、結果として他の波長の光よりも強調されて素子の外に放出される。
【数3】

[式中、Lxは波長λの光に対する光反射性電極と光半透過性電極の間の光学的距離、Φは波長λの光が光反射性電極表面及び光半透過性電極表面で反射するときに生じる位相シフトの合計値を示す。xは1又は2であり、x=1のときは、第1の有機EL素子の値であり、x=2のときは、第2の有機EL素子の値であることを示す。]
尚、光学的距離Lxは、光の通過する媒体の屈折率nと実際の距離Lとの積(nL)である。
また、位相シフトΦxは、反射性電極(又は光反射層)の複素屈折率の実部n、虚部κ、反射性電極(又は光反射層)に接する有機発光媒体層の屈折率nとしたとき、下記式より求めた値である。
【0014】
【数4】

【0015】
本実施形態において、第1の画素10の光学的距離(光学膜厚)をL1としてあり、第2の画素20ではL2としてある。L1とL2では、第1電荷輸送層12、22の膜厚に相当する分だけ光学的距離が異なっている。第1の画素10では、ある波長λ1の光を強調して素子の外部に取出すように設定し、第2の画素20では、λ1より長い波長λ2の光を強調して素子の外部に取出すように設定することにより、これら2つの画素から取り出される光の発光スペクトルをそれぞれ異なるものとしているので多色発光が可能となる。尚、図1中の矢印は、光の取り出し方向を示している。
【0016】
本実施形態のカラー発光装置1では、mが1となるように第1の画素10の光学的距離(L1)を設定し、mが0となるように第2の画素20の光学的距離(L2)を設定している。以下、この理由について説明する。
【0017】
図2は、有機発光媒体層の膜厚と、式(1)のmの関係を示す図である。
尚、図2は、アルミニウム/ITO(10nm)/正孔輸送層(xnm)/発光層(30nm)/電子輸送層(20nm)/Mg:Ag合金層(10nm)/ITO(100nm)という積層構成からなる有機EL素子において、455nm(B)、520nm(G)、620nm(R)のそれぞれの波長に対し、有機発光媒体層の膜厚x+50(nm)と、式(1)中のmの関係を計算によって求めたものである。
【0018】
mの値が整数に近くなるように有機発光媒体層の膜厚を設定することにより、対応する波長の光が干渉効果により増強され、高い発光効率が得られる。
例えば、青色光に対応する波長455nmの光(図2中のB)に対しては、有機発光媒体層の膜厚を約80nm(m=0)、約200nm(m=1)に設定することにより、高い発光効率が得られる。また、緑色光に対応する波長520nmの光(図2中のG)に対しては、有機発光媒体層の膜厚を約95nm(m=0)、約245nm(m=1)に設定することにより、高い発光効率が得られる。また、赤色光に対応する波長620nmの光(図2中のR)に対しては、有機発光媒体層の膜厚を約120nm(m=0)、約300nm(m=1)に設定することにより、高い発光効率が得られる。
【0019】
図2からわかるように、mを最小の整数である0とした場合、特に、520nm以下の短波長の光のときに、有機発光媒体層の膜厚が100nm以下と薄くなる。このような薄膜では、二つの電極間のショートが発生しやすくなることが経験的に知られている。
【0020】
そこで、本発明において、短い波長λ1の光を強調して素子の外部に放射する第1の有機EL素子では、式(1)のmが1となるように光学的距離(L1)を設定することで、有機発光媒体層の膜厚を厚くしつつ、光共振器の機能を付与している。一方、長い波長λ2の光を強調して素子の外部に放射する第2の有機EL素子では、mが0の条件でも有機発光媒体層の膜厚が十分に厚いので、式(1)のmが0となるように光学的距離(L2)を設定する。
このように、発色の異なる有機EL素子を同一基板上に形成しても、各有機EL素子の式(1)のmの値を異なるものとすることにより、各素子の有機発光媒体層の膜厚を電気的ショートが生じないように調整することができる。
【0021】
尚、光共振器を有する有機EL素子では、式(1)のmが0以上の整数値であるときに光共振器としての機能を最大限に発揮するが、整数でなくとも、整数値を挟んだ一定の範囲で光共振機能を発揮できる。本発明では、この範囲は上記式(1)で定義されるm及びmが、m+1.3>m>m+0.7(m及び/又はmの0以上の略整数である)の関係を満たす場合である。即ち、mがmよりも0.7〜1.3大きな値(整数±0.3の範囲)を有するときである。
【0022】
実施形態2
図3は、本発明の実施形態2の有機ELカラー発光装置を示す概略図である。
有機ELカラー発光装置2は、基板100上に並置された第1の画素10と、第2の画素20と、第3の画素30とを有する。尚、第1の画素10及び第2の画素20は、上述した実施形態1と同様であるので説明は省略する。
第3の画素30は、第3の有機EL素子からなり、基板100上に、光反射性電極31、有機発光媒体層(第1電荷輸送層32、有機発光層33、第2電荷輸送層34)、及び光反射層35と光透過性電極36を積層した光半透過性電極とを、この順に積層した構造を有している。尚、各層の機能は上述した実施形態1と同様である。
【0023】
有機ELカラー発光装置2において、第3の画素30は、第1の画素10及び第2の画素20と同様に、光反射性電極31と光反射層35の間を共振器とする共振器構造を有している。
本実施形態においては、第1の画素10の光学的距離(光学膜厚)をL1、第2の画素20の光学的距離をL2、第3の画素30の光学的距離とL3としてある。L1〜L3では、第1電荷輸送層12、22、32の膜厚に相当する分だけ光学的距離が異なっている。第1の画素10では、波長λ1の光(例えば、青色領域である400nm〜500nm)を強調して素子の外部に取出すように設定し、第2の画素20では、λ1より長い波長λ2の光(例えば、緑色領域である500nm〜570nm)を強調して素子の外部に取出すように設定し、第3の画素30では、λ2より長い波長λ3の光(例えば、赤色領域である570nm〜700nm)を強調して素子の外部に取出すように設定する。これら3つの画素から取り出される光の発光スペクトルをそれぞれ異なるものとしているので多色発光が可能となる。
【0024】
本実施形態では、第1の画素10と第3の画素30は、下記式(2)で定義されるm及びmが、m+1.3>m>m+0.7(m及び/又はmの0以上の略整数である)の関係を満たす。
【数5】

[式中、Lxは波長λの光に対する光反射性電極と光半透過性電極の間の光学的距離、Φは波長λの光が光反射性電極表面及び光半透過性電極表面で反射するときに生じる位相シフトの合計値を示す。xは1又は3であり、x=1のときは、第1の有機EL素子の値であり、x=3のときは、第3の有機EL素子の値であることを示す。]
【0025】
本実施形態のカラー発光装置2では、mが1となるように第1の画素10の光学的距離(L1)を設定し、mが0となるように第3の画素30の光学的距離(L3)を設定している。
このように、mをmよりも1程度大きくすることにより、波長の最も短い光(例えば、青色)を発する第1の有機EL素子の膜厚を厚くすることができ、電極間のショートを防止でき、かつ光共振器の性能を発揮させることができる。
【0026】
尚、第2の画素20の光学的距離(L2)は、mが、m又はmのどちらかに近い整数値に設定する。本実施形態では、mは1としている。しかしながら、mを0としても、有機発光媒体層の膜厚が十分に厚い場合は、印加電圧を低減するため、mは0であることが好ましい。
【0027】
本発明では、第1の有機EL素子、第2の有機EL素子及び第3の有機EL素子において、有機発光層と光半透過性電極(光反射層)の間の距離は、ほぼ同一であることが好ましい。即ち、上述した実施形態における、各第2電荷輸送層(14,24,34)の膜厚がほぼ等しいことが好ましい。これにより、有機発光層まで成膜した後の蒸着工程を3種類の画素で共通化することができ、カラー発光装置の生産効率を高めることができる。
ここで、「ほぼ同一」とは、同一又は製造工程上で生じる多少の微差の範囲を含む意味である。
【0028】
尚、上述した実施形態では、いずれも第1電荷輸送層の膜厚を調整することにより、各有機EL素子の光学距離を異なるように設定しているが、これに限らず、例えば、第2電荷輸送層の膜厚を調整することで、各有機EL素子の光学距離を異ならせてもよい。この場合、製造工程上、光反射性電極と有機発光層との間の距離は、ほぼ等しいことが好ましい。即ち、上述した実施形態における、各第1電荷輸送層(12,22,32)の膜厚がほぼ同一であることが好ましい。これにより、有機発光層を成膜する段階前までの成膜工程を3種類の画素で共通化することができ、カラー発光装置の生産効率を高めることができる。
【0029】
第1の有機EL素子、第2の有機EL素子及び第3の有機EL素子において、有機発光層と光反射層の間の距離、又は光反射性電極と有機発光層との間の距離をほぼ同一に設定する場合、各有機EL素子における有機発光層の位置を、以下に説明するよう調整することが好ましい。
【0030】
図4は、実施形態2の有機ELカラー発光装置の、光反射性電極−光反射層間の光共振器の様子を模式的に示した図である。
有機ELカラー発光装置2では、第1の画素10(青画素)のmを1、第2の画素20(緑画素)のmを1、第3の画素30(赤画素)のmを0となるようにしてある。mとmは同じ1でも、第2の画素20の発する光の方が長波長であるため、光反射性電極と光反射層間の距離は大きい。また、第3の画素30ではm=0に設定されているため、光反射性電極と光反射層間の距離は最も小さい。
【0031】
上述したように、有機発光層で発生する光は、光反射性電極と光反射層とで形成される光共振器にて反射を繰り返し増強される。このとき、光共振器の内部では、図4に示すような定在波が存在している。図中の実線がEL素子の中を光取出し方向(図中の上向き)に進行する光の振幅の様子、点線が光取出し方向とは逆の方向(図中の下向き)に進行する光の振幅の様子を表す。光取出し方向に進行する光(実線)と光取出し方向とは逆方向に進行する光(点線)が共振器内部で干渉し合う様子を示している。例えば、青画素(m=1)では、図中X1及びX4の位置が干渉強度が最大、即ち、定在波の腹の位置に対応している。また、緑画素(m=1)では、図中X2及びX5の位置が定在波の腹の位置に対応している。さらに、赤画素(m=0)では、図中X3の位置が定在波の腹の位置に対応している。
【0032】
このことは、式(1)又は式(2)を満たすように有機EL素子を構成しても、有機発光層の位置が光共振器内部のどこに位置するかによって干渉強度が大きく変わることを意味する。例えば、青画素の場合には、有機発光層が位置X1又はX4を含むような場所に位置していると最も強い光が得られる。また、緑画素の場合には、発光層が位置X2又はX5を含むような場所に位置していると最も強い光が得られる。さらに、赤画素の場合には、発光層が位置X3を含むような場所に位置していると最も強い光が得られる。
【0033】
このような考え方のもと、有機発光層内のどこで最も強く光っているか(有機発光層内での電子−正孔対の分布)、カラー発光装置に求められる性能(3原色それぞれのCIE色度、輝度)に応じて、各有機EL素子の有機発光媒体層における有機発光層と光半透過性電極間の距離、又は光反射性電極と有機発光層間の距離が同一となるように設定することができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態はトップエミッション型のカラー発光装置の例を示している。しかしながら、本発明はボトムエミッション型のカラー発光装置にも適用できる。
続いて、本発明のカラー発光装置を形成する各部材について説明する。
【0035】
1.支持基板
支持基板は、光反射性電極の下方に配置され、有機EL素子やTFTを支持するための部材である。そのため、機械的強度や、寸法安定性に優れていることが好ましい。このような基板として、具体的には、ガラス板、金属板、セラミックス基板、又はプラスチック板(ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等)等をあげることができる。
【0036】
また、これらの材料からなる基板は、カラー発光装置への水分の浸入を避けるために、さらに無機膜を形成したり、フッ素樹脂を塗布したりして、防湿処理や疎水性処理を施してあることが好ましい。特に、有機発光媒体層への水分の浸入を避けるために、基板における含水率及びガス透過係数を小さくすることが好ましい。具体的には、支持基板の含水率を0.0001重量%以下の値及びガス透過係数を1×10−13cc・cm/cm・sec・cmHg以下の値とすることがそれぞれ好ましい。尚、トップエミッション型のEL素子の場合、支持基板と反対側、即ち、光半透過性電極側からEL発光を取り出すため、基板は必ずしも透明性を有する必要はない。
【0037】
2.光反射性電極
光反射性電極が陽極である場合、有機EL素子駆動用電源からの電圧を有機EL素子に供給し、かつ正孔注入層へ正孔を注入する機能が必要なため、低抵抗かつ高い仕事関数(例えば、4.0eV以上)を有する、金属、合金、電気電導性化合物又はこれらの混合物や積層体を使用することが好ましい。
具体的には、インジウムチンオキサイド(ITO)、インジウム亜鉛オキサイド(IZO)、CuI(よう化銅)、SnO(酸化錫)、酸化亜鉛、金、銀、白金、パラジウム、アルミニウム、クロム、ニッケル等の1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0038】
光反射性電極が陰極として機能する場合、電子注入性が良好なように、仕事関数の小さい(例えば、4.0eV未満)金属、合金、電気電導性化合物又はこれらの混合物を使用することが好ましい。
具体的には、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、リチウム、ナトリウム、セシウム、銀等の1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、これら金属と酸化アルミニウム等金属酸化物の超薄膜、リチウム、セシウム等のアルカリ金属のハロゲン化物の超薄膜も使用できる。
陰極層の厚さは、特に制限されるものではないが、10〜1,000nmの範囲内の値とするのが好ましく、10〜200nmの範囲内の値とするのがより好ましい。
【0039】
光反射性電極の、素子外部に取り出す光に対する光反射率は、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上である。
【0040】
3.有機発光媒体層
有機発光媒体層は、有機発光層を含み、その他必要に応じて、第1電荷輸送層、第2電荷輸送層等からなるが、これに限らず、必要に応じて付着改善層等の公知の機能層を有していてもよい。また、無機物からなる層を含んでいてもよい。
(3−1)有機発光層
有機発光層の材料としては、以下の3つの機能を併せ持つことが好ましい。
(a)電荷の注入機能:電界印加時に陽極、あるいは正孔注入層から正孔を注入することができる一方、陰極層、あるいは電子注入層から電子を注入することができる機能。
(b)輸送機能:注入された正孔及び電子を電界の力で移動させる機能。
(c)発光機能:電子と正孔の再結合の場を提供し、これらを発光につなげる機能
発光色は、可視光であれば特に限定はなく何色でも本発明の技術を適用することができる。また、有機発光層は単層構造でもよく、また、同色又は異色の発光層を2層以上積層した構成であってもよい。以下、各色の好ましい発光層材料について例示する。
【0041】
(A)青色系発光層
青系発光層はホスト材料と青色系ドーパントを含む。
ホスト材料は、スチリル誘導体、アントラセン誘導体又は芳香族アミンであることが好ましい。スチリル誘導体は、ジスチリル誘導体、トリスチリル誘導体、テトラスチリル誘導体及びスチリルアミン誘導体の中から選ばれる少なくとも一種類であることが特に好ましい。アントラセン誘導体は、非対称アントラセン系化合物であることが好ましい。芳香族アミンは、芳香族置換された窒素原子を2〜4個有する化合物であることが好ましく、芳香族置換された窒素原子を2〜4個有し、かつアルケニル基を少なくとも一つ有する化合物が特に好ましい。
好適な非対称アントラセン系化合物として以下の式に示される化合物が挙げられる。これらの化合物の製造方法等は特願2004−042694に記載されている。
【0042】
【化1】

[式中、Arは置換もしくは無置換の核炭素数10〜50の縮合芳香族基である。
Ar’は置換もしくは無置換の核炭素数6〜50のアリール基である。
Xは、置換もしくは無置換の核炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは無置換の核原子数5〜50の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜50のアラルキル基、置換もしくは無置換の核原子数5〜50のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の核原子数5〜50のアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基である。
a、b及びcは、それぞれ0〜4の整数であり、nは1〜3の整数である。]
【0043】
上記の式におけるArの縮合芳香族基の例としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナンスリル基、2−フェナンスリル基、3−フェナンスリル基、4−フェナンスリル基、9−フェナンスリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基等が挙げられる。
【0044】
上記の式におけるAr’のアリール基、Xのアリール基、芳香族複素環基、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリールオキシ基、アリールチオ基及びアルコキシカルボニル基の例としては、それぞれ以下の例が挙げられる。
【0045】
アリール基の例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基、4’−メチルビフェニルイル基、4”−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基等が挙げられる。
【0046】
芳香族複素環基の例としては、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、1−フェナンスリジニル基、2−フェナンスリジニル基、3−フェナンスリジニル基、4−フェナンスリジニル基、6−フェナンスリジニル基、7−フェナンスリジニル基、8−フェナンスリジニル基、9−フェナンスリジニル基、10−フェナンスリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナンスロリン−2−イル基、1,7−フェナンスロリン−3−イル基、1,7−フェナンスロリン−4−イル基、1,7−フェナンスロリン−5−イル基、1,7−フェナンスロリン−6−イル基、1,7−フェナンスロリン−8−イル基、1,7−フェナンスロリン−9−イル基、1,7−フェナンスロリン−10−イル基、1,8−フェナンスロリン−2−イル基、1,8−フェナンスロリン−3−イル基、1,8−フェナンスロリン−4−イル基、1,8−フェナンスロリン−5−イル基、1,8−フェナンスロリン−6−イル基、1,8−フェナンスロリン−7−イル基、1,8−フェナンスロリン−9−イル基、1,8−フェナンスロリン−10−イル基、1,9−フェナンスロリン−2−イル基、1,9−フェナンスロリン−3−イル基、1,9−フェナンスロリン−4−イル基、1,9−フェナンスロリン−5−イル基、1,9−フェナンスロリン−6−イル基、1,9−フェナンスロリン−7−イル基、1,9−フェナンスロリン−8−イル基、1,9−フェナンスロリン−10−イル基、1,10−フェナンスロリン−2−イル基、1,10−フェナンスロリン−3−イル基、1,10−フェナンスロリン−4−イル基、1,10−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−1−イル基、2,9−フェナンスロリン−3−イル基、2,9−フェナンスロリン−4−イル基、2,9−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−6−イル基、2,9−フェナンスロリン−7−イル基、2,9−フェナンスロリン−8−イル基、2,9−フェナンスロリン−10−イル基、2,8−フェナンスロリン−1−イル基、2,8−フェナンスロリン−3−イル基、2,8−フェナンスロリン−4−イル基、2,8−フェナンスロリン−5−イル基、2,8−フェナンスロリン−6−イル基、2,8−フェナンスロリン−7−イル基、2,8−フェナンスロリン−9−イル基、2,8−フェナンスロリン−10−イル基、2,7−フェナンスロリン−1−イル基、2,7−フェナンスロリン−3−イル基、2,7−フェナンスロリン−4−イル基、2,7−フェナンスロリン−5−イル基、2,7−フェナンスロリン−6−イル基、2,7−フェナンスロリン−8−イル基、2,7−フェナンスロリン−9−イル基、2,7−フェナンスロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、10−フェノチアジニル基
、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、10−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−t−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−t−ブチル1−インドリル基、4−t−ブチル1−インドリル基、2−t−ブチル3−インドリル基、4−t−ブチル3−インドリル基等が挙げられる。
【0047】
アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、1,2,3−トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、1,2,3−トリニトロプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−ノルボルニル基、2−ノルボルニル基等が挙げられる。
【0048】
アルコキシ基は−OYと表され、Yの例としては、前記アルキル基と同様のものが挙げられる。
アラルキル基の例としては、前記アリール基で置換された前記アリール基等が挙げられる。
アリールオキシ基は−OY’と表され、Y’の例としては、前記アリール基と同様のものが挙げられる。
アリールチオ基は−OY’と表され、Y’の例としては、前記アリール基と同様のものが挙げられる。
アルコキシカルボニル基は−COOYと表され、Yの例としては、前記アルキル基と同様のものが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0049】
【化2】

[式中、A1及びA2は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の核炭素数10〜20の縮合芳香族環基である。
Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換もしくは無置換の核炭素数6〜50のアリール基である。
1 〜R10は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の核炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは無置換の核原子数5〜50の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜50のアラルキル基、置換もしくは無置換の核原子数5〜50のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の核原子数5〜50のアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基である。
ただし、中心のアントラセンの9位及び10位に、対称型となる基が結合する場合はない。]
上記の式におけるA1 及びA2 の縮合芳香族基の例としては、前記と同様の例が挙げられる。
上記の式におけるAr1及びAr2のアリール基の例としては、それぞれ前記と同様の例が挙げられる。
上記の式におけるR1 〜R10のアリール基、芳香族複素環基、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリールオキシ基、アリールチオ基及びアルコキシカルボニル基の例としては、それぞれ前記と同様の例が挙げられる。
【0050】
【化3】

[式中、Ar1'及びAr2'は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の核炭素数6〜50のアリール基である。
1〜R10は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の核炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは無置換の核原子数5〜50の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜50のアラルキル基、置換もしくは無置換の核原子数5〜50のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の核原子数5〜50のアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基である。]
上記の式におけるAr1'及びAr2'のアリール基の例としては、それぞれ前記と同様の例が挙げられる。
上記の式におけるR1 〜R10のアリール基、芳香族複素環基、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリールオキシ基、アリールチオ基及びアルコキシカルボニル基の例としては、それぞれ前記と同様の例が挙げられる。
また、上記の3つの式における、各基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシ基、芳香族複素環基、アラルキル基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、又はカルボキシル基等が挙げられる。
【0051】
青色系ドーパントとしては、青色系ドーパントは、スチリルアミン、アミン置換スチリル化合物、アミン置換縮合芳香族環及び縮合芳香族環含有化合物の中から選ばれる少なくとも一種類であることが好ましい。そのとき、青色系ドーパントは異なる複数の化合物から構成されていもよい。上記スチリルアミン及びアミン置換スチリル化合物としては、例えば下記式(1),(2)で示される化合物が、上記縮合芳香族環含有化合物としては、例えば下記式(3)で示される化合物が挙げられる。
【0052】
【化4】

【0053】
〔式中、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、炭素原子数6〜40の置換もしくは無置換の芳香族基を示し、それらの中の少なくとも一つはスチリル基を含み、pは1〜3の整数を示す。〕
【0054】
【化5】

【0055】
〔式中、Ar及びArは、それぞれ独立に、炭素原子数6〜30のアリーレン基、E及びEは、それぞれ独立に、炭素原子数6〜30のアリール基もしくはアルキル基、水素原子又はシアノ基を示し、qは1〜3の整数を示す。U及び/又はVはアミノ基を含む置換基であり、該アミノ基がアリールアミノ基であると好ましい。〕
【0056】
【化6】

【0057】
〔式中、Aは炭素原子数1〜16のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素原子数6〜30の置換もしくは未置換のアリール基、炭素原子数6〜30の置換もしくは未置換のアルキルアミノ基、又は炭素原子数6〜30の置換もしくは未置換のアリールアミノ基、Bは炭素原子数10〜40の縮合芳香族環基を示し、rは1〜4の整数を示す。〕
【0058】
(B)緑色系発光層
緑色系発光層はホスト材料と緑色系ドーパントを含む。
ホスト材料としては、青色系発光層で使用するホスト材料と同一のものを使用することが好ましい。
【0059】
ドーパントとしては、特に制限はないが、例えばヨーロッパ公開特許第0281381号公報、公開公報2003−249372号公報等に開示されているクマリン誘導体や、置換アントラセン構造とアミン構造が連結した芳香族アミン誘導体等を用いることができる。
【0060】
(C)橙色〜赤色系発光層
橙色〜赤色系発光層はホスト材料と橙色〜赤色系ドーパントを含む。
ホスト材料としては、青色系発光層で使用するホスト材料と同一のものを使用することが好ましい。
【0061】
ドーパントとしては、少なくとも一つのフルオランテン骨格又はペリレン骨格を有する蛍光性化合物が使用でき、例えば下記式
【0062】
【化7】

【0063】
〔式中、X21〜X24は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30のアリール基であり、X21とX22及び/又はX23とX24は、炭素−炭素結合又は−O−、−S−を介して結合していてもよい。X25〜X36は、水素原子、直鎖、分岐もしくは環状の炭素原子数1〜20のアルキル基、直鎖、分岐もしくは環状の炭素原子数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30のアリール基、置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30のアリールアミノ基、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜30のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換の炭素原子数7〜30のアリールアルキルアミノ基又は置換もしくは無置換炭素原子数8〜30のアルケニル基であり、隣接する置換基及びX25〜X36は結合して環状構造を形成していてもよい。各式中の置換基X25〜X36の少なくとも一つがアミン又はアルケニル基を含有すると好ましい。〕
【0064】
有機発光層の厚さについては、好ましくは5nm〜5μmの範囲内で設定することができる。この理由は、有機発光層の厚さが5nm未満となると、発光輝度や耐久性が低下する場合があり、一方、有機発光層の厚さが5μmを超えると、印加電圧の値が高くなる場合があるためである。従って有機発光層の厚さを10nm〜3μmの範囲内とすることがより好ましく、20nm〜1μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0065】
(3−2)第1電荷輸送層及び第2電荷輸送層
第1電荷輸送層又は第2電荷輸送層は、正孔輸送層又は電子輸送層のいずれかである。上述したように、光反射性電極が陽極である場合、第1電荷輸送層は正孔輸送層、第2電荷輸送層は電子輸送層として機能する。逆に、光反射性電極が陰極の場合は、第1電荷輸送層は電子輸送層、第2電荷輸送層は正孔輸送層として機能する。
尚、第1電荷輸送層及び第2電荷輸送層は、それぞれ単層構造でもよく、又は2層以上の積層構造であってもよい。例えば、電荷輸送層を正孔(電子)輸送層と正孔(電子)注入層の2層構造としてもよい
【0066】
正孔輸送層の材料としては、従来より光伝導材料の正孔輸送材料として慣用されているものや有機EL素子の正孔輸送層に使用されている公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。正孔輸送層の材料は、正孔の輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、あるいは無機物のどちらでもよい。
【0067】
正孔輸送層は、より低い電界強度で正孔を発光層に輸送する材料が好ましい。即ち、正孔の移動度が、10〜10V/cmの電界印加時に、10−4cm/V・秒以上であると好ましい。
【0068】
具体例としては、トリアゾール誘導体(米国特許3,112,197号明細書等参照)、オキサジアゾール誘導体(米国特許3,189,447号明細書等参照)、イミダゾール誘導体(特公昭37−16096号公報等参照)、ポリアリールアルカン誘導体(米国特許3,615,402号明細書、同第3,820,989号明細書、同第3,542,544号明細書、特公昭45−555号公報、同51−10983号公報、特開昭51−93224号公報、同55−17105号公報、同56−4148号公報、同55−108667号公報、同55−156953号公報、同56−36656号公報等参照)、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体(米国特許第3,180,729号明細書、同第4,278,746号明細書、特開昭55−88064号公報、同55−88065号公報、同49−105537号公報、同55−51086号公報、同56−80051号公報、同56−88141号公報、同57−45545号公報、同54−112637号公報、同55−74546号公報等参照)、フェニレンジアミン誘導体(米国特許第3,615,404号明細書、特公昭51−10105号公報、同46−3712号公報、同47−25336号公報、特開昭54−53435号公報、同54−110536号公報、同54−119925号公報等参照)、アリールアミン誘導体(米国特許第3,567,450号明細書、同第3,180,703号明細書、同第3,240,597号明細書、同第3,658,520号明細書、同第4,232,103号明細書、同第4,175,961号明細書、同第4,012,376号明細書、特公昭49−35702号公報、同39−27577号公報、特開昭55−144250号公報、同56−119132号公報、同56−22437号公報、西独特許第1,110,518号明細書等参照)、アミノ置換カルコン誘導体(米国特許第3,526,501号明細書等参照)、オキサゾール誘導体(米国特許第3,257,203号明細書等に開示のもの)、スチリルアントラセン誘導体(特開昭56−46234号公報等参照)、フルオレノン誘導体(特開昭54−110837号公報等参照)、ヒドラゾン誘導体(米国特許第3,717,462号明細書、特開昭54−59143号公報、同55−52063号公報、同55−52064号公報、同55−46760号公報、同55−85495号公報、同57−11350号公報、同57−148749号公報、特開平2−311591号公報等参照)、スチルベン誘導体(特開昭61−210363号公報、同第61−228451号公報、同61−14642号公報、同61−72255号公報、同62−47646号公報、同62−36674号公報、同62−10652号公報、同62−30255号公報、同60−93455号公報、同60−94462号公報、同60−174749号公報、同60−175052号公報等参照)、シラザン誘導体(米国特許第4,950,950号明細書)、ポリシラン系(特開平2−204996号公報)、アニリン系共重合体(特開平2−282263号公報)、特開平1−211399号公報に開示されている導電性高分子オリゴマー(特にチオフェンオリゴマー)等を挙げることができる。
【0069】
電子輸送層の材料としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
電子輸送層は数nm〜数μmの膜厚で適宜選ばれるが、10〜10V/cmの電界印加時に電子移動度が10−5cm/Vs以上であるものが好ましい。
【0070】
電子輸送層に用いられる材料としては、8−ヒドロキシキノリン又はその誘導体の金属錯体が好適である。
上記8−ヒドロキシキノリン又はその誘導体の金属錯体の具体例としては、オキシン(一般に8−キノリノール又は8−ヒドロキシキノリン)のキレートを含む金属キレートオキシノイド化合物(例えば、Alq)が挙げられる。
【0071】
一方、オキサジアゾール誘導体としては、下記の式で表される電子伝達化合物が挙げられる。
【化8】

(式中、Ar5’,Ar6’,Ar7’,Ar9’,Ar10’,Ar13’はそれぞれ置換又は無置換のアリール基を示し、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。またAr8’,Ar11’,Ar12’は置換又は無置換のアリーレン基を示し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい)
【0072】
ここでアリール基としてはフェニル基、ビフェニル基、アントラニル基、ペリレニル基、ピレニル基が挙げられる。またアリーレン基としてはフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントラニレン基、ペリレニレン基、ピレニレン基等が挙げられる。また置換基としては炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はシアノ基等が挙げられる。この電子伝達化合物は薄膜形成性のものが好ましい。
【0073】
上記電子伝達性化合物の具体例としては下記のものを挙げることができる。
【化9】

【0074】
下記式で表される含窒素複素環誘導体
【化10】

式中、A3’〜A5’は、窒素原子又は炭素原子である。
Rは、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜60のヘテロアリール基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基であり、nは0から5の整数であり、nが2以上の整数であるとき、複数のRは互いに同一又は異なっていてもよい。
また、隣接する複数のR基同士で互いに結合して、置換又は未置換の炭素環式脂肪族環、あるいは、置換又は未置換の炭素環式芳香族環を形成していてもよい。
Ar14は、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜60のヘテロアリール基である。
Ar15は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜60のヘテロアリール基である。
ただし、Ar14、Ar15のいずれか一方は置換基を有していてもよい炭素数10〜60の縮合環基、置換基を有していてもよい炭素数3〜60のヘテロ縮合環基である。
、Lは、それぞれ単結合、置換基を有していてもよい炭素数6〜60の縮合環、置換基を有していてもよい炭素数3〜60のヘテロ縮合環又は置換基を有していてもよいフルオレニレン基である。
【0075】
下記式で表される含窒素複素環誘導体
HAr−L−Ar16−Ar17
(式中、HArは、置換基を有していても良い炭素数3〜40の含窒素複素環であり、
は、単結合、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数3〜60のヘテロアリーレン基又は置換基を有していてもよいフルオレニレン基であり、
Ar16は、置換基を有していてもよい炭素数6〜60の2価の芳香族炭化水素基であり、
Ar17は、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリール基又は、
置換基を有していてもよい炭素数3〜60のヘテロアリール基である。)
【0076】
特開平第09−087616号公報に示されている、下記式で表されるシラシクロペンタジエン誘導体を用いた電界発光素子
【化11】

(式中、Q及びQは、それぞれ独立に炭素数1から6までの飽和若しくは不飽和の炭化水素基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、ヒドロキシ基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環又はQとQが結合して飽和又は不飽和の環を形成した構造であり、R11〜R14は、それぞれ独立に水素、ハロゲン、置換もしくは無置換の炭素数1から6までのアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、アミノ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アゾ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、スルフィニル基、スルフォニル基、スルファニル基、シリル基、カルバモイル基、アリール基、ヘテロ環基、アルケニル基、アルキニル基、ニトロ基、ホルミル基、ニトロソ基、ホルミルオキシ基、イソシアノ基、シアネート基、イソシアネート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基もしくはシアノ基又は隣接した場合には置換若しくは無置換の環が縮合した構造である。)
【0077】
特開平第09−194487号公報に示されている下記式で表されるシラシクロペンタジエン誘導体
【化12】

(式中、Q及びQは、それぞれ独立に炭素数1から6までの飽和もしくは不飽和の炭化水素基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環又はQとQが結合して飽和もしくは不飽和の環を形成した構造であり、R15〜R18は、それぞれ独立に水素、ハロゲン、置換もしくは無置換の炭素数1から6までのアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、アミノ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アゾ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、スルフィニル基、スルフォニル基、スルファニル基、シリル基、カルバモイル基、アリール基、ヘテロ環基、アルケニル基、アルキニル基、ニトロ基、ホルミル基、ニトロソ基、ホルミルオキシ基、イソシアノ基、シアネート基、イソシアネート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、もしくはシアノ基又は隣接した場合には置換もしくは無置換の環が縮合した構造である(但し、R15及びR18がフェニル基の場合、Q及びQは、アルキル基及びフェニル基ではなく、R15及びR18がチエニル基の場合、Q及びQは、一価炭化水素基を、R16及びR17は、アルキル基、アリール基、アルケニル基又はR16とR17が結合して環を形成する脂肪族基を同時に満たさない構造であり、R15及びR18がシリル基の場合、R16、R17、Q及びQは、それぞれ独立に、炭素数1から6の一価炭化水素基又は水素原子でなく、R15及びR16でベンゼン環が縮合した構造の場合、Q及びQは、アルキル基及びフェニル基ではない。))
【0078】
特再第2000−040586号公報に示されている下記式で表されるボラン誘導体
【化13】

(式中、R19〜R26及びQは、それぞれ独立に、水素原子、飽和もしくは不飽和の炭化水素基、芳香族基、ヘテロ環基、置換アミノ基、置換ボリル基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示し、Q、Q及びQは、それぞれ独立に、飽和もしくは不飽和の炭化水素基、芳香族基、ヘテロ環基、置換アミノ基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示し、QとQの置換基は相互に結合して縮合環を形成してもよく、rは1〜3の整数を示し、rが2以上の場合、Qは異なってもよい。但し、rが1、Q、Q及びR20がメチル基であって、R26が水素原子又は置換ボリル基の場合、及びrが3でQがメチル基の場合を含まない。)
【0079】
特開平10−088121に示されている下記式で示される化合物
【化14】

[式中、Q及びQ10は、それぞれ独立に、下記式で示される配位子を表し、Lは、ハロゲン原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基、−OR27(R27は水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基である。)又は−O−Ga−Q11(Q12)(Q11及びQ12は、Q及びQ10と同じ意味を表す。)で示される配位子を表す。]
【0080】
【化15】

(式中、環A及びAは、置換基を有してよい互いに縮合した6員アリール環構造である。)
【0081】
この金属錯体はn型半導体としての性質が強く、電子注入能力が大きい。さらには、錯体形成時の生成エネルギーも低いために、形成した金属錯体の金属と配位子との結合性も強固になり、発光材料としての蛍光量子効率も大きくなっている。
【0082】
上記式の配位子を形成する環A及びAの置換基の具体的な例を挙げると、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素のハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ステアリル基、トリクロロメチル基等の置換もしくは未置換のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、3−メチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−フルオロフェニル基、3−トリクロロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、3−ニトロフェニル基等の置換もしくは未置換のアリール基、メトキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、トリクロロメトキシ基、トリフルオロエトキシ基、ペンタフルオロプロポキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロポキシ基、6−(パーフルオロエチル)ヘキシルオキシ基等の置換もしくは未置換のアルコキシ基、フェノキシ基、p−ニトロフェノキシ基、p−tert−ブチルフェノキシ基、3−フルオロフェノキシ基、ペンタフルオロフェニル基、3−トリフルオロメチルフェノキシ基等の置換もしくは未置換のアリールオキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基等の置換もしくは未置換のアルキルチオ基、フェニルチオ基、p−ニトロフェニルチオ基、ptert−ブチルフェニルチオ基、3−フルオロフェニルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基、3−トリフルオロメチルフェニルチオ基等の置換もしくは未置換のアリールチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、メチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基等のモノ又はジ置換アミノ基、ビス(アセトキシメチル)アミノ基、ビス(アセトキシエチル)アミノ基、ビスアセトキシプロピル)アミノ基、ビス(アセトキシブチル)アミノ基等のアシルアミノ基、水酸基、シロキシ基、アシル基、メチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、プロイピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基等のカルバモイル基、カルボン酸基、スルフォン酸基、イミド基、シクロペンタン基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、ピレニル基等のアリール基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、インドリニル基、キノリニル基、アクリジニル基、ピロリジニル基、ジオキサニル基、ピペリジニル基、モルフォリジニル基、ピペラジニル基、トリアチニル基、カルバゾリル基、フラニル基、チオフェニル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、トリアゾリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、プラニル基等の複素環基等がある。また、以上の置換基同士が結合してさらなる6員アリール環もしくは複素環を形成してもよい。
【0083】
4.光半透過性電極
光半透過性電極は、光反射性電極で例示した材料からなる層と光反射層を積層したものや、光反射層単層のものが使用できる。光反射性電極が陽極であるときは、光半透過性電極は陰極となる。光反射性電極が陰極であるときは、光半透過性電極は陽極となる。
【0084】
光反射層は、その一面から電荷を受け取り、他の面から電荷を放出する機能を有することから、光反射性と同時に導電性のあることが必要である。そのため、光反射層は金属膜や半導体膜であることが好ましい。この中で、青色から赤色に至る可視光領域の広い範囲で高い反射率を実現できるという観点で、金属膜が好ましい。
【0085】
金属膜の反射率は、その膜厚d、複素屈折率n−i・κ、表面粗さ(RMS粗さ)σで決まる。好ましい金属膜の材料としては、複素屈折率の実部n、虚部κ(光吸収係数に相当)ともに小さいものが好ましい。具体的には、Au,Ag,Cu,Mg,Al,Ni,Pd及びこれらの合金等を挙げることができる。膜厚dが薄い場合、光が透過してしまい反射率が小さくなる。
使用する金属種の複素屈折率虚部κの値にもよるが、光反射層の膜厚としては5nm以上であることが好ましい。
また、表面粗さσが大きい場合、光が乱反射し有機EL素子の発光面と垂直な方向へ反射される成分が少なくなるため、表面粗さσとしては、10nm未満であることが好ましく、5nm未満であることがより好ましい。
【0086】
光半透過性電極の素子外部に取り出す光に対する光透過率は、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上である。
また、光半透過性電極の素子外部に取り出す光に対する光反射率は、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上である。
【0087】
5.ガスバリア層
有機発光層内部への水分や酸素侵入を防止するために、第2電極を覆うように、ガスバリア層を設けることが好ましい。ガスバリア層は、通常、透明絶縁体からなり、具体的には、乾燥剤、ドライガス、フッ化炭化水素等の不活性液体を封入した構成であることが好ましい。また、防湿性に優れた材料であれば、無機酸化物層や無機窒化物層、無機酸窒化物層であることが好ましい。例えば、シリカ、アルミナ、AlON、SiAlON,SiNx等が挙げられる。
【0088】
本発明の有機ELカラー発光装置は、公知の技術により製造できる。具体的には、上述した各構成層を、スパッタリングや真空蒸着法等によって、所定の膜厚に成膜し、その後、フォトリソグラフィー法等によって、所望の形状にパターニングすることにより製造できる。
【実施例】
【0089】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明する。
実施例1
厚み0.7mmのガラス基板上に、青、緑及び赤色を発する各有機EL素子を形成したカラー発光装置を作製した。この際、正孔輸送層(第1電荷輸送層)及び電子輸送層(第2電荷輸送層)の膜厚を変化させ、有機発光媒体層内における有機発光層の位置を変動させた場合について評価を行った。
尚、素子に使用した化合物の構造を以下に示す。
【0090】
【化16】

【0091】
[光反射性電極の作製]
厚み0.7mmのガラス支持基板上に、密着層としてITOをスパッタリングにより100nmの厚みになるように成膜した。その後、アルミニウムをスパッタリングにより150nmの厚みになるように成膜し、さらにITOをスパッタリングにより10nmの厚みになるように成膜した。このアルミニウム/ITO膜は、第1、第2、第3の有機EL素子全てに共通の光反射性電極として機能する。
【0092】
[真空蒸着装置の準備]
この光反射性電極付き基板をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行った後、UVオゾン洗浄を30分間行った。洗浄後の光反射性電極付き基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着した。
尚、予め、それぞれのモリブデン製の加熱ボートに、正孔輸送材料としてHTを、発光層のホスト材料としてBHを、青色発光材料としてBDを、緑色発光材料としてGDを、赤色発光材料としてRDを、電子輸送材料としてトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)を、バッファー層材料としてLiFを、光反射層材料としてMg及びAgを、それぞれ装着し、さらに、光透過性電極として、ITOターゲットを別のスパッタリング装置に装着した。
【0093】
[第1の有機EL素子の作製]
まず、正孔輸送層として機能するHT膜をx〔nm〕成膜した。HT膜の成膜に続けて、青色発光層として、化合物BHと化合物BDを30:1.5の膜厚比となるように膜厚30nmで共蒸着した。この膜上に電子輸送層として、Alq膜を膜厚175−x〔nm〕で成膜した。この後、バッファー層としてLiFを膜厚1nmで蒸着し、この膜上に、光反射層として機能するMg:Ag膜を、MgとAgを成膜速度比を9:1として10nm蒸着し、さらに光透過性電極として機能するITOを100nmの厚みで成膜した。ここで、有機発光媒体層の総膜厚が205nmとなるように、xは20nmから160nmまで10nm間隔で15段階変え、第1の有機EL素子として15種類の素子を作製した。
【0094】
[第2の有機EL素子の作製]
まず、正孔輸送層として機能するHT膜をy〔nm〕成膜した。HT膜の成膜に続けて、緑色発光層として、化合物BHと化合物GDを30:2.3の膜厚比となるように膜厚30nmで共蒸着した。この膜上に電子輸送層として、Alq膜を膜厚220−y〔nm〕で成膜した。この後、バッファー層としてLiFを膜厚1nmで蒸着し、この膜上に、光反射層として機能するMg:Ag膜を、MgとAgを成膜速度比を9:1として10nm蒸着し、さらに光透過性電極として機能するITOを100nmの厚みで成膜した。ここで、Mg:Agからなる光反射層とITOからなる光透過性電極は、第1の有機EL素子と共通である。また、有機発光媒体層の総膜厚が250nmとなるように、yは20nmから210nmまで10nm間隔で20段階変え、第2の有機EL素子として20種類の素子を作製した。
【0095】
[第3の有機EL素子の作製]
まず、正孔輸送層として機能するHT膜をz〔nm〕成膜した。HT膜の成膜に続けて、赤色発光層として、化合物BHと化合物RDを30:1.5の膜厚比となるように膜厚30nmで共蒸着した。この膜上に電子輸送層として、Alq膜を膜厚90−z〔nm〕で成膜した。この後、バッファー層としてLiFを膜厚1nmで蒸着し、この膜上に、光反射層として機能するMg:Ag膜を、MgとAgを成膜速度比を9:1として10nm蒸着し、さらに光透過性電極として機能するITOを100nmの厚みで成膜した。ここで、Mg:Agからなる光反射層とITOからなる光透過性電極は、第1および第2の有機EL素子と共通である。また、有機発光媒体層の総膜厚が120nmとなるように、zは25nmから80nmまで5nm間隔で12段階変え、第3の有機EL素子として12種類の素子を作製した。
【0096】
尚、各有機EL素子に設けられる有機発光層の蛍光スペクトルを以下の方法により測定した。
0.7mm厚のガラス基板上に、青色発光層として、化合物BHと化合物BDを100:5の膜厚比となるように膜厚100nmで共蒸着した。次に、別の0.7mm厚のガラス基板上に、緑色発光層として、化合物BHと化合物GDを100:7.5の膜厚比となるように膜厚100nmで共蒸着した。さらに、別の0.7mm厚のガラス基板上に、赤色発光層として、化合物BHと化合物RDを100:5の膜厚比となるように膜厚100nmで共蒸着した。
その後、波長410nmの単色光を青色発光層表面に照射し、発光層から発する蛍光を分光光度計にて測定したところ、青色発光層から蛍光のピーク波長は454nmであった。また、波長410nmの単色光を緑色発光層表面に照射し、発光層から発する蛍光を分光光度計にて測定したところ、緑色発光層から蛍光のピーク波長は528nmであった。さらに、波長520nmの単色光を緑色発光層表面に照射し、発光層から発する蛍光を分光光度計にて測定したところ、赤色発光層から蛍光のピーク波長は599nmであった。
【0097】
また、有機EL素子に用いる各層のみからなる単層膜をガラス基板上に成膜し、その屈折率と電極表面での位相シフト(青、緑、赤の各発光層から発する蛍光のピーク波長における値)を、分光エリプソメータを用いて測定した。ここで、各有機EL素子に用いた構成材料の屈折率および光反射性電極(Al/ITO)、光反射層(Mg:Ag)界面における位相シフトの値を表1に示す。
【0098】
【表1】

【0099】
また、このとき、HTとAlqの屈折率が異なるため、式(2)における有機発光媒体層の光学膜厚Lxおよびmxの値は、正孔輸送層膜厚と電子輸送層の膜厚に応じて変化する。その範囲を表2に示す。
【0100】
【表2】

HT:正孔輸送層
Lx:第xの有機EL素子における有機発光媒体層の光学膜厚
mx:第xの有機EL素子における式(2)のm値
【0101】
以下に各有機EL素子の積層構造を示す。
・第1の有機EL素子(青色発光)
Al(150nm)/ITO(10nm)/HT(xnm)/BH:BD(30:1.5、膜厚比:30nm)/Alq(175−xnm)/LiF(1nm)/Mg:Ag(10nm)/ITO(100nm)
・第2の有機EL素子(緑色発光)
Al(150nm)/ITO(10nm)/HT(ynm)/BH:GD(30:2.3、膜厚比:30nm)/Alq(220−ynm)/LiF(1nm)/Mg:Ag(10nm)/ITO(100nm)
・第3の有機EL素子(赤色発光)
Al(150nm)/ITO(10nm)/HT(znm)/BH:RD(30:1.5、膜厚比:30nm)/Alq(90−znm)/LiF(1nm)/Mg:Ag(10nm)/ITO(100nm)
【0102】
作製した各有機EL素子に、電流密度が10mA/cmとなるように通電し、分光放射輝度計CS1000A(コニカミノルタ社製)を用いて、輝度、色度を測定した。測定された輝度から発光効率(単位:cd/A)を算出した。
図5は、第1の有機EL素子における、正孔輸送層(HT)の膜厚(x)と発光効率及びCIE色度y座標の関係を示す図である。
図6は、第2の有機EL素子における、正孔輸送層(HT)の膜厚(y)と発光効率及びCIE色度y座標の関係を示す図である。
図7は、第3の有機EL素子における、正孔輸送層(HT)の膜厚(z)と発光効率及びCIE色度x座標の関係を示す図である。
【0103】
図5〜7において網掛け部分で示す領域は、発光効率が高く、かつ青、緑、赤各色の色度が良好な領域を示す。例えば、図5(青色発光)では、発光効率が3cd/A以上であり、かつCIE色度y座標が0.15以下の領域を示している。図6(緑色発光)では、発光効率が20cd/A以上であり、かつCIE色度y座標が0.65以上の領域を示している。図7(赤色発光)では、発光効率が10cd/A以上であり、かつCIE色度x座標が0.60以上の領域を示している。
【0104】
図5〜7から把握できるように、この実施例では、各有機EL素子の正孔輸送層(HT)の膜厚(x、y、z)を35nm〜65nmの間で共通化するか、電子輸送層(Alq)の膜厚(175−x、220−y、90−z)を10nm〜30nmの間で共通化することにより、光共振器による干渉効果を利用できるため、各素子を発光効率が高くかつ色純度の高い状態で使用できる。
また、赤色発光する第3の有機EL素子と、他の波長の短い光を発する素子とで、式(1)のm値を異なるものとしているので、これら素子の有機発光媒体層の総膜厚を厚くできる。この結果、電極間のショートを抑制できる。
【0105】
上記のカラー発光装置において、電子輸送層の膜厚を20nmに統一した場合、即ち、第1の有機EL素子の正孔輸送層(HT)の膜厚(x)を150nm、第2の有機EL素子の正孔輸送層(HT)の膜厚(y)を200nm、第3の有機EL素子の正孔輸送層(HT)の膜厚(z)を70nmとしたときの、CIE色度及び発光効率(L/J)を表3に示す。
【0106】
【表3】

【0107】
このように、電子輸送層の膜厚を共通化しても、青、緑、赤の色純度が良く、かつ輝度バランスのとれた良好なフルカラー発光装置を作製できることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明の有機ELカラー発光装置は、民生用TV、大型表示ディスプレイ、携帯電話用表示画面等の各種表示装置に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施形態1の有機EL素子を示す概略図である。
【図2】有機発光媒体層の膜厚と、式(1)のmの関係を示す図である。
【図3】本発明の実施形態2の有機EL素子を示す概略図である。
【図4】実施形態2の有機ELカラー発光装置の、光反射性電極−光反射層間の光共振器の様子を模式的に示した図である。
【図5】第1の有機EL素子における、正孔輸送層(HT)の膜厚(x)と発光効率及びCIE色度y座標の関係を示す図である。
【図6】第2の有機EL素子における、正孔輸送層(HT)の膜厚(y)と発光効率及びCIE色度y座標の関係を示す図である。
【図7】第3の有機EL素子における、正孔輸送層(HT)の膜厚(z)と発光効率及びCIE色度x座標の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0110】
1,2 有機ELカラー発光装置
10 第1の画素(第1の有機EL素子)
20 第2の画素(第2の有機EL素子)
30 第3の画素(第3の有機EL素子)
11,21,31 反射性電極
12,22,32 第1電荷輸送層
13,23,33 有機発光層
14,24,34 第2電荷輸送層
15,25,35 光反射層
16,26,36 光透過性電極
100 支持基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板上に、
発光ピーク波長がλである光を発する第1の有機エレクトロルミネッセンス素子を設けた第1の画素と、
発光ピーク波長がλである光を発する第2の有機エレクトロルミネッセンス素子を設けた第2の画素と、を有し、
前記発光ピーク波長λは、同λよりも長波長であり、
前記第1及び第2の有機エレクトロルミネッセンス素子が、少なくとも光反射性電極、有機発光媒体層、光半透過性電極を光取出し方向に、この順に積層した素子であり、
下記式(1)で定義されるm及びmが、m+1.3>m>m+0.7(m及び/又はmは0以上の略整数である)の関係を満たす有機エレクトロルミネッセンスカラー発光装置。
【数1】

[式中、Lxは波長λの光に対する光反射性電極と光半透過性電極の間の光学的距離、Φは波長λの光が光反射性電極表面及び光半透過性電極表面で反射するときに生じる位相シフトの合計値を示す。xは1又は2であり、x=1のときは、第1の有機エレクトロルミネッセンス素子の値であり、x=2のときは、第2の有機エレクトロルミネッセンス素子の値であることを示す。]
【請求項2】
支持基板上に、
発光ピーク波長がλである光を発する第1の有機エレクトロルミネッセンス素子を設けた第1の画素と、
発光ピーク波長がλである光を発する第2の有機エレクトロルミネッセンス素子を設けた第2の画素と、
発光ピーク波長がλである光を発する第3の有機エレクトロルミネッセンス素子を設けた第3の画素と、を有し、
前記発光ピーク波長λは、同λよりも長波長であり、前記発光ピーク波長λは、同λよりも長波長であり、
前記第1〜第3の有機エレクトロルミネッセンス素子が、少なくとも光反射性電極、有機発光媒体層、光半透過性電極を光取出し方向に、この順に積層した素子であり、
下記式(2)で定義されるm及びmが、m+1.3>m>m+0.7(m及び/又はmは0以上の略整数である)の関係を満たす有機エレクトロルミネッセンスカラー発光装置。
【数2】

[式中、Lxは波長λの光に対する光反射性電極と光半透過性電極の間の光学的距離、Φは波長λの光が光反射性電極表面及び光半透過性電極表面で反射するときに生じる位相シフトの合計値を示す。xは1又は3であり、x=1のときは、第1の有機エレクトロルミネッセンス素子の値であり、x=3のときは、第3の有機エレクトロルミネッセンス素子の値であることを示す。]
【請求項3】
前記有機発光媒体層が、少なくとも第1電荷輸送層、有機発光層、第2電荷輸送層を光取出し方向にこの順に積層した素子であり、
前記第1〜第3の画素における、有機発光層と光半透過性電極との間の距離がほぼ同一である請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンスカラー発光装置。
【請求項4】
前記有機発光媒体層が、少なくとも第1電荷輸送層、有機発光層、第2電荷輸送層を光取出し方向にこの順に積層した素子であり、
前記第1〜第3の画素における、光反射性電極と有機発光層との間の距離がほぼ同一である請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンスカラー発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−253015(P2006−253015A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−69327(P2005−69327)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】