説明

有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置

【課題】 良好な発光輝度を示し、定電流駆動したときの電圧上昇、ダークスポットが少なく、更に高温、高湿下での経時安定性が高い有機EL素子、及びそれを用いた表示装置、照明装置を提供すること。
【解決手段】 基板上に電極と少なくとも1層以上の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機層の少なくとも1層はドーパントを含有する発光層であり、該発光層を形成するために調製された塗布液の粘度が0.5〜10cPの範囲であり、前記有機層は有機溶媒を10-2〜103ppm含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子、及び該有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示装置、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子や有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう)が挙げられる。
【0003】
有機EL素子は発光する化合物を含有する発光層を陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、更に自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
【0004】
近年プリンストン大より、励起三重項からの燐光発光を用いる有機EL素子の報告(例えば、非特許文献1参照。)がされ、室温で燐光を示す材料の研究が活発になってきている(例えば、非特許文献2及び特許文献1参照。)。励起三重項を使用すると内部量子効率の上限が100%となるため、励起一重項の場合に比べて原理的に発光効率が4倍となり、冷陰極管とほぼ同等の性能が得られ照明用にも応用可能であり注目されている。例えば、多くの化合物がイリジウム錯体系等重金属錯体を中心に合成検討がなされている(例えば、非特許文献3参照。)。
【0005】
現在、この燐光発光を用いた有機EL素子の更なる発光の高効率化、長寿命化が検討されている。(例えば、特許文献2、3参照。)緑色発光については理論限界である20%近くの外部取り出し量子効率が達成されているものの、その他の色の発光についてはまだ十分な効率が得られておらず改良が必要であった。特に青色発光で高効率に発光する素子が求められており、よりバンドギャップの大きな化合物が望まれていた。
【0006】
一方、有機発光素子において高輝度発光を実現しているものは、有機物質を真空蒸着によって積層している素子であるが、製造工程の簡略化、加工性、大面積化等の観点から塗布方式による素子作製も開示されている(例えば、特許文献4参照。)。また、別の課題として製膜中に析出する、膜質がきわめて粗くなるという現象により絶縁破壊を生じる等があり、塗布前の組成物の粘度を予め調製することが検討されいる(例えば、特許文献5参照。)。しかしながら、従来の有機エレクトロルミネッセンス素子は、低電圧駆動したときの電圧上昇、ダークスポットの発生、更に高温、高湿下での経時安定性についての改良が望まれている。また、発光輝度の更なる改良も望まれている。
【特許文献1】米国特許第6,097,147号明細書
【特許文献2】特開2002−100476号公報
【特許文献3】特開2002−117978号公報
【特許文献4】特開2002−299061号公報
【特許文献5】特開2004−31360号公報
【非特許文献1】M.A.Baldo et al.,Nature、395巻、151〜154頁(1998年)
【非特許文献2】M.A.Baldo et al.,Nature、403巻、17号、750〜753頁(2000年)
【非特許文献3】S.Lamansky et al.,J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、良好な発光輝度を示し、定電流駆動したときの電圧上昇、ダークスポットが少なく、更に高温、高湿下での経時安定性が高い有機EL素子、及びそれを用いた表示装置、照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は、下記構成により達成された。
【0009】
(1)
基板上に電極と少なくとも1層以上の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機層の少なくとも1層はドーパントを含有する発光層であり、該発光層を形成するために調製された塗布液の粘度が0.5〜10cPの範囲であり、前記有機層は有機溶媒を10-2〜103ppm含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0010】
(2)
前記ドーパントが燐光性化合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0011】
(3)
前記塗布液の粘度が1〜3cPの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0012】
(4)
前記有機層は有機溶媒を0.1〜100ppm含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0013】
(5)
前記発光層にホスト化合物として重量平均分子量が5000以上の高分子化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0014】
(6)
前記基板がガスバリア層を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0015】
(7)
発光が赤色であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0016】
(8)
発光が緑色であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0017】
(9)
発光が青色であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0018】
(10)
発光が白色であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0019】
(11)
請求項7〜10のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする表示装置。
【0020】
(12)
請求項7〜10のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする照明装置。
【0021】
(13)
請求項12に記載の照明装置と表示手段としての液晶素子を有することを特徴とする表示装置。
【発明の効果】
【0022】
本発明によって、良好な発光輝度を示し、定電流駆動したときの電圧上昇、ダークスポットが少なく、更に高温、高湿下での経時安定性が高い有機EL素子、及びそれを用いた表示装置、照明装置を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明者は、基板上に電極と少なくとも1層以上の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、有機層の少なくとも1層はドーパントを含有する発光層であり、該発光層を形成するために調製された塗布液の粘度が0.5〜10cPの範囲であり、更に有機層に有機溶媒を10-2〜103ppm含有させることにより、良好な発光輝度を示し、且つ定電流駆動したときの電圧上昇、ダークスポットが少なく、且つ高温、高湿下での経時安定性が高い有機エレクトロルミネッセンス素子とすることができることを見出した。
【0024】
以下、本発明の各構成要件について詳細に説明する。
【0025】
次に、本発明で用いられる有機溶媒含有量の測定方法について説明する。
【0026】
本発明に係る有機層中に含有されている揮発性有機溶媒は、パージ&トラップサンプラーを取り付けたガスクロマトグラフィー(GC)質量分析法(MS)で測定することができる(PT−GC/MS)。具体的には10cm×10cm四方の有機EL素子を作製し、ガス回収用のチャンバーと有機ガス吸着管(TENAX GR)に残留溶媒を吸着させPT−GC/MS測定を行った。溶媒濃度は濃度既知の基準試料を用いて作成した検量線より求めた。
【0027】
本発明に係る有機層は有機溶媒を10-2〜103ppm含有する。好ましくは有機溶媒を0.1〜100ppm含有し、これにより定電流駆動したときの電圧上昇、ダークスポット、及び高温、高湿下での経時安定性のより一層の改良効果を有する。
【0028】
本発明に係る有機溶媒として特に制限はないが、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール等)、カルボン酸エステル類(酢酸エチル、酢酸プロピル等)、ニトリル類(アセトニトリル等)、エーテル類(イソプロピルエーテル、THF等)、芳香族炭化水素類(シクロヘキシルベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化アルキル類(塩化メチレン等)、飽和炭化水素類等(ヘプタン等)が挙げられる。この中で好ましいものはカルボン酸エステル類、ニトリル類、エーテル類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化アルキル類、飽和炭化水素類であり、更に好ましくはカルボン酸エステル類、エーテル類、芳香族炭化水素類である。
【0029】
本発明に用いられる有機溶媒の沸点は200℃以下が好ましく、更に好ましくは150℃以下である。
【0030】
本発明に係る有機層は発光層は塗布法で形成されるが、その他の層は蒸着法、塗布法のいずれで形成されてもよい。塗布法に際しては、スピンコート、ディップコート、ロールコート、バーコート、フレキソ印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット法であり、好ましくはインクジェット法である。
【0031】
次に、本発明に用いられる発光層を形成するために調製された塗布液について説明する。本発明に係る塗布液の粘度は絶対粘度と同義であり、例えば、B形粘土計(東機産業製)等の市販の測定装置を用いて20℃で測定して求めることができる。本発明に係る塗布液の粘度は0.5〜10cPの範囲であり、更に1〜3cPの範囲であることが好ましい。
【0032】
本発明に係る塗布液に含有されるホスト化合物(重合性化合物)の濃度としては0.05〜5質量%の範囲であり、更に0.1〜1質量%の範囲であることが好ましい。これによりダークスポットのより一層の改良効果を有する。
【0033】
本発明に係る塗布液で用いられる溶媒としては、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール等)、カルボン酸エステル類(酢酸エチル、酢酸プロピル等)、ニトリル類(アセトニトリル等)、エーテル類(イソプロピルエーテル、THF等)、芳香族炭化水素類(シクロヘキシルベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化アルキル類(塩化メチレン等)、飽和炭化水素類等(ヘプタン等)が挙げられる。この中で好ましいものはカルボン酸エステル類、ニトリル類、エーテル類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化アルキル類、飽和炭化水素類であり、更に好ましくはカルボン酸エステル類、エーテル類、芳香族炭化水素類である。
【0034】
次に、本発明で用いられる発光層に含有するホスト化合物について説明する。
【0035】
本発明で用いられるホスト化合物としては、例えば、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、フェナントロリン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、有機金属化合物、アリールメタン誘導体等が挙げられる。
【0036】
これらのうちで、更に好ましいものとしては以下の構造で示した化合物である。
【0037】
【化1】

【0038】
式中、R1〜R4は置換基を表す。n1及びn2は0〜3の整数を表す。A1及びA2は以下の一般式(2)で表される構造を表す。
【0039】
【化2】

【0040】
式中、Z1及びZ2は置換基を有してもよい芳香族複素環もしくは芳香族炭化水素環を表し、Z3は2価の連結基もしくは単なる結合手を表す。L1は2価の連結基もしくは単なる結合手を表す。
【0041】
【化3】

【0042】
式中、R11は置換基を表す。n11は0〜4の整数を表す。A11及びA12は前記一般式(2)で表される構造を表す。
【0043】
【化4】

【0044】
式中、R23及びR24は置換基を表す。n21及びn22は0〜3の整数を表す。A21及びA22は前記一般式(2)で表される構造を表す。Lは2価の連結基を表す。
【0045】
一般式(1)、(3)及び(4)のうちで更に好ましいものは、一般式(2)のZ1及びZ2が芳香族炭化水素のときである。
【0046】
【化5】

【0047】
式中、A31及びA32は置換基を表す。n31及びn32は0〜3の整数を表す。Yは酸素原子、イオウ原子、イミノ基、スルホキシド基もしくはスルホニル基を表す。R31及びR32は前記一般式(2)で表される化合物を表す。
【0048】
前記一般式(1)、(3)、(4)及び(5)において、R1〜R4、R11、R23、R24、R31及びR32で表される置換基としては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えば、メチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えば、プロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば、フェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えば、フェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えば、アセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えば、メトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、メタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えば、スルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、メチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば、フェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、メシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、メタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、ウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、ジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシル基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(ヘテロ原子として、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子等を含む、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20の、例えば、イミダゾリル、ピリジル、フリル、ピペリジル、モルホリノなどが挙げられる。)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、可能な場合には連結して環を形成してもよい。
【0049】
これらのうち好ましいものはアルキル基及びアリール基である。
【0050】
一般式(2)及び(4)において、L及びL1で表される2価の連結基としてはアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレンなどの炭化水素基のほか、ヘテロ原子を含むものであってもよく、またチオフェン−2,5−ジイル基や、ピラジン−2,3−ジイル基のような、芳香族複素環を有する化合物(ヘテロ芳香族化合物ともいう)に由来する2価の連結基であってもよいし、酸素や硫黄などのカルコゲン原子であってもよい。また、アルキルイミノ基、ジアルキルシランジイル基やジアリールゲルマンジイル基のような、ヘテロ原子を会して連結する基でもよい。
【0051】
本発明で用いられるホスト化合物としては、重合性化合物が重合した重量平均分子量が5000以上の高分子化合物である。
【0052】
高分子化合物とは重合性基を少なくとも一つ有する化合物(重合性化合物)が重合したものであり、重合性基としては、例えば、ビニル基、エポキシ基、オキセタン基、イソシアネート基、チオイソシアネート基等が挙げられる。これらのうちで好ましいものはビニル基である。本発明に係る一般式(1)、(3)、(4)及び(5)で表されるホスト化合物化合物は、これらの重合性基を分子内のいずれかの位置に有してもよい。
【0053】
重合性化合物の重合反応について説明する。重合が形成される時期として、予め重合した高分子を用いてもよいし、また素子作製前の溶液中でも素子作製時でも重合してよい。また素子作製後に結合を形成してもよい。重合反応を起こす場合、外部からのエネルギー(熱・光・超音波など)供給を行ってもよいし、重合開始剤、酸触媒もしくは塩基触媒を添加し反応を起こしてもよい。あるいは本発明に係る化合物を発光素子に含有したときに重合反応を起こす場合、発光素子の駆動時に供給される電流や発生する光や熱によって反応が起こってもよい。また、2つ以上の重合性化合物を重合させ、共重合体を形成してもよい。
【0054】
重合した高分子は5000〜1000000の重量平均分子量が好ましく、更に好ましくは5000〜100000である。これにより発光輝度及びダークスポットのより一層の改良効果を有する。
【0055】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビスブチロニトリル、2,2′−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2′−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドキシム)、2,2′−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)、2,2′−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)などのアゾ系開始剤、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどの過酸化物系開始剤、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチルジクロロアセトフェノン、4−t−ブチルトリクロロアセトフェノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンなどの芳香族カルボニル系開始剤などが挙げられる。また、テトラエチルチイラムジスルフィドなどのジスルフィド系開始剤、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルなどのニトロキシル開始剤、4,4′−ジ−t−ブチル−2,2′−ビピリジン銅錯体−トリクロロ酢酸メチル複合体などのリビングラジカル重合開始剤を用いることもできる。
【0056】
酸触媒としては、活性白土、酸性白土などの白土類、硫酸、塩酸などの鉱酸類、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化第二スズ、三塩化チタン、四塩化チタン、三フッ化硼素、フッ化水素、三臭化硼素、臭化アルミニウム、塩化ガリウム、臭化ガリウムなどのルイス酸、更に固体酸、例えば、ゼオライト、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、カチオン交換樹脂、ヘテロポリ酸(例えば、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸)など各種のものが使用できる。
【0057】
本発明で用いられる塩基性触媒としては、Li2CO3、Na2CO3、K2CO3などのアルカリ金属炭酸塩、BaCO3、CaCO3などのアルカリ土類金属炭酸塩、Li2O、Na2O、K2Oなどのアルカリ金属酸化物、BaO、CaOなどのアルカリ土類金属酸化物、Na、Kなどのアルカリ金属、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、あるいはナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルコキシド等を挙げることができる。
【0058】
以下に本発明に係るホスト化合物となる重合性化合物の具体的な例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0059】
【化6】

【0060】
【化7】

【0061】
【化8】

【0062】
【化9】

【0063】
【化10】

【0064】
【化11】

【0065】
次に本発明に用いられるドーパントについて説明する。
【0066】
本発明で用いられるドーパントは蛍光化合物もしくは燐光性化合物であり、特に燐光化合物が好ましい。
【0067】
本発明における燐光性化合物とは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、燐光量子収率が25℃において0.001以上の化合物である。燐光量子収率は好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.1以上である。上記燐光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中での燐光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に用いられる燐光性化合物は、任意の溶媒の何れかにおいて上記燐光量子収率が達成されればよい。
【0068】
本発明で用いられる燐光性化合物としては、好ましくは元素の周期律表でVIII属の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
【0069】
以下に本発明で用いられる燐光性化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。これらの化合物は、例えば、Inorg.Chem.40巻、1704〜1711に記載の方法等により合成できる。なお、含有する蛍光性化合物及び燐光性化合物は、重合性基または反応性基を有していてもいなくてもよい。
【0070】
【化12】

【0071】
【化13】

【0072】
【化14】

【0073】
【化15】

【0074】
【化16】

【0075】
本発明で用いられる燐光性化合物は、他の燐光性化合物もしくは蛍光性化合物と併用してもよい。
【0076】
本発明で用いられる蛍光性化合物とは、蛍光化合物を含有することにより含有しない場合と異なる極大発光波長の蛍光発光が得られる化合物であり、好ましいものは溶液状態で蛍光量子収率が高いものである。ここで蛍光量子収率は10%以上、特に30%以上が好ましい。具体的な蛍光性化合物は、例えば、クマリン系色素、アントラセン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、または希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。ここでの蛍光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの362頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定することができる。
【0077】
以下に本発明にかかわる蛍光化合物の具体例を示すが本発明はこれらに限定されない。
【0078】
【化17】

【0079】
《有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成》
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成について説明する。
【0080】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板上に電極(陰極と陽極)と少なくとも1層以上の有機層を有し、有機層の少なくとも1層は燐光性化合物を含有する発光層である。
【0081】
本発明に係る発光層は、広義の意味では陰極と陽極からなる電極に電流を流した際に発光する層のことであり、具体的には陰極と陽極からなる電極に電流を流した際に発光する化合物を含有する層のことをさす。
【0082】
本発明に係る有機層は、必要に応じ発光層の他に正孔輸送層、電子輸送層、陽極バッファー層及び陰極バッファー層等を有してもよく、陰極と陽極で挟持された構造をとる。具体的には以下に示される構造が挙げられる。
【0083】
(i)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(ii)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
上記有機EL素子を構成する電極(陽極及び陰極)間に挟持された複数層のうち、有機層は2層以上であることが好ましく、更に好ましくは3層以上である。
【0084】
《発光層》
本発明の有機EL素子の発光層には、ホスト化合物とドーパントを含有する。
【0085】
更に、前述のホスト化合物や公知のホスト化合物を複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、燐光性化合物を複数種用いることで異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。燐光性化合物の種類、ドープ量を調整することで白色発光が可能であり、照明、バックライトへの応用もできる。
【0086】
これらの公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、なお且つ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。ホスト化合物としては正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、例えば、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、フェナントロリン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、有機金属化合物、アリールメタン誘導体等が挙げられる。
【0087】
これらのうち、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体を用いることが好ましい。
【0088】
このようにして形成された発光層の膜厚については特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができるが、5nm〜5μmの範囲に膜厚調整することが好ましい。
【0089】
次に正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層等、発光層と組み合わせて有機EL素子を構成するその他の層について説明する。
【0090】
《正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層》
本発明に用いられる正孔注入層、正孔輸送層は、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有し、この正孔注入層、正孔輸送層を陽極と発光層の間に介在させることにより、より低い電界で多くの正孔が発光層に注入され、その上発光層に陰極、電子注入層、または電子輸送層より注入された電子は、発光層と正孔注入層もしくは正孔輸送層の界面に存在する電子の障壁により、発光層内の界面に累積され発光効率が向上するなど発光性能の優れた素子となる。
【0091】
《正孔注入材料、正孔輸送材料》
この正孔注入層、正孔輸送層の材料(以下、正孔注入材料、正孔輸送材料という)については、前記の陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有する性質を有するものであれば特に制限はなく、従来、光導伝性材料において、正孔の電荷注入輸送材料として慣用されているものや、EL素子の正孔注入層、正孔輸送層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
【0092】
上記正孔注入材料、正孔輸送材料は正孔の注入もしくは輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。この正孔注入材料、正孔輸送材料としては、例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、または導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマーなどが挙げられる。
【0093】
正孔注入材料、正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
【0094】
上記芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更に米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(α−NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)などが挙げられる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【0095】
またはp型−Si、p型−SiCなどの無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。この正孔注入層、正孔輸送層は上記正孔注入材料、正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
【0096】
正孔注入層、正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、5nm〜5μm程度での範囲に調整することが好ましい。この正孔注入層、正孔輸送層は上記材料の一種または二種以上からなる一層構造であってもよく、同一組成または異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
【0097】
《電子輸送層、電子輸送材料》
本発明に係る電子輸送層は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
【0098】
この電子輸送層に用いられる材料(以下、電子輸送材料という)の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、有機金属錯体などが挙げられる。更に上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【0099】
または8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)など、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。
【0100】
その他、メタルフリーまたはメタルフタロシアニン、更にはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基などで置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。または発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiCなどの無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
【0101】
電子輸送層の膜厚は特に制限はないが、5nm〜5μmの範囲に調整することが好ましい。この電子輸送層はこれらの電子輸送材料一種または二種以上からなる一層構造であってもよいし、あるいは同一組成または異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
【0102】
更に本発明においては、陽極と発光層または正孔注入層の間、及び陰極と発光層または電子注入層との間にはバッファー層(電極界面層)を存在させてもよい。
【0103】
バッファー層とは、駆動電圧低下や発光効率向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、陽極バッファー層と陰極バッファー層とがある。
【0104】
陽極バッファー層は特開平9−45479号、同9−260062号、同8−288069号の各公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
【0105】
陰極バッファー層は特開平6−325871号、同9−17574号、同10−74586号の各公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウム、酸化リチウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
【0106】
上記バッファー層はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1〜100nmの範囲が好ましい。
【0107】
更に上記基本構成層の他に必要に応じてその他の機能を有する層を積層してもよく、例えば、特開平11−204258号、同11−204359号の各公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層などのような機能層を有していてもよい。
【0108】
《電極》
次に有機EL素子の電極について説明する。有機EL素子の電極は陰極と陽極からなる。この有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAuなどの金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnOなどの導電性透明材料が挙げられる。
【0109】
上記陽極は蒸着やスパッタリングなどの方法により、これらの電極物質の薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合(100μm以上程度)は、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、または陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
【0110】
一方、陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属などが挙げられる。これらの中で電子注入性及び酸化などに対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物などが好適である。
【0111】
上記陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法で薄膜を形成させることにより作製することができる。または陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜1μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお発光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が透明または半透明であれば、発光効率が向上するので好都合である。
【0112】
《基板》
本発明の有機EL素子は、基板(以下、基材、基体、支持体、フィルム等ともいう)上に形成されているのが好ましい。
【0113】
本発明の有機EL素子に用いることのできる基材としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明のものであれば特に制限はないが、好ましく用いられる基材としては、例えば、ガラス、石英、透明フィルムを挙げることができる。特に好ましい基材は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な透明フィルムである。
【0114】
具体的にはエチレン、ポリプロピレン、ブテン等の単独重合体または共重合体、または共重合体等のポリオレフィン(PO)樹脂、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン樹脂(APO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系(PA)樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリサルホン(PS)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリビニルブチラート(PVB)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、三フッ化塩化エチレン(PFA)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)、パーフルオロエチレン−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル−共重合体(EPA)等のフッ素系樹脂等を用いることができる。
【0115】
また上記に挙げた樹脂以外にも、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物によりなる樹脂組成物や、上記アクリルレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物よりなる樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等のオリゴマーを多官能アクリレートモノマーに溶解せしめた樹脂組成物等の光硬化性樹脂及びこれらの混合物等を用いることも可能である。更に、これらの樹脂の1または2種以上をラミネート、コーティング等の手段によって積層させたものを基材フィルムとして用いることも可能である。
【0116】
これらの素材は単独であるいは適宜混合されて使用することもできる。中でもゼオネックスやゼオノア(日本ゼオン(株)製)、非晶質シクロポリオレフィン樹脂フィルムのARTON(ジェイエスアール(株)製)、ポリカーボネートフィルムのピュアエース(帝人(株)製)、セルローストリアセテートフィルムのコニカタックKC4UX、KC8UX(コニカミノルタオプト(株)製)などの市販品を好ましく使用することができる。
【0117】
また、上記に挙げた樹脂等を用いた本発明に係る基材は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
【0118】
本発明に係る基材は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の基材を製造することができる。また、未延伸の基材を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、基材の流れ(縦軸)方向、または基材の流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸基材を製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
【0119】
また、本発明に係る基材においては、蒸着膜を形成する前にコロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、薬品処理などの表面処理を行ってもよい。
【0120】
更に本発明に係る基材表面には、蒸着膜との密着性の向上を目的としてアンカーコート剤層を形成してもよい。このアンカーコート剤層に用いられるアンカーコート剤としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、及びアルキルチタネート等を、1または2種以上併せて使用することができる。これらのアンカーコート剤には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記のアンカーコート剤はロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法により基材上にコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去することによりアンカーコーティングすることができる。上記のアンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5g/m2(乾燥状態)程度が好ましい。
【0121】
基材はロール状に巻き上げられた長尺品が便利である。基材の厚さは得られるフィルムの用途によって異なるので一概には規定できないが、フィルムを包装用途とする場合には、特に制限を受けるものではなく、包装材料としての適性から3〜400μm、中でも6〜30μmの範囲内とすることが好ましい。
【0122】
また、本発明に用いられる基材は、フィルム形状のものの膜厚としては10〜200μmが好ましく、より好ましくは50〜100μmである。
【0123】
《表示装置》
本発明の有機EL素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。または異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。または一色の発光色、例えば、白色発光をカラーフィルターを用いてBGRにし、フルカラー化することも可能である。更に有機ELの発光色を色変換フィルターを用いて他色に変換しフルカラー化することも可能であるが、その場合、有機EL発光のλmaxは480nm以下であることが好ましい。
【0124】
本発明の有機EL素子から構成される表示装置の一例を図面に基づいて説明する。
【0125】
図4は、有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
【0126】
ディスプレイ1は、複数の画素を有する表示部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部B等からなる。制御部Bは、表示部Aと電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線毎の画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
【0127】
図5は、表示部Aの模式図である。
【0128】
表示部Aは基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と、複数の画素3等とを有する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。図5においては、画素3の発光した光が、白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。配線部の走査線5及び複数のデータ線6は、各々導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示せず)。画素3は走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を、適宜、同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
【0129】
次に、画素の発光プロセスを説明する。図6は画素の模式図である。
【0130】
画素は有機EL素子10、スイッチングトランジスタ11、駆動トランジスタ12、コンデンサ13等を備えている。複数の画素に有機EL素子10として、赤色、緑色、青色発光の有機EL素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行うことができる。
【0131】
図6において、制御部Bからデータ線6を介してスイッチングトランジスタ11のドレインに画像データ信号が印加される。そして、制御部Bから走査線5を介してスイッチングトランジスタ11のゲートに走査信号が印加されると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオンし、ドレインに印加された画像データ信号がコンデンサ13と駆動トランジスタ12のゲートに伝達される。
【0132】
画像データ信号の伝達により、コンデンサ13が画像データ信号の電位に応じて充電されるとともに、駆動トランジスタ12の駆動がオンする。駆動トランジスタ12は、ドレインが電源ライン7に接続され、ソースが有機EL素子10の電極に接続されており、ゲートに印加された画像データ信号の電位に応じて電源ライン7から有機EL素子10に電流が供給される。
【0133】
制御部Bの順次走査により走査信号が次の走査線5に移ると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフする。しかし、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフしてもコンデンサ13は充電された画像データ信号の電位を保持するので、駆動トランジスタ12の駆動はオン状態が保たれて、次の走査信号の印加が行われるまで有機EL素子10の発光が継続する。順次走査により次に走査信号が印加されたとき、走査信号に同期した次の画像データ信号の電位に応じて駆動トランジスタ12が駆動して有機EL素子10が発光する。
【0134】
即ち、有機EL素子10の発光は、複数の画素それぞれの有機EL素子10に対して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタ11と駆動トランジスタ12を設けて、複数の画素3それぞれの有機EL素子10の発光を行っている。このような発光方法をアクティブマトリクス方式と呼んでいる。
【0135】
ここで、有機EL素子10の発光は、複数の階調電位を持つ多値の画像データ信号による複数の階調の発光でもよいし、2値の画像データ信号による所定の発光量のオン、オフでもよい。また、コンデンサ13の電位の保持は、次の走査信号の印加まで継続して保持してもよいし、次の走査信号が印加される直前に放電させてもよい。
【0136】
本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機EL素子を発光させるパッシブマトリクス方式の発光駆動でもよい。
【0137】
図7はパッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。図7において、複数の走査線5と複数の画像データ線6が画素3を挟んで対向して格子状に設けられている。
【0138】
順次走査により走査線5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線5に接続している画素3が画像データ信号に応じて発光する。パッシブマトリクス方式では画素3にアクティブ素子がなく、製造コストの低減が計れる。
【0139】
《光取り出し技術》
本発明の有機EL素子は、発光層から放射された光の取り出し効率を向上させるため、基板の表面にプリズムやレンズ状の加工を施す、もしくは基板の表面にプリズムシートやレンズシートを貼りつけてもよい。
【0140】
本発明の有機EL素子は、電極と基板の間に低屈折率層を有してもよい。低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマーなどが挙げられる。
【0141】
基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。また更に1.35以下であることが好ましい。また、低屈折率媒質の厚みは媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
【0142】
本発明の有機EL素子は、いずれかの層間もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を有してもよい。導入する回折格子は二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。回折格子を導入する位置としては前述のとおり、いずれかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。このとき、回折格子の周期は媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。回折格子の配列は正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状など、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
【0143】
本発明に係る基材は、ガスバリア層を有することが好ましい。これによりダークスポット及び高温、高湿下での経時安定性のより一層の改良効果を有する。
【0144】
《ガスバリア層》
本発明に係るガスバリア層とは、酸素及び水蒸気の透過を阻止する層であれば、その組成等は特に限定されるものではない。酸素の透過度が23℃、0%RHにおいて0.005ml/m2/day以下が好ましく、またJIS K7129 B法に従って測定した水蒸気透過度が0.1g/m2/day以下が好ましい。本発明に係るガスバリア層を構成する材料として、具体的には無機酸化物が好ましく、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化窒化珪素、酸化窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ等を挙げることができる。
【0145】
また、本発明におけるガスバリア層の厚さは用いられる材料の種類、構成により最適条件が異なり、適宜選択されるが、5〜2000nmの範囲内であることが好ましい。ガスバリア層の厚さが上記の範囲より薄い場合には、均一な膜が得られず、ガスに対するバリア性を得ることが困難であるからである。またガスバリア層の厚さが上記の範囲より厚い場合には、ガスバリア性フィルムにフレキシビリティを保持させることが困難であり、成膜後に折り曲げ、引っ張り等の外的要因により、ガスバリア性フィルムに亀裂が生じる等のおそれがあるからである。
【0146】
本発明に係るガスバリア層は、後述する原材料をスプレー法、スピンコート法、スパッタリング法、イオンアシスト法、プラズマCVD法、後述する大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法等を適用して形成することができる。
【0147】
図1は、本発明に係るガスバリア層を有する基材の構成を示す模式図である。
【0148】
本発明に係るガスバリア層を有する基材の構成とその密度について説明する。
【0149】
本発明に係るガスバリア層21は、基材22上に密度の異なる層を積層しており、密着膜23、セラミック膜24及び保護膜25を積層した構成をとる。図1においては3層を積層した例を示してある。各層内における密度分布は均一とし、セラミック膜の密度をその上下に位置する密着膜及び保護膜のそれぞれの密度よりも高く設定している。なお、図1においては各層を1層として示したが、必要に応じてそれぞれ2層以上の構成をとってもよい。
【0150】
基材上に密着膜、セラミック膜及び保護膜を形成する方法としては、スプレー法、スピンコート法、スパッタリング法、イオンアシスト法、プラズマCVD法、大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法等を適用して形成することができる。
【実施例】
【0151】
以下、本発明について実施例をもって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0152】
実施例1
〈有機EL素子OLED1−1の作製〉
基材として、厚さ100μmのポリエチレンナフタレートフィルム(帝人・デユポン社製フィルム)上に、下記の大気圧プラズマ放電処理装置及び放電条件で、図1記載プロファイル構成でバリア層を有する基材1を作製した。
【0153】
(大気圧プラズマ放電処理装置)
図2の大気圧プラズマ放電処理装置を用い、誘電体で被覆したロール電極及び複数の角筒型電極のセットを以下のように作製した。
【0154】
第1電極となるロール電極35は、冷却水による冷却手段を有するチタン合金T64製ジャケットロール金属質母材に対して、大気プラズマ法により高密度、高密着性のアルミナ溶射膜を被覆し、ロール径1000mmφとなるようにした。一方、第2電極の角筒型電極36は、中空の角筒型のチタン合金T64に対し、上記同様の誘電体を同条件にて方肉で1mm被覆し、対向する角筒型固定電極群とした。
【0155】
この角筒型電極をロール回転電極のまわりに、対向電極間隙を1mmとして10本配置した。角筒型固定電極群の放電総面積は、150cm(幅手方向の長さ)×4cm(搬送方向の長さ)×10本(電極の数)=6000cm2であった。なお、いずれもフィルターは適切なものを設置した。
【0156】
プラズマ放電中、第1電極(ロール回転電極)は120℃及び第2電極(角筒型固定電極群)は80℃になるように調節保温し、ロール回転電極はドライブで回転させて薄膜形成を行った。上記10本の角筒型固定電極中、上流側より2本を下記第1層(密着層)の製膜用に、次の6本を下記第2層(セラミック層)の製膜用に、次の2本を第3層(保護層)の製膜用に使用し、各条件を設定して1パスで3層を積層した。
【0157】
(第1層:密着層)
下記の条件でプラズマ放電を行って、厚さ約50nmの密着層を形成した。
【0158】
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 94.5体積%
薄膜形成性ガス:ヘキサメチルジシロキサン
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.5体積%
添加ガス:酸素ガス 5.0体積%
〈電源条件:第1電極側の電源のみを使用した〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 10W/cm2
上記形成した第1層(密着層)の密度は、前述のマックサイエンス社製MXP21を用いたX線反射率法で測定した結果、1.90であった。
【0159】
(第2層:セラミック層)
下記の条件でプラズマ放電を行って、厚さ約30nmのセラミック層を形成した。
【0160】
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 94.9体積%
薄膜形成性ガス:ヘキサメチルジシロキサン
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.1体積%
添加ガス:酸素ガス 5.0体積%
〈電源条件〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 10W/cm2
第2電極側 電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 10W/cm2
上記形成した第2層(セラミック層)の密度は、前述のマックサイエンス社製MXP21を用いたX線反射率法で測定した結果、2.20であった。
【0161】
(第3層:保護層)
下記の条件でプラズマ放電を行って、厚さ約200nmの保護層を形成した。
【0162】
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 93.0体積%
薄膜形成性ガス:ヘキサメチルジシロキサン
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 2.0体積%
添加ガス:酸素ガス 5.0体積%
〈電源条件:第1電極側の電源のみを使用した〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 10W/cm2
上記形成した第3層(保護層)の密度は、前述のマックサイエンス社製MXP21を用いたX線反射率法で測定した結果、1.95であった。
【0163】
JIS−K−7129Bに準拠した方法により水蒸気透過率を測定した結果、10-3g/m2/day以下であった。JIS−K−7126Bに準拠した方法により酸素透過率を測定した結果、10-3g/m2/day以下であった。
【0164】
次いで、ガスバリア層を有する基材1上にITO(インジウムチンオキシド)を120nm成膜した基板にパターニングを行った後、このITO透明電極を付けた基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、真空度4×10-4Paまで減圧し、ITO基板100を作製した。
【0165】
次に市販のインクジェット式ヘッド10(コニカミノルタ製KM512S非水系ヘッド)を用いて、ホスト化合物として例示化合物A4、燐光性化合物Ir−1、AIBN(質量比100:5:1)及び酢酸エチルを含む塗布液D1(粘度0.75cP)をITO基板100上に吐出させ、100℃、60分の条件にて膜厚50nmの発光層111を形成した。
【0166】
次に、インクジェット式ヘッド10を用いて、例示化合物A11とAIBN(質量比100:1)及び酢酸エチルを含む塗布液D2を発光層111上に吐出させ、100℃、60分の条件にて膜厚50nmの電子輸送層112を形成した。
【0167】
次に、電子輸送層112の上に厚さ200nmのアルミニウム113(陰極)を蒸着形成した。更にその上にガスバリア層を有する基材1を貼りつけて、有機EL素子OLED1−1を形成した。
【0168】
なお、表1に示したように塗布液の粘度を調整し、また表1の有機溶媒残存含有量となるように乾燥条件を調整した。
【0169】
図3に有機EL素子OLED1−1の吐出及び成膜工程を示す。
【0170】
〈有機EL素子OLED1−2、1−3の作製〉
反応容器に例示化合物A14、1.4g(2.5mmol)、AIBN0.010g(0.061mmol)、酢酸ブチル30mlを入れて窒素置換を行った後、80℃で10時間反応させた。反応後、アセトンに投入して再沈殿を行い、濾過によりポリマーを回収した。回収したポリマーのクロロホルム溶液をメタノール中に投入して再沈殿させることを更に2回行うことにより精製し、回収後真空乾燥して、目的とする例示化合物A14の重合体1.2gを粉末として得た。この共重合体の重量平均分子量はポリスチレン換算で12000(HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)を溶離液に用いたGPC測定による)であった。
【0171】
同様の方法で例示化合物A28の重合体を合成した(重量平均分子量16000)。
【0172】
有機EL素子OLED1−1の製造方法において、塗布液D1に替えて、上述の例示化合物A14の重合体、燐光性化合物Ir−1(質量比100:5)及び酢酸エチルを含む塗布液D3(粘度0.90cP)、塗布液D4(粘度1.5cP)を用い、塗布液D2に替えて、上述の例示化合物A28の重合体及び酢酸エチルを含む塗布液D5を用い、表1に示した有機溶媒残存含有量、塗布液の粘度となるように乾燥条件、塗布条件を変更した以外は、有機EL素子OLED1−1の製造方法と同様の製造方法で有機EL素子OLED1−2、1−3を作製した。
【0173】
〈有機EL素子OLED1−4〜1−8の作製〉
有機EL素子OLED1−2の製造方法において、各層の材料を下記表1に示す材料に替え、更に表1に示した有機溶媒残存含有量、塗布液の粘度となるように乾燥条件、塗布条件を変更した以外は、有機EL素子OLED1−2の製造方法と同様の製造方法で有機EL素子OLED1−4〜1−8を作製した。
【0174】
〈有機EL素子OLED1−9の作製〉
有機EL素子OLED1−2の製造方法において、各層の材料を下記表1に示す材料に替え、かつインジウムチンオキシド透明電極(ITO電極)を有するガラス基板に替えた以外は、有機EL素子OLED1−2の製造方法と同様の製造方法で有機EL素子OLED1−9を作製した。
【0175】
〈有機EL素子の評価〉
以下のようにして得られた有機EL素子の評価を行い、結果を表1に示す。
【0176】
(発光輝度)
有機EL素子の温度23℃、10V直流電圧を印加した時の発光輝度(cd/m2)を測定した。発光輝度は有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−4を100とした時の相対値で表した。発光輝度については、CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)を用いて測定した。
【0177】
(ダークスポット)
また10mA/cm2の一定電流で30時間駆動させた後に、2mm×2mm四方の範囲での目視で確認できる非発光点(ダークスポット)の数を測定した。
【0178】
(電圧上昇率)
10mA/cm2の一定電流で駆動したときに、初期電圧と100時間後の電圧を測定した。初期電圧に対する100時間後の電圧の相対値を電圧上昇率とした。
【0179】
(経時安定性)
有機EL素子を50℃、60%RHの条件で1ヶ月保存後、実施例1と同様に発光輝度(cd/m2)を測定した。経時安定性は保存前の発光輝度測定値に対して相対値で表した。
【0180】
【表1】

【0181】
【表2】

【0182】
表2から明らかなように、本発明に係る方法を用いた有機EL素子ではダークスポット、電圧上昇率が大幅に減少し、経時安定性が向上し、更に発光輝度の向上も認められた。
【0183】
実施例2
実施例1の有機EL素子OLED1−3の製造方法において、各層の材料を下記表3に示す材料に替え、更に表3に示した有機溶媒残存含有量、発光層の塗布液の粘度となるように乾燥条件、塗布条件を変更した以外は、有機EL素子OLED1−3の製造方法と同様の製造方法で、有機EL素子OLED2−1〜2−5を作製した。
【0184】
更に実施例1の有機EL素子OLED1−1の製造方法において、各層の材料を下記表3に示す材料に替え、更に表3に示した有機溶媒残存含有量、発光層の塗布液の粘度となるように乾燥条件、塗布条件を変更した以外は、有機EL素子OLED1−1の製造方法と同様の製造方法で有機EL素子OLED2−6を作製した。
【0185】
【表3】

【0186】
有機EL素子OLED2−1〜2−6についても、実施例1と同じ評価方法で評価を行った。なお、発光輝度は有機エレクトロルミネッセンス素子OLED2−1を100とした時の相対値で表した。表4に有機EL素子の評価結果を示す。
【0187】
【表4】

【0188】
表4の結果から明らかなように、本発明の有機EL素子は発光輝度に優れ、定電流駆動したときの電圧上昇、ダークスポットが少なく、更に高温、高湿下での経時安定性が高い素子であることがわかった。
【0189】
実施例3
実施例2で作製した本発明の有機EL素子2−3と、実施例2で作製した本発明の有機EL素子OLED2−3の燐光性化合物をIr−1に換えた以外は、同様にして作製した緑色発光有機EL素子と、本発明の有機EL素子OLED2−3の燐光性化合物をIr−9に置き換えた以外は、同様にして作製した赤色発光有機EL素子を同一基板上に並置し、第4図に示すアクティブマトリックス方式フルカラー表示装置を作製した。第5図には作製したフルカラー表示装置の表示部Aの模式図のみを示した。即ち、同一基板上に複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と並置した複数の画素3(発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素等)とを有し、配線部の走査線5及び複数のデータ線6はそれぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示せず)。前記複数の画素3はそれぞれの発光色に対応した有機EL素子、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタと駆動トランジスタそれぞれが設けられたアクティブマトリックス方式で駆動されており、走査線5から走査信号が印加されるとデータ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。このように各赤、緑、青の画素を適宜、並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
【0190】
フルカラー表示装置を駆動することにより、鮮明なフルカラー動画表示が得られた。
【0191】
実施例4
《照明装置の作製》
実施例4で作製した青色発光、緑色発光及び赤色発光の有機EL素子各々の非発光面をガラスケースで覆い、照明装置とした。照明装置は発光効率が高く、発光寿命の長い白色光を発する薄型の照明装置として使用することができた。図8は照明装置の概略図で、図9は照明装置の断面図である。有機EL素子101をガラスカバー102で覆った。105は陰極で106は有機EL層、107は透明電極付きガラス基板である。なおガラスカバー102内には窒素ガス108が充填され、捕水剤109が設けられている。
【0192】
実施例5
〈有機EL素子OLED6−1の作製〉
実施例1の有機EL素子OLED1−3を作製した条件と同じ条件で、下記表5に示す材料及び膜厚構成の有機EL素子OLED6−1を作製した。表5中の%は質量比(%)を表す。
【0193】
【表5】

【0194】
発光層1〜3の塗布液の粘度は全て1.0となるよう調整した。有機層の有機溶媒含有量は15ppmとなるよう乾燥条件を調整した。次いで、その上に厚さ200nmのアルミニウムを蒸着した。封止にあたっては、有機EL素子OLED1−1と同様にガスバリア層を有する基材1を貼りつけた。
【0195】
得られた有機EL素子OLED6−1を実施例4と同様に図8に示すような照明装置とした。照明装置は発光効率が高く、発光寿命の長い白色光を発する薄型の照明装置として使用することができた。
【0196】
次いで、ディスプレイ用として市販されているカラーフィルターを組み合わせた際の色再現域を評価した。有機EL素子6−1とカラーフィルターの組み合わせにおいて、色再現域が広く、色再現性において優れた性能を有することが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0197】
【図1】本発明に係る透明ガスバリアフィルムの層構成を示す模式図である。
【図2】本発明に有用な対向電極間で基材を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
【図3】有機EL素子OLED1−1の吐出及び成膜工程を示す図である。
【図4】有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。
【図5】表示部の模式図である。
【図6】画素の模式図である。
【図7】パッシブマトリクス方式フルカラー表示装置の模式図である。
【図8】照明装置の概略図である。
【図9】照明装置の断面図である。
【符号の説明】
【0198】
30 プラズマ放電処理室
35 ロール電極
36 電極
41、42 電源
51 ガス供給装置
55 電極冷却ユニット
100 ITO基板
111 正孔輸送層
112 電子輸送層
113 陰極
114 ガスバリア膜
10 インクジェット式ヘッド
D 液滴
1 ディスプレイ
3 画素
5 走査線
6 データ線
7 電源ライン
10 有機EL素子
11 スイッチングトランジスタ
12 駆動トランジスタ
13 コンデンサ
A 表示部
B 制御部
107 透明電極付きガラス基板
106 有機EL層
105 陰極
102 ガラスカバー
108 窒素ガス
109 捕水剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に電極と少なくとも1層以上の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機層の少なくとも1層はドーパントを含有する発光層であり、該発光層を形成するために調製された塗布液の粘度が0.5〜10cPの範囲であり、前記有機層は有機溶媒を10-2〜103ppm含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項2】
前記ドーパントが燐光性化合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】
前記塗布液の粘度が1〜3cPの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
前記有機層は有機溶媒を0.1〜100ppm含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
前記発光層にホスト化合物として重量平均分子量が5000以上の高分子化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
前記基板がガスバリア層を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
発光が赤色であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
発光が緑色であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項9】
発光が青色であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項10】
発光が白色であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする表示装置。
【請求項12】
請求項7〜10のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする照明装置。
【請求項13】
請求項12に記載の照明装置と表示手段としての液晶素子を有することを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−42316(P2007−42316A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222688(P2005−222688)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】