説明

有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置

【課題】発光輝度、色純度、発光効率及び耐久性の高い青色を発光する有機EL素子、表示装置及び照明装置を提供する。

【解決手段】発光層がホスト化合物を2種以上、ドーパントを1種以上含有する有機EL素子において、少なくとも1種のホスト化合物の励起三重項エネルギーが2.7eV以上で、ホスト化合物のうち最も深いHOMOを持つ化合物のHOMOのエネルギー準位をHOMO−H、ドーパントのHOMOのエネルギー準位をHOMO−D、ホスト化合物のうち最も浅いLUMOを持つ化合物のLUMOのエネルギー準位をLUMO−H、ドーパントのLUMOのエネルギー準位をLUMO−Dとしたとき下記式を満たす。ドーパントがリン光性化合物で、ホスト化合物が、異なる2種以上の化合物からなり、少なくとも2種が各々特定一般式で示される骨格を有する化合物から選ばれる。
|LUMO−H|<|LUMO−D|
|HOMO−H|<|HOMO−D|

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう)、それを用いた表示装置及び照明装置に関し、詳しくは、高効率の発光をする有機EL素子、それを用いた表示装置及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子や有機EL素子が挙げられる。無機エレクトロルミネッセンス素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。
【0003】
一方、有機EL素子は、発光する化合物を含有する発光層を、陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・リン光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、さらに、自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
【0004】
しかしながら、今後の実用化に向けた有機EL素子においては、さらに低消費電力で効率よく高輝度に発光する技術開発が望まれている。
【0005】
従来の有機EL素子の発光は、主に励起一重項状態からの発光(すなわち蛍光)を利用したものであったが、このような、励起一重項からの発光を用いる場合、一重項励起子と三重項励起子の生成比が1:3であるため発光性励起種の生成確率が25%であることと、光の取り出し効率が約20%であるため、外部取り出し量子効率(ηext)の限界は5%とされている。
【0006】
ところが、プリンストン大学より、励起三重項からのリン光発光を用いる有機EL素子の報告(非特許文献1参照)がされて以来、室温でリン光を示す材料の研究が活発になってきている。同様の報告(非特許文献2参照)や特許(特許文献1参照)も知られている。
【0007】
励起三重項を使用すると、内部量子効率の上限が100%となるため、励起一重項の場合に比べて原理的に発光効率が4倍となり、冷陰極管とほぼ同等の性能が得られる可能性もあり、照明用にも応用可能であるためさまざまな分野で注目されている。
【0008】
そして、多くの化合物がイリジウム錯体系等、重金属錯体を中心に合成検討されている(非特許文献3参照)。
【0009】
また、ドーパントとして、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウムを用いた検討がされている(前記非特許文献1参照)。
【0010】
その他、M.E.Tompson等は、The 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence(EL’00、浜松)において、ドーパントとしてL2Ir(acac)例えば(ppy)2Ir(acac)を、また、Moon−Jae Youn.0g,Tetsuo Tsutsui等は、やはり、The 10th Int
ernational Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence(EL’00、浜松)において、ドーパントとして、トリス(2−(p−トリル)ピリジン)イリジウム(Ir(ptpy)3),トリス(ベンゾ[h]キノリン)イリジウム(Ir(bzq)3)、Ir(bzq)2ClP(Bu)3等を用いた検討を行っている。
【0011】
上記の如く、各種イリジウム錯体を用いて素子化する試みがされている(前記非特許文献3参照)だけでなく、高い発光効率を得るために、The 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence(EL’00、浜松)では、Ikai等はホール輸送性の化合物をリン光性化合物のホストとして用いている。
【0012】
また、M.E.Tompson等は、各種電子輸送性材料をリン光性化合物のホストとして、これらに新規なイリジウム錯体をドープして用いている。さらに、Tsutsui等は、ホールブロック層の導入により高い発光効率を得ている。
【0013】
しかし、緑色発光については理論限界である20%近くの外部取り出し効率が達成されているものの、高輝度領域ではその効率が極端に低下したり、またその他の発光色、特に青色発光についてはまだ十分な効率が得られておらず改良が必要であった。
【0014】
高効率化を図る上で、発光層に複数の材料を用いることも検討されている。例えば、発光層をドーパントと正孔輸送材料及び/または電子輸送材料から構成する有機EL素子が挙げられるが、これら複数の材料を用いた素子においても緑色発光についてはリン光性ドーパントを使用して高効率化が達成されている(特許文献2〜4参照)ものの、青色発光については発光材料は蛍光性ドーパントであり、効率の観点からリン光性ドーパントを用いたときには及ばず、高効率かつ長寿命となる十分な効果は得られていない(特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第6097147号明細書
【特許文献2】特開2002−184581号公報
【特許文献3】特開2003−68465号公報
【特許文献4】特開2003−68466号公報
【特許文献5】特開2004−311231号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】M.A.Baldo et al.,nature,395巻,1 51〜154頁(1998年)
【非特許文献2】M.A.Baldo et al.,nature,40巻,17 号、750〜753頁(2000年)
【非特許文献3】S.Lamansky et al.,J.Am.Chem.So c.,123巻,4304頁(2001年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、発光輝度及び発光効率の高い有機EL素子、特に発光輝度、色純度、発光効率及び耐久性の高い青色を発光する有機EL素子、それを用いた表示装置及び照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
【0019】
(1) 発光層が、ホスト化合物を2種以上、ドーパントを1種以上含有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、少なくとも1種の前記ホスト化合物の励起三重項エネルギーが2.7eV以上であり、前記ホスト化合物のうち最も深いHOMOを持つ化合物のHOMOのエネルギー準位をHOMO−Hとし、ドーパントのHOMOのエネルギー準位をHOMO−Dとし、前記ホスト化合物のうち最も浅いLUMOを持つ化合物のLUMOのエネルギー準位をLUMO−Hとし、ドーパントのLUMOのエネルギー準位をLUMO−Dとしたとき、これらのエネルギー準位の絶対値が以下の関係式を満たしており、
|LUMO−H|<|LUMO−D|
|HOMO−H|<|HOMO−D|
かつ、該ドーパントがリン光性化合物であり、
かつ、前記ホスト化合物が、異なる2種以上の化合物からなり、該異なる2種以上の化合物のうち少なくとも2種がそれぞれ下記一般式(1)で示される骨格を有する化合物から選ばれることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化1】

〔式中、X11〜X18は、各々、炭素原子または窒素原子を表す。X11〜X18
いずれかが炭素原子である場合、該炭素原子に結合しているR11〜R18は、各々、水
素原子または置換基を表し、該置換基が複数の場合、同一でも異なっていてもよい。X
〜X18のいずれかが窒素原子である場合、該窒素原子に結合しているR11〜R18は、各々、非共有電子対を表す。R19は、水素原子または置換基を表す。〕
【0020】
(2) 前記ドーパントが、発光極大波長が350〜500nmの範囲内であるリン光性化合物であることを特徴とする前記(1)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0021】
(3) 前記ホスト化合物が、異なる2種以上の化合物からなり、その少なくとも一つが下記一般式(2)で表されるカルバゾール環を有する化合物であることを特徴とする前記(1)1または(2)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化2】

〔式中、R21〜R28は、各々、水素原子または置換基を表し、該置換基が複数の場合、同一でも異なっていてもよい。R29は、水素原子または置換基を表す。〕
【0022】
(4) 前記ホスト化合物が、異なる2種以上の化合物からなり、その少なくとも一つが下記一般式(3)で表されるアザカルバゾール環を有する化合物であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化3】

〔式中、X31〜X38は、各々、炭素原子または窒素原子を表し、X31〜X38のい
ずれか一つは窒素原子である。X31〜X38のいずれかが炭素原子である場合、該炭素
原子に結合しているR31〜R38は、各々、水素原子または置換基を表し、該置換基が
複数の場合、同一でも異なっていてもよい。X31〜X38のいずれかが窒素原子である
場合、該窒素原子に結合しているR31〜R38は、各々、非共有電子対を表す。R39
は、水素原子または置換基を表す。〕
【0023】
(5) 前記ホスト化合物が、異なる2種以上の化合物からなり、その少なくとも一つが一般式(4)で示されるジアザカルバゾール環を有する化合物であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化4】

〔式中、X41〜X48は、各々、炭素原子または窒素原子を表し、X44およびX
、X43およびX46、X42およびX47、X41およびX48のいずれか一つの組
み合わせにおける2つの原子は窒素原子である。X41〜X48のいずれかが炭素原子で
ある場合、該炭素原子に結合しているR41〜R48は、各々、水素原子または置換基を
表し、また、該置換基が複数の場合、同一でも異なっていてもよい。X41〜X48のい
ずれかが窒素原子である場合、該窒素原子に結合しているR41〜R48は、各々、非共有電子対を表す。R49は、水素原子または置換基を表す。〕
【0024】
(6) 前記ホスト化合物が、異なる2種の化合物からなり、それらがそれぞれ下記一般式(2)で示されるカルバゾール環を有する化合物であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化5】

〔式中、R21〜R28は、各々、水素原子または置換基を表し、該置換基が複数の場合
、同一でも異なっていてもよい。R29は、水素原子または置換基を表す。〕
【0025】
(7) 前記ホスト化合物が、異なる2種の化合物からなり、それらがそれぞれ下記一般式(3)で示されるアザカルバゾール環を有する化合物であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化6】

〔式中、X31〜X38は、各々、炭素原子または窒素原子を表し、X31〜X38
いずれか一つは窒素原子である。X31〜X38のいずれかが炭素原子である場合、該炭
素原子に結合しているR31〜R38は、各々、水素原子または置換基を表し、該置換基
が複数の場合、同一でも異なっていてもよい。X31〜X38のいずれかが窒素原子であ
る場合、該窒素原子に結合しているR31〜R38は、各々、非共有電子対を表す。R39は、水素原子または置換基を表す。〕
【0026】
(8) 前記ホスト化合物が、異なる2種の化合物からなり、それらが下記一般式(2)で示されるカルバゾール環を有する化合物および一般式(3)で示されるアザカルバゾール環を有する化合物であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化7】

〔式中、R21〜R28は、各々、水素原子または置換基を表し、該置換基が複数の場合
、同一でも異なっていてもよい。R29は、水素原子または置換基を表す。〕
【化8】

〔式中、X31〜X38は、各々、炭素原子または窒素原子を表し、X31〜X38のい
ずれか一つが窒素原子である。X31〜X38のいずれかが炭素原子である場合、該炭素
原子に結合しているR31〜R38は、各々、水素原子または置換基を表し、該置換基が
複数の場合、同一でも異なっていてもよい。X31〜X38のいずれかが窒素原子である
場合、該窒素原子に結合しているR31〜R38は、各々、非共有電子対を表す。R39は、水素原子または置換基を表す。〕
【0027】
(9) 白色に発光することを特徴とする前記(1)から(8)までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0028】
(10) 前記(1)から(9)までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする表示装置。
【0029】
(11) 前記(1)から(9)までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする照明装置。
【0030】
(12) 前記(11)に記載の照明装置および、表示手段として、液晶素子を有することを特徴とする表示装置。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、発光輝度及び発光効率の高い有機EL素子、特に発光輝度、色純度、発光効率及び耐久性の高い青色を発光する有機EL素子、それを用いた表示装置及び照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】発光層中の2種のホスト化合物(ホストAとホストB)のエネルギーレベル を表した図である。
【図2】発光層中の2種のホスト化合物(ホストAとホストB)のエネルギーレベル を表した図である。
【図3】発光層中の2種のホスト化合物(ホストAとホストB)のエネルギーレベル を表した図である。
【図4】有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。
【図5】表示部の模式図である。
【図6】画素の模式図である。
【図7】パッシブマトリクス方式フルカラー表示装置の模式図である。
【図8】積層型有機EL素子の概略図である。
【図9】照明装置の概略図である。
【図10】照明装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明者は鋭意検討の結果、発光層がホスト化合物を2種以上、ドーパントを1種以上含有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該ホスト化合物の少なくとも1種の励起三重項エネルギーが2.7eV以上であり、かつ該ドーパントがリン光性化合物である有機エレクトロルミネッセンス素子により、発光輝度及び発光効率の高い有機EL素子、特に発光輝度、色純度、発光効率及び耐久性の高い青色を発光する有機EL素子を得ることに成功した。また、ホスト化合物にカルバゾール環、アザカルバゾール環、ジアザカルバゾール環を含有する化合物を用いることにより、高効率発光を維持したまま長寿命化できることがわかり、本発明に到達した。
【0034】
なお、本発明における励起三重項エネルギーは以下の式により定義する。
【0035】
X=1239.8/Y
式中、Xは励起三重項エネルギー(eV)、Yはリン光の0−0バンド(nm)を表す。リン光の0−0バンド(nm)は、下記のようにして求めることができる。
【0036】
測定するホスト化合物を、よく脱酸素されたエタノール/メタノール=4/1(vol/vol)の混合溶媒に溶かし、リン光測定用セルに入れた後、液体窒素温度77Kで励起光を照射し、励起光照射後100msでの発光スペクトルを測定する。リン光は蛍光に比べ発光寿命が長いため、100ms後に残存する光はほぼリン光であると考えることができる。なお、リン光寿命が100msより短い化合物に対しては遅延時間を短くして測定しても構わないが、蛍光と区別できなくなるほど遅延時間を短くしてしまうとリン光と蛍光が分離できないので問題となるため、その分離が可能な遅延時間を選択する必要がある。
【0037】
また、上記溶剤系で溶解できない化合物については、その化合物を溶解しうる任意の溶剤を使用してもよい(実質上、上記測定法ではリン光波長の溶媒効果はごくわずかなので問題ない)。
【0038】
次に0−0バンドの求め方であるが、本発明においては、上記測定法で得られたリン光スペクトルチャートの中で最も短波長側に現れる発光極大波長をもって0−0バンドと定義する。
【0039】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0040】
先ず、一般式(1)〜(4)について説明する。
【0041】
一般式(1)において、R11〜R19が置換基を表す場合、各々表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素環基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、モルホリニル基、オキサゾリジニル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)等が挙げられる。
【0042】
これらの置換基は上記の置換基によって更に置換されていてもよい。
【0043】
また、X11〜X18は、各々炭素原子または窒素原子を表すが、X11〜X18の全てが炭素原子であるか、X11〜X18のうち窒素原子の数が1つまたは2つである場合が好ましく、X11〜X18のうち窒素原子が2つである場合にはX11〜X14のうちでいずれか一つとX15〜X18のうちでいずれか一つが窒素原子であることが好ましい。
【0044】
一般式(2)において置換基R21〜R29は一般式(1)のR11〜R19と同様に定義される。
【0045】
一般式(3)において置換基R31〜R39は一般式(1)のR11〜R19と同様に定義される。また、X31〜X38は、各々炭素原子または窒素原子を表し、いずれか一つが窒素原子であるが、X31、X32、X37、X38のいずれか一つが窒素原子であることが好ましく、さらに好ましくはX31またはX38が窒素原子であることである。
【0046】
一般式(4)における置換基R41〜R49に関しても一般式(1)のR11〜R19と同様に定義される。また、X41〜X48は、各々炭素原子または窒素原子を表し、X44およびX45、X43およびX46、X42およびX47、X41およびX48のいずれか一つの組み合わせにおける2つの原子が窒素原子であるが、好ましくはX41およびX48の組み合わせかまたはX42およびX47の組み合わせが窒素原子である。さらに好ましくはX42およびX47の組み合わせが窒素原子である。
【0047】
〔ホスト化合物〕
青色にリン光発光させるためにはホスト化合物に関しては特に大きな励起三重項エネルギーを必要とする。そのため、しばしば、ホスト化合物の励起三重項エネルギーよりも発光層の隣接層に含有される正孔輸送材料、または電子輸送材料等の励起三重項エネルギーの方が小さくなることがあり、素子として駆動させた際に、ホスト化合物から発光層の隣接層に含有される材料へエネルギー移動が起こってしまい、それが効率低下の原因になると考えられる。また、発光層の隣接層の材料からの発光が生じるために、本来のリン光性ドーパントの発光からの色ずれが起こり、色純度の低下が見られるという問題もあった。
【0048】
発光層の隣接層へのエネルギー移動を防止するには、発光層の隣接層の励起三重項エネルギーがホスト化合物のそれよりも大きい化合物を用いればよいが、そのような素子では発光層と隣接層との間の電位障壁が大きくなり、効率が悪くなると考えられる。
【0049】
本発明者等は鋭意検討の結果、発光層を、少なくとも1種の化合物の励起三重項エネルギーが2.7eV以上のホスト化合物を含む、ホスト化合物2種以上から構成することにより、高効率化、色純度の向上及び長寿命化を達成できることをみいだした。高効率化及び色純度の向上が達成できたのは、発光層への正孔と電子の流れ込みを別々のホスト化合物に向けることで、ホスト化合物における三重項励起子の生成及びホスト化合物から隣接層へのエネルギー移動が抑制され、ホスト化合物からの発光はもちろん、隣接層からの発光も抑制されたためと考えられる。また、長寿命化が達成できたのは、ホスト化合物を2種用いたことで隣接層からの電荷の注入障壁をコントロール有機EL素子、駆動電圧が低下したためであると考えられる。
【0050】
本発明において、ホスト化合物は2種以上含まれるが、ホスト化合物が2種の場合について説明する。本発明の場合、図1の(A)〜(C)の3つの形態が考えられる。図1はそれぞれ発光層中の2種のホスト化合物(ホストAとホストB)のエネルギーレベルを表した図である。
【0051】
図1(A)は1つのホスト化合物(ホストB)が、他のホスト化合物(ホストA)に対しHOMOのエネルギー準位とLUMOのエネルギー準位がともに低い化合物であるホスト化合物の組み合わせであり、図1(B)はHOMOのエネルギー準位のみに差があるホスト化合物の組み合わせであり、図1(C)はLUMOのエネルギー準位のみに差があるホスト化合物の組み合わせである。
【0052】
なお、HOMOとは化合物の最高被占分子軌道のことであり、LUMOとは化合物の最低空分子軌道である。そして、HOMOのエネルギー準位とは、HOMOレベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーで定義され、LUMOのエネルギー準位とは、真空準位にある電子が化合物のLUMOレベルに落ちて安定化するエネルギーで定義される。
【0053】
本発明では図1(A)の形態が好ましい。図1(A)の場合において、図2のように隣接層のエネルギーレベルを規定し、ホールが流れ込むのはホストAの方、電子が流れ込むのはホストBの方であるような構成にすると、ラジカルカチオンが生成するのはホストAであり、ラジカルアニオンが生成するのはホストBである。つまり、別々の化合物上でラジカルカチオン、ラジカルアニオンが生成するため、1つのホスト化合物上で三重項励起子が生成する割合を低下させることができる。
【0054】
本発明に係るリン光性ドーパントとホスト化合物の関係は、ホスト化合物の励起三重項エネルギーがリン光性ドーパントの励起三重項エネルギーよりも大きければ特に規定はないが、ホスト化合物のうち最も深いHOMOを持つ化合物のHOMOのエネルギー準位をHOMO−Hとし、ドーパントのHOMOのエネルギー準位をHOMO−Dとすると、|HOMO−D|<|HOMO−H|であることが好ましく、ホスト化合物のうち最も浅いLUMOを持つ化合物のLUMOのエネルギー準位をLUMO−Hとし、ドーパントのLUMOのエネルギー準位をLUMO−Dとすると、|LUMO−H|<|LUMO−D|であることが好ましい。
【0055】
より好ましくは、ホスト化合物が2種である場合で、リン光性ドーパントが1種の場合、2種のホスト化合物をそれぞれホストA、ホストBとし、そのHOMO、LUMOのエネルギー準位をHOMO−A、HOMO−B(LUMOに関しても同様)とすると、該リン光性ドーパントのHOMO、LUMOのエネルギー準位が、
|LUMO−A|<|LUMO−D|<|LUMO−B|
|HOMO−A|<|HOMO−D|<|HOMO−B|の関係を満たすような構成がよい(図3)。
【0056】
また、白色素子の場合は発光層1層中に2種あるいは3種のリン光性ドーパントがドープされることが考えられるが、ホスト化合物を2種以上とすることで、ホスト化合物1種からなる素子よりも各々のリン光性ドーパントといずれかのホスト化合物との電位差が小さくなり、リン光性ドーパントへの電荷の流れ込みの障壁が小さくなるので、高効率化を達成することができる。
【0057】
ホスト化合物は、少なくとも1種の化合物の励起三重項エネルギーが2.7eV以上であれば特に規定はしないが、化合物の安定性の観点から、ホスト化合物の励起三重項エネルギーは3.5eV以下であることが好ましい。より好ましくは発光層に含まれる全てのホスト化合物の励起三重項エネルギーが2.7eV以上である。さらに好ましくは、HOMOのエネルギー準位が−5.5〜−6.5eVであり、LUMOのエネルギー準位が−2.3〜−3.0eVである。2種以上のホスト化合物の組み合わせとしては、電子輸送性の化合物と正孔輸送性の化合物を含む場合であるか、あるいは、HOMOのエネルギー準位同士の差、LUMOのエネルギー準位同士の差の少なくとも一方が0.1〜2.0eVであることが好ましい。
【0058】
本発明に係るホスト化合物は、上述の条件を満たすものであれば特に制限はなく、従来から公知の化合物でよい。好ましくは、前記一般式(1)〜(4)で表される、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、ジアザカルバゾール誘導体を使用する。
【0059】
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物も挙げられる。
【0060】
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等。
【0061】
本発明に係るホスト化合物の具体的な化合物例を以下に示すが、これに限定されない。
【0062】
【化9】

【0063】
【化10】

【0064】
【化11】

【0065】
【化12】

【0066】
【化13】

【0067】
【化14】

【0068】
【化15】

【0069】
【化16】

【0070】
【化17】

【0071】
【化18】

【0072】
【化19】

【0073】
【化20】

【0074】
【化21】

【0075】
【化22】

【0076】
【化23】

【0077】
【化24】

【0078】
【化25】

【0079】
【化26】

【0080】
【化27】

【0081】
【化28】

【0082】
【化29】

【0083】
【化30】

【0084】
【化31】

【0085】
【化32】

【0086】
【化33】

【0087】
【化34】

【0088】
【化35】

【0089】
【化36】

【0090】
【化37】

【0091】
【化38】

【0092】
【化39】

【0093】
【化40】

【0094】
【化41】

【0095】
【化42】

【0096】
【化43】

【0097】
【化44】

【0098】
【化45】

【0099】
【化46】

【0100】
【化47】

【0101】
【化48】

【0102】
【化49】

【0103】
【化50】

【0104】
【化51】

【0105】
【化52】

【0106】
【化53】

【0107】
本発明では、有機化合物のHOMOのエネルギー準位は電気化学的に測定した酸化電位
を基準電極に対して補正して求める方法を用いる。具体的には、BAS100B/W(C
V−50W)によるサイクリックヴォルタンメトリー(CV)測定により酸化電位を求め
た。
【0108】
また、LUMOのエネルギー準位、すなわち電子親和力は、バンドギャップの定義式で
ある。
【0109】
(バンドギャップ)=(HOMOのエネルギー準位)−(LUMOのエネルギー準位)
に従って求めた。
【0110】
なお、バンドギャップは、例えば、有機化合物をガラス板上に100nmの膜厚で蒸着
し、この蒸着膜の吸収スペクトルを測定し、その吸収端の波長Y(nm)をX(eV)に
換算して求める。このときに、以下の換算式を使用した。
【0111】
X=1239.8/Y
本発明におけるドーパントの発光極大波長とは、ドーパント由来の発光のうち、最も短
波長側に現れる発光極大波長のことを表す。本発明の構成は、発光極大波長が350〜5
00nmにあるとき効果的である。
【0112】
本発明に係るリン光性ドーパントとは励起三重項からの発光が観測される化合物であり
、リン光量子収率が25℃において0.01以上の化合物である。好ましくは0.1以上
である。本発明では、それ以外に発光層に含まれる化合物をホスト化合物とする。
【0113】
なお、発光層中におけるホスト化合物とリン光性ドーパントの割合は、発光層全体に含
まれる化合物の質量を100%とすると、各々の化合物で1〜99質量%の間であればど
のような割合でもよいが、好ましくはリン光性ドーパントよりもホスト化合物の割合が大
きい方がよく、より好ましくはドーパントの割合は1〜10質量%である。
【0114】
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398ページ(1992年版
、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用い
て測定できるが、本発明に用いられるリン光性化合物とは、任意の溶媒のいずれかにおい
て上記リン光量子収率が達成されればよい。
【0115】
本発明で用いられるリン光性化合物は、好ましくは元素の周期律表でVIII属の金属を含
有する錯体系化合物であり、さらに好ましくは、イリジウム、オウミウム、または白金錯
体系化合物である。より好ましくはイリジウム錯体系化合物である。
【0116】
以下に、本発明で用いられるリン光性化合物の具体例を示すが、これらに限定されるも
のではない。これらの化合物は、例えば、Inorg.Chem.40巻,1704〜1
711に記載の方法等により合成できる。
【0117】
【化54】

【0118】
【化55】

【0119】
【化56】

【0120】
【化57】

【0121】
【化58】

【0122】
【化59】

【0123】
【化60】

【0124】
【化61】

【0125】
【化62】

【0126】
【化63】

【0127】
【化64】

【0128】
【化65】

【0129】
【化66】

【0130】
【化67】

【0131】
【化68】

【0132】
【化69】

【0133】
【化70】

【0134】
【化71】

【0135】
【化72】

【0136】
【化73】

【0137】
【化74】

【0138】
【化75】

【0139】
【化76】

【0140】
【化77】

【0141】
【化78】

【0142】
【化79】

【0143】
【化80】

【0144】
【化81】

【0145】
【化82】

【0146】
【化83】

【0147】
【化84】

【0148】
【化85】

【0149】
【化86】

【0150】
【化87】

【0151】
【化88】

【0152】
【化89】

【0153】
【化90】

【0154】
【化91】

【0155】
【化92】

【0156】
【化93】

【0157】
【化94】

【0158】
【化95】

【0159】
【化96】

【0160】
【化97】

【0161】
【化98】

【0162】
【化99】

【0163】
【化100】

【0164】
【化101】

【0165】
【化102】

【0166】
【化103】

【0167】
【化104】

【0168】
【化105】

【0169】
【化106】

【0170】
【化107】

【0171】
【化108】

【0172】
【化109】

【0173】
【化110】

【0174】
【化111】

【0175】
【化112】

【0176】
【化113】

【0177】
【化114】

【0178】
【化115】

【0179】
【化116】

【0180】
【化117】

【0181】
【化118】

【0182】
【化119】

【0183】
【化120】

【0184】
【化121】

【0185】
【化122】

【0186】
【化123】

【0187】
【化124】

【0188】
【化125】

【0189】
【化126】

【0190】
【化127】

【0191】
【化128】

【0192】
【化129】

【0193】
【化130】

【0194】
【化131】

【0195】
【化132】

【0196】
【化133】

【0197】
【化134】

【0198】
【化135】

【0199】
【化136】

【0200】
【化137】

【0201】
【化138】

【0202】
【化139】

【0203】
【化140】

【0204】
【化141】

【0205】
【化142】

【0206】
【化143】

【0207】
【化144】

【0208】
【化145】

【0209】
【化146】

【0210】
【化147】

【0211】
【化148】

【0212】
【化149】

【0213】
【化150】

【0214】
【化151】

【0215】
【化152】

【0216】
【化153】

【0217】
【化154】

【0218】
【化155】

【0219】
【化156】

【0220】
【化157】

【0221】
【化158】

【0222】
【化159】

【0223】
【化160】

【0224】
【化161】

【0225】
【化162】

【0226】
【化163】

【0227】
【化164】

【0228】
【化165】

【0229】
【化166】

【0230】
〔有機EL素子の構成層〕
本発明の有機EL素子の構成層について説明する。
【0231】
本発明において、有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0232】
(1)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(2)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(3)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(4)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(5)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
バッファー層/陰極
なお、正孔阻止層は正孔ブロック層とも言われ、実質上、電子輸送性の材料で構成されており、そのため、電子輸送層と正孔阻止層とを1層で構成してもよい。
【0233】
〔陽極〕
陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。
【0234】
また、IDIXO(In23−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
【0235】
〔陰極〕
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
【0236】
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えばマグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法で薄膜を形成させることにより作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10〜1000nm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
【0237】
次に、本発明の有機EL素子の構成層として用いられる、注入層、正孔輸送層、電子輸送層等について説明する。
【0238】
〔注入層〕:電子注入層、正孔注入層
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記のごとく陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
【0239】
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
【0240】
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリンやポリチオフェンまたはそれらにイオン性のドーパントを添加したもの(例えば、Poly(3,4)ethylenedioxythiophen−polystyrenesulphonate(PEDOT/PSS))等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
【0241】
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
【0242】
上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるが、その膜厚は0.1〜100nmの範囲が好ましい。
【0243】
〔阻止層〕:正孔阻止層、電子阻止層
阻止層は、上記のごとく、有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば特開平11−204258号、同11−204359号、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
【0244】
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層であり、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
【0245】
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層であり、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
【0246】
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。
【0247】
正孔輸送層、電子輸送層は各々単層もしくは複数層設けることができる。
【0248】
〔発光層〕
本発明に係る発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
【0249】
発光層は、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。発光層としての膜厚は、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲で選ばれる。この発光層は、基底状態と励起三重項状態とのエネルギー差が2.7eV以上のホスト化合物2種以上、リン光性ドーパント1種以上からなる1層構造であってもよいし、あるいは複数層からなる積層構造であってもよい。複数層の場合、1層中に、基底状態と励起三重項状態とのエネルギー差が2.7eV以上のホスト化合物が2種以上、リン光性ドーパントが1種以上含まれていればよく、化合物は重複して用いてもよい。
【0250】
〔正孔輸送層〕
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層もしくは複数層設けることができる。
【0251】
正孔輸送材料としては、特に制限はなく、従来、光導伝材料において、正孔の電荷注入輸送材料として使用されているものやEL素子の正孔注入層、正孔輸送層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
【0252】
正孔輸送材料は、正孔の注入もしくは輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えばポルフィリン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
【0253】
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
【0254】
芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには、米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
【0255】
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【0256】
この正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5〜5000nm程度である。この正孔輸送層は、上記材料の1種または2種以上からなる1層構造であってもよい。
【0257】
〔電子輸送層〕
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層もしくは複数層設けることができる。
【0258】
従来、単層の電子輸送層または複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、下記の材料が知られており本発明に使用することができる。
【0259】
一般的な電子輸送材料の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。
【0260】
さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。
【0261】
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【0262】
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えばトリス(8−キノリノール)アルミニウム(以下、Alq3)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。
【0263】
本発明ではビス(2−メチル−8−キノリノール)フェニルフェノールアルミニウム(BAlq)、Alq3を用いる場合がより好ましい。
【0264】
〔基体(基板、基材、支持体等ともいう)〕
本発明の有機EL素子に用いられる基体としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また、透明のものであれば特に制限はないが、好ましく用いられる基板としては、例えばガラス、石英、光透過性樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい基体は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
【0265】
樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。
【0266】
樹脂フィルムの表面には、無機物もしくは有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよい。
【0267】
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用してもよい。
【0268】
本発明の有機EL素子を作製する好適な例を説明する。
【0269】
〔有機EL素子の作製方法〕
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。
【0270】
まず適当な基体上に、所望の電極物質、例えば陽極用物質からなる薄膜を、1μm以下、好ましくは10〜200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陽極を作製する。次に、この上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔阻止層の有機化合物薄膜を形成させる。
【0271】
この有機化合物薄膜の薄膜化の方法としては、前記の如く蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法)等があるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法が特に好ましい。さらに層ごとに異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は、使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10-6〜10-2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚0.1nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
【0272】
これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより、所望の有機EL素子が得られる。この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施してもかまわない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
【0273】
〔表示装置〕
本発明の多色の表示装置は、発光層形成時のみシャドーマスクを設け、他層は共通であるのでシャドーマスク等のパターニングは不要であり、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で膜を形成できる。
【0274】
発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、印刷法である。蒸着法を用いる場合においては、シャドーマスクを用いたパターニングが好ましい。
【0275】
また作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
【0276】
本発明の表示装置は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。表示デバイス、ディスプレイにおいて、青、赤、緑発光の3種の有機EL素子を用いることにより、フルカラーの表示が可能となる。
【0277】
表示デバイス、ディスプレイとしては、テレビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、文字放送表示、自動車内の情報表示等が挙げられる。特に静止画像や動画像を再生する表示装置として使用してもよく、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリックス(パッシブマトリックス)方式でもアクティブマトリックス方式でもどちらでもよい。
【0278】
〔照明装置〕
本発明の照明装置は、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサの光源等が挙げられるがこれに限定するものではない。
【0279】
また、本発明の有機EL素子に共振器構造を持たせた有機EL素子として用いてもよい。このような共振器構造を有した有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザ発振をさせることにより、上記用途に使用してもよい。
【0280】
本発明の有機EL素子は、照明用や露光光源のような1種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもよい。また、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を3種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。また、一色の発光色、例えば白色発光をカラーフィルターを用いてBGRにし、フルカラー化することも可能である。さらに、有機ELの発光色を色変換フィルターを用いて他色に変換しフルカラー化することも可能であるが、その場合、有機EL発光のλmaxは480nm以下であることが好ましい。
【0281】
有機EL素子から構成される表示装置の一例を図面に基づいて以下に説明する。
【0282】
図4は、有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。ディスプレイ1は、複数の画素を有する表示部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部B等からなる。制御部Bは、表示部Aと電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線毎の画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
【0283】
図5は、表示部Aの模式図である。表示部Aは基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と、複数の画素3等を有する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。図5においては、画素3の発光した光が、白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。配線部の走査線5及び複数のデータ線6は、各々導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示せず)。画素3は、走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を、適宜、同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
【0284】
次に、画素の発光プロセスを説明する。
【0285】
図6は画素の模式図である。画素は、有機EL素子10、スイッチングトランジスタ11、駆動トランジスタ12、コンデンサ13等を備えている。複数の画素に有機EL素子
10として、赤色、緑色、青色発光の有機EL素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行うことができる。
【0286】
図6において、制御部B(図示せず)からデータ線6を介してスイッチングトランジスタ11のドレインに画像データ信号が印加される。そして、制御部B(図示せず)から走査線5を介してスイッチングトランジスタ11のゲートに走査信号が印加されると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオンし、ドレインに印加された画像データ信号がコンデンサ13と駆動トランジスタ12のゲートに伝達される。画像データ信号の伝達により、コンデンサ13が画像データ信号の電位に応じて充電されるとともに、駆動トランジスタ12の駆動がオンする。駆動トランジスタ12は、ドレインが電源ライン7に接続され、ソースが有機EL素子10の電極に接続されており、ゲートに印加された画像データ信号の電位に応じて電源ライン7から有機EL素子10に電流が供給される。
【0287】
制御部B(図示せず)の順次走査により走査信号が次の走査線5に移ると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフする。しかし、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフしてもコンデンサ13は充電された画像データ信号の電位を保持するので、駆動トランジスタ12の駆動はオン状態が保たれて、次の走査信号の印加が行われるまで有機EL素子10の発光が継続する。順次走査により次に走査信号が印加されたとき、走査信号に同期した次の画像データ信号の電位に応じて駆動トランジスタ12が駆動して有機EL素子10が発光する。即ち、有機EL素子10の発光は、複数の画素それぞれの有機EL素子10に対して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタ11と駆動トランジスタ12を設けて、複数の画素3それぞれの有機EL素子10の発光を行っている。このような発光方法をアクティブマトリクス方式と呼んでいる。
【0288】
ここで、有機EL素子10の発光は、複数の階調電位を持つ多値の画像データ信号による複数の階調の発光でもよいし、2値の画像データ信号による所定の発光量のオン、オフでもよい。また、コンデンサ13の電位の保持は、次の走査信号の印加まで継続して保持してもよいし、次の走査信号が印加される直前に放電させてもよい。
【0289】
本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機EL素子を発光させるパッシブマトリクス方式の発光駆動でもよい。
【0290】
図7はパッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。図9において、複数の走査線5と複数の画像データ線6が画素3を挟んで対向して格子状に設けられている。
【0291】
順次走査により走査線5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線5に接続している画素3が画像データ信号に応じて発光する。パッシブマトリクス方式では画素3にアクティブ素子がなく、製造コストの低減が計れる。
【0292】
本発明に係わる有機EL材料は、また照明装置として、実質白色の発光を生じる有機EL素子に適用できる。複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色により白色発光を得る。複数の発光色の組み合わせとしては、青色、緑色、青色の3原色の3つの発光極大波長を含有させたものでもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有したものでもよい。
【0293】
また、複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光または蛍光を発光する材料(発光ドーパント)を、複数組み合わせたもの、蛍光またはリン光を発光する発光材料と、該発光材料からの光を励起光として発光する色素材料とを組み合わせたもののいずれでもよいが、本発明に係る白色有機EL素子においては、発光ドーパントを複
数組み合わせる方式が好ましい。
【0294】
複数の発光色を得るための有機EL素子の層構成としては、複数の発光ドーパントを、一つの発光層中に複数存在させる方法、複数の発光層を有し、各発光層中に発光波長の異なるドーパントをそれぞれ存在させる方法、異なる波長に発光する微小画素をマトリックス状に形成する方法等が挙げられる。
【0295】
白色有機EL素子においては、必要に応じ製膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもいいし、電極と発光層をパターニングしてもいいし、素子全層をパターニングしてもいい。
【0296】
発光層に用いる発光材料としては特に制限はなく、例えば、液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、本発明に係わる白金錯体、また公知の発光材料の中から任意のものを選択して組み合わせて白色化すればよい。
【0297】
このように、白色発光する本発明の有機EL素子は、前記表示デバイス、ディスプレイに加えて、各種発光光源、照明装置として、家庭用照明、車内照明、また露光光源のような一種のランプとして、また液晶表示装置のバックライト等、表示装置にも有用に用いられる。その他、時計等のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体等の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサの光源等、さらには表示装置を必要とする一般の家庭用電気器具等広い範囲の用途が挙げられる。
【実施例1】
【0298】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、特に断りのない限り、実施例中の「%」は「質量%」を表す。
【0299】
実施例1
(有機EL素子1−1の作製)
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm製膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行なった。この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートにm−MTDATXAを200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートに化合物1を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートに化合物2を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにPL−26を100mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートに化合物3を200mg入れ、さらに別のモリブデン製抵抗加熱ボートにAlq3を200mg入れ、真空蒸着装置に取付けた。
【0300】
次いで真空槽を4×10-4Paまで減圧した後、m−MTDATXAの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/secで透明支持基板に蒸着し15nmの正孔輸送層を設けた。
【0301】
さらに化合物1の入った前記加熱ボートと化合物2の入った前記加熱ボート、さらにPL−26の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.1nm/sec、0.1nm/sec、0.006nm/secで前記正孔輸送層上に共蒸着して30nmの発光層を設けた。さらに化合物3の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/secで前記発光層上に蒸着して膜厚10nmの正孔阻止層を設け、さ
らにAlq3の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/secで前記正孔阻止層上に蒸着して膜厚25nmの電子輸送層を設けた。なお、蒸着時の基板温度は室温であった。
【0302】
引き続き、陰極バッファー層としてフッ化リチウム0.5nmを蒸着し、さらにアルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、有機EL素子1−1を作製した。
【0303】
(有機EL素子1−2〜1−7の作製)
上記有機EL素子1−1の作製において、発光層のホスト化合物である化合物1、化合物2をそれぞれ表1に記載の化合物に変更した以外は同様にして、有機EL素子1−2〜1−7を作製した。
【0304】
【表1】

【0305】
(有機EL素子2−1の作製)
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm製膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行なった。この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方モリブデン製抵抗加熱ボートにα−NPDを200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートに化合物1を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートに化合物4を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにPL−26を100mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートに化合物5を200mg入れ、さらに別のモリブデン製抵抗加熱ボートにBAlqを200mg入れ、真空蒸着装置に取付けた。
【0306】
次いで真空槽を4×10-4Paまで減圧した後、α−NPDの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/secで透明支持基板に蒸着し100nmの正孔輸送層を設けた。
【0307】
さらに化合物1の入った前記加熱ボートと化合物4の入った前記加熱ボート、さらにPL−26の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.1nm/sec、0.1nm/sec、0.006nm/secで前記正孔輸送層上に共蒸着して40nmの発光層を設けた。さらに化合物5の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/secで前記発光層上に蒸着して膜厚10nmの正孔阻止層を設け、さらにBAlqの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/secで前記正孔阻止層上に蒸着して膜厚20nmの電子輸送層を設けた。なお、蒸着時の基板温度は室温であった。
【0308】
引き続き、陰極バッファー層としてフッ化リチウム0.5nmを蒸着し、さらにアルミ
ニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、有機EL素子2−1を作製した。
【0309】
(有機EL素子2−2〜2−13の作製)
上記有機EL素子2−1の作製において、発光層のホスト化合物である化合物1、化合物4をそれぞれ表2に記載の化合物に変更した以外は同様にして、有機EL素子2−2〜2−13を作製した。
【0310】
作製した積層型有機EL素子の概略図を図8に示す。
【0311】
【表2】

【0312】
【化167】

【0313】
【化168】

【0314】
【化169】

【0315】
【化170】

【0316】
(有機EL素子の評価)
得られた有機EL素子について下記の評価を行った。
【0317】
〈発光寿命〉
2.5mA/cm2の一定電流で駆動したときに、輝度が発光開始直後の輝度(初期輝度)の半分に低下するのに要した時間を測定し、これを半減寿命時間(τ0.5)として寿命の指標とした。発光輝度の半減時間は表3においては有機EL素子1−6、表4においては有機EL素子2−13の半減時間を100とした相対値で表した。なお、測定には分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタ製)を用いた。
【0318】
〈発光輝度〉
2.5mA/cm2の一定電流を印加したときの発光輝度を分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタ製)を用いて測定し、発光輝度は、表3においては有機EL素子1−6、表4においては有機EL素子2−13の発光輝度を100としたときの相対値で表した。
【0319】
〈駆動電圧〉
駆動電圧は、輝度が50[cd/m2]となった場合の有機EL素子1−6の駆動電圧を100としたときのそれぞれの同輝度となったときの相対値で表した。
【0320】
以上により得られた結果を表3、表4に示す。
【0321】
【表3】

【0322】
【表4】

【0323】
表3及び表4から、比較の有機EL素子に比べて本発明の有機EL素子は、発光輝度、発光寿命共に優れており、駆動電圧も低下することが明らかである。また、これまで問題であった発光層の隣接層からの発光は、有機EL素子1−6、1−7、2−9、2−11〜2−13においてはm−MTDATXAまたはα−NPDの発光ピークがわずかに観測されたが、その他の有機EL素子においては正孔輸送層の化合物の発光は観測されなかった。
【0324】
実施例2
(本発明:有機EL素子3−1の作製と評価)
実施例1と同様に、透明陽極としてITOを形成したガラス基板1上に、厚さ55nmの正孔輸送層3、厚さ30nmの発光層4、正孔阻止層として厚さ10nmのBAlq、電子輸送層5として厚さ40nmのAlq3を順次積層した後、陰極バッファー層6として厚さ0.5nmのフッ化リチウム及び陰極7として厚さ100nmのアルミニウムを積層した。なお、正孔輸送層3は、第一の正孔輸送層として40nmのm−MTDATA、第二の正孔輸送層として厚さ15nmのm−MTDATXAを順次積層した。発光層4は、共蒸着により、陽極側から順番に、化合物1と化合物2に対し3%の青色リン光性化合物PL−26をドープした層15nm、中間層として5nmの化合物5の層、化合物6と化合物2に対し8%の赤色リン光性化合物PL−22をドープした層10nmの3層構造の膜を作製して用いた。作製した有機EL素子に、ITO電極に対し約3V以上の正の電圧を印加したとき、それぞれのリン光材料からの発光が得られ、高輝度、高効率の白色発光が得られた。2.5mA/cm2の一定電流を印加したときの輝度は560cd、外部取り出し量子効率は最高で約15%と極めて高い値が得られた。
【0325】
(比較例:有機EL素子3−2の作製と評価)
有機EL素子3−1の作製において、ホスト化合物に化合物2を加えない以外は同様にして有機EL素子3−2を作製したが、2.5mA/cm2の一定電流を印加したときの発光輝度は340cd、外部取り出し量子効率は最高で約10%であった。
【0326】
【化171】

【0327】
実施例1及び実施例2に使用したホスト化合物のHOMOのエネルギー準位、LUMOのエネルギー準位及び励起三重項エネルギーを表5に示す。
【0328】
【表5】

【0329】
実施例3
有機EL素子3−1の非発光面をガラスケースで覆い、照明装置とした。照明装置は、発光輝度、パワー効率が高く、長寿命である白色光を発する薄型の照明装置として使用することができた。図9は照明装置の概略図で、図10は照明装置の断面図である。
【符号の説明】
【0330】
1 ディスプレイ
3 画素
5 走査線
6 データ線
7 電源ライン
10 有機EL素子
11 スイッチングトランジスタ
12 駆動トランジスタ
13 コンデンサ
21 ガラス基板
22 透明陽極
23 正孔輸送層
24 発光層
25 正孔阻止(正孔ブロック)及び電子輸送層
26 陰極バファー層
27 陰極
A 表示部
B 制御部
102 ガラスカバー
103 電源線(陽極)
104 電源線(陰極)
105 陰極
106 有機EL層
107 透明電極付きガラス基板
108 窒素ガス
109 捕水剤



【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光層が、ホスト化合物を2種以上、ドーパントを1種以上含有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、少なくとも1種の前記ホスト化合物の励起三重項エネルギーが2.7eV以上であり、前記ホスト化合物のうち最も深いHOMOを持つ化合物のHOMOのエネルギー準位をHOMO−Hとし、ドーパントのHOMOのエネルギー準位をHOMO−Dとし、前記ホスト化合物のうち最も浅いLUMOを持つ化合物のLUMOのエネルギー準位をLUMO−Hとし、ドーパントのLUMOのエネルギー準位をLUMO−Dとしたとき、これらのエネルギー準位の絶対値が以下の関係式を満たしており、
|LUMO−H|<|LUMO−D|
|HOMO−H|<|HOMO−D|
かつ、該ドーパントがリン光性化合物であり、
かつ、前記ホスト化合物が、異なる2種以上の化合物からなり、該異なる2種以上の化合物のうち少なくとも2種がそれぞれ下記一般式(1)で示される骨格を有する化合物から選ばれることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化1】

〔式中、X11〜X18は、各々、炭素原子または窒素原子を表す。X11〜X18
いずれかが炭素原子である場合、該炭素原子に結合しているR11〜R18は、各々、水
素原子または置換基を表し、該置換基が複数の場合、同一でも異なっていてもよい。X
〜X18のいずれかが窒素原子である場合、該窒素原子に結合しているR11〜R18
は、各々、非共有電子対を表す。R19は、水素原子または置換基を表す。〕
【請求項2】
前記ドーパントが、発光極大波長が350〜500nmの範囲内であるリン光性化合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】
前記ホスト化合物が、異なる2種以上の化合物からなり、その少なくとも一つが下記一般式(2)で表されるカルバゾール環を有する化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化2】

〔式中、R21〜R28は、各々、水素原子または置換基を表し、該置換基が複数の場合
、同一でも異なっていてもよい。R29は、水素原子または置換基を表す。〕
【請求項4】
前記ホスト化合物が、異なる2種以上の化合物からなり、その少なくとも一つが下記一般式(3)で表されるアザカルバゾール環を有する化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化3】

〔式中、X31〜X38は、各々、炭素原子または窒素原子を表し、X31〜X38のい
ずれか一つは窒素原子である。X31〜X38のいずれかが炭素原子である場合、該炭素
原子に結合しているR31〜R38は、各々、水素原子または置換基を表し、該置換基が
複数の場合、同一でも異なっていてもよい。X31〜X38のいずれかが窒素原子である
場合、該窒素原子に結合しているR31〜R38は、各々、非共有電子対を表す。R39
は、水素原子または置換基を表す。〕
【請求項5】
前記ホスト化合物が、異なる2種以上の化合物からなり、その少なくとも一つが一般式(4)で示されるジアザカルバゾール環を有する化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化4】

〔式中、X41〜X48は、各々、炭素原子または窒素原子を表し、X44およびX
、X43およびX46、X42およびX47、X41およびX48のいずれか一つの組
み合わせにおける2つの原子は窒素原子である。X41〜X48のいずれかが炭素原子で
ある場合、該炭素原子に結合しているR41〜R48は、各々、水素原子または置換基を
表し、また、該置換基が複数の場合、同一でも異なっていてもよい。X41〜X48のい
ずれかが窒素原子である場合、該窒素原子に結合しているR41〜R48は、各々、非共
有電子対を表す。R49は、水素原子または置換基を表す。〕
【請求項6】
前記ホスト化合物が、異なる2種の化合物からなり、それらがそれぞれ下記一般式(2)で示されるカルバゾール環を有する化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化5】

〔式中、R21〜R28は、各々、水素原子または置換基を表し、該置換基が複数の場合
、同一でも異なっていてもよい。R29は、水素原子または置換基を表す。〕
【請求項7】
前記ホスト化合物が、異なる2種の化合物からなり、それらがそれぞれ下記一般式(3)で示されるアザカルバゾール環を有する化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化6】

〔式中、X31〜X38は、各々、炭素原子または窒素原子を表し、X31〜X38
いずれか一つは窒素原子である。X31〜X38のいずれかが炭素原子である場合、該炭
素原子に結合しているR31〜R38は、各々、水素原子または置換基を表し、該置換基
が複数の場合、同一でも異なっていてもよい。X31〜X38のいずれかが窒素原子であ
る場合、該窒素原子に結合しているR31〜R38は、各々、非共有電子対を表す。R
は、水素原子または置換基を表す。〕
【請求項8】
前記ホスト化合物が、異なる2種の化合物からなり、それらが下記一般式(2)で示されるカルバゾール環を有する化合物および一般式(3)で示されるアザカルバゾール環を有する化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化7】

〔式中、R21〜R28は、各々、水素原子または置換基を表し、該置換基が複数の場合
、同一でも異なっていてもよい。R29は、水素原子または置換基を表す。〕
【化8】

〔式中、X31〜X38は、各々、炭素原子または窒素原子を表し、X31〜X38のい
ずれか一つが窒素原子である。X31〜X38のいずれかが炭素原子である場合、該炭素
原子に結合しているR31〜R38は、各々、水素原子または置換基を表し、該置換基が
複数の場合、同一でも異なっていてもよい。X31〜X38のいずれかが窒素原子である
場合、該窒素原子に結合しているR31〜R38は、各々、非共有電子対を表す。R39
は、水素原子または置換基を表す。〕
【請求項9】
白色に発光することを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項11】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子
を有することを特徴とする照明装置。
【請求項12】
請求項11に記載の照明装置および、表示手段として、液晶素子を有することを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−93587(P2013−93587A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−266821(P2012−266821)
【出願日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【分割の表示】特願2007−521177(P2007−521177)の分割
【原出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(000001270)コニカミノルタ株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】