説明

有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法

【課題】 エレクトロスプレーデポジション法により、導電性パターン上に所望の機能を有するパターンを優れた精度、均一性および効率性でもって形成する有機EL素子の製造方法を提供すること。また、前記製造方法によって製造された、発光ムラ等のない優れた表示特性を有する有機EL素子を提供すること。
【解決手段】 スプレーキャピラリー11と、導電性基板14と、前記スプレーキャピラリー11と導電性基板14との間に電圧を印加する高圧電源部17,18とを用いたエレクトロスプレーデポジション法により、導電性基板14上の導電性パターン上に塗液を付着させ、導電性パターン上に所望の機能を有するパターンを形成し、ここで、前記塗液が、室温での蒸気圧500Pa以下の溶媒を少なくとも含有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という)の製造方法に関し、特に導電性パターン部上のみに効率よく所望の機能を有するパターン形成することのできる有機EL素子の製造方法にに関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光デバイスは、二つの対向する電極の間に有機発光材料からなる有機発光層が形成され、有機発光層に電流を流すことで発光させるものであるが、効率よく発光させるには有機発光層の膜厚が重要であり、100nm程度以下の薄膜にする必要がある。さらに、これをディスプレイパネル化するには高精細にパターニングする必要がある。
【0003】
有機発光層を形成する有機発光材料には、低分子材料と高分子材料が有り、一般に低分子材料は真空蒸着法等により薄膜形成し、このときに微細パターンのマスクを用いてパターニングするが、この方法では基板が大型化すればするほどパターニング精度が出にくいという問題がある。また、真空中で成膜するためにスループットが悪いという問題がある。
【0004】
そこで、最近では高分子材料を溶剤に溶かして塗工液にし、これをウェットコーティング法で薄膜形成する方法が試みられるようになってきている。高分子材料の塗液を用いてウェットコーティング法で有機発光層を含む有機発光媒体層を形成する場合の層構成は、陽極側から電荷輸送層、有機発光層と積層する二層構成が一般的である。このとき、有機発光層はカラーパネル化するために赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの発光色をもつ有機発光材料を溶剤中に溶解または安定して分散してなる有機発光インキを用いて塗り分ける必要がある(例えば特許文献1、2)。
【0005】
一方、電荷輸送層はパターニングせずに、有機ELディスプレイパネルの画像形成に関わる部分全体に全面塗布いわゆるベタ塗りする方法が一般的であり、スピンコート法やダイコート法といったコーティング法を用いて形成されてきた。これは、電荷輸送層の膜厚は一般に100nm以下の薄膜であり、層の横方向へ流れる電流よりも厚み方向へ流れる電流のほうが圧倒的に流れやすく、よって電極がパターニングされていれば、電流の画素の外へのリークは非常に少ないといわれていたためである。
【0006】
しかしながら、本発明者らはガラス基板上に陽極である画素電極をパターン形成し、画素電極間に絶縁層をパターン形成し、電荷輸送層を有機EL素子有効面内に全面塗布し、有機発光層をパターン形成し、陰極層をパターン形成したパッシブマトリックスタイプの有機EL素子において、パターン化された電極間に流れる電流がリークし、発光効率だけでなくコントラストが低下していることを確認した。
【0007】
したがって、有機発光層だけでなく電荷輸送層も画素電極上にのみにパターン形成し、絶縁層上には電荷輸送層を設けないようにする必要があった。
【0008】
電荷輸送層を形成する電荷輸送材料は(3、4−ポリエチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)といった高分子材料からなる。電荷輸送材料を溶媒に溶解または安定して分散させ電荷輸送インキとするには、高分子材料の溶解性の問題と、薄膜を作る必要性の両方の問題から濃度を2%前後と低くする必要がある。
【0009】
濃度が2%前後の低粘度の電荷輸送インキをパターン形成する際にはインキの広がりを防止するため隔壁が必要となる。これは、画素電極間にある絶縁層の高さを大きくし、隔壁として使用することで解決される。絶縁層で仕切られた画素電極内に電荷輸送インキを形成させる方法としては、インクジェット法などが考えられる。
【0010】
インクジェット法ではインクジェットノズルから有機発光インキを被印刷部位に複数回滴下する方式であり、ノズルと被印刷基板に距離があり、インキは自身の重力でのみ隔壁内の被印刷部位に広がる。したがって、インクジェット法では絶縁層に囲まれた被印刷部位全てにインキを転写することが難しく、特に画素電極の縁部においては印刷抜けが発生しやすいという問題がある。
【0011】
インクジェット法において印刷抜けが発生しないようにする方法も考案されているが、そのためには十分にインクを開口部に盛る必要があるが、隔壁よりインクがあふれ出すことを防ぐために隔壁に撥水処理をする必要があり工程が増えてしまうという問題点がある。撥水性のある隔壁に滴下されたインクは山盛り状態になるが、このことは画素内の膜厚均一性が悪いことにつながるため、ディスプレイパネルの均一性や安定性の面で問題がある。
【0012】
上記のように表示品位の良いフルカラーパネルを作製するためには各層の効果的なパターン形成方法が不可欠となるが、工業的に有益なものとするためには薄膜形成方法が安価で簡単なものである必要がある。
【0013】
最も簡便な薄膜形成方法及びパターニング方法としては、スプレー塗布とマスキングといった方法が挙げられる。一般にスプレーによる薄膜形成方法は加圧気体によるアトマイザーすなわち通常の霧吹きであるが、形成される液滴粒子径が比較的大きく、粒子分布も悪いといった問題点があった。
【0014】
これを改善するために超音波振動子によるアトマイザーが考案されてきたが、これは比較的簡便な装置により非常に微細な液滴粒子を形成することが可能で、膜厚分布も良好なものを形成可能である。しかし上記のいずれの方法もパターンを形成するためには、一旦基材に非コーティング部分のマスキングを行い製膜後、マスキング部を除外する必要があり工程が多くなり結果的にあまり効率的ではないといった問題があった。また基材にマスキング部を設置することは基板の汚染につながる可能性があるし、マスク部分を剥離する方法についても同様に非常に問題が多くこの方法を用いることは困難であった。また、従来のスプレー法では気流による乱流が発生し、その乱流によって液滴粒子が舞うことからクリーンルーム内での使用には適していない構造であった。
【特許文献1】特開2001−93668号公報
【特許文献2】特許第3328297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで本発明者は比較的簡便な装置で非常に微細な液滴が形成でき表面均一性に優れる膜を作製できるエレクトロスプレーデポジション法に注目した。図2は、エレクトロスプレーデポジション装置の構成を説明するための図である。
【0016】
試料溶液15は微細な先端をもつガラス製のスプレーキャピラリー11に収められており、スプレーキャピラリー11の内部には電圧を加えるための針金状電極12が挿入されている。スプレーキャピラリー11の先端径は30〜50μm程度であり、キャピラリー先端から導電性基板14までの距離は3〜10cm程度である。スプレーキャピラリー11には、スプレー用電源17によって電圧が加えられる。また、スプレーキャピラリー11と導電性基板14との間には、コリメータ電極13が設けられ、コリメータ電源18によって電圧が加えられる。このスプレーキャピラリー11と導電性基板14との間に3000〜20000V程度の高電圧を印加すると試料溶液15が静電気力によってスプレーフレーム16となって噴射される。本装置では、加圧を行わず電圧を印加するだけでスプレーが可能であるため、高速の気流も必要なく、乱流が発生しないため、よって液滴粒子の飛散も最小限に抑えることが出来、クリーンルーム内での使用にも適している。
【0017】
エレクトロスプレー現象のメカニズムについては現在以下のように考えられている。すなわち、まず、電圧の印加によりスプレーキャピラリー11先端の液体表面に電極と反対符号の電荷を持つイオンが集まる。液体表面に蓄積された電荷と電場の相互作用によってキャピラリー先端ではメニスカスが半円球状に盛り上がる。より高い電場の下では、Taylor-coneと呼ばれる円錐状のメニスカスが形成される。電場をさらに大きくし、静電気力反発が表面張力を上回ると、液体の一部が Taylor-cone から飛び出し、液滴あるいはジェットとして噴出を始める。噴出された液滴はあるいはジェットは、強く帯電しており、電場により導電性基板14へ引き寄せられる。場合によっては液体内部での静電気力反発によってさらに分裂して細かい液滴あるいはジェットを形成する。形成された液滴のサイズはきわめて小さく表面積が体積よりも非常に大きいため、極めて短時間のうちに多くの溶媒が蒸発することとなる。これにより基板上にはナノスケールの液滴が噴射された状態となり、よって非常に緻密で、均一性の良い膜を得ることが出来る。
【0018】
また、スプレーキャピラリー11よりスプレーフレーム16となって噴出された液滴は静電分極しているため、導電性基板14の電極部にひきつけられるため、あらかじめ導電性領域がパターニングされた基板を用いれば、特別にマスク等を使用しなくても導電性領域のみに選択的にパターン形成することができ、マスキング工程なしでもパターニングが可能となる。したがってこのエレクトロスプレーデポジション法により、電荷輸送層及び有機発光層の薄膜形成及びパターニングを容易に精度良く行うことができる。
【0019】
前述のようにエレクトロスプレーデポジション法はスプレー液滴があまりに小さく形成されるために、表面積が増大し、溶媒が非常に乾燥しやすい状態になる。つまり溶媒組成によっては、スプレー液滴が基板に付着する前に溶媒がほとんど乾燥してしまい微小粒子の状態で基板上に付着・薄膜形成されてしまう恐れがある。この様な状態で形成された薄膜は有機EL素子としては表面粗さが大きくなり表示特性上好ましくないものとなってしまう。
【0020】
したがって本発明の目的は、エレクトロスプレーデポジション法により、導電性パターン上に所望の機能を有するパターンを優れた精度、均一性および効率性でもって形成する有機EL素子の製造方法を提供することにある。
また本発明の別の目的は、前記製造方法によって製造された、発光ムラ等のない優れた表示特性を有する有機EL素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
請求項1に記載の発明は、少なくとも電極としての機能を併せ持つスプレーキャピラリーと、電極として使用できる導電性基板と、前記スプレーキャピラリーと導電性基板との間に電圧を印加することが可能な高圧電源部とを用いたエレクトロスプレーデポジション法により、導電性パターンが形成された前記導電性基板上に前記導電性パターンを電極として塗液を付着させ、前記導電性パターン上に所望の機能を有するパターンを形成する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、前記塗液が、室温での蒸気圧500Pa以下の溶媒を少なくとも含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。
【0022】
請求項2に記載の発明は、前記塗液が、少なくとも電荷輸送性材料を含む電荷輸送性塗液であり、前記導電性パターン上に電荷輸送層を形成することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。
【0023】
請求項3に記載の発明は、前記電荷輸送性塗液を前記導電性パターン上に付着させた後、乾燥処理して電荷輸送層を形成することを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。
【0024】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により製造された有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【0025】
請求項5に記載の発明は、請求項2または3に記載の製造方法により製造された有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記電荷輸送層の抵抗値が10Ω・cm以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【0026】
請求項6に記載の発明は、請求項2または3に記載の製造方法により製造された有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記電荷輸送層の膜厚が20nm以上であり、かつ100nm以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【0027】
請求項7に記載の発明は、請求項2または3に記載の製造方法により製造された有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記電荷輸送層の表面粗さ(Ra)が10nm以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【0028】
請求項8に記載の発明は、前記塗液が、少なくとも有機発光性材料を含む有機発光性塗液であり、少なくとも前記導電性パターン上に有機発光層を形成することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。
【0029】
請求項9に記載の発明は、前記塗液として、少なくとも電荷輸送性材料を含む電荷輸送性塗液と、少なくとも有機発光性材料からなる有機発光性塗液とを用い、前記電荷輸送性塗液によって前記導電性パターン上に電荷輸送層を形成した後、前記電荷輸送層上に、前記有機発光性塗液によって有機発光層を形成することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。
【0030】
請求項10に記載の発明は、前記電荷輸送性塗液が、室温での蒸気圧500Pa以下の溶媒として、グリセリンを必須成分として含み、かつ前記有機発光性塗液が、室温での蒸気圧500Pa以下の溶媒として、ニトロベンゼンおよびN−メチル−2−ピロリドンを必須成分として含むことを特徴とする請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。
【0031】
請求項11に記載の発明は、請求項8〜10のいずれかに記載の製造方法により製造された有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【発明の効果】
【0032】
本発明では、少なくとも電極としての機能を併せ持つスプレーキャピラリーと、電極として使用できる導電性基板と、前記スプレーキャピラリーと導電性基板との間に電圧を印加することが可能な高圧電源部とを用いたエレクトロスプレーデポジション法により、導電性パターンが形成された前記導電性基板上に前記導電性パターンを電極として塗液を付着させ、前記導電性パターン上に所望の機能を有するパターンを形成し、ここで前記塗液が、室温での蒸気圧500Pa以下の溶媒を少なくとも含有することにより、良好な特性を持つ有機EL素子を効率よく得ることができる。つまり、蒸気圧の低い溶媒を塗液に添加することで、導電性基板へ到達するまでの乾燥を防ぐとともに、基板上でのレベリング効果が得られ、表面状態が良好な薄膜を精度よく均一に形成するこができ、したがって良好な表示特性を持つ有機EL素子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の実施形態を、パッシブマトリックスタイプの有機ELディスプレイパネルを作成する場合を例にして説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。図1は、本発明の有機EL素子を用いたディスプレイパネルの断面模式図である。
【0034】
有機ELディスプレイパネルにおける有機EL素子は透光性基板1上に形成される。透光性基板1としては、ガラス基板やプラスチック製のフィルムまたはシートを用いることができる。プラスチック製のフィルムを用いれば、巻取りにより高分子EL素子の製造が可能となり、安価にディスプレイパネルを提供できる。そのプラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート等を用いることができる。また、これらのフィルムは水蒸気バリア性、酸素バリア性を示す酸化ケイ素といった金属酸化物、窒化ケイ素といった酸化窒化物やポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体鹸化物からなるバリア層が必要に応じて設けられる。
【0035】
透光性基板1の上には陽極としてパターニングされた画素電極2が設けられる。画素電極2の材料としては、ITO(インジウム錫複合酸化物)、IZO(インジウム亜鉛複合酸化物)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アルミニウム複合酸化物等の透明電極材料が使用できる。なお、低抵抗であること、耐溶剤性があること、透明性があることなどからITOが好ましい。ITOはスパッタ法により透光性基板1上に形成されフォトリソ法によりパターニングされライン状の画素電極2となる。
【0036】
ライン状の画素電極2を形成後、隣接する画素電極の間に感光性材料を用いて、フォトリソ法により絶縁層3が形成される。
【0037】
本発明における絶縁層3は、厚みが0.5μmから5.0μmの範囲にあることが望ましい。絶縁層3を隣接する画素電極2間に設けることによって、各画素電極2上に形成された電荷輸送インキの広がりを抑え、ディスプレイ化した際に電荷輸送層が絶縁層3上にあることによるリーク電流の発生を防ぐことが出来る。絶縁層3が低すぎるとインキの広がりを防止できずに絶縁層3上に電荷輸送層が形成されることとなる。
【0038】
また、例えばパッシブマトリックスタイプの有機ELディスプレイパネルにおいて、画素電極2の間に絶縁層3を設けた場合、絶縁層3を直交して陰極層6を形成することになる。このように絶縁層3をまたぐ形で陰極層6を形成する場合、絶縁層3が高すぎると陰極層6の断線が起こってしまい表示不良となる。絶縁層3の高さが5.0μmを超えると陰極の断線がおきやすくなってしまう。
【0039】
絶縁層3を形成する感光性材料としてはポジ型レジスト、ネガ型レジストのどちらであってもよく、市販のもので構わないが、絶縁性を有する必要がある。隔壁が十分な絶縁性を有さない場合には隔壁を通じて隣り合う画素電極2に電流が流れてしまい表示不良が発生してしまう。具体的にはポリイミド系、アクリル樹脂系、ノボラック樹脂系、フルオレン系といったものが挙げられるがこれに限定するものではない。また、有機EL素子の表示品位を上げる目的で、光遮光性の材料を感光性材料に含有させても良い。
【0040】
絶縁層3を形成する感光性樹脂はスピンコーター、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター等の塗布方法を用いて塗布され、フォトリソ法によりパターニングされる。また感光性樹脂を用いずにグラビアオフセット印刷法、反転印刷法、フレキソ印刷法等を用いて絶縁層を形成してもよい。
【0041】
絶縁層3形成後、電荷輸送層4を形成する。電荷輸送層4を形成する電荷輸送材料としては有機EL用、有機光導電体用の公知の低分子材料(例えば、TPD、NPD、オキサジアゾール誘導体等があるが、本発明は特にこれらに限定されるものではない。)、もしくは公知の高分子電荷輸送材料(例えば、ポリアニリン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリビニルカルバゾール(PVK)誘導体、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)等が挙げられるが本発明は特にこれらに限定されるのもではない。)を公知の溶媒もしくは分散させた塗液を用いることができる。
【0042】
しかし、電荷輸送性塗液としては少なくとも本発明のエレクトロスプレーデポジション法を用いて形成される工程時での温度、すわなち室温における蒸気圧が500Pa以下である溶媒を少なくとも1種類含む溶媒に電荷輸送材料を溶解もしくは分散させた塗液を用いることが好ましい。この条件が満たされない場合、溶媒の蒸発速度が速くなってしまうため、スプレーノズルから噴霧された液滴は基板上に到着するまでにほとんど乾燥してしまったり、乾燥しないまでもスプレー液滴が基板上に付着後も十分なレベリング性を示せないために表面粗さが粗くなってしまうためである。
【0043】
上記のように形成された電荷輸送層4は、残留溶媒を除去するために乾燥処理をすることが好ましい。乾燥処理なしでは残留溶媒による寿命劣化や表示特性悪化が引き起こされるためである。
【0044】
なお、形成される電荷輸送層4の体積抵抗率は発光効率の点から1×10Ω・cm以下のものが好ましい。これより体積抵抗率が高い場合には発光特性の点から好ましくないためである。
【0045】
また、電荷輸送層4の膜厚は20nm以上、かつ100nm以下であることが好ましい。膜厚が20nm未満であるとほんの僅かな異物の混入や成膜時の欠陥によりショートしてしまう等の表示欠陥が発生するためである。また膜厚が100nmを超える場合は膜形成に多くの時間が必要となってしまい生産性が劣ることになるためである。
【0046】
また、電荷輸送層4の表面粗さ(Ra)は10nm以下であることが好ましい。10nmより表面粗さが大きいと表示特性の悪化や寿命劣化が促進されるためである。
【0047】
電荷輸送材料を溶解または分散させる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、水等の単独またはこれらの混合溶媒などが上げられる。また、必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤、アクセプター、ドナー等のドーパント等が添加されても良い。
【0048】
また、エレクトロスプレーデポジション法で膜を形成する工程での温度における蒸気圧が500Pa以下である溶剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、シクロヘキサノン、1−プロパノール、オクタン、ノナン、デカン、キシレン、ジエチルベンゼン、ニトロベンゼン等があるが、本発明は特にこれらに限定されるものではない。
このとき、室温での蒸気圧が500Pa以下の溶媒の塗液中の濃度は、塗液中0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましい。室温での蒸気圧が500Pa以下の溶媒の塗液中の濃度が0.1質量%未満の場合、本発明の効果を十分に得ることができなくなってしまう。一方、50質量%を超えるような場合には、エレクトロスプレー膜形成後の乾燥処理において、膜中から該溶媒を除去することが困難となり、残留溶媒による寿命劣化や表示特性劣化を引き起こされる。なお、さらに好ましくは、室温での蒸気圧が500Pa以下の溶媒の塗液中の濃度は、塗液中0.5質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
【0049】
図2は、エレクトロスプレーデポジション装置の構成を説明するための図であり、前述のように、試料溶液15は微細な先端をもつガラス製のスプレーキャピラリー11に収められており、スプレーキャピラリー11の内部には電圧を加えるための針金状電極12が挿入されている。スプレーキャピラリー11の先端径は30〜50μm程度であり、キャピラリー先端から導電性基板14までの距離は3〜10cm程度である。スプレーキャピラリー11には、スプレー用電源17によって電圧が加えられる。また、スプレーキャピラリー11と導電性基板14との間には、コリメータ電極13が設けられ、コリメータ電源18によって電圧が加えられる。このスプレーキャピラリー11と導電性基板14との間に3000〜20000V程度の高電圧を印加すると試料溶液15が静電気力によってスプレーフレーム16となって噴射される。上記の形態において、試料溶液15は電荷輸送性材料を含む電荷輸送性塗液(電荷輸送インキ)であり、導電性基板14に、表面の導電性パターン部が接地された状態である。
【0050】
まず試料溶液15、すなわち電荷輸送インキは微細な先端を持つスプレーキャピラリー11内に収められる。スプレーキャピラリー11の先端径は約30〜50μmであるが、特にこれに限定するものではない。また本発明ではスプレーキャピラリー11内部に電圧を加えるための針金状電極12が挿入されている。電極12は白金などの安定な金属を用いることが好ましいが、特にこれに限定するものではなく、金、銀、クロム、ニッケル、ステンレス等が使用可能である。
【0051】
また、試料溶液15を吐出するために用いられる上記スプレーキャピラリー11はガラス製のものと電極の組合せ以外にも、キャピラリーそのものが導電性で微細な先端を持つものであれば使用可能であり、例えば、試料溶液を保持するシリンジと吐出部となるステンレス製のプランジャー等の組合せでも使用可能である。このとき、プランジャーを電極12として使用することにより、エレクトロスプレーを発生することが可能である。
【0052】
スプレーキャピラリー11内部に充填される試料溶液15としては、溶液、分散液のいずれも使用可能であり、各液内部での分極を示すものであれば使用可能である。また粘度に関しても特に制限は無く、印加電圧によりスプレーキャピラリー11内部より引き出されることができるものであれば使用可能である。ただし、あまりに粘度が高い場合にはスプレーされた液滴が分裂しきらずに液滴ではなく、繊維状に繋がってしまうことがあるため、粘度としては100cp以下が好ましい。
【0053】
スプレーキャピラリー11の先端と導電性基板14までの距離は50〜100mm程度が好ましいが、特にこれに限定するものではなく、塗布条件やインキの状態などにより、必要に応じて変える事ができる。このスプレーキャピラリー11と導電性基板14との間には3000〜20000V程度の高電圧を印加する事ができるが、このとき試料溶液15が静電気力により噴射される。印加する電圧は上記に限定するものではなく、サンプル溶液やキャピラリーの形状により変化するため、上記範囲に関わらず最適な値を選択することが重要である。本発明に用いた装置では特に、スプレー用電源17からの電圧を2400〜24000V、コリメータ電圧8の電圧を300〜3000Vの間で調整できるものを用いた。
【0054】
導電性基板14は、本発明では接地しやすくするためにその外周にアルミホイルを設置し、基板内での電圧のバラツキが生じないようにしている。
【0055】
目的とする電荷輸送層の膜厚はエレクトロスプレーを噴射する時間により調整することができる。
【0056】
上記のようにエレクトロスプレーデポジション法により電荷輸送層4を例えばITO膜上に選択的に形成したのち、有機発光層5を形成する。有機発光層5は電流を通すことにより発光する層であり、有機発光層5を形成する有機発光材料は、例えば、クマリン系、ペリレン系、ピラン系、アンスロン系、ポルフィレン系、キナクリドン系、N,N’−ジアルキル置換キナクリドン系、ナフタルイミド系、N,N’―ジアリール置換ピロロピロール系、イリジウム錯体系等の発光性色素をポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾール等の高分子中に分散させたものや、ポリアリーレン系、ポリアリーレンビニレン系やポリフルオレン系の高分子材料が挙げられる。
【0057】
これらの有機発光材料は溶媒に溶解または安定に分散させ有機発光性塗液(有機発光インキ)となる。有機発光材料を溶解または分散する溶媒としては、トルエン、キシレン、アセトン、アニソール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の単独またはこれらの混合溶媒が挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、アニソールといった芳香族有機溶剤が有機発光材料の溶解性の面から好適である。又、有機発光インキには、必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等が添加されても良い。
【0058】
有機発光層5の形成方法としては、本発明のエレクトロスプレーデポジション法の他にインクジェット法や凹版オフセット印刷法、凸版反転オフセット印刷法等によりパターン形成することが可能である。
【0059】
有機発光層5の形成方法としてエレクトロスプレーデポジション法を用いる場合、有機発光インキの溶媒組成としてはすくなくとも蒸気圧が500Pa以下の溶媒を少なくとも1種類含む溶媒に溶解もしくは分散させた塗液を用いることが好ましい。すなわち蒸気圧が500Pa以下である溶媒としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、シクロヘキサノン、1−プロパノール、オクタン、ノナン、デカン、キシレン、ジエチルベンゼン、ニトロベンゼン等があるが、本発明は特にこれらに限定されるものではない。
このとき、室温での蒸気圧が500Pa以下の溶媒の塗液中の濃度は、塗液中0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましい。室温での蒸気圧が500Pa以下の溶媒の塗液中の濃度が0.1質量%未満の場合、本発明の効果を十分に得ることができなくなってしまう。一方、50質量%を超えるような場合には、エレクトロスプレー膜形成後の乾燥処理において、膜中から該溶媒を除去することが困難となり、残留溶媒による寿命劣化や表示特性劣化を引き起こされる。なお、さらに好ましくは、室温での蒸気圧が500Pa以下の溶媒の塗液中の濃度は、塗液中0.5質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
【0060】
有機発光層5形成後、陰極層6を画素電極2のラインパターンと直交するラインパターンで形成される。陰極層6の材料としては、有機発光層5の発光特性に応じたものを使用でき、例えば、リチウム、マグネシウム、カルシウム、イッテルビウム、アルミニウムなどの金属単体やこれらと金、銀などの安定な金属との合金などが挙げられる。また、インジウム、亜鉛、錫などの導電性酸化物を用いることもできる。陰極層の形成方法としてはマスクを用いた真空蒸着法による形成方法が挙げられる。
【0061】
なお、本発明の有機EL素子では陽極である画素電極2と陰極層6の間に陽極層側から電荷輸送層4と有機発光層5を積層した構成であるが、陽極層と陰極層の間において電荷輸送層、有機発光層以外に正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層といった層を必要に応じ選択した積層構造をとることが出来る。また、これらの層を形成する際にも本発明の形成方法が使用できる。
【0062】
最後にこれらの有機EL構成体を、外部の酸素や水分から保護するために、ガラスキャップ7と接着剤8を用いて密閉封止し、有機ELディスプレイパネルを得ることが出来る。また、透光性基板が可撓性を有する場合は封止剤と可撓性フィルムを用いて封止を行っても良い。
(実施例)
【0063】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されない。
【0064】
実施例1
体格1.8インチサイズのガラス基板の上にスパッタ法を用いてITO(インジウム-錫酸化物)薄膜を形成し、フォトリソ法と酸溶液によるエッチングでITO膜をパターニングして、画素電極を形成した。画素電極のラインパターンは、線幅1000μm、スペース500mでラインが約30mm角の中に20ライン形成されるパターンとした。
【0065】
次に絶縁層を以下のように形成した。画素電極を形成したガラス基板上にアクリル系のフォトレジスト材料を全面スピンコートした。スピンコートの条件を150rpmで5秒間回転させた後500rpmで20秒間回転させ1回コーティングとし、絶縁層の高さを1.5μmとした。全面に塗布したフォトレジスト材料に対し、フォトリソ法により画素電極の間にラインパターンを有する絶縁層を形成した。
【0066】
次に、電荷輸送インキとしてバイトロンAI−4083 60重量部、イソプロピルアルコール 30重量部、グリセリン 10重量部を混合、調液し電荷輸送インキを用意した。上記のインキを用いてエレクトロスプレーデポジション法にて絶縁層間すなわちITO上に電荷輸送層をパターン形成した。スプレーには17000Vの電圧を印加し、約150秒の噴射を行い、スプレー後、200℃30分大気中で乾燥を行い電荷輸送層を形成した。このときの膜厚は50nmとなった。形成された電荷輸送層に対し、パターニング状態の確認を行ったところ、隔壁上でパターンは分断されており良好なパターン形状及び表面形状を得ることができた。
【0067】
次に、有機発光材料であるポリフェニレンビニレン誘導体を濃度1%になるようにトルエンに溶解させた有機発光インキを用い、絶縁層に挟まれた画素電極の真上にそのラインパターンにあわせて有機発光層をインクジェット法により形成を行った。印刷、乾燥後の有機発光層の膜厚は80nmとなった。
【0068】
その上にCa、Alからなる陰極層を画素電極のラインパターンと直交するようなラインパターンで抵抗加熱蒸着法によりマスク蒸着して形成した。最後にこれらの有機EL構成体を、外部の酸素や水分から保護するために、ガラスキャップと接着剤を用いて密閉封止し、有機ELディスプレイパネルを作製した。得られた有機ELディスプレイパネルの表示部の周辺部には各画素電極に接続されている陽極側の取り出し電極と、陰極側の取り出し電極があり、これらを電源に接続することにより、得られた有機ELディスプレイパネルの点灯表示確認を行い、発光状態のチェックを行った。
【0069】
実施例2
有機発光層の作製方法についてエレクトロスプレーデポジション法を用いて行った以外は実施例1と同様とした。このとき有機発光インキとしてはポリフェニレンビニレン誘導体を濃度1%になる様に調液を行った。このときの溶媒組成としては、トルエン50重量部、ニトロベンゼン 35重量部、N−メチル−2−ピロリドン 15重量部とした。エレクトロスプレーデポジション法により形成した電荷輸送層上、つまりITO上にパターン形成し、真空オーブンにて100℃2時間の乾燥を行い、膜厚80nmの有機発光層を得た。
【0070】
比較例1
実施例1の電荷輸送層形成の際のインキ組成を電荷輸送インキとしてバイトロンAI−4083 60重量部、イソプロピルアルコール 40重量部とした以外は同様に行った。
【0071】
比較例2
実施例1の電荷輸送層形成をスピンコート形成により行った以外は同様に行った。
【0072】
参考例
実施例1の手順のうち、200℃30分大気中での乾燥工程を省略した以外は同様に行った。
【0073】
実施例1及び比較例1、2での電荷輸送層のパターン形状の評価結果と、作製した有機ELディスプレイの表示状態の評価結果を表1に示す。
【0074】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明によれば、導電性パターン上に所望の機能を有するパターンを優れた精度、均一性および効率性でもって形成する有機EL素子の製造方法が提供される。また、前記製造方法によって製造された有機EL素子は、発光ムラ等のない優れた表示特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の有機EL素子を用いたディスプレイパネルの断面模式図である。
【図2】エレクトロスプレーデポジション装置の構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0077】
1……透光性基板、2……画素電極、3……絶縁層、4……電荷輸送層、5……有機発光層、6……陰極層、7……ガラスキャップ、8……接着剤、11……スプレーキャピラリー、12……針金状電極、13……コリメータ電極、14……導電性基板、15……試料溶液、16……スプレーフレーム、17……スプレー用電源、18……コリメータ電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも電極としての機能を併せ持つスプレーキャピラリーと、電極として使用できる導電性基板と、前記スプレーキャピラリーと導電性基板との間に電圧を印加することが可能な高圧電源部とを用いたエレクトロスプレーデポジション法により、導電性パターンが形成された前記導電性基板上に前記導電性パターンを電極として塗液を付着させ、前記導電性パターン上に所望の機能を有するパターンを形成する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、前記塗液が、室温での蒸気圧500Pa以下の溶媒を少なくとも含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項2】
前記塗液が、少なくとも電荷輸送性材料を含む電荷輸送性塗液であり、前記導電性パターン上に電荷輸送層を形成することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項3】
前記電荷輸送性塗液を前記導電性パターン上に付着させた後、乾燥処理して電荷輸送層を形成することを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により製造された有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
請求項2または3に記載の製造方法により製造された有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記電荷輸送層の抵抗値が10Ω・cm以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
請求項2または3に記載の製造方法により製造された有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記電荷輸送層の膜厚が20nm以上であり、かつ100nm以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
請求項2または3に記載の製造方法により製造された有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記電荷輸送層の表面粗さ(Ra)が10nm以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
前記塗液が、少なくとも有機発光性材料を含む有機発光性塗液であり、少なくとも前記導電性パターン上に有機発光層を形成することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項9】
前記塗液として、少なくとも電荷輸送性材料を含む電荷輸送性塗液と、少なくとも有機発光性材料からなる有機発光性塗液とを用い、前記電荷輸送性塗液によって前記導電性パターン上に電荷輸送層を形成した後、前記電荷輸送層上に、前記有機発光性塗液によって有機発光層を形成することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項10】
前記電荷輸送性塗液が、室温での蒸気圧500Pa以下の溶媒として、グリセリンを必須成分として含み、かつ前記有機発光性塗液が、室温での蒸気圧500Pa以下の溶媒として、ニトロベンゼンおよびN−メチル−2−ピロリドンを必須成分として含むことを特徴とする請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれかに記載の製造方法により製造された有機エレクトロルミネッセンス素子。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−305507(P2007−305507A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−134826(P2006−134826)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】