説明

有機エレクトロルミネッセンス装置及びその製造方法

【課題】輝度が高く、発光効率が高い有機EL装置を提供する。
【解決手段】透明絶縁基板上に透明電極から成る陽極、少なくとも有機発光層を含む有機層、陰極を順次に積層し、該陰極が前記有機層との界面に金属酸化物を含有する有機EL装置であって、前記有機発光層が燐光発光性化合物を含有しており、前記金属酸化物が前記有機層との界面側で高濃度となる濃度勾配を有するように形成されている
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(以下「有機EL」とも記す。)装置及びその製造方法に関し、詳しくは、少なくとも有機発光層を含む有機層と陰極との界面に金属酸化物を含有する有機EL装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報機器等の表示デバイスに用いられるEL素子の一種として、有機EL装置が開発されている。図5は、従来から一般に知られている有機EL装置の構成を示す断面図である。同有機EL装置は、図5に示すように、ガラス基板等から成る透明絶縁基板51と、透明絶縁基板51上に形成されたITO(Indium Tin Oxide:酸化インジュウム錫)等の透明導電材料から成る陽極(下部電極)52と、陽極52上に形成された正孔輸送層53と、正孔輸送層53上に形成された有機発光層54と、有機発光層54上に形成されたAlLi(アルミニウムリチウム)等から成る陰極(上部電極)55と、陽極52、正孔輸送層53、有機発光層54及び陰極55から成る素子主要部が形成された透明絶縁基板51上に、素子主要部を覆うように封止樹脂56を介して取り付けられたガラス等から成るキャップ57とを備えている。上述の封止樹脂としては例えばUV(Ultra-Violet:紫外線)硬化性樹脂が用いられて、光源からUVを含んだ光を封止樹脂に照射することにより、硬化させて封止を行なっている。
【0003】
ところで、上述の有機EL装置は、有機発光層54と陰極55との界面が不完全である場合が多いので、もともと不安定な欠陥が存在している。この欠陥とは、界面準位を形成すべき個所に格子欠陥等による不純物準位が形成されることを意味しており、この欠陥の存在によって、本来流れるべきキャリアのパス以外にもパスが発生して、リーク電流が増加するようになる。さらに、陰極55と陽極52とがショートするおそれもある。したがって、有機EL装置の特性が不安定になり、高い整流比が得られなくなる。これらのため、単純マトリックス駆動を行って場合には、画素ショート、クロストークが発生していた。
【0004】
ここで、従来から、特性の安定化を図るために有機発光層と陰極との界面に酸化層を形成するように構成した有機EL装置が知られており、例えば特開平9−245968号公報に開示されている。同有機EL装置は、図6に示すように、ガラス基板61と、ガラス基板61上に形成されたITOから成る陽極62と、陽極62上に形成された有機材料から成るホール輸送材料層63と、ホール輸送材料層63上に形成された有機材料から成る電子輸送材料層64と、電子輸送材料層64上に形成された陰極65とを備え、電子輸送材料層64と陰極65との界面には酸化層66(または水酸化層)が形成されている。
【0005】
陰極65の材料としては、例えばLi(リチウム)、Na(ナトリウム)、Ka(カリウム)等の一価の金属、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)等の二価の金属、あるいはAl(アルミニウム)等の三価の金属を用いる。具体的には、陰極65の材料の成膜を行う際に、雰囲気中の酸素分子または水素分子の濃度を通常の成膜の際よりも高くすることによって、酸化層66を形成する。このような構成により、有機発光層である電子輸送材料層64と陰極65との界面の金属の仕事関数あるいはイオン化ポテンシャルを下げることによって、低電圧駆動を可能にし、結果として安定に動作する有機EL装置を得ることができるとされている。
【0006】
しかしながら、特開平9−245968号公報記載の有機EL装置の構成では、有機発光層と陰極との界面に単に酸化層を形成しているだけなので、高い整流比を得るのが困難
である、という問題がある。すなわち、上記公報においては、有機EL装置の製造時に陰極65の材料の成膜を行う際に、雰囲気中の酸素分子または水素分子の濃度を通常の成膜の際よりも高くすることによって、酸化層66を形成しているので、酸素分子または水素分子の濃度を望ましい範囲に制御するのが困難なため、有機EL装置製造の歩留まりが悪くなって、スループットが低下し、しかも整流比が十分高いレベルが得られなかった。また、酸化層66あるいは水酸化層は絶縁層であるので、これらの層が均一に形成された場合には、駆動電圧が高く、発光効率が低くなる問題点があった。
【0007】
この問題点を解決するための手段として、特開2002−367780号公報(特許文献1)には、透明絶縁基板上に透明電極から成る陽極、少なくとも有機発光層を含む有機層、陰極を順次に積層し、該陰極が上記有機層との界面に金属酸化物を含有する有機EL装置であって、上記金属酸化物が上記有機層との界面側で高濃度となる濃度勾配を有するように形成された有機EL装置が開示されており、この有機EL装置によれば高い整流比を得ることができ、しかも駆動電圧は低く、発光効率を高くなることが記載されている。
【0008】
しかしながら、発光効率をさらに高めた有機EL装置の出現が望まれていた。
【特許文献1】特開2002−367780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、輝度が高く、発光効率が高い有機EL装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の[1]〜[20]に関する。
[1] 透明絶縁基板上に透明電極から成る陽極、少なくとも有機発光層を含む有機層、陰極を順次に積層し、該陰極が前記有機層との界面に金属酸化物を含有する有機EL装置であって、
前記有機発光層が燐光発光性化合物を含有しており、
前記金属酸化物が前記有機層との界面側で高濃度となる濃度勾配を有するように形成されている
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
【0011】
[2] 前記陰極が第1の陰極及び第2の陰極から成り、前記第1の陰極が前記有機層との界面に金属酸化物を含有することを特徴とする上記[1]に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【0012】
[3] 前記陰極が複数層から成り、該複数層の陰極のうち前記有機層と接する陰極が前記有機層との界面に金属酸化物を含有することを特徴とする上記[1]に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【0013】
[4] 前記金属酸化物の前記濃度勾配が、前記陰極の膜厚方向に沿って曲線状に変化していることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【0014】
[5] 前記金属酸化物の前記濃度勾配が、前記陰極の膜厚方向に沿って直線状に変化していることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【0015】
[6] 前記金属酸化物の濃度が、前記有機層と界面を形成している陰極の膜厚内で0
になっていることを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【0016】
[7] 前記燐光発光性化合物がイリジウム錯体であることを特徴とする上記[1]〜[6]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【0017】
[8] 前記燐光発光性化合物が燐光発光性高分子化合物であることを特徴とする上記[1]〜[7]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【0018】
[9] 前記燐光発光性高分子化合物が燐光発光性非共役高分子化合物であることを特徴とする上記[8]に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【0019】
[10] 上記[1]に記載の有機EL装置の製造方法であって、
前記陽極及び前記有機層を順次に積層した前記透明絶縁基板を真空装置内に配置し、前記金属酸化物を形成し得る第1の金属及び前記陰極形成用の第2の金属を共蒸着することにより、前記有機層との界面側で高濃度となる濃度勾配を有する前記金属酸化物を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【0020】
[11] 上記[1]に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記透明絶縁基板上に前記陽極及び前記有機層を順次に積層して形成する工程と、
前記透明絶縁基板を、予め前記金属酸化物を形成し得る第1の金属及び前記陰極形成用の第2の金属が供給された真空装置内に配置する工程と、
前記第1及び第2の金属を共蒸着することにより、前記有機層との界面側で高濃度となる濃度勾配を有する前記金属酸化物を形成する工程と
を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【0021】
[12] 前記第1の金属が予め表面酸化されていることを特徴とする上記[10]または[11]に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【0022】
[13] 前記共蒸着を真空装置内に酸素を導入しながら行い、共蒸着開始時から前記真空装置内の前記酸素を徐々に減少するよう制御して行うことを特徴とする上記[10]〜[12]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【0023】
[14] 前記第1の金属がLi、Na、K、Ca、Ba、SrおよびAlからなる群から選ばれると共に、前記第2の金属がTi、Cr、Ni、Cu、Ag、Au、Zn、AlおよびInから選ばれることを特徴とする上記[10]〜[13]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【0024】
[15] 上記[1]〜[9]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えた面発光光源。
【0025】
[16] 上記[1]〜[9]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えた表示装置用バックライト。
【0026】
[17] 上記[1]〜[9]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えた表示装置。
【0027】
[18] 上記[1]〜[9]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えた照明装置。
【0028】
[19] 上記[1]〜[9]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えたインテリア。
【0029】
[20] 上記[1]〜[9]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えたエクステリア。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、本発明の有機EL装置によれば、陰極の少なくとも有機発光層を含む有機層との界面に金属酸化物を含有し、金属酸化物が有機層との界面側で高濃度となる濃度勾配を有するように形成されているので、有機層と陰極との界面に存在している欠陥は金属酸化物により埋められて、完全な界面に形成される。
【0031】
さらに、本発明の有機EL装置は、発光材料として燐光発光性化合物を用いているため、輝度が高く、発光効率も極めて高い。
また、この発明の有機EL装置の製造方法によれば、上記有機EL装置を製造するにあたり、予め大気雰囲気をはじめとする酸素含有雰囲気下で表面酸化により金属酸化物を形成し得る金属と陰極形成用金属を蒸発源に用いて、両金属を共蒸着するようにしたので、有機層との界面側で高濃度となる濃度勾配を有する金属酸化物を形成することができる。これにより、素子の逆バイアス印加時のショート防止やリーク電流の抑制により整流比が向上する。また、パッシブマトリックス駆動を行った場合、画素ショートやクロストークが抑制できる。さらに、濃度勾配を設けることにより、駆動電圧は低く、発光効率を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照して、本発明の有機EL装置の実施の形態について説明する。説明は、実施例を用いて具体的に行う。
図1は本発明の有機EL装置の一実施態様を示す断面図、図2は同有機EL装置の有機発光層と陰極との界面の近傍部分を拡大して示す図、また、図3は同有機EL装置の製造方法の構成を工程順に示す工程図、図4は同有機EL装置の製造方法の主要工程に用いられる真空蒸着装置の構成を概略的に示す図である。この例の有機EL装置10においては、図1に示すように、透明絶縁基板1と、透明絶縁基板1上に形成された陽極2と、陽極2上に形成された正孔輸送層3と、正孔輸送層3上に形成された有機発光層4と、有機発光層4上に形成された第1の陰極5Aと、第1の陰極5A上に形成された第2の陰極5Bと、陽極2、正孔輸送層3、有機発光層4、第1の陰極5A及び第2の陰極5Bからなる素子主要部が形成された透明絶縁基板1上に、素子主要部を覆うように封止樹脂6を介して取り付けられたガラス等から成るキャップ7とを備えている。ここで、AlLiから成る第1の陰極5A中には、Li2O(酸化リチウム)層から成る金属酸化物8が有機発光
層4との界面側で高濃度となる濃度勾配を有するように含有されている。
【0033】
〔1.素子構成〕
本発明の有機EL装置の構成は図1の例に限定されず、陽極と第1の陰極との間に順次、1)陽極バッファー層/正孔輸送層/有機発光層、2)陽極バッファー層/有機発光層/電子輸送層、3)陽極バッファー層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層、4)陽極バッファー層/正孔輸送性化合物、発光性化合物、電子輸送性化合物を含む層、5)陽極バッファー層/正孔輸送性化合物、発光性化合物を含む層、6)陽極バッファー層/発光性化合物、電子輸送性化合物を含む層、7)陽極バッファー層/正孔電子輸送性化合物、発光性化合物を含む層、8)陽極バッファー層/有機発光層/正孔ブロック層/電子輸送層を設けた素子構成などを挙げることができる。また、図1に示した有機発光層は1層であるが、有機発光層を2層以上有していてもよい。さらに、陽極バッファー層を用いずに
直接的に、正孔輸送性化合物を含む層が陽極の表面に接していてもかまわない。
【0034】
なお、本明細書中においては、特に断りのない限り、電子輸送性化合物、正孔輸送性化合物、発光性化合物の全てあるいは一種類以上からなる化合物を有機EL化合物、また層を有機EL化合物層と呼ぶこととする。
【0035】
〔2.陽極〕
陽極は、ITOに代表される導電性かつ光透過性の層により形成される。有機発光を基板を通して観察する場合には、陽極の光透過性は必須であるが、有機発光をトップエミッション、すなわち上部の電極を通して観察する用途の場合では陽極の透過性は必要なく、仕事関数が4.1eVよりも高い金属あるいは金属化合物のような適当な任意の材料を陽
極として用いることができる。例えば、金、ニッケル、マンガン、イリジウム、モリブテン、パラジウム、白金などを単独で、あるいは組み合わせて用いることが可能である。当該陽極は、金属の酸化物、窒化物、セレン化物及び硫化物からなる群より選ぶこともできる。また、光透過性の良好なITOの表面に、光透過性を損なわないように1〜3nmの薄い膜として、上記の金属を成膜したものを陽極として用いることもできる。これらの陽極材料表面への成膜方法としては、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、化学反応法、コーティング法、真空蒸着法などを用いることができる。陽極の厚さは2〜300nmが好ましい。
【0036】
〔3.陽極表面処理〕
また、陽極バッファー層、あるいは、正孔輸送性化合物を含む層の成膜時に陽極表面を前もって処理することによりオーバーコートされる層の性能(陽極基板との密着性、表面平滑性、正孔注入障壁の低減化など)を改善することができる。前もって処理する方法には高周波プラズマ処理を始めとしてスパッタリング処理、コロナ処理、UVオゾン照射処理、または酸素プラズマ処理などがある。
【0037】
〔4.陽極バッファー層〕
陽極バッファー層をウェットプロセスにて塗布して作製する場合には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法などを用いて成膜することが出来る。
【0038】
上記ウェットプロセスによる成膜で用い得る化合物は、陽極表面とその上層に含まれる有機EL化合物に良好な付着性を有した化合物であれば特に制限はないが、これまで一般に用いられてきた陽極バッファーを適用することがより好ましい。例えば、ポリ(3,4)−エチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸塩との混合物であるPEDOT−PSS、ポリアニリンとポリスチレンスルホン酸塩との混合物であるPANIなどの導電性ポリマーを挙げることができる。さらに、これら導電性ポリマーにトルエン、イソプロピルアルコールなどの有機溶剤を添加して用いてもよい。また、界面活性剤などの第三成分を含む導電性ポリマーでもよい。前記界面活性剤としては、例えばアルキル基、アルキルアリール基、フルオロアルキル基、アルキルシロキサン基、硫酸塩、スルホン酸塩、カルボキシレート、アミド、ベタイン構造、及び第4級化アンモニウム基からなる群から選択される1種の基を含む界面活性剤が用いられるが、フッ化物ベースの非イオン性界面活性剤も用い得る。
【0039】
〔5.有機EL化合物〕
本発明の有機EL装置における有機EL化合物層、すなわち有機発光層、正孔輸送層、及び電子輸送層に使用する化合物としては、低分子化合物及び高分子化合物のいずれをも
使用することができる。
【0040】
本発明の有機EL装置の有機発光層を形成する有機EL化合物としては、大森裕:応用物理、第70巻、第12号、1419−1425頁(2001年)に記載されている発光性低分子化合物及び発光性高分子化合物などを例示することができる。この中でも、素子作製プロセスが簡素化されるという点で発光性高分子化合物が好ましく、発光効率が高い点で燐光発光性化合物が好ましい。従って、特に燐光発光性高分子化合物が好ましい。なお、有機EL化合物として燐光発光性高分子化合物を用いる際に、燐光発光性低分子化合物を併用してもよい。
【0041】
また、発光性高分子化合物は、共役発光性高分子化合物と非共役発光性高分子化合物とに分類することもできるが、中でも非共役発光性高分子化合物が好ましい。
上記の理由から、本発明で用いられる発光材料としては、燐光発光性非共役高分子化合物(前記燐光発光性高分子であり、かつ前記非共役発光性高分子化合物でもある発光材料)が特に好ましい。
【0042】
本発明の有機EL装置における有機発光層は、好ましくは、燐光を発光する燐光発光性単位とキャリアを輸送するキャリア輸送性単位とを一つの分子内に備えた、燐光発光性高分子を少なくとも含む。前記燐光発光性高分子は、重合性置換基を有する燐光発光性化合物と、重合性置換基を有するキャリア輸送性化合物とを共重合することによって得られる。燐光発光性化合物はイリジウム、白金および金の中から一つ選ばれる金属元素を含む金属錯体であり、中でもイリジウム錯体が好ましい。
【0043】
前記重合性置換基を有する燐光発光性化合物としては、例えば下記式(E−1)〜(E−49)に示す金属錯体の一つ以上の水素原子を重合性置換基で置換した化合物を挙げることができる。
【0044】
【化1】

【0045】
【化2】

【0046】
【化3】

【0047】
【化4】

【0048】
【化5】

【0049】
【化6】

【0050】
なお、上記式(E−35)、(E−46)〜(E−49)において、Phはフェニル基を表す。
これらの燐光発光性化合物における重合性置換基としては、例えばビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、メタクリロイルオキシエチルカルバメート基等のウレタン(メタ)アクリレート基、スチリル基及びその誘導体、ビニルアミド基及びその誘導体などが挙げられ、中でもビニル基、メタクリレート基、スチリル基及びその誘導体が好ましい。これらの置換基は、ヘテロ原子を有してもよい炭素数1〜20の有機基を介して金属錯体に結合していてもよい。
【0051】
前記重合性置換基を有するキャリア輸送性化合物は、ホール輸送性および電子輸送性の内のいずれか一方または両方の機能を有する有機化合物における一つ以上の水素原子を重合性置換基で置換した化合物を挙げることができる。このような化合物の代表的な例として、下記式(E−50)〜(E−67)に示した化合物を挙げることができる。
【0052】
【化7】

【0053】
【化8】

【0054】
例示したこれらのキャリア輸送性化合物における重合性置換基はビニル基であるが、ビニル基をアクリレート基、メタクリレート基、メタクリロイルオキシエチルカルバメート基等のウレタン(メタ)アクリレート基、スチリル基及びその誘導体、ビニルアミド基及びその誘導体などの重合性置換基で置換した化合物であってもよい。また、これらの重合性置換基は、ヘテロ原子を有してもよい炭素数1〜20の有機基を介して結合していてもよい。
【0055】
重合性置換基を有する燐光発光性化合物と、重合性置換基を有するキャリア輸送性化合物の重合方法は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、付加重合のいずれでもよいが、ラジカル重合が好ましい。また、重合体の分子量は重量平均分子量で1,000〜2,000
,000が好ましく、5,000〜1,000,000がより好ましい。ここでの分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法を用いて測定されるポリスチレン換算分子量である。
【0056】
前記燐光発光性高分子は、一つの燐光発光性化合物と一つのキャリア輸送性化合物、一つの燐光発光性化合物と二つ以上のキャリア輸送性化合物を共重合したものであってもよく、また二つ以上の燐光発光性化合物をキャリア輸送性化合物と共重合したものであってもよい。
【0057】
燐光発光性高分子におけるモノマーの配列は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体のいずれでもよく、燐光発光性化合物構造の繰り返し単位数をm、キャリア輸送性化合物構造の繰り返し単位数をnとしたとき(m、nは1以上の整数)、全繰り返し単位数に対する燐光発光性化合物構造の繰り返し単位数の割合、すなわちm/(m+n)の値は0.001〜0.5が好ましく、0.001〜0.2がより好ましい。
【0058】
燐光発光性高分子のさらに具体的な例と合成法は、例えば特開2003−342325、特開2003−119179、特開2003−113246、特開2003−206320、特開2003−147021、特開2003−171391、特開2004−346312、特開2005−97589に開示されている。
【0059】
本発明の有機EL装置における有機発光層は、好ましくは前記燐光発光性化合物を含む層であるが、有機発光層のキャリア輸送性を補う目的で正孔輸送性化合物や電子輸送性化合物が含まれていてもよい。これらの目的で用いられる正孔輸送性化合物としては、例えば、TPD(N,N’−ジメチル−N,N’−(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’ジアミン)、α−NPD(4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル)、m−MTDATA(4、4’,4’’−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)などの低分子トリフェニルアミン誘導体や、ポリビニルカルバゾール、前記トリフェニルアミン誘導体に重合性官能基を導入して高分子化したもの、例えば特開平8−157575号公報に開示されているトリフェニルアミン骨格の高分子化合物、ポリパラフェニレンビニレン、ポリジアルキルフルオレンなどが挙げられ、また、電子輸送性化合物としては、例えば、Alq3(アルミニウムトリスキノリノレート)などのキノリノール誘導体金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、トリアリールボラン誘導体などの低分子材料や、上記の低分子電子輸送性化合物に重合性官能基を導入して高分子化したもの、例えば特開平10−1665号公報に開示されているポリPBDなどの既知の電子輸送性化合物が使用できる。
【0060】
〔6.有機EL化合物層の形成法〕
上記の有機EL化合物層は、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法などにより形成することが可能である。発光性低分子化合物の場合は主として抵抗加熱蒸着法及び電子ビーム蒸着法が用いられ、発光性高分子化合物の場合は主にスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法が用いられる。
【0061】
〔7.正孔ブロック層〕
また、正孔が有機発光層を通過することを抑え、有機発光層内で電子と効率よく再結合させる目的で、有機発光層の陰極側に隣接して正孔ブロック層を設けてもよい。この正孔ブロック層には発光性化合物より最高占有分子軌道(Highest Occupied Molecular Orbital;HOMO)準位の深い化合物を用いることができ、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、アルミニウム錯体などを例示することができる。
【0062】
さらに、励起子(エキシトン)が陰極金属で失活することを防ぐ目的で、有機発光層の陰極側に隣接してエキシトンブロック層を設けてもよい。このエキシトンブロック層には発光性化合物より励起三重項エネルギーの大きな化合物を用いることができ、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、アルミニウム錯体などを例示することができる。
【0063】
〔8.陰極〕
本発明の有機EL装置が備える陰極は、前記有機EL化合物層側から順に、第1の陰極(たとえばAlLiからなる第1の陰極)および第2の陰極(たとえばAlからなる第2の陰極)からなる。ここで第1の陰極中には、金属酸化物(たとえばLi2O)が有機E
L化合物層との界面側で高濃度となる濃度勾配を有するように含有されている。
【0064】
以下、第1の陰極がAlLiからなり、第2の陰極がAlからなり、第1の陰極中の金属酸化物がLi2Oである場合を例として説明する。
図2を参照すると、第1の陰極5Aにおける酸素の原子濃度(以下、酸素濃度)は、有機EL化合物層4との界面(位置c)で最大となっていて、膜厚方向に沿って界面から離れるにつれて徐々に減少して、膜厚の半分を少し過ぎた位置(以下、この位置を「位置d」とも言う。)で0になる。また、膜厚を横軸に、酸素濃度を縦軸にとったグラフでは、酸素濃度は膜厚方向に沿って曲線状または直線状に変化している。以上の説明では酸素濃度について述べたが、これはそのまま金属酸化物(Li2O)層の濃度にも当てはまる。
すなわち、前述したように、第1の陰極5Aの有機発光層4との界面に含有される金属酸化物(Li2O)層は、有機発光層4の界面側で高濃度となる濃度勾配を有するように形
成されている。一方、Alの原子濃度は、界面(位置c)で最小となっていて、膜厚方向に沿って界面から離れるにつれて徐々に増加して、略位置dを過ぎると略100%になる。金属酸化物(Li2O)層の具体的な形成方法については、後述する。
【0065】
この例の有機EL装置10によれば、第1の陰極5Aの有機発光層4との界面に金属酸化物であるLi2O層を含有し、Li2O層が有機発光層4との界面側で高濃度となる濃度勾配を有するように形成されているので、このLi2O層により界面に存在している欠陥
が埋められるため、不安定な準位が安定になって、完全な界面に形成される。これにより、リーク電流の増加が抑制され、また陰極と陽極とのショートが回避されるので、有機EL装置の特性を安定化することができるようになる。この結果、高い整流比を得ることができる。また、例えばAlから成る第2の陰極5Bは、陰極5を厚膜化して配線抵抗を小さくするために設けられている。これにより、省力化が図れると同時に発光時の輝度むらを抑えることができるようになる。
【0066】
また、この例の有機EL装置10によれば、第1の陰極5Aが有機発光層4との界面に含有しているLi2O層の濃度が、第1の陰極5A内の位置dで0になっているので、次
のような効果が得られる。まず、金属酸化物であるLi2O層は絶縁物として機能するの
で、第1の陰極5A内でLi2O濃度を0にすることにより、陰極5の抵抗値の増大を防
止できるため、その分駆動電圧を低くすることができる。また、第1の陰極5A内でLi2O濃度を0にすることにより、電子の注入効率が向上するので、ホールと電子のキャリ
アバランスが改善されて発光に寄与する電流が増加し、電流に対する発光効率(cd/A)が高くなる。したがって、駆動電圧が低くなるとともに電流効率が向上するので、駆動
時の電力に対する発光効率が高くなり、消費電力を抑えることができる。
【0067】
このような第1の陰極および第2の陰極は、たとえば、特許文献1(特開2002−367780号公報)の[0023]〜[0032]、[0038]〜[0042]に記載の方法により形成することができる。
【0068】
また、金属酸化物層は、酸化物を直接蒸着する方法により形成してもよい。金属酸化物を直接蒸着する方法としては、抵抗加熱法、スパッタリング法、電子ビーム法などが挙げられる。金属酸化物と金属とを共蒸着し、蒸着レートを個別に制御することで、膜厚方向に濃度勾配を有するように金属酸化物層を形成できる。
【0069】
前記第1の陰極の材料としては、単体金属として仕事関数の低い金属、具体的にはアルカリ金属、アルカリ土類金属が望ましい。これらの金属は酸化しやすいが、酸化物は化学的に安定である。同様にAl等の三価金属の酸化物も化学的に安定である。
【0070】
したがって、前記第1の陰極の材料としては、具体的にはLi、Na、Kなどの1価金属、Ca、Ba、Srなどの2価金属、およびAlなどの3価金属から選ばれる金属またはこれらの合金が挙げられ、これらの中でも、Li、Na、K、Ca、BaおよびSrから選ばれる金属またはこれらの合金が好ましい。
【0071】
また、第2の陰極の材料としては、導電性を備え、さらに高いガスバリア性を有し、化学的安定な金属が望ましい。金属の化学的安定性の基準としては、具体的には仕事関数が高いことが挙げられる。
【0072】
したがって、第2の陰極の材料としては、Ti、Cr、Ni、Cu、Ag、Au、Znなどの遷移金属、およびAl、Inなどの典型金属から選ばれる金属またはこれらの合金が挙げられ、これらの中でも、Al、Cr、Ti、Cu、AgおよびAuから選ばれる金属またはこれらの合金が好ましい。
【0073】
〔9.封止〕
陰極作製後、該有機EL装置を保護する保護層を装着していてもよい。該有機EL装置を長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層および/または保護カバーを装着することが好ましい。該保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物などを用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板、金属などを用いることができ、該カバーを熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子がキズつくのを防ぐことが容易である。該空間に窒素やアルゴンのような不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより製造工程で吸着した水分が素子にタメージを与えるのを抑制することが容易となる。これらのうち、いずれか1つ以上の方策をとることが好ましい。
【0074】
〔10.基板種類〕
本発明の有機EL装置の基板としては、発光性化合物の発光波長に対して透明な絶縁性基板、例えば、ガラス、PET(ポリエチレンテレフタレート)やポリカーボネートを始めとする透明プラスチック、シリコン基板などの既知の材料が使用できる。
【0075】
〔11.用途〕
本発明の有機El装置を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素
子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極または陰極のいずれか一方、または両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にOn/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号などを表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極とを共にストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる有機EL化合物を塗り分ける方法や、カラーフィルターまたは蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFTなどと組み合わせてアクティブ駆動してもよい。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダーなどの表示装置として用いることができる。
【0076】
さらに、前記面状の発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源(表示装置用バックライト)、あるいは面状の照明用光源(照明装置)として好適に用いることができる。また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用できる。
【0077】
本発明の有機EL装置は、さらに、インテリア、エクステリアに用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】この発明の第1実施例である有機EL装置の構成を示す断面図である。
【図2】同有機EL装置の有機発光層と陰極との界面の近傍部分を拡大して示す図である。
【図3】同有機EL装置の製造方法の構成を工程順に示す工程図である。
【図4】同有機EL装置の製造方法の主要工程に用いられる真空蒸着装置の構成を概略的に示す図である。
【図5】従来の有機EL装置の構成を示す断面図である。
【図6】従来の有機EL装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0079】
1 透明絶縁基板
2 陽極
3 正孔輸送層
4 有機発光層
5A 第1の陰極
5B 第2の陰極
6 封止樹脂
7 キャップ
8 Li2O層(金属酸化物)
10 有機EL装置
11 容器(チャンバー)
12A、12B ボート支持台
13 基板支持体
14 シャッター
15 シャッター駆動部
16 酸素ガス源
17 ガス導入端子口
18 ガス管
19 マスフローコントローラ
20 真空蒸着装置
21A、21B ボート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明絶縁基板上に透明電極から成る陽極、少なくとも有機発光層を含む有機層、陰極を順次に積層し、該陰極が前記有機層との界面に金属酸化物を含有する有機EL装置であって、
前記有機発光層が燐光発光性化合物を含有しており、
前記金属酸化物が前記有機層との界面側で高濃度となる濃度勾配を有するように形成されている
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項2】
前記陰極が第1の陰極及び第2の陰極から成り、前記第1の陰極が前記有機層との界面に金属酸化物を含有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項3】
前記陰極が複数層から成り、該複数層の陰極のうち前記有機層と接する陰極が前記有機層との界面に金属酸化物を含有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項4】
前記金属酸化物の前記濃度勾配が、前記陰極の膜厚方向に沿って曲線状に変化していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項5】
前記金属酸化物の前記濃度勾配が、前記陰極の膜厚方向に沿って直線状に変化していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項6】
前記金属酸化物の濃度が、前記有機層と界面を形成している陰極の膜厚内で0になっていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項7】
前記燐光発光性化合物がイリジウム錯体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項8】
前記燐光発光性化合物が燐光発光性高分子化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項9】
前記燐光発光性高分子化合物が燐光発光性非共役高分子化合物であることを特徴とする請求項8に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項10】
請求項1に記載の有機EL装置の製造方法であって、
前記陽極及び前記有機層を順次に積層した前記透明絶縁基板を真空装置内に配置し、前記金属酸化物を形成し得る第1の金属及び前記陰極形成用の第2の金属を共蒸着することにより、前記有機層との界面側で高濃度となる濃度勾配を有する前記金属酸化物を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記透明絶縁基板上に前記陽極及び前記有機層を順次に積層して形成する工程と、
前記透明絶縁基板を、予め前記金属酸化物を形成し得る第1の金属及び前記陰極形成用の第2の金属が供給された真空装置内に配置する工程と、
前記第1及び第2の金属を共蒸着することにより、前記有機層との界面側で高濃度となる濃度勾配を有する前記金属酸化物を形成する工程と
を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1の金属が予め表面酸化されていることを特徴とする請求項10または11に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項13】
前記共蒸着を真空装置内に酸素を導入しながら行い、共蒸着開始時から前記真空装置内の前記酸素を徐々に減少するよう制御して行うことを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1の金属がLi、Na、K、Ca、Ba、SrおよびAlからなる群から選ばれると共に、前記第2の金属がTi、Cr、Ni、Cu、Ag、Au、Zn、AlおよびInから選ばれることを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えた面発光光源。
【請求項16】
請求項1〜9のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えた表示装置用バックライト。
【請求項17】
請求項1〜9のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えた表示装置。
【請求項18】
請求項1〜9のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えた照明装置。
【請求項19】
請求項1〜9のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えたインテリア。
【請求項20】
請求項1〜9のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えたエクステリア。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−173545(P2007−173545A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−369504(P2005−369504)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】