説明

有機クロロヒドロシラン及びその製造方法

【課題】本発明は、シリコン高分子の製造に有用な出発物質の有機クロロヒドロシラン及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明は、四級有機ホスホニウム塩化合物を触媒として用い、安価でかつ容易に得ることができるクロロシランのSi-H結合と異なる有機クロロシランのSi-Cl結合を交換させ、種々の新しい有機クロロヒドロシランを高収率で合成し、又、触媒を使用した後回収して再使用することが可能であり、非常に経済的であるので、シリコンの原料物質の大量生産に効果的である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年7月13日に韓国特許庁に提出した韓国特許出願第10−2009−0063616号を優先権として主張し、その内容は本明細書に含まれる。本発明は、有機クロロヒドロシラン及びその製造方法に関し、特に、四級有機ホスホニウム塩化合物を触媒として用いてクロロシランのSi-H結合と異なる有機クロロシランのSi-Cl結合を交換反応させ、種々の新しい有機クロロヒドロシランを高収率で合成できる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、本発明者らは、テトラアルキルホスホニウムクロライド化合物を触媒として用いて、C-Cl結合を有するアルキルクロライドとSi-H結合を有するトリクロロシラン(HSiCl)とを反応させ、アルキルクロライドから塩素を、トリクロロシラン(HSiCl)から水素を脱離して塩化水素を作って除去すると共に、ケイ素と炭素結合(Si-C)を形成させるなど種々の有機ケイ素化合物を合成する方法を報告した(Y.S. Cho;S-H. Kang;J.S. Han;B.R. Yoo;IlIl Nam Jung;J.Am. Chem. Soc., 123, 2001, 5583;I.N. Jung et al, 米国特許第6,392,077号明細書)。この脱塩化水素反応は、ケイ素と炭素の結合を形成させる新しい方法として、種々の新しい有機ケイ素化合物の合成に非常に有用な反応である。
【0003】
上記脱塩化水素反応に用いられるトリクロロシランのような有機塩化物は、ベンジルクロライドやアリルクロライドのように、活性の大きい炭素に塩素が結合されたアルキルクロライドのみでなく、活性の大きくないアルキルクロライド、環状アルキルクロライド、および三級アルキルクロライドを反応させても、高い収率で有機ケイ素化合物を合成することができる。
【0004】
本発明者らは、テトラアルキルホスホニウムクロライド化合物を触媒として用いてケトンとアルデヒドをトリクロロシラン(HSiCl)に反応させると、酸素の位置にトリクロロシリル基が入って有機トリクロロシランが得られることが分かった(韓国登録特許第0487904号公報、2005年4月27日)。
【0005】
なお、本発明者らは、四級有機ホスホニウム塩を触媒として用いてアルケンにトリクロロシランを反応させると、炭素と炭素二重結合に二重ケイ素化して2つのシリル基が導入されたビスシリルアルカン化合物を高収率で合成できるということを報告した(韓国登録特許第0491960号公報、2005年5月30日)。
【0006】
このように、テトラアルキルホスホニウムクロライド化合物を触媒として用いる方法で、種々の有機基を有したシラン化合物の製造が可能であり、シリコン工業分野に新しい原料を供給することにより、新しい製品を生産したり、既存の製品を変形させて様々な製品を生産することを可能にした。
【0007】
しかしながら、このように製造されるシラン化合物は、分子の片方又は両方にトリクロロシリル基を有するなど1分子中に数個のSi-Cl結合を有するため、シリコン分野において最も多く用いられているシリコンオイルやゴムの製造に適していないという問題点があった。即ち、シリコンオイルやゴムの製造に必要な原料として用いられるためには、1つのシリコン元素に2つの有機基と2つのSi-Cl結合を有する原料が必要である。したがって、Si-Cl結合をSi-H結合に交換させる反応は、Si-Cl結合の数を減らすことができ、Si-H結合は、水素ケイ素化反応(Hydrosilylation)により二重結合や三重結合を有する有機基に付加することが可能であるため、様々な有機基を有する原料の合成を可能にするので非常に重要である。
【0008】
一方、Si-H結合とSi-Cl結合の交換反応において、塩化アルミニウム、塩化ボロンなどのルイス酸は、クロロシランの再分配反応に触媒としての効果があると知られている。トリクロロシラン(HSiCl)を再分配してジクロロシランに変え、さらに、モノシランを製造する次のような反応には、三級アミン、四級アンモニウムクロライド、ニトリル化合物、有機ホスフィン化合物などの有機物が触媒役割をすると知られている。
【0009】
米国のユニオンカーバイド社は、米国のロムアンドハース社が製造するアミンやアンモニウム塩がイオン交換樹脂に固定化されたAmberystが、この反応に良い触媒であると報告した。これにより、反応後に生成物を触媒から分離する問題を解決した。
【0010】
本発明者らは、イオン交換樹脂に固定化されたAmberystが多孔性樹脂であるため、水分を吸着して膨潤が起き易く、アミンやアンモニウム塩がベンジルの位置に置換されており、酸性で分解され易いという弱点があって、アミンやアンモニウム塩をシリコン樹脂に置換させて新しい固定化触媒を開発した(I.N. Jung et al、米国特許第4,613,491号明細書および米国特許第4,701,430号明細書)。
【0011】
しかしながら、Si-H結合とSi-Cl結合とを交換させる反応において、アルキル基が置換された有機クロロヒドロシランに適用する反応は多く知られていなく、1947年にホイットモアと共同研究者らにより初めて報告された(F.C. Whitmore;E.W. Pietrusza;L.H. Sommer, J.Am. Chem. Soc., 69, 1947, 2108)。次のようなこの反応に用いられた触媒は塩化アルミニウムであった。
【0012】
1957年にロシアのトルゴブと共同研究者らは、エチルジクロロシランを塩化アルミニウム触媒下でエチルクロロシランとエチルトリクロロシランに再分配したと報告した(B.N. Dolgov;S.N. Borisov;M.G. Voronkov, Zhur. Obschei. Khim., 27, 1957, 2062)。しかしながら、塩化アルミニウムを触媒として用いる次の再分配反応は温度が150〜400℃まで非常に高くて実用性が良くない。
【0013】
ベイリーとワグナーは、エチルジクロロシランやフェニルジクロロシランをアジポニトリル(adiponitrile)を触媒として用いて150〜200℃で再分配したと報告した(D.L. Bailey and G.H. Wagner)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】韓国登録特許第0487904号公報
【特許文献2】韓国登録特許第0491960号公報
【特許文献3】米国特許第4,613,491号明細書
【特許文献4】米国特許第4,701,430号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、各種シリコンオイルやゴムの製造に有用な出発物質である有機クロロヒドロシランを製造することにより、従来技術の問題点を解決しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これに、本発明者らは、従来に使用したことのない四級有機ホスホニウム塩化合物を触媒として用い、安価のSi-H結合を有するクロロシランを用いて有機トリクロロシランに含まれた3つのSi-Cl結合中の1つ又は2つをSi-H結合に交換させることにより、1分子中に加水分解されて重合できるSi-Cl結合と、水素ケイ素化反応で不飽和有機化合物と反応させて新しい有機基が導入できるSi-H結合とを全て有する有機クロロヒドロシランを高効率で製造することができる。
【0017】
これにより、本発明の目的は、1分子中にSi-Cl結合とSi-H結合とを全て含んでいる有機クロロヒドロシランを提供することにある。
【0018】
なお、本発明の他の目的は、上記有機クロロヒドロシランの製造方法を提供することにある。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、四級有機ホスホニウム塩化合物を触媒として用いてSi-H結合とSi-Cl結合とを全て含む新しい有機クロロヒドロシランを高収率で合成でき、上記触媒は、使用後回収して再使用が可能であることから、非常に経済的であるので、シリコンの原料物質の大量生産に効果的であり、且つ上記触媒の使用により常温〜200℃以下の比較的低い温度で反応させることが可能であり、経済的である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上記のような目的を達成するために、本発明の有機クロロヒドロシランは次の一般式(1)で表されることをその特徴とする。
【化1】

式中、aは1又は2であり、Rは以下で定義するものである。
【0021】
また、本発明の他の目的を達成するための有機クロロヒドロシランの製造方法は、四級有機ホスホニウム塩触媒下で次の一般式(2)で表されるシラン化合物と次の一般式(3)で表される有機クロロシランとを反応させて製造されることをその特徴とする。
【化2】

式中、Rは以下で定義するものである。
【化3】

式中、Rは以下で定義するものである。
【0022】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0023】
本発明に係る有機クロロヒドロシランは、次の一般式(1)で表され、四級有機ホスホニウム塩化合物触媒の存在下で次の一般式(2)で表されるシラン化合物と次の一般式(3)で表される有機クロロシランとを反応させることにより得ることができる。
【0024】
【化1】

式中、aは1又は2であり、
aが1であるとき、Rは、塩素、炭素数2〜18の直鎖アルキル基、イソプロピル、イソブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ネオペンチル、2-エチルヘキシル、イソ-オクチル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロヘキセニルメチル、9-アントラセニル、9-アントラセニルメチル、2-(2-ピリジル)エチル、2-(4-ピリジル)エチル、CFCHCH、ジフェニルメチル、2-(ビシクロヘプチル)、5-[(ビシクロヘプテニル)エチル]、11-アセトキシウンデシル、11-クロロウンデシル、フェニル基、ベンジル基、2-フェニルエチル基、1-ナフチル基、CH(C=O)O(CH)(ここで、k=2、3、10である。)、R-Ph-(CH)(ここで、l=0、1、2、3であり、RはC1〜C4のアルキル基又はハロゲン元素である。)、Cl-(CH)(ここで、m=1〜12である。)、NC-(CH)(ここで、n=2〜11である。)、CH=CH-(CH)(ここで、o=0〜20である。)、Ar-CH(Me)-CH(ここで、ArはC1〜C4のアルキル基あるいはハロゲン元素が置換されたフェニル基、ビフェニル基、ビフェニルエーテル基、ナフチル基である。)、ArO-(CH)(ここで、p=3〜18であり、Arは、フェニル基、ビフェニル基、ビフェニルエーテル基、ナフチル基、フェナントリル基である。)、ClSi-(CH)-(ここで、q=0〜12であり、ClSiは例えばClHSiである。)、ClSi-(CH)-Ar-(CH)-(ここで、rは0又は1であり、Arは、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基であり、ClSiは例えばClHSiである。)、2,2,5,5-テトラクロロ-4-トリクロロシリル-2,5-ジシリルシクロヘキシル基(ここで、ClSiは例えばClHSiである。)であり;
aが2であるとき、Rは、塩素、炭素数2〜18の直鎖アルキル基、イソプロピル、イソブチル、2-エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2-(ビシクロヘプチル)、ネオペンチル基、イソ-オクチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘキセニルメチル基、2-(2-ピリジル)エチル基、2-(4-ピリジル)エチル基、5-[(ビシクロヘプテニル)エチル]、11-アセトキシウンデシル、11-クロロウンデシル、フェニル基、ベンジル基、2-フェニルエチル基、1-ナフチル基、ナフチルメチル基、1-ナフチル基、ジフェニルメチル基、CH(C=O)O(CH)(ここで、k=2、3、10である。)、R-Ph-(CH)(ここで、l=0、1、2、3であり、RはC1〜C4のアルキル基又はハロゲン元素である。)、Cl-(CH)(ここで、m=1〜12である。)、NC-(CH)-(ここで、m=2〜11である。)、CH=CH-(CH)-(ここで、o=0〜20である。)、Ar-CH(Me)-CH-(ここで、ArはC1〜C4のアルキル基あるいはハロゲン元素が置換されたフェニル基、ビフェニル基、ビフェニルエーテル基、ナフチル基である。)、ArO-(CH)-(ここで、p=3〜18であり、Arは、フェニル基、ビフェニル基、ビフェニルエーテル基、ナフチル基、フェナントリル基である。)、又は、Ar-(CH)-(ここで、qは0あるいは1であり、Arはビフェニル基又はアントラセニル基である。)である。
【0025】
【化2】

式中、Rは、塩素、メチル基、トリクロロシリルメチル基、ジクロロシリルメチル基又はメチルジクロロシリルメチル基であり、
【化3】

式中、Rは、塩素、炭素数2〜18の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、イソ-オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘキセニルメチル基、2-(2-ピリジル)エチル基、2-(4-ピリジル)エチル基、2-(ビシクロヘプチル)、5-[(ビシクロヘプテニル)エチル]、5-(ビシクロヘプテニル)、11-アセトキシウンデシル、11-クロロウンデシル、フェニル基、ベンジル基、2-フェニルエチル基、1-ナフチル基、ジフェニルメチル、CH(C=O)(CH)-(ここで、k=2、3、10である。)、CF(CF)CHCH-(ここで、l=0〜12である。)、R-Ph-(CH)-(ここで、m=0、1、2、3であり、RはC1〜C4のアルキル基又はハロゲン元素である。)、Cl-(CH)-(ここで、n=1〜12である。)、NC-(CH)-(ここで、o=2〜11である。)、CH=CH-(CH)-(ここで、p=0〜20である。)、Ar-CH(Me)-CH-(ここで、ArはC1〜C4のアルキル基あるいはハロゲン元素が置換されたフェニル基、ビフェニル基、ビフェニルエーテル基、ナフチル基である。)、ArO-(CH)-(ここで、q=3〜18であり、Arは、フェニル基、ビフェニル基、ビフェニルエーテル基、ナフチル基、フェナントリル基である。)、ClSi-(CH)-(ここで、r=0〜12である。)、ClSi-(CH)-Ar-(CH)-(ここで、sは0あるいは1であり、Arは、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、2,2,5,5-テトラクロロ-4-トリクロロシリル-2,5-ジシラシクロヘキシル基である。)、Ar-(CH)-(ここで、tは0あるいは1であり、Arは、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基である。)、又はトリクロロシリル(ClSi-)基あるいはトリクロロシロキシ(ClSiO-)基である。
【0026】
上記一般式(2)で表されるシラン化合物の具体的な例としては、メチルジクロロシラン、(ジクロロシリルメチル)ジクロロシラン、(トリクロロシリルメチル)ジクロロシランおよび(メチルジクロロシリルメチル)ジクロロシランからなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
【0027】
なお、本発明の有機クロロヒドロシランの製造に用いられる触媒の四級有機ホスホニウム塩は、次の一般式(4)又は(5)で表することができる。
【化4】

【化5】

式(4)、(5)中、Xはハロゲン原子を示し、Rは各々互いに同一でも異なっても良く、C1〜C12のアルキル基又は-(CH)u-C(ここで、u=0〜6)を示し、2つのRが互いに共有結合して4員環又は8員環を形成でき、YはC1〜C12のアルキレン基を示す。
【0028】
上記四級有機ホスホニウム塩触媒は、上記一般式(3)で表される有機クロロシラン1モルに対し0.05〜0.5モルを用いることが望ましい。
【0029】
また、本発明に係る四級有機ホスホニウム塩触媒は、上記一般式(4)又は(5)で表される四級有機ホスホニウム塩化合物を直接用いるか、もしくはシリコンレジン、シリカ、無機錯体、および有機高分子からなる群より選ばれる1種以上の担体に固定化させて用いることもできる。 例えば、シリコンレジンの場合(Cl-BuP+(CH)-SiO3/2)nの構造のように、シリコンレジンに触媒活性を有するホスホニウム塩を含む構造を有し、上記他の担体の場合も類似した構造で高分子の担体に触媒活性を有するホスホニウム塩が固定化された構造を有する。上記触媒を種々の担体に固定化させる技術は、特に限定されず、通常の触媒固定化方法を用いるので、その詳細な説明は省略する。
【0030】
なお、本発明に係る上記反応は、20〜200℃の温度範囲で行われるが、望ましくは50〜100℃で反応することが良い。また、上記反応は、反応溶媒が存在しない状態で反応することが望ましいが、必要に応じて選択的にベンゼン、トルエン、およびキシレンからなる群より選ばれる1種以上の芳香族炭化水素溶媒の存在下で行われても良い。
【0031】
一方、本発明では、上記一般式(2)で表されるSi-H結合を有するシラン化合物は、上記一般式(3)で表される有機クロロシラン1モルに対し1〜20モルの範囲で反応させ、望ましくは1〜6モルの範囲で反応させる。
【0032】
本発明の有機クロロヒドロシランの製造反応はバッチ法や連続工程で行われることが望ましい。
【0033】
本発明を次の実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0034】
実施例1:テトラクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
オーブンで乾燥させた25mlのステンレススチール管からなる反応槽を乾燥した窒素気体下で冷却させた後、2.5g(0.015mol)のテトラクロロシラン、9.7g(0.090mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0015mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れた。反応槽の入口を栓で密封し、80℃で3時間反応させた後、気体クロマトグラフィーにて出発物質の消耗と生成物を確認でき、反応物の常圧蒸溜により1.5g(収率73.3%)のトリクロロシランと0.2g(収率2.2%)のジクロロシランとを得た。
【0035】
得られた生成物を300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、トリクロロシランは、δ6.15ppm(s、1H)でSi-H、ジクロロシランはδ5.37ppm(s、2H)でSi-Hのピークを確認した。
【0036】
実施例2:ヘキシルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に3.0g(0.014mol)のヘキシルトリクロロシラン、9.7g(0.084mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0014mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の常圧蒸留により1.9g(収率73.3%)のヘキシルジクロロシランと0.2g(収率9.5%)のヘキシルクロロシランとを得た。
【0037】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、ヘキシルジクロロシランは、δ5.51ppm(t、1H)でSi-H、δ1.17〜1.56ppm(m、10H)で-CH-、δ0.89ppm(t、3H)で-CH -CHのピークを確認した。ヘキシルクロロシランは、δ5.14ppm(t、2H)でSi-H、δ1.13〜1.46ppm(m、10H)で-CH-、δ0.93ppm(t、3H)で-CH -CHのピークを確認した。
【0038】
実施例3:オクタデシルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に5.0g(0.013mol)のオクタデシルトリクロロシラン、9.0g(0.078mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0013mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により3.0g(収率61.5%)のオクタデシルジクロロシランと0.4g(収率9.6%)のオクタデシルクロロシランとを得た。
【0039】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、オクタデシルジクロロシランは、δ5.38ppm(t、1H)でSi-H、δ1.18〜1.53ppm(m、34H)で-CH-、δ0.93ppm(t、3H)で-CH-CHのピークを確認した。オクタデシルクロロシランは、δ4.88ppm(t、2H)でSi-H、δ1.12〜1.55ppm(m、34H)で-CH-、δ0.94ppm(t、3H)で-CH-CHのピークを確認した。
【0040】
実施例4:オクタデシルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に2.0g(0.005mol)のオクタデシルトリクロロシラン、6.9g(0.060mol)のメチルジクロロシランと0.2g(0.0005mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により1.1g(収率69.0%)のオクタデシルクロロシランと0.2g(収率11.3%)のオクタデシルジクロロシランとを得た。各生成物のピーク確認は上記実施例3と同様である。
【0041】
実施例5:イソプロピルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に2.5g(0.014mol)のイソプロピルトリクロロシラン、9.7g(0.085mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0014mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の常圧蒸溜により1.6g(収率79.9%)のイソプロピルジクロロシランと0.1g(収率6.6%)のイソプロピルクロロシランとを得た。
【0042】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、イソプロピルジクロロシランは、δ5.39ppm(s、1H)でSi-H、δ1.37ppm(m、1H)でCH-CH-Si、δ1.16ppm(d、6H)でCH-CHのピークを確認した。イソプロピルクロロシランは、δ5.21ppm(s、2H)でSi-H、δ1.33ppm(m、1H)でCH-CH-Si、δ1.16ppm(d、6H)でCH-CHのピークを確認した。
【0043】
実施例6:イソブチルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に2.0g(0.010mol)のイソブチルトリクロロシラン、6.9g(0.060mol)のメチルジクロロシランと0.3g(0.0010mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の常圧蒸留により1.2g(収率76.3%)のイソブチルジクロロシランと0.2g(収率16.3%)のイソブチルクロロシランとを得た。
【0044】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、イソブチルジクロロシランは、δ5.37ppm(s、1H)でSi-H、δ1.54〜1.62ppm(m、1H)でCH-CH-CH、δ1.32ppm(t、2H)でCH-CH-Si、δ1.14(d、6H)でCH-CHのピークを確認した。イソブチルクロロシランは、δ5.13ppm(s、2H)でSi-H、δ1.53〜1.67ppm(m、1H)でCH-CH-CH、δ1.32ppm(t、2H)でCH-CH-Si、δ1.19(d、6H)でCH-CHのピークを確認した。
【0045】
実施例7:イソブチルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラエチルホスホニウムクロライド182.67)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に2.0g(0.010mol)のイソブチルトリクロロシラン、6.9g(0.060mol)のメチルジクロロシランと0.2g(0.0010mol)のテトラエチルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により1.1g(収率70.0%)のイソブチルジクロロシランと0.2g(収率16.3%)のイソブチルクロロシランとを得た。各生成物のピーク確認は上記実施例6と同様である。
【0046】
実施例8:ネオペンチルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に2.5g(0.012mol)のネオペンチルトリクロロシラン、8.4g(0.073mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0012mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により1.7g(収率81.4%)のネオペンチルジクロロシランと0.2g(収率12.2%)のネオペンチルクロロシランとを得た。
【0047】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、ネオペンチルジクロロシランは、δ5.65ppm(t、1H)でSi-H、δ1.39ppm(d、2H)でC-CH-Si、δ1.12ppm(s、9H)でC-CHのピークを確認した。ネオペンチルクロロシランは、δ5.23ppm(t、2H)でSi-H、δ1.41ppm(t、2H)でC-CH-Si、δ1.12ppm(s、9H)でC-CHのピークを確認した。
【0048】
実施例9:2-エチルヘキシルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に3.5g(0.014mol)の2-エチルヘキシルトリクロロシラン、9.7g(0.084mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0014 mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により2.2g(収率73.7%)の2-エチルヘキシルジクロロシランと0.4g(収率16.0%)の2-エチルヘキシルクロロシランとを得た。
【0049】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、2-エチルヘキシルジクロロシランは、δ5.88ppm(t、1H)でSi-H、δ1.56ppm(m、1H)で-CH-、δ1.23〜1.35ppm(m、10H)で-CH-、δ0.96〜1.10ppm(m、6H)で-CH-のピークを確認した。2-エチルヘキシルクロロシランは、δ5.32ppm(t、2H)でSi-H、δ1.49ppm(m、1H)で-CH-、δ1.26〜1.35ppm(m、10H)で-CH-、δ0.92〜1.14ppm(m、6H)で-CH-のピークを確認した。
【0050】
実施例10:シクロペンチルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
上記実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に2.5g(0.012mol)のシクロペンチルトリクロロシラン、8.5g(0.074mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0012mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により1.7g(収率81.7%)のシクロペンチルジクロロシランと0.2g(収率12.4%)のシクロペンチルクロロシランとを得た。
【0051】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、シクロペンチルジクロロシランは、δ5.43ppm(s、2H)でSi-H、δ1.47〜1.93ppm(m、9H)でシクロペンチル-Hのピークを確認した。シクロペンチルクロロシランは、δ5.17ppm(s、2H)でSi-H、δ1.44〜1.94ppm(m、9H)でシクロペンチル-Hのピークを確認した。
【0052】
実施例11:シクロヘキシルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に2.5g(0.011mol)のシクロヘキシルトリクロロシラン、7.6g(0.066mol)のメチルジクロロシランと0.3g(0.0011mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて120℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により1.5g(収率74.4%)のシクロヘキシルジクロロシランと0.1g(収率6.1%)のシクロヘキシルクロロシランとを得た。
【0053】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、シクロヘキシルジクロロシランは、δ5.39ppm(s、1H)でSi-H、δ1.42〜1.87ppm(m、11H)でシクロヘキシル-Hのピークを確認した。シクロヘキシルクロロシランは、δ4.89ppm(d、2H)でSi-H、δ1.32〜1.79ppm(m、11H)でシクロヘキシル-Hのピークを確認した。
【0054】
実施例12:シクロヘキシルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラフェニルホスホニウムクロライド374.84)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に2.5g(0.011mol)のシクロヘキシルトリクロロシラン、7.6g(0.066mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0011mol)のテトラフェニルホスホニウムクロライドを入れて120℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により1.3g(収率64.5%)のシクロヘキシルジクロロシランと0.2g(収率12.2%)のシクロヘキシルクロロシランとを得た。各生成物のピーク確認は上記実施例11と同様である。
【0055】
実施例13:2-(2-ピリジル)エチルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に3.0g(0.013mol)の2-(2-ピリジル)エチルトリクロロシラン、9.0g(0.078mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0013mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて120℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により1.8g(収率67.2%)の2-(2-ピリジル)エチルジクロロシランと0.1g(収率4.5%)の2-(2-ピリジル)エチルクロロシランとを得た。
【0056】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、2-(2-ピリジル)エチルジクロロシランは、δ5.71ppm(t、1H)でSi-H、δ2.92ppm(t、2H)でC-CH-CH、δ1.82ppm(q、2H)でCH-CH-Si、δ7.10〜8.52ppm(m、4H)でAr-Hのピークを確認した。2-(2-ピリジル)エチルクロロシランは、δ5.32ppm(t、2H)でSi-H、δ2.88ppm(t、2H)でC-CH-CH、δ1.85ppm(m、2H)でCH-CH-Si、δ7.04〜8.42ppm(m、4H)でAr-Hのピークを確認した。
【0057】
実施例14:2-(ビシクロヘプチル)トリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に3.0g(0.013mol)の2-(ビシクロヘプチル)トリクロロシラン、9.0g(0.078mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0013mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて120℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により2.0g(収率78.9%)の2-(ビシクロヘプチル)ジクロロシランと0.2g(収率9.6%)の2-(ビシクロヘプチル)クロロシランとを得た。
【0058】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、2-(ビシクロヘプチル)ジクロロシランは、δ5.44ppm(d、1H)でSi-H、δ1.28〜1.63ppm(m、11H)で-CH-のピークを確認した。2-(ビシクロヘプチル)クロロシランは、δ5.12ppm(d、2H)でSi-H、δ1.23〜1.62ppm(m、11H)で-CH-のピークを確認した。
【0059】
実施例15:(ジフェニルメチル)トリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に4.0g(0.013mol)の(ジフェニルメチル)トリクロロシラン、9.0g(0.078mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0013mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて120℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により2.5g(収率72.0%)の(ジフェニルメチル)ジクロロシランと0.3g(収率9.9%)の(ジフェニルメチル)クロロシランとを得た。
【0060】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、(ジフェニルメチル)ジクロロシランは、δ5.77ppm(d、1H)でSi-H、δ3.92ppm(d、1H)でSi-CH、δ7.34〜8.25ppm(m、10H)でAr-Hのピークを確認した。(ジフェニルメチル)クロロシランは、δ5.23ppm(d、2H)でSi-H、δ3.82ppm(t、1H)でSi-CH、δ7.38〜8.26ppm(m、10H)でAr-Hのピークを確認した。
【0061】
実施例16:(ジフェニルメチル)トリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に2.0g(0.007mol)の(ジフェニルメチル)トリクロロシラン、9.7g(0.084mol)のメチルジクロロシランと0.2g(0.0007mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて120℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により1.0g(収率61.4%)の(ジフェニルメチル)クロロシランと0.1g(収率5.3%)の(ジフェニルメチル)ジクロロシランとを得た。各生成物のピーク確認は上記実施例15と同様である。
【0062】
実施例17:アセトキシエチルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に3.0g(0.014mol)のアセトキシエチルトリクロロシラン、9.7g(0.084mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0014mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて120℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により1.8g(収率68.7%)のアセトキシエチルジクロロシランと0.1g(収率4.7%)のアセトキシエチルクロロシランとを得た。
【0063】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、アセトキシエチルジクロロシランは、δ5.23ppm(t、1H)でSi-H、δ4.28ppm(t、2H)でO-CH-CH、δ2.17ppm(s、3H)で-C-CH、δ1.63ppm(q、2H)で-CH-CH-Siのピークを確認した。アセトキシエチルクロロシランは、δ4.83ppm(t、2H)でSi-H、δ4.18ppm(t、2H)でO-CH-CH、δ2.09ppm(s、3H)で-C-CH、δ1.68ppm(m、2H)で-CH-CH-Siのピークを確認した。
【0064】
実施例18:11-アセトキシウンデシルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に5g(0.014mol)の11-アセトキシウンデシルトリクロロシラン、9.7g(0.084mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0014mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて120℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により3.1g(収率70.1%)の11-アセトキシウンデシルジクロロシランと0.3g(収率7.7%)の11-アセトキシウンデシルクロロシランとを得た。
【0065】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、11-アセトキシウンデシルジクロロシランは、δ5.29ppm(t、1H)でSi-H、δ4.08ppm(t、2H)でO-CH-CH、δ2.06ppm(s、3H)で-C-CH、δ1.29〜1.57ppm(m、18H)で-CH-、δ1.33ppm(q、2H)で-CH-CH-Siのピークを確認した。11-アセトキシウンデシルクロロシランは、δ4.99ppm(t、2H)でSi-H、δ4.01ppm(t、2H)でO-CH-CH、δ2.01ppm(s、3H)で-C-CH、δ1.25〜1.60ppm(m、18H)で-CH-、δ1.30ppm(m、2H)で-CH-CH-Siのピークを確認した。
【0066】
実施例19:(ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシル)トリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に7.0g(0.012mol)の(ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシル)トリクロロシラン8.3g(0.072mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0012mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により5.3g(収率80.7%)の(ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシル)ジクロロシランと0.4g(収率6.5%)の(ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシル)クロロシランとを得た。
【0067】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、(ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシル)ジクロロシランは、δ5.62ppm(t、1H)でSi-H、δ2.30ppm(q、2H)でSi-CH-CH、δ1.48ppm(t、2H)でCF-CH-CHのピークを確認した。(ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシル)クロロシランは、δ5.24ppm(t、2H)でSi-H、δ2.33ppm(m、2H)でSi-CH-CH、δ1.44ppm(t、2H)で CF-CH-CHのピークを確認した。
【0068】
実施例20:トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に5.7g(0.012mol)のトリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチルトリクロロシラン、8.3g(0.072mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0012mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により3.1g(収率57.8%)のトリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチルジクロロシランと0.3g(収率6.1%)のトリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチルクロロシランとを得た。
【0069】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチルジクロロシランは、δ5.56ppm(t、1H)でSi-H、δ2.36ppm(t、2H)でSi-CH-CH、δ1.67ppm(t、2H)でCF-CH-CHのピークを確認した。トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチルクロロシランは、δ5.23ppm(t、2H)でSi-H、δ2.38ppm(m、2H)でSi-CH-CH、δ1.72ppm(t、2H)でCF-CH-CHのピークを確認した。
【0070】
実施例21:トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド388.87)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に5.7g(0.012mol)のトリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチルトリクロロシラン、8.3g(0.072mol)のメチルジクロロシランと0.5g(0.0012mol)のベンジルトリフェニルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により3.3g(収率61.5%)のトリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチルジクロロシランと0.2g(収率4.1%)のトリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチルクロロシランとを得た。各生成物のピーク確認は上記実施例20と同様である。
【0071】
実施例22:(4-フルオロベンジル)トリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に3.5g(0.014mol)の(4-フルオロベンジル)トリクロロシラン、9.7g(0.084mol)のメチルジクロロシランと0.5g(0.0014 mol)のベンジルトリフェニルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により2.1g(収率71.7%)の(4-フルオロベンジル)ジクロロシランと0.1g(収率4.1%)の(4-フルオロベンジル)クロロシランとを得た。
【0072】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、(4-フルオロベンジル)トリクロロシランは、δ5.71ppm(t、1H)でSi-H、δ2.92ppm(d、2H)でSi-CH-C、δ7.10ppm(m、4H)でAr-Hのピークを確認した。(4-フルオロベンジル)クロロシランは、δ5.33ppm(t、2H)でSi-H、δ2.84ppm(t、2H)でSi-CH-C、δ7.13ppm(m、4H)でAr-Hのピークを確認した。
【0073】
実施例23:3-クロロプロピルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に3.0g(0.014mol)の3-クロロプロピルトリクロロシラン、9.7g(0.084mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0014mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により2.0g(収率80.5%)の3-クロロプロピルジクロロシランと0.2g(収率10.0%)の3-クロロプロピルクロロシランとを得た。
【0074】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、3-クロロプロピルジクロロシランは、δ5.57ppm(t、1H)でSi-H、δ3.60ppm(t、2H)でCl-CH、δ1.99ppm(m、2H)でCH-CH-CH、δ1.37ppm(t、2H)でCH-CH-Siのピークを確認した。3-クロロプロピルクロロシランは、δ5.13ppm(t、2H)でSi-H、δ3.53ppm(t、2H)でCl-CH、δ2.07ppm(m、2H)でCH-CH-CH、δ1.38ppm(t、2H)でCH-CH-Siのピークを確認した。
【0075】
実施例24:11-クロロウンデシルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に4.5g(0.014mol)の11-クロロウンデシルトリクロロシラン、9.7g(0.084mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0014mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により2.9g(収率71.4%)の11-クロロウンデシルジクロロシランと0.3g(収率8.4%)の11-クロロウンデシルクロロシランとを得た。
【0076】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、11-クロロウンデシルジクロロシランは、δ5.36ppm(t、1H)でSi-H、δ3.38ppm(t、2H)でCl-CH、δ1.56〜1.84ppm(m、18H)で-CH-、δ1.37ppm(t、2H)でCH-CH-Siのピークを確認した。11-クロロウンデシルクロロシランは、δ4.89ppm(t、2H)でSi-H、δ3.48ppm(t、2H)でCl-CH、δ1.49〜1.75ppm(m、18H)で-CH-、δ1.37ppm(t、2H)でCH-CH-Siのピークを確認した。
【0077】
実施例25:シアノエチルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に2.5g(0.013mol)のシアノエチルトリクロロシラン、9.0g(0.078mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0013mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて120℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により1.5g(収率74.9%)のシアノエチルジクロロシランと0.1g(6.4%)のシアノエチルクロロシランとを得た。
【0078】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、シアノエチルジクロロシランは、δ5.15ppm(t、1H)でSi-H、δ2.54ppm(t、2H)でNC-CH-CH、δ1.72ppm(t、2H)で-CH-CH-Siのピークを確認した。シアノエチルクロロシランは、δ4.85ppm(t、2H)でSi-H、δ2.53ppm(t、2H)でNC-CH-CH、δ1.70ppm(t、2H)で- CH-CH-Siのピークを確認した。
【0079】
実施例26:シアノエチルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に1.0g(0.005mol)のシアノエチルトリクロロシラン、6.9g(0.060mol)のメチルジクロロシランと0.2g(0.0005mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて120℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により0.5g(収率83.6%)のシアノエチルクロロシランと0.1g(13.0%)のシアノエチルジクロロシランとを得た。各生成物のピーク確認は上記実施例25と同様である。
【0080】
実施例27:アリルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に2.5g(0.014mol)のアリルトリクロロシラン、9.7g(0.084mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0014mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて120℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により1.4g(収率70.9%)のアリルジクロロシランと0.2g(収率13.4%)のアリルクロロシランとを得た。
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、アリルジクロロシランはδ5.46ppm(t、1H)でSi-H、δ5.69〜5.83ppm(m、1H)でCH=CH-CH、δ5.17ppm(d、2H)でCH=CH、δ2.17ppm(t、2H)でCH-CH-Siのピークを確認した。アリルクロロシランはδ5.09ppm(t、2H)でSi-H、δ5.61〜5.93ppm(m、1H)でCH=CH-CH、δ5.23ppm(d、2H)でCH=CH、δ2.13ppm(t、2H)でCH-CH-Siのピークを確認した。
【0081】
実施例28:5-ヘキセニルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラフェニルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に3.0g(0.014mol)の5-ヘキセニルトリクロロシラン、9.7g(0.084mol)のメチルジクロロシランと0.5g(0.0014mol)のテトラフェニルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により1.7g(収率66.3%)の5-ヘキセニルジクロロシランと0.2g(収率9.6%)の5-ヘキセニルクロロシランとを得た。
【0082】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、5-ヘキセニルジクロロシランは、δ5.47ppm(t、1H)でSi-H、δ1.17〜1.56ppm(m、8H)で-CH-、δ5.89ppm(q、1H)でCH=CH、δ5.02ppm(d、2H)でCH=CHのピークを確認した。5-ヘキセニルクロロシランは、δ5.17ppm(t、2H)でSi-H、δ1.12〜1.51ppm(m、8H)で-CH-、δ5.83ppm(q、1H)でCH=CH、δ4.99ppm(d、2H)でCH=CHのピークを確認した。
【0083】
実施例29:7-オクテニルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラフェニルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に3.5g(0.014mol)の7-オクテニルトリクロロシラン、9.7g(0.084mol)のメチルジクロロシランと0.5g(0.0014mol)のテトラフェニルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により1.9g(収率64.2%)の7-オクテニルジクロロシランと0.1g(収率4.0%)の7-オクテニルクロロシランとを得た。
【0084】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、7-オクテニルジクロロシランは、δ5.67ppm(t、1H)でSi-H、δ1.27〜1.86ppm(m、12H)で-CH-、δ5.99ppm(q、1H)でCH=CH、δ5.13ppm(d、2H)でCH=CHのピークを確認した。7-オクテニルクロロシランは、δ5.37ppm(t、2H)でSi-H、δ1.32〜1.93ppm(m、12H)で-CH-、δ5.89ppm(q、1H)でCH=CH、δ5.11ppm(d、2H)でCH=CHのピークを確認した。
【0085】
実施例30:11-フェノキシウンデシルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に5.0g(0.013mol)の11-フェノキシウンデシルトリクロロシラン、9.0g(0.078mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0013mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて120℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により2.9g(収率64.2%)の11-フェノキシウンデシルジクロロシランと0.3g(収率6.6%)の11-フェノキシウンデシルクロロシランとを得た。
【0086】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、11-フェノキシウンデシルジクロロシランは、δ5.33ppm(t、1H)でSi-H、δ3.92ppm(t、2H)でO-CH、δ1.39〜1.61ppm(m、18H)で-CH-、δ1.18ppm(q、2H)でCH-CH-Si、δ6.77〜7.15ppm(m、5H)でAr-Hのピークを確認した。11-フェノキシウンデシルクロロシランは、δ4.93ppm(t、2H)でSi-H、δ3.99ppm(t、2H)でO-CH、δ1.33〜1.60ppm(m、18H)で-CH-、δ1.12ppm(q、2H)でCH-CH-Si、δ6.90〜7.25ppm(m、5H)でAr-Hのピークを確認した。
【0087】
実施例31:3-ナフトキシプロピルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に4.5g(0.014mol)の3-ナフトキシプロピルトリクロロシラン、9.7g(0.084mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0014mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて120℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により3.0g(収率75.1%)の3-ナフトキシプロピルジクロロシランと0.5g(収率14.2%)の3-ナフトキシプロピルクロロシランとを得た。
【0088】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、3-ナフトキシプロピルジクロロシランは、δ5.43ppm(t、1H)でSi-H、δ3.94ppm(t、2H)でO-CH、δ1.68ppm(m、2H)で CH-CH-CH、δ1.24ppm(q、2H)でCH-CH-Si、δ6.97〜7.60ppm(m、7H)でAr-Hのピークを確認した。3-ナフトキシプロピルクロロシランは、δ5.23ppm(t、2H)でSi-H、δ3.98ppm(t、2H)でO-CH、δ1.61ppm(m、2H)でCH-CH-CH、δ1.19ppm(q、2H)でCH-CH-Si、δ6.91〜7.53ppm(m、7H)でAr-Hのピークを確認した。
【0089】
実施例32:ビストリクロロシリルメタンとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に5.0g(0.018mol)のビストリクロロシリルメタン、12.2g(0.106mol)のメチルジクロロシランと0.5g(0.0018 mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により3.3g(収率75.0%)の(トリクロロシリルメチル)ジクロロシランと0.3g(収率7.8%)のビスジクロロシリルメタンとを得た。
【0090】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、(トリクロロシリルメチル)ジクロロシランは、δ5.71ppm(t、1H)でSi-H、δ1.63ppm(d、2H)で-CH-のピークを確認した。ビスジクロロシリルメタンは、δ5.21ppm(t、2H)でSi-H、δ1.63ppm(t、2H)で-CH-のピークを確認した。
【0091】
実施例33:ビストリクロロシリルメタンとメチルジクロロシランとの反応(触媒:ベンジルトリブチルホスホニウムクロライド328.9)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に5.0g(0.018mol)のビストリクロロシリルメタン、12.2g(0.108mol)のメチルジクロロシランと0.6g(0.0018mol)のベンジルトリブチルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により3.1g(収率69.3%)の(トリクロロシリルメチル)ジクロロシランと0.2g(収率5.2%)のビスジクロロシリルメタンとを得た。各生成物のピーク確認は上記実施例32と同様である。
【0092】
実施例34:ビストリクロロシリルプロパンとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に4.0g(0.013mol)のビストリクロロシリルプロパン、9.0g(0.078mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0013mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて120℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により2.5g(収率69.5%)の1-(ジクロロシリル)-3-(トリクロロシリル)プロパンと0.2g(収率6.4%)のビスジクロロシリルプロパンとを得た。
【0093】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、1-(ジクロロシリル)-3-(トリクロロシリル)プロパンは、δ5.68ppm(t、1H)でSi-H、δ1.23〜1.68ppm(t、6H)で-CH-のピークを確認した。ビスジクロロシリルプロパンは、δ5.28ppm(t、2H)でSi-H、δ1.20〜1.66ppm(t、6H)で-CH-のピークを確認した。
【0094】
実施例35:ビストリクロロシリルプロパンとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に2.0g(0.006mol)のビストリクロロシリルプロパン、8.3g(0.072mol)のメチルジクロロシランと0.2g(0.0006mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて120℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により1.2g(収率82.6%)のビスジクロロシリルプロパンと0.1g(収率6.0%)の1-(ジクロロシリル)-3-(トリクロロシリル)プロパンとを得た。各生成物のピーク確認は上記実施例34と同様である。
【0095】
実施例36:ビストリクロロシリルオクタンとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に2.6g(0.007mol)のビストリクロロシリルオクタン、9.7g(0.084mol)のメチルジクロロシランと0.2g(0.0007mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて120℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により1.3g(収率59.5%)のビスジクロロシリルオクタンと0.1g(収率4.1%)の1-(ジクロロシリル)-8-(トリクロロシリル)オクタンとを得た。
【0096】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、ビスジクロロシリルオクタンは、δ5.32ppm(t、2H)でSi-H、δ1.46ppm(t、4H)でSi-CH-、δ1.19〜1.37ppm(m、12H)で-CH-のピークを確認した。1-(ジクロロシリル)-8-(トリクロロシリル)オクタンは、δ5.62ppm(t、1H)でSi-H、δ1.41ppm(t、4H)でSi-CH-、δ1.12〜1.31ppm(m、12H)で-CH-のピークを確認した。
【0097】
実施例37:2,5-ビス(トリクロロシリル)-1,1,4,4-テトラクロロ-1,4-ジシラシクロヘキサンとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に3.0g(0.0058mol)の2,5-ビス(トリクロロシリル)-1,1,4,4-テトラクロロ-1,4-ジシラシクロヘキサン、8.0g(0.069mol)のメチルジクロロシランと0.2g(0.0006mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により2.1g(収率80.1%)の2,5-ビス(ジクロロシリル)-1,1,4,4-テトラクロロ-1,4-ジシラシクロヘキサンと0.2g(収率7.1%)の2-(ジクロロシリル)-5-(トリクロロシリル)-1,1,4,4-テトラクロロ-1,4-ジシラシクロヘキサンとを得た。
【0098】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、2,5-ビス(ジクロロシリル)-1,1,4,4-テトラクロロ-1,4-ジシラシクロヘキサンは、δ5.34ppm(d、2H)でSi-H、δ1.82ppm(t、2H)でSi-CH-Si、δ1.57ppm(d、4H)でSi-CH-Cのピークを確認した。2-(ジクロロシリル)-5-(トリクロロシリル)-1,1,4,4-テトラクロロ-1,4-ジシラシクロヘキサンは、δ5.54ppm(d、1H)でSi-H、δ1.75〜1.88ppm(m、2H)でSi-CH-Si、δ1.57ppm(d、4H)でSi-CH-Cのピークを確認した。
【0099】
実施例38:1,4-ビス(トリクロロシリル)ベンゼンとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に4.0g(0.012mol)の1,4-ビス(トリクロロシリル)ベンゼン、8.3g(0.072mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0012mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて120℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により2.5g(収率75.5%)の1-(ジクロロシリル)-4-(トリクロロシリル)ベンゼンと0.2g(収率6.0%)の1,4-ビス(ジクロロシリル)ベンゼンとを得た。
【0100】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、1-(ジクロロシリル)-4-(トリクロロシリル)ベンゼンは、δ5.84ppm(s、1H)でSi-H、δ7.34ppm(d、4H)でAr-Hのピークを確認した。1,4-ビス(ジクロロシリル)ベンゼンは、δ5.44ppm(s、2H)でSi-H、δ7.34ppm(d、4H)でAr-Hのピークを確認した。
【0101】
実施例39:1,4-ビス(トリクロロシリル)ベンゼンとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に2.0g(0.006mol)の1,4-ビス(トリクロロシリル)ベンゼン、8.3g(0.072mol)のメチルジクロロシランと0.2g(0.0006mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により1.1g(収率66.4%)の1,4-ビス(ジクロロシリル)ベンゼンと0.1g(収率5.4%)の1-(ジクロロシリル)-4-(トリクロロシリル)ベンゼンとを得た。各生成物のピーク確認は上記実施例38と同様である。
【0102】
実施例40:4,4'-ビス(トリクロロシリルメチル)ビフェニルとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に6.0g(0.013mol)の4,4'-ビス(トリクロロシリルメチル)ビフェニル、9.0g(0.078mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0013 mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて120℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により4.0g(収率74.2%)の4-(ジクロロシリルメチル)-4'-(トリクロロシリルメチル)ビフェニルと0.3g(収率7.4%)の4,4'-ビス(ジクロロシリルメチル)ビフェニルとを得た。
【0103】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、4-(ジクロロシリルメチル)-4'-(トリクロロシリルメチル)ビフェニルは、δ5.94ppm(t、1H)でSi-H、δ2.28〜2.63ppm(ds、4H)でAr-CH-Si、δ7.14〜7.37ppm(m、8H)でAr-Hのピークを確認した。4,4'-ビス(ジクロロシリルメチル)ビフェニルは、δ5.54ppm(t、2H)でSi-H、δ2.38ppm(d、4H)でAr-CH-Si、δ7.10〜7.42ppm(m、8H)でAr-Hのピークを確認した。
【0104】
実施例41:4,4'-ビス(トリクロロシリルメチル)ビフェニルとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に3.0g(0.007mol)の4,4'-ビス(トリクロロシリルメチル)ビフェニル、9.7g(0.084mol)のメチルジクロロシランと0.2g(0.0007mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて120℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により1.8g(収率67.6%)の4,4'-ビス(ジクロロシリルメチル)ビフェニルと0.2g(収率7.5%)の4-(ジクロロシリルメチル)-4'-(トリクロロシリルメチル)ビフェニルとを得た。各生成物のピーク確認は上記実施例40と同様である。
【0105】
実施例42:フェニルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に2.5g(0.012mol)のフェニルトリクロロシラン、8.1g(0.072mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0012mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により1.7g(収率80.0%)のフェニルジクロロシランと0.1g(収率5.8%)のフェニルクロロシランとを得た。得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、フェニルジクロロシランは、δ5.99ppm(s、1H)でSi-H、δ7.48〜7.84ppm(m、5H)でAr-Hのピークを確認した。フェニルクロロシランは、δ5.52ppm(s、2H)でSi-H、δ7.58〜7.87ppm(m、5H)でAr-Hのピークを確認した。
【0106】
実施例43:フェニルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:4級ホスホニウム塩を含んだ固形化触媒のシリコンレジン)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に2.5g(0.012mol)のフェニルトリクロロシラン、8.1g(0.071mol)のメチルジクロロシランと0.8gのシリコンレジン[(RSiO3/2)n、R={3-(トリブチルホスホニウム)プロピル}クロライド]を入れて80℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により1.3g(収率61.2%)のフェニルジクロロシランと0.1g(収率5.8%)のフェニルクロロシランとを得た。各生成物のピーク確認は上記実施例42と同様である。
【0107】
実施例44:ベンジルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:ベンジルトリエチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に3.0g(0.013mol)のベンジルトリクロロシラン、9.0g(0.078mol)のメチルジクロロシランと0.5g(0.0013mol)のベンジルトリフェニルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により1.9g(収率76.4%)のベンジルジクロロシランと0.1g(収率4.9%)のベンジルクロロシランとを得た。
【0108】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、ベンジルジクロロシランは、δ5.88ppm(t、1H)でSi-H、δ2.78ppm(d、2H)でSi-CH-C、δ7.10ppm(m、5H)でAr-Hのピークを確認した。ベンジルクロロシランは、δ5.52ppm(t、2H)でSi-H、δ2.70ppm(t、2H)でSi-CH-C、δ7.13ppm(m、5H)でAr-Hのピークを確認した。
【0109】
実施例45:(2-フェニルエチル)トリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:ベンジルトリエチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に3.0g(0.013mol)の(2-フェニルエチル)トリクロロシラン、9.0g(0.078mol)のメチルジクロロシランと0.5g(0.0013mol)のベンジルトリフェニルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により2.0g(収率75.0%)の(2-フェニルエチル)ジクロロシランと0.3g(収率13.5%)の(2-フェニルエチル)クロロシランとを得た。
【0110】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、(2-フェニルエチル)ジクロロシランは、δ5.83ppm(t、1H)でSi-H、δ2.68ppm(t、2H)でAr-CH-C、δ1.72ppm(q、2H)でSi-CH-C、δ7.10ppm(m、5H)でAr-Hのピークを確認した。(2-フェニルエチル)クロロシランは、δ5.43ppm(t、2H)でSi-H、δ2.71ppm(t、2H)でAr-CH-C、δ1.75ppm(m、2H)でSi-CH-C、δ7.14ppm(m、5H)でAr-Hのピークを確認した。
【0111】
実施例46:9-トリクロロシリルアントラセンとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に4.0g(0.013mol)の9-トリクロロシリルアントラセン、9.0g(0.078mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0013 mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて120℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により2.8g(収率77.7%)の9-ジクロロシリルアントラセンと0.1g(収率3.2%)の9-クロロシリルアントラセンとを得た。
【0112】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、9-ジクロロシリルアントラセンは、δ5.88ppm(s、1H)でSi-H、δ7.10〜7.43ppm(m、9H)でAr-Hのピークを確認した。9-クロロシリルアントラセンは、δ5.33ppm(s、2H)でSi-H、δ7.14〜7.46ppm(m、9H)でAr-Hのピークを確認した。
【0113】
実施例47:1-ナフチルトリクロロシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に3.5g(0.013mol)の1-ナフチルトリクロロシラン、9.0g(0.078mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0013mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて120℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により2.4g(収率81.3%)の1-ナフチルジクロロシランと0.1g(収率4.0%)の1-ナフチルクロロシランとを得た。
【0114】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、1-ナフチルジクロロシランは、δ5.79ppm(s、1H)でSi-H、δ7.02〜7.33ppm(m、7H)でAr-Hのピークを確認した。1-ナフチルクロロシランは、δ5.31ppm(s、2H)でSi-H、δ7.05〜7.35ppm(m、7H)でAr-Hのピークを確認した。
【0115】
実施例48:9-トリクロロシリルメチルアントラセンとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に4.5g(0.014mol)の9-トリクロロシリルメチルアントラセン、9.7g(0.084mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0014mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて120℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により3.3g(収率80.9%)の9-ジクロロシリルメチルアントラセンと0.3g(収率8.3%)の9-クロロシリルメチルアントラセンとを得た。
【0116】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、9-ジクロロシリルメチルアントラセンは、δ6.01ppm(t、1H)でSi-H、δ2.48ppm(d、2H)でSi-CH-Ar、δ7.20〜7.42ppm(m、9H)でAr-Hのピークを確認した。9-クロロシリルメチルアントラセンは、δ5.52ppm(t、2H)でSi-H、δ2.34ppm(t、2H)でSi-CH-Ar、δ7.17〜7.41ppm(m、9H)でAr-Hのピークを確認した。
【0117】
実施例49:1,1,1,3,3-ペンタクロロ-1,3-ジシラブタンとメチルジクロロシランとの反応(触媒:ベンジルトリブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に4.0g(0.015mol)の1,1,1,3,3-ペンタクロロ-1,3-ジシラブタン、10.4g(0.090mol)のメチルジクロロシランと0.5g(0.0015mol)のベンジルトリブチルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により2.7g(収率78.9%)の1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジシラブタンと0.2g(収率6.9%)の1,1,3-トリクロロ-1,3-ジシラブタンとを得た。
【0118】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジシラブタンは、δ5.68ppm(t、1H)でSi-H、δ1.33ppm(d、2H)で-CH-、δ0.94ppm(s、3H)でSi-CHのピークを確認した。1,1,3-トリクロロ-1,3-ジシラブタンは、δ5.24ppm(t、2H)でSi-H、δ1.39ppm(t、2H)で-CH-、δ0.99ppm(s、3H)でSi-CHのピークを確認した。
【0119】
実施例50:1,1,1,-トリクロロ-3,3-ジメチル-1,3-ジシラブタンとメチルジクロロシランとの反応(触媒:ベンジルトリブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に3.0g(0.014mol)の1,1,1,-トリクロロ-3,3-ジメチル-1,3-ジシラブタン、9.7g(0.084mol)のメチルジクロロシランと0.5g(0.0014mol)のベンジルトリブチルホスホニウムクロライドを入れて80℃で3時間反応させ、反応物の減圧蒸留により2.1g(収率80.1%)の1,1-ジクロロ-3,3-ジメチル-1,3-ジシラブタンと0.1g(収率4.7%)の1-クロロ-3,3-ジメチル-1,3-ジシラブタンとを得た。
【0120】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、1,1-ジクロロ-3,3-ジメチル-1,3-ジシラブタンは、δ5.57ppm(t、1H)でSi-H、δ1.30ppm(d、2H)で-CH-、δ1.07ppm(s、9H)でSi-CHのピークを確認した。1-クロロ-3,3-ジメチル-1,3-ジシラブタンは、δ5.09ppm(t、2H)でSi-H、δ1.33ppm(d、2H)で-CH-、δ1.13ppm(s、9H)でSi-CHのピークを確認した。
【0121】
実施例51:ビニルトリクロロシランと1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジシラブタンとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に1.0g(0.006mol)のビニルトリクロロシラン、8.2g(0.036mol)の1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジシラブタンと0.2g(0.0006mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて90℃で3時間反応させ、反応物の常圧蒸留により0.6g(収率78.7%)のビニルジクロロシランと0.1g(収率18.0%)のビニルクロロシランとを得た。
【0122】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、ビニルジクロロシランは、δ5.68ppm(d、1H)でSi-H、δ6.33ppm(q、1H)でCH=CH-Si、δ5.34ppm(d、2H)でCH=CH-Siのピークを確認した。ビニルクロロシランは、δ5.18ppm(d、2H)でSi-H、δ6.23ppm(m、1H)でCH=CH-Si、δ5.20ppm(d、2H)でCH=CH-Siのピークを確認した。
【0123】
実施例52:ビニルトリクロロシランと1,1,3,3,3-ペンタクロロ-1,3-ジシラプロパンの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライド)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に1.0g(0.006mol)のビニルトリクロロシラン、8.9g(0.036mol)の1,1,3,3,3-ペンタクロロ-1,3-ジシラプロパンと0.2g(0.0006 mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを入れて90℃で3時間反応させ、反応物の常圧蒸留により0.5g(収率65.6%)のビニルジクロロシランと0.1g(収率18.0%)のビニルクロロシランとを得た。各生成物のピーク確認は上記実施例51と同様である。
【0124】
実施例53:ヘキサクロロジシランとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライドが結合されたシリコン樹脂をシリカに塗布した固体)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に4.0g(0.015mol)のヘキサクロロジシラン、9.7g(0.084mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0014mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを含んだ固形シリコン樹脂1.0gを3.0gのシリカに塗布した触媒を入れて80℃で2時間反応させ、反応物の常圧蒸留により2.5g(収率71.5%)のペンタクロロジシランと0.37g(収率12.5%)のテトラクロロジシランとを得た。
【0125】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、ペンタクロロジシランは、δ5.38ppm(s、1H)でSi-Hのピークを確認した。1,1,2,2-テトラクロロジシランは、δ4.92ppm(d、2H)でSi-Hのピークを確認した。
【0126】
実施例54:ヘキサクロロジシロキサンとメチルジクロロシランとの反応(触媒:テトラブチルホスホニウムクロライドが結合されたシリコン樹脂を球状活性炭素に塗布した固体)
実施例1と同様の方法で、25mlのステンレススチール管に4.3g(0.015mol)のヘキシルトリクロロシラン、9.7g(0.084mol)のメチルジクロロシランと0.4g(0.0014mol)のテトラブチルホスホニウムクロライドを含んだシリコン樹脂1.0gを3.0gの球状活性炭素に塗布した固体触媒を入れて80℃で4時間反応させ、反応物の常圧蒸留により2.7g(収率70.6%)のペンタクロロジシロキサンと0.5g(収率15.5%)のテトラクロロジシロキサンとを得た。
【0127】
得られた生成物は、300MHzの水素核磁気共鳴分析の結果、ペンタクロロジシロキサンは、δ5.78ppm(s、1H)でSi-Hのピークを確認した。1,1,2,2-テトラクロロジシロキサンは、δ5.32ppm(s、2H)でSi-Hのピークを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(1)で表される有機クロロヒドロシラン:
【化1】

式中、aは1又は2であり、
aが1であるとき、Rは、塩素、炭素数2〜18の直鎖アルキル基、イソプロピル、イソブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ネオペンチル、2-エチルヘキシル、イソ-オクチル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロヘキセニルメチル、9-アントラセニル、9-アントラセニルメチル、2-(2-ピリジル)エチル、2-(4-ピリジル)エチル、CFCHCH、ジフェニルメチル、2-(ビシクロヘプチル)、5-[(ビシクロヘプテニル)エチル]、11-アセトキシウンデシル、11-クロロウンデシル、フェニル基、ベンジル基、2-フェニルエチル基、1-ナフチル基、CH(C=O)O(CH)(ここで、k=2、3、10である。)、R-Ph-(CH)(ここで、l=0、1、2、3であり、RはC1〜C4のアルキル基又はハロゲン元素である。)、Cl-(CH)(ここで、m=1〜12である。)、NC-(CH)(ここで、n=2〜11である。)、CH=CH-(CH)(ここで、o=0〜20である。)、Ar-CH(Me)-CH(ここで、ArはC1〜C4のアルキル基あるいはハロゲン元素が置換されたフェニル基、ビフェニル基、ビフェニルエーテル基、ナフチル基である。)、ArO-(CH)(ここで、p=3〜18であり、Arは、フェニル基、ビフェニル基、ビフェニルエーテル基、ナフチル基、フェナントリル基である。)、ClSi-(CH)-(ここで、q=0〜12であり、ClSiは例えばClHSiである。)、ClSi-(CH)-Ar-(CH)-(ここで、rは0又は1であり、Arは、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基であり、ClSiは例えばClHSiである。)、2,2,5,5-テトラクロロ-4-トリクロロシリル-2,5-ジシリルシクロヘキシル基(ここで、ClSiは例えばClHSiである。)であり、
aが2であるとき、Rは、塩素、炭素数2〜18の直鎖アルキル基、イソプロピル、イソブチル、2-エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2-(ビシクロヘプチル)、ネオペンチル基、イソ-オクチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘキセニルメチル基、2-(2-ピリジル)エチル基、2-(4-ピリジル)エチル基、5-[(ビシクロヘプテニル)エチル]、11-アセトキシウンデシル、11-クロロウンデシル、フェニル基、ベンジル基、2-フェニルエチル基、1-ナフチル基、ナフチルメチル基、1-ナフチル基、ジフェニルメチル基、CH(C=O)O(CH)(ここで、k=2、3、10である。)、R-Ph-(CH)(ここで、l=0、1、2、3であり、RはC1〜C4のアルキル基又はハロゲン元素である。)、Cl-(CH)(ここで、m=1〜12である。)、NC-(CH)-(ここで、m=2〜11である。)、CH=CH-(CH)-(ここで、o=0〜20である。)、Ar-CH(Me)-CH-(ここで、ArはC1〜C4のアルキル基あるいはハロゲン元素が置換されたフェニル基、ビフェニル基、ビフェニルエーテル基、ナフチル基である。)、ArO-(CH)-(ここで、p=3〜18であり、Arは、フェニル基、ビフェニル基、ビフェニルエーテル基、ナフチル基、フェナントリル基である。)、又は、Ar-(CH)-(ここで、qは0あるいは1であり、Arはビフェニル基又はアントラセニル基である。)である。
【請求項2】
四級有機ホスホニウム塩触媒下で次の一般式(2)で表されるシラン化合物と次の一般式(3)で表される有機クロロシランとを反応させ、上記の請求項1に記載の一般式(1)で表される有機クロロヒドロシランの製造方法:
【化2】

式中、Rは、塩素、メチル基、トリクロロシリルメチル基、ジクロロシリルメチル基又はメチルジクロロシリルメチル基であり、
【化3】

式中、Rは、塩素、炭素数2〜18の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、イソ-オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘキセニルメチル基、2-(2-ピリジル)エチル基、2-(4-ピリジル)エチル基、2-(ビシクロヘプチル)、5-[(ビシクロヘプテニル)エチル]、5-(ビシクロヘプテニル)、11-アセトキシウンデシル、11-クロロウンデシル、フェニル基、ベンジル基、2-フェニルエチル基、1-ナフチル基、ジフェニルメチル、 CH(C=O)(CH)-(ここで、k=2、3、10である。)、CF(CF)CHCH-(ここで、l=0〜12である。)、R-Ph-(CH)-(ここで、m=0、1、2、3であり、RはC1〜C4のアルキル基又はハロゲン元素である。)、Cl-(CH)-(ここで、n=1〜12である。)、NC-(CH)-(ここで、o=2〜11である。)、CH=CH-(CH)-(ここで、p=0〜20である。)、Ar-CH(Me)-CH-(ここで、ArはC1〜C4のアルキル基あるいはハロゲン元素が置換されたフェニル基、ビフェニル基、ビフェニルエーテル基、ナフチル基である。)、ArO-(CH)-(ここで、q=3〜18であり、Arは、フェニル基、ビフェニル基、ビフェニルエーテル基、ナフチル基、フェナントリル基である。)、ClSi-(CH)-(ここで、r=0〜12である。)、ClSi-(CH)-Ar-(CH)-(ここで、sは0あるいは1であり、Arは、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、2,2,5,5-テトラクロロ-4-トリクロロシリル-2,5-ジシラシクロヘキシル基である。)、Ar-(CH)-(ここで、tは0あるいは1であり、Arは、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基である。)、又はトリクロロシリル(ClSi-)基あるいはトリクロロシロキシ(ClSiO-)基である。
【請求項3】
上記四級有機ホスホニウム塩触媒は、次の一般式(4)又は(5)で表されることを特徴とする請求項2に記載の製造方法:
【化4】

【化5】

式(4)、(5)中、Xはハロゲン原子を示し、Rは各々互いに同一でも異なっても良く、C1〜C12のアルキル基又は-(CH)u-C(ここで、u=0〜6)を示し、2つのRが互いに共有結合して4員環又は8員環を形成でき、YはC1〜C12のアルキレン基を示す。
【請求項4】
上記四級有機ホスホニウム塩触媒は、上記一般式(3)で表される有機クロロシラン1モルに対し0.05〜0.5モルが含まれることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
上記四級有機ホスホニウム塩触媒は、シリコンレジン、シリカ、無機錯体、および有機高分子からなる群より選ばれる1種以上の担体上に固定化された構造を有することを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項6】
上記一般式(2)で表されるシラン化合物は、上記一般式(3)で表される有機クロロシラン1モルに対し1〜20モルの範囲で反応することを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項7】
上記反応は20〜200℃の温度範囲で行われることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項8】
上記反応は、反応溶媒が存在しない状態、又は芳香族炭化水素溶媒の存在下で行われることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項9】
上記反応はバッチ法や連続工程で行われることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。

【公表番号】特表2012−532927(P2012−532927A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520540(P2012−520540)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【国際出願番号】PCT/KR2010/004548
【国際公開番号】WO2011/008009
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(501267553)サムソン ファイン ケミカルズ カンパニー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】