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有機ケイ素化合物、その製造方法、該有機ケイ素化合物を含む粘着剤組成物、粘着偏光板及び液晶表示装置
説明

有機ケイ素化合物、その製造方法、該有機ケイ素化合物を含む粘着剤組成物、粘着偏光板及び液晶表示装置

【解決手段】下記式(3)で示される有機ケイ素化合物。


(Rは加水分解性基、R’はアルキル基、Aはアルキレン基、XはO又はS、Zは−NH−、O又はS、R8〜R11はそれぞれ独立にH、アルキル基、アルコキシ基もしくはフルオロアルキル基、又はアミノ基で、またR9とR10が直接結合して該置換基が結合する炭素間で二重結合を形成してもよく、更にR8とR11でこれらが結合する炭素原子と共に脂肪族又は芳香族環骨格を形成してもよい。mは1〜3の整数、nは0〜3の整数)
【効果】本発明の有機ケイ素化合物は、水酸基のような活性プロトンに対して配位能に優れる有機官能基を有しており、これを配合した粘着剤組成物は、ベースポリマー側鎖の活性プロトンと、シランカップリング剤の官能基との間で水素結合が形成され、その結果、初期段階におけるリワーク性に優れ、しかも高温及び高温多湿下において経時で接着力が増大するため長期耐久性に優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ケイ素化合物に関し、より詳しくは、水酸基等の活性水素に対し配位性のある官能基を二つ以上有することにより、水酸基を有するマトリックス樹脂との結合力に優れるため、マトリックス樹脂を含む粘着剤と基材との接着性、リワーク性を飛躍的に向上させることができる有機ケイ素化合物、その製造方法、この有機ケイ素化合物を含む粘着剤組成物、この粘着剤組成物から形成される粘着剤層を有する粘着偏光板及びこの粘着偏光板を含む液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シランカップリング剤は、分子中に2つ以上の異なる官能基を有し、通常では結合させにくい有機質材料と無機質材料とを連結させる仲介役として作用している。官能基の一方は加水分解性シリル基であり、水の存在によりシラノール基を生成し、このシラノール基が無機材質表面の水酸基と反応することで、無機材質表面と化学結合を形成する。また、他の官能基は、各種合成樹脂のような有機質材料と化学結合を形成するビニル基、エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリル基、メルカプト基などの有機反応基である。このような特性を用いて有機・無機樹脂の改質剤及び接着助剤、各種添加剤などとして幅広く用いられている。
【0003】
シランカップリング剤の用途の中でも、粘着剤としての用途はその代表的なものであり、例えば、液晶セルと光学フィルムを貼り付ける際の粘着剤は、液晶表示装置(LCD)のサイズの大型化、ワイド化に伴い、求められている接着性能が高度なものとなっている。
【0004】
LCDの場合、20インチ以上の大型化が困難であるといった当初の予想とは異なり、急速な大型化が進んでいる。主要メーカーは、これまで20インチ以下の小型パネルの生産を主力としてきたが、近年の流れを受けて最新技術を積極的に導入し、製品範囲を20インチ以上の大型サイズへと展開している。
【0005】
このように、諸般の光学フィルムにおいて、液晶表示板の製造時に使用されるガラスは大型化される趨勢である。ところが、初期貼り付け時に不良製品が発生して、液晶セルから光学用フィルムを除去し、液晶セルを洗浄した後に再使用する場合、従来の高粘着力を有する粘着剤を使用していたならば、光学フィルムの再剥離の際に強い接着力によって光学フィルムを除去することが困難であるだけでなく、高価な液晶セルを破壊する可能性が大きいため、結果的に生産コストを大幅に上げてしまうこととなっている。
【0006】
従って、LCDの大型化に伴い、接着性、リワーク性等の諸粘着性能を両立する高機能性の粘着剤を開発しようとする試みが継続している。例えば、特許第3022993号公報(特許文献1)には、高温多湿の環境下における耐久性に優れた偏光板を提供する目的で、エポキシシランを含有するアクリル系粘着剤組成物が提案されている。
【0007】
また、特開平8−104855号公報(特許文献2)には、基板表面に偏光板を良好な接着強度で接着できるのみならず、必要に応じて、基板に損傷を与えたり、粘着剤を残留させることなく基板の表面から偏光板を剥離するために、アクリル系ポリマーと、β−ケトエステル基及び加水分解シリル基を有する化合物とを含む粘着剤組成物が提案されている。
【0008】
このようなシラン化合物を含有することによって、基板と偏光板は、実際使用される環境で要求される程度の適切な接着強度を保持することができ、接着強度は加熱などによって過度に高くならず、液晶素子に損傷を与えることなく、容易に偏光板を剥離することができるとされている。
【0009】
しかし、LCDの大型傾向を支えるために粘着剤に求められる性能は、ガラスに貼り付ける際の初期接着力が低く、リワーク性に優れるのみならず、高温多湿下で高接着力が発現される必要があり、そうでない場合は、気泡や剥離現象などが生じて耐久性が脆弱になるおそれがある。
【0010】
特開平8−199144号公報(特許文献3)には、高温多湿下においても凝集力及び接着力の経時変化が小さく、曲面接着力にも優れる粘着剤組成物を提供するために、シラン系化合物の存在下でアクリル系モノマーを重合して得られるアクリル系樹脂に硬化剤を配合する技術が提案されている。
【0011】
このシラン化合物を配合することによって、基板と偏光板は、実際使用される環境で要求される程度の適切な接着強度を保持することができ、接着強度は、加熱などによって過度に高くならず、液晶素子に損傷を与えることもなく、容易に偏光板を剥離することが可能であると記載されている。
【0012】
しかし、高温多湿下で凝集力及び接着力の経時変化が小さいことよりも、接着力が高く、気泡や剥離現象が無く、且つ耐久性に優れるものが好ましいといえる。即ち、ガラスに貼り付けた初期には再剥離ができるほどの適正な初期接着力を示すが、時間が過ぎるにつれて剥離する必要性がなくなるため、強化され、安定化された接着力を保持することが必要であるといえる。
【0013】
特表2008−506028号公報(特許文献4)には、初期接着力は低く、リワーク性に優れ、貼り付け後は高温多湿下で接着力が増強され、長期的に耐久性に優れる粘着剤として、ウレタン官能基とピリジン官能基を有するシランカップリング剤を含むアクリル系粘着剤が提案されている。
【0014】
しかしながら、上記シランカップリング剤は、イソシアネートシランと2−ピリジノールを触媒存在下で反応させて得られるものであり、2−ピリジノールの水酸基が、シランのイソシアネート基と加水分解性シリル基の両方で非選択的に反応してしまうため、開示したシランのような単一構造でないことから、諸粘着物性の向上も不十分なものとなっている。
【0015】
以上のことから、初期のリワーク性及び高温多湿下における高い接着強度を保持する粘着剤の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許第3022993号公報
【特許文献2】特開平8−104855号公報
【特許文献3】特開平8−199144号公報
【特許文献4】特表2008−506028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、ガラス等の被接着体に貼り付ける際には初期接着力が低くてリワーク性に優れ、貼り付け後に、高温又は高温多湿の条件下でガラス等の被接着体との接着力が増加し、長期的耐久性に優れた粘着剤層を形成できる粘着剤組成物を与えることができる有機ケイ素化合物及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、このような有機ケイ素化合物を配合した粘着剤組成物、この粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する粘着偏光板及びこの粘着偏光板を有する液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(3)で示される水酸基等の活性水素に対して配位性のある官能基を二つ以上有するシランカップリング剤を接着剤組成物に配合することにより、初期リワーク性と、高温又は高温多湿下での高接着力とを両立した粘着剤組成物が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
【0019】
従って、本発明は、下記の有機ケイ素化合物、その製造方法、粘着剤組成物、粘着偏光板及び液晶表示装置を提供する。
請求項1:
下記一般式(3)で示される有機ケイ素化合物。
【化1】


(式中、Rは加水分解性基であり、R’は炭素数1〜4のアルキル基であり、Aは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキレン基であり、Xは酸素原子又は硫黄原子であり、Zは−NH−、酸素原子又は硫黄原子であり、R8〜R11はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基もしくはフルオロアルキル基、又はアミノ基であり、またR9とR10が直接結合して該置換基が結合する炭素間で二重結合を形成してもよく、さらにR8とR11でこれらが結合する炭素原子と共に脂肪族又は芳香族環骨格を形成してもよい。mは1〜3の整数であり、nは0〜3の整数である。)
請求項2:
下記一般式(4)
【化2】


(式中、Rは加水分解性基であり、R’は炭素数1〜4のアルキル基であり、Aは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキレン基であり、Xは酸素原子又は硫黄原子であり、mは1〜3の整数である。)
で示されるイソ(チオ)シアネートシランと、下記一般式(7)
【化3】


(式中、Zは−NH−、酸素原子又は硫黄原子であり、R8〜R11はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基もしくはフルオロアルキル基、又はアミノ基であり、またR9とR10が直接結合して該置換基が結合する炭素間で二重結合を形成してもよく、さらにR8とR11でこれらが結合する炭素原子と共に脂肪族又は芳香族環骨格を形成してもよい。nは0〜3の整数である。)
で示される複素環化合物とを反応させることを特徴とする請求項1記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
請求項3:
請求項1記載の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする粘着剤組成物。
請求項4:
(A)(a)炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー90〜99.9質量部;(b)架橋可能な官能基を含むビニル系モノマー及び/又は(メタ)アクリル系モノマー0.1〜10質量部を共重合して得られる(メタ)アクリル系共重合体: 100質量部、
(B)多官能性架橋剤: 0.01〜10質量部、
(C)請求項1記載の有機ケイ素化合物: 0.01〜9質量部
を含むことを特徴とする請求項3記載の粘着剤組成物。
請求項5:
(b)架橋可能な官能基を含むビニル系モノマー又は(メタ)アクリル系モノマーが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸二量体、イタコン酸、マレイン酸及びマレイン酸無水物からなる群より選ばれる1種以上のモノマーである請求項4記載の粘着剤組成物。
請求項6:
(B)多官能性架橋剤が、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物及び金属キレート系化合物からなる群より選ばれる1種以上の架橋剤である請求項4又は5記載の粘着剤組成物。
請求項7:
硬化物の架橋密度が5〜95質量%である請求項1〜6のいずれか1項記載の粘着剤組成物。
請求項8:
偏光フィルムと、この偏光フィルムの片面又は両面に請求項1〜7のいずれか1項記載の粘着剤組成物から形成される粘着剤層とを有することを特徴とする粘着偏光板。
請求項9:
さらに、保護層、反射層、位相差板、光視野角補償フィルム及び輝度向上フィルムからなる群より選択される1種以上の層を有する請求項8記載の粘着偏光板。
請求項10:
一対のガラス基板間に液晶が封入された液晶セルと、この液晶セルの片面又は両面に貼着された請求項8又は9記載の粘着偏光板とを有する液晶パネルを含むことを特徴とする液晶表示装置。
【発明の効果】
【0020】
本発明の有機ケイ素化合物(シランカップリング剤)は、水酸基のような活性プロトンに対して配位能に優れる有機官能基を有しており、これを配合した粘着剤組成物は、ベースポリマー側鎖の活性プロトンと、シランカップリング剤の官能基との間で水素結合が形成され、その結果、初期段階におけるリワーク性に優れ、しかも高温及び高温多湿下において経時で接着力が増大するため長期耐久性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】合成例1の反応生成物の1H NMRスペクトルを示す図である。
【図2】合成例1の反応生成物の13C NMRスペクトルを示す図である。
【図3】合成例1の反応生成物の29Si NMRスペクトルを示す図である。
【図4】合成例1の反応生成物のIRスペクトルを示す図である。
【図5】合成例1の反応生成物のGPCチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明について具体的に説明する。なお、本発明において「シランカップリング剤」は「有機ケイ素化合物」に含まれる。
【0023】
[有機ケイ素化合物(シランカップリング剤)]
本発明の有機ケイ素化合物(シランカップリング剤)の特徴として、下記構造(i)〜(iii)を全て有することが挙げられる。
(i)窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる少なくとも1つの原子を有する複素環。
(ii)(チオ)ウレタン結合、(チオ)尿素結合、(チオ)アミド結合、(チオ)エステル結合、アミノ結合、(チオ)エーテル結合及びスルフィド結合から選択される少なくとも1つの結合を含む2価の有機基。
(iii)加水分解性シリル基。
【0024】
上記構造(i)の窒素原子、酸素原子及び硫黄原子の少なくとも1つの原子を有する複素環は、脂肪族環でも芳香族環でもよく、その具体的な構造としては、下記のようなものが挙げられるが、これら例示したものに限らない。
【0025】
【化4】

(式中、波線は結合手を示す。)
【0026】
本発明において、構造(iii)の加水分解性シリル基は、ケイ素原子に直結した1価の加水分解性原子(水と反応することでシラノール基を生成する原子)及びケイ素原子に直結した1価の加水分解性基(水と反応することでシラノール基を生成する基)の少なくとも一方を有するシリル基である限り特に限定されない。このような加水分解性シリル基は、加水分解してシラノール基を生成し、このシラノール基は無機材質と脱水縮合して、式:≡Si−O−M(M:無機材質)なる化学結合を形成する。この加水分解性シリル基は、本発明の有機ケイ素化合物中に1個のみ存在しても2個以上存在してもよく、2個以上存在する場合は同種であっても異種であってもよい。
【0027】
構造(iii)の加水分解性シリル基としては、例えばクロロシリル基、ブロモシリル基、メトキシシリル基、エトキシシリル基、プロポキシシリル基、ブトキシシリル基等が挙げられる。
【0028】
本発明の好ましいシランカップリング剤としては、下記一般式(1)〜(3)で示されるものが挙げられる。
【0029】
【化5】


(式中、Rは加水分解性基であり、R’は炭素数1〜4のアルキル基であり、Aは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキレン基であり、Xは酸素原子又は硫黄原子であり、Yは−NH−又は硫黄原子であり、L1、L2は独立に炭素原子又は窒素原子であり、R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基もしくはフルオロアルキル基、又はアミノ基であり、R1とR2又はR2とR3でこれらが結合している炭素原子及びL2と共に環骨格を形成してもよい。mは1〜3の整数であり、nは0〜3の整数である。)
【0030】
【化6】


(式中、R、R’、A、X、m及びnは上記の通りであり、Zは−NH−、酸素原子又は硫黄原子であり、Mは−NH−、酸素原子又は硫黄原子であり、R4〜R7はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基もしくはフルオロアルキル基、又はアミノ基であり、この場合R5とR6が直接結合して該置換基が結合する炭素間で二重結合を形成してもよく、さらにR4とR7でこれらが結合する炭素原子と共に脂肪族又は芳香族環骨格を形成してもよい。)
【0031】
【化7】


(式中、R、R’、A、X、Z、m及びnは上記の通りであり、R8〜R11はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基もしくはフルオロアルキル基、又はアミノ基であり、またR9とR10が直接結合して該置換基が結合する炭素間で二重結合を形成してもよく、さらにR8とR11でこれらが結合する炭素原子と共に脂肪族又は芳香族環骨格を形成してもよい。)
【0032】
ここで、上記式中、Rは塩素、臭素等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基であり、R’はメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基である。Aは直鎖状のものとしてはメチレン鎖、エチレン鎖、プロピレン鎖等が挙げられ、分岐鎖状のものとしてはメタリル鎖、イソプロピレン鎖、イソブチレン鎖等が挙げられるが、これらに限られない。また、R1〜R3としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換したフルオロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、アミノ基が挙げられ、また、R1とR2又はR2とR3でこれらが結合する炭素原子と共にシクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環を形成してもよい。R4〜R7としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換したフルオロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、アミノ基が挙げられ、R5とR6が直接結合してこれら置換基が結合する炭素間で二重結合を形成してもよく、さらにR4とR7でこれらが結合する炭素原子と共に脂肪族環骨格や芳香族環骨格を形成することができる。R8〜R11としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換したフルオロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、アミノ基が挙げられ、R9とR10が直接結合してこれら置換基が結合する炭素間で二重結合を形成してもよく、さらにR8とR11でこれらが結合する炭素原子と共にシクロペンチル基、シクロヘキシル基等の脂肪族又は芳香族環骨格を形成することができる。
【0033】
本発明の配位性官能基を有するシランカップリング剤の具体的な例は、下記構造式(8)〜(15)に示される。なお、下記例において、Etはエチル基を表す。
【0034】
【化8】

【0035】
上記のシランカップリング剤は水酸基のような活性プロトンと下記式(A)のような安定な配位結合を形成することができる。
【化9】


式中、Qは窒素原子、硫黄原子、又は酸素原子を表す。
【0036】
本発明のシランカップリング剤は、下記一般式(4)
【化10】


(式中、Rは加水分解性基であり、R’は炭素数1〜4のアルキル基であり、Aは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキレン基であり、Xは酸素原子又は硫黄原子であり、mは1〜3の整数である。)
で示されるイソ(チオ)シアネートシランカップリング剤と、下記式(5)〜(7)で示される複素環構造を有するアミン化合物、メルカプト化合物又はアルコールを反応させることで得ることができる。
【0037】
イソ(チオ)シアネートシランとしては一般に市販されているものでよく、より具体的にはイソシアネートメチルトリメトキシシラン、イソシアネートメチルトリエトキシシラン、イソシアネートエチルトリメトキシシラン、イソシアネートエチルトリエトキシシラン、イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソチオシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、ここに例示されるものに限らない。
【0038】
複素環構造を有するアミン化合物、メルカプト化合物又はアルコールとしては、下記式(5)〜(7)で示される化合物を挙げることができる。
【化11】


(Yは−NH−又は硫黄原子であり、L1、L2は独立に炭素原子又は窒素原子であり、R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基もしくはフルオロアルキル基、又はアミノ基であり、R1とR2又はR2とR3でこれらが結合する炭素原子及びL2と共に環骨格を形成してもよい。nは0〜3の整数である。)
【0039】
【化12】


(式中、Zは−NH−、酸素原子又は硫黄原子であり、Mは−NH−、酸素原子又は硫黄原子であり、R4〜R7はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基もしくはフルオロアルキル基、又はアミノ基であり、この場合R5とR6が直接結合して該置換基が結合する炭素間で二重結合を形成してもよく、さらにR4とR7でこれらが結合する炭素原子と共に脂肪族又は芳香族環骨格を形成してもよい。nは0〜3の整数である。)
【0040】
【化13】


(式中、Zは−NH−、酸素原子又は硫黄原子であり、R8〜R11はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基もしくはフルオロアルキル基、又はアミノ基であり、またR9とR10が直接結合して該置換基が結合する炭素間で二重結合を形成してもよく、さらにR8とR11でこれらが結合する炭素原子と共に脂肪族又は芳香族環骨格を形成してもよい。nは0〜3の整数である。)
【0041】
上記式中、R1〜R11としては上記したものと同様のものが挙げられる。これらの複素環構造を有する化合物は、一般に市販されているものでよく、より具体的にはアミノイミダゾール、メルカプトイミダゾール、ヒドロキシイミダゾール、アミノチアゾール、メルカプトチアゾール、ヒドロキシチアゾール、アミノチアゾリン、メルカプトチアゾリン、ヒドロキシチアゾリン、アミノピリジン、メルカプトピリジン、ヒドロキシピリジン、アミノピリミジン、メルカプトピリミジン、ヒドロキシピリミジン、アミノトリアジン、メルカプトトリアジン、ヒドロキシトリアジン、アミノベンゾチアゾール、ヒドロキシコハク酸イミド、ヒドロキシフタルイミド、ヒドロキシメチルフタルイミド等が挙げられるが、ここに例示されるものに限らない。
【0042】
本発明のシランカップリング剤を製造するにあたり、イソ(チオ)シアネートシランと、複素環構造を有するアミン化合物、メルカプト化合物又はアルコールとの配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、イソ(チオ)シアネートシラン1モルに対し、複素環構造を有するアミン化合物、メルカプト化合物又はアルコールを0.5〜2モル、特に0.8〜1.2モルの範囲で反応させることが好ましい。複素環構造を有する化合物の配合量が少なすぎるとイソ(チオ)シアネートシランが多量に残存し、それらが重合してゲル化するおそれがあり、多すぎるとシランの諸物性に影響を与えないものの、シランカップリング剤の純度が低下する他、生産性に欠けるといったデメリットが生じる場合がある。
【0043】
本発明のシランカップリング剤を製造するにあたり、必要に応じて有機溶媒を使用しても良い。具体的には、原料に含まれるイソ(チオ)シアネート基及び加水分解性シリル基、アミノ基、メルカプト基、ヒドロキシ基と非反応性のものであれば特に限定されないが、より具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の鎖状又は環状エーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒等が挙げられるが、ここに例示されるものに限らない。
【0044】
本発明のシランカップリング剤を製造するにあたり、必要に応じて反応触媒を使用しても良い。一般に、イソシアネートとメルカプト及びアルコールは触媒を用いない場合、反応速度が遅く、生産性に劣る場合がある。反応触媒としては、市販されているものでよく、具体的には有機スズ化合物が好ましく、より好ましくは環境負荷の観点を考慮し、オクチルスズ系化合物及び炭素数が8以上の置換基を有する有機スズ系化合物が挙げられるが、ここに例示されるものに限らない。
【0045】
触媒の使用量は特に限定されないが、反応性、生産性の点から前記シラン化合物1質量部に対して、0.00001〜0.1質量部、特に0.0001〜0.01質量部の範囲が好ましい。触媒の使用量がこの範囲内であると、触媒の量に見合うだけの十分な反応促進効果を得るのがより容易である。
【0046】
反応温度は、イソ(チオ)シアネート基とアミノ基、メルカプト基、ヒドロキシル基が反応する温度であれば、特に限定されないが、0〜200℃、特に10〜150℃が好ましい。反応時間は、10分〜10時間、特に30分〜6時間が好ましく、雰囲気は大気雰囲気下や、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気が好ましい。
【0047】
イソ(チオ)シアネート基とアミノ基、メルカプト基、ヒドロキシル基が反応することにより、配位性のある(チオ)尿素結合、(チオ)ウレタン結合が形成され、配位性官能基を有するシランカップリング剤が得られる。
【0048】
[粘着剤組成物]
次に、上記配位性官能基含有シランを含む粘着剤組成物について説明する。
本発明の粘着剤組成物は、
(A)(a)炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー90〜99.9質量部;(b)架橋可能な官能基を含むビニル系モノマー及び/又は(メタ)アクリル系モノマー0.1〜10質量部を共重合して得られる(メタ)アクリル系共重合体: 100質量部、
(B)多官能性架橋剤: 0.01〜10質量部、
(C)上記一般式(1)〜(3)で示される有機ケイ素化合物: 0.01〜9質量部
を含有することが好ましい。
【0049】
ここで、本発明の組成物に使用される(a)炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、共重合させるモノマー100質量部のうち、90〜99.9質量部、特に91〜99質量部で含まれるものが望ましく、その含量が90質量部未満であると初期接着力が低下する場合があり、99.9質量部を超えると凝集力の低下により耐久性に問題が生じる場合がある。
【0050】
また、(a)成分の炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、(b)成分の架橋可能な官能基を含む(メタ)アクリル系モノマー以外のものであって、(メタ)アクリル酸の炭素数が1〜12であるアルキルエステルを使用することができ、より好ましくは炭素数が2〜8であるアルキルエステルを使用する方がよい。つまり、前記アルキル(メタ)アクリレートは、アルキル基が長鎖形態であれば粘着剤の凝集力が低下するため、高温下で凝集力を保持するためにはアルキル基の炭素数は1〜12の範囲が好ましく、より好ましくは2〜8の範囲である。
【0051】
このような(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
【0052】
(b)成分の架橋可能な官能基を含むビニル系モノマー及び(メタ)アクリル系モノマーは、架橋剤と反応して高温又は高温多湿の条件下で粘着剤の凝集力の破壊が生じないように化学結合による凝集力又は接着強度を与える。(b)成分のモノマーの配合量は、共重合させるモノマー100質量部のうち0.1〜10質量部、特に1〜9質量部で使用するのが好ましく、0.1質量部未満であると、高温多湿下での凝集破壊が生じやすくなる場合があり、10質量部を超えると適合性が著しく減少し、表面移行が起こる原因となり、流動性が減少する一方で凝集力が上昇して応力緩和能力が低下してしまう場合がある。
【0053】
(b)成分の架橋可能な官能基を含むビニル系モノマー又は(メタ)アクリル系モノマーの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの水酸基を含むモノマー、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸二量体、イタコン酸、マレイン酸及びマレイン酸無水物などのカルボキシル基を含むモノマー、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジエトキシシランなどの加水分解性シリル基を含むモノマー等が挙げられるが、これらに限られるものではない。上記モノマーは1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0054】
なお、本発明においては、アクリル系共重合体の製造時、粘着剤組成物のガラス転移温度を調節し、且つその他の機能性を付与するために、その他の共重合性モノマーをさらに使用することができる。具体的には、アクリロニトリル、スチレン、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルアセテート等の共重合性モノマーを使用することができる。これらの共重合性モノマーの配合割合は、共重合させるモノマー100質量部のうち、0.1〜9.9質量部が好ましく、より好ましくは0.5〜8質量部である。
【0055】
粘着剤組成物の粘弾性特性は、主に高分子鎖の分子量、分子量分布、又は分子構造の存在量に基づき、特に分子量によって決定されるため、本発明に使用される(メタ)アクリル系共重合体の分子量(重量平均分子量:Mw)は、80万〜200万であるのが好ましく、より好ましくは90万〜190万である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した標準ポリスチレン換算値である。分子量が小さすぎると所望の粘弾性特性が得られないおそれがあり、大きすぎるとポリマーの粘度が非常に高くなり、ハンドリングが困難となるため生産性が低下する場合がある。
【0056】
このような共重合体は、通常のラジカル共重合過程を経て製造することができる。本発明において重合体の重合方法は特に限定されず、溶液重合法、光重合法、バルク重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの一般的な方法で製造することができる。これらの中でも溶液重合法が生産性の観点より好ましい。この場合、重合温度は50〜140℃、反応時間は1〜24時間が好ましい。モノマーが均一に混合された状態で開始剤を添加するのが好ましい。
【0057】
本発明の粘着剤組成物において、(B)成分の多官能性架橋剤は、カルボキシル基や、水酸基などと反応することで粘着剤の凝集力を高める役割をする。架橋剤の含量は、(A)成分の共重合体100質量部に対して0.01〜10質量部で使用されるのが好ましく、より好ましくは0.05〜5質量部である。多すぎると凝集がひどく、粘着剤シート等への成形が困難となる場合があり、少なすぎると所望の凝集力向上効果が得られない場合がある。
【0058】
多官能性架橋剤は、イソシアネート系、エポキシ系、アジリジン系、金属キレート系架橋剤など使用でき、その中でもイソシアネート系架橋剤が使用上容易である。イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォルムジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びこれらとトリメチロールプロパン等のポリオールとの反応物が挙げられる。
【0059】
エポキシ系架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジルエチレンジアミン、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルーテル、ソルビトール系ポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0060】
アジリジン系架橋剤としては、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサイド)、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキサイド)、トリエチレンメラミン、ビスイソプロタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリ−1−アジリジニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
【0061】
金属キレート系架橋剤としては、アルミニウム、鉄、亜鉛、スズ、チタン、アンチモン、マグネシウム、バナジウムなどの多価金属がアセチルアセトン又はアセト酢酸エチルに配位した化合物などが挙げられる。
【0062】
(C)成分の有機ケイ素化合物としては、上記一般式(1)〜(3)で示される配位性官能基を有するシランカップリング剤を用いることが好ましく、このシランカップリング剤を粘着剤組成物に配合することにより、初期のリワーク性と、高温多湿下での接着力が飛躍的に向上する。シランカップリング剤の具体的な構造は前述の通りであり、これらは1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。その配合量は(A)(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.01〜9質量部で含まれるのが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部、特に好ましくは0.1〜3質量部である。含有量が0.01質量部未満であるとシラン添加効果が十分に発揮されない場合があり、9質量部を超えると過剰量使用により気泡や剥離が生じて耐久性が低下するおそれがある。
【0063】
また、本発明は粘着性能を調節するために、粘着性付与樹脂をさらに添加することができる。その含量は(A)(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して1〜100質量部、特に5〜90質量部の範囲で使用することができる。この際に、1質量部未満であると調節効果が不十分な場合があり、100質量部を超えると粘着剤の常用性又は凝集性を低下させるおそれがある。
【0064】
粘着性付与樹脂の例としては、(水添)炭化水素系樹脂、(水添)ロジン樹脂、(水添)ロジンエステル樹脂、(水添)テルペン樹脂、(水添)テルペンフェノール樹脂、重合ロジン樹脂、重合ロジンエステル樹脂などを使用することができ、これらは1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0065】
上記成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で、可塑剤、レベリング剤等の低分子量体、エポキシ樹脂及び硬化剤などを必要に応じて追加成分として混合使用することができ、紫外線安定剤、酸化防止剤、除色剤、補強剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤などを一般の目的に応じて適切に添加して使用することができる。
【0066】
本発明の粘着剤組成物の製造方法は特に限定されず、前記した(A)(メタ)アクリル系共重合体、(B)多官能性架橋剤及び(C)シランカップリング剤を通常の方法で混合して得られる。混合条件は、10〜150℃で10分〜10時間とすることが好ましい。この場合、上記配位性官能基を有するシランカップリング剤は、(メタ)アクリル系共重合体の重合の後、配合工程で添加して使用することができ、(メタ)アクリル系共重合体の製造工程中に添加しても同一な効果を示す。また、多官能性架橋剤は、粘着剤組成物を硬化させて得られる粘着剤層形成のために実施する配合過程において、架橋剤の官能基架橋反応が殆ど生じない場合に均一なコーティングが可能となる。コーティングした後に乾燥及び熟成過程を経ると架橋構造が形成されて、弾性があり、凝集力の強い粘着剤層が得られる。
【0067】
このようにして得られた本発明の粘着剤組成物は、ガラス板、プラスチックフィルム、紙等の被接着体に塗布し、25〜150℃、20〜90%RHで5分〜5時間、特に40〜80℃、25〜60%RHで10分〜3時間硬化させることで粘着剤層を形成することができる。
【0068】
本発明の粘着剤組成物は、内部に揮発成分、反応残留物などの気泡を誘発させる成分を十分に除去した後に使用することが望ましい。架橋密度や分子量が過度に低く、粘着剤層の弾性率が過度に低い場合には、高温状態でガラス板等の被接着体と粘着剤層との間に存在する小さい気泡が大きくなって、粘着剤層の内部に散乱体を形成するようになる。また、弾性率が過度に大きい粘着剤層を長期間使用する場合には、過度な架橋反応によって粘着剤層(シート)の末端部位に剥離現象が生じるようになる。
【0069】
また、最適の物理的均衡を考慮した場合、粘着剤層の架橋密度は5〜95質量%、特に7〜93質量%の範囲が適当である。架橋密度は、一般に知られた粘着剤のゲル含量測定法により、溶媒に溶解されない架橋構造を形成した部分の量を質量%で得た値を指す。この際、粘着剤層の架橋密度が5質量%未満である場合には粘着剤層の凝集力が低くなり、気泡又は剥離のような粘着耐久性の問題が生じるおそれがあり、95質量%を超える場合にはぴったり付かずに耐久性が弱くなる場合がある。
【0070】
[粘着偏光板]
次に、前記粘着剤組成物を偏光フィルム等の片面又は両面に塗布・硬化させた粘着剤層を含む粘着偏光板について説明する。
本発明の粘着偏光板は、偏光フィルム又は偏光素子と、この偏光フィルム又は偏光素子の片面又は両面に上記粘着剤組成物から形成される粘着剤層とを有するものである。偏光板を構成する偏光フィルム又は偏光素子については特に限定されない。偏光フィルムの例を挙げると、ポリビニルアルコール系樹脂からなるフィルムにヨウ素又は異色性染料などの偏光成分を含有させて延伸することによって得られるフィルムなどがあり、これらの偏光フィルムの厚さも限定されず通常の厚さに成形することができる。
【0071】
ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルフォルマール、ポリビニルアセタール及びエチレン・酢酸ビニル共重合体の鹸化物などが使用される。
【0072】
また、粘着剤層を有する偏光フィルムの両面に、トリアセチルセルロースなどのセルロース系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステル系フィルム、ポリエーテルスルホン系フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの共重合体のようなポリオレフィン系フィルムなどの保護フィルムが積層された多層フィルムなどを形成することができる。この際、これら保護フィルムの厚さも特に限定されず通常の厚さに成形することができる。
【0073】
本発明において、偏光フィルムに粘着剤層を形成する方法には特に制限はなく、この偏光フィルムの表面に直接バーコーターなどを使用して粘着剤組成物を塗布して、乾燥させる方法、粘着剤組成物を一旦剥離性基材表面に塗布して乾燥させた後、この剥離性基材表面に形成された粘着剤層を偏光フィルム表面に転写し、次いで熟成させる方法等を採用することができる。この場合、乾燥は25〜150℃、20〜90%RHで5分〜5時間が好ましく、熟成は25〜150℃、20〜90%RHで5分〜5時間が好ましい。
【0074】
また、粘着剤層の厚さは特に制限されないが、通常0.01〜100μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜50μmである。粘着剤層の厚さが上記範囲より小さいと粘着剤層としての効果が不十分となる場合があり、上記範囲より大きいと粘着剤層の効果が飽和し、コストが大きくなる場合がある。
【0075】
なお、このようにして得られた本発明の粘着剤層を有する偏光フィルム(粘着偏光板)には、保護層、反射層、位相差板、光視野角補償フィルム、輝度向上フィルムなどの追加機能を提供する層を1種以上積層することができる。
【0076】
[液晶表示装置]
本発明の粘着偏光板は、特に、通常の液晶表示装置全般に応用可能であり、その液晶パネルの種類は特に限られない。特に、本発明の粘着偏光板を、一対のガラス基板間に液晶が封入された液晶セルの片面又は両面に貼合した液晶パネルを含めて液晶表示装置を構成することが好ましい。
【0077】
本発明の粘着剤組成物は、上記した偏光フィルム以外に、産業用シート、特に反射シート、構造用粘着シート、写真用粘着シート、車線表示用粘着シート、光学用粘着製品、電子部品用など、用途に限らず使用できる。また、多層構造のラミネート製品、つまり一般商業用粘着シート製品、医療用パッチ、加熱活性用など、作用概念が同一である応用分野にも適用することができる。
【0078】
本発明の粘着剤組成物は、配位性官能基を有するシランカップリング剤を含む(メタ)アクリル系粘着剤であって、ガラス等に貼り付け時に初期接着力は低いため、リワーク性に優れ、貼り付け後の湿熱処理後の接着力が十分に高いものとなり長期耐久性に優れる。
【実施例】
【0079】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、下記例中、粘度、比重、屈折率は、25℃において測定した値である。また、NMRは核磁気共鳴分光法、IRは赤外分光法、GPCはゲルパーミエーションクロマトグラフィーの略である。粘度は毛細管式動粘度計による25℃における測定に基づく。
【0080】
[合成例1]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、2−アミノピリジン31.4g(0.33mol)を納め、テトラヒドロフラン150gを仕込み、撹拌・溶解させた。その中に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン82.5g(0.33mol)を滴下投入し、70℃にて4時間加熱撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりに尿素結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、反応終了とした。その後、溶媒を溜去することで得られた反応生成物は淡黄色液体であり、粘度184mm2/s、比重1.094、屈折率1.4975であり、GPCにより反応生成物は単一の生成物であり、またNMRスペクトルにより下記化学構造式(8)に示す構造であることを確認した。この化合物についてプロトンNMRスペクトルを図1に、カーボンNMRスペクトルを図2に、シリコンNMRスペクトルを図3に、IRスペクトルを図4に、GPCチャートを図5にそれぞれ示す。
【0081】
【化14】

(式中、Etはエチル基を表す。以下同じ。)
【0082】
[合成例2]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、2−アミノピリミジン31.7g(0.33mol)を納め、テトラヒドロフラン150gを仕込み、撹拌・溶解させた。その中に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン82.5g(0.33mol)を滴下投入し、70℃にて4時間加熱撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりに尿素結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、反応終了とした。その後、溶媒を溜去することで得られた反応生成物は橙色固体であった。NMRスペクトルにより、反応生成物は下記化学構造式(9)であることを確認した。NMRスペクトルデータは以下の通りである。
【0083】
1H NMR(300MHz,CDCl3,δ(ppm)):0.58(t,2H),1.07(t,9H),1.61(quint,2H),3.28(t,2H),
3.67(q,6H),6.66(m,1H),6.88(m,1H),
7.39(m,1H),7.97(m,1H),9.34(s,1H),
10.01(s,1H).
13C NMR(75MHz,CDCl3,δ(ppm)):7.6,18.2,
23.2,42.2,58.0,110.8,113.7,158.0,163.2.
29Si NMR(60MHz,CDCl3,δ(ppm)):−45.7.
【0084】
【化15】

【0085】
[合成例3]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、2−メルカプトチアゾリン89.4g(0.75mol)、ジオクチルスズオキシド1.3gを納め、酢酸エチル300gを仕込み、撹拌・溶解させた。その中に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン185.5g(0.75mol)を滴下投入し、80℃にて4時間加熱撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりにチオウレタン結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、反応終了とした。その後、溶媒を溜去することで得られた反応生成物は淡黄色液体で、粘度38mm2/s、比重1.164、屈折率1.5218であり、NMRスペクトルにより反応生成物は下記化学構造式(10)であることを確認した。NMRスペクトルデータは以下の通りである。
【0086】
1H NMR(300MHz,CDCl3,δ(ppm)):0.38(t,2H),
0.94(t,9H),1.40(quint,2H),3.02(m,2H),
3.04(t,2H),3.54(q,6H),4.42(m,2H),
9.52(m,1H).
13C NMR(75MHz,CDCl3,δ(ppm)):7.2,17.7,
22.2,26.6,42.5,55.8,57.8,151.6,199.6.
29Si NMR(60MHz,CDCl3,δ(ppm)):−45.7.
【0087】
【化16】

【0088】
[合成例4]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、2−アミノチアゾール33.4g(0.33mol)を納め、テトラヒドロフラン150gを仕込み、撹拌・溶解させた。その中に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン82.5g(0.33mol)を滴下投入し、80℃にて4時間加熱撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりに尿素結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、反応終了とした。その後、溶媒を溜去することで得られた反応生成物は褐色固体であった。NMRスペクトルにより反応生成物は下記化学構造式(11)であることを確認した。NMRスペクトルデータは以下の通りである。
【0089】
1H NMR(300MHz,CDCl3,δ(ppm)):0.65(t,2H),
1.19(t,9H),1.68(quint,2H),3.32(t,2H),
3.69(m,1H),3.79(q,6H),6.26(m,2H),
7.28(m,2H).
13C NMR(75MHz,CDCl3,δ(ppm)):7.7,18.2,
23.4,42.7,58.3,111.0,136.8,154.8,162.6.
29Si NMR(60MHz,CDCl3,δ(ppm)):−45.8.
【0090】
【化17】

【0091】
[合成例5]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、2−アミノベンゾチアゾール50.1g(0.33mol)を納め、テトラヒドロフラン150gを仕込み、撹拌・溶解させた。その中に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン82.5g(0.33mol)を滴下投入し、70℃にて4時間加熱撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりに尿素結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、反応終了とした。その後、溶媒を溜去することで得られた反応生成物は白色固体であった。NMRスペクトルにより反応生成物は下記化学構造式(12)であることを確認した。NMRスペクトルデータは以下の通りである。
【0092】
1H NMR(300MHz,CDCl3,δ(ppm)):0.68(t,2H),
1.20(t,9H),1.71(quint,2H),3.35(t,2H),
3.53(m,1H),3.72(q,1H),3.81(q,6H),
7.21(m,1H),7.35(m,1H),7.68(m,2H).
13C NMR(75MHz,CDCl3,δ(ppm)):7.4,18.2,
23.2,42.7,58.4,119.8,121.1,123.3,126.0,
130.8,149.0,154.7,161.7.
29Si NMR(60MHz,CDCl3,δ(ppm)):−45.9.
【0093】
【化18】

【0094】
[合成例6]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、N−ヒドロキシコハク酸イミド57.5g(0.5mol)、ジオクチルスズオキシド1.0gを納め、テトラヒドロフラン300gを仕込み、撹拌・溶解させた。その中に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン123.7g(0.5mol)を滴下投入し、70℃にて4時間加熱撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりにウレタン結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、反応終了とした。その後、溶媒を溜去することで得られた反応生成物は淡黄色液体で、粘度38mm2/s、比重1.164、屈折率1.5218であり、NMRスペクトルにより反応生成物は下記化学構造式(13)であることを確認した。NMRスペクトルデータは以下の通りである。
【0095】
1H NMR(300MHz,CDCl3,δ(ppm)):0.35(t,2H),
0.94(t,9H),1.38(quint,2H),2.39(m,2H),
2.52(m,2H),2.90(t,2H),3.53(q,6H),
4.42(m,2H),6.45(m,1H).
13C NMR(75MHz,CDCl3,δ(ppm)):6.8,17.6,
22.2,24.8,43.7,57.7,151.2,170.2.
29Si NMR(60MHz,CDCl3,δ(ppm)):−45.4.
【0096】
【化19】

【0097】
[合成例7]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、N−ヒドロキシフタルイミド48.9g(0.3mol)、ジオクチルスズオキシド1.0gを納め、酢酸エチル200gを仕込み、撹拌・溶解させた。その中に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン74.2g(0.3mol)を滴下投入し、80℃にて4時間加熱撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりにウレタン結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、反応終了とした。その後、溶媒を溜去することで得られた反応生成物は黄色固体であり、NMRスペクトルにより反応生成物は下記化学構造式(14)であることを確認した。NMRスペクトルデータは以下の通りである。
【0098】
1H NMR(300MHz,CDCl3,δ(ppm)):0.60(t,2H),
1.14(t,9H),1.65(quint,2H),3.20(m,2H),
3.75(q,6H),6.30(m,1H),7.72(m,4H).
13C NMR(75MHz,CDCl3,δ(ppm)):7.3,17.9,
22.6,44.2,58.3,123.6,128.7,134.5,152.2,
162.4.
29Si NMR(60MHz,CDCl3,δ(ppm)):−45.9.
【0099】
【化20】

【0100】
[合成例8]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、N−ヒドロキシメチルフタルイミド53.2g(0.3mol)、ジオクチルスズオキシド1.0gを納め、酢酸エチル200gを仕込み、撹拌・溶解させた。その中に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン74.2g(0.3mol)を滴下投入し、80℃にて4時間加熱撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりにウレタン結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、反応終了とした。その後、溶媒を溜去することで得られた反応生成物は白色固体であり、NMRスペクトルにより反応生成物は下記化学構造式(15)であることを確認した。NMRスペクトルデータは以下の通りである。
【0101】
1H NMR(300MHz,CDCl3,δ(ppm)):0.49(t,2H),
1.07(t,9H),1.49(quint,2H),3.04(m,2H),
3.68(q,6H),5.39(m,1H),5.55(s,2H),
7.69(m,4H).
13C NMR(75MHz,CDCl3,δ(ppm)):7.3,14.3,
17.9,22.7,43.1,57.9,123.2,131.4,134.1,
154.5,166.4.
29Si NMR(60MHz,CDCl3,δ(ppm)):−45.6.
【0102】
【化21】

【0103】
[合成例9]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、n−ブチルアクリレート(BA)98.1g、アクリル酸(AA)0.6g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)1.3gを納め、溶剤として酢酸エチル100gを仕込み、溶解させた。その後、酸素を除去するために窒素ガスバブリングを1時間行い、反応系中を窒素置換して62℃に保持した。この中に、撹拌しながら重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを0.03g投入し、62℃で8時間反応させることでベースポリマーである、(メタ)アクリル系共重合体を得た。
【0104】
[実施例1〜3、参考例1〜5]
合成例9で得られた(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、架橋剤としてトリメチロールプロパントリレンジイソシアネート付加物(TDI)、合成例1〜8で得られたシランカップリング剤を表1に示す配合組成でそれぞれ混合し、粘着剤組成物とした。
【0105】
得られた粘着剤組成物を離形紙にコーティングして乾燥した後、25μmの均一な粘着剤層を得た。このように製造された粘着剤層を、厚さ185μmのヨード系偏光板に粘着加工した後、得られた偏光板を適切な大きさに切断し、各評価に使用した。
【0106】
製造した偏光板のテストピースについては、以下に示す評価試験方法を通じて耐久性、ガラス接着性、リワーク性、耐熱又は耐湿熱条件での接着力の変化について評価し、その結果を表2〜4に示した。
【0107】
[比較例1〜3]
本発明のシランカップリング剤の代わりに表1に示したシランカップリング剤B−1〜B−3を使用したことを除いては、前記実施例と同様の方法で粘着剤を配合・製造し、ラミネート加工工程を実施した。また、得られたテストピースについても実施例と同様の評価を行い、その結果を表2〜4に示した。
【0108】
なお、表1中、略語は以下の通りである。
n−BA:n−ブチルアクリレート
AA:アクリル酸
2−HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
TDI:架橋剤,トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物
シランA−1:合成例1の化合物
【化22】

シランA−2:合成例2の化合物
【化23】

シランA−3:合成例3の化合物
【化24】

シランA−4:合成例4の化合物
【化25】

シランA−5:合成例5の化合物
【化26】

シランA−6:合成例6の化合物
【化27】

シランA−7:合成例7の化合物
【化28】

シランA−8:合成例8の化合物
【化29】

シランB−1:
【化30】


シランB−2:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBM−403)
シランB−3:γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBE−9007)
【0109】
【表1】

【0110】
評価試験
〈耐久性〉
粘着剤がコーティングされた偏光板(90mm×170mm)をガラス基板(110mm×190mm×0.7mm)に両面で光学吸収軸がクロスされた状態で貼り付けた。この際、加えた圧力は約5kgf/cm3であり、気泡や異物が生じないようにクリーンルームにて作業を行った。
【0111】
この試験片の耐湿耐熱特性を評価するために、60℃/90%相対湿度の条件下で1000時間放置した後、気泡や剥離の生成の有無を確認した。耐熱特性は、80℃/30%相対湿度で1000時間放置した後、気泡や剥離の様子を観察した。なお、試験片の状態を評価する前に、室温(25℃)で24時間静置している。結果を表2に示す。
【0112】
耐久性評価についての評価基準は以下の通りである。
○:気泡や剥離現象無し
△:気泡や剥離現象僅かにあり
×:気泡や剥離現象多数有り
【0113】
〈ガラス接着力,高温・高温多湿条件での接着力変化〉
粘着剤がコーティングされた偏光板を、常温(23℃/60%RH)において7日間熟成させた後、該偏光板はそれぞれ1インチ×6インチサイズに切断し、2kgのゴムローラーを使用して0.7mm厚の無アルカリガラスに貼り付けた。常温で保管した後、1時間後に初期接着力を測定し、次いで50℃で4時間エージングさせ、その後常温で1時間保管後、接着力を測定した。結果を表2に示す。
【0114】
また、高温及び高温多湿の条件で接着力上昇の程度を見るために、それぞれ60℃/30%RHと60℃/90%RHの条件で時間に応じてエージング後、常温で1時間放冷し、接着力を測定した。結果を表3,4に示す。
この際、接着力の測定には引っ張り試験機を用い、300mm/分の速度、180°の角度で剥離強度を測定した。
【0115】
〈リワーク性〉
粘着剤がコーティングされた偏光板(90mm×170mm)をガラス基板(110mm×190mm×0.7mm)に貼り付けた後、常温で1時間経過(初期接着力)及び50℃×4時間エージングし、常温で1時間放冷した後、偏光板をガラスから剥離した。結果を表2に示す。
リワーク性に対する評価基準は以下の通りである。
○:容易に再剥離可能
△:再剥離は若干困難
×:剥離不能、ガラス破損
【0116】
実施例及び比較例の粘着剤が適用された偏光板に関して、前期の評価方法を通じて得られた耐久性、ガラス接着力、リワーク性、高温及び高温多湿下での接着力の変化についての評価結果を下記の表2〜4に示した。
【0117】
【表2】

【0118】
【表3】

【0119】
【表4】

【0120】
以上の結果は、本発明の組成物が初期リワーク性に優れ、高温及び高温多湿処理することで十分なガラスとの接着力を発現し、長期的耐久性に優れた粘着剤組成物であることを証明するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(3)で示される有機ケイ素化合物。
【化1】


(式中、Rは加水分解性基であり、R’は炭素数1〜4のアルキル基であり、Aは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキレン基であり、Xは酸素原子又は硫黄原子であり、Zは−NH−、酸素原子又は硫黄原子であり、R8〜R11はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基もしくはフルオロアルキル基、又はアミノ基であり、またR9とR10が直接結合して該置換基が結合する炭素間で二重結合を形成してもよく、さらにR8とR11でこれらが結合する炭素原子と共に脂肪族又は芳香族環骨格を形成してもよい。mは1〜3の整数であり、nは0〜3の整数である。)
【請求項2】
下記一般式(4)
【化2】


(式中、Rは加水分解性基であり、R’は炭素数1〜4のアルキル基であり、Aは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキレン基であり、Xは酸素原子又は硫黄原子であり、mは1〜3の整数である。)
で示されるイソ(チオ)シアネートシランと、下記一般式(7)
【化3】


(式中、Zは−NH−、酸素原子又は硫黄原子であり、R8〜R11はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基もしくはフルオロアルキル基、又はアミノ基であり、またR9とR10が直接結合して該置換基が結合する炭素間で二重結合を形成してもよく、さらにR8とR11でこれらが結合する炭素原子と共に脂肪族又は芳香族環骨格を形成してもよい。nは0〜3の整数である。)
で示される複素環化合物とを反応させることを特徴とする請求項1記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする粘着剤組成物。
【請求項4】
(A)(a)炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー90〜99.9質量部;(b)架橋可能な官能基を含むビニル系モノマー及び/又は(メタ)アクリル系モノマー0.1〜10質量部を共重合して得られる(メタ)アクリル系共重合体: 100質量部、
(B)多官能性架橋剤: 0.01〜10質量部、
(C)請求項1記載の有機ケイ素化合物: 0.01〜9質量部
を含むことを特徴とする請求項3記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
(b)架橋可能な官能基を含むビニル系モノマー又は(メタ)アクリル系モノマーが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸二量体、イタコン酸、マレイン酸及びマレイン酸無水物からなる群より選ばれる1種以上のモノマーである請求項4記載の粘着剤組成物。
【請求項6】
(B)多官能性架橋剤が、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物及び金属キレート系化合物からなる群より選ばれる1種以上の架橋剤である請求項4又は5記載の粘着剤組成物。
【請求項7】
硬化物の架橋密度が5〜95質量%である請求項1〜6のいずれか1項記載の粘着剤組成物。
【請求項8】
偏光フィルムと、この偏光フィルムの片面又は両面に請求項1〜7のいずれか1項記載の粘着剤組成物から形成される粘着剤層とを有することを特徴とする粘着偏光板。
【請求項9】
さらに、保護層、反射層、位相差板、光視野角補償フィルム及び輝度向上フィルムからなる群より選択される1種以上の層を有する請求項8記載の粘着偏光板。
【請求項10】
一対のガラス基板間に液晶が封入された液晶セルと、この液晶セルの片面又は両面に貼着された請求項8又は9記載の粘着偏光板とを有する液晶パネルを含むことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−74080(P2011−74080A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259869(P2010−259869)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【分割の表示】特願2008−227777(P2008−227777)の分割
【原出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】