有機ケイ素化合物、並びに、それを用いたゴム組成物、タイヤ、プライマー組成物、塗料組成物及び接着剤

【課題】ゴム組成物の未加硫粘度を低下させ、ヒステリシスロスを大幅に低下させると共に、耐摩耗性を大幅に向上させることが可能な新規化合物、かかる化合物を含むゴム組成物及び該ゴム組成物を用いたタイヤを提供する。
【解決手段】特定の構造式で表わされる有機ケイ素化合物と、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムからなるゴム成分(A)に対して、無機充填剤(B)とシランカップリング剤(C)と前記有機ケイ素化合物(D)とを配合してなるゴム組成物と、該ゴム組成物を用いたタイヤである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ケイ素化合物、該有機ケイ素化合物を含むゴム組成物、プライマー組成物、塗料組成物及び接着剤、並びに、該ゴム組成物を用いたタイヤに関し、特には、ゴム組成物の未加硫粘度を低下させ、ヒステリシスロスを低下させると共に、耐摩耗性を向上させることが可能な有機ケイ素化合物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤの湿潤路面における性能の向上と転がり抵抗の低減とを両立する技術として、タイヤのトレッドに用いるゴム組成物の充填剤としてシリカ等の無機充填剤を用いる手法が有効であることが知られている。しかしながら、シリカ等の無機充填剤を配合したゴム組成物は、タイヤの転がり抵抗を低減し、湿潤路面における制動性を向上させ、操縦安定性を向上させるものの、未加硫粘度が高く、多段練り等を要するため、作業性に問題がある。そのため、シリカ等の無機充填剤を配合したゴム組成物においては、破壊強力及び耐摩耗性が大幅に低下し、加硫遅延や充填剤の分散不良等の問題を生じる。
【0003】
そこで、トレッド用ゴム組成物にシリカ等の無機充填剤を配合した場合、ゴム組成物の未加硫粘度を低下させ、モジュラスや耐摩耗性を確保し、また、ヒステリシスロスを更に低下させるためには、シランカップリング剤を添加することが必須となっている。また、該シランカップリング剤は、シリカ表面と相互作用することにより加硫促進剤のシリカ表面への吸着を防ぐ役割もある。しかしながら、通常、シランカップリング剤を用いた場合にはゴム中に未反応成分が残留してしまい、混練り中にゴムやけを起こすことがある。
【0004】
これに対して、非イオン性の界面活性剤と組み合わせて、少量のシランカップリング剤を使用することにより、ゴムやけを防止しつつ、低ロス性、ウェット性能、耐摩耗性、加工性等に優れたゴム組成物が得られることが知られている(特開平11−130908号公報)。しかしながら、この場合、非イオン性の界面活性剤は、シリカとは物理的に吸着しているだけであり、タイヤ製造後に表面にブルームすることがあるため、外観が悪化するという問題がある。
【0005】
一方、化学的にシリカと結合可能な界面活性剤としてアルキルシラン化合物が挙げられるが、上記物性を達成するためには大量に使用する必要がある。また、上記シランカップリング剤は、タイヤ等に用いられるゴム組成物の他、プライマー組成物、塗料組成物及び接着剤等のゴム組成物以外の用途にも広く用いられており、同様の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−130908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この様な状況下、本発明の目的は、ゴム組成物の未加硫粘度を低下させ、ヒステリシスロスを低下させると共に、耐摩耗性を向上させることが可能な新規化合物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる化合物を含むゴム組成物、プライマー組成物、塗料組成物及び接着剤、並びに、該ゴム組成物を用いたタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の構造式で表わされる有機ケイ素化合物は、シリカ等の無機充填剤との反応効率が高いため、該有機ケイ素化合物を無機充填剤と共にゴム成分に配合することで、ゴム組成物の未加硫粘度が低下し、また、無機充填剤の分散性が向上して、ゴム組成物のヒステリシスロスを大幅に低下させつつ、耐摩耗性を大幅に向上させられる上、該有機ケイ素化合物が有機材料と無機材料からなるハイブリッド材料の界面の接着改善や親和性向上にも効果があることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明の第一の有機ケイ素化合物は、下記一般式(I):
【化1】

[式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して一価の基であり、但し、R1、R2及びR3の少なくとも一つは、窒素を含む基又は下記一般式(II):
【化2】

(式中、R5は、二価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であり、pは1〜18である)で表わされる部分を含み、
4は、一価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基である]で表わされることを特徴とする。
【0010】
本発明の第一の有機ケイ素化合物においては、前記一般式(I)中のR1、R2及びR3の少なくとも一つが、下記一般式(III)又は一般式(IV):
【化3】

【化4】

[式中、Mは−O−又は−CH2−であり、
X及びYはそれぞれ独立して−O−、−NR8−又は−CH2−であり、
6は−OR8、−NR89又は−R8であり、
7は−NR89、−NR8−NR89、又は−N=NR8であり、
但し、R8は−Cn2n+1であり、R9は−Cq2q+1であり、
l、m、n及びqはそれぞれ独立して0〜20である]で表わされることが好ましい。
【0011】
ここで、前記一般式(I)中のR1、R2及びR3の少なくとも一つが、上記一般式(III)又は一般式(IV)で表わされ、その他のR1、R2及びR3が、−M−Cl2l+1(ここで、M及びlは上記と同義である)或いは−(M−Cl2lys2s+1(ここで、Mは上記と同義であり、y及びsはそれぞれ独立して1〜20である)で表わされ、但し、R1、R2及びR3の一つ以上はMが−O−であることが更に好ましい。
【0012】
また、前記一般式(I)中のR1、R2及びR3は、少なくとも一つが−O−Cl2l−R7(ここで、R7及びlは上記と同義である)で表わされ、その他が−O−Cl2l+1(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
前記R4が−Cr2r+1(ここで、rは1〜20である)で表わされることがより一層好ましい。
【0013】
また、前記一般式(I)中のR1、R2及びR3は、少なくとも一つが−O−Cl2l−NR89(ここで、R8、R9及びlは上記と同義である)で表わされることが特に好ましい。
【0014】
本発明の第一の有機ケイ素化合物においては、前記一般式(I)中のR1、R2及びR3の少なくとも一つが、下記一般式(V):
【化5】

[式中、R5は、二価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であり、
10は、一価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基、或いは、水素であり、
pは1〜18である]で表わされることも好ましい。
【0015】
ここで、前記一般式(I)中のR1、R2及びR3の少なくとも一つが、上記一般式(V)で表わされ、その他のR1、R2及びR3が、−M−Ct2t+1(ここで、Mは−O−又は−CH2−であり、tは0〜18である)で表わされることが更に好ましい。
【0016】
また、本発明の第一の有機ケイ素化合物としては、下記一般式(VI):
【化6】

[式中、aは1〜18であり、bは1〜3であり、cは0〜2であり、但し、b+c=3であり、dは1〜18であり、eは0〜18であり、fは0〜18であり、gは2〜6である]で表わされる化合物が好ましく、下記一般式(VII):
【化7】

[式中、aは1〜18であり、bは1〜3であり、cは0〜2であり、但し、b+c=3であり、dは1〜18であり、eは0〜18であり、fは0〜18である]で表わされる化合物が更に好ましい。
【0017】
また、本発明の第二の有機ケイ素化合物は、下記一般式(VIII):
【化8】

[式中、W、R11及びR12は、それぞれ独立して二価の基であり、
13は、一価の基であり、
但し、W及びR13の少なくとも一方は、窒素を含み、
4は、一価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基である]で表わされることを特徴とする。
【0018】
本発明の第二の有機ケイ素化合物においては、前記一般式(VIII)中のWが、−NR8−、−O−又は−CR814−(ここで、R14は−R9又は−Cm2m−R15であり、但し、R15は−NR89、−NR8−NR89、−N=NR8又はHであり、R8は−Cn2n+1で、R9は−Cq2q+1で、m、n及びqはそれぞれ独立して0〜20である)で表わされ、
前記一般式(VIII)中のR11及びR12が、それぞれ独立して−M−Cl2l−(ここで、Mは−O−又は−CH2−で、lは0〜20である)で表わされ、
前記一般式(VIII)中のR13が、−M−Cl2l+1又は−M−Cl2l−R7(ここで、M及びlは上記と同義であり、R7は−NR89、−NR8−NR89、又は−N=NR8であり、但し、R8及びR9は上記と同義である)或いは−(M−Cl2lys2s+1(ここで、M及びlは上記と同義であり、y及びsはそれぞれ独立して1〜20である)で表わされ、但し、R11、R12及びR13の一つ以上はMが−O−であることが好ましい。
【0019】
本発明の第二の有機ケイ素化合物においては、前記一般式(VIII)中のWが−NR8−(ここで、R8は上記と同義である)で表わされ、
前記R11及びR12がそれぞれ独立して−O−Cl2l−(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
前記R13が−O−Cl2l−R7(ここで、R7及びlは上記と同義である)で表わされ、
前記R4が−Cr2r+1(ここで、rは1〜20である)で表わされることが好ましい。
【0020】
本発明の第二の有機ケイ素化合物においては、前記一般式(VIII)中のWが−O−又は−CR89−(ここで、R8及びR9は上記と同義である)で表わされ、
前記R11及びR12がそれぞれ独立して−O−Cl2l−(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
前記R13が−O−Cl2l−NR89(ここで、R8、R9及びlは上記と同義である)で表わされ、
前記R4が−Cr2r+1(ここで、rは1〜20である)で表わされることも好ましい。
【0021】
本発明の有機ケイ素化合物の好適例においては、前記Mが−O−である。この場合、Mが−CH2−である化合物と比べてシリカ等の無機充填剤との反応性が高い。
【0022】
また、本発明のゴム組成物は、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムからなるゴム成分(A)に対して、無機充填剤(B)とシランカップリング剤(C)と上記の有機ケイ素化合物(D)とを配合してなることを特徴とする。
【0023】
本発明のゴム組成物は、前記天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムからなるゴム成分(A)100質量部に対して、前記無機充填剤(B)5〜140質量部を配合してなり、
更に、前記シランカップリング剤(C)を、前記無機充填剤(B)の配合量の1〜20質量%、前記有機ケイ素化合物(D)を、前記無機充填剤(B)の配合量の1〜20質量%含むことが好ましい。
【0024】
本発明のゴム組成物の好適例においては、前記無機充填剤(B)がシリカ又は水酸化アルミニウムである。ここで、該シリカは、BET表面積が40〜350m2/gであることが好ましい。
【0025】
また、本発明のタイヤは、上記のゴム組成物を用いたことを特徴とする。
【0026】
更に、本発明のプライマー組成物は、上記有機ケイ素化合物を含むことを特徴とし、本発明の塗料組成物は、上記有機ケイ素化合物を含むことを特徴とし、本発明の接着剤は、上記有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、特定の分子構造を有し、ゴム組成物の未加硫粘度を低下させ、ヒステリシスロスを大幅に低下させると共に、耐摩耗性を大幅に向上させることが可能な有機ケイ素化合物を提供することができる。また、かかる有機ケイ素化合物を含むゴム組成物及び該ゴム組成物を用いたタイヤ、更には、かかる有機ケイ素化合物を含むプライマー組成物、塗料組成物及び接着剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<有機ケイ素化合物>
以下に、本発明の有機ケイ素化合物を詳細に説明する。本発明の第一の有機ケイ素化合物は、上記一般式(I)で表わされ、また、本発明の第二の有機ケイ素化合物は、上記一般式(VIII)で表わされることを特徴とする。これら本発明の有機ケイ素化合物は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の有機ケイ素化合物は、シリカ等の無機充填剤の表面との親和性が高い窒素を含む基、又は、上記一般式(II)で表わされる部分を含むため、無機充填剤と有機ケイ素化合物との間の反応を促進できる。そのため、本発明の有機ケイ素化合物を無機充填剤配合ゴム組成物に添加することで、未加硫粘度が低下し、また、無機充填剤の分散性が向上する結果として、ゴム組成物のヒステリシスロスを大幅に低下させつつ、耐摩耗性を大幅に向上させることが可能となる。また、本発明の有機ケイ素化合物は、無機充填剤との反応効率が高いため、ブルームし難く、更に、本発明の有機ケイ素化合物は、添加効率が高いため、少量でも高い効果が得られ、配合コストの低減にも寄与する。
【0029】
なお、本発明の有機ケイ素化合物が上記一般式(II)で表わされる部分を含む場合、該一般式(II)で表わされる部分は、無機充填剤表面の疎水化に寄与すると共に、有機ケイ素化合物の沸点が高くなるため、揮発性有機化合物(VOC)源とならない。そのため、該有機ケイ素化合物を含むゴム組成物をタイヤに用いることで、タイヤの使用中に排出されるVOCを低減することができる。
【0030】
<<式(I)の化合物>>
上記一般式(I)において、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して一価の基であり、但し、R1、R2及びR3の少なくとも一つは、窒素を含む一価の基又は上記一般式(II)で表わされる部位を含む一価の基であり、R4は、一価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基である。ここで、一般式(II)中のR5は、二価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であり、また、pは1〜18であり、好ましくは2〜6である。なお、R5に関して、二価の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、オクタデカメチレン基等の炭素数1〜20のアルキレン基が挙げられ、また、二価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ビフェニリレン基、ナフチレン基、トリレン基等の炭素数6〜20のアリーレン基が挙げられる。なお、R5としては、−Cg2g−(ここで、gは2〜6である)で表わされる二価の脂肪族炭化水素基が好ましく、ここで、−Cg2g−は、gが2〜6であるため、炭素数2〜6のアルキレン基であり、炭素数2〜6のアルキレン基としては、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられ、該アルキレン基は、直鎖状でも分岐状でもよい。
【0031】
上記一般式(I)中のR4に関して、一価の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられ、また、一価の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられる。なお、R4は−Cr2r+1(ここで、rは1〜20である)で表わされることが好ましく、即ち、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、該アルキレン基は、直鎖状でも分岐状でもよい。
【0032】
上記一般式(I)中のR1、R2及びR3の少なくとも一つが窒素を含む一価の基である場合、該窒素を含む一価の基としては、上記一般式(III)で表わされ基、及び上記一般式(IV)で表わされる基が好ましい。
【0033】
上記一般式(III)及び一般式(IV)において、Mは−O−又は−CH2−であり、−O−であることが好ましい。Mが−O−である場合、無機充填剤との反応性が高くなる。
【0034】
上記一般式(III)及び一般式(IV)において、lは0〜20である。一般式(III)及び一般式(IV)中の−Cl2l−は、lが0〜20であるため、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基である。ここで、炭素数1〜20のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、オクタデカメチレン基等が挙げられ、該アルキレン基は、直鎖状でも分岐状でもよい。
【0035】
上記一般式(III)において、mは0〜20である。一般式(III)中の−Cm2m+1は、nが0〜20であるため、水素又は炭素数1〜20のアルキル基である。ここで、炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられ、該アルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよい。
【0036】
上記一般式(III)において、X及びYはそれぞれ独立して−O−、−NR8−又は−CH2−である。ここで、R8は−Cn2n+1であり、nは0〜20である。なお、−Cn2n+1は、nが0〜20であるため、水素又は炭素数1〜20のアルキル基である。ここで、炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられ、該アルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよい。
【0037】
上記一般式(III)において、R6は−OR8、−NR89又は−R8である。ここで、R8は−Cn2n+1であり、R9は−Cq2q+1である。なお、−Cn2n+1については、上述の通りであり、−Cq2q+1は、qが0〜20であるため、水素又は炭素数1〜20のアルキル基である。ここで、炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられ、該アルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよい。
【0038】
上記一般式(IV)において、R7は−NR89、−NR8−NR89、又は−N=NR8であり、ここで、R7は−Cn2n+1であり、R8は−Cq2q+1であり、n及びqはそれぞれ独立して0〜20である。なお、−Cn2n+1及び−Cq2q+1については、上述の通りである。
【0039】
上記一般式(I)中のR1、R2及びR3の少なくとも一つが、上記一般式(III)又は一般式(IV)で表わされる場合、一般式(I)中のその他のR1、R2及びR3は、−M−Cl2l+1(ここで、Mは−O−又は−CH2−であり、lは0〜20である)、又は−(M−Cl2lys2s+1(ここで、Mは−O−又は−CH2−であり、y及びsはそれぞれ独立して1〜20である)で表わされることが好ましい。ここで、R1、R2及びR3の一つ以上は、Mが−O−であることが更に好ましい。なお、−Cl2l+1は、lが0〜20であるため、水素又は炭素数1〜20のアルキル基である。ここで、炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられ、該アルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよい。また、−Cl2l−は、lが0〜20であるため、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基である。ここで、炭素数1〜20のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、オクタデカメチレン基等が挙げられ、該アルキレン基は、直鎖状でも分岐状でもよい。また、−Cs2s+1は、sが1〜20であるため、炭素数1〜20のアルキル基である。ここで、炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられ、該アルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよい。また、yは、(M−Cl2l)単位の繰り返し数であり、1〜20である。なお、(M−Cl2l)単位中のMは、−O−(酸素)であることが好ましい。
【0040】
上記一般式(I)中のR1、R2及びR3の少なくとも一つが上記一般式(II)で表わされる部位を含む一価の基である場合、該一価の基としては、上記一般式(V)で表わされ基が好ましい。ここで、一般式(V)中のR5は、二価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であり、R10は、一価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基、或いは、水素であり、また、pは1〜18であり、好ましくは2〜6である。なお、R5及びpについては、上述の通りである。また、R10に関して、一価の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられ、また、一価の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられる。なお、R10としては、−Cf2f+1(ここで、fは0〜18である)で表わされる一価の脂肪族炭化水素基又は水素が好ましい。ここで、−Cf2f+1は、fが0〜18であるため、水素又は炭素数1〜18のアルキル基であり、炭素数1〜18のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられ、該アルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよい。
【0041】
上記一般式(I)中のR1、R2及びR3の少なくとも一つが上記一般式(V)で表わされる場合、一般式(I)中のその他のR1、R2及びR3は、−M−Ct2t+1(ここで、Mは−O−又は−CH2−であり、tは0〜18である)で表わされることが好ましい。ここで、−Ct2t+1は、tが0〜18であるため、水素又は炭素数1〜18のアルキル基であり、炭素数1〜18のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基が挙げられ、該アルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよい。
【0042】
上記一般式(I)中のR1、R2及びR3の少なくとも一つが上記一般式(II)で表わされる部位を含む一価の基である有機ケイ素化合物としては、上記一般式(VI)で表わされる化合物が好ましく、上記一般式(VII)で表わされる化合物が更に好ましい。
【0043】
上記一般式(VI)及び一般式(VII)において、aは1〜18であり、bは1〜3であり、cは0〜2であり、但し、b+c=3であり、dは1〜18であり、eは0〜18であり、fは0〜18である。また、上記一般式(VI)において、gは2〜6であり、2であることが好ましい。一般式(VI)中の−Cg2g−、一般式(VI)及び一般式(VII)中の−Cf2f+1については上述のとおりである。
【0044】
上記一般式(VI)及び一般式(VII)中の−Cd2d+1は、dが1〜18であるため、炭素数1〜18のアルキル基であり、炭素数1〜18のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられ、該アルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよい。
【0045】
また、上記一般式(VI)及び一般式(VII)中の−Ce2e+1は、eが0〜18であるため、水素又は炭素数1〜18のアルキル基である。ここで、炭素数1〜18のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられ、該アルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよい。
【0046】
なお、上記一般式(I)中のR1、R2及びR3の一つ以上がMを含む場合、少なくとも一つのMは−O−であることが好ましい。この場合、Mが−CH2−である化合物と比べてシリカ等の無機充填剤との反応性が高い。
【0047】
また、上記一般式(I)で表わされる化合物において、R1、R2及びR3は、少なくとも一つが−O−Cl2l−R7で表わされ、その他のR1、R2及びR3が−O−Cl2l+1で表わされることが好ましく、R4が−Cr2r+1で表わされることが好ましい。
【0048】
更に、上記一般式(I)で表わされる化合物において、R1、R2及びR3は、少なくとも一つが−O−Cl2l−NR89で表わされることが更に好ましく、その他のR1、R2及びR3が−O−Cl2l+1で表わされ、R4が−Cr2r+1で表わされることが好ましい。
【0049】
<<式(VIII)の化合物>>
上記一般式(VIII)において、W、R11及びR12はそれぞれ独立して二価の基であり、R13は一価の基であり、R4は一価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基である。但し、一般式(VIII)において、W及びR13の少なくとも一方は、窒素を含む。
【0050】
上記一般式(VIII)中のR4に関して、一価の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられ、また、一価の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられる。なお、R4は−Cr2r+1(ここで、rは1〜20である)で表わされることが好ましく、即ち、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、該アルキレン基は、直鎖状でも分岐状でもよい。
【0051】
上記一般式(VIII)中のWとしては、−NR8−、−O−又は−CR814−(ここで、R14は−R9又は−Cm2m−R15であり、但し、R15は−NR89、−NR8−NR89、−N=NR8又はHであり、R8は−Cn2n+1で、R9は−Cq2q+1で、m、n及びqはそれぞれ独立して0〜20である)で表わされる二価の基が好ましい。なお、−Cm2m−は、mが0〜20であるため、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基である。ここで、炭素数1〜20のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、オクタデカメチレン基等が挙げられ、該アルキレン基は、直鎖状でも分岐状でもよい。また、−Cn2n+1及び−Cq2q+1は、n及びqが0〜20であるため、水素又は炭素数1〜20のアルキル基である。ここで、炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられ、該アルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよい。
【0052】
上記一般式(VIII)中のR11及びR12としては、−M−Cl2l−(ここで、Mは−O−又は−CH2−で、lは0〜20である)で表わされる二価の基が好ましい。ここで、−Cl2l−は、lが0〜20であるため、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基であり、ここで、炭素数1〜20のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、オクタデカメチレン基等が挙げられ、該アルキレン基は、直鎖状でも分岐状でもよい。
【0053】
上記一般式(VIII)中のR13としては、−M−Cl2l+1又は−M−Cl2l−R7(ここで、Mは−O−又は−CH2−で、lは0〜20であり、R7は−NR89、−NR8−NR89、又は−N=NR8であり、但し、R8及びR9は上記と同義である)或いは−(M−Cl2lys2s+1(ここで、Mは−O−又は−CH2−で、lは0〜20であり、y及びsはそれぞれ独立して1〜20である)で表わされる基が好ましい。ここで、−Cl2l+1は、lが0〜20であるため、水素又は炭素数1〜20のアルキル基であり、ここで、炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられ、該アルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよい。なお、−Cl2l−、R8及びR9については、上述の通りである。また、−Cs2s+1は、sが1〜20であるため、炭素数1〜20のアルキル基であり、ここで、炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられ、該アルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよい。また、yは、(M−Cl2l)単位の繰り返し数であり、1〜20である。なお、(M−Cl2l)単位中のMは、−O−(酸素)であることが好ましい。
【0054】
なお、上記一般式(VIII)中のR11、R12及びR13の一つ以上がMを含む場合、少なくとも一つのMは−O−であることが好ましい。この場合、Mが−CH2−である化合物と比べてシリカ等の無機充填剤との反応性が高い。
【0055】
上記一般式(VIII)中のWが−NR8−で表わされる場合、R11及びR12はそれぞれ独立して−O−Cl2l−で表わされることが好ましく、R13は−O−Cl2l−R7で表わされることが好ましく、R4は−Cr2r+1で表わされることが好ましい。
【0056】
一方、上記一般式(VIII)中のWが−O−又は−CR89−で表わされる場合、R11及びR12はそれぞれ独立して−O−Cl2l−で表わされることが好ましく、R13は−O−Cl2l−NR89で表わされることが好ましく、R4は−Cr2r+1で表わされることが好ましい。
【0057】
<<有機ケイ素化合物の合成方法>>
本発明の有機ケイ素化合物は、例えば、上記一般式(I)で表わされ、R1、R2及びR3が−M−Cl2l+1で表わされ、R1、R2及びR3中のMの一つ以上が−O−である化合物に対し、(i)2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール、2−(ジメチルアミノ)プロパノール、2−(ジエチルアミノ)プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノールアミン等のアミン化合物や、(ii)2−(2−(2−(2−(2−(トリデシルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタノール等のアルコール化合物を加え、更に触媒としてp−トルエンスルホン酸、塩酸等の酸や、チタンテトラn−ブトキシド等チタンアルコキシドを添加し、加熱して、R1、R2及びR3の一つ以上を窒素を含む一価の基又は上記一般式(II)で表わされる部位を含む一価の基で置換、或いはR1及びR2を−R11−W−R12−で表わされる二価の基で置換することで合成できる。更に、任意に、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール等のアルコール化合物を添加し、加熱して、R1、R2及びR3の一つ以上を−(M−Cl2lys2s+1で表される一価の基で置換してもよい。
【0058】
<<有機ケイ素化合物の具体例>>
本発明の有機ケイ素化合物として、具体的には、ビス(N,N−ジメチルアミノエトキシ)エトキシオクチルシラン、ビス(N,N−ジメチルアミノエトキシ)メチルオクチルシラン、ビス(N,N−ジメチルアミノエトキシ)メチルドデシルシラン、ビス(N,N−ジメチルアミノエチル)エトキシオクチルシラン、ビス(N,N−ジメチルアミノエチル)メチルオクチルシラン、ビス(N,N−ジメチルアミノエチル)メチルドデシルシラン、
ビス{2−(2−(2−(2−(2−(トリデシルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ}オクチルエトキシシラン、ビス{2−(2−(2−(2−(2−(トリデシルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ}ドデシルエトキシシラン、{2−(2−(2−(2−(2−(トリデシルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ}オクチルジエトキシシラン、{2−(2−(2−(2−(2−(トリデシルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ}ドデシルジエトキシシラン、ビス{2−(2−(2−(2−(2−(トリデシルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ}オクチルメチルシラン、ビス{2−(2−(2−(2−(2−(トリデシルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ}ドデシルメチルシラン、ビス{2−(2−(2−(2−(2−(トリデシルオキシ)ブトキシ)ブトキシ)ブトキシ)ブトキシ)ブトキシ}オクチルエトキシシラン、ビス{2−(2−(2−(2−(2−(トリデシルオキシ)ブトキシ)ブトキシ)ブトキシ)ブトキシ)ブトキシ}ドデシルエトキシシラン、
オクチル(エトキシ)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロオクタン、オクチル(メチル)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロオクタン、ドデシル(エトキシ)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロオクタン、ドデシル(メチル)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロオクタン、
オクチル−N,N−ジメチルアミノエチルエトキシメチルシラン、ビス{2−(2−(2−(2−(2−(トリデシルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ}オクチルエトキシシラン、ビス{2−(2−(2−(2−(2−(トリデシルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ}ドデシルエトキシシラン、{2−(2−(2−(2−(2−(トリデシルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ}オクチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0059】
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムからなるゴム成分(A)に対して、無機充填剤(B)とシランカップリング剤(C)と上述の有機ケイ素化合物(D)とを配合してなることを特徴とし、好ましくは、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムからなるゴム成分(A)100質量部に対して、無機充填剤(B)5〜140質量部を配合し、更に、上記シランカップリング剤(C)を、上記無機充填剤(B)の配合量の1〜20質量%、上述の有機ケイ素化合物(D)を、上記無機充填剤(B)の配合量の1〜20質量%配合してなる。
【0060】
ここで、有機ケイ素化合物(D)の含有量が無機充填剤(B)の配合量の1質量%以上であれば、ゴム組成物のヒステリシスロスを低下させる効果、並びに耐摩耗性を向上させる効果が十分となる一方、20質量%を超えると、効果が飽和してしまう。
【0061】
本発明のゴム組成物のゴム成分(A)は、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムからなる。ここで、ジエン系合成ゴムとしては、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン共重合体等が挙げられる。なお、該ゴム成分(A)は、シランカップリング剤(C)と反応するために、分子内に炭素−炭素二重結合を有することが好ましい。これらゴム成分(A)は、一種単独で用いても、二種以上をブレンドして用いてもよい。
【0062】
本発明のゴム組成物に用いる無機充填剤(B)としては、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、クレー、炭酸カルシウム等が挙げられ、これらの中でも、補強性の観点から、シリカ及び水酸化アルミニウムが好ましく、シリカが特に好ましい。無機充填剤(B)がシリカの場合は、有機ケイ素化合物(D)は、シリカ表面のシラノール基との親和力の高い窒素を含む基、上記一般式(II)で表わされる部分、又はエーテル結合(−O−)を含むため、シリカと有機ケイ素化合物(D)の反応効率が大幅に向上して、ゴム組成物の未加硫粘度及びヒステリシスロスを低下させ、耐摩耗性を向上させる効果が一層顕著になる。なお、シリカとしては、特に制限はなく、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)等を使用することができ、一方、水酸化アルミニウムとしては、ハイジライト(登録商標、昭和電工製)を用いることが好ましい。
【0063】
上記シリカは、BET表面積が40〜350m2/gであることが好ましい。シリカのBET表面積が40m2/g未満の場合、該シリカの粒子径が大きすぎるために耐摩耗性が大きく低下してしまい、また、シリカのBET表面積が350m2/gを超える場合、該シリカの粒子径が小さすぎるためにヒステリシスロスが大きく増加してしまう。
【0064】
上記無機充填剤(B)の配合量は、上記ゴム成分(A)100質量部に対して5〜140質量部の範囲が好ましい。無機充填剤(B)の配合量が上記ゴム成分(A)100質量部に対して5質量部未満では、ヒステリシスロスを低下させる効果が不十分であり、一方、140質量部を超えると、作業性が著しく悪化するためである。
【0065】
本発明のゴム組成物に用いるシランカップリング剤(C)は、ゴム成分(A)と無機充填剤(B)とをカップリングさせる役割を果たし、ゴム組成物にシランカップリング剤(C)を添加することで、ゴム組成物の低発熱性及びウェット性能を更に向上させることができる。該シランカップリング剤としては、ゴム組成物に一般に使用されるものを使用でき、特に限定されるものではないが、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド等が挙げられ、これらの中でも、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド及び3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドが好ましい。これらシランカップリング剤(C)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0066】
上記シランカップリング剤(C)の添加量は、上記無機充填剤(B)の配合量の1〜20質量%の範囲が好ましい。シランカップリング剤(C)の含有量が無機充填剤(B)の配合量の1質量%以上であれば、ゴム組成物のヒステリシスロスを低下させる効果、並びに耐摩耗性を向上させる効果が十分となる一方、20質量%を超えると、効果が飽和してしまう。
【0067】
本発明のゴム組成物には、上記ゴム成分(A)、無機充填剤(B)、シランカップリング剤(C)、有機ケイ素化合物(D)の他に、ゴム業界で通常使用される配合剤、例えば、カーボンブラック、軟化剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸等を目的に応じて適宜配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。なお、本発明のゴム組成物は、ゴム成分(A)に、無機充填剤(B)、シランカップリング剤(C)及び有機ケイ素化合物(D)と共に、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
【0068】
<タイヤ>
また、本発明のタイヤは、上述のゴム組成物を用いたことを特徴とし、上述のゴム組成物がトレッドに用いられていることが好ましい。本発明のタイヤは、転がり抵抗が大幅に低減されていることに加え、耐摩耗性も大幅に向上している。なお、本発明のタイヤは、従来公知の構造で、特に限定はなく、通常の方法で製造できる。また、本発明のタイヤが空気入りタイヤの場合、タイヤ内に充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
【0069】
<プライマー組成物、塗料組成物及び接着剤>
更に、本発明のプライマー組成物は、上記有機ケイ素化合物を含むことを特徴とし、本発明の塗料組成物は、上記有機ケイ素化合物を含むことを特徴とし、本発明の接着剤は、上記有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。上述した本発明の有機ケイ素化合物は、シラノール基以外のヒドロキシ基であっても高い親和性を有するため、ヒドロキシ基を有する種々の無機化合物との反応も促進でき、有機材料と無機材料のハイブリッド材料の界面の接着改善や親和性向上に効果がある。従って、上記有機ケイ素化合物を含むプライマー組成物、塗料組成物、接着剤は、有機材料と無機材料の界面の接着性及び親和性を向上させることができる。
【0070】
ここで、本発明のプライマー組成物は、上記有機ケイ素化合物の他に、硬化促進成分として、スズ、チタン等の金属又は金属化合物からなる触媒を含有させてもよく、また、プライマー組成物の粘度を調整するために、有機溶剤を含有させてもよい。また、本発明の塗料組成物は、上記有機ケイ素化合物の他に、顔料、金属粒子、樹脂、更には、有機溶剤や水を含有させることができる。更に、本発明の接着剤は、上記有機ケイ素化合物の他に、樹脂、更には、接着剤の粘度を調整するための有機溶剤を含有させることができる。なお、本発明のプライマー組成物、塗料組成物、接着剤は、それぞれ、上記有機ケイ素化合物と共に、目的に応じて適宜選択した配合剤や溶剤を混合して、公知の方法で作製できる。
【実施例】
【0071】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0072】
<有機ケイ素化合物(D−1)の合成>
500mLの四ツ口フラスコに、オクチルトリエトキシシラン 60g、N−ジメチルエタノールミン20g、チタンテトラ−n−ブトキシド 0.8g、トルエン 220mLを加えた。反応溶液をメカニカルスターラーで撹拌しながら、乾燥窒素を流しつつ(0.2L/min)、フラスコをオイルバスで加熱し、ジムロートコンデンサーを取り付け、11時間還流を行った。その後、エバポレーターを用いて溶媒を除去することにより、下記化学式:
【化9】

で表わされるビス(N,N−ジメチルアミノエチル)エトキシオクチルシラン[有機ケイ素化合物(D−1)]63.1gを得た。なお、生成物の同定は1H−NMRで行った。1H−NMRでの分析結果を以下に示す。
1H−NMR:0.58(2H, t), 0.96(3H, t), 1.22(3H, t), 1.29-1.33(12H, m), 2.27(12H, s), 2.55(4H, t), 3.83-3.89(6H, m)
【0073】
<有機ケイ素化合物(D−2)の合成>
500mLの四ツ口フラスコに、オクチルメチルジエトキシシラン 60g、N−ジメチルエタノールミン20g、チタンテトラ−n−ブトキシド 0.8g、トルエン 220mLを加えた。反応溶液をメカニカルスターラーで撹拌しながら、乾燥窒素を流しつつ(0.2L/min)、フラスコをオイルバスで加熱し、ジムロートコンデンサーを取り付け、11時間還流を行った。その後、エバポレーターを用いて溶媒を除去することにより、下記化学式:
【化10】

で表わされるビス(N,N−ジメチルアミノエチル)メチルオクチルシラン[有機ケイ素化合物(D−2)]60.8gを得た。なお、生成物の同定は1H−NMRで行った。1H−NMRでの分析結果を以下に示す。
1H−NMR:0.14(3H, s), 0.50(2H, t), 0.96(3H, t), 1.29-1.33(12H, m), 2.27(12H, s), 2.55(4H, t), 3.89(4H, t)
【0074】
<有機ケイ素化合物(D−3)の合成>
500mLの四ツ口フラスコに、ドデシルメチルジエトキシシラン 60g、N−ジメチルエタノールミン 20g、チタンテトラ−n−ブトキシド 0.8g、トルエン 220mLを加えた。反応溶液をメカニカルスターラーで撹拌しながら、乾燥窒素を流しつつ(0.2L/min)、フラスコをオイルバスで加熱し、ジムロートコンデンサーを取り付け、11時間還流を行った。その後、エバポレーターを用いて溶媒を除去することにより、下記化学式:
【化11】

で表わされるビス(N,N−ジメチルアミノエチル)メチルドデシルシラン[有機ケイ素化合物(D−3)]58.8gを得た。なお、生成物の同定は1H−NMRで行った。1H−NMRでの分析結果を以下に示す。
1H−NMR:0.14(3H, s), 0.50(2H, t), 0.96(3H, t), 1.29-1.33(20H, m), 2.27(12H, s), 2.55(4H, t), 3.89(4H, t)
【0075】
<有機ケイ素化合物(D−4)の合成>
500mLの四ツ口フラスコに、オクチルトリエトキシシラン 60g、N−メチルジエタノールミン20g、チタンテトラ−n−ブトキシド 0.8g、トルエン 220mLを加えた。反応溶液をメカニカルスターラーで撹拌しながら、乾燥窒素を流しつつ(0.2L/min)、フラスコをオイルバスで加熱し、ジムロートコンデンサーを取り付け、11時間還流を行った。その後、エバポレーターを用いて溶媒を除去することにより、下記化学式:
【化12】

で表わされるオクチル(エトキシ)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロオクタン[有機ケイ素化合物(D−4)]58.6gを得た。なお、生成物の同定は1H−NMRで行った。1H−NMRでの分析結果を以下に示す。
1H−NMR:0.58(2H, t), 0.96(3H, t), 1.22(3H, t), 1.29-1.33(12H, m), 2.27(3H, s), 2.55(4H, t), 3.83-3.89(6H, m)
【0076】
<有機ケイ素化合物(D−5)の合成>
500mLの四ツ口フラスコに、オクチルジエトキシメチルシラン 60g、N−メチルジエタノールミン20g、チタンテトラ−n−ブトキシド 0.8g、トルエン 220mLを加えた。反応溶液をメカニカルスターラーで撹拌しながら、乾燥窒素を流しつつ(0.2L/min)、フラスコをオイルバスで加熱し、ジムロートコンデンサーを取り付け、11時間還流を行った。その後、エバポレーターを用いて溶媒を除去することにより、下記化学式:
【化13】

で表わされるオクチル(メチル)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロオクタン[有機ケイ素化合物(D−5)]56.8gを得た。なお、生成物の同定は1H−NMRで行った。1H−NMRでの分析結果を以下に示す。
1H−NMR:0.14(3H, s), 0.50(2H, t), 0.96(3H, t), 1.29-1.33(12H, m), 2.27(3H, s), 2.55(4H, t), 3.89(4H, m)
【0077】
<有機ケイ素化合物(D−6)の合成>
まず、500mLの四つ口フラスコに、マグネシウム 4.80gとジエチルエーテル 220mLを加え、乾燥窒素を流しつつ(0.2L/min)、撹拌しながら、滴下ロートを用いて30.02gのN,N−ジメチルアミノエチル−ブロミドのジエチルエーテル溶液 30mLを少しずつ滴下し、N,N−ジメチルアミノエチル−マグネシウム−ブロミドを調製した。
【0078】
続いて、上記で調製したN,N−ジメチルアミノエチル−マグネシウム−ブロミドの溶液を氷浴に浸け、滴下ロートを用い、温度が上がらないように41.62gのオクチルジエトキシジメチルシランのジエチルエーテル溶液 30mLを少しずつ滴下した。更に、氷浴を除去し、オイルバスを用いて50℃に加熱しながら、反応溶液を2時間撹拌した。その後、反応溶液を塩化アンモニウムの飽和水溶液で洗浄し、続いて、飽和食塩水で洗浄した後、残った水相をジエチルエーテルで抽出し、洗浄した有機相と併せて硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。1時間後、乾燥した有機相を濾過して不純物を除去し、エバポレーターを用いて溶媒を除去することにより、下記化学式:
【化14】

で表わされるオクチル−N,N−ジメチルアミノエチルエトキシメチルシラン[有機ケイ素化合物(D−6)]44.61g(収率95%)を得た。なお、生成物の同定は1H−NMRで行った。1H−NMRでの分析結果を以下に示す。
1H−NMR:0.08(3H, s), 0.30(2H, t), 0.40(2H, t), 1.22(3H, t), 1.29-1.33(12H, m), 2.27(6H, s), 2.40(2H, t), 3.83(2H, t)
【0079】
<有機ケイ素化合物(D−7)の合成>
500mLの四ツ口フラスコに、オクチルトリエトキシシラン 27.6g、2−(2−(2−(2−(2−(トリデシルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタノール 84.1g、トルエン 220mLを加えた。反応溶液をメカニカルスターラーで撹拌しながら、乾燥窒素を流しつつ(0.2L/min)、フラスコをオイルバスで加熱し、ジムロートコンデンサーを取り付け、12時間還流を行った。その後、エバポレーターを用いて溶媒を除去することにより、下記化学式:
【化15】

で表わされるビス{2−(2−(2−(2−(2−(トリデシルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ}オクチルエトキシシラン[有機ケイ素化合物(D−7)]107.1gを得た。なお、生成物の同定は1H−NMRで行った。1H−NMRでの分析結果を以下に示す。
1H−NMR:0.58(2H, t), 0.96(9H, t), 1.22(3H, t), 1.29-1.33(52H, m), 1.46(4H, m), 3.37-3.56(44H, m), 3.83(3H, t), 3.96(4H, t)
【0080】
<有機ケイ素化合物(D−8)の合成>
500mLの四ツ口フラスコに、ドデシルトリエトキシシラン 41.7g、2−(2−(2−(2−(2−(トリデシルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタノール 84.1g、トルエン 220mLを加えた。反応溶液をメカニカルスターラーで撹拌しながら、乾燥窒素を流しつつ(0.2L/min)、フラスコをオイルバスで加熱し、ジムロートコンデンサーを取り付け、12時間還流を行った。その後、エバポレーターを用いて溶媒を除去することにより、下記化学式:
【化16】

で表わされるビス{2−(2−(2−(2−(2−(トリデシルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ}ドデシルエトキシシラン[有機ケイ素化合物(D−8)]121.3gを得た。なお、生成物の同定は1H−NMRで行った。1H−NMRでの分析結果を以下に示す。
1H−NMR:0.58(2H, t), 0.96(9H, t), 1.22(3H, t), 1.29-1.33(62H, m), 1.46(4H, m), 3.37-3.56(44H, m), 3.83(3H, t), 3.96(4H, t)
【0081】
<有機ケイ素化合物(D−9)の合成>
500mLの四ツ口フラスコに、オクチルトリエトキシシラン 27.6g、2−(2−(2−(2−(2−(トリデシルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタノール 42.1g、トルエン 220mLを加えた。反応溶液をメカニカルスターラーで撹拌しながら、乾燥窒素を流しつつ(0.2L/min)、フラスコをオイルバスで加熱し、ジムロートコンデンサーを取り付け、12時間還流を行った。その後、エバポレーターを用いて溶媒を除去することにより、下記化学式:
【化17】

で表わされる{2−(2−(2−(2−(2−(トリデシルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ}オクチルジエトキシシラン[有機ケイ素化合物(D−9)]65.2gを得た。なお、生成物の同定は1H−NMRで行った。1H−NMRでの分析結果を以下に示す。
1H−NMR:0.58(2H, t), 0.96(6H, t), 1.22(3H, t), 1.29-1.33(32H, m), 1.46(2H, m), 3.37-3.56(22H, m), 3.83(3H, t), 3.96(2H, t)
【0082】
<ゴム組成物の調製及び評価>
表1〜2に従う配合処方のゴム組成物を、バンバリーミキサーにて混練して調製した。次に、得られたゴム組成物の加硫物性を下記の方法で測定した。また、ゴム組成物の未加硫粘度及びVOCを以下の方法で測定した。結果を表1〜2に示す。
【0083】
(1)動的粘弾性
上島製作所製スペクトロメーター(動的粘弾性測定試験機)を用い、周波数52Hz、初期歪10%、測定温度60℃、動歪1%で、加硫ゴムのtanδを測定し、比較例1のtanδの値を100として指数表示した。指数値が小さい程、tanδが低く、ゴム組成物が低発熱性であることを示す。
【0084】
(2)耐摩耗性試験
JISK 6264−2:2005に準拠し、ランボーン型摩耗試験機を用いて、室温、スリップ率25%の条件で試験を行い、比較例1の摩耗量の逆数を100として指数表示した。指数値が大きい程、摩耗量が少なく、耐摩耗性に優れることを示す。
【0085】
(3)未加硫粘度
未加硫ゴム粘度は、JIS K 6300−1:2001(ムーニー粘度)に準拠して行った。なお、評価は、比較例1の未加硫粘度を100として指数表示した。指数値が小さい程、未加硫粘度が低く、作業性に優れることを示す。
【0086】
(4)VOC
加硫したゴムサンプルを密閉した容器に入れて一定時間放置し、気体中の有機成分の定量をGCにより実施した。比較例1のVOCを100として指数表示した。指数値が小さい程、VOCが少ないことを示す。
【0087】
【表1】

【0088】
【表2】

【0089】
*1 JSR製、乳化重合SBR、#1500
*2 旭カーボン製、#80
*3 日本シリカ工業(株)製、ニップシールAQ、BET表面積=220m2/g
*4 ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド
*5 大内新興化学工業製、ノクラック6C
*6 大内新興化学工業製、ノクラック224
*7 三新化学工業製、サンセラーD
*8 三新化学工業製、サンセラーDM
*9 三新化学工業製、サンセラーNS
【0090】
表1及び2から、上記一般式(I)又は一般式(VIII)で表わされる有機ケイ素化合物を配合することで、ゴム組成物の未加硫粘度を低下させ、ヒステリシスロスを大幅に低下させると共に、耐摩耗性を向上させられることが分かる。
【0091】
また、表2から、上記一般式(I)で表わされ、上記一般式(II)で表わされる部位を含む有機ケイ素化合物を配合することで、ゴム組成物からのVOCの発生を抑制できることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I):
【化1】

[式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して一価の基であり、但し、R1、R2及びR3の少なくとも一つは、窒素を含む一価の基又は下記一般式(II):
【化2】

(式中、R5は、二価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であり、pは1〜18である)で表わされる部位を含む一価の基であり、
4は、一価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基である]で表わされる有機ケイ素化合物。
【請求項2】
前記一般式(I)中のR1、R2及びR3の少なくとも一つが、下記一般式(III)又は一般式(IV):
【化3】

【化4】

[式中、Mは−O−又は−CH2−であり、
X及びYはそれぞれ独立して−O−、−NR8−又は−CH2−であり、
6は−OR8、−NR89又は−R8であり、
7は−NR89、−NR8−NR89、又は−N=NR8であり、
但し、R8は−Cn2n+1であり、R9は−Cq2q+1であり、
l、m、n及びqはそれぞれ独立して0〜20である]で表わされることを特徴とする請求項1に記載の有機ケイ素化合物。
【請求項3】
前記一般式(I)中のR1、R2及びR3の少なくとも一つが、上記一般式(III)又は一般式(IV)で表わされ、その他のR1、R2及びR3が、−M−Cl2l+1(ここで、M及びlは上記と同義である)或いは−(M−Cl2lys2s+1(ここで、Mは上記と同義であり、y及びsはそれぞれ独立して1〜20である)で表わされ、但し、R1、R2及びR3の一つ以上はMが−O−であることを特徴とする請求項2に記載の有機ケイ素化合物。
【請求項4】
前記一般式(I)中のR1、R2及びR3は、少なくとも一つが−O−Cl2l−R7(ここで、R7及びlは上記と同義である)で表わされ、その他が−O−Cl2l+1(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
前記R4が−Cr2r+1(ここで、rは1〜20である)で表わされることを特徴とする請求項2又は3に記載の有機ケイ素化合物。
【請求項5】
前記一般式(I)中のR1、R2及びR3は、少なくとも一つが−O−Cl2l−NR89(ここで、R8、R9及びlは上記と同義である)で表わされることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の有機ケイ素化合物。
【請求項6】
前記一般式(I)中のR1、R2及びR3の少なくとも一つが、下記一般式(V):
【化5】

[式中、R5は、二価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であり、
10は、一価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基、或いは、水素であり、
pは1〜18である]で表わされることを特徴とする請求項1に記載の有機ケイ素化合物。
【請求項7】
前記一般式(I)中のR1、R2及びR3の少なくとも一つが、上記一般式(V)で表わされ、その他のR1、R2及びR3が、−M−Ct2t+1(ここで、Mは−O−又は−CH2−であり、tは0〜18である)で表わされることを特徴とする請求項6に記載の有機ケイ素化合物。
【請求項8】
下記一般式(VI):
【化6】

[式中、aは1〜18であり、bは1〜3であり、cは0〜2であり、但し、b+c=3であり、dは1〜18であり、eは0〜18であり、fは0〜18であり、gは2〜6である]で表わされることを特徴とする請求項6に記載の有機ケイ素化合物。
【請求項9】
下記一般式(VII):
【化7】

[式中、aは1〜18であり、bは1〜3であり、cは0〜2であり、但し、b+c=3であり、dは1〜18であり、eは0〜18であり、fは0〜18である]で表わされることを特徴とする請求項8に記載の有機ケイ素化合物。
【請求項10】
下記一般式(VIII):
【化8】

[式中、W、R11及びR12は、それぞれ独立して二価の基であり、
13は、一価の基であり、
但し、W及びR13の少なくとも一方は、窒素を含み、
4は、一価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基である]で表わされる有機ケイ素化合物。
【請求項11】
前記一般式(VIII)中のWが、−NR8−、−O−又は−CR814−(ここで、R14は−R9又は−Cm2m−R15であり、但し、R15は−NR89、−NR8−NR89、−N=NR8又はHであり、R8は−Cn2n+1で、R9は−Cq2q+1で、m、n及びqはそれぞれ独立して0〜20である)で表わされ、
前記一般式(VIII)中のR11及びR12が、それぞれ独立して−M−Cl2l−(ここで、Mは−O−又は−CH2−で、lは0〜20である)で表わされ、
前記一般式(VIII)中のR13が、−M−Cl2l+1又は−M−Cl2l−R7(ここで、M及びlは上記と同義であり、R7は−NR89、−NR8−NR89、又は−N=NR8であり、但し、R8及びR9は上記と同義である)或いは−(M−Cl2lys2s+1(ここで、M及びlは上記と同義であり、y及びsはそれぞれ独立して1〜20である)で表わされ、但し、R11、R12及びR13の一つ以上はMが−O−であることを特徴とする請求項10に記載の有機ケイ素化合物。
【請求項12】
前記一般式(VIII)中のWが−NR8−(ここで、R8は上記と同義である)で表わされ、
前記R11及びR12がそれぞれ独立して−O−Cl2l−(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
前記R13が−O−Cl2l−R7(ここで、R7及びlは上記と同義である)で表わされ、
前記R4が−Cr2r+1(ここで、rは1〜20である)で表わされることを特徴とする請求項11に記載の有機ケイ素化合物。
【請求項13】
前記一般式(VIII)中のWが−O−又は−CR89−(ここで、R8及びR9は上記と同義である)で表わされ、
前記R11及びR12がそれぞれ独立して−O−Cl2l−(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
前記R13が−O−Cl2l−NR89(ここで、R8、R9及びlは上記と同義である)で表わされ、
前記R4が−Cr2r+1(ここで、rは1〜20である)で表わされることを特徴とする請求項11に記載の有機ケイ素化合物。
【請求項14】
前記Mが−O−であることを特徴とする請求項2、3、及び11のいずれか一項に記載の有機ケイ素化合物。
【請求項15】
天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムからなるゴム成分(A)に対して、無機充填剤(B)とシランカップリング剤(C)と請求項1〜14のいずれか一項に記載の有機ケイ素化合物(D)とを配合してなるゴム組成物。
【請求項16】
前記天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムからなるゴム成分(A)100質量部に対して、前記無機充填剤(B)5〜140質量部を配合してなり、
更に、前記シランカップリング剤(C)を、前記無機充填剤(B)の配合量の1〜20質量%、前記有機ケイ素化合物(D)を、前記無機充填剤(B)の配合量の1〜20質量%含むことを特徴とする請求項15に記載のゴム組成物。
【請求項17】
前記無機充填剤(B)がシリカ又は水酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項15又は16に記載のゴム組成物。
【請求項18】
前記シリカのBET表面積が40〜350m2/gであることを特徴とする請求項17に記載のゴム組成物。
【請求項19】
請求項15〜18のいずれか一項に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【請求項20】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の有機ケイ素化合物を含むプライマー組成物。
【請求項21】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の有機ケイ素化合物を含む塗料組成物。
【請求項22】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の有機ケイ素化合物を含む接着剤。

【公開番号】特開2013−112622(P2013−112622A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258055(P2011−258055)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】