説明

有機ケイ素化合物ベースの架橋可能な組成物

本発明は、シリル末端化されたポリマーを含有する有機ケイ素化合物ベースの架橋可能な組成物、当該組成物の製造方法、当該組成物から製造される成形体、並びに当該組成物の部材接着のための使用に関し、ここで前記組成物は、(A)一般式−L−CR2−Si−R23-x(OR1x (1)の末端基を少なくとも1つ有するポリマー、(B)硬化触媒、(C)アミノアルキルアルコキシシラン、及び/又はその部分加水分解物、及び(D)無水コハク酸含有ポリオレフィンを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリル末端化されたポリマーを含有する架橋可能な組成物、当該組成物の製造方法、当該組成物から製造された成形体、並びに当該組成物を部材の接着に用いる使用に関する。
【0002】
反応性アルコキシシリル基を有するポリマー系は、従前より公知である。空気中の湿分の存在下、このアルコキシシラン末端のポリマーは既に室温でアルコキシ基を脱離して相互に縮合可能である。この際、アルコキシシラン基の含有率及びその構造に応じて、主として長鎖ポリマー(熱可塑性樹脂)、比較的幅の広いメッシュ状の3次元網目構造(エラストマー)又は高度に架橋された系(熱硬化性樹脂)が形成される。
【0003】
このようなシラン末端のポリマー系を構築するための無数の可能性に相応して、架橋されていないポリマー若しくはポリマー含有混合物の特性(粘度、融点、溶解性など)も、出来上がった架橋済みコンパウンドの特性(硬度、弾性、引張強度、破断点伸び、耐熱性など)も、ほぼ任意に調整できる。よってこれに相応して、このようなシラン末端のポリマー系の使用可能性も多様である。よって前記ポリマー系は、例えばエラストマー、封止剤、接着剤、弾性接着系、硬質及び軟質フォームの製造、様々な被覆系に、又はモールドコンパウンドに使用できる。この生成物はあらゆる形態で適用可能であり、例えば刷毛塗り、吹き付け、流しがけ(giessen)、プレス、ヘラ塗りなどが、調製物の組成に従って適用できる。
【0004】
コンパウンドの硬化及び架橋体の機械特性の他に、とりわけ接着剤分野や封止剤分野における適用では様々な基材に対する良好な接着性、及び良好なエラストマー特性が必要とされる。ここでシラン架橋性ポリマーの調製物は通常、非常に良好な特性を示す。
【0005】
接着プロフィールは、接着性改良剤として有機官能性シランを添加することにより、改善若しくは最適化される。ここでとりわけ、第一級アミノ基を有するシラン、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシランにより、接着特性の明らかな改善につながるため、この種類のシランは、シラン末端ポリマーをベースとするほとんどあらゆる接着剤及び封止剤に含まれている。このようなシランの適用は従来技術であり、多くの文献又は公開公報に記載されている。この他にまた、特に新しく開発された接着性改良シランがあり、例えばEP 997469 A又はEP 1216263 Aに記載されているが、EP 1179571 Aに示されているシランの組み合わせも、しばしば適切である。
【0006】
良好な接着性の他に、接着剤、とりわけ封止剤はまた、非常に良好な弾性を有する必要がある。ここで伸びだけではなく、伸び又は圧縮後の応力緩和も重要な役割を果たす。これは通常、圧力変形度、クリープ挙動、弾性回復率(Rueckstellverhalten)として測定される。例えばISO11600標準では、60%超、又はそれどころか70%超の弾性回復率が弾性封止剤に必要とされる。
【0007】
この弾性は調製物により、またシラン架橋性ベースポリマーの種類により様々に特定される。有機シラン架橋性ポリマー、特に二官能性のポリマー末端基を有するものはしばしば、弾性回復率が不充分である。ここで配合物は、特性にとって重要である。例えばUS 6576733は、特別な触媒系によって、弾性回復率を改善するための可能性を記載しているが、この触媒系にはスズが含まれている。さらには、分枝状ポリマーの使用が、網目密度の向上、ひいては弾性の改善に作用することは公知である。ただしここで不利なのは、分枝に伴う2つの網目間の鎖長減少であり、このことはたいてい機械的特性、とりわけ破断点伸びや、また引裂強さの明らかな悪化につながる。
【0008】
DE102006022834は、弾性回復率改善のため、アミノアルキルアルコキシシランを、エポキシ官能性シランと組み合わせて用いる使用を記載している。ここで不利なのは、モジュールの上昇と、接着性の悪化である。
【0009】
シラン末端ポリマーのうち特に興味深い種類の特徴は、反応性アルコキシシリル基がメチレンスペーサによってのみ、隣接ヘテロ原子と隔てられていることである。このいわゆるα−アルコキシシリルメチル末端基は、空気中の湿分に対して特に高い反応性を有する。相応するポリマーは例えば、WO 03/014226に記載されている。このポリマーは、充分に早く硬化させるため、毒性的に問題となるスズ触媒を全く、又は非常に僅かな量でしか必要とせず、所望の通りに基本的により高い硬化速度を達成できる。この点において、このようなα−アルコキシシリル末端のプレポリマーの使用は、たいてい特に目標とされている。
【0010】
ただし、高反応性のα−シラン架橋性ポリマー類から製造可能なエラストマーは、γアルコキシシリルプロピル末端基を介して架橋される従来のシラン架橋性ポリマーと比較して、弾性回復率が明らかに低く、多くの適用に不充分であるという欠点があり、なかでも、接着性のために特に好ましい、第一級アミノ基を有するアミノアルキルシランを用いる場合には、弾性回復率が不充分である。
【0011】
本発明の対象は、有機ケイ素化合物をベースとする架橋可能な組成物であって、以下の(A)〜(D):
(A)一般式
【化1】

[式中、
Lは、−O−、−S−、−(R3)N−、−O−CO−N(R3)−、−N(R3)−CO−O−、−N(R3)−CO−NH−、及び−N(R3)−CO−N(R3)−から選択される二価の基であり、
Rは、同一でも異なっていてもよく、水素原子又はアルキル基であり、
1は、同一でも異なっていてもよく、置換又は非置換の炭化水素基であり、当該炭化水素基は酸素原子によって中断されていてよく、
2は、同一でも異なっていてもよく、R1について記載した意味を有し、
3は、同一でも異なっていてもよく、水素原子であるか、又はハロゲン非置換の、若しくはハロゲン置換された炭化水素基であり、
xは2、又は3である]
の末端基を少なくとも1つ有するポリマー、
(B)硬化触媒、
(C)アミノアルキルアルコキシシラン、及び/又はその部分加水分解物、及び
(D)無水コハク酸含有ポリオレフィン、
を含む、前記組成物である。
【0012】
基Lは好ましくは、−O−CO−N(R3)−、−N(R3)−CO−NH、−NH−CO−N(R3)−、及び−N(R3)−CO−N(R3)−であり、ここでR3は前述の意味を有し、基Lは特に好ましくは、−O−CO−N(R3)−であり、とりわけ、−O−CO−NH−である。
【0013】
xは、好ましくは3である。
【0014】
炭化水素基R3の例は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、オクチル基、例えばn−オクチル基、及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、例えばn−ノニル基、デシル基、例えばn−デシル基、ドデシル基、例えばn−ドデシル基;アルケニル基、例えばビニル基、及びアリル基;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びメチルシクロヘキシル基、アリール基、例えばフェニル基、及びナフチル基;アルカリール基、例えばo−、m−、p−トリル基、キシリル基、及びエチルフェニル基;アラルキル基、例えばベンジル基、α−フェニルエチル基、及びβ−フェニルエチル基である。
【0015】
置換された基R3の例は、3−クロロプロピル基、及び3,3,3−トリフルオロプロピル基である。
【0016】
基R3は好ましくは、水素原子、環状、直鎖状、若しくは分枝状のC1〜C18アルキル基若しくはアルケニル基、又はC6〜C18アリール基であり、特に好ましくは水素原子、又は1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基であり、極めて特に好ましくは水素原子、及び1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、とりわけ水素原子である。
【0017】
基Rの例は、水素原子、及びR3で記載したアルキル基である。
【0018】
基Rは好ましくは、水素原子、及びメチル基であり、特に好ましくは水素原子である。
【0019】
基R1及びR2のための例は、基R3について上述したものである。
【0020】
基R1は好ましくは、1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基、及び全部で2〜20個の炭素原子を有するアルキルオキシアルキル基であり、特に好ましくは1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基であり、極めて特に好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、とりわけメチル基、及びエチル基である。
【0021】
基R2は好ましくは、1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基であり、特に好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、とりわけメチル基である。
【0022】
式(1)の末端基の例は以下のものである:
【化2】

【0023】
本発明により使用される成分(A)の基礎となるポリマーは、従来公知の任意の有機ポリマー、及び従来公知の任意の有機ケイ素ポリマーであり得る。
【0024】
これらのポリマーは、分枝状又は非分枝状の主鎖を、任意の平均鎖長で有することができる。ここで前記ポリマーは、様々な構成要素から構成されていてよく、例えばポリシロキサン、ポリシロキサン−ウレア/ウレタン−コポリマー、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチロール、ポリアミド、ポリビニルエステル、又はポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリブタジエン、エチレン−オレフィンコポリマー、又はスチレンブタジエンコポリマーである。もちろん、様々な主鎖のポリマーからの任意の混合物又は組み合わせも使用できる。
【0025】
成分(A)の基礎となるポリマーの例は、ポリエーテル、例えば市販の名称としては、「Acclaim 12200」、「Acclaim 18000」、(ともにドイツ国のBayer AG)、「Alcupol 12041LM」(スペイン国のRepsol)、及び「Poly L 220-10」(アメリカ合衆国のArch Chemicals)があり、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、例えば市販の名称としては、「Desmophen 1700」、及び「Desmophen C-200」(いずれもドイツ国のBayer AG)があり、ポリブテニレン、及びポリブタジエニレン、例えば市販の名称としては、「Poly bd(登録商標) R-45 HTLO」(アメリカ合衆国のSartomer Co., Inc社)、又は「Kraton(登録商標) Liquid L-2203」(Kraton Polymers US L. L. C.社)がある。
【0026】
成分(A)をベースとするポリマーは好ましくは、ポリエステル、ポリエーテル、及びポリウレタンである。
【0027】
本発明により使用されるポリマー(A)は市販の製品であるか、若しくは化学分野で一般に行われる方法により製造することができる。ポリマー(A)は好ましくは、以下のa)〜c)によって製造可能である:
a)前記一般式(1)の基を有する不飽和モノマーを関与させる共重合。このようなモノマーの例は、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジメトキシシラン、並びに相応するエトキシシリル化合物である;
b)前記一般式(1)の基を有する不飽和モノマーの、熱可塑性樹脂、例えばポリエチレンへのグラフト。このようなモノマーの例は、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジメトキシシラン、並びに相応するエトキシシリル化合物である;又は
c)適切な官能基を有するプレポリマー(A1)と、一般式
【化3】

の1種又は複数種のオルガノシラン(A2)との反応。前記式中、x、R1、及びR2は前述の意味を有し、Bは、使用されるプレポリマー(A1)の官能基に対して反応性の官能基を表す。
【0028】
本発明により使用されるポリマー(A)の例は、以下のものである:
【化4】

【0029】
本発明による組成物においてポリマー(A)の割合は、好適には10〜70質量%、特に好適には15〜50質量%、とりわけ20〜40質量%である。
【0030】
本発明により使用される硬化触媒(B)は、縮合反応で従来使用されたものと同じであってよい。
【0031】
本発明により使用される硬化触媒(B)の例は、チタン酸エステル、例えばテトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、及びテトラアセチルアセトネート−チタネート、又は酸触媒、例えばリン酸若しくはリン酸エステル、トルエンスルホン酸、及び鉱酸である。様々な触媒が、純粋な形態でも、相互の混合物でも使用できる。
【0032】
その他に成分(B)としてはまた、さらにスズ化合物、例えばジラウリン酸ジブチルスズ、マレイン酸ジブチルスズ、ジブチルスズ二酢酸、ジブチルスズジオクタノエート、ジブチルスズアセチルアセトネート、ジブチルスズオキシド、又はジオクチルスズの相応する化合物が使用できるが、このことは好ましくはない。
【0033】
本発明による組成物は硬化触媒(B)を、それぞれ成分(A)の全質量に対して、好ましくは0.01〜10質量部の量、特に好ましくは0.05〜5質量部の量で含有する。
【0034】
本発明による組成物は好適には、1種又は複数種のスズ触媒を、それぞれ成分(A)の全質量に対して、0.1質量部未満、特に好適には0.05質量部未満、とりわけ0.02質量部未満含み、極めて特に好ましくは本発明による組成物は、あらゆるスズ含有触媒を含まない。
【0035】
本発明により使用される、好適には接着性改良剤として使用されるアミノアルキルアルコキシシラン(C)の例は、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシル−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシル−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−モルホリノ−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−モルホリノ−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ピペラジノ−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ピペラジノ−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、メチルカルバマトプロピルトリメトキシシラン、メチルカルバマトプロピルトリエトキシシラン、メチルカルバマトプロピル(メチルジメトキシ)シラン、メチルカルバマトプロピル(メチルジエトキシ)シラン、N−シクロヘキシル−アミノメチルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシル−アミノメチルトリエトキシシラン、2−アミノエチル−アミノメチルトリメトキシシラン、2−アミノエチル−アミノメチルトリエトキシシラン、N−モルホリノ−アミノメチルトリメトキシシラン、N−モルホリノ−アミノメチルトリエトキシシラン、N−ピペラジノ−アミノメチルトリメトキシシラン、N−ピペラジノ−アミノメチルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、N−フェニル−アミノメチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピル(メチルジメトキシ)シラン、3−アミノプロピル(メチルジエトキシ)シラン、N−シクロヘキシル−アミノプロピル(メチルジメトキシ)シラン、N−シクロヘキシル−アミノプロピル(メチルジエトキシ)シラン、2−アミノエチル−3−アミノプロピル(メチルジメトキシ)シラン、2−アミノエチル−3−アミノプロピル(メチルジエトキシ)シラン、N−モルホリノ−3−アミノプロピル(メチルジメトキシ)シラン、N−モルホリノ−3−アミノプロピル(メチルジエトキシ)シラン、N−ピペラジノ−3−アミノプロピル(メチルジメトキシ)シラン、N−ピペラジノ−3−アミノプロピル(メチルジエトキシ)シラン、N−シクロヘキシル−アミノメチル(メチルジメトキシ)シラン、N−シクロヘキシル−アミノメチル(メチルジエトキシ)シラン、2−アミノエチル−アミノメチル(メチルジメトキシ)シラン、2−アミノエチル−アミノメチル(メチルジエトキシ)シラン、N−モルホリノ−アミノメチル(メチルジメトキシ)シラン、N−モルホリノ−アミノメチル(メチルジエトキシ)シラン、N−ピペラジノ−アミノメチル(メチルジメトキシ)シラン、N−ピペラジノ−アミノメチル(メチルジエトキシ)シラン、N−フェニルアミノメチル(メチルジメトキシ)シラン、N−フェニル−アミノメチル(メチルジエトキシ)シラン、メチルカルバマトメチルトリメトキシシラン、メチルカルバマトメチルトリエトキシシラン、メチルカルバマトメチル(メチルジメトキシ)シラン、並びにメチルカルバマトメチル(メチルジエトキシ)シラン、及び/又はこれらの部分加水分解物である。
【0036】
成分(C)は、好ましくはアミノプロピルトリ−メトキシシラン、2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、メチルカルバマトメチルトリメトキシシラン、メチルカルバマトメチルトリエトキシラン、メチルカルバマトメチル(メチルジメトキシ)シラン、メチルカルバマトメチル(メチルジエトキシ)シラン、及び/又はこれらの加水分解物であり、特に好ましくはアミノプロピルトリメトキシシラン、及び/又はこれらの部分加水分解物である。
【0037】
ここで部分加水分解物(C)は、同種の部分加水分解物、すなわち、1種のアミノアルキルアルコキシシランの部分加水分解物であってよく、また異種の部分加水分解物、すなわち少なくとも2種の異なるアミノアルキルアルコキシシランの部分加水分解物であってもよい。本発明によるコンパウンド中で使用可能な化合物(C)が、アミノアルキルアルコキシシランの部分加水分解物である場合には、最大6個のケイ素原子を有するものが好ましい。
【0038】
本発明による組成物において成分(C)の割合は、好適には0.1〜10質量%、特に好適には0.1〜5質量%、とりわけ0.2〜3質量%である。
【0039】
本発明により使用される成分(D)の例は、無水マレイン酸でグラフトされたポリイソブテンであって、例えばポリイソブテン(例えばドイツ国、ルートヴィッヒスハーフェン在、BASF AGのGlissopal(登録商標))、及び無水マレイン酸(ベルギー国、ブリュッセル在、LubrizolからADEXとして市販で得られる)から得られるもの、及び低分子量の1,4−シス−ポリブタジエンと、ポリマー鎖に沿ってランダムに分布された無水コハク酸基との無水マレイン酸付加生成物(例えばEvonik(ドイツ国、エッセン在)のPolyvest(登録商標)として、又はSartomer(フランス国、パリ在)のRicobond(登録商標)として市販で得られる)である。
【0040】
本発明により使用される成分(D)とは、一回又は複数回、無水マレイン酸でグラフトされているポリオレフィンである。
【0041】
本発明により使用される無水コハク酸含有ポリオレフィン(D)は、それぞれ20℃での粘度が好ましくは100〜100,000mPas、特に好ましくは500〜80,000mPasである。
【0042】
本発明により使用される無水コハク酸含有ポリオレフィン(D)は、酸価が好ましくは5〜300、特に好ましくは30〜250、とりわけ40〜230である。
【0043】
本発明の範囲において酸価は、DIN ISO 2114に従って(ジカルボン酸として)測定し、水酸化カルシウムの質量はmgで示されており、これは試験する試料を1g中和するために必要な量である。
【0044】
本発明により使用される無水コハク酸含有ポリオレフィン(D)は、市販の製品であるか、又は化学で慣用の方法により製造可能である。
【0045】
本発明により使用される成分(D)は好ましくは、無水コハク酸含有ポリイソブテン、及び無水コハク酸含有ポリブタジエンであり、特に好ましくは無水コハク酸含有ポリブタジエンである。
【0046】
本発明により使用されるマレイン化ポリイソブテンは(D)は、好ましくは1〜2個の無水コハク酸基、特に好ましくは1個の無水コハク酸基を有し、その分子量Mnは好ましくは500〜5,000g/mol、特に好ましくは1,000〜3,500g/mol、とりわけ1,000〜3,000g/molである。
【0047】
本発明により使用されるマレイン化ポリイソブテン(D)は、それぞれ100℃での粘度が、好ましくは100〜20,000mm2/s、特に好ましくは500〜8,000mm2/sである。
【0048】
本発明により使用される無水コハク酸含有ポリブタジエン(D)は、それぞれ20℃での粘度が好ましくは2,000〜100,000mPas、特に好ましくは5,000〜80,000mPasである。
【0049】
本発明により使用される無水コハク酸含有ポリブタジエン(D)は、酸価が好ましくは30〜200mgKOH/g、特に好ましくは30〜150mgKOH/gである。
【0050】
本発明により使用される無水コハク酸含有ポリブタジエン(D)の基礎となるポリマーは、1,4−シス−二重結合の割合が好ましくは50〜100%、特に好ましくは60〜80%であり、かつ20℃での粘度が、好ましくは100〜10,000mPas、特に好ましくは500〜5,000mPasのブタジエンであり得る。
【0051】
本発明により使用される無水コハク酸含有ポリブタジエン(D)の基礎となるポリマーはまた、1,2−ビニル−二重結合の割合が好ましくは50〜100%、特に好ましくは60〜80%であり、かつ分子量Mnが、好ましくは500〜10,000g/mol、特に好ましくは1,000〜5,000g/mol、とりわけ500〜6,000g/molのポリブタジエンであり得る。
【0052】
本発明による組成物において成分(D)は、それぞれ本発明による組成物の全質量に対して、好適には0.1〜10質量部の量、特に好ましくは0.5〜5質量部の量、とりわけ1〜3質量部の量で使用する。
【0053】
成分(A)〜(D)に加えて、本発明による組成物は、架橋可能な組成物で従来も使用されてきたあらゆるさらなる成分を含むことができ、それは例えば、充填材(E)、非アミノ官能性オルガノシラン(F)、可塑剤(G)、及び添加剤(H)である。
【0054】
本発明により適宜使用される充填材(E)の例は、炭酸カルシウム(天然粉砕白亜、層状(beschichtet)粉砕白亜、沈降白亜、層状沈降白亜の形で)、粘土鉱物、ベントナイト、カオリン、タルク、二酸化チタン、酸化アルミニウム、アルミニウム三水和物、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、カーボンブラック、沈降若しくは熱分解法の、親水性又は疎水性ケイ酸である。
【0055】
充填材(E)は好適には、炭酸カルシウム及び、沈降若しくは熱分解法の、親水性若しくは疎水性ケイ酸であり、特に好ましくは熱分解法の親水性若しくは疎水性ケイ酸であり、とりわけ熱分解法の親水性ケイ酸である。
【0056】
本発明による組成物において充填材(E)は、それぞれ成分(A)に対して、好適には0〜1000質量部の量、特に好適には5〜200質量部の量、とりわけ10〜100質量部の量で使用する。本発明による組成物は、好ましくは充填材(E)を含む。
【0057】
適宜使用するさらなるシラン(F)は好ましくは、水捕捉剤及び/又はシラン架橋剤として使用可能な非アミノ官能性オルガノシランである。
【0058】
シラン(F)の例は、オルガニルオキシシラン、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ビニルシラン、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及びビニルメチルジメトキシシラン、O−メチルカルバマトメチル−メチルジメトキシシラン、O−メチルカルバマトメチル−トリメトキシシラン、O−エチルカルバマトメチル−メチルジエトキシシラン、O−エチルカルバマトメチル−トリエトキシシラン、O−メチルカルバマトプロピル−メチルジメトキシシラン、O−メチルカルバマトプロピル−トリメトキシシラン、O−エチルカルバマトプロピル−メチルジエトキシシラン、O−エチルカルバマトプロピル−トリエトキシシラン、メタクリラトメチル−メチルジメトキシシラン、メタクリラトメチル−トリメトキシシラン、メタクリラトメチル−メチルジエトキシシラン、メタクリラトメチル−トリエトキシシラン、アクリラトメチル−メチルジメトキシシラン、アクリラトメチル−トリメトキシシラン、アクリラトメチル−メチルジエトキシシラン、アクリラトメチル−トリエトキシシラン、メタクリラトプロピル−メチルジメトキシシラン、メタクリラトプロピル−トリメトキシシラン、メタクリラトプロピル−メチルジエトキシシラン、メタクリラトプロピル−トリエトキシシラン、アクリラトプロピル−メチルジメトキシシラン、アクリラトプロピル−トリメトキシシラン、アクリラトプロピル−メチルジエトキシシラン、アクリラトプロピル−トリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及び/又はこれらの部分加水分解物である。
【0059】
ここで部分加水分解物(F)は、同種の部分加水分解物、すなわち、1種のオルガニルオキシシランの部分加水分解物であってよく、また異種の部分加水分解物、すなわち少なくとも2種の異なるオルガニルオキシシランの部分加水分解物であってもよい。本発明によるコンパウンド中で使用される架橋剤(F)が、オルガニルオキシシランの部分加水分解物である場合には、最大6個のケイ素原子を有するものが好ましい。
【0060】
本発明による組成物において成分(F)は、それぞれ本発明による組成物の全質量に対して、0〜50質量部の量、特に好適には0.5〜10質量部の量、とりわけ1〜5質量部の量で使用する。本発明による組成物は好ましくは、成分(F)を含有する。
【0061】
適宜使用される可塑剤(G)の例は、フタル酸エステル、例えばジオクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、及びジウンデシルフタレート、アジピン酸エステル、例えばジオクチルアジペート、コハク酸エステル、グリコールエステル、リン酸エステル、スルホン酸エステル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスチロール、ポリブタジエン、ポリイソブテン、パラフィン系炭化水素、成分(A)及び(D)について異なる高級の分枝状炭化水素である。
【0062】
本発明による組成物において可塑剤(G)は、それぞれ成分(A)に対して、好ましくは0〜200質量部の量、特に好適には10〜100質量部の量、とりわけ30〜90質量部の量で使用する。本発明による組成物は、好ましくは可塑剤(G)を含有する。
【0063】
本発明による組成物はさらに添加剤(H)として、従来慣用の1成分系アルコキシ架橋性コンパウンドで用いるために公知のあらゆる添加物を含有することができ、それは例えばさらなる接着性改良剤、顔料、着色剤、香料、酸化防止剤、電気特性に影響をもたらす剤、例えば導電性カーボンブラック、難燃剤、光保護剤、及び塗膜形成時間延長剤、例えばSiC結合されたメルカプトアルキル基を有するシラン、電池形成剤、例えばアゾジカルボンアミド、熱安定化剤、及びチキソトロピー剤、例えばリン酸エステル、ポリアミドワックス、水素化されたリシン油、ステアリン酸塩、及び有機溶剤、例えばアルキル芳香族化合物である。
【0064】
本発明による組成物において添加剤(H)は、それぞれ本発明による組成物の全質量に対して、0〜20質量部の量、特に好適には1〜10質量部の量、とりわけ1〜5質量部の量で使用する。本発明による組成物は、添加剤(H)を含有しないことが好ましい。
【0065】
本発明による架橋可能な組成物は好ましくは、以下の(A)〜(D)を含み、任意で以下の(E)〜(H)を含む:
(A)一般式(1)の末端基を少なくとも1つ有するポリマー、
(B)硬化触媒、
(C)アミノアルキルアルコキシシラン、及び/又はその部分加水分解物、
(D)無水コハク酸含有ポリオレフィン、
任意で
(E)充填材、
任意で
(F)非アミノ官能性オルガノシラン、及び/又はその加水分解物、
任意で
(G)可塑剤、及び
任意で
(H)添加剤。
【0066】
本発明による架橋可能な組成物は特に好ましくは、上記以外のさらなる成分を含まない。
【0067】
本発明によるコンパウンドの調製のために、全ての成分は相互に任意の順番で混合してよい。この混合は、室温及び周囲大気の圧力、すなわち約900〜1100hPaで実施してよい。この混合は所望の場合、より高い温度、例えば35〜135℃の範囲の温度でも行うことができる。混合は好ましくは、湿分を遮断して行う。
【0068】
本発明によるコンパウンドの個々の成分は、それぞれ、当該成分の1種類でもよく、当該成分の少なくとも2種の異なる種類からの混合物であってもよい。
【0069】
本発明による組成物の架橋のためには、空気の通常の含水量で十分である。この本発明による組成物の架橋は、好ましくは室温で実施する。この架橋は所望により、室温より高い温度又は低い温度、例えば−5〜15℃で又は30〜50℃で、かつ/又は例えば空気の通常の含水量を上回る水濃度を用いて実施することもできる。
【0070】
この架橋は好適には、100〜1100hPaの圧力、特に周囲大気の圧力で実施する。
【0071】
本発明の更なる対象は、本発明によるコンパウンドの架橋により製造される成形体である。
【0072】
本発明による成形体の特徴は、伸張後の高い回復率である。よって例えば24時間、30%伸張後に、DIN 53504準拠の回復率が、好ましくは60%超、特に好ましくは65%超、とりわけ70%超である。
【0073】
本発明による組成物は、シリル末端化されたポリマーを含有する架橋可能な組成物が従来使用可能であったあらゆる使用目的に用いることができる。
【0074】
このため本発明による組成物は、接着剤、封止剤、及び接合封止剤、表面被覆として優れており、またモールドコンパウンド及び成形部材製造の際にも優れている。
【0075】
この場合、本発明によるポリマー混合物は、無数の異なる下地、例えば鉱物質の下地、金属、プラスチック、ガラス、セラミック、塗装された表面等に適している。
【0076】
本発明による組成物には、製造が容易であり、良好に加工できるという利点がある。
【0077】
本発明による組成物のさらなる利点は、例えば接着性又はモジュールといったその他の特性を損なうことなく、伸張時の回復率が著しく改善された成形体が、当該組成物から製造可能なことである。本発明による成形体は、多くの基材において優れた接着性を示す。
【0078】
以下の実施例においては、特に記載がない限り、全ての粘度の表示は、25℃の温度に対するものである。特に記載がない限り、以下の実施例は、周囲大気での圧力で、すなわち約1000hPaで、かつ室温で、即ち約23℃で、若しくはこの反応物を室温で付加的な加熱又は冷却を行わずに合する場合に生ずる温度で、並びに約50%の相対空気湿分で実施する。更に、部及び%の全ての表示は、他に記載がない限り、質量に対するものである。
【0079】
機械的な特性値は、DIN 53504及びDIN 53505に従って測定する。回復率はS2試験体を用いて、23℃、相対湿分50%で1週間の架橋後若しくは4週間の架橋後、測定する。S2試験体は、24時間、100%伸ばし、引き続き1時間解放し、それから測定を行う。
【0080】
比較例1(V1)
シラン末端化されたポリエーテルA(GENIOSIL(登録商標)STP-E10という名称でドイツ国のWacker Chemie AGから市販で得られる)75gを、Hauschild社(D-59065 Hamm)のスピードミキサで、約25℃で、ポリプロピレングリコール(PPG 2000という名称でアメリカ合衆国、Midland在のDow Chemical社から市販で得られる)40g、及びビニルトリメトキシシラン6gと、2分間200回転/分で混合する。その後、BET表面積が170〜230m2/gの親水性の熱分解法ケイ酸(HDK(登録商標)N20という名称でドイツ国のWacker Chemie AGから市販で得られる)9gを入れて撹拌し、均質に分布させる。引き続き、表面積が30〜80m2/gの層状粉砕白亜165gを入れ、この充填物質を1分間、600回転/分で撹拌しながら溶かす。白亜を混入後、アミノプロピルトリメトキシシラン(GENIOSIL(登録商標)GF96という名称でドイツ国のWacker Chemie AGから市販で得られる)3gを、200回転/分で1分間、分配する。こうして得られる混合物を600回転/分で2分間、そして200回転/分で1分間、約100mbarの部分真空中で均質化し、泡を立てずに撹拌する。この調製物を310mlのPEカートリッジに満たし、24時間、25℃で貯蔵する。
【0081】
この架橋可能なコンパウンドを架橋させ、機械的な特性値を測定する。この結果を表1に記載した。
【0082】
実施例1(B1)
シラン末端化されたポリエーテルA(GENIOSIL(登録商標)STP-E10という名称でドイツ国のWacker Chemie AGから市販で得られる)75gを、Hauschild社(D-59065 Hamm)のスピードミキサで、約25℃で、ポリプロピレングリコール(PPG 2000という名称でアメリカ合衆国、Midland在のDow Chemical社から市販で得られる)40g、及びビニルトリメトキシシラン6gと、2分間200回転/分で混合する。その後、BET表面積が170〜230m2/gの親水性の熱分解法ケイ酸(HDK(登録商標)N20 という名称でドイツ国のWacker Chemie AGから市販で得られる)9gを入れて撹拌し、均質に分布させる。引き続き、表面積が30〜80m2/gの層状粉砕白亜165gを入れ、この充填物質を1分間、600回転/分で撹拌しながら溶かす。白亜を混入後、アミノプロピルトリメトキシシラン(GENIOSIL(登録商標)GF96という名称でドイツ国のWacker Chemie AGから市販で得られる)3gを、200回転/分で1分間、分配する。DIN ISO 2114準拠の酸価が130mg/KOHのマレイン酸グラフトされたポリブタジエン(Polyvest EP OC 1200 Sという名称でドイツ国のEvonikから市販で得られる)3gを添加し、それから600回転分で2分間、そして200回転/分で1分間、約100mbarの部分真空で均質化し、泡を立てずに撹拌する。
【0083】
こうして得られる調製物を310mlのPEカートリッジに満たし、24時間、25℃で貯蔵する。
【0084】
この架橋可能なコンパウンドを架橋させ、機械的な特性値を測定する。この結果を表1に記載した。
【0085】
実施例2(B2)
シラン末端化されたポリエーテルA(GENIOSIL(登録商標)STP-E10という名称でドイツ国のWacker Chemie AGから市販で得られる)75gを、Hauschild社(D-59065 Hamm)のスピードミキサで、約25℃で、ポリプロピレングリコール(PPG 2000という名称でアメリカ合衆国、Midland在のDow Chemical社から市販で得られる)40g、及びビニルトリメトキシシラン6gと、2分間200回転/分で混合する。その後、BET表面積が170〜230m2/gの親水性の熱分解法ケイ酸(HDK(登録商標)N20 という名称でドイツ国のWacker Chemie AGから市販で得られる)9gを入れて撹拌し、均質に分布させる。引き続き、表面積が30〜80m2/gの層状粉砕白亜165gを入れ、この充填物質を1分間、600回転/分で撹拌しながら溶かす。白亜を混入後、アミノプロピルトリメトキシシラン(GENIOSIL(登録商標)GF96という名称でドイツ国のWacker Chemie AGから市販で得られる)3gを、200回転/分で1分間、分配する。DIN ISO 2114準拠の酸価が130mg/KOHのマレイン酸グラフトされたポリブタジエン(Polyvest EP OC 1200 Sという名称でドイツ国のEvonikから市販で得られる)6gを添加し、それから600回転分で2分間、そして200回転/分で1分間、約100mbarの部分真空で均質化し、泡を立てずに撹拌する。
【0086】
こうして得られる調製物を310mlのPEカートリッジに満たし、24時間、25℃で貯蔵する。
【0087】
この架橋可能なコンパウンドを架橋させ、機械的な特性値を測定する。この結果を表1に記載した。
【0088】
実施例3(B3)
シラン末端化されたポリエーテルA(GENIOSIL(登録商標)STP-E10という名称でドイツ国のWacker Chemie AGから市販で得られる)75gを、Hauschild社(D-59065 Hamm)のスピードミキサで、約25℃で、ポリプロピレングリコール(PPG 2000という名称でアメリカ合衆国、Midland在のDow Chemical社から市販で得られる)40g、及びビニルトリメトキシシラン6gと、2分間200回転/分で混合する。その後、BET表面積が170〜230m2/gの親水性の熱分解法ケイ酸(HDK(登録商標)N20 という名称でドイツ国のWacker Chemie AGから市販で得られる)9gを入れて撹拌し、均質に分布させる。引き続き、表面積が30〜80m2/gの層状粉砕白亜165gを入れ、この充填物質を1分間、600回転/分で撹拌しながら溶かす。白亜を混入後、アミノプロピルトリメトキシシラン(GENIOSIL(登録商標)GF96という名称でドイツ国のWacker Chemie AGから市販で得られる)3gを、200回転/分で1分間、分配する。DIN ISO 2114準拠の酸価が130mg/KOHのマレイン酸グラフトされたポリブタジエン(Polyvest EP OC 1200 Sという名称でドイツ国のEvonikから市販で得られる)9gを添加し、それから600回転分で2分間、そして200回転/分で1分間、約100mbarの部分真空で均質化し、泡を立てずに撹拌する。
【0089】
こうして得られる調製物を310mlのPEカートリッジに満たし、24時間、25℃で貯蔵する。
【0090】
この架橋可能なコンパウンドを架橋させ、機械的な特性値を測定する。この結果を表1に記載した。
【0091】
実施例4(B4)
シラン末端化されたポリエーテルA(GENIOSIL(登録商標)STP-E10という名称でドイツ国のWacker Chemie AGから市販で得られる)75gを、Hauschild社(D-59065 Hamm)のスピードミキサで、約25℃で、ポリプロピレングリコール(PPG 2000という名称でアメリカ合衆国、Midland在のDow Chemical社から市販で得られる)40g、及びビニルトリメトキシシラン6gと、2分間200回転/分で混合する。その後、BET表面積が170〜230m2/gの親水性の熱分解法ケイ酸(HDK(登録商標)N20 という名称でドイツ国のWacker Chemie AGから市販で得られる)9gを入れて撹拌し、均質に分布させる。引き続き、表面積が30〜80m2/gの層状粉砕白亜165gを入れ、この充填物質を1分間、600回転/分で撹拌しながら溶かす。白亜を混入後、アミノプロピルトリメトキシシラン(GENIOSIL(登録商標)GF96という名称でドイツ国のWacker Chemie AGから市販で得られる)3gを、200回転/分で1分間、分配する。DIN ISO 2114準拠の酸価が70〜90mg/KOHのマレイン酸グラフトされたポリブタジエン(Polyvest EP OC 800 Sという名称でドイツ国のEvonikから市販で得られる)9gを添加し、それから600回転分で2分間、そして200回転/分で1分間、約100mbarの部分真空で均質化し、泡を立てずに撹拌する。
【0092】
こうして得られる調製物を310mlのPEカートリッジに満たし、24時間、25℃で貯蔵する。
【0093】
この架橋可能なコンパウンドを架橋させ、機械的な特性値を測定する。この結果を表1に記載した。
【0094】
【表1】

【0095】
実施例5
実施例3及び4、並びに比較例1で得られる架橋可能なコンパウンドを、接着特性という観点について、金属、ケイ酸下地、及び、木材といった異なる基材で試験する。
【0096】
金属はメチルエチルケトンで洗浄し、ガラスは界面活性剤水溶液で、それから脱塩水で、その後にメチルエチルケトンで洗浄した。
【0097】
引き続きそれぞれの架橋可能なコンパウンドを、厚さ約5〜7mmの土手状に(in Raupen)塗布した。
【0098】
金属、及びケイ酸下地
空気中、室温で一週間、貯蔵した後、水温が23℃の水の中で4週間貯蔵した(A=空気中で7日間;B=空気中で7日間+水中貯蔵2週間;C=空気中で7日間+水中貯蔵4週間)。
【0099】
木材
木材試験体は水中ではなく、温度調節器内で4週間、50℃/相対湿分100%で貯蔵した。
【0100】
評価
+=接着性良好(凝集亀裂)
φ=半接着(辺縁接着若しくは部分接着)
−=接着性不良(付着亀裂)。
【0101】
この結果は表2に記載されている。
【0102】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機ケイ素化合物ベースの架橋可能な組成物であって、以下の(A)〜(D):
(A)一般式
【化1】

[式中、
Lは、−O−、−S−、−(R3)N−、−O−CO−N(R3)−、−N(R3)−CO−O−、−N(R3)−CO−NH−、及び−N(R3)−CO−N(R3)−から選択される二価の基であり、
Rは、同一でも異なっていてもよく、水素原子又はアルキル基であり、
1は、同一でも異なっていてもよく、置換又は非置換の炭化水素基であり、当該炭化水素基は酸素原子によって中断されていてよく、
2は、同一でも異なっていてもよく、基R1について記載した意味を有し、
3は、同一でも異なっていてもよく、水素原子であるか、又はハロゲン非置換の、若しくはハロゲン置換された炭化水素基であり、
xは2、又は3である]
の末端基を少なくとも1つ有するポリマー、
(B)硬化触媒、
(C)アミノアルキルアルコキシシラン、及び/又はその部分加水分解物、及び
(D)無水コハク酸含有ポリオレフィン、
を含む、前記組成物。
【請求項2】
前記ポリマー(A)の割合が10〜70質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
スズ触媒を、前記成分(A)の全質量に対して0.1質量部未満で含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記成分(C)の割合が、0.1〜10質量%であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記無水コハク酸含有ポリオレフィン(D)の粘度が、20℃で100〜100,000mPasであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記無水コハク酸含有ポリオレフィン(D)の酸価が、5〜300であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記成分(D)が、無水コハク酸含有ポリイソブテン、及び無水コハク酸含有ポリブタジエンであることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の組成物であって、
(A)前記一般式(1)の末端基を少なくとも1つ有するポリマー、
(B)硬化触媒、
(C)アミノアルキルアルコキシシラン、及び/又はその部分加水分解物、
(D)無水コハク酸含有ポリオレフィン、
を含み、
任意で、
(E)充填材、
任意で、
(F)非アミノ官能性オルガノシラン、及び/又はその部分加水分解物、
任意で、
(G)可塑剤、及び
任意で、
(H)添加剤
を含む、前記組成物。
【請求項9】
すべての成分を、任意の順序で相互に混合することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の組成物の製造方法。
【請求項10】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の組成物を架橋させることにより製造される成形体。

【公表番号】特表2012−533639(P2012−533639A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519975(P2012−519975)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059687
【国際公開番号】WO2011/006808
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】