説明

有機シリケート材料からの炭素の除去方法

【課題】有機シリケート(OSG)膜内の炭素含有種の少なくとも一部分を除去すること。
【解決手段】本明細書中に記載されているのは、酸化剤等の、しかし酸化剤に限られない薬品を用いてOSG膜を処理する工程、OSG膜紫外線を含むエネルギー源に曝す工程、またはOSG膜を薬品で処理する工程およびOSG膜をエネルギー源に曝す工程により、有機シリケート(OSG)膜内の炭素含有種の少なくとも一部分を除去するための方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年12月11日出願の米国仮特許出願第61/121、666号明細書の利益を主張する。
【0002】
本明細書中に記載されているのは、有機シリケート(OSG)材料または膜内のある炭素種の除去方法である。さらに具体的に言うと、本明細書中に記載されているのは、処理工程からの非ネットワーク炭素、炭素含有残留物、および/またはSi原子に共有結合で結合したメチル基の大部分を保ちながら、多孔質、低誘電率OSG材料または膜に含まれるSi−CH−Si架橋基(本明細書中で、ネットワーク末端炭素基という。)等であるが、これらに限られない炭素含有種の少なくとも一部分を選択的に除去するための方法である。炭素含有種の少なくとも一部分を除去することによって、炭素含有種を除去されていないOSG材料または膜に比較して、OSG材料または膜の、誘電率、機械的強度、屈折率、またはそれらの組み合わせの少なくとも1種を、改善できると考えられている。
【背景技術】
【0003】
電子産業では、集積回路(IC)および関連した電子機器の回路と構成部分との間の絶縁層として誘電体材料を使用する。マイクロエレクトロニクス機器(例えば、コンピューターチップ)の速度およびメモリーストレージ能力を増加させるために、線寸法は減少している。ライン寸法が減少するにつれて、層間絶縁(ILD)の絶縁への要求は、はるかに厳密となる。間隔を縮めることは、RC(式中、Rは導電線の抵抗であり、そしてCは絶縁誘電体中間層の静電容量である。)時定数を最小化させるためにより低い誘電率を必要とする。Cは間隔に逆比例し、そして層間絶縁(ILD)の誘電率(k)に比例する。従来のシリカ(SiO)CVD誘電体膜は、SiHまたはTEOS(Si(OCHCH、テトラエチルオルトシリケート)から生成され、そしてOは4.0の誘電率(k)を有する。
【0004】
より低い誘電率を有するシリケート系CVD膜を生成させる試みを産業で行われてきた幾つかの方法がある。より低い誘電率膜を製造するためのある効果的な方法は、有機基を用いて酸化ケイ素膜をドープすることであった。得られた膜は、2.7〜3.5の範囲である誘電率を有することができる。本明細書中において有機シリケート(「OSG」)膜と呼ばれるドープされた膜は、典型的には、有機ケイ素前駆体および酸化剤から高密度膜(密度約1.5g/cm)として堆積される。
【0005】
OSG膜は、化学気相堆積(CVD)法によって堆積できる。典型的なCVD法では、前駆体ガスは反応チャンバーに流入し、活性化され、そして材料は、チャンバー内側の基材上に堆積される。前駆体の活性化は、例えば、熱または高周波誘導結合プラズマ源等のエネルギー源を使用して生じることができる。OSG材料の化学気相堆積は、種々の前駆体を使用することを伴うことができる。メチル基含有有機シランである一般的に使用される前駆体の例は、テトラメチルシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエトキシメチルシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、および/またはテトラメチルシクロテトラシロキサンである。プラズマ化学気相成長法(PECVD)は、OSG材料を生成させるのに、メチル含有有機シランと反応させるために、最も一般的に使用されるCVD法である。膜が多孔質でできている場合、より低い誘電率値を達成できるが、PECVD法によって生成されるOSG膜は、典型的には、10〜40%の原子状炭素および2.7〜3.2の範囲である誘電率を含む。より高い機器の密度およびより小さい寸法により、2.7より低い誘電率値を有する膜への業界の要求は増加した、業界は改善された絶縁特性のための種々の多孔質材料に向かってきた。
【0006】
ICにおけるILDとしてのOSG材料の実施には、幾つかのつまずきやすい障害がある。一つの大きな障害は、従来のシリカ(SiO)材料より低い多孔質OSG材料の機械的特性である。ILDの機械的特性は、典型的には硬度(H)またはヤング率としてギガパスカル(GPa)でナノインデンテーションにより報告される。硬度は膜に圧入するのに必要である適用される力の尺度であり、一方、ヤング率は適用された力または圧縮に対する材料の弾性応答である。シリカは、8〜10GPaの範囲であることができる硬度を有する。対照的に、誘電率、および材料が堆積された工程の条件によって、OSG材料は0.1〜5GPaの範囲であることができる硬度を有する。機械的強度は、エッチング、化学的機械的平坦化(「CMP」)加工、および製品上に銅、銅金属(「Cu」)のための拡散バリアー、およびキャップ層等の追加の層を堆積させること等の次の加工工程に必要である。これらの工程のいくつかにおいて、複数層の温度サイクルは異なる材料間の温度膨張係数の不一致により応力を生じ、それによって割れまたは剥離を生じる。表面の平面性はまた、必要でありそして膜形成工程の間およびCMPを通したもの等の処理パラメーターの制御を通して維持できる。機械的無欠陥性、剛性、圧縮性、および剪断強度は、CMPに耐えるには特に重要であることができる。これらの機械的特性はまた、最終製品の包装に重要である。
【0007】
空気の誘電率は、公称1.0であるので、材料の誘電率を低下させるまた別のアプローチは、気孔率または材料密度の減少であることができる。製造される多孔質が比較的密度の高い膜に比べてより低い誘電率を有することができる場合、誘電体膜であることができる。
【0008】
気孔率が種々の異なる手段を通して低誘電体材料に導入されてきた。例えば、気孔率は膜の一部を分解することによって導入でき、増加した気孔率およびより低い密度を有する膜を生じる。
【0009】
膜に気孔率を導入するための文献にある広く使用される方法は、少なくとも膜の一部分を分解するための熱アニーリングであり、それによって孔を作り、そして最終的に誘電率を下げる。膜に含まれるポロゲンの少なくとも一部を除くことによる膜に気孔率を導入するまた別の方法は、紫外(UV)光源に膜を曝すことを通してである。アニーリング工程、または硬化工程においては、膜は、典型的には、加熱されて、そして/またはUV光源に曝されて、そして/または揮発性成分を分解および/または除去し、そして実質的に膜を架橋する。米国特許第6、312、793号明細書は、Si、C、O、およびHから本質的になる第1相、CおよびH、ならびに多数の孔から本質的になる第2相を有する多相材料を記載する。相の1つの除去を引き起こすために、材料は少なくとも300℃の温度に少なくとも15分間加熱される。国際公開第00/02241号パンフレットは、100〜400℃の温度で1〜10分間アルコキシシラン材料を加熱して、材料に含まれる溶媒を除去することによって孔の形成を引き起こすことを記載する。国際公開第02/07191A2号パンフレットは、シリカゼオライト薄膜を350〜550℃の温度範囲に特定しない間の時間加熱して、吸着材料がゼオライト骨格から離れ、それによって誘電率を下げることを記載する。
【0010】
材料に化学的に取り込まれた有機基または炭素含有基の量は、誘電率および機械的強度の両方に影響する。堆積された膜は、ネットワーク炭素含有基と非ネットワーク炭素含有基との組み合わせを含む。無機基を含まないSiO膜と比較するとOSG膜で観察された機械的強度の低下は、部分的に末端有機基、特に、ケイ素原子に結合したメチル基の導入によるシリカネットワークの乱れによる場合がある。ネットワークの乱れを記載する一つの方法は、膜中の炭素原子数のケイ素原子数に対する比、そして本明細書中においてC/Si比と呼ばれる比を使用することである。膜中に含まれる有機基が多ければ多いほど、酸素架橋を通して4つの他のケイ素に結合するケイ素原子はより少なく、対応する硬度を下げる場合があると考えられている。しかし、膜内の有機基の数が少なすぎると、誘電率は、不利に影響される。結果として、誘電率を下げるために有機基を加える利益は、その低下した硬度により膜内の有機基の量を増加させることで低下する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、低密度および多孔質OSG材料を製造するために改善された方法を提供する技術的な必要性がある。したがって、多孔質有機シリケート膜内に含まれる炭素含有種の少なくとも一部分を効果的に除去し、それによって膜の誘電率に不利に影響することなく、膜の機械的強度を少なくとも改善させるクリーニング組成物への技術的なニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書中に記載されているのは、酸化剤等の、しかし酸化剤に限られない薬品で膜を処理すること、紫外線等の、しかし紫外線に限られないエネルギー源に膜を曝すこと、または薬品で膜を処理することと、エネルギー源に膜を曝すこととの組み合わせによって、有機シリケート(OSG)膜内の炭素含有種の少なくとも一部分を除去するための方法である。一つの形態では、複合有機シリケート膜が、少なくとも1種のケイ素含有前駆体および少なくとも1種のポロゲン前駆体を含む組成物から堆積されており、そしてこの複合有機シリケート膜が炭素含有種を含む複合有機シリケート膜を用意する工程;紫外線を含むエネルギー源にこの複合有機シリケート膜を曝す工程;および膜に含まれる炭素含有種の少なくとも一部分を除去するために酸化剤を含む薬品で、この複合有機シリケート膜を処理する工程、膜に含まれる炭素含有種の少なくとも一部分を除去し、そして多孔質有機シリケート膜を提供するために、紫外線を含むエネルギー源にこの多孔質有機シリケート膜を曝す工程、を含む多孔質有機シリケート膜を形成させるための方法が提供される。
【0013】
別の形態では、蒸着により少なくとも1種のケイ素含有前駆体および少なくとも1種のポロゲン前駆体を含む組成物から複合有機シリケート膜を形成させる工程(この複合有機シリケート膜は、炭素含有種を含む。);膜に含まれる炭素含有種の少なくとも一部分を除去するために薬品で複合有機シリケート膜を処理する工程;および、膜に含まれる炭素含有種の少なくとも一部分を除去し、そして多孔質有機シリケート膜を提供するために、紫外線を含むエネルギー源に、この多孔質有機シリケート膜を曝す工程、を含む多孔質有機シリケート膜を形成させるための方法が提供される。
【0014】
さらなる形態では、複合有機シリケート膜が、炭素含有種、第1の誘電率、および第1の硬度を含む、複合有機シリケート膜を用意する工程;膜中の炭素含有種の少なくとも一部分を除去するために、酸化剤を含む薬品で複合有機シリケート膜を処理する工程;ならびに膜中の炭素含有種の少なくとも一部分を除去し、そして第2の誘電率および第2の硬度を含む多孔質有機シリケート膜を提供するために、紫外線を含むエネルギー源および任意選択的に熱エネルギーにこの複合有機シリケート膜を曝す工程(第2の誘電率は、実質的に第1の誘電率以下であり、そして第2の硬度は第1の硬度より高い。)、を含む多孔質有機シリケート膜を形成させるための方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書中に記載されているのは、酸化剤等の、しかし酸化剤に限られない薬品で膜を処理する工程、紫外線等の、しかし紫外線に限られないエネルギー源に膜を曝す工程、または薬品で膜を処理する工程とエネルギー源に膜を曝す工程との組み合わせによって、OSG膜内の炭素含有種の少なくとも一部分を除去するための方法である。本明細書中に記載された方法は、ネットワーク末端炭素基と本明細書中で呼ぶSi原子に共有結合で結合したメチル基の大部分を保持しながら、OSG膜から炭素含有種の少なくとも一部分を選択的に除去する。「炭素含有種」の用語は、本明細書中で使用される場合、膜中に含まれるポロゲン前駆体の少なくとも一部分;膜を堆積させる工程(例えば、複合膜を形成するために使用される1種または2種以上の前駆体からの前駆体残留物)、膜を硬化する工程、膜をエッチングする工程、膜をアッシングする工程、およびそれらの組み合わせ等の、しかしこれらに限られない種々の工程からの炭素含有残留物;非ネットワーク炭素種;および/またはSi−CH−Si架橋基等のあるネットワーク炭素基であることができるOSG膜内に存在するある種を記載する。本明細書中に記載された方法によるこれらの炭素含有種の選択的な除去は、例えば、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、X線光電子分光法(XPS)、ラマン分光法、核磁気共鳴(NMR)、または他の分析的な技術を通して見ることができる。複合または多孔質OSG内の炭素含有種の少なくとも一部分を選択的に除去することによって、多孔質膜の機械的特性を改善しながら、多孔質OSG膜の誘電率を、維持または減少できると考えられている。ある薬品を用いた複合または多孔質OSGの処理は、多孔質膜の機械的特性およびネットワーク末端炭素基に不利に影響する場合があると考えられていたので、これは驚くべきであり、そして予想外であった。
【0016】
ある態様において、処理する工程および/または曝す工程は、複合OSG膜に行われる。この態様または他の態様において、処理する工程および/または曝す工程は、多孔質OSG膜上で行われる。「複合有機シリケート膜」の用語は、本明細書中で使用される場合、少なくとも1種の構造形成前駆体、少なくとも1種のポロゲン前駆体を含む組成物から堆積され、そして炭素含有種を含むOSG膜を記載する。「多孔質有機シリケート膜」の用語は、本明細書中で使用される場合、孔を含むOSG膜を記載する。ある態様において、複合OSG膜中に含まれるポロゲン前駆体の少なくとも一部分を除去することによって、多孔質OSG膜が提供される。例えば、熱アニールまたは熱硬化、紫外線アニールまたは紫外線硬化、熱アニールまたは熱硬化と紫外線アニールまたは紫外線硬化との組み合わせ、または複合OSG膜内に含まれる孔形成前駆体の少なくとも一部分を除去するために当業者に有用である他の任意の方法によって、ポロゲン前駆体の少なくとも一部分を除去できる。堆積された膜からポロゲン前駆体の成分を除去することによって、硬化工程(単数または複数)は、膜内に孔を提供する。
【0017】
ある態様において、複合膜の組成によって、1つまたは2つ以上の硬化工程が完了した後で、孔システム中に炭素含有種がいくらか残るようである。この態様または他の態様において、膜内の炭素含有種の存在が、例えば、エッチングおよびアッシング等の次の処理工程の間に、膜のOSGネットワークをダメージから保護することによって有益であることができるようである。しかし、炭素含有種の存在はまた、誘電率の電子的、イオン的、または構造的構成部分に寄与する種を取り込むことによって膜の誘電率を増加でき、それによって所望の誘電率を達成するために膜に導入されるべき更なる気孔率を必要とする。膜の気孔率が増加するにつれて、膜の機械的特性における望ましくない低下が生じる場合がある。好ましからざる炭素含有種の少なくとも一部分は、ネットワーク末端炭素基(すなわち、膜に疎水性を導入するSi−CH)よりむしろ膜から選択的除去できるであろうと考えられている、好ましからざる炭素含有種を含む類似の膜に比較した場合に、誘電率および機械的強度等、しかしこれらに限られない膜の特性を改善することができる。
【0018】
処理する工程、曝す工程、または処理する工程と曝す工程との組み合わせは、製造プロセスの間に種々の順序で行うことができる。処理する工程および曝す工程の両方が行われる態様において、処理する工程は、曝す工程の前、曝す工程の少なくとも一部の間、または曝す工程の後で行うことができる。いくつかの態様において、薬品で処理する工程のみが行われる。他の態様において、紫外線を含むエネルギー源に曝す工程のみが行われる。
【0019】
本明細書中に記載された方法は、低誘電率(すなわち、4.0以下)有機シリケートガラス(OSG)材料および低誘電率材料を含む膜に好適である。ある態様において、低誘電率材料または膜は、1種または2種以上のシリカ含有前駆体、および1種または2種以上のポロゲン前駆体等の構造を形成する前駆体の化学気相堆積によって形成される。「ポロゲン」は、本明細書中で使用される場合、得られた材料または膜内に空隙容積を形成するために使用される試薬である。堆積工程の間に、ケイ素含有前駆体およびポロゲン前駆体は、化学的に活性化され、そして基材表面上に共堆積されて、複合有機シリケート材料を生成する。化学的活性化の結果として、ポロゲン前駆体は、重合して前駆体それ自身より高い分子量の種を生成するであろう。「重合」の用語は、本明細書中で使用される場合、前駆体のモノマーまたはオリゴマーが、プラズマおよび/または他のエネルギー源によってイオン化し、そしてフラグメント化した後で、ポリマーがこれらのイオン、ラジカルおよびフラグメントの反応/組み合わせによって生成される工程、ならびにポリマーが、厳格に管理されたまたはランダムな順序で、モノマー単位の繰り返し追加によって生成される工程をいう。堆積後に、熱処理等であるがこれに限られないエネルギー源、紫外線、電子ビームまたはe−beam、プラズマ、X線を含むがこれに限られない光エネルギー、およびそれらの組み合わせの導入によって、ポロゲンは、複合有機シリケート材料から除去できる。ポロゲンの少なくとも一部分の除去により、多孔質OSG材料となる。
【0020】
先に述べたように、多孔質OSG材料は、少なくとも1種のケイ素含有前駆体および少なくとも1種のポロゲン前駆体を使用して堆積される。多孔質OSG材料を提供するのに使用できるケイ素含有前駆体の例は、トリエトキシシラン、トリtert−ブトキシシラン、トリメトキシシラン、トリ(第3級)ブトキシシラン、トリアセトキシシラン、テトラ(第3級)ブトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラアセトキシシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシラン、ジtert−ブトキシメチルシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ネオヘキシルトリエトキシシラン、ネオペンチルトリメトキシシラン、ジアセトキシメチルシラン、フェニルジメトキシシラン、フェニルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、1、3、5、7−テトラメチルテトラシクロシロキサン、オクタメチルテトラシクロシロキサン、1、1、3、3−テトラメチルジシロキサン、1−ネオヘキシル−1、3、5、7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、1、3−ジメチル−1−アセトキシ−3−エトキシジシロキサン、1、2−ジメチル−1、2−ジアセトキシ−1、2−ジエトキシジシラン、1、3−ジメチル−1、3−ジエトキシジシロキサン、1、3−ジメチル−1、3−ジアセトキシジシロキサン、1、2−ジメチル、1、1、2、2−テトラアセトキシジシラン、1、2−ジメチル−1、1、2、2−テトラエトキシジシラン、1、3−ジメチル−1−アセトキシ−3−エトキシジシロキサン、1、2−ジメチル−1−アセトキシ−2−エトキシジシラン、メチルアセトキシ−t−ブトキシシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、テトラメチルジシラン、ジメチルジシラン、およびそれらの組み合わせを含むことができるがこれらに限られない。ケイ素含有前駆体のさらなる例は、例えば、米国特許第7、122、880号明細書、米国特許第6、818、289号明細書、米国特許第6、896、955号明細書、米国特許第7、265、062号明細書、米国特許第6、312、793号明細書、米国特許第6、441、491号明細書、米国特許第6、479、110号明細書、米国特許第7、282、458号明細書、米国特許第7、288、292号明細書、および米国特許第7、312、524号明細書中に提供されている。少なくとも1種のポロゲン前駆体の例は、α−テルピネン、リモネン、シクロヘキサン、シクロオクタン、ビシクロヘキサジエン(BCHD)、γ−テルピネン、カンフェン、ジメチルヘキサジエン、エチルベンゼン、ノルボルナジエン、シクロペンテンオキシド、1、2、4−トリメチルシクロヘキサン、1、5−ジメチル−1、5−シクロオクタジエン、カンフェン、アダマンタン、1、3−ブタジエン、置換ジエン、デカヒドロナフタレン(naphthelene)、およびそれらの組み合わせを含むがこれらに限られない。一態様では、少なくとも1種のポロゲン前駆体は、1〜13炭素原子を有するガス状炭化水素である。例えば、米国特許第6、846、515号明細書、米国特許第7、384、471号明細書、米国特許第6、312、793号明細書、米国特許第6、441、491号明細書、米国特許第6、479、110号明細書、米国特許第7、282、458号明細書、米国特許第7、288、292号明細書、および米国特許第7、312、524号明細書に、ポロゲン前駆体のさらなる例が提供されている。
【0021】
有機シリケート膜は、種々の異なる方法を使用して、前駆体混合物から基材の少なくとも一部分上に堆積される。これらの方法は、それら自身または組み合わせで使用できる。有機シリケート膜を形成するために使用できる方法の幾つかの例は、熱化学気相堆積、プラズマ化学気相成長法(「PECVD」)、高密度PECVD、フォトンアシスティッド(photon assisted)CVD、プラズマフォトンアシスティッド(「PPECVD」)、低温化学気相堆積、化学的支援(chemical assisted)蒸着、熱フィラメント化学気相堆積、光開始化学気相堆積、液体ポリマー前駆体のCVD、超臨界流体から堆積、または輸送重合(「TP」)を含むがこれらに限られない。米国特許第6、171、945号明細書、米国特許第6、054、206号明細書、米国特許第6、054、379号明細書、米国特許第6、159、871号明細書および国際公開第99/41423号パンフレットは、いくつかの本明細書中に記載された有機シリケート膜を形成するのに使用できる例示的なCVD法を提供する。ある態様において、堆積は、100〜425℃、または200〜425℃、または200〜400℃の範囲の温度で行われる。本明細書中で使用される化学試薬は、「ガス状」として時々記載できるが、化学試薬は、反応器にガスとして直接送達でき、蒸気化した液体、直接の液体注入、昇華した固体として送達でき、そして/または不活性なキャリアガスによって反応器中に輸送できることが理解される。
【0022】
ある態様において、有機シリケート膜は、プラズマ化学気相成長法を通して形成される。PECVD法においては、化学試薬は、真空チャンバー等の反応チャンバーに流れ込み、そしてプラズマエネルギーが化学試薬にエネルギーを与え、それによって基材の少なくとも一部分上に膜を形成する。これらの態様において、有機シリケート膜は、少なくとも1種のケイ素含有前駆体および少なくとも1種のポロゲン前駆体を含むガス状混合物の共堆積、またはあるいは逐次堆積によって生成できる。ある態様において、試薬に適用されるプラズマエネルギーは、0.02〜7ワット/cm、または0.3−3ワット/cmであることができる。それぞれ試薬での流量は、10〜5000、または100〜1、000、または100〜500標準立方センチメートル/分(standard cubic centimeters per minute)(sccm−1)であることができる。これらの態様では、PECVDは13.56MHzの周波数で容量結合プラズマを使用して行うことができる。PECVD法のための堆積の間の真空チャンバーにおける圧力値は、0.01〜600トール、または1〜10トールの範囲であることができる。ある態様において、堆積は、100〜425℃、または200〜425℃の範囲の温度で行われる。これらの態様または他の態様において、プラズマ中の電子の温度を下げるのに低いイオン化エネルギーを有するが、次に混合物内のケイ素含有前駆体の断片化をより生じないであろうキャリアガスが堆積工程で用いられる。低いイオン化エネルギーキャリアガスの例は、CO、NH、CO、CH、Ar、Xe、Krを含む。しかし、プラズマエネルギー、流量、および圧力等の工程パラメーターは、基材の表面積、堆積工程中で使用される前駆体、PECVD法中で使用される装置等の多数の因子によって変化できることが理解される。
【0023】
エネルギーが反応を誘起し、そして基材上に複合OSG膜を形成させるように前駆体混合物に適用される。そうしたエネルギーは、熱、プラズマ、パルスプラズマ、ヘリコンプラズマ、高密度プラズマ、誘導結合プラズマ、X線、電子ビーム、光子、および遠隔プラズマ法によって提供できるが、これらに限られない。ある態様において、第2RF周波数源は、基材表面におけるプラズマの特徴を改変するために使用できる。
【0024】
本明細書中に記載された方法の他の態様において、複合膜は、スピンオンデポジション法(spin−on deposition process)によって基材の少なくとも一部の上に堆積できる。これらの堆積工程の例は、例えば、米国特許第7、122、880号明細書、米国特許第6、818、289号明細書、米国特許第6、896、955号明細書、および米国特許第7、265、062号明細書に提供されている。
【0025】
先に述べたように、本明細書中に記載された方法は、酸化剤等の、しかし酸化剤に限られない薬品で膜を処理する工程、紫外線等の、しかし紫外線に限られないエネルギー源に膜を曝す工程、または薬品で膜を処理する工程とエネルギー源に膜を曝す工程との組み合わせによって有機シリケート(OSG)膜内の炭素含有種の少なくとも一部分を除去する。この方法は、複合膜、多孔質膜、または複合物と多孔質膜との両者に使用できる。ある態様において、熱アニーリング、化学的処理、in−situまたは遠隔プラズマ処理、光硬化および/またはマイクロ波を含むことができる硬化工程によって、少なくとも1種のポロゲン前駆体は、堆積されるにつれてまたは複合膜から除去される。他のin−situまたは後堆積処理は、硬度、(収縮、空気曝露、エッチング、湿式エッチング、湿式クリーニング、アッシング、CMP工程、等)への安定性、可積性(integrability)、均一性および接着のような材料特性を高めるために使用できる。そうした処理は、ポロゲン除去に使用される同一または相違する手段を使用してポロゲン除去の前、間、後に複合OSG膜に適用できる。これらの処理が行われる条件は大きく変えられる。例えば、これらの処理は、高圧下、真空下、周囲条件で、またはそれらの変化形で行うことができる。
【0026】
ある態様において、複合OSG膜は、アニーリングまたは硬化工程に曝されて、膜中に含まれるポロゲン前駆体の少なくともの一部分を除去し、そして多孔質膜を提供する。これらの態様では、アニーリング工程は、以下の条件下で行われる。環境は、不活性(例えば、窒素、CO、希ガス(He、Ar、Ne、Kr、Xe)等)、酸化(例えば、酸素、空気、希薄な酸素環境、富化した酸素環境、オゾン、亜酸化窒素等)または還元(希薄なまたは濃縮された水素、炭化水素(飽和、不飽和、直鎖または分枝鎖、芳香族)等)であることができる。圧力は、約1Torr〜約1000Torrの範囲、または大気圧であることができる。しかし、真空の雰囲気はまた、熱アニーリング、および任意の他の後硬化手段で使用できる。温度は、200〜500℃の範囲であることができる。温度上昇速度は、0.1〜100℃/分の範囲であることができる。温度は、周囲温度(例えば、25℃)〜500℃の範囲であることができる。圧力は、10mtorr〜大気圧の範囲であることができる。全硬化時間は、0.01分〜12時間であることができる。
【0027】
先に述べたように、本明細書中に記載された方法は、複合物または多孔質膜中に含まれる炭素含有種の少なくとも一部分を選択的に除去することによって、複合膜、多孔質膜、または両方の少なくとも機械的強度を改善できる。この方法はまた、多孔質OSG膜の誘電率を回復させまたは低下できる。ある態様において、複合または多孔質OSG膜は、1種または2種以上の化学的処理に曝される。「化学処理」の用語は一般的に1種または2種以上の薬品または化学組成物に膜を曝すことに関する。そうした処理で使用される薬品は、昇華した固体、蒸気、液体、気体、エアロゾル、超臨界流体状態、またはそれらの組み合わせ等の種々の流体状態にあることができる。OSG膜を処理するために使用できる薬品の例は、フッ素化薬品(例えば、HF、SiF、NF、F、COF、CO2、);酸化薬品(例えば、H、O、オゾン水(O/HO);還元薬品(例えば、ヒドラジン、第一鉄化合物、水素化物(LiAlH、NaBH、ジイソブチルアルミニウム水素化物)、スズ化合物、亜硫酸塩化合物、シュウ酸、炭化水素、一酸化炭素、水素、水素原子(例えば、プラズマ、遠隔プラズマ、熱フィラメント、または他の源から生成された);硫酸過酸化物混合物(「SPM」);化学的乾燥;メチル化;または最終物質の特性を高める他の化学的処理を含むがこれらに限られない。複合または多孔質OSG膜を処理するために使用できる薬品のまた更なる例は、水、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、アミド、グリコール、グリコールエーテル、エーテル、エポキシド、アミン、およびそれらの混合物を含むがこれらに限られない。溶媒の具体例は、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、2−ペンタノン、1−ペンタノール、1−ブタノール、2−プロパノール、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルアセテート、乳酸エチル、ペンチルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、N、N−ジメチルホルムアミド、およびそれらの混合物を含む。溶媒が用いられる態様では、薬品は、例えば、触媒、流れ助剤、湿潤剤、pH調整剤、腐食防止剤、イオン性強度調整剤、および界面活性剤等の添加物を含むことができる。複合または多孔質OSG膜を処理するのに使用できる薬品のまた他の例は、米国特許第4、770、713号明細書、米国特許第5、279、771、米国特許第5、419、779号明細書、米国特許第5、417、877号明細書、米国特許第5、597、420号明細書、米国特許第5、997、658号明細書、米国特許第6、677、286号明細書、米国特許第6、828、289号明細書、米国特許第6、943、141号明細書、米国特許第6、943、142号明細書、米国特許第6、951、710号明細書、および米国特許出願公開第2004/0063042号明細書、米国特許出願公開第2005/0119143号明細書、米国特許出願公開第2006/0014656号明細書、米国特許出願公開第2006/0016785号明細書、米国特許出願公開第2008/0199977号明細書、および米国特許出願公開第2005/0196974号明細書、米国特許出願公開第2006/0003910号明細書、および米国特許出願公開第2007/0299239号明細書に見いだすことができるこれらの組成物等であるが、これらに限られないストリップ組成物またはクリーニング組成物を含む。ある特定の態様において、複合または多孔質OSG膜は、酸化剤を含む薬品で処理される。例示的な酸化薬品は、酸素(O)、オゾン(O)、オゾン水(O/HO)、SPM、酸素原子、OもしくはOのラジカル、OまたはOの帯電種、およびそれらの組み合わせを含むがこれらに限られない。オゾン水は、水を通してガス状のOをバブリングすることによって調製できる。SPM溶液は、有機物を除去するために、半導体産業において一般的に使用される。これらの薬品は、単独でまたは他の薬品、本明細書中に記載されたまたは当該分野で知られた他の薬品とともに使用できる。限定することを意図しないが、表Iは、オゾン、オゾン水およびSPMを含む酸化剤のための時間、温度、および圧力に関して、特別な処理条件の幾つかの例を提供する。
表I:例示的な化学処理条件
【表1】

【0028】
理論に拘束されないが、酸化剤を含む薬品は、(FTIRおよびXPSから明らかであるような)共有結合で結合したSi−CH基またはネットワーク末端基を切断することなく、複合物または多孔質膜中に含まれる炭素含有種の少なくとも一部分と反応して、さらなる炭素含有副生成物を生成するようである。さらなる炭素含有副生成物は、さらなる化学処理工程、エネルギー源への暴露、またはそれらの組み合わせによってのいずれかで除去できる。本明細書中に記載された方法の一態様では、複合膜は、紫外線を含むエネルギー源に曝されて、炭素含有種を含む多孔質膜を提供し、この多孔質膜は、酸化剤を含む1種または2種以上の薬品で処理されて、炭素含有種の少なくとも一部分を除去するが、さらなる炭素含有副生成物を生成し、そして次にこの多孔質膜は、紫外線を含むエネルギー源で処理されて残りの炭素含有種、炭素含有副生成物、および/または化学処理によるあらゆる欠陥を除去する。本明細書中に記載された方法の別の具体的な実施形態では、この複合膜は、酸化剤を含む1種または2種以上の薬品で処理されて、炭素含有種の少なくとも一部分を除去するが、さらなる炭素含有副生成物を生成し、そして次にこの多孔質膜が紫外線を含むエネルギー源で処理されて、残りの炭素含有種、炭素含有副生成物、および/または化学処理によるあらゆる欠陥を除去する。
【0029】
ある態様において、複合または多孔質OSG膜は、紫外線(UV)を含むエネルギー源に曝される。「紫外線」の用語は、赤外(IR)光、可視光、近紫外線、中紫外線、遠紫外線、真空紫外線、極端な紫外線またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限られない。ある態様において、このUV光は、10ナノメートル(nm)〜400nmの範囲の1種または2種以上の波長を有する。紫外線は、分散性、焦点を合わせた、連続波、パルス、またはシャッターされている(shuttered)ことができる。紫外線のための源は、エキシマ−レーザー、バリアー放電ランプ、水銀ランプ、マイクロ波発生UVランプ、IRまたは可視領域における周波数二倍化または周波数三倍化レーザー等のレーザー、または可視領域中におけるレーザーからの2光子吸収を含むがこれらに限られない。紫外線源は、複合膜から50ミリインチ〜1、000フィートの範囲の距離に配置できる。環境は、不活性な(例えば、窒素、CO、希ガス(He、Ar、Ne、Kr、Xe)等)、酸化(例えば、酸素、空気、希薄な酸素環境、富化した酸素環境、オゾン、亜酸化窒素等)、還元(例えば、希薄なまたは濃縮された炭化水素、水素等)、またはそれらの組み合わせであることができる。出力は0〜5000ワット(W)または100〜5000Wの範囲であることができる。温度は、周囲〜500℃、または50〜400℃の範囲であることができる。圧力は10mtorr〜大気圧の範囲である。全硬化時間は0.01分〜12時間または0.5分〜60分であることができる。
【0030】
複合または多孔質OSG膜が紫外線(UV)を含むエネルギー源に曝される態様では、複合または多孔質OSG膜は、エネルギー源内の1種もしくは2種以上の特定の波長または広範な範囲の波長に曝されることができる。例えば、複合膜は、レーザーおよび/または光学的に焦点を合わせた光源を通した等の1種または2種以上の特別な波長の光に曝されることができる。光学的に焦点を合わせた光源の態様では、放射源は、レンズ(例えば、凸面の、凹面の、円筒型の、楕円形の、正方形または放物形状のレンズ)、フィルター(例えば、RFフィルター)、窓(例えば、ガラス、プラスチック、溶融シリカ、合成シリカ、シリケート、カルシウムフルオライド、リチウムフルオライド、またはマグネシウムフルオライド窓)または鏡等の光学物を通過でき、特定のかつ焦点を合わせた波長の光を提供できる。これらの態様では、非反応性ガスは、暴露工程の少なくとも一部分の間に光学系の上に流れて、孔形成工程の間にオフガス(off−gassing)によって生成された光学系の表面上にビルドアップ(build−up)の形成を防ぐことができる。あるいは、放射源は、あらゆる光学系を通らない。
【0031】
紫外線の他に、複合または多孔質OSG膜は、熱エネルギー、α−粒子、β−粒子、γ−線、X線、電子ビーム(e−beam)、可視光、赤外光、マイクロ波、ラジオ周波数の波長、およびそれらの組み合わせを含むがこれらに限られない1種または2種以上の追加のエネルギー源に曝されることができる。
【0032】
曝露工程は、複合膜を形成するのに使用される工程による種々の設定で行うことができる。曝露工程が複合膜形成工程の少なくとも一部分の後、または間でさえ行うことが好都合であることができる。曝露工程は、石英容器、変更された堆積チャンバー、コンベアーベルト処理システム、ホットプレート、真空チャンバー、クラスターツール、単一のウェハー器具、バッチ処理器具、または回転式ターンサイト(turnstile)等であるがこれらに限られない種々の設定で行うことができる。
【0033】
ある態様において、複合または多孔質OSG膜はプラズマ処理に曝される。これらの態様では、プラズマ処理は、以下の条件で行われる。環境は、不活性(窒素、CO、希ガス(He、Ar、Ne、Kr、Xe)等)、酸化(例えば、酸素、空気、希薄な酸素環境、富化した酸素環境、オゾン、亜酸化窒素等)、または還元(例えば、希薄なまたは濃縮された水素、炭化水素(飽和、不飽和、直鎖または分枝鎖、芳香族)等)であることができる。プラズマ出力は0〜5000Wの範囲であることができる。温度は周囲〜500℃の範囲であることができる。圧力は、10mtorr〜大気圧の範囲であることができる。全硬化時間は、0.01分〜12時間の範囲であることができる。
【0034】
ある態様において、複合または多孔質OSG膜は、マイクロ波後処理に曝される。これらの態様では、マイクロ波後処理は、以下の条件下で行われる。環境は、不活性(例えば、窒素、CO、希ガス(He、Ar、Ne、Kr、Xe)等)、酸化(例えば、酸素、空気、希薄な酸素環境、富化した酸素環境、オゾン、亜酸化窒素等)、または還元(例えば、希薄なまたは濃縮された炭化水素、水素等)であることができる。温度は、周囲〜500℃の範囲であることができる。出力および波長は、変えられ、そして特定の結合に対して調節可能である。全硬化時間は、0.01分〜12時間の範囲であることができる。
【0035】
ある態様において、複合または多孔質OSG膜は、電子ビーム後処理に曝される。電子ビーム処理の使用は、ポロゲン除去およびマトリックス中での結合形成処理を通して、膜の機械的特性の向上を提供できる。これらの態様では、電子ビーム後処理は、以下の条件下で行われる。環境は、真空、不活性(例えば、窒素、CO、希ガス(He、Ar、Ne、Kr、Xe)等)、酸化(例えば、酸素、空気、希薄な酸素環境、富化した酸素環境、オゾン、亜酸化窒素等)、または還元(例えば、希薄なまたは濃縮された炭化水素、水素等)であることができる。温度は、周囲〜500℃の範囲であることができる。電子密度およびエネルギーは変えることができ、そして特定の結合に調節可能である。全硬化時間は0.001分〜12時間であることができ、そして連続またはパルスであることができる。ある電子ビーム処理の例は、S.Chattopadhyayら、Journal of Materials Science、36(2001)4323〜4330;G.Klosterら、 Proceedings of IITC、June 3−5、2002、SF、CA;および米国特許第6、207、555B1号明細書、米国特許第6、204、201B1号明細書および米国特許第6、132、814A1号明細書に提供されている。
【0036】
ある態様において、本明細書中に記載された膜は、多孔質である。これらの態様では、膜の全気孔率は、処理条件および所望の最終の膜特性によって、5〜75%であることができる。多孔質膜内の平均サイズは、約1Å〜約500Å、または約1Å〜約100Å、または約1Å〜約50Åの範囲である。膜が狭い粒径範囲の孔を有し、そして孔が膜中に均質に分散されていることが好ましい。しかし、膜の気孔率膜の中で同じである必要はない。ある態様において、気孔率勾配および/または変化した気孔率の層がある。そうした膜は、複合膜の形成の間に、例えば、孔を形成する前駆体の、構造を形成する前駆体に対する比を調整することによって提供できる。膜の気孔は、連続的または不連続な孔を有することができる。
【0037】
本明細書中に記載された方法のある態様において、孔サイズは、化学的処理、エネルギー源への曝露、およびそれらの組み合わせの後に、サイズにおいて増加できる。本明細書中に記載された方法の他の態様において、孔サイズは、化学的処理、エネルギー源への暴露、およびそれらの組み合わせの後に、サイズにおいて減少できる。孔サイズのそうした変化は、例えば、楕円偏光法によって測定できる。本明細書中に記載された膜は、0〜0.03または0〜0.025の範囲の楕円偏光法によって、240ナノメートルで測定された吸光係数(extinction coefficient)を有することができる。
【0038】
他の態様において、本明細書中に記載された膜は、多孔質でない。
【0039】
本明細書中に記載された膜は、通常のOSG材料に対してより低い誘電率を有することができる。ある態様において、本明細書中に記載された膜は、約3.0以下、または約2.8以下、または約2.7以下の誘電率を有する。ある特定の態様において、膜の誘電率は、1.2〜2.5の範囲である。
【0040】
この膜は、種々の用途に好適である。この膜は、半導体基材上への堆積に特に好適であり、そして、例えば、絶縁層、層間絶縁層および/または金属間誘電体層での使用に特に好適である。この膜形状に合う被膜を形成できる。これらの膜によって示される特性は、膜をAl差し引き技術およびCuダマシンまたはデュアルダマシン技術での使用のために特に好適にする。
【0041】
本明細書中に記載された方法の好ましい態様において、この複合OSG膜または多孔質OSG膜は、基材上に堆積される。好適な基材は、ガリウムヒ素(「GaAs」)、ケイ素、および結晶性ケイ素、ポリケイ素、アモルファスケイ素、エピタキシャルケイ素、二酸化ケイ素(「SiO」)、ケイ素ガラス、窒化ケイ素、溶融シリカ、ガラス、石英、ホウケイ酸塩ガラス等のケイ素含有組成物等の半導体材料、ならびにそれらの組み合わせを含むがこれらに限られない。他の好適な材料は、クロム、モリブデン、および半導体、集積回路、平面パネルディスプレイ、および柔軟ディスプレイ用途において一般的に用いられる他の金属を含む。基材は、例えば、ケイ素、SiO、有機シリケートガラス(OSG)、フッ素化シリケートガラス(FSG)、ホウ素炭窒化物、炭化ケイ素、水素化炭化ケイ素、窒化ケイ素、水素化窒化ケイ素、ケイ素炭窒化物、水素化ケイ素炭窒化物、ホウ窒化物、有機無機複合材料、フォトレジスト、有機ポリマー、多孔質有機および無機材料および複合物、酸化アルミニウム、および酸化ゲルマニウム等の金属酸化物等の追加の層を有することができる。またさらなる層はまた、ゲルマノシリケート、アルミノシリケート、銅およびアルミニウム、ならびにTiN、Ti(C)N、TaN、Ta(C)N、Ta、W、またはWN等であるがこれらに限られない拡散バリアー材料であることができる。膜は、上記材料の少なくとも1種を、ASTM D3359−95aテープ引張り試験等の従来の引張り試験に合格するように充分に接着できる。膜の除去が識別できない場合、サンプルは、試験に合格したと考えられる。
【0042】
OSG膜内の炭素含有種の少なくとも一部分を除去するために本明細書中に記載された方法を使用することによって、OSG膜の屈折率および吸光係数は、酸化剤を含む薬品、紫外線源を含むエネルギー源、およびそれらの組み合わせで処理されないOSG膜と比較した場合、著しく減少する。膜のこれらの物理的特性は、酸化剤を含む薬品を用いた処理およびUV光を含むエネルギー源への暴露の両方の後で、著しく改善する。ある特定の態様において、複合OSG膜は、第1の誘電率、第1の硬度、および第1の弾性率を有する。次に、この複合OSG膜を、化学酸化剤で処理し、そして紫外線を含むエネルギー源、および任意選択的に熱エネルギーに曝して、膜中の炭素含有種の少なくとも一部分を除去し、そして第2の誘電率、第2の硬度、および第2の弾性率を有する多孔質有機シリケートを提供する。多孔質有機シリケートの第2の誘電率は、実質的に第1の誘電率以下であり、そして多孔質有機シリケートの第2の硬度および第2の弾性率は、第1の硬度より大きい。
【0043】
本明細書中に記載された方法は、膜を提供するのに特に好適であり、そしてこの方法の製品は、概して、膜として、本明細書中に記載されているが、本発明は、それらに限定されない。「OSG膜」および「OSG材料」の用語は、交互に使用できることが、ある例において理解される。本明細書中に記載された方法の製品は、被膜、多層集成体、および必ずしも平面でなくまたは薄くない他のタイプの物体または材料、および集積回路において必ずしも使用されない多くの物体または材料等のCVDによって堆積できる任意の形態で提供できる。
【0044】
本明細書中に記載された方法は、以下の例を参照してさらに具体的に説明されるが、しかし当然のことながら、それらに限定されるとはみなされない。
【実施例】
【0045】
本明細書中に記載された方法は、任意の誘電体膜上で行うことができるが、以下の例は、PDEMS(商標)2.5ATRP膜を用いる。本明細書中で使用される場合、「PDEMS(商標)2.5ATRP膜」の表示は、約2.5の誘電率を有する低誘電体膜を記載する。Allentown、PAのAir Products Inc.により提供されたシリカ含有前駆体としてのジエトキシメチルシラン(DEMS)を使用して膜を堆積させ、そしてAir Products Inc.によって提供されたポロゲン前駆体としてのα−テルピネン(ATRP)を、Advance Energy 200rf発生器を取り付けた200mm D×Z真空のチャンバー内でApplied Materials Accuracy−5000システムを使用し、そして未ドープのTEOSプロセスキットを使用する、プラズマCVD(PECVD)法により生成させた。PDEMS(商標)2.5ATRP膜を、米国特許第6、846、515号明細書(参照によりその全てを本明細書中に取り込む。)に記載された方法によって調製した。
【0046】
以下の例では、そうでないと記載しなければ、特性は、媒体抵抗率(8〜12Ωcm)の単結晶ケイ素ウェハー基材上に堆積されたサンプル膜から得られた。
【0047】
それぞれの膜の240nmでの厚さ、膜屈折率、および240nmでの吸光係数を、SCI FilmTek2000反射率計上での反射率測定法により決定した。
【0048】
それぞれのサンプル膜の誘電率を、ASTM基準D150−98により決定した。それぞれの膜の静電容量電圧を、Solartron モデル SI 1260周波数分析器およびMSI ElectronicsモデルHg401単一接点 水銀プローブを用いて、1MHzで得た。静電容量測定および水銀電極面積(A)における誤差は1%未満であった。基材(ウェハー)静電容量(CSi)、バックグラウンドの静電容量(C)および全静電容量(C)を、+20と−20ボルトとの間で測定し、そして薄膜サンプル静電容量(C)を、式(1):
Cs=CSi(C−C)/[CSi−(C−C)] 式(1)
によって計算した。
それぞれの膜の誘電率を、式(2):
【数1】

式(2)
(式中、dは、膜厚であり、Aは、水銀電極面積であり、そしてεは、真空中での誘電率である。)
によって計算した。
膜の誘電率の全誤差を6%未満と予期した。
【0049】
それぞれの膜の弾性係数を、ウェハーの中心から切断した1×0.4cmのサンプルからとり、そして低温溶融接着を使用して、Valley Cottage、N.Y.のArmco Products Inc.、によって製造されたCRYSTALBOND(商標)アルミニウムスタブ上へ取り付けて測定した。オリバーら、‘‘An improved technique for Determining Hardness and Elastic Modulus Using Load and Displacement Sensing Indentation Experiments’’、J.Material Research、1992、7、pp.1564−1583の参照(参照によりその全てを本明細書中に取り込む)中に記載された連続的剛性測定(「CSM」)法を使用して、ACCUTIP(商標)Berkovichダイアモンドチップを用いて、MTS Systems Corporationによって製造されたNANOINDENTER(商標)Dynamic Contact Module(DCM)で圧子押し込み試験を行った。小さな振動を最初のローディング信号に重ね合わせ、そして得られた系の応答を、周波数特定増幅器によって分析した。この励起周波数を、試験を通して75Hz(DCM)に一定に保ち、そして生じた置き換えられた振幅が1nm(DCM)で一定になるように、励起振幅を制御した。
【0050】
それぞれの圧子押し込み実験は、接触剛性Sの連続的な測定を可能にした。Sの動的測定尺度、ならびにヤング率および硬度(ポアソン比=シリカで0.18、低κ膜で0.25)の確立した式を使用して、それぞれの個々の圧子押し込み実験は、表面貫通の連続的な関数としてのヤング率および硬度を与えた。それぞれのサンプルでかつ約20〜25μmの距離で分離された一連のくぼみで4〜5のくぼみの配列を行った。それぞれの圧子押し込み実験からの結果を調べ、そしてあらゆる「異常値」を除いた。それぞれのサンプルの、ヤング率および硬度の結果対圧子押し込み実験の貫通を、約5nm間隔で置き換えた窓を使用して平均した。この窓におけるデータを使用して、それぞれのサンプルでの平均値、標準偏差、および信頼区間を、次に計算した。間の開いた窓の残りについても、同じ統計を同様に計算した。硬度の結果が得られ、そして同様に平均した。硬度およびヤング率を、(約30〜50nmでの)硬度曲線の最小値で測定した硬度の値および(約30〜50nmでの)ヤング率曲線の最小値で測定されたヤング率として報告した。膜のヤング率および硬度の誤差は、10%未満と期待される。
【0051】
DTGS KBR検出器およびKBrビームスプリッターを備えたThermo Nicolet Nexus 470systemを使用してウェハー上のFTIRデータを収集した。スペクトルからCOおよび水を除くために、バックグラウンドスペクトルを、類似の媒体抵抗率ウェハー上で収集した。4cm−1の分解能で32回スキャンして収集することによって4000〜400cm−1の範囲にあるデータを得た。OMNICソフトウェアパッケージを、データを処理するために使用した。すべての膜で、ベースラインを修正した、強度を500nmの膜厚に正規化し、そして関心の対象であるピーク面積および高さをOMNICソフトウェアで決定した。
【0052】
相対感度因子および同種の層を仮定したモデルを使用して、X線光電子分光法(XPS)データを定量化したXPS測定を、単色化されたAlkα 1486.6eV X線源、±7°の受光角、65°の取り出し角、800μmの分析面積、86Å/分のスパッタ速度、およびAr、3keV、4x4mmラスターのイオン中の条件を使用して、Phi 5701 LSci system上で得た。分析の体積は、分析の面積(スポットサイズまたは開口サイズ)と、情報の深さとの産物である。光電子がX線の貫通深さ(典型的には、数μm)以内に生成されるが、しかし深さから脱出した上位3番以内の光電子のみが検出される。脱出深さは、約50〜100Åの分析深さとなる、15〜35Å程度である。典型的には、信号の95%がこの深さ内から生じる。9.4T(400MHz)の場強度で、12〜14kHzのスピニング速度を有するVarian 3.2 mm T3DR プローブを使用して、29Siおよび13C MAS NMRデータを収集した。Livermore、CAのAcorn NMR、Inc.によって開発されたNUTSソフトウェアを使用して、データ分析を行った。
【0053】
以下の例の幾つかにおいて、特定しなければ、自動化Applied Materials P5000プラットフォームに取り付けられた200mm D×lチャンバーに統合化された10’’Hバルブを有するFusion VPS/I−600をスウィープすることで、UV暴露を行った。サセプターの温度を、300℃に設定した。0.5分〜10分、好ましくは1分〜3分の範囲で100%のUV出力にサンプルを曝した。以下の例のいくつかでは、UV硬化工程(例えば、または多孔質OSG膜を提供するために、複合膜から有機材料を除去するのに使用される工程)に加えて、UV曝露工程を使用できる。
【0054】
以下の例のいくつかにおいて、例示的ウェハーを、以下の表IIに提供された以下の化学組成物の1種で処理した:
表II:例示的ウェハーを処理するための化学組成物(すべてのパーセンテージは、重量%で提供され、そして100重量%まで加えられる)
【表2】

用語集:
ジメチルアセトアミド(DMAC)
テトラヒドロフリルアルコール(THFA)
脱イオン化水(DIW)
酢酸アンモニウム(アンモニウムアセテート)
フッ化アンモニウム(AF)
グリセロール(Gly)
ヒドロキシルアミン(50%溶液)(HA)
メタノールアミン(MEA)
【0055】
例1:低誘電体OSG膜内の炭素含有種の検出
29Si MAS NMRを、ネットワーク構造を評価するために使用し、そして13C MAS NMRを、膜内の炭素含有種を評価するために使用した。1超タイプの炭素、例えば、共有結合でSiに結合したCHおよび残留する炭素含有種が、これらの膜の中にありそうである証拠として、表IIIに200mmウェハーからすくい取った粉末の29Si MAS NMRおよび13C MAS NMRをまとめる。表IIIは、膜内の存在する異なるSi種および炭素含有種が存在することを示す。表IIIはまた、膜内の存在する2つのタイプの炭素含有種:Si原子またはネットワーク末端炭素基に結合したメチル基およびアルケンのような炭素相に関連したものを示す。後者の炭素は、膜の誘電率の増加および機械的特性の低下に寄与しそうである。これが、本明細書中に記載された方法が損傷を与えるシリケートネットワークまたは膜を疎水性にする末端基に損傷を与えることなく、除去しようとするこのアルケンのような炭素種である。好ましくない炭素含有種が膜ネットワーク等の材料を著しく劣化させることなく膜から除去できる場合、得られた膜において改善された電気的特性または機械的特性があることができる。
表III:200mmの硬化したPDEMS(商標)2.5ATRPウェハーからすくい取った粉末の29Si MAS NMR および13C MAS NMR。
【表3】

【0056】
酸化剤を含む薬品での処理、UV光への暴露、さらなる化学的調合物での処理、およびそれらの組み合わせを行った、種々の硬化したPDEMS(商標)2.5ATRP膜の誘電率および機械的特性を表IV中に提供する。表IV中のすべての例において、硬化したPDEMS(商標)2.5ATRP膜を、酸化性化学的オゾン(O)で処理した。表IV中の例3および4において、処理されたPDEMS(商標)2.5ATRP膜を、広帯域のHバルブ、6000ワット融着システム、真空、および300℃のサセプター温度、の条件でUV光に1分間曝した。表IV中の例1および2は、次の化学処理工程を有するか、または有さないオゾン処理が、膜の誘電率を増加させ、そして膜の機械的特性を低下させることを示す。しかし、Oで処理した膜をUV光に短時間曝した後で、誘電率は通常に戻ったか、または低下し、一方、膜の機械的特性は高くなった。
表IV:種々の処理後の誘電率および機械的特性への影響
【表4】

【0057】
比較例:1種または2種以上の化学的クリーニング組成物を用いた処理
表V、VI、およびVIIに提供した種々の処理条件下で硬化し、そして未硬化のPDEMS(商標)2.5ATRPウェハーを(上記表II中に提供された)種々の化学組成物で処理した。表V、VI、およびVIIは、種々のクリーニング組成物で処理した後のそれぞれの例示的なウェハーについて、反射率計によって得た厚さ、屈折率、および吸光係数をさらに提供する。PDEMS(商標)2.5ATRPウェハーを、20℃〜80℃の範囲の種々の温度で、湿式薬品を含有する容器内で接触させるか、または容器内に浸した。種々の化学組成物への基材の暴露の典型的な時間は、例えば、1〜120分の範囲であることができる。化学組成物での処理後に、ウェハーを脱イオン水ですすぎ、そして次に乾燥した。乾燥を不活性雰囲気下で行った。
【0058】
化学組成物Hを用いて、10分間および30分間硬化した膜を処理した後(比較例1および2、それぞれ)で、膜厚はわずかに減少したが、対照Bと比較して、処理したDEMS(商標)2.5ATRP膜では屈折率および吸光係数の変化は観察されなかった(表Vを参照のこと)。60分間の処理後では、比較例3の膜が大幅に損傷され、そして表面粗さが目で見えた。比較例1、2、および3の膜のFTIRデータは、膜厚の減少を示すSi−Oピークの一定の減少を示すが、1735cm−1でのカルボニルピークは観察されなかったことを示す。これらの結果は、ヒドロキシルアミンを含む化学組成物が炭素含有種を除去できなかったが、より長い暴露時間で硬化したPDEMS(商標)2.5ATRP膜を損傷したことを示す。
【0059】
表VIは、化学組成物Iを用いて硬化した膜を5分間処理した後(比較例4)で、対照Cと比較して、PDEMS(商標)2.5ATRP膜上に屈折率および吸光係数の変化がないことをさらに示す。化学組成物Iを用いて10分間処理した後(比較例5)では、屈折率および吸光係数と共に膜厚は減少した。化学組成物Iを用いて30分間処理した後(比較例6)では、膜は剥離した(deliminated)。比較例4、5、および6の膜のFTIRデータは、膜厚の減少を示すSi−Oピークの一定の減少を示すが、1735cm−1でのカルボニルピークは観察されなかったことを示す。これらの結果は、ヒドロキシルアミンを含む化学組成物が炭素含有種を除去できなかったが、より長い暴露時間で硬化したPDEMS(商標)2.5ATRP膜を損傷したことを示す。
【0060】
表VIIは、30分間まで、種々のクリーニング組成物を用いて処理した後に、対照Dと比較した場合、未硬化のPDEMS(商標)2.5ATRPの厚さ、屈折率および吸光係数の変化がなかったことを示す。FTIRデータは、膜特性の変化およびカルボニル種の存在を示さなかった。これらの結果は、これらのクリーニング組成物が未硬化のPDEMS(商標)2.5ATRP膜からポロゲンおよび炭素含有種を除去できなかったことを示す。
表V:化学組成物Hを用いた処理
【表5】

表VI:化学組成物Iを用いた処理
【表6】

表VII:化学組成物A、B、D、E、F、およびGを用いた処理
【表7】

【0061】
例2:オゾン、オゾンおよび湿式化学的処理、ならびにオゾンおよびUVへの暴露後の硬化した多孔質OSG膜の種々の特性への影響
硬化した多孔質PDEMS(商標)2.5ATRPウェハーを、ウェハーがオゾンを含むガス状の雰囲気に曝されるUV−オゾン乾燥洗浄機、または紫外線オゾン洗浄システム、UVOCS Inc.、モデルT10X10/OES、Serial no.1034中で処理した。表VIIIは、それぞれの例示的なウェハーの、反射率計で得られた処理条件および厚さ、屈折率、および吸光係数を提供する。反射率計のデータは、表VIIIに提供され、そしてO曝露後に、632nmにおける屈折率および240nmにおける吸光係数が、厚さの変化なく著しく減少したことを示す。さらなる湿式化学処理を、UV硬化の前にOに暴露したウェハーを洗浄するために使用した。湿式薬品は、中性から酸性の半水性溶媒および水混合物またはC=Oを含有する有機溶媒であった。種々の湿式薬品の調合物を上記表IIに示す。Oで処理した基材を20℃〜80℃の範囲の温度で種々の化学組成物に接触させるか、種々の化学組成物を含有する容器に浸した。化学組成物での基材の典型的な処理時間は、例えば、1〜120分間である。化学組成物との接触後に、基材を脱イオン水ですすぎ、そして次に乾燥させることができる。乾燥は、典型的には、不活性な雰囲気下で行う。化学組成物を用いた追加の処理の後で、屈折率および吸光係数は、さらに低下した(例10を参照のこと)。
【0062】
表IXは、例示的なウェハーのそれぞれで得られたFTIRデータを提供する。表IX中のデータが具体的に示すように、Oでの処理後に、Si−CH/SiOの比が本質的に変化していないことを示し、これはSiに共有結合で結合したメチル基がOを用いた処理により影響されていないことを示す(比較対照Eおよび例5)。FTIRスペクトルはまた、O処理の後で、おそらく、それぞれ、C=Oおよび−OH伸縮遷移による、強いピークが、約1735cm〜1に現れ、そして広いピークが約3500cm〜1現れたことを示す(例5を参照のこと)。これは、炭素含有種が、O処理によって多分カルボニル(C=O)またはカルボン酸(COOH)種または炭素含有副生成物に転化されたことを示す。追加のクリーニング組成物へのウェハーさらなる曝露は、約1735cm〜1のカルボニルピークを完全に除去したが、−OH結合は残った(例6、7、および8を参照のこと)。この−OH結合は、表面上に水素結合したHOから生じることができる。さらなるUV曝露工程は、カルボニル(C=O)またはカルボン酸(COOH)種または炭素含有副生成物を完全に除去することができ、そして膜構造を回復した(例9および例10を参照のこと)。
【0063】
表Xは、ある例のXPSデータを提供する。XPSデータは、硬化したPDEMS2.5(対照E)をそのまま、およびO暴露した硬化したPDEMS2.5の表面(例5)およびXPSおよびESCAによってスパッタされた表面上で観察された種を示す。これらの種は、R−Si、炭化水素、Oを含む有機物、より少量のフルオライドおよびC−Nを含む。例5はまた、FTIRからの発見と一致するO−C=O官能性(恐らく、エステル)を含んでいた。対照Eおよび例5の炭素濃度を比較すると、O処理は、そのままの表面で炭素濃度を24.1%から15.3%、および−10nmの表面で19.3%から7.1%に減少させた。これらの結果は、炭素含有種がOを用いた処理で効果的に除去されたことの更なる証拠を提供する。
表VIII:O3、種々のクリーニング組成物およびUV曝露を用いた処理後の硬化したPDEMS(商標)2.5ATRP膜の反射率計データ
【表8】

表IX:O、湿式化学クリーニング薬品への暴露およびUV曝露後の硬化したPDEMS2.5膜のFTIRデータ
【表9】

表X:XPSおよびESCAによるイオンスパッタリングの前および後の(%での)濃度および元素比
【表10】

100%の検出された元素に正規化している。XPSは、HまたはHeを検出しない。
【0064】
例3:オゾン水を用いた処理およびUVへの曝露後の硬化した多孔質OSG膜の種々の特性への影響
2.5の誘電率を有する硬化した多孔質PDEMSウェハーを、約21.8℃で水中に30(ppm)オゾンを含むオゾン水(O/HO)に表XIおよびXIIに示した種々の時間浸した。反射率計データ(表XI)は、オゾン水への浸漬の後で、浸漬時間を増やすにつれて、632nmでの屈折率および240nmでの吸光係数が著しく減少することを示す。ウェハーの厚さは、本質的に変わっていない。
【0065】
表XIIは、例示的なウェハーのそれぞれで得られたFTIRデータを示す。表XII中でデータが具体的に示すように、60分までの間オゾン水に浸漬した後、(対照Fと例11〜14とを比較して)Si−CH/SiO比が本質的に変化を示しておらず、Siに共有結合で結合したメチル基がオゾン水によって影響されていないことを示す。FTIRスペクトルはまた、オゾン水中への5分間の浸漬後に、それぞれ、C=Oおよび−OH伸縮遷移による強いピークが約1735cm〜1に現れ、そして広いピークが約3500cm〜1に現れることを示す。これは、オゾン化への5分間の浸漬の後で、炭素含有種が、おそらくカルボニル(C=O)またはカルボン酸(COOH)種または炭素含有副生成物に転化されたことを示す(対照Fおよび例11〜14を参照のこと)。より長い浸漬時間では、カルボニル(C=O)またはカルボン酸(COOH)種の大幅な増加がない。
表XI: O/HOを用いた処理後の例示的OSG膜の反射率計データ
【表11】

表XII:O/HOにおける浸漬後の例示的OSG膜のFTIRデータ
【表12】

【0066】
例4:SPMを用いた処理後の硬化した多孔質OSG膜の種々の特性への影響
2.5の誘電率を有する硬化した多孔質PDEMS(商標)2.5ATRPウェハーを、SPM(10:1モル比率の98%硫酸:30%H)中に120℃で表XIIIおよびXIVに示した種々の時間浸漬した。反射率計データ(表XIII)は、浸漬時間が増えるにつれて、SPMへの浸漬後に、632nmでの屈折率はわずかに低下し;240nmでの吸光係数は著しく低下し;そしてウェハーの厚さは、わずかに変化したことを示す。
【0067】
表XIVは、例示的なウェハーのそれぞれで得られたFTIRデータデータを示す。表XIV中のデータが具体的に示すように、30分までの間SPM中に浸漬した後で、Si−CH/SiOの比はわずかに低下し、Siに共有結合で結合したメチル基がSPMへの浸漬によりわずかに影響されたことを示す。FTIRスペクトルはまた、SPMへの1分間の浸漬後に、それぞれ、C=Oおよび−OH伸縮遷移による、強いピークが約1735cm〜1に現れそして広いピークが約3500cm〜1に現れたことを示す。これは、SPMへの1分間の浸漬の後で、炭素含有種が、おそらくカルボニル(C=O)またはカルボン酸(COOH)種または炭素含有副生成物に転化されたことを示す。カルボニル(C=O)伸縮の積分面積の連続した減少は、カルボニル(C=O)またはカルボン酸(COOH)種がより長い浸漬時間でSPMへのSPMにより除去されることを示す。
表XIII:SPMへの浸漬後の硬化した多孔質OSG膜の反射率計データ
【表13】

表XIV:SPMへの浸漬後の硬化した多孔質OSG膜のFTIRデータ
【表14】

【0068】
例5:オゾンおよび種々のクリーニング薬品を用いた処理後の未硬化の多孔質OSG膜の種々の特性への影響
未硬化のPDEMS(商標)2.5ATRPウェハーを、ウェハーがオゾンを含有するガス雰囲気に曝されるUVオゾン乾燥洗浄機(UVOC)中で処理した。反射率計データ(表XV)は、O曝露後に、厚さのわずかな減少を伴いながら632nmでの屈折率および240nmでの吸光係数は、著しく低下したことを示す。UV硬化の前にOに暴露されたウェハーを洗浄するために追加の湿式化学処理を使用した。湿式薬品は、中性から酸性の半水性溶媒および水混合物またはC=Oを含有する有機溶媒である。薬品の例は、組成物AからCであり、本明細書中の表IIに提供されている。
【0069】
FTIRデータ(表XVI)は、Oへの暴露後にSiに共有結合で結合したメチル基がOへの暴露によって影響されていないことを示すSi−CH/SiOの比が本質的に変化していないことを示す。他方では、C−H/SiOの比は、著しく低下し、Oへの曝露によりポロゲンが実質的に除去されたことを示す。FTIRスペクトルはまた、Oへの曝露の後で、それぞれ、C=Oおよび−OH伸縮遷移による、強いピークが約1735cm〜1に現れそして広いピークが約3500cm〜1に現れたことを示す。これは、Oへの曝露によって、炭素含有種が、おそらくカルボニル(C=O)またはカルボン酸(COOH)種または炭素含有副生成物に転化されたことを示す。湿式薬品クリーニングは、約1735cm〜1におけるカルボニルピークのいくつかを除去したが、しかしC=Oおよび−OH種を完全に除去するのに充分効果的でなかった。
表XV:O曝露および湿式化学的クリーニング後の未硬化のOSG膜の反射率計データ
【表15】

表XVI:O曝露および湿式化学的クリーニング後の未硬化のOSG膜のFTIRデータ
【表16】

【0070】
例6:オゾン水処理後の未硬化の多孔質OSG膜の種々の特性への影響
未硬化のPDEMS(商標)2.5ATRPウェハーを、約21.8℃で水中に30(ppm)オゾンを含むオゾン水(O/HO)に、表XVIIおよびXVIIIに示した種々の時間浸した。反射率計データ(表XVII)は、オゾン水への浸漬後に、浸漬時間が増えるにつれて240nmでの吸光係数が、著しく減少したことを示す。ウェハーの屈折率および厚さがわずかに変化した。
【0071】
FTIRデータ(表XVIII)は、60分までの間のオゾン水への浸漬後にSi−CH/SiOの比が本質的に変化せず、Siに共有結合で結合したメチル基がオゾン水によって影響されていないことを示す。他方では、C−H/SiOの比は、著しく低下し、オゾン水への浸漬により、ポロゲンが実質的に除去されたことを示す。FTIRスペクトルはまた、オゾン水への5分間の浸漬後に、それぞれ、C=Oおよび−OH伸縮遷移による、強いピークが約1735cm〜1に現れそして広いピークが約3500cm〜1に現れたことを示す。これは、オゾン水への5分間の浸漬後に、炭素含有種が、おそらくカルボニル(C=O)またはカルボン酸(COOH)種または炭素含有副生成物に転化されたことを示す。より長い浸漬時間において、カルボニル(C=O)またはカルボン酸(COOH)種の大幅な増加はなかった。
表XVII:オゾン水への浸漬後の未硬化のPDEMS2.5膜の反射率計データ
【表17】

表XVIII:オゾン水への浸漬後の未硬化のPDEMS2.5膜のFTIRデータ
【表18】

【0072】
例7:SPMへの曝露後の未硬化の多孔質OSG膜の種々の特性への影響
未硬化のPDEMS2.5ウェハーを、120℃でSPM(98%硫酸:30%H=10:1)に種々の時間浸漬した。反射率計データ(表XVIX)は、浸漬時間が増えるにつれて、SPMへの浸漬後に、632nmでの屈折率および240nmでの吸光係数著しく低下したことを示す。浸漬時間が増えるにつれて、ウェハーの厚さのわずかな減少がある。
【0073】
FTIRデータ(表XX)は、SPMへの10分間までの浸漬後に、Si−CH/SiOの比がわずかに低下し、Siに共有結合で結合したメチル基がSPMによってわずかに影響されたことを示す。C−H/SiO比率の大幅な変化は、SPMが未硬化のPDEMS膜からポロゲンを効果的に除去したことを示す。FTIRスペクトルはまた、SPMへの1分間の浸漬後に、それぞれ、C=Oおよび−OH伸縮遷移による、強いピークが約1735cm〜1に現れそして広いピークが約3500cm〜1に現れたことを示す。これは、SPMへの1分間の浸漬後に、炭素含有種が、おそらくカルボニル(C=O)またはカルボン酸(COOH)種または炭素含有副生成物に転化されたことを示す。より長い浸漬時間において、カルボニル(C=O)またはカルボン酸(COOH)種は、SPMによって除去される傾向にある。SPMへの浸漬後に、低いC−H/SiO比が硬化したPDEMS2.5ウェハーのその比に近づいていることが観察された(対照A−Gを参照のこと)。
表XVIX:SPMへの浸漬後の未硬化のPDEMS2.5膜の反射率計データ
【表19】

表XX:SPMへの浸漬後の未硬化のPDEMS2.5膜のFTIRデータ
【表20】

【0074】
机上例8:ヒドラジンでの処理後の硬化した多孔質OSG膜の種々の特性への影響
2.5の誘電率を有する硬化した多孔質PDEMS(商標)2.5ATRPウェハーを、70℃でヒドラジン溶液(水中35wt%ヒドラジン)に、1、5、10、および30分間浸漬した。反射率計データは、ヒドラジン溶液への浸漬後に、632nmでの屈折率が減少するであろうし;240nmでの吸光係数が低下するであろうし;そして浸漬時間が増加するにつれて、ウェハーの厚さがわずかに変化するであろうことを示す。
【0075】
FTIRデータは、スペクトルの炭化水素領域における大幅な低下がある、すなわち、C−H/SiO比が低下するであろうが、しかしCH−Siピーク面積が変化しないことを示すであろう。これは、還元的化学的処理が炭素含有種の除去に選択的であり、そして炭素種が末端のネットワークでは選択的でない個を示す。
【0076】
膜の誘電率は2.5から2.3に低下し、そして機械的特性は未処理のPDEMS2.5膜と同じままである。ヒドラジンで処理したサンプルの暴露により、誘電率は、2.2まで低下するであろうし、そして膜の弾性率は、5%増加するであろう。
【0077】
机上例9:シュウ酸を用いた処理後の硬化した多孔質OSG膜の種々の特性への影響。
2.5の誘電率を有する硬化した多孔質PDEMS(商標)2.5ATRPウェハーを、シュウ酸溶液に、1、5、10、および30分間浸漬した。反射率計データは、シュウ酸溶液への浸漬後に、632nmでの屈折率が減少するであろうし;240nmでの吸光係数が低下するであろうし;そして浸漬時間が増加するにつれて、ウェハーの厚さがわずかに変化するであろうことを示す。
【0078】
誘電率は、シュウ酸溶液への暴露後に変化しないが、しかし膜の機械的特性は5%低下した。UV光への1分間の暴露により、誘電率は、2.5から2.3に低下し、そして膜の弾性率は、10%増加した。
【0079】
例10:硬化したPDEMS2.5膜の偏光解析法データへの処理および暴露の影響
例10は、材料の孔サイズがUV−硬化した多孔質PDEMS膜からの非骨格炭素の改変および除去で変化することを具体的に示す。これらの結果は、未処理のPDEMS2.5膜と比較して、膜の増加した機械的特性および等しい誘電率を説明できる。
【0080】
吸着物としてトルエン溶媒を使用して、偏光解析法による多孔率測定(EP)を、フランスのSOPRA S.A.によって製造されたSOPRA EP−12偏光解析器で行った。EPは、減圧下での有機溶媒または水のいずれかの吸着および脱着の間の、光学特性および材料の厚さの変化を測定する。この分析は、誘電体材料の気孔率、マイクロ孔およびメソ細孔の細孔サイズ分布、累積表面積、孔の相互に接続性、ヤング率、厚さおよび屈折率を提供する。トルエンをチャンバーに入れ、そして膜の屈折率を測定した。トルエンの分圧を0.01から0.97まで変化させて、例示的な膜で吸着/脱着の等温線を得た。膜の屈折率の変化に基づいて、膜によるトルエン吸着の量を式(3)(式中、有nrlは孔中の液体を有する膜の屈折率であり、nreは、吸着物への暴露前の多孔質膜の屈折率であり、そしてnは、液体吸着物の屈折率である。)から計算できる。
【数2】

式(3)
【0081】
SOPRAによって開発されたWinElli IIソフトウェアを使用して、孔サイズおよび細孔サイズ分布を、ケルビンおよび/またはドゥビニン―ラドゥシュケビッチの式を用いて、吸着/脱着等温曲線から決定できる。
【0082】
表XXIは、膜から炭素含有種を除去していないPDEMS2.5およびオゾンを用いて処理した2つのPDEMS膜の孔サイズおよび細孔サイズ分布を提供する。例示的な膜は、例3および4および例1からの対照サンプルAである。表XXIは、孔直径が25%増加し、全マイクロ細孔容積が15%減少し、そしてメソ細孔容積が4%増加したことを示す。孔サイズおよび孔の分布におけるこれらの変化は、酸化性または還元性炭素改変技術を使用して、孔構造に大幅な変化があったことを示唆する。これらの膜の孔構造の変化は、多孔質誘電体膜の機械的および絶縁特性の両方に大幅な影響することができる。
表XXI:Oへの暴露後の硬化したPDEMS2.5膜のEPデータ
【表21】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合有機シリケート膜を用意する工程、
該複合有機シリケート膜は、少なくとも1種のケイ素含有前駆体および少なくとも1
種のポロゲン含有前駆体を含む組成物から堆積され、そして該複合有機シリケート膜
は、炭素含有種を含む;
該複合有機シリケート膜を、紫外線を含むエネルギー源に曝す工程;および
膜に含まれる炭素含有種の少なくとも一部分を除去し、そして多孔質有機シリケート膜を提供するために、酸化剤、フッ素化試薬、メチル化試薬、還元剤、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1種を含む薬品を用いて、該複合有機シリケート膜を処理する工程、
を含んで成る、多孔質有機シリケート膜の生成方法。
【請求項2】
該多孔質有機シリケート膜を、該エネルギー源に曝すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該エネルギー源が、熱源、α−粒子、β−粒子、γ−線、X線、高エネルギー電子、電子ビーム、可視光、赤外光、マイクロ波、ラジオ周波数波長、およびそれらの組み合わせから選択された少なくとも1種をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該薬品が、酸化剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
該酸化剤が、酸素、オゾン、オゾン水、SPM、酸素原子、OまたはOのラジカル、OまたはOの帯電種、およびそれらの組み合わせから選択された少なくとも1種を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
該酸化剤が、オゾンを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
該酸化剤が、オゾン水を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
該酸化剤が、SPMを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
該薬品が、還元剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
該還元剤が、ヒドラジン、ヒドラジンの塩、水素化物、カルボン酸、炭化水素、水素、スズ化合物、第一鉄化合物、一酸化炭素、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1種である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
該少なくとも1種のケイ素含有前駆体が、ジエトキシメチルシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、トリエトキシシラン、トリメチルフェノキシシラン、フェノキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1、1、2、2−テトラメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、テトラアセトキシシラン、ジメチルシラシクロブタン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1、3、5、7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、メチレン架橋アルコキシシラン、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
該少なくとも1種のポロゲン前駆体が、α−テルピネン、リモネン、シクロヘキサン、シクロオクタン、ビシクロヘキサジエン、γ−テルピネン、カンフェン、ジメチルヘキサジエン、エチルベンゼン、ノルボルナジエン、シクロペンテンオキシド、1、2、4−トリメチルシクロヘキサン、1、5−ジメチル−1、5−シクロオクタジエン、カンフェン、アダマンタン、1、3−ブタジエン、置換ジエン、デカヒドロナフタレン、トルエン、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
該少なくとも1種のポロゲン前駆体が、1〜13の炭素原子を有するガス状の炭化水素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
該処理する工程が、該曝す工程の少なくとも一部の間に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
該曝す工程が、該処理する工程の前に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
該処理する工程が、該曝す工程の前に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
蒸着によって、少なくとも1種のケイ素含有前駆体および少なくとも1種のポロゲン含有前駆体を含む組成物から複合有機シリケート膜を形成させる工程、
該複合有機シリケート膜は、炭素含有種を含む、
該膜に含まれる該炭素含有種の少なくとも一部分を除去するために薬品で、該複合有機シリケート膜を処理する工程;および
膜に含まれる炭素含有種の少なくとも一部分を除去し、そして該多孔質有機シリケート膜を提供するために、紫外線および任意選択的に熱エネルギーを含むエネルギー源に、該複合有機シリケート膜を曝す工程、
を含んで成る、多孔質有機シリケート膜を形成するための方法。
【請求項18】
該処理する工程中の該薬品が、酸化剤を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
該酸化剤が、酸素、オゾン、オゾン水、SPM、酸素原子、OまたはOのラジカル、OまたはOの帯電種およびそれらの組み合わせから選択された少なくとも1種を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
該処理する工程が、該曝す工程の少なくとも一部の間に行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
該曝す工程が、該処理する工程の前に行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
該処理する工程が、該曝す工程の前に行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
複合有機シリケート膜を用意する工程、
該複合有機シリケート膜は、炭素含有種、第1の誘電率、および第1の硬度を含む、
膜中の炭素含有種の少なくとも一部分を除去するために、該複合有機シリケート膜を酸化剤を含む薬品で処理する工程、および、
膜中の炭素含有種の少なくとも一部分を除去し、そして第2の誘電率および第2の硬度を含む該多孔質有機シリケート膜を提供するために、紫外線を含むエネルギー源に該複合有機シリケート膜を曝す工程、
該第2の誘電率は、実質的に、該第1の誘電率以下の誘電率を有し、そして該第2の
硬度は、該第1の硬度より大きい、
を含んで成る、多孔質有機シリケート膜を形成するための方法。
【請求項24】
該第1の誘電率、該第2の誘電率、または該第1の誘電率および第2の誘電率の両方が、2.7以下である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
1.2〜2.5の範囲の誘電率、および偏光解析器により240nmで測定して0〜0.03の該膜の吸光係数を含む、多孔質有機シリケート膜。
【請求項26】
孔の平均サイズが、約100ナノメートル以下である孔を含む、請求項25に記載の多孔質有機シリケート膜。
【請求項27】
0〜0.025の範囲の240nm測定された該膜の吸光係数を含む、請求項25に記載の多孔質有機シリケート膜。

【公開番号】特開2013−62530(P2013−62530A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−257513(P2012−257513)
【出願日】平成24年11月26日(2012.11.26)
【分割の表示】特願2009−280416(P2009−280416)の分割
【原出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】