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有機チタン化物及び/又は有機ジルコン化物を含有する水性分散液の形態である防錆塗料組成物
説明

有機チタン化物及び/又は有機ジルコン化物を含有する水性分散液の形態である防錆塗料組成物

【課題】金属部品用の防錆塗料組成物、塗料組成物から得られる金属部品の防錆被覆、及びこの防錆被覆を備えた金属基板を提供する。
【解決手段】水相又は油相と相溶性を有する有機チタン化物又は有機ジルコン化物、任意にシラン基材のバインダー、及び水を含有する水性分散液中の微粒子状金属を基材とする金属部品用の防錆塗料組成物。さらに、水性分散液に含まれ、金属基板用の塗料組成物の調製に使用されるC〜Cテトラアルキルチタネートの水性組成物と、そのような組成物の調製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は金属部品用の防錆塗料組成物に関し、該防錆塗料組成物は、水相又は油相と相溶性を有する有機チタン化物又は有機ジルコン化物と、任意にシラン基材のバインダーと、水とを含有する水性分散液中にある微粒子状金属を基材とする。
【0002】
この発明で用いる、「有機相と相溶性を有するチタン化物」及び「有機相と相溶性を有するジルコン化物」という表現は、当該有機チタン化物と有機ジルコン化物とが水とは完全に相溶性を有しないという意味である。換言すれば、水性の組成物には溶解しないということであり、さらに、湿気及び水に反応(加水分解反応)しやすいということである。
【0003】
この発明で用いる、「水相と相溶性を有するチタン化物」及び「水相と相溶性を有するジルコン化物」という表現は、当該有機チタン化物と有機ジルコン化物とが水と完全に相溶性を有するという意味であり、即ち、水性組成物に溶解、乳化、又は分散させることができる、ということである。これらは、通常、キレート化によって安定化されている有機チタン化物と有機ジルコン化物である。これらは、また、「キレート化(有機)チタン化物」及び「キレート化(有機)ジルコン化物」とも称される。
【背景技術】
【0004】
有機相と相溶性のある有機チタン化物も有機ジルコン化物も、無水の組成物において、触媒、網状化剤、表面処理剤、定着剤、又は防錆剤として使用することができる。しかしながら、これらの有機チタン化物も有機ジルコン化物も、水と湿気とに非常に敏感であって、非常に早く加水分解されてしまうという欠点を有している。例えば、チタン化テトラ-n-ブチルの加水分解の場合、次の反応が起こる。
1) この有機チタン化物の水和酸化チタンTi(OH)への転化:
Ti(OCH) + 4HO → Ti(OH) + 4CHOH
2) 次いで、二酸化チタンTiOの形成:
Ti(OH) → TiO + 2HO
したがって、二酸化チタンの形成を避けるためには、有機相と相溶性のあるチタン化物とジルコン化物とは、高度に無水の状況下で使用されなければならない。その結果、空気、湿気、又は微量の水分と接触することによって有機チタン化物が二酸化チタンへと加水分解されることを避けたいのであれば、有機相と相溶性のあるチタン化物又はジルコン化物を含有する無水組成物の調製は、非常に規制の多い慎重な取り扱いが要求される。
【0005】
有機相と相溶性を有するチタン化物又はジルコン化物の防湿性は、2つのアルコキシル基をキレート化剤によって置換することによって向上させることができる。このようなキレート化剤は、有機チタン化物又は有機ジルコン化物を安定化させることのできる酸素原子又は窒素原子を有する官能基を含有する。キレート化された状態にある、これらの有機チタン化物又は有機ジルコン化物は、好ましくは酢酸型の弱酸の存在下で、また、水に溶かすことができる。例えば、米国特許第4,495,156号は、水溶性のキレート状態にあるチタン化物(有機相に相溶性を有するチタン化物であるTYZOR AA、水相に相溶性を有するチタン化物であるTYZOR LA 及びTYZOR TE)を記載しており、これによると、そのようなチタン化物を有する組成物の基板への定着性が向上する。
【0006】
有機チタン化物と有機ジルコン化物の加水分解速度は、アルキル基の大きさと複雑さとに依存している(アルキル基が大きくなるにつれ、加水分解速度が小さくなる。)。このことが、キレート化された状態の有機チタン化物と有機ジルコン化物が、テトラアルキルチタネートやテトラアルキルジルコネートよりも加水分解しにくいことの理由である。
【0007】
米国特許第4,224,213号は、式Si(OR)の短鎖アルキルシリケート、短鎖アルキルチタネート若しくはジルコネート、及び亜鉛粉末を含有する塗料組成物を記載している。この塗料組成物は、前記シリケート及びチタネートと空気中の湿気との反応によって網状化される。この特許の例は、シリケートを添加することによって有機チタン化物の防水性が向上することを教示している。この塗料組成物は、水分を全く含有していない有機組成物である。シランとは異なり、シリケートは、それを含有する組成物を基板に付着させない。
【0008】
ヨーロッパ特許第0 808 883号は、基板に塗布するための、クロムを含有しない微粒子状金属を基材とする水性被覆組成物を記載している。この組成物は、基板に塗布されると、熱を与えられることによって硬化し、基板を腐食から保護する。この被覆基板の耐食性を向上させるために、任意ではあるが、例えばシリカ材料を含む追加層で被覆基板を被覆することもできる。
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,495,156号
【特許文献2】米国特許第4,224,213号
【特許文献3】ヨーロッパ特許第0 808 883号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、本願の発明者らは、キレート化された状態であるかないか、水相に相溶性があるかないかに関わらず、有機チタン化物及び/又は有機ジルコン化物を水性の組成物に混合させることに成功した。また、彼らは、有機チタン化物及び/又は有機ジルコン化物を含有する微粒子状金属を基材とする水性被覆組成物を金属製の基板に塗布することによって、該基板の耐食性を向上させることができることを発見した。得られた耐食性は十分であり、このような組成物で被覆された基板は、耐食性被覆の追加層を必要としない。さらに、その柔軟性と耐衝撃性とは非常によい品質であり、スクリューの耐食被覆として使用する場合に、特に都合がよい。
【0011】
この発明は、以下の割合(質量パーセント)で成分を含有する水性分散液の微粒子状金属を基材とする、金属部品用の防錆塗料組成物に関する。
−有機チタン化物及び/又は有機ジルコン化物:0.3〜24%
−微粒子状金属、又は複数種の微粒子状金属の混合物:10〜40%
−シラン基材のバインダー:1〜25%
−水:全量を100%にする量
ここにおいて、有機チタン化物及び/又は有機ジルコン化物とシラン基材のバインダーとの合計が5〜25%である。
【0012】
この組成物が、組成物の全重量に対してチタン化物及び/又は有機ジルコン化物とシラン基材のバインダーとの合計量が7〜20重量%という条件で、組成物の全重量に対して0.5〜19重量%の有機チタン化物及び/又は有機ジルコン化物を含有しており、また、組成物の全重量に対して1〜20重量%のシラン基材のバインダーを含有していると、都合がよい。
【0013】
前記有機チタン化物は、有機相に相溶性のある有機チタン化物と水相に相溶性のある有機チタン化物とからなる群より選択することができる。
【0014】
有機相に相溶性のあるチタン化物は、次式(I’)で示すことのできるC〜Cテトラアルキルチタネートであると好ましい。
【0015】
【化1】

【0016】
ここにおいて、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、任意に置換されたC〜Cアルキルラジカルを示す。C〜Cテトラアルキルチタネートは、テトラエチルチタネート(TET, Ti(OCH))、テトラ-n-ブチルチタネート(TnBT、Ti(OCH))、及びオクチレングリコールチタネート(OGT、Ti(OCH17))よりなる群から選択されると好適である。
【0017】
有機相と相溶性を有する有機チタン化物も、水と相溶性を有しない、キレート化された状態にある有機チタン化物であってもよい。水と相溶性を有しないキレート化された状態にある(有機相と相溶性を有する)有機チタン化物の例としては、TYZOR(R) AA(アセチルアセトン化チタン)、又はTYZOR(R) DC(チタン化ジイソプロポキシ ビスエチルアセトアセテート)という商品名でデュポン・ドゥ・ヌムール(Dupont de Nemours)から市販されているものを特に挙げることができる。
【0018】
水相と相溶性を有するチタン化物としては、以下の一般式(II’)で示すことのできるキレート化されたチタン化物を好適に使用することができる。
【0019】
【化2】

【0020】
ここにおいて、RとR’とは、独立に、任意に置換されたC〜Cアルキルラジカルを意味し、XとX’とは、独立に、酸素又は窒素を有する官能基を示し、YとY’とは、独立に、炭素数1〜4の炭化水素鎖を意味する。XとX’とがアミノラジカルかラクテートラジカルであると好適である。
【0021】
水相と相溶性のある、キレート化された状態にある有機チタン化物は、チタン化トリエタノールアミン(デュポン・ドゥ・ヌムールによって販売されているTYZOR(R) TE、及びTYZOR(R) TEP)よりなる群から選択されると好適である。水相と相溶性を有する、キレート化された状態にある有機チタン化物の例としては、同様に、TYZOR(R) TA(キレート化合物であるチタン化アルカノールアミン)、及びTYZOR(R) LA(チタン化物と乳酸とのキレート化合物)という商品名でデュポン・ドゥ・ヌムール(Dupont de Nemours)から市販されているものを特に挙げることができる。
【0022】
有機ジルコン化物は、有機相と相溶性のあるジルコン化物、及び水相と相溶性のあるジルコン化物よりなる群から選択することができる。有機相と相溶性を有するジルコン化物は、以下の式(I)で示すことのできるC〜C10テトラアルキルジルコネートであると好適である。
【0023】
【化3】

【0024】
ここにおいて、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、任意に置換されたC〜C10アルキルラジカルを示す。C〜C10テトラアルキルジルコネートは、テトラ-n-プロピルジルコネート、及びテトラ-n-ブチルジルコネートよりなる群から選択されると好適である。
【0025】
有機相と相溶性を有する有機ジルコン化物も、水と相溶性を有しない、キレート化された状態にある有機ジルコン化物であってもよい。水と相溶性を有しないキレート化された状態にある(有機相と相溶性を有する)有機ジルコン化物の例としては、TYZOR(R) ZEC(キレート化されたジルコン化ジエチルシトレート)という商品名でデュポン・ドゥ・ヌムールから市販されているものを特に挙げることができる。
【0026】
水相と相溶性を有する有機ジルコン化物としては、以下の一般式(II)で示すことのできるキレート化されたジルコン化物を好適に使用することができる。
【0027】
【化4】

【0028】
ここにおいて、RとR’とは、独立に、任意に置換されたC〜C10アルキルラジカルを意味し、XとX’とは、独立に、酸素又は窒素を有する官能基を示し、YとY’とは、独立に、炭素数1〜4の炭化水素鎖を意味する。XとX’とがアミノラジカルであると好適である。
【0029】
キレート化された状態にある有機ジルコン化物は、ジルコン化トリエタノールアミン(デュポン・ドゥ・ヌムールによって販売されているTYZOR(R) TEAZ)であると好適である。水相と相溶性を有する、キレート化された状態にある有機ジルコン化物の例としては、同様に、TYZOR(R) LAZ(ジルコン化物と乳酸とのキレート化合物)という商品名でデュポン・ドゥ・ヌムールから市販されているものを特に挙げることができる。
【0030】
被覆組成物の微粒子状金属は、アルミニウム、マンガン、ニッケル、チタン、ステンレス鋼、亜鉛、これらの合金、及びこれらの混合物等の金属粉顔料よりなる群から選択することができる。微粒子状金属が、亜鉛及びアルミニウムと共にそれらの合金及び混合物、又はマンガン、マグネシウム、錫、若しくはガルファン(Galfan)とそれらの金属との合金から選択されるのが好ましい。組成物中に存在する微粒子状金属は、粉末状であり、様々な均質又は不均質な幾何学的構造、特に球形、板状形、レンズ形、又は他の特定の形状であると好適である。微粒子状金属の粒度は、好ましくは100μm未満、より好ましくは40μm未満である。微粒子状金属が、亜鉛とアルミニウムとの合金又は混合物である場合は、アルミニウムは任意に非常に少量、例えば、微粒子状金属の1〜5重量%存在させればよく、このような少ない量にも関わらず、光沢のある外観を有する被覆を提供することができる。通例、アルミニウムは微粒子状金属の少なくとも10重量%を占めており、したがって、アルミニウムと亜鉛との重量比は1:9のオーダーになる。その一方で、経済的な理由から、アルミニウムは、亜鉛とアルミニウムとの合計の約50重量%を超える量は占めず、したがって、アルミニウムと亜鉛との重量比は1:1に達し得る。被覆組成物中の微粒子状金属の含有量は、最良の被覆外観を維持するために組成物の全重量の約40重量%を越えることはなく、光沢のある被覆外観を得るために、通常、少なくとも10重量%である。
【0031】
特に、金属が板形に形成される場合、金属は、例えばジプロピレングリコール及び/又はホワイトスピリットなどの、一種以上の溶媒を少量含有していてもよい。溶媒を含有する微粒子状金属は、通常、ペーストの形状で使用され、ペースト状の微粒子状金属は、直接、組成物の他の成分と共に使用することができる。しかしながら、微粒子状金属は、被覆組成物において乾燥形態でも使用することができる。
【0032】
前記シラン基材のバインダーは、C〜C、好ましくはC〜Cアルコキシルラジカルから選択される、ヒドロキシル機能を有する少なくとも1つの加水分解可能な官能基を有するシランを含有していると好ましい。このシランは、ヒドロキシル機能を有する3つの加水分解可能な官能基、好ましくは3つの全く同じ官能基を有していると好適である。このシランは、さらに、エポキシ(オキシラン)官能基を有していてもよく、このエポキシ官能基は網状化と基板への接着性に寄与する。「ヒドロキシル機能を有する加水分解可能な官能基」は、水と反応して水酸基-OHに転換されることのできる、あらゆる化学官能基を意味する。
【0033】
この発明の組成物において、前記シランは結合剤の役割を果たす。このようなシランを使用すると、有害な自己反応に対して塗料浴を安定化させることができる。このシランは、微粒子状金属を結合させて不動態化し、その結果として塗料組成物の浴の安定性が向上するようである。さらに、被覆の定着性と耐腐食性とを向上させることができる。前記シランを、組成物の全重量の3〜20重量%含有させると好適である。
【0034】
シランは水性媒体に容易に分散するものであると望ましく、このような媒体に溶解させることができると好ましい。使用されるシランは、エポキシ官能基を有するジメトキシシラン若しくはトリメトキシシラン、又はそれらの混合物、特に、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル−トリメトキシシラン、4-(トリメトキシシリル)ブタン-1,2-エポキシド、又はγ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランのような化合物から選択されるシランであると望ましい。
【0035】
使用される有機チタン化物及び/又は有機ジルコン化物が水と相溶性のある有機チタン化物及び/又は有機ジルコン化物である場合は、最終的な組成物において、水と相溶性のある有機チタン化物及び/又は有機ジルコン化物:シランの重量比率が95:5〜5:95になるような量でシランが導入されると望ましい。
【0036】
防錆塗料組成物は、特にシランと微粒子状金属とを含有する有機相を、特に水とシランとを含有する水相と混合することによって調製することができる。水相と相溶性のある有機チタン化物及び/又は有機ジルコン化物は、有機相、水相のいずれにも導入することができる。
【0037】
水相と相溶性のある有機チタン化物及び/又は有機ジルコン化物が有機相に導入される場合は、通常有機相に存在するシランを、この有機チタン化物及び/又は有機ジルコン化物で置換することができる。有機チタン化物及び/又は有機ジルコン化物とシランとの乾燥重量比率は、1:19〜2:1、より望ましくは1:16〜1:8である。
【0038】
水と相溶性のある有機チタン化物及び/又は有機ジルコン化物が水相に導入される場合は、通常、水相に存在するシランと、最初に共加水分解しておくのが望ましい。共加水分解中の有機チタン化物及び/又は有機ジルコン化物とシランとの乾燥重量比率は、望ましくは、0.12〜0.36である。共加水分解の最適な条件は、乾燥重量で、1シランに対する有機チタン化物及び/又は有機ジルコン化物の重量比率を0.24とすることによって得られる。
【0039】
有機チタン化物及び/又は有機ジルコン化物とシランとを共加水分解するためには、適当な比率で有機チタン化物及び/又は有機ジルコン化物をシラン中に導入し、次いで、200〜500%の水を添加することによってこれらを共加水分解する。共加水分解反応の継続時間、即ち、水の添加に続く待ち時間の長短、例えば、30分か90分かは、得られる共加水分解物の性質には全く影響を与えないようである。シランと水と相溶性のある有機チタン化物及び/又は有機ジルコン化物とを共加水分解する代わりに、これらを別々に加水分解すると、製品の安定性という点で十分に満足の行く結果が得られない。
【0040】
水と相溶性を有する有機チタン化物及び/又は有機ジルコン化物を防錆組成物の水相に添加することにより、このチタン化物及び/又はジルコン化物が有機相に添加されていた場合よりも、この防錆組成物の性質を向上させることができる。
【0041】
使用される有機チタン化物及び/又は有機ジルコン化物が油相と相溶性を有するチタン化物及び/又はジルコン化物、望ましくはC〜Cテトラアルキルチタネート及び/又はジルコネートである場合は、最終的な組成物における、油相と相溶性を有するチタン化物及び/又はジルコン化物とシランとの重量比が、60/40〜5/95、好ましくは50/50〜10/90となるようにシランが導入されるのが望ましい。
【0042】
被覆組成物の液体媒体は、殆ど常に、水、又は水と有機溶剤との組み合わせである。他の溶媒も任意に使用することができるが、望ましくは、非常に少量のみである。通常、当該組成物は、組成物の全重量に対して28〜65重量%の水を含有する。
【0043】
この発明の好適な態様によると、被覆組成物は、さらに、組成物の全重量に対して1〜30重量%の有機溶媒、又は同重量%の有機溶媒の混合物を含有する。前記有機溶媒は、グリコールエーテル、特にジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びジプロピレングリコール等のグリコール溶媒、アセテート、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ニトロプロパン、アルコール、ケトン、プロピレングリコールメチルエーテル、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールイソブチレート(テクサノール)、ホワイトスピリット、並びにこれらの混合物よりなる群から選択されると好適である。
【0044】
ジプロピレングリコールは、経済性及び環境の保護という理由から、特に望ましい。溶媒の量は、組成物の全重量に関して25重量%よりも少ないのが望ましく、16重量%よりも少ないのがさらに望ましい。金属粒子が溶媒中で板状に調製された場合は、結果として得られる微粒子状金属はペースト状になる。これは、この発明による組成物の有機溶媒の一部を形成する場合がある。
【0045】
この発明の好適な態様によると、塗料組成物は、組成物の全重量に対して0.1〜7重量%の酸化モリブデンをさらに含有する。防錆塗料組成物中に酸化モリブデンMoOが存在すると、懸濁している微粒子状金属による自己犠牲的な保護の制御が向上する。酸化モリブデンMoOは、モリブデンの量が約60質量%よりも多い、実質的に純粋な斜方晶形で使用されるのが好ましい。防錆組成物中で使用される酸化モリブデン MoOは、その大きさが5〜200μmである粒子の形態であると好適である。
【0046】
この発明の好適な態様によると、塗料組成物は、酸化物又は塩の形態のイットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、プラセオジウムよりなる群から選択される、本願組成物の防錆性の強化剤を、0.5〜10重量%の割合で、さらに含有する。本願組成物の防錆性の強化剤は、酸化イットリウムYO、又は塩化セリウムであると好ましい。本願組成物の防錆性の強化剤は、0.25<(防錆性の強化剤):MoO<20、好適には 0.5<(防錆性の強化剤):MoO<16、より好適には 0.5<(防錆性の強化剤):MoO<14の重量比で、前記酸化モリブデンと組み合わせて使用されるのが望ましい。
【0047】
好適な一態様によると、塗料組成物は、アルミニウムのトリホスフェート若しくはポリホスフェート、燐酸塩、モリブデン酸塩、珪酸塩、並びに亜鉛、ストロンチウム、カルシウム、及びバリウムの硼化物、そしてこれらの混合物等の一種又はそれ以上の腐蝕抑制顔料を、被覆組成物の全重量に対して0.2〜4重量%のオーダーでさらに含有する。
【0048】
この発明による被覆組成物は増粘剤をさらに含有することもできる。増粘剤は、好適には、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセトブチレート等のセルロースの誘導体、キサンタンガム、ポリウレタン又はアクリルタイプの結合性増粘剤、マグネシウム及び/又はリチウムの任意に処理された珪酸塩等の珪酸塩、又は親有機性粘土、そしてそれらの混合物よりなる群から選択される。増粘剤の量は、組成物の全重量に対して7重量%未満であるのが望ましく、好適には組成物の全重量に対して0.005〜7重量%である。
【0049】
この発明による被覆組成物は、また、組成物の全重量に対して、好適には4重量%未満、より好適には0.1重量%〜4重量%で、湿潤剤を含有することもできる。
【0050】
この発明による組成物は、硼酸、メタ硼酸、テトラ硼酸及び酸化硼素、又は硼素塩などのようなpH安定化剤を含有することもできる。pH安定化剤の量は、組成物の全重量に対して、0.1〜10重量%、好適には0.2〜5重量%、より好適には0.4〜0.8重量%である。
【0051】
この発明の組成物は、アルカリ金属、好適にはリチウム及びナトリウムの酸化物及び水酸化物、ストロンチウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、及び亜鉛の化合物等の、周期表のIIA族及びIIB族に属する金属の酸化物及び水酸化物から、一般に選択されるpH調節剤を含有することもできる。pH調節剤は、前記金属の炭酸塩又は硝酸塩であってもよい。
【0052】
この発明による組成物は、組成物の全重量に対して2重量%未満の量で、燐酸塩、フェロホスフェート(顔料)等の燐を有する置換基、非有機塩を含有することもできる。
【0053】
この発明による組成物は、VI価のクロムを含んでいないと好適である。しかしながら、本願組成物は、例えば、金属のクロム又は酸化状態にあるIII価のクロム等の、可溶又は不溶形態のクロムを含有することはできる。
【0054】
この発明の組成物は貯蔵安定性に優れ、この事実は、微粒子状金属と組成物の他の成分との有害な反応を防ぐシランの役割を確認している。シランは、また、有機チタン化物も安定化させる。
【0055】
本発明は、この発明による塗料組成物を、好適には、スプレー法、浸漬排水法、又は浸漬遠心分離法によって、基板に塗布し、次いで、対流や赤外等による熱エネルギーを供給して約10分〜60分間、或いは、誘導によって約30秒〜5分間、好ましくは180℃〜350℃の温度で塗料層を焼き付けることによって得られる被覆にも関する。
【0056】
好適な一態様によると、防錆被覆は、焼き付け操作の前に、対流、赤外、又は誘導等による熱エネルギーを与えることによって、30〜250℃の温度で、好適には約70℃の温度で、被覆された金属部品を乾燥することを含む塗布操作を行うことによって得られる。乾燥時間は、対流又は赤外の場合は作動状態で10分〜30分、誘導の場合で約30秒〜5分である。多くの場合、特に、清浄と注意深い脱脂によって、被覆の前に基板の表面から異物を除去しておくのが賢明である。このような条件下で、このようにして塗布された乾燥被覆膜の厚さは、3μm(11 g/m)〜30μm(110 g/m)、好ましくは4μm(15 g/m)〜12μm(45 g/m)、より好ましくは5μm(18 g/m)〜10μm(40 g/m)である。
【0057】
この発明は、前記組成物を塗布された本発明の防錆被覆を備えた、金属製の基板、好ましくは、鋼鉄、又は亜鉛で被覆された鋼鉄、若しくは亜鉛の基材層に機械的堆積を含む様々な塗布方法によって鋼鉄を堆積させたもの、鋳鉄及びアルミニウムにも及ぶ。
【0058】
金属製の基板は、例えば、クロム酸塩又は燐酸塩による処理などによって、予め処理しておくこともできる。このように、基板を前処理して、例えば、0.1〜1g/mの量で鉄の燐酸塩被覆、又は1.5〜4g/mの量で亜鉛の燐酸塩被覆を有するようにすることもできる。
【0059】
この発明は、また、水に可溶な有機溶媒、ヒドロキシル機能を有する少なくとも1つの加水分解可能な官能基を有するシランを含有しているバインダー、C〜Cテトラアルキルチタネート及び/又はC〜Cテトラアルキルジルコネート、並びに水から調製される水性分散液である、金属製基板用の塗料組成物を調製するための、C〜Cテトラアルキルチタネート及び/又はC〜Cテトラアルキルジルコネートの水性組成物に関する。水性分散液を調製するための前記成分の比率(質量%)は次の通りである。
−水に可溶な有機溶媒:0〜20%
−シラン基材のバインダー:20〜50%
−C〜Cテトラアルキルチタネート及び/又はジルコネート:5〜25%
−水:40〜70%。
【0060】
この発明においては、C〜Cテトラアルキルチタネート及び/又はジルコネートの存在下にシランが見出される場合は、濃縮前の加水分解された形態におけるシランは前記水和酸化チタン及び/又はジルコン化物と反応することによって、珪素原子、チタン原子、及び/又はジルコン化物の原子を含む部分的に安定な重合鎖を与えるようである。そして、シランは、C〜Cテトラアルキルチタネート及び/又はジルコネートを安定化させることができるようである。その化学反応は次のように書くことができる。
(1) シランの加水分解:
R-Si(OR')+3HO ←→ R-Si(OH)+3R'OH
(2) 有機チタン化物又は有機ジルコン化物の水和酸化チタン又は水和酸化ジルコニウムへの転換
X-(OR”)+4HO ←→ X(OH)+4R”OH
(3) 水和酸化チタン又は水和酸化ジルコニウムと加水分解シランとの反応
2R-Si(OH)+X(OH) ←→ X(OH)・[R-SiO(OH)]。
【0061】
このように、シランと有機チタン化物又は有機ジルコン化物とは会合して以下の部分重合鎖 X(OH)・[R-SiO(OH)]を形成する。
【0062】
この反応は継続して以下の式(III)の重合鎖を形成するに至る。
【0063】
【化5】

【0064】
ここにおいて、XはTi又はZrを示す。
【0065】
水に可溶な有機溶媒は、グリコールエーテル、特にジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びジプロピレングリコールなどのグリコール溶媒、アセテート、プロピレングリコール、アルコール、ケトン、プロピレングリコールエーテル、並びにこれらの混合物よりなる群から選択されると好適である。
【0066】
バインダーに含有されている、ヒドロキシル機能を有する少なくとも1つの加水分解可能な官能基を有するシランは、C〜Cアルコキシラジカルから選択されるのがよく、C〜Cアルコキシラジカルであるとより好適である。さらに、このシランはエポキシ官能基を有しているのが好ましい。このシランは、エポキシ官能基を有するジメトキシシラン又はトリメトキシシラン、及びエポキシ官能基を有するジエトキシシラン又はトリエトキシシラン、並びにそれらの混合物から選択されるのが好ましく、特に、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、又はβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランであるのが望ましい。
【0067】
〜Cテトラアルキルチタネートは、テトラエチルチタネート(TET)、テトラ-n-ブチルチタネート(TnBT)、及びオクチレングリコールチタネート(OGT)よりなる群から選択されるのが好ましく、C〜Cテトラアルキルジルコネートは、テトラ-n-プロピルジルコネート及びテトラ-n-ブチルジルコネートよりなる群から選択されるのが好ましい。水性組成物においては、シランに対するC〜Cテトラアルキルチタネート及び/又はC〜Cテトラアルキルジルコネートの質量比は、最大60/40から、好適には最大50/50まで、より好適には最大40/60までである。
【0068】
〜Cテトラアルキルチタネート及び/又はC〜Cテトラアルキルジルコネートの水性組成物は、シラン基材のバインダー、前記チタン化物又はジルコン化物、及び必要であれば前記水に可溶な有機溶媒を、少量の水と混合し、次いで残量の水をゆっくりと継続的に添加することによって調製することができる。
【0069】
この安定化された形態において、C〜Cテトラアルキルチタネート及び/又はC〜Cテトラアルキルジルコネートは、酸化チタンの生成を抑えながら、例えば、水相中で金属基板用の塗料組成物、特に、水性分散液における微粒子状金属を基材とする防錆塗料組成物に導入することができる。
【0070】
最後に、この発明は、前記C〜Cテトラアルキルチタネート及び/又はC〜Cテトラアルキルジルコネートの水性組成物を被覆塗料又は接着材(ポリウレタン、アクリル、ゴム等)の前処理に使用することに関する。この組成物は、金属粒子を基材とするシーラとして後処理に使用することもできる。この組成物は、また、鋼鉄、亜鉛、アルミニウム、又は亜鉛基材の塗料で被覆された鋼鉄を基材とする基板の不動態化処理に使用することもできる。最後に、この組成物は、水相における塗料又は接着材(ポリウレタン、アクリル、ゴム等)の接着性を向上させるために、接着剤において使用することもできる。
【0071】
(実施例)
以下の実施例はこの発明を使用する方法を示すが、この発明をいかなる形態においても制限することはない。
【0072】
(試験板の製作)
他に表示されない限り、通常、試験板は冷間でラミネートされた低炭素含有量のステンレス鋼板である。これらの試験板の製作は、まず、洗浄溶液への浸漬から始めることができる。そして、試験板を洗浄パッドで拭き取り、次いで水ですすぎ、さらに洗浄溶液に浸漬することができる。洗浄溶液を除去した後に、試験板を水道水ですすいで乾燥する。
【0073】
(塗料の試験板への塗布、及び塗料の重量)
洗浄した板を塗料組成物に浸漬し、板を引き上げて過剰量の組成物を排出する。緩やかに撹拌しながらこの操作を何度か繰り返した後、直ちに焼き付けるか、又は塗料が手で触って乾いている程度まで周囲温度で乾燥するか、低めの温度で予備硬化させ、その後に焼き付ける、という通常の方法で被覆を行う。塗膜重量(mg/cm)は、被覆の前後で計量して、その差によって求める。
【0074】
(耐腐蝕性の試験(ISO 9227)と評価)
被覆された板の耐腐蝕性を、ISO 9227に規定の塗料及びワニス用の標準塩水噴霧(塩水霧)試験によって測定した。この試験において、試験板は一定温度に保たれたチャンバに置かれ、そこで所定時間5%の塩水の微細な噴霧(ミスト)に曝され、水ですすがれて乾燥される。試験に付された板の腐蝕の程度は赤錆のパーセンテージで表現することができる。
【実施例1】
【0075】
(油相と相溶性のある有機チタン化物を基材とする組成物)
【0076】
【表1】

【0077】
ホワイトスピリット中で約92%を占めるペースト状の亜鉛
エカルト・ヴェルケ(Eckart Werke)によって販売されているAlu Chromal III粉末
γ-グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(クランプトン(Crompton))
珪酸ナトリウム(ローディア(Rhodia))
R40のエトキシル化ノニルフェノール、販売会社:オキシテーノ・エス・アー(Oxiteno SA)(ブラジル)
R95のエトキシル化ノニルフェノール、販売会社:オキシテーノ・エス・アー(Oxiteno SA)(ブラジル)
ローディア(Rhodia)が販売するKelzan/Rhodopol 23
販売会社:デュポン・ドゥ・ヌムール(Dupont de Nemours)
販売会社:ラヴォレー(Lavollee)
10 販売会社:コグニス・エス・アー
【実施例2】
【0078】
(有機相と相溶性を有する有機チタン化物を基材とする組成物)
【0079】
【表2】

【0080】
【表3】

【実施例3】
【0081】
(有機相と相溶性のある有機チタン化物を基材とする組成物)
【0082】
【表4】

【0083】
【表5】

【実施例4】
【0084】
(有機相と相溶性を有する有機チタン化物である、テトラブチルチタネートの水性組成物を調製する方法)
以下の薬剤をこの順番に混合する。
【0085】
a) 30.00gのDPG(ジプロピレングリコール)
b) 50.00gのSilane A-187
c) 20.00gのTBT(テトラブチルチタネート)
得られた溶液を24時間放置する。TnBTの前にDPGへ導入されるシランは、DPG中に任意に存在する水と反応する。DPG中に任意に存在する水と有機チタン化物との制御されない反応は、このようにして避けることができる。
【0086】
以下の手続によって、100.00g(=100.00 ml)の水を添加する。
i) 0.125 mlの水を滴下し、溶液を10分間放置する。
ii) ステップi)を5回繰り返す。
iii) 残量の水を0.25 ml/分/3回で、又は20秒ごとに約0.083 mlずつ添加する。
【0087】
これによって無色の有機チタン化物の水性組成物が得られる。小さな結晶が現れることがあるが、これらはシリカの結晶であると推定される。
【0088】
有機チタン化物の水性組成物の調製に要する全時間は約7時間30分である。
【0089】
任意に防錆塗料組成物中に導入される前に、有機チタン化物の水性組成物を少なくとも24時間放置する。
【実施例5】
【0090】
(有機相と相溶性を有する有機チタン化物の水性組成物を調製する方法)
導入されるTnBTの量が30.00gである外は、実施例4と同様にプロセスを進める。無色の、場合によってはわずかに黄色がかった有機チタン化物の水性組成物が得られる。
【実施例6】
【0091】
(有機相と相溶性を有する有機チタン化物の水性組成物を調製する方法)
導入されるTnBTの量が40.00gである外は、実施例4と同様にプロセスを進める。無色の、場合によってはわずかに黄色がかった有機チタン化物の水性組成物が得られる。
【実施例7】
【0092】
(有機相と相溶性を有する有機チタン化物の水性組成物を調製する方法)
導入されるTnBTの量が40.00g、Silane A 187の量が70.00gである外は、実施例4と同様にプロセスを進める。無色の、場合によってはわずかに黄色がかった有機チタン化物の水性組成物が得られる。
【実施例8】
【0093】
(有機相と相溶性を有する有機チタン化物を基材とする、この発明による塗料組成物の防錆性)
実施例6で得られた有機チタン化物の水性組成物を、防錆塗料組成物に導入する。以下の表6は、このようにして得られた組成物の組成と、有機チタン化物を含有しない従来技術の防錆塗料組成物の組成とを示している。
【0094】
【表6】

【0095】
組成物Aの性質は次の表7に報告されている。
【0096】
【表7】

【0097】
これら2つの組成物の、塩水霧への耐性を比較する。測定された塩水霧への耐性値を以下の表8にまとめる。
【0098】
【表8】

【0099】
この発明による塗料組成物に関しては、塩水霧への耐性について、このように満足の行く結果が観察された。事実、被覆層の密度が24 g/mの場合は、持続時間が1000時間を超える塩水霧への耐性を達成することができ、一方、有機チタン化物を含有しない組成物の場合は、耐塩水霧の持続時間がわずか312時間である。有機チタン化物を添加することによって、このような条件下では、被覆の防錆性を少なくとも3倍にすることができる。
【実施例9】
【0100】
(有機相と相溶性を有する有機チタン化物を基材とする組成物)
少量(10, 20, 又は30 g/kg)の有機チタン化物を添加することによって、使用されるシランと酸化モリブデンの量を減らすことができ、これによって、良好な防錆結果を維持しながら経費を抑制することができる。
【0101】
以下の組成物の例(表9)においては、従来、防錆塗料組成物に使用されていた量に対して、シランの量を44重量%、酸化モリブデンの量を20重量%減らすことができる。
【0102】
【表9】

【0103】
測定された塩水霧への耐性の値を以下の表10にまとめる。
【0104】
【表10】

【実施例10】
【0105】
(水相と相溶性を有するキレート化された有機チタン化物又は有機ジルコン化物を水相に導入し、シランと共加水分解する方法)
a) チタン化物
i) 水相の調製
10重量部のTYZOR(R) TEP(デュポン・ドゥ・ヌムールにより供給、60%乾燥抽出物)と25重量部のSilane A-187とを、電磁撹拌しながら1時間混合する。次いで、113重量部の水を素早く加え、電磁撹拌を1時間行う。
【0106】
そして、350重量部の水、8.8重量部の珪酸ナトリウム、8.2重量部の硼酸、及び9重量部の酸化モリブデンを含有する水性組成物に、この混合物を導入する。
【0107】
ii) 有機相の組成
有機相は次の成分を含有する。
−ジプロピレングリコール 75重量部
−Remcopal N4 10012 14重量部
−Remcopal N9 100113 15.5重量部
−Silane A 187 70重量部
−亜鉛ペースト 235重量部
−Aluminium Stapa14 30重量部
−Schwego foam 832515 5.5重量部
−酸化イットリウム16 30重量部
−エアロジル 38017 0.4重量部
12 エトキシル化ノニルフェノール型の湿潤剤(CECA)
13 エトキシル化ノニルフェノール型の湿潤剤(CECA)
14 エカルト・ヴェルケ(Eckart Werke)によって市販されているジプロピレングリコールに溶解した80%Chromal VIII
15 炭化水素型の消泡剤(シュヴェクマン(Schwegman))
16 純度99.99%のYO
17 シリカ型の抗沈降剤(デグサ(Degussa))。
【0108】
iii)塩水霧試験の結果
−本発明による浴:本発明による防錆塗料組成物:ステップi)とii)とでそれぞれ得られた油相と水相とを混合した。
−参照浴:参照組成物
参照組成物の水相は以下の成分を含有する。
【0109】
水 463重量部
珪酸ナトリウム20 N 32 8.8重量部
硼酸 8.2重量部
酸化モリブデン 9重量部
Silane A 187 31重量部
参照組成物の有機相は、本発明による浴の有機相(ステップii))と同じ組成を有している。
【0110】
本発明による浴と参照浴とを48時間程度熟成した後に、塩水霧試験を行う。得られた結果を以下の表11に示す。
【0111】
【表11】

【0112】
aV+CM:スクリューに振動と落下との機械的ショックを与えた後の塩水霧試験の結果。
b2xG:スクリュー又はプレートをチッピング、即ち、衝撃のスパッタリング2回に付した後の塩水霧試験の結果。
c自己犠牲保護:金属への被覆に切り込みを入れた後、赤錆が発生することなく塩水霧に曝すことのできた時間数
d表示5:表面の1%未満に赤錆が発生する程度の結果
e表示4.8:表面の5%未満に赤錆が発生する程度の結果。
【0113】
表11から、シランと共加水分解された、水相と相溶性があり、キレート化された有機チタン化物を塗料組成物に入れることによって、これらの組成物によって処理された試料の、塩水霧に対する良好な挙動を増すことができることが、明確に理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の比率(質量%)で
−有機チタン化物及び/又は有機ジルコン化物:0.3〜24%
−微粒状金属又は複数種の微粒子状金属の混合物:10〜40%
−シラン基材のバインダー:1〜25%
−水:全量を100%にする量、
(但し、有機チタン化物及び/又は有機ジルコン化物とシラン基材のバインダーとの合計が5〜25%である。)を含有することを特徴とする、水性分散液中の微粒子状金属を基材とする金属部品の防錆塗料組成物。
【請求項2】
前記有機チタン化物が、有機相と相溶性を有する有機チタン化物及び水相と相溶性を有する有機チタン化物よりなる群から選択され、前記有機ジルコン化物が、有機相と相溶性を有する有機チタン化物及び水相と相溶性を有する有機チタン化物よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記有機相と相溶性を有する有機チタン化物が、C〜Cテトラアルキルチタネートであり、好適にはテトラエチルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート、及びオクチレングリコールチタネートよりなる群から選択され、前記有機相と相溶性を有する有機ジルコン化物が、C〜Cテトラアルキルジルコネートであり、好適にはテトラ-n-プロピルジルコネート及びテトラ-n-ブチルジルコネートよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記水相と相溶性を有する有機チタン化物がキレート化された有機チタン化物であり、好適には、トリエタノールアミンチタネートよりなる群から選択され、前記水相と相溶性を有する有機ジルコン化物がキレート化された有機ジルコン化物であり、好適には、トリエタノールアミンジルコネートよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記微粒子状金属が、亜鉛及びアルミニウム、並びにこれらの合金及び混合物、又はマンガン、マグネシウム、錫、若しくはガルファンと前記金属との合金から選択されることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記シラン基材のバインダーは、C〜Cアルコキシルラジカルから選択される、ヒドロキシル機能を有する少なくとも1つの加水分解可能な官能基を有するシランであることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記シランがエポキシ官能基をさらに有していることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記シランがエポキシ官能基を有するジメトキシシラン若しくはトリメトキシシラン、エポキシ官能基を有するジエトキシシラン若しくはトリエトキシシラン、又はそれらの混合物、特に、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、又はβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランから選択されることを特徴とする、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
前記組成物が、該組成物の全重量に対して1〜30重量%の有機溶媒、又は有機溶媒の混合物をさらに含有することを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記有機溶媒が、グリコールエーテル、特にジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びジプロピレングリコール等のグリコール溶媒、アセテート、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ニトロプロパン、アルコール、ケトン、プロピレングリコールメチルエーテル、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールイソブチレート(テクサノール)、ホワイトスピリット、並びにこれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、該組成物の全重量に対して0.1〜7重量%の酸化モリブデンをさらに含有することを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、酸化物又は塩の形態のイットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、プラセオジウムよりなる群から選択され、好適には酸化イットリウムYOである該組成物の防錆性の強化剤を、組成物の全重量に対して0.5〜10重量%の割合でさらに含有し、又は、組成物の全重量に対して0.2〜4重量%の、アルミニウムトリホスフェート等の腐蝕抑制顔料をさらに含有することを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、好適には組成物の全重量に対して0.005〜7重量%の増粘剤、及び/又は好適には組成物の全重量に対して0.1〜4重量%の湿潤剤をさらに含有することを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の塗料組成物を、スプレー法、浸漬排水法、又は浸漬遠心分離法によって基板に塗布し、次いで、対流、赤外、又は誘導等よる熱エネルギーを供給して、対流又は赤外の場合は約10分〜60分間、誘導の場合は約30秒〜5分間、好ましくは180℃〜350℃の温度で塗料層を焼き付けることによって得られることを特徴とする、金属部品の防錆被覆。
【請求項15】
焼き付け操作の前に、対流、赤外、又は誘導等による熱エネルギーを与えることによって、対流又は赤外の場合は作動状態で約10分〜30分間、誘導の場合は30秒〜5分間、30〜250℃の温度で、被覆された金属部品を塗布操作に付すことを特徴とする、請求項14に記載の金属部品の防錆被覆。
【請求項16】
前記防錆塗料組成物が、乾燥被覆膜の厚さが3μm(11 g/m)〜30μm(110 g/m)、好ましくは4μm(15 g/m)〜12μm(45 g/m)、より好ましくは5μm(18 g/m)〜10μm(40 g/m)となるように、保護される金属部品に塗布されることを特徴とする、請求項14又は15に記載の金属部品の防錆被覆。
【請求項17】
請求項14〜16のいずれか一項に記載の防錆被覆を備えた金属製の基板、好ましくは、鋼鉄、亜鉛で被覆された鋼鉄、若しくは亜鉛の基材層に機械的堆積を含む様々な塗布方法によって鋼鉄を堆積させたもの、鋳鉄、又はアルミニウムの基板。
【請求項18】
水に可溶な有機溶媒、ヒドロキシル機能を有する少なくとも1つの加水分解可能な官能基を有するシランを含有しているバインダー、有機相と相溶性を有するチタン化物又はジルコン化物、及び水から、以下の比率(質量%)
−水に可溶な有機溶媒:0〜20%
−シラン基材のバインダー:20〜50%
−C〜Cテトラアルキルチタネート及び/又はジルコネート:5〜25%
−水:全量を100%にする量
で調製される水性分散液である金属基板用の塗料組成物を調製するための、C〜Cテトラアルキルチタネートの水性組成物。
【請求項19】
前記水に可溶な有機溶媒が、グリコールエーテル、特にジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びジプロピレングリコールなどのグリコール溶媒、アセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、アルコール、ケトン、並びにこれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記バインダーが、C〜Cアルコキシラジカルから選択される、ヒドロキシル機能を有する少なくとも1つの加水分解可能な官能基を有するシランであることを特徴とする、請求項18及び19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記シランがさらにエポキシ官能基を有することを特徴とする、請求項18〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記シランが、エポキシ官能基を有するジメトキシシラン又はトリメトキシシラン、及びエポキシ官能基を有するジエトキシシラン又はトリエトキシシラン、並びにそれらの混合物から選択され、特に、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、又はβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランであることを特徴とする、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記C〜Cテトラアルキルチタネートが、好適には、テトラエチルチタネート(TET)、テトラ-n-ブチルチタネート、及びオクチレングリコールチタネート(OGT)よりなる群から選択され、前記C〜Cテトラアルキルジルコネートが、好適には、テトラ-n-プロピルジルコネート及びテトラ-n-ブチルジルコネートよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項18〜22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
接着剤若しくは塗料の前処理に、金属粒子を基材とするシーラーとして後処理に、鋼鉄、亜鉛、アルミニウム、若しくは亜鉛基材の被覆で覆われた鋼鉄を基材とする基板の不動態化処理に、又は水相において塗料若しくは接着剤の接着性を向上させる添加剤における、請求項18〜23のいずれか一項に記載の組成物の使用。

【公開番号】特開2012−132012(P2012−132012A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−10358(P2012−10358)
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【分割の表示】特願2006−552720(P2006−552720)の分割
【原出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(502108374)
【氏名又は名称原語表記】NOF METAL COATINGS EUROPE
【Fターム(参考)】