説明

有機ベースのエレクトロニクスデバイスの作製における新規材料である2,7−カルバゾレンビニレン誘導体

活性材料として、式(I)または(II)で表される共役オリゴマー性またはポリマー性2,7-カルバゾレンビニレン誘導体を含む、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機発光ダイオード(OLED)および有機太陽電池(OPC)。かかる有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機発光ダイオード(OLED)および有機太陽電池(OPC)は改善されたデバイス特性およびデバイス効率を有する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年10月1日出願の米国特許仮出願第60/507,506号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、エレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクスデバイスの分野に関し、より詳細には有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機発光ダイオード(OLED)、有機太陽電池(OPC)など有機ベースの半導体デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
有機共役オリゴマーおよびポリマーは、バックボーンに沿って非局在化π電子系を有する材料である。これらの有機材料は、電界効果トランジスタ(OFET)、発光ダイオード(OLED)、太陽電池(OPC)などエレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクスデバイスの応用分野での潜在能力が大きいので、大学と産業界両方の研究所において重要な研究対象である。無機半導体材料にくらべて有機半導体材料をデバイスで使用することの経済的な利点には、合成コストが低いこと、加工処理が容易であること、ならびに化学的修飾による光学および電気特性の調節可能域が広いことが含まれる。
【0004】
現在、大部分のマイクロエレクトロニクスデバイスは、結晶性シリコンなどの無機半導体材料をベースにしている。結晶性シリコンの使用が、単結晶のサイズによって制限を受けるような、フラットパネルディスプレイやスマートカードを含めた大面積デバイスでは、現在、アモルファスシリコンおよび多結晶シリコンが使用されている。しかしながら、製造プロセスで比較的高温が必要とされるために、シリコンをプラスチック基板と一緒に利用することが妨げられている。一方、有機材料は、ポリマー基板上での溶液処理法または熱蒸着法によって室温または室温近傍で処理することができる。OFETなどの有機ベースデバイスは、その性能が今や無機対応物と競合するところまで向上してきたので、関心を持たれつつある。手短かに言えば、識別タグ、スマートカード、ディスプレイ用のピクセルドライバなどの低解像部品の作製には、有機半導体材料が使用できるはずであることがわかってきた。現在までのところ、ペンタセンおよびレジオレギュラーポリチオフェンだけが必要とする性能を実際に示したが、前者は加工が困難であり、後者は空気中で容易に酸化される。
【0005】
さらに、技術的に実現可能な発光ディスプレイ技術は、現在支配的な技術である液晶ディスプレイ(LCD)に競合できると以前から考えられており、OLEDが今日、丁度それを行える最適の位置にあると見なされている。現在のLCDには、低効率、狭い視野角、速度および温度範囲の限界などの限界がある。しかしながら、OLEDは、いかなる色にも調整でき、高い効率で比較的低い電圧で動作し、優れた視覚特性を示すことができるので、ディスプレイとして特に有望であることが実際に示されている。OLEDディスプレイへの応用のため、高い発光量子効率、良好な色純度および高い安定性を有する材料を発見するために化学研究所で多数の研究が行われている。市販のディスプレイの要件のいくつかを満たすか、それを超える材料はいくつかあるが、今日までいかなる材料もそのすべてを満たしてはいない。
【0006】
さらに、再生可能なエネルギー源を開発する必要から、太陽電池素子の製造によって太陽エネルギーを電気エネルギーに転換するための新規な手法の開発が促進され続けている。シリコン、アモルファスシリコン、ガリウム砒素および硫化物塩などの無機半導体に、市場の応用分野の関心が主として集中してきたが、共役オリゴマー性またはポリマー性の有機材料で作製されたデバイス中の光感光効果および光起電力効果も調査され、優れた結果を示した。太陽電池素子で有機材料を使用することの主な利点は、大きなサイズおよび所望の構成で製作コストが低いことである。一例として、新設および既存のビルディングの発電手段として、屋根部分の上または断熱窓の間に半透明の有機薄膜を用いることができる。
【特許文献1】米国特許仮出願第60/507,506号
【特許文献2】米国特許出願第10/003,774号
【特許文献3】米国特許第6630254号
【特許文献4】米国特許出願第60/495,113号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
OLEDおよびOPCと同様にOFETで使用できるクラスの有機材料を発見するために、熱心な研究が化学のレベルで行われている。この新規なクラスの有機材料は、低コストでの合成が容易であり、かつOFET、OLEDおよびOPCの商品化に必要な基準を完全に満たすために、化学的修飾により広範囲で電気的および光学的特性の調節が容易であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、有機ベースのエレクトロニクスデバイスおよびかかるデバイスの製造方法が提供される。そうしたデバイスには、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機発光ダイオード(OLED)および有機太陽電池(OPC)が含まれ、その活性材料として式(I)の共役2,7-カルバゾレンビニレン誘導体を有する。
【0009】
【化1】

【0010】
式中、nは、≧3の整数であり、Rは、水素、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルコキシ基、ポリ(エチレンオキシ)、シアノ、アリール基、アミド基またはベンゾイル基である置換基を表し、A、Bは、いかなるタイプの末端キャップ基でもよい。
【0011】
たとえば、AおよびBの末端キャップ基は、水素、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルコキシ基、シアノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、1価の芳香族基、たとえばフェニル、ナフチルおよびアントリル基、またはヘテロ原子として窒素原子1個を有する1価の芳香族複素環基、たとえばピロピル基、ピリジル基、キノリル基およびカルバゾリル基から選択することができる。これらのアリール基(芳香族基)および芳香族複素環基は、置換基を有していても有していなくてもよい。たとえば、置換基は、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルコキシ基、アシル基、ベンジル基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、ハロゲン基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリール基、およびさらに以下の一般式で表されるアミノ基から選択することができる。
【0012】
【化2】

【0013】
式中、M1およびM2は、それぞれ水素原子、直鎖状もしくは分枝状アルキル基、アルデヒド基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基などのアシル基、アリール基などである。M1およびM2は、同じでも異なっていてもよく、互いに結合して飽和5員環または飽和6員環を形成してもよく(これらの環は、置換基を有していても有していなくてもよい)、またAおよびB上の置換基と結合して飽和5員環または飽和6員環を形成してもよい(これらの環は、置換基を有していても有していなくてもよい)。
【0014】
一般式(I)において、AおよびBは、同じでも異なっていてもよく、AおよびB上の置換基は、互いに結合して飽和5員環または飽和6員環を形成してもよい(これらの環は、置換基を有していても有していなくてもよい)。
【0015】
また2,7-カルバゾレンビニレンモノマーを、他のモノマーと交互にならべて以下の一般式(II)によるオリゴマーまたはポリマー材料を形成することもできる。
【0016】
【化3】

【0017】
式中、nは、≧3の整数であり、Rは、水素、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルコキシ基、ポリ(エチレンオキシ)、シアノ、アリール基、アミド基またはベンゾイル基である置換基を表し、xは、1〜1000の整数であり、yは、0〜1000の整数であり、Zは、いかなるタイプのコモノマーでもよく、A、Bは、いかなるタイプの末端キャップ基でもよい。
【0018】
共役オリゴマー性およびポリマー性2,7-カルバゾレンビニレン誘導体は、上記の式(II)の繰り返し単位または交互単位を含む。たとえば、コモノマーは、エチレン、アセチレン、C6〜C22単核/多核芳香族、C2〜C10単核/多核複素環基および第三級アリールアミンから選択することができる。
【0019】
単核/多核芳香族基の例は、フェニレン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ピレン、ペリレン、ルブレン、フェナントレン、ナフチレン、アセナフテン、フルオランテンおよびクリセンである。単核/多核複素環内基の例には、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、チアジアゾール、ピラゾールなどの5員複素環基;ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジンおよびテトラジンなどの6員複素環基;ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、シノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、ベンゾチアジアゾールおよびベンゾトリアジンなどのベンゾ縮合環系;フェナジン、フェナントリジン、アクリジン、ジフェニレンオキシドなどの多核縮合環系が含まれる。第三級アリールアミン基の例には、トリフェニルアミン、N,N'-ジフェニルベンジジン、N,N'-ジフェニル-1,4-フェニレンジアミンおよびジフェニルナフチルアミンが含まれる。オレフィン、芳香族、複素環および第三級アリールアミン基を、任意に1種または複数の置換基で置換することもできる。置換基の例には、C1〜C20直鎖状もしくは分枝状アルキル基、C1〜C20直鎖状もしくは分枝状アルコキシ基、シアノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、C1〜C20直鎖状もしくは分枝状アルキルオキシカルボニル、C1〜C20直鎖状もしくは分枝状アリールオキシカルボニルおよびポリ(アルキレンオキシ)が含まれる。このような置換基を選択して、材料の溶解度または加工特性を改善することができる。
【0020】
たとえば、AおよびBの末端キャップ基は、水素、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルコキシ基、シアノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、1価の芳香族基、たとえばフェニル、ナフチルおよびアントリル基、またはヘテロ原子として窒素原子1個を有する1価の芳香族複素環基、たとえばピロピル基、ピリジル基、キノリル基およびカルバゾリル基から選択することができる。これらのアリール基(芳香族基)および芳香族複素環基は、置換基を有していても有していなくてもよい。たとえば、置換基は、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルコキシ基、アシル基、ベンジル基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、ハロゲン基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリール基、および以下の一般式で表されるさらなるアミノ基から選択することができる。
【0021】
【化4】

【0022】
式中、M1およびM2は、それぞれ水素原子、直鎖状もしくは分枝状アルキル基、アルデヒド基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基などのアシル基、アリール基などである。M1およびM2は、同じでも異なっていてもよく、互いに結合して飽和5員環または飽和6員環を形成してもよく(これらの環は、置換基を有していても有していなくてもよい)、AおよびB上の置換基と結合して飽和5員環または飽和6員環を形成してもよい(これらの環は、置換基を有していても有していなくてもよい)。
【0023】
一般式(II)において、AおよびBは、同じでも異なっていてもよく、AおよびB上の置換基は、互いに結合して飽和5員環または飽和6員環を形成してもよい(これらの環は、置換基を有していても有していなくてもよい)。
【0024】
オリゴマー性およびポリマー性カルバゾール誘導体材料は、よく知られた一クラスの材料である。今では、高度に共役したポリ(N-アルキル-2,7-カルバゾール)をどのように合成するかは発見されており、合成方法について「共役ポリカルバゾール誘導体およびそれらの合成方法」という名称の特許出願が、2001年10月31日に米国特許出願第10/003,774号として出願された。さらに今では、高度に共役したポリ(N-アルキル-2,7-カルバゾール)は、OLEDの活性材料として使用することができることが発見され、「有機発光ダイオードにおける共役ポリカルバゾール誘導体の使用」という名称の特許出願が、特許権を付与された(米国特許第6630254号)。前者の特許と同じ発明者らは、どのように共役2,7-カルバゾレンビニレンオリゴマー性およびポリマー性材料を合成するかを発見し、その合成方法について「2,7-カルバゾレンビニレン:光学的および電気的応用分野のための新規なクラスの有機材料」という名称の特許出願を、2003年8月15日に米国特許出願第60/495,113号として出願した。本発明は、とりわけ、OFET、OLEDおよびOPCの活性材料として共役オリゴマー性およびポリマー性2,7-カルバゾレンビニレン誘導体の使用を提供する。
【0025】
2,7-カルバゾレンビニレン化合物は、用いる末端キャップ基および側鎖基に応じて正孔または電子がそれぞれ多数キャリアであるp型能動半導体またはn型能動半導体として、OFET中で使用することができる。
【0026】
2,7-カルバゾレンビニレン化合物は、用いる末端キャップ基および側鎖基に応じて、エミッタ、正孔輸送層、電子輸送層またはこれらの役割の任意の組合せとして、OLED中で使用することができる。この化合物は、単独で、他の正孔もしくは電子輸送材料とブレンドして、あるいはドープして使用することができる。また、この化合物は、多層配列で使用して閉じこめを促進することもでき、あるいはドーピングの代替物として使用することもできる。
【0027】
2,7-カルバゾレンビニレン化合物は、用いる末端キャップ基および側鎖基に応じて、吸収層、自由キャリア発生層、正孔輸送層、電子輸送層またはこれらの役割の任意の組合せとして、OPC中で使用することができる。この化合物は、単独で、他の材料にブレンドして、あるいはドープして使用することができる。また、この化合物は、多層配列で使用して電荷移動プロセスを促進することもでき、あるいはドーピングの代替物として使用することもできる。
【0028】
共役オリゴマー性およびポリマー性2,7-カルバゾレンビニレン誘導体は、以下の経路で合成することができる:
【0029】
スキーム1:2,7-二官能性カルバゾールの合成経路
【0030】
【化5】


【0031】
スキーム2:2-官能性カルバゾールの合成経路
【0032】
【化6】

【0033】
スキーム3:2,7-カルバゾレンビニレンオリゴマーの合成経路
【0034】
【化7】

【0035】
スキーム4:2,7-カルバゾレンビニレンポリマーの合成経路
【0036】
【化8】

【0037】
次に、添付の図面を参照して、非限定的な実施例のみで、本発明をより詳細に説明することにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
図1〜6は、従来技術によるエレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクスデバイスを示す。図1に示すデバイスは、基板として使用される熱成長SiO2膜で覆われたn型シリコンウエハ、基板の頂面の2つの金電極(ソースおよびドレイン)、基板の裏側の第3の電極(ゲート)、ニッケルフタロシアニン(NiPc)薄層、およびスカンジウムフタロシアニン(ScPc)薄層からなる。ゲートに十分高い負電圧を印加すると、逆転層が絶縁体/半導体界面に形成され、正電荷が生成する。ゲートでの印加電圧を変えると、ジフタロシアニン層を通るソースとドレインの間の負電流が変調される。
【0039】
図2に示すデバイスは、基板として使用される熱成長SiO2膜で覆われたn型シリコンウエハ、基板の頂面の2つの金電極(ソースおよびドレイン)、基板の裏側の第3のガリウム-インジウム電極(ゲート)およびPT(ポリチオフェン)薄層からなる。ゲートに十分高い負電圧を印加すると、逆転層が絶縁体/半導体界面に形成され、正電荷が生成する。ゲートでの印加電圧を変えることによって、PT層を通るソースとドレインの間の負電流が変調される。
【0040】
図3に示すデバイスは、ガラス基板上の酸化インジウムスズ透明アノード、正孔輸送層である芳香族ジアミン、AlQ3(8-ヒドロキシキノリンアルミニウム)の電子輸送およびエミッタ層、およびMg:Ag合金カソードからなる。アノードとカソードの間に十分な正電圧を印加すると、正孔がアノードから注入され、電子がカソードから注入され、両者がAlQ3発光層中で放射しながら再結合し、光を生成し、その光が透明アノードおよび正孔輸送層を通して見える。
【0041】
図4に示すデバイスは、ガラス基板上の酸化インジウムスズ透明アノード、PPV(ポリ(p-フェニレンビニレン))薄層およびAlカソードからなる。アノードとカソードの間に十分高い正電圧を印加すると、正孔がアノードから注入され、電子がカソードから注入され、両者がPPV発光層中で放射しながら再結合し、光を生成し、その光が透明アノードを通して見える。
【0042】
図5に示すデバイスは、ガラス基板上の酸化インジウムスズ透明アノード、CuPc(銅フタロシアニン)薄層、PV(ペリレンテトラカルボキシル)薄層およびAgカソードからなる。酸化インジウムスズ透明アノードを通して照明すると電荷が生成する。アノードとカソードの間に十分な正電圧を印加すると、光生成した電荷が輸送され、電極に移動する。
【0043】
図6に示すデバイスは、ガラス基板上の酸化インジウムスズ透明アノード、PPV(ポリ(p-フェニレンビニレン))薄層およびAlカソードからなる。酸化インジウムスズ透明アノードを通して照明すると、電荷がPPV中に生成する。アノードとカソードの間に十分な正電圧を印加すると、光生成した電荷が輸送され、電極に移動する。
【0044】
(実施例)
本発明に従って調製された有機ベースのデバイスの実施例を次に説明する。
【0045】
(実施例1)
図7に示す本発明の第1の実施形態では、基板として使用される熱成長SiO2膜で覆われたp型シリコンウエハ、RCPCR半導体薄層、有機半導体層の頂面のソースおよびドレイン用金電極、および基板の裏側のゲート用電極からなるOFETを、トップコンタクト構造で製作した。使用する前に、各基板(15×15mm2)を順次、アセトンで洗浄し、80℃のイソプロパノールで超音波洗浄し、UV/オゾンクリーナで10分間洗浄する。有機半導体RCPCRおよび金をこの順序で、RCPCRでは基板温度を25℃で、金では25℃で、圧力1×10-7トールで熱蒸着によって堆積させる。シャドウマスクを使用して、ソースおよびドレイン用金電極を有機半導体の頂面に堆積し、長さ40μm、幅1μmのチャネルを備えたトップコンタクト構造を形成する。pドープ型シリコンウエハの裏側に配線した電線がゲート電極を形成する。
【0046】
電界効果トランジスタは、図8に示す電流-電圧特性曲線を生じる。RCPCRは、2つの異なるモード、すなわち、低いソース-ドレイン電圧時の電流がオームの法則に従う直線領域およびソース-ドレイン電圧が増加したときの飽和領域で動作する、典型的なpチャネルトランジスタを形成することがわかる。上記の条件では、RCPCRは、移動度1.0×10-4cm2/VおよびIon/Ioff比104を示す。
【0047】
(実施例2)
図9に示す本発明の第2の実施形態では、基板として使用される熱成長SiO2膜で覆われたp型シリコンウエハ、CPC半導体薄層、有機半導体層の頂面のソースおよびドレイン用金電極、および基板の裏側のゲート用電極からなるOFETを、トップコンタクト構造で製作した。使用する前に、各基板(15×15mm2)を順次、アセトンで洗浄し、80℃のイソプロパノールで超音波洗浄し、UV/オゾンクリーナで10分間洗浄する。次いで、基板を順次、NH4OH/H2O2/H2O(2:2:100)溶液中で15分間、H2O中で1分間、HCl/H2O2/H2O(2:2:100)溶液中で15分間、H2O中で1分間処理し、N2で乾燥し、UV/オゾンクリーナに1時間入れた。次いで、基板の表面を、150℃、30mmHgで2時間、蒸気プライムシステム上でヘキサメチルジシラザン(HMDS)で処理した後、蒸着させた。有機半導体CPCおよび金をこの順序で、基板温度を75℃で、金では25℃で、圧力1×10-7トールで熱蒸着によって堆積させた。シャドウマスクを使用して、ソースおよびドレイン用金電極を有機半導体の頂面に堆積させ、長さ58μm、幅1μmのチャネルを備えたトップコンタクト構造を形成した。pドープ型シリコンウエハの裏側に配線した電線がゲート用電極を形成する。
【0048】
電界効果トランジスタは、図10に示す電流-電圧特性曲線を生じる。CPCは、2つの異なるモード、すなわち、低いソース-ドレイン電圧時の電流がオームの法則に従う直線領域、およびソース-ドレイン電圧が増加したときの飽和領域で動作する、典型的なpチャネルトランジスタを形成することがわかる。上記の条件では、CPCは、高い移動度2.5×10-1cm2/Vおよび高いIon/Ioff比106を示す。
【0049】
(実施例3)
図12に示す本発明の第3の実施形態では、ガラス基板上の酸化インジウムスズ透明導電性アノード、エミッタであるPCVDPAP薄層およびCaカソードからなるOLEDを製作した。酸化インジウムスズをコートした、シート抵抗15ohm/sqを有するガラス(5×5cm2)にフォトリソグラフィー技法を用いてパターンを形成して、それぞれが5×6mm2のアクティブエリアを有する10個のセグメントを製造する。使用する前に、基板を順次、洗剤、脱イオン水、アセトンで洗浄し、60℃のイソプロパノールで超音波洗浄し、UV/オゾンクリーナで10分間洗浄する。PCVDPAPポリマー材料をクロロホルムに溶解し、0.2μmPTFEフィルタでろ過し、2000rpmで60秒間、酸化インジウムスズ基板にスピンコートし、40℃で10分間乾燥する。Ca層を室温、圧力1×10-7トールで熱蒸着させる。
【0050】
OLEDは、図13に示すエレクトロルミネッセンスのスペクトルを生じた。得られたダイオードは、発光ピーク約660nmの橙赤色光を発光した。いかなるエキシマー発光も観察されない(より高い波長の発光ピークはない)。ダイオードの電流-電圧(曲線1)およびルミネッセンス-電圧(曲線2)特性曲線を図14に示す。上記のデバイス構成では、得られた最大ルミネッセンス値は、18Vで、デバイスターンオン電圧が3Vと低いとき、150cd/m2であった。
【0051】
(実施例4)
図15に示す本発明の第4の実施形態では、ガラス基板上の酸化インジウムスズ透明導電性アノード、正孔注入を促進するためのPEDOT-PSS薄層、エミッタであるPCCVP薄層、電子輸送層であるBu-PBD、電子注入を促進するためのLiF薄層およびAlカソードからなるOLEDを製作した。酸化インジウムスズをコートした、シート抵抗15ohm/sqを有するガラス(5×5cm2)にフォトリソグラフィー技法を用いてパターンを形成して、それぞれが5×6mm2のアクティブエリアを有する10個のセグメントを製造する。使用する前に、基板を順次、洗剤、脱イオン水、アセトンで洗浄し、60℃のイソプロパノールで超音波洗浄し、UV/オゾンクリーナで10分間洗浄する。まず、5000rpm60秒間、水溶液(2.8重量%)によるスピンコーティングで、PEDOT-PSS(Baytron P CH 8000、バイエル/ドイツ)薄層を、酸化インジウムスズ基板に塗布し、120℃で1時間乾燥する。PCCVPポリマー材料をクロロホルムに溶解し、0.2μmPTFEフィルタでろ過し、2000rpmで60秒間スピンコートし、40℃で10分間乾燥する。Bu-PBD、LiFおよびAl層を室温、圧力1×10-7トールで熱蒸着させる。
【0052】
ダイオードは、図16に示すエレクトロルミネッセンスのスペクトルを生成した。得られたダイオードは、発光ピーク約636nmの橙赤色光を発光した。したがって、エレクトロルミネッセンスは、PCCVPそれ自体から由来している。いかなるエキシマー発光も観察されない(より高い波長の発光ピークはない)。ダイオードの電流-電圧(曲線1)およびルミネッセンス-電圧(曲線2)特性曲線を図17に示す。上記のデバイス構成では、得られた最大ルミネッセンス値は、20Vで、デバイスターンオン電圧が3Vと低いとき、122cd/m2であった。
【0053】
(実施例5)
図18に示す本発明の第5の実施形態では、ガラス基板上の酸化インジウムスズ透明導電性アノード、吸収および輸送層であるPCVDPATAとPTDのブレンド(20:80)およびAlカソードからなるOPCを製作した。酸化インジウムスズをコートした、シート抵抗20ohm/sqを有するガラス(25×25mm2)にフォトリソグラフィー技法を用いてパターンを形成して、10mm2のアクティブエリアを有する1個のセグメントを製造する。使用する前に、基板を順次、洗剤、脱イオン水、アセトンで洗浄し、イソプロパノールで超音波洗浄した。PCVDPATA:PTD(20:80)のブレンドを、クロロホルムに溶解し、0.2μmPTFEフィルタでろ過し、2000rpmで60秒間スピンコートする。Al層を室温、圧力1×10-6トールで熱蒸着させた。
【0054】
太陽電池は、図19に示す暗時および照明下での電流-電圧特性曲線を生じた。
【0055】
(実施例6)
図20に示す本発明の第6の実施形態では、ガラス基板上の酸化インジウムスズ透明導電性アノード、正孔注入を促進するためのPEDOT-PSS薄層、吸収および輸送層であるPPCVTとPCBMのブレンド(20:80)およびAlカソードからなるOPCを製作した。酸化インジウムスズをコートした、シート抵抗20ohm/sqを有するガラス(25×25mm2)にフォトリソグラフィー技法を用いてパターンを形成して、10mm2のアクティブエリアを有する1個のセグメントを生成する。使用する前に、基板を順次、洗剤、脱イオン水、アセトンで洗浄し、イソプロパノールで超音波洗浄した。PPCVT:PCBM(20:80)のブレンドを、クロロホルムに溶解し、0.2μmPTFEフィルタでろ過し、2000rpmで60秒間スピンコートする。Al層を室温、圧力1×10-6トールで熱蒸着させた。
【0056】
太陽電池は、図21に示す暗時および照明下での電流-電圧特性曲線を生じた。
【0057】
本明細書の開示にかんがみて、当技術分野の技術者は、本明細書に開示の方法を採用して、本明細書の実施例に記載の2,7誘導体に加えてカルバゾレン誘導体からもOLEDおよび関連のデバイスを製造することができるはずであることが理解されよう。
【0058】
本発明で企図された実施形態の要約を以下に示す。しかし、そうした実施形態は代表例として意図されたものであり、決して本発明の完全な範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0059】
本発明の一実施形態では、式(I)で表される共役オリゴマー性またはポリマー性2,7-カルバゾレンビニレン誘導体を含む活性材料を含む、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機発光ダイオード(OLED)および有機太陽電池(OPC)が提供される。
【0060】
【化9】

【0061】
式中、nは、≧3の整数であり、Rは、水素、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルコキシ基、ポリ(エチレンオキシ)、シアノ、アリール基、アミド基またはベンゾイル基である置換基を表し、A、Bは、水素、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン基、1価の芳香族基、およびヘテロ原子として窒素原子1個を有する1価の芳香族複素環基からなる群から選択されるいかなるタイプの末端キャップ基でもよい。
【0062】
本発明の他の実施形態では、共役2,7-カルバゾレンビニレン誘導体を含む活性材料を含み、2,7-カルバゾレンビニレンモノマーがまた、他のモノマーを交互にならべて一般式(II)によるオリゴマーまたはポリマー材料を形成することができる、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機発光ダイオード(OLED)および有機太陽電池(OPC)が提供される。
【0063】
【化10】

【0064】
式中、nは、≧3の整数であり、Rは、水素、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルコキシ基、ポリ(エチレンオキシ)、シアノ、アリール、アミドまたはベンゾイルである置換基を表し、xは、1〜1000の整数であり、yは、0〜1000の整数であり、Zは、エチレン、アセチレン、C6〜C22単核/多核芳香族、C2〜C10単核/多核複素環基および第三級アリールアミンからなる群から選択されるいかなるタイプのコモノマーでもよく、A、Bは、水素、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン基、1価の芳香族基およびヘテロ原子として窒素原子1個を有する1価の芳香族複素環基からなる群から選択されるいかなるタイプの末端キャップ基でもよい。
【0065】
本発明の他の実施形態では、前記2,7-カルバゾレンビニレン誘導体が、1,4-ビス(ビニレン-(N-メチル-7-ヘキシル-2-カルバゾール))フェニレン(RCPCR)である、OFETが提供される。
【0066】
本発明の他の実施形態では、前記2,7-カルバゾレンビニレン誘導体が、1,4-ビス(ビニレン-(N-ヘキシル-2-カルバゾール))フェニレン(CPC)である、OFETが提供される。
【0067】
本発明の他の実施形態では、前記2,7-カルバゾレンビニレン誘導体が、[ポリ(N-(2-エチルヘキシル-2,7-カルバゾレンシアノビニレン-co-2,5-ビス(ジフェニルアミン)-1,4-フェニレンシアノビニレン-co-2,5-ジオクチルオキシ-1,4-フェニレンシアノビニレン)](PCVDPAP)である、OLEDが提供される。
【0068】
本発明の他の実施形態では、前記2,7-カルバゾレンビニレン誘導体が、[ポリ(N-(2-エチルヘキシル)-2,7-カルバゾレンシアノビニレン-alt-2,5-ジオクチルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)](PCCVP)である、OLEDが提供される。
【0069】
本発明の他の実施形態では、前記2,7-カルバゾレンビニレン誘導体が第2の活性材料と混合されている、OLEDが提供される。
【0070】
本発明の他の実施形態では、正孔輸送層、電子輸送層を含み、前記正孔輸送層と前記電子輸送層の少なくとも一方が、活性材料として共役2,7-カルバゾレンビニレン誘導体を単独でまたは組合せとして含む、OLEDが提供される。
【0071】
本発明の他の実施形態では、さらに前記電子輸送層と前記正孔輸送層の少なくとも一方に隣接するキャリア促進層を含む、OLEDが提供される。
【0072】
本発明の他の実施形態では、前記電子促進体がLiFである、OLEDが提供される。
【0073】
本発明の他の実施形態では、前記正孔促進体が[ポリ(エチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホナート)](PEDOT-PSS)である、OLEDが提供される。
【0074】
本発明の他の実施形態では、前記正孔促進体が[ポリ(エチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホナート)](PEDOT-PSS)であり、前記正孔輸送体が[ポリ(N-(2-エチルヘキシル)-2,7-カルバゾレンシアノビニレン-alt-2,5-ジオクチルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)](PCCVP)であり、前記電子輸送層が、Bu-PBD、すなわち(2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール)であり、前記電子促進体がLiFである、OLEDが提供される。
【0075】
本発明の他の実施形態では、前記2,7-カルバゾレンビニレン誘導体が、[ポリ(N-(2-エチルヘキシル)-2,7-カルバゾレンビニレン-co-2,5-ビス(ジフェニルアミン)-1,4-フェニレンビニレン-co-((4-(2-エチルヘキシルオキシ)-フェニル)-ビス-(4'-フェニレン)アミン)](PCVDPATA)である、OPCが提供される。
【0076】
本発明の他の実施形態では、前記2,7-カルバゾレンビニレン誘導体が、[ポリ(N-(4-ヘキシルオキシフェニル)-2,7-カルバゾレンビニレン-alt-(3-ヘキシル-2,5-チオフェンビニレン))](PPCVT)である、OPCが提供される。
【0077】
本発明の他の実施形態では、前記2,7-カルバゾレンビニレン誘導体が第2の活性材料と混合されている、OPCが提供される。
【0078】
本発明の他の実施形態では、前記第2の活性材料が、[N,N'-ビス(2,6-ジメチルフェニル)-3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸ジイミド])(PTD)である、OPCが提供される。
【0079】
本発明の他の実施形態では、前記第2の活性材料が、[6,6-フェニル-C61酪酸メチルエステル](PCBM)である、OPCが提供される。
【0080】
本発明の他の実施形態では、正孔輸送層、電子輸送層を含み、前記正孔輸送層と前記電子輸送層の少なくとも一方が、活性材料である共役2,7-カルバゾレンビニレン誘導体を単独でまたは組合せとして含む、OPCが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】従来技術の低分子電界効果トランジスタを示す図である。
【図2】従来技術の高分子電界効果トランジスタを示す図である。
【図3】従来技術の低分子発光ダイオードを示す図である。
【図4】従来技術の高分子発光ダイオードを示す図である。
【図5】従来技術の低分子太陽電池を示す図である。
【図6】従来技術の高分子太陽電池を示す図である。
【図7a】OFETが、能動半導体としてRCPCRすなわち1,4-ビス(ビニレン-(N-メチル-7-ヘキシル-2-カルバゾール))フェニレン薄膜を使用して、トップコンタクト構造で形成された、本発明の一実施形態を示す図である。
【図7b】OFETが、能動半導体としてRCPCRすなわち1,4-ビス(ビニレン-(N-メチル-7-ヘキシル-2-カルバゾール))フェニレン薄膜を使用して、ボトムコンタクト構造で形成された、本発明の一実施形態を示す図である。
【図8】図7aに示すトランジスタ(トップコンタクト構造)の実施形態の電流電圧特性曲線を示す図である。
【図9a】OFETが、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)で化学的に修飾された自己組織化単分子膜電極(SAM)を使用して、能動半導体としてCPCすなわち1,4-ビス(ビニレン-(N-ヘキシル-2-カルバゾール))フェニレン薄膜を使用して、トップコンタクト構造で形成された、本発明の一実施形態を示す図である。
【図9b】OFETが、オクチルトリクロロシラン(OTS)で化学的に修飾された自己組織化単分子膜電極(SAM)を使用して、能動半導体としてCPCすなわち1,4-ビス(ビニレン-(N-ヘキシル-2-カルバゾール))フェニレン薄膜を使用して、トップコンタクト構造で形成された、本発明の一実施形態を示す図である。
【図9c】OFETが、オクタデシルトリクロロシラン(ODS)で化学的に修飾された自己組織化単分子膜電極(SAM)を使用して、能動半導体としてCPCすなわち1,4-ビス(ビニレン-(N-ヘキシル-2-カルバゾール))フェニレン薄膜を使用して、トップコンタクト構造で形成された、本発明の一実施形態を示す図である。
【図10】図9aに示したトランジスタ(HMDSによって化学的に修飾された電極を有するトップコンタクト構造)の実施形態の電流電圧特性曲線を示す図である。
【図11】用いる電極のタイプによって、トランジスタ性能(μ;移動度、Ion/Ioff;電流比)をCPC薄膜堆積中の基板温度の関数として示した図である。
【図12】エミッタとして、PCVDPAP、すなわち[ポリ(N-(2-エチルヘキシル-2,7-カルバゾレンシアノビニレン-co-2,5-ビス(ジフェニルアミン)-1,4-フェニレンシアノビニレン-co-2,5-ジオクチルオキシ-1,4-フェニレンシアノビニレン)]薄膜を使用してOLEDが形成された、本発明の一実施形態を示す図である。ダイオードは、ガラス基板上の酸化インジウムスズ透明導電性アノード、エミッタであるPCVDPAPおよびCaカソードからなる。
【図13】図12に示したダイオードのエレクトロルミネッセンススペクトルを示す図である。
【図14】図12に示したダイオードの電流-電圧(曲線1)およびルミネッセンス-電圧(曲線2)特性曲線を示す図である。
【図15】エミッタとして、PCCVP、すなわち[ポリ(N-(2-エチルヘキシル)-2,7-カルバゾレンシアノビニレン-alt-2,5-ジオクチルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)]薄膜を使用してOLEDが形成された、本発明の一実施形態を示す図である。ダイオードは、ガラス基板上の酸化インジウムスズ透明導電性アノード、正孔注入を促進するためのPEDOT-PSS、すなわち[ポリ(エチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホナート]薄層、エミッタであるPCCVP、電子輸送層であるBu-PBD、すなわち(2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール)、電子注入を促進するためのLiF薄層およびAlカソードからなる。
【図16】図15に示したダイオードの実施形態のエレクトロルミネッセンススペクトルを示す図である。
【図17】図15に示したダイオードの電流-電圧(曲線1)およびルミネッセンス-電圧(曲線2)特性曲線を示す図である。
【図18】吸収および輸送層として、PTD、すなわち[N,N'-ビス(2,6-ジメチルフェニル)-3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸ジイミド]と混合したPCVDPATA、すなわち[ポリ(N-(2-エチルヘキシル-2,7-カルバゾレンビニレン-co-2,5-ビス(ジフェニルアミン)-1,4-フェニレンビニレン-co-((4-(2-エチルヘキシルオキシ)-フェニル)-ビス-(4'-フェニレン)アミン)]を使用してOPCが形成された、本発明の一実施形態を示す図である。太陽電池は、ガラス基板上の酸化インジウムスズ透明導電性アノード、吸収層であるPCVDPATA:PTD(20:80)およびAlカソードからなる。
【図19】図18に示した太陽電池の実施形態の暗時および照明下での電流電圧特性曲線を示す図である。
【図20】吸収および輸送層として、PCBM、すなわち[6,6-フェニル-C61酪酸メチルエステル]と混合したPPCVT、すなわち[ポリ(N-(4-ヘキシルオキシフェニル)-2,7-カルバゾレンビニレン-alt-(3-ヘキシル-2,5-チオフェンビニレン))]を使用してOPCが形成された、本発明の一実施形態を示す図である。太陽電池は、ガラス基板上の酸化インジウムスズ透明導電性アノード、吸収層であるPPCVT:PCBM(20:80)およびAlカソードからなる。
【図21】図20に示した太陽電池の実施形態の暗時および照明下での電流電圧特性曲線を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性物質として、式(I):
【化1】

[式中、nは、≧3の整数であり、Rは、水素、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルコキシ基、ポリ(エチレンオキシ)、シアノ、アリール基、アミド基またはベンゾイル基である置換基を表し、A、Bは、水素、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン基、1価の芳香族基、およびヘテロ原子として窒素原子1個を有する1価の芳香族複素環基からなる群から選択されるいかなるタイプの末端キャップ基でもよい]
で表される共役オリゴマー性またはポリマー性2,7-カルバゾレンビニレン誘導体を有する有機ベースのエレクトロニクスデバイス。
【請求項2】
有機電界効果トランジスタ(OFET)である、請求項1に記載の有機ベースのデバイス。
【請求項3】
有機発光ダイオード(OLED)である、請求項1に記載の有機ベースのデバイス。
【請求項4】
有機太陽電池(OPC)である、請求項1に記載の有機ベースのデバイス。
【請求項5】
有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機発光ダイオード(OLED)および有機太陽電池(OPC)の群からの有機ベースのデバイスであって、共役2,7-カルバゾレンビニレン誘導体を含む活性材料を含み、2,7-カルバゾレンビニレンモノマーが、他のモノマーと交互にならべられて一般式(II):
【化2】

[式中、nは、≧3の整数であり、Rは、水素、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルコキシ基、ポリ(エチレンオキシ)、シアノ、アリール、アミドまたはベンゾイルである置換基を表し、xは、1〜1000の整数であり、yは、0〜1000の整数であり、Zは、エチレン、アセチレン、C6〜C22単核/多核芳香族、C2〜C10単核/多核複素環基および第三級アリールアミンからなる群から選択されるいかなるタイプのコモノマーでもよく、A、Bは、水素、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基、炭素原子1〜20個を含む直鎖状もしくは分枝状アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン基、1価の芳香族基、およびヘテロ原子として窒素原子1個を有する1価の芳香族複素環基からなる群から選択されるいかなるタイプの末端キャップ基でもよい]
によるオリゴマーまたはポリマー材料を形成することもできる、デバイス。
【請求項6】
前記2,7-カルバゾレンビニレン誘導体が1,4-ビス(ビニレン-(N-メチル-7-ヘキシル-2-カルバゾール))フェニレン(RCPCR)である、OFETである請求項5に記載の有機ベースのデバイス。
【請求項7】
前記2,7-カルバゾレンビニレン誘導体が1,4-ビス(ビニレン-(N-ヘキシル-2-カルバゾール))フェニレン(CPC)である、OFETである請求項5に記載の有機ベースのデバイス。
【請求項8】
前記2,7-カルバゾレンビニレン誘導体が[ポリ(N-(2-エチルヘキシル-2,7-カルバゾレンシアノビニレン-co-2,5-ビス(ジフェニルアミン)-1,4-フェニレンシアノビニレン-co-2,5-ジオクチルオキシ-1,4-フェニレンシアノビニレン)](PCVDPAP)である、OLEDである請求項5に記載の有機ベースのデバイス。
【請求項9】
前記2,7-カルバゾレンビニレン誘導体が[ポリ(N-(2-エチルヘキシル)-2,7-カルバゾレンシアノビニレン-alt-2,5-ジオクチルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)](PCCVP)である、OLEDである請求項5に記載の有機ベースのデバイス。
【請求項10】
前記2,7-カルバゾレンビニレン誘導体が、第2の活性材料と混合されている、OLEDである請求項5に記載の有機ベースのデバイス。
【請求項11】
正孔輸送層、電子輸送層を含み、前記正孔輸送層と前記電子輸送層の少なくとも一方が、活性材料として共役2,7-カルバゾレンビニレン誘導体を単独でまたは組合せとして含む、OLEDである請求項5に記載の有機ベースのデバイス。
【請求項12】
前記電子輸送層と前記正孔輸送層の少なくとも一方に隣接するキャリア促進層をさらに含む、OLEDである請求項5に記載の有機ベースのデバイス。
【請求項13】
前記電子促進体がLiFである、OLEDである請求項5に記載の有機ベースのデバイス。
【請求項14】
前記正孔促進体が[ポリ(エチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホナート)](PEDOT-PSS)である、OLEDである請求項5に記載の有機ベースのデバイス。
【請求項15】
前記正孔促進体が[ポリ(エチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホナート)](PEDOT-PSS)であり、前記正孔輸送体が[ポリ(N-(2-エチルヘキシル)-2,7-カルバゾレンシアノビニレン-alt-2,5-ジオクチルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)](PCCVP)であり、前記電子輸送層がBu-PBD、すなわち(2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール)であり、前記電子促進体がLiFである、OLEDである請求項5に記載の有機ベースのデバイス。
【請求項16】
前記2,7-カルバゾレンビニレン誘導体が[ポリ(N-(2-エチルヘキシル)-2,7-カルバゾレンビニレン-co-2,5-ビス(ジフェニルアミン)-1,4-フェニレンビニレン-co-((4-(2-エチルヘキシルオキシ)-フェニル)-ビス-(4'-フェニレン)アミン)](PCVDPATA)である、OPCである請求項5に記載の有機ベースのデバイス。
【請求項17】
前記2,7-カルバゾレンビニレン誘導体が[ポリ(N-(4-ヘキシルオキシフェニル)-2,7-カルバゾレンビニレン-alt-(3-ヘキシル-2,5-チオフェンビニレン))](PPCVT)である、OPCである請求項5に記載の有機ベースのデバイス。
【請求項18】
前記2,7-カルバゾレンビニレン誘導体が第2の活性材料と混合されている、OPCである請求項5に記載の有機ベースのデバイス。
【請求項19】
前記第2の活性材料が[N,N'-ビス(2,6-ジメチルフェニル)-3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸ジイミド](PTD)である、OPCである請求項5に記載の有機ベースのデバイス。
【請求項20】
前記第2の活性材料が[6,6-フェニル-C61酪酸メチルエステル](PCBM)である、OPCである請求項5に記載の有機ベースのデバイス。
【請求項21】
正孔輸送層、電子輸送層を含み、前記正孔輸送層と前記電子輸送層の少なくとも一方が、活性材料として共役2,7-カルバゾレンビニレン誘導体を単独でまたは組合せとして含む、OPCである請求項5に記載の有機ベースのデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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【図8】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図9(c)】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2007−507863(P2007−507863A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529511(P2006−529511)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【国際出願番号】PCT/CA2004/001755
【国際公開番号】WO2005/031891
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(595006223)ナショナル リサーチ カウンシル オブ カナダ (25)
【Fターム(参考)】