説明

有機マトリックス内に備えられたトンネル障壁を有する量子ドットを備える中間バンド感光性装置

複数の量子ドットはそれぞれシェルを有している。その量子ドットは有機マトリックス内に埋め込まれる。少なくともその量子ドットとその有機マトリックスは光伝導性半導体である。各量子ドットのシェルは、前記有機マトリックスのトンネル障壁の基部に位置する荷電キャリア(電子や正孔)が各量子ドットに到達するため量子力学的なトンネリングを必要とするように、トンネル障壁として備えられており、各量子ドット内の第1量子状態は有機マトリックスの最低非占有分子軌道(LUMO)から最高占有分子軌道(HOMO)の間に位置する。複数の量子ドットの第1量子状態の複数の波動関数は中間バンドを形成するために重複することがある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国政府権利
本発明は米国エネルギー省国立再生可能エネルギー研究所により与えられた契約第3394012の下で米国政府の援助によりなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【0002】
共同研究契約
請求の範囲に係る発明は、大学企業共同研究契約に基づき、一つ以上の以下の団体によって、それらを代表して、及び/またはそれらに関連してなされた:プリンストン大学、南カリフォルニア大学、及びGlobal Photonic Energy Corporation。その契約は、請求の範囲に係る発明がなされた日及びそれ以前に有効であったもので、請求の範囲に係る発明はその契約の範囲内で行なわれた活動の結果としてなされた。
【0003】
発明分野
本発明は、感光性光電子装置に広く関する。より詳細には、粗い電極を有する有機感光性オプトエレクトロニックデバイスに関し、それは中間バンドを形成する有機または無機量子ドットを有機半導体マトリックス内に有する中間バンド感光性光電子装置を示す。
【背景技術】
【0004】
背景
光電子装置は、電子的に電磁放射を生成するかそれとも検出するために、または周囲の電磁放射から電気を生成するために、材料の光や電子の特性に依存する。
【0005】
感光性光電子装置は電磁放射を電気信号または電気に変える。光起電(PV)装置とも呼ばれる太陽電池は、電力を生成するために特に用いられる一種の感光性光電子装置である。光伝導体セルは、吸収された光による変化を検出するために装置の抵抗をモニターする信号検出回路と共に用いられる一種の感光性光電子装置である。印加バイアス電圧を要することがある光検出器は、光検出器が電磁放射にさらされる際に生成された電流を測定する電流検出回路と共に用いられる一種の感光性光電子装置である。
【0006】
これら3種類の感光性光電子装置は、以下に定義された整流接合が存在するかどうか、またバイアスやバイアス電圧として知られる外部印加電圧で動作する装置であるかどうかにより、区別されることもある。光伝導体セルは整流接合を有せず、通常バイアスにより動作する。PV装置は少なくとも一つの整流接合を有し、バイアスなしで動作する。光検出器は少なくとも一つの整流接合を有し、通常、常にではないがバイアスで動作する。
【0007】
ここで使用される”整流”という語は、とりわけ、界面が非対称的な導電特性を有する、つまり、その界面が望ましくは一方向に電荷を移動させる役目を有するということを意味する。”光伝導”という語は、電磁放射エネルギーが吸収され、それゆえ電荷キャリアが材料中で電荷を伝導する(つまり、移動させる)ことができるために電荷キャリアの励起エネルギーに変換される過程に広く関係する。”光伝導材料”は、電荷キャリアを生成するため、電磁放射を吸収する性質を利用した半導体材料に関係する。これらは、もし第1層が第2層と”物理的に接続”または”直接接続”していると明確にされていなければ、層を介在させることがある。
【0008】
適切なエネルギーの電磁放射が有機半導体材に入射すると、励起状態になるために光子は吸収される。有機光伝導材において、発生した励起分子状態は通常”励起子”として知られ、つまり、束縛状態中の電子−正孔対であり、擬似粒子として送られるものである。励起子は対再結合(”クエンチング”)するまでかなりの寿命を有することができ、その対再結合はお互いに元の電子と正孔によるものからなる(別の対からの正孔または電子による再結合に対抗するものである)。光電流を生成するために、励起子を形成する電子と正孔は通常整流接合において分離される。
【0009】
励起子はまた無機半導体内においても形成する。しかし、無機材料内の電子と正孔との間のクーロン相互作用は有機材料内よりも弱く、そのため整流接合に到達するまでに無機材料内で電子と正孔は分離することがある。
【0010】
感光性装置の場合、整流接合は光起電へテロ接合として言及される。相当な容量を占める光起電へテロ接合において内部で発生させる電界を形成するため、一般的な方法は、適切に選択された準伝導特性を有する材料からなる2枚の層に並列して設置することであり、特にエネルギー準位の配置が考慮される。
【0011】
有機光起電へテロ接合の種類は、ドナー材やアクセプタ材の界面に形成されるドナー−アクセプタヘテロ接合と、有機光伝導材や金属の界面に形成されるショットキー障壁へテロ接合を含む。無機光起電へテロ接合の種類は、p型ドープ材料やn型ドープ材料の界面に形成されるp−nヘテロ接合と、無機光伝導材や金属の界面に形成されるショットキー障壁ヘテロ接合を含む。光起電へテロ接合は無機材料と有機材料間の界面でも形成される。
【0012】
有機光起電ヘテロ接合において、ヘテロ接合を形成している材料はドナーまたはアクセプタが存在するということを意味する。有機材料に関して、”ドナー”や”アクセプタ”という語は、異なる有機材料の2つが接合しているものにおける、最低非占有分子軌道(LUMO)と最高占有分子軌道(HOMO)のエネルギー準位の相対的な位置に言及する。もし、別のものと接合する一つの材料のLUMOエネルギー準位が低ければ、その材料はアクセプタである。そうでなければ、それはドナーである。外部バイアスが欠如している際に、アクセプタ材に移動するためにドナー−アクセプタ接合での電子にとって、それはエネルギー的に有利である。
【0013】
有機半導体と絶縁体はHOMOの下位やLUMOの上位に更に別の分子軌道を有することがあり、例えばHOMO−1、HOMO−2、LUMO+1、LUMO+2などとして識別される。
【0014】
”ドナー”と”アクセプタ”の使用は有機材料と無機材料とでは異なる意味となる。有機材料に関して、”ドナー”や”アクセプタ”という語は、異なる有機材料の2つが接合しているものにおける、HOMOとLUMOとのエネルギー準位の相対的な位置に言及する。これは、無機のコンテンツにおいてこれらの用語の使い方と対照的であり、ここで”ドナー”や”アクセプタ”は、それぞれ無機のnやp型の層を形成するために利用されるドーパント原子に言及されることがある。
【0015】
半導体と絶縁体の1つの共通する特徴は”バンドギャップ”である。バンドギャップは電子で満たされた最も高いエネルギー準位と通常何もない最も低いエネルギー準位との差分である。無機半導体や無機絶縁体において、このエネルギー差分は価電子帯端E(価電子帯の最上位)と伝導帯端Ec(伝導帯の最下位)との間の差分である。有機半導体または有機絶縁体において、このエネルギー差分はHOMOとLUMOとの間の差分である。純物質のバンドギャップには電子や正孔が存在できるエネルギー準位がない。伝導のために唯一利用可能なキャリアはバンドギャップを越えられる十分なエネルギーを有する電子と正孔である。通常、半導体は絶縁体と比較すると相対的に小さなバンドギャップを有する。
【0016】
エネルギーバンド/レベルモデルに関して、無機半導体中の価電子バンドの電子の伝導帯への励起はキャリアを形成し、それは、バンドギャップの伝導帯側であるときは電子が荷電キャリアであり、バンドギャップの価電子バンド側であるときは正孔が荷電キャリアである。同様に、有機半導体において、バンドギャップの非占有分子軌道側であるときは電子が荷電キャリアであり、占有分子軌道側であるときは正孔が荷電キャリアである。より簡潔には、バンドギャップより上位では電子がキャリアであり、バンドギャップより下位では正孔がキャリアである。
【0017】
ここで、もし、第1エネルギー準位が真空エネルギー準位に近ければ、第1エネルギー準位は第2エネルギー準位”より上位の”、”より大きい”、または”より高い”状態である。より高いHOMOエネルギー準位は真空準位と比較してより小さな絶対エネルギーを有するイオン化ポテンシャル(IP)と一致する。同様に、より高いLUMOエネルギー準位は真空準位と比較してより小さな絶対エネルギーを有する電子親和力(EA)と一致する。従来のエネルギー準位図において、一番上に真空準位が位置するとして、材料のLUMOエネルギー準位は同じ材料のHOMOエネルギー準位よりも高い。
【0018】
エネルギーバンド図における慣例として、電子がより低いエネルギー準位へ移動することがエネルギー的に起こりやすく、一方、正孔はより高いエネルギー準位(正孔にとってより低いポテンシャルエネルギーであるが、エネルギーバンドに関しては高い)への移動がエネルギー的に起こりやすい。より簡潔には、電子は下位に、一方正孔は上位に移動する。
【0019】
キャリアの移動度は無機や有機半導体にとって重要な特性である。移動度は電界に応じた導電性材中での電荷キャリアの移動のできやすさを測定する。感光性装置において、高い電子移動度に起因して電子が伝導しやすい物質を電子輸送物質と称されることがある。高い正孔移動度に起因して正孔が伝導しやすい物質を正孔輸送物質と称されることがある。装置内の移動度および/または位置により電子が伝導しやすい層を電子輸送層(ETL)と称されることがある。装置内の移動度および/または位置により正孔が伝導しやすい層を正孔輸送層(HTL)と称することがある。好ましくは、しかし必ずしもではないが、アクセプタ材料(有機)やn型材料(無機)は電子輸送材であり、ドナー材料(有機)やp型材料は正孔輸送材料である。半導体と比較すると、絶縁体はキャリア移動度が乏しい。
【0020】
ここで用いられる”有機”という語は有機光電子装置を成すために用いられることがある低分子有機材料と同様にポリマー材料を含む。”低分子”はポリマーではないどのような有機材料にも言及され、実質的には”低分子”が非常に大きいことがある。低分子はいくつかの環境において繰り返すようなユニットを含むことがある。例えば、置換基として長鎖アルキル基を用いることは”低分子”クラスから分子を除くことにはならない。低分子はまた、たとえばポリマー骨格から垂れ下がったグループとしてまたは骨格の一部として、ポリマーに含まれることがある。低分子はまたデンドリマーの主要な部分として用いられることがあり、それは主要な部分として備えられた一連の化学的なシェルを含む。デンドリマーの主要な部分は蛍光性または発光性の低分子エミッタでありうる。デンドリマーは”低分子”でありうる。通常、低分子は分子ごとに同じである分子量と共に定義された化学式を有するが、ポリマーは分子ごとに異なる分子量と共に定義された化学式を有する。ここで用いられる”有機”はヒドロカルビルやヘテロ原子置換型のヒドロカルビルリガンドの金属複合体を含む。
【0021】
一般的な構造、特徴、材料および特徴を含んだ、更なる背景の説明および有機感光性装置における従来技術の状況の説明において、Forrest等による米国特許第6,657,378号、Forrest等による米国特許第6,580,027号およびBulovic等による米国特許第6,352,777号が参照としてこれに含まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
発明の概要
複数の量子ドットは各々シェルを有し、有機材内に備えられる。少なくとも量子ドットと有機マトリックスは光伝導性半導体である。各量子ドットのシェルは、有機マトリックス内のトンネル障壁の基部にある電荷キャリアー(電子や正孔)が各々の量子ドットに到達して量子力学のトンネル効果を実行することを必要とするように、トンネル障壁として備えられる。各量子ドット内の第1量子状態は有機マトリックスの最低非占有分子軌道(LUMO)から最高占有分子軌道(HOMO)の間に位置する。複数の量子ドットの第1量子状態の波動関数は中間バンドを形成するために重複することがある。
【0023】
電荷キャリアが電子の場合、量子ドット内のバンドギャップより上位に第1量子状態は存在する。電荷キャリアが正孔の場合量子ドット内のバンドギャップより下位に第1量子状態は存在する。
【0024】
各々の量子ドットはまた第2量子状態を有することがある。電荷キャリアが電子の場合有機マトリックスのLUMOから±0.16eV以内で第1量子状態より上位に第2量子状態は存在する。電荷キャリアが正孔の場合有機マトリックスのHOMOから±0.16eV以内で第1量子状態より下位に第2量子状態は存在する。
【0025】
トンネル障壁の高さはトンネル障壁の底辺から頂部までのエネルギー準位の差分の絶対値である。各量子ドットのシェルの厚さとトンネル障壁の高さとポテンシャルのプロファイルの組合せは、電荷キャリアが有機マトリックスから各量子ドットにトンネルするであろう0.1から0.9までのトンネリング確率に対応することがある。0.1から0.9までのトンネリング確率において、シェルの厚さは0.1から10ナノメートルの範囲が好ましい。
【0026】
さらに好ましくは、各量子ドットのシェルの厚さとトンネル障壁の高さとポテンシャルのプロファイルの組合せは、電荷キャリアが有機マトリックスから各量子ドットにトンネルするであろう0.2から0.5までトンネリング確率に対応することである。0.2から0.5までのトンネリング確率において、シェルの厚さは0.1から10ナノメートルの範囲が好ましい。
【0027】
有機マトリックスは光伝導低分子半導体から成ることがあり、または光伝導ポリマー半導体から成ることがある。
【0028】
もし各量子ドットが無機半導体から成るとすると、各量子ドットの周囲のシェルは無機半導体、無機電気絶縁体、有機半導体、または有機電気絶縁体であることがある。
【0029】
無機半導体からなる量子ドットにおいて、埋め込まれた量子ドットは重複関係にある有機ドナー層と有機アクセプタ層とを更に備える装置内に配置され、ドナー層とアクセプタ層の間に配置された有機マトリックス内に量子ドットは埋め込まれる。電荷キャリアが電子の場合、ドナー層の低非占有分子軌道(LUMO)はトンネル障壁の最上位部よりも高いことが好ましい。電荷キャリアが正孔の場合、アクセプタ層の最高占有分子軌道(HOMO)はトンネル障壁の最上位部よりも低いことが好ましい。
【0030】
もし各量子ドットが有機半導体から成るとすると、各量子ドットの周囲のシェルは有機半導体または有機電気絶縁体であることがある。
【0031】
有機半導体からなる量子ドットにおいて、埋め込まれた量子ドットは重複関係にある有機ドナー層と有機アクセプタ層とを更に備える装置内に配置され、ドナー層とアクセプタ層の間に配置された有機マトリックス内に量子ドットは埋め込まれる。電荷キャリアが電子の場合、ドナー層の低非占有分子軌道(LUMO)はトンネル障壁の最上位部よりも高いことが好ましい。電荷キャリアが正孔の場合、アクセプタ層の最高占有分子軌道(HOMO)はトンネル障壁の最上位部よりも低いことが好ましい。
【0032】
複数の量子ドットの中の一つの量子ドットと各量子ドットの周囲のシェルは単一デンドリマー分子としてまとめられることがある。そのような場合、デンドリマー分子の主要な部分は量子ドットとして働くことがあり、デンドリマー分子の化学的シェルはトンネル障壁、つまり量子ドットの周囲のシェルとして働くことがある。
【0033】
量子ドットにおいて、シェルの厚さは0.1から10ナノメートルの範囲内にあることが好ましい。さらに好ましくは、0.1から10ナノメートルの範囲内であり、シェルの厚さが各量子ドットの中心を通り、平均的な断面の厚さの10%以下でありうる。
【0034】
埋め込まれた量子ドットは太陽電池のような感光性装置に取り付けられることがある。
【0035】
図面の詳細な説明
図1は中間バンド太陽電池を示す。
【0036】
図2Aと2Bは、中間バンドを形成する最低量子状態を伝導帯内に有する、無機マトリックス材内の無機量子ドットの断面のエネルギーバンド図である。
【0037】
図3Aと3Bは、中間バンドを形成する最高量子状態を価電子帯内に有する、無機マトリックス材内の無機量子ドットの断面のエネルギーバンド図である。
【0038】
図4は、図2Aと2Bで示した無機マトリックス材内に無機量子ドットを備えた、図1の中間バンド太陽電池のエネルギーバンド図である。
【0039】
図5は、コロイド溶液で作られ一般的に理想化された、図1の装置内の量子ドットアレイの断面図である。
【0040】
図6は、電子のトラッピングと下方遷移を示した、無機マトリックス材内の無機量子ドットの断面におけるエネルギーバンド図である。
【0041】
図7は、トンネル障壁を含むように加工された、図5で示されたような量子ドットアレイの断面図である。
【0042】
図8Aと8Bは、有機マトリックス材内に埋め込まれた無機量子ドットの断面におけるエネルギーバンド図である。量子ドットは、中間バンドを形成する最低量子状態をバンドギャップの上位に図7で示したようなトンネル障壁を有する。
【0043】
図9は、図8Aと8Bで示したような無機量子ドットを含み、図1に基づいた中間バンド太陽電池のエネルギーバンド図である。
【0044】
図10Aと10Bは有機マトリックス材に埋め込まれた無機量子ドットの断面におけるエネルギーバンド図である。量子ドットは、中間バンドを形成する最高量子状態をバンドギャップの下位に図7で示したようなトンネル障壁を有する。
【0045】
図11は、図10Aと10Bで示したような無機量子ドットを含み、図1に基づいた中間バンド太陽電池のエネルギーバンド図である。
【0046】
図12Aと12Bは有機マトリックス材に埋め込まれた有機量子ドットの断面におけるエネルギーバンド図である。量子ドットは、中間バンドを形成する最低量子状態をバンドギャップの下位に図7で示したようなトンネル障壁を有する。
【0047】
図13Aと13Bは有機マトリックス材に埋め込まれた有機量子ドットの断面におけるエネルギーバンド図である。量子ドットは、中間バンドを形成する最高量子状態をバンドギャップの下位に図7で示したようなトンネル障壁を有する。
【0048】
図14は、図12Aと12Bで示したような有機量子ドットを含み、図1に基づいた中間バンド太陽電池のエネルギーバンド図である。
【0049】
図15は、図13Aと13Bで示したような有機量子ドットを含み、図1に基づいた中間バンド太陽電池のエネルギーバンド図である。
【0050】
図16−18は、有機マトリックス内にトンネル障壁を有する量子ドットの更なる例示による断面の配置図である。
【0051】
図19と20は、矩形障壁を通過するトンネリングを示す図である。
【0052】
図21は、三角形状のトンネル障壁を示す図である。
【0053】
図22は、放物線状のトンネル障壁を示す図である。
【0054】
これらの図は原寸で必ずしも図示されてはいない。
【0055】
発明の詳細な説明
太陽電池の効率向上のために研究されている一つの方法は、太陽電池のバンドギャップ内に中間バンドを形成するために量子ドットを利用することである。量子ドットは3次元内の電荷キャリア(電子、正孔、および/または励起子)を異なる量子エネルギー状態に限定する。各量子ドットの断面の寸法は通常100オームストロングのオーダーまたはそれ以下である。中間バンド構造は、別の方法においても、ドット間の重なり合った波動関数により区別できる。”中間”バンドは重なり合った波動関数によって形成された連続したミニバンドである。波動関数は重なり合うが、隣接したドット間には物理的な接触はない。
【0056】
図1は中間バンド装置の例を示す図である。その装置は、第1コンタクト110、第1輸送層115、半導体バルクマトリックス材120内に埋め込まれた複数の量子ドット130、第2輸送層150、および第2コンタクト155から成る。
【0057】
無機材料から形成された装置において、一つの輸送層(115、150)はp型でありえ、別の輸送層はn型である。バルクマトリックス材120と量子ドット130は固有の物でありえる(ドープされたものではない)。輸送層115、150とバルクマトリックス材120間の接触面は装置内で電流の流れを一方向にする整流作用を備えていることがある。
【0058】
層のこのような同じ基礎パターンは、無機と有機材を混合した材料や有機材で形成される装置にも使用されることがある。例えば、輸送層(115、150)はドナー層やアクセプタ層から成り、バルクマトリックス材120に対してエネルギー準位オフセットを有し、輸送層とバルクマトリックス材との間の接続面は整流作用を備えている。有機なのか無機材であるのかの選択肢として、コンタクト(110、155)と輸送層(115、150)間の接触面による電流の流れる整流作用が提供されることがある。
【0059】
バンドの配置により、中間バンドはドット130内のバンドギャップより上位にある最低量子状態、またはドット130内のバンドギャップより下位にある最高量子状態と一致することがある。
【0060】
図2A、2B、3Aおよび3Bは無機バルクマトリックス材120内の事例である無機量子ドット130を通る断面によるエネルギーバンド図である。ドット内において、伝導帯は量子状態275に分類され、価電子帯は量子状態265に分類される。
【0061】
図2Aと2Bに示されるように、ドットの伝導帯内の最低量子状態(Ec,1)は中間バンド280を形成する。エネルギーhνを有する第1光子の吸収によって、電子のエネルギーがE分増加し、価電子帯から伝導帯に電子が励起し、量子ドットの電子基底準位Ee,1に位置する。エネルギーhνを有する第2光子の吸収によって、電子のエネルギーがE分増加し、量子ドットの基底準位Ee,1からバルク半導体120の伝導帯端に電子が励起し、電子は自由になり、光電流として貢献する。エネルギーhνを有する第3光子の吸収によって、電子のエネルギーがEに増加し、価電子帯から伝導帯に直接的に電子が励起し(バルクマトリックス材120自体内でも発生することができる)、電子は自由になり、光電流として貢献する。
【0062】
図3Aと3Bに示されるように、価電子帯内の最高量子状態(Eh,1)は中間バンド280を形成する。エネルギーhνを有する第1光子の吸収によって、エネルギーEh、1を有する電子のエネルギーがE分増加し、バンドギャップに入り込んでいる価電子帯から伝導帯に電子が励起し、それ故電子正孔対が生成される。概念的に、これはEによる伝導帯内の正孔の励起として考えることができ、それ故正孔はEh、1量子状態に移る。エネルギーhνを有する第2光子の吸収によって、正孔のポテンシャルエネルギーがE分増加し、量子ドットの基底準位Eh,1からバルク半導体120価電子帯端に電子が励起し、正孔は自由になり、光電流として貢献する。
【0063】
図4は図2Aおよび2Bで示された特性を有するドットアレイを用いた中間バンド装置のためのエネルギーバンド図を示している。隣接する量子ドット間のEe,1のエネルギー状態の重なり合う波動関数の集合は、バルクマトリックス半導体120の伝導帯端(E)と価電子帯(E)間に中間バンド280を形成する。同じ装置でも同様に、量子ドットが除かれた場合、エネルギーhνの光子の吸収により電子−正孔対が生成され、それゆえ光電流が発生する。中間バンド280は2つ分のサブバンドギャップにおける光子のhνやhνの吸収を可能にし、更なる光電流の生成を補助する。図4において、輸送層115と150は整流作用のために備えられている。
【0064】
同様に、同じ基礎構造を有する中間バンドの配置により有機半導体の利用を可能にし、同様にバルクマトリックス材としての有機半導体と量子ドットとしての無機半導体との混合物を利用できる。もし有機バルクマトリックス材120を利用するなら、輸送層(115、150)は有機ドナー層と有機アクセプタ層を含むこともある。もし有機バルクマトリックス材と共に無機量子ドットを利用するなら、Ee,1またはEh,1エネルギー状態により中間バンドが備わることもある。もし有機バルクマトリックス材と共に有機量子ドットを利用するなら、ドットのLUMOまたはHOMOに中間バンドが備わることもある。
【0065】
図5は球状量子ドットの配列を含む装置の断面を示す。実際、実在するドットの形状は製造技術に依存する。たとえば、無機量子ドットはコロイド溶液内に半導体ナノ微結晶として形成されることができ、たとえば、従来知られている”ゾル−ゲル”法である。たとえ実在するドットが真の球状ではなくても、それにもかかわらず球状による精密なモデルを提供できることがある。
【0066】
無機中間バンドの量子ドット装置や製作におけるさらなる背景技術として、A.マーティ等著(A. Luque, et al.)、”量子ドット中間バンド太陽電池の設計制限”(Design constraints of quantum−dot intermediate band solar cell)、フィジカ E 14巻(Physica E 14)、150−157頁、2002年; A.ルーケ等著(A. Luque, et al.)、”中間バンド太陽電池の実現に向けた進展”(Progress towards the practical implementation of the intermediate band solar cell)、 第29回電気電子技術者協会 光起電力専門部会 学会録(Conference Record of the Twenty−Ninth IEEE Photovoltaic Specialists Conference)、1190−1193頁、2002年; A.マーティ等著(A. Marti et al.)、”部分的に充填された太陽電池用量子ドット中間バンド”(Partial Filling of a Quantum Dot Intermediate Band for Solar Cells)、電気電子技術者協会 トランザクション オン エレクトロンデバイス(IEEE Transactions on Electron Devices) 48巻、 2394−2399頁、2001年; Y.蛯子等著、”InAs/GaAs内のアイランド サイズ スケールの自己組織化量子ドット(Island Size Scaling in InAs/GaAs Self−Assembled Quantum Dots)、フィジカル・レビュー・レターズ(Physical Review Letters)、80巻、 2650−2653頁、1998年; およびペトロフ(Petroff)等の米国特許第6,583,436号(2003年6月24日)を参照されたい、またそれぞれはこの技術の詳細な状況の説明における参照のために本願に組み込まれる。
【0067】
中間バンドの形成によって装置性能が改善される一方で、その結果は予想される理論的な光電流の改善には及んでいない。確認されている問題の一つは光電流に影響する自由キャリアの量子ドットによるトラッピングである。図6は、電荷キャリアが励起状態Ee,2(601)または基底状態Ee,1(602、603)へ下方遷移する際に、量子ドット130によりトラッピングされている自由電子が示されている。この下方遷移プロセスによって、フォノンとして核子にエネルギーが吸収され、光電流が減少する。類似キャリアの下方遷移やトラッピングもまた正孔にも起こる。したがって、中間バンド太陽電池の性能を改善するために、電荷トラッピングによる電荷キャリアの下方遷移を減らす必要がある。
【0068】
下方遷移トラッピングを減らす解決方法は、各量子ドットを薄いバリアシェルで包み込むことであり、キャリアがドットに入るため量子力学トンネリングすることを必要とする。古典力学において、電子はより高いポテンシャルの障壁に作用する際、それは潜在的にポテンシャルの”壁”に閉じ込められている。量子力学において、電子はその波動関数によって存在することができる。波動関数は有限のポテンシャルの高さの壁において突然収束はせず、障壁を通り抜けることができる。同じ原理が正孔にも適用される。電子や正孔が有限の高さの障壁をトンネリングする確率Tは0ではなく、シュレディンガ方程式によって決定される。Tに従い、障壁を通り抜ける電子または正孔は簡単に障壁の反対側に存在できる。トンネリングやシュレディンガ方程式の量子力学の現象における更なる背景論議として、図19−22を用いて下記に示され、同様にロバート F. ピエレ著(Robert F . Pierret)、”固体デバイス上のモジュラーシリーズ 第4巻,先端半導体基礎”第2章、量子力学の要素(Modular Series On Solid State Devices Volume VI, Advanced Semiconductor Fundamentals,” Chapter 2, Elements of Quantum Mechanics)、25−52頁、アディソン・ウェズリー出版(Addison−Wesley Publishing)、1989年; およびクォク K.ヌグ.著((Kwok K . Ng)、”半導体デバイスの完全ガイド”,第2版,アペンディックスB8,トンネリング(Complete Guide to Semiconductor Devices,” 2d ed., Appendix B8)、625−627頁、ウィリー・インターサイエンス社(Wiley− Interscience)、2002年を参照されたい。ピエレやヌグによるこれらの章は、背景の説明のために本願に組み込まれる。
【0069】
図7は量子ドットアレイの一般的な断面図であり、各量子ドットはトンネル障壁140を含むように加工されている。量子ドット130と量子ドット130の周辺のトンネル障壁140は物質的にそして分子的にそれぞれ異なることがあり、もしくは主要な一部および単一デンドリマー分子のシェルとして統合されることがある。
【0070】
図8Aおよび8Bは有機バルクマトリックス材120内の無機量子ドット130を示しているエネルギーバンド図である。量子ドット130は電子におけるトンネル障壁140を含むように加工されている。有機マトリックス内に無機ドットを有し、トンネル障壁は無機または有機の材料から形成されることがある。バンドギャップより上位の第1量子状態は中間バンド280を形成する。いくつかの自由電子はトンネル障壁によって跳ね返される(801)であろう。そのような電子は光電流の一因としてまだ利用できる。いくつかの自由電子はトンネル障壁(802)を通り抜け、ドットの内側や外側にトンネリングするであろう。
【0071】
障壁140を抽象的に見るとすれば、自由電子がそれをトンネリングする可能性は障壁の別の方からでも同様のことである。たとえば、もし障壁が0.5のトンネル確率(T)であるなら、障壁を通り抜ける(エネルギーEを有する)電子がトンネリングする可能性は50%ある。しかしながら、緩和および/または下方遷移により電子がより低いエネルギー状態に移動する前に、量子ドット自体の内部において閉じ込められた小さな領域では、個々の電子は出て行くという非常に高い可能性が得られ、そしてLUMObulkまたはそれより上位のエネルギーを有する電子は空間における閉じ込めのため障壁に絶えず作用している。
【0072】
ドット内におけるバンドギャップ以下の電子は、hνエネルギーを有する光子によって、中間バンドを形成する第1量子状態(たとえば、Ee,1)に励起される。hνエネルギーを有する光子は、その中間バンドから、電子がトンネル障壁140を通過して(803)バルクマトリックス材120のLUMObulkエネルギー準位にトンネリングするようなエネルギーに電子を励起する。さらに、hνエネルギーを有する光子は障壁140より上位(804)に電子を励起することもある。障壁より上位に励起された電子はΔEの余分なエネルギーを有する。この余分なエネルギーΔEは障壁を越えた電子がLUMObulkエネルギー準位に下方遷移する際にすぐになくなる。トンネル障壁140がない場合のトラッピングによるエネルギー損失と比較すると、この余分エネルギーの損失は比較的小さく、また一般的に、電子が隣接するドットによるトラップが可能になる前に、それは起こる(つまり、トンネル障壁140を通り抜けるというよりは、むしろそれを越えて隣接するドットに入り込む)。
【0073】
エネルギーがhνの光子は、HOMObulkエネルギー準位から、それがトンネル障壁140を通り抜け(805)バルクマトリックス材120のLUMObulkエネルギー準位にトンネリングするようなエネルギー準位に、直接電子を励起することがある。さらに、hνエネルギーを有する光子は、障壁140を越えて(806)HOMObulkエネルギー準位から電子を直接励起することがある。
【0074】
ドットの中や外を通りぬける(802)自由電子が下方遷移する確率をさらに小さくするために、第2量子状態(たとえばEe,2)がバルク材のLUMObulkエネルギー準位と実質等しいことが好ましい。具体的にいうと、第2量子状態はLUMObulkエネルギー準位の±5κT以内であることが好ましく(κはボルツマン定数、Tは動作温度である)、それによって第2量子状態とLUMObulkエネルギー準位と間に重なりが形成される。自由電子は、量子ドット内の禁制準位に対応しているエネルギーでドットに入るならば、統計的には下方遷移によりトラッピングされやすくなる。つまり、ドット内の第2量子状態をLUMObulkエネルギー準位±5κT以内にすることにより、トラッピングの確率は減少する。
【0075】
有機感光性装置における動作温度は−40℃から+100℃の範囲を有するように一般的に指定されている。そして、最大限界値である100℃での使用、および±5κT(つまり、5×1.3806505E−23(J/K)/1.602E−19(J/eV)×(T℃+273.15)°K)の解法により、第2量子状態はバルクマトリックス材120のバンドギャップ端から±0,16eV以内にあるべきである。
【0076】
図9は図8Aおよび8Bの量子ドットを利用した装置におけるエネルギーバンド図である。輸送層115(ドナー)や輸送層150(アクセプタ)は、整流をするために配置され、それゆえ電流が流れる方向が操作でき、そして電子−正孔が分離するための接触面を備える。輸送層115、150は光伝導性であることが望ましく、装置によって生成される光電流に貢献する。量子ドットと輸送層115との間の相対的な距離と、電子が障壁140(804または806)を越えて量子ドットから離れLUMObulkエネルギー準位に下方遷移する時間とによって、いくつかの構成において、障壁140を越えて量子ドットから離れる電子が輸送層115内で逆方向の電流の流れを形成するための十分なエネルギーを有する可能性がある。それゆえ、距離と下方遷移時間に依存し、輸送層115のLUMOとトンネル障壁140の頂部間の差分であるΔEを考慮すべきである。輸送層115を利用した接触面での整流を維持するために、輸送層115のLUMOはトンネル障壁の頂部よりも大きいことが好ましい。もしトンネル障壁140が有機であるなら、その頂部はLUMObarrier頂部である。もしトンネル障壁140が無機であるならその頂部は伝導帯端(EC,barrier)頂部である。
【0077】
図10Aおよび10Bは有機バルクマトリックス材120内の無機量子ドット130を示しているエネルギーバンド図である。量子ドット130は正孔におけるトンネル障壁140を含むように加工されている。有機マトリックス内に無機ドットを有し、トンネル障壁は無機または有機の材料から形成されることがある。バンドギャップより下位の第1量子状態は中間バンド280を形成する。いくつかの正孔はトンネル障壁によって跳ね返される(1001)であろう。そのような正孔は光電流の一因としてまだ利用できる。いくつかの正孔はトンネル障壁(1002)を通り抜け、ドットの内側や外側にトンネリングするであろう。
【0078】
図8Aおよび8Bを用いて上記で説明した電子の例のように、緩和および/または下方遷移により正孔がより高いエネルギー状態に”移動”する前に、量子ドット自体の内部において閉じ込められた小さな領域では、個々の正孔は出て行くという非常に高い可能性が得られ、それゆえHOMObulkまたはそれ以下のエネルギーを有する正孔は空間における閉じ込めのため障壁を絶えず通り抜けている。
【0079】
ドット内におけるバンドギャップより上位の正孔は、hνエネルギーを有する光子によって、中間バンドを形成する第1量子状態(たとえば、Eh,1)に励起される。図3Aおよび3Bを用いて上記で説明された概念のように、LUMO内の正孔の励起は、中間バンド内での電子−正孔対の生成と、LUMOに励起されている電子と中間バンド内に残されている正孔とで、概念的に置き換えができる。
【0080】
hνエネルギーを有する光子は、中間バンドから、正孔がトンネル障壁140を通過して(1003)バルクマトリックス材120のHOMObulkエネルギー準位にトンネリングするようなエネルギーに正孔を励起する。さらに、hνエネルギーを有する光子は障壁140より上位(1004)に正孔を励起することもある(”より上位”は正孔が励起するということで用いる)。障壁より上位に励起された正孔はΔEの余分なエネルギーを有する。この余分なエネルギーΔEは障壁を越えた正孔がHOMObulkエネルギー準位に下方遷移する際にすぐになくなる。トンネル障壁140がない場合のトラッピングによるエネルギー損失と比較すると、この余分エネルギーの損失は比較的小さく、また一般的に、正孔が隣接するドットによるトラップが可能になる前に、それは起こる(つまり、トンネル障壁140を通り抜けるというよりはむしろ越えて隣接するドットに入り込む)。
【0081】
エネルギーがhνの光子は、LUMObulkエネルギー準位から、それがトンネル障壁140を通り抜け(1005)バルクマトリックス材120のHOMObulkエネルギー準位にトンネリングするようなエネルギー準位に、直接正孔を励起することがある。さらに、hνエネルギーを有する光子は、がトンネル障壁140を越えて(1006)LUMObulkエネルギー準位から直接励起することがある。
【0082】
ドットの中や外を通り抜ける(1002)自由電子が下方遷移する確率をさらに小さくするために、量子ドットの第2量子状態(たとえばEh,2)はバルク材のHOMObulkエネルギー準位と実質等しいことが好ましい。具体的にいうと、第2量子状態はバルク材のHOMObulkエネルギー準位の±5κT以内であるべきであり、それによって第2量子状態とHOMObulkエネルギー準位と間に重なりが形成される。正孔は、量子ドット内の禁制準位に対応しているエネルギーでドット内に入るならば、統計的に下方遷移によりトラッピングされやすくなる。つまり、ドット内の第2量子状態をLUMObulkエネルギー準位±5κT以内にすることにより、トラッピング確率は減少する。
【0083】
図11は図10Aおよび10Bの量子ドットを利用した装置におけるエネルギーバンド図である。輸送層115(ドナー)や輸送層150(アクセプタ)は、整流をするために再配置され、それゆえ電流が流れる方向が操作でき、そして電子−正孔が分離するための接触面を備える。輸送層115、150は光伝導性であることが望ましく、装置によって生成される光電流に貢献する。量子ドットと輸送層115との間の相対的な距離と、正孔が障壁140(1004または1006)を越えて量子ドットから離れHOMObulkエネルギー準位に下方遷移する時間とによって、いくつかの構成において、障壁140を越えて量子ドットから離れる正孔が輸送層150内で逆方向の電流の流れを形成するための十分なエネルギーを有する可能性がある。それゆえ、距離と下方遷移時間に依存し、輸送層150のHOMOとトンネル障壁140の頂部間の差分であるΔEを考慮すべきである。輸送層150を利用した接触面での整流を維持するために、輸送層のHOMO端はトンネル障壁の頂部よりも低いことが好ましい。もしトンネル障壁140が有機であるなら、その頂部はHOMObarrier頂部である。もしトンネル障壁140が無機であるなら、その頂部は価電子帯端(Ev,barrier)頂部である。
【0084】
ここで、トンネリングする電子における障壁の”頂部(ピーク)”とは障壁の一番高いエネルギー端のことであり、同様に”基部(ベース)”とは障壁との接触面におけるバルクマトリックス材内のエネルギー準位に相当することである。トンネリングする正孔における障壁の”頂部”とは障壁の一番低いエネルギー端のことであり(つまり、エネルギーバンド図に関した最小ポテンシャル)、同様に”基部(ベース)”とは障壁との接触面におけるバルクマトリックス材内のHOMObulkエネルギー準位に相当する。
【0085】
有機分子のキャリアは分子軌道に堅く束縛され、バルク無機材の特性電荷集団の連続した特性が欠ける。有機分子はLUMO+1、LUMO+2、HOMO−1、HOMO−2などのようにさらに高次に量子準位が分離することがある。もしキャリアが障壁(つまり804、806、1002、1006)を越えてドットから出なければ、有機バルクマトリックス120の高次の軌道(たとえばHOMO−1、HOMO−2、LUMO+1、LUMO+2)に近いエネルギーになり、キャリアは許されたエネルギー準位内のバンドギャップに移行するであろう。好ましくは、障壁を越える電荷キャリアのトラッピングを小さくするため、障壁140とバルクマトリックス120材はバルクマトリックス内の高次の軌道が障壁の頂部から±5κTの範囲内に位置しないように選択される。
【0086】
図8Aおよび8Bで説明され明確にされた無機量子ドットの特性は、無機量子ドットにおいて、Ee,1の量子状態が量子ドット材の伝導帯端(バンドギャップの一番上)と一致することもあればしないこともある。たとえ量子ドット内に配置されたとして材料のバンドギャップ端が”許可”された量子状態でなくても、それがバルク材であるかのようにドット材のバンドギャップを説明することはいつものことである。無機量子ドット内での許される量子状態の位置は波動関数に依存する。従来技術において、波動関数/量子状態の位置は操作できる。図8Aおよび8Bに示されているように、これによりバンドギャップ端から離れたEe,1量子状態になることもある。言い換えると、無機量子ドットに示されるバンドギャップ端は許される量子状態に位置する必要はないこともある。これらの特性はまた無機量子ドット(つまり、図10Aおよび10B内のEh,1)の価電子帯端に当てはまる。これは有機量子ドットの特性とは異なり、その中ではバンドギャップを定義するHOMOとLUMOが常に許される状態にある。
【0087】
もし無機ドットがコロイド溶液中に超微細結晶として普通に作られるなら、トンネル障壁140として用いられる無機半導体や無機絶縁体は、たとえば、同じコロイド方法、化学蒸着(CVD)、障壁材の蒸発、または溶液または酸化材への超微細結晶の浸透のような作業の後に加えられることがある。もし有機半導体や有機絶縁体をトンネル障壁140として採用したなら、たとえば有機気相堆積法(OVDP)や溶液内へのドットの浸透によって、有機障壁は量子ドットに加えられることがある。
【0088】
障壁に覆われる無機ドットや有機バルクマトリックス材のアレイは層毎に堆積されることがあり、連続したラインとして各層にドットを堆積する。障壁に覆われる無機量子ドットはさらに、有機バルクマトリックス材と共に、ドットとコロイド分散体(検査液)を形成しているバルクマトリックス材との混合材と共に、真空中で共堆積されることがある。有機バルクマトリックス材は分散媒体として用いられる。バルクマトリクス材内でのドットの適した濃度は、他の方法において、クローニッヒ−ペニーモデルによって選択されることがある。
【0089】
図12A、12B、13A、および13Bは有機トンネル障壁を含む有機マトリックス材の有機量子ドットの断面におけるエネルギーバンド図である。エネルギー輸送、トンネリング工程、および設計指針は、それぞれ、図8および10を用いて上記で説明されたものを含む。図12Aおよび12Bを参照すると、第1量子状態(つまり中間バンド280として)はLUMOQDにより備えられ、第2量子状態はLUMO+nQD(n≧1)により備えられる。図13Aおよび13Bを参照すると、第1量子状態(つまり中間バンド280として)はHOMOQDにより備えられ、第2量子状態はHOMO−nQD(n≧1)により備えられる。
【0090】
無機量子ドットを有する装置と有機量子ドットを有する装置を識別する特徴はバンドギャップ端を定義しているLUMOとHOMO状態が常にエネルギー状態を許していることである。比較すると、無機ドットを備えていると、Ee,1およびEh,1量子状態はバンドギャップ端と一致することもあればしないこともある。
【0091】
各有機量子ドット130は低分子またはデンドリマー分子からなる光導電材から作られることが望ましく、しかし、トンネル障壁で覆われることが可能などのような光導電性有機材でも使用することができる(たとえば、ポリマー、短鎖ポリマーのようなもの)。各有機量子ドットは一つ以上の分子であることもあり、好ましくは関連する電荷キャリア(正孔または電子)のおよそドブロイ波長の次数における断面の大きさを有することであり、それは一般的に数百Åの次数またはそれ以下である。無機ドットに関し、ミニバンドを形成するためにドット間で波動関数が重なりあうように、好ましくはドットが配置される。
【0092】
たとえば、有機気相堆積法(OVDP)や溶液内へのドットの浸透によって、有機障壁140は量子ドット130に加えられることがある。トンネル障壁140はまたデンドリマーのシェルや、量子ドット130として働くデンドリマーの主要な一部として形成されることもある。
【0093】
障壁に覆われた有機ドットや有機バルクマトリックス材のアレイは層毎に堆積されることがあり、連続したラインとして各層にドットを堆積する。障壁に覆われた有機ドットはまた、有機バルクマトリックス材と共に、ドットとコロイド分散体(検査液)を形成しているバルクマトリックス材との混合材と共に、真空中で共堆積されることがある。バルクマトリックス材は分散媒体として用いられる。バルクマトリクス材内でのドットの適した濃度は、他の方法において、クローニッヒ−ペニーモデルによって選択されることがある。
【0094】
図14は図12Aおよび12Bにおける量子ドットを利用した装置によるエネルギーバンド図である。図15は図13Aおよび13Bにおける量子ドットを利用した装置によるエネルギーバンド図である。設計指針は図9および11を用いてそれぞれ上記で説明されたものを含む。
【0095】
図16−18は有機マトリックス内にトンネル障壁140を有する量子ドット130の変形断面のさらなる例示である。他の例と同じように、量子ドットは有機でも無機でも構わない。
【0096】
図16はバルクマトリックス120がドナー層として配置されているドナー−アクセプタヘテロ接合の図である。図17はバルクマトリックス120がアクセプタ層として配置されているドナー−アクセプタヘテロ接合の図である。
【0097】
図18は二つの異なるバルクマトリックスにより形成されるドナー−アクセプタヘテロ接合の図である。第1バルクマトリックス120はドナーとして配置され、第2バルクマトリックス120’はアクセプタとして配置されている。二つのバルクマトリックス内の量子ドット130、130’は同じ材料または異なる材料で作られることがある。同様に、いくつかのドット障壁140、140’は、正孔がトンネリングするため配置され、そしてその他は電子がトンネリングするため配置され、またはドナー−アクセプタの接触面の両サイド上のドットおよびドット障壁は同様のものがトンネリングするため配置されることがある。ドナー−アクセプタの接触面の各側面上の中間バンド280のエネルギー準位は異なることがあり、ドットを経由して(つまり中間バンドを通り抜け)各バルクマトリックスのバンドギャップを電荷キャリアが超えられるほどの増加が必要とされる入射光子のエネルギーもまた異なることがある。
【0098】
上記で説明したように、有機量子ドット130において、ドットを形成することができる有機半導体材料の例として、光導電性低分子、光導電性デンドリマー分子、および光導電性ポリマーが含まれる。
【0099】
無機量子ドット130において、ドットを形成することができる無機光導電性半導体材として、AlAs、AlSb、AlP、AlN、GaAs、GaSb、GaP、GaN、InAs、InSb、InP、およびInNのようなIII−V族の化合物半導体や、CdS、CdSe、CdTe、ZnO、ZnS、ZnSeおよびZnTeのようなII−VI族の化合物半導体や、PbS、PbSe、PbTe、およびSiCのようなその他の化合物半導体や、これらの化合物半導体からなる三元または四元混晶を含む。
【0100】
無機トンネル障壁140において、障壁を形成することができる材料の例として、上述した無機半導体材のほかに、酸化物、窒化物、または酸化窒化物のような絶縁体も含む。適切な関連したエネルギーを有する材料の選び方は従来技術でよく知られており、ここには記述しない。
【0101】
有機または無機量子ドットを用いた有機トンネル障壁140において、障壁を形成することができる材料の例として、ポリマー、チオール、デンドリマー、アルカン鎖、および有機酸化物が含まれる。
【0102】
デンドリマーが量子ドットとして利用されるなら、量子ドット130および障壁層140は双方とも単一デンドリマー分子として一体化されることができる。特に、デンドリマーの主要な部分は量子ドット130として用いられ、デンドリマーのシェルは障壁層140として用いられる。択一的に、デンドリマー分子のすべては、障壁層140として別途コーティング(つまり、ポリマー、チオール、アルカン鎖、および有機酸化物、または異なるデンドリマーのコーティング)と共に量子ドット130として利用されることができる。
【0103】
有機バルクマトリックス材120において、有機マトリックスを形成することができる材料の例として、ポリマーや低分子光導電性材が含まれる。
【0104】
図19−22は量子力学のトンネリングの原理をさらに説明する図である。下記の説明および数式はクォク K.ヌグ.著((Kwok K . Ng)、”半導体デバイスの完全ガイド”,第2版,アペンディックスB8,トンネリング(Complete Guide to Semiconductor Devices,” 2d ed., Appendix B8)、625−627頁、ウィリー・インターサイエンス社(Wiley− Interscience)、2002年の文献の内容に基づいている。とりわけ、説明および数式は電子に加えて正孔に対応するために修正されている。同様に、量子ドット材や障壁材内での電荷キャリアの流行質量は常に著しく変化はしないが、数式は変化に合わせて調整された換算有効質量を使用するために修正される。
【0105】
一般的に、有機および/または無機の材料が感光性装置を製造するのに利用されか否かに関わらず、もし障壁の高さに関するキャリアのエネルギー準位Eがわかっているなら、3つのパラメーターがキャリアのためのトンネリング確率Tを決定するために必要である。それは、トンネル障壁の頂部とキャリア(Φ)のエネルギーとの間の差の絶対値、キャリアのエネルギー準位での障壁の厚さ(Δx)、および障壁のポテンシャルプロファイルU(x)である。障壁のポテンシャルプロファイルU(x)は障壁の”形状(シェープ)”と称されることがある。電子が矩形の障壁を通り抜ける例が図19に示されている。
【0106】
従来技術において、電子におけるトンネリング確率Tの計算のために、波動関数Ψはシュレディンガ方程式から決定されなければならない。
【0107】
【数1】

【0108】
ここで、mは電荷キャリア(この場合、電子)の換算有効質量であり、
【0109】
【数2】

【0110】
は換算プランク定数であり、qは電子の電荷である。
【0111】
電荷キャリアの換算有効質量は、
【0112】
【数3】

【0113】
であり、ここで、mQDは量子ドット内の電荷キャリアの有効質量であり、mbarrierは障壁材内の電荷キャリアの有効質量である。
【0114】
障壁のポテンシャルプロファイルU(x)は急に変化しないので、数式(1)はWKB(Wentzel−Kramers−Brillouin)近似式を用いて簡略化でき、波動関数を決定するために積分することができる。
【0115】
【数4】

【0116】
電子の存在確率は波動関数の大きさの2乗に比例しているので、トンネリング確率Tは次のように与えられる。
【0117】
【数5】

【0118】
図19で示された矩形障壁の場合、トンネリング確率のための解答式は次のように与えられる。
【0119】
【数6】

【0120】
得られた数式(5)を正孔のトンネリングに適応すると、図20(図19で説明された電子のトンネリングを加える)で示したように絶対値Φをとることで、キャリアのエネルギー準位での障壁の厚さ(Δx)を解くために数式を展開すると次のように得られる。
【0121】
【数7】

【0122】
ここで、mは電荷キャリア(電子または正孔)の換算有効質量であり、
デザインの観点から、障壁の厚さΔxは好ましくはトンネル障壁の基部でのエネルギー準位に基づき選択される。有機バルクマトリックス120において、HOMOおよびLUMO準位における量子的性質により障壁140に達している電子が基部のエネルギー準位を有するようになることはほぼ確実である。(基部準位への下方遷移を遅らせるようなHOMO−1やLUMO+1が介在するようなら、例外として障壁を越えるキャリアもある。しかし、たとえそれが起こっても、基部エネルギーを有するキャリアはまだ束縛される)。
【0123】
電荷キャリアのエネルギーEがトンネル障壁の基部のエネルギー準位と同一であるなら、|Φ|は障壁の高さの絶対値と同一であり、それはトンネル障壁の頂部と基部とでの各エネルギー準位の差分である。これらのエネルギー準位はバルクマトリックス材120とバルク材140に用いられる材料の物質的な特徴である。たとえば、図19において、障壁の高さは障壁材のLUMO(有機)または伝導帯端E(無機)からバルクマトリックス材のLUMOを引いたものと同一である。そして図20において、障壁の高さは障壁材のHOMO(有機)または価電子帯端E(有機)からバルクマトリックス材のHOMOを引いたものと同一である。障壁材内の電荷キャリアの有効質量mbarrierおよび量子ドット材内のmQDもまた各材料の物質的な特徴である。さらに、トンネル障壁の基部での厚さΔxはトンネル障壁層140の物質的な厚さと同一である。
【0124】
たとえば、もし電子が無機障壁を通りトンネリングし、障壁のベースのエネルギー準位にEが近似されるなら、数式(6)は次のように表せる。
【0125】
【数8】

【0126】
もし電子が有機障壁を通りトンネリングし、障壁のベースのエネルギー準位にEが近似されるなら、数式(6)は次のように表せる。
【0127】
【数9】

【0128】
もし正孔が無機障壁を通りトンネリングし、障壁のベースのエネルギー準位にEが近似されるなら、数式(6)は次のように表せる。
【0129】
【数10】

【0130】
もし正孔が有機障壁を通りトンネリングし、障壁のベースのエネルギー準位にEが近似されるなら、数式(6)は次のように表せる。
【0131】
【数11】

【0132】
それ故、もし材料が分かっているなら、障壁層140の好ましい厚さΔxはどのようなトンネル確率Tにおいても決定される。
【0133】
不十分な拡散またはトンネル障壁140の境界での他の材料の混入においても、トンネル障壁のポテンシャルプルファイルU(x)はほとんど矩形として近似できる。さらに、材料のどのような組合せにおいても、障壁層が必要とする厚さはトンネル確率の負の自然対数に正比例し次のようになる。
【0134】
【数12】

【0135】
障壁の厚さを計算するための厚さはどのような関数U(x)にも応用できる。トンネル障壁のポテンシャルプロファイルU(x)に関係なく、数式(7)は真である。例えば、図21は三角形状の障壁を示し、図22は放物線状の障壁を示す。
【0136】
図21において、ポテンシャルは次のように表せる。
【0137】
【数13】

【0138】
数式(8)を用いて数式(4)を解くと、トンネル確率は次のように得られる。
【0139】
【数14】

【0140】
得られた数式(9)においてΦを絶対値にし、正孔のトンネリングに適用すると、キャリアのエネルギー準位での障壁の厚さ(Δx)を解くために数式を展開すると次のように得られる。
【0141】
【数15】

【0142】
図19において、ポテンシャルは次のようになる。
【0143】
【数16】

【0144】
数式(10)を用いて数式(4)を解くと、トンネル確率は次のように得られる。
【0145】
【数17】

【0146】
得られた数式(12)においてΦを絶対値にし、正孔のトンネリングに適用すると、キャリアのエネルギー準位での障壁の厚さ(Δx)を解くために数式を展開すると次のように得られる。
【0147】
【数18】

【0148】
それ故、数式(7)は真であり、障壁のポテンシャルプロファイルU(x)に関係しない。
【0149】
障壁140におけるトンネル確率Tは0.1から0.9の間であることが好ましい。更に正確な確率Tはどのような形状においても光電流出力を測定することによって実験的に決定されることがあり、そして得られた効率を決定する。さらに好ましいTの範囲は0.2から0.5である。
【0150】
どのようなトンネル確率T1においても障壁の高さと障壁の厚さとの間で成り立つバランスがある。より低く障壁を形成することで、トンネリングして外に出て行くというよりむしろ、障壁を飛び越えドットから出て行くようなキャリアの下方遷移によるエネルギー損失を少なくすることによって、効率は上昇するであろう。しかし、同じトンネル確率Ttのために障壁層を厚くする必要があるため、別の非効率性を導入すると、光電流の生成に重点を置いた装置の容量の割合は減少する。たとえ、障壁を光伝導性材で形成したとしても、それらが光電流の生成に大きく貢献するとは期待されない(それらの比較的大きなバンドギャップにより)。最終的に厚い障壁は光導電性材のから成る空間を占め、それは光導電性材から成り、そして光電流の生成と効率は下がる。したがって、トンネル障壁における好ましい厚さの制限は0.1から10ナノメートルまでである。0.1から10ナノメートルまでの範囲で、好ましいトンネル障壁の厚さは量子ドットの平均断面厚さの10%以下である。
【0151】
正孔または電子がトンネリング電荷キャリアとして用いられても、通常バンドギャップの反対側のエネルギー準位は反対のキャリアのためトラップを形成しない。たとえば、図8A、8B、12Aおよび12Bを参照すると、障壁層140のEv,barrier(無機)またはHOMOburrierはバルクマトリックス120のHOMObulkの±5κT範囲内であることが好ましい。図10A、10B、13A、および13Bに示されているように、この大まかな±5κTの差分は量子ドットの反対側のEc,barrier(無機)またはLUMObarrier(有機)とLUMObulkとの間にあることが望ましい。量子ドット材は反対のキャリアにとってポテンシャル”トラップ”の深さが最小になるように選択される。更に、バンドギャップの反対側にとって、ポテンシャル”トラップ”範囲内のエネルギー状態が、隣接した障壁層140のエネルギー準位の±5κT範囲内でトラップ範囲内において最外位の量子状態を維持するようにあるのが好ましく、通り抜ける電子または正孔が下方遷移なしで正常に通り抜ける可能性は若干改善する。
【0152】
量子ドット内において図で示されるエネルギー準位の数は単なる例示である。トンネリングする側において、少なくとも2つの量子状態があることが好ましく(中間バンドを形成する一つと隣接するバルクマトリックス材のエネルギー準位と重なるように位置する一つ)、中間バンドを形成する一つの量子状態は一つだけであることもある。同様に、中間バンドはバンドギャップに近い量子状態により形成されることが好ましく、より高位のエネルギー状態が使われる。隣接したドット間の波動関数が重なる限り、量子状態は中間バンドとして機能することができるかどうかに関する決定要因はEおよびEによるキャリアの励起を必要とする2つの波長がドットに入射するかどうかである。
【0153】
実際問題として、もしバンドを通りキャリアを励起するのに必要な2つの波長が量子ドットにまったく入射しなければ、バンドは中間バンドとして機能できない。例えば、EまたはE分励起するために必要とされる波長の一つがバルクマトリックス材、障壁材、などによって吸収された場合、それが量子ドットに入射することはなく、たとえ波長が感光性装置自信に入射してもである。多くの材料において、同じ問題が2つの量子状態を通り励起している内部バンドの実用性を制限する(例えば、価電子帯からEe,1状態へ、それからEe,2状態へ、それから伝導帯へ励起する)。どのような場合においても、トンネル障壁140とバルクマトリックス材120はエネルギーEおよびEを有する光子を十分通すことが求められる。材料を選択する際のバランスについて他に考えることは、バルクマトリックス120内とドット130自体内とにおいて、バルクマトリックスのバンドギャップEを直接横断する(中間バンド内を通過せずに)キャリアの移動による光電流に対する効率と貢献度である。
【0154】
被覆された量子ドットはミニバンドを形成するために配置されるのは好ましいが、とはいえ、波動関数間で重なりを作らない分布は装置の量子効率の改善することがある。更に、多くの異なる種類の被覆量子ドットはエネルギーの広い領域に感度を広げるために装置内に用いられる。例えば、第1の種類の量子ドットはエネルギーEL1やEH1を有する光子に反応し、第2の種類の量子ドットはエネルギーEL2やEH2を有する光子に反応することがあり、ここでEL1、EH2、EL2およびEH2はすべて異なる。
【0155】
上記で説明したように、本願発明の有機感光装置は入射電磁放射から電力を生成するのに使用されることがある(例えば、光起電装置)。その装置は入射電磁放射を検出するのに使用されることがある(例えば、光検出器または光導電電池)。もし光導電電池として使用されるなら、輸送層115および150は除かれる。
【0156】
本発明についてのいくつかの実施形態をここで詳細に示し、および/または、説明した。しかし、本発明の改良および変更は、本発明の精神と対象とする範囲から逸脱することなく、上述の教示によって、また添付の請求項の範囲内でカバーされる、ということが認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】中間バンド太陽電池を示す。
【図2A】中間バンドを形成する最低量子状態を伝導帯内に有する、無機マトリックス材内の無機量子ドットの断面のエネルギーバンド図である。
【図2B】中間バンドを形成する最低量子状態を伝導帯内に有する、無機マトリックス材内の無機量子ドットの断面のエネルギーバンド図である。
【図3A】中間バンドを形成する最高量子状態を価電子帯内に有する、無機マトリックス材内の無機量子ドットの断面のエネルギーバンド図である。
【図3B】中間バンドを形成する最高量子状態を価電子帯内に有する、無機マトリックス材内の無機量子ドットの断面のエネルギーバンド図である。
【図4】図2Aと2Bで示した無機マトリックス材内に無機量子ドットを備えた、図1の中間バンド太陽電池のエネルギーバンド図である。
【図5】コロイド溶液で作られ一般的に理想化された、図1の装置内の量子ドットアレイの断面図である。
【図6】電子のトラッピングと下方遷移を示した、無機マトリックス材内の無機量子ドットの断面におけるエネルギーバンド図である。
【図7】トンネル障壁を含むように加工された、図5で示されたような量子ドットアレイの断面図である。
【図8A】有機マトリックス材内に埋め込まれた無機量子ドットの断面におけるエネルギーバンド図である。量子ドットは、中間バンドを形成する最低量子状態をバンドギャップの上位に図7で示したようなトンネル障壁を有する。
【図8B】有機マトリックス材内に埋め込まれた無機量子ドットの断面におけるエネルギーバンド図である。量子ドットは、中間バンドを形成する最低量子状態をバンドギャップの上位に図7で示したようなトンネル障壁を有する。
【図9】図8Aと8Bで示したような無機量子ドットを含み、図1に基づいた中間バンド太陽電池のエネルギーバンド図である。
【図10A】有機マトリックス材に埋め込まれた無機量子ドットの断面におけるエネルギーバンド図である。量子ドットは、中間バンドを形成する最高量子状態をバンドギャップの下位に図7で示したようなトンネル障壁を有する。
【図10B】有機マトリックス材に埋め込まれた無機量子ドットの断面におけるエネルギーバンド図である。量子ドットは、中間バンドを形成する最高量子状態をバンドギャップの下位に図7で示したようなトンネル障壁を有する。
【図11】図10Aと10Bで示したような無機量子ドットを含み、図1に基づいた中間バンド太陽電池のエネルギーバンド図である。
【図12A】有機マトリックス材に埋め込まれた有機量子ドットの断面におけるエネルギーバンド図である。量子ドットは、中間バンドを形成する最低量子状態をバンドギャップの下位に図7で示したようなトンネル障壁を有する。
【図12B】有機マトリックス材に埋め込まれた有機量子ドットの断面におけるエネルギーバンド図である。量子ドットは、中間バンドを形成する最低量子状態をバンドギャップの下位に図7で示したようなトンネル障壁を有する。
【図13A】有機マトリックス材に埋め込まれた有機量子ドットの断面におけるエネルギーバンド図である。量子ドットは、中間バンドを形成する最高量子状態をバンドギャップの下位に図7で示したようなトンネル障壁を有する。
【図13B】有機マトリックス材に埋め込まれた有機量子ドットの断面におけるエネルギーバンド図である。量子ドットは、中間バンドを形成する最高量子状態をバンドギャップの下位に図7で示したようなトンネル障壁を有する。
【図14】図12Aと12Bで示したような有機量子ドットを含み、図1に基づいた中間バンド太陽電池のエネルギーバンド図である。
【図15】図13Aと13Bで示したような有機量子ドットを含み、図1に基づいた中間バンド太陽電池のエネルギーバンド図である。
【図16】有機マトリックス内にトンネル障壁を有する量子ドットの更なる例示による断面の配置図である。
【図17】有機マトリックス内にトンネル障壁を有する量子ドットの更なる例示による断面の配置図である。
【図18】有機マトリックス内にトンネル障壁を有する量子ドットの更なる例示による断面の配置図である。
【図19】矩形障壁を通過するトンネリングを示す図である。
【図20】矩形障壁を通過するトンネリングを示す図である。
【図21】三角形状のトンネル障壁を示す図である。
【図22】放物線状のトンネル障壁を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の量子ドットと、有機マトリックスと、を含み、
前記各量子ドットはシェルを有し、
前記量子ドットは前記有機マトリックス内に埋め込まれ、
少なくとも前記量子ドットと前記有機材は光伝導半導体であり、
前記各量子ドットの周囲の前記シェルは、前記有機マトリックスの最低非占有分子軌道(LUMO)における電子が前記各量子ドットに到達するため量子力学的なトンネリングを必要とするように、トンネル障壁として備えられており、
前記各量子ドット内のバンドギャップより上位の第1量子状態は、前記LUMOと前記有機マトリックスの最高占有分子軌道(HOMO)との間に位置し、前記複数の量子ドットの前記第1量子状態での複数の波動関数が中間バンドとして重なり合う、感光性装置。
【請求項2】
前各量子ドットは、第2量子状態をさらに有し、
前記第2量子状態は、前記第1量子状態の上位であって、前記有機マトリックスの前記LUMOから±0.16eVの範囲内に位置する、請求項1の感光性装置。
【請求項3】
前記トンネル障壁の高さは、前記トンネル障壁の頂部と前記有機マトリックスの前記LUMOとの間の差分を有するエネルギー準位の絶対値であり、
前記トンネル障壁の前記高さとポテンシャルプロファイルと、前記各量子ドットの周囲の前記シェルの厚さとの組合せは、0.1ないし0.9のトンネリング確率に対応し、
前記トンネリング確率は、前記有機マトリックスから前記各量子ドットに電子がトンネリングする確率である、請求項1の感光性装置。
【請求項4】
前記各量子ドットにおいて、前記シェルの厚さは、0.1ないし10ナノメートルの範囲である、請求項3の感光性装置。
【請求項5】
前記トンネル障壁の前記高さおよびポテンシャルプロファイルと、前記各量子ドットの周囲の前記シェルの厚さとの組合せは、0.2ないし0.5のトンネリング確率に対応し、
前記トンネリング確率は、前記有機マトリックスから前記各量子ドットに電子がトンネリングする確率である、請求項3の感光性装置。
【請求項6】
前記各量子ドットにおいて、前記シェルの厚さは、0.1ないし10ナノメートルの範囲である、請求項5の感光性装置。
【請求項7】
前記有機マトリックスは、光伝導性低分子半導体である、請求項1の感光性装置。
【請求項8】
前記有機マトリックスは、光伝導性ポリマー半導体である、請求項1の感光性装置。
【請求項9】
前記各量子ドットは、無機半導体である、請求項1の感光性装置。
【請求項10】
前記各量子ドットは、III−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体、PbS、PbSe、PbTe、SiC、およびこれらの三元または四元混晶からなる群より選択される化合物半導体からなる、請求項9の感光性装置。
【請求項11】
前記各量子ドットの周囲の前記シェルは、無機半導体または無機電気絶縁体からなる、請求項9の感光性装置。
【請求項12】
前記各量子ドットは、III−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体、PbS、PbSe、PbTe、SiC、およびこれらの三元または四元混晶からなる群より選択される化合物半導体からなる、請求項11の感光性装置。
【請求項13】
前記各量子ドットの周囲の前記シェルは、酸化物、窒化物、および酸化窒化物からなる群より選択される無機電気絶縁体である、請求項11の感光性装置。
【請求項14】
前記各量子ドットの周囲の前記シェルは、有機半導体または有機電気絶縁体からなる、請求項9の感光性装置。
【請求項15】
前記各量子ドットの周囲の前記シェルは、ポリマー、チオール、デンドリマー、アルカン鎖、および有機酸化物からなる群より選択される有機材である、請求項14の感光性装置。
【請求項16】
重複関係にある有機ドナー層と有機アクセプタ層をさらに含み、
前記有機マトリックスに埋め込まれる前記量子ドットは、前記ドナー層と前記アクセプタ層との間に配置され、
前記ドナー層の最低非占有分子軌道(LUMO)は、前記量子ドットの周囲の前記シェルにより備えられた前記トンネル障壁の頂部よりも高い、請求項9の感光性装置。
【請求項17】
前記各量子ドットは、有機半導体からなり
前記各量子ドットの周囲の前記シェルは、有機半導体または有機電気絶縁体からなる、請求項1の感光性装置。
【請求項18】
前記各量子ドットは、光伝導性低分子、光伝導性デンドリマー分子、および光伝導性ポリマー分子からなる群より選択される第1有機材からなり、
前記各量子ドットの周囲の前記シェルは、ポリマー、チオール、デンドリマー、アルカン鎖、および有機酸化物からなる群より選択される第2有機材からなる、請求項17の感光性装置。
【請求項19】
重複関係にある有機ドナー層と有機アクセプタ層をさらに含み、
前記有機マトリックスに埋め込まれる前記量子ドットは、前記ドナー層と前記アクセプタ層との間に配置され、
前記ドナー層の最低非占有分子軌道(LUMO)は、前記量子ドットの周囲の前記シェルにより備えられた前記トンネル障壁の頂部よりも高い、請求項17の感光性装置。
【請求項20】
前記複数の量子ドットの量子ドットと前記量子ドットの周囲の前記シェルとは、単一デンドリマー分子として統合される、請求項1の感光性装置。
【請求項21】
前記各量子ドットにおいて、前記各量子ドットの周囲の前記シェルの厚さは、0.1から10ナノメートルの範囲である、請求項1の感光性装置。
【請求項22】
前記各量子ドットにおいて、前記シェルの厚さは、前記各量子ドットの中心を通る平均断面厚さの10%以下である、請求項21の感光性装置。
【請求項23】
前記感光性装置は、太陽電池である、請求項1の感光性装置。
【請求項24】
複数の量子ドットと、有機マトリックスと、を含み
前記各量子ドットはシェルを有し、
前記量子ドットは前記有機マトリックス内に埋め込まれ、
少なくとも前記量子ドットと前記有機材は光伝導半導体であり、
前記各量子ドットの周囲の前記シェルは、前記有機マトリックスの最高占有分子軌道(HOMO)にあける正孔が前記各量子ドットに到達するため量子力学的なトンネリングを必要とするように、トンネル障壁として備えられており、
前記各量子ドット内のバンドギャップより下位の第1量子状態は、前記有機マトリックスの最低非占有分子軌道(LUMO)と前記HOMOとの間に位置し、前記複数の量子ドットの前記第1量子状態の複数の波動関数が中間バンドとして重なり合う、感光性装置。
【請求項25】
前記各量子ドットは、第2量子状態をさらに有し、
前記第2量子状態は、前記第1量子状態の下位であって、前記有機マトリックスの前記HOMOから±0.16eVの範囲内に位置する、請求項24の感光性装置。
【請求項26】
前記トンネル障壁の高さは、前記トンネル障壁の頂部と前記有機マトリックスの前記HOMOとの間の差分を有するエネルギー準位の絶対値であり、
前記トンネル障壁の前記高さとポテンシャルプロファイルと、前記各量子ドットの周囲の前記シェルの厚さとの組合せは、0.1ないし0.9のトンネリング確率に対応し、
前記トンネリング確率は、前記有機マトリックスから前記各量子ドットに正孔がトンネリングする確率である、請求項24の感光性装置。
【請求項27】
前記各量子ドットにおいて、前記シェルの厚さは、0.1から10ナノメートルの範囲内にある、請求項26の感光性装置。
【請求項28】
前記トンネル障壁の前記高さとポテンシャルプロファイルと、前記各量子ドットの周囲の前記シェルの厚さとの組合せは、0.2ないし0.5のトンネリング確率に対応し、
前記トンネリング確率は、前記有機マトリックスから前記各量子ドットに電子がトンネリングする確率である、請求項26の感光性装置。
【請求項29】
前記各量子ドットにおいて、前記シェルの厚さは、0.1ないし10ナノメートルの範囲である、請求項28の感光性装置。
【請求項30】
前記有機マトリックスは、光伝導性低分子半導体である、請求項24の感光性装置。
【請求項31】
前記有機マトリックスは、光伝導性ポリマー半導体である、請求項24の感光性装置。
【請求項32】
前記各量子ドットは、無機半導体である、請求項24の感光性装置。
【請求項33】
前記各量子ドットは、III−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体、PbS、PbSe、PbTe、SiC、およびこれらの三元または四元混晶からなる群より選択される化合物半導体からなる、請求項32の感光性装置。
【請求項34】
前記各量子ドットの周囲の前記シェルは、無機半導体または無機電気絶縁体からなる、請求項32の感光性装置。
【請求項35】
前記各量子ドットは、III−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体、PbS、PbSe、PbTe、SiC、およびこれらの三元または四元混晶からなる群より選択される化合物半導体からなる、請求項34の感光性装置。
【請求項36】
前記各量子ドットの周囲の前記シェルは、酸化物、窒化物、および酸化窒化物からなる群より選択される無機電気絶縁体である、請求項34の感光性装置。
【請求項37】
前記各量子ドットの周囲の前記シェルは、有機半導体または有機電気絶縁体からなる、請求項32の感光性装置。
【請求項38】
前記各量子ドットの周囲の前記シェルは、ポリマー、チオール、デンドリマー、アルカン鎖、および有機酸化物からなる群より選択される有機材である、請求項37の感光性装置。
【請求項39】
重複関係にある有機ドナー層と有機アクセプタ層をさらに含み、
前記有機マトリックスに埋め込まれる前記量子ドットは、前記ドナー層と前記アクセプタ層との間に配置され、
前記アクセプタ層の最高占有分子軌道(HOMO)は、前記量子ドットの周囲の前記シェルにより備えられた前記トンネル障壁の頂部よりも低い、請求項32の感光性装置。
【請求項40】
前記各量子ドットは、有機半導体からなり
前記各量子ドットの周囲の前記シェルは、有機半導体または有機電気絶縁体からなる、請求項24の感光性装置。
【請求項41】
前記各量子ドットは、光伝導性低分子、光伝導性デンドリマー分子、および光伝導性ポリマー分子からなる群より選択される第1有機材からなり
前記各量子ドットの周囲の前記シェルは、ポリマー、チオール、デンドリマー、アルカン鎖、および有機酸化物からなる群より選択される第2有機材からなる、請求項40の感光性装置。
【請求項42】
重複関係にある有機ドナー層と有機アクセプタ層をさらに含み、
前記有機マトリックスに埋め込まれる前記量子ドットは、前記ドナー層と前記アクセプタ層との間に配置され、
前記アクセプタ層の最高占有分子軌道(HOMO)は、前記量子ドットの周囲の前記シェルにより備えられた前記トンネル障壁の頂部よりも低い、請求項40の感光性装置。
【請求項43】
前記複数の量子ドットの量子ドットと前記量子ドットの周囲の前記シェルとは、単一デンドリマー分子として統合される、請求項24の感光性装置。
【請求項44】
前記各量子ドットにおいて、前記各量子ドットの周囲の前記シェルの厚さは、0.1から10ナノメートルの範囲内にある、請求項24の感光性装置。
【請求項45】
前記各量子ドットにおいて、前記シェルの厚さは、前記各量子ドットの中心を通る断面の平均の厚さの10%以下である、請求項44の感光性装置。
【請求項46】
前記感光性装置は、太陽電池である、請求項24の感光性装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2009−520358(P2009−520358A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545680(P2008−545680)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/046946
【国際公開番号】WO2007/073467
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(506201943)ザ トラスティーズ オブ プリンストン ユニヴァシティ (12)
【Fターム(参考)】