説明

有機リン酸およびそれらの塩で処理した顔料

【課題】ポリマーマトリクス中で使用するための新規な処理顔料および処理顔料を形成するために、顔料基剤を1以上の有機リン酸化合物および/またはそれらの塩を用いて処理する方法の提供。
【解決手段】二酸化チタンを含む顔料であって、該二酸化チタンは、以下の式を有する有機リン酸化合物で処理されており:
R’−P(n−2)4+[3(n−3)]ここで、 n=4〜14であり;そして 各R’は、2〜22個の炭素原子を有する有機基、または水素であり、そして任意の一分子において、任意の2つ以上のR’基は、同じであり得、ただし、R’基の少なくとも1つは、水素ではなく;そしてここで、該有機リン酸化合物は、該二酸化チタンの重量に基づいて、約0.01重量%〜約5重量%の量で存在する、顔料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許出願番号第09/723,098号(標題「Organo−acid phosphate treated pigment」、2000年11月27日出願)の一部継続出願であり、米国特許出願第09/723,098号の出願日の優先権を主張する。米国特許出願番号第09/723,098号の開示全体は、本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
本発明は、新規な顔料に関し、特に、特定の有機リン酸化合物および/またはそれらの塩を用いて処理された顔料に関する。
【0003】
ポリマーマトリクスへの顔料の組み込みが長年にわたり行われてきており、そして数年かけて、顔料が多くの理由のためにポリマーマトリクスに組み込まれ、かつ組み込まれ続けている。例えば、顔料は、充填剤として使用され得る。顔料はまた、ポリマーマトリクスに良好な物理的属性および化学的属性を与えるために用いられ得る。これらの属性としては、改善された熱安定性、特に押出し成形ポリマーフィルム用途におけるレーシング耐性、および減少した化学的活性が挙げられる。異なる利点を得るために、表面処理を付加することによる方法を含め、顔料は異なる方法で処理され得る。
【0004】
一般に使用される顔料としては、二酸化チタン、カオリンおよび炭酸カルシウムが挙げられる。顔料に適用されている一般に公知の表面処理としては、シラン、アルキルホスホン酸およびホスホリル化ポリエンが挙げられる。
【0005】
処理顔料において求められる明確な属性は、一部、この顔料が使用される用途に依存する。しばしば、安定であり、調製しやすく、費用効果的であり、ポリマー中に高度に分散し得、かつリトポンのような他の添加剤の存在下で反応しない疎水性顔料を提供することが求められている。しかし、多くの表面処理が公知であるにもかかわらず、種々の理由(費用および所望の特性が挙げられる)のために、全ての用途について理想的な表面処理は未だ知られていない。従って、顔料の新しく、かつよりよい処理を開発する必要性が常に存在している。
【0006】
顔料を処理するための1つの探索中の選択肢は、有機リン酸(リン酸エステルおよびそれらの対応する塩を含む)の使用である。これらの化合物は、比較的多量に顔料と混合され、そして例えば、水性コーティング用途における懸濁液を形成する場合に有用であると示唆された。しかし、このような使用により、独特の製品が生産されるが、この製品は、制限された用途において用いられ得るに過ぎない。従って、比較的多量のリン酸エステルを水性コーティング用途において用いるための教示は、本発明の低レベルの有機リン酸を用いた顔料の処理も、本発明の低レベルの有機リン酸を用いて処理された顔料がプラスチックにおいて有用性を有することも示唆していない。
【0007】
本発明は、ポリマー物品(例えば、フィルム)に組み込まれた場合に、レーシング耐性を有し、硫化亜鉛を含有する一般的なプラスチック添加物(例えば、リトポン)と混合した場合に好ましくない副反応を生じず、かつ安定であり、その結果、低レベルの抽出可能な有機物質を含む、経済的かつ容易に調製される新規な顔料を提供する。さらに、本発明の処理顔料を組み込んだ耐久性のプラスチック製品は、フェノール型抗酸化剤を用いた場合に黄変耐性であるようである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によって以下が提供される:
(1) 顔料基剤を含む顔料であって、該顔料基剤は、有機アルコールとPまたはリン酸のいずれかとの反応から生じる生成物で処理され、該生成物は、該顔料基剤の重量に基づいて、約0.01重量%〜約5重量%の量で存在する、顔料。
(2) 前記顔料基剤が、有機アルコール、Pとリン酸との反応から生じる生成物で処理されている、項目1に記載の顔料。
(3) 顔料基剤を含む顔料であって、該顔料基剤は、以下の式を有する有機酸性リン酸化合物で処理され:
(R−O)PO(OH)
ここで、
x=1または2であり;
y=3−xであり;そして
Rは、2〜22個の炭素原子を有する有機基であり、
そしてここで、該有機酸性リン酸化合物は、該顔料基剤の重量に基づいて、約0.01重量%〜約5重量%の量で存在する、顔料。
(4) 前記顔料基剤が、二酸化チタン、カオリン、タルク、マイカおよび炭酸カルシウムからなる群から選択される、項目1に記載の顔料。
(5) 前記顔料基剤が、二酸化チタン、カオリン、タルク、マイカおよび炭酸カルシウムからなる群から選択される、項目3に記載の顔料。
(6) 前記顔料基剤が、二酸化チタンである、項目4に記載の顔料。
(7) 前記顔料基剤が、二酸化チタンである、項目5に記載の顔料。
(8) 前記顔料基剤が、多価アルコール、アルカノールアミン、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素および酸化ジルコニウムからなる群から選択される化合物で処理される、項目1に記載の顔料。
(9) 前記顔料基剤が、多価アルコール、アルカノールアミン、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素および酸化ジルコニウムからなる群から選択される化合物で処理される、項目3に記載の顔料。
(10) 前記顔料基剤が、トリメチロールプロパンまたはトリエタノールアミンで処理される、項目8に記載の顔料。
(11) 前記顔料基剤が、トリメチロールプロパンまたはトリエタノールアミンで処理される、項目9に記載の顔料。
(12) 前記有機アルコールが、ヘキサノールまたはオクタノールである、項目1に記載の顔料。
(13) Rが、ヘキシル−またはオクチル−である、項目3に記載の顔料。
(14) 前記有機アルオールが、2−エチルヘキサノールである、項目1に記載の顔料。
(15) Rが、2−エチルヘキシル−である、項目3に記載の顔料。
(16) 顔料基剤を含む顔料であって、該顔料基剤が、項目3に記載の有機酸性リン酸化合物の塩で処理されている、顔料。
(17) ポリマーおよび項目1に記載の顔料からなる、ポリマーマトリクス。
(18) ポリマーおよび項目3に記載の顔料からなる、ポリマーマトリクス。
(19) 前記ポリマーが、ポリエチレンである、項目17に記載のポリマーマトリクス。
(20) 前記ポリマーが、ポリエチレンである、項目18に記載のポリマーマトリクス。
(21) 前記顔料の量が、前記ポリマーマトリクスの重量に基づいて、該ポリマーマトリクスの約50重量%〜約85重量%である、項目17に記載のポリマーマトリクス。
(22) 前記顔料の量が、前記ポリマーマトリクスの重量に基づいて、該ポリマーマトリクスの約50重量%〜約85重量%である、項目18に記載のポリマーマトリクス。
(23) 顔料を調製する方法であって、該方法は、顔料基剤および有機酸性リン酸化合物を組み合わせる工程を包含し、ここで該有機酸性リン酸化合物は、有機アルコールとPまたはリン酸のいずれかとの反応生成物からなる、方法。
(24) 顔料を調製する方法であって、該方法は、顔料基剤および有機酸性リン酸化合物を組み合わせる工程を包含し、ここで該有機酸性リン酸化合物は、以下の式を有し:
(R−O)PO(OH)
ここで、
x=1または2であり;
y=3−xであり;そして
Rは、2〜22個の炭素原子を有する有機基であり、
そしてここで、該有機酸性リン酸化合物の量は、該顔料基剤の重量に基づいて、約0.01重量%〜約5重量%である、方法。
(25) 前記組み合わせる工程が、約10℃〜から270℃の温度で行われる、項目24に記載の方法。
(26) 顔料を処理する方法であって、顔料基剤を項目24に記載の有機酸性リン酸化合物の塩で処理する工程を包含する、方法。
(27) 顔料基剤を含む顔料であって、該顔料基剤は、以下の式を有する有機リン酸化合物で処理されており:
R’−P(n−2)4+[3(n−3)]
ここで、
n=4〜14であり;そして
各R’は、2〜22個の炭素原子を有する有機基、または水素であり、そして任意の一分子において、任意の2つ以上のR’基は、同じであり得、ただし、R’基の少なくとも1つは、水素ではなく;
そしてここで、該有機リン酸化合物は、該顔料基剤の重量に基づいて、約0.01重量%〜約5重量%の量で存在する、顔料。
(28) 顔料基剤を含む顔料であって、該顔料基剤は、以下の式を有する有機リン酸化合物で処理されており:
(R’’PO
ここで、
m=1〜14であり;そして
各R’’は、2〜22個の炭素原子を有する有機基、または水素であり、そして任意の一分子において、任意の2つ以上のR’’基は、同じであり得、ただし、R’’基の少なくとも1つは、水素ではなく;
そしてここで、該有機メタリン酸化合物は、該顔料基剤の重量に基づいて、約0.01重量%〜約5重量%の量で存在する、顔料。
(29) 前記顔料基剤が、二酸化チタン、カオリン、タルク、マイカおよび炭酸カルシウムからなる群から選択される、項目27に記載の顔料。
(30) 前記顔料基剤が、二酸化チタン、カオリン、タルク、マイカおよび炭酸カルシウムからなる群から選択される、項目28に記載の顔料。
(31) 前記顔料基剤が、二酸化チタンである、項目29に記載の顔料。
(32) 前記顔料基剤が、二酸化チタンである、項目30に記載の顔料。
(33) 記顔料基剤が、多価アルコール、アルカノールアミン、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素および酸化ジルコニウムからなる群から選択される化合物で処理される、項目27に記載の顔料。
(34) 記顔料基剤が、多価アルコール、アルカノールアミン、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素および酸化ジルコニウムからなる群から選択される化合物で処理される、項目28に記載の顔料。
(35) 前記顔料基剤が、トリメチロールプロパンまたはトリエタノールアミンで処理される、項目27に記載の顔料。
(36) 前記顔料基剤が、トリメチロールプロパンまたはトリエタノールアミンで処理される、項目28に記載の顔料。
(37) 顔料基剤を含む顔料であって、該顔料基剤は、項目27に記載の有機リン酸化合物の塩で処理されている、顔料。
(38) 顔料基剤を含む顔料であって、該顔料基剤は、項目28に記載の有機リン酸化合物の塩で処理されている、顔料。
(39) ポリマーおよび項目27に記載の顔料からなる、ポリマーマトリクス。
(40) ポリマーおよび項目28に記載の顔料からなる、ポリマーマトリクス。
(41) 前記ポリマーが、ポリエチレンである、項目39に記載のポリマーマトリクス。
(42) 前記ポリマーが、ポリエチレンである、項目40に記載のポリマーマトリクス。
(43) 前記顔料の量が、前記ポリマーマトリクスの重量に基づいて、該ポリマーマトリクスの約50重量%〜約85重量%である、項目41に記載のポリマーマトリクス。
(44) 前記顔料の量が、前記ポリマーマトリクスの重量に基づいて、該ポリマーマトリクスの約50重量%〜約85重量%である、項目42に記載のポリマーマトリクス。
(45) 顔料を調製する方法であって、該方法は、顔料基剤および有機リン酸化合物を組み合わせる工程を包含し、ここで、該有機リン酸化合物は、以下の式を有し:
R’−P(n−2)4+[3(n−3)]
ここで、
n=4〜14であり;そして
各R’は、2〜22個の炭素原子を有する有機基、または水素であり、そして任意の一分子において、任意の2つ以上のR’基は、同じであり得、ただし、R’基の少なくとも1つは、水素ではなく;
そしてここで、該有機リン酸化合物は、該顔料基剤の重量に基づいて、該顔料基剤の約0.01重量%〜約5重量%の量で存在する、方法。
(46) 顔料を調製する方法であって、顔料基剤を項目45に記載の有機リン酸化合物の塩と組み合わせる工程を包含する、方法。
(47) 顔料を調製する方法であって、該方法は、顔料基剤および有機メタリン酸化合物を組み合わせる工程を包含し、ここで、該有機メタリン酸化合物は、以下の式を有し:
(R’’PO
ここで、
m=1〜14であり;そして
各R’’は、2〜22個の炭素原子を有する有機基、または水素であり、そして任意の一分子において、任意の2つ以上のR’’基は、同じであり得、ただし、R’’基の少なくとも1つは、水素ではなく;
そしてここで、該有機メタリン酸化合物は、該顔料基剤の重量に基づいて、該顔料基剤の約0.01重量%〜約5重量%の量で存在する、方法。
(48) 顔料を調製する方法であって、顔料基剤を項目47に記載の有機メタリン酸化合物の塩と組み合わせる工程を包含する、方法。
(発明の要旨)
本発明は、ポリマーマトリクス中で使用するための新規な処理顔料を提供する。本発明に従って、処理顔料を形成するために、顔料基剤を1以上の有機リン酸化合物および/またはそれらの塩を用いて処理する。
【0009】
1つの実施形態において、処理顔料は、以下の反応生成物を用いて処理され得る顔料基剤を含む:(1)少なくとも1つの有機アルコールと;(2)Pおよび/またはリン酸。句「少なくとも1つの有機アルコール」および「有機アルコール」とは、有機アルコールのうちの1以上の型を意味し、例えば、ヘキサノールまたはオクタノールまたはヘキサノールとオクタノールの混合物の溶液を意味する。有機アルコール、P、およびリン酸は、それらの反応生成物が、以下の式により表され得る有機酸性ホスフェートを含むように選択される:
式1:(R−O)PO(OH)
ここで、x=1または2であり;
y=3−xであり;そして
Rは、2〜22の炭素原子を有する有機基である。
【0010】
あるいは、有機酸性ホスフェートまたはその対応する塩が利用可能であれば、これらを上記の反応物から生成するのではなく、これらを直接用いて開始し得る。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、有機ピロホスフェートまたは有機ポリホスフェートおよび/またはそれらの対応する塩を用いて処理した顔料を提供する。この有機ピロホスフェートおよび有機ポリホスフェート化合物は、以下の式により表され得る:
式2:R’−P(n−2)4+[3(n−3)]
ここで、n=4〜14であり;そして
各R’は、2〜22の炭素原子を有する有機基または水素であり、任意の1分子内では、任意の2以上のR’基が同じであってもよく、ただしR’基の少なくとも1つは水素でない。
【0012】
なお別の実施形態において、本発明は、有機メタホスフェート化合物および/またはその対応する塩を用いて処理した顔料基剤から構成される処理顔料を提供する。ここで、この有機メタホスフェート化合物は、以下の式により表され得る:
式3:(R”PO
ここでm=1〜14であり、各R”は、2〜22の炭素原子を有する有機基または水素であり、任意の1分子内では、任意の2以上のR”基が同じであってもよく、ただしR”基の少なくとも1つは水素でない。まとめて、式1〜3により表される化合物の群(すなわち、有機酸性ホスフェート、有機ポリホスフェート、有機ピロホスフェートおよび有機メタホスフェート)は、本明細書中で「有機リン酸」といわれる。
【0013】
本発明の処理顔料は、ポリマーと合わされ得、ポリマー中に容易に分散されて、ポリマーマトリクスを形成し得る。例えば、本発明の顔料は、生成されるポリマーマトリクスの重量に基づいて、約85%までの有機リン酸処理二酸化チタン顔料を含むポリマーマトリクスに組み込まれる。このポリマーマトリクスは、それ自体で最終製品であり得るか、または自然に最終製品になり得るか、または例えば、マスターバッチにおいてさらに処理される製品(これは、ポリマーフィルムに延伸され得る)であり得る。これらのポリマーマトリクスは、衝撃強さ、引張り応力および可撓性特徴のような改善された物理的特性を有する。
【0014】
本発明の処理顔料はまた、高度に負荷されたポリマーマスターバッチを調製するために使用され得る。これらの高度に負荷されたマスターバッチは、分散および熱安定性、特にレーシング耐性が重要である用途において特に有用である。
【0015】
本発明の処理顔料は、安定で、調製しやすく、費用効果的で、ポリマー中に高度に分散され得、かつ他の添加剤(例えば、リトポン)の存在下で反応しない顔料であるという利点を有する。このような処理顔料は、プラスチックおよび他の製品の製造において有用であり得る。
【0016】
(発明の詳細な説明)
本発明は、ポリマーとともに使用するための新規な顔料を提供し、現在使用されている顔料を超えるいくつかの利点をもたらす。本発明に従って、顔料基剤は、有機リン酸を用いて処理される。この有機リン酸は、有機酸性ホスフェート、有機ピロホスフェート、有機ポリホスフェートもしくは有機メタホスフェート、または上述の化合物のいずれかの塩であり得る。この顔料基剤はまた、任意の上述の化合物および/またはこれらの塩の混合物を用いて処理され得る。次いで、得られた処理顔料は、ポリマーと合わされて、新規なポリマーマトリクスを形成し得る。
【0017】
本開示は、顔料に関する論文であることも、ポリマーマトリクスの生成に関する論文であることも意図しない。読み手は、本発明を実施する任意の局面についてのさらなる詳細な情報について、当該分野における適切な、利用可能な教科書および他の資料を参照する。
【0018】
本発明において使用するための適切な顔料基剤としては、二酸化チタン、カオリン、タルク、マイカおよび炭酸カルシウムが挙げられる。本明細書中で用いられる場合、句「顔料基剤」とは、有機リン酸化合物を用いて処理されていない顔料をいう。好ましくは、二酸化チタンが、選択された顔料基剤である。顔料基剤が二酸化チタンの場合、二酸化チタンは、金紅石または鋭錐石のいずれかであり得、これらはともに、当為業者に周知のプロセスにより生成され得る。特定の用途のために、最終製品の属性を改変するために、または生成を容易にするために、無機酸化物または他の化合物を用いて顔料基剤を予め処理した後に、有機リン酸化合物を添加することは望ましいことであり得る。
【0019】
第1の実施形態において、顔料基剤は、有機酸性ホスフェートを用いて処理される。この有機酸性ホスフェートは、有機アルコールと、Pおよび/またはリン酸との反応から形成され得る。本発明において有用な有機アルコールは、約2〜22の炭素原子の炭化水素基を有し得る。これらの炭化水素は、直鎖状であってもよいし、分枝鎖状であってもよく、置換されていてもよいし、置換されていなくてもよく、そして飽和であってもよいし、不飽和であってもよい。本発明における使用のために適切な有機アルコールのいくつかの例としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、三級ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノールなどが挙げられる。好ましくは、アルコールは、直鎖状ヘキサノール、直鎖状オクタノール、イソオクタノールまたは2−エチルヘキサノールである。アルコールは、Pまたはリン酸のいずれか、またはこれら両方と合わされる。有機酸性ホスフェートを形成するために、これらのマトリクスを反応させる条件は、一般に、当業者に公知であるか、または理解され得る。
【0020】
有機アルコールと、Pおよび/またはリン酸とを用いて始めるよりむしろ、以下の式の有機酸性ホスフェートを用いて直接開始し得る:
式I:(R−O)PO(OH)
ここで、x=1または2であり;
y=3−xであり;そして
Rは、2〜22の炭素原子を有する有機基である。
【0021】
本明細書中で用いられる場合、句「有機酸性ホスフェート」とは、式1により表され得る化合物をいう。式Iの有機酸性ホスフェートにおいて、有機基は、直鎖状であってもよいし、分枝鎖状でもよく、置換されていても、置換されていなくてもよく、飽和であっても、不飽和であってもよい。好ましくは、Rは、直鎖状ヘキシル脂肪基もしくは直鎖状オクチル脂肪基、または分枝鎖状ヘキシル脂肪基もしくは分枝鎖状オクチル脂肪基である。ヘキシル脂肪基、オクチル脂肪基またはエチルヘキシル脂肪基は、優れた顔料性能をもたらす。
【0022】
第2の実施形態において、本発明は、有機リン酸化合物(これは、有機ピロホスフェートまたは有機ポリホスフェートのいずれかである)を用いて処理されている顔料基剤を含む処理顔料を提供する。これらの化合物は、以下の式により表され得る:
式2:R’−P(n−2)4+[3(n−3)]
ここで、n=4〜14であり;そして各R’は、2〜22の炭素原子を有する有機基、または水素であり、任意の1分子内において、任意の2以上のR’基は、同じであり得、ただしR’の少なくとも1つは水素でない。
【0023】
式2で使用されている記号R’は、2〜22の炭素原子、または水素を含む任意の有機基を示す。任意の分子内において、R’基は、全てが同じ部分であってもよいし、異なる部分であってもよい。これらの有機基は、直鎖状であってもよいし、分枝鎖状であってもよく、置換されていてもよいし、置換されていなくてもよく、飽和であってもよいし、不飽和であってもよい。R’基が全て同じ部分の場合、これらのR’基は、水素ではない。好ましくは、R’基の少なくとも1つは、水素であり、かつR’基の少なくとも1つは、直鎖状ヘキシル脂肪基もしくは直鎖状オクチル脂肪基、または分枝鎖状ヘキシル脂肪基もしくは分枝鎖状オクチル脂肪基である。有機ピロリン酸化合物および有機ポリリン酸化合物の例としては、カプリルピロホスフェート、2−エチルヘキシルピロホスフェート、ジヘキシルピロホスフェート、ジヘキシルアンモニウムピロホスフェート、ジオクチルピロホスフェート、ジイソオクチルピロホスフェート、ジオクチルトリエタノールアミンピロホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)ピロホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)リン酸ナトリウム、テトラエチルピロホスフェート、テトラブチルピロホスフェート、テトラヘキシルピロホスフェート、テトラオクチルピロホスフェート、ペンタヘキシルトリポリホスフェート、ペンタオクチルトリポリホスフェート、トリポリリン酸ナトリウムテトラヘキシル、テトラヘキシルアンモニウムトリポリホスフェート、テトラポリリン酸ナトリウムペンタヘキシル、テトラポリリン酸ナトリウムトリオクチル、テトラポリリン酸カリウムトリオクチル、ヘキサブチルテトラポリホスフェート、ヘキサヘキシルテトラポリホスフェートおよびヘキサオクチルテトラポリホスフェートが挙げられる。
【0024】
第3の実施形態において、本発明は、有機メタホスフェートを用いて処理されている顔料基剤から構成される処理顔料を提供する。ここでこの有機メタホスフェート化合物は、以下の式により表され得る:
式3:(R”PO
ここで、m=1〜14であり、各R”は、2〜22の炭素原子を有する有機基または水素であり、任意の1分子内で、任意の2以上のR”基は、同じであり得、ただし、R”基の少なくとも1つは水素ではない。
【0025】
記号R”は、式3において使用される場合、2〜22の炭素原子を含む任意の有機基または水素を示す。これらの有機基は、直鎖状であってもよいし、分枝鎖状であってもよく、置換されていてもよいし、置換されていなくてもよく、飽和であってもよいし、不飽和であってもよい。「m」は、約1〜約14であり得、好ましくは、「m」は、約4〜約14である。任意の分子内で、R”基は、全て同じ部分であり得るか、またはこれらは異なる部分であり得る。R”基が全て同じ部分である場合、これらは、水素ではない。好ましくは、R”基の少なくとも1つが直鎖状ヘキシル脂肪基もしくは直鎖状オクチル脂肪基、または分枝鎖状ヘキシル脂肪基もしくは分枝鎖状オクチル脂肪基である。有機メタホスフェートの例としては、エチルメタホスフェート、プロピルメタホスフェート、ブチルメタホスフェート、ヘキシルメタホスフェートおよびオクチルメタホスフェートが挙げられる。
【0026】
本発明の有機リン酸は、それらの酸形態または塩形態において利用され得る。本発明で有用な塩の例は、カリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩、アルミニウム塩、およびアルカノールアミン(例えば、式1、式2または式3により識別される物質のトリエタノールアミン)と形成される塩である。
【0027】
有機酸性ホスフェートは、例えば、Albright&Wilson Americas of Glen Allen,Virginiaから市販されているか、または米国特許第4,350,645号(Kurosakiらに1982年9月21日発行)(この教示は、本明細書中に参考として援用される)に開示された手順のような当業者に公知もしくは明らかな手順により調製され得る。有機ピロホスフェートおよび有機ポリホスフェートは、Akzo Nobelから購入され得るか、または当業者に公知もしくは容易に明らかな手順に従って生成され得る。有機メタホスフェートはまた、当業者に公知または容易に明らかな手順に従って生成され得る。有機ピロホスフェート、有機ポリホスフェートおよび有機メタホスフェートを合成するためのこれらの手順の例は、Alder,HowardおよびWoodstock,Willard Chem,Indus.,1942,51:516(本明細書中に参考として援用される)に記載される。
【0028】
前述の有機リン酸(これは、本発明の表面処理である)は、顔料基剤を処理し、処理顔料を形成するために使用され得る。句「処理顔料」とは、表面処理もしくは表面改変されている任意の顔料基剤をいう。句「有機リン酸処理顔料」とは、有機アルコールとPおよび/またはリン酸との反応生成物;上記式1により表され得る有機酸性ホスフェート;上記式2の有機ピロホスフェートもしくは有機ポリホスフェート;上記式3の有機メタホスフェート;または上述の物質のいずれかの混合物を用いて処理されている顔料基剤をいう。好ましくは、顔料基剤を処理するために使用される有機リン酸または対応する塩のレベルは、顔料基剤の重量に基づいて、約0.01重量%〜約5重量%;より好ましくは、約0.3重量%〜約2.0重量%;および最も好ましくは、約0.7重量%〜約1.2重量%の範囲である。
【0029】
有機リン酸処理顔料において、有機リン酸は、水素結合および/または共有結合を介するような多数の様式にて顔料と相互作用し得、その結果、表面処理は、処理顔料からの抽出に耐える。有機アルコールと、Pおよび/またはリン酸との反応生成物である有機リン酸は、一般に、オルトリン酸と組み合わせた一置換エステルおよび二置換エステルの混合物である。
【0030】
有機リン酸処理顔料を作製するプロセスは、既存の顔料生成プロセスに容易にかつ融通を利かせて組み込まれる。好ましくは顔料基剤と本発明の表面処理との組み合わせは、約10℃〜約270℃の温度で行われる。顔料基剤および表面処理が合わされる特定の温度は、表面処理が加えられる顔料生成プロセスの間の工程に依存する。
【0031】
本発明に従って、有機リン酸を顔料を処理するために用いる場合、副生成物は水であると考えられる。水は、副生成物であるので、有機リン酸が顔料生成プロセスにおける操作のいずれか1つ、またはこの操作のいくつかにおいて添加され得る。例えば、有機リン酸は、噴霧完動の前に洗浄フィルターケークに添加されるか、微粉化の前または微粉化と同時に、高出力(high intensity)粉砕デバイス、または微粉化供給に添加され得る。濾過および洗浄の前に有機リン酸を顔料スラリーに添加することはそれほど有効ではない。なぜなら、有機リン酸の一部は、pHに依存して、顔料の洗浄の際に失われるからである。この有機リン酸は、通常の処理操作温度で、洗浄フィルターケークに添加され得る。有機リン酸が固体物質であるならば、適切な溶媒(例えば、水、アルコール、テトラヒドロフランなど)に溶解された後、顔料基剤に添加され得る。顔料粒子中に均質に有機リン酸を混合するために、有機リン酸を、流動化し、洗浄したフィルターケークに攪拌しながら添加することは望ましい。有機リン酸を添加する前の流動化したフィルターケークのpHは、重要ではなく、通常の操作pH値が許容可能である。これらの値は、当業者に公知であるか、または容易に明らかである。有機リン酸が乾燥顔料(例えば、噴霧乾燥製品または微粉化供給物)に添加されるならば、確実に有機リン酸と顔料粉末が均一に混合されるように注意を払わなければならない。
【0032】
有機溶液の適用のための補力浴バー(intensifier bar)を備えたV字外形ブレンダーのようなデバイス、または当業者に公知の他の適切な混合デバイスが使用され得る。あるいは、有機リン酸は、下地となる顔料粉末と共に、微粉化器(micronizer)中に計量注入され得る。気体または蒸気での微粉化技術は、当業者に公知であるかまたは容易に理解され得るように、室温から250℃まで、またはそれより高い温度で使用され得る。
【0033】
本発明の有機リン酸を、濾過ケークまたは微粉化器供給物に添加する場合、表面処理の有機部分の損失が最小化され、それにより生産効率が改善される。処理済顔料は、蒸気または気体を用いて流体エネルギー製粉化され、高レベルの有機リン酸化合物を保持する最終顔料を生成し得る。これは、処理済顔料の全体的な生産コストを減少させる。
【0034】
例えば、顔料が二酸化チタンである場合、有機リン酸は、生産プロセス(例えば、塩化物または硫酸塩のプロセス)から得られる未処理二酸化チタンに添加され得る。あるいは、顔料基剤の二酸化チタンはさらに、当業者に公知の任意のプロセスを使用して、さらなる金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化ジルコニウムなど)で処理され得、その後、本発明の有機リン酸で処理される。さらに、未処理顔料基剤または処理済顔料は、二次的に、多価アルコール(例えば、トリメチロールエタンおよびトリメチロールプロパン)またはアルカノールアミン(例えば、トリエタノールアミン)で処理され得る。
【0035】
一旦、有機リン酸で処理済顔料が形成されると、次いで、この顔料はポリマーと合わせられ得る。本発明の表面処理の性質は、処理済顔料が、ポリマーマトリクスに容易に取り込まれるのを可能にする。句「ポリマーマトリクス」は、ポリマーおよび処理済顔料を含む物質をいう。本発明に有益であり得るポリマーとしては、非置換エチレンモノマーのポリマー(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、および4〜12個の炭素原子を含むα−オレフィンまたはビニルアセテートとエチレンとのコポリマーを含む);ビニルホモポリマー、アクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、ポリアミド、ポリカルボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンおよびポリエーテルが挙げられる。他の適切なポリマー型としてはまた、ポリビニルクロリド、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエステルおよび塩素化ポリエステル、ポリオキシエチレン、フェノール樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂およびアセタール樹脂が挙げられる。
【0036】
処理済顔料は、ポリマーと合わせられ得、そしてポリマーマトリクスの重量に基づいて約85重量%までの負荷を有し得る。好ましくは、ポリマーマトリクスの重量に基づいて、約50重量%〜約85重量%の負荷の処理済顔料が使用される。この負荷は、マスターバッチとして使用され得る。「マスターバッチ」は、2つ以上の物質(これらは一緒に混合され、次いで、この最初の2つの物質のいずれかと同じかまたは異なり得る1つ以上の他の成分と混合される)の混合物をいう。処理済顔料を用いてマスターバッチを作製する方法は、当業者に公知であるかまたは容易に理解され得る。例えば、マスターバッチは、BR Banbury Mixerを用いて、処理済顔料とポリマーとを合わせることによって作製され得る。
【0037】
驚くべきでありかつ予期されなかったことに、本発明の処理済顔料は、ポリマー性充填剤リトポン(これは、硫化亜鉛および硫酸バリウムの組み合わせを含む)と合わせて用いられる場合に、潜在的に危険なガスも侵害性のガスも発生させないことが見出された。硫化亜鉛を含む組成物であるリトポンは、種々のポリマー組成物において充填剤およびエキステンダーとして使用される。リン酸化ポリエンで処理されたTiO顔料を、約20〜25℃より高い温度で硫化亜鉛と接触させる場合、侵害性の臭気が発生する。対照的に、本発明の顔料を、同じ条件下で硫化亜鉛と接触させる場合には、臭気は発生しない。
【0038】
驚くべきでありかつ予期されなかったことに、本発明の処理済顔料は、それらが取り込まれるポリマーに対してより高いレーシング(lacing)抵抗性を付与することが見出された。特定の重量%の顔料負荷および処理温度での揮発性の尺度であると考えられるレーシングは、プラスチックフィルムにおいて気泡または孔として現れ得る。
【0039】
(実施例)
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示す。これらの実施形態は、単なる例示であり、そしていかようにも、本願発明を制限することを意図されず、そして本願発明を制限すると解釈されるべきではない。とりわけ以下の実施例に記載されるパラメーターは、レーシング評価および分散試験である。これらのパラメーターを記載するために使用された方法は、特定の実施例の前に示される。
【0040】
(レーシング評価)
顔料を含むポリマーの高温安定性は、市販のポリマーフィルム(特に、ポリエチレンフィルム適用)の重要な特性である。気泡形成(voiding)または「レーシング」は、フィルムの失敗を伴う。レーシングは、特定の重量%の顔料負荷および処理温度での揮発性の尺度であると考えられる。
【0041】
本発明のために、レーシング試験を、Haake Rheocord 9000 Computer Controlled Torque Rheometerを用いて調製された50%TiO濃縮サンプルにおいて実施した。これにより、125gのTiOおよびDow Chemical Companyにより製造されたLDPE 722の125gを乾燥混合し、そして50rpmで作動するローターを備えた75℃予熱チャンバーに添加した。TiO/LDPE混合物の添加から1分後、このチャンバーの温度を105℃まで上昇させた。混合処理によって発生した摩擦熱は、定常状態の混合物が達成されるまで、LDPE中にTiOを取り込む速度を駆動させた。濃縮物を混合チャンバーから取り出し、そしてCumberland Crusher中に入れて、細顆粒化された50%濃縮サンプルを得た。次いで、この顆粒化サンプルを、ストランドダイ(strand die)、水浴およびペレッタイザーを備えた、20:1 L/D比を有するKillion 25mm単一スクリューエクストルーダーにおいてペレット化した。180℃の均一温度プロフィールを使用して、マスターバッチペレットを押し出した。顆粒化濃縮物を、23℃および50%相対湿度で48時間にわたってコンディショニングした。次いで、これらの濃縮物を、Dow Chemical 722 LDPE中に置き、最終フィルム中において20%負荷のTiOを達成した。
【0042】
レーシング評価を、キャストフィルムスロットダイを備えた1’’エクストルーダーにおいて実行した。625°Fダイ、515°Fクランプリング、415°Fゾーン3、350°Fゾーン2、および300°Fゾーン1の温度プロフィールを使用した。スクリュー速度は、約90rpmに設定した。エクストルーダーと組み合わせて設定される、25.4cm研磨クロム冷却ロールを使用して、75μmフィルム厚を維持し、そしてこのフィルムを冷却し、そして運搬した。ダイリップからの冷却ロールの距離は、約22mmであり、温度は約27℃であった。
【0043】
TiO/LDPE混合物をホッパーに置いた後、この材料を、フィルム中における白色の色合いの出現が最初に目に留まるまで、パージ(purge)させた。フィルム中のTiO濃度が安定化されたことを確実にするため、レーシング観察を記録しそしてフィルムサンプルを得る前に、2分の時間間隔をあけた。次いで、エクストルーダーを、フィルムが明瞭になるまで、LDPEでパージした。レーシングの成績を、暗色表面上に提示されるフィルムサンプルにおいて生成される孔の相対的なサイズおよび数を計測することによって決定した。1.0〜3.0の評点系を使用した。レーシングのないフィルムに1の評点を与え、レーシングの開始を示すフィルムに2の評点を与え、そして極度のレーシングを有するフィルムに3の評点を与えた。0.1の増分を使用して、サンプル間の相対的成績の指標を与えた。
【0044】
(分散試験)
小型の実験室用押し出し装置を使用して、エクストルーダースクリーンパックのスクリーン上に捕捉された顔料の相対量を測定することによって、有機ポリマー中への顔料分散の測定を得た。試験を、Haake 3000 Rheomix混合器を使用して調製された低密度ポリエチレン中の75%TiO濃縮物を用いて行った。この混合器を、Haake 9000 Rheocord Torque Rheometerで制御し、そしてモニターした。337.7gの微粉化TiOおよびEquistarによって製造された112.6gのNA209 LDPEを、乾燥混合し、そして50rpmで作動するローターを備えた75℃混合チャンバーに添加した。混合器温度を、乾燥混合物を混合チャンバーに導入してから1分後に120℃まで上昇するようにプログラムした。定常状態の混合物が達成された後、この化合物を、さらに3分間混合した。化合物をチャンバーから取り出し、そしてCumberland crusherを使用して顆粒化した。
【0045】
分散試験を、20:1の長さ:直径のスクリューを備えたKillion単一スクリューエクストルーダー(モデルKL−100)を使用して行った。エクストルーダーを、ゾーン1からダイまで、それぞれ、330°F、350°F、390°F、および380°Fに予熱し、そして70rpmで操作した。Equistarにより製造されたNA952 LDPEの1000gのパージを、この系を通して実行し、そして新たなスクリューパックをインストールした。スクリーンパックは、ダイからエクストルーダーのどまでの40/500/200/100メッシュのスクリーンから構成される。温度安定化後、133.33gの顆粒化された75%TiO濃縮物を、エクストルーダーに供給した。これに次いで、供給ホッパーが空になると1500gのNA952パージを供給した。LDPEパージを押し出した後、スクリーンを取り出し、これを別々にし、そしてX線蛍光分光器からの測定値から相対計数技術を使用して試験した。1秒あたりのTiO計数の数を、このパックの100、200および500メッシュスクリーンについて得て、そして合計して分散結果を得た。5000未満の計数結果を、優れた分散を表すとみなした。
【0046】
(実施例1−米国特許第4,350,645号に従って調製されたオクチル酸ホスフェート)
65.12gの1−オクタノール(0.5モル)および9.0gの水(0.5モル)に、五酸化リン(70.96g、0.5モル)を、温度を80℃未満に維持しつつ、激しく攪拌しながら徐々に添加した。この反応混合物を、80℃で3時間攪拌した。引き続いて、別の65.12gの1−オクタノール(0.5モル)を添加した。この混合物を、80℃でさらに10時間攪拌し続けた。この方法は、本明細書中において参考として援用される米国特許第4,350,645号において、より完全に記載されている。
【0047】
得られた混合物を、本明細書中において参考として援用される国際特許出願番号PCT/JP95/01891の教示に従って、滴定方法を通して分析した。そして63〜68%のモノオクチル酸ホスフェート、約21%のジオクチル酸ホスフェート、および約7%のリン酸を産出することを見出した。
【0048】
(実施例2−ヘキシル酸ホスフェート)
実施例1を、1−オクタノールの代わりに1−ヘキサノールを使用して繰り返した。この最終生成物は、60%モノヘキシル酸ホスフェート、18%ジヘキシル酸ホスフェート、および約12%のリン酸の存在を含む。
【0049】
(実施例3−オクチル酸ホスフェート処理TiOからのポリマーマトリクス(塩化物プロセス))
アルミン酸ナトリウムの386.4g Al/リットル溶液51.8mlを、70℃で混合しながら、350g/リットルのスラリー中にある5000gのTiOに添加した。pHを、50%水酸化ナトリウム溶液を用いて7.0に調整し、そしてこのスラリーを、30分間熟成させた。
【0050】
この熟成スラリーを濾過し、そして5000mlアリコートの80℃脱イオン水で3回洗浄し、次いで、乾燥炉において115℃で一晩乾燥させた。
【0051】
乾燥させた濾過ケークを、8メッシュ篩を通して通過させ、その後、オクチル酸ホスフェートで処理した。実施例1からのオクタノール、Pおよびリン酸の8.4gの反応生成物を、乾燥した8メッシュのアルミナコーティングTiO 1200gに滴下して添加し、これは、ポリエチレンフィルム上で1cm厚まで広げられた。顔料を混合し、そして1ガロンの広口プラスチックボトルに移し、そしてローラーミルで10分間攪拌した。得られた材料を、蒸気微粉化処理して、最終顔料を生成した。
【0052】
最終顔料を、分散およびレーシング評価のために、75%および50%のマスターバッチにおいて低密度ポリエチレンに取り込ませた。結果を、以下の表1に提供する。
【0053】
(実施例4−オクチル酸ホスフェート処理TiOからのポリマーマトリクス(硫酸塩プロセス))
アルミン酸ナトリウムの386.4g Al/リットル溶液51.8mlを、70℃で混合しながら、350g/リットルのスラリー中にある5000gの細粒子硫酸塩プロセスルチルTiOに添加した。スラリーのpHを、50%水酸化ナトリウム溶液を用いて7.0に調整し、そしてこのスラリーを、30分間熟成させた。この熟成スラリーを濾過し、そして5000mlアリコートの80℃脱イオン水で3回洗浄し、そして115℃で一晩乾燥させた。
【0054】
乾燥させた濾過ケークを、オクチル酸ホスフェートでの処理のための調製において、8メッシュ篩を通して通過させた。8.4gのオクチル酸ホスフェート生成物を、乾燥した8メッシュのアルミナコーティングTiO 1200gにシリンジから滴下して添加し、これは、ポリエチレンフィルム上で1cm厚まで広げられた。顔料を混合し、そして1ガロンの広口ボトルに移し、そしてローラーミルで10分間攪拌した。粗製顔料を、蒸気微粉化処理して、最終顔料を生成した。
【0055】
最終顔料を、分散およびレーシング評価のために、低密度ポリエチレンを含有する75%および50%のTiOベースのマスターバッチに取り込ませた。結果を、以下の表1に提供する。
【0056】
(比較実施例1)
塩化物プロセスによって調製され、実施例3に記載のように含水アルミナでコーティングされたルチルTiOを、乾燥顔料の重量に基づいて0.60重量%のトリエタノールアミンで処理した。トリエタノールアミン処理された顔料を、蒸気微粉化処理して、最終顔料を生成した。
【0057】
最終顔料を、分散およびレーシング評価のために、低密度ポリエチレンを含有する75%および50%のTiOのマスターバッチに取り込ませた。結果を、以下の表1に提供する。
【0058】
(比較実施例2)
硫酸塩プロセスのルチルTiO基剤を、実施例4に記載のように、アルミナでコーティングした。乾燥した8メッシュのアルミナコーティングされた、硫酸塩プロセスのTiOに適用された有機処理は、乾燥顔料の重量に基づいて、0.60重量%のトリエタノールアミンであった。トリエタノールアミン処理された顔料を、蒸気微粉化処理して、最終顔料を生成した。最終顔料を、分散およびレーシング評価のために、75%および50%のTiOのマスターバッチに取り込ませた。結果を、以下の表1に提供する。
【0059】
【表1】

【0060】
オクチル酸ホスフェート反応生成物で処理された、塩化物プロセスに基づく顔料および硫酸塩プロセスに基づく顔料(実施例3および4)の両方の分散性能は、従来の商業的に使用されている有機処理であるトリエタノールアミンで処理されたような顔料基剤(比較実施例1および2)に対して、劇的に改善された。さらに、優れた分散性能は、レーシングに対する耐性における有意な減衰なく得られた。レーシング測定についての標準誤差は、約0.1〜0.2である。
【0061】
(実施例5〜21:分散およびレーシング)
以下の実施例(実施例5〜21)では、有機酸ホスフェートを、0.20重量%のアルミナでさらに処理された乾燥塩化物プロセス基剤ルチルTiOに添加し、その後、微粉化した。有機酸ホスフェートエステルを、ニートな液体としてか、または有機酸ホスフェートが固体材料であった場合には液体で添加した。有機酸ホスフェート、アルミナ処理された顔料基剤を生成するために使用された一般的な調製方法は、以下の通りであった。
【0062】
アルミン酸ナトリウムの386.4g Al/リットル溶液25.9mlを、70℃で、350g/リットルのスラリー中にある5000gのTiOに混合しながら添加した。pHを、50%水酸化ナトリウム溶液を用いて7.0に調整し、そしてこのスラリーを、30分間熟成させた。
【0063】
この熟成スラリーを濾過し、そして5000mlアリコートの80℃脱イオン水で3回洗浄し、次いで、乾燥炉において115℃で一晩乾燥させた。乾燥させた濾過ケークを、8メッシュ篩を通して通過させ、その後、有機酸ホスフェートで処理した。所望量の有機酸ホスフェートを、乾燥した8メッシュのアルミナコーティングTiO 1200gに滴下して添加し、これを、ポリエチレンフィルム上で1cm厚まで広げた。有機酸ホスフェートが固体材料であった場合、これをテトラヒドロフラン(THF)中に溶解し、その後、乾燥顔料に適用し、そしてTHFをエバポレートさせた。顔料を混合し、そして1ガロンの広口プラスチックボトルに移し、そしてローラーミルで10分間攪拌した。得られた材料を、蒸気微粉化処理して、最終顔料を生成した。
【0064】
(実施例5−0.9%オクチル酸ホスフェート処理されたTiO
上記の方法に従って調製された顔料基剤を、実施例1に従って調製された0.9%オクチル酸ホスフェートで処理し、そして蒸気微粉化処理して、最終顔料を生成した。最終顔料を、分散およびレーシング評価のために、75%および50%のマスターバッチ中の低密度ポリエチレンに取り込ませた。分散結果は、1秒間あたりTiOのXRF計数が780であり、そしてレーシングは1.5と評価された。
【0065】
(実施例6−1.1%オクチル酸ホスフェート処理されたTiO
上記の方法に従って調製された顔料基剤を、実施例1に従って調製された1.1%オクチル酸ホスフェートで処理し、そして蒸気微粉化処理して、最終生成物を生成した。最終顔料を、分散およびレーシング評価のために、75%および50%のマスターバッチ中の低密度ポリエチレンに取り込ませた。分散結果は、1秒間あたりTiOのXRF計数が1,080であり、そしてレーシングは1.3と評価された。
【0066】
(実施例7−0.9%ヘキシル酸ホスフェート処理されたTiO
上記の方法に従って調製された顔料基剤を、実施例2の方法に従って調製された0.9%ヘキシル酸ホスフェートで処理し、そして蒸気微粉化処理して、最終生成物を生成した。最終顔料を、分散およびレーシング評価のために、75%および50%のマスターバッチ中の低密度ポリエチレンに取り込ませた。分散結果は、1秒間あたりTiOのXRF計数が1,260であり、そしてレーシングは1.3と評価された。
【0067】
(実施例8−1.1%ヘキシル酸ホスフェート処理されたTiO
上記の方法に従って調製された顔料基剤を、実施例2の方法に従って調製された1.1%ヘキシル酸ホスフェートで処理し、そして蒸気微粉化処理して、最終生成物を生成した。最終顔料を、分散およびレーシング評価のために、75%および50%のマスターバッチ中の低密度ポリエチレンに取り込ませた。分散結果は、1秒間あたりTiOのXRF計数が1,310であり、そしてレーシングは1.2と評価された。
【0068】
(実施例9−0.5%ブチル酸ホスフェート処理されたTiO
上記の方法に従って調製された顔料基剤を、Albright and Wilson Americasから入手した0.5%ブチル酸ホスフェートで処理し、そして蒸気微粉化処理して、最終生成物を生成した。最終顔料を、分散評価のために、75重量%の低密度ポリエチレンマスターバッチ中に取り込ませた。分散結果は、1秒間あたりTiOのXRF計数が12,720であった。
【0069】
(実施例10−0.7% ブチル酸ホスフェート処理したTiO
上記の方法に従って調製した顔料基剤を、Albright and Wilson Americasより得た0.7%ブチル酸ホスフェートで処理し、そして蒸気微粉化して最終生成物を生成した。最終的な顔料を、分散の評価のために、75重量%の低密度ポリエチレンマスターバッチに組み込んだ。分散の結果は、1秒当たりのTiOのXRF数が2,180であった。
【0070】
(実施例11−0.9% ブチル酸ホスフェート処理したTiO
上記の方法に従って調製した顔料基剤を、Albright and Wilson Americasより得た0.9%ブチル酸ホスフェートで処理し、そして蒸気微粉化して最終生成物を生成した。最終的な顔料を、分散の評価のために、75重量%の低密度ポリエチレンマスターバッチに組み込んだ。分散の結果は、1秒当たりのTiOのXRF数が1,030であった。
【0071】
(実施例12−0.9% 2−エチルヘキシル酸ホスフェート処理したTiO
上記の方法に従って調製した顔料基剤を、Specialty Industrial Products,Inc.より商品名Sipophos 2EHPで市販される0.9% 2−エチルヘキシル酸ホスフェートで処理し、そして蒸気微粉化して最終生成物を生成した。最終的な顔料を、分散の評価のために、75重量%の低密度ポリエチレンマスターバッチに組み込んだ。分散の結果は、1秒当たりのTiOのXRF数が790であった。
【0072】
(実施例13−1.1% 2−エチルヘキシル酸ホスフェート処理したTiO
上記の方法に従って調製した顔料基剤を、Specialty Industrial Products,Inc.より商品名Sipophos 2EHPで市販される1.1% 2−エチルヘキシル酸ホスフェートで処理し、そして蒸気微粉化して最終生成物を生成した。最終的な顔料を、分散の評価のために、75重量%の低密度ポリエチレンマスターバッチに組み込んだ。分散の結果は、1秒当たりのTiOのXRF数が280であった。
【0073】
(実施例14−0.9% セチル酸ホスフェート処理したTiO
上記の方法に従って調製した顔料基剤を、Colonial Chemical Companyより商品名Colafax CPEで市販される0.9% セチル酸ホスフェートで処理し、そして蒸気微粉化して最終生成物を生成した。最終的な顔料を、分散の評価のために、75重量%の低密度ポリエチレンマスターバッチに組み込んだ。分散の結果は、1秒当たりのTiOのXRF数が15,140であった。
【0074】
(実施例15−1.1% セチル酸ホスフェート処理したTiO
上記の方法に従って調製した顔料基剤を、Colonial Chemical Companyより商品名Colafax CPEで市販される1.1% セチル酸ホスフェートで処理し、そして蒸気微粉化して最終生成物を生成した。最終的な顔料を、分散の評価のために、75重量%の低密度ポリエチレンマスターバッチに組み込んだ。分散の結果は、1秒当たりのTiOのXRF数が2,970であった。
【0075】
(実施例16−0.7% オレイル酸ホスフェート処理したTiO
上記の方法に従って調製した顔料基剤を、Albright and Wilson Americasより商品名DURAPHOS APO−128で市販される0.7% オレイル酸ホスフェートで処理し、そして蒸気微粉化して最終生成物を生成した。最終的な顔料を、分散の評価のために、75重量%の低密度ポリエチレンマスターバッチに組み込んだ。分散の結果は、1秒当たりのTiOのXRF数が25,730であった。
【0076】
(実施例17−0.9% オレイル酸ホスフェート処理したTiO
上記の方法に従って調製した顔料基剤を、Albright and Wilson Americasより商品名DURAPHOS APO−128で市販される0.9% オレイル酸ホスフェートで処理し、そして蒸気微粉化して最終生成物を生成した。最終的な顔料を、分散の評価のために、75重量%の低密度ポリエチレンマスターバッチに組み込んだ。分散の結果は、1秒当たりのTiOのXRF数が20,720であった。
【0077】
(実施例18−0.5% ビス(2−エチルヘキシル)酸ホスフェート処理したTiO
上記の方法に従って調製した顔料基剤を、Albright and Wilson Americasより市販される0.5% ビス(2−エチルヘキシル)酸ホスフェートで処理し、そして蒸気微粉化して最終生成物を生成した。最終的な顔料を、分散の評価のために、75重量%の低密度ポリエチレンマスターバッチに組み込んだ。分散の結果は、1秒当たりのTiOのXRF数が5,610であった。
【0078】
(実施例19−0.7% ビス(2−エチルヘキシル)酸ホスフェート処理したTiO
上記の方法に従って調製した顔料基剤を、Albright and Wilson Americasより市販される0.7% ビス(2−エチルヘキシル)酸ホスフェートで処理し、そして蒸気微粉化して最終生成物を生成した。最終的な顔料を、分散の評価のために、75重量%の低密度ポリエチレンマスターバッチに組み込んだ。分散の結果は、1秒当たりのTiOのXRF数が1,120であった。
【0079】
(実施例20−0.9% ビス(2−エチルヘキシル)酸ホスフェート処理したTiO
上記の方法に従って調製した顔料基剤を、Albright and Wilson Americasより市販される0.9% ビス(2−エチルヘキシル)酸ホスフェートで処理し、そして蒸気微粉化して最終生成物を生成した。最終的な顔料を、分散の評価のために、75重量%の低密度ポリエチレンマスターバッチに組み込んだ。分散の結果は、1秒当たりのTiOのXRF数が1,530であった。
【0080】
(実施例21−1.1% ビス(2−エチルヘキシル)酸ホスフェート処理したTiO
上記の方法に従って調製した顔料基剤を、Albright and Wilson Americasより市販される1.1% ビス(2−エチルヘキシル)酸ホスフェートで処理し、そして蒸気微粉化して最終生成物を生成した。最終的な顔料を、分散の評価のために、75重量%の低密度ポリエチレンマスターバッチに組み込んだ。分散の結果は、1秒当たりのTiOのXRF数が1,070であった。
【0081】
(硫化亜鉛反応性)
(実施例22−硫化亜鉛およびリン酸化ポリエン)
二酸化チタンおよびリン酸化ポリエンを含む5gの顔料生成物を、1gの硫化亜鉛とともにシールしたバイアル中に置いた。このバイアルを、195℃で10分間加熱した。バイアルから放出される有害な蒸気を、Hewlett−Packard GC−MSに注入し、二硫化ジメチルおよび三硫化ジメチルを検出した。
【0082】
(実施例23−硫化亜鉛およびオクチル酸ホスフェート処理したTiO
実施例3において調製したような5gの顔料を、1gの硫化亜鉛とともにシールしたバイアル中に置いた。このバイアルを、195℃で10分間加熱した。有害な臭気は検出されず、硫黄成分もGC−MSを介して検出されなかった。
【0083】
(最終的な顔料の抽出)
実施例3および4からの最終的な顔料のサンプルを、ヘキサン、テトラヒドロフランおよび10%:90%のエタノール:水(W/W)混合物を抽出溶媒として用いるSoxhlet抽出手順を使用して抽出した。乾燥顔料の炭素含量を、抽出の前後両方で測定した。結果を、以下の表2に示す。
【0084】
【表2】

【0085】
抽出結果に基づくと、有機酸ホスフェートは、TiO顔料に明らかに強く結合する。なぜなら、処理した顔料の炭素レベルは、抽出によって顕著に影響されないからである。さらに、オクチル酸ホスフェートは、高温蒸気微粉化処理の間に感知される程加水分解されないようである。なぜなら、90%を超える添加された炭素が、微粉化の後にこの顔料に付着し続けるからである。酸ホスフェートの加水分解により、オクタノール(これは、揮発性であり微粉化の間に蒸発する)が遊離することが予期される。
【0086】
(実施例24:カプリルピロホスフェートの酸形態)
カプリルピロホスフェートの酸形態を、以下の手順に従って、その対応するナトリウム塩(Chem Service,Inc.P.O.Box 599,West Chester,Pa,19381より購入した;カタログ番号#S−481)より調製した。ナトリウム塩の一部(約37g)を、水に溶解して、濃HClでpH<2まで酸性にした。次いで、生じた反応混合物を、3×200mLのジエチルエーテルで抽出した。合わせた有機層を、5×200mLの水で洗浄し、次いで、無水MgSO上で乾燥した。このエーテル層をデカントし、残った乾燥剤を、50mLのジエチルエーテルで洗浄し、そしてエーテルをデカントした。合わせたエーテル抽出物を、室温にてロータリーエバポレーターで蒸発させた。残った残渣を、TiO表面処理に使用した。
【0087】
(実施例25:カプリルピロホスフェートの酸形態)
アルミン酸ナトリウム溶液1リットル当たり386.4グラムのAlの51.8mlを、70℃で攪拌しながら、1リットルのスラリー当たり350グラムで、酸化剤生成物TiO(5000g)に添加した。50% 水酸化ナトリウム溶液を用いて、pHを7.0に調整し、そしてスラリーを30分間寝かせた。
【0088】
この寝かせたスラリーを濾過し、80℃の脱イオン水5000mlアリコートで3回洗浄し、次いで、乾燥炉中で115℃にて一晩乾燥させた。乾燥したフィルターケークを、カプリルポリホスフェートで処理する前に8−メッシュの篩を通した。
【0089】
実施例24の方法に従って調製したカプリルピロホスフェートの酸形態10.75gを、乾燥した、乾燥した、8メッシュのアルミナ被膜TiO(980g)に滴下し、これをポリエチレンフィルム上に1cmの厚みに拡げた。顔料を混合し、1ガロンの広口プラスチックボトルに移し、そしてローラーミルで10分間攪拌した。生じた物質を、蒸気微粉化してこの最終的な顔料を生成した。
【0090】
この最終的な顔料を、分散およびレーシングの評価のために、75%および50%のマスターバッチ中の低密度ポリエチレンに組み込んだ。結果を、表3に与える。
【0091】
(実施例26:2−エチルヘキシルピロホスフェートの酸形態)
2−エチルヘキシルピロホスフェートの酸形態を、以下の手順に従って、その対応するナトリウム塩(Chem Service,Inc.P.O.Box 599、West Chester,Pa,19381より購入した;カタログ番号#S−480)より、調製した。ナトリウム塩の一部(約37g)を、水に溶解して、濃HClでpH<2まで酸性にした。次いで、生じた反応混合物を、3×200mLのジエチルエーテルで抽出した。合わせた有機層を、5×200mLの水で洗浄し、次いで、無水MgSO上で乾燥した。このエーテル層をデカントし、残った乾燥剤を、50mLのジエチルエーテルで洗浄し、そしてエーテルをデカントした。合わせたエーテル抽出物を、室温にてロータリーエバポレーターで蒸発させた。残った残渣を、TiO表面処理に使用した。
【0092】
(実施例27:2−エチルヘキシルピロホスフェートの酸形態)
実施例26において調製した2−エチルヘキシルピロホスフェートの酸形態11.20gを、実施例25に従って調製した、乾燥した、8メッシュのアルミナ被膜TiO(1000g)に滴下し、これをポリエチレンフィルム上に1cmの厚みに拡げた。顔料を混合し、1ガロンの広口プラスチックボトルに移し、そしてローラーミルで10分間攪拌した。生じた物質を、蒸気微粉化してこの最終的な顔料を生成した。
【0093】
この最終的な顔料を、分散およびレーシングの評価のために、75%および50%のマスターバッチ中の低密度ポリエチレンに組み込んだ。結果を、表3に与える。
【0094】
(実施例28:カプリルピロホスフェートのナトリウム塩)
Chem Service Inc.より得たカプリルピロホスフェートのナトリウム塩(カタログ番号#S−481)(15.08g)を、脱イオン水(30.9g)に溶解した。この水溶液を、実施例25に従って調製した、乾燥した、8メッシュのアルミナ被膜TiO(1000g)に滴下し、これをポリエチレンフィルム上に1cmの厚みに拡げた。顔料を混合し、1ガロンの広口プラスチックボトルに移し、そしてローラーミルで10分間攪拌した。生じた物質を、蒸気微粉化してこの最終的な顔料を生成した。
【0095】
この最終的な顔料を、分散およびレーシングの評価のために、75%および50%のマスターバッチ中の低密度ポリエチレンに組み込んだ。結果を、表3に与える。
【0096】
(実施例29:カプリルピロホスフェートのナトリウム塩)
Chem Service Inc.より得たカプリルピロホスフェートのナトリウム塩(カタログ番号#S−481)(18.38g)を、脱イオン水(33.1g)に溶解した。この水溶液を、実施例25に従って調製した、乾燥した、8メッシュのアルミナ被膜TiO(1000g)に滴下し、これをポリエチレンフィルム上に1cmの厚みに拡げた。顔料を混合し、1ガロンの広口プラスチックボトルに移し、そしてローラーミルで10分間攪拌した。生じた物質を、蒸気微粉化してこの最終的な顔料を生成した。
【0097】
この最終的な顔料を、分散およびレーシングの評価のために、75%および50%のマスターバッチ中の低密度ポリエチレンに組み込んだ。結果を、表3wに与える。
【0098】
(実施例30:2−エチルヘキシルポリホスフェートのナトリウム塩)
Chem Service Inc.より得た2−エチルヘキシルポリホスフェートのナトリウム塩(カタログ番号#S−480)(15.05g)を、脱イオン水(26.9g)に溶解した。この水溶液を、実施例25に従って調製した、乾燥した、8メッシュのアルミナ被膜TiO(1000g)に滴下し、これをポリエチレンフィルム上に1cmの厚みに拡げた。顔料を混合し、1ガロンの広口プラスチックボトルに移し、そしてローラーミルで10分間攪拌した。生じた物質を、蒸気微粉化してこの最終的な顔料を生成した。
【0099】
この最終的な顔料を、分散およびレーシングの評価のために、75%および50%のマスターバッチ中の低密度ポリエチレンに組み込んだ。結果を、表3に与える。
【0100】
(実施例31:ジヘキシルピロホスフェートの酸形態)
ジヘキシルピロホスフェートの酸形態を、Alder,Howard and Woodstock,Willard.Chem.Industries,1942,51,516に従って、以下の事項を用いて調製した:P(28.4g)を、スターラーバーまたはメカニカルスターラーを用いて攪拌しながら、1−ヘキサノール(40.8g)に添加した。この反応中、冷却しなかった。Pをアルコールと混合する間に、温度は、約125〜145℃ほどまで高くなり、この温度が室温まで下がった場合に、この反応を完了したとみなした。
【0101】
上記の方法に従って調製したジヘキシルピロホスフェートの酸形態(10.89g)を、テトラヒドロフラン(16.6g)に溶解した。ジヘキシルピロホスフェートのテトラヒドロフラン溶液を、実施例25に従って調製した、乾燥した、8メッシュのアルミナ被膜TiO(1200g)に滴下し、これをポリエチレンフィルム上に1cmの厚みに拡げた。顔料を混合し、1ガロンの広口プラスチックボトルに移し、そしてローラーミルで10分間攪拌した。生じた物質を、蒸気微粉化してこの最終的な顔料を生成した。
【0102】
この最終的な顔料を、分散およびレーシングの評価のために、75%および50%のマスターバッチ中の低密度ポリエチレンに組み込んだ。結果を、表3に与える
(実施例32:ジヘキシルピロホスフェートの酸形態)
実施例31の方法に従って調製したジヘキシルピロホスフェートの酸形態(14.52g)を、テトラヒドロフラン(21.7g)に溶解した。ジヘキシルピロホスフェートのテトラヒドロフラン溶液を、実施例25に従って調製した、乾燥した、8メッシュのアルミナ被膜TiO(1200g)に滴下し、これをポリエチレンフィルム上に1cmの厚みに拡げた。顔料を混合し、1ガロンの広口プラスチックボトルに移し、そしてローラーミルで10分間攪拌した。生じた物質を、蒸気微粉化してこの最終的な顔料を生成した。
【0103】
この最終的な顔料を、分散およびレーシングの評価のために、75%および50%のマスターバッチ中の低密度ポリエチレンに組み込んだ。結果を、表3に与える
(実施例33:ジオクチルピロホスフェートの酸形態)
ジオクチルピロホスフェートの酸形態を、Alder,Howard and Woodstock,Willard.Chem.Industries,1942,51,516に従って、以下の事項を用いて調製した:P(28.4g)を、スターラーバーまたはメカニカルスターラーを用いて攪拌しながら、1−オクタノール(52.0g)に添加した。この反応中、冷却しなかった。Pをアルコールと混合する間に、温度は、約125〜145℃ほどまで高くなり、この温度が室温まで下がった場合に、この反応を完了したとみなした。
【0104】
上記の方法に従って調製したジオクチルピロホスフェートの酸形態(10.80g)を、実施例25に従って調製した、乾燥した、8メッシュのアルミナ被膜TiO(1200g)に滴下し、これをポリエチレンフィルム上に1cmの厚みに拡げた。顔料を混合し、1ガロンの広口プラスチックボトルに移し、そしてローラーミルで10分間攪拌した。生じた物質を、蒸気微粉化してこの最終的な顔料を生成した。
【0105】
この最終的な顔料を、分散およびレーシングの評価のために、75%および50%のマスターバッチ中の低密度ポリエチレンに組み込んだ。結果を、表3に与える
(実施例34:ジオクチルピロホスフェートの酸形態)
実施例10の方法に従って調製したジオクチルピロホスフェートの酸形態(14.54g)を、実施例25に従って調製した、乾燥した、8メッシュのアルミナ被膜TiO(1200g)に滴下し、これをポリエチレンフィルム上に1cmの厚みに拡げた。顔料を混合し、1ガロンの広口プラスチックボトルに移し、そしてローラーミルで10分間攪拌した。生じた物質を、蒸気微粉化してこの最終的な顔料を生成した。
【0106】
この最終的な顔料を、分散およびレーシングの評価のために、75%および50%のマスターバッチ中の低密度ポリエチレンに組み込んだ。結果を、表3に与える
(実施例35:ジヘキシルピロホスフェートのカリウム塩)
実施例31に記載の方法に従って調製した酸形態のジヘキシルピロホスフェートを少しずつエタノール(これはフェノールフタレインを含有する)に溶解することによって、ジヘキシルピロホスフェートのカリウム塩を調製した。このジヘキシルピロホスフェートの溶液に、約0.5Mのエタノール性KOH溶液を、反応混合物がわずかにピンク色に変わるまで滴下した。次いで、得られた溶液を、室温で、ロータリーエバポレーターで乾燥した。残った残渣を、TiO顔料の表面処理のために使用した。
【0107】
上記の方法に従って調製したジヘキシルピロホスフェートのカリウム塩(11.17g)を、テトラヒドロフラン(78.0g)に溶解した。このジヘキシルピロホスフェートのカリウム塩のテトラヒドロフラン溶液を、実施例25に従って調製した8メッシュの乾燥アルミナ被覆TiO(1200g)に滴下し、これをポリエチレンフィルム上に1cmの厚みに拡げた。この顔料を混合し、1ガロンの広口プラスチックビンに移し、そしてローラーミルで10分間撹拌した。得られた材料を蒸気微粉化して、最終的な顔料を生成した。
【0108】
この最終的な顔料を、分散およびレーシングの評価のために、75%マスターバッチおよび50%マスターバッチの低密度ポリエチレンに組み込んだ。結果を表3に示す。
【0109】
(実施例36:酸形態のペンタオクチルトリポリホスフェート)
酸形態のペンタオクチルトリポリホスフェートを、Alder、HowardおよびWoodstock、Willard.Chem.Industries,1942,51,516に従って、以下を考慮して調製した:スターラーバーまたはメカニカルスターラーを使用して撹拌しながら、17.0gのPを26.0gの1−オクタノールに添加した。この反応の間、冷却しなかった。Pとアルコールの混合の間に、温度が約125〜145℃ほど高くなり、この温度が室温まで下がった場合に、この反応を完了したとみなした。
【0110】
上記の方法に従って調製した酸形態のペンタオクチルトリポリホスフェート(10.85g)を、テトラヒドロフラン(43.9g)に溶解した。このペンタオクチルトリポリホスフェートのテトラヒドロフラン溶液を、実施例25に従って調製した8メッシュの乾燥アルミナ被覆TiO(1200g)に滴下し、これをポリエチレンフィルム上に1cmの厚みに拡げた。この顔料を混合し、1ガロンの広口プラスチックビンに移し、そしてローラーミルで10分間撹拌した。得られた材料を蒸気微粉化して、最終的な顔料を生成した。
【0111】
この最終的な顔料を、分散の評価のために、75%低密度ポリエチレンマスターバッチに組み込んだ。結果を表3に示す。
【0112】
(実施例37:酸形態のペンタオクチルトリポリホスフェート)
上記の方法に従って調製した酸形態のペンタオクチルトリポリホスフェート(13.27g)を、テトラヒドロフラン(40.2g)に溶解した。このペンタオクチルトリポリホスフェートのテトラヒドロフラン溶液を、実施例25に従って調製した8メッシュの乾燥アルミナ被覆TiO(1200g)に滴下し、これをポリエチレンフィルム上に1cmの厚みに拡げた。この顔料を混合し、1ガロンの広口プラスチックビンに移し、そしてローラーミルで10分間撹拌した。得られた材料を蒸気微粉化して、最終的な顔料を生成した。
【0113】
この最終的な顔料を、分散の評価のために、75%低密度ポリエチレンマスターバッチに組み込んだ。結果を表3に示す。
【0114】
(実施例38:酸形態のトリオクチルテトラポリホスフェート)
酸形態のトリオクチルテトラポリホスフェートを、Alder、HowardおよびWoodstock、Willard.Chem.Industries,1942,51,516に従って、以下を考慮して調製した:スターラーバーまたはメカニカルスターラーを使用して撹拌しながら、28.4gのPを39.0gの1−オクタノールに添加した。この反応の間、冷却しなかった。Pとアルコールの混合の間に、温度が約125〜145℃ほど高くなり、この温度が室温まで下がった場合に、この反応を完了したとみなした。
【0115】
上記の方法に従って調製した酸形態のトリオクチルテトラポリホスフェート(10.80g)を、テトラヒドロフラン(47.1g)に溶解した。このトリオクチルテトラポリホスフェートのテトラヒドロフラン溶液を、実施例25に従って調製した8メッシュの乾燥アルミナ被覆TiO(1200g)に滴下し、これをポリエチレンフィルム上に1cmの厚みに拡げた。この顔料を混合し、1ガロンの広口プラスチックビンに移し、そしてローラーミルで10分間撹拌した。得られた材料を蒸気微粉化して、最終的な顔料を生成した。
【0116】
この最終的な顔料を、分散の評価のために、75%低密度ポリエチレンマスターバッチに組み込んだ。結果を表3に示す。
【0117】
(実施例39:酸形態のトリオクチルテトラポリホスフェート)
実施例15に記載の方法に従って調製した酸形態のトリオクチルテトラポリホスフェート(13.28g)を、テトラヒドロフラン(41.3g)に溶解した。このトリオクチルテトラポリホスフェートのテトラヒドロフラン溶液を、実施例25に従って調製した8メッシュの乾燥アルミナ被覆TiO(1200g)に滴下し、これをポリエチレンフィルム上に1cmの厚みに拡げた。この顔料を混合し、1ガロンの広口プラスチックビンに移し、そしてローラーミルで10分間撹拌した。得られた材料を蒸気微粉化して、最終的な顔料を生成した。
【0118】
この最終的な顔料を、分散の評価のために、75%低密度ポリエチレンマスターバッチに組み込んだ。結果を表3に示す。
【0119】
【表3】

【0120】
この表のデータは、有機酸性ピロホスフェートおよび有機酸性ポリホスフェートで処理したTiO顔料の分散特性が、従来の商業的に使用される有機処理であるトリエタノールアミンで処理した同様の顔料基剤(比較例3)よりも劇的に改善されることを示す。さらに、レーシングに対する抵抗性の有意な崩壊を伴うことなく、良好な分散特性が得られる。レーシング測定に対する標準誤差は、約0.1〜0.2である。
【0121】
本発明をこのようにある程度詳細に記載および例示してきたが、上記の特許請求の範囲はこのように限定されず、特許請求の範囲の各要素およびその等価物の表現に相当する範囲が与えられることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化チタンを含む顔料であって、該二酸化チタンは、以下の式を有する有機リン酸化合物で処理されており:
R’−P(n−2)4+[3(n−3)]
ここで、
n=4〜14であり;そして
各R’は、2〜22個の炭素原子を有する有機基、または水素であり、そして任意の一分子において、任意の2つ以上のR’基は、同じであり得、ただし、R’基の少なくとも1つは、水素ではなく;
そしてここで、該有機リン酸化合物は、該二酸化チタンの重量に基づいて、約0.01重量%〜約5重量%の量で存在する、顔料。
【請求項2】
二酸化チタンを含む顔料であって、該二酸化チタンは、以下の式を有する有機メタリン酸化合物で処理されており:
(R’’PO
ここで、
m=1〜14であり;そして
各R’’は、2〜22個の炭素原子を有する有機基、または水素であり、そして任意の一分子において、任意の2つ以上のR’’基は、同じであり得、ただし、R’’基の少なくとも1つは、水素ではなく;
そしてここで、該有機メタリン酸化合物は、該二酸化チタンの重量に基づいて、約0.01重量%〜約5重量%の量で存在する、顔料。
【請求項3】
前記二酸化チタンが、多価アルコール、アルカノールアミン、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素および酸化ジルコニウムからなる群から選択される化合物で処理される、請求項1に記載の顔料。
【請求項4】
前記二酸化チタンが、多価アルコール、アルカノールアミン、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素および酸化ジルコニウムからなる群から選択される化合物で処理される、請求項2に記載の顔料。
【請求項5】
前記二酸化チタンが、トリメチロールプロパンまたはトリエタノールアミンで処理される、請求項1に記載の顔料。
【請求項6】
前記二酸化チタンが、トリメチロールプロパンまたはトリエタノールアミンで処理される、請求項2に記載の顔料。
【請求項7】
二酸化チタンを含む顔料であって、該二酸化チタンは、請求項1に記載の有機リン酸化合物の塩で処理されている、顔料。
【請求項8】
二酸化チタンを含む顔料であって、該二酸化チタンは、請求項2に記載の有機メタリン酸化合物の塩で処理されている、顔料。
【請求項9】
ポリマーおよび請求項1に記載の顔料からなる、ポリマーマトリクス。
【請求項10】
ポリマーおよび請求項2に記載の顔料からなる、ポリマーマトリクス。
【請求項11】
前記ポリマーが、ポリエチレンである、請求項9に記載のポリマーマトリクス。
【請求項12】
前記ポリマーが、ポリエチレンである、請求項10に記載のポリマーマトリクス。
【請求項13】
前記顔料の量が、前記ポリマーマトリクスの重量に基づいて、該ポリマーマトリクスの約50重量%〜約85重量%である、請求項11に記載のポリマーマトリクス。
【請求項14】
前記顔料の量が、前記ポリマーマトリクスの重量に基づいて、該ポリマーマトリクスの約50重量%〜約85重量%である、請求項12に記載のポリマーマトリクス。
【請求項15】
顔料を調製する方法であって、該方法は、二酸化チタンおよび有機リン酸化合物を組み合わせる工程を包含し、ここで、該有機リン酸化合物は、以下の式を有し:
R’−P(n−2)4+[3(n−3)]
ここで、
n=4〜14であり;そして
各R’は、2〜22個の炭素原子を有する有機基、または水素であり、そして任意の一分子において、任意の2つ以上のR’基は、同じであり得、ただし、R’基の少なくとも1つは、水素ではなく;
そしてここで、該有機リン酸化合物は、該二酸化チタンの重量に基づいて、該二酸化チタンの約0.01重量%〜約5重量%の量で存在する、方法。
【請求項16】
顔料を調製する方法であって、二酸化チタンを請求項15に記載の有機リン酸化合物の塩と組み合わせる工程を包含する、方法。
【請求項17】
顔料を調製する方法であって、該方法は、二酸化チタンおよび有機メタリン酸化合物を組み合わせる工程を包含し、ここで、該有機メタリン酸化合物は、以下の式を有し:
(R’’PO
ここで、
m=1〜14であり;そして
各R’’は、2〜22個の炭素原子を有する有機基、または水素であり、そして任意の一分子において、任意の2つ以上のR’’基は、同じであり得、ただし、R’’基の少なくとも1つは、水素ではなく;
そしてここで、該有機メタリン酸化合物は、該二酸化チタンの重量に基づいて、該二酸化チタンの約0.01重量%〜約5重量%の量で存在する、方法。
【請求項18】
顔料を調製する方法であって、二酸化チタンを請求項17に記載の有機メタリン酸化合物の塩と組み合わせる工程を包含する、方法。

【公開番号】特開2007−224307(P2007−224307A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−75671(P2007−75671)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【分割の表示】特願2002−545091(P2002−545091)の分割
【原出願日】平成13年11月26日(2001.11.26)
【出願人】(500509302)ミレニアム インオーガニック ケミカルズ インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】