説明

有機化合物に汚染された土壌の無害化処理方法

【課題】環境負荷の低い有機化合物に汚染された土壌の無害化処理方法の提供
【解決手段】有機化合物を含んだ土壌と助燃用木質チップとを自燃式炭化装置に投入し、酸素不足状態で加熱処理し、土壌中の有機化合物を助燃用木質チップとともに熱分解して炭化させることを特徴とする有機化合物を含んだ土壌の処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機化合物に汚染された土壌の無害化処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機化合物に汚染された土壌の無害化処理方法としては、従来から以下の方法が知られている。
(1)高温焼却による無害化処理方法。これは、重油などの化石燃料バーナーや高温電熱炉で強加熱し、処理するものである。しかし、極めて大量のエネルギーを消費し、大量の二酸化炭素を排出するという問題がある。また、この手法は、長時間の加熱を要するため、電気代や燃料代の点で問題があり、処理効率を高めるために大規模プラントで処理する必要があるため、プラントまでの汚染土壌輸送の費用が発生するという問題がある。また、この手法は、熱伝達性のよくない土壌の土砂成分や含水量の多い土砂には容易に適用できず、水分乾燥後の土砂は、接炎時の上昇気流の影響があるため、焼却炉内で、むらなく高温になりにくいという問題がある。
【0003】
(2)菌やカビなどによる生物学的な分解無害化処理方法。これは、細菌の分解能力を用い油分などの残留有機物を無害化処理するものである。しかし、菌類を用いる環境再生法は菌の環境適応性に大きく左右され、土壌の質や常在細菌類の影響を避けられないという問題がある。
【0004】
(3)超臨界二酸化炭素による無害化処理方法。しかし、この手法は、連続式であっても、大規模での汚染土壌の処理は困難であり、二酸化炭素ガスの回収や漏洩等に留意を要するという問題がある。
【0005】
(4)大規模な汚染土壌無害化法であり、汚染された土地へ溶剤や水などを注入し、汚染原因油分を浮き出させた後、除去する無害化処理方法。これは、保持されている汚染物質を遊離させるため、他への汚染拡大の可能性が高くなるという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、環境負荷の低い有機化合物に汚染された土壌の無害化処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記技術状況に鑑みて、有機化合物に汚染された土壌の無害化処理方法について鋭意検討を行った結果、自燃式炭化装置内に、有機化合物を含んだ土壌と助燃用木質チップと投入し、燃焼させるのではなく、酸素不足状態で加熱処理し、土壌中の有機化合物を助燃用木質チップとともに熱分解して炭化させることにより、低い環境負荷で有機化合物に汚染された土壌を無害化処理できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、有機化合物を含んだ土壌と助燃用木質チップとを自燃式炭化装置に投入し、酸素不足状態で加熱処理し、土壌中の有機化合物を助燃用木質チップとともに熱分解して炭化させることを特徴とする有機化合物を含んだ土壌の処理方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、国内外において木質系廃棄物とみなされている竹間伐材・剪定材・型枠廃材などのバイオマス資源を有効活用できる。
また、本発明によれば、化石燃料消費、すなわち二酸化炭素排出を低く抑えることができ、エネルギーコストを抑えることができる。
また、本発明によれば、土壌を長距離輸送させることなく現地で処理することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の土壌処理方法は、有機化合物を含んだ土壌と助燃用木質チップとを自燃式炭化装置に投入し、酸素不足状態で加熱処理し、土壌中の有機化合物を助燃用木質チップとともに熱分解して炭化させるものである。本発明で使用される自燃式炭化装置は特に限定されないが、内底部に複数の空気導入孔を有する略密閉式の自燃式炭化炉本体と、該炉本体内に立設されて上端が炉本体天井部近傍に達する加熱排気筒とを備え、該加熱排気筒が、下部に炉内空間に連通する排気導入口を備えて、上部が炉外への排気路に繋がる加熱排気筒である自燃式炭化装置が好ましい。
【0011】
自燃式炭化装置は、反応温度を適宜調整できる点で、酸素供給量を調節するためのマイコン制御自動バルブを有するのが好ましく、乾留穴を有する炉内排気管と汚染土壌を入れるための処理容器と熱分解後の揮発成分を燃焼させるための二次燃焼室を有するのが好ましい。なお処理容器はクレーン等での出し入れを可能とすることが好ましい。
【0012】
また、本発明において、炭化装置としては、無害化処理の効率の点で、炉本体内にSUS製円筒集合体が立設されているのが好ましい。
また、自燃式炭化炉は、発生するガスを捕集するフィルターを備えていても良い。
【0013】
また、本発明において、炭化装置としては、炉本体の底部に、前記複数の空気導入孔を設けた内底板と、該内底板の下位に配置した外底板との間で構成される着火室を備え、該着火室に空気取入れ口及び着火用熱源導入口が設けられているのが好ましい。
また、炉本体の上部に設けられた材料出入口を開閉する蓋板を有するのが好ましい。
また、空気導入孔への空気を供給する空気取入れ口と、該空気取入れ口に対する空気供給量調整手段とを有するのが好ましい。
【0014】
本発明において、自燃式炭化装置としては、具体的には、チャコール豊新社製CEC−3600F型及びCEC−3900F型が好ましい。
【0015】
本発明の処理方法の対象となる土壌は、有機化合物を含んだ土壌であり、具体的には有機化合物で汚染された土壌である。当該有機化合物としては、例えば、原油、アスファルト、重油、潤滑油、使用済み潤滑油、動植物油類、合成油類、軽油、灯油、ジェット燃料、ガソリン及びナフサ成分が挙げられ、原油、重油、潤滑油、使用済み潤滑油、軽油が好ましい。
【0016】
有機化合物のうち原油とは、その組成が炭素:82〜88%、水素:10〜15%、硫黄:6%以下のものであり、上記組成の範囲であれば産地は限定されない。すなわちは精製されていない石油をさす。
また、有機化合物のうちアスファルトとは、減圧蒸留装置からの分留された減圧残油であるストレートアスファルトもしくは高温の空気を吹き込み軟化点を高くしたブローンアスファルトを指す。
また、有機化合物のうち、重油とは、原油の常圧蒸留によって得られる残油、あるいはそれを処理して得られる重質の石油製品であり、JIS K 2205で規定されるいずれかをさす。
【0017】
また、有機化合物のうち潤滑油とは、溶剤精製や水素化精製などの精製により得られるパラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、中間基系鉱油などが挙げられる。合成油としては、炭化水素系合成油;モノエステル、ジエステル、ポリオールエステル(トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ネオペンチルジオールエステル、コンプレックスエステル)、ポリグリコールエステル、グリセリンエステル、芳香族エステルなどのエステル油;アルキル化ジフェニルエーテル、アルキル化トリフェニルエーテル、アルキル化テトラフェニルエーテル、アルキル化ポリフェニルエーテルなどのエーテル油;各種シリコーン油;各種フッ素油などが挙げられる。動植物油としては飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸からなるエステルであり、あるいはそれらの混合物でもよい。上記潤滑油基油は、単独でも、2種以上を組み合わせたものでもよく、また鉱油と合成油と動植物油を組み合わせたものでもよい。また各種添加剤が処方されたエンジン油、ギヤー油、油圧作動油、タービン油、軸受け油、摺動面油、圧縮機油、金属加工油、絶縁油、グリースなどでもよい。添加される添加剤の種類、配合比率にはよらず、広範囲の潤滑油基油、潤滑油製品において適用される。
【0018】
また、有機化合物のうち軽油とは、原油の蒸留によって得られる沸点範囲が180〜350℃程度の石油製品であり、JIS K 2204で規定されるいずれかをさす。
また、有機化合物のうち灯油とは、原油の蒸留によって得られる沸点範囲が170〜250℃程度の石油製品であり、JIS K 2203で規定されるいずれかをさす。
【0019】
また、有機化合物のうちジェット燃料とは、JIS K 2209で規定されるJET−A、石油連盟による民間航空機用統一燃料規格JET−A−1、防衛庁仕様・米軍規格によるJP−4、JP−5、JP−8などで規定されるいずれかをさす。
また、有機化合物のうちガソリンとは、原油の蒸留によって得られる沸点範囲が30〜220℃程度の石油製品であり、JIS K 2201、2202、2206で規定されるいずれかをさす。
また、有機化合物のうちナフサとは、原油の蒸留によって得られる沸点範囲が35〜180℃程度の石油製品であり、詳しくは沸点範囲が35〜80℃の軽質ナフサもしくは沸点範囲が80〜180℃の重質ナフサをさす。
【0020】
本発明において、揮発性有機化合物及びハロゲン化炭化水素系化合物としては、フロンガス原料、消化剤、脱脂洗浄剤塗料溶剤、抽出剤、医薬(麻酔)、殺虫剤、冷媒、脱脂洗浄剤、塗料剥離剤、ドライクリーニング溶剤等が挙げられ、具体的には、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエチレンシス、1,2−ジクロロエチレン、1,3−ジクロロプロペン、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン及びベンゼンから選ばれる第一種特定有害物質に区分される化合物が好ましい。
また、これらの有機化合物を含んだ土壌を本発明方法により処理した場合、ガスが発生する場合があるため、前記のように、炭化装置には、ガスを補修するフィルターを備えているのが好ましい。ここで、炭化の際にガスを発生する有機化合物としては、有害ガスを捕集する点で、第一種特定有害物質成分等の揮発性有機化合物、ハロゲン化炭化水素系化合物、及び第三種特定有害物質成分等の化学合成農薬から選ばれる有機化合物が挙げられ、第一種特定有害物質成分及び第三種特定有害物質成分から選ばれる有機化合物がより好ましい。
【0021】
本発明において、化学合成農薬としては、除草剤、殺虫剤、土壌殺菌剤、害虫の忌避剤などの農薬若しくはトランスコンデンサーなどに含まれる絶縁油が挙げられ、シマジン、チオベンカルブ、チラウム、ポリ塩化ビフェニル及び有機リン化合物単体から選ばれる第三種特定有害物質に区分される化合物が好ましい。
【0022】
本発明で使用する助燃用木質チップとしては、木や竹の間伐材、剪定の切り枝、製材工程や工程から出る端材や残材、建築に伴う木屑、木や竹を使用した製品の廃棄物や家屋解体等で生じる廃材の如き様々な不要材、農業廃棄物である藁やもみ殻、更にはナッツ類の殻のような堅果殻等が挙げられる。
また、木質チップの大きさや形態にも特に制約はなく、大きさが不揃いでも支障はないが、余りに大き過ぎては装填密度が低くなってしまい、装填物層内での通気経路が不均等になり、逆にあまりに小さ過ぎては相互の間隙が小さくなり、共に熱気の下方から上方への伝播を阻害するため、最長部が1〜20cm程度のもの、特に棒片状のものが推奨される。
【0023】
本発明方法においては、有機化合物を含んだ土壌と助燃用木質チップの両者を自燃式炭化装置炉内に投入するが、土壌の量は100〜10000Kg程度であり、好ましくは500〜5000Kg程度であり、より好ましくは900〜1000Kg程度である。助燃用木質チップの量は10Kg〜20000Kg程度、400Kg〜7500Kg程度、より好ましくは700Kg〜1000Kg程度である。また、土壌と助燃用木質チップの質量比は1対0.1〜1対2、好ましくは1対0.8〜1対1.5、より好ましくは1対0.9〜1対1.5である。
また、本発明において、土壌中の有機化合物は、無害化処理効率の点で、土壌に対して0〜10質量%であればよく、0〜6質量%が好ましく、1〜6質量%がより好ましい。
【0024】
自燃式炭化装置は、酸素不足状態で加熱する。ここで、酸素不足状態とは、大気中の酸素量と比較して、酸素量が少ない状態をさし、窒素置換や減圧による空気除去により達成しえて、減圧下であることが好ましい。具体的には、650〜750mmHgの減圧下、特に、650〜730mmHgの減圧下が好ましい。
【0025】
また、処理温度としては、800〜1200℃が好ましく、後述の処理時間を長時間維持するため800〜1000℃がより好ましい。処理時間としては、12〜36時間が好ましく、18〜30時間がより好ましい。
【0026】
本発明によれば、上記加熱処理により、土壌中の有機化合物が助燃用木質チップとともに熱分解して炭化する。
【0027】
本発明において、有機化合物及び土砂を含有する土壌を炉本体内に含有せしめて処理するが、処理後の炭化物と土壌を分離させる簡便さの点で、炉本体内に立設されたSUS製円筒集合体内に含有せしめて処理するのが好ましい。
【0028】
また、本発明は、炉本体の底部から着火するのが好ましく、無害化処理の効率の点で、炉本体の底部から着火し、着火以降は加熱排気筒内を通る燃焼排ガスの熱気による加熱排気筒の赤熱、気化熱及び自発熱分解から選ばれる少なくともいずれかによる昇温により処理が促進されるのがより好ましい。
【0029】
本発明処理方法の好適な例としては、自燃式炭化炉の蓋板を開放して、土壌を炉本体内に立設されたSUS製円筒集合体内に含有せしめ、助燃用木質チップを炉本体内に含有せしめ、炉本体の底部から着火し、着火以降は加熱排気筒内を通る燃焼排ガスの熱気による加熱排気筒の赤熱、気化熱及び自発熱分解から選ばれる少なくともいずれかにより土壌が昇温され、自発燃焼し、炉内空間全体が均一な高温状態となり、無害化処理が促進され、無害化処理が完成する方法が挙げられる。
【0030】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【実施例】
【0031】
実施例1
チャコール豊新社製CEC−3900F型を用い、汚染土壌の処理を行った。
この処理では、助燃用木質チップとして長さ1〜10cm,幅1〜3cmの竹間伐材チップを800kg炉本体に入れ、原油5mass%、水分1mass%〜2mass%を含む汚染土壌200kgを入れたSUS製円筒を炉本体内に4本設置し、その自発熱分解による昇温後の炉内温度を900〜1000℃前後に設定し、24時間処理を行った。
その結果800kgの砂、礫、石を含む乾燥した処理済み土壌が740〜750kg回収され、処理前の原油臭も完全になくなっていた。
光イオン化超高感度揮発性有機化合物(VOC)検出器による検査でも揮発性成分は検出限界である0.1ppm以下であり、さらに得られた土壌から油分の難揮発性有機成分検出がないことを完全に証明するため、処理済み土壌を有機溶剤にてソックスレー抽出後、高感度カスクロマトグラフィー―質量スペクトル測定によりその汚染有機成分の有無を確認したが、検出下限界以下であり、完全に処理できたものと判断された。
【0032】
実施例2
重油5mass%、水分1mass%〜2mass%を含む汚染土壌200kgを用いる以外は、実施例1と同様にして処理を行った。
その結果800kgの砂、礫、石を含む乾燥した処理済み土壌が740〜750kg回収され、処理前の重油臭も完全になくなっていた。
光イオン化超高感度揮発性有機化合物(VOC)検出器による検査でも揮発性成分は検出限界である0.1ppm以下であり、さらに得られた土壌から油分の難揮発性有機成分検出がないことを完全に証明するため、処理済み土壌を有機溶剤にてソックスレー抽出後、高感度カスクロマトグラフィー―質量スペクトル測定によりその汚染有機成分の有無を確認したが、検出下限界以下であり、完全に処理できたものと判断された。
【0033】
実施例3
使用済み潤滑油5mass%、水分2mass%を含む汚染土壌白土200kgを用いる以外は、実施例1と同様にして処理を行った。
その結果800kgの乾燥した処理済み白土が740kg回収され、処理前の潤滑油臭も完全になくなっていた。光イオン化超高感度揮発性有機化合物(VOC)検出器による検査でも揮発性成分は検出限界である0.1ppm以下であり、さらに得られた処理済み白土から油分や潤滑成分の難揮発性有機成分検出がないことを完全に証明するため、処理済み土壌を有機溶剤にてソックスレー抽出後、高感度カスクロマトグラフィー―質量スペクトル測定によりその汚染有機成分の有無を確認したが、検出下限界以下であり、完全に処理できたものと判断された。
【0034】
実施例4
軽油を1mass%〜2mass%、水分を1mass%〜2mass%を含む汚染土壌200kgを用いる以外は、実施例1と同様にして処理を行った。
その結果800kgの砂、礫、石を含む乾燥した処理済み土壌が760〜780kg回収され、処理前の軽油臭も完全になくなっていた。光イオン化超高感度揮発性有機化合物(VOC)検出器による検査でも揮発性成分は検出限界である0.1ppm以下であり、さらに得られた土壌から油分の難揮発性有機成分検出がないことを完全に証明するため、処理済み土壌を有機溶剤にてソックスレー抽出後、高感度カスクロマトグラフィー―質量スペクトル測定によりその汚染有機成分の有無を確認したが、検出下限界以下であり、完全に処理できたものと判断された。
より高揮発性の油分であるガソリンやナフサで汚染された土壌は上記実施例と同一条件で完全に無害化された。
【0035】
実施例5
チャコール豊新社製CEC−3900F型に発生する気体を冷却するための冷却機と捕集するフィルターを設置し、汚染土壌の処理を行い、重油1mass%〜2mass%、トリクロロエチレンを1mass%〜2mass%、水分を1mass%〜2mass%を含む汚染土壌200kgを用いる以外は、実施例1と同様にして処理を行った。
その結果800kgの砂、礫、石を含む乾燥した処理済み土壌が750〜785kg回収された。排気口からフィルター捕集後のガスを集め、高感度カスクロマトグラフィー―質量スペクトル測定により分析した。
さらに得られた土壌から油分の難揮発性有機成分検出がないことを完全に証明するため、処理済み土壌を有機溶剤にてソックスレー抽出後、高感度カスクロマトグラフィー―質量スペクトル測定によりその汚染有機成分の有無を確認したが、検出下限界以下であり、完全に処理できたものと判断された。
【0036】
実施例6
チャコール豊新社製CEC−3900F型に発生する気体を冷却するための冷却機と捕集するフィルターを設置し、汚染土壌の処理を行い、重油1mass%〜2mass%、有機リン化合物を1mass%〜2mass%、水分を1mass%〜2mass%を含む汚染土壌200kgを用いる以外は、実施例1と同様にして処理を行った。
その結果800kgの砂、礫、石を含む乾燥した処理済み土壌が750〜785kg回収された。排気口からフィルター捕集後のガスを集め、高感度カスクロマトグラフィー―質量スペクトル測定により分析した。
さらに得られた土壌から油分の難揮発性有機成分検出がないことを完全に証明するため、処理済み土壌を有機溶剤にてソックスレー抽出後、高感度カスクロマトグラフィー―質量スペクトル測定によりその汚染有機成分の有無を確認したが、検出下限界以下であり、完全に処理できたものと判断された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機化合物を含んだ土壌と助燃用木質チップとを自燃式炭化装置に投入し、酸素不足状態で加熱処理し、土壌中の有機化合物を助燃用木質チップとともに熱分解して炭化させることを特徴とする有機化合物を含んだ土壌の処理方法。
【請求項2】
酸素不足状態が、減圧状態である請求項1記載の土壌の処理方法。
【請求項3】
自燃式炭化装置が、内底部に複数の空気導入孔を有する略密閉式の自燃式炭化炉本体と、該炉本体内に立設されて上端が炉本体天井部近傍に達する加熱排気筒とを備え、該加熱排気筒が、下部に炉内空間に連通する排気導入口を備えて、上部が炉外への排気路に繋がる加熱排気筒である炭化装置である請求項1又は2記載の土壌の処理方法。
【請求項4】
前記有機化合物が原油、アスファルト、重油、潤滑油、動植物油類、合成油類、軽油、灯油、ジェット燃料、ガソリン及びナフサ成分から選ばれるものである請求項1〜3のいずれか1項記載の土壌の処理方法。
【請求項5】
前記自燃式炭化装置に発生するガスを捕集するフィルターを備え、前記有機化合物が第一種特定有害物質成分、揮発性有機化合物、ハロゲン化炭化水素系化合物、第三種特定有害物質成分、化学合成農薬、及びPCBから選ばれる有機化合物である請求項1〜4のいずれか1項記載の土壌の処理方法。

【公開番号】特開2010−5574(P2010−5574A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169732(P2008−169732)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(398053147)コスモ石油ルブリカンツ株式会社 (123)
【出願人】(508197125)有限会社エコテック (1)
【Fターム(参考)】