説明

有機化合物の測定装置及びその測定方法

【課題】本発明は、有機化合物、特に大気中の微量揮発性有機化合物を多成分同時に高感度、リアルタイムに測定する有機化合物の測定装置及び有機化合物の測定方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、上記課題を解決するために、 放電式のイオン源とドリフトチューブと輸送チャンバーとビーム成形輸送部材と飛行時間型質量分析計からなる陽子移動反応飛行時間型質量分析計において、前記イオン源が、押出し電極と、第一スペーサーと、引出し電極と、第二スペーサーと、中心に穿孔が穿設された接続電極からなり、前記押出し電極と前記第一スペーサーと前記引出し電極で形成されたイオン発生空間の前記押出し電極と前記引出し電極で放電し、水蒸気をHにすることを特徴とする有機化合物の測定装置の構成及び、前記装置を用いた有機化合物の測定方法とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機化合物、特に大気中の微量揮発性有機化合物を多成分同時に高感度、リアルタイムに測定する有機化合物の測定装置及び有機化合物の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
揮発性有機化合物(olatile rganic ompound)とは、VOCとして略すことがあり、パラフィン類、オレフィン類、芳香族炭化水素のようなものがある。
【0003】
大気中の揮発性有機化合物を測定する装置としては、(1)クロマトグラフを用いて有機化合物を分離し、水素炎イオン化検出器、もしくは電子衝撃イオン化四重極質量分析計で検出するガスクロマトグラフ(GC−FID、GC−MS)が市販されている。
【0004】
しかし、(1)ガスクロマトグラフを用いた有機化合物の検出では、前処理、分離に時間を要するため、リアルタイムでの測定は困難で、また有機化合物の中には反応性が高いものも含まれ、前処理(濃縮など)の段階で有機化合物が変質する可能性がある。
【0005】
(2)試薬イオンとして水の放電で生成するHを用い、陽子移動反応によりプロトンを有機化合物に付加させ、ドリフトチューブ内で生成さRHに四重極質量分析計(QMS)で電場をかけて質量ごとに分別する陽子移動反応質量分析装置(PTR−MS)も市販されている。電場は時間的に変動し、任意の質量成分のみ、検出器(SEM)に到達する。
【0006】
ここで、陽子移動反応(Proton−Transfer−Reaction)とは、
次式1で示される反応である。
R+H→RH+HO・・・式1
Rは測定したいVOCである。
【0007】
PTR−MSではソフトな陽子移動反応を利用するので、VOCがドリフトチューブ内で壊されることなく検出でき、また、ガスクロマトグラフを使用することなく、VOCを選択的に定量することができ利点がある。加えて、比較的高い時間分解能での測定が可能なので、濃度変動が激しい発生源近く(都市域)での観測が可能である。
【0008】
しかし、(2)市販のPTR−MSはsub ppbv濃度レベルの有機化合物を検出できるという高感度な装置ではあるが、四重極マスフィルターを用いるため、多成分を同時に検出することはできない。
【0009】
また、(3)図23(非特許文献1のFig.1)に示すように、PTR−MSで質量分析計として飛行時間型質量分析計39を用いた陽子移動反応飛行時間型質量分析計(PTR−TOFMS)が開発されつつある。
【0010】
非特許文献1に記載の陽子移動反応飛行時間型質量分析計29は、放射線源30を用いてHの生成するイオン源とドリフトチューブ31がリフレクトロン33c付き飛行時間型質量分析計33に取り付けられている。ドリフトチューブ31は、電極31aと絶縁体であるスペーサー31bよりなる。
【0011】
試料中の揮発性有機化合物は、水蒸気導入口30aから導入された水蒸気を放射線源30を用いたイオン源で生成されたヒドロニウムイオン(H)と試料導入口31cより導入された試料(外気)がドリフトチューブ31内で衝突し、上記式1の陽子移動反応を起こしRHとなり、輸送チャンバー32に進入し、イオンレンズ32aでビームを成形されながらイオン加速チャンバー33aに輸送される。
【0012】
前記RHは、前記イオン加速チャンバー33a内にあるパルス引出し電極33fから高電圧のパルスを印加され、方向を変更させられ、軌道修正部33gにより再度ビーム飛行軌道の修正を受け、飛行時間型質量分析計33の飛行チャンバー33b内を有機化合物の質量に異なる速さで飛行し、リフレクトロン33cの電場により軌道を曲げられ、MCP検出器33d(マイクロチャンネルプレート)により検出される。
【0013】
非特許文献1記載の陽子移動反応飛行時間型質量分析計29による有機化合物の濃度測定方法は、MCP検出器33dに到達した有機化合物のシグナルのパルス引出し電極33fに高電圧が印加された瞬間からの時間を時間変換器33eに記憶させ、これを繰り返すことにより、多成分の有機化合物が含まれる試料中の有機化合物の質量スペクトルを取得する。なお、放射線源30には、241Amのα線(44MBq)を用いている。
【0014】
しかし、非特許文献1に記載の陽子移動反応飛行時間型質量分析計29は、Hの生成に放射線源30を用いるため、野外に持ち出すことができず野外でのリアルタイムでの測定ができないことと、感度が放電を用いた市販のPTR−MSより2桁落ちるという欠点がある。
【非特許文献1】R.S.Blake,et al,Anal.Chem.3841−3845(2004)76.
【0015】
さらに、図24(非特許文献2のFig.1)に示すように、非特許文献1の放射線源30を照射するイオン源を放電を利用するイオン源35に置換した、容易に持ち運び可能なホロカソード放電式陽子移動反応容器をリフレクトロン39c付き飛行時間型質量分析計39に取り付けたホロカソード放電式陽子移動反応飛行時間型質量分析計34が開発されつつある。
【0016】
さらに、その構成はアルミニウム製のドリフトチューブ37をR500飛行時間型質量分析計(KORE Technologies,Ely、UK)に取り付けたもので、ホロカソード放電式のイオン源35とソースドリフトチューブ36とドリフトチューブ37とイオンレンズ38aが内部にある輸送チャンバー38とリフレクトロン39c付き飛行時間型質量分析計39からなる。
【0017】
放電式陽子移動反応飛行時間型質量分析計34は、1m×2mのスペースに置け、重量は〜300kgで、必要な電力は平均3.4kWである。主なヒドロニウムイオンは、水蒸気を水蒸気導入口35bを有するタングステン製のホロカソード35aで生成し、次のソースドリフトチューブ36内で、水とのイオン−分子反応によりヒドロニウムイオンの生成が最大に達する。なお、ホロカソード35a及びソースドリフトチューブ36でイオン源35を構成している。
【0018】
イオンはドリフトチューブ37へ送られる。そのドリフトチューブ37は内径50mmの4枚のアルミニウム製リング状電極37aを積み重ねており、その上端と下端に薄いリング状のレンズが取り付けられている。ドリフトチューブ37の全長は約75mmで、ドリフトチューブ37には1mmの入射オリフィス(小孔)と500μmの出射オリフィスではさまれている。
【0019】
ドリフトチューブ37内で、ヒドロニウムイオンと陽子移動可能な試料導入口36aより送入された分析物との間で陽子移動反応が起きる。イオンは出射オリフィスを通り、第1段目の第1ポンプ38b、第2ポンプ39hによる差動排気領域にある輸送チャンバー38により、パルス引出し電極39fに輸送される。パルス引出し電極39fでイオンは垂直にパルス的に引き出される。
【0020】
飛行時間型質量分析計39にはリフレクトロン39cのイオン鏡が取り付けられており、100L−1のターボ分子ポンプ39hを用いて10−7mbarの圧力を保っている。イオン検出はMCP検出器39dを用いている。なお、ドリフトチューブ37内の圧力は0.6〜1.0mbar、入射・出射オリフィス間電圧は240Vである。
【0021】
パルサーボックス39eは、パルス引出し電極39fへかける電圧をパルス的に印加するためのパルススイッチを含む導入端子部である。その他、イオン加速チャンバー39a、飛行チャンバー39b、軌道修正部39gは非特許文献1と同様である。
【0022】
上記、ホロカソード放電式陽子移動反応飛行時間型質量分析計34によれば、10〜60秒程度のタイムスケールでlppbv程度の低濃度の微量気体成分を検出することが可能であり、実際の(H強度1×10cpsで規格化された)検出感度は、トルエンで3.7ncps ppbv−1、アセトンで28ncps ppbv−1 であった。
【0023】
また、高質量分解能、高い質量数精度(〜300ppm)を有し、多成分質量スペクトルの取得が可能であり、複雑な混合気体中の微量成分の速い選択的なオンラインでの解析が可能である。
【0024】
従って、放射線を使用しないことから、環境中から採取した空気を、屋内の特別な施設で測定することなく、採取地で測定できることとなった。
【非特許文献2】C.J.Ennis,et al,Int.J. Mass.Spectrom.72−80(2005)247.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
しかしながら、非特許文献2に記載の発明は、感度が市販のPTR−MSよりも1桁落ちることと、試料気体に起因するNOやOが多く生成され、これらのイオンによる干渉のため、低濃度の揮発性有機化合物を測定することができない。
【0026】
これは、第1に、イオン源35の構造に問題がある。第2に、輸送チャンバー4の通過距離が長い。第3に、構造に起因して、ドリフトチューブ37内の圧力を高圧にすることができない。
【0027】
そこで、本発明は、上記問題を解決し、有機化合物、特に大気中の微量揮発性有機化合物を多成分同時に高感度、リアルタイムに測定する有機化合物の測定装置及び有機化合物の測定方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、上記の課題を解決するために、第1に放電式のイオン源2とドリフトチューブ3と輸送チャンバー4とビーム成形輸送部材6と飛行時間型質量分析計5からなる陽子移動反応飛行時間型質量分析計において、前記イオン源2が、水蒸気導入口2aのある押出し電極9と、前記押出し電極9の次に配置された絶縁体である第一スペーサー11と、前記第一スペーサー11の次に配置され前記押出し電極9方向に突出した凸部10bの中心に穿孔10aが穿設された引出し電極10と、前記引出し電極10の次に配置された絶縁体である第二スペーサー11dと、前記第二スペーサー11dの次に配置され背面にすり鉢状の切込部12eを有し中心に穿孔12aが穿設された接続電極12からなり、前記押出し電極9と前記第一スペーサー11と前記引出し電極10で形成されたイオン発生空間22の前記押出し電極9と前記引出し電極10の凸部10bで放電し、水蒸気をHにすることを特徴とする有機化合物の測定装置の構成とした。
【0029】
第2に、前記引出し電極10に穿設された穿孔10aが、直径0.5mm〜2mm、第3に円錐体6aの頂点の内角が90°以下、第4に円錐体6aの頂点からドリフトチューブ3を構成するフランジ19の凹部19fにセットした円盤20のオリフィス20aまでの距離が5mmから15mm以下、第5に円錐体6aに電圧を印加する有機化合物の測定装置の構成とした。
【0030】
さらに、注入された水蒸気を放電し、Hを生成するイオン源2と、前記イオン源2に接続され、前記Hと試料気体を反応させ、RHを生成するドリフトチューブ3と、前記ドリフトチューブ3に接続された輸送チャンバー4と、前記輸送チャンバー4に接続された飛行時間型質量分析計5と、前記輸送チャンバー4と前記飛行時間型質量分析計5のイオン加速チャンバー5aを仕切るビーム成形輸送部材6からなり、イオン源2で排気しないことを特徴とする有機化合物の測定方法の構成とした。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、以上の構成であるから以下の効果が得られる。本発明によれば、イオン発生空間22に試料ガスの逆流を押さえ、放電を安定化させるため、Hを高濃度で生成でき、ドリフトチューブ3で陽子移動反応が高頻度で起こり、RHを高効率で飛行時間型質量分析計5に導入することができる。
【0032】
さらに、ドリフトチューブ3出口にある円盤のオリフィス20aから円錐体6aを用いた差動排気システムを採用することで、ドリフトチューブ3内で生成したイオンを効率的に飛行時間型質量分析計5に導入することができることとなった。
【0033】
また、イオン発生空間22をコンパクトにし、イオン源2を構成する3枚の電極間を適当な高い抵抗値の抵抗(1MΩ)を取り付け、イオン源2及びドリフトチューブ3には1つの電源で電圧を供給できるため、安定した放電及び高いH生成効率が得られる。
【0034】
従って、低濃度大気中などの微量有機化合物成分を感度良く多成分同時にリアルタイムで測定することが可能であり、また野外観測に持ち出すこともできる。
【0035】
因みに、Hイオン強度は1分間積算で6×10カウント(1.7×10cpsに相当する)で、(H強度1×10cpsで規格化された)検出感度は、プロピレンで30ncps ppbv−1、アセトアルデヒドで150ncps ppbv−1、アセトンで210ncps ppbv−1、イソプレンで50ncps ppbv−1、ベンゼンで60ncps ppbv−1、トルエンで60ncps ppbv−1、パラ−キシレンで50ncps ppbv−1 であった。非特許文献2の発明よりも1桁感度がよく、市販のPTR−MSと同程度の感度を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明は、有機化合物、特に大気中の微量揮発性有機化合物を多成分同時に高感度、リアルタイムに測定する装置有機化合物の測定装置及び有機化合物の測定方法を提供するという目的を、放電式のイオン源2とドリフトチューブ3と輸送チャンバー4とビーム成形輸送部材6と飛行時間型質量分析計5からなる陽子移動反応飛行時間型質量分析計において、前記イオン源2が、水蒸気導入口2aのある押出し電極9と、前記押出し電極9の次に配置された絶縁体である第一スペーサー11と、前記第一スペーサー11の次に配置され前記押出し電極9方向に突出した突部10bの中心に穿孔10aが穿設された引出し電極10と、前記引出し電極10の次に配置された絶縁体である第二スペーサー11dと、前記第二スペーサー11dの次に配置され背面にすり鉢状の切込部12eを有し中心に穿孔12aが穿設された接続電極12からなり、前記押出し電極9と前記第一スペーサー11と前記引出し電極10で形成されたイオン発生空間22の前記押出し電極9と前記引出し電極10の凸部10bで放電し、水蒸気をHにすることを特徴とする有機化合物の測定装置の構成とすることで実現した。
【実施例1】
【0037】
以下に、添付図面に基づいて、本発明である有機化合物の測定装置及び有機化合物の測定装置について詳細に説明する。
【0038】
図1は、本発明である有機化合物の測定装置の縦断面模式図である。本発明である有機化合物の測定装置1は、イオン源2と、ドリフトチューブ3と、輸送チャンバー4と、ビーム成形輸送部材6及び飛行時間型質量分析計5からなる。なお、図1中のV1〜V6は印加する電圧、HVは高電圧を表す。
【0039】
本発明である有機化合物の測定装置1を用いた有機化合物の測定方法では、先ず、水蒸気を水蒸気導入口2aからイオン源2に挿入し、V1の電圧を掛け、イオン源2でHを生成し、前記Hはドリフトチューブ3に送り込まれ、試料導入口3aから導入された試料気体とドリフトチューブ3内で衝突し、上記式1に示すようにRHが生成させる。
【0040】
このとき有機化合物の測定装置1は、ドリフトチューブ3に連結されたプレッシャーゲージ3dでドリフトチューブ3内の圧力を監視しながら所定の圧力になるよう水蒸気の導入速度、試料気体の注入速度を制御するとともに、第一ポンプ3cでドリフトチューブ3内の中性分子を排気する。
【0041】
なお、輸送チャンバー4に送り込まれる水分子を減少させるために、窒素導入口3bからドリフトチャンバー3と輸送チャンバー4の接合部分に窒素ガスを噴射し、ドリフトチューブ3内に流れ込んだ窒素ガスを第一ポンプ3cで中性分子とともに除去する。これにより、水クラスターイオンのシグナルの干渉が取り除かれるため、より多くの有機化合物由来のイオンを検出できる。窒素ガスに換えて、反応性が低い、ヘリウム、アルゴン等の希ガスを使用してもよい。
【0042】
一方、非特許文献2に記載のホロカソード放電式陽子移動反応飛行時間型質量分析計34においては、水分子の輸送チャンバー38への侵入を防止するため、本発明の逆流防止空間23の位置に相当するソースドリフトチューブ36からポンプで余分な水蒸気を排気している。結果的に試料導入口36aから注入された試料気体がソースドリフトチューブ36へ逆流し、さらにイオン源35に逆流し、目的としないNO、Oが生成されている。非特許文献2のFig.6を見る限り、OはHより多く生成され、NOもHの25%〜30%生成されている。したがって、ここからも本発明によるH生成能力は格段に高く、結果的に有機化合物の測定精度も高まることとなる。
【0043】
次に、前記RHは、輸送チャンバー4を短い距離通過し、ビーム成形輸送部材6を通過し、イオン加速チャンバー5aに送り込まれる。最後に飛行時間型質量分析計5でイオン濃度を測定する。
【0044】
ここで、輸送チャンバー4内に配置されるビーム成形輸送部材6は、輸送チャンバー4を通過したイオンを円錐体6aの頂点に穿設された穿孔6bで切り出し、3つの円筒状の電極からなるイオンレンズ6z’で、イオンビームを成形し、軌道修正部6oでイオンビーム軌道を修正して、飛行時間型質量分析計5のパルス引出し電極5gへ輸送する。円錐体には電圧V4(−60V)を、イオンレンズに中央のイオンレンズには、電圧V5(+30V)の電圧を印加し、他2つのイオンレンズは接地している。なお、軌道修正部に電圧を印加し、軌道を修正する必要はなかった。
【0045】
飛行時間型質量分析計5は、ドリフトチャンバー3で生成したRHに高電圧パルスを印加し、RHをその質量に依存した飛行速度で飛行させるパルス引出し電極5g並びに前記RHの軌道を修正する軌道修正部5eが内部にあるイオン加速チャンバー5aと、軌道を収束させるイオンレンズ5hが内部にある軌道調整部5bと、RHの質量により分離する飛行チャンバー5cと、MCP検出器5iが内部にあるイオン検出部5dからなる。飛行距離は約50cmでは質量分解能(m/Δm)は約100であった。
【0046】
なお、本発明である有機化合物の測定装置1による有機化合物の測定方法では、差動排気システムを駆動させる。差動排気システムとは、イオン検出部5dの真空度を高めるため、飛行時間型質量分析計5の真空度を急激に高めることができないため、前段で段階的に減圧するシステムである。
【0047】
RHが生成後は、真空度が高い方が、RHの残存率が高まるため、輸送チャンバー4に連結された第二ポンプ4a、第三ポンプ4bによって真空度を高める。そのためここでは、2台のポンプを用いた。気体分子が存在するとRHと衝突し、RHが喪失してしまうからである。結果的に測定精度を下がってしまうことになる。
【0048】
同様な理由から、イオン加速チャンバー5aに連結された第四ポンプ5j、及び飛行チャンバー5cに連結された第五ポンプ5kによって、真空度を段階的に高めることが必要である。
【0049】
なお、飛行時間型質量分析計5は、一般に市販されているものでよく、リフレクトロンを取り付けてもよい。リフレクトロンを取り付けることで、RHの飛行速度の補正を行うこともでき、また、RHの飛行距離が長くなるため、質量分解能(m/Δm)は向上する。
【0050】
以下、本発明での運転条件を説明する。3枚の電極からなるパルス引出し電極5gの1枚目、2枚目間に輸送チャンバー4を通過したイオンが輸送されてくる。1枚目、2枚目の電極にパルス的に高電圧(HV)を印加し、イオンをイオンビームの進行方向に対して、垂直方向にあるMCP検出器5iに向けて引き出す。
【0051】
1枚目、2枚目の電極には高速で高電圧を印加する必要があるので、パルサーボックス5f内にあるトランジスタスイッチを用いる。1枚目、2枚目の電極にはそれぞれ、5kV、4.5kVの電圧を立ち上がり約70n秒で1μ秒間、高電圧を印加する。3枚目の電極は常に接地している。
【0052】
MCP検出器5iの方向へ引き出されたイオンは軌道修正部5eでイオンビーム軌道の修正を行い、軌道調整部5bにあるイオンレンズ5hに電圧V6(1.3kV)を印加することによって、イオンの拡散を抑え、イオン検出部5dのMCP検出器5iに衝突させることで、イオンを検出している。MCP検出器5iには−2kVの高電圧をかけて動作させる。なお、軌道修正部5eの軌道修正板に電圧をかけてイオンビーム軌道を修正する必要はなかった。
【0053】
イオンの飛行距離は、50cmでイオンの質量数に応じてイオンの速度が異なるため、質量数の軽いイオンほどパルス電圧の印加から早い時間で、質量数の重いイオンほど遅く飛行チャンバー5c内を飛行してMCP検出器5iに到達する。なお、高速でイオンを検出する必要があるため、立ち上がり、立ち下り1n秒のMCP検出器5iを用いた。また、本発明である有機化合物の測定装置1の質量スペクトルの半値全幅は、質量数19、59、107で、それぞれ0.35、0.56、0.60であった。
【0054】
パルス引出し電極5gへ高電圧を印加するタイミングは、第一パルス発生器8aで制御しており10kHzで高電圧のスイッチのオン・オフを行っている。MCP検出器5iで検出されたイオンシグナルは、第一パルス発生器8aと同期された時間変換器7により、高電圧のスイッチのオンからシグナルを検出した時間が記憶され、横軸がイオンの到達時間、縦軸がイオンのカウント数のヒストグラムが作成される。横軸のイオンの到達時間はイオンの質量数に変換可能であるため、このヒストグラムが質量スペクトルに相当する。
【0055】
このような検出を10kHzでの繰り返しで積算していく。この積算の開始、終了を制御するのが、第二パルス発生器8bで、60秒間の積算を行うように制御する。第一パルス発生器8a、第二パルス発生器8bは、計算機8によって制御され、また、時間変換器7で得られたデータは計算機8に入力され、60秒ごとの質量スペクトルとして保管される。
【0056】
図2は、イオン源とドリフトチューブと輸送チャンバーの断面模式図である。放電式のイオン源2は、水蒸気導入口2aがある押出し電極9と、前記押出し電極9の次に配置された絶縁体である第一スペーサー11と、前記第一スペーサー11の次に配置された引出し電極10と、前記引出し電極10の次に配置された絶縁体である第二スペーサー11dと、前記第二スペーサー11dの次に配置された接続電極12からなる。これら3種の電極がHを生成する放電に関与している。
【0057】
前記押出し電極9と前記第一スペーサー11と前記引出し電極10で形成されたイオン発生空間22で放電し、水蒸気をHにする。押出し電極9に取り付けられた水蒸気導入口2aからなるべく円筒対称になるように水蒸気を導入する。放電は主に押出し電極9と引出し電極10の狭い領域で起こり、Hは引出し電極10の中心の細長い穿孔を通り、イオンビームに成形させられ接続電極12の穿孔を通過し、ドリフトチューブ3内である陽子移動反応空間24導入される。
【0058】
なお、引出し電極10と第二スペーサー11dと接続電極で囲まれた逆流防止空間23は、試料気体がイオン発生空間22に逆流することを防止し、Hビームを成形し、圧力調整機能を有する。
【0059】
逆流防止空間23の圧力は、ドリフトチューブ3内の陽子移動反応空間24の圧力(約5.0Torr)より、やや高い圧力(約5.1Torr)を保ち、またイオン発生空間22の圧力は、逆流防止空間23の圧力よりさらにやや高い圧力(約5.2)を維持することが望ましい。これにより試料気体がイオン発生空間22に逆流すること極めて低下させることができる。
【0060】
試料気体がイオン発生空間22に逆流することで、NO、Oなどが発生し、Hの生成を妨げ、またドリフトチューブ3内でのRとの陽子移動反応と拮抗し、RHの生成効率が低下する。結果的に有機化合物の測定精度が低くなってしまうこととなる。
【0061】
ドリフトチューブ3は、試料サンプルを導入するサンプラー13と、前記サンプラー13の次に配置されるドリフトチューブ電極14と、前記ドリフトチューブ電極14の次に配置される絶縁リング15と、前記絶縁リング15の次に配置されるドリフトチューブ電極14eと、前記ドリフトチューブ電極14eの次に配置される絶縁リング15dと、絶縁リング15dの次に配置されるドリフトチューブ電極14fと、前記ドリフトチューブ電極14f次に配置される絶縁リング15eと、前記絶縁リング15e配置されるドリフトチューブ電極14gと、前記ドリフトチューブ電極14gの次に配置される中性分子を排気する第一ポンプ3c及びドリフトチューブ3内の圧力を監視するプレッシャーゲージ3dに連結するチューブ付絶縁体16と、前記チューブ付絶縁体16の次に配置されるイオンビームをオリフィス(小孔)へ導くためのインレットレンズ17と、輸送チャンバー4に連結されるフランジ19と、前記インレットレンズ17と前記フランジ19に挟まれた窒素ガスを通す導管付スペーサー18と、前記フランジ19にセットされ、RHが通過するオリフィス(小孔)が穿設された円盤20からなる。
【0062】
ドリフトチューブ3内に出射されたイオンビームは、サンプラー13から導入された有機化合物を含む試料気体と衝突し、陽子移動反応空間24内で陽子移動反応を起こす。なお中性気体は、ドリフトチューブ3下流の第一ポンプ3cによって排気され、イオンはインレットレンズ17を通過して、高真空の輸送チャンバー4へ運ばれる。
【0063】
ドリフトチューブ3内の圧力は、プレッシャーゲージ3dでモニターしており、5Torrを保つようにした。その内訳は、水蒸気量が約0.5Torr、試料気体量が約4.5oTorrである。
【0064】
インレットレンズ17の穿孔17aには窒素ガスを導入することができるようにしており、水蒸気によるクラスターイオンの生成を抑えるとき必要に応じて導入する。なお、窒素ガスの導入量は0.1Torr程度で十分である。
【0065】
押出し電極9、引出し電極10、接続電極12、ドリフトチューブ電極14、14e、14f、14gは、各電極間には、抵抗R1(1MΩ)、R2(1MΩ)、R3(390kΩ)が設けられ、末端には抵抗R4(390Ω)があるV1(5kV直流)に接続され、電場によりH又はRHを輸送チャンバー4に輸送する。
【0066】
インレットレンズ17は、上記系とは独立してV2(150V)に、フランジ19にはV3(25V)に接続されている。また、円錐体6aにはV4(−60V)を接続することで、RHイオンの損失をさらに低下することができるため、電圧を印加してもよい。
【0067】
押出し電極9、引出し電極10、接続電極11、ドリフトチューブ電極14、14e、14f、14g、インレットレンズ17、フランジ19、円錐体6aは導体であり、電圧が印加される。導体としては、腐食につよいステンレス、アルミニウムなどが挙げられるが、通常電極としてしようされている素材であれば何れでもよい。なお円盤20は、ステンレスからできている。
【0068】
また、第一スペーサー11、第二スペーサー11d、サンプラー13、絶縁リング15、15d、15eチューブ付絶縁体16、導管付スペーサー18は、帯電防止性が高い絶縁素材でできており、隣り合う電極間を絶縁する。例えば、帯電防止性が高い絶縁素材強化ポリテフロン(登録商標)をベースとした日本ポリペンコ株式会社製/セミトロン(登録商標)がある。
【0069】
上記、各電極と各絶縁体は、Oリングで密閉され、支柱3e及び支柱3fによってフランジ19に固定される。なお、支柱3e、支柱3fは絶縁体、又は金属棒に絶縁素材をコーティングしたものである。
【0070】
支柱3eは1本の棒状であり各電極に設けられた孔に貫通して下端をフランジ19の上面に螺着され、他端である上部は別のネジで固定する。支柱3fは、隣り合う電極間を固定する棒であって、一方の端にネジ穴があり、他端が前記ネジ穴に螺着するネジであり、各々が連結し、その連結してできた支柱3fの下端がフランジ19の上面に螺着され、他端である上部は別のネジで固定する。
【0071】
また、ドリフトチューブ電極の数は、一様な電場をドリフトチューブ3内に作ることができれば特に4枚に限定さることなく、ドリフトチューブ3の長さによって適時変更する。
【0072】
なお、円錐体6aの頂点に穿設されたRHビームが通過する穿孔6bと円盤20に穿設されたオリフィスとの距離L1が、陽子移動反応生成物の減衰を改善することが見出された。結果は図21に示す。その距離は10mmでは格段に陽子移動反応物の減衰を改善することができた。
【0073】
図3は、押出し電極を説明する図である。図3Aは押出し電極9の平面図である。図3Bは、図3AのA’−A’位置での断面図である。図3Cは押出し電極9の背面図である。
【0074】
押出し電極9は、水蒸気を導入する水蒸気導入口2aを有する水蒸気導入管9aを上面に取り付けた円形の電極である。孔9b、孔9cで他の電極と絶縁素材でできた支柱3e及び支柱3fでフランジ19に連結固定される。背面には凹んだ凹部9eがあり、次の第一スペーサー11と嵌合する。また、V1を印加するコネクタを配線接続孔9dに差込み通電される。
【0075】
なお、水蒸気導入管9aは、円筒対象に複数設けることが望ましい。導入された水蒸気が局所的に高濃度になることがなく、イオン発生空間22に均一に存在することとなり、放電によりより効率的にHOが生成できるからである。
【0076】
図4は、引出し電極を説明する図である。図4Aは引出し電極10の平面図である。図4Bは図4AのA’−A’位置での断面図である。図4Cは引出し電極10の背面図である。
【0077】
引出し電極10は、押出し電極9方向に突出した凸部10bと背面が窪んだ凹部10fよりなり中心に穿孔10aが穿設された円形の電極である。孔10c、孔10dで他の電極と絶縁素材でできた支柱3e及び支柱3fでフランジ19に連結固定される。背面の凹んだ凹部10fは、次の第二スペーサー11dと嵌合する。また、V1を印加するコネクタを配線接続孔10eに差込み通電される。
【0078】
凸部10bを設けることで、イオン発生空間22の一定の容積を確保しながら、確実に押出し電極9の背面と放電(図2で点線で示している)で起こり、水蒸気からHを高濃度に生成する。さらに、凸部10bを設けることで、穿孔10aの長さL2をより長く確保することができ、より試料気体の逆流を低減することが可能になる。
【0079】
穿孔10aの直径D1は、5mm、2mm、1mmで試験した結果、何れも非特許文献2でfig.6に示されている結果より、Hの生成効率は格段に向上している。1mmが最も良好であった(結果は図19、20に示す)。
【0080】
また、背面の凹部10fは、接続電極12と放電を起こさないようにするとともに、逆流防止空間23の容積をより広くし、試料気体の逆流を確実に防止する効果を発揮する。
【0081】
図5は、第一スペーサーを説明する図である。図5Aは第一スペーサー11の平面図である。図5Bは図5AのA’−A’位置での断面図である。なお、背面は平面と同一である。また第一スペーサー11と第二スペーサー11dは同一形状である。
【0082】
第一スペーサー11は、中央にある穿孔10aがあるリング状である。平面、背面にそれぞれ溝11b、溝11cが設けられ、Oリングを嵌め上下の電極と密封固定される。
【0083】
図6は、接続電極を説明する図である。図6Aは接続電極12の平面図である。図6Bは図6AのA’−A’位置での断面図である。図6Cは接続電極12の背面図である。
【0084】
接続電極12は、引出し電極10方向が窪んだ凹部12gと背面が窪み中心がすり鉢状に窪んだ切込部12eを有する凹部の中心に穿孔12aが穿設された電極である。孔12b、孔12cで他の電極と絶縁素材でできた支柱3e及び支柱3fで連結固定される。背面の凹んだ凹部12fは、次のサンプラー13と嵌合する。また、V1を印加するコネクタを配線接続孔12dに差込み通電される。
【0085】
なお、背面をすり鉢状の切込部12eを設けることで、イオンが穿孔12aを通る距離を短くして、穿孔12aでのイオンの喪失を小さくする利点がある。
【0086】
図7は、サンプラーを説明する図である。図7Aはサンプラー13の平面図である。図7Bは図7AのA’−A’位置での断面図である。なお、背面は平面と同一である。
【0087】
サンプラー13は、リング状の本体の中心に孔13aがあり、側面に試料導入口3aを備えた2本の試料導入管13d、試料導入管13fがあり、試料導入管13d、13fには試料気体が送入される管路13e、管路13gが設けられている。また平面、背面にはそれぞれ溝13b、溝13cが設けられ、Oリングを嵌め上下の電極と密封固定される。
【0088】
なおここでは、試料導入管13d、13fを二本としたが、側面に等間隔で対象的に複数の試料導入管13dを設けることが望ましい。試料気体を均一にドリフトチューブ3に導入することができ、試料気体がHと効率的に、高頻度で陽子移動反応が起すことができるためである。
【0089】
図8は、ドリフトチューブ電極を説明する図である。図8Aはドリフトチューブ電極14の平面図である。図8Bは図8AのA’−A’位置での断面図である。なお、背面は平面と同一である。また、ドリフトチューブ電極14、14e、14f、14gは、同一形状である。そこでドリフトチューブ電極14を参照して説明する。
【0090】
ドリフトチューブ電極14は、中央に穿孔14aが穿設され、サンプラー13方向及び背面共に凹み薄いリング部14hがある円形の電極である。孔14b、孔14cで他の電極と絶縁素材でできた支柱3e及び支柱3fで連結固定される。接着部14iで、上下の絶縁素材と接触する。また、V1を印加するコネクタを配線接続孔14dに差込み通電される。リング部14hはドリフトチューブ3内の電場を一様にするためなるべく薄い方が良い。本発明では1.5mmとした。
【0091】
図9は、絶縁リングを説明する図である。図9Aは絶縁リング15の平面図である。図9Bは図9AのA’−A’位置での断面図である。なお、背面は平面と同一である。また、絶縁リング15、15d、15eは同一形状である。そこで絶縁リング15を参照して説明する。
【0092】
絶縁リング15は、中央にある孔15aがあるリング状である。平面、背面にそれぞれ溝15b、溝15cが設けられ、Oリング21を嵌め上下の電極と密封固定される。
【0093】
図10は、チューブ付絶縁体を説明する図である。図10Aはチューブ付絶縁体16の平面図である。図10Bは図10AのA’−A’位置での断面図である。なお、背面は平面と同一である。
【0094】
チューブ付絶縁体16は、リング状の本体の中心に孔16aがあり、側面に陽子移動反応空間24の圧力を調整、不要な中性分子を排気する第一ポンプ3cに接続された排気管16dと、陽子移動反応空間24の圧力を監視するプレッシャーゲージ3dを連結するゲージ取付管16eが取り付けられている。また平面、背面にはそれぞれ溝16b、溝16cが設けられ、Oリングを嵌め上のドリフトチューブ電極14gと次のインレットレンズ17と密封固定される。
【0095】
図11は、インレットレンズを説明する図である。図11Aはインレットレンズ17の平面図である。図11Bは図11AのA’−A’位置での断面図である。図11Cはインレットレンズ17の背面図である。
【0096】
インレットレンズ17は、平面及び背面の内部が窪んだ凹部17d、凹部17eの中心に穿孔17aが穿設された円形の電極である。背面の溝17cにOリングを嵌め次ぎの導管付スペーサー18に接着する。また、V2を印加するコネクタを穴17bに差込み通電される。
【0097】
図12は、導管付スペーサーを説明する図である。図12Aは導管付スペーサー18の平面一部透視図である。図12Bは図12AのA’−A’位置での断面図である。図12Cは導管付スペーサー18の背面図である。
【0098】
導管付スペーサー18は、中央が上に突出した凸部18dを有する円形状の絶縁体であって、内部に窒素ガスを挿通させる導管18bを凸部18dの側面から開け、背面の溝18cと連結する。導管18bは、中央の穿孔18aから放射状に凸部18dの側面に貫通する。これにより、均一圧力の窒素ガスが穿孔18aに噴射することができる。噴射された窒素ガスは、エアーカーテンとして機能し、水分子の通過を阻止する。
【0099】
図13は、フランジを説明する図である。図13Aはフランジ19の平面図である。図13Bは図13AのA’−A’位置での断面図である。図13Cはフランジ19の背面図である。
【0100】
フランジ19は、円形のプレート19nとガス送入管19bと接続管19hからなる。プレート19nは、平面に内部に導管付スペーサー18を嵌め込む凹部19l、Oリングを嵌め込む溝19g、各電極を固定する支柱3e及び支柱3fを留める固定穴19e、電圧V3を印加するための配線と取り付けるネジ穴19dがある。さらに、凹部19lには、オリフィスが穿孔されている円盤20を嵌め込む凹部19fがある。
【0101】
また、背面には、すり鉢状の傾斜部19kがある。傾斜部19kがあることによって、第二ポンプ4a及び第三ポンプ4bによる中性分子の排気を効率的に行うことができる。中央には、RHが通過する孔19aが穿設されている。さらにプレート19n内部には、窒素ガスを送通させる横穴19cがある。
【0102】
ガス送入管19bは、導管付スペーサー18の穿孔18aに噴射する窒素ガス等の供給源と連結する管である。接続管19hは、Oリング21aを嵌め込む溝19jが設けられたリングで、輸送チャンバー4の上部に接続しクランプ等の留具で固定される。
【0103】
図14は、図13の一部拡大図である。図14Aは図13B’部の部分拡大図である。図14Bは図13C’部の部分拡大図である。
【0104】
穿孔19aより広い円形の円盤20を嵌め込む凹部19fが平面状にあり、凹部の深さL3は、0.1mm以下である。内部には横穴19cに連結し、導管付スペーサー18の溝18cに連結する窒素ガスの通り道である縦穴19mがある。
【0105】
図15は、フランジの凹部にセットする円盤を説明する図である。図15Aは平面図である。図15Bは図15AのA’−A’位置での断面図である。なお、背面は、平面と同一である。
【0106】
円盤20は、フランジ19平面の凹部19fに嵌め込むステンレスなどの導体からできている。円盤20の中央には、直径約0.4mmのオリフィス20aが穿設されている。
【0107】
図16は、ビーム形成輸送部材の縦断面図である。図17は、ビーム形成輸送部の断面図である。ビーム成形輸送部材6は、円錐体6aと、リング6cと、筒6dと、リング6eと、円盤6fと、イオンレンズ6z’と軌道修正部6oからなり、図17に示す点線矢印がRHの通過位置及び方向である。
【0108】
円錐体6aは、輸送チャンバー4に向かって先端が細くなり、頂点にRHビームが通過する穿孔6bが穿設された内部が中空のイオンガイドである。穿孔6bの直径D2、及び円錐体6aの頂点の内角∠Aが、ドリフトチューブ3内で生成したRHの損出量と関係があることを見いだした。その確認試験は、図21及び図22に示す。なお、円錐体6aに換えてヘキサポール等のイオンガイドを用いても良い。
【0109】
リング6cは、前記穿孔6bと円盤20のオリフィス20aとの距離を調整する筒状の絶縁体である。円錐体6aと筒6dを連結する。また、円錐体6aは導体(SUS)でできていることから、電圧を印加することができ、電圧V4(−60V)であるとき、RHの残存率が高まった。従って、円錐体6aに電圧V4を印加することもあることから、リング6cは、絶縁体素材を採用した。
【0110】
筒6dは、内部にRHが通過するイオンレンズ6z’を配置し、輸送チャンバー4とイオン加速チャンバー5aを分断し、導体でできている。イオンレンズ6z’は、3個の同一形状の第一イオンレンズ6x、第二イオンレンズ6y、第三イオンレンズ6zのからなり、第一イオンレンズ6xと第二イオンレンズ6yが留具6wで固定されている。
【0111】
第三イオンレンズ6zは、取付板6hに留具6s’で固定され、取付板6hと輸送チャンバー4に近い第一、第二レンズに支柱6q、6r及び留具6wを介して連結される。
【0112】
円盤6fは、輸送チャンバー4とイオン加速チャンバー5aに挟まれ、輸送空間26とイオン加速空間27を仕切る部材である。リング6eが前記筒6dと円盤6fに挟まれている。筒6dに電圧を印加することも可能とするためリング6eは絶縁素材でできている。円盤6fの平面、背面にはそれぞれ、溝6g、溝6pが設けられ、Oリングによって、平面側は、輸送チャンバー4に、平面側はイオン加速チャンバー5aにそれぞれ密封連結する。
【0113】
上述のようにしてなるイオンレンズ6z’取付板6h及び支柱6i、支柱6jを介して前記円盤6fに固定され、筒6dの所定の位置に配置する。
【0114】
なお、リング6c、留具6c’、留具6w、リング6e、支柱6q、支柱6rなどは、上述したセミトロン(登録商標)の他、金属に似た特性を持ち柔軟性に富むアセタール樹脂であるデュポン株式会社製/デルリン(登録商標)を使用してもよい。
【0115】
軌道修正部6oは、2対の平行電極6k、平行電極6lを留具6sで固定板6uに固定し、支柱6n’を介して取付板6hに固定され、イオンレンズ6z’の下端に位置する。その先端に穿孔6tが穿設された板6mがある。導体として一般に使用されている部材でよい。
【0116】
図18は、本発明である有機化合物の測定装置内の圧力を説明する図である。本発明による差動排気システムは、輸送チャンバー4内の輸送空間26、イオン加速チャンバー5a内のイオン加速空間27及び飛行チャンバー5c内の飛行検出空間28の三段排気系になっている。
【0117】
前提として、HOの流量約0.02l/分でイオン発生空間22の圧力を約5.2Torr、逆流防止空間23の圧力を5.1Torr、試料気体の流量約0.18l/分であるとき、ドリフトチューブ3の陽子移動反応空間24の圧力を5.0Torrに第一ポンプ3cで調整する。
【0118】
第一段の輸送チャンバー4の輸送空間26の真空度は、〜10−4Torr、320l/秒の流量で第二ポンプ4a、第三ポンプ4bで排気する。
【0119】
イオン加速チャンバー5aのイオン加速空間27の真空度は、〜10−5〜10−6Torr、750l/秒の流量で第四ポンプ5jで排気する。
【0120】
飛行チャンバー5cの飛行検出空間28の真空度は、〜10−6〜10−7Torr、250l/秒の流量で第五ポンプ5kで排気する。それぞれ別に駆動するポンプで排気し、段階的に真空度(Torr)を上げる。
【0121】
図19は、引出し電極の穿孔の直径の違いによるHの生成量を比較したときの試験結果を示す図である。図19Aは、穿孔10aの直径D1が5mm、図19Bは、穿孔10aの直径D1が2mm、図19Bは、穿孔10aの直径D1が1mmの引出し電極を用い水蒸気(5.2Torr)に放電し、試料気体として、純空気を導入したときにMCP検出器5iで得られた試薬イオンのシグナルをカウント(10kHz、60秒積算値)した質量スペクトルの結果である。ともに横軸が質量数(m/z)、縦軸がMCP検出器5iで受けたシグナル数である。
【0122】
なお、円錐体6aの∠Aは50°を使用し、電圧条件は図1、図2で説明した条件と同一とした。
【0123】
図19A、図19B、図19C何れにも、H(質量数19)と、Hに水分子が付加したH・HO(質量数37)が強く確認できる。さらに純空気の逆流由来と考えられるNO(質量数30)、O(質量数32)のシグナルも確認できる。
【0124】
NO、Oは、有機化合物と反応して陽子移動反応とは異なるイオンを生成することが知られており、試薬イオンに対して1%未満であることが望ましいと考えられている。特に穿孔10aの直径D1=1mmでは十分にその条件をみたしていることが分る。
【0125】
このことから穿孔10aの直径D1=1mmが最も目的外のNOやOの生成が低く抑えられた。なお、D1=2、5であっても非特許文献2でfig.6に示されている結果より、Hの生成効率は格段に向上している。
【0126】
これはイオン源2を構成する引出し電極10の平面側に直径20mmの環状の凸部10bがあること、背面側の凹部10fがあること、穿孔10aの長さL2が約12mmと長ことこれに伴って試料気体の混入がないことに起因している。従って、非特許文献2のホロカソード35aと本発明の引出し電極10は構造、構成が全くことなると言える。
【0127】
加えて、非特許文献2に記載のホロカソード放電式陽子移動反応飛行時間型質量分析計34では、ソースドリフトチューブ36から前述のように排気を行っていることから、より目的外の放電による反応生成物が多くみられることとなる。
【0128】
図20は、引出し電極の穿孔の直径を1mmとしたときのHの生成量を測定したときの結果を示す図である。図19Cの条件で、放電によって生成される試薬イオン以外のイオンの干渉の影響を確認した。横軸が質量数(m/z)、縦軸がシグナル強度である。
【0129】
(質量数19)ピークカウントが約65000であるのに対して、NOは約370、Oは同様に約370であることから、ともにHの生成量に対して0.5%程度の生成比率であることが分る。また、NO、O以外の目的外の放電によるイオンが生成されているが、何れもNO、O以下の生成比率であった。従って、本発明のイオン源2によるHの生成濃度は、実際に大気中の微量成分を十分精度よく測定することが可能であると言える。
【0130】
図21は、フランジにセットする円盤と円錐体の頂点との距離L1及び円錐体に穿設された穿孔の直径D2とH生成量を比較した結果を示す図である。図21Aは穿孔6bの直径D2=2mmとし、図21Bは穿孔6bの直径D2=3mmとしたときの検出結果である。横軸がL1の長さ(mm)、縦軸がMCP検出器5iで受けたシグナル数である。
【0131】
なお、なお、図中の記号○がH(質量数19)、記号□がH・HO(質量数37)の検出結果を表している。また、ともに∠A=50°とし、その他の条件は図19Cと同一とした。
【0132】
図21A、Bともに、L=1mmのとき、最大の検出量が得られた。また、穿孔6bの直径D2は、2mm、3mmでは大きな違いはなかった。ただし、1mm以下、5mm以上では、今回と同一の条件で試験したところ、極端に検出値が低下した。穿孔6bの直径D2は輸送空間26及びイオン加速空間27の圧力に影響をあたえるためであると考えられる。
【0133】
図22は、円錐体の頂点の角度∠Aの相違によるHの残存量を比較した結果を示す図である。図22Aは∠Aを100°であり、図22Bは∠Aを135°としたときの検出結果である。横軸がL1の長さ(mm)、縦軸がMCP検出器5iで受けたシグナル数である。
【0134】
なお、図中の記号○がH(質量数19)、記号□がH・HO(質量数37)の検出結果を表している。また、D2=2mmとし、その他の条件は、図19Cと同一とした。
【0135】
図22A、図22Bともに図21に比べ、全体的に検出感度が低下している。これは、∠Aが図21に比べ鈍角になり、電圧V4を印加して得られる電場が、円錐体6aの形状に影響受け、イオン発生空間22で生成されたHが、つまり陽子移動反応空間24で得られた生成物が穿孔6bに入射される頻度が低下したものと考えられる。なお、全体的なイオンのロスが確認できるが、やはり、図20と同様にL1=10mmのときが最もHの喪失率が低く良好な結果が得られた。
【0136】
従って、本発明によれば、小型で放射線源も使用していないことから、観測地に持ち込み有機化合物、特に大気中の微量揮発性有機化合物を多成分同時に高感度、リアルタイムに測定することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本発明である有機化合物の測定装置の断面模式図である。
【図2】イオン源とドリフトチューブと輸送チャンバーの断面模式図である。
【図3】押出し電極を説明する図である。
【図4】引出し電極を説明する図である。
【図5】第一スペーサーを説明する図である。
【図6】接続電極を説明する図である。
【図7】サンプラーを説明する図である。
【図8】ドリフトチューブ電極を説明する図である。
【図9】絶縁リングを説明する図である。
【図10】チューブ付絶縁体を説明する図である。
【図11】インレットレンズを説明する図である。
【図12】導管付スペーサーを説明する図である。
【図13】フランジを説明する図である。
【図14】図13の一部拡大図である。
【図15】フランジの凹部にセットする円盤を説明する図である。
【図16】ビーム成形輸送部材の斜視図である。
【図17】ビーム形成輸送部材の断面図である。
【図18】本発明である有機化合物の測定装置内の圧力を説明する図である。
【図19】引出し電極の穿孔の直径の違いによるHの生成量を比較したときの試験結果を示す図である。
【図20】引出し電極の穿孔の直径を1mmとしたときのHの生成量を測定したときの結果を示す図である。
【図21】フランジにセットする円盤と円錐体の頂点との距離L1及び円錐体に穿設された穿孔の直径D2とH生成量を比較した結果を示す図である。
【図22】円錐体の頂点の角度∠Aの相違によるHの残存量を比較した結果を示す図である。
【図23】放射線を用いたイオン源からなる陽子移動反応飛行時間型質量分析計(非特許文献1のFig.1)の模式図である。
【図24】放電を用いたイオン源からなる陽子移動反応飛行時間型質量分析計(非特許文献2のFig.1)の模式図である。
【符号の説明】
【0138】
1 有機化合物の測定装置
2 イオン源
2a 水蒸気導入口
3 ドリフトチューブ
3a 試料導入口
3b 窒素導入口
3c 第一ポンプ
3d プレッシャーゲージ
3e 支柱
3f 支柱
4 輸送チャンバー
4a 第二ポンプ
4b 第三ポンプ
5 飛行時間型質量分析計
5a イオン加速チャンバー
5b 軌道調整部
5c 飛行チャンバー
5d イオン検出部
5e 軌道修正部
5f パルサーボックス
5g パルス引出し電極
5h イオンレンズ
5i MCP検出器
5j 第四ポンプ
5k 第五ポンプ
6 ビーム成形輸送部材
6a 円錐体
6b 穿孔
6c リング
6c’ 留具
6d 筒
6e リング
6f 円盤
6g 溝
6h 取付板
6i 支柱
6j 支柱
6k 平行電極
6l 平行電極
6m 板
6n 支柱
6n’ 支柱
6o 軌道修正部
6p 溝
6q 支柱
6r 支柱
6s 留具
6s’ 留具
6t 穿孔
6u 固定板
6w 留具
6x 第一イオンレンズ
6y 第二イオンレンズ
6z 第三イオンレンズ
6z’ イオンレンズ
7 時間変換器
8 計算機
8a 第一パルス発生器
8b 第二パルス発生器
9 押出し電極
9a 水蒸気導入管
9b 孔
9c 孔
9d 配線接続孔
9e 凹部
10 引出し電極
10a 穿孔
10b 凸部
10c 孔
10d 孔
10e 配線接続孔
10f 凹部
11 第一スペーサー
11a 孔
11b 溝
11c 溝
11d 第二スペーサー
12 接続電極
12a 穿孔
12b 孔
12c 孔
12d 配線接続孔
12e 切込部
12f 凹部
12g 凹部
13 サンプラー
13a 孔
13b 溝
13c 溝
13d 試料導入管
13e 管路
13f 試料導入管
13g 管路
14 ドリフトチューブ電極
14a 穿孔
14b 孔
14c 孔
14d 配線接続孔
14e ドリフトチューブ電極
14f ドリフトチューブ電極
14g ドリフトチューブ電極
14h リング部
14i 接着部
15 絶縁リング
15a 孔
15b 溝
15c 溝
15d 絶縁リング
15e 絶縁リング
16 チューブ付絶縁体
16a 孔
16b 溝
16c 溝
16d 排気管
16e ゲージ取付管
17 インレットレンズ
17a 穿孔
17b 穴
17c 溝
17d 凹部
17e 凹部
18 導管付スペーサー
18a 穿孔
18b 導管
18c 溝
18d 凸部
19 フランジ
19a 穿孔
19b ガス送入管
19c 横穴
19d ネジ穴
19e 固定穴
19f 凹部
19g 溝
19h 接続管
19j 溝
19k 傾斜部
19l 凹部
19m 縦穴
19n プレート
20 円盤
20a オリフィス
21 Oリング
21a Oリング
22 イオン発生空間
23 逆流防止空間
24 陽子移動反応空間
26 輸送空間
27 イオン加速空間
28 飛行検出空間
29 陽子移動反応飛行時間型質量分析計
30 放射線源
30a 水蒸気導入口
31 ドリフトチューブ
31a 電極
31b スペーサー
31c 試料導入口
32 輸送チャンバー
32a イオンレンズ
33 飛行時間型質量分析計
33a イオン加速チャンバー
33b 飛行チャンバー
33c リフレクトロン
33d MCP検出器
33e 時間変換器
33f パルス引出し電極
33g 軌道修正部
34 ホロカソード放電式陽子移動反応飛行時間型質量分析計
35 イオン源
35a ホロカソード
35b 水蒸気導入口
36 ソースドリフトチューブ
36a 試料導入口
37 ドリフトチューブ
37a 電極
38 輸送チャンバー
38a イオンレンズ
38b 第1ポンプ
39 飛行時間型質量分析計
39a イオン加速チャンバー
39b 飛行チャンバー
39c リフレクトロン
39d MCP検出器
39e パルサーボックス
39f パルス引出し電極
39g 軌道修正部
39h 第2ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電式のイオン源とドリフトチューブと輸送チャンバーとビーム成形輸送部材と飛行時間型質量分析計からなる陽子移動反応飛行時間型質量分析計において、
前記イオン源が、水蒸気導入口のある押出し電極と、前記押出し電極の次に配置された絶縁体である第一スペーサーと、前記第一スペーサーの次に配置され前記押出し電極方向に突出した突部の中心に穿孔が穿設された引出し電極と、前記引出し電極の次に配置された絶縁体である第二スペーサーと、前記第二スペーサーの次に配置され背面にすり鉢状の切込部を有し中心に穿孔が穿設された接続電極からなり、
前記押出し電極と前記第一スペーサーと前記引出し電極で形成されたイオン発生空間の前記押出し電極と前記引出し電極の凸部で放電し、水蒸気をHにすることを特徴とする有機化合物の測定装置。
【請求項2】
請求項1記載のイオン源を用いた陽子移動反応飛行時間型質量分析計である有機化合物の測定装置。
【請求項3】
引出し電極に穿設された穿孔が、直径0.5mm〜2mmであることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の有機化合物の測定装置。
【請求項4】
中央にイオンの通過する穿孔が穿設され、内部に複数の導管及び縦穴を設けた導管付スペーサーであって、ドリフトチューブ内の陽子移動反応空間と輸送チャンバー内のイオン輸送空間とを仕切り、穿孔中心に向かってガスを噴射し、中性気体が通過するのを防ぐことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の有機化合物の測定装置。
【請求項5】
円錐体の頂点の内角が90°以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の有機化合物の測定装置。
【請求項6】
円錐体の頂点に穿設された穿孔の直径が2〜3mmであることを特徴とする請求項1乃請求5に何れかに記載の有機化合物の測定装置。
【請求項7】
円錐体の頂点からドリフトチューブを構成するフランジの凹部にセットした円盤のオリフィスまでの距離が5mmから15mm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項6に何れかに記載の有機化合物の測定装置。
【請求項8】
円錐体に電圧を印加することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の有機化合物の測定装置。
【請求項9】
注入された水蒸気を放電し、Hを生成するイオン源と、前記イオン源に接続され、前記Hと試料気体を反応させ、RHを生成するドリフトチューブと、前記ドリフトチューブに接続された輸送チャンバーと、前記輸送チャンバーに接続された飛行時間型質量分析計と、前記輸送チャンバーと前記飛行時間型質量分析計のイオン加速チャンバーを仕切るビーム成形輸送部材からなり、イオン源で排気しないことを特徴とする有機化合物の測定方法。
【請求項10】
イオン源の押出し電極、引出し電極及び接続電極とドリフトチューブを構成するドリフトチューブ電極を同一電源で電圧を印加することを特徴とする請求項9に記載の有機化合物の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2007−187507(P2007−187507A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4728(P2006−4728)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【特許番号】特許第3912688号(P3912688)
【特許公報発行日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(501273886)独立行政法人国立環境研究所 (30)
【出願人】(506014398)
【出願人】(506014402)
【Fターム(参考)】