説明

有機化合物の組み合わせ物

本発明は、式(I)のレニン阻害剤またはその薬学的に許容される塩と、少なくとも1個のPDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤を含む、各々組み合わせ製剤または医薬組成物のような組み合わせ物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、レニン阻害剤またはその薬学的に許容される塩と、少なくとも1個のPDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤、好ましくはN−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミン、またはそれらの薬学的に許容される塩を含む、各々組み合わせ製剤または組み合わせ組成物のような組み合わせ物に関する。
【0002】
故に、第一の局面において、本発明は、活性成分として;
(i)レニン阻害剤またはその薬学的に許容される塩;および
(ii)少なくとも1個のPDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩
を含む、各々組み合わせ製剤または組み合わせ組成物のような組み合わせ物に関する。
【0003】
レニン阻害剤のクラスは、異なる構造特性を有する化合物を含む。例えば、ジテキレン(化学名:[1S−[1R,2R,4R(1R,2R)]]−1−[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]−L−プロリル−L−フェニルアラニル−N−[2−ヒドロキシ−5−メチル−1−(2−メチルプロピル)−4−[[[2−メチル−1−[[(2−ピリジニルメチル)アミノ]カルボニル]ブチル]アミノ]カルボニル]ヘキシル]−N−アルファ−メチル−L−ヒスチジンアミド);テルラキレン(化学名:[R−(R,S)]−N−(4−モルホリニルカルボニル)−L−フェニルアラニル−N−[1−(シクロヘキシルメチル)−2−ヒドロキシ−3−(1−メチルエトキシ)−3−オキソプロピル]−S−メチル−L−システインアミド);ザンキレン(化学名:[1S−[1R[R(R)],2S,3R]]−N−[1−(シクロヘキシルメチル)−2,3−ジヒドロキシ−5−メチルヘキシル]−アルファ−[[2−[[(4−メチル−1−ピペラジニル)スルホニル]メチル]−1−オキソ−3−フェニルプロピル]アミノ]−4−チアゾールプロパンアミド)、とりわけその塩酸塩;各々式(A)および(B)
【化1】


のRO−66−1132およびRO−66−1168から成る群から選択される化合物を特記し得る。
【0004】
とりわけ好ましいのは、化学的に2(S),4(S),5(S),7(S)−N−(3−アミノ−2,2−ジメチル−3−オキソプロピル)−2,7−ジ(1−メチルエチル)−4−ヒドロキシ−5−アミノ−8−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)フェニル]−オクタンアミドと規定される、式(I)
【化2】

の化合物(以後:“アリスキレン”[国際一般名]と呼ぶ)であり、それはEP678503Aに具体的に開示されている。とりわけ好ましいのはそのヘミフマル酸塩である。
【0005】
用語“少なくとも1個”は、レニン阻害剤に加えて、1個またはそれ以上、例えば2個、さらに3個の、本発明に従い明記される活性成分を組み合わせることができることを意味する。
【0006】
本発明で使用するPDGF−R−、チロシンキナーゼ阻害剤は、好ましくは下記の化合物から成る群から選択される:4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミド、4−メチル−N−[3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ベンズアミド、PDGF−受容体アイソフォームの阻害剤、Mahboobi S et al., J. Med. Chem. 2002, 45:1002-1018により記載され、ここに引用により包含する化合物;CAS Number 71897-07-9を有するPDGF受容体キナーゼ遮断剤AG1295;Kovalenko M et al., Cancer Res. 1994 54:6106-6114およびLudewig D et al., Cell Tissue Res. 2000, 299:97-103に記載され、ここに引用により包含する、AG1295/96;CT52923(4−(6,7−ジメトキシ−4−キナゾリニル)−N−(3,4−メチレンジオキシベンジル)−1−ピペラジンチオカルボキサミド);RP−1776;GFB−111;ピロロ[3,4−c]−ベータ−カルボリン−ジオン、SU102(SUGENが開発);CAS Number 146535-11-7を有するAG1296;Aventis Pharmaが開発したRPR101511A;ZymoGeneticsが開発したCDP860およびZvegf3;PfizerのCP673451およびPD170262;CAS number 190726-45-5を有するKI6783、キリンビール、日本が開発したPDGF−Rの阻害剤;協和発酵、日本および米国のMillenium Pharmaceuticalsが開発したKN1022;Pfizerが開発したAG13736;Chiron Corporationが開発したCHIR258;Millenium PharmaceuticalsのMLN518およびSUGEN−PfizerのSU11248、レフルノミド;またはそれらの薬学的に許容される塩。
【0007】
CT52923は、Matsuno K, et al., “Synthesis and structure activity relationships of PDGF receptor phosphorylation inhibitor-1.” in 18th Symposium on Medicinal Chemistry;1998 Nov 25-27;Kyoto, Japan, the Pharmaceutical Society of Japan, Division of Medicinal Chemistry, Tokyo, Japan :Abstract 2-P-05により記載されている。
【0008】
環状ペプチドであるRP−1776は、Streptomyces sp. KY11784の培養株から単離された。それは、例えばToki S, Agatsuma T, et al., J. Antibiot. (Tokyo) 2001 May;54(5):405-14により記載されている。
【0009】
GFB−111は、例えばBlaskovich MA et al., Nat. Biotechnol. 2000 Oct;18(10):1065-70およびDelarue F. et al, 91st Annual meeting of the American Association for Cancer research, 41:458, 2000に記載されている。
【0010】
ピロロ[3,4−c]−ベータ−カルボリン−ジオンは、例えばTeller S, Eur. J. Med. Chem. 2000 Apr;35(4):413-27により記載されている。
【0011】
CDP860は、増殖因子ベータ受容体抗体由来のヒト抗血小板に由来するペグ化抗体フラグメントである。
【0012】
PD170262または2−[4−(2−ジエチルアミノエトキシ)フェニルアミノ]−8−メチル−6−(3−チエニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オンは、血小板由来増殖因子チロシンキナーゼに対する選択性を有する、チロシンキナーゼの強力な阻害剤である。一連の2−アミノ−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成およびチロシンキナーゼ阻害活性は、例えばKlutchko S. et al., 213th American Chemical Society National meeting:abst. MEDI 201(poster), 1997, USAに記載されている。
【0013】
KI6783または4−(3,4−ジメトキシフェノキシ)−6,7−ジメトキシキノリンは、例えばKubo K. et al, Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters 7:2935-2940, 1997およびYagi M. et al., Exp. Cell Research 234:285-92, 1997に記載されている。
【0014】
PDGFRリン酸化を阻害するKN1022または6,7−ジメトキシ−4−[4−(4−ニトロフェニル)アミノカルボニルピペラジン−1−イル]−キナゾリンは、例えば217th American Chemical Society National meeting abstr. MEDI 061, Part1, 1999, Japanに記載されている。
【0015】
AG013736またはN−メチル−2−[3−[2−(2−ピリジル)ビニル]−1H−インダゾール−6−イルスルファニル]−ベンズアミドは、例えばHeller et al., Pharmacological activities of AG 013736, a small molecule inhibitor of VEGF/PDGFR tyrosine kinases, 93rd Annual meeting f the American association for Cancer research 43:1082, 2002, USAに記載されている。
【0016】
CHIR258は、例えば、PDGFRファミリー由来の受容体チロシンキナーゼに対する阻害活性のスペクトルが証明されている、経口で活性なアミノ−ベンゾイミダゾールキノリン増殖因子キナーゼ阻害剤である。CHIR258は、例えばSteigerwalt R et al. およびLee SH et al. により、各々94th Annual Meeting of the American Association for Cancer Research 753(ポスターも)abstr. 3783および934(ポスターも)abstr. R4702, 2003, USAに記載されている。
【0017】
SU11248または5−[3−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロインドル−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボン酸(2−ジエチルアミノエチル)アミンは、例えばPDGFRに選択性を有する、複数標的キナーゼ阻害剤である。SU11248は、例えばXin L. et al., 93rd Annual Meeting of the American Association for Cancer Research 43:1081 (ポスターも), 2002, USAに記載されている。
【0018】
MLN518は、結合アッセイにおいて、例えばPDGF Rリン酸化を阻害する、式4−[4−(N−パラ−イソ−プロポキシフェニルカルバモイル)−1−ピペラジニル]−6−メトキシ−7−(ピペリジノプロピルオキシ)−キナゾリンの、キナゾリンのピペラジニル誘導体であり、それは、例えばStone RM et al., Blood 102:65-66, 2003, Kelly LM et al., Cancer Cell 1:421-23, 2002に記載されている。
【0019】
レフルノミド(SU101)または4−イソキサゾールカルボキサミド、5−メチル−N−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]は、チロシンキナーゼ阻害剤である。
【0020】
好ましいPDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、本明細書に引用により包含する、EP0564409A1およびWO99/03854に記載の、式II
【化3】

のN−フェニル−2−ピリミジン−アミン誘導体である。
【0021】
上記の全てが、とりわけCGP57148B{N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミン}である、式(II)が好ましい。CGP57148B(以後:“イマチニブ”[国際一般名])および、とりわけ抗腫瘍剤としてのその使用は、1993年10月6日公開の欧州特許出願EP−A−0564409の実施例21、および多くの他の国の対応出願および特許、例えばUS特許5,521,184および日本特許2706682に記載されている。他に好ましいのは2000年5月10日公開の欧州特許出願998473に記載の通りの、4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミドメタンスルホネートのβ−結晶形である。
【0022】
用語“4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミド”は、全ての結晶形、とりわけ欧州特許出願998473に記載の通りのβ−結晶形を含む。
【0023】
非常に好ましくは式(II)のN−フェニル−2−ピリミジン−アミン誘導体は、そのモノメシル酸塩の形で使用する。
【0024】
式(II)の化合物は、特許出願EP0564409A1およびWO99/03854に一般的におよび具体的に開示されており、特に、化合物の請求項および作業実施例の最終生成物、最終生成物の対象、医薬製剤および特許請求の範囲は、これらの公報の引用により本明細書に包含させる。同様に包含されるのは、対応する立体異性体ならびに、それらに記載されている対応する多形、例えば結晶修飾である。
【0025】
EP0564409A1において、化合物(II)は癌、血栓症、乾癬、線維症、皮膚硬化症およびアテローム性動脈硬化症の治療に有用であると記載されている。
【0026】
単離または精製目的で、ならびに、中間体としてさらに使用する化合物の場合、薬学的に許容されない塩の使用も可能である。しかしながら、薬学的に許容される、非毒性塩のみが治療目的で使用され、故に、これらの塩が好ましい。
【0027】
さらに適当なPDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、WO98/35958(とりわけ実施例62の化合物)、およびUS5,093,330に記載され、いずれの場合も、とりわけ、化合物の請求項および作業実施例の最終生成物であり、これらは、これらの公報の引用により本明細書に包含させる。
【0028】
他の好ましい化合物は、特許出願WO04/005281、とりわけ実施例に記載され、最も好ましくは4−メチル−N−[3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ベンズアミドとしても既知の、式
【化4】

の実施例92の化合物である。
【0029】
好ましいPDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミド(イマチニブ)、4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミドメタンスルホネート、4−メチル−N−[3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ベンズアミド、CT52923(4−(6,7−ジメトキシ−4−キナゾリニル)−N−(3,4−メチレンジオキシベンジル)−1−ピペラジンチオカルボキサミド)、RP−1776、GFB−111、ピロロ[3,4−c]−ベータ−カルボリン−ジオン、SU102(SUGENが開発)、AG1296(CAS Number 146535-11-7)、AG1296(CAS Number 71897-07-9)およびRPR101511Aまたは、いずれの場合も、それらの薬学的に許容される塩から選択される。
【0030】
いずれの場合も、適当であれば、例えば化合物が、ヒドロクロロチアジドの場合のように、薬学的に許容される塩自体で示していなくても、化合物はまたその薬学的に許容される塩を含む。
【0031】
対応する活性成分またはそれらの薬学的に許容される塩は、水和物または結晶化に使用した他の溶媒を含むような、溶媒和物の形でも使用できる。
【0032】
最も好ましいPDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミン(イマチニブ)および4−メチル−N−[3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ベンズアミドまたはいずれの場合、一塩酸塩のようなそれらの薬学的に許容される塩である。
【0033】
好ましいのは、DPP−IV阻害剤、好ましくはLAF237または薬学的に許容されるその塩と、第二活性剤として、4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミド(イマチニブ)、4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミドメタンスルホネート、CT52923(4−(6,7−ジメトキシ−4−キナゾリニル)−N−(3,4−メチレンジオキシベンジル)−1−ピペラジンチオカルボキサミド)、4−メチル−N−[3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ベンズアミド、RP−1776、GFB−111、ピロロ[3,4−c]−ベータ−カルボリン−ジオン、SU102(SUGENが開発)、AG1296(CAS Number 146535-11-7)、AG1296(CAS Number 71897-07-9)およびRPR101511A、またはいずれの場合も、それらの薬学的に許容される塩から選択される活性剤を含む、各々組み合わせ製剤または医薬組成物のような組み合わせ物である。
【0034】
対応する活性成分またはそれらの薬学的に許容される塩は、水和物または結晶化に使用した他の溶媒を含むような、溶媒和物の形でも使用できる。
【0035】
組み合わせるべき化合物は、薬学的に許容される塩として存在できる。これらの化合物が、例えば、少なくとも1個の塩基性中心を有するとき、それらは酸付加塩を形成できる。対応する酸付加塩はまた、望むならば、さらに存在する塩基性中心を有して形成できる。酸基(例えばCOOH)を有する化合物は、また塩基と塩を形成できる。
【0036】
これらの市販品の全てを、それ自体、本発明に従う組み合わせ治療に利用できる。
【0037】
一般名または商品名により同定した活性剤の構造は、標準概論“The Merck Index”の現行版またはデータベース、例えばPatents International(例えばIMS World Publications)から取り得る。それらの対応する内容は、引用して本明細書に包含する。上記の引用文献に記載の対象、とりわけ、例えば、請求の範囲または実施例に具体的に記載の化合物を、本明細書に引用により包含する。
【0038】
当業者は、活性成分の同定が十分に可能であり、そして、これらの引用文献に基づき、同様に、製造し、医薬適応症および特性を、インビトロおよびインビボ両方の標準試験モデルで試験することが可能である。
【0039】
好ましいPDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミン(イマチニブ)および4−メチル−N−[3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ベンズアミド、またはいずれの場合も、一塩酸塩のようなそれらの薬学的に許容される塩から選択される。
【0040】
好ましいレニン阻害剤は、2(S),4(S),5(S),7(S)−N−(3−アミノ−2,2−ジメチル−3−オキソプロピル)−2,7−ジ(1−メチルエチル)−4−ヒドロキシ−5−アミノ−8−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)フェニル]−オクタンアミド(アリスキレン)またはそのヘミフマル酸塩のような、その薬学的に許容される塩である。
【0041】
故に、本発明は、好ましくは活性成分として;
(i)2(S),4(S),5(S),7(S)−N−(3−アミノ−2,2−ジメチル−3−オキソプロピル)−2,7−ジ(1−メチルエチル)−4−ヒドロキシ−5−アミノ−8−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)フェニル]−オクタンアミドまたはその薬学的に許容される塩;および
(ii)N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンおよび4−メチル−N−[3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ベンズアミド、またはいずれの場合も、それらの薬学的に許容される塩から選択されるPDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤
を含む、各々組み合わせ製剤または医薬組成物のような組み合わせ物に関する。
【0042】
対応する活性成分またはそれらの薬学的に許容される塩は、水和物または結晶化に使用した他の溶媒を含むような、溶媒和物の形でも使用できる。
【0043】
組み合わせるべき化合物は、薬学的に許容される塩として存在できる。これらの化合物が、例えば、少なくとも1個の塩基性中心を有するとき、それらは酸付加塩を形成できる。対応する酸付加塩はまた、望むならば、さらに存在する塩基性中心を有して形成できる。酸基(例えばCOOH)を有する化合物は、また塩基と塩を形成できる。
【0044】
レニン阻害剤、とりわけ式(I)のアリスキレンまたは本発明に従い使用される活性剤の組み合わせの投与により生じる薬学的活性は、例えば、関連分野で既知の対応する薬理学的モデルを使用して証明できる。関連分野の当業者は、前記および後記に示す治療的適応症および有益な作用を確認するための適切な動物試験モデルを選択することが十分に可能である。
【0045】
本発明の組み合わせ物の抗高血圧活性を評価するために、例えば、Lovenberg W:Animal models for hypertension research. Prog. Clin. Biol. Res. 1987, 229, 225-240により記載の方法を適用できる。
【0046】
本発明の組み合わせ物が鬱血性心不全の処置に使用できることを評価するために、例えば、Smith HJ, Nuttall A:Experimental models of heart failure. Cardiovasc Res 1985, 19, 181-186により記載の方法を適用できる。トランスジェニック法のような分子法は、例えばLuft et al.:Hypertension-induced end-organ damage. “A new transgemic approach for old problem.” Hypertension 1999, 33, 212-218により記載されている。
【0047】
とりわけ糖尿病における、単独もしくは組み合わせ物で与えた薬剤の心臓血管有益効果の評価は、Nawano et al., Metabolism 48:1248-1255, 1999の刊行物に記載のような、ズッカー高脂肪ラットのようなモデルを使用して実施できる。また、糖尿病性本態性高血圧ラットを使用した研究が、Sato et al., Metabolism 45:457-462, 1996の刊行物に記載されている。
【0048】
これらの引用文献の対応する対象は、引用により本明細書に包含する。
【0049】
本発明の組み合わせ物はまた、関連分野の当業者にそれ自体既知の他の試験モデルにより、または臨床試験により測定できる。
【0050】
関連分野の当業者は、前記および後記に示す治療的適応症および有益な作用を確認するための適切な動物試験モデルを選択することが十分に可能である(すなわち良好な治療域、改善された治療効果、高血圧に対する無作用、および他の利益)。該薬理学的活性は、例えば、臨床試験で、または、当業者に既知の方法で、本質的に後記の通りの試験法で証明できる。
【0051】
従って、本発明の組み合わせ物は、例えば、レニン阻害剤(とりわけ式(I)のもの)により阻害され得る、またはPDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤により阻害され得る疾患および障害の予防、進行遅延または処置に使用できる。
【0052】
とりわけ、本発明の組み合わせ物は、例えば、癌、血栓症、乾癬、線維症、皮膚硬化症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、心臓血管肥大または心臓血管肥大性リモデリングまたは高血圧誘発心臓血管疾患、心肥大、心筋梗塞後心臓リモデリング、肺鬱血および拡張型心筋症もしくは肥大型心筋症における心線維症、左心室もしくは右心室肥大、糖尿病性筋障害、鬱血性心不全における卒中予防、動脈および/または大血管における肥大性中膜肥厚(hypertrophic medial thickening)、高血圧誘発血管傷害、腸間膜脈管構造肥大、腎臓門脈アブレーション(portal renal ablation)後のような腎臓過剰濾過、慢性腎臓病におけるタンパク尿、高血圧の結果としての腎臓動脈症、腎硬化症または高血圧性腎硬化症、メサンギウム細胞肥大、高血圧、鬱血性心不全、糖尿病、とりわけ2型糖尿病、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、慢性腎不全、糖尿病性ニューロパシー、シンドロームX、月経前症候群、冠動脈心疾患、狭心症、心筋梗塞、卒中、血管再狭窄、黄斑変性症、白内障、月経前症候群、皮膚および結合組織障害、内皮障害および血管コンプライアンス障害から成る群から選択される疾患および障害の予防、進行遅延または処置に使用できる。
【0053】
心臓、血管または腎臓肥大または肥大性リモデリングは、心臓、動脈、大血管または腎臓の大きさの増大により特徴付けられる。
【0054】
本発明の組み合わせ物は、特に高血圧に関連する傷害の処置および/または予防に有用である。血圧が上昇した状態である高血圧は、ヒト集団のかなりの割合に影響する。持続する高血圧の結果は、眼、腎臓、心臓および脳システムの血管損傷を含み、そしてこれらの合併症の危険性は、血圧が高くなるに連れ上昇する。血圧を制御している基本的因子は、心拍出量および血管抵抗性であり、後者が優勢な共通機構であって、それは様々な要因により制御される。本発明による、高血圧に関連する傷害は、好ましくは心不全、右または左心室肥大(LVH)のような心肥大、腎臓動脈症、および血管疾患、例えば動脈および/または大血管における肥大性中膜肥厚、腸間膜脈管構造肥大、再狭窄またはアテローム性動脈硬化症を含むが、これらに限定されない。
【0055】
好ましくは、本組み合わせは、高血圧、とりわけISH、鬱血性心不全、内皮障害、血管コンプライアンス障害、血管再狭窄の処置に使用できる。
【0056】
好ましくは、本組み合わせは、高血圧誘発心臓血管疾患または高血圧誘発血管疾患の処置に使用できる。
【0057】
本明細書で定義の“式(I)のレニン阻害剤により阻害し得る疾患または状態”は、高血圧、鬱血性心不全、糖尿病、とりわけ2型糖尿病、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、腎不全、とりわけ慢性腎不全、糖尿病性ニューロパシー、シンドロームX、月経前症候群、冠動脈心疾患、狭心症、心筋梗塞、卒中、血管再狭窄、内皮障害などを含むが、これらに限定されない。
【0058】
高血圧に関連する傷害を伴う高血圧は、Journal of Hypertension 1999, 17:151-183、とりわけ162頁に定義の軽度、中度および重度高血圧を含み、かつこれらに限定されない。とりわけ好ましいのは“孤立性収縮期高血圧”(ISH)である。
【0059】
好ましくは、本発明の組み合わせ物の活性成分の併用で治療的有効量を、同時にまたは任意の順番で連続的に、例えば別々に、または固定された組み合わせで投与できる。
【0060】
ある状況下では、異なる作用機構の薬剤を組み合わせ得る。しかしながら、異なる作用機構であるが、同じ分野に作用する何らかの組み合わせを単に考えるだけでは、必ずしも有益な効果のある組み合わせ物に至らない。
【0061】
なおさら驚くのは、レニン阻害剤、好ましくはアリスキレンと、少なくとも1個のPDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤、好ましくはイマチニブ、またはいずれの場合もそれらの薬学的に許容される形態の組み合わせ投与が、単に有益な、とりわけ増強した、または相乗的治療効果をもたらすだけでないことである。それらと無関係に、組み合わせ処置によりもたらされる、驚くべき効果の持続、広範囲の治療的処置、および、高血圧に関連する疾患および状態に対する驚くべき有益な作用、例えば少ない心臓血管副作用などのようなさらなる利点が、達成できる。本発明の付加的なおよび好ましい局面は、孤立性収縮期高血圧および血管コンプライアンス障害(低下した血管弾性を意味する)の状態の予防、進行遅延または処置である。
【0062】
用語“増強”は、各々対応する薬理学的活性または治療的効果の増加を意味する。本発明の組み合わせ物の一方の成分の、本発明に従う他の成分の併用投与による増強は、一方の成分単独で達成できるよりも大きな効果が達成されることを意味する。
【0063】
用語“相乗効果”は、薬剤を、一緒に摂取したとき、各薬剤を単独で摂取したときの効果の加算よりも大きな、合計の併用の効果を産生することを意味する。
【0064】
ISHは、50歳を超えるヒトの高血圧で最も一般的な形態である。それは、正常拡張期血圧(90mmHg以下)と組み合わさった上昇した収縮期血圧(140mmHg以上)により特徴付けられる。上昇した収縮期血圧は、心臓血管疾患の独立したリスクファクターであり、例えば心筋肥大および心不全に至り得る。ISHは、さらに、上昇した脈圧(収縮期血圧と拡張期血圧の差異として定義される)により特徴付けられる。上昇した脈圧は、十分な制御がほとんどできそうにない高血圧の型として認識されている。上昇した収縮期血圧および相応した脈圧の低下は、心臓血管死の著しい危険の減少と関連する。驚くべきことに、式(I)のレニン阻害剤およびPDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤の組み合わせ物が、2型糖尿病を有する高血圧性患者および2型糖尿病を有しない高血圧性患者の両方で、ISHおよび脈拍数の減少を導くことが判明した。
【0065】
さらに、PDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤の長期併用投与が、血管形態学および機能に対する有益な影響を与え、血管硬化の低下と相応した血管コンプライアンスの維持および改善をもたらすことが、判明した。PDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤およびレニン阻害剤の長期併用投与は、心臓形態学および機能に対して有益な影響を与える。
【0066】
従って、PDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤の、レニン阻害剤(好ましくは式(I)のレニン阻害剤)への添加は、収縮期血圧に対する作用を増強し、血管硬化/コンプライアンスをさらに改善し、そしてまた、心臓血管副作用を減少することが判明した。逆に、収縮期血圧および拡張期血圧に対するレニン阻害剤の証明された抗高血圧作用は、PDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤の添加により増強され得る。これらの組み合わせ物の利益は、または、内皮機能に対する付加的なまたは増強した作用にまで広がり得て、腎臓、心臓、眼および脳を含む様々な臓器/組織における血管機能および構造を改善する。この組み合わせ物の使用を通して、抗血栓および抗アテローム硬化性作用も証明できる。この作用は、単独で心臓血管機能および構造を異なる機構により改善する式(I)のレニン阻害剤と共に投与したとき、心臓血管機能/構造に対する相加的または相乗的作用の惹起により非常に有益であることが立証される。
【0067】
レニン阻害剤と、PDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤の組み合わせ投与は、さらに抗高血圧硬化を惹起し、いずれかの薬剤を単独で投与した後よりもより大きな程度で、高血圧性患者の血管動力学を改善する。
【0068】
さらなる利益は、本発明により組み合わせるべき個々の薬剤の低用量が、投与量の減少のために使用でき、例えば、投与量がしばしば少ないだけでなく、少ない頻度でも適用され、または、副作用の発生の減少に使用できることである。これは、処置すべき患者の望みおよび要求に合う。
【0069】
例えば、本発明の組み合わせ物は、とりわけ、全ての糖尿病患者に、高血圧状態に関係なく有益である、中程度の高血圧または孤立性収縮期高血圧の処置に利益を提供し、例えば、2種の異なる作用機構により、負の心臓血管事象の危険性を低下させることが判明した。
【0070】
レニン阻害剤(とりわけ式(I)のレニン阻害剤)は、また、血圧低下以外に、例えばミクロアルブミン尿症の改善において、2型糖尿病の処置に有用であることが証明された。高血圧に関する治療的投与量以下投与量で、本発明の組み合わせ物は、糖尿病、とりわけ2型糖尿病の処置に単に使用してよい。式(I)のレニン阻害剤の減少した投与量の観点から、本組み合わせ剤の相当な安全性プロフィールがあり、それにより、改善された治療に適する。
【0071】
故に本発明はさらに下記に関する;
1)医薬として使用するための、本発明の組み合わせ物。
【0072】
2)癌、血栓症、乾癬、線維症、皮膚硬化症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、心臓血管肥大または心臓血管肥大性リモデリングまたは高血圧誘発心臓血管疾患、心肥大、心筋梗塞後心臓リモデリング、肺鬱血および拡張型心筋症もしくは肥大型心筋症における心線維症、左心室もしくは右心室肥大、糖尿病性筋障害、鬱血性心不全における卒中予防、動脈および/または大血管における肥大性中膜肥厚、高血圧誘発血管傷害、腸間膜脈管構造肥大、腎臓門脈アブレーション後のような腎臓過剰濾過、慢性腎臓病におけるタンパク尿、高血圧の結果としての腎臓動脈症、腎硬化症または高血圧性腎硬化症、メサンギウム細胞肥大、高血圧、鬱血性心不全、糖尿病、とりわけ2型糖尿病、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、慢性腎不全、糖尿病性ニューロパシー、シンドロームX、月経前症候群、冠動脈心疾患、狭心症、心筋梗塞、卒中、血管再狭窄、黄斑変性症、白内障、月経前症候群、皮膚および結合組織障害、内皮障害および血管コンプライアンス障害から選択される疾患または障害の予防、進行遅延または処置用医薬の製造のための、少なくとも1個のPDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩と組み合わせた、レニン阻害剤(好ましくは式(I)のレニン阻害剤)またはその薬学的に許容される塩の使用。
【0073】
3)癌、血栓症、乾癬、線維症、皮膚硬化症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、心臓血管肥大または心臓血管肥大性リモデリングまたは高血圧誘発心臓血管疾患、心肥大、心筋梗塞後心臓リモデリング、肺鬱血および拡張型心筋症もしくは肥大型心筋症における心線維症、左心室もしくは右心室肥大、糖尿病性筋障害、鬱血性心不全における卒中予防、動脈および/または大血管における肥大性中膜肥厚、高血圧誘発血管傷害、腸間膜脈管構造肥大、腎臓門脈アブレーション後のような腎臓過剰濾過、慢性腎臓病におけるタンパク尿、高血圧の結果としての腎臓動脈症、腎硬化症または高血圧性腎硬化症、メサンギウム細胞肥大、高血圧、鬱血性心不全、糖尿病、とりわけ2型糖尿病、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、慢性腎不全、糖尿病性ニューロパシー、シンドロームX、月経前症候群、冠動脈心疾患、狭心症、心筋梗塞、卒中、血管再狭窄、黄斑変性症、白内障、月経前症候群、皮膚および結合組織障害、内皮障害および血管コンプライアンス障害から選択される疾患または障害の予防、進行遅延または処置法であって、それを必要とするヒトを含む温血動物に、併用で治療的有効量の
(i)レニン阻害剤(好ましくは式(I)のレニン阻害剤)またはその薬学的に許容される塩;
(ii)少なくとも1個のPDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩
を投与することを含む、方法。
【0074】
4)活性成分として、
(i)レニン阻害剤(好ましくは式(I)のレニン阻害剤)またはその薬学的に許容される塩;
(ii)少なくとも1個のPDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩;
ならびに少なくとも1個の付加的な薬学的に許容される担体を含む;
癌、血栓症、乾癬、線維症、皮膚硬化症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、心臓血管肥大または心臓血管肥大性リモデリングまたは高血圧誘発心臓血管疾患、心肥大、心筋梗塞後心臓リモデリング、肺鬱血および拡張型心筋症もしくは肥大型心筋症における心線維症、左心室もしくは右心室肥大、糖尿病性筋障害、鬱血性心不全における卒中予防、動脈および/または大血管における肥大性中膜肥厚、高血圧誘発血管傷害、腸間膜脈管構造肥大、腎臓門脈アブレーション後のような腎臓過剰濾過、慢性腎臓病におけるタンパク尿、高血圧の結果としての腎臓動脈症、腎硬化症または高血圧性腎硬化症、メサンギウム細胞肥大、高血圧、鬱血性心不全、糖尿病、とりわけ2型糖尿病、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、慢性腎不全、糖尿病性ニューロパシー、シンドロームX、月経前症候群、冠動脈心疾患、狭心症、心筋梗塞、卒中、血管再狭窄、黄斑変性症、白内障、月経前症候群、皮膚および結合組織障害、内皮障害および血管コンプライアンス障害から成る群から選択される疾患または状態の予防、進行遅延、処置用医薬製剤。
【0075】
レニン阻害剤を、PDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤と同時にまたはPDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤と時間的に連続して投与する、上記の方法または使用。
【0076】
レニン阻害剤およびPDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤を、固定された組み合わせもしくは組み合わせ製剤または複数部分のキットのような本発明の組み合わせ物の形で投与する、上記の方法または使用。
【0077】
高血圧に関連する傷害の処置および/または予防のための、上記の方法または使用。
【0078】
2型糖尿病であって、患者が高血圧症に罹患しているか、または高血圧性患者である場合における、高血圧に関連する傷害の処置および/または予防のための、上記の方法または使用。
【0079】
患者が糖尿病、好ましくは2型糖尿病に罹患している、心不全、右心室または左心室肥大(LVH)のような心肥大、腎臓動脈症、および血管疾患、例えば動脈および/または大血管における肥大性中膜肥厚、腸間膜脈管構造肥大、再狭窄またはアテローム性動脈硬化症の処置および/または予防のための、上記の方法または使用。
【0080】
前記および後記の本発明の医薬組成物は同時に使用するか、または、別々の使用もしくは固定された組み合わせとして任意の順番で連続的に使用してよい。
【0081】
好ましいのは、式(I)のレニン阻害剤またはその薬学的に許容される塩と、第二活性剤として、イマチニブ、CT52923、RP−1776、GFB−111、ピロロ[3,4−c]−ベータ−カルボリン−ジオン、SU102、AG1296、AG1296およびRPR101511Aから選択される活性剤を含む、各々組み合わせ製剤または医薬組成物のような組み合わせ物である。
【0082】
本発明の医薬組成物は、成分を個々に投与でき、または、区別される量の成分の異なる固定された組み合わせの使用により、異なる時点で投与できる点で、“複数部分のキット”を含む。“複数部分のキット”のパーツを、次いで、例えば、同時に、または時間的にずらして、すなわち、異なる時点で、“複数部分のキット”の任意の成分に対して同じまたは異なる時間間隔で投与できる。好ましくは、時間間隔は、処置疾患または状態に対する、該パーツの組み合わせた使用の効果が、該成分のいずれか単独のみの使用により得られるであろう効果よりも大きくなるように選択する。好ましくは、少なくとも1個の有益な効果、例えば
(i)レニン阻害剤(好ましくは式(I)のレニン阻害剤)またはその薬学的に許容される塩;
(ii)少なくとも1個のPDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩;
の効果の相互の増大、特に増強または相乗作用、例えば相加効果以上、付加的な有益な効果、少ない副作用、成分の一方またはいずれかの非有効投与量での組み合わせた治療効果、とりわけ増強または強い相乗作用がある。
【0083】
本発明は、さらに、本発明の組み合わせ物と、同時、別々もしくは連続使用のための指示書を含む、商業的包装物に関する。
【0084】
これらの医薬製剤は、恒温動物への経腸、例えば経口、およびまた直腸、または非経腸投与用であり、該製剤は、薬理学的活性化合物を、単独でまたは慣用の医薬補助物質と共に含む。例えば、医薬製剤は、約0.1%から90%、好ましくは約1%から約80%の活性化合物を含む。経腸または非経腸、およびまた眼投与用の医薬製剤は、例えば、被覆錠、錠剤、カプセルまたは坐薬およびまたアンプルのような単位投与形態である。これらは、それ自体既知の方法で、例えば慣用の混合、造粒、コーティング、溶解または凍結乾燥法を使用して製造する。故に、経口使用のための医薬製剤は、活性化合物と固体賦形剤を合わせ、必要であれば得られた混合物を造粒し、そして、要求もしくは必要に応じて、混合物または顆粒を、適当な補助物質の添加後に、錠剤または被覆錠コアに加工することにより、得ることができる。
【0085】
活性化合物の投与量は、投与の形態、恒温動物種、年齢および/または個々の状態のような様々な因子に依存し得る。
【0086】
本発明の医薬的組み合わせ物の活性成分の好ましい投与量は、治療的有効量、とりわけ商業的に入手可能なものである。
【0087】
通常、経口投与の場合、約1mgから約360mgの大凡の1日量が、例えば約75kgの体重の患者について概算される。
【0088】
活性化合物の投与量は、投与の形態、恒温動物種、年齢および/または個々の状態のような様々な因子に依存し得る。
【0089】
式(I)のレニン阻害剤は、適当な投与単位形態の形、例えば、カプセルまたは錠剤で提供され、そして、患者に投与し得る、治療的有効量の、例えば約10から約500mgの式(I)のレニン阻害剤を含む。対応する投与量は、例えば、朝、昼または晩に摂取し得る。好ましいのは、1日2回投与である。
【0090】
N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンモノメシレートは、好ましくはヒトに、約2.5から850mg/日、より好ましくは5から600mg/日および最も好ましくは20から300mg/日の範囲の投与量で投与する。ここで特記されていない限り、本化合物は、好ましくは1日あたり1回から4回投与する。
【0091】
ガレヌス製剤−実施例1:
フィルムコート錠剤
下記組成を、各100mgの活性成分を含む、10000錠の製造のために処理する:
【表1】

活性成分としての上記実施例で記載の式(I)の化合物の一つ、50gのコーンデンプンおよびコロイド状ケイ酸を含む混合物を、250gのコーンデンプンおよび2.2kgの脱塩水から調製したデンプンペーストと共に、湿式塊に加工する。塊を3mmのメッシュサイズを有する篩いに通し、45°で30分、流動床乾燥機で乾燥させる。乾燥顆粒を1mmのメッシュサイズを有する篩いに通し、330gのコーンデンプン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸およびナトリウムカルボキシメチルデンプンの予め篩った(1mm篩い)混合物と混合し、そして、圧縮してわずかに両凸の錠剤を形成させる。
【0092】
ガレヌス製剤−実施例2:
4−[(4−メチル−1−ピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]フェニル]ベンズアミドメタンスルホネート(所望によりそのβ−結晶形)のカプセル
100mgの化合物I(遊離塩基)に対応する119.5mgの表題化合物(=化合物Iモノメシレート)を活性物質として含むカプセルを、下記組成で製造する:
【表2】

本カプセルを、成分を混合し、該混合物をサイズ1の硬ゼラチンカプセルに充填することにより製造する。
【0093】
これらの実施例は、本発明を、いかなる方法でもその範囲を限定することなく、説明する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分として;
(i)レニン阻害剤またはその薬学的に許容される塩;
(ii)少なくとも1個のPDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩
を含む、組み合わせ物。
【請求項2】
PDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤が4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミド、4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミドメタンスルホネート、4−メチル−N−[3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ベンズアミド、CT52923、(4−(6,7−ジメトキシ−4−キナゾリニル)−N−(3,4−メチレンジオキシベンジル)−1−ピペラジンチオカルボキサミド)、RP−1776、GFB−111、ピロロ[3,4−c]−ベータ−カルボリン−ジオン、SU102、AG1296、AG1296およびRPR101511Aまたは、いずれの場合も、それらの薬学的に許容される塩から選択される、請求項1記載の組み合わせ物。
【請求項3】
レニン阻害剤が2(S),4(S),5(S),7(S)−N−(3−アミノ−2,2−ジメチル−3−オキソプロピル)−2,7−ジ(1−メチルエチル)−4−ヒドロキシ−5−アミノ−8−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)フェニル]−オクタンアミド、ジテキレン(detikiren)、テルラキレンおよびザンキレン、またはそれらの薬学的に許容される塩から選択される、請求項1または2記載の組み合わせ物。
【請求項4】
レニン阻害剤が2(S),4(S),5(S),7(S)−N−(3−アミノ−2,2−ジメチル−3−オキソプロピル)−2,7−ジ(1−メチルエチル)−4−ヒドロキシ−5−アミノ−8−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)フェニル]−オクタンアミド、またはそれらの薬学的に許容される塩である、請求項1または2記載の組み合わせ物。
【請求項5】
活性成分として;
(i)2(S),4(S),5(S),7(S)−N−(3−アミノ−2,2−ジメチル−3−オキソプロピル)−2,7−ジ(1−メチルエチル)−4−ヒドロキシ−5−アミノ−8−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)フェニル]−オクタンアミドまたはその薬学的に許容される塩;および
(ii)N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンおよび4−メチル−N−[3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ベンズアミド、またはいずれの場合も、それらの薬学的に許容される塩から選択されるPDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤
を含む、組み合わせ物。
【請求項6】
活性成分(i)がそのヘミフマル酸塩の形であり、そして活性成分(ii)がそのモノメシル酸塩の形である、請求項4または5記載の組み合わせ物。
【請求項7】
組み合わせ製剤または医薬組成物の形の、請求項1から6のいずれかに記載の組み合わせ物。
【請求項8】
癌、血栓症、乾癬、線維症、皮膚硬化症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、心臓血管肥大または心臓血管肥大性リモデリングまたは高血圧誘発心臓血管疾患、心肥大、心筋梗塞後心臓リモデリング、肺鬱血および拡張型心筋症もしくは肥大型心筋症における心線維症、左心室もしくは右心室肥大、糖尿病性筋障害、鬱血性心不全における卒中予防、動脈および/または大血管における肥大性中膜肥厚(hypertrophic medial thickening)、高血圧誘発血管傷害、腸間膜脈管構造肥大、腎臓門脈アブレーション(portal renal ablation)後のような腎臓過剰濾過、慢性腎臓病におけるタンパク尿、高血圧の結果としての腎臓動脈症、腎硬化症または高血圧性腎硬化症、メサンギウム細胞肥大、高血圧、鬱血性心不全、糖尿病、とりわけ2型糖尿病、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、慢性腎不全、糖尿病性ニューロパシー、シンドロームX、月経前症候群、冠動脈心疾患、狭心症、心筋梗塞、卒中、血管再狭窄、黄斑変性症、白内障、月経前症候群、皮膚および結合組織障害、内皮障害および血管コンプライアンス障害から選択される疾患および障害の予防、進行遅延または処置法であって、それを必要とするヒトを含む哺乳動物に、併用で治療的有効量の請求項1から7のいずれかに記載の組み合わせ物を投与することを含む、方法。
【請求項9】
癌、血栓症、乾癬、線維症、皮膚硬化症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、心臓血管肥大または心臓血管肥大性リモデリングまたは高血圧誘発心臓血管疾患、心肥大、心筋梗塞後心臓リモデリング、肺鬱血および拡張型心筋症もしくは肥大型心筋症における心線維症、左心室もしくは右心室肥大、糖尿病性筋障害、鬱血性心不全における卒中予防、動脈および/または大血管における肥大性中膜肥厚、高血圧誘発血管傷害、腸間膜脈管構造肥大、腎臓門脈アブレーション後のような腎臓過剰濾過、慢性腎臓病におけるタンパク尿、高血圧の結果としての腎臓動脈症、腎硬化症または高血圧性腎硬化症、メサンギウム細胞肥大、高血圧、鬱血性心不全、糖尿病、とりわけ2型糖尿病、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、慢性腎不全、糖尿病性ニューロパシー、シンドロームX、月経前症候群、冠動脈心疾患、狭心症、心筋梗塞、卒中、血管再狭窄、黄斑変性症、白内障、月経前症候群、皮膚および結合組織障害、内皮障害および血管コンプライアンス障害から選択される疾患および障害の予防、進行遅延または処置用医薬の製造のための、少なくとも1個のPDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩と組み合わせた、レニン阻害剤(好ましくは式(I)のレニン阻害剤)の使用。
【請求項10】
(i)第一単位投与形態中の一定量のレニン阻害剤;
(i)一定量の少なくとも1個のPDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤、または
いずれの場合も、適当であれば、それらの薬学的に許容される塩を、成分(i)から(ii)の2個または3個もしくはそれ以上の別々の単位の形態で含む、複数部分のキット。
【請求項11】
レニン阻害剤がアリスキレン、ジテキレン(detikiren)、テルラキレン、およびザンキレンから成る群から選択される、請求項9記載の使用、請求項10記載の複数部分のキット。
【請求項12】
PDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤が4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミド、4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミドメタンスルホネート、4−メチル−N−[3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ベンズアミド、CT52923、(4−(6,7−ジメトキシ−4−キナゾリニル)−N−(3,4−メチレンジオキシベンジル)−1−ピペラジンチオカルボキサミド)、RP−1776、GFB−111、ピロロ[3,4−c]−ベータ−カルボリン−ジオン、SU102、AG1296、AG1296およびRPR101511Aまたは、いずれの場合も、それらの薬学的に許容される塩から成る群から選択される、請求項9または11記載の使用、請求項10または11記載の複数部分のキット。
【請求項13】
活性成分
(i)が2(S),4(S),5(S),7(S)−N−(3−アミノ−2,2−ジメチル−3−オキソプロピル)−2,7−ジ(1−メチルエチル)−4−ヒドロキシ−5−アミノ−8−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)フェニル]−オクタンアミドまたはその薬学的に許容される塩である;および/または
(ii)がN−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンおよび4−メチル−N−[3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ベンズアミド、またはいずれの場合も、それらの薬学的に許容される塩から選択されるPDGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤である、請求項9記載の使用または請求項10記載の複数部分のキット。
【請求項14】
活性成分(i)がそのヘミフマル酸塩の形であり、そして活性成分(ii)がそのモノメシル酸塩の形である、請求項13記載の使用または複数部分からなるキット。

【公表番号】特表2007−518768(P2007−518768A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550053(P2006−550053)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000597
【国際公開番号】WO2005/070406
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】